説明

油性化粧料

【課題】 油性成分と粉体成分とを多く含む化粧料において、みずみずしさ、ツヤ感と言った光学効果を付与する技術を提供することを課題とする。
【解決手段】 粉体40乃至90質量%と油性成分10乃至25質量%とを含有する化粧料であって、少なくとも2種の表面処理を順次施した単分散シリカであって、少なくとも2種の表面処理剤による被膜が外側に向かうほど屈折率が低いものであるシリカを含有する油性化粧料を提供する。前記シリカの被覆が外側に向かい、アクリル酸アルキルコポリマー、トリメトキシシリルジメチコンの順に被覆されている、シリカ−アクリル酸アルキルコポリマー−トリメトキシシリルジメチコンの層構造を有することが好ましく、その含有量は、0.01〜1.0質量%であることが好ましい。更に粉体として、パール剤を30乃至50質量%含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料に関し、更に詳細には粉体を含有する油性化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
メークアップ化粧料は、粉体の隠蔽力、着色力、光拡散作用などの光学効果を利用して、肌のトラブルなどを隠したり、肌色を美しく見せたりする化粧料である。メークアップ化粧料には、この様な光学効果故に、その仕上がりにおいては、自然な見え方から乖離する傾向が存し、これを是正する手段の開発が望まれていた。この様なニーズを背景に、カバー力を二酸化チタンや酸化亜鉛などに依存させずに、チタンマイカやチタンセリサイトに依存させることで、これらの有する干渉光を利用して、自然なツヤを付与する方法や、二酸化チタンなどの隠蔽感をシリカなどの拡散透過性を有する粉体の拡散・乱反射作用を利用して和らげる方法などが開発された(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)。しかしながら、これらの方法に於いて、不自然さは改善されたが、その一方で、みずみずしさといった外観の美しさにまでには至っていなかった。
【0003】
一方、ポイントメークアップ化粧料に於いては、効果がはっきりした光学効果が望まれており、パール光沢粉体などがその目的で多用されている。かかるパール光沢粉体としては、マイカなどの薄い板状の粉体に、二酸化チタンなどの微粒子の金属酸化物の被膜を形成させ、該被膜の干渉により、光沢を出させたり、エポキシ樹脂等の樹脂の薄片を何層にも積層し、層間の干渉作用により光沢を現出させたりしているものが知られている。しかしながら、パール光沢粉体の光学的効果とみずみずしさ、ツヤ感といった外観の美的効果を併せ持つ化粧料は望まれているものの、油剤との相性、粉体の含有量等の課題から、期待される効果は十分ではなかった。
【0004】
外観上、みずみずしい感じを示す化粧料として、球状の多孔質粉体で屈折率の低い少なくとも2種の表面処理剤で、屈折率の低い順に順次処理している球状多孔質粉体が知られており(例えば、特許文献4)、固形粉体化粧料に於いて、かかる粉体を含有させることにより、みずみずしい演色効果を発現することが知られている。しかしながら、かかる粉体は油性成分の多い系では、油性成分により表面処理に起因する光学効果が減じられるため、この様な演色効果は得難く、この様な系での使用は避けられてきた。従って、粉体40乃至90質量%と粉体含有量が高く、油性成分10乃至25質量%とを含有する化粧料において、少なくとも2種の表面処理を順次施した単分散シリカであって、少なくとも2種の表面処理剤による被膜が外側に向かうほど屈折率が低いものであるシリカを含有する油性化粧料が、みずみずしい感じを示すとともに、粉体固形化粧料とオイルゲル固形化粧料の中間領域に属する粉体含有化粧料となることは知られていなかったし、その様な期待もされていなかった。加えて、かかる化粧料にパール光沢粉体を含有させることにより、前述の効果に加え、パール光沢粉体の光学効果を顕著に示すことは知られていなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−003341号公報
【特許文献2】特開平11−060444号公報
【特許文献3】特表2002−518420号公報
【特許文献4】特開2005−162615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、油性成分と粉体成分とを多く含む化粧料において、みずみずしさ、ツヤ感と言った光学効果を付与する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この様な実状に鑑みて、本発明者らは、化粧料に用いることの出来る組成物を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、1)粉体40乃至90質量%と、2)油性成分10乃至25質量%とを含有する、言わば、粉体化粧料とオイルゲル化粧料の中間に位置する、粉体と、油性成分とをともに多く含有する化粧料に、少なくとも2種の表面処理を順次施した単分散シリカであって、少なくとも2種の表面処理剤による被膜が外側に向かうほど屈折率が低いものであるシリカを含有させることにより、この様な光学効果の付与が為しうることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示すとおりである。
<1>1)粉体40乃至90質量%と、2)油性成分10乃至25質量%とを含有する化粧料であって、少なくとも2種の表面処理を順次施した単分散シリカであって、少なくとも2種の表面処理剤による被膜が外側に向かうほど屈折率が低いものであるシリカを含有することを特徴とする、油性化粧料。
<2>前記シリカの被覆が外側に向かい、アクリル酸アルキルコポリマー、トリメトキシシリルジメチコンの順に被覆されている、シリカ−アクリル酸アルキルコポリマー−トリメトキシシリルジメチコンの層構造を有することを特徴とする、<1>に記載の油性化粧料。
<3>前記少なくとも2種の表面処理を順次施した単分散シリカの含有量は、0.01〜1.0質量%であることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の油性化粧料。
<4>粉体として、パール剤を30乃至50質量%含有することを特徴とする、<1>〜<3>何れか記載の油性化粧料。
<5>パール剤の組成として、着色されていても、表面処理されていても良いチタンマイカを10〜30質量%含有することを特徴とする、<1>から<4>何れかに記載の油性化粧料。
<6>パール剤の組成として、ガラスフレーク3乃至10質量%を含有することを特徴とする、<1>から<5>の何れかに記載の油性化粧料。
<7>前記粉体に於いて、前記少なくとも2種の表面処理を順次施した単分散シリカの含有量と、パール剤の含有量の比は、1:30〜1:150であることを特徴とする、<1>〜<6>何れかに記載の油性化粧料。
<8>製造工程において、土練機による混練り工程を有することを特徴とする、<1>〜<7>何れか1項に記載の油性化粧料。

【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、油性成分と粉体成分とを多く含む化粧料において、みずみずしさ、ツヤ感と言った光学効果を付与する技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<1>本発明の油性化粧料の必須成分である粉体
本発明の油性化粧料は粉体を40乃至90質量%、より好ましくは、50質量%〜65質量%を含有することを特徴とし、前記粉体中に、化粧料の総量に対して、少なくとも2種の表面処理を順次施した単分散シリカであって、少なくとも2種の表面処理剤による被膜が外側に向かうほど屈折率が低いものであるシリカを必須成分として含有していることを特徴とする。本発明に言う粉体とは、水、油脂、界面活性剤、アルコール類、シリコーン類などの化粧料原料には溶解も透明な性状で分散もしない、有機或いは無機の固形物の総称を意味し、具体的には、カオリン、タルク、マイカ、セリサイト、チタンマイカ、積層樹脂小片(グリッター)、ホウケイ酸Ca/Al、チタンセリサイト、二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、群青、紺青、赤色102号、赤色226号、黄色4号アルミニウムレーキ、シリカ、アルミナ、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、メチルシロキサン網状重合体、架橋型メチルポリシロキサン樹脂、アクリル酸アルキル樹脂類、ナイロン、シルク、セルロース或いはこれらの複合材料などが例示でき、その形状は、球状、不定形、多孔質状、中空状、繊維状、板状或いは塊状であっても良い。更に、その表面は、シリコーン被覆処理、金属石けん被覆処理、アシルアミノ酸塩被覆処理など、通常知られている表面処理が為されていても良い。
【0010】
前記単分散シリカは、球状の多孔質粉体であって、前記多孔質粉体より屈折率の低い少なくとも2種の表面処理剤で、屈折率の低い順に順次処理してなるものであり、該粉体の基体となる多孔質粉体としては、化粧料で使用されている多孔質粉体であって、球状のものであれば、特段の限定無く基体として用いることが出来る。この様な多孔質球状粉体としては、球状シリカ、球状アルミナ、球状シリカアルミナ、球状炭酸カルシウム、球状炭酸マグネシウムなどが好適に例示できる。かかる基体となる多孔質球状粉体としては、球状シリカが特に好ましい。これは光学的に透明性と拡散性とを程良く兼ね備えているためである。尚、本発明において、「球状」なる言葉は、「角を有せず表面が球面で構成されている」程度の意味であり、真球状の他、楕球状などの歪みを有する構造も許容する。かかる基体となる多孔質球状粉体の大きさとしては、平均粒径が2〜10μmのものが好ましく、3〜5μmのものが特に好ましい。又、粒径の分布としては単分散であることを特徴とする。本発明の単分散シリカは、かかる基体に、該基体より屈折率の低い少なくとも2種の表面処理剤で、屈折率の低い順に順次処理してなることを特徴とするが、かかる表面処理により、基体となっている球状粉体の内側に、前記処理剤が含浸されて、処理され、基体の成分と処理剤のコンプレックスが生じる。かかるコンプレックスは、表面から基体の球状粉体の内部に向かうに従って、その構成成分を段階的に変化させている。これによって表面より内部に向かって屈折率の勾配が形成している。この様な性状を生じさせるのに必要な屈折率の差としては、基体と第一の処理剤、第一の処理剤と第二の処理剤、第nの処理剤と第n+1の処理剤の屈折率のそれぞれの差が0.015〜0.35になるように設定することが好ましい。この様な屈折率に傾斜を付すことの出来る処理剤としては、基体をシリカ(屈折率1.45)にした場合、ジメチルポリシロキサンやポリエーテル変性メチルポリシロキサン等のシリコーン類、テトラフルオロエチレン、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合、フッ素変性シリコーン等の有機フッ素化合物などが好適に例示でき、中でもシリコーン類を用いることが好ましい。これらの内、シリコーン類に関しては、信越化学株式会社などからの市販品を購入して使用することが出来るし、有機フッ素化合物に関しては、三井フロロケミカル株式会社、ダイキン工業株式会社、ワッカーケミー社等から販売されているものを購入して使用することが出来る。基体をシリカ(屈折率1.45)にして、2種の処理剤で処理する場合において、アクリル酸アルキルコポリマー、トリメトキシシリルジメチコンの順に被覆されており、シリカ−アクリル酸アルキルコポリマー−トリメトキシシリルジメチコンの層構造を有することが特に好ましい。処理量としては、基体の球状粉体に対して、それぞれ1〜10質量%処理することが好ましい。かかる処理は、塩化メチレンなどの揮発性溶剤を用いて、1〜50質量%程度に希釈して、これを攪拌下含浸させ、100〜200℃の熱風を送風し、定着させることにより、行うことが好ましい。かくして得られた球状多孔質粉体は、球状多孔質粉体を平面においた場合、平面に対する垂線に対して低角度の入射光での光沢が、高角度の入射光での光沢に比して著しく低い特性を有し、真正面での鏡面反射が少なく、周辺域への鏡面反射が多く、「みずみずしいツヤ感」を発現する特性を有している。かかる本発明の球状多孔質粉体を化粧料に含有させ、前記の特性を発現させるためには、本発明の単分散シリカを、化粧料に対して、0.01〜1.0質量%、より好ましくは0.05〜0.5質量%含有させることが好ましい。かかる単分散シリカは市販のものを使用することが出来、KP545(信越化学製)を用いることが出来る。
【0011】
更に、本発明の化粧料に於いては、パール剤を含有することが光学効果上好ましく、かかる場合に於いて、、パール剤として、化粧料に対してチタンマイカを10乃至30質量%含有することが好ましい。加えて、ガラスフレークを3乃至10質量%含有することがより好ましい。かかるチタンマイカ、ガラスフレークは通常化粧料に使用されるものなら特段の制限はなく、表面を有機色素や無機色素で着色したり、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼付、ジメチルポリシロキサン焼付、シリル化処理等の表面処理を施したりして用いることも出来る。この様な着色や表面処理は、粉体全量に対して、1〜50質量%が好ましい。前記ガラスフレークとしては日本板硝子株式会社より販売されている、ガラスフレークまたは塊状フレークを母材とした上に、金属もしくは金属酸化物をコートした光輝性顔料である、メタシャインMC1080RYS1、メタシャインMC1080RS、メタシャインMC1040RR、角八魚鱗薄株式会社より販売されている、ポリエチレンテレフタレートとポリメチルメタクリレートの積層フィルムを粉末状に切断した小片である、オーロラフレークバイオレット0.05、オーロラフレークグリーン0.01、エンゲルハード社から販売されている、ポリエチレンテレフタレートとポリオレフィン共重合体またはポリメチルメタクリレートの積層末である、IグリッターIF4101−0.01、IグリッターIF8101−0.01、エンゲルハード社製のリフレクスピンポインツオブパール、リフレクスレイズオブレッド、リフレクスギルディッドゴールドが例示でき、その他、パール剤としてチタン被覆金雲母を用いる場合、プロミネンスシリーズ(トピー工業製)、ジェネスターシリーズ(日本光研工業製)等が好ましく例示できる。

【0012】
<2>本発明の油性化粧料の必須成分である油性成分
本発明で言う油性成分としては、炭化水素油、シリコーン油、エステル油などの水とは任意の割合で交わらない有機成分であって、1気圧25℃の条件で流動性を示す成分の総称を意味する。かかる油性成分しては、通常化粧料で使用可能なものであればよいが、炭化水素、脂肪酸のエステル、ジメチコンなどのシリコーン、高級アルコール、グリセリンのトリ脂肪酸エステル、ジグリセリンのテトラ脂肪酸エステル、トリグリセリンのペンタ脂肪酸エステル、脂肪酸、N−アシルグルタミン酸のジエステル等が好ましく例示できる。具体的には、例えば、椿油、マカデミアナッツ油、アボカド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン等のオイル類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸類、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ホホバアルコール等の高級アルコール等、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリルトリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジオレイン酸プロピレングリコール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10、デカ(エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル−8、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)等の多価アルコール脂肪酸エステル類、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/べへニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ べへニル/オクチルドデシル)等のN−アシル化グルタミン酸のジエステルなどが例示できる。更に架橋型メチルポリシロキサンが好ましく例示できる。油性成分は化粧料全量に対して、油性成分10乃至25質量%含有させることが好ましく、下限以下では本願発明の効果が発揮されず、上限以上ではベタツキ感を感じ使用感が悪くなる。
【0013】
<3>本発明の油性化粧料
また、本発明のオイルゲル化粧料は、これら上記の成分以外に通常化粧料で使用される任意成分を発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。このような任意成分としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ベントナイト等の増粘剤、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
【0014】
本発明の油性化粧料は、粉体化粧料とオイルゲル化粧料の中間的な性質を有する化粧料であるため、これらの成分を、オイルゲル製造に際しての常法、或いは、粉体化粧料製造に際しての常法に従って処理し、製造することは困難である。かかる領域の組成物においては、粉体を予めパルベライザーなどで粉砕した後、油性成分と合わせ、高機械力攪拌装置、例えば、土練機やダブルプラネタリーミキサー或いは高圧ニーダーなどで混練りすることにより得ることができる。本発明の油性化粧料は毛髪用、口唇用、顔面用、ボディ用等に用いることが出来、特に限定はないが、好ましくは顔面用であり、スキンケア、メークアップ化粧料として使用でき、パール剤の光学効果を発揮させることを考慮すると、メックアップ化粧料として用いることが好ましく、特にポイントメークである、アイカラー等に用いることが好ましい。
【0015】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加える。
<実施例1>
【0016】
以下に示す処方に従って、本発明の油性化粧料1(実施例1)を調製した。イを練合機で良く撹拌し、その後ロを加え土練機にてよく、混練した。これを減圧下脱泡し、油性化粧料1を調製した。

【0017】
【表1】

<実施例2〜3><比較例1〜2>
【0018】
実施例1のKP545/SA単分散シリカをチタンマイカに全量置換したものを比較例1、実施例1のリンゴ酸イソステアリルを16質量%に増量し、油性成分の合計を25質量%以上とし、粉体チタンマイカをその分減量したものを比較例2とした。ガラスフレークであるリフレクスピンポイントオブパールを2質量%とし、減量した分をチタンマイカとしたものを実施例2,チタンマイカを9質量%とし、減量分をプロミネンスSFとしたものを実施例3とした。
<試験例1>
【0019】
<試験例1>
サンプルを測色用のセルに充填し、色彩色差計(コニカミノルタCR400)で5回測色し、標準白色板に対するΔE値を求め、その5回に於ける分散を算出した。結果を表2に示す。これより、本発明の化粧料は分散値が高く、パール光沢の程度が著しいことが判った。ガラスフレークを実施例1から減量した実施例2、チタンマイカを減量した実施例3のパール光沢の程度が実施例1より低いことから、ガラスフレーク、チタンマイカともに特定の範囲以上に含有されることが効果を向上させ、チタンマイカ10質量%以上、ガラスフレーク3質量%以上含有させることが好ましいことが明かとなった。
【0020】
【表2】

【0021】
<試験例2>
シリコーンラバー上にドクターブレードで30ミルの厚さにサンプルの薄膜を引き、この薄膜に90度の方向から光を照射し、20度、75度のグロス値を測定しこの差を算出した。結果を表3に示す。これより、本発明の化粧料の化粧膜のグロス値には確度依存性が存し、パール粉体が一定方向に配向していることが判る。リフレクスピンポイントオブパールを減量した実施例2,チタンマイカを減量した実施例3は実施例1より配向性が劣ることから、チタンマイカを10質量%以上、ガラスフレークを3質量%以上である方がパール剤の光学的効果が高いことが明らかとなった。

【0022】
【表3】

【0023】
実施例1のチタンマイカの量を35質量%又はリフレクスピンポイントオブパールの量を12質量%とし、増加分をそれぞれPSAタルクを減量して調製したものを実施例4,5とした。これらを用いて試験例1、試験例2の方法と同様に光学的効果を測定した。その結果は実施例4,5のΔE値のSDはそれぞれ1.25,1.32と実施例1より低い値を示し、Δグロス値も0.7,0.8と実施例1より低い結果を示したことから、チタンマイカはパール剤組成において、10乃至30質量%、ガラスフレークは3乃至10質量%程度の範囲であることが、パール剤の光学効果を発揮するのに好ましいことが明らかとなった。
【0024】
<試験例3>
専門パネラー5名を用いて外観上の仕上がりを評価した。評価項目は、みずみずしさであった。みずみずしさは、
評点1:みずみずしさを感じない
評点2:みずみずしさをやや感じる
評点3:みずみずしさが認知できる
評点4:非常にみずみずしい
の基準で評点を付した。結果を出現例数として、表4に示す。これより、本発明の油性化粧料は、みずみずしさを付与する特性を有していることが判る。
【0025】
【表4】

【0026】
<参考例>
オイルゲル化粧料に於ける、多重表面処理単分散シリカの効果を調べた。即ち、下記処方成分を90℃に加熱し、混合し、しかる後に金皿に流し込み、冷却固化させてオイルゲル化粧料1を得た。オイルゲル化粧料1の多重表面処理単分散シリカをシクロメチコンに置換して、同様に操作して得たオイルゲル化粧料2と「みずみずしさ」「ツヤ感」を比較したがこれら2品の間の差異は感じられなかった。これよりみずみずしい光学効果は油性成分によって減じられることが判明した。
【0027】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、油性化粧料として応用できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)粉体40乃至90質量%と、2)油性成分10乃至25質量%とを含有する化粧料であって、少なくとも2種の表面処理を順次施した単分散シリカであって、少なくとも2種の表面処理剤による被膜が外側に向かうほど屈折率が低いものであるシリカを含有することを特徴とする、油性化粧料。
【請求項2】
前記シリカの被覆が外側に向かい、アクリル酸アルキルコポリマー、トリメトキシシリルジメチコンの順に被覆されている、シリカ−アクリル酸アルキルコポリマー−トリメトキシシリルジメチコンの層構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の油性化粧料。
【請求項3】
前記少なくとも2種の表面処理を順次施した単分散シリカの含有量は、0.01〜1.0質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の油性化粧料。
【請求項4】
粉体として、パール剤を30乃至50質量%含有することを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の油性化粧料。
【請求項5】
パール剤の組成として、着色されていても、表面処理されていても良いチタンマイカを10〜30質量%含有することを特徴とする、請求項1から4何れか1項に記載の油性化粧料。
【請求項6】
パール剤の組成として、ガラスフレーク3乃至10質量%を含有することを特徴とする、請求項1から5の何れか1項に記載の油性化粧料。
【請求項7】
前記粉体に於いて、前記少なくとも2種の表面処理を順次施した単分散シリカの含有量と、パール剤の含有量の比は、1:30〜1:150であることを特徴とする、請求項1〜6何れか1項に記載の油性化粧料。
【請求項8】
製造工程において、土練機による混練り工程を有することを特徴とする、請求項1〜7何れか1項に記載の油性化粧料。




【公開番号】特開2010−173948(P2010−173948A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16134(P2009−16134)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】