説明

油中水型乳化化粧料

【課題】 べたつきがなく、しっとりとした保湿性に優れ、伸び広がりが良好で、且つ、保存安定性に優れた油中水型乳化化粧料を提供する。
【解決手段】 特定の構造を有するシリコーン化合物3〜7質量%、環状シリコーン4〜6量体から選択される一種又は二種以上10〜20質量%、メチルフェニルポリシロキサン4〜8質量%、炭化水素油5〜10質量%、有機変性粘土鉱物0.5〜2質量%及び酸化チタンを5〜20質量%含有することを特徴とする油中水型乳化化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油中水型乳化化粧料に関する。さらに詳しくは、べたつきがなく、しっとりとした保湿性に優れ、伸び広がりが良好で、且つ、保存安定性に優れた油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油中水型乳化化粧料は、油相が連続相であるという構造特性から、皮膚表面上に水分透過性の低い油膜を残し、長時間にわたって肌を乾燥から保護するとともに、化粧持続性が良好であることが知られている。しかしながら、油中水型乳化化粧料は、保存安定性の面から内水相の配合量に制約があり、また、外油相となる油系にワックスを多量に配合したり、油性高分子や界面活性剤を多量に用いて系の安定性を図る必要があった。その結果、肌に塗布した際に、べたつき感や油性感を生じたり、伸び広がりが悪くなる等して、水相を連続相とする水中油型乳化化粧料と比較した場合、良好な使用感を得ることが困難であった。この問題を解決するためにこれまでに数多くの検討がなされてきた。
【0003】
例えば、特定のノニオン界面活性剤と特定の混合油を含有する油中水型乳化化粧料(特許文献1参照)、オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体とポリエーテル系シリコーン活性剤を含有する油中水型乳化化粧料(特許文献2参照)、高分子量ポリジメチルシロキサンを含有する油中水型乳化化粧料(特許文献3参照)、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンと水膨潤性粘土鉱物を含有する油中水型乳化化粧料(特許文献4参照)等が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−204276号公報
【特許文献2】特開平9−95433号公報
【特許文献3】特開平10−139625号公報
【特許文献4】特開平1−180237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまでに様々な油中水型乳化化粧料の検討がなされてきたが、使用感、保存安定性の面で必ずしも十分ではなかった。そこで、本発明の目的は、べたつきがなく、しっとりとした保湿性に優れ、伸び広がりが良好で、且つ、保存安定性に優れた油中水型乳化化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究の結果、次の油中水型乳化化粧料が上記の目的を達成することを確認し本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
次の成分(A)〜(F):
(A)下記一般式(1)で示される特定のシリコーン化合物3〜7質量%
SiO(4−a−b−c)/2(1)
[式中、Rは炭素数1〜30のアルキル基、アリール基、アラルキル基、フッ素置換アルキル基、あるいは、−C2m−O−(CO)(CO)で表される有機基から選択される同種又は異種の有機基であり、Rは−C2m−O−(CO)(CO)−Rで表されるポリオキシアルキレン基、Rは下記一般式(2)
【0008】
【化2】

【0009】
で表されるオルガノシロキサンであって、Rは炭素数4〜30の炭化水素基又はR−(CO)−で示される有機基、Rは水素原子若しくは炭素数1〜30の炭化水素基又はR−(CO)−で示される有機基、Rは炭素数1〜30の炭化水素基である。a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.001≦b≦1.5、0.001≦c≦1.5であり、d、eはそれぞれ0≦d≦50、0≦e≦50の整数であり、f、gはそれぞれ2≦f≦200、0≦g≦200、かつf+gが3〜200の整数である。また、mは0≦m≦15の整数、hは0≦h≦500の整数であり、nは1≦n≦5の整数である。]
(B)環状シリコーン4〜6量体から選択される一種又は二種以上10〜20質量%
(C)メチルフェニルポリシロキサン4〜8質量%
(D)炭化水素油5〜10質量%
(E)有機変性粘土鉱物0.5〜2質量%
(F)酸化チタン5〜20質量%
を含有することを特徴とする油中水型乳化化粧料に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、べたつきがなく、しっとりとした保湿性に優れ、伸び広がりが良好で、且つ、保存安定性に優れた油中水型乳化化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に用いられる特定のシリコーン化合物(A)の質量平均分子量は特に限定されるものではないが、500〜200,000であることが好ましく、特に1000〜100,000であることが好ましい。市販品としては、信越化学工業社製のKF−6028等が挙げられる。
【0012】
成分(A)の配合量は3〜7質量%が好ましい。3質量%未満では保存安定性の低下がみられ、7質量%を超えると優れた使用感が得られない。
【0013】
環状シリコーン4〜6量体(B)は、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンで示され、これらから選択される一種又は二種以上を組み合わせて用いるものである。市販品としては、信越化学工業社製のシリコンKF−995等が挙げられる。
【0014】
本発明に用いられる成分(B)の配合量は、10〜20質量%が好ましい。10質量%未満では優れた使用感が得られず、20%質量%を超えると油性感が高まり、使用感を悪くしてしまう。
【0015】
メチルフェニルポリシロキサン(C)は、通常、化粧料に用いられるものである。市販品としては、信越化学工業社製のシリコンKF−56等が挙げられる。
【0016】
成分(C)の配合量は4〜8質量%が好ましい。4質量%未満では優れた使用感が得られず、更に保存安定性の低下もみられる。また、8質量%を超えると優れた使用感が得られない。
【0017】
本発明で用いられる炭化水素油(D)は、通常、化粧料に用いられるものであり、流動パラフィン、スクワラン等が挙げられる。
【0018】
成分(D)の配合量は5〜10質量%が好ましい。5質量%未満では優れた使用感が得られず、10%質量%を超えると油性感が高まり、使用感を悪くしてしまう。
【0019】
本発明で用いられる有機変性粘土鉱物(E)は、通常、化粧料に用いられるものでありジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト等が知られている。市販品としては、エレメンティスジャパン社製のベントン38VCG(ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト)等が挙げられる。
【0020】
成分(E)の配合量は0.5〜2質量%が好ましい。0.5質量%未満では保存安定性の低下がみられ、2質量%を超えると優れた使用感が得られない。
【0021】
本発明に用いられる酸化チタン(F)は、通常、化粧料に用いられるものであり、必要であればアルミナ、シリカ処理されたものやシリコーン等で疎水処理したものが用いられる。
【0022】
成分(F)の配合量は、5〜20質量%が好ましい。5質量%未満では隠蔽効果が低く、メイクアップ化粧料、日焼け止め化粧料としての目的を達成することができず、20質量%を超えると、感触が重くなってしまう。
【0023】
本発明の油中水型乳化化粧料は、上記必須成分の他に、通常の化粧料に使用される成分、例えば顔料、油性成分、保湿剤、乳化剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0024】
本発明の油中水型乳化化粧料の用途は特に限定されず、乳化ファンデーション、メイクアップベース等のメイクアップ化粧料、サンスクリーン等の日焼け止め化粧料等として適用することができる。
【0025】
また剤型としては、乳液類、クリーム類等に適用することができる。
【実施例】
【0026】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0027】
実施例1〜6及び比較例1〜16の油中水型乳化化粧料を表1、表2、表3に示す。油中水型乳化化粧料を下記の方法により製造し、保存安定性及び使用感評価を下記の方法に従って行った。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
【表3】

【0031】
注1:KF−6028(信越化学工業社製)
<製造方法>
(1)から(7)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解し、これに(8)〜(10)の顔料を加え、ホモミキサーにて均一に分散する。一方、(11)〜(14)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解後、油相成分に加え乳化を行う。乳化終了後、30℃まで冷却し、油中水型乳化化粧料を得た。
【0032】
<保存安定性の評価>
得られた試料を、5℃、25℃、50℃の各恒温槽内に静置し、30日後の保存安定性を下記の基準に従って判定した。
[判定]
○:変化なし
△:やや分離傾向
×:明らかに分離
<使用感の評価>
専門評価パネル10名により、べたつき感、保湿感、伸び広がり感について5段階評価し、その平均点から下記の基準に従って判定した。
[評価点]
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
[判定]
○:平均点4.0以上
△:平均点2.0以上4.0未満
×:平均点2.0未満
上記評価方法により得られた結果を、表1、表2、表3に併せて示す。
【0033】
表1、表2、表3の結果から明らかなように、本発明に係る実施例1〜6は、比較例1〜16に比べ、保存安定性、使用感共に優れるものであった。
【0034】
[実施例7]油中水型乳化化粧料(乳化ファンデーッション1)
(1) シリコーン化合物(注1) 5.0(質量%)
(2) オクタメチルシクロテトラシロキサン 15.0
(3) メチルフェニルポリシロキサン 6.0
(4) スクワラン 7.0
(5) 有機変性粘土鉱物(注2) 1.0
(6) 酸化チタン 10.0
(7) ベンガラ 0.5
(8) 黄酸化鉄 1.5
(9) 黒酸化鉄 0.2
(10)タルク 5.0
(11)1,3−ブチレングリコール 5.0
(12)パラオキシ安息香酸メチル 0.2
(13)塩化ナトリウム 1.0
(14)精製水 100とする残部
注1:KF−6028(信越化学工業社製)
注2:ベントン38VCG(エレメンティスジャパン社製)
製法:(1)から(5)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解し、これに(6)〜(10)の顔料を加え、ホモミキサーにて均一に分散する。一方、(11)〜(14)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解後、油相成分に加え乳化を行う。乳化終了後、30℃まで冷却し、油中水型乳化化粧料を得た。
【0035】
実施例7はべたつきがなく、しっとりとした保湿性に優れ、伸び広がりが良好で、且つ、保存安定性に優れた油中水型乳化化粧料であった。
【0036】
[実施例8]油中水型乳化化粧料(乳化ファンデーション2)
(1) シリコーン化合物(注1) 5.0(質量%)
(2) ドデカメチルシクロヘキサシロキサン 15.0
(3) メチルフェニルポリシロキサン 6.0
(4) スクワラン 7.0
(5) 有機変性粘土鉱物(注2) 1.0
(6) 酸化チタン 10.0
(7) ベンガラ 0.5
(8) 黄酸化鉄 1.5
(9) 黒酸化鉄 0.2
(10)タルク 5.0
(11)1,3−ブチレングリコール 5.0
(12)パラオキシ安息香酸メチル 0.2
(13)塩化ナトリウム 1.0
(14)精製水 100とする残部
注1:KF−6028(信越化学工業社製)
注2:ベントン38VCG(エレメンティスジャパン社製)
製法:(1)から(5)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解し、これに(6)〜(10)の顔料を加え、ホモミキサーにて均一に分散する。一方、(11)〜(14)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解後、油相成分に加え乳化を行う。乳化終了後、30℃まで冷却し、油中水型乳化化粧料を得た。
【0037】
実施例8はべたつきがなく、しっとりとした保湿性に優れ、伸び広がりが良好で、且つ、保存安定性に優れた油中水型乳化化粧料であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(F):
(A)下記一般式(1)で示される特定のシリコーン化合物 3〜7質量%
SiO(4−a−b−c)/2 (1)
[式中、Rは炭素数1〜30のアルキル基、アリール基、アラルキル基、フッ素置換アルキル基、あるいは、−C2m−O−(CO)(CO)で表される有機基から選択される同種又は異種の有機基であり、Rは−C2m−O−(CO)(CO)−Rで表されるポリオキシアルキレン基、Rは下記一般式(2)
【化1】

で表されるオルガノシロキサンであって、Rは炭素数4〜30の炭化水素基又はR−(CO)−で示される有機基、Rは水素原子若しくは炭素数1〜30の炭化水素基又はR−(CO)−で示される有機基、Rは炭素数1〜30の炭化水素基である。a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.001≦b≦1.5、0.001≦c≦1.5であり、d、eはそれぞれ0≦d≦50、0≦e≦50の整数であり、f、gはそれぞれ2≦f≦200、0≦g≦200、かつf+gが3〜200の整数である。また、mは0≦m≦15の整数、hは0≦h≦500の整数であり、nは1≦n≦5の整数である。]
(B)環状シリコーン4〜6量体から選択される一種又は二種以上10〜20質量%
(C)メチルフェニルポリシロキサン4〜8質量%
(D)炭化水素油5〜10質量%
(E)有機変性粘土鉱物0.5〜2質量%
(F)酸化チタン5〜20質量%
を含有することを特徴とする油中水型乳化化粧料。

【公開番号】特開2009−143834(P2009−143834A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321534(P2007−321534)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000135324)株式会社ノエビア (258)
【Fターム(参考)】