説明

油圧パイロット式コントロールバルブ及びクレーン用ウインチの駆動制御装置

【課題】パイロット圧とスプールストロークの特性を変更可能にし、建設機械の油圧制御に有効な油圧パイロット式コントロールバルブなどを提供する。
【解決手段】油圧パイロット式コントロールバルブAは、バルブボディ2内にスプール3が軸方向に摺動可能に設けられているとともに、バルブボディの軸方向両端に、それぞれスプールの軸端にパイロット圧を作用させるためのパイロットカバー部5が設けられてなる。各パイロットカバー部に、スプールを中立位置に保持するための力を付与する付勢手段15を設け、この付勢手段を、パイロット圧の変化に伴うスプールストロークの変化特性が少なくとも低ゲイン特性と高ゲイン特性の2つに変更可能になるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンなどの建設機械に用いられる油圧パイロット式コントロールバルブ及びこれを用いたクレーン用ウインチの駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、クレーンなどの建設機械においては、図8に示すように、油圧シリンダや油圧モータなどのアクチュエータに油圧ポンプからの作動油を供給する油圧回路中に油圧パイロット式のコントロールバルブ101を設け、このコントロールバルブ101の位置切換を、キャブ内などに設けた操作レバー102により操作されるリモコン弁103からの2次圧(パイロット圧)で行うようになっている。尚、図8中、104はパイロット油圧源、105はタンクである。
【0003】
上記油圧パイロット式のコントロールバルブ101は、例えば特許文献1に開示され、図9にも示すように、軸方向に貫通するスプール孔110を有するバルブボディ111と、このバルブボディ111のスプール孔110内に軸方向に摺動可能に設けられたスプール112と、バルブボディ110の軸方向両端にそれぞれ設けられた一対のパイロットカバー部113,114とを備えている。バルブボディ111には、油圧ポンプ115に連通する複数(図では4つ)のポンプポート116,…と、タンク105に連通する複数(図では5つ)のタンクポート117,…と、アクチュエータに連通する2つのアクチュエータポート118,119とがそれぞれスプール孔110に臨んで設けられている一方、スプール112の外周面には隣接するポート同士を連通させるための複数のランド溝120,…が形成されている。また、各パイロットカバー部113,114にはそれぞれ、パイロット圧を内部(パイロット室ともいう)に導入してスプール112の軸端に作用させるためのパイロットポート121が設けられているとともに、その内部にスプール112を中立位置に保持するためのスプリング122がスプリング座123を介してスプール112の軸端に当接した状態で配置されている。そして、一対のパイロットカバー部113,114のうちの一方の内部にパイロット圧を導入してスプール112の軸端に作用させるとスプール112が他方の内部のスプリング122のバネ力に抗して摺動し、隣接するポート同士の連通遮断状態が切り換わるようになっている。
【特許文献1】実開昭62−136683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の油圧パイロット式コントロールバルブ101の場合、パイロット圧の変化に伴うスプールストロークの変化特性は、スプール112の軸端面積であるパイロット受圧面積とスプリング122のバネ力とによって、図10に示す如き1つの特性線として決定される。また一方、上記リモコン弁103のレバー操作量と2次圧の特性は、同じく減圧弁スプールのパイロット受圧面積とスプリングのバネ力とによって、図11に示す如き1つの特性線として決定される。それ故、油圧パイロット式コントロールバルブ101とリモコン弁103とを組み合わせて使用する場合、リモコン弁103のレバー操作量とコントロールバルブ101のスプールストロークの特性は、図12に示す如き1つの特性線として決定される。
【0005】
しかしながら、クレーンなどの建設機械において、リモコン弁103のレバー操作量とコントロールバルブ101のスプールストロークの特性が1つの特性線として固定された場合、良好な操作性を確保できなくなるなどの問題がある。
【0006】
すなわち、例えばクレーン用ウインチの駆動制御装置として、本出願人は、先に、2つのウインチを、2個ずつの油圧モータ及び油圧ポンプを用いて駆動するものにおいて、作業内容などに応じて、2ポンプ合流シリーズ回路方式と1ポンプ1モータ独立回路方式とを使い分け得るように構成したものを提案している(特願2006−77510)。しかし、この場合、2ポンプ合流シリーズ回路方式ではリモコン弁のレバー操作によって摺動するコントロールバルブのスプールが2つであるのに対し、1ポンプ1モータ独立回路方式ではリモコン弁のレバー操作によって摺動するコントロールバルブのスプールが1つであることから、リモコン弁のレバー操作量とコントロールバルブのスプールストロークの特性を1つに固定すると1ポンプ1モータ独立回路方式で操作レバーの無効ストローク領域が大きくなり、操作性が悪くなるという問題がある。
【0007】
この問題に対し、上記提案のものでは、減圧弁や切換弁などの外装装置を付加し、リモコン弁から出力される2次圧を、1ポンプ1モータ独立回路方式のときに1/2程度に減圧してコントロールバルブのパイロットポートに供給することをも発案している。しかし、この場合、外装装置の付加により油圧回路が複雑になり、コストや実装上の問題がある。
【0008】
本発明はかかる諸点に鑑みてなされたものであり、その第1の課題とするところは、スプールを中立位置に保持するためのスプリングなどの付勢力を可変とすることにより、パイロット圧とスプールストロークの特性を変更可能にし、建設機械の油圧制御に有効な油圧パイロット式コントロールバルブを提供せんとするものである。
【0009】
また、本発明の第2の課題は、上述した提案の如く2ポンプ合流シリーズ回路方式と1ポンプ1モータ独立回路方式とを使い分け得るようにするに当たり、上記のパイロット圧とスプールストロークの特性が変更可能な油圧パイロット式コントロールバルブを利用することにより、1ポンプ1モータ独立回路方式での無効ストローク領域を削減し、良好な操作性を実施上有効に確保し得るクレーン用ウインチの駆動制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記第1の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、バルブボディ内にスプールが軸方向に摺動可能に設けられているとともに、バルブボディの軸方向両端に、それぞれスプールの軸端にパイロット圧を作用させるためのパイロットカバー部が設けられた油圧パイロット式コントロールバルブにおいて、上記各パイロットカバー部に、スプールを中立位置に保持するための力を付与する付勢手段を設け、この付勢手段を、パイロット圧の変化に伴うスプールストロークの変化特性が少なくとも低ゲイン特性と高ゲイン特性の2つに変更可能になるように構成する。
【0011】
この構成では、スプールを中立位置に保持するための力を付与する付勢手段が、パイロット圧の変化に伴うスプールストロークの変化特性を低ゲイン特性と高ゲイン特性の2つに変更可能になっているため、制御状況などに応じて付勢手段の特性を適宜変更することができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の油圧パイロット式コントロールバルブにおいて、上記付勢手段の具体的な形態を提供するものである。すなわち、付勢手段を、スプールの軸端に各々別々に所定のバネ力を付与する複数のスプリングと、スプール軸端に作用させるパイロット圧とは別のパイロット圧をパイロットカバー部内に伝達することによって、上記複数のスプリングのうち、少なくとも1つ以上のスプリングのバネ力がスプール軸端に作用しない状態に切り換える切換機構とによって構成する。この構成では、複数のスプリングの全てからそのバネ力がスプールの軸端に作用しているとき、パイロット圧の変化に伴うスプールストロークの変化特性は低ゲイン特性であり、切換機構により複数のスプリングのうち、少なくとも1つ以上のスプリングのバネ力がスプール軸端に作用しない状態に切り換えたとき、パイロット圧の変化に伴うスプールストロークの変化特性は高ゲイン特性に変更されることになる。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項2記載の油圧パイロット式コントロールバルブにおいて、上記切換機構などのより具体的な形態を提供するものである。すなわち、切換機構を、パイロットカバー部内に軸方向に摺動可能に配置されたピストンと、一端がピストンに固定され、他端がスプール側に延びかつこの他端にスプリング座部が形成されたピストンロッドと、上記パイロットカバー部の内壁面とこの内壁面に形成した突出部とピストンのスプール側端面とピストンロッドの外周面とによって画成され、かつパイロットカバー部に設けたパイロットポートを通して上記別のパイロット圧が伝達される油室とを有する構成にし、また、上記ピストンロッドのスプリング座部とパイロットカバー部の突出部との間に上記1つのスプリングを配置する構成にする。この構成では、切換機構の油室にスプール軸端に作用させるパイロット圧とは別のパイロット圧が伝達されないときには、ピストンロッドのスプリング座部とパイロットカバー部の突出部との間に配置されたスプリングのバネ力がピストンロッドのスプリング座部を介してスプールの軸端に作用する一方、切換機構の油室にスプール軸端に作用させるパイロット圧とは別のパイロット圧がパイロットカバー部のパイロットポートを通して伝達されるときには、そのパイロット圧によって切換機構のピストン及びピストンロッドがパイロットカバー部内を上記スプリングを圧縮させる方向に摺動し、ピストンロッドのスプリング座部がスプール軸端側から離間するため、上記スプリングのバネ力がスプール軸端に作用しなくなる。従って、切換機構の油室に対するパイロット圧の伝達又はその遮断を切換弁などを用いて切り換えることにより、パイロット圧の変化に伴うスプールストロークの変化特性を2段階に確実に変更することができる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3記載の油圧パイロット式コントロールバルブにおいて、上記1つのスプリングを、スプールが中立位置に位置するときバネ力が零になるように設定する構成にする。この構成では、パイロット圧の変化に伴うスプールストロークの変化特性が低ゲイン特性又は高ゲイン特性のいずれに変更されるときにもスプールのストローク開始圧力が同一に保持されるため、特性の変更に伴う操作性の変化をより少なくすることができる。
【0015】
また、上記第2の課題を解決するため、請求項5に係る発明は、クレーン用ウインチの駆動制御装置として、第1ウインチを駆動する第1の油圧モータと、第2ウインチを駆動する第2の油圧モータと、第1及び第2の油圧ポンプと、この両油圧ポンプの吐出圧油を操作レバーの操作に応じて合流させて上記第1及び第2の油圧モータにそれぞれ供給する第1及び第2のコントロールバルブ装置とを備え、上記第1のコントロールバルブ装置は、第1操作レバーにより操作される第1リモコン弁の2次圧にてストロークする第1ウインチ用1速スプールと第2操作レバーにより操作される第2リモコン弁の2次圧にてストロークする第2ウインチ用2速スプールとをシリーズ回路で構成してなり、上記第2のコントロールバルブ装置は、第1操作レバーにより操作される第1リモコン弁の2次圧にてストロークする第1ウインチ用2速スプールと第2操作レバーにより操作される第2リモコン弁の2次圧にてストロークする第2ウインチ用1速スプールとをシリーズ回路で構成してなることを前提とする。そして、上記第1及び第2のコントロールバルブ装置の各1速スプールのバルブセクションを、いずれも請求項1記載の油圧パイロット式コントロールバルブによって構成し、上記油圧パイロット式コントロールバルブの付勢手段においてスプールストロークの変化特性が高ゲイン特性のとき、上記第1及び第2のコントロールバルブ装置の各2速スプールを、1速スプールがフルストロークするパイロット圧よりも高い圧力でストロークを開始するように設ける。また、上記油圧パイロット式コントロールバルブの付勢手段においてスプールストロークの変化特性を低ゲイン特性に変更し、かつ上記各コントロールバルブ装置の2速スプールのバルブセクションのパイロットカバー部がタンクに連通する第1状態と、上記油圧パイロット式コントロールバルブの付勢手段においてスプールストロークの変化特性を高ゲイン特性に変更し、かつ上記各コントロールバルブ装置の2速スプールのバルブセクションのパイロットカバー部が対応するリモコン弁の2次圧の伝達を受ける第2状態とに切換可能な切換手段を備える構成にする。尚、シリーズ回路とは、上流側のアクチュエータの戻り油を下流側のアクチュエータに送る接続方式の油圧回路である。
【0016】
この構成では、切換手段によって第1状態に切り換えたとき、つまり各コントロールバルブ装置の2速スプールのバルブセクションのパイロットカバー部がタンクに連通するときには、各コントロールバルブ装置の2速スプールが操作レバーの操作に拘わらず中立位置に保持され、この2速スプールを通して圧油が油圧モータに供給されなくなるため、各油圧モータに対しては、対応するコントロールバルブ装置の1速スプールのバルブセクションのみを通して圧油が供給されることになり、1ポンプ1モータ独立回路方式が実現される。一方、切換手段によって第2状態に切り換えたとき、つまり各コントロールバルブ装置の2速スプールのバルブセクションのパイロットカバー部が対応するリモコン弁の2次圧の伝達を受けるときには、操作レバーの操作に応じて第1及び第2の油圧ポンプの吐出圧油が第1及び第2のコントロールバルブ装置を通して合流して各油圧モータに供給されることになり、2ポンプ合流シリーズ回路方式が実現される。よって、切換手段により1ポンプ1モータ独立回路方式と2ポンプ合流シリーズ回路方式を作業内容などに応じて適宜変更して実現することができる。
【0017】
しかも、1ポンプ1モータ独立回路方式の実現のために第1状態に切り換えたときには、第1及び第2のコントロールバルブ装置の各1速スプールのバルブセクションを構成する油圧パイロット式コントロールバルブの付勢手段においてスプールストロークの変化特性が低ゲイン特性に変更される一方、2ポンプ合流シリーズ回路方式の実現のために第2状態に切り換えたときには、上記スプールストロークの変化特性が高ゲイン特性に変更され、かつこの高ゲイン特性のとき第1及び第2のコントロールバルブ装置の各2速スプールは、1速スプールがフルストロークするパイロット圧よりも高い圧力でストロークを開始するようになっているため、1ポンプ1モータ独立回路方式のときと2ポンプ合流シリーズ回路方式のときでスプールストロークが略同一領域で変化することになり、無効ストローク領域が削減されることになる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の油圧パイロット式コントロールバルブによれば、スプールを中立位置に保持するための力を付与する付勢手段が、パイロット圧の変化に伴うスプールストロークの変化特性を低ゲイン特性と高ゲイン特性の2つに変更可能になっているため、制御状況などに応じて付勢手段の特性を適宜変更することができ、建設機械の油圧制御に有効なものである。
【0019】
また、本発明のクレーン用ウインチの駆動制御装置によれば、作業内容などに応じて、1ポンプ1モータ独立回路方式と2ポンプ合流シリーズ回路方式とを使い分けることができるので、使い勝手性を高め、作業効率の向上に寄与することができる。しかも、本発明の油圧パイロット式コントロールバルブを効果的に利用することにより、油圧回路の簡易化を図りながら、1ポンプ1モータ独立回路方式での無効ストローク領域を削除することができるので、操作性の向上を実施上有効に図ることができるという効果を併有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態である実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係る油圧パイロット式コントロールバルブAの全体構成を示す。このコントロールバルブAは、軸方向に貫通するスプール孔1を有するバルブボディ2と、このバルブボディ2のスプール孔1内に軸方向に摺動可能に設けられたスプール3と、バルブボディ2の軸方向両端にそれぞれ設けられた一対のパイロットカバー部4,5とを備えている。
【0022】
上記バルブボディ2には、複数(図では3つ)のポンプポート6,…と、複数(図では2つ)のタンクポート7,…と、2つのアクチュエータポート8,9とがそれぞれスプール孔1に臨んで設けられている。上記スプール3の外周面には隣接するポート同士を連通させるための複数(図では4つ)のランド溝10,…が形成されており、このスプール3の軸方向長さは、バルブボディ2の軸方向長さと略同一に設定されている。
【0023】
上記各パイロットカバー部4,5は、図2及び図3に拡大詳示するように、バルブボディ2にネジなどにより固定された略円筒状の第1パイロットカバー11と、この第1パイロットカバー11にネジなどにより固定された有底円筒状の第2パイロットカバー12とによって内部に油密状のパイロット室13を構成してなる。第2パイロットカバー12の外周面には底部寄りの位置に第1のパイロットポート14が設けられ、この第1のパイロットポート14を通して所定のパイロット圧を各パイロットカバー部4,5の内部(つまりパイロット室13)に導入してスプール3の軸端に作用させるようになっている。また、各パイロットカバー部4,5の内部にはスプール3を中立位置に保持するための力を付与する付勢手段15が設けられている。
【0024】
上記付勢手段15は、スプール3の軸端に各々別々に所定のバネ力を付与する直径が互いに異なる2つのコイルスプリング、つまり直径の小さい第1のコイルスプリング16及び直径の大きい第2のコイルスプリング17と、この2つのコイルスプリング16,17のうち、第2のコイルスプリング17のバネ力がスプール3の軸端に作用しない状態に切り換える切換機構18とからなる。第1のコイルスプリング16は、スプリング座21とスプールストロークストッパー22との間に装着されている。スプリング座21は、スプール3の軸端及びバルブボディ2の軸方向端面のスプール孔1周縁に当接する円板状の鍔部21aと、この鍔部21aからパイロット室13の第2パイロットカバー12寄りに突出する円柱状の頭部21bとからなり、第1のコイルスプリング16は、このスプリング座21の頭部21bの外周を囲繞した状態で一端がスプリング座21の鍔部21aに当接し、スプリング座21を介してスプール3の軸端にバネ力を付与するようになっている。また、スプールストロークストッパー22は、第2パイロットカバー12の底部に当接する円板状の鍔部22aと、この鍔部22aからパイロット室13の第1パイロットカバー11寄りに突出する円柱状の頭部22bとからなり、第1のコイルスプリング16の他端は、このスプールストロークストッパー22の頭部22bの先端面に当接している。尚、スプリング座21及びスプールストロークストッパー22には、それぞれパイロット室13内で圧油が流動するようにするための孔や溝などからなる流動路23,24が形成されている。
【0025】
上記切換機構18は、パイロット室13のうち、特に第2パイロットカバー12内に軸方向に摺動可能に嵌合して配置されたリング状のピストン26と、一端部がピストン26の内周面に同心状に嵌合してネジなどにより固定され、他端がスプール3側の第1パイロットカバー11内に延びかつこの他端にスプリング座部27aが形成された略円筒状のピストンロッド27と、上記第2パイロットカバー12の内壁面と第1パイロットカバー11の第2パイロットカバー12側端部の内壁面に形成した突出部28とピストン26のスプール3側端面とピストンロッド27の外周面とによってパイロットカバー部4,5内にパイロット室13と油密的に独立して画成された油室29と、パイロット室13内に伝達するパイロット圧とは別のパイロット圧を上記油室29に伝達するために第2パイロットカバー12の外周面に設けられた第2のパイロットポート30とを有している。上記ピストンロッド27のスプリング座部27aと第1パイロットカバー11の突出部28との間には上記第2のコイルスプリング17が配置されており、ピストンロッド27のスプリング座部27aがスプリング座21の鍔部21aに当接しているときには、第2のコイルスプリング17のバネ力はピストンロッド27のスプリング座部27a及びスプリング座21を通してスプール3の軸端に作用するようになっている。
【0026】
次に、上記油圧パイロット式コントロールバルブAの作動について説明するに、今、図1に示すように、スプール3が中立位置に位置し、各パイロットカバー部4,5ではパイロット室13及び油室29のいずれにもパイロット圧が伝達されていないとする。このとき、切換機構18のピストンロッド27は、図2に示す如く第2のコイルスプリング17のバネ力によってスプリング座部27aがスプリング座21の鍔部21aに当接している。
【0027】
このような非伝達中立状態から、例えば図1で左側のパイロットカバー部4のパイロット室13に所定のパイロット圧を伝達した場合、そのパイロット圧がスプール3の左側軸端に作用することによるスプール推力によって、スプール3が図中右方向に摺動する。その際、スプール3の右側軸端はスプリング座21に当接しており、また、スプリング座21を介してピストンロット27のスプリング座部27aにも当接していることから、スプール3が図中右方向に摺動したストローク量に応じて、第1のコイルスプリング16及び第2のコイルスプリング17が共に圧縮してバネ力を発生し、このバネ力と上記スプール推力とがバランスした位置でスプール3の摺動が停止する。スプール推力を所定値以上にすると、スプリング座21の頭部21bがスプールストロークストッパー22の頭部22bに当接してスプール3の最大ストロークが規制される。この場合、パイロット圧の変化に伴うスプールストロークの変化特性は、図4中のX線で示すように、変化量が緩やかな低ゲイン特性になる。
【0028】
一方、上記の非伝達中立状態から、先ず、図1で右側のパイロットカバー部5の油室29に所定のパイロット圧を伝達すると、図3に示す如く切換機構18のピストン26及びピストンロッド27が第2のコイルスプリング17のバネ力に抗してスプールストロークストッパー22の鍔部22aに当接するまで図中右方向に摺動する。その後、上述と同じく図1で左側のパイロットカバー部4のパイロット室13に所定のパイロット圧を伝達した場合、そのパイロット圧がスプール3の左側軸端に作用することによるスプール推力によって、スプール3が図中右方向に摺動するが、右側のパイロットカバー部5ではピストンロッド27のスプリング座部27aがスプリング座21から離間していることから、スプール3が図中右方向に摺動したストローク量に応じて、第1のコイルスプリング16のみが圧縮してバネ力を発生し、このバネ力と上記スプール推力とがバランスした位置でスプール3の摺動が停止する。この場合もスプール推力を所定値以上にすると、スプリング座21の頭部21bがスプールストロークストッパー22の頭部22bに当接してスプール3の最大ストロークが規制されるが、この最大ストロークのときでもスプリング座21の鍔部21aとピストンロッド27のスプリング座部27aとは当接しないようになっている。
【0029】
また、この場合、パイロット圧の変化に伴うスプールストロークの変化特性は、図4中のY線及びZ線に示すように、変化量が急激な高ゲイン特性になる。ここで、Y線は、第1のコイルスプリング16と第2のコイルスプリング17のバネ定数を同一とし、かつスプール3が中立位置に位置するときのバネ力を同一とした場合の変化特性であり、Z線は、第1のコイルスプリング16と第2のコイルスプリング17のバネ定数を同一とし、かつスプール3が中立位置に位置するときの第2のコイルスプリング17のバネ力を零にした場合の変化特性である。このZ変化特性線は、スプールストローク開始圧力がX変化特性線の場合と同じになるため、変化特性の変更に伴う操作性の変化を少なくする観点から好ましく、本実施形態でも採用している。
【0030】
続いて、上記油圧パイロット式コントロールバルブAをクレーン用ウインチの駆動制御装置に用いた場合の実施形態を図5及び図6により説明する。
【0031】
図5はクレーン用ウインチの駆動制御装置Bの駆動系油圧回路を示し、41は第1ウインチである主巻ウインチを駆動する第1の油圧モータとしての主巻ウインチ用の可変容量型油圧モータ、42は第2ウインチである補巻ウインチを駆動する第2の油圧モータとしての補巻ウインチ用の可変容量型油圧モータ、43は第1の可変容量型油圧ポンプ、44は第2の可変容量型油圧ポンプであり、この両油圧ポンプ43,44の吐出圧油は、第1及び第2のコントロールバルブ装置51,52を介して、主巻ウインチ用又は補巻ウインチ用の操作レバー61,63(図6参照)の操作に応じて合流して主巻ウインチ用及び補巻ウインチ用の油圧モータ41,42に供給されるようになっている。
【0032】
上記第1のコントロールバルブ装置51は、主巻ウインチ用1速スプール53と補巻ウインチ用2速スプール54とをシリーズ回路で構成してなり、上記第2のコントロールバルブ装置52は、同じく主巻ウインチ用2速スプール55と補巻ウインチ用1速スプール56とをシリーズ回路で構成してなる。この両コントロールバルブ装置51,52の各1速スプール53,56のバルブセクションは、いずれも上記油圧パイロット式コントロールバルブAによって構成されており、このバルブセクションの一対のパイロットカバー部(詳しくはパイロット室)は符号53a,53b又は56a,56bで示し、同じく一対のパイロットカバー部の第2のパイロットポートは符号53c,53d又は56c,56dで示す。尚、両コントロールバルブ装置51,52の各2速スプール54,55のバルブセクションは、従来通り(図9参照)のものであり、このバルブセクションの一対のパイロットカバー部(パイロット室又はパイロット操作部ともいう)は符号54a,54b又は55a,55bで示す。また、図5中、57はタンクである。
【0033】
図6は上記第1及び第2のコントロールバルブ装置51,52を制御するクレーン用ウインチの駆動制御装置Bの制御系油圧回路を示し、61は第1操作レバーとしての主巻ウインチ用の操作レバーであって、この操作レバー61の巻上方向又は巻下方向の操作に応じて第1リモコン弁としての主巻ウインチ用リモコン弁62が2次圧を発生し、この2次圧がパイロット管路71,72を介して第1のコントロールバルブ装置51の主巻ウインチ用1速スプール53のバルブセクションのパイロットカバー部53a,53b及び第2のコントロールバルブ装置52の主巻ウインチ用2速スプール55のバルブセクションのパイロットカバー部55a,55bに伝達して主巻ウインチ用1速スプール53及び2速スプール55がストロークするようになっている。63は第2操作レバーとしての補巻ウインチ用の操作レバーであって、この操作レバー63の巻上方向又は巻下方向の操作に応じて第2リモコン弁としての補巻ウインチ用リモコン弁64が2次圧を発生し、この2次圧がパイロット管路73,74を介して第2のコントロールバルブ装置52の補巻ウインチ用1速スプール56のバルブセクションのパイロットカバー部56a,56b及び第1のコントロールバルブ装置51の補巻ウインチ用2速スプール54のバルブセクションのパイロットカバー部54a,54bに伝達して補巻ウインチ用1速スプール56及び2速スプール54がストロークするようになっている。
【0034】
また、81,82,83,84は上記各パイロット管路71〜74の2速スプール側分岐管路71a,72a,73a,74aにそれぞれ設けられた電磁切換弁であって、この各電磁切換弁81〜84は、いずれも切換スイッチ85がONのとき、対応するリモコン弁62,64の2次圧を対応する2速スプール54,55のバルブセクションのパイロットカバー部54a,54b,55a,55bに伝達し、切換スイッチ85がOFFのとき、対応する2速スプール54,55のバルブセクションのパイロットカバー部54a,54b,55a,55bをタンク57に連通させるものである。86はパイロット油圧源87に連通するパイロット管路88に設けられた電磁切換弁であって、この電磁切換弁86は、切換スイッチ85がONのとき、パイロット油圧源87からの所定のパイロット圧を第1及び第2のコントロールバルブ装置51,52の各1速スプール53,56のバルブセクションの第2のパイロットポート53c,53d,56c,56d全てに伝達し、切換スイッチ85がOFFのとき、各1速スプール53,56のバルブセクションの第2のパイロットポート53c,53d,56c,56d全てをタンク57に連通させるものである。上記5つの電磁切換弁81〜84,86及び切換スイッチ85などにより、第1及び第2のコントロールバルブ装置51,52の各1速スプール53,56のバルブセクションにおけるスプールストロークの変化特性を低ゲイン特性に変更し、かつ上記各コントロールバルブ装置51,52の2速スプール54,55のバルブセクションのパイロットカバー部54a,54b,55a,55bがタンク57に連通する第1状態と、上記スプールストロークの変化特性を高ゲイン特性に変更し、かつ上記各コントロールバルブ装置51,52の2速スプール54,55のバルブセクションのパイロットカバー部54a,54b,55a,55bが対応するリモコン弁62,64の2次圧の伝達を受ける第2状態とに切換可能な切換手段89が構成されている。
【0035】
ここで、上記スプールストロークの変化特性が高ゲイン特性のとき、上記第1及び第2のコントロールバルブ装置51,52の各2速スプール54,55は、1速スプール53,56がフルストロークするパイロット圧よりも高い圧力でストロークを開始するように設けられている。尚、図6中、91はバッテリ電源である。
【0036】
次に、上記駆動制御装置Bの作動について説明するに、切換スイッチ85をOFF位置にした場合、5つの電磁切換弁81〜84,86は全て励磁されずに図示の位置状態となる。すると、第1及び第2のコントロールバルブ装置51,52の各1速スプール53,56のバルブセクションの第2のパイロットポート53c,53d,56c,56dは、いずれも電磁切換弁86を介してタンク57に連通するため、第1及び第2のコントロールバルブ装置51,52の各1速スプール53,56のバルブセクションにおけるスプールストロークの変化特性は、共に低ゲイン特性(図7のX線)になる。同時に、第1及び第2のコントロールバルブ装置51,52の各2速スプール54,55のバルブセクションのパイロットカバー部54a,54b,55a,55bは、それぞれ電磁切換弁81〜84を介してタンク57に連通することになり、第1状態となる。
【0037】
このような第1状態においては、主巻ウインチ用の操作レバー61で操作される主巻ウインチ用リモコン弁62の2次圧が第1のコントロールバルブ装置51の主巻ウインチ用1速スプール53のバルブセクションのパイロットカバー部53a,53bに伝達されて、低ゲイン特性(図7のX線)でスプールがストロークし、また、補巻ウインチ用の操作レバー63で操作される補巻ウインチ用リモコン弁64の2次圧が第2のコントロールバルブ装置52の補巻ウインチ用1速スプール56のバルブセクションのパイロットカバー部56a,56bに伝達されて、同じく低ゲイン特性(図7のX線)でスプールがストロークする。従って、主巻ウインチ用の油圧モータ41は第1の油圧ポンプ43により駆動され、補巻ウインチ用の油圧モータ42は第2の油圧ポンプ44により駆動されることになり、1ポンプ1モータ独立回路方式が実現される。
【0038】
一方、切換スイッチ85をON位置にした場合、5つの電磁切換弁81〜84,86は全て励磁されて図示の位置から別の位置に切り換わる。すると、第1及び第2のコントロールバルブ装置51,52の各1速スプール53,56のバルブセクションの第2のパイロットポート53c,53d,56c,56dは、いずれも電磁切換弁86を介してパイロット油圧源87に連通し、このパイロット油圧源87から所定のパイロット圧の伝達を受けるため、各1速スプール53,56のバルブセクションにおけるスプールストロークの変化特性は、共に高ゲイン特性(図7のY線)となる。同時に、第1及び第2のコントロールバルブ装置51,52の各2速スプール54,55のバルブセクションのパイロットカバー部54a,54b,55a,55bは、それぞれ電磁切換弁81〜84を介して対応するリモコン弁62,64に連通してリモコン弁62,64の2次圧の伝達を受けることになり、第2状態となる。
【0039】
このような第2状態においては、第1及び第2のコントロールバルブ装置51,52の各2速スプール54,55は、1速スプール53,56がフルストロークするパイロット圧よりも高い圧力でストロークを開始するように設定されているため、主巻ウインチ用の操作レバー61により操作される主巻ウインチ用リモコン弁62の2次圧が第1のコントロールバルブ装置51の主巻ウインチ用1速スプール53のバルブセクションのパイロットカバー部53a,53b及び第2のコントロールバルブ装置52の主巻ウインチ用2速スプール55のバルブセクションのパイロットカバー部55a,55bに伝達されたときには、先ず、第1のコントロールバルブ装置51の主巻ウインチ用1速スプール53が高ゲイン特性(図7のY線)でストロークし、そのフルストロークの後、第2のコントロールバルブ装置52の主巻ウインチ用2速スプール55が高ゲイン特性(図7のZ線)でストロークする。また、補巻ウインチ用の操作レバー63により操作される補巻ウインチ用リモコン弁64の2次圧が第1のコントロールバルブ装置51の補巻ウインチ用2速スプール54のバルブセクションのパイロットカバー部54a,54b及び第2のコントロールバルブ装置52の補巻ウインチ用1速スプール56のバルブセクションのパイロットカバー部56a,56bに伝達されたときには、先ず、第2のコントロールバルブ装置52の補巻ウインチ用1速スプール56が高ゲイン特性(図7のY線)でストロークし、そのフルストロークの後、第1のコントロールバルブ装置51の補巻ウインチ用2速スプール54が高ゲイン特性(図7のZ線)でストロークする。従って、主巻ウインチ用の油圧モータ41及び補巻用ウインチ用の油圧モータ42は、共に第1の油圧ポンプ43と第2の油圧ポンプ43の両方により駆動されることになり、2ポンプ合流シリーズ回路方式が実現される。
【0040】
このように、上記実施形態の駆動制御装置Bにおいては、切換スイッチ85の切換によって1ポンプ1モータ独立回路方式と2ポンプ合流シリーズ回路方式とを選択的に実現し、作業内容などに応じて使い分けることができるので、クリーン用ウインチの使い勝手性を高めることができ、作業効率の向上に寄与することができる。
【0041】
しかも、1ポンプ1モータ独立回路方式の実現のために第1状態に切り換えたときには、第1及び第2のコントロールバルブ装置51,52の各1速スプール53,56のバルブセクションにおけるスプールストロークの変化特性が低ゲイン特性(図7のX線)に変更される一方、2ポンプ合流シリーズ回路方式の実現のために第2状態に切り換えたときには、上記スプールストロークの変化特性が高ゲイン特性(図7のY線)に変更され、かつ第1及び第2のコントロールバルブ装置51,52の各2速スプール54,55は、1速スプール53,56がフルストロークするパイロット圧よりも高い圧力でストロークを開始するようになっている(図7のZ線)ため、図7からも分かるように、1ポンプ1モータ独立回路方式のときと2ポンプ合流シリーズ回路方式のときでスプールストロークが略同一領域で変化することになり、無効ストローク領域を削減することができる。この結果、操作性の向上を図ることができる。その上、駆動制御装置Bの制御系油圧回路においては、5つの電磁切換弁81〜84,85を設けるに過ぎないので、その回路の複雑化を招くことはなく、実施化を容易に図ることができるという効果もある。
【0042】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の形態を包含するものである。例えば、上記実施形態の油圧パイロット式コントロールバルブAにおいて、スプール3を中立位置に保持するための付勢手段15を、スプール3の軸端に各々別々に所定のバネ力を付与する2つのコイルスプリング16,17と、この2つのコイルスプリング16,17のうちの1つのバネ力がスプール3の軸端に作用しない状態に切り換える切換機構18とによって構成したが、本発明は、付勢手段として、このものに限らず、3つ以上のコイルスプリングを用いて、スプールストロークの変化特性を3段階以上に変更可能になるように構成したり、コイルスプリングの代わりに、他のスプリング又はこれに類する部材を用いて構成したりしてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、油圧パイロット式コントロールバルブAの用途として、1ポンプ1モータ独立回路方式と2ポンプ合流シリーズ回路方式とを切換可能なクレーン用ウインチの駆動制御装置Bに用いた場合について述べたが、これに限らないのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態に係る油圧パイロット式コントロールバルブの断面図である。
【図2】図1の右側パイロットカバー部付近の拡大図である。
【図3】パイロットカバー部の油室に所定のパイロット圧が伝達された状態の図2相当図である。
【図4】上記コントロールバルブのパイロット圧の変化に伴うスプールストロークの変化特性を示す特性図である。
【図5】本発明の実施形態に係るクレーン用ウインチの駆動制御装置の駆動系の油圧回路図である。
【図6】同じく駆動制御装置の制御系の油圧回路図である。
【図7】上記駆動制御装置のコントロールバルブ特性図である。
【図8】従来のリモコン弁とコントロールバルブの油圧回路図である。
【図9】従来の油圧パイロット式コントロールバルブの断面図である。
【図10】従来のコントロールバルブのパイロット圧の変化に伴うスプールストロークの変化特性を示す特性図である。
【図11】リモコン弁の2次圧特性を示す特性図である。
【図12】リモコン弁の操作量とコントロールバルブのスプールストロークとの関係を示す特性図である。
【符号の説明】
【0045】
A 油圧パイロット式コントロールバルブ
B 駆動制御装置
2 バルブボディ
3 スプール
4,5 パイロットカバー部
14 第1のパイロットポート
15 付勢手段
16 第1のコイルスプリング
17 第2のコイルスプリング
18 切換機構
26 ピストン
27 ピストンロッド
27a スプリング座部
28 突出部
29 油室
30 第2のパイロットポート
41 主巻ウインチ用の油圧モータ(第1の油圧モータ)
42 補巻ウインチ用の油圧モータ(第2の油圧モータ)
43 第1の油圧ポンプ
44 第2の油圧ポンプ
51 第1のコントロールバルブ装置
52 第2のコントロールバルブ装置
53 主巻ウインチ用1速スプール
53a,53b パイロットカバー部
53c,53d 第2のパイロットポート
54 補巻ウインチ用2速スプール
54a,54b パイロットカバー部
55 主巻ウインチ用2速スプール
55a,55b パイロットカバー部
56 補機ウインチ用1速スプール
56a,56b パイロットカバー部
56c,56d 第2のパイロットポート
61 主巻ウインチ用の操作レバー(第1操作レバー)
62 主巻ウインチ用リモコン弁(第1リモコン弁)
63 補巻ウインチ用の操作レバー(第2操作レバー)
64 補巻ウインチ用リモコン弁(第2リモコン弁)
81,82,83,84,86 電磁切換弁
85 切換スイッチ
89 切換手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブボディ内にスプールが軸方向に摺動可能に設けられているとともに、バルブボディの軸方向両端に、それぞれスプールの軸端にパイロット圧を作用させるためのパイロットカバー部が設けられた油圧パイロット式コントロールバルブにおいて、
上記各パイロットカバー部にはスプールを中立位置に保持するための力を付与する付勢手段が設けられており、この付勢手段は、パイロット圧の変化に伴うスプールストロークの変化特性が少なくとも低ゲイン特性と高ゲイン特性の2つに変更可能になるように構成されていることを特徴とする油圧パイロット式コントロールバルブ。
【請求項2】
上記付勢手段は、スプールの軸端に各々別々に所定のバネ力を付与する複数のスプリングと、スプール軸端に作用させるパイロット圧とは別のパイロット圧をパイロットカバー部内に伝達することによって、上記複数のスプリングのうち、少なくとも1つ以上のスプリングのバネ力がスプール軸端に作用しない状態に切り換える切換機構とからなる請求項1記載の油圧パイロット式コントロールバルブ。
【請求項3】
上記切換機構は、パイロットカバー部内に軸方向に摺動可能に配置されたピストンと、一端がピストンに固定され、他端がスプール側に延びかつこの他端にスプリング座部が形成されたピストンロッドと、上記パイロットカバー部の内壁面とこの内壁面に形成した突出部とピストンのスプール側端面とピストンロッドの外周面とによって画成され、かつパイロットカバー部に設けたパイロットポートを通して上記別のパイロット圧が伝達される油室とを有しており、
上記ピストンロッドのスプリング座部とパイロットカバー部の突出部との間には上記1つのスプリングが配置されている請求項2記載の油圧パイロット式コントロールバルブ。
【請求項4】
上記1つのスプリングは、スプールが中立位置に位置するときバネ力が零になるように設定されている請求項2又は3記載の油圧パイロット式コントロールバルブ。
【請求項5】
第1ウインチを駆動する第1の油圧モータと、第2ウインチを駆動する第2の油圧モータと、第1及び第2の油圧ポンプと、この両油圧ポンプの吐出圧油を操作レバーの操作に応じて合流させて上記第1及び第2の油圧モータにそれぞれ供給する第1及び第2のコントロールバルブ装置とを備え、上記第1のコントロールバルブ装置は、第1操作レバーにより操作される第1リモコン弁の2次圧にてストロークする第1ウインチ用1速スプールと第2操作レバーにより操作される第2リモコン弁の2次圧にてストロークする第2ウインチ用2速スプールとをシリーズ回路で構成してなり、上記第2のコントロールバルブ装置は、第1操作レバーにより操作される第1リモコン弁の2次圧にてストロークする第1ウインチ用2速スプールと第2操作レバーにより操作される第2リモコン弁の2次圧にてストロークする第2ウインチ用1速スプールとをシリーズ回路で構成してなるクレーン用ウインチの駆動制御装置において、
上記第1及び第2のコントロールバルブ装置の各1速スプールのバルブセクションは、いずれも請求項1記載の油圧パイロット式コントロールバルブによって構成されており、
上記油圧パイロット式コントロールバルブの付勢手段においてスプールストロークの変化特性が高ゲイン特性のとき、上記第1及び第2のコントロールバルブ装置の各2速スプールは、1速スプールがフルストロークするパイロット圧よりも高い圧力でストロークを開始するように設けられており、
上記油圧パイロット式コントロールバルブの付勢手段においてスプールストロークの変化特性を低ゲイン特性に変更し、かつ上記各コントロールバルブ装置の2速スプールのバルブセクションのパイロットカバー部がタンクに連通する第1状態と、上記油圧パイロット式コントロールバルブの付勢手段においてスプールストロークの変化特性を高ゲイン特性に変更し、かつ上記各コントロールバルブ装置の2速スプールのバルブセクションのパイロットカバー部が対応するリモコン弁の2次圧の伝達を受ける第2状態とに切換可能な切換手段を備えたことを特徴とするクレーン用ウインチの駆動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−14157(P2009−14157A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179152(P2007−179152)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【Fターム(参考)】