説明

油剤内包粉体及びそれを含有する化粧料

【課題】 拡散効果と拡散光の強度が高い化粧料用の粉体を提供することを課題とする。
【解決手段】 連続した外殻により外部と完全に遮断された空隙に油剤が内包されたカプセル状粒子からなる非破壊性の複合粉体であって、該複合粉体を用いて形成した平面を測定した場合の、45°入射光に対する受光角10°〜40°までの10°間隔でのグロス値の総和が15以上であり、45°のグロス値が10以下であることを特徴とする粉体を提供する。更に、前記カプセル状粒子外殻を構成する物質がポリマーであり、(メタ)アクリル酸エステルから選択される一種乃至は二種以上を必須とする重合性成分から得られる重合体であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料用の粉体および該粉体を含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
しわ、しみ、くすみ等の肌トラブルを効果的に隠ぺいし、いわゆる厚塗りの印象を見る人に与えず、自然な化粧仕上がり得ることは、化粧料、特にメークアップ化粧料に与えられた重要な役割である。二酸化チタンの隠ぺい力に頼ることなく、化粧膜の光学的特性を制御することにより、肌上の化粧膜を通過し、肌から反射され、再度化粧膜を通過する光の挙動を変化させることにより、目的とする機能を有する化粧料を得ようとする試みが数多くなされてきた。
【0003】
多孔質粉体にUV吸収能を有する無機化合物を内包し使用感触や安全性を高めたり(特許文献1)、球状粉体や表面を微細粒子で処理した板状粉体(非特許文献1)、屈折率の異なる物質の多重層からなる複合粉体(特許文献2、3)、粒子内部の屈折率を連続的に変化させた粉体(特許文献4)等を化粧料に配合して化粧膜を通過する光の拡散性を上げ、全透過率を維持しながら、直進透過率を減少させる、いわゆるソフトフォーカス効果により、厚塗り感のない自然な仕上がりで、しわ、しみ、くすみ等の肌トラブルをカバーできる化粧料を得ようとする試みがなされている。
【0004】
しかしながら、これらの技術においては、使用する粉体の組成構成が均一でなく、微視的な観点で屈折率の分布の不均性が生じるため、光が化粧膜に入射する際に後方散乱が発生し、そのため入射光のエネルギーロスが生じ、結果として光の拡散の強度が低下し、ひいては肌の明るさが低下し、マット感の強い、ともすると人工的な印象を与える仕上がりを与える場合があった。従って、拡散効果と拡散光の強度がともに高く、自然で明るい仕上がりを与えながらしわ、しみ、くすみ等の肌トラブルを効果的にカバーできる技術が要望されていた。
【0005】
また、ポリマーの外殻に油剤等を内包し、化粧料に配合しようとする試みがなされているが(特許文献5、6、7、8)、これらの技術はカプセル壁の強度を調節したり、カプセル粒径を比較的大きくすることで、使用時にカプセルを崩壊させ、内包した物質の機能を発揮させようとするものである。
特定の屈折率を有する液体の油剤を特定量内包した非破壊性の複合粉体が、薄膜とした場合、光の拡散性に優れ、かつ拡散強度が維持されること、また、該粉体を化粧料に含有させると、自然でかつ明るい仕上がりを与える化粧料が得られることは全く知られていなかった。
【0006】
【非特許文献1】Naoki Nakamura et. al. l4th IFSCC Congress 51-63 (1986) Barcerona, Spain
【特許文献1】特開2005−53846
【特許文献2】WO98/11865
【特許文献3】特開2005−162615
【特許文献4】特開2001−199839
【特許文献5】特開昭59−73530
【特許文献6】特開2000−302662
【特許文献7】特開平08−40828
【特許文献8】特開2005−664460
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情を背景になされたものであり、拡散効果と拡散光の強度が高い化粧料用の粉体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる状況を鑑みて、本発明者らは、拡散効果と拡散光の強度がともに高く、自然で明るい仕上がりを与えながらしわ、しみ、くすみ等の肌トラブルを効果的にカバーできる化粧料を提供すべく、拡散光の強度が高い化粧料用の粉体を求めて鋭意研究努力を重ねた結果、薄膜を測定した場合の、45°入射光に対する受光角0°〜40°まで10°間隔でのグロス値の総和が15以上であり、45°のグロス値が10以下である粉体、特に内部に空隙を有し、連続する外殻によって外部と完全に遮断されたカプセル状の粉体の該空隙に特定の屈折率を有する液体の油剤を充填した非破壊性の複合粉体が光を良く拡散させ、該粉体を含有せしめることにより、目的の化粧料を得ることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下に示すとおりである。
(1) 連続した外殻により外部と完全に遮断された空隙に油剤が内包されたカプセル状粒子からなる非破壊性の複合粉体であって、該複合粉体を用いて形成した平面を測定した場合の、45°入射光に対する受光角10°〜40°までの10°間隔でのグロス値の総和が15以上であり、45°のグロス値が10以下であることを特徴とする粉体。
(2) 油剤が20℃、一気圧で液体であり、屈折率1.45以上であることを特徴とする(1)に記載の粉体。
(3) 粉体の外殻を構成する物質がポリマーであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の粉体。
(4) ポリマーが(メタ)アクリル酸エステルから選択される一種乃至は二種以上を必須とする重合性成分から得られる重合体であることを特徴とする(3)に記載の粉体。
(5) 油剤の粉体に対する割合が10〜50質量%であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか記載の粉体。
(6) (1)〜(5)のいずれか1項に記載の粉体を含有してなる化粧料。
(7) (1)〜(5)のいずれか1項に記載の粉体の製造方法であって、20℃、一気圧で液体且つ屈折率1.45以上の油剤と重合性成分とを分散させた水性分散媒中で重合させる工程を含む、粉体の製造方法。
(8)粉体を用いて、平坦な面を形成せしめ、45°入射光に対する、10°〜45°までの受光角を変化させてグロス値を求め、45°受光角のグロス値と、45°未満の受光角のグロス値の総和の比較を行い、45°受光角のグロス値が有意に小さい粉体を選択し、これを1〜80質量%粉体化粧料に含有せしめることを特徴とする、粉体化粧料の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、拡散効果と拡散光の強度が高い化粧料用の粉体を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1)本発明の粉体
本発明の粉体は薄膜を測定した場合の、45°入射光に対する受光角0°〜40°まで10°間隔でのグロス値の総和が15以上であり、45°のグロス値が10以下であることを特徴とする。このような特性を有することで、光を良好に拡散させ、その強度も維持される。グロス値とは、例えば、粉体をスライドグラス上に薄膜とした後、日本電色工業製VGS等のグロスメーターにより測定することができる。付属の特定のグロス値を有する標準板で校正を行った後、一定の入射光に対する特定の受光角度でのグロス値を測定することにより測定する。一般的には45°入射光に対して、0〜70°の受光角度でのグロス値を10°刻みに測定する。
【0011】
この様な特性を有する粉体は、透明な外殻を有する中空構造の粉体の中空部分に屈折率の異なる透明な液体成分、例えば、透明な油脂を内包させることにより調整することが出来る。外殻の屈折率と内包液体成分の屈折率を調整することにより目的とする粉体とすることが出来る。即ち、本発明の粉体は内部に、連続する外殻で外部と完全に遮断された空隙を有するカプセル状の粒子の該空隙に20℃1気圧で液体の、屈折率1.45以上の油剤を内包した非破壊性の粉体であることが好ましい。カプセル状粒子の空隙は独立した複数の空隙であっても、連続した一つの空隙であってもかまわないが、散乱光を低減させ、拡散光を増加させるためには連続した一つの空隙であることが好ましい。
【0012】
本発明の粉体の外殻を構成する物質としては、シリカ、アルミナ、ケイ酸カルシウム等の無機化合物や、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリアミド等のポリマーが好適に例示される。ポリマーとしては、光の透過性の高さから、(メタ)アクリル酸エステルから選択される一種乃至は二種以上のモノマーを必須とする重合性成分から得られる重合体であることが好ましく、(メタ)アクリル酸エステルと多官能ビニル系モノマーとを含む重合性成分から得られる重合体であることがさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。多官能ビニル系モノマーとしては、例えばジビニルベンゼン等の芳香族系架橋剤、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアクリル系架橋剤等が挙げられ、耐候性の面からはアクリル系架橋剤が好ましい。
外殻を形成するポリマーの原料となる重合性成分は、上記(メタ)アクリル酸エステル80〜100重量%及び多官能ビニル系モノマー0〜20重量%から主として構成される。ここで、多官能ビニル系モノマーが20重量%超では、十分な透明性が得られず、目的とした物性を得ることができないことがあるので、好ましくは1〜10重量%で用いられる。
【0013】
本発明の粉体に内包されている20℃、一気圧で液体であり、屈折率1.45以上の油剤としてはスクワラン、αオレフィンオリゴマー、ジフェニルジメチコン、オリーブ油、アーモンド油、コーン油等が好適に例示できる。 本発明の粉体に内包されている20℃、一気圧で液体であり、屈折率1.45以上の油剤の複合粉体全体に対する割合は10〜50質量%、好ましくは15〜45質量%、さらに好ましくは20〜40質量%である。油剤の内包量が少なすぎると光が該粉体の形成する薄膜を通過する際に散乱が発生し、拡散光の強度が低下する場合があり好ましくない。また、内包量が多すぎると粉体の強度が低下し、破壊性となり、粉体の外部に油剤がしみ出して、本発明の効果が発揮されない場合があり好ましくない。
【0014】
本発明の粉体のレーザー回折粒度分布測定法で測定した粒子径は1〜20ミクロン、好ましくは3〜15ミクロンである。粒子系が小さすぎる場合は散乱が生じ、効果が発揮されない場合が有り好ましくない。大きすぎると使用時に違和感を覚える場合があり好ましくない。
【0015】
本発明の粉体の製造方法は特に限定されないが、例えば、カプセル状の粉体を構成する物質がポリマーの場合には以下の方法が例示できる。
1) 内包する油剤、カプセル外殻を構成するポリマーの出発物質である重合性成分及び重合開始剤を混合した油相を水相に乳化し、エマルションとした後、モノマーを含む重合性成分を重合させることにより目的の複合粉体を得る方法。
2) 内包する油剤、カプセル外殻を構成するポリマー及び両者を溶解可能な溶剤と混合した油相を水相に乳化し、エマルションとした後、溶剤を蒸発除去して目的の複合粉体を得る方法。
これらの製法の内ではより均一の組成の粉体が得られることから、1)の方法をとることが好ましい。
ここで水相の媒体としては、通常は水が使用されるが、この水性媒体には、アルコール等の水に可溶な有機溶媒が混合されていてもよい。上記のような重合性成分を水性媒体に分散させる際には、乳化剤および分散安定剤等を使用することができる。乳化剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテルのようなポリエチレングリコールアルキルエーテル、ならびに、ビニル基、アクリロイル基およびアリル基のような反応性基を有する反応性乳化剤等を挙げることができる。また、分散安定剤の例としては、ポリビニルアルコールおよびポリアクリル酸塩のような水溶性高分子化合物やコロイダルシリカを挙げることができる。これらの乳化剤および分散安定剤等は、重合性成分100重量部に対して通常は0.1〜10重量部の量で使用される。油相は、通常はホモミキサー等の分散装置を用いて水相中に分散させる。ここで使用することができる反応開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の有機過酸化物、および、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩を挙げることができる。このような反応開始剤は、重合性成分100重量部に対して通常は0.1〜5重量部の量で使用される。
上記のようにして水性媒体中に分散された重合性成分を重合させる際には反応容器内を窒素ガスなどの不活性ガスでパージすることが好ましい。こうして反応容器内を不活性ガスでパージした後、反応液の温度を60〜80℃に加熱することにより重合反応が進行する。なお、上記のような反応条件では、この外殻を形成するポリマーを製造するのに要する反応時間は、通常5〜8時間である。
上記のようにして得られた反応液は、濾過、遠心分離等により生成した粒子を分離し、さらに乳化剤、分散安定剤および残留モノマー等を除去するための洗浄を行い、その後、乾燥、粉砕工程を経て化粧用微粒子粉体が得られる。
斯くして得られた粉体は、その粉体のみで平坦な面を形成させ、45°入射光に対する、10°〜45°までの受光角を変化させてグロス値を求め、45°受光角のグロス値と、45°未満の受光角のグロス値の総和の比較を行い、45°受光角のグロス値が有意に小さい粉体を選択し、本発明の化粧料用粉体とする。具体的には、平坦な面の形成は、平坦な支持体上に、接着剤などを用いて粉体の薄膜を形成せしめ、これに対して45°の入射光を照射し、10°〜45°まで受光角を適宜変えながら、例えば、10°〜40°まで10°ごとにグロス値を計測し、これらを総和し、45°の受光角でのグロス値と比較し、45°受光角のグロス値が有意に小さい粉体を選択することが好ましく例示できる。具体的な数値としては、45°入射光に対する受光角10°〜40°まで10°間隔でのグロス値の総和が15以上であり、45°のグロス値が10以下であることが好ましく例示できる。

【0016】
(2)本発明の化粧料
本発明の化粧料は、連続した外壁により外部と完全に遮断された空隙を有するカプセル状粒子からなる非破壊性の複合粉体であって、該複合粉体を用いて形成した平面を測定した場合の、45°入射光に対する受光角0°〜40°まで10°間隔でのグロス値の総和が15以上であり、45°のグロス値が10以下である粉体 好ましくは内部に、連続した外壁により外部と完全に遮断された空隙を有するカプセル状粒子の該空隙に、20℃、一気圧で液体であり、屈折率1.45以上の油剤を内包してなる非破壊性の粒子を必須成分として含有する。かかる成分の化粧料全体に於ける含有量は1〜80質量%、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%である。含有量が少なすぎると本発明の化粧料の効果が発揮されない場合があり好ましくない。また、含有量が多すぎると肌への付着性が低下してしまい、その効果を持続することができない場合があり好ましくない。
【0017】
本発明の化粧料は必須成分としての上記粉体以外に通常化粧料で使用される任意成分を発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。かかる任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
【0018】
本発明の化粧料としては、特段その適用する種類は限定されないが、かかる効果を効率的に発現させる意味で、メークアップ化粧料に適用することが好ましく、中でも、白粉、プレストパウダー、仕上げ白粉、パウダーファンデーション、ツーウェイケーキなどの最外部に適用される化粧料に応用すること特に好ましい。
【0019】
本発明の化粧料は、必須成分である上記粉体と任意成分とを常法に従って処理することにより、製造することが出来るが、粉末状の化粧料が中皿等の容器に充填される固形粉末化粧料であり、かつ、必須成分である複合粉体の含有量が化粧料全体に対して20質量%以上の場合は、常法により化粧料を製造する際に、溶媒を併用し、中皿等の容器に充填した後、溶媒を蒸発除去して成形する、いわゆる湿式成型法をとることが好ましい。これは必須成分である複合粉体の含有量が多い場合は、湿式状態で混合した方が、化粧料中に良好に分散せしめ、本発明の化粧料の効果をより発揮できるからである。この場合の固形粉末化粧料の製造方法としては粉体成分に油剤をコーティングした後、さらに溶剤と混合しスラリーとなした後、中皿等の容器に充填しても良いし、粉体に油剤をコーティングする際に溶剤を共存させてスラリーとなした後中皿等の容器に充填しても良い。
【0020】
このような湿式成型法に用いられる溶媒としては、中皿等の容器に充填後に蒸発除去可能なものであれば特に限定されないが、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ヘキサン等の有機溶媒、デカメチルシクロペンタシロキサン等の揮発性シリコーン、イソパラフィンのような揮発性炭化水素等が好適に例示できる。湿式成型法において使用する溶媒の量は容量比で粉末状の化粧料の1/3〜2/3の範囲であることが好ましい。溶媒の量が少なすぎると、粉末化粧料と溶媒の混合物の粘度が高すぎて、化粧料中で複合粉体が良好に分散されない場合があり好ましくない。また、溶媒の量が多すぎると、中皿等の容器に粉末化粧料を充分な量充填できない場合があり好ましくない。
【0021】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明が実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【実施例】
【0022】
<実施例1>
(本発明の粉体)
水系混合物は、イオン交換水300mlにメトローズ(信越化学工業(株)製:65SH-50)2gを溶解し、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムを0.1g加え混合して調製した。
油系混合物は、メチルメタクリレート68.9g、エチレングリコールジメタクリレート1.1gに過酸化ラウロイル1gを加え均一溶液とし、ジフェニルジメチコン30gとともにオートクレーブに仕込み混合して調製した。
その後、水系混合物をオートクレーブに仕込み、ホモミキサーを用いて7000rpm 1分間撹拌混合を行い、O/W型の乳化物を得た。この乳化物を、窒素置換後、初期圧0.2MPa下で撹拌を行いながら65℃で5時間加熱し、重合性成分の反応を行った。温度を室温まで降下させた後、反応物をろ過し、純水で洗浄し、粉体1を得た。
この粉体のレーザー回折粒度分布測定法で測定した平均粒子径は7mmであり、ジフェニルジメチコンの内包率は30質量%であった。

<実施例2>
水系混合物は、固形分20%のコロイダルシリカを30g、ジエタノールアミン−アジピン酸縮合物を1g、イオン交換水を300ml加え、混合して調製した。
油系混合物は、メチルメタクリレート78.8g、エチレングリコールジメタクリレート1.2gに過酸化ラウロイル1gを加え均一溶液とし、スクワラン20gとともにオートクレーブに仕込み調製した。
上記水系混合物および油系混合物を、実施例1と同様の方法で分散、反応実施し、粉体2を得た。この粉体のレーザー回折粒度分布測定法で測定した平均粒子径は7mmであり、スクワランの内包率は20質量%であった。

<実施例3〜5>
【0023】
実施例2と同様の方法で、使用するモノマーの量とスクワランの量を変化させ、充填率の異なる本発明の粉体3〜5を調製した。各粉体の調製に用いたモノマーの量とスクワランの量及び充填率を表1に示す。なお、粉体3〜5のレーザー回折式粒度分布測定法で測定した平均粒径は全て7mmであった。
【0024】
【表1】


【0025】
<比較例1>
WO98/11865の実施例1に従って球状粉体6を調製した。
【0026】
<比較例2>
特開2001−199839の実施例1に従って球状粉体7を調製した。
【0027】
<試験例1>(光の拡散性の評価)
実施例1〜5の粉体1〜5、比較例1,2の球状粉体6,7及び市販の球状シリカ(触媒化学製シリカマイクロビードP−1500)、球状アクルリルビーズ(松本油脂製薬製マイクロスフェアーM330)を薄膜とした場合の光の拡散性を評価した。スライドグラスに粘着性を有するアクリルポリマーエマルションを塗布した後、各粉体を0.5g散布し、過剰量の粉体をブラシで払った後測定サンプルとした。
【0028】
測定にはク゛ロスメーター(日本電色工業社製 VGS)を用い、付属の標準板で45°入射45°受光のグロス値を84.0に校正した後、前述の測定サンプルの薄膜に対して45°で光を入射させた場合の受光角45°及び0〜70°での10°刻みの光沢値を測定した。受光角0〜40°で光沢値の総和ΣG及び受光角45°での光沢値を求めた結果を表2に示す。また、受光角−光沢値の関係を図1に示す。
【0029】
【表2】

【0030】
表2より、本発明の粉体(1〜5)は従来の拡散粉体、市販拡散粉体(球状シリカ、球状アクリルヒ゛ース゛)と比較して、ΣG値が高く、すなわち低角度でも強い拡散光を有することがわかる。従って、従来の拡散粉体、市販拡散粉体と比較して拡散性を維持しながら、拡散光の強度も高いこともわかる。図1も、この特性を示している。また、本発明の粉体に於ける油剤の充填量が10質量%以上でこの効果が顕著であることもわかる。すなわち、本発明の化粧料用の粉体は、(メタ)アクリル酸アルキル、好ましくはメチルメタクリレートおよびエチレングリコールジメタクリレートを外殻として、粉体全質量に対して10〜30質量%の油剤を充填した粉体と表現することができる。

<実施例6〜9> <比較例3〜4>
【0031】
以下に示す処方に従ってパウダーファンデーションを作成した。すなわち、表3(A)成分をヘンシェルミキサーで混合した後、パルベライザーで粉砕した。その後、再びヘンシェルミキサーでこの混合物を攪拌しながら(B)成分を添加し、混合を続けた。ヘンシェルミキサーから取り出した混合物を中皿にプレス充填しパウダーファンデーションを得た。表3中の数字は重量部を示す。
【0032】
【表3】


【0033】
<試験例2>(化粧料薄膜の光拡散性)
実施例6〜10及び比較例3〜4のパウダーファンデーションを薄膜とした場合の光の拡散性を評価した。スライドグラスに粘着性を有するアクリルポリマーエマルションを塗布した後、各パウダーファンデーションを0.5g散布し、過剰量の粉体をブラシで払った後測定サンプルとした。この測定サンプルに関して試験例1の方法にしたがって光の拡散性を評価した。結果を表4に示す。
【0034】
【表4】

【0035】
<試験例3>(パウダーファンデーションの化粧仕上がり評価)
実施例6〜10及び比較例3〜4のパウダーファンデーションを肌に塗布した場合の化粧仕上がりを評価した。すなわち女性パネラーの顔面に実施例6〜10及び比較例3〜4のパウダーファンデーションを塗布し、熟練評価者5名により、以下の観点で比較例3の各評点を3点とした場合の実施例6〜10の評点をを5段階で評価し、5名の平均点を評点とした。結果を表5に示す。評点の意味は以下に示すとおりである。

評価項目
素肌感、しみ、くすみのカバー力、肌の明るさ
評点の意味 比較例に比べ、かなり優れているを5点、優れているを4点、同等を3点
劣っているを2点、かなり劣っているを1点とした。
【0036】
【表5】

【0037】
表4および表5の結果から、本発明の化粧料の薄膜は従来の拡散粉体配合化粧料と比較して、低角度での拡散光の強度が高いことがわかる。またこの薄膜特性によって肌上に塗布した場合、しみ、くすみ等の肌トラブルをカバーしながら、人工的でない素肌感がある自然で肌の明るさを上げる仕上がりを達成できることがわかる。また、油剤の充填量が10質量%以上の粉体を用いた化粧料でこの効果が顕著であることもわかる。
<実施例11〜14>
【0038】
以下に示す処方に従ってパウダーファンデーションを作成した。すなわち、表6(A)成分をヘンシェルミキサーで混合した後、パルベライザーで粉砕した。その後、再びヘンシェルミキサーでこの混合物を攪拌しながら(B)成分を添加し、混合を続けた。ヘンシェルミキサーから取り出した混合物を中皿に充填し、実施例13,14に関してはその後、減圧条件下で、イソパラフィンを除去し、パウダーファンデーションを得た。なお、表6中の数字は重量部を示す。これらのパウダーファンデーションを肌上に塗布した場合の仕上がりを試験例3に従って評価した。結果を表7に示す。
【0039】
【表6】

【0040】
【表7】

【0041】

表7の結果から、本発明の化粧料において、必須成分である粉体の含有量が20質量%以上の場合は、人工的でない素肌感がある自然で肌の明るさを上げる仕上がりを得るためにはいわゆる湿式成形法が好ましいことがわかる。
<実施例15〜17><比較例5〜6>
【0042】
以下に示す処方に従って乳化型ファンデーションを作成した。すなわち、表8(A)成分を攪拌混合し80℃に加熱した。温度を保ちながら、この中に(B)をディスパーにより分散させた。さらに温度を保ちながら、攪拌下、(C)を添加して乳化し、冷却して乳化型ファンデーションを得た。なお、表8中の数字は重量部を示す。これらの乳化型ファンデーションを肌上に塗布した場合の仕上がりを、比較例5の各評点を3点とし、試験例3に従って評価した。結果を表9に示す。
【0043】
【表8】

【0044】
【表9】

【0045】
表9の結果より本発明の化粧料は粉末化粧料以外の化粧料に適用しても優れた効果を発揮することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
化粧料 特にメークアップ化粧料に有効に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】受光角と光沢値の関係を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した外殻により外部と完全に遮断された空隙に油剤が内包されたカプセル状粒子からなる非破壊性の複合粉体であって、該複合粉体を用いて形成した平面を測定した場合の、45°入射光に対する受光角10°〜40°までの10°間隔でのグロス値の総和が15以上であり、45°のグロス値が10以下であることを特徴とする粉体。
【請求項2】
油剤が20℃、一気圧で液体であり、屈折率1.45以上であることを特徴とする請求項1に記載の粉体。
【請求項3】
粉体の外殻を構成する物質がポリマーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉体。
【請求項4】
ポリマーが(メタ)アクリル酸エステルから選択される一種乃至は二種以上を必須とする重合性成分から得られる重合体であることを特徴とする請求項3に記載の粉体。
【請求項5】
油剤の粉体に対する割合が10〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉体を含有してなる化粧料。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉体の製造方法であって、20℃、一気圧で液体且つ屈折率1.45以上の油剤と重合性成分とを分散させた水性分散媒中で重合させる工程を含む、粉体の製造方法。
【請求項8】
粉体を用いて、平坦な面を形成せしめ、45°入射光に対する、10°〜45°までの受光角を変化させてグロス値を求め、45°受光角のグロス値と、45°未満の受光角のグロス値の総和の比較を行い、45°受光角のグロス値が有意に小さい粉体を選択し、これを1〜80質量%化粧料に含有せしめることを特徴とする、化粧料の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−132623(P2010−132623A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311676(P2008−311676)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【出願人】(000188951)松本油脂製薬株式会社 (137)
【Fターム(参考)】