油脂からのトコトリエノールとバイオディーゼル燃料の同時生産方法
【課題】従来技術の問題点である1)原料となるスカム油の発生量が原油の1wt%と少量である、2)極端なpH、温度条件によりトコトリエノールや脂肪酸エステル(バイオディーゼル燃料)が変性・劣化する、3)分子蒸留プロセスの機器およびランニングコストが高い、という点を解決し、健康機能物質であるトコトリエノールを含むビタミンE類を劣化なしに高効率で回収し、市場に安価に供給すると同時に、高品質のバイオディーゼル燃料を生産する新規な反応・分離プロセスを提供すること。
【解決手段】油脂を原料として、イオン交換体を用いてビタミンE類およびバイオディーゼル燃料を同時に製造する方法。
【解決手段】油脂を原料として、イオン交換体を用いてビタミンE類およびバイオディーゼル燃料を同時に製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油脂、特に、パーム油や米糠油等の天然油脂からトコトリエノール等のビタミンE類を高効率で分離回収すると同時に、脂肪酸エステルからなる高品質のバイオディーゼル燃料を生産する方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパービタミンEと呼ばれるトコトリエノールは、ビタミンE(トコフェロール)の約70倍もの抗酸化活性を示すため、生活習慣病予防の生理活性を有する健康機能物質として注目されている。最近では、強い血管新生阻害作用が報告され、ヒトの血管新生病(糖尿病性網膜症、動脈硬化など)の予防に活用できることも明らかになっている(非特許文献1)。
【0003】
しかし、トコトリエノールは、パームヤシ油や米糠油など極一部の植物油のみに低濃度(0.05wt%)で含まれているため、高純度回収が極めて難しい。また、側鎖に3つの二重結合を持つため、分離回収プロセスにおいて容易に酸化され、生理活性を失ってしまう。これらの問題のため、現在60%程度の純度しか達成していないにも関わらず、非常に高価(2,000円/g)である。
【0004】
特に、米糠油の精製工程で副生し廃棄物処理されている残渣油(スカム油)には、遊離脂肪酸45wt%、トリグリセリド15wt%と共に、トコトリエノールを含むビタミンE類が3wt%(トコトリエノールは1.5-2.0wt%)程度まで濃縮された形で含まれている。そのため、トコトリエノール原料として注目されている。
【0005】
現在この残渣油に対して、遊離脂肪酸をエステル化し、トリグリセリドをエステル交換して、何れも脂肪酸エステルに変換して沸点を下げた後、100-250℃の段階的な分子蒸留(5,6回)でビタミンE類とエステルを分離し、次にトコトリエノールとトコフェロールをクロマト分離する手法でトコトリエノールの回収が試みられている(特開平8-100131、特許公表平10-508605、特開2002-194381、特開2002-3488、特開2003-171376、特開2004-305155、特開2005-536191、特開2007-521382、特開2007-176801)。しかし、エステル化とエステル交換反応はそれぞれ均相酸ならびに塩基触媒を用いて約100℃で行われ、更に、中和や脱塩など多段階の触媒除去操作を必要とする。そのため、酸化分解せず生理活性を保持したまま回収されるトコトリエノール量は少ない。
【0006】
一方、副生した脂肪酸エステルは、バイオディーゼル燃料ともなるが、高温での蒸留処理によって熱変性しており非常に品質が悪い。そのため、現状ではアルカリ混入グリセリンと共に焼却処理されている。
【0007】
このように、高機能かつ高付加価値を有するトコトリエノールを天然油脂から効率よく、安定かつ大量に回収できる技術はなく、産業化の大きな障害となっている。即ち、従来技術の問題点は、1)原料となるスカム油の発生量が原油の1wt%と少量である、2)極端なpH、温度条件によりトコトリエノールや脂肪酸エステル(バイオディーゼル燃料)が変性・劣化する、3)分子蒸留プロセスの機器およびランニングコストが高い、というものである。
【0008】
一方、本発明者である北川らは、陰イオン樹脂を不均相固体触媒として用いる独自発想で、比較的低温(50℃)でトリグリセリドのエステル交換を行う脂肪酸エステル連続合成技術を世界に先駆け開発している(非特許文献2、特許文献1、特許文献2)。更に、このような脂肪酸エステル連続合成に使用する陰イオン樹脂の触媒活性を弱酸溶液で洗浄することによって再生する方法も提供した(特許文献3)。尚、特許文献1及び2には、エステル交換反応と並行して脂肪酸残基の樹脂への吸着が生じるため、これを脱着させるために酸水溶液での洗浄が必要で或る旨記載されている。又、特許文献3には、弱酸溶液で洗浄する目的として、エステル交換活性劣化の原因となる樹脂に吸着したオレイン酸残基などの油分の除去が挙げられている。しかしながら、これら特許文献には、陰イオン樹脂によるビタミンE類の分離回収に関しては何ら記載されていない。
【0009】
【特許文献1】特開2006-104316号公報
【特許文献2】特開2007-297611号公報
【特許文献3】特開2007-14871号公報
【非特許文献1】Biochem.Biophys.Res.Commun.,348,170(2006)
【非特許文献2】Bioresource Technol.98,416(2007)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主な目的は、これらの従来技術における課題を解決し、健康機能物質であるトコトリエノールを含むビタミンE類を劣化なしに高効率で回収し、市場に安価に供給すると同時に、高品質のバイオディーゼル燃料を生産する新規な反応・分離プロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、陰イオン交換樹脂等の陰イオン交換体にトコトリエノールが可逆的に吸着するという現象を初めて見出し、従来技術において活性低下の原因となる高温・多段の分子蒸留による分離に替えて、常温での吸着法によりトコトリエノールを高効率で分離すること、更には、同時に、油中の遊離脂肪酸とトリグリセリドを共に高品質のバイオディーゼル燃料とすることに成功し、本発明を完成させた。
【0012】
即ち、本発明は、以下の各態様にかかるものである。
[態様1]油脂に含まれるビタミンE類を陰イオン交換体に吸着及び分離させ、その後、該陰イオン交換体から脱離及び回収することを含む、該油脂からビタミンE類を製造する方法。
[態様2]吸着及び分離操作を0℃〜常温で行う、態様1記載の方法。
[態様3]弱酸又は弱酸塩溶液を脱離液として使用して、陰イオン交換体からビタミンE類を脱離させる、態様1又は2記載の方法。
[態様4]弱酸又は弱酸塩溶液としてクエン酸又はクエン酸ナトリウムとエタノールとの混合溶液を使用する、態様3記載の方法。
[態様5]分離されたビタミンE類から、更に、トコトリエノールを分離することを含む、態様1記載の方法。
[態様6]クロマト分離により、ビタミンE類からトコトリエノールを分離する、態様5記載の方法。
[態様7]油脂中の遊離脂肪酸を脂肪酸エステルに変換させた後に、該油脂に含まれるビタミンE類を陰イオン交換体に吸着させる、態様1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[態様8]陽イオン交換体を用いて脂肪酸エステルへの変換を行う、態様7記載の方法。
[態様9]油脂から得られた陰イオン交換体への非吸着画分とアルコール類とのエステル交換反応により脂肪酸エステルを副生物として同時に製造する、態様1〜8のいずれか一項に記載の方法。
[態様10]陰イオン交換体が陰イオン交換樹脂である、態様1〜9のいずれか一項に記載の方法。
[態様11]油脂として米糠油又はパーム油を使用する、態様1〜10のいずれか一項に記載の方法。
[態様12]樹脂を充填した反応器を用いて、反応及び/又は吸着分離を連続的に行う態様1〜11のいずれか一項に記載の方法。
[態様13]態様9〜12のいずれか一項に記載の方法で製造された脂肪酸エステル。
[態様14]態様13記載の脂肪酸エステルを主成分として含有するバイオディーゼル燃料。
[態様15]態様1〜12のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置。
[態様16]樹脂を充填した反応器からなり、反応及び/又は吸着分離を連続的に行う態様15記載の装置。
【発明の効果】
【0013】
従来、トコトリエノールの原料としてスカム油(原油の1wt%)のみが用いられてきたが、本発明によって、原油自体を原料として使用できるため、トコトリエノールの市場への供給量が50倍程度増大する。
【0014】
本発明方法は、従来法とは異なり、分子蒸留工程を必要としない。そのため、穏和な操作条件となり、トコトリエノール等ビタミンE類の劣化防止が可能である。また、副生する脂肪酸エステルの熱変性も生じないため、高品質のバイオディーゼル燃料として利用可能となる。さらに、分子蒸留工程のコスト(機器およびランニングコスト)が削減されるため、安価な製造が可能である。
【0015】
本発明方法は、均相触媒を用いる従来法とは異なり、中和・脱塩などの触媒分離操作が不要となる。そのため、簡便な操作でトコトリエノールを回収できるため、安価な供給が実現できる。更に、陰イオン交換体として樹脂という固体触媒を用いる場合には、樹脂を充填した反応器に、反応液を通液するだけの簡便な操作で、反応や吸着分離を行うことが可能となり、連続化も容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明方法において原料として用いる油脂は、トコトリエノール等のビタミンE類を含むものである限り、特に制限はなく、天然油脂(原油)、合成油脂、又はこれらの混合物でも良い。更に、これらの油脂類の一部を酸化、還元等の処理をして変性した変性油脂、並びに、これらの油脂を主成分とする油脂加工品も原料とすることができる。
【0017】
即ち、既に記載したように、従来法で原料として利用されている米糠油及びパーム油の精製工程で副生し廃棄物処理されている残渣油(スカム油)等が利用可能である。更に、生産量の観点から、米糠及びパームの原油を用いることが好ましい。これにより、トコトリエノールの市場への供給量が従来の50倍程度増大する。
【0018】
バイオディーゼル燃料の問題点として、食糧生産との競合が挙げられる。現状では、菜種油や大豆油などが用いられており、価格の高騰を招いている。これに対し、米糠は、米の副生物であるため、食との競合はない。また、安定で持続的に供給可能な原料である。
【0019】
尚、油脂以外の任意の異物成分が混入している油脂を使用することも可能である。これらの異物成分は、好ましくは沈降、濾過、分液など当業者に公知の適当な手段により除去した後に本発明方法に用いる。
【0020】
ビタミンE類には、α−、β−、γ−、及びδ−トコトリエノール、並びに、α−、β−、γ−、及びδ−トコフェノール等が含まれる。
【0021】
陰イオン交換体(アニオン交換体)としては、特開2006-104316号公報及び特開2007-297611号公報等に記載された当業者に公知の任意のものを使用することが出来る。特に、強塩基性陰イオン交換樹脂が好ましい。陰イオン交換樹脂を架橋度又は多孔度から分類した場合、ゲル型、ポーラス型、ハイポーラス型等が挙げられるが、ポーラス型、ハイポーラス型が好ましい。
【0022】
因みに、市販品としては、例えば、ダイヤイオンPA−306(三菱化学社製)、ダイヤイオンPA−306S(同)、ダイヤイオンPA−308(同)、ダイヤイオンHPA−25(同)ダウエックス1−X2(ダウケミカル社製)、アンバーライトIRA−45(オルガノ社製)、アンバーライトIRA−94(同)等を用いることができる。
【0023】
更に、pKa9.8以下を満足する陰イオン交換樹脂の市販品としては、例えば、ダイヤイオンSA20A(三菱化学社製)、ダイヤイオンSA21A(同)、並びに、多孔質型のII型強塩基陰イオン交換樹脂であるダイヤイオンPA408(同)、ダイヤイオンPA412(同)及びダイヤイオンPA418(同)等を用いることができる。ここで、II型強塩基陰イオン交換樹脂とは前記したジメチルエタノールアンモニウム基を有する陰イオン交換樹脂を指す。
【0024】
陰イオン交換樹脂の市販品は、購入時点ではCl型となっているためOH基に置換してから本発明に使用される。例えば、置換剤には0.5〜2モル/dm3のNaOH水溶液が用いられ、置換剤の通液速度は、陰イオン交換樹脂1ml当たり、2〜10ml−NaOH/分程度が好ましい。通液量は陰イオン交換樹脂1ml当たり5〜20ml使用される。置換終了後、カラムから樹脂を取り出し、置換剤が残留しないように蒸留水で充分洗浄する。樹脂の洗浄液のpHを測定し、蒸留水と同じpHになったことを確認し、最後に所定のアルコールで洗浄して本発明に使用する。
【0025】
陰イオン交換樹脂の使用量は、撹拌槽型反応器の場合は、油脂類1モル当たり、通常100〜1000g、好ましくは200〜800gの範囲から選択される。使用後は繰り返し同じ反応に利用できるが、適宜、樹脂を再生することが好ましい。イオン交換樹脂を充填層として使用する場合は、樹脂1リットル当たりの油脂類の通液量は、通常10〜100mL、好ましくは15〜60mL程度が使用される。
【0026】
油脂に含まれるビタミンE類の陰イオン交換体への吸着及び分離、並びに、そこからの脱離及び回収の各操作は当業者に公知の任意の方法で実施することが出来る。例えば、油脂と陰イオン交換体を接触させることによって、油脂に含まれるビタミンE類を陰イオン交換体に吸着させ、その後、ビタミンE類が吸着した陰イオン交換体を油脂と濾過等の適当な方法で分離する。その後、酸溶液を脱離液として使用して、該陰イオン交換体を洗浄等することによりビタミンE類を脱離させる。このような酸として、蟻酸、酢酸、クエン酸などの有機酸若しくはその塩、又はそれらの混合物を使用することができる。特に、酸溶液として酢酸又はクエン酸とエタノール等のアルコールとの混合溶液のような弱酸や弱酸塩溶液が好適である。
【0027】
上記の吸着及び分離等の各操作は、ビタミンE類の活性劣化を出来るだけ防止するために、陰イオン交換体の耐熱温度以下の範囲、例えば、0℃〜常温又は室温(例えば、20℃付近)の緩和な温度条件の範囲で実施することが好ましい。
【0028】
又、それぞれの反応時間(接触時間、脱離時間)は反応温度、イオン交換樹脂の使用量等に応じて、当業者が適宜設定することが出来る。例えば、攪拌層では通常1〜10時間、好ましくは3〜5時間、また、流通系では5分〜2時間、好ましくは10分〜1時間程度で実施する。
【0029】
更に、反応圧力は特に制限ない。常圧下で実施するのが操作上簡便であるが、必要に応じて1〜10気圧程度に加圧してもよい。
【0030】
分離されたビタミンE類から、そこに含まれるトコトリエノールは、クロマト分離等の当業者に公知の任意の方法で分離することが出来る。尚、カラム等にビタミンE類が吸着した陰イオン交換体を充填し酸溶液を使用してビタミンE類を陰イオン交換体から溶出させるような場合に、その諸条件(例えば、酸の種類、処理流量、時間等)を適当に設定することによって、陰イオン交換体に吸着したビタミンE類中の各成分の脱離(溶出)時間ピークをずらすことが出来、そのような場合には、上記のクロマト分離等は不要となる。
【0031】
尚、陰イオン交換体には遊離脂肪酸も吸着するため、これを多量に含む残渣油を直接処理する場合には、遊離脂肪酸も該陰イオン交換体に吸着する。従って、油脂中に含まれるビタミンE類を陰イオン交換体に吸着させる前段階で、陽イオン交換体により油脂に含まれる遊離脂肪酸のエステル化を行なうことが好ましい。陽イオン交換体としては、例えば、ダイヤイオンPK−208(三菱化学社製)のような当業者に公知の陽イオン樹脂を使用することが出来る。
【0032】
更に、ビタミンE類が吸着した陰イオン交換体を油脂と適当な方法で分離した後に得られる、油脂の陰イオン交換体への非吸着画分とアルコール類とのエステル交換反応により脂肪酸エステルを副生物として同時に(連続的に)製造することができる。使用する陰イオン交換体はビタミンE類の吸着及び分離の際に例示したものを使用することが出来る。又、アルコール類は特に限定されず、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜5の、飽和の直鎖または分岐鎖の炭化水素骨格を有するアルコール類が挙げられる。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t-ブチルアルコールなどを挙げることができる。これらのアルコールは単独あるいは2種以上混合して使用することができる。本発明においては、入手の容易性及び得られた脂肪酸エステルの利用性の観点から、メタノール及び/又はエタノールを使用するのが好ましい。この操作においてアルコール類は、油脂類を加アルコール分解(エステル交換反応)する反応基質として作用するほか、油脂類の希釈や粘度を調節するための溶媒作用も併せ有するものである。こうして製造された脂肪酸エステルはバイオディーゼル燃料の主成分として有用である。
【0033】
又、油脂類とアルコール類のモル比は、例えば、1/30〜1/1、好ましくは1/20〜1/2、更に好ましくは1/15〜1/3、特に好ましくは1/10〜1/3の範囲である。これを油脂類のモル濃度で表示すると、3.2〜50モル%、好ましくは4.8〜33モル%、更に好ましくは6.2〜25モル%、特に好ましくは9〜25モル%の範囲となる。油脂類の量が多すぎると相対的にアルコール量が少なくなり、結果的に反応物の容量が著しく少なくなるなど、良好に反応を行うことができない。一方、油脂類が少な過ぎても平衡反応が加アルコール分解側に進まず、また、アルコール類に溶解しない油脂類単独の相が生成し、二相系となる場合があり、十分な反応速度を得ることが出来ない。油脂類とアルコール類は、両者の混合物として均一相を形成することが好ましい。
【0034】
上記の陽イオン交換体により油脂に含まれる遊離脂肪酸のエステル化、及び油脂の陰イオン交換体への非吸着画分とアルコール類とのエステル交換反応による脂肪酸エステルの製造におけるその他の諸条件、例えば、反応温度、反応時間、及び反応圧力は、特許文献1及び特許文献2に記載されたような当業者に公知の任意の条件を適宜設定することが出来る。
【0035】
尚、本発明方法における各操作段階において、反応基質とイオン交換体との接触方式については、バッチ法、連続法など特に限定されない。装置の形態としては、処理槽を設けたもの、循環系や向流系で樹脂移送するものなどが挙げられる。接触方法としては、流通(イオン交換樹脂の充填層に通液する方法)、撹拌(撹拌槽を用いる方法)、流動(流動層反応器)、振とう(振とう型反応器)などが挙げられる。原料物質の導入口、生成物質の回収口が一定のカラム通液型、展開床(エクスパンデットカラム)の他、回分型を用いることもできる。特に、樹脂を充填した反応器を用いて、反応又は吸着分離等の各操作を連続的に行う方法が好適である。
【0036】
特に、所定のイオン交換体を充填した容器(反応器)の一方に反応基質の導入口を、他方に、生成物の回収口をそれぞれ有する反応装置が望ましい。前記容器は、単独に有していてもよいが、並列および/または直列に、複数個接続されてなる構造を有していてもよい。また、前記容器の形状は特に限定はないが、通常、カラムが用いられる。イオン交換樹脂をカラムに充填して使用する場合、樹脂が膨潤して破損することを防止するため、空隙率の高いエクスパンデットベットカラム充填層を用いる態様は好ましい。ここで、エクスパンデッドベッドカラムとは、粘度の高い流体や固形分を含んだ流体中から溶解している目的成分を吸着剤粒子に吸着させて回収する分離精製法に用いられ、カラム内を上向きに流体を流し、比重の大きい吸着剤粒子を静止状態で浮遊させ、空隙率を大きく保った状態でカラムクロマトグラフィー操作を行うもの等をいい、例えば、化学工学論文集第27巻第2号(2001)第145−148頁等に記載される公知の方法を用いることができる。アルコール類に対する油脂類のモル比が大きい範囲において、膨潤によるイオン交換樹脂の破損の問題が生じ易いので、反応器の設計に際して留意される。従って、本発明はこのような本発明方法を実施するための装置にも係る。
【0037】
本発明方法の一例をフローチャートで図1に示す。
【0038】
以下、実施例に則して本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの記載によって何等制限されるものではない。尚、以下の実施例において特に断わりがない限り、当業者に公知の一般的な方法に従い実施した。
【実施例】
【0039】
本発明方法を以下の通り実施した。尚、図2にその一連の流れ図を示す。
(1)エステル化実験では、反応物に米ぬか原油、エタノールを、触媒には、陽イオン交換樹脂PK208を用いた。米ぬか原油とエタノールのモル比を1:10とした反応溶液に50 %(w/w)の樹脂を投入し、50 ℃の恒温槽中、150 spmで振とうすることで回分反応を行った。エステル化実験終了後、反応液から樹脂を濾過分離した。
(2)ビタミンE類の吸着実験では、その反応液に、50 %(w/w)の陰イオン交換樹脂PA306sを投入し、0 ℃でマグネチックスターラーにより撹拌した。吸着実験終了後、溶液から樹脂を濾過で回収した。
(3)ビタミンE類の脱離実験では、回収した樹脂PA306sをカラムに充填し、脱離液として5 wt%クエン酸エタノール溶液を1.25 cm3/minで供給した。操作は常温で行った。
(4)エステル交換実験では、2)の吸着実験後に樹脂を分離した溶液に、再び50 %(w/w)の陰イオン交換樹脂PA306sを投入し、50 ℃の恒温槽中、150 spmで振とうすることで反応を行った。
各実験では、溶液を採取し、必要に応じてエタノールで希釈した後、トリ、ジ、モノグリセリド、遊離脂肪酸、脂肪酸エステルの濃度はUV検出器を備えたHPLCで、ビタミンE類濃度は蛍光検出器を備えたHPLCで、それぞれ測定した。
【0040】
(1)エステル化実験結果
図3にエステル化実験の結果を示す。(A)は遊離脂肪酸類、(B)は脂肪酸エステル類、(C)はビタミンE類の濃度変化である。図中のOA、OEはオレイン酸(C18:1)とそのエステル、LA、LEはリノール酸(C18:2)とそのエステル、XA、XEはα-リノレン酸(C18:3)とそのエステルを示す。反応時間の経過に伴い(A)に示す遊離脂肪酸類は減少し(転化率80 %程度)、(B)に示す脂肪酸エステル類は増加した。(C)のビタミンE類は、γ体で20 %程度、その他では5-10 %程度、僅かに減少する傾向を示した。
【0041】
(2)ビタミンE類の吸着実験結果
図4に吸着実験の結果を示す。(A)の遊離脂肪酸類は、エステル化実験後に20%程度残っていたものがさらに減少してほぼ「0」になった。これより、遊離脂肪酸類が陰イオン交換樹脂に吸着したと考えられる。また、(B)のビタミンE類は、どれも0.5時間(30分)後までに速やかに減少し、陰イオン交換樹脂に吸着した(α体は94 %以上、γ体は87%、δ体は85%程度)と考えられる。
【0042】
(3)ビタミンE類の脱離実験結果
図5に、ビタミンE類が吸着した陰イオン交換樹脂を充填したカラムに、クエン酸エタノール溶液を通液した際の流出溶液中のビタミンE類濃度の変化を示す。供給開始から15分程度で各ビタミンが流出し始め、25分前後で最大となったことが分かる。このグラフの積分値に基づき、イオン交換樹脂に吸着した各ビタミン類に対する回収率を算出した。その結果を表1に示す。トコトリエノールとトコフェロールのどちらに対しても、δ体の回収率は70 %、γ体は15 %程度の回収率となった。
【0043】
【表1】
【0044】
(4)エステル交換実験結果
図6に、エステル化実験の結果を示す。反応時間の経過に伴い(A)に示すトリグリセリド類(TG 1-4)は減少し、(B)に示す脂肪酸エステル類は増加した。反応1時間後での反応液中のトリ、モノ、ジグリセリドは全てHPLC分析での検出限界以下となった。
【0045】
尚、例えば図7に示すように、各樹脂を充填したカラム型反応器3塔を用意し、原料油脂とアルコールを供給するだけの簡便な操作で、連続的に、トコトリエノール等のビタミンE類を高効率で分離回収すると同時に、高品質のバイオディーゼル燃料を生産することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は以下の産業上の利用可能性を有する。
(1)トコトリエノールをより安価で安定に社会に供給できる。
(2)トコトリエノールの高純度品が得られるため、特化した機能評価やヒト試験が実施可能となる。
(3)より生産量が多いパームヤシ油や米糠原油を原料として、トコトリエノール回収とバイオディーゼル燃料製造を行うことが可能となり、人類の健康と環境に配慮した活力ある社会の実現に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明方法の一例をフローチャートで示す。
【図2】実施例に示した本発明方法の一連の流れを示す。
【図3A】エステル化実験における遊離脂肪酸類の濃度変化を示す。
【図3B】エステル化実験における脂肪酸エステル類の濃度変化を示す。
【図3C】エステル化実験におけるビタミンE類の濃度変化を示す。
【図4A】ビタミンE類の吸着実験における遊離脂肪酸類の濃度変化を示す。
【図4B】ビタミンE類の吸着実験におけるビタミンE類の濃度変化を示す。
【図5】ビタミンE類の脱離実験結果を示す。
【図6A】エステル交換実験におけるトリグリセリド類の濃度変化を示す。
【図6B】エステル交換実験における脂肪酸エステル類の濃度変化を示す。
【図7】本発明方法に使用する連続装置を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、油脂、特に、パーム油や米糠油等の天然油脂からトコトリエノール等のビタミンE類を高効率で分離回収すると同時に、脂肪酸エステルからなる高品質のバイオディーゼル燃料を生産する方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパービタミンEと呼ばれるトコトリエノールは、ビタミンE(トコフェロール)の約70倍もの抗酸化活性を示すため、生活習慣病予防の生理活性を有する健康機能物質として注目されている。最近では、強い血管新生阻害作用が報告され、ヒトの血管新生病(糖尿病性網膜症、動脈硬化など)の予防に活用できることも明らかになっている(非特許文献1)。
【0003】
しかし、トコトリエノールは、パームヤシ油や米糠油など極一部の植物油のみに低濃度(0.05wt%)で含まれているため、高純度回収が極めて難しい。また、側鎖に3つの二重結合を持つため、分離回収プロセスにおいて容易に酸化され、生理活性を失ってしまう。これらの問題のため、現在60%程度の純度しか達成していないにも関わらず、非常に高価(2,000円/g)である。
【0004】
特に、米糠油の精製工程で副生し廃棄物処理されている残渣油(スカム油)には、遊離脂肪酸45wt%、トリグリセリド15wt%と共に、トコトリエノールを含むビタミンE類が3wt%(トコトリエノールは1.5-2.0wt%)程度まで濃縮された形で含まれている。そのため、トコトリエノール原料として注目されている。
【0005】
現在この残渣油に対して、遊離脂肪酸をエステル化し、トリグリセリドをエステル交換して、何れも脂肪酸エステルに変換して沸点を下げた後、100-250℃の段階的な分子蒸留(5,6回)でビタミンE類とエステルを分離し、次にトコトリエノールとトコフェロールをクロマト分離する手法でトコトリエノールの回収が試みられている(特開平8-100131、特許公表平10-508605、特開2002-194381、特開2002-3488、特開2003-171376、特開2004-305155、特開2005-536191、特開2007-521382、特開2007-176801)。しかし、エステル化とエステル交換反応はそれぞれ均相酸ならびに塩基触媒を用いて約100℃で行われ、更に、中和や脱塩など多段階の触媒除去操作を必要とする。そのため、酸化分解せず生理活性を保持したまま回収されるトコトリエノール量は少ない。
【0006】
一方、副生した脂肪酸エステルは、バイオディーゼル燃料ともなるが、高温での蒸留処理によって熱変性しており非常に品質が悪い。そのため、現状ではアルカリ混入グリセリンと共に焼却処理されている。
【0007】
このように、高機能かつ高付加価値を有するトコトリエノールを天然油脂から効率よく、安定かつ大量に回収できる技術はなく、産業化の大きな障害となっている。即ち、従来技術の問題点は、1)原料となるスカム油の発生量が原油の1wt%と少量である、2)極端なpH、温度条件によりトコトリエノールや脂肪酸エステル(バイオディーゼル燃料)が変性・劣化する、3)分子蒸留プロセスの機器およびランニングコストが高い、というものである。
【0008】
一方、本発明者である北川らは、陰イオン樹脂を不均相固体触媒として用いる独自発想で、比較的低温(50℃)でトリグリセリドのエステル交換を行う脂肪酸エステル連続合成技術を世界に先駆け開発している(非特許文献2、特許文献1、特許文献2)。更に、このような脂肪酸エステル連続合成に使用する陰イオン樹脂の触媒活性を弱酸溶液で洗浄することによって再生する方法も提供した(特許文献3)。尚、特許文献1及び2には、エステル交換反応と並行して脂肪酸残基の樹脂への吸着が生じるため、これを脱着させるために酸水溶液での洗浄が必要で或る旨記載されている。又、特許文献3には、弱酸溶液で洗浄する目的として、エステル交換活性劣化の原因となる樹脂に吸着したオレイン酸残基などの油分の除去が挙げられている。しかしながら、これら特許文献には、陰イオン樹脂によるビタミンE類の分離回収に関しては何ら記載されていない。
【0009】
【特許文献1】特開2006-104316号公報
【特許文献2】特開2007-297611号公報
【特許文献3】特開2007-14871号公報
【非特許文献1】Biochem.Biophys.Res.Commun.,348,170(2006)
【非特許文献2】Bioresource Technol.98,416(2007)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主な目的は、これらの従来技術における課題を解決し、健康機能物質であるトコトリエノールを含むビタミンE類を劣化なしに高効率で回収し、市場に安価に供給すると同時に、高品質のバイオディーゼル燃料を生産する新規な反応・分離プロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、陰イオン交換樹脂等の陰イオン交換体にトコトリエノールが可逆的に吸着するという現象を初めて見出し、従来技術において活性低下の原因となる高温・多段の分子蒸留による分離に替えて、常温での吸着法によりトコトリエノールを高効率で分離すること、更には、同時に、油中の遊離脂肪酸とトリグリセリドを共に高品質のバイオディーゼル燃料とすることに成功し、本発明を完成させた。
【0012】
即ち、本発明は、以下の各態様にかかるものである。
[態様1]油脂に含まれるビタミンE類を陰イオン交換体に吸着及び分離させ、その後、該陰イオン交換体から脱離及び回収することを含む、該油脂からビタミンE類を製造する方法。
[態様2]吸着及び分離操作を0℃〜常温で行う、態様1記載の方法。
[態様3]弱酸又は弱酸塩溶液を脱離液として使用して、陰イオン交換体からビタミンE類を脱離させる、態様1又は2記載の方法。
[態様4]弱酸又は弱酸塩溶液としてクエン酸又はクエン酸ナトリウムとエタノールとの混合溶液を使用する、態様3記載の方法。
[態様5]分離されたビタミンE類から、更に、トコトリエノールを分離することを含む、態様1記載の方法。
[態様6]クロマト分離により、ビタミンE類からトコトリエノールを分離する、態様5記載の方法。
[態様7]油脂中の遊離脂肪酸を脂肪酸エステルに変換させた後に、該油脂に含まれるビタミンE類を陰イオン交換体に吸着させる、態様1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[態様8]陽イオン交換体を用いて脂肪酸エステルへの変換を行う、態様7記載の方法。
[態様9]油脂から得られた陰イオン交換体への非吸着画分とアルコール類とのエステル交換反応により脂肪酸エステルを副生物として同時に製造する、態様1〜8のいずれか一項に記載の方法。
[態様10]陰イオン交換体が陰イオン交換樹脂である、態様1〜9のいずれか一項に記載の方法。
[態様11]油脂として米糠油又はパーム油を使用する、態様1〜10のいずれか一項に記載の方法。
[態様12]樹脂を充填した反応器を用いて、反応及び/又は吸着分離を連続的に行う態様1〜11のいずれか一項に記載の方法。
[態様13]態様9〜12のいずれか一項に記載の方法で製造された脂肪酸エステル。
[態様14]態様13記載の脂肪酸エステルを主成分として含有するバイオディーゼル燃料。
[態様15]態様1〜12のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置。
[態様16]樹脂を充填した反応器からなり、反応及び/又は吸着分離を連続的に行う態様15記載の装置。
【発明の効果】
【0013】
従来、トコトリエノールの原料としてスカム油(原油の1wt%)のみが用いられてきたが、本発明によって、原油自体を原料として使用できるため、トコトリエノールの市場への供給量が50倍程度増大する。
【0014】
本発明方法は、従来法とは異なり、分子蒸留工程を必要としない。そのため、穏和な操作条件となり、トコトリエノール等ビタミンE類の劣化防止が可能である。また、副生する脂肪酸エステルの熱変性も生じないため、高品質のバイオディーゼル燃料として利用可能となる。さらに、分子蒸留工程のコスト(機器およびランニングコスト)が削減されるため、安価な製造が可能である。
【0015】
本発明方法は、均相触媒を用いる従来法とは異なり、中和・脱塩などの触媒分離操作が不要となる。そのため、簡便な操作でトコトリエノールを回収できるため、安価な供給が実現できる。更に、陰イオン交換体として樹脂という固体触媒を用いる場合には、樹脂を充填した反応器に、反応液を通液するだけの簡便な操作で、反応や吸着分離を行うことが可能となり、連続化も容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明方法において原料として用いる油脂は、トコトリエノール等のビタミンE類を含むものである限り、特に制限はなく、天然油脂(原油)、合成油脂、又はこれらの混合物でも良い。更に、これらの油脂類の一部を酸化、還元等の処理をして変性した変性油脂、並びに、これらの油脂を主成分とする油脂加工品も原料とすることができる。
【0017】
即ち、既に記載したように、従来法で原料として利用されている米糠油及びパーム油の精製工程で副生し廃棄物処理されている残渣油(スカム油)等が利用可能である。更に、生産量の観点から、米糠及びパームの原油を用いることが好ましい。これにより、トコトリエノールの市場への供給量が従来の50倍程度増大する。
【0018】
バイオディーゼル燃料の問題点として、食糧生産との競合が挙げられる。現状では、菜種油や大豆油などが用いられており、価格の高騰を招いている。これに対し、米糠は、米の副生物であるため、食との競合はない。また、安定で持続的に供給可能な原料である。
【0019】
尚、油脂以外の任意の異物成分が混入している油脂を使用することも可能である。これらの異物成分は、好ましくは沈降、濾過、分液など当業者に公知の適当な手段により除去した後に本発明方法に用いる。
【0020】
ビタミンE類には、α−、β−、γ−、及びδ−トコトリエノール、並びに、α−、β−、γ−、及びδ−トコフェノール等が含まれる。
【0021】
陰イオン交換体(アニオン交換体)としては、特開2006-104316号公報及び特開2007-297611号公報等に記載された当業者に公知の任意のものを使用することが出来る。特に、強塩基性陰イオン交換樹脂が好ましい。陰イオン交換樹脂を架橋度又は多孔度から分類した場合、ゲル型、ポーラス型、ハイポーラス型等が挙げられるが、ポーラス型、ハイポーラス型が好ましい。
【0022】
因みに、市販品としては、例えば、ダイヤイオンPA−306(三菱化学社製)、ダイヤイオンPA−306S(同)、ダイヤイオンPA−308(同)、ダイヤイオンHPA−25(同)ダウエックス1−X2(ダウケミカル社製)、アンバーライトIRA−45(オルガノ社製)、アンバーライトIRA−94(同)等を用いることができる。
【0023】
更に、pKa9.8以下を満足する陰イオン交換樹脂の市販品としては、例えば、ダイヤイオンSA20A(三菱化学社製)、ダイヤイオンSA21A(同)、並びに、多孔質型のII型強塩基陰イオン交換樹脂であるダイヤイオンPA408(同)、ダイヤイオンPA412(同)及びダイヤイオンPA418(同)等を用いることができる。ここで、II型強塩基陰イオン交換樹脂とは前記したジメチルエタノールアンモニウム基を有する陰イオン交換樹脂を指す。
【0024】
陰イオン交換樹脂の市販品は、購入時点ではCl型となっているためOH基に置換してから本発明に使用される。例えば、置換剤には0.5〜2モル/dm3のNaOH水溶液が用いられ、置換剤の通液速度は、陰イオン交換樹脂1ml当たり、2〜10ml−NaOH/分程度が好ましい。通液量は陰イオン交換樹脂1ml当たり5〜20ml使用される。置換終了後、カラムから樹脂を取り出し、置換剤が残留しないように蒸留水で充分洗浄する。樹脂の洗浄液のpHを測定し、蒸留水と同じpHになったことを確認し、最後に所定のアルコールで洗浄して本発明に使用する。
【0025】
陰イオン交換樹脂の使用量は、撹拌槽型反応器の場合は、油脂類1モル当たり、通常100〜1000g、好ましくは200〜800gの範囲から選択される。使用後は繰り返し同じ反応に利用できるが、適宜、樹脂を再生することが好ましい。イオン交換樹脂を充填層として使用する場合は、樹脂1リットル当たりの油脂類の通液量は、通常10〜100mL、好ましくは15〜60mL程度が使用される。
【0026】
油脂に含まれるビタミンE類の陰イオン交換体への吸着及び分離、並びに、そこからの脱離及び回収の各操作は当業者に公知の任意の方法で実施することが出来る。例えば、油脂と陰イオン交換体を接触させることによって、油脂に含まれるビタミンE類を陰イオン交換体に吸着させ、その後、ビタミンE類が吸着した陰イオン交換体を油脂と濾過等の適当な方法で分離する。その後、酸溶液を脱離液として使用して、該陰イオン交換体を洗浄等することによりビタミンE類を脱離させる。このような酸として、蟻酸、酢酸、クエン酸などの有機酸若しくはその塩、又はそれらの混合物を使用することができる。特に、酸溶液として酢酸又はクエン酸とエタノール等のアルコールとの混合溶液のような弱酸や弱酸塩溶液が好適である。
【0027】
上記の吸着及び分離等の各操作は、ビタミンE類の活性劣化を出来るだけ防止するために、陰イオン交換体の耐熱温度以下の範囲、例えば、0℃〜常温又は室温(例えば、20℃付近)の緩和な温度条件の範囲で実施することが好ましい。
【0028】
又、それぞれの反応時間(接触時間、脱離時間)は反応温度、イオン交換樹脂の使用量等に応じて、当業者が適宜設定することが出来る。例えば、攪拌層では通常1〜10時間、好ましくは3〜5時間、また、流通系では5分〜2時間、好ましくは10分〜1時間程度で実施する。
【0029】
更に、反応圧力は特に制限ない。常圧下で実施するのが操作上簡便であるが、必要に応じて1〜10気圧程度に加圧してもよい。
【0030】
分離されたビタミンE類から、そこに含まれるトコトリエノールは、クロマト分離等の当業者に公知の任意の方法で分離することが出来る。尚、カラム等にビタミンE類が吸着した陰イオン交換体を充填し酸溶液を使用してビタミンE類を陰イオン交換体から溶出させるような場合に、その諸条件(例えば、酸の種類、処理流量、時間等)を適当に設定することによって、陰イオン交換体に吸着したビタミンE類中の各成分の脱離(溶出)時間ピークをずらすことが出来、そのような場合には、上記のクロマト分離等は不要となる。
【0031】
尚、陰イオン交換体には遊離脂肪酸も吸着するため、これを多量に含む残渣油を直接処理する場合には、遊離脂肪酸も該陰イオン交換体に吸着する。従って、油脂中に含まれるビタミンE類を陰イオン交換体に吸着させる前段階で、陽イオン交換体により油脂に含まれる遊離脂肪酸のエステル化を行なうことが好ましい。陽イオン交換体としては、例えば、ダイヤイオンPK−208(三菱化学社製)のような当業者に公知の陽イオン樹脂を使用することが出来る。
【0032】
更に、ビタミンE類が吸着した陰イオン交換体を油脂と適当な方法で分離した後に得られる、油脂の陰イオン交換体への非吸着画分とアルコール類とのエステル交換反応により脂肪酸エステルを副生物として同時に(連続的に)製造することができる。使用する陰イオン交換体はビタミンE類の吸着及び分離の際に例示したものを使用することが出来る。又、アルコール類は特に限定されず、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜5の、飽和の直鎖または分岐鎖の炭化水素骨格を有するアルコール類が挙げられる。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t-ブチルアルコールなどを挙げることができる。これらのアルコールは単独あるいは2種以上混合して使用することができる。本発明においては、入手の容易性及び得られた脂肪酸エステルの利用性の観点から、メタノール及び/又はエタノールを使用するのが好ましい。この操作においてアルコール類は、油脂類を加アルコール分解(エステル交換反応)する反応基質として作用するほか、油脂類の希釈や粘度を調節するための溶媒作用も併せ有するものである。こうして製造された脂肪酸エステルはバイオディーゼル燃料の主成分として有用である。
【0033】
又、油脂類とアルコール類のモル比は、例えば、1/30〜1/1、好ましくは1/20〜1/2、更に好ましくは1/15〜1/3、特に好ましくは1/10〜1/3の範囲である。これを油脂類のモル濃度で表示すると、3.2〜50モル%、好ましくは4.8〜33モル%、更に好ましくは6.2〜25モル%、特に好ましくは9〜25モル%の範囲となる。油脂類の量が多すぎると相対的にアルコール量が少なくなり、結果的に反応物の容量が著しく少なくなるなど、良好に反応を行うことができない。一方、油脂類が少な過ぎても平衡反応が加アルコール分解側に進まず、また、アルコール類に溶解しない油脂類単独の相が生成し、二相系となる場合があり、十分な反応速度を得ることが出来ない。油脂類とアルコール類は、両者の混合物として均一相を形成することが好ましい。
【0034】
上記の陽イオン交換体により油脂に含まれる遊離脂肪酸のエステル化、及び油脂の陰イオン交換体への非吸着画分とアルコール類とのエステル交換反応による脂肪酸エステルの製造におけるその他の諸条件、例えば、反応温度、反応時間、及び反応圧力は、特許文献1及び特許文献2に記載されたような当業者に公知の任意の条件を適宜設定することが出来る。
【0035】
尚、本発明方法における各操作段階において、反応基質とイオン交換体との接触方式については、バッチ法、連続法など特に限定されない。装置の形態としては、処理槽を設けたもの、循環系や向流系で樹脂移送するものなどが挙げられる。接触方法としては、流通(イオン交換樹脂の充填層に通液する方法)、撹拌(撹拌槽を用いる方法)、流動(流動層反応器)、振とう(振とう型反応器)などが挙げられる。原料物質の導入口、生成物質の回収口が一定のカラム通液型、展開床(エクスパンデットカラム)の他、回分型を用いることもできる。特に、樹脂を充填した反応器を用いて、反応又は吸着分離等の各操作を連続的に行う方法が好適である。
【0036】
特に、所定のイオン交換体を充填した容器(反応器)の一方に反応基質の導入口を、他方に、生成物の回収口をそれぞれ有する反応装置が望ましい。前記容器は、単独に有していてもよいが、並列および/または直列に、複数個接続されてなる構造を有していてもよい。また、前記容器の形状は特に限定はないが、通常、カラムが用いられる。イオン交換樹脂をカラムに充填して使用する場合、樹脂が膨潤して破損することを防止するため、空隙率の高いエクスパンデットベットカラム充填層を用いる態様は好ましい。ここで、エクスパンデッドベッドカラムとは、粘度の高い流体や固形分を含んだ流体中から溶解している目的成分を吸着剤粒子に吸着させて回収する分離精製法に用いられ、カラム内を上向きに流体を流し、比重の大きい吸着剤粒子を静止状態で浮遊させ、空隙率を大きく保った状態でカラムクロマトグラフィー操作を行うもの等をいい、例えば、化学工学論文集第27巻第2号(2001)第145−148頁等に記載される公知の方法を用いることができる。アルコール類に対する油脂類のモル比が大きい範囲において、膨潤によるイオン交換樹脂の破損の問題が生じ易いので、反応器の設計に際して留意される。従って、本発明はこのような本発明方法を実施するための装置にも係る。
【0037】
本発明方法の一例をフローチャートで図1に示す。
【0038】
以下、実施例に則して本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの記載によって何等制限されるものではない。尚、以下の実施例において特に断わりがない限り、当業者に公知の一般的な方法に従い実施した。
【実施例】
【0039】
本発明方法を以下の通り実施した。尚、図2にその一連の流れ図を示す。
(1)エステル化実験では、反応物に米ぬか原油、エタノールを、触媒には、陽イオン交換樹脂PK208を用いた。米ぬか原油とエタノールのモル比を1:10とした反応溶液に50 %(w/w)の樹脂を投入し、50 ℃の恒温槽中、150 spmで振とうすることで回分反応を行った。エステル化実験終了後、反応液から樹脂を濾過分離した。
(2)ビタミンE類の吸着実験では、その反応液に、50 %(w/w)の陰イオン交換樹脂PA306sを投入し、0 ℃でマグネチックスターラーにより撹拌した。吸着実験終了後、溶液から樹脂を濾過で回収した。
(3)ビタミンE類の脱離実験では、回収した樹脂PA306sをカラムに充填し、脱離液として5 wt%クエン酸エタノール溶液を1.25 cm3/minで供給した。操作は常温で行った。
(4)エステル交換実験では、2)の吸着実験後に樹脂を分離した溶液に、再び50 %(w/w)の陰イオン交換樹脂PA306sを投入し、50 ℃の恒温槽中、150 spmで振とうすることで反応を行った。
各実験では、溶液を採取し、必要に応じてエタノールで希釈した後、トリ、ジ、モノグリセリド、遊離脂肪酸、脂肪酸エステルの濃度はUV検出器を備えたHPLCで、ビタミンE類濃度は蛍光検出器を備えたHPLCで、それぞれ測定した。
【0040】
(1)エステル化実験結果
図3にエステル化実験の結果を示す。(A)は遊離脂肪酸類、(B)は脂肪酸エステル類、(C)はビタミンE類の濃度変化である。図中のOA、OEはオレイン酸(C18:1)とそのエステル、LA、LEはリノール酸(C18:2)とそのエステル、XA、XEはα-リノレン酸(C18:3)とそのエステルを示す。反応時間の経過に伴い(A)に示す遊離脂肪酸類は減少し(転化率80 %程度)、(B)に示す脂肪酸エステル類は増加した。(C)のビタミンE類は、γ体で20 %程度、その他では5-10 %程度、僅かに減少する傾向を示した。
【0041】
(2)ビタミンE類の吸着実験結果
図4に吸着実験の結果を示す。(A)の遊離脂肪酸類は、エステル化実験後に20%程度残っていたものがさらに減少してほぼ「0」になった。これより、遊離脂肪酸類が陰イオン交換樹脂に吸着したと考えられる。また、(B)のビタミンE類は、どれも0.5時間(30分)後までに速やかに減少し、陰イオン交換樹脂に吸着した(α体は94 %以上、γ体は87%、δ体は85%程度)と考えられる。
【0042】
(3)ビタミンE類の脱離実験結果
図5に、ビタミンE類が吸着した陰イオン交換樹脂を充填したカラムに、クエン酸エタノール溶液を通液した際の流出溶液中のビタミンE類濃度の変化を示す。供給開始から15分程度で各ビタミンが流出し始め、25分前後で最大となったことが分かる。このグラフの積分値に基づき、イオン交換樹脂に吸着した各ビタミン類に対する回収率を算出した。その結果を表1に示す。トコトリエノールとトコフェロールのどちらに対しても、δ体の回収率は70 %、γ体は15 %程度の回収率となった。
【0043】
【表1】
【0044】
(4)エステル交換実験結果
図6に、エステル化実験の結果を示す。反応時間の経過に伴い(A)に示すトリグリセリド類(TG 1-4)は減少し、(B)に示す脂肪酸エステル類は増加した。反応1時間後での反応液中のトリ、モノ、ジグリセリドは全てHPLC分析での検出限界以下となった。
【0045】
尚、例えば図7に示すように、各樹脂を充填したカラム型反応器3塔を用意し、原料油脂とアルコールを供給するだけの簡便な操作で、連続的に、トコトリエノール等のビタミンE類を高効率で分離回収すると同時に、高品質のバイオディーゼル燃料を生産することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は以下の産業上の利用可能性を有する。
(1)トコトリエノールをより安価で安定に社会に供給できる。
(2)トコトリエノールの高純度品が得られるため、特化した機能評価やヒト試験が実施可能となる。
(3)より生産量が多いパームヤシ油や米糠原油を原料として、トコトリエノール回収とバイオディーゼル燃料製造を行うことが可能となり、人類の健康と環境に配慮した活力ある社会の実現に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明方法の一例をフローチャートで示す。
【図2】実施例に示した本発明方法の一連の流れを示す。
【図3A】エステル化実験における遊離脂肪酸類の濃度変化を示す。
【図3B】エステル化実験における脂肪酸エステル類の濃度変化を示す。
【図3C】エステル化実験におけるビタミンE類の濃度変化を示す。
【図4A】ビタミンE類の吸着実験における遊離脂肪酸類の濃度変化を示す。
【図4B】ビタミンE類の吸着実験におけるビタミンE類の濃度変化を示す。
【図5】ビタミンE類の脱離実験結果を示す。
【図6A】エステル交換実験におけるトリグリセリド類の濃度変化を示す。
【図6B】エステル交換実験における脂肪酸エステル類の濃度変化を示す。
【図7】本発明方法に使用する連続装置を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂に含まれるビタミンE類を陰イオン交換体に吸着及び分離させ、その後、該陰イオン交換体から脱離及び回収することを含む、該油脂からビタミンE類を製造する方法。
【請求項2】
吸着及び分離操作を0℃〜常温で行う、請求項1記載の方法。
【請求項3】
弱酸又は弱酸塩溶液を脱離液として使用して、陰イオン交換体からビタミンE類を脱離させる、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
弱酸又は弱酸塩溶液としてクエン酸又はクエン酸ナトリウムとエタノールとの混合溶液を使用する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
分離されたビタミンE類から、更に、トコトリエノールを分離することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
クロマト分離により、ビタミンE類からトコトリエノールを分離する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
油脂中の遊離脂肪酸を脂肪酸エステルに変換させた後に、該油脂に含まれるビタミンE類を陰イオン交換体に吸着させる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
陽イオン交換体を用いて脂肪酸エステルへの変換を行う、請求項7記載の方法。
【請求項9】
油脂から得られた陰イオン交換体への非吸着画分とアルコール類とのエステル交換反応により脂肪酸エステルを副生物として同時に製造する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
陰イオン交換体が陰イオン交換樹脂である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
油脂として米糠油又はパーム油を使用する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
樹脂を充填した反応器を用いて、反応及び/又は吸着分離を連続的に行う請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法で製造された脂肪酸エステル。
【請求項14】
請求項13記載の脂肪酸エステルを主成分として含有するバイオディーゼル燃料。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置。
【請求項16】
樹脂を充填した反応器からなり、反応及び/又は吸着分離を連続的に行う請求項15記載の装置。
【請求項1】
油脂に含まれるビタミンE類を陰イオン交換体に吸着及び分離させ、その後、該陰イオン交換体から脱離及び回収することを含む、該油脂からビタミンE類を製造する方法。
【請求項2】
吸着及び分離操作を0℃〜常温で行う、請求項1記載の方法。
【請求項3】
弱酸又は弱酸塩溶液を脱離液として使用して、陰イオン交換体からビタミンE類を脱離させる、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
弱酸又は弱酸塩溶液としてクエン酸又はクエン酸ナトリウムとエタノールとの混合溶液を使用する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
分離されたビタミンE類から、更に、トコトリエノールを分離することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
クロマト分離により、ビタミンE類からトコトリエノールを分離する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
油脂中の遊離脂肪酸を脂肪酸エステルに変換させた後に、該油脂に含まれるビタミンE類を陰イオン交換体に吸着させる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
陽イオン交換体を用いて脂肪酸エステルへの変換を行う、請求項7記載の方法。
【請求項9】
油脂から得られた陰イオン交換体への非吸着画分とアルコール類とのエステル交換反応により脂肪酸エステルを副生物として同時に製造する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
陰イオン交換体が陰イオン交換樹脂である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
油脂として米糠油又はパーム油を使用する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
樹脂を充填した反応器を用いて、反応及び/又は吸着分離を連続的に行う請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法で製造された脂肪酸エステル。
【請求項14】
請求項13記載の脂肪酸エステルを主成分として含有するバイオディーゼル燃料。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置。
【請求項16】
樹脂を充填した反応器からなり、反応及び/又は吸着分離を連続的に行う請求項15記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【公開番号】特開2009−190989(P2009−190989A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31329(P2008−31329)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成19年度、農林水産省、バイオマス利用モデルの構築・実証・評価委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成19年度、農林水産省、バイオマス利用モデルの構築・実証・評価委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】
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