説明

治療のための温度制御中のシバリング(震え)の計測及び処理のための方法と装置

治療のための温度調節中のシバリング(shivering: 震え)を防止及び処理するための方法と装置が開示され、これら方法及び装置は、選択された身体領域に提供される温熱の時間と強度とが、身体中心部に加えられる冷熱の度合い、遭遇されるシバリングの度合い、患者の体温などの要因に応じて動的に制御される能動的対抗加温(active counter warming)システムを利用する。更に、この用途及びその他の用途に使用されるシバリングの測定と定量化のための方法と装置も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療のための温度調節、特に、正常体温の維持や低体温法中のシバリング(震え)の制御、に関する。
【0002】
本出願は、2008年10月8日に出願された「治療のための温度調節中のシバリングを処理し測定するための、能動的対抗加温とシバリング定量化のための方法と装置」と題するAlexander Calhoun Flintの米国仮特許出願No. 61/103,815と、2009年5月6日に出願された「治療のための温度調節中のシバリングを処理し測定するための方法と装置」と題するAlexander C. Flintの米国仮特許出願No. 61/176,015との優先権を主張するものである。ここにこれら出願のそれぞれを参考文献として合体させる。
【背景技術】
【0003】
心拍停止やその他の中枢神経系疾患後における酸素欠乏脳障害状態で危機状態にある脳組織を二次障害から保護するために、治療のための低体温法と、治療のための正常体温の維持が使用される。治療のための低体温法と治療のための正常体温維持における大きな制約要素は、シバリング(震え)の発生であり、これは体温を上昇させる作用を有する正常な適応性生理学的反応である。加えて、この状況におけるシバリングは、脳や心臓などの重要な器官からエネルギを奪い取ることによって有害な生理的影響を与える可能性がある。
【0004】
従来、連続的な対抗加温手段(「受動的」)が、シバリングの治療において或る程度の効果があることが判っている。シバリングが担当の医療関係者によって観察される場合は、この関係者によって評価が下され、もし指示が判断された場合には、例えば、その患者の上又は下に加温用のブランケットを敷くなどによって対抗加温治療を行うことができる。従来では、一旦、受動的な対抗加温が行われたあとは、その治療コースに渡って、それが調節されることはない。
【0005】
その他の一般的に使用されているシバリング防止手段としては、薬剤が含まれるが、現在利用可能なオプションの薬効は限られており、重大な副作用を有する可能性があり、その投与態様によって患者にリスクを与える可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般的に、本発明は、対象体の反復運動を定量化する、特に、治療のための体温調節中の対象体におけるシバリングを定量化し、シバリングを阻止するための適当な療法において対抗加温を適用するためのシステムを提供するものである。前記対抗加温療法はフィードバックシステム中で作動することができる。正常体温維持又は低体温法のために患者に対して身体中心部冷却が行われる治療用温度調節において、シバリング定量化及び能動的対抗加温のためのシステムは、身体中心部冷却システムと適合されることができる。前記対抗加温療法は、定量化されたシバリング、又は、患者の身体中心部体温、又は、適用される身体中心部冷却の量、或いは、これらの要素の組み合わせ、に対して応答するように構成することができる。
【0007】
本発明の一つの一般的態様において、対象体のシバリングを定量化する方法は、シバリングを受けやすい筋肉塊から信号を得て、この信号を解析することによってシバリングを定量化する。いくつかの実施例において、前記信号を得る工程は、加速度計などの周期的運動(振動)検出器を使用して運動を直接検出する工程を含み、いくつかの実施例において、前記信号を得る工程は電気信号を単数又は複数の電極から得る工程を含み、EMG信号又はECG+EMG信号を含むことができる。いくつかの実施例において、前記信号を得る工程は、前記筋肉塊から振動を直接検出する工程と、前記筋肉塊から電気信号を得る工程との両方を含み、そのような実施例において、これら二つのアプローチからのシバリングの定量化の結果を組み合わせることができる。いくつかの実施例において、前記シバリングの定量化工程は、前記信号に対してスペクトル密度解析などの波形解析を行う工程と、このスペクトル密度解析からの結果からシバリングを定量化する工程とを含む。そのようないくつかの実施例において、前記スペクトル解析は、パワースペクトルを提供する。いくつかの実施例において、前記波形解析は、例えば、高速フーリエ変換などのフーリエ解析を含む。いくつかの実施例において、前記波形解析は、自己相関関数とその後のフーリエ解析を含む。前記データ及び信号処理操作の少なくとも一部は、これら特定の操作を実行するようにプログラムされたマイクロプロセッサなどの機械を使用して行われる。
【0008】
いくつかの実施例において、前記信号を得る工程は、シバリングを受けやすい前記筋肉塊の上の身体表面からECG及びEMGの複合信号を検出する工程と、この信号を処理してECG成分を除去し、それによってEMG信号成分を得る工程とを含む。そのようないくつかの実施例において、前記らECG及びEMGの複合信号を検出する工程は、前記筋肉塊上の皮膚の上又はその内部、或いは前記筋肉塊自身の内部、の単数又は複数の部位に任意の数の電極を当てる工程を含む。その他の実施例において、前記信号を得る工程は、ECG及びEMGの複合信号を検出する工程と、この複合信号をデジタル化する工程と、前記複合信号に対してスペクトル密度解析などの波形解析を実行する工程とを含み、いくつかの実施例において、前記波形解析は、シバリングEMGに対応することが既知である周波数範囲のスペクトルに対して行われる。いくつかの実施例において、前記方法は、更に、冷却処理の開始前に信号(「ベースライン(基準値)信号」)を得る工程と、このベースライン信号をスペクトル解析によって処理する工程と、次に、冷却中(シバリングが生じることが予測できる時)に信号を得る工程と、このシバリング信号をスペクトル解析によって処理する工程と、一方の信号を他方の信号から減算(サブトラクション)して前記シバリング成分のみを表すスペクトルを得る工程とを有する。
【0009】
いくつかの実施例において、前記複合信号を処理する工程は、前記複合信号をデジタル化する工程を含む。いくつかの実施例において、前記データ分離は、そのそれぞれが、完全な心臓周期を含むことが可能な、出力波形(トレース: traces)セットに対して行われる。前記EMGデータは、前記ECGのQRS複合(complex)のピーク等のECG波形の容易に同定可能な特徴に基づいて前記出力波形(traces)をアラインメント(調整)し、前記デジタル化された出力波形を信号平均化してEMG無しECGデータを得て、そして前記複合EMG及びECGデータからECGデータを減算してECG無しのシバリングEMGデータを得ることによって、前記ECG+EMGデータから分離することができる。前記データ分離が出力波形(traces)セットに対して行われる場合、前記信号をアラインメントし、前記分離がこのアラインメント後に、ECG出力波形の選択されたセグメントに対して行われ、これによって、例えば、S-Tセグメント(部分)とT波の最後とP波の最初との間の領域などのECGデータ要素が最も少ない領域が、選択的に解析される。いくつかの実施例において、非典定型ECG形態が検出され、外れ値を含む心臓周期が同定され、解析から除外される。いくつかの実施例において、非典型ECG形態は、非シバリング状態での同じ患者からの記憶されている平均化ECG出力波形を減算することによって分析から除外され、出力波形の除外は、有意な残りのECGデータ(例えば、調節可能な閾値を越えている残りの電圧の振幅、又はシバリングエネルギに典型的に関連するものよりも低い又は高い周波数範囲における残余出力スペクトル密度)をもたらす。
【0010】
いくつかの実施例において、波形解析を行う工程は、平均化高速フーリエ変換(“FFT”)を実行する工程を含む。前記平均化FFT解析は、各シバリングEMG出力波形に対してFFTを実行し、その後、FFTスペクトルを平均化して平均化FFTスペクトルを得ることによって行うことができる。いくつかの実施例において、自己相関関数が、各シバリングEMG出力波形に対して行われて、リズミック(周期的)シバリング活動の解析を増強し、その後、フーリエ解析が、この自己相関の結果に対して行われる。
【0011】
シバリングの強度は、シバリングEMGに典型的な適当な周波数範囲内のピークスペクトルパワー(例えば、ピークフーリエスペクトルパワー)の振幅を測定(決定)することによって定量化されることができる。或いは、シバリングは、シバリングEMGで典型的な適当な周波数範囲内でのスペクトルパワーの曲線の下方の面積を測定(決定)することにより定量化されることができる。或いは、シバリングは、シバリングの強度の増大に伴って発生するシバリングの異なる周波数に対応する異なるピークの出現を解析することによって定量化されることができる。又は、シバリングは、スペクトルピーク又はパターンの時間に応じた変化を解析することによって定量化されることができる。
【0012】
いくつかの実施例において、測定されたシバリング強度を使用して、シバリング強度を表す時間の関数としての連続スケール又はスコア変数を提供することができる。この結果得られたシバリング強度スケール又はスコアを、温度調節において制御下にあるその他の変数に影響を与える手段として使用することができる。および/又は、前記シバリング強度スケール又はスコアを、臨床医による利用のために数値又はグラフで表示することができる。および/又は、前記シバリング強度スケールを、別の又は追加の制御処理に使用するべく別の装置に伝送することができる。
【0013】
本発明の別の一般的態様は、上述した方法によって対象体のシバリングを定量化するための装置を提供する。この装置は、シバリングを受けやすい筋肉塊から信号を得るための手段と、この信号を解析するための手段とを有する。前記信号取得手段は、加速度計などの直接運動検知器と、この検知器から信号プロセッサへのリード線、或いは、患者の体内又は体表面上に配置されるように構成された単数又は複数の電極等の間接的運動検知器と、これら電極から信号プロセッサへの電気的接続のためのリード線とを備える。前記検知器が電極を備える場合、これら電極は、表面電極やニードル電極などの、ECG電極又はEMG電極を含むことができる。前記信号を解析するための手段は、特定の操作を実行するようにプログラムされたマイクロプロセッサなどの、前記筋肉塊から前記信号を得るための手段から信号を受け取り上述したような種々のデータ処理手順のいずれかを実行するように構成された信号プロセッサを含む。
【0014】
本発明の別の態様は、上述したようにシバリングを定量化し、定量化されたシバリング又は患者の身体中心部体温に応じて、或いは、定量化されたシバリングと患者の身体中心部体温との両方に応じて、動的に対抗加温を制御することによって、患者に対して能動的対抗加温を与える方法を提供する。
【0015】
本発明の別の態様において、患者の治療のための温度調整中に患者に対して能動的な対抗加温を与えるための方法が提供される。いくつかのそのような実施例において、前記治療用温度調節は、身体中心部体温を低減させるための冷却を含む。いくつかの実施例において、対抗加温を提供する工程は、患者の体上の選択された部位に対して加温を提供する工程を含み、これらの部位は、例えば、手、足、又は耳、或いは上部背中又は後部頸、又はその他の部位、或いはこれらの組み合わせ、を含む、前記身体中心部の冷却のために使用されない身体領域とすることができる。
【0016】
いくつかの実施例において、前記対抗加温の調節は、ある瞬間におけるシバリングの強度に関して、或いは、患者の身体中心部体温に関して、或いは、身体中心部冷却の強度に関して、或いは、これらの二つ以上に関して、与えられる加温を調節することを含む。いくつかの実施例において、前記対抗加温を調節する工程は、これらのいずれか又はこれらの任意の組み合わせに対して、単数又は複数の追加の定数、比例係数、又は、任意の数学的操作或いはこれらの変数の相互作用ととともに、与えられる加温を調節することを含む。
【0017】
いくつかの実施例において、前記対抗加温の調節は、単位時間当たりの冷却温度の変化、単位時間当たりのシバリング強度の変化、又は、単位時間当たりの患者の体温の変化、又は、これらの変数の任意の数学的操作又は相互作用、例えば、単位時間当たりの任意の変数の二乗の変化又は単位時間の二乗当たりの任意の変数の変化率など、のいずれかの率又はいずれの組み合わせに関して与えられる加温を調節することを含む。
【0018】
いくつかの実施例において、対抗加温の提供は、以下のいずれかを含む。即ち、すべての処理対象身体領域に与えられる加温の温度を変化させること、特定の処理対象身体領域に与えられる加温の温度を変化させること、選択された処理対象身体領域に対して与えられる加温のパターンを変化させること、例えば、任意の数のパターンに従って異なる時間で異なる身体領域に対して加温を提供することによる、連続する身体領域に対して連続的に加温を提供すること、例えば、まず耳を加温し、次に、耳と手を加温し、更にその後、耳と、手と足とを加温することによる、指や足指などの小さな領域に対して選択的に加温を提供すること、又は、他の身体領域全部に一度に加温を提供すること、及び、種々のパターンで様々な身体領域を加温すること、異なる領域に与えられる温熱の強度を変化させることを含み、及びそれによって温熱の勾配を作り出すことを含む。
【0019】
いくつかの実施例において、前記対抗加温の調節は、個々の患者のシバリングの治療の最適手段を経時的に決定するための単数又は複数のコンピュータ学習アルゴリズムとの関係において、提供される加温を調節することを含む。
【0020】
本発明の別の一般的態様は、患者に対して能動的な対抗加温を提供するための装置を提供し、これは、上述したような患者のシバリングを定量化するための装置と、患者の体の選択された領域を加温するための装置を含む。
【0021】
本発明の別の一般的態様は、患者の治療のための温度調節中にその患者に能動的加温を提供するための装置を提供し、これは、上述したような患者のシバリングを定量化するための装置と、患者の体の選択された領域を加温するための装置と、そして、更に、その身体中心部体温を低減するべく患者を冷やすための装置を含む。
【0022】
いくつかの実施例において、前記患者を冷やす装置は、冷却装置に作動可能に接続された温度設定点フィードバック装置と、この温度設定点フィードバック装置に作動可能に接続された身体中心部体温センサを含む。いくつかの実施例において、前記冷却装置は、冷却ブランケット又は冷却パッド、又は、血管内冷却カテーテルを含む。
【0023】
いくつかの実施例において、前記体の選択された領域を加温するための装置は、対抗加温素子と、これら対抗加温素子に作動可能に接続されるとともにこれら対抗加温素子に対して与えられる加温を調節するように構成された対抗加温コントローラとを有する。いくつかの実施例において、前記対抗加温コントローラは、身体中心部体温センサ、身体中心部冷却コントローラ、又は前記シバリング定量化装置、のうちの単数又は複数の組み合わせと作動可能に接続されている。
【0024】
いくつかの実施例において、前記対抗加温素子は、例えば、加熱されたミトン、加熱されたブーティー、加熱されたイヤマフラ、又は体の上又は下の加熱されたブランケット、を含む加熱衣類(アパレル)を含み、前記対抗加温素子は、いくつかの実施例において、循環する温水(又はその他の液体)或いは絶縁された電気加熱コイル、を含む、種々の熱伝達手段のいずれかによって加熱することができる。いくつかの実施例において、前記対抗加温素子は、適当な無菌加温液体(例えば、水性又は油性液)を患者の両耳の外耳路に注入するように構成された装置を含み、このような装置は、例えば、プラスチック製耳栓を介して取り付けられたチューブ(流入及び流出)を備えることができる。
【0025】
前記実施例のいずれかの前記種々のコンポーネントのいずれかによって信号を送受信することが可能な種々の操作接続構造は有線式であっても無線式であってもよい。特定の治療環境(例えば、集中治療ユニット)では、「Bluetooth」などの無線通信プロトコルを使用する、無線送信機及び受信機の対を使用することが好適であるかもしれない。
【0026】
更に一般的に本発明は、重畳された第1及び第2信号を含む複合信号から目的の信号を分離するためのシステムを提供する。前記第1信号が目的信号であり、これは、種々の特性の任意の特性を有するものとすることができ、前記第2信号は定型的な波形の反復性の期間(エポック)又はサイクルを含み、更に、外部トリガーなどの外部事象に対する関係を含むことも可能である。
【0027】
従って、一つの一般的態様において、本発明は、以下の工程による、第1(A)信号と第2(B)信号とを含む複合(A+B)信号からの第1信号の分離を提供し、前記第2信号は定型的な波形の反復性の期間(エポック)を含み、前記分離は、前記複合(A+B)信号を適当なサンプリングレートでデジタルサンプリングする工程と、前記複合(A+B)信号の期間の数(n)を記憶する工程と、前記複合信号の前記記憶された期間を平均化して、前記定型波形の(n)反復期間の平均値を得る工程と、前記平均反復期間を、前記複合(A+B)信号の前記(n) 期間の少なくとも1つのサブセットのそれぞれから減算する工程と、信号(B)の特徴を実質的に持たない分離された第1(A)信号期間を含むその結果を記憶する工程、を含む。前記データ及び信号処理操作のうちの少なくともいくつかは、前記特定の操作を実行するようにプログラムされたコンピュータ、などの機械を使用して行われる。
【0028】
いくつかの実施例において、各複合(A+B)信号期間の初期サンプルは、B信号の単数又は複数の特徴を同定し、この同定された特徴を使用して各期間の前記初期サンプルをインデックス化する(しるしを付ける)ことによって決定される。いくつかの実施例において、前記B信号は、特性ピークを有し、そのような実施例において、閾値化技術が、前記ピークを同定し、期間の初期サンプルとしてピークの特性(例えば、頂点)を使用するために用いられることができる。いくつかの実施例において、前記B信号は、外部事象に対して時間関係を有し、この外部事象の発生を利用して一つの期間の開始をインデックス化することができる。いくつかの実施例において、各期間は、前記インデックス化された第1サンプルから始まり、後続の事象の第1サンプルの直前のサンプルで終了し(「完全な」期間)、いくつかの実施例において、これら期間は切り取られることができる。
【0029】
前記記憶された複合(A+B) 期間を平均化するに当たって、十分な数の期間が平均化されて、実質的に信号Aを含まない平均B信号を提供する、即ち、平均(B)信号が実質的に信号A成分を混合しないように信号Aの寄与を低減する。
【0030】
その後、前記記憶された分離信号A期間が、例えば、信号に対するスペクトル密度解析などの波形解析の実行を含む、解析にかけられることができる。前記スペクトル解析は、例えばパワースペクトルを提供することができる。前記波形解析は、例えば、高速フーリエ変換などの、フーリエ解析を含むものとすることができる。前記波形解析は、いくつかの実施例において、自己相関関数とその後のフーリエ解析を含むことができる。
【0031】
完全な複合(A+B)信号期間が記憶される実施例において、前記分離されたA信号期間は、エンド・ツー・エンド(端と端と)で互いに再接続されて、これら分離信号A期間よりも長い期間を有する拡張(再構成)信号Aを提供することができる。
【0032】
任意の種々のソースからの、種々のタイプの任意のものの複合信号は、このようにして処理されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
以下の詳細説明は例示として提供されるものであって、本発明をそれらにのみに限定することを意図するものではなく、種々の図面において類似の部材及び特徴構成が類似の参照番号によって示される添付の図面を参照して良好に理解されるであろう。
【図1A】治療用温度管理とシバリングの処置に対する従来のアプローチを示すブロック図である。
【図1B】治療用温度管理とシバリングの処置に対する従来のアプローチを示すブロック図である。
【図2A】治療用温度管理に対する本発明の実施例によるアプローチを示すブロック図である。
【図2B】治療用温度管理に対する本発明の別実施例によるアプローチを示すブロック図である。
【図2C】治療用温度管理に対する本発明の別実施例によるアプローチを示すブロック図である。
【図2D】治療用温度管理に対する本発明の別実施例によるアプローチを示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例による温度管理の配備を図示する略図である。
【図4】本発明の実施例による温度管理の配備を図示する略図である。
【図5A】冷却容器温度(図5A)と加温素子温度(図5B)との間の時間関係を図示する理想化グラフである。
【図5B】冷却容器温度(図5A)と加温素子温度(図5B)との間の時間関係を図示する理想化グラフである。
【図6A】冷却容器温度(図6A)と加温素子温度(図6C)との間の時間関係に対するシバリングの影響 (図6B) を図示する理想化グラフである。
【図6B】冷却容器温度(図6A)と加温素子温度(図6C)との間の時間関係に対するシバリングの影響 (図6B) を図示する理想化グラフである。
【図6C】冷却容器温度(図6A)と加温素子温度(図6C)との間の時間関係に対するシバリングの影響 (図6B) を図示する理想化グラフである。
【図7A】本発明の実施例による、シバリング定量化のためのECGの時間窓の選択を示す理想化グラフである。
【図7B】本発明の実施例による、シバリング定量化のためのECGの時間窓の選択を示す理想化グラフである。
【図7C】本発明の実施例による、シバリング定量化のためのECGの時間窓の選択を示す理想化グラフである。
【図8A】本発明の実施例によるシバリング定量化のための方法における工程を示す理想化グラフである。
【図8B】本発明の実施例によるシバリング定量化のための方法における工程を示す理想化グラフである。
【図8C】本発明の実施例によるシバリング定量化のための方法における工程を示す理想化グラフである。
【図8D】本発明の実施例によるシバリング定量化のための方法における工程を示す理想化グラフである。
【図9A】本発明の実施例により、表面電極を使用してシバリングのある対象体において検出され解析されたデータのプロットである。
【図9B】本発明の実施例により、表面電極を使用してシバリングのある対象体において検出され解析されたデータのプロットである。
【図9C】本発明の実施例により、表面電極を使用してシバリングのある対象体において検出され解析されたデータのプロットである。
【図9D】本発明の実施例により、表面電極を使用してシバリングのある対象体において検出され解析されたデータのプロットである。
【図9E】本発明の実施例により、表面電極を使用してシバリングのある対象体において検出され解析されたデータのプロットである。
【図9F】本発明の実施例により、表面電極を使用してシバリングのある対象体において検出され解析されたデータのプロットである。
【図9G】本発明の実施例により、表面電極を使用してシバリングのある対象体において検出され解析されたデータのプロットである。
【図10A】本発明の実施例により、表面電極を使用してシバリングの無い対象体において検出され解析されたデータのプロットである。
【図10B】本発明の実施例により、表面電極を使用してシバリングの無い対象体において検出され解析されたデータのプロットである。
【図10C】本発明の実施例により、表面電極を使用してシバリングの無い対象体において検出され解析されたデータのプロットである。
【図10D】本発明の実施例により、表面電極を使用してシバリングの無い対象体において検出され解析されたデータのプロットである。
【図10E】本発明の実施例により、表面電極を使用してシバリングの無い対象体において検出され解析されたデータのプロットである。
【図10F】本発明の実施例により、表面電極を使用してシバリングの無い対象体において検出され解析されたデータのプロットである。
【図10G】本発明の実施例により、表面電極を使用してシバリングの無い対象体において検出され解析されたデータのプロットである。
【図11A】加速度計を使用してシバリングのある対象体において検出されたデータのプロットである。
【図11B】図11Aと同様に対象体で検出されたデータのプロットを示し、対抗加温の適用によるシバリングの減少を図示している。
【図11C】本発明の実施例による図11Aのデータ解析の結果を示している。
【図11D】本発明の実施例による図11Bのデータ解析の結果を示している。
【図12】本発明の実施例による、電極検出を使用するシバリング定量化処理の工程を図示するフローチャートである。
【図13】本発明の実施例による、加速度計検出を使用するシバリング定量化処理の工程を図示するフローチャートである。
【図14】本発明の別の態様により表面電極を使用してシバリングのある対象体に於いて検出され解析されたデータのプロットである。
【図15】本発明の別の態様により表面電極を使用してシバリングのある対象体に於いて検出され解析されたデータのプロットである。
【図16】本発明の実施例による外れ値波形を同定するための方法の工程を示すグラフである。
【図17】本発明の別実施例による外れ値波形を同定するための方法の工程を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を本発明の実施例を例示する図面を参照して更に詳細に説明する。これらの図面は、略図的なものであって、本発明の特徴構成と、それらの他の特徴構成及び構造とに対する関係を図示するものであって、実寸のものではない。開示を更に明瞭にするために、本発明の実施例を図示しているこれら図面において、それら全ての図面において容易に認識可能であるため、他の図面に図示されている特徴構成に対応する特徴構成のすべてに図面番号が付されているものではない。
【0035】
図1Aを参照すると、ここには、正常体温維持又は低体温法を必要とする患者における治療のための温度管理に対する従来のアプローチの全体が10で図示されている。従来のアプローチでは、温度センサによって患者の身体中心部体温が感知される。冷却パッドや血管内冷却装置などの、冷却装置によってこの身体中心部体温の降下が行われる。患者の治療のための冷却は、フィードバックシステムによって制御することができ、このシステムでは、前記温度センサは、温度設定点フィードバック装置と作動可能に接続(以下、作動接続と称す)され、この温度設定点フィードバック装置が前記冷却装置に作動接続されている。前記温度センサによって検出される患者の身体中心部体温が選択された設定点を下回ると、前記フィードバック装置が冷却を少なくするように冷却装置に信号を送り、前記プローブにおける温度が前記設定点よりも高くなると、前記フィードバック装置が冷却を多くするように冷却装置に信号を送る。即ち、患者の身体中心部体温の所望の温度から上方への偏移によって身体中心部の冷却がトリガーされ、患者の身体中心部体温の所望の温度から下方への偏移によって身体中心部の冷却の減少又は加温がトリガーされる。その結果として患者の中間体温において生じる変化が温度センサによって感知される。担当医療関係者(例えば、担当医師又は看護婦)によってシバリングが観察されると、その関係者によって評価が行われ、もし指示が判断された場合には、対抗加温や、投薬などのその他のシバリング防止手段が調節又は開始される。
【0036】
そのような従来のシステムのその全体が100によって更に詳細に図1Bに図示されている。この図において、破線101は、患者に関係する特徴の概要を示し、破線111は担当医療関係者に関連する活動の概要を示している。身体中心部体温プローブ102が、患者の身体中心部体温を感知するべく患者の体の上又は中の部位に配置されている。種々の温度プローブは、それらの配置場所によって特徴付けられ、一般的なプローブとして、直腸、(尿道)膀胱、食道、血管内プローブ、がある。身体中心部温度を下げるために、冷却装置104が、患者の体の上又は中の単数又は複数の部位に配置される。種々の冷却装置が一般的に使用されているが、その具体例として配送流体を冷却しそれを導管105によって前記冷却装置104に戻す冷却配送装置106がある。典型的な冷却装置は、冷却ブランケット、冷却パッド、又は血管内冷却カテーテルを含み、典型的な冷却配送装置は、冷却流体タンク、それによって前記タンクから前記冷却装置を通って前記タンクへと冷却流体が循環される流体ポンプ、を含む。患者の治療用冷却は、フィードバックシステムによって制御することができ、このシステムにおいて、前記温度プローブ102は温度設定点フィードバック装置108に作動接続(103)され、この温度設定点フィードバック装置108は前記冷却配送装置106に作動可能なように接続(107)されている。担当医療関係者は、前記温度設定点フィードバック装置と連動するオペレータインターフェース109を使用して、目標温度設定点などのシステム設定を選択する。前記プローブ102において感知される患者の身体中心部体温が選択された標的温度を下回ると、前記フィードバック装置108が、冷却を少なくするように前記冷却装置106, 105, 104に信号を送り、前記プローブ102において感知される患者の身体中心部体温が選択された標的温度を上回ると、前記フィードバック装置108が、冷却を増加させるように前記冷却装置に信号を送る。即ち、患者の身体中心部体温の所望の温度から上方への偏移によって身体中心部の冷却がトリガーされ、患者の身体中心部体温の所望の温度から下方への偏移によって身体中心部の冷却の減少又は身体中心部の加温がトリガーされる。その結果患者の中間体温において生じる変化が温度プローブ102によって感知される。
【0037】
高い身体中心部温度(発熱)を有する患者に正常体温を誘導するために、前記フィードバック装置の設定点は、患者の正常体温(人間の場合、約37℃)内に設定することができる。低温治療を必要とする患者に低温状態を誘導するためには、前記フィードバック装置の設定点を、患者の正常体温以下(例えば、軽い低温状態の場合、人間では、約32℃から約34℃の範囲の温度)に設定することができる。
【0038】
身体中心部が冷却されると、シバリング(震え)反応112が始まる可能性がある。人間の場合、シバリングは、身体中心部体温が低下すると始まり、低温状態の能動的な誘導中に強まる可能性がある。シバリングは、発熱を増加しようと試みている患者における正常体温の維持中に最も強力となる可能性がある。シバリングは、治療用冷却処理の障害となる。従来の方法では、シバリングは、シバリング防止薬剤の投与によって制御され、この薬剤の投与は通常、冷却が始められる前、又は身体中心部体温がシバリングが予想される点にまで冷却されるまでに開始される。シバリング防止薬は、オペレータインターフェース119によって担当医療関係者によって操作可能な医薬投与装置116から導管115を介して患者に投与される。この薬剤は、例えば、注射器-ニードル装置、又は、注射器-血管挿管法によって投与することができる。
【0039】
従来のアプローチにおいて典型的には、シバリング防止薬の効果は、患者の直接観察(113)及び担当医療関係者による評価114によってモニタされる。シバリング112が観察されると(113)、そのシバリングの低減を試みるべくシバリング防止薬の調節118が指令される。追加の調節は、その後の観察と評価の後に行われる。
【0040】
図2Aは、本発明の実施例による治療用温度管理システムの全体を200で図示し、このシステムでは、対抗加温システムによってシバリングを定量化し、それに応じて対抗加温が遂行される。この実施例では、治療用冷却は、その概要を図1Bを参照して上述したようにフィードバックシステムによって制御されるが、ここでは、シバリング制御は従来のアプローチのものと異なっている。
【0041】
図2Aにおいて、破線201は、患者に関係する特徴の概要を示し、破線211は担当医療関係者に関連する活動の概要を示している。
【0042】
この実施例の治療用冷却システムは、従来の治療アプローチにおいて使用されるものと実質的に類似している。身体中心部体温プローブ202が、患者の身体中心部体温を感知するべく患者の体の上又は中の部位に配置される。身体中心部温度の低減を行うために、冷却装置204が、患者の体の上又は中の単数又は複数の部位に配置される。種々の温度プローブは、それらの配置場所によって特徴付けられ、一般的なプローブとして、直腸、(尿道)膀胱、食道、血管内プローブ、がある。種々の冷却装置が一般的に使用されおり、その具体例としては配送流体を冷却しそれを導管205によって前記冷却装置204に戻す冷却配送装置206がある。典型的な冷却装置としては、冷却ブランケット、冷却パッド、血管内冷却カテーテルがあり、典型的な冷却配送装置は、冷却流体タンク、それによって前記タンクから前記冷却装置を通って前記タンクへと冷却流体が循環される流体ポンプ、を含む。患者の治療用冷却は、フィードバックシステムによって制御することができ、このシステムにおいて、前記温度プローブ202は温度設定点フィードバック装置208に作動接続(203)され、この温度設定点フィードバック装置208は前記冷却配送装置206に作動接続(207)されている。担当医療関係者は、前記温度設定点フィードバック装置と連動するオペレータインターフェース209を使用して、標的温度設定点などのシステム設定を選択する。前記プローブ202において感知される患者の身体中心部体温が選択された標的温度を下回ると、前記フィードバック装置208が、冷却を少なくするように前記冷却装置206, 205, 204に信号を送り、前記プローブ202において感知される患者の身体中心部体温が選択された標的温度を上回ると、前記フィードバック装置208が、冷却を増加させるように前記冷却装置に信号を送る。即ち、患者の身体中心部体温の所望の温度から上方への偏移によって身体中心部の冷却がトリガーされ、患者の身体中心部体温の所望の温度から下方への偏移によって身体中心部の冷却の減少又は身体中心部の加温がトリガーされる。その結果として患者の中間体温において生じる変化が温度プローブ202によって感知される。
【0043】
高い身体中心部温度(発熱)を有する患者に正常体温を誘導するために、前記フィードバック装置の設定点は、患者の正常体温(人間の場合、約37℃)内に設定することができる。低温治療を必要とする患者に低温状態を誘導するためには、前記フィードバック装置の設定点を、患者の正常体温以下(例えば、軽い低温状態の場合、人間では、約32℃から約34℃の範囲の温度)に設定することができる。
【0044】
身体中心部が冷却されると、シバリング反応が始まる可能性がある。人間の場合、シバリングは、身体中心部体温が低下すると始まり、低温状態の能動的な誘導中に強まるかもしれない。シバリングは、発熱を増加しようと試みている患者における正常体温の維持中に起こる可能性がある。本発明の実施例に拠れば、単数又は複数のシバリングセンサ素子(動き検知器)212が、シバリングを受けやすい筋肉塊の上の部位に載置される。この(これら)の動き検知器は、前記筋肉塊の動きを直接に感知することができ、それらは、例えば、加速度計やその他の移動又は振動検出システム、を含むことができる。あるいは、前記運動検知素子は、運動を間接的に検出ことができ、それは、例えば、表面電極、皮下電極、又は筋肉内電極などの単数又は複数の電極を含むことができ、前記シバリングセンサ素子は、例えば、ECG/EMG又はEMGを記録するために使用することが可能な電極等の、筋肉塊の電気的活動を測定する様々な電極のいずれかを含むことができる。
【0045】
筋肉塊の運動を直接感知することが望ましい場合、適当な検知器は、種々の振動モニタを含み、前記検知器は、その既知の性能パラメータ(例えば、感度、振幅、周波数範囲)等に応じて選択することができる。これらは、変位、速度、及び加速の1つ以上を測定することができる。適当なセンサとしては、例えば、圧電変位トランスデューサー(二重集積加速度計: doubly integrated accelerometers)、電磁速度センサ、圧電速度センサ(内部集積加速度計: internally integrated accelerometers)、及び圧電加速度計、が含まれる。圧電センサが有用であり、圧電加速度計が特に好適であるかもしれない。前記センサは、例えば、マイクロ電子機械システム(MEMS)装置、を含むことがで、これは一つ、二つ(2D)又は三つの次元(3D)に対して感度を有するものとすることができる。適当な運動センサは、例えば、Cole-Parmer, Vermon, IL60061 USAから入手可能であり、そして例えば、Vibra-Metrics Princeton Jct., NJ08550, USAによって”9000シリーズ加速度計”として販売されている小型の加速度計が適当であるかもしれない。前記運動検知器(例えば、加速度計)を、例えば、弾性ストラップ、や、ヒドロゲル接着剤などの接着剤によって、患者の皮膚に固定することができる。
【0046】
筋肉塊の移動を電極によって間接的に測定することが望まれる場合は、例えば、使い捨て式又は再利用可能な接着剤、又は粘着式ECM又はEMG、或いはディスク型電極、或いは、ニードル単極又は双極EMG電極、などの、市販のECG又はEMG電極の広範囲の選択肢から任意のものを使用することができる。
【0047】
前記運動検知器212に、シバリング定量化装置218が作動接続(213)されている。このシバリング定量化装置は、前記動き検知器から受け取る電気信号に対応するデータを処理、記憶し、そして、例えば、後に詳細に説明するように、シバリング定量化出力を生成するように構成されているコンピュータを含む。担当医療関係者は、前記シバリング定量化装置218と連動するオペレータインターフェース219を使用して、シバリング定量化装置の設定を選択する。この実施例において、前記オペレータインターフェース219は、担当関係者に対してシバリング定量化の結果を提供することができ、この結果は、たとえば、視覚的ディスプレイ、又は音声、を含むことができる。好ましくは、前記出力は、患者におけるシバリングの状態のリアルタイム又はリアルタイムに近い表示、例えば、グラフ及び数値形態の一方又は双方の表示、である。機械的シバリング検出と電気的シバリング検出との両方が利用される場合、これら二つのタイプの検出システムからのデータを、様々な方法で統合し、使用することができる。例えば、二つの信号の平均を表示又は使用することができ、或いは一つの方法からの測定結果の変化を使用して他方における変化を確認することができる。これら二つの信号の間の不一致、例えば、プリセットされた又はユーザ調節可能な差による二つのシステム間の値の差、或いは二つの信号におけるトレンド間の損失相関、によって前記オペレータインターフェース219を介して担当医療関係者211による再解析又は注意をトリガーすることができる。
【0048】
上述したように、シバリングは治療のための冷却処理の障害となり、患者にとって潜在的に有害である。シバリングを低減することによって治療のための低温状態の誘導又は正常体温の維持を大幅に改善することができる。シバリングは、単数又は複数の対抗加温素子の利用、又は起動もしくは調節、或いは、シバリング防止薬剤の投与、によって制御することができる。
【0049】
図2Aに図示されている例において、単数又は複数の対抗加温素子214が、患者の体の露出領域上に配置されている。対抗加温素子のための適当な領域は、例えば、手、足、耳を含み、或いは、身体中心部加温に使用されていないその他の領域を含む。オプションとして、単数又は複数の加温ブランケットを、能動的に冷却されていない皮膚領域と接触する状態で、患者の体の上方又は下方、或いは、上方及び下方に配置することができる。前記対抗加温素子214は、それらが接触する体の領域を加熱し、それによってシバリングを抑制する。これら加温素子は、抵抗性導体を流れる電流、或いは、例えば、チューブを流れる流体、によって作動することが可能な加熱パッド又は加熱ブランケットとすることができる。これら対抗加温素子214を作動させるために対抗加温制御及び配送装置216が作動接続(215)されている。
【0050】
前記シバリング定量化装置からの出力によってシバリング状態に気づいた担当医療関係者は、それに応答して、対抗加温素子214による加温を増大又は減少させることによって、例えば、前記対抗加温制御及び配送装置216の起動又は調節(217)によって、対抗加温(211)を手動で変化させるか変更することができる。シバリングの程度の変化は、身体中心部体温の変化から、又は対抗加温素子214によってもたらされる変化から生じる。もしも、前記対抗加温がシバリングを低減するのに効果的であれば、シバリングの減少が、担当関係者に対して、前記リアルタイム又は近リアルタイムのシバリング定量化の出力として提供され、もしも対抗加温がシバリングを低減するのに不十分であれば、担当関係者は、シバリング定量化出力が許容可能なレベルへの減少を示すまで、更に調節を行うことができる。
【0051】
例えば、図2Bにおいてその全体を240示す温度管理システムのいくつかの実施例において、患者のシバリングは、フィードバックシステムによって制御される。図2Bにおいて、破線201は、患者に関係する特徴の概要を示し、破線211は担当医療関係者に関連する活動の概要を示している。この実施例の治療用冷却システムは、図2Aを参照して記載したものと実質的に類似している。この実施例において、対抗加温の制御は自動化されている。ここでは、図2Aの例と同様に、シバリングセンサ素子(運動検知器)222が、シバリングの検出のために適当であるとして選択された患者の体の上、又は中の部位、通常は、シバリングを受けやすい筋肉塊、に配置されている。前記運動検知器は、単数又は複数の電極を含むことができ、或いは、この運動検知器は、単数又は複数の振動検知センサ(例えば、加速度計)を含むことができ、或いは、前記運動検知器は、電極と振動検知センサの両方を含むことも可能である。この運動検知器222にはシバリング定量化装置228が作動接続(223)されている。このシバリング定量化装置は、前記運動検知器から受け取った電気信号を処理、記憶し、例えば以下に更に詳細に説明するように、シバリング定量化出力を生成するように構成されているコンピュータを含む。担当医療関係者は、前記シバリング定量化装置228と連動するオペレータインターフェース229を使用して、シバリング定量化システムの設定を選択する。更に図2Bに図示の実施例と同様に、単数又は複数の加温素子224が、図2Aを参照して概略説明したように、患者の体の露出領域に配置される。前記対抗加温素子224を起動するために対抗加温制御及び配送装置226が作動接続(225)されている。
【0052】
この実施例において、図2Aの例と同様、担当医療関係者は、前記シバリング定量化装置228と連動するオペレータインターフェース229を使用して、シバリング定量化システムの設定を選択する。前記オペレータインターフェース229は、前記担当関係者に対してシバリング定量化の結果の出力を提供することができ、この出力は、例えば、視覚的表示又は音声を含むことができる。好ましくは、前記出力は、患者におけるシバリングの状態のリアルタイム又はリアルタイムに近い表示である。更に、この実施例においては、前記シバリング定量化装置228は、前記対抗加温制御及び配送装置226に対して出力を提供(227)する。前記対抗加温制御及び配送装置226は、前記シバリング定量化装置228から受け取った電気信号に対応するデータを処理、記憶し、例えば、後に更に詳細に説明するように、前記対抗加温制御及び配送装置226に対する対抗加温指示出力(227)を生成するように構成されているコンピュータを含む。この出力は、シバリングの度合いと相関されている。前記対抗加温制御及び配送装置226は、前記シバリング定量化装置228からの前記出力信号(227)に応答して、前記対抗加温素子224による加温を増加又は減少させることによって対抗加温を自動的に変化させるか変更することができる。シバリングの度合いの変化は、前記身体中心部体温の変化、又は前記対抗加温素子224によってもたらされる変化から生じる。もしも、前記対抗加温がシバリングを低減するのに効果的であれば、シバリングの減少が、前記対抗加温制御及び配送装置226に対して、前記シバリング定量化システム(222, 223, 228)によるリアルタイム又は近リアルタイム定量化の出力として提供され、もしも対抗加温がシバリングを低減するのに不十分であれば、シバリングの低減の欠如が、前記シバリング定量化システム(222, 223, 228)によって前記対抗加温制御及び配送装置226に対して示され、この装置は、シバリングが許容可能なレベルに低減するまで更なる調節を自動的に行うことができる。
【0053】
本発明の実施例による更に複雑な治療用温度管理システムがその全体を20によって図2Cに図示されている。この実施例において、図2Bの例と同様、治療用冷却と治療用加温との両方がフィードバックによって制御され、ここでは追加のフィードバックループをオプションとして利用可能である。そのような実施例において、温度センサが患者の身体中心部体温を感知する。冷却パッドや血管内冷却装置などの冷却装置が身体中心部体温の低減を行う。患者の治療用冷却は、フィードバックシステムによって制御することができ、このシステムにおいて、前記温度センサは温度設定点フィードバック装置に作動接続され、温度設定点フィードバック装置は冷却装置に作動接続されている。前記温度センサによって検出される患者の身体中心部体温が選択された設定点を下回ると、前記フィードバック装置が冷却を少なくするように冷却装置に信号を送り、前記プローブにおける温度が前記設定点よりも高くなると、前記フィードバック装置が冷却を多くするように冷却装置に信号を送る。即ち、患者の身体中心部体温の所望の温度から上方への偏移によって身体中心部の冷却がトリガーされ、患者の身体中心部体温の所望の温度から下方への偏移によって身体中心部の冷却又は加温の減少がトリガーされる。その結果患者の中間体温において生じる変化が温度センサによって感知される。患者の検知器がシバリングセンサシステムに信号を送り、このシステムはこの信号を処理し、対抗加温指示信号を加温制御装置に送る。これにより、この加温制御装置は、患者の対抗加温素子対して信号を送り、対抗加温を開始し、対抗加温の量を調節する。効果的な対抗加温によってシバリングが抑制される。
【0054】
そのような実施例の一例の全体が260によって、図2Dの例によって図示されており、ここで、破線201は、患者に関係する特徴の概要を示し、破線211は担当医療関係者に関連する活動の概要を示している。この実施例の治療用冷却システムと対抗加温システムとは、図2Bを参照して記載したものと実質的に類似している。特に、ここでは、図2Bの例と同様に、シバリングセンサ素子(運動検知器)232が、シバリングの検出のために適当であるとして選択された患者の体上、又はその中の部位、通常は、シバリングを受けやすい筋肉塊、に配置されている。前記運動検知器は、単数又は複数の電極を含むことができ、或いは、この運動検知器は、単数又は複数の振動検知センサ(例えば、加速度計)を含むことができる。この運動検知器232にはシバリング定量化装置238が作動接続(233)されている。このシバリング定量化装置は、前記運動検知器から受け取った電気信号を処理、記憶し、例えば以下に更に詳細に説明するように、シバリング定量化出力を生成するように構成されているコンピュータを含む。担当医療関係者は、前記シバリング定量化装置228と連動するオペレータインターフェース239を使用して、シバリング定量化システムの設定を選択する。更に図2Dに図示の実施例では、単数又は複数の加温素子234が、図2Bを参照して概略説明したように、患者の体の露出領域に配置される。前記対抗加温素子234を起動するために対抗加温制御及び配送装置236が作動接続(235)されている。
【0055】
更に、図2Dに図示の実施例においては、前記対抗加温制御及び配送装置236は、単数又は複数の他の装置のコンポーネントから信号を受けるように構成されており、例えば、前記対抗加温制御及び配送装置は、前記身体中心部体温センサ202からの電気信号を受けるように作動接続(242)され、および/又は、前記温度設定点フィードバック装置208からのデータ信号を受け取るように作動接続(244)され、および/又は、前記冷却投与装置206からのデータ信号を受け取るように作動接続(246)されている。
【0056】
前記対抗加温制御及び配送装置236が対抗加温の程度又はパターンを開始および/又は調節することによる前記三つの総合フィードバック機構は、図2Dに概略図示するように協働で使用されることもでき、或いは、これらのフィードバック機構を、種々の実施例において単体で、又は、任意に組み合わせて、使用されることもできる。例えば、対抗加温制御及び配送装置236を、前記冷却配送装置206によって与えられる冷却の程度にのみ応答するように、他のフィードバック機構による制御無しで、構成することができる。同様に、前記三つのフィードバック機構の任意の組み合わせを、単体で、或いは、二つ又は三つのフィードバック機構との任意の組み合わせで使用することも可能である。いくつかの実施例において、例えば、前記冷却配送装置206及び温度説定点フィードバック装置208から、前記対抗加温制御及び配送装置236との作動接続(246), (244)を経由して、前記対抗加温制御及び配送装置236によって受け取られた信号は、前記対抗加温制御及び配送装置236と冷却投与装置206とが一つのユニット作動の一環となるように構成される。別の実施例では、例えば、前記対抗加温制御及び配送装置236が、前記冷却配送装置206と同じ作動ユニットの一環ではなく、しかし代わりに、作動接続(246), (244)を経由して、任意の分離した冷却配送装置206に接続され、冷却配送装置206が、患者の体温及び身体中心部冷却エネルギの程度の一方又は双方を表すデジタル又はアナログ信号を送信することが可能にされ、これらの信号が外部の対抗加温制御及び配送装置236との作動接続(246), (244)を形成するために用いられており、これらの接続が、ここに記載した対抗加温制御及び配送装置236の機能のうちの任意のもの又はそれらの全部を制御するために用いられるように構成される。いくつかの実施例において、例えば、患者体温データは、作動接続された冷却配送装置206からの追加の温度データを使用して、又は、使用せずに、前記対抗加温制御及び配送装置236に対する温度プローブの直接の作動接続によって得られる。
【0057】
更に、前記対抗加温制御及び配送装置236は、オプションとして、前記シバリング定量化装置による対抗加温制御への入力に対して、手動でオーバーライドすることが指示される又は望まれる場合に、担当医療関係者から直接に入力(247)を受けるように構成されることもできる。手動によるオーバーライドは、例えば、特定の状況下において、複合ECG+EMGデータの処理が困難である場合、或いは、例えば、シバリング定量化が、担当の担当者にとって誤ったものに見える場合、に指示することができる。そのような状況において、担当者は、例えば、標準化された臨床スケールとすることが可能な臨床スケールに基づいて、シバリングの程度を手動で入力することを望むかもしれない。(例えば、Stroke, Vol. 39 (12), pages 3242-47, Dec. 2008, EPub Oct. 16, 2008を参照)。シバリング定量化の手動オーバーライドが使用される場合でも、冷却強度又は身体中心部体温に基づくフィードバックは、前記オペレータインターフェース239を経由した担当医療関係者211の判断で、対抗加温コントローラによって自動的に使用される。オペレータインターフェース239による手動オーバーライド又はフィードバック機構による自動オーバーライドは、長期に渡るより高い強度の対抗加温が適用された場合に、熱損傷の可能性を防止するために、トリガーされることができる。
【0058】
本発明の種々の実施例によれば、前記シバリング定量化システムは、身体中心部冷却の強度、又は測定されたシバリング、又は患者の身体中心部体温、或いは、これらの要因の内の任意の二つ以上の組み合わせに関するデータに基づいて、対抗加温の適用の強度、タイミング、および/又はパターンを動的に制御することができる。
【0059】
正常体温の維持又は低体温法を必要とする患者16に適用された、本発明によるシステムの実施例が、その全体を、30と40とで図3及び図4に略示されている。通常、患者は、背臥位位置にある。これらの実施例において、総合制御装置12が、患者の体の上の適当な部位に置かれた、冷却パッド18、対抗加温素子20及びシバリングセンサ素子22に作動接続されている。更に、この総合制御装置12には、身体中心部体温プローブ(図示せず)が接続されている。オプションとして、図4に図示されているように、患者の上および/又は下に加温ブランケット24を置くことができる。
【0060】
前記総合制御装置12は、患者の体の上又は内の、前記各センサ、素子、プローブ、パッドと信号を送受信するように構成されると共にプログラムされている。例えば、前記総合制御装置は、前記シバリングセンサ素子と前記身体中心部体温プローブとから電気信号を受け取ることができ、そして、例えば、それは前記冷却パッドと対抗加温素子に電気指示信号を送ることができる。前記総合制御装置12は、信号を受け取り、受け取ったこれらの信号を処理する単数又は複数のマイクロプロセッサやメモリ装置を含む、種々のコンポーネントを備えることができる。総合制御装置12のこれらの種々のコンポーネントは、互いに電気的に通信し、受け取った信号を処理するように構成することができる。例えば、対抗加温コントローラコンポーネントは、温度設定点コントローラコンポーネントから電気信号を受け取り、それらを処理するように構成することができる。図面に示唆されているように、全てのこれらデータ及び信号処理機能は前記総合制御装置内で行うことができるが、オプションとして、これらのデータ及び信号処理機能の少なくとも一部を、前記センサ素子の一つ又は複数に取り付けられた又は内蔵されたハードウエア(マイクロプロセッサおよび/又はメモリ)内で行うことも可能である。
【0061】
前記能動的対抗加温素子は、手、足、耳、上背、後部頸、及び身体中心部冷却のための部位として使用されていないその他の露出領域、等の種々の身体領域を加温するのに使用される。手を加温する素子は、手指のそれぞれを別々に包み込む手袋形態にしてもよいし、4本の指を一緒に包み込むミトン形態にしてもよいし、手の周囲を覆う形状にしてもよい。例えば手首の橈骨動脈の領域等の、救命救急に多く使用される部位への適切なアクセスを可能にするために、様々な形状の手加温素子を使用することができる。足加温素子は、足を選択的に(靴に形状が類似)、又は、足首と共に(靴下に形状が類似)、使用することができる。耳加温素子は、イヤーマフの類似の形状、或いは、例えば、耳と首の領域とに適用される小さな加温ブランケットの形状とすることができる。その他の領域は、選択的に適用される、又は患者の体のより大きな領域をカバーする又は患者の下に置かれる加温ブランケット又は小パッドによって加温されることができる。
【0062】
前記シバリングセンサ素子の配置と解析は、特定の用途の必要性に合わせてカスタマイズされる。
【0063】
一般に、図5A及び5Bに略示されているように、前記対抗加温素子温度は、例えば、患者の冷却素子に流れる冷却流体の容器などにおいて測定される冷却素子温度に対しておおよそ反比例して制御される。即ち、冷却素子(冷却容器)温度が低下すると、フィードバックループによって対抗加温温度が上昇する。
【0064】
図6A, 6B及び6Cに略示されているように、前記加温素子温度(図6C)は、本発明によれば、シバリングの期間中に上方に調節可能である。図6Aは、冷却容器温度において測定された変化を図示している。図6Bは、同じ期間におけるシバリングのサンプルプロットを図示し、本発明により三つのスコアレベルで定量化された例を示しており、レベル0はシバリング無し又は閾値レベル以下のシバリングに対応し、レベル1は中程度のシバリングに対応し、レベル2は、激しいシバリングに対応する。別実施例において、シバリング強度は、連続変数として、又は、より多くのレベルを有する得点変数としてエンコードされることができる。図6Cは、同じ期間における対抗加温素子温度を図示している。上述したように、調節が無い場合、対抗加温素子温度は、概して冷却容器温度の上下反対(ミラー)である。破線62は、対抗加温素子温度が、どのように、シバリングが生じたことによって調節されずに、図6Aの冷却容器温度のプロットの概して上下反対になるかを示している。プロット64は、加温がシバリングの期間中に上方に調節される調節済み対抗加温温度を図示している。同じ期間における調節済み対抗加温素子温度は、レベル1のシバリング中には上方に調節され、レベル2のシバリング中には更に上方に調節され、その後の減少したシバリング(レベル1)中には下方に調節され、その後のレベル0 (ゼロ又は検出不能)のシバリング中には更に下方(冷却容器温度プロットの上下反対)に調節される。具体的には、例えば、対抗加温温度は、シバリングに基づく調節が無い場合には、2でラベルされたブラケット(括弧)によって示されている期間中に、OFFにされているか、もしくはベースラインレベルにまで下げられているであろう。その代わりに、この期間中に最大のシバリングが検出されるので、調節済みの対抗加温温度は両方向矢印で示すように高いままである。
【0065】
本発明の様々な実施例によるシバリングの定量化は、下記の諸工程およびコンポーネントを含むことができる。
【0066】
電極式検出の場合、表面EMGデータを取得するべく二つ以上の電極を配列することができる。いくつかの実施例において、前記シバリングセンサ素子は、例えば、ECG又はEMG電極などの表面電極を含むことができ、それらを、シバリングに関係している筋肉群の上に位置する任意の露出皮膚領域に適用することができる。或いは、いくつかの実施例において、より高い感度でシバリングを検出するために、表面ECG電極の代わりに、ニードルEMG電極を使用することができる。
【0067】
ECG及びEMGデータのシバリングEMGコンポーネントを選択的に増強するためのデータ処理アルゴリズムは、カスタマイズ可能に構成されることができ、完全な心臓周期のECGデータが解析され、或いは、ECG出力波形の特定セグメント(S-Tセグメントや、T波の最後とP波の最初との間の領域など)が選択的に解析される。
【0068】
表面電極を使用する公知のECG測定と同様に、ECG表面電極対からの電圧差を、適当な参照と接地とを有する標準的なECG増幅器によって測定することができる。シバリングのある患者において、シバリングに関係している筋肉群の上方のECG表面電極の任意の対からの測定電圧出力波形は、ECG出力波形とシバリング筋電図(EMG)出力波形との重畳となる。この混合ECG+EMG出力波形は、より高周波のEMGデータを適切に記録するサンプリングレートで標準のA/D変換によってデジタル化されることができる。
【0069】
QRS複合などの、ECGの特徴成分の自動デジタル信号検出のための標準的技術を使用して、ECG+EMGデータの複数の完全な心臓周期をサンプリングして、別々のデジタルバッファに記憶することができる。
【0070】
心室性期外収縮(PVC)やその他の例の非典型QRS形態の自動デジタル信号検出のための標準技術を使用して、ベースラインと比較して外れ値(異常値)(outlier)であるQRS形態を含む心臓周期が、同定され、解析から除外される。非典型QRS形態を識別するための標準技術は従来から公知であり、例えば、ベースラインの持続時間よりも長い持続時間を有するQRS複合の検出、異なる電気ベクトル(ECG「軸」)を有するQRS複合の検出、ベースラインECGよりも高い振幅を有するQRS複合の検出がある。
【0071】
非典型ECG複合を除外するために複数の技術のうちの任意のものを使用することができる。いくつかの実施例において、シバリング定量化のための所望の時間解像度は、多数の複合の平均化を可能にし、平均化される複合の数は、解析における外れ値の複合の影響を最小化又は十分に低減するために増加される。ユーザによって、又はここに記載又は参照した解析技術の任意のものによって、外れ値のECG形態が頻繁に検出されるような状況においては、平均化される複合の数は、解析における外れ値の複合の影響を最小化するために、手動又は自動で、増大されることができる。
【0072】
いくつかの実施例において、QRS複合のピークから始まる狭い時間窓(例えば、振幅トリガーによって同定される)が捕らえられる。総EGC周期の内の小さな割合、例えば10-50ミリ秒、の持続時間を有する、捕捉されたデータの狭い時間窓は、非典型に広いQRS形態を有する外れ値のECG周期を識別するための解析にかけられる。
【0073】
外れ値のECG波形は、非典型に広いQRS複合を検出することによって識別される。例えば、図16(A)-(D)は、QRSの下方偏向の傾きを測定することによるそのようなアプローチにおける工程を図示している。このアプローチにおいて、QRS複合の下方傾きを含む狭い時間窓の解析は、QRS複合のピークから前記狭い時間窓の終わりまでのECG波形の下方変更の傾きを測定することによって、外れ値を同定することを含み、不十分な急峻性の下方傾斜を有する複合が解析から除外される。そのような心室性期外収縮(PVC)等の外れ値のQRS複合は、多くの場合、典型QRS複合よりも振幅が大きく、いくつかの実施例において、波形(出力)の振幅は、QRS下方傾きの解析よりも前に、典型QRS複合の振幅に正規化される。図16(B)は、二つの周期を示し、一方の周期は、典型QRS複合162を含み、他方の周期は、非典型QRS複合164を含んでいる。図16(B)において163(典型)及び165(非典型)で図示されているように、各QRSピークから始まる狭い時間窓が設定される。前記時間窓内の波形(出力)の部分が、図16(C)に図示されているように、選択され、前記窓163は典型QRS複合の下方偏向166を含み、前記窓165は非典型QRS複合の下方偏向168を含む。図16(D)に図示されているように、オプションとしての所定の波形部分の振幅の正規化の後に、前記波形部分の傾きを比較することができる。前記典型波形部166’の傾きと比較して波形部168’の傾きが小さいことによって、前記ピーク164を有する前記QRS複合が非典型であると同定とされ、そのような非典型QRS複合を含むECG波形がその後の解析から除外される。この技術による除外のためのカットオフ傾きは、モニタされている患者の平均ECG傾きの解析による、或いは、モニタされている患者の典型的なECG波形のユーザ同定による、典型ECG下方傾きの設定に基づいて決定されることができる。いくつかの実施例において、ユーザは、モニタされている患者からのECG波形の視覚的アレイを、コンピュータディスプレイによって提供され、それによりユーザは、コンピュータインターフェースによって、単数又は複数の典型ECG波形を選択し、そこからQRS複合の下方傾きのための適当なカットポイントが決定されることができる。
【0074】
そして、例えば、図17(A)-(C)は、ベースラインでQRS複合の幅を測定することによるアプローチの工程を図示している。所定のカットオフより上のベースラインQRS複合を有するECG複合が、その後の解析から除外される。図17(A)は、一方は典型QRS複合172を含み、他方は非典型QRS複合174を含む、二つの周期を図示している。前記ECG波形のベースライン170bが設定され、図17(B)に図示されているように、ベースラインQRS複合の時間的制限が決定される。時間制限された典型QRS複合が176で図示され、時間制限された非典型QRS複合が178で図示されている。次に、図17(C)に図示されているように、これらベースラインでのQRS複合の幅が測定され、典型QRS複合176’の幅は172wで示され、非典型QRS複合178’の幅は174wで示されている。QRS幅が閾値幅(例えば、幅174w)を超える場合、より大きな幅のピークを有するQRS複合を含むECG出力がその後の解析から除外される。
【0075】
このアプローチによる除外のための前記閾値QRSは、モニタされる特定の患者において典型QRSを設定することによって決定されることができる。これは、患者における平均QRS幅の解析によって、又は、その患者の典型ECG波形のユーザ同定によって、行なわれることができる。いくつかの実施例において、ユーザは、モニタされている患者からのECG波形の視覚的アレイを、コンピュータディスプレイによって提供され、それによりユーザは、コンピュータインターフェースによって、単数又は複数の典型ECG波形を選択し、そこから適当な閾値QRS複合幅が決定されることができる。前記閾値は、一つ又は二つの標準偏差のような、なんらかの制限に設定されることができ、例えば、平均典型波形幅以上であるなどとすることができる。
【0076】
別の実施例において、前記QRS複合の下方傾斜を含む前記狭い時間窓の解析は、高速フーリエ変換(FTF)等のフーリエ解析などによる周波数ドメインの解析による外れ値の同定を含み、それにより、典型狭複合は高い周波数ピークを有するものとして同定され、非典型幅広複合はこの高い周波数ピークを有しない(欠く)ものとして同定される。この方法によるECG出力波形の除外のために使用されるフーリエ解析やその他の周波数解析の周波数及び振幅カットポイントは、平均ECG高周波数ピークの解析による、又は、典型ECG波形のユーザ同定による典型ECG高周波数ピークの設定に基づいて決定されることができる。いくつかの実施例において、ユーザが、モニタされている患者からのECG波形の視覚的アレイを、コンピュータディスプレイによって提供され、それによりユーザは、コンピュータインターフェースによって、単数又は複数の典型ECG波形を選択し、そこからフーリエ解析やその他の周波数解析の適当な周波数及び振幅カットポイントが、外れ値のECG複合を除外するために、決定されることができる。
【0077】
更に、標準技術が、心室性期外収縮(PVC)やその他の例の非典型QRS形態の自動デジタル信号検出のために使用されることができる。ベースラインと比較して外れ値であるQRS形態を含む心臓周期が、確立された技術によって同定され、その後の解析から除外される。非典型的なQRS形態を識別するための標準技術は従来から公知であり、例えば、ベースラインよりも持続時間の長いQRS複合の検出、ベースラインQRSから異なる電気ベクトル(ECG「軸」)を有するQRSの検出、及びベースラインECGよりも高い振幅を有するQRS複合の検出がある。
【0078】
前記データ分離は、そのそれぞれが完全な心臓周期を含む複数の出力波形のセットに対して行うことができる。EMGデータは、結合されたECG+EMGデータから分離されることができる。この分離は、ECGのQRS複合のピークのようにECG波形の容易に識別可能な特徴に基づいて出力を調整(アラインメント)し、これらのデジタル化された出力を信号平均化してEMGデータの寄与率が低いECGデータを提供し、そしてこのECGデータを前記複合ECG+EMGデータから減算(サブトラクション)して、ECGデータの寄与率の低いシバリングEMG出力を作り出すことによって行われる。十分な数の出力を平均化することによって、実質的にECG信号成分を含まない、平均EMG信号を提供する、即ち、平均EMG信号がECG信号成分によって実質的に汚染(混合)されないようにECG信号成分の寄与を減少させる。
【0079】
前記データ分離が出力波形セットに対して行われる場合、前記信号が調整(アラインメント)され、前記分離が、アラインメント後のECG出力波形の選択されたセグメント(部分)に対して行われ、それによって、例えば、S-Tセグメントや、T波の最後とP波の最初との間の領域、などの最小のECGデータ要素の領域が選択的に解析されるように構成することができる。段落[0070]から上述したように、典型及び非典型ECG形態を検出し、外れ値(非典型ECG形態)を含む心臓周期を同定し、解析から除外することができる。非典型ECG形態は、シバリングの無い状態の同じ患者からの記憶されている平均化されたECG出力波形を減算(サブトラクション)することによっても解析から除外することができ、出力の除外によって、有意な残余ECGデータをもたらす(例えば、適当な閾値以上の残余電圧振幅や、シバリングエネルギと典型的に関連するものよりも低い、又は高い、周波数範囲での残余パワースペクトル密度)。
【0080】
次に、図8Aにおいて3つの心臓周期34について例示されているように、デジタルECG+EMG「生」データのサンプル数(n) (例えば、10の心臓周期)が前記R波(EGCのQRS複合の正のピーク)又は、他のECG特徴に基づいて、タイムドメイン(時間領域)において自動的にアラインメントされる。
【0081】
次に図8Bを参照する。前記アラインメントされたnのECG+EMG「生」データサンプル34の平均(nの出力波形35の平均)が選択されたバッファ(「平均ECGバッファ」)に記憶される。平均化によって、シバリングEMGの「ノイズ」が除去又は大幅に最小化され、ステレオタイプ化(定型化)されたEGC波形が保存される(ノイズを低減させるための信号平均化の標準的従来技術)。nのECG+EMG出力波形のそれぞれと平均ECGとの間の差36が別のシリーズのバッファ(「EMGバッファ」1-n)に格納される。図8A及び8Bは、(ECG+EMG34)-(平均化ECG35)=(EMG36)と要約することができる。
【0082】
ここに記載したような方法で得られたEMGデータは、高い振幅偏位のECGによって汚染(混合)されない安定したベースラインを有するEMG出力波形を生み出す。いくつかの実施例において、記載した平均化信号減算処理における非典型ECG複合の存在によって作り出される不安定な、或いは起伏のあるベースラインを有するEMG出力が、同定され、解析から除外されることができる。そのような不安定な、或いは起伏のあるベースラインを有する出力波形は、いくつかの実施例においては、例えば、高速フーリエ変換(TFT)等のフーリエ解析などによる周波数ドメインにおける解析によって同定され、この解析は、所定のレベルを超える、低周波数(例えば、4Hz以下)の汚染(混合)の存在を同定する。
【0083】
重畳ECG+EMGデータからEMGデータを抽出するための上述した方法は、より一般的には、平均化信号減算の処理によって特長付けられ、この処理は、定型(ステレオタイプ化)信号の検出可能な特徴を使用した、重畳出力のアラインメント後に、平均化定型信号を減算することによって、同じ定型特徴(例えば、EMGデータ)を持たない第2の信号から定型信号(例えば、ECGデータ)を大幅に除去する。出力をアラインメントする処理は、定型信号の識別可能な特徴(ECG R波の高い振幅ピークなど)を利用することができ、或いは、重畳出力を登録するために測定可能な事象(定型的な時間遅延を有して定型的な反応を生み出す外部刺激など)に対する定型信号の時間ロックを利用することができ、信号平均化において通常に利用される処理とすることができる。出力の平均化によって第2信号を大幅に除去するような出力のアラインメント後、この分離された第1信号出力は、波の減算の処理によって、二つの重畳から第2信号を分離することに用いられる。
【0084】
EMGバッファにおいて記憶されているEMGデータの汚染(混合)を更に最小化するために、前記(ECG+EMG)及び(平均化ECG)出力が、前記タイムドメインにおいて最初に「クリップ」されるようにして、それによって、最小のECG電圧偏位を有するデータのセグメントが、(ECG+EMG)-(平均化ECG)の減算の前に選択されるようにする。そのようなクリッピングの具体例が図7A, 7B及び7Cに図示されている。図7Aは、二つの完全な心臓周期を含む、タイムドメインにわたる出力を図示している。この信号は、PQ間隔とQRS複合とを除去し、解析のために、図7BにおいてAで示されているように、T出力とT波とそれに続くP波との間の間隔を残すように、タイムドメインにおいてクリップされることができる。この出力Aは、更に、図7CにおいてBで示されているように、解析のために、T波を除去して、T波とそれに続くP波との間の間隔のみを残すようにクリッピングされることができる。
【0085】
その後、高速フーリエ変換(FFT)等のウェーブレット解析が、前記1- n EMGバッファのそれぞれに対して行なわれることができ、その結果得られる各FFTの出力スペクトルが、図8Cの38で示すように、別のシリーズのバッファ(“EMG FFFTバッファ” 1-n)に格納されることができる。その後、これら1-n EMG FFTバッファが、更に平均化されて、その結果が、図8Dに図示するように、別のバッファ(「平均EMG FFTバッファ」)に格納される。いくつかの実施例において、高速フーリエ変換(FFT)の前に、自己相関が行われる。
【0086】
或いは、シバリングEMGの平均スペクトルパワーは、非シバリングECG期間(エポック)をスペクトル解析にかけ、モニタ中に、シバリングECG周期期間(ECG及びEMGデータを含む)をスペクトル解析にかけ、その後、シバリングスペクトル(ECG+EMG)の平均から非シバリングスペクトル(ECGのみ)の平均を減算して平均化EMGスペクトルを得ることによって決定することができる。
【0087】
特にこのアプローチに拠れば、ECG出力波形が、まず、対象体から、シバリングのない状態、例えば、正常温度のための冷却、或いは、低体温法のための冷却、の前、等に得られる。この非シバリングECGが、上述したように、一つのECG周期期間へと分離され、QRS複合のピークなどの特定のECG特徴についてタイムドメインにおいてアラインメントされる。これらの非シバリングECG期間は、それぞれ、スペクトル解析、例えばFFT解析にかけられ、次に、nのスペクトル解析の平均(nのそのような非シバリングECG期間に対して)が得られ、デジタルバッファに格納される。同じ患者のシバリングをモニタすることが望まれる場合には、この処理が繰り返され、シバリング状態(ECG+EMG)出力波形が得られ、これが上述したように単一のECG周期期間に分離され、QRS複合のピークなどの特定のECG特徴についてタイムドメインにおいてアラインメントされる。これらのシバリング状態ECG+EMG期間は、それぞれ、スペクトル解析、例えばFFTにかけられ、次に、nのスペクトル解析の平均(nのそのような非シバリングECG期間に対して)が得られ、別のデジタルバッファに格納される。図14は、非シバリングECG期間144と、シバリング状態ECG+EMG期間142、のそのような平均化されたスペクトル解析144の結果を図示し、各期間は、QRSのピークからT波の領域への心臓周期に対応している。前記非シバリング状態期間からの前記平均スペクトル解析(この例では、FFT解析)が、シバリング状態期間からの前記平均スペクトル解析(この例では、FFT解析)から減算され、平均ECGスペクトルパワーのスペクトル影響が実質的に最小化され、図15に図示されているようにシバリングの適当な周波数ドメインにおいてピークを有する平均化シバリングEMGスペクトルが明らかにされる。図14の二本の線142, 144の分離(距離間隔)として理解することができる10Hz辺りの増大したスペクトルエネルギは、図15中において、この周波数範囲での明確なピーク154として現れる。シバリングの程度を、前記ピーク154の高さ156に応じて定量化することができる。縦線150及び150’によって示唆されているように、シバリングエネルギの対象となる周波数範囲を、分離して、シバリングエネルギの対象領域158を規定することができ、シバリングの程度を、例えば、この領域における曲線152の下方の面積、および/又は、この領域における曲線152のピーク、によって定量化することができる。
【0088】
上述した任意の方法によって得られたシバリングEMGの平均スペクトルパワーを、それぞれ単体で又は組み合わせて使用して、シバリング強度を定量化することができる。いくつかの実施例において、同じデータを、両方の方法によってパラレル処理し、これら両方の解析方法の結果は、表示に利用されたり、或いは二つの測定の総意を利用したり、或いは、一方の方法によって得られた測定の有効性を他方の方法によって得られた測定によってチェックすることも可能である。
【0089】
EMGデータの平均スペクトルパワーを利用して、例えば、下記の値のいずれかを記録することによって、シバリング強度の定量的又は半定量的測定値を得ることができる。
【0090】
a. シバリングEMGで典型的な適当な周波数範囲内でのピークスペクトルパワーの振幅。
【0091】
b. シバリングEMGで典型的な適当な周波数範囲内でのスペクトルパワーの曲線の下方の面積。
【0092】
c. シバリングの強度の増大に伴って発生する異なる周波数のシバリングに対応する異なるピークの出現の解析。
【0093】
d. スペクトルピークやパターンのようなものの時間に応じた変化の解析。
【0094】
このようにして測定されたシバリング強度を利用して、シバリング強度を表す時間の関数としての連続変数又はスコア変数を得ることができる。このシバリング強度スケール又はスコアは、臨床用に、数値で表してもよいし、グラフで表してもよく、或いは、このシバリング強度スケール又はスコアは、関連する用途(本発明の実施例による方法における対抗加温の制御など)において制御下にある他の変数に影響を与える手段として用いられることができる。
【0095】
上述したECG+EMGデータの増幅のゲインは、低振幅シバリングEMGが上記処理によって検出されるか否かを決定し、従って、増幅ゲインは以下のように調節されることができる。
【0096】
a. より高い増幅ゲインが、ユーザがより微妙な程度のシバリングを検出することを望む用途に関してはユーザによって選択されることができる。
【0097】
b. 増幅ゲイン設定が、治療のための冷却の適用の前(従って、シバリングの前)に、システム又はユーザによって予備調節されることができ、ベースライン増幅ゲインが、シバリングに関連しないノイズが検出されるまで増加され、ゲインは、このポイントの直ぐ下のレベルにセットされる。
【0098】
ECG+EMGデータ解析システムにおいて、ユーザは、いくつかの実施例において、解析のための最適なECG形態を作り出すべく、オペレータインターフェースを経由して、電子手段によって解析される最善の電極対(単数又は複数)を選択することができる。いくつかの実施例において、シバリング解析システムは、例えば、最も高いR波振幅を有する電極対を選択することによって、コンピュータ化された特定のEGC成分の同定に基づいて、解析のための最適電極対(単数又は複数)を自動的に選択することができる。
【0099】
直接運動感知式シバリング検出システムのいくつかの実施例において、運動を三次元で測定することが可能な、加速度計又はその他の振動センサが使用される。これらの実施例において、三つの平面(x, y及びz)のそれぞれからのデータが前記装置からデジタル形式で得られ、これらのデータを、様々な方法で利用することができる。いくつかの実施例において、シバリングに関連する周波数範囲で最も高い振幅の信号又は最も高いスペクトルエネルギを有する平面が、解析のために使用されることができる。他の実施例において、前記三つの平面からの平均信号が、解析のために使用される。他の実施例においては、最大のシバリング運動のベクトルを、各平面からの波形の相対振幅から、又は各平面からの信号に関連する周波数範囲での相対スペクトルエネルギから、決定されることができ、最大シバリング運動のベクトルのためのシバリング波形は、シバリング解析に使用される三つの平面からの波形の適当な加重平均によって再構築されることができる。他の実施例において、最大のリズミック(周期的)運動のベクトルの決定は、各平面からのシバリングに関連する周波数範囲での相対スペクトルエネルギから決定され、この値は、経時的に追跡されて、非シバリング筋肉運動又は活動(これは変化する運動ベクトルを有する)と、シバリング活動(これは所与の筋肉群の比較的一定の運動ベクトルを有する)との違いが識別される。
【0100】
周期的運動(振動)の直接的感知(センシング)に基づく検出のために、高速フーリエ変換(FFT)解析等のウェーブレット解析(スペクトル処理)は、センサからのデータ信号に対して直接行われることができる。或いは、いくつかの場合においては、好ましくは、自己相関工程が、ウェーブレット解析を行う前に行われることができる。その結果得られる曲線のピーク、又は、曲線の下の面積、又は、電極からのデータの処理に関するここに記載したその他の方法は、シバリング定量化信号の生成に用いられることができる。電極からのデータ処理と同様に、振動センサからのデータストリームにおける周波数範囲は、オプションとして、シバリング用の適当な範囲に制限されることができる。電極データの場合と同様に、「ベースライン」となるシバリング前のデータストリームは、電極データなどで、振動センサデータから得られて、シバリングとは無関係な物理的振動の影響を最小化(又は少なくとも低減)することができる。例えば、ポンプや換気装置などの処理環境(例えばICU)内の装置から物理的に伝導される運動又は振動に関係するウェーブレット成分は、このようにして除去されることが出来るであろう。患者の動きや、咳、他の人間との接触、など非周期的で規則性の低い振動汚染(混合)成分は、時間に渡って振動FFTを平均化することによって、及び各FFTの前に自己相関関数を使用することによって(それによって、リズミックな信号の解析を向上させる)、最小化されることができ、それによって非周期的で非連続的なデータが解析から除去される。
<例1>
【0101】
電気的活動の電極式感知に基づく検出のために、単数又は複数の電極を、体のシバリングを受けやすい部位の上又は中に載置することができる。図9Aは、シバリングを受けやすい筋肉塊(胸筋)の上の部位における、シバリングしている対象体の皮膚に当てられたECG電極によって数秒間(ECG期間)の間に得られたデータ信号のプロット(出力波形)である。ECG周期がECG期間からクリップされ、外れ値QRS複合が排除される。その結果得られるECG周期が、図9Bにおいて92で示されているように、それぞれのQRS複合の正のピークにアラインメントされる。その後、これらのアラインメントされたECG周期が平均化されて図9Cにおいて93で示されているような結果が得られる。次に、図9Cに図示されているデータは、図9Bに示されているアラインメントされたECG周期のそれぞれについてデータから減算され、図9Dにおいて94で示されている結果が得られる。次に、図9Dのデータは、95でクリップされて出力波形の最初のQRS部分(矢印Aによって示されている)を除去し、自己相関とその後の高速フーリエ変換(FFT)のために、図9Eに示されている96の部分(図9Dの矢印Bに対応)を残す。図9Fは、図9Eの出力波形のデータから導出された出力スペクトル密度(PSD)の結果を図示している。次に、前記出力のPDSは、平均化されて図9Gに図示の平均PDS曲線を得る。前記PSD曲線(ピーク)98, 99は、シバリングの定量化を表す。
【0102】
図10Aは、シバリングのない対象体から、図9Aを参照して概略説明したようにして得られたデータのプロット(出力波形)であり、図10B-10Gは、図9A-9Gを参照して説明したものに概略的に類似した方法での前記データの解析を図示している。図10Aのデータは、シバリングのない対象体の、シバリングを受ける筋肉塊(胸筋)上の部位で、皮膚に当たられたECG電極によって、数秒間(ECG期間)の間で得られたものである。ECG周期がECG期間からクリップされ、その結果得られるECG周期が、図10Bにおいて192で図示されているように、それぞれのQRS複合の正のピークにおいてアラインメントされる。その後、これらのアラインメントされたECG周期が平均化されて図10Cにおいて193で示されているような結果が得られる。次に、図10Cに図示されているデータは、図10Bに示されているアラインメントされたECG周期のそれぞれについてデータから減算されて、図10Dにおいて194で示されているような結果を生み出す。次に、図10Dのデータは、195でクリップされて出力波形の最初のQRS部分(矢印Aによって示されている)を除去し、自己相関とその後の高速フーリエ変換(FFT)のための、図10Eに示されている196の部分を残す。図10Fは、図10Eの出力のデータから導出された出力スペクトル密度(PSD)の結果を図示している。次に、前記出力のPDSは、平均化されて図10Gに図示の平均PDS曲線を得る。198, 199で非常に低い高さのPDS曲線(ピーク)を図示しているように、シバリングは大幅に低減されている。
【0103】
図12は、電極から得られたデータの処理のための方法の一例における工程を示すフローチャートである。
<例2>
【0104】
周期的運動(振動)の直接的感知に基づく検出のために、加速度計などの対象体の運動センサを、シバリングに関与する筋肉群の上の任意の露出皮膚領域に当てることができる。これらのセンサは、ヒドロゲルなどの接着剤や、或いは、ゴムバンドなどを使用して位置保持することができる。図11Aは、シバリングを受ける筋肉塊(胸筋)上の部位での、シバリングのある対象体の皮膚上の保持された加速度計からのデータ信号のプロット(出力波形)である。このデモンストレーションにおいて、前記データは、加速度計を使用して得られた。図11Bは、同様にして、対抗加温後に同じ対象体から得られたデータ信号のプロット(出力波形)である。図11Cは、自己相関とその後の高速フーリエ変換(FFT)による、図11Aのデータからの出力スペクトル密度曲線を示すプロットである。約6.75Hzで高く狭いピーク142が、そして約13.3Hzでの遥かに低いピークが現れている。図11Dは、同様に自己相関とその後の高速フーリエ変換(FTT)とによって、図11Bのデータから導かれたパワースペクトル密度(PSD)曲線を示すプロットである。シバリングは大幅に軽減され、約7.2Hzでの非常に低いピーク144のみが残っている。
【0105】
図13は、加速度計から得られたデータの処理のための方法の一例における工程を示すフローチャートである。
【0106】
本発明による対抗加温は、シバリングの最小化、防止又は治療のために、以下のパターンのいずれかのように適用されることができる。
【0107】
1. 与えられる対抗加温の程度は、任意の瞬間において身体中心部に与えられる冷却の量に応じて調節されることができる。
【0108】
2. 与えられる対抗加温の程度は、任意の瞬間において測定されたシバリングの程度に応じて調節されることができる(例えば、ここに記載したシバリングの定量化又は測定のための方法と装置とを使用して)。
【0109】
3. 与えられる対抗加温の程度は、標準的方法によって測定された患者の体温に応じて調節されることができる。
【0110】
4. 与えられる対抗加温の程度は、冷却温度、シバリング強度、及び患者の体温のいずれか1つ以上と、様々な追加的な変数、定数、比例係数、又は、その他のこれらの変数の数学的操作又は相互作用、のいずれの組み合わせに応じて調節されることができる。
【0111】
5. 与えられる対抗加温の程度は、単位時間当たりの冷却温度の変化、単位時間当たりのシバリング強度の変化、及び単位時間当たりの患者の体温の変化のいずれか1つ以上、又は、その他のこれらの変数(非限定的に単位時間の二乗当たりの任意の変数における変化を含む)の数学的操作又は相互作用、のいずれの変化率に応じて調節されることができる。
【0112】
6. 上述した方法のいずれかによって影響を受ける対抗加温の程度は、以下の様々な方法のいずれかで達成されることができる。即ち、全ての治療対象身体領域に加えられる加温の温度変化、特定の治療対象身体領域に加えられる加温の温度変化、選択的な治療対象身体領域に加えられる加温のパターンの変化(任意の数のパターンに応じて異なる時間に異なる身体領域に与えられる加温)、連続する身体領域(例えば、耳、次に耳+手、次に、耳+手+足)での連続的な加温の適用、指又は足指などの小さな領域への選択的な加温の付与、又は、検出されるシバリングの空間的なパターンが付与される加温の空間的なパターンに影響を与えるような異なる身体領域に対する加温の適用。
【0113】
7. 様々な身体領域への加温の付与は、非限定的に以下を含む、ここに記載した方法によって制御可能な熱の付与のための任意の方法を含む。即ち、加熱されるミトン、加熱されるブーティー、加熱されるイヤマフラ、体の上又は下の加熱されるブランケット、更に、循環水(又はその他の液体)等や、絶縁加熱コイル等の熱伝達のための任意の従来方法。
【0114】
8. 対抗加温によって治療される領域は、冷却に使用されていない任意の露出した身体領域とすることができる。
【0115】
9. 種々の身体領域に対する温熱の適用の強度は、異なる領域に対して付与される加温の強度を変化させた様々なパターンで行ってもよいし、或いは、温熱の勾配を作り出すために使用してもよい。
【0116】
10. 付与される対抗加温の程度は、個人の患者におけるシバリングの治療の最適手段を、時間をかけて決定する任意のコンピュータ学習アルゴリズムに基づいて調節されることができる。
【0117】
種々の実施例の前記方法は、非限定的にここに記載したシバリング定量化のための方法を含む、体冷却、温熱付与、シバリング測定、等の様々な技術手段の任意のものを使用することができる。
【0118】
シバリング以外の反復的外膜運動の本発明による定量化は、例えば、身震い(shaking)、小刻みな震え (tremors)、痙攣などの測定と定量化を含む。そのような情報は、特に、疾患の進行の追跡、或いは、薬剤や外科的介入治療の影響の追跡において有用なものとなりうる。
【0119】
発作の運動成分の定量化は、発作モニタ環境において特に有用なものとなりうる。従来、癲癇患者には、ビデオEEGテレメトリーを使用したモニタリングが許可されることが多く、そこでは癲癇の電気成分が連続EEGによってモニタリングされるが、痙攣性の運動はビデオによってのみ捉えられる。本発明によれば、動き検知器(加速度計又はECG又はEMG電極など)を、患者の体の適当な箇所に載置し、動き検知器からの処理済み信号を、電子写真発作活動とリアルタイム又は近リアルタイムで相関することによって発作モニタリングが改善されることが可能であろう。
【0120】
以上から理解されるように、シバリングは、電極からと、反復運動(振動)センサとから、同時に得られる信号を処理することによって定量化されることができ、物理的運動と電気活動との間の関連が追跡されることができる。
【0121】
上に概略説明した信号解析アプローチのいくつかにおいては、患者のシバリングを検出し測定するのに特に有用であり、重畳ECG及びEMG成分を含む複合信号は、以下によって処理される。すなわち、ECG成分の特徴に基づいて期間(エポック)を同定及び保存し、これらの保存された複合信号期間を平均化して実質的にEMG成分を含まない平均ECG信号を得、この平均ECG信号を、保存された複合信号期間のそれぞれから減算して、分離されたEMG期間を得、その後、更に、前記EMG期間を処理してシバリングを定量化する。前記信号及びデータ処理操作のうちの少なくともいくつかは、特定の操作を実行するようにプログラムされたマイクロプロセッサなどの機械を使用して行われる。
【0122】
以上から理解されるように、より一般的には、ある種の環境において、重畳された第1及び第2信号を含む複合信号から目的の信号を分離するためのシステムが提供される。特に、前記第1信号が目的の信号である場合、この第1信号は、様々な特性のいずれかを有することができ、第2信号は定型化(ステレオタイプ化)された波形の反復性の期間又はサイクルを持つものでなければならず、そして、更に、外的なトリガーなどの外的事象に対する関係を有するものとすることができる。そのような信号の具体例としては、非限定的に、心電図の反復性電気波形、反復性音響波形、又は、反復性物理的振動、がある。
【0123】
前記処理の概略は以下の通りである。
【0124】
前記複合信号(信号A+信号B)を、信号Aと信号Bの関連する詳細を捕捉するのに十分なサンプリングレートで標準的なアナログからデジタルへの(A/D)コンバータを使用してデジタルサンプリングされる。その後、前記複合信号(A+B)の期間がバッファに保存される。各期間の最初のサンプルが信号処理によって決定されて反復信号Bの単数又は複数の特徴を同定する。例えば、もしも信号Bが顕著なピークを有するものであるならば、閾値化は、ピークの頂点を利用して、各期間の最初のサンプルにインデックスする(しるしを付ける)ために、ピークを同定するために使用されることができる。従来から知られている標準的な信号処理方法によって同定可能な反復的であって定型化(ステレオタイプ化)した信号Bの任意の特徴は、それぞれの記憶された期間の始まりをトリガーするために使用されることができる。例えば、ピーク頂点自身が、期間の最初のサンプルとして捉えられることができ、或いは、ピークが、その頂点を検出することによって同定され、ビークのその他のいくつかの特徴(或いは前記反復性信号の他のなんらかの特徴)が、期間(エポック)の最初のサンプルとして捉えられることができる。信号Bが更に、外部トリガーなどの外部事象に対する時間関係を有するものである特定の用途においては、その外部事象が、この外部事象と信号Bとの間の時間関係に基づいて、各期間の始まりを選択するために利用されることができる。通常、各期間は、次の期間の最初のサンプルの直前まで続くが、ある種の用途においては更に短い期間継続時間が好ましかもしれない。ある数の複合信号(A+B) 期間がバッファに格納されると、これらバッファ内の信号は平均化される。従来技術におけるノイズ低減のための信号平均化の確立された方法によって、信号Aを含まない平均信号Bを得るために十分な数の期間が平均化され、その結果が新たなバッファに格納される。信号Bによる汚染(混合)が最小である信号Aの期間を得るために、次に、前記平均信号Bが、各記憶された複合信号(A+B) 期間から減算されて、この各減算の結果が新たなバッファに格納される。次に、前記格納された分離された信号A期間が、所望の信号解析にかけられることができる。もしも各期間が次ぎの期間の最初のサンプルの直前のサンプルまで延ばされるように期間が選択されるならば、所望の場合、前記信号は、エンド・ツー・エンド(端と端と)で再結合されて信号Aのより長い記録を再構成することができる。
【0125】
種々のソースの任意のものからの、種々のタイプの任意のものの複合信号はこのようにして処理されることができる。
【0126】
その他の実施例も請求項の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象体のシバリングを定量化する方法であって、以下の工程を含む、シバリングを受けやすい筋肉塊から信号を得る工程、前記信号はECG成分とEMG成分とを含む、そして、前記信号の解析によってシバリングを定量化する工程。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、更に、前記定量化されたシバリングの強度の測定値を表示する工程を含む。
【請求項3】
対象体のシバリングを定量化する方法であって、以下の工程を含む、シバリングを受けやすい筋肉塊から信号を得る工程、そして、自己相関とその後のフーリエ解析とを使用して震えを定量化する工程。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、更に、前記定量化されたシバリングの強度の測定値を表示する工程を含む。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の方法であって、前記信号を得る工程は、運動検知器を使用して運動を検出する工程を含む。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の方法であって、前記信号を得る工程は、加速度計を使用して運動を検出する工程を含む。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の方法であって、前記信号を得る工程は、単数又は複数の電極から電気信号を得る工程を含む。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記信号を得る工程は、EMG信号を得る工程を含む。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、前記信号を得る工程は、ECGとEMGとが合わさった信号を得る工程を含む。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の方法であって、前記信号を得る工程は、筋肉塊の振動を直接検出する工程と、前記筋肉塊からの電気信号を検出する工程とを含む。
【請求項11】
対象体のシバリングを定量化する方法であって、以下の工程を含む、シバリングを受けやすい筋肉塊からECG及びEMGの複合信号を検出する工程、前記ECG成分を除去するために前記信号を処理する工程、そして、前記処理済み信号の解析によってシバリングを定量化する工程。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記ECG及びEMGの複合信号を検出する工程は、前記筋肉塊上の単数又は複数の部位で単数又は複数の電極から信号を検出する工程を含む。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、前記ECG及びEMGの複合信号を検出する工程は、単数又は複数の部位で単数又は複数の電極から信号を検出する工程を含む。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか一項に記載の方法であって、更に、前記ECG及びEMGの複合信号をデジタル化する工程と、このデジタル化された複合信号に対して波形解析を行う工程とを含む。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記波形解析を行う工程は、前記複合信号に対してスペクトル密度解析を行う工程を含む。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の方法であって、前記波形解析を行う工程は、シバリングEMGに対応する既知の周波数範囲のスペクトルに対して波形解析を行う工程を含む。
【請求項17】
請求項11から16のいずれか一項に記載の方法であって、前記信号を処理する工程は、以下の工程を含む、前記複合信号をデジタル化する工程、デジタル化された複合信号を出力波形のセットにセグメント化する工程、前記各出力波形は、心臓周期の少なくとも一部を含み、前記デジタル化出力波形を信号平均化してEMGデータの影響が少ないECGデータを提供する工程、前記ECG及びEMGの複合データから前記平均化ECGデータを減算してECGデータの影響の少ないシバリングEMG出力波形を得る工程。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、更に、ECG波形の特徴に基づいて前記出力波形をアラインメントする工程を含む。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の方法であって、更に、前記ECGのQRS複合のピークに基づいて前記出力波形をアラインメントする工程を含む。
【請求項20】
請求項17又は18に記載の方法であって、更に、前記出力波形の選択されたセグメントを信号平均化する工程を含み、前記選択されたセグメントは最小のECGデータ要素を含む。
【請求項21】
請求項11から20のいずれか一項に記載の方法であって、更に、非典型ECG形態を検出する工程と、非典型ECG形態を含む出力波形をその後の解析から除去する工程とを含む。
【請求項22】
請求項14から21のいずれか一項に記載の方法であって、前記出力波形を解析する工程は、平均化FFT解析を行う工程を含む。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記平均化FFT解析を行う工程は、各EMG出力波形に対してFFTを行う工程と、得られたFFTスペクトルを平均化して平均化FFTスペクトルを得る工程とを含む。
【請求項24】
請求項17から23のいずれか一項に記載の方法であって、更に、各シバリングEMG出力波形に対して自己相関を行う工程と、前記自己相関の結果に対して波形分析を行う工程とを含む。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、前記波形分析を行う工程は、フーリエ解析を行う工程を含む。
【請求項26】
請求項14又は22に記載の方法であって、前記シバリングを定量化する工程は、シバリングEMGに典型的な周波数範囲内のスペクトルパワーの振幅を測定する工程を含む。
【請求項27】
請求項14又は22に記載の方法であって、前記シバリングを定量化する工程は、シバリングEMGに典型的な周波数範囲内のスペクトルパワーの曲線の下方の面積を測定する工程を含む。
【請求項28】
請求項14又は22に記載の方法であって、前記シバリングを定量化する工程は、シバリングの強度の増大に伴って発生する異なる周波数のシバリングに対応する異なるピークの出現を解析する工程を含む。
【請求項29】
請求項14又は22に記載の方法であって、前記シバリングを定量化する工程は、スペクトルピーク又はバターンの時間に応じた変化を解析する工程を含む。
【請求項30】
対象体のシバリングを定量化する方法であって、以下の工程を有する、前記対象体がシバリングしないと予想される時に、シバリングを受けやすい筋肉塊から第1信号を得る工程、前記第1信号をスペクトル解析によって処理する工程、前記対象体がシバリングすると予想される時に、第2信号を得る工程、前記第2信号をスペクトル解析によって処理する工程、そして、一方のスペクトル解析の結果を他方のスペクトル解析の結果から減算してシバリング成分のみを表すスペクトルを得る工程。
【請求項31】
治療のための温度調節中に対象体のシバリングを治療する方法であって、シバリングの抑制のための能動的な対抗加温を与える工程を含む。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、前記能動的対抗加温を加える工程はフィードバックシステムで行われる。
【請求項33】
請求項31に記載の方法であって、前記治療のための温度調節は前記対象体に対して身体中心冷却を与える工程を含む。
【請求項34】
請求項31に記載の方法であって、前記対抗加温は、定量化されたシバリングに応じて与えられる。
【請求項35】
請求項31に記載の方法であって、前記対抗加温は、前記対象体の身体中心体温の変化に応じて与えられる。
【請求項36】
請求項33に記載の方法であって、前記対抗加温は、与えられる身体中心冷却の量に応じて与えられる。
【請求項37】
請求項31に記載の方法であって、前記対抗加温は、定量化されたシバリング、前記対象体の身体中心体温の変化、及び与えられた身体中心冷却のいずれか1つ以上の組み合わせに応じて与えられる。
【請求項38】
対象体のシバリングを定量化する装置であって、シバリングを受けやすい筋肉塊からECG成分とEMG成分とを含む信号を得るための手段と、前記信号を解析するための手段とを含む。
【請求項39】
対象体のシバリングを定量化する装置であって、シバリングを受けやすい筋肉塊から信号を得るための手段と、自動相関とその後のフーリエ解析とによって前記信号を解析するための手段とを含む。
【請求項40】
請求項39に記載の装置であって、前記信号を得るための手段は、直接的運動検知器と、当該検知器と信号処理機との間の電気的又はワイヤレスの作動可能な接続構造とを含む。
【請求項41】
請求項40に記載の装置であって、前記直接的運動検知器は、加速度計を含む。
【請求項42】
請求項39に記載の装置であって、前記信号を得る手段は、間接的運動検知器と、当該検知器と信号処理機との間の電気的又はワイヤレスの作動可能な接続構造とを含む。
【請求項43】
請求項38に記載の装置であって、前記間接的運動検知器は、患者の体の内部又はその上に載置される単数又は複数の電極を含む。
【請求項44】
請求項43に記載の装置であって、前記間接的運動検知器は、単数又は複数のECG電極を含む。
【請求項45】
請求項43に記載の装置であって、前記間接的運動検知器は、単数又は複数のEMG電極を含む。
【請求項46】
請求項38に記載の装置であって、前記信号を解析するための手段は、前記筋肉塊から前記信号を得る前記手段から信号を受けとるように構成された信号処理機を含む。
【請求項47】
請求項39に記載の装置であって、前記信号を解析する手段は、前記筋肉塊から前記信号を得る前記手段から信号を受けとるように構成された信号処理機を含む。
【請求項48】
対象体の治療のための体温調節中に該対象体に対して能動的対抗加温を与える方法であって、前記治療用体温調節が前記対象体の身体中心体温の低減させるための冷却を含み、前記方法は前記対象体の身体の単数又は複数の選択された部位に対する加温の付与を調節する工程を含む。
【請求項49】
請求項48に記載の方法であって、前記選択された部位は、前記身体中心の冷却のために使用されていない体の領域を含む。
【請求項50】
請求項48に記載の方法であって、前記対抗加温を与える工程は、治療される身体領域全部に与えられる加温の温度を変化させる工程、特定の治療される身体領域に与えられる加温の温度を変化させる工程、及び選択された治療対象身体領域に与えられる加温のパターンを変化させる工程のうちのいずれか一つ、もしくは、それらの任意の組み合わせを含む。
【請求項51】
対象体に能動的対抗加温を与える装置であって、対象体のシバリングを定量化する装置と、患者の身体の選択された領域を加温するための装置とを有する。
【請求項52】
対象体の治療のための体温調節中に当該対象体に対して能動的対抗加温を与える装置であって、前記対象体のシバリングを定量化する装置と、前記対象体の身体の選択された領域を加温するための装置と、更に、前記身体中心部体温を低減するべく前記患者を冷却するための装置とを有する。
【請求項53】
請求項52に記載の装置であって、前記対象体を冷却する装置は、冷却装置に作動可能に接続された温度設定点フィードバック装置と、当該温度設定点フィードバック装置に作動可能に接続された身体中心部体温センサとを有する。
【請求項54】
請求項52に記載の装置であって、前記冷却装置は、冷却ブランケット、冷却パッド、及び血管内冷却カテーテルのいずれか1つ以上を有する。
【請求項55】
請求項52に記載の装置であって、前記身体の選択された領域を加温するための装置は、対抗加温素子と、これら対抗加温素子に作動可能に接続されるとともに、これら対抗加温素子にインターフェースして与えられる温熱を調節するように構成された対抗加温コントローラとを有する。
【請求項56】
請求項55に記載の装置であって、前記対抗加温コントローラは、身体中心体温センサ、身体中心冷却コントローラ、及び前記シバリングの定量化装置のいずれか一つ又は二つ以上の組み合わせに作動可能に接続されている。
【請求項57】
請求項55に記載の装置であって、前記対抗加温素子は、加熱衣服を含む。
【請求項58】
請求項55に記載の装置であって、前記対抗加温素子は、加熱ミトン、加熱ブーティー、加熱イヤマフラ、加熱ブランケット、及び加熱パッドのいずれか1つ以上を含む。
【請求項59】
請求項55に記載の装置であって、前記対抗加温素子は、熱伝達によって加熱される。
【請求項60】
請求項59に記載の装置であって、前記熱伝達のための手段は、加温流体の循環、又は絶縁電気加熱コイルのいずれか1つ以上を含む。
【請求項61】
請求項55に記載の装置であって、前記対抗加温素子は、適当な無菌加温液体を、前記患者の両耳の外耳道に注入するように構成された装置を含む。
【請求項62】
対象体に対する対抗加温の付与を制御する方法であって、前記対象体の測定身体中心温度の変化、与えられる身体中心冷却の量、又はシバリングの測定値、のいずれか一つ又はそれらの組み合わせに応じて加温の量を調節する工程を有する。
【請求項63】
請求項62に記載の方法であって、前記シバリングの測定値は、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法によって得られる。
【請求項64】
対象体に対する対抗加温の付与を制御する方法であって、前記対象体の身体中心温度を測定する工程と、身体中心温度の変化に応じて、加温の量を調節する工程とを有する。
【請求項65】
対象体に対する対抗加温の付与を制御する方法であって、前記対象体に対して身体中心冷却を与える工程と、前記身体中心冷却の量の変化に応じて加温の量を調節する工程とを有する。
【請求項66】
対象体に対する対抗加温の付与を制御する方法であって、前記対象体のシバリングを測定値を得る工程と、前記シバリングの測定値に応じて加温の量を調節する工程とを有する。
【請求項67】
請求項66に記載の方法であって、前記シバリングの測定値は、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法によって得られる。
【請求項68】
請求項62から67のいずれか一項に記載の方法であって、前記対象体の身体上の単数又は複数の選択された部位に対して与えられる加熱を開始、若しくは、その量を調節する工程を有する。
【請求項69】
請求項65の方法であって、前記選択された部位は、身体中心冷却のために使用されていない身体領域を含む。
【請求項70】
第1及び第2信号を含む合成信号から第1信号を分離する方法であって、前記第2信号が定型波形の反復性の期間を含むものにおいて、前記方法は以下の工程によって行われる、前記合成信号を適当なサンプルレートでデジタルサンプリングする工程、前記合成信号の多数の期間をメモリに記憶する工程、前記合成信号の記憶された複数の期間を平均化して前定型第2信号波形の前記反復性の期間の平均値を得る工程、そして、マイクロプロセッサを使用して、前記反復性期間の平均値を、前記合成信号の前記期間の少なくとも一部のそれぞれから減算する工程、実質的に第2信号特徴を含まない分離第1信号期間を含むその結果をメモリに記憶する工程。
【請求項71】
第1及び第2信号を含む合成信号から第1信号を分離する装置であって、前記第2信号が定型波形の反復性の期間を含むものにおいて、前記装置は、前記合成信号を適当なサンプルレートでデジタルサンプリングする手段、前記合成信号の多数の期間をメモリに記憶する手段、前記合成信号の記憶された複数の期間を平均化して前記定型第2信号波形の前記反復性の期間の平均値を得る処理手段、前記平均反復期間を、前記合成信号の前記期間の少なくとも一部のそれぞれから減算する処理手段、実質的に第2信号特徴を含まない分離第1信号期間を含むその結果をメモリに記憶する手段を有する。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2012−505045(P2012−505045A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531177(P2011−531177)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/060029
【国際公開番号】WO2010/042738
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(510321240)ベッドロック・インヴェンションズ・エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】