説明

油中水型乳化化粧料

【課題】 特定のシリコーン弾性粉体を実質的に一次粒子の状態で分散させることにより、使用感が良く、シミ・ソバカス等の肌の色ムラや、毛穴・シワ等の肌の凹凸等をカバーしながらも自然な仕上がりが得られ、しかも経時で色くすみが起こらない油中水型乳化化粧料を提供する。
【解決手段】 (A)揮発性油分と、(B)JIS A硬度が40〜100のオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体とを含み、(B)成分が実質的に一次粒子の状態で分散している油中水型乳化化粧料とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油中水型乳化化粧料に関し、特に特定のオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体を含有する油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メーキャップ化粧料のみならず、スキンケア化粧料においても、肌上での伸びが良いこと、カバー力がありながらも透明感のある自然な仕上がりが得られること、さらには経時での色くすみが起こらないこと等、様々な性能が要求されている。
一方、シリコーン弾性粉体は、撥水性、潤滑性に優れることから、化粧品分野において以前から好適に使用されている。そしてシリコーン弾性粉体を配合した固形化粧料としては、特開平9−20631号公報、特開2000−38316号公報等に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−20631号公報
【特許文献2】特開2000−38316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記化粧料においては、シリコーン弾性粉体が二次凝集体の形で存在しており、均一な分散状態とはならないため、使用感や化粧効果において満足できるものは得られていなかった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用感が良く、シミ・ソバカス等の肌の色ムラや、毛穴・シワ等の肌の凹凸等をカバーしながらも自然な仕上がりが得られ、しかも経時で色くすみが起こらない油中水型乳化化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために本発明者等が検討を行った結果、特定のオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体が揮発性油分に対しても不揮発性油分に対しても高い分散性を有し、実質的に一次粒子の状態で分散させることができ、化粧効果と使用感に優れた化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、(A)揮発性油分と、(B)JIS A硬度が40〜100のオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体とを含み、(B)成分が実質的に一次粒子の状態で分散していることを特徴とする油中水型乳化化粧料である。
【0007】
本発明において、前記(B)成分と、前記(A)成分との配合比率は、(B):(A)=1:1.5〜1:30であることが望ましい。
【0008】
また、本発明の油中水型乳化化粧料は、屈折率が1.45以上の体質顔料を実質的に含まないものであることが望ましい。
【0009】
また、本発明の油中水型乳化化粧料は、不揮発性油分を実質的に含まないものであることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特定のシリコーン弾性粉体を実質的に一次粒子の状態で分散させることにより、使用感が良く、シミ・ソバカス等の肌の色ムラや、毛穴・シワ等の肌の凹凸等をカバーしながらも自然な仕上がりが得られ、しかも経時で色くすみが起こらない油中水型乳化化粧料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(揮発性油分)
本発明に使用される揮発性油分としては、室温(25℃)・常圧(1気圧(9.8×104Pa))で揮発する油分を用いることができ、例えば、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状ポリシロキサン等の揮発性シリコーン油、シェルソル(シェル化学)、アイソパー(エッソ化学)等の軽質流動イソパラフィン等が挙げられる。本発明における揮発性油分は、1種または2種以上が任意に選択されるが、揮発性シリコーン油を用いることが好適であり、特に環状ポリシロキサンを用いることが最適である。
【0012】
揮発性油分の配合量は油中水型乳化化粧料中、18〜60質量%であることが好ましく、さらに好ましくは、25〜50質量%である。60質量%を超えると、肌なじみが悪く仕上りが不均一になるという問題があり、18質量%未満であると、のびが悪く仕上りが不均一になるという問題がある。
【0013】
本発明には、揮発性油分の他に不揮発性油分を配合することもできるが、不揮発性油分を配合すると化粧持ちが悪くなるため、好ましくは、不揮発性油分は配合せず、揮発性油分のみ配合することが好ましい。
【0014】
不揮発性油分としては、室温(25℃)・常圧(1気圧(9.8×104Pa))で揮発性を示さない油分であり、具体的には、流動パラフィン、イソパラフィン、スクワラン、ポリブテン等の炭化水素油;ラノリン等のロウ類;ヒマシ油、オリーブ油、パーム油、ヤシ油、マカデミアナッツ油、ホホバ油等の油脂;イソステアリルアルコール等の高級アルコール;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸;グリセリルジイソステアレート、トリメチロールプロパントリ2エチルイソステアレート、イソプロピルミリステート、セチル2エチルヘキサノエート、グリセリルトリイソステアレート、2ヘプチルウンデシルパルミテート、トリイソステアリン酸グリセリン、ジイソステアリルマレート等のエステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;トリメチルシロキシケイ酸等のシリコーン樹脂;ベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤;セレシンワックス、カルナバワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等のワックス類等が挙げられる。
【0015】
(JIS A硬度が40〜100のオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体)
本発明の油中水型乳化化粧料に配合されるオルガノポリシロキサンエラストマーの球状粉体は、JIS
A硬度(ゴム硬度)が40〜100であるオルガノポリシロキサンエラストマーの球状粉体であり、好ましくは、JIS A硬度が50〜80であるオルガノポリシロキサンの球状粉体である。オルガノポリシロキサンエラストマーのJIS
A硬度が40未満であると、揮発性油分中に一次粒子の状態で分散させることが困難となり、100を超えると、吸油量が低くなりつやが低下し、仕上りの自然さに劣るので、好ましくない。
また本発明に用いられるオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体は、40%メチルポリシロキサンに分散させた場合の30℃粘度が150〜500mPa・sであることが好ましい。
【0016】
また、本発明の油中水型乳化化粧料に配合されるオルガノポリシロキサンエラストマーの球状粉体の平均粒子径は、1〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜40.0μmである。その平均粒子径が1μm未満であると、なめらかな塗擦感が失われ、好ましくなく、100μmを超えると、ざらついた感触を伴い、好ましくない。
【0017】
また、本発明の油中水型乳化化粧料に配合されるオルガノポリシロキサンエラストマーの球状粉体は、真球状の粉体でも、断面が楕円形である球状の粉体でもよいが、よりさらさらして好ましい感触が得られるという理由で、真球状の粉体であることが好ましい。
【0018】
JIS A硬度が40〜100であるオルガノポリシロキサンエラストマーの球状粉体の製造方法は特に限定されないが、一般に、硬化型オルガノポリシロキサン組成物を原料として製造することができる。この場合の原料の硬化型オルガノポリシロキサン組成物としては、例えば、けい素原子結合水素原子を有するジオルガノポリシロキサンとけい素原子結合低級アルケニル基、例えばビニル基を有するオルガノポリシロキサンとが、白金系触媒の存在下に、付加反応することにより硬化する、付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物;分子鎖両末端に水酸基を有するジオルガノポリシロキサンとけい素原子結合水素原子を有するジオルガノポリシロキサンとが、有機錫化合物の存在下に、脱水素反応することにより硬化する、縮合反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物;
【0019】
分子鎖両末端に水酸基を有するジオルガノポリシロキサンと加水分解性のオルガノシラン類とが、有機錫化合物ないしチタン酸エステル類の存在下に、縮合反応することにより硬化する、縮合反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物(ここで縮合反応としては、例えば、脱水,脱アルコール,脱オキシム,脱アミン,脱アミド,脱カルボン酸,脱ケトン等を挙げることができる);有機過酸化物触媒により加熱硬化する、過酸化物硬化型オルガノポリシロキサンエラストマー組成物;γ線、紫外線又は電子照射により硬化する、高エネルギー線硬化型オルガノポリシロキサン組成物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
これらの硬化型オルガノポリシロキサン組成物のうち、硬化速度が速いことや硬化の均一性に優れる点から、付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物が好ましい。付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物として特に好ましいものは、(A)1分子中に少なくとも2個のけい素原子結合水素原子を有するジオルガノポリシロキサン、(B)1分子中に少なくとも2個の低級アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン及び(C)白金系触媒からなるものである。
【0021】
上述した硬化型オルガノポリシロキサン組成物の主剤となるオルガノポリシロキサン又はジオルガノポリシロキサンのけい素原子に結合し得る、低級アルケニル基以外の有機基としては、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,オクチル基のようなアルキル基;2−フェニルエチル基,2−フェニルプロピル基,3,3,3−トリフルオロプロピル基のような置換アルキル基;フェニル基,トリル基,キシリル基のようなアリール基;エポキシ基,カルボン酸エステル基,メルカプト基等を有する置換一価炭化水素基等を挙げることができる。
【0022】
上述した硬化型オルガノポリシロキサン組成物からJIS
A硬度が40〜100のオルガノポリシロキサンエラストマーの球状粉体を製造する方法としては、(1)付加反応硬化型,縮合反応硬化型又は過酸化物硬化型オルガノポリシロキサン組成物を、ノニオン界面活性剤,アニオン界面活性剤,カチオン界面活性剤又は両性界面活性剤のような界面活性剤の存在下に、水と混合し、ホモミキサー,コロイドミル,ホモジナイザー,プロペラ型ミキサー等で均一な水分散物を得た後、50℃以上の熱水中に放出し硬化させ乾燥させる方法;
(2)付加反応硬化型,縮合反応硬化型又は過酸化物硬化型オルガノポリシロキサン組成物を、熱気流中に直接噴霧して硬化させる方法;
(3)高エネルギー線硬化型オルガノポリシロキサン組成物を、高エネルギー照射下に噴霧して硬化させる方法;
(4)付加反応硬化型,縮合反応硬化型,過酸化物硬化型又は高エネルギー線硬化型オルガノポリシロキサン組成物を硬化させたものを、ボールミル,アトマイザー,ニーダー,ロールミル等の公知の粉砕機により粉砕する方法等を挙げることが可能である。
【0023】
これらの(1)〜(4)の方法のうち、より真球状の、粒子径のばらつきがより小さい粉体が得られることから、(1)の方法が好ましい。本発明で用いられるオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体の詳細は、例えば、特開平8−12524号公報に記載されている。
【0024】
本発明の油中水型乳化化粧料において、上記オルガノポリシロキサンエラストマーの球状粉体の含有量は、化粧料全量に対して2〜12質量%であることが好ましく、さらに好ましくは、3〜10質量%である。15質量%を超えると、仕上げ時によれを生じるという問題があり、2質量%未満であると、凹凸補正効果に劣るという問題がある。
【0025】
本発明の油中水型乳化化粧料において、上記オルガノポリシロキサンエラストマーの球状粉体(B)と、揮発性油分(A)との配合比率は、(B):(A)=1:1.5〜1:30であることが好ましい。(B)成分の割合がこれよりも多い場合には、分散媒体の粘度が高くなり(B)成分が分散不良となるため自然な仕上りが得られないという問題があり、(B)成分の割合がこれよりも少ない場合には、油っぽい仕上りとなり凹凸補正効果に劣るという問題がある。
【0026】
「実質的に、一次粒子の状態で分散している」とは、溶媒中・組成物中で、シリコーン弾性粉体が凝集体にならず、均一に分散している状態であることを意味する。凝集体は、全く存在しないことが好ましいが、本発明の効果を損なわない程度の微量の凝集体が存在しても構わない。
本発明のシリコーン弾性粉体は、実質的に、一次粒子の状態で分散で揮発性油分に分散することができるので、実質的に、一次粒子の状態の粉末に油性成分を均一に付着させることができ、肌への伸展性が良く、使用感がサラサラしていて良好であり、化粧持ちが良い化粧料を得ることが可能となる。
またシリコーン弾性粉体の分散と共に、着色顔料の分散状態も良くなり、発色が良くなる傾向にあるので、着色顔料が通常処方の2/3〜1/2程度で済む。
【0027】
本発明の油中水型乳化化粧料には、シリコーン弾性粉体の他に、粉体として、着色顔料(例えば酸化鉄(ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄)、群青、紺青、カーボンブラック、酸化クロム等)、白色顔料(例えば酸化チタン、酸化亜鉛等)、パール顔料(雲母チタン、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス等)等を本発明の効果を損なわない範囲において、適宜選択され配合することができる。
【0028】
また一般に、油中水型乳化化粧料には、マイカ、タルク、セリサイト等の体質顔料が配合されているが、これらの体質顔料は屈折率が高く、皮脂や汗により経時で色くすみするという問題がある。しかしながら本発明の油中水型乳化化粧料においては、体質顔料を含まなくても、十分なカバー力が得られるため、白浮きせず、透明感があり自然な仕上がりが得られる。なお本発明において、体質顔料とは、屈折率が1.45以上の顔料を指し、マイカ、タルク、セリサイト、カオリン、アルミナ、シリカ、無水ケイ酸、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、酸化セリウム、合成マイカ、合成タルク等が挙げられる。
上記の点から、本発明においては、屈折率が1.45以上の体質顔料を実質的に含まないことが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲において配合することもできる。
【0029】
本発明の油中水型乳化化粧料には上記した必須構成成分の他に本発明の効果を損なわない範囲において、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、水等を必要に応じて適宜配合し、目的とする剤形に応じて常法により製造することが出来る。
【0030】
本発明の化粧料の具体的な用途としては特に限定はないが、ファンデーション、化粧下地、コンシーラー、おしろい、頬紅、口紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、サンスクリーン等のメーキャップ化粧料に適用することができ、特にリキッドファンデーションが好適である。
【実施例】
【0031】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量については特に断りのない限り質量%を示す。
【0032】
ここで、オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体のJIS
A硬度、オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体の粒子径および形状は次のようにして測定した。
(1)オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体の硬度
原料のシリコーンゴム組成物を150℃の熱風循環式オーブン中で1時間加熱してオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体を調製し、これを室温まで冷却後、JIS
K 6301に規定されるJIS A硬度計により測定した。
(2)オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体の粒子径および分散性
オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体を光学顕微鏡に接続した画像処理装置により、この粒子径を測定し、この最大粒子径および平均粒子径を求めた。
【0033】
本発明に用いる、JIS A硬度が40〜100のオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体は、例えば、特開平8−12524号公報に記載の製造方法によりJIS A硬度を調製して得ることができる。
以下の実施例に用いたオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体は、特開平8−12524号公報に記載の製造方法によりJIS A硬度を60に調製して得たもの(以下、シリコーン弾性粉体(1)とする)である。
【0034】
(オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体の分散性等の評価)
前記方法により得られたオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体(以下、シリコーン弾性粉体(1)とする。)をデカメチルシクロペンタシロキサン(D−5)に溶解して5質量%溶液とし、この溶液を用いて分散性および平均粒子径を測定した。
また、比較として、JIS A硬度が30のオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体であるトレフィルE−506W(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製商品名。以下、シリコーン弾性粉体(2)とする。)を用いた時の分散性および平均粒子径を測定した。その結果を表1に示す。
【0035】
1.分散性の評価方法
デカメチルシクロペンタシロキサン(D−5)にシリコーン弾性粉体を、(D−5):シリコーン弾性粉体=10.2:6の質量比で分散させ、ディスパー4000rpm、15分間で得られた分散体を(D−5)で10倍希釈し、光学顕微鏡(400倍)を用いて撮影し、分散性を評価した。
○:一次粒子の状態で分散している。
×:凝集し、一次粒子の状態で分散していない。
2.平均粒子径の測定方法
マイクロトラック HR−Aシステムを用い、デカメチルシクロペンタシロキサン(D−5)溶媒中で測定。
【0036】
【表1】

【0037】
表1から分かるように、本発明で用いられるゴム硬度が高いシリコーン弾性粉体(オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体)は、ゴム硬度が低いオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体であるトレフィルE−506Wに比べてシリコーン油分に対する分散性に優れている。
また、表2にジメチルポリシロキサン40質量%濃度でオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体を分散した時の粘度を示す。
【0038】
【表2】

【0039】
表2から分かるように、本発明で用いられるゴム硬度が高いオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体は、ゴム硬度が低いオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体であるトレフィルE−506Wに比べ粘度が低く、すなわち低吸油量で分散性に優れている。
【0040】
実施例1〜3、比較例1〜3(ゴム硬度の違いによる使用性、仕上がりの比較テスト)
次の表3に記載した処方で下記の方法により油中水型乳化化粧料を調製した。
(製法)
1.(2)に(3)を添加し、ディスパーで分散する。
2.(1)に1を添加し、ディスパーで分散する。
3.2に(4)〜(6)を添加し、ホモミキサーで分散する。
4.(7)〜(9)を50〜60℃で攪拌溶解する。
5.3に4を除添し、ホモミキサーで分散し、目的とする化粧料を得た。
【0041】
得られた化粧料について、(A)伸びの軽さ、(B)凹凸補正効果、(C)仕上がりの均一さ、(D)経時での色くすみを下記の方法で評価した。
【0042】
(A)伸びの軽さ
化粧品専門パネル10名を用いて、各試験例の化粧料を顔面に塗布し、塗布時の伸びの軽さの官能評価を行ない、以下の基準にて評価した。
○:10人中7名以上が軽いと判断した。
△:10人中4〜6名以上が軽いと判断した。
×:10人中3名以下が軽いと判断した。
【0043】
(B)凹凸補正効果
化粧品専門パネル10名を用いて、各試験例の化粧料を顔面に塗布し、毛穴、微細なしわ部分などの凹凸を視覚的に目立たなくする効果について官能評価を行ない、以下の基準にて評価した。
○:10人中7名以上が、凹凸補正効果があると判断した。
△:10人中4〜6名以上が、凹凸補正効果があると判断した。
×:10人中3名以下が、凹凸補正効果があると判断した。
【0044】
(C)仕上がりの均一さ
化粧品専門パネル10名を用いて、各試験例の化粧料を顔面に塗布し、シミ・ソバカス等の肌の色ムラをカバーし、均一な仕上がりとなるかについて官能評価を行ない、以下の基準にて評価した。
○:10人中7名以上が、仕上がりが均一であると判断した。
△:10人中4〜6名以上が、仕上がりが均一であると判断した。
×:10人中3名以下が、仕上がりが均一であると判断した。
【0045】
(D)経時での色くすみ
化粧品専門パネル10名を用いて、各試験例の化粧料を顔面に塗布し、12時間後の色くすみについて官能評価を行ない、以下の基準にて評価した。
○:10人中7名以上が、経時での色くすみがないと判断した。
△:10人中4〜6名以上が、経時での色くすみがないと判断した。
×:10人中3名以下が、経時での色くすみがないと判断した。
【0046】
【表3】

【0047】
実施例4
次の表4に記載した処方で下記の方法によりファンデーションを調製した。
(製法)
1.(3)に(4)を添加し、ディスパーで分散する。
2.(1)に(2)、1、(5)を添加し、ディスパーで分散する。
3.2に(6)を添加し、ホモミキサーで分散する。
4.3に(7)、(8)を添加し、ディスパーで分散し、ファンデーションを得た。
【0048】
【表4】

【0049】
得られた化粧料について、(A)伸びの軽さ、(B)凹凸補正効果、(C)仕上がりの均一さ、(D)経時での色くすみを上記の方法で評価したところ、いずれも優れたものであった。
【0050】
実施例5
次の表5に記載した処方で下記の方法により化粧下地を調製した。
(製法)
1.(2)に(3)を添加し、ディスパーで分散する。
2.(1)に1、(4)、(5)、(6)を添加し、ディスパーで分散する。
3.2に(7)を添加し、ホモミキサーで分散する。
4.3に(8)、(9)、(10)を添加し、ホモミキサーで分散し、化粧下地を得た。
【0051】
【表5】

【0052】
得られた化粧下地について、(A)伸びの軽さ、(B)凹凸補正効果、(C)仕上がりの均一さ、(D)経時での色くすみを上記の方法で評価したところ、いずれも優れたものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)揮発性油分と、(B)JIS A硬度が40〜100のオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体とを含み、
(B)成分が実質的に一次粒子の状態で分散していることを特徴とする油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
前記(B)成分と、前記(A)成分との配合比率が、(B):(A)=1:1.5〜1:30であることを特徴とする請求項1に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
屈折率が1.45以上の体質顔料を実質的に含まないことを特徴とする請求項1に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項4】
不揮発性油分を実質的に含まないことを特徴とする請求項1に記載の油中水型乳化化粧料。

【公開番号】特開2006−188458(P2006−188458A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−1398(P2005−1398)
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】