説明

油溶性固体日焼け止め剤を含むパーソナルケア組成物

一実施形態では、油中水型エマルションの形態のパーソナルケア組成物は、少なくとも約10%の無極性シリコーン油と、約0.01%〜約10%の第1油溶性固体日焼け止め剤と、約0.01%〜約10%の第2油溶性固体日焼け止め剤と、を含む。第1日焼け止め剤の第2日焼け止め剤に対する重量比率は、約0.8〜約2.0、又は、約1.0〜約1.5であり得る。第1日焼け止め剤は、オキシベンゾンであり得る。第2日焼け止め剤は、アボベンゾンであり得る。組成物は、ビタミンB3化合物、糖アミン、ペプチド、ヘキサミジン化合物及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるスキンケア活性物質を更に含み得る。別の実施形態では、本発明は、油中水型エマルションの油相中において第2油溶性固体日焼け止め剤の溶解度を改善するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1油溶性固体日焼け止め剤と、第2油溶性固体日焼け止め剤と、無極性シリコーン油と、を含む油中水型エマルションの形態のパーソナルケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
有効性の高い日焼け止め剤の大部分は、油状又は油溶性である。これらの日焼け止め剤は、UVブロックのために必要であるが、不快な、重く油っぽい皮膚感触を有し、日焼け止め剤の安定性、及び、他の成分との適合性などの、製剤の難しさを呈する。日焼け止め組成物に関連する重く油っぽい皮膚感触に対処するために、このような製品は、一般的にエマルションとして製剤される。このようなエマルションの大部分は、水相(ほとんどの場合、主に水である)が高分子増粘剤で増粘されている水中油型エマルションである。水中油型エマルションについての1つの問題は、水系であることから、例えば、発汗、水泳又は手洗いの後に、あまりにも容易に皮膚からすすぎ又はこすり落とされることである。逆エマルション(油中水型)の形態の日焼け止め組成物はほとんど存在しない。逆エマルションは、脂状の及び重い感触がする傾向を有する。快い肌触りを有すると共にあまりにも容易にすすぎ又はこすり落とされはしない油中水型エマルションを含む日焼け止め剤組成物を提供するという要望がある。この要望を成就するために、シリコーン油は、主要な油相成分として組成物中に組み込まれ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、シリコーン油を日焼け止め剤組成物の中に組み込むことで、日焼け止め剤溶解度などの他の問題が決定的になる。日焼け止め剤溶解度が乏しいと、日焼け止め剤は特定の濃度又は温度にて油相から沈殿し、その結果、使用者が見て感じることができる結晶、並びに、UV保護効果を低減させる又は制限する組成物を生じる。通常、液体日焼け止め剤をシリコーン油中に可溶化することは、シリコーン油中に固体日焼け止め剤を可溶化することよりも容易である。広域スペクトルUV保護に関して、典型的には、UV−Aブロッキング日焼け止め剤とUV−Bブロッキング日焼け止め剤との組み合わせを使用することが必要である。有効なUV−Bブロッキング日焼け止め剤は液体及び固体形態の両方で入手可能である一方で、使用が現在認可されている最も有効なUV−Aブロッキング日焼け止め剤のほぼ全ては固体形態でのみ入手可能である。極性油溶媒は、固体UV−Aブロッキング日焼け止め剤を可溶化するのを助けるために使用され得るが、より多くの溶媒が組成物に添加されるにつれて、組成物の感触は、より脂状になり、重くなり、不快になる。高濃度又は高温においても固体日焼け止め剤が油相から分離しないように、より多くの溶媒を添加することなく、固体UV−Aブロッキング日焼け止め剤のシリコーン油中での溶解度を改善する必要が存在する。更に、快い肌触り及び十分なUVブロックを有する日焼け止め剤組成物を提供する必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
より多くの固体日焼け止め剤を油中水型エマルションの油相に添加することは、達成すべき溶解度の実現をより困難にするものと思われ得る。しかしながら、驚いたことに、より多くの固体日焼け止め剤を油相に添加すると、溶解度が改善することが判明した。実際、2つのタイプの固体日焼け止め剤は、1つのタイプの固体日焼け止め剤単独よりも、シリコーン油中に可溶化する。例えば、2つの固体日焼け止め剤、オキシベンゾン及びアボベンゾン、を含む組成物中では、オキシベンゾンの分量が増加すると、アボベンゾンは、より低頻度でシリコーン油から沈殿する傾向を有することが判明した。これらの予期せぬ発見の結果として、より多くのオキシベンゾンが、日焼け止め剤溶媒の代わりに組成物中で使用され得る。このアプローチは、より良好な肌触りで、かつ、結晶化問題がない状態で、より高いUV−A有効性を提供する。
【0005】
一実施形態では、パーソナルケア組成物は、少なくとも約10%の無極性シリコーン油と、約0.01%〜約10%の第1油溶性固体日焼け止め剤と、約0.01%〜約10%の第2油溶性固体日焼け止め剤と、を含む油中水型エマルションの形態である。この実施形態では、第2油溶性固体日焼け止め剤に対する第1油溶性固体日焼け止め剤の重量比率は約0.8〜約2.0であり、第1油溶性固体日焼け止め剤はオキシベンゾンである。
【0006】
別の実施形態では、パーソナルケア組成物は、少なくとも約10%の無極性シリコーン油と、約0.1%〜約10%のオキシベンゾンと、約0.1%〜約10%のアボベンゾンと、を含む油中水型エマルションの形態である。この実施形態では、アボベンゾンに対するオキシベンゾンの重量比率は約0.8〜約2.0である。
【0007】
更なる実施形態では、パーソナルケア組成物は、少なくとも約10%の無極性シリコーン油と、約1%〜約6%のオキシベンゾンと、約1%〜約5%のアボベンゾンと、ビタミンB3化合物、糖アミン、ペプチド、ヘキサミジン化合物及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるスキンケア活性物質と、を含む油中水型エマルションの形態である。この実施形態では、アボベンゾンに対するオキシベンゾンの重量比率は約1.0〜約1.5である。
【0008】
別の実施形態では、本発明は、第1油溶性日焼け止め剤と第2油溶性日焼け止め剤とを組み合わせる工程を含む、油中水型エマルションの油相における第2油溶性固体日焼け止め剤の溶解度を改善するための方法に関する。この実施形態では、第2油溶性固体日焼け止め剤に対する第1油溶性固体日焼け止め剤の重量比率は約1.0〜約1.5であり、第1油溶性固体日焼け止め剤はオキシベンゾンである。
【0009】
更に別の実施形態では、パーソナルケア組成物は、少なくとも約10%の無極性シリコーン油と、約0.01%〜約10%の第1油溶性固体日焼け止め剤と、約0.01%〜約10%の第2油溶性固体日焼け止め剤と、を含む。この実施形態では、第2油溶性固体日焼け止め剤に対する第1油溶性固体日焼け止め剤の重量比率は約0.8〜約2.0である。
【0010】
更なる実施形態では、パーソナルケア組成物は、少なくとも約10%の無極性シリコーン油と、約0.01%〜約10%の第1油溶性固体日焼け止め剤と、約0.01%〜約10%の第2油溶性固体日焼け止め剤と、を含む油中水型エマルションの形態である。この実施形態では、第2油溶性固体日焼け止め剤に対する第1油溶性固体日焼け止め剤の重量比率は約0.8〜約2.0である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書は、本発明を特に指摘し明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、添付図面と併せてなされる以下の説明から一層理解されるであろうと考えられる。
【図1】溶解度試験Aの結果のグラフ。
【図2】溶解度試験Bの結果のグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
全ての百分率は、特に記載のない限り、パーソナルケア組成物の重量による。特に別段の指定がない限り、比率は全て、重量比率である。有効数字の数は、指示されている量を限定するものでもなく、測定の精度を限定するものでもない。全ての測定は、約25℃及び周囲条件で行われると理解され、ここで「周囲条件」とは、約1気圧及び相対湿度約50%という条件を意味する。範囲はすべて、包括的かつ結合可能である。よって、本明細書全体において与えられる範囲はすべて、そのより広い範囲幅内に収まる狭い範囲のすべてを包含し、そのような狭い範囲もすべて本明細書に明示的に記載されているのと同じになる。
【0013】
本明細書で使用するとき、「パーソナルケア組成物」は、哺乳類のケラチン組織上への局所適用に好適な組成物を意味する。本発明の組成物は、スキンケア、化粧及びヘアケア製品に使用され得る。その非限定的用途としては、制汗剤、脱臭剤、ローション(例えば、ハンドローション及びボディローション)、スキンケア製品(例えば、フェイス及びネックローション、美容液、スプレー)、サンレスタナー、化粧品(例えば、ファウンデーション、コンシーラー、ブラシ、リップスティック、リップグロス)、脱毛剤、シャンプー、コンディショニングシャンプー、ヘアコンディショナー、毛髪染料、ボディウォッシュ、加湿ボディウォッシュ、シャワーゲル、皮膚クレンザー、クレンジングミルク、ヘア及びボディウォッシュ、インシャワーボディモイスチャー、ペットシャンプー、剃毛調剤、アフターシェーブ、かみそり加湿/潤滑ストリップ、かみそりシェーブゲルバー、固形石鹸、洗浄製品、女性用ケア製品、口腔ケア製品及び乳児ケア製品が挙げられる。
【0014】
本明細書で使用するとき、「ケラチン組織」は、皮膚、毛髪及び爪が挙げられるが、これらに限定されない哺乳類の最も外側の保護カバーとして配置されるケラチン含有層を指す。
【0015】
本明細書で使用するとき、「可溶性」及び「溶解度」は、−7℃〜25℃の範囲の温度にて最大1ヵ月にわたって保管したときに、成分の沈殿又は結晶化が全く生じない組成物を指す。
【0016】
本明細書で使用するとき、「誘導体」は、関連化合物のエステル、エーテル、アミド及び/又は塩誘導体を意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、「極性」は、7.4(カロリー/cm30.5以上〜約11(カロリー/cm30.5の溶解度パラメーターを有する物質を意味する。本明細書で使用するとき、「無極性」は、7.4(カロリー/cm30.5未満の溶解度パラメーターを有する物質を意味する。溶解度パラメーターは、C.D.Vaughan「The Solubility Parameter:What is it?」(Cosmetics & Toiletries vol.106、1991年11月、pp.69〜72)によって、より詳細に論じられている。溶解度パラメーターは、Barton,AFM(1991),Handbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameters,2nd edition,CRC Pressで論じられている手順に従って測定又は算出され得る。
【0018】
I.パーソナルケア組成物
一実施形態では、本発明のパーソナルケア組成物は、油中水型エマルションである。特定の実施形態では、パーソナルケア組成物は、約5,000cps(センチポアズ)〜約1,000,000cps、又は、約10,000cps〜約500,000cps、又は、約15,000cps〜約200,000cpsの粘度を有する。
【0019】
一実施形態では、パーソナルケア組成物は、少なくとも約5%の水相を含む。特定の実施形態では、パーソナルケア組成物は、組成物の約10重量%〜約80重量%、又は、約10重量%〜約60重量%の水相を含み得る。エマルション中で、水相は、内相又は不連続相であり得る。
【0020】
水相は、典型的には水を含む。一実施形態では、水相は水のみを含み得る。他の実施形態では、水相は、ケラチン組織に高い効果を付与するために、水溶性保湿剤、コンディショニング剤、塩、抗菌剤、湿潤剤、及び/又は他の水溶性スキンケア活性物質が挙げられるが、これらに限定されない水以外の成分(すなわち、非水成分)を含み得る。一実施形態では、パーソナルケア組成物の水相は、グリセリン及び/又は他のポリオールなどの湿潤剤を含む。水相は、実質的に一切水を含まなくてもよい。
【0021】
一実施形態では、パーソナルケア組成物は、少なくとも約15%の油相を含む。特定の実施形態では、パーソナルケア組成物は、組成物の約20重量%〜約90重量%、又は、約40重量%〜約80重量%の油相を含む。エマルション内で、油相は外相又は連続相であり得る。
【0022】
油相は、シリコーン油、非シリコーン油(炭化水素油、エステル、エーテル、これらに類するものなど)及びこれらの混合物を含み得る。好ましい実施形態では、油相は、シリコーン油を含む。
【0023】
A.無極性シリコーン油
パーソナルケア組成物は、無極性シリコーン油を含み得る。特定の実施形態では、無極性シリコーン油は、7.4(カロリー/cm30.5未満の溶解度パラメーターを有し得る。特定の実施形態では、パーソナルケア組成物は、組成物の少なくとも約10重量%又は少なくとも約20重量%又は少なくとも約30重量%又は少なくとも約40重量%の無極性シリコーン油を含み得る。
【0024】
好適な無極性シリコーン油の非限定例としては、シクロメチコン(シクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン)、ジメチコン及びこれらの混合物といった直鎖及び環状ポリジメチルシロキサンが挙げられる。これらのタイプのシリコーンの市販例としては、Dow Corning 200シリーズ、Dow Corning 344及びDow Corning 345(全てDow Corning(商標)Corp.から入手可能);及びSF1202、SF1204、及びViscasil(商標)シリーズ(全て、G.E.Silicones(商標)から入手可能)が挙げられる。更なる無極性シリコーン油としては、アルキル(例えば、炭素数2〜30)、及びアリール(例えば、フェニル又はスチレニル)置換シリコーンが挙げられ、例えば、フェニルメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルエチルジメチコン、ヘキシルジメチコン、ラウリルジメチコン、セチルジメチコン、ステアリルジメチコン、ビス−ステアリルジメチコン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、無極性シリコーン油は低粘性であり、これは50cst未満の粘度を意味する。
【0025】
B.油溶性固体日焼け止め剤
パーソナルケア組成物は、少なくとも2つの油溶性固体日焼け止め剤を含み得る。本明細書で使用するとき、「油溶性固体日焼け止め剤」は、極性油中で可溶化する可能性を有する、市販の精製された形態の、結晶及び/又は固体化合物である日焼け止め剤を意味する。一実施形態では、油溶性固体日焼け止め剤は、約7.4(カロリー/cm30.5〜約11(カロリー/cm30.5の溶解度パラメーターを有し得る。最大のUV保護を提供するためには、油溶性固体日焼け止め剤が最終パーソナルケア組成物中に実質的に溶解し、それにより、固体形態を維持しないことが好ましい。
【0026】
好適な油溶性固体日焼け止め剤としては、アボベンゾン(ブチルメトキシジベンゾイルメタン;DSM Nutritional Products,Inc.からParsol 1789として市販されている)、オキシベンゾン(ベンゾフェノン−3;SymriseからNeo Heliopan BBとして市販されている)及びベモトリジノール(ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン;Ciba Corp.からTinosorb Sとして市販されている)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート(BASFからUvinul A Plusとして市販されている)、エチルヘキシルトリアゾン(BASFからUvinul T150として市販されている)、4−メチルベンジリデンカンファー(DSM Nutritional Products,Inc.からParsol 5000として市販されている)並びにこれらの誘導体及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適な油溶性固体日焼け止め剤の追加的非限定例は、The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance AssociationのThe International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,10th Ed.,Gottschalck,T.E.and McEwen,Jr.,Eds.(2004),p.2267及びpp.2292〜93に開示されている。
【0027】
特定の実施形態では、パーソナルケア組成物は、組成物の約0.1重量%〜約10重量%、又は、約1重量%〜約6重量%、又は、約1.5重量%〜約4重量%の第1油溶性固体日焼け止め剤を含む。特定の実施形態では、第1油溶性固体日焼け止め剤は、UV−Bブロッキング日焼け止め剤である。他の実施形態では、第1油溶性固体日焼け止め剤は、UV−Aブロッキング日焼け止め剤である。例示的な第1油溶性固体日焼け止め剤は、オキシベンゾンである。特定の実施形態では、パーソナルケア組成物は、組成物の約0.1重量%〜約10重量%、又は、約1重量%〜約5重量%、又は、約1.5重量%〜約3重量%の第2油溶性固体日焼け止め剤を含む。特定の実施形態では、第2油溶性固体日焼け止め剤は、UV−Aブロッキング日焼け止め剤である。例示的な第2油溶性固体日焼け止め剤は、アボベンゾンである。
【0028】
驚いたことに、第2油溶性固体日焼け止め剤に対する第1油溶性固体日焼け止め剤の特定の重量比率内において、第1油溶性固体日焼け止め剤は、第2油溶性固体日焼け止め剤の溶解度を改善することが判明した。これは、溶解度についての当該技術分野において既知である「より多くの固体日焼け止め剤を添加すると溶解度を悪化させるようだ」という考えに対抗するものと考えられる。実際、第2油溶性固体日焼け止め剤に対する第1油溶性固体日焼け止め剤の重量比率が特定の重量比率から離れる場合、第2油溶性固体日焼け止め剤は沈殿又は結晶化する。特定の実施形態では、第2油溶性固体日焼け止め剤に対する第1油溶性固体日焼け止め剤の重量比率は約0.8〜約2.0、又は、約1.0〜約1.5、又は約1.2〜約1.4である。
【0029】
C.極性油
パーソナルケア組成物は、極性油を含み得る。特定の実施形態では、組成物は、組成物の約2重量%超、又は、約5重量%超、又は、約10重量%超の極性油を含み得る。一部の実施形態では、極性油は、約7.4(カロリー/cm30.5〜約11(カロリー/cm30.5の溶解度パラメーターを有し得る。
【0030】
好適な極性油としては、エーテル、エステル、アミド、プロポキシレート、及びこれらの混合物が挙げられる。上述の油は、飽和、不飽和、脂肪族(直鎖又は分枝鎖)、脂環式、又は芳香族であり得る。
【0031】
好適な非日焼け止め剤極性油としては、ブチル及びイソプロピルフタルイミド(Pelemol(商標)BIP)、安息香酸フェニルエチル(X−tend(商標)226)、炭酸ジカプリリル(Tegosoft(商標)DEC)、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル(Eldew(商標)SL 205)、オクチルサリチル酸ブチル(Hallbrite(商標)BHB)、リンゴ酸ジオクチル、マレイン酸ジカプリリル(Hallbrite(商標)DCM)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジブチル(Cetiol B)、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソプロピル、ジカプリル酸プロピレングリコール、C12〜15アルコールベンゾエート(Finsolv TN)、PPG−11ステアリルエーテル並びにこれらの誘導体並びに混合物が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、組成物は、組成物の約10重量%以下又は約5%以下又は約2重量%以下の非日焼け止め剤極性油を含み得る。
【0032】
好適な日焼け止め剤極性油としては、エチルヘキシルメトキシ−シンナメート(オクチノキサート)、エチルヘキシルサリチレート(オクチサレート)、オクトクリレン、ホモサラート、メンチルアントラニレート(メラジメート)及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。極性油であると考えられるためには、日焼け止め剤は、液体形態であるべきである。一実施形態では、組成物は、1つ以上の日焼け止め剤極性油を含む。
【0033】
D.非乳化シリコーンエラストマー
パーソナルケア組成物は、非乳化シリコーンエラストマーを含み得る。「非乳化シリコーンエラストマー」は、シリコーンエラストマーがポリオキシアルキレン基を全く含まないことを意味する。典型的には、これらの非乳化シリコーンエラストマーは、無極性シリコーン油の中で膨潤した状態で、及び/又は、無極性シリコーン油とブレンドされた状態で、供給される。
【0034】
好適な非乳化シリコーンエラストマーとしては、CTFA(Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,11th ed.)に指定されている、General Electric(商標)(SFE 839)、Shin Etsu(商標)(KSG 15及び16)により供給されているようなジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、並びにShin Etsu(商標)から入手可能なKSG 18などのジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマーが挙げられる。他の例示的なシリコーンエラストマーとしては、CFTAに指定されている、Dow Corning(商標)(DC 9040、DC 9041、DC 9045)といったジメチコンクロスポリマーが挙げられる。
【0035】
E.乳化剤
パーソナルケア組成物は、直鎖、分枝鎖及び/又は架橋性であり得る1つ以上の乳化剤を含み得る。特定の実施形態では、パーソナルケア組成物は、全体で組成物の約0.05重量%〜約20重量%、又は、約0.1重量%〜約10重量%の乳化剤を含み得る。乳化剤の非限定例は、米国特許第3,755,560号、同第4,421,769号、及びMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition and International Edition,pages 235〜246(1993)に開示されている。
【0036】
乳化剤としては、乳化シリコーンエラストマーを挙げてもよい。好適な乳化シリコーンエラストマーは、少なくとも1つのポリアルキルエーテル又はポリグリセロール化単位を有する架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを含む。これら架橋エラストマーはまた、共修飾されて、アルキル置換基を含み得る。特に有用な乳化ポリオキシエチレン架橋エラストマーとしては、Shin Etsu製KSG−21、KSG−210、KSG−24、KSG−240、KSG−31、KSG−310、KSG−32、KSG−320、KSG−33、KSG−330、KSG−34、及びKSG−340が挙げられる。
【0037】
直鎖又は分枝鎖型シリコーン乳化剤も、本出願で有用である。特に有用なポリエーテル修飾エラストマーとしては、Shin Etsu製KF−6011、KF−6012、KF−6013、KF−6015、KF−6016、KF−6017、KF−6043、KF−6028、及びKF−6038が挙げられる。
【0038】
F.任意成分
1.微粒子物質
特定の実施形態では、パーソナルケア組成物は、組成物の約0.1重量%〜約40重量%、又は、約1重量%〜約30重量%、又は、5重量%〜約20重量%の1つ以上の微粒子物質を含む。好適な粉末の非限定例としては、無機粉末(例えば、酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ)、有機粉末、複合粉末、光学的光沢剤粒子、及び前述のいずれかの混合物が挙げられる。これら微粒子は、例えば、小板形、球形、細長い形状若しくは針形、又は不規則形状、表面コーティング有り若しくは無し、有孔若しくは無孔、荷電若しくは非荷電であってよく、及び本組成物に粉末として又は予め分散させて添加することができる。一実施形態では、微粒子物質は、疎水性コーティングされている。
【0039】
好適な有機粉末微粒子物質としては、メチルシルセスキオキサン樹脂微小球(例えば、Tospearl(商標)145A(東芝シリコーン))から選択される高分子粒子;ポリメチルメタクリレートの微小球(例えばMicropearl(商標)M 100(Seppic));架橋ポリジメチルシロキサンの球状粒子(例えば、Trefil(商標)E 506C又はTrefil(商標)E 505C(Dow Corning Toray Silicone);ポリアミドの球状粒子(例えばナイロン−12及びOrgasol(商標)2002D Nat C05(Atochem));ポリスチレン微小球(例えばDynospheres(商標)の名でDyno Particlesから販売)及びエチレンアクリレートコポリマー(FloBead(商標)EA209(Kobo)の名で販売);デンプンオクテニルコハク酸アルミニウム(例えば、Dry Flo(商標)(National Starch));ポリエチレン微小球(例えば、Microthene(商標)FN510−00(Equistar)及びMicropoly(登録商標)220L(Micro Powders,Inc.));ポリプロピレンの微小球(例えば、Mattewax(商標)511(Micro Powders,Inc.);シリコーン樹脂;L−ラウロイルリジンから製造される小板形状粉末;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
一実施形態では、組成物は、疎水変性干渉顔料などの干渉顔料を含む。本明細書において、「干渉顔料」とは、厚さが制御された2つ以上の層を有する薄い板状の層状粒子を意味する。層は、異なる屈折率を有し、これによって、板状粒子の異なる層からの典型的には2つの、ただし時折それ以上の光反射の干渉によって特有の反射色が生じる。干渉顔料の一例は、約50〜300nmのTiO2、Fe23、シリカ、酸化スズ、及び/又はCr23フィルムと共に層化された雲母であり、真珠光沢顔料を含む。干渉顔料は、例えば、Rona(Timiron(商標)及びDichrona(商標))、Presperse(Flonac(商標))、Englehard(Duochrome(商標))、Kobo(Interfine、Interval、SK−45−R及びSK−45−G)、BASF(Sicopearls(商標))及びEckart(Prestige(商標))といった広範な供給元から市販されている。一実施形態では、干渉顔料の個々の粒子の最も長い側面の平均直径は、約75マイクロメートル未満、あるいは約50マイクロメートル未満である。
【0041】
微粒子はまた、着色剤も含み得る。好適な着色剤の非限定例としては、酸化鉄、フェロシアン化第2鉄アンモニウム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、及び酸化クロム、フタロシアニンブルー、及びグリーン顔料、カプセル化染料、無機白色顔料、例えば、TiO2、ZnO、又はZrO2、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0042】
2.不溶性日焼け止め剤
一実施形態では、パーソナルケア組成物は、組成物の約0.001重量%〜約10重量%、又は、約0.1重量%〜約5重量%の不溶性日焼け止め剤を含む。好適な不溶性日焼け止め剤の非限定例としては、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチル−フェノール(Tinosorb M)、二酸化チタン、酸化亜鉛セリウム、酸化亜鉛及びこれらの誘導体及び混合物が挙げられる。
【0043】
3.スキンケア活性物質
パーソナルケア組成物の特定の実施形態は、1つ以上のスキンケア活性剤を含む。好適なスキンケア活性物質としては、ビタミン、ペプチド、糖アミン、オイルコントロール剤、日焼け活性物質、抗ニキビ活性物質、落屑活性物質、抗セルライト活性物質、キレート剤、美白剤、フラボノイド、タンパク質分解酵素抑制剤、非ビタミン酸化防止剤及びラジカルスカベンジャー、育毛調整剤、しわ防止活性物質、抗皮膚萎縮活性物質、ミネラル、フィトステロール及び/又は植物ホルモン、チロシナーゼ抑制剤、抗炎症剤、N−アシルアミノ酸化合物、抗菌剤、並びに抗カビ剤が挙げられるが、これらに限定されない。これらのスキンケア活性物質及びその他は、米国特許出願公開第2006/0275237(A1)号、同第2004/0175347(A1)号及び同第2006/0263309(A1)号に更に詳細が提供されている。
【0044】
特に好適な皮膚活性物質としては、ビタミンB3化合物、糖アミン、ペプチド、ヘキサミジン化合物及びこれらの組み合わせが挙げられる。本明細書で使用するとき、「ビタミンB3化合物」は、次式を有する化合物を意味する。
【0045】
【化1】

式中、Rは、−CONH2(すなわち、ナイアシンアミド)、−COOH(すなわち、ニコチン酸)又は−CH2OH(すなわち、ニコチニルアルコール);これらの誘導体;及び前述のいずれかの塩である。本明細書で使用するとき、「糖アミン」は、その異性体及び互変異性体、並びにその塩(例えば、HCl塩)及びその誘導体を包含する。糖アミンの例としては、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、マンノサミン、N−アセチルマンノサミン、ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、これらの異性体(例えば、立体異性体)、及びこれらの塩(例えば、HCl塩)が挙げられる。本明細書で使用する時、「ペプチド」は10以下のアミノ酸を含有するペプチド及びその誘導体、異性体、並びに金属イオン(例えば、銅、亜鉛、マンガン、マグネシウムなど)のような他の種との錯体を指す。本明細書で使用するとき、「ヘキサミジン化合物」は、次式を有する化合物を意味する。
【0046】
【化2】

式中、R1及びR2は任意であるか、又は、有機酸(例えば、スルホン酸など)及びその塩及び誘導体である。
【0047】
更に好適なスキンケア活性物質としては、白茶抽出物、緑茶抽出物、朝鮮人参及び他の天然又は植物性化合物が挙げられる。
【0048】
4.追加の任意成分
特定の実施形態では、本発明の組成物は、広い範囲の追加成分を含み得る。CTFA(Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,11th ed.)は、スキンケア産業で通常使用される広い範囲の非限定的な化粧品及び医薬品を記載しており、これらは本発明の用途にも利用可能である。例示的機能部類としては、研磨材、吸収剤、美容成分、例えば、芳香剤、顔料、染色/着色剤、精油、皮膚感覚剤、収れん剤など(例えば、丁子油、メントール、カンファー、ユーカリ油、オイゲノール、メンチルラクテート、ウィッチヘーゼル留出物)、抗ニキビ剤、固化防止剤、消泡剤、抗菌剤、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加物、緩衝剤、充填剤、キレート化剤、化学添加物、着色剤、化粧用収れん剤、化粧用殺生物剤、変性剤、薬用収れん剤、皮膚軟化剤、外用鎮痛剤、被膜形成体又は物質、不透明化剤、pH調整剤、噴射剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、皮膚脱色及び美白剤、スキンコンディショニング剤(例えば、その他の湿潤剤及び閉塞性湿潤剤)、皮膚鎮静剤及び/又は回復剤(例えば、パンテノール及び誘導体(例えば、エチルパンテノール)、アロエベラ、パントテン酸及びその誘導体、アラントイン、ビサボロール、及びグリチルリチン酸二カリウム)、皮膚処理剤、濃厚剤、及び、ビタミン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。一実施形態では、本発明の組成物は、無極性炭化水素油を含み得る。好適な無極性炭化水素油の非限定例としては、鉱油及び分枝鎖炭化水素(例えば、Permethyl(商標)(Permethyl Corporation(商標))及びIsopar(商標)(Exxon(商標)))が挙げられる。
【0049】
II.方法
本発明は更に、油中水型エマルションの油相における油溶性固体日焼け止め剤の溶解度を改善する方法に関する。一実施形態では、油中水型エマルションの油相における第2油溶性固体日焼け止め剤の溶解度は、第1油溶性日焼け止め剤と第2油溶性日焼け止め剤とを組み合わせることにより改善され、ここで、第2油溶性固体日焼け止め剤に対する第1油溶性固体日焼け止め剤の重量比率は約1.0〜約1.5である。特定の実施形態では、第1油溶性固体日焼け止め剤はオキシベンゾンであり、第2油溶性固体日焼け止め剤はアボベンゾンである。
【0050】
本発明は更に、上記パーソナルケア組成物のいずれかをケラチン組織に適用することにより、紫外線の有害な影響からケラチン組織を保護する方法に関する。このような方法は、一般的に、ケラチン組織に達する紫外線の量を軽減する又は減少させることを伴う。特定の実施形態では、本明細書に記載のパーソナルケア組成物は、日焼け、乾燥又は毛髪の損傷及び皮膚の早期老化などの紫外線の有害な影響からのケラチン組織の保護を提供するための日焼け止め剤として使用するのに好適である。
【0051】
更なる態様では、パーソナルケア組成物は、ケラチン組織の状態を改善又は調節するために使用され得る。改善又は調節される状態としては、皮膚の明度又は「輝き(glow)」を増加させること、しわ及び粗く深い線、細い線、裂け目、突出、及び大きな毛穴の外観を減らすこと;ケラチン組織を厚くすること(例えば、皮膚の表皮及び/又は真皮及び/又は皮下層を構築すること、皮膚、毛髪、又は爪の萎縮を減少させるために、爪及び毛幹の角質層に適用可能);真皮−表皮の境界でのよれを増やすこと(乳頭間隆起としても知られる);皮膚又は毛髪弾性の損失を防止すること、例えば損失、ダメージ及び/又は機能的皮膚エラスチンの不活性化に起因して、これらは結果的に弾力線維症、弛み、皮膚又は毛髪の変形からの反跳の損失状態を生じる;セルライトの減少;皮膚、毛髪、又は爪の着色の変化、例えば目の下の円形、しみだらけの状態(すなわち、一様でない赤色の着色、例えば酒さに起因するもの)、血色の悪さ、毛細血管拡張症又はクモ状血管(spider vessels)によって引き起こされる変色、乾燥、もろさ、及び白くなりかけた髪のうち1つ以上が挙げられる。
【実施例】
【0052】
パーソナルケア組成物の非限定例について以下に記載する。報告する百分率は、パーソナルケア組成物の総重量の百分率として表される成分の重量を示す。各実施例は、本明細書に開示される量で1つ以上の任意成分を含んでもよい。「実施例」は以下のように調製され得る。
【0053】
好適な容器内で、水相成分を組み合わせ、穏やかに混合しながら90℃に加熱する。別の容器内で、日焼け止め剤(例えば、オクチサレート、ホモサラート、オクトクリレン、アボベンゾン、オキシベンゾン)、極性油(例えば、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル)及びワックス(例えば、Cirebelle 303、Accumelt 72、Accumelt 82又はAccumelt 90)を組み合わせ、混合しながら90℃に加熱する。両方の溶液が裸眼では半透明であり、かつ、微粒子を含まない場合、温水相を日焼け止め剤混合物に注入し、次に直ちに、残りのシリコーン相成分を同じ容器に加える。生成物の温度をワックス融点よりも高く維持しながら、滑らかかつ均質になるまで激しく撹拌する。熱源から生成物を取り出し、一定撹拌しながら33℃に冷却する。容器の側面から掻き取り、頻繁に生成物が均質に剪断されているか確かめる。生成物を好適な容器に移す。
【0054】
あるいは、生成物は、冷却時に剪断せずに調製することもできる。この場合、熱源から取り出したら、ホットエマルションを直ちに好適な容器に注入し、室温まで放冷する。
【0055】
【表1】

1 Dow Corning(商標)(Midland,MI)製のジメチコンクロスポリマー(約12%)及びシクロペンタシロキサン(約88%)。
2 Shin−Etsu(商標)(Newark,CA)製のPEG−15/ラウリルジメチコンクロスポリマー及び鉱油。
3 Momentive(商標)Performance Materials,Inc.(Albany,NY)製のポリメチルシルセスキオキサン。
4 Micro Powders,Inc.(Tarrytown,NY)製のポリプロピレン。
5 Micro Powders,Inc.(Tarrytown,NY)製のポリエチレン。
6 Cabot Corp製のヒュームドシリカ。
7 National Starch & Chemical Company(Bridgewater,NJ)製のDry−Flo PC。
8 Arch Chemicals,Inc.(South Plainfield,NJ)製のポリエチレンワックス。
9 The International Group Inc.(Toronto,Ontario)製の合成ワックス。
10 Shin−Etsu(商標)(Newark,CA)製のラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン。
11 Shin−Etsu(商標)(Newark,CA)製のラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン。
12 Carrubba,Inc.(Milford,CT)製の白茶抽出物。
13 Symrise(Teterboro,NJ)製の朝鮮人参。
14 Sederma,Inc.(Edison,NJ)製のアンチエイジングペプチド溶液。
【0056】
IV.比較例
以下の2つの溶解度試験は、2つの油溶性固体日焼け止め剤の請求された組み合わせからの溶解度の予想外の改善を示す。これらの溶解度試験のために、油中水型エマルションの油相を、好適な容器内で成分を組み合わせ、混合しながら90℃に加熱し、次に、混合しながら室温に冷却することにより、作製した。各試験についての油相組成物は、下表に示されるように、無極性シリコーン油と、鉱油と、液体日焼け止め活性物質と、油溶性固体日焼け止め剤アボベンゾンと、様々な濃度の極性油ラウロイルサルコシン酸イソプロピルと、油溶性固体日焼け止め剤オキシベンゾンと、の組み合わせからなる。
【0057】
【表2】

【0058】
いったん、各試験のそれぞれの油層を室温に置き、ガラスびんに充填し、3つの異なる条件:室温(室温はおよそ22℃)、5℃及び−7℃、で貯蔵した。約1ヵ月の貯蔵の後、全てのバイアル瓶を室温にて平衡化させ、次に、油溶性固体日焼け止め剤の結晶化又は沈殿のあらゆる徴候について視覚的に検査した。
【0059】
2つの溶解度試験の結果を、図1(溶解度試験Aの結果を示す(2%アボベンゾン))及び図2(溶解度試験Bの結果を示す(3%アボベンゾン))に提供する。x軸、X、は、オキシベンゾンの%、すなわち0%〜5%のオキシベンゾン、を表す。y軸、Y、は、ラウロイルサルコシン酸イソプロピルの%、すなわち、0%〜12%のラウロイルサルコシン酸イソプロピルを表す。円データプロットは、全ての試験条件(室温、5℃及び−7℃)下で可溶性であることを意味する。正方形データプロットは、境界線の溶解度(−7℃においてのみ1つ又は複数の結晶)を意味する。三角形データプロットは、1つ以上の試験条件において可溶性ではないことを意味する。図1及び図2は、アボベンゾンに対するオキシベンゾンの比率0.8〜2.0においてオキシベンゾンを添加するときのアボベンゾン溶解度の予想外の改善を示す。最大溶解度は1〜1.5の比率において有する。点線上又はそれより上では、アボベンゾンは十分に可溶化する。点線より下では、アボベンゾンは境界線の可溶性であるか、全く可溶性ではない。図1及び図2は、オキシベンゾンが全く存在しない場合には、有意な濃度の非日焼け止め剤極性油ラウロイルサルコシン酸イソプロピルが、油相においてアボベンゾンを可溶性にしておくために必要とされることを示す。特に、図1は、オキシベンゾンが全く存在しない場合には、油相においてアボベンゾンを可溶性にしておくために約4%超のラウロイルサルコシン酸イソプロピルが必要とされることを示し、図2は、オキシベンゾンが全く存在しない場合には、油相においてアボベンゾンを可溶性にしておくために約10%超のラウロイルサルコシン酸イソプロピルが必要とされることを示す。しかしながら、低濃度の油溶性固体日焼け止め剤オキシベンゾンが添加されると、日焼け止め剤を可溶性にしておくためにより少量の極性油が必要とされる。最後に、更に高濃度のオキシベンゾンが添加されると、日焼け止め剤の溶解度は、再び乏しくなる。数字は、第2油溶性固体日焼け止め剤アボベンゾンに対する第1油溶性固体日焼け止め剤オキシベンゾンの特定の重量比率範囲内におおける予想外の溶解度利益を示す。驚くべきことに、第1油溶性固体日焼け止め剤をより多く添加すると、第2油溶性固体日焼け止め剤の溶解度が改善する。
【0060】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
【0061】
明示的に除外されるか、あるいは限定されない限り、本願に引用する全ての文書は、相互参照する、又は関連するいかなる特許又は特許出願をも含めて、参照によってそれらの全ての内容が本願に組み込まれる。いかなる文書の引用も、それが、本願にて開示若しくは特許請求される発明に対する先行技術であること、又は、それが単独で、あるいは任意の他の参照文献との組み合わせで、そのようないかなる発明をも教示、暗示、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語の意味又は定義が、参照によって組み込まれる文書における同じ用語の意味又は定義と対立する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が優先されるものとする。
【0062】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも約10%の無極性シリコーン油と、
b)約0.1%〜約10%の第1油溶性固体日焼け止め剤と、
c)約0.1%〜約10%の第2油溶性固体日焼け止め剤と、
を含む油中水型エマルションの形態のパーソナルケア組成物であって、前記第2油溶性固体日焼け止め剤に対する前記第1油溶性固体日焼け止め剤の重量比率は約0.8〜約2.0であり、前記第1油溶性固体日焼け止め剤はオキシベンゾンである、パーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記無極性シリコーン油が、シクロメチコン、ジメチコン及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項3】
少なくとも約20%の無極性シリコーン油を含む、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項4】
少なくとも約30%の無極性シリコーン油を含む、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項5】
少なくとも約40%の無極性シリコーン油を含む、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項6】
約1%〜約6%のオキシベンゾンを含む、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項7】
約1%〜約5%の前記第1油溶性固体日焼け止め剤を含み、前記第1油溶性固体日焼け止め剤がアボベンゾンである、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項8】
前記第2油溶性固体日焼け止め剤に対する前記第1油溶性固体日焼け止め剤の重量比率が約1.0〜約1.5である、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項9】
前記第2油溶性固体日焼け止め剤に対する前記第1油溶性固体日焼け止め剤の重量比率が約1.2〜約1.4である、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項10】
スキンケア活性物質を更に含み、前記スキンケア活性物質が、ビタミン、ペプチド、糖アミン、オイルコントロール剤、日焼け活性物質、抗ニキビ活性物質、落屑活性物質、抗セルライト活性物質、キレート剤、美白剤、フラボノイド、タンパク質分解酵素抑制剤、非ビタミン酸化防止剤及びラジカルスカベンジャー、育毛調整剤、しわ防止活性物質、抗皮膚萎縮活性物質、ミネラル、フィトステロール及び/又は植物ホルモン、チロシナーゼ抑制剤、抗炎症剤、N−アシルアミノ酸化合物、抗菌剤並びに抗カビ剤並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項11】
スキンケア活性物質を更に含み、前記スキンケア活性物質が、ビタミンB3化合物、糖アミン、ペプチド、ヘキサミジン化合物及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項12】
a)少なくとも約10%の無極性シリコーン油と、
b)約0.1%〜約10%のオキシベンゾンと、
c)約0.1%〜約10%のアボベンゾンと、
を含む油中水型エマルションの形態のパーソナルケア組成物であって、アボベンゾンに対するオキシベンゾンの重量比率は約0.8〜約2.0である、パーソナルケア組成物。
【請求項13】
前記無極性シリコーン油が、シクロメチコン、ジメチコン及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項14】
少なくとも約20%の無極性シリコーン油を含む、請求項12に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項15】
少なくとも約30%の無極性シリコーン油を含む、請求項12に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項16】
少なくとも約40%の無極性シリコーン油を含む、請求項12に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項17】
約1%〜約6%のオキシベンゾンを含む、請求項12に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項18】
約1%〜約5%のアボベンゾンを含む、請求項12に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項19】
アボベンゾンに対するオキシベンゾンの重量比率が約1.0〜約1.5である、請求項12に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項20】
アボベンゾンに対するオキシベンゾンの重量比率が約1.2〜約1.4である、請求項12に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項21】
スキンケア活性物質を更に含み、前記スキンケア活性物質が、ビタミン、ペプチド、糖アミン、オイルコントロール剤、日焼け活性物質、抗ニキビ活性物質、落屑活性物質、抗セルライト活性物質、キレート剤、美白剤、フラボノイド、タンパク質分解酵素抑制剤、非ビタミン酸化防止剤及びラジカルスカベンジャー、育毛調整剤、しわ防止活性物質、抗皮膚萎縮活性物質、ミネラル、フィトステロール及び/又は植物ホルモン、チロシナーゼ抑制剤、抗炎症剤、N−アシルアミノ酸化合物、抗菌剤並びに抗カビ剤並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項22】
スキンケア活性物質を更に含み、前記スキンケア活性物質が、ビタミンB3化合物、糖アミン、ペプチド、ヘキサミジン化合物及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項23】
a)少なくとも約10%の無極性シリコーン油と、
b)約1%〜約6%のオキシベンゾンと、
c)約1%〜約5%のアボベンゾンと、
d)ビタミンB3化合物、糖アミン、ペプチド、ヘキサミジン化合物及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるスキンケア活性物質と、
を含む油中水型エマルションの形態のパーソナルケア組成物であって、アボベンゾンに対するオキシベンゾンの重量比率は約1.0〜約1.5である、パーソナルケア組成物。
【請求項24】
油中水型エマルションの油相における第2油溶性固体日焼け止め剤の溶解度を改善するための方法であって、第1油溶性日焼け止め剤と前記第2油溶性日焼け止め剤とを組み合わせる工程を含み、ここで、前記第2油溶性固体日焼け止め剤に対する前記第1油溶性固体日焼け止め剤の重量比率は約1.0〜約1.5であり、前記第1油溶性日焼け止め剤はオキシベンゾンである、方法。
【請求項25】
a)少なくとも約10%の無極性シリコーン油と、
b)約0.1%〜約10%の第1油溶性固体日焼け止め剤と、
c)約0.1%〜約10%の第2油溶性固体日焼け止め剤と、
を含むパーソナルケア組成物であって、前記第2油溶性固体日焼け止め剤に対する前記第1油溶性固体日焼け止め剤の重量比率は約0.8〜約2.0である、パーソナルケア組成物。
【請求項26】
a)少なくとも約10%の無極性シリコーン油と、
b)約0.1%〜約10%の第1油溶性固体日焼け止め剤と、
c)約0.1%〜約10%の第2油溶性固体日焼け止め剤と、
を含む油中水型エマルションの形態のパーソナルケア組成物であって、前記第2油溶性固体日焼け止め剤に対する前記第1油溶性固体日焼け止め剤の重量比率は約0.8〜約2.0である、パーソナルケア組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−523378(P2012−523378A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500992(P2012−500992)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/027955
【国際公開番号】WO2010/108085
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】