説明

治療剤または細胞毒性剤と生物活性ペプチドとの抱合体

本発明は、治療剤または細胞毒性剤と生物活性ペプチドの抱合体およびこれらの使用を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、治療剤または細胞毒性剤と生物活性ペプチドの抱合体およびこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
プロドラッグとしてのカルバメート化合物の使用はよく知られている。カルバメート化合物は、ベクター分子への連結点がヒドロキシル基またはアミンであろうとも、これらを使用して親ドラッグを再生することができるために、プロドラッグの設計に極めて適している。分子内環化に基づくカルバメートプロドラッグは1980年代の後期以来報告されている。例えば、米国特許第4,812,590号(欧州特許第0 296 811号に対応)は、黒色細胞腫中での4-ヒドロキシアニソ-ルの送達および濃縮のためのプロドラッグとして4-ヒドロキシアニソ-ルカルバメートの誘導体を開示している。Vigrouxら(J.Med.Chem.38,3983-3994,1995)は、N-(置換2-ヒドロキシフェニル)-およびN-(置換2-ヒドロキシプロピル)カルバメートを組み込んだアセトアミノフェンのプロドラッグを開示している。
【0003】
最適なプロドラッグ設計は、抱合体が循環において完全に安定であるが、標的細胞の中に吸収されると治療剤をきれいに放出するように、薬剤を生物活性ベクターに抱合させたものである。種々のタイプのリンカー技術が異なる化学手段によりこの目標を達成することを試みている。2つのタイプの生物分解現象、すなわち受動的加水分解と酵素的加水分解が通常考慮される。受動的加水分解は、この分子が単純な化学的分解により分解する場合に起こる;エステル、カーボネート、アミドおよびウレタンはすべて種々の度合いの加水分解を受け、塩基性pHでの安定性の順序は次の通りである。ウレタン>アミド>カーボネート>エステル。酵素的加水分解は血漿循環中、並びに吸収時に起こる。所望の結果が標的細胞に抱合体を輸送することである場合には、この抱合体は、経路中でこの複合体を分解することができる血漿酵素に極めて抵抗性であることが望ましい。通常使用されるエステル誘導体は、末梢的に循環する化合物は広範に分布するエステラーゼにより急速に攻撃されるために、リンカーの著しく劣る選択である。
【0004】
別のリンカー戦略は、細胞の内側および外側の間に存在するpH差を利用する。リソソームは、細胞内で分子を分解する役割をするが、4〜6のpHを有し、他方、血漿および細胞外液は7.4のpHを有する。pH5で分解するが、pH7で安定であるように設計されたリンカーは、抱合体が血漿中で受動的または酵素的加水分解を受けないと仮定すると、細胞にこの抱合体を送達するのに有用である場合がある。しかしながら、合成ペプチドの生成と精製の大部分は酸性媒体中で行われるために、このリンカー戦略はペプチド抱合体に最適でない。
【0005】
更に他の化学リンカーは、リソソーム中に見出される特異的な酵素を利用することを試みるものである。例えば、多数のペプチド配列は血漿中で安定であるが、リソソーム酵素により特異的に開裂される。
【0006】
多数のこれらの治療法並びに新生物疾患の標準的な治療の毒性の副作用は、患者に投与してもよい有効薬の量を効果的に制限する。加えて、多数の有効薬は、器官特異的な毒性を引き起こし、標的組織に送達されてもよい用量を更に制限する。例えば、多数のアントラサイクリンファミリー構成員の心臓毒性は、このファミリーの化学治療剤に使用可能である最大治療用量を低下させる。種々の治療剤の標的化された薬剤送達は、正常組織における毒性を低下させ、かつ特異的な組織に及ぼす濃縮された局在化された効果を可能にすることにより、治療の効力を増大させることができる。
【0007】
これらのペプチドに特異的な受容体を過剰発現する腫瘍細胞を検出するために、ソマトスタチン、ボンベシン、および他の生物活性ペプチド類似体が使用されてきた(例えば、DenzlerおよびReubi,Cancer85(1):188-198、1999を参照のこと)。更には、ソマトスタチン、ボンベシンおよび多数の他の生物活性ペプチド作用剤類似体はこれらの受容体への結合後急速に吸収される(例えば、Lukiniusら、Acta Onc.38:383-387,1999を参照のこと)。このペプチド類似体のこの吸収は細胞核への転位を生じることがある(Chenら、Am.J.Physiol.Renal Physiol.,279:F440-F448,2000)。
【0008】
ソマトスタチン類似体は、特定の正常または病変組織の表面上に存在する特定のソマトスタチン受容体サブタイプを結合する。ソマトスタチン受容体は、炎症性腸疾患、リウマチ様関節炎、および種々の腫瘍タイプを含む特異的な病変組織、並びに多数の腫瘍を供給する血管中で上方制御される(DenzlerおよびReubi,Cancer,85:4188-198、1999)。同じように、別の生物活性ペプチドのサブスタンスPに特異的な受容体は、種々の疾患中で上方制御可能である。
【0009】
少なくとも5つのソマトスタチン受容体サブタイプは特徴付けされており、かつ腫瘍は種々の受容体サブタイプを発現することができる(Shaerら、Int.J.Cancer 70:530-537,1997)。天然起源のソマトスタチンとその類似体は、これらの受容体サブタイプへの差次的な判別結合を呈し、特異的な病変組織へのペプチド類似体の正確な標的化を可能にする。
【0010】
多数の細胞毒性剤の物理的および化学的性質によって、ソマトスタチンとボンベシンなどの生物活性ペプチドへの薬剤抱合が問題点となる。例えば、この薬剤は、結合の特異性またはこのペプチド類似体の生物活性を低下させ、標的化剤としてのその有効性を制限する。さらに、治療剤と細胞毒性剤は、ある器官において薬剤-ペプチド類似体の蓄積を促進し、毒性を増加させ、かつ効力を低下させる化学的性質を有することもある。各成分の活性を保持しながら、生物活性なペプチドまたは抗体などの標的化剤に細胞毒性剤を結合する有効な手段が毒性を最小とすることが必要とされる一方で、治療効果を最大にするのに必要とされる。
【発明の開示】
【0011】
発明の概要
本発明は、治療剤または細胞毒性剤と標的化部分の抱合体を特徴とする。特に、本発明は、開裂可能な化学的リンカーであって、循環中の治療剤または細胞毒性剤の放出を低下させ、それにより、抱合体の有効薬成分が細胞により容易に吸収され、かつ細胞内の放出速度の活性な制御を容易に供させるリンカーを有する抱合体を特徴とする。
【0012】
従って、一つの局面においては、本発明は、カルバメート結合により化学物質に抱合された生物活性ペプチドを特徴とする。本発明の抱合体は、多数の利点、例えばこのペプチドの生物活性の保持、血漿中でのこの抱合体の増進された安定性、およびこの結合化合物の細胞内放出をもたらす。本発明の抱合体との使用に好ましいペプチドは、ソマトスタチン、ソマトスタチン類似体、ボンベシン、ボンベシン類似体、KiSSペプチドとその類似体、ウロテンシンIIペプチドとその類似体、GnRH IおよびIIペプチドとその類似体、オクトレオチド、デプレオチド、バプレオチド、血管作用腸管ペプチド(VIP)、コレシストキニン(CCK)、インスリン様成長因子(IGF)、RGD含有ペプチド、メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)ペプチド、ニューロテンシン、カルシトニン、抗腫瘍抗体の相補性決定領域のペプチド、グルタチオン、YIGSR(白血球親和性ペプチド、例えば血小板因子4(PF-4)のヘパリン結合領域とリジンに富んだ配列を含有するP483H)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、β-アミロイドペプチド、δ-オピオイド拮抗剤(例えば、[125I]ITIPP(psi)[H-Tyr(3’I)-Ticpsi[CH2NH]Phe-Phe-OH];ITIPP(psi))、アネキシン-V、エンドテリン、インターロイキン(IL)-1、IL-1ra、IL-2、およびIL-8、ロイコトリエンB4(LTB4)、走化性ペプチド(例えば、N-ホルミル-メチオニル-ロイシル-フェニルアラニン-リジン(fMLFK))、GP IIb/IIIa受容体拮抗剤(例えば、DMP444)、上皮成長因子、ヒト好中球エラスターゼ阻害剤(例えば、EPI-HNE-2およびEPI-HNE-4)、プラスミン阻害剤、抗菌性ペプチド、アプチサイド(例えば、P280およびP274)、トロンボスポンジン受容体(TP-1300などの類似体を含む)、ビチスタチン、下垂体アデニリルシクラーゼI型受容体(PAC1)、フィブリンα鎖、およびこれらの誘導体と類似体を含む。哺乳動物の体内の細胞または組織に標的化されたファージディスプレイライブラリおよびその保存的置換から誘導されるペプチド(例えば、腫瘍または増殖性血管形成性血管などの病変組織;例えばAinaら、Biopolymers 66:184-199,2002を参照)も含まれる。このようなペプチドは、癌細胞などの細胞に、または哺乳動物の体内の組織(例えば心臓または脳組織への抗アポトーシス剤の送達)に、または選択的に標的化された白血球細胞または結核に罹った結節に治療剤および細胞毒性剤を特異的に標的化するのに有用である。例えば、ソマトスタチンまたはボンベシンを本発明の抱合体中の生物活性ペプチドとして使用する場合には、この治療剤または細胞毒性剤は、ソマトスタチン受容体またはボンベシン受容体を発現する癌細胞に標的化されてもよい。本発明は、また、本発明の抱合体に結合可能な抗体(例えば、モノクローナル抗体)またはこれらの断片も特徴とする。ペプチドに関して上述したように、抗体を本発明の抱合体に組み込む場合には、この治療剤または細胞毒性剤は、特異的な抗体結合部位に標的化されてもよい。
【0013】
本発明の第1の局面の抱合体は、次の一般式

を有する。式中、
Xは細胞毒性剤または治療剤であり;
nは0〜6の整数であり、ここで、(CH2nは置換もしくは非置換の直鎖または分岐鎖であり、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、環状、ヘテロ環状、芳香族、またはヘテロ芳香族基であり;
RはN(R1R2)、OR1、またはSR1であり、ここでR1とR2は独立に水素または低級アルキル基であり;
Yは親水性スペーサー配列であるか、または除外され;
Zは結合ペプチドであるか、または除外され;かつ
Qは存在する場合には標的化部分である。
【0014】
本発明のこの局面および他の局面においては、このアルキル基は、好ましくは1〜8個の炭素原子を含有し;このアルケニル基は好ましくはl〜X個の炭素原子を含有し;このアルキニル基はl-X個の炭素原子を含有し;この環状基は・・・を含有する。
【0015】
本発明の第2の局面は、式

を有する抱合体を特徴とする。式中、
Xは細胞毒性剤または治療剤であり;
nは0〜6の整数であり、ここで、(CH2nは置換もしくは非置換の直鎖または分岐鎖であり、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、環状、ヘテロ環状、芳香族、またはヘテロ芳香族基であり;
RはN(R1R2)、OR1、またはSR1であり、ここでR1とR2は独立に水素または低級アルキル基であり、かつR3はNH(CH2)mSH基(式中、m=2〜6)、DもしくはLシステイン、ベンゾフェノン(例えば、p-ベンゾイル-フェニルアラニン)、またはOH基である。この式を有する抱合体化合物を使用して、チオール、カルボキシレート、またはR3基を含有する光活動性ベンゾフェノンによりペプチド、タンパク質、または抗体を結合することができる。さらに、この化合物上に直接ペプチドまたはタンパク質を合成することにより、ペプチドまたはタンパク質を容易に製造することができる。例えば、R基がtBoc保護された1級または2級アミノ基であるようにこの化合物を提供し、かつ下記に提供する実施例に述べるように、このペプチジル樹脂に付加することができる。R3基がチオール基を含有する場合には既知のチオール反応性の化学反応を使用することにより、またはR3がベンゾフェノン部分を含有する場合には、光反応性反応(例えばGreg T.Hermanson,「Bioconjugate Techniques」p.146-152,1996を参照のこと)により、この化合物にペプチド、タンパク質、および抗体も結合することができる。
【0016】
本発明のすべての局面の好ましい態様においては、Xは、カンプトテシン、ホモカンプトテシン、コルヒチン、コンブレタスタチン、ドリスタチン、ドキソルビシン、メトトレキセート、ポドフィロトキシン、リゾキシン、リゾキシンD、タキソール、パクリタキソール、CC1065、またはマイタンシノイドおよびこれらの誘導体と類似体より選択される細胞毒性剤である。例えば、細胞毒性剤のカンプトテシンは、単一の遊離ヒドロキシル基によりカルバメートリンカーに結合される。本発明のこれらの態様においては、nは好ましくは2であり、かつRは好ましくはNH2である。
【0017】
Yは、好ましくはこの抱合体の体内分布を増大させるペプチド、または親水性ポリマーであってもよい親水性スペーサー配列である。例えば、Yは、生物活性ペプチド抱合体の親水性体内分布を増大させるペプチド配列であってもよい。好ましい態様においては、Yは式U(V-V)nを有し、ここで、UはD-Pro、L-Pro、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、サルコシン、Lys、Orn、Dab、Dap、4-NH2-Phe、または(NH2-(CH2m-COOH)(mは2から10までである(2と10を含む))であるか、または削除される)であるか;各VはD-Ser、L-Ser、D-Thr、L-Thr、D-Gln、L-Gln、D-Asn、L-Asn、D-4-OH-Pro、またはL-4ヒドロキシ-Proからなる群から独立に選択され;かつnは1から50までである(1と50を含む)。別の好ましい態様においては、各Vは独立にD-SerまたはL-Serである。別の好ましい態様においては、少なくとも1つのVはD-アミノ酸である。
【0018】
Yは親水性ポリマーであってもよい。例えば、Yは、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、HPMA(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)もしくはHPMAコポリマー、α,β-ポリ(N-ヒドロキシエチル)-DL-アスパルトアミド(PHEA)、またはα,β-ポリ(N-ヒドロキシプロピル)-DL-アスパルトアミドであってもよい。
【0019】
Zは、Qの末端またはQの側鎖のアミノ基によりQに結合している場合には、Qの少なくとも50%の生物活性を保つ結合ペプチドである。一般に、Zは、2残基、3残基、4残基、または5残基のペプチドであってもよい。Zは式A-B-C-E-Fを有する。式中、AはD-Lys、D-Tyr、D-Ser、もしくはL-Serであるか、または削除され;BはD-LysもしくはD-Tyrであるか、または削除され;CはLys、Ser、hSer、Thr、Nle、Abu、Nva、(2、3、もしくは4)3-ピリジル-Ala(Pal)、Orn、Dab、Dap、4-NH2-Phe、D-4-OH-Pro、もしくはL-4-OH-Proであるか、または削除され;EはD-Lys、D-Tyr、D-Ser、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、3-ヨード-D-Tyr、3-5ジヨード-D-Tyr、3-アスタチン-D-Tyr、3-5アスタチン-D-Tyr、3-ブロモ-D-Tyr、3-5ジブロモ-D-Tyr、D-Asn、L-Asn、D-Asp、L-Asp、D-Glu、L-Glu、D-Gln、またはL-Glnであるか;かつFはD-Lys、D-Tyr、D-Ser、L-Ser、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、3-ヨード-D-Tyr、3-5ジヨード-D-Tyr、3-アスタチン-D-Tyr、3-5アスタチン-D-Tyr、3-ブロモ-D-Tyr、3-5ジブロモ-D-Tyr、D-Asn、L-Asn、D-Asp、L-Asp、D-Glu、L-Glu、D-Gln、またはL-Glnであり、但し、A、B、C、およびEがそれぞれTyr、Tyr、Lys、およびTyrである場合には、FはLysでなく;かつA、B、C、およびEがそれぞれLys、Tyr、Lys、およびTyrである場合には、FはTyrまたはLysでなく;かつAとBが削除され、かつCとEがそれぞれLysとTyrである場合には、FはTyrまたはLysでないものとする。いくつかのペプチドにおいては、Zが存在しないことが好ましい場合がある。
【0020】
他の態様においては、Zは、式
E-F
を有する(A、B、およびCが削除される場合)。式中、EはD-Lys、D-Tyr、D-Ser、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、3-ヨード-D-Tyr、3-5ジヨードD-Tyr、3-アスタチン-D-Tyr、3-5アスタチン-D-Tyr、3-ブロモ-D-Tyr、3-5ジブロモ-D-Tyr、D-Asn、L-Asn、D-Asp、L-Asp、D-Glu、L-Glu、D-Gln、またはL-Glnであり;かつFはD-Lys、D-Tyr、D-Ser、L-Ser、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、3-ヨード-D-Tyr、3-5ジヨード-D-Tyr、3-アスタチン-D-Tyn、3-5アスタチン-D-Tyr、3-ブロモ-D-Tyr、3-5ジブロモ-D-Tyr、D-Asn、L-Asn、D-Asp、L-Asp、D-Glu、L-Glu、D-Gln、またはL-Glnである。
【0021】
好ましい態様においては、Zは、

である。
【0022】
Qは、標的化部分、例えば生物活性ペプチドまたはファージ由来ペプチドである。好ましい態様においては、Qは、ペプチド、例えばソマトスタチン、ソマトスタチン類似体、ボンベシン、ボンベシン類似体、または抗体、例えばモノクローナル抗体である。好ましい生物活性ペプチドまたは標的化部分は、Gタンパク質結合受容体またはソマトスタチン2型受容体(SSTR2)への結合の場合など活性吸収過程経由で選択の細胞により吸収される。
【0023】
本発明の別の局面は、疾患の治療または生物機能の改変のための方法を特徴とする。この方法は、これらを必要とする温血動物、例えばヒトに治療的に有効なまたは生物機能を改変する量の本発明の抱合体を投与することを含む。当業者ならば、使用される特定の抱合体は治療対象の疾患状態または改変対象の生物系に依存することを認識すると思われる。特に、当業者ならば、特定の標的化部分と細胞毒性剤または治療剤を選択して、疾患の治療に対する特異性を有する本発明の抱合体を製造するか、または所望の生物機能を改変することができる。好ましい態様においては、この疾患は、肺、胸、脳、眼、前立腺もしくは結腸の腫瘍または神経内分泌起源の腫瘍(例えば、カルチノイド症候群)である。この疾患は、また、血管形成血管の増殖から生じる、またはこれらを引き起こす状態でもある。
【0024】
「投与」または「投与すること」とは、哺乳動物にある用量の薬学的組成物を与える方法であって、ここでは、この方法が例えば、局所的、経口的、静脈内、腹腔内、または筋肉内であるものの意味である。投与の好ましい方法は、種々の因子、例えば薬学的組成物の成分、潜在的または実際の疾患の部位および疾患の重症度に依って、変わる可能性がある。
【0025】
本発明の化合物の一般的な記述においては、置換基中の特定のタイプの原子数は、一般に範囲として与えられる。例えば、1〜8個の炭素原子を含有するアルキル基またはC1〜8アルキル。このような範囲への参照は、特定された範囲内で整数の原子数の各々を有する基への特定の参照を含むように意図されている。例えば、1〜8個の炭素原子のアルキル基は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、およびC8の各々を含む。例えば、C1〜8ヘテロアルキルは、一つまたは複数のヘテロ原子に加えて1〜8個の炭素原子を含む。他の原子数および他の原子のタイプを類似の方法で示してもよい。
【0026】
本明細書で使用されるように、「アルキル」は、脂肪族の分岐鎖または直鎖の炭化水素基およびこれらの組み合わせを含むように意図されている。アルキルは、同一であるか、または異なってもよい一つまたは複数の置換基により任意で置換されている。アルキル基は、1〜20個の炭素原子の、好ましくは1〜8個の炭素原子を含有する。例は、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、オクチルなどを含む。「低級アルキル」とは、11個より少ない炭素原子を有する分岐鎖または直鎖アルキル基、好ましくはC1-C8アルキルの意味である。「低級アルキルアミド」とは、一つまたは複数のアミド含有基により置換された上述の低級アルキル基の意味である。本明細書で使用されるように、「アルキル」および接頭語「アルク-」という用語は、また、環状基、すなわち、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基も指すことができる。環状基は単環または多環であることができ、かつ好ましくは3個から8個まで(3個と8個を含む)の環炭素原子を有する。
【0027】
「アルケニル」という用語は、単独または組み合わせで、一つまたは複数の二重結合を有し、かつ2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜約8個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖の炭化水素を意味する。「アルキニル」という用語は、単独または組み合わせで、一つまたは複数の三重結合を有し、かつ2〜約20個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖の炭化水素を意味する。
【0028】
「ヘテロアルキル」とは、一つまたは複数のメチレン(-CH2-)が窒素、酸素、硫黄、カルボニル、チオカルボニル、ホスホリル、スルホニル、またはNR(式中、Rはアルキルである)により置換された分岐または非分岐の基の意味である。一部の例は、三級アミン、エーテル、チオエーテル、アミド、チオアミド、カルバメート、チオカルバメート、ホスホルアミデート、スルホンアミド、およびジスルフィドを含む。ヘテロアルキルは、各環が望ましくは3〜6個の構成員を有する、単環、二環、または三環を任意で含んでもよい。このヘテロアルキル基は置換または非置換であってもよい。
【0029】
「類似体」とは、参照分子とは異なるが、構造的、機能的、および/または化学的に関連する分子の意味である。この類似体は、参照分子の本質的な性質、機能、または構造を保持してもよい。最も好ましくは、この類似体は参照分子の少なくとも1つの生物機能を保持する。一般に、差異は、参照分子と類似体の構造または配列が全体的に類似しているように限定される。ペプチド類似体とその参照ペプチドは、いかなる組み合わせであれ一つまたは複数の置換、付加、および/または欠失によりアミノ酸配列が異なってもよい。置換または挿入のアミノ酸残基は、このペプチド類似体の遺伝コードによりコードされるものであってもよく、またはそうでなくともよい。ペプチドまたはポリペプチドの類似体は、対立遺伝子変異型などの天然起源であってもよく、または天然起源であることが知られていない変異型であってもよい。ペプチドの非天然起源の類似体を直接合成により、改変により、または突然変異誘発法により製造してもよい。
【0030】
「生物活性ペプチド」とは、生物過程または機能に含まれる任意の天然起源、改変、または合成ペプチドの意味である。生物活性ペプチドの例は、限定ではないが、ホルモン、成長因子、神経伝達物質、抗原、抗体、またはこれらの断片を含む。
【0031】
「ボンベシンペプチド」という用語は、天然型のボンベシンの少なくとも1つの生物活性を有するボンベシン、またはこれらの類似体を意味し;好ましくは、この活性は、ボンベシン受容体担持細胞上の3つの既知のボンベシン受容体サブタイプの1つまたはすべてに特異的に結合する能力である。ボンベシン類似体は、限定ではないが、オクタペプチドG-Trp-H-I-His-J-K-NHV(配列番号:15)を含有する群より選択されるペプチドを含み、ここでGはGln、Asn、Nle、またはNvaであり;HはAva、Gly、Leu、Val、IIe、Nle、またはNvaであり;Iはβ-Ala、4-アミノ酪酸、Gly、Ala、D-Ala、N-Me-Ala、またはN-Me-D-Alaであり;JはPhe、Tyr、4-クロロ-Phe、4-フルオロ-Phe、4-ブロモ-Phe、4-NO2-Phe、Ala、Gly、Leu、Val、Ile、Nle、またはNvaであり;KはMet、Phe、Tyr、4-クロロ-Phe、4-フルオロ-Phe、4-ブロモ-Phe、4-NO2-Phe、Ala、Gly、Leu、Val、IIe、Nle、またはNvaであり;かつNはアミドまたはN-アルキルアミドを表し、かつVはHであるか、または低級アルキルアミドである。
【0032】
「環状」とは3〜10個の炭素、および更に好ましくは3〜6個の炭素を有する炭化水素基の意味である。
【0033】
「細胞毒性剤」とは腫瘍細胞に対して毒性である任意の天然起源、改変、または合成の化合物の意味である。このような薬剤は、新生物、並びに炎症性疾患、自己免疫障害の治療で、および細胞増殖または機能亢進性細胞集団を特徴とする他の症状または疾患の治療で有用である。細胞毒性剤は、限定ではないが、アルキル化剤、抗生物質、代謝拮抗剤、チューブリン阻害剤、トポイソメラーゼIおよびII阻害剤、ホルモンの作用剤もしくは拮抗剤、または免疫調整剤を含む。細胞毒性剤は可視光または赤外光線により活性化された場合に細胞毒性であることもあり(Photofrin,IR dyes;Nat.Biotechnol.19(4):327-331,2001)、他の力学的な経路により動作することもあり、または補助的な増強剤であることもある。
【0034】
「親水性体内分布」とはペプチド剤が被験者の体中に分布するが、末梢器官、例えば肝臓、胆のう、および腎臓近位尿細管による吸収を避けながら、腎臓経由で尿中に急速に分泌されるように、ペプチド剤を投与した被験者の体液(例えば、血液、脳脊髄液、尿、または他の体液)に対する本発明のペプチド剤の親和性の意味である。
【0035】
「親水性ポリマー」とは、本発明のペプチド剤の体内分布を変える任意で改変された天然起源または合成の水溶性ポリマーの意味である。このようなポリマーの例は、限定ではないが、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ酢酸ビニル、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、ゼラチン、PVP、PHPMA、α,β-ポリ[N(2-ヒドロキシエチル)-DL-アスパルトアミド(PHEA)、ポリスクシンアミド(PSI)、α,β-ポリ(N-ヒドロキシプロピル)-DL-アスパルトアミドなどを含む。例えば、スクシニル化(負電荷)、PSI(カルボキシル基)の部分加水分解、またはアミノ-またはカルボキシル含有基を付加する化合物との反応により、これらのポリマーを改変してもよい。このような任意の改変は、このポリマーの親水性を増加または変化させるか、またはペプチドまたは本発明の細胞毒性剤もしくは治療剤への結合が可能となってもよい。このようなポリマーおよび改変は当技術分野において周知であり、かつそれぞれが参照としてその全体が本明細書に組み入れられる、例えば、Yamoakaら、J.Pharmacol.Sci.83:601-606、1994;Rypacekら、Pflugers Arch.392:211-217、1982;Yamoakaら、J.Pharm.Pharmacol.47:479-486、1995;Francesco,Bioconjugate Chemistry 9(4):418-450、1998;DuncanおよびSpreafico、Chin.Pharmacokinet.27(4):290-306、1994に記述されている。
【0036】
「親水性スペーサー配列」とは、末梢蓄積を阻害することおよび/または腎臓のクリアランスを促進することなどにより、本発明の化合物の体内分布を増加させる親水性ペプチドまたは親水性ポリマーの意味である。本発明による使用のための親水性スペーサー配列の例は本明細書で提供される。
【0037】
「ペプチド」とは、ペプチド結合または改変ペプチド結合により相互に結合した2つまたはそれ以上のアミノ酸を含む任意のポリペプチド、ペプチド(環状または分岐ペプチドを含む)、またはタンパク質の意味である。本明細書で使用されるように、ペプチドは、通常ペプチド、オリゴペプチドまたはオリゴマーと呼ばれる短鎖と、長さで約100個までの残基のより長い鎖とを指す。ペプチドは、遺伝子でコードされた20個のアミノ酸以外のアミノ酸およびペプチド結合以外の結合を含有してもよい。ペプチドは、自然の過程によるか、または当技術分野において周知の化学修飾法によるかのいずれかにより改変されたアミノ酸配列を含む。改変は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、およびアミノまたはカルボキシル末端を含む、ポリペプチド中のどこで起こってもよい。
【0038】
このペプチドのアミノ酸残基に対して本明細書で使用される表記は、当技術分野において一般的に使用される略号である。さほど一般的でない略号のAbu、Ava、β-Ala、hSer、Nle、Nva、Pal、Dab、およびDapは、それぞれ、2-アミノ-酪酸、アミノ吉草酸、β-アミノプロピオン酸、ホモセリン、ノルロイシン、ノルバリン、(2、3、もしくは4)3-ピリジル-Ala、1,4-ジアミノ酪酸、および1,3-ジアミノプロピオン酸を表す。本発明のすべての局面においては、アミノ酸がD-アミノ酸またはL-アミノ酸のいずれかとして表示されていない場合には、文脈が特定の異性体を必要としない限り、このアミノ酸はL-アミノ酸であるか、またはD-アミノ酸またはL-アミノ酸のいずれかであることができることを特記する。
【0039】
「ソマトスタチンペプチド」とは、天然型のソマトスタチンの少なくとも1つの生物活性を有するソマトスタチン、またはこれらの類似体の意味であり;好ましくは、この活性は、ソマトスタチン受容体担持細胞上のソマトスタチン受容体に特異的に結合する能力である。生物活性を有する多数のこのような類似体は周知であり、かつ各々参照としてその全体が本明細書に組み入れられる、例えばHornikら、米国特許第5,770,687号;Coyら、米国特許第5,708,135号;Hoegerら、米国特許第5,750,499号;McBrideら、米国特許第5,620,675号;Coyら、米国特許第5,633,263号;Coyら、米国特許第5,597,894号;Taylorら、米国特許第5,073,541号;Coyら、米国特許第4,904,642号;Dean、米国特許第6,017,509号;Hoffmanら、国際公開公報第98/47524号;およびA.E.Bogden、米国特許第5,411,943号に記述されている。
【0040】
「標的化部分」とは、受容体または所与の標的細胞集団と関連した他の受容部分と特異的に結合するか、または反応的に結合または複合体形成する任意の分子の意味である。この試薬が抱合体中でリンカーにより連結されている、細胞反応分子は、治療的またはさもなくば生物的に改変されることが求められる細胞集団に結合、複合体形成または反応し、かつ遊離の反応性アミン基を有し、またはこのようなアミン基を含有するように改変可能である任意の分子であることができる。この細胞反応分子は、このリガンドが反応する特定の標的細胞集団まで抱合体を送達するように作用するので、従ってこの細胞毒性剤または治療剤を送達するように作用する。このような分子は、限定ではないが、例えば抗体などの大きな分子量のタンパク質(一般に10,000ダルトンを超える)、小さな分子量のタンパク質(一般に、10,000ダルトン未満)、ポリペプチドまたはペプチドのリガンド、および非ペプチジルリガンドを含む。
【0041】
「治療剤」とは、ヒト疾患の検出、診断または治療で使用される任意の化合物の意味である。このような化合物は、天然起源、改変、または合成であってもよい。治療剤は、ヒト疾患経路に関連する任意の生物過程を促進または抑制してもよい。好ましい疾患標的は、限定ではないが、炎症性腸疾患、リウマチ様関節炎、新生物細胞アポトーシス、心臓組織、または異常増殖する細胞、カルチノイド症候群、末端肥大症、結核、および血管の不適切な増殖を引き起こす血管形成(例えば、眼中の過剰血管形成の結果である黄斑変性症)を含む。治療剤は、例えば、細胞毒性剤を含む、抗新生物剤であってもよい。抗悪性腫瘍剤は、アルキル化剤、抗生物質、代謝拮抗剤、ホルモンの作用剤もしくは拮抗剤、チューブリン阻害剤、トポイソメラーゼIおよびII阻害剤、抗またはアポトーシス促進剤、または免疫調整剤であってもよい。抗悪性腫瘍剤は、他の力学的な経路により動作することもあり、または補助的な増強剤であることもある。
【0042】
「治療する」とは予防および/または治療のための薬学的組成物を投与するという意味である。「疾患を予防する」とは、まだ病気ではないが、特定の疾患にかかり易いか、さもなければその危険性のある患者の予防的な治療を指す。「疾患を治療する」または「治療」のための使用は、疾患に既に罹っている患者に治療を投与して、疾患を和らげ、かつ患者の状態を改善することを指す。このように、この特許請求の範囲および態様においては、治療は、治療または予防のための哺乳動物への投与である。
【0043】
発明の詳細な説明
本発明は、細胞毒性剤または治療剤と生物的ペプチドの抱合体を特徴とする。これらの抱合体は、このような細胞毒性剤または治療剤の投与に対して多数の利点を提供する。本発明の抱合体を標的部位または特定の細胞に導いて、この細胞毒性剤または治療剤の有効な吸収を生じさせることができる。さらに、本発明の抱合体は、循環中の細胞毒性剤または治療剤の放出の低下を示す。本発明の抱合体を必要に応じて改変して、細胞毒性剤または治療剤の放出を調整してもよい。
【0044】
本発明の抱合体は、次の一般式

を有する。式中、
Xは細胞毒性剤または治療剤であり;
nは0〜6の整数であり、ここで、(CH2nは置換もしくは非置換の直鎖または分岐鎖であり、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、環状、ヘテロ環状、芳香族、またはヘテロ芳香族基であり;
RはN(R1R2)、OR1、またはSR1であり、ここでR1とR2は独立に水素または低級アルキル基であり;
Yは親水性スペーサー配列であるか、または除外され;
Zは結合ペプチドであるか、または除外され;かつ
Qは標的化部分である。
【0045】
本発明によれば、この抱合体の化学構造を改変することにより、細胞毒性剤の放出速度を制御してもよい。例えば、RがNH2で、n=2の場合には、次の置換反応が起こる可能性がある。

いかなる理論にも束縛されるのを望むものでないが、上記の機構においては、この求核性基は、nに依存する調整可能な方法で細胞毒性剤または治療剤の細胞内放出(「X-OH」として)を助ける。この炭化水素側鎖の長さによって、すなわちnの値によって、またはRをNCH3、OH、またはN(CH32に変えることによって、この求核性試薬の反応性を増加または減少させてもよい。例えば、この細胞毒性基をアルキル-OH基によりカルバメート結合に結合する場合には、n=2が好ましく、これらは、例えばカンポテシン、ホモカンプトテシン、コルヒチン、コンブレタスタチン、ドリスタチン、ドキソルビシン、メトトレキセート、ポドフィロトキシン、リゾキシン、リジキシンD、ロカグラアミド、アングイジン、タキソール、パクリトキソール、CC1065、またはマイタンシノイドである。しかしながら、この細胞毒性基をアリール-OH基により結合する(例えば、コンブレタスタチンまたはロカグラアミド)場合には、RはN(CH32であり、かつn=3が好ましい。

【0046】
このように、細胞毒性剤または治療剤の放出を制御するように本発明の抱合体を設計してもよいことは、本明細書における開示から明白である。
【0047】
本発明は、また、式

を有する化合物も特徴とする。式中、
Xは細胞毒性剤または治療剤であり;
nは0〜6の整数であり、ここで、(CH2nは置換もしくは非置換の直鎖または分岐鎖であり、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、環状、ヘテロ環状、芳香族、またはヘテロ芳香族基であり;
RはN(R1R2)、OR1、またはSR1であり、ここでR1とR2は独立に水素または低級アルキル基であり;かつR3は(CH2)SH基、またはOH基である。例えば、式

を有する化合物を使用して、ペプチド、タンパク質、または抗体にこの化合物を結合することができる。さらに、ペプチドまたはタンパク質をこの抱合体上に直接に合成し、それによりペプチドまたはタンパク質を含有する抱合体化合物を調製する容易な手段を提供することができる。このR基がtBoc保護された1級または2級のアミノ基であるようにこの化合物は提供可能であり、かつ下記に示す実施例で述べるような化合物にペプチドまたはタンパク質を付加することができる。
【0048】


を有する化合物にペプチド、タンパク質、および抗体も結合することができる。R3位置でこのチオール部分に結合する既知のチオール反応性の化学反応を用いて、この非保護のR誘導体を使用して、ペプチド、タンパク質、および抗体を結合することができる(例えば、Greg T.Hermanson,「Bioconjugate Techniques」p.146-152,1996,および下記の実施例21を参照のこと)。
【0049】
本発明の抱合体のすべてにおいて、Xは、好ましくは1級、2級、3級のベンジル型またはフェノール型のヒドロキシル基を含有する細胞毒性剤と治療剤より選択される。当業者ならば、ヒドロキシル基を欠くこれらの細胞毒性剤または治療剤に対しては、当技術分野において周知の手順を用いて、このようなヒドロキシル基を含有する誘導体を製造してもよいことを認識すると思われる。
【0050】
好ましい細胞毒性剤は、癌治療に使用されるもの、例えば一般に、アルキル化剤、抗増殖性剤、チューブリン結合剤などである。好ましい細胞毒性剤の種類は、例えば、薬剤のアントラサイクリンファミリー、ビンカ薬剤、マイトマイシン、ブレオマイシン、細胞毒性ヌクレオシド、薬剤のプテリジンファミリー、ジイネン、およびポドフィロトキシンを含む。これらの種類の特に有用な構成員は、例えば、アドリアマイシン、カルミノマイシン、ダウノルビシン、アミノプテリン、メトトレキセート、メトプテリン、ジクロロメトトレキセート、マイトマイシンC、ポルフィロマイシン、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、シトシンアラビノシド、ポドフィロトキシン、またはポドフィロトキシン誘導体(例えばエトポシドまたはエトポシドホスフェート)、メルファラン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ロイロシジン、ビンデシン、およびロイロシンなどを含む。前記したように、当業者ならば、この化合物の反応を本発明の抱合体の製造のために更に都合のよいものにするために、所望の化合物に化学修飾を加えてもよい。好ましい態様においては、Xは、カンプトテシン、ホモカンプトテシン、コルヒチン、コンブレタスタチン、ドリスタチン、ドキソルビシン、メトトレキセート、ポドフィロトキシン、リゾキシン、リゾキシンD、タキソール、パクリタキソール、CC1065、またはマイタンシノイド、およびこれらの誘導体と類似体より選択される細胞毒性剤である。例えば、細胞毒性剤のカンプトテシンは、単一の遊離ヒドロキシル基によりカルバメートリンカーに結合され、かつチオコルヒチンは、述べた結合基戦略を使用するのに好適なヒドロキシ基を含有するように誘導体化可能である。本発明のこの態様においては、nは好ましくは2であり、かつRは好ましくはNH2である。
【0051】
本発明の抱合体においては、Xは、任意の細胞毒性剤または治療剤の部分、例えば抗悪性腫瘍剤であることができる。例えばアシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アドリアマイシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;A.メタントロンアセテート;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビスアントレン;ビスナフィドジメシラート;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナールナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カンプトテシン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;コルヒチン;コンブレテスタチンA-4;クリスナトールメシレート;シクロホスファミド;シタラビン;デカルバジン;DACA(N-[2-(ジメチル-アミノ)エチル]アクリジン-4-カルボキサミド);ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;ダウノマイシン;デシタビン;デクソルマプラチン;デザグアニン;デザグアニンメシレート;ディアジクオン;ドセタクセル;ドラサチン;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;ドロモスタノロンプロピオネート;デュアゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エファルニチン;エリプチシン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチンホスフェートナトリウム;エタニダゾール;エチオダイズ化油I131;エトポシド;エトポシドホスフェート;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;フルダラビンホスフェート;フルオロウラシル;5-FdUMP;フルロシタビン;フォスキドン;フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ゴールドAu198;ホモカンプトテシン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イフォスファミド;イルフォシン;インターフェロンα-2a;インターフェロンα-2b;インターフェロンα-n1;インターフェロンαn3;インターフェロンβ-Ia;インターフェロンγ-Ib;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレクソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコル;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスパー;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パシタクセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロイシン;ペルフォスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスタン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リゾキシン;リゾキシンD;リボプリン;ログレトイミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;塩化ストロンチウムSr89;スロフェヌール;タリソマイシン;タキセン;タキソイド;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チオコルヒチン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チミタク;チアゾフリン;チラパザミン;トムデックス;TOP53;塩酸トポテカン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;トリシリビンホスフェート;トリメトレキセート;トリメトレキセートグルクロネート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;ビンブラスチン;硫酸ビンブラスチン;ビンクリスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビンピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシン;2-クロロデオキシアデノシン;2’-デオキシホルマイシン;9-アミノカンプトテシン;ラルチトレキセド;N-プロパルギル-5,8-ジデアザ葉酸、2クロロ-2’-アラビノ-フルオロ-2’-デオキシアデノシン;2-クロロ-2’-デオキシアデノシン;アニソマイシン;トリコスタチンA;hPRL-G129R;CEP-751;リノマイド;硫黄マスタード;窒素マスタード(メクロールエタミン);シクロホスファミド;メルファラン;クロラムブシル;イフォスアミド;ブスルファン;N-メチル-N-ニトロソ尿素(MNU);N,N'-ビス(2-クロロエチル)-N-ニトロソ尿素(BCNU);N(2-クロロエチル)-N'シクロヘキシル-N-ニトロソ尿素(CCNU);N-(2-クロロエチル)-N'-(トランス-4-メチルシクロヘキシル-Nニトロソ尿素(MeCCNU);N-(2-クロロエチル)-N'-(ジエチル)エチルホスホネート-N-ニトロソ尿素(フォテムスチン);ストレプトゾトシン;ジアカルバジン(DTIC);ミトゾロマイド;テモゾロマイド;チオテパ;マイトマイシンC;AZQ;アドゼレシン;シスプラチン;カルボプラチン;オルマプラチン;オキサリプラチン;C1-973;DWA2114R;JM2l6;JM335;ビス(白金);トムデックス;アザシチジン;シタラビン;ゲムシタビン;6-メルカプトプリン;6-チオグアニン;ヒポキサンチン;テニポシド9-アミノカンプトテシン;トポテカン;CPT-11;ドキソルビシン;ダウノマイシン;エピルビシン;ダルビシン;ミトキサントロン;ロソキサントロン;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD);アムサクリン;ピラゾロアクリジン;オール-トランスアプタル;14-ヒドロキシ-レトロ-レチノール;オール-トランスレチノイン酸、N-(4-ヒドロキシフェニル)レチンアミド;13-シスレチノイン酸;3-メチルTTNEB;9-シスレチノイン酸;フルダラビン(2-F-アラ-AMP);または2-クロロデオキシアデノシン(2-Cda)である。
【0052】
他の好適な抗悪性腫瘍性化合物は、限定ではないが、20-pi-1,25ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アデスロイキン;オール-チロシンキナーゼ拮抗剤;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミフォスチン;アミノレブリン酸、アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラフォリド;血管形成阻害剤;拮抗剤D;拮抗剤G;アンタレリックス;抗背側化骨形成タンパク質-1;抗アンドロゲン、前立腺ガン;抗エストロゲン;抗新生物剤;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィディコリングリシネート;アポトーシス遺伝子調節物質;アポトーシス制御因子;アプリン酸;アラ-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキナスタチン1;アキナスタチン2;アキナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABL拮抗剤;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;βラクタム誘導体;β-アレチン;ベータクラマイシンB;ベツリン酸;塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)阻害剤、ビカルタミド;ビスアントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブレオマイシンA2;ブレオマイシンB2;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体(例えば、10-ヒドロキシ-カンプトテシン);カナリポックス11-2;カペシタビン;カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシイドトリアゾール;CaRestM3;CARN700;軟骨由来阻害剤、カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリックス;クロリンズ;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シス-ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クランベスシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタアントラキノン;シクロプラタン;シペマイシン;シタラビンオクフォスフェート;細胞溶解性因子、シトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロディデムニンB;2’デオキシコフォルマイシン(DCF);デスロレリン;デキシフォスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ディアジクオン;ジデミンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;ジヒドロタキソール、9-;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ディスコデルモリド;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エーデルフォシン;エドレコロマブ;エファルニチン;エレメン;エミテフール;エプフルビシン、エポチロン(A、R=H;B、R=Me);エピチロン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲン作用剤;エストロゲン拮抗剤;エタニダゾール;エトポシド;エトポシド4’-ホスフェート(エトポフォス);エクセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン;フォルフェニメックス;ホルメスタン;フォストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリックス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ホモハリントニン(HHT);ハイペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルフォシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン;イミキモド;免疫刺激ペプチド;インスリン様成長因子-1受容体阻害剤;インターフェロン作用剤;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポミーアノール、4-;イリノテカン;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン-Nトリアセテート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチン;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン;レバミソール;リアロゾール;線状ポリアミン類似体;親油性ジサッカライドペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド7;ロバプラチン;ロムブリシン;ロメトレキソロール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロクソリビン;ルルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶菌ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスプリン;マトリリシン阻害剤;マトリックス金属プロテアーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;イフェプリストン;ミルテフォシン;ミリモスチン;ミスマッチした二重鎖RNA;ミトラシン;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;ミトトキシン繊維芽細胞成長因子-サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチン;モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロフィン;モノホスホリルリピッドA+myobacterium細胞壁sk;モピダモール;多剤耐性遺伝子阻害剤、多腫瘍抑制因子1を用いた治療;マスタード抗ガン剤;マイカペルオキシドB;放線菌細胞壁抽出物;ミリアポロン;N-アセチルジナリン;N-置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;酸化窒素調節物質;窒素酸化物酸化防止剤;ニトルリン;06-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘導物質;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタクセル類似体;パクリタクセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリップチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルフォスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニル;塩酸ピロカルピン;ピラリビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化剤阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金-トリアミン錯体;ポドフィロトキシン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プロピルビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアゾーム阻害剤;タンパク質Aを用いた免疫調節物質、タンパク質キナーゼC阻害剤;タンパク質キナーゼC阻害剤、ミクロアルガル;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン抱合体;raf拮抗剤;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;rasGAP阻害剤;レテルリプチン脱メチル化、レニウムRe186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチンアミド;ロゲルイミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメックス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチン;Sdi1模倣物;セムスチン;セネセンス由来阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達調節物質;単鎖抗原結合タンパク質;シゾフィラン;ソボゾキサン;ナトリウムボロカプテート;ナトリウムフェニルアセテート;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルフォソン酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタン1;スクアラミン;幹細胞阻害剤、幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド;ストロメルシン阻害剤;スルフィノシン;超活性血管作用腸管ペプチド拮抗剤;スラディスタ;スラミン;スエインソニン;合成グリコサミノグリカン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロマイド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;タリドマイド;チオコラリン;トロンボポイエチン;トロンボポイエチン模倣物;チマルファシン;チモポイエチン受容体作用剤;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;チタノセンジクロリド;トポテカン;トポセンチン;トレミフェン;分化全能幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキセート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメックス;尿生殖洞由来成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体拮抗剤;バプレオチド;バリオリンB;ベクター系、赤血球遺伝子治療;ベラレソール;ベラミン;ベルディン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタクシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;およびジノスタチン刺激剤を含む。
【0053】
Xは、また、抗増殖性剤、例えばピリトレキシムイソチオネートであってもよい。または、Xは、例えばシトグルシドなどの抗前立腺肥大剤、例えば塩酸タムスロシンなどの良性前立腺肥大症治療剤、または例えばペントモンなどの前立腺成長阻害剤であってもよい。
【0054】
Xは、また、放射性物質であることができ、限定ではないが、フィブリノーゲン125I;フルデオキシグルコース18F;フルオロドーパ18F;インスリン125I;インスリン131I;イオベングアン123I;イオジパミドナトリウム131I;ヨードアンチピリン131I;ヨードコレステロール131I;ヨードドヒップラートナトリウム123I;ヨードドヒップラートナトリウム125I;ヨードドヒップラートナトリウム131I;ヨードピラセット125I;ヨードピラセット131I;塩酸レフェタミン123I;イオメチン125I;イオメチン131I;イオタラメートナトリウム125I;イオタラメートナトリウム131I;チロシン131I;リオチロニン125I;リオチロニン131I;酢酸メリソプロル197Hg;酢酸メリソプロル203Hg;メリソプロル197Hg;セレノメチオニン75Se;テクネチウム99mTc三硫化アンチモンコロイド;テクネチウム99mTcビシセート;テクネチウム99mTcジソフェニン;テクネチウム99mTcエチドロネート;テクネチウム99mTcエキサメタジン;テクネチウム99mTcフリホスミン;テクネチウム99mTcグルセプテート;テクネチウム99mTcリドフェニン;テクネチウム99mTcメブロフェニン;テクネチウム99mTcメドロネート;テクネチウム99mTcメドロネート二ナトリウム;テクネチウム99mTcメルチアチド;テクネチウム99mTcオキシドロネート;テクネチウム99mTcペンテテート;テクネチウム99mTcペンテテートカルシウム三ナトリウム;テクネチウム99mTcセスタミバイ(Sestamibi);テクネチウム99mTcシブロキシム;テクネチウム99mTcスクシマー;テクネチウム99mTc硫黄コロイド;テクネチウム99mTcテボロキシム;テクネチウム99mTcテトロフォスミン;テクネチウム99mTcチアチド;チロキシン125I;チロキシン131I;トルポビドン131I;トリオレイン125I;またはトリオレイン131Iを含む。
【0055】
本発明の抱合体中で使用される他の好適な治療剤または細胞毒性剤は、例えば抗ガン補助増強剤を含み、限定ではないが、三環抗鬱剤(例えば、イミプラミン、デシプラミン、アミトリプチリン、クロミプラミン、トリミプラミン、ドキセピン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、アモキサピンおよびマプロチリン);非三環抗鬱剤(例えば、セルトラリン、トラゾドンおよびシタロプラム);Ca++拮抗剤(例えば、ベラパミル、ニフェジピン、ニトレンジピンおよびカロベリン);カルモジュリン阻害剤(例えば、プレニルアミン、トリフルオロペラジンおよびクロミプラミン);アンホテリシンB;トリパラノール類似体(例えば、タモキシフェン);抗不整脈剤(例えば、キニジン);抗高血圧剤(例えば、レセルピン);チオール低減剤(例えば、ブチオニンおよびスルホキミン)およびクレマフォールELなどの多剤耐性低減剤を含む。
【0056】
本発明の抱合体は、また、顆粒球コロニー刺激因子などのサイトカインとも投与可能である。抗ガンカクテル中で使用される好ましい抗ガン剤(例えば、本発明の薬剤と組み合わせた)は、ゲムシタビン(1000mg/m2);メトトレキセート(15gm/m2静脈内投与+ロイコ<500mg/m2静脈内投与w/oロイコ);5-FU(500mg/m2/日×5日);FUDR(100mg/kg×5・マウス、0.6mg/kg/日・ヒト動脈内投与);FdUMP;ヒドロキシ尿素(35mg/kg/日・男);ドセタクセル(60〜100mg/m2);ディスコデルモリド;エポチロン;ビンクリスチン(1.4mg/m2);ビンブラスチン(3.3-11.1mg/m2、または稀に18.5mg/m2まで増加);ビノレルビン(30mg/m2/週);メタ-パック;イリノテカン(患者の応答に依り50〜150mg/m2、1×/週);SN-38(イリノテカンよりも-100倍強力);10-OHカンプト;トポテカン(1.5mg/m2/日・ヒト、1×静脈内投与LdlOマウス=75mg/m2);エトポシド(100mg/m2・男);アドリアマイシン;フラボピリドールCis-Pt(100mg/m2・男);カルボ-Pt(360mg/m2・男);ブレオマイシン(20mg/m2);マイトマイシンC(20mg/m2);ミトラマイシン(30sug/kg);カペシタビン(2.5g/m2経口);シタラビン(100mg/m2/日);2-Cl-2’デオキシアデノシン;フルダラビン-P04(25mg/m2/日,×5日);ミトキサントロン(12〜14mg/m2);ミトゾロミド(>400mg/m2);ペントスタチン;およびトムデックスを含む(あるものはカッコ内に示すこれらのMTDと共に含む)。
【0057】
Xは、好ましくはメトトレキセートなどの代謝拮抗剤であってもよい。代謝拮抗剤は、限定ではないが、次の化合物とこれらの誘導体を含む。アザチオプリン、クラドリビン、シタラビン、デカルバジン、フルダラビンホスフェート、フルオロウラシル、ゲンシタビンクロロハイドレート、メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトブロニトール、ミトタン、プログアニルクロロハイドレート、ピリメタミン、ラルチトレキセド、トリメトレキセートグルクロネート、ウレタン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチンなど。更に好ましくは、Xは、葉酸タイプの代謝拮抗剤、例えば、メトトレキセート、プログアニルクロロハイドレート、ピリメタニン、トリメトプリン、またはトリメトレキセートグルクロネートを含む薬剤の類、またはこれらの化合物の誘導体であってもよい。
【0058】
別の態様においては、Xは、また、新生物薬剤のアントラサイクリンファミリーの構成員であることもでき、限定ではないが、アクラルビシンクロロハイドレート、ダウノルビシンクロロハイドレート、ドキソルビシンクロロハイドレート、エピルビシンクロロハイドレート、イダルビシンクロロハイドレート、ピラルビシン、またゾルビシンクロロハイドレートを含む。更には、Xは、10,11メチレンジオキシカンプトテシンなどのカンプトテシン、またはその誘導体もしくは関連化合物であってもよい。Xは、また、種々の構造的に関連した化合物を含む化合物のマイタンシノイドファミリーからも選択されてもよい。例えば、アンサミトシンP3、マイタンシン、2’-N-デメチルマイタンブチン、またはマイタンビシクリノールがマイタンシノイドである。
【0059】
Yは、親水性スペーサー配列であり、これは、好ましくはこの抱合体の体内分布を増大させるペプチド、または親水性ポリマーであってもよい。例えば、Yは、この生物活性ペプチド抱合体の親水性体内分布を増大させるペプチド配列であってもよい。好ましい態様においては、Yは式U(V-V)nを有し、ここで、UはD-Pro、L-Pro、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、サルコシン、Lys、Orn、Dab、Dap、4-NH2-Phe、または(NH2-(CH2m-COOH)(式中、m=2から10までである(2と10を含む))であるか、または削除される)であり;各VはD-Ser、L-Ser、D-Thr、L-Thr、D-Gln、L-Gln、D-Asn、L-Asn、D-4-OH-Pro、またはL-4ヒドロキシ-Proからなる群から独立に選択され;かつnは1から50までである(1と50を含む)。別の好ましい態様においては、各Vは独立にD-SerまたはL-Serである。別の好ましい態様においては、少なくとも1つのVはD-アミノ酸である。
【0060】
本明細書における開示に従って、Yを選択して、本発明の抱合体の体内分布を促進してもよい。Yは、ペプチドまたはPEGまたはPVAなどのポリマーであってもよい。Yが親水性ペプチドである場合には、Yは、好ましくは1〜50個のアミノ酸長、または更に好ましくは3〜15個の残基長であってもよい。例えば、Yは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のアミノ酸残基長であってもよい。ペプチドである場合には、Yは、天然起源、合成もしくは改変である、帯電したもしくは非極性のアミノ酸、これらの類似体または誘導体を含有してもよい。
【0061】
Yは親水性ポリマーであることもできる。例えば、Yは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタアクリルアミド(HPMA)もしくはHPMAコポリマー、α,β-ポリ(N-ヒドロキシエチル)-DL-アスパルトアミド(PHEA)、またはα,β-ポリ(N-ヒドロキシプロピル)-DL-アスパルトアミドであってもよい。本発明の抱合体中で使用されるPEG基、PHEA基、およびPVA基も一般に低い潜在的薬剤毒性に関連する急速な腎臓分泌の優れた促進剤であることが知られている(例えば、Yamoakaら、J.Pharmacol.Sci.,83:601-606,1994;Rypacekら、Pflugers Arch.,392:211-217,1982;Yamoakaら、J.Pharm.Pharmacol.,47:479-486,1995を参照のこと)。これらの群も生体利用可能な非吸収の抱合体から生じる低毒性を促進することもある。
【0062】
Zは、Qの末端またはQの側鎖のアミノ基によりQに結合している場合には、Qの少なくとも50%の生物活性を保つ結合ペプチドである。一般に、Zは2残基、3残基、4残基、または5残基のペプチドであってもよい。Zは式A-B-C-E-Fを有する。ここで、AはD-Lys、D-Tyr、D-Ser、もしくはL-Serであるか、または削除され;BはD-LysもしくはD-Tyrであるか、または削除され;CはLys、Ser、hSer、Thr、Nle、Abu、Nva、(2、3、もしくは4)3-ピリジル-Ala(Pal)、Orn、Dab、Dap、4-NH2-Phe、D-4-OH-Pro、もしくはL-4-OH-Proであるか、または削除され;EはD-Lys、D-Tyr、D-Ser、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、3-ヨード-D-Tyr、3-5ジヨード-D-Tyr、3-アスタチン-D-Tyr、3-5アスタチン-D-Tyr、3-ブロモ-D-Tyr、3-5ジブロモ-D-Tyr、D-Asn、L-Asn、D-Asp、L-Asp、D-Glu、L-Glu、D-Gln、またはL-Glnであるか;かつFはD-Lys、D-Tyr、D-Ser、L-Ser、D-4-OH-Pro、L-4H-Pro、3-ヨード-D-Tyr、3-5ジヨード-D-Tyr、3-アスタチン-D-Tyr、3-5アスタチン-D-Tyr、3-ブロモ-D-Tyr、3-5ジブロモ-D-Tyr、D-Asn、L-Asn、D-Asp、L-Asp、D-Glu、L-Glu、D-Gln、またはL-Glnであり、但し、A、B、C、およびEがそれぞれTyr、Tyr、Lys、およびTyr、である場合には、FはLysでなく;かつA、B、C、およびEがそれぞれLys、Tyr、Lys、およびTyrである場合には、FはTyrまたはLysでなく;かつAとBが削除され、かつCとEがそれぞれLysとTyrである場合には、FはTyrまたはLysでないものとする。
【0063】
他の態様においては、Zは、式
E-F
を有する(A、B、およびCが削除される場合)。ここで、EはD-Lys、D-Tyr、D-Ser、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、3-ヨード-D-Tyr、3-5ジヨードD-Tyr、3-アスタチン-D-Tyr、3-5アスタチン-D-Tyr、3-ブロモ-D-Tyr、3-5ジブロモ-D-Tyr、D-Asn、L-Asn、D-Asp、L-Asp、D-Glu、L-Glu、D-Gln、またはL-Glnであり;かつFはD-Lys、D-Tyr、D-Ser、L-Ser、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、3-ヨード-D-Tyr、3-5ジヨード-D-Tyr、3-アスタチン-D-Tyr、3-5アスタチン-D-Tyr、3-ブロモ-D-Tyr、3-5ジブロモ-D-Tyr、D-Asn、L-Asn、D-Asp、L-Asp、D-Glu、L-Glu、D-Gln、またはL-Glnである。
【0064】
好ましい態様においては、Zは、

である。
【0065】
Qは生物活性ペプチドなどの標的化部分である。本発明の抱合体の形成に使用することができる非免疫反応性タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドリガンドは、限定ではないが、トランスフェリン、上皮成長因子(「EGF)、ボンベシン、ガストリン、ガストリン放出ペプチド、血小板由来成長因子、IL-2、IL-6、TGF-αとTGF-βなどの腫瘍増殖因子(「TGF」)、ワクシニア成長因子(「VGF」)、インスリンおよびインスリン様成長因子IおよびIIを含む。非ペプチジルリガンドは、例えば、ステロイド、炭水化物、ビタミン、およびレクチンを含んでもよい。
【0066】
好ましい態様においては、Qはソマトスタチンなどのペプチド、ソマトスタチン類似体、ボンベシン、ボンベシン類似体、またはモノクローナル抗体などの抗体である。好ましい生物活性ペプチドまたは標的化部分は、選択細胞により活性吸収過程経由で、例えばGタンパク質を結合した受容体またはソマトスタチン2型受容体(SSTR2)への結合の場合などのように吸収される。
【0067】
本発明の抱合体は、親水性残基を含有するZ基(または結合ペプチド(すなわち、ペプチド末端伸長))を含むこと、かつ親水性スペーサー配列を任意で含むことにより組織中の毒性ペプチドの蓄積を阻害する。これらの成分は、腎臓からの原型を保った非結合ペプチドの迅速な排出を促進する。
【0068】
本発明の抱合体は、細胞毒性剤に抱合した場合に生物活性ペプチドの完全な生物的効能を保存するように設計される。本発明のペプチド類似体は、親ペプチドの標的特異性よりも大きいか、小さいか、または同等の特異性と共に好ましくはそれが誘導される親ペプチド類似体よりも大きいか、またはそれに等しい生物的効能を有する。例えば、ソマトスタチン類似体は、天然起源のソマトスタチンよりもより多くのソマトスタチン受容体サブタイプに結合し、または特定の受容体サブタイプに結合することもある。本発明の一部の類似体は、アミノ酸、またはこれらの類似体のD-異性体を含有し、このペプチド類似体の高い受容体親和性および生物的効能を保持しながら、細胞毒性剤の安定な結合を容易にする。
【0069】
本発明の細胞毒性剤または治療剤の抱合体は、上述のものなどソマトスタチン受容体を認識する多数の既知のソマトスタチン類似体のいずれかを使用することができる。好ましくは、この抱合体のソマトスタチン類似体部分は、10と18個の間のアミノ酸を含有し、かつコア配列:シクロ[Cys-Phe-D-Trp-Lys-Thr-Cys](配列番号:37および配列番号:38)を含む。好ましくは、この類似体のC末端はThr-NH2である。ボンベシン類似体は、また、本明細書で開示されているように、本発明のペプチド剤中の細胞毒性剤または治療剤にも抱合されてもよい。
【0070】
治療剤または細胞毒性剤の特異的な標的化によって、生物活性ペプチドに特異的な受容体を発現する腫瘍の選択的破壊が可能になる。例えば、ソマトスタチン受容体を発現する腫瘍は、肺、胸、前立腺、結腸、脳、胃腸管、神経内分泌軸、肝臓、腎臓などの新生物を含む(Schaerら、Int.J.Cancer,70:530-537,1997;Chaveら、Br.J.Cancer,82(1):l24-130,2000;Evansら、Br.J.Cancer,75(6):798-803,1997を参照のこと)。
【0071】
本発明の抱合体において使用するためのペプチドは、KiSSペプチドとその類似体、ウロテンシンIIペプチドとその類似体、GnRH IおよびIIペプチドとその類似体、オクトレオチド、デプレオチド、バプレオチド、血管作用性腸管ペプチド(VIP)、コレシストキニン(CCK)、インスリン様成長因子(IGF)、RGD含有ペプチド、メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)ペプチド、ニューロテンシン、カルシトニン、抗腫瘍抗体の相補性決定領域由来のペプチド、グルタチオン、YIGSR(白血球親和性ペプチド、例えば血小板因子-4(PF-4)とリジンに富む配列のヘパリン結合領域を含有するP483H)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、β-アミロイドペプチド、δ-オピオイド拮抗剤(ITIPP(psi)などの)、アネキシン-V、エンドテリン、IL-1、IL-1ra、IL-2、IL-8、ロイコトリエンB4(LTB4)、走化性ペプチド(例えば、N-ホルミル-メチオニル-ロイシル-フェニルアラニン-リジン(fMLFK))、GP IIb/IIIa受容体拮抗剤(例えば、DMP444)、上皮成長因子、ヒト好中球エラスターゼ阻害剤(EPI-HNE-2およびEPI-HNE-4)、プラスミン阻害剤、抗菌性ペプチド、アプチサイド(P280およびP274)、トロンボスポンジン受容体(TP-1300などの類似体を含む)、ビチスタチン、下垂体アデニリルシクラーゼI型受容体(PAC1)、フィブリンα鎖、哺乳動物の体内の細胞または組織(例えば、腫瘍または増殖性血管形成血管などの病変組織;例えばAinaら、Biopolymers 66:184-199,2002に記述されているものを参照のこと)に標的化されるファージディスプレイライブラリー由来のペプチド、およびこれらの保存的置換、およびこれらの誘導体と類似体を含む。例えばSignoreら、Eur.J.Nucl.Med.28(10):1555-65,2001を参照のこと。
【0072】
細胞毒性ソマトスタチンペプチド類似体は、また、腫瘍脈管構造、またはソマトスタチン受容体を過剰発現するものなどの血管形成血管に特異的であってもよい(DenzlerおよびReubi,Cancer 85:188-198,1999;Gulecら、J.Surg.Res.97(2):13l-l37,2001;Wolteringら、J.Surg.Res.50:245,1991を参照のこと)。さらに、本発明の好ましいソマトスタチン類似体は、種々に親水性であるために、水溶性であり、従って以前の疎水性類似体と比較して増強された使用を有する。本明細書に述べる親水性類似体は、血液、脳脊髄液、および他の体液に、並びに尿に可溶であり、腎臓による排泄を促進する。この親水性の特性は、身体の殆どすべての場所に本発明の類似体の送達を促進する。本発明は、また、ペプチド類似体の中に組み込むための特異的な親水性成分も開示し、類似体の親水性の調節によって、種々の抱合された細胞毒性剤の化学的および構造的な性質に合わせて調整することが可能となる。
【0073】
ソマトスタチン作用剤類似体は、これらの受容体への結合後急速に吸収され(例えば、Lukiniusら、Acta Onc.,38:383-387,1999を参照のこと)、かつ従来の腫瘍細胞毒性剤などの種々の治療剤を標的化するためのベクターとして使用可能である。多数の腫瘍タイプはソマトスタチン2型受容体を重度に過剰発現するので、このような抗腫瘍剤の特異性を劇的に改善することが可能である。この方法で、本発明者らは、ソマトスタチン受容体に対して極めて高い親和性を保持する強力なハイブリッド分子が設計可能である限り、すべての抱合可能な細胞毒性剤と関連する毒性の副作用を有用に低下させることができることを提案する。
【0074】
本発明で標的化部分として使用するための免疫反応性リガンドは、抗原認識性免疫グロブリン(「抗体」とも呼ばれる)、またはこれらの抗原認識性断片を含む。特に好ましい免疫グロブリンは腫瘍関連抗原を認識できるものである。本明細書で使用されるように、「免疫グロブリン」は、免疫グロブリンの任意の認識されたクラスまたはサブクラス、例えばIgG、IgA、IgM、IgD、またはIgEを指す。免疫グロブリンのIgG類のなかに入るこれらの免疫グロブリンが好ましい。この免疫グロブリンはいかなる種からも誘導可能である。しかしながら、好ましくは、この免疫グロブリンはヒト、マウス、またはウサギが起源のものである。さらに、この免疫グロブリンは、ポリクローナルまたはモノクローナルであってもよいが、好ましくはモノクローナルである。
【0075】
本発明の抱合体は、抗原認識性免疫グロブリン断片を含んでもよい。このような免疫グロブリン断片は、例えばFab'、F(ab')2、Fv、またはFab断片、または他の抗原認識性免疫グロブリン断片を含んでもよい。このような免疫グロブリン断片は、例えばタンパク質質分解酵素消化により、例えばペプシンまたはパパイン消化、還元アルキル化、または組換え法により調製可能である。このような免疫グロブリン断片を調製するための材料と方法は、当業者にはよく知られている。Parham,J.Immunology、131,2895、1983;Lamoyiら、J.Immunological Methods、56、235、1983を参照のこと。
【0076】
本発明の抱合体で使用される免疫グロブリンは、用語が当技術分野において認識されている「キメラ抗体」であってもよい。また、この免疫グロブリンは、「二機能性」または「ハイブリッド」抗体、すなわち一方の腕が異なる標的、例えば抗原担持腫瘍細胞に致命的な薬剤であるか、またはそれに結合するハプテンを認識する一方で、腫瘍関連抗原などの一つの抗原部位に対して特異性を有するもう一方の腕を有する抗体であってもよい。または、この二機能性抗体は、各腕が治療的にまたは生物学的に改変対象である細胞の腫瘍関連抗原の異なる抗原決定基に対して特異性を有するものであってもよい。このように、ハイブリッド抗体は、好ましくは、選択するハプテンに対して特異的な一つまたは複数の結合部位、または標的抗原、例えば腫瘍、感染性生物体、または他の疾患状態と関連する抗原に対して特異的な一つまたは複数の結合部位を持つ二重の特異性を有する。
【0077】
参照としてその全体が本明細書に組み入れられる、例えば欧州特許公報EPA 0 l05 360号に生物的二機能性抗体が記述されている。このようなハイブリッドまたは二機能性の抗体は、細胞融合法による生物的に、または架橋剤またはジスルフィド架橋形成試剤によるなどの化学的に誘導されたものでもよく、かつ全抗体および/またはこれらの断片から構成されたものでもよい。このようなハイブリッド抗体を得るための方法は、例えば、参照としてその全体が本明細書に組み入れられる、1983年10月27日刊行の国際公開公報第83/03679号、および1987年4月8日刊行の欧州特許出願EPA 0 217 577号に開示されている。特に好ましい二機能性抗体は、「ポリドーマ」または「クアドローマ」から生物的に調製されるもの、またはビス-(マレイミド)-メチルエーテル(「BMME」)などの架橋剤、または当業者になじみのある他の架橋剤により合成的に調製されるものである。
【0078】
加えて、この免疫グロブリンは単鎖抗体(「SCA」)であってもよい。SCAは、可変軽(「VL」)ドメインおよび可変重(「VH」)ドメインがペプチド架橋またはジスルフィド結合により連結されている、単鎖Fv断片(「scFv」)からなってもよい。また、この免疫グロブリンは、抗原結合活性を有する単一VHドメイン(dAbs)からなってもよい。G.WinterおよびC.Milstein、Nature 349:295、1991;R.Glockshuberら、Biochemistry 29:1362、1990;およびE.S.Wardら、Nature 341:544、1989を参照のこと。
【0079】
本発明での使用に特に好ましいのは、キメラモノクローナル抗体であり;好ましくは腫瘍関連抗原に対して特異性を有するこれらのキメラ抗体である。本明細書で使用されるように、「キメラ抗体」という用語は、組換えDNA法により通常調製される一つの供給源または種の可変領域、すなわち結合領域および異なる供給源または種由来の少なくとも一部の不変領域を含むモノクローナル抗体を指す。このような抗体が容易に調製され、かつ純粋にマウスモノクローナル抗体よりも低免疫性であるかもしれないために、本発明のある応用、特にヒト治療においてはマウス可変領域とヒト不変領域を有するキメラ抗体が特に好ましい。このようなマウス/ヒトキメラ抗体は、DNAセグメントをコードするマウス免疫グロブリン可変領域とDNAセグメントをコードするヒト免疫グロブリン不変領域を含む発現された免疫グロブリン遺伝子の生成物である。本発明の抱合体で使用するためのキメラ抗体の他の形は、クラスまたはサブクラスが元の抗体のそれから改変または変化したものである。このような「キメラ」抗体は「クラススイッチされた抗体」とも呼ばれる。キメラ抗体を作製する方法は、当技術分野において現在周知の従来の組換えDNAおよび遺伝子形質移入法を含む。Morrison,S.L.ら、Proc.Nat'l Acad.Sci.、81:6851、1984を参照のこと。
【0080】
「キメラ抗体」という用語は、また、「ヒト化抗体」、すなわち親免疫グロブリンのそれと比較して、このフレームワークまたは「相補性決定領域」(「CDR」)が異なる特異性の免疫グロブリンのCDRを含むように改変されたこれらの抗体も含む。好ましい態様においては、マウスCDRは、「ヒト化抗体」を調製するためにヒト抗体のフレームワーク領域の中にグラフトされる。例えば、L.Riechmannら、Nature 332:323、1988;M.S.Neubergerら、Nature 314;268、1985を参照のこと。特に好ましいCDRは、このキメラおよび二機能性抗体に対して上記した抗原を認識する配列を表すものに対応する。例えば、参照としてその全体が本明細書に組み入れられる、EPA 0 239 400号(1987年9月30日刊行)を参照のこと。
【0081】
当業者ならば、キメラ抗体またはヒト化抗体の低免疫原性、並びに特に治療に対する上述の二機能性抗体の柔軟性の利点を有する二機能性キメラ抗体が調製可能であることを認識すると思われる。このような二機能性キメラ抗体は、例えば架橋剤を用いる化学合成および/または上述のタイプの組換え方法により合成可能である。本発明は、二機能性、キメラ、二機能性キメラ、ヒト化、または抗原認識性断片もしくはこれらの誘導体であろうと、抗体の製造のいかなる特定の方法によっても範囲が限定されると解釈されるべきでない。
【0082】
本発明の抱合体は、また、活性タンパク質、例えば参照としてその全体が本明細書に組み入れられる、1986年3月13日刊行のNeubergerら、国際公開公報第86/01533号に開示されているタイプの酵素を融合した免疫グロブリン(上記に定義したような)または免疫グロブリン断片も含む。
【0083】
本明細書で使用されるように、「二機能性」、「融合された」、「キメラ」(ヒト化を含んで)、および「二機能性キメラ」(ヒト化を含んで)抗体構成物は、また、これらの個別の文脈内で、抗原認識断片を含む構成物も含む。当業者ならば認識するように、原型を保った二機能性、キメラ、ヒト化、またはキメラ機能性抗体の従来からの酵素開裂により、このような断片を調整してもよい。原型を保った抗体がこのような開裂に対して感受性がない場合には、例えば、関与する構成物の性質のために、この構成物は出発材料として使用される免疫グロブリン断片により調製可能であるか;または組換え法を使用する場合には、このDNA配列をそれ自体に合わせて作成して、所望の「断片」をコードすることができ、これは、発現する場合には、化学的または生物的な手段によりインビボまたはインビトロで合体されて、最終の所望の原型を保った免疫グロブリン「断片」を調製することができる。「断片」という用語を本明細書で使用するのはこの文脈においてである。
【0084】
本発明の抱合体で使用される免疫グロブリン(抗体)またはこれらの断片は、実際はポリクローナルまたはモノクローナルであってもよい。モノクローナル抗体は好ましい免疫グロブリンである。ポリクローナルまたはモノクローナル抗体の調製は当業者に周知である。例えば、G.KohlerおよびC.Milstein、Nature 256:495、1975を参照のこと。さらに、このようなハイブリドーマにより製造され、かつ本発明の実施において有用であるハイブリドーマおよび/またはモノクローナル抗体は公的に入手可能である。
【0085】
更なる態様においては、本発明は、疾患の治療または生物機能の改変のための方法を特徴とする。この方法は、これらを必要とする温血動物に治療的に有効なまたは生物機能を改変する量の本発明の抱合体を投与することを含む。当業者ならば、使用される特定の抱合体は治療対象の疾患状態または改変対象の生物系に依存することを認識すると思われる。特に、当業者ならば、特定の標的化部分と細胞毒性剤または治療剤を選択して、疾患の治療に対する特異性を有する本発明の抱合体を調製するか、または所望の生物機能を改変することができる。例えば、肺、胸、脳、眼、前立腺または結腸の腫瘍;神経内分泌起源の腫瘍(例えば、カルチノイド症候群);および増殖性血管形成性血管(例えば眼中の)、例えば腫瘍と関連するもの、網膜黄斑変性症、または糖尿病性網膜症を含む、いくつかの疾患が本発明の抱合体を用いて治療可能であると想定される。
【0086】
本発明の抱合体を直接に、または当技術分野において周知の任意の薬学的に許容される担体または塩と組み合わせて哺乳動物の被験者、例えばヒトに投与してもよい。薬学的に許容される塩は、製薬業界で一般的に使用される非毒性の酸付加塩または金属錯体を含んでもよい。酸付加塩の例は、有機酸、例えば酢酸、乳酸、パモン酸(pamoic acid)、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、安息香酸、パルミチン酸、スベリン酸、サリチル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、またはトリフルオロ酢酸など;ポリマー酸、例えばタンニン酸、カルボキシメチルセルロース、など;および無機酸、例えば塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、などを含む。金属錯体は亜鉛、鉄などを含む。一つの例示の薬学的に許容される担体は生理食塩水である。他の生理学的に許容される担体およびこれらの製剤は当業者に周知であり、かつ、例えば「Remington's Pharmaceutical Sciences(18th edition)」、A.Gennaro編、1990、Mack Publishing Company(Easton,PA)に記述されている。
【0087】
治療的に有効な量の本発明の抱合体、またはこれらの薬学的に許容される塩の薬学的な製剤は、投与の経路に適合された薬学的に許容される担体と混和して経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、または眼球注射、吸入、皮内、眼滴、または移植)、経鼻、膣内、直腸内、舌下または局所で投与可能である。
【0088】
製剤の製造に当技術分野において周知の方法は、例えば「Remington's Pharmaceutical Sciences」(18th edition)、A.Gennaro編、1990、Mack Publishing Company(Easton,PA)に見出される。経口使用に意図される組成物を薬学的組成物の製造に当技術分野において知られているいかなる方法によっても固体または液体の形で調製してもよい。この組成物は、口当たりのよい製剤を提供するために、甘味剤、風味剤、着色剤、芳香剤、および/または保存剤を任意で含有してもよい。経口投与用の固体剤形は、カプセル、錠剤、ピル、粉末、および顆粒を含む。このような固体形においては、活性化合物は、少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される担体または賦形剤と混和される。これらは、例えば、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、スクロース、デンプン、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、またはカオリンを含んでもよい。結合剤、緩衝剤、および/または潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)も使用してもよい。さらに、錠剤およびピルを腸溶性コーティング付きで調製することができる。
【0089】
経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、および軟ゼラチンカプセルを含む。これらの形は、当技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤、例えば水または油の媒体を含有する。このような不活性希釈剤のほかに、組成物は、補助剤、例えば湿潤剤、乳化剤、および懸濁剤も含むことができる。
【0090】
非経口投与用の製剤は、無菌の水性または非水性の溶液、懸濁液、またはエマルジョンを含む。好適な賦形剤の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、ゼラチン、水素化ナフタレン、およびエチルオレエートなどの注射用有機エステルを含む。このような製剤は、補助剤、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤を含有してもよい。生体適合性、生物分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー、またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーを使用して、化合物の放出を制御してもよい。本発明のポリペプチド用の他の潜在的に有用な非経口送達系は、エチレン-ビニルアセテートコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、移植型輸液系、およびリポソームを含む。
【0091】
例えば細菌停留フィルターによる濾過により、無菌化剤をこの組成物の中に組み込むことにより、またはこの組成物を照射または加熱することにより、液体製剤を無菌化することができる。または、使用直前に無菌の水またはある他の無菌の注射用媒体に溶解することができる無菌の固体組成物の形でも製剤を製造することができる。
【0092】
直腸内または膣内投与用の組成物は、好ましくは、活性物質に加えて、賦形剤、例えばココアバターまたは坐薬ワックスを含有する坐薬である。鼻内または舌下投与用の組成物も当技術分野において周知の標準的な賦形剤とともに調製される。吸入用の製剤は、賦形剤、例えばラクトースを含有してもよく、または例えばポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリココレートおよびデオキシコレートを含有する水溶液であってもよく、または点鼻薬もしくはスプレーの形で、またはゲルとして投与するための油性溶液であってもよい。
【0093】
本発明の組成物中の活性成分の量は変更可能である。当業者ならば、投与対象のポリペプチド、投与時間、投与経路、製剤の性質、排泄速度、被験者の状態の性質、並びに患者の年齢、体重、健康、および性別を含む、種々の因子に依りこの厳密な個別用量をいくらか調整してもよいことを認識すると思われる。さらに、ソマトスタチンまたはボンベシンなどの生物活性ペプチドにより標的化される状態の重症度も用量レベルに影響を及ぼす。一般に、0.1μg/kg〜100mg/kg体重の間の用量レベルを単回用量として、または多数回用量に分割して一日に投与する。好ましくは、この一般的な用量範囲は、1日当たり250μg/kg〜5.0mg/kg体重の間である。種々の投与経路の異なる効率を考慮すると、必要とされる用量の幅広い変形が予期される。例えば、経口投与は、一般に静脈内注射による投与よりも高い用量レベルを必要とすることが予期される。当技術分野において周知の最適化のための標準的な経験的な経路を用いて、これらの用量レベルを調整することができる。一般に、正確な治療的に有効な用量は、上記に同定した因子を考慮した主治医により決定される。
【0094】
本発明の抱合体は、徐放性組成物、例えば米国特許第5,672,659号および米国特許第5,595,760号に記述されているものなどで投与可能である。即時放出または徐放性の組成物の使用は、治療対象の状態のタイプに依存する。状態が急性または過度の急性障害からなる場合には、即時放出型による治療が遅延放出性組成物よりも好ましい。または、予防的または長期的な治療のためには、徐放性組成物が一般に好ましい。
【0095】
本発明で使用されるポリペプチドはいかなる好適な方法でも調製可能である。このポリペプチドを天然起源の原料から単離し、組換えにより製造するか、または合成により製造し、またはこれらの方法の組み合わせにより製造してもよい。短いペプチドの合成は当技術分野において周知である。例えば、Stewartら、「Solid Phase Peptide Synthesis」(Pierce Chemical Co.、2nd ed.、1984を参照のこと。本発明のペプチドは、当技術分野において周知の標準的なペプチド合成方法により合成可能である。
【0096】
次の実施例は本発明の例示を意図している。これらは、本発明をいかなる点においても制約することを意図していない。
【0097】
実施例1
カンプトテシンのクロロホルメートの調製
カンプトテシン(250mg)と4-ジメチルアミノピリジン(DMAP;50mg)を3mLの無水ピリジンと50mLの無水塩化メチレン中に懸濁した。ホスゲン(750μLのトルエン中の20%溶液)をこのスラリーに添加し、外界温度で2時間混合した。過剰のホスゲンと塩化メチレンをドラフト中で蒸発させ、かつカンプトテシンのクロロホルメートをDCMに溶解した。
【0098】
実施例2
カンプトテシン-カルボニル-N-アミノエチル-グリシン-D-tert-ブチル-Ser-Nle-D-tert-ブチル-Tyr-D-tert-ブチル-Ser-S-トリチル-Cys-Phe-D-Trp-ε-tert-ブチルオキシカルボニル-Lys-tert-ブチル-Thr-S-トリチル-Cys-tert-ブチル-Thr-リンク-アミド-樹脂(配列番号:16)の調製
リンクアミド[4-(2’,4’-ジメトキシフェニル-Fmoc-(アミノメチル)フェノキシアセトアミド-ノルロイシル-メチルベンズヒドリルアミン樹脂](0.063ミリモル)、100〜200メッシュ(Novabiochem,San Diego,CA)をCS136自動ペプチド合成装置(CS Bio,Inc.,San Carlos,CA)の反応容器に添加し、かつジメチルホルムアミド(DMF)中でほぼ1時間膨潤させた。この樹脂を濾過し、かつ過剰のDMF中の20%ピペリジンを添加し、混合した(2分間)。この樹脂を濾過し、かつ再度過剰量の20%ピペリジンを添加、混合(20分間)して、この樹脂Fmoc基の完全な除去を確実にした。脱保護後、この樹脂をDMFにより4回洗浄し、次に第1の保護されたアミノ酸のFmoc-Thr(tBut)(0.188ミリモル)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(0.188ミリモル)、およびN-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(HOBt)(0.188ミリモル)をすべてDMFに溶解し、かつこの樹脂に添加し、これを1時間混合し、続いてDMFにより4回洗浄した。
【0099】
このFmoc基を20%のピペリジン/DMF溶液により処理することにより再度除去し、かつ同一の一般のカップリング手順に続いて、次のアミノ酸をこの伸長ペプチド鎖と逐次反応させた。Fmoc-S-トリチル-L-システイン、Fmoc-O-t-ブチル-L-トレオニン、Nα-Fmoc-Nε-Boc-L-リジン、Nα-Fmoc-Nin-Boc-D-トリプトファン、Fmoc-L-フェニルアラニン、Fmoc-S-トリチル-L-システイン、Fmoc-O-t-ブチル-D-セリン、Fmoc-O-t-ブチル-D-チロシン、Nα-Fmoc-ノルロイシン、Fmoc-O-t-ブチル-D-セリン、ブロモ酢酸。ペプチジル樹脂(3当量)へのブロモ酢酸のカップリングの完了後、N-Boc-エチレンジアミンをN-メチル-α-ピロリジノン(NMP)中に添加、混合(2時間)し、次にDMFにより3回かつDCMにより3回洗浄した。実施例1からのカンプトテシンクロロホルメートをこの樹脂に添加、一晩混合し、大量のDMFにより、続いてメタノールにより洗浄した。最終濾過後、この誘導体化された樹脂を一晩風乾した。
【0100】
実施例3
カンプトテシン-カルボニル-N-(2-アミノエチル)-グリシン-D-Ser-Nle-D-Tyr-D-Ser-シクロ[Cys-Phe-D-Trp-Lys-Thr-Cys]-Thr-アミド(配列番号:17)の調製
実施例2で調製したカンプトテシン-ペプチド樹脂(0.063ミリモル)を丸底フラスコ中に入れ、これに水(2.5%)、1,2-エタンジチオール(2.5%)、およびトリイソプロピルシラン(1%)を含有する15mLのトリフルオロ酢酸(TFA)の溶液を添加した。この懸濁液を攪拌(2時間)、濾過し、かつTFAにより数回洗浄した。このTFAを真空中で蒸発させ、かつ生成した油にエーテルを添加して、黄色粉末を得、次にこれを60%の酢酸(250mL)に溶解した。メタノール中のヨウ素の濃縮溶液を激しい攪拌と共に永続的な褐色の着色が生成するまで滴加し、そこで少量のアスコルビン酸の添加により過剰のヨウ素を除去した。
【0101】
この溶液をほぼ10mLの容積まで真空中で減容し、かつこの粗カンプトテシンペプチドを調製用逆相高圧液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)によりC-18結合したシリカ(Dynamax300,8μm)のカラム(21.4×250mm)上で精製した。20mL/分の流量の直線勾配の溶出系を使用し、緩衝液Aは、0.1%のTFAと緩衝液B、80%のMeCN中の0.1%のTFAからなり;20%のB〜50%のBを1分当たり1%で増加させた。分離を280nmでモニターした。分析HPLCにより同定して純粋な生成物を含有するこの画分を貯液し、真空中で濃縮し、凍結乾燥に供した。酢酸水溶液から凍結乾燥することにより、このペプチドを一定重量のふわふわした黄色粉末として得た。酸加水分解物のアミノ酸分析およびマトリックス支援レーザー脱離質量分析法により正確な組成が示された。
【0102】
実施例4
パクリタクセルのクロロホルメートの調製
パクリタクセル(0.6ミリモル)を100mLの丸底(RB)フラスコ中30mLの無水DCMに溶解した。この溶液に、20mLの無水DCMに溶解したジイソプロピルエチルアミン(DIEA;3ミリモル)を無水窒素雰囲気下0℃で20分間にわたって添加した。ホスゲン(3ミリモル)をこのスラリーに添加し、かつ0℃で30分間および室温で2時間混合した。過剰のホスゲンと塩化メチレンを蒸発させ、かつパクリタクセルのクロロホルメートを塩化メチレンに溶解した。
【0103】
実施例5
パクリタクセル-カルボニル-N-(2-ヒドロキシエチル)-グリシン-D-トリチル-Ser-ノルロイシン-D-トリチル-Tyr-D-トリチル-Ser-S-トリチル-Cys-Phe-D-Trp-ε-mtt-Lys-トリチル-Thr-S-トリチル-Cys-トリチル-Thr-アミノ-キサンテン-MBHA-樹脂(配列番号:16)の調製
FMOC-アミノ-キサンテン-MBHA(4-メチルベンズヒドリルアミンヒドロクロリド)ポリスチレン樹脂(0.063ミリモル)[Bachem,カタログ#D-2040,Lot#0541173]をCS136自動ペプチド合成装置(CS Bio,Inc.,San Carlos,CA)の反応容器に添加し、かつDMF中でほぼ1時間膨潤させた。この樹脂を濾過し、かつ過剰のDMF中の20%ピペリジンを添加し、2分間混合した。この樹脂を濾過し、かつ再度過剰量の20%ピペリジンを添加、20分間混合して、この樹脂Fmoc基の完全な除去を確実にした。脱保護後、この樹脂をDMFにより4回洗浄し、次に第1の保護されたアミノ酸のFmoc-Thr(トリチル)(0.188ミリモル)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(0.188ミリモル)、およびN-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(HOBt)(0.188ミリモル)をすべてDMFに溶解し、かつこの樹脂に添加し、これを混合(1時間)し、続いてDMFにより4回洗浄した。
【0104】
このFmoc基を20%のピペリジン/DMF溶液により処理することにより再度除去し、かつ同一の一般のカップリング手順に続いて、次のアミノ酸をこの伸長ペプチド鎖と逐次反応させた。Fmoc-S-トリチル-L-システイン、Fmoc-O-トリチル-L-トレオニン、Nα-Fmoc-Nεmtt-L-リジン、Nα-Fmoc-D-トリプトファン、Fmoc-L-フェニルアラニン、Fmoc-S-トリチル-L-システイン、Fmoc-O-トリチル-D-セリン、Fmoc-O-トリチル-D-チロシン、Nα-Fmoc-ノルロイシン、Fmoc-O-トリチル-D-セリン、ブロモ酢酸。ペプチジル樹脂(3当量)へのブロモ酢酸のカップリングの完了後、(3当量)エタノールアミンをNMP中に添加、2時間混合し、次にDMFにより3回かつDCMにより3回洗浄した。実施例4からのパクリタクセルクロロホルメートをこの樹脂に添加、一晩混合し、大量のDMFにより、続いてメタノールにより洗浄した。最終濾過後、この誘導体化された樹脂を一晩風乾した。
【0105】
実施例6
パクリタクセル-カルボニル-N-(2-ヒドロキシエチル)-グリシン-D-Ser-Nle-D-Tyr-D-Ser-シクロ[Cys-Phe-D-Trp-Lys-Thr-Cys]-Thr-アミド(配列番号:17)の調製
実施例5で調製したパクリタクセル-ペプチド樹脂(0.063ミリモル)を丸底フラスコ中に入れ、これに15mLの塩化メチレン中のトリフルオロ酢酸(2%)の溶液を添加した。この懸濁液を攪拌(2時間)、濾過し、かつ塩化メチレンにより数回洗浄した。この塩化メチレンを真空中で蒸発させ、かつ生成した油にエーテルを添加して、白色粉末を得、次にこれを60%の酢酸(250mL)に溶解した。メタノール中のヨウ素の濃縮溶液を激しい攪拌と共に永続的な褐色の着色が生成するまで滴加し、そこで少量のアスコルビン酸の添加により過剰のヨウ素を除去した。
【0106】
この溶液を真空中でほぼ10mLの容積まで減容し、かつこの粗パクリタクセルペプチドを調製用逆相高圧液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)によりC-18結合したシリカ(Dynamax300,8μm)のカラム(21.4×250mm)上で精製した。20mL/分の流量の直線勾配の溶出系を使用し、緩衝液Aは、0.1%のTFAと緩衝液B、80%のMeCN中の0.1%のTFAからなり;20%のB〜50%のBを1分当たり1%で増加させた。分離を280nmでモニターした。分析HPLCにより同定して純粋な生成物を含有するこの画分を貯液し、真空中で濃縮し、凍結乾燥に供した。酢酸水溶液から凍結乾燥することにより、このペプチドを一定重量のふわふわした白色粉末として得た。酸加水分解物のアミノ酸分析およびマトリックス支援レーザー脱離質量分析法により正確な組成が示された。
【0107】
実施例7
カンプトテシン-カルボニル-N-アミノエチル-グリシン-D-tert-ブチル-Ser-D-ε-tert-ブチルオキシカルボニル-Lys-Gln-Trp-Ala-Val-β-Ala-トリチル-His-Phe-Nle-リンク-アミド-樹脂(配列番号:18)の調製
リンクアミドMBHAポリスチレン樹脂(0.063ミリモル)[4-(2’,4’-ジメトキシフェニル-Fmoc-(アミノメチル)フェノキシアセトアミド-ノルロイシル-メチルベンズヒドリルアミン樹脂、100〜200メッシュ(Novabiochem,San Diego,CA)]をCS136自動ペプチド合成装置(CS Bio,Inc.,San Carlos,CA)の反応容器に添加し、かつDMF中でほぼ1時間膨潤させた。この樹脂を濾過し、かつDMF中の過剰の20%ピペリジンを添加し、2分間混合した。この樹脂を濾過し、かつ再度過剰量の20%ピペリジンを添加、20分間混合して、この樹脂Fmoc基の完全な除去を確実にした。脱保護後、この樹脂をDMFにより4回洗浄し、次に第1の保護されたアミノ酸のFmoc-ノルロイシン(0.188ミリモル)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(0.188ミリモル)、およびN-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(HOBt)(0.188ミリモル)をすべてDMFに溶解し、かつこの樹脂に添加し、これを1時間混合し、続いてDMFにより4回洗浄した。
【0108】
このFmoc基を20%のピペリジン/DMF溶液により処理することにより再度除去し、かつ同一の一般のカップリング手順に続いて、次のアミノ酸をこの伸長ペプチド鎖と逐次反応させた。Fmoc-L-フェニルアラニン、Fmoc-Nim-トリチル-L-ヒスチジン、Fmoc-β-Ala、Fmoc-バリン、Fmoc-アラニン、Fmoc-Nin-Boc-L-トリプトファン、Fmoc-グルタミン、Fmoc-Nε-Boc-D-リジン、Fmoc-O-t-ブチル-D-セリン、ブロモ酢酸。ペプチジル樹脂へのブロモ酢酸のカップリングの完了後、(3当量)N-Boc-エチレンジアミンをNMP中に添加、2時間混合し、次にDMFにより3回かつDCMにより3回洗浄した。実施例1からのカンプトテシンクロロホルメートをこの樹脂に添加、一晩混合し、大量のDMFにより、続いてメタノールにより洗浄した。最終濾過後、この誘導体化された樹脂を一晩風乾した。
【0109】
実施例8
カンプトテシン-カルボニル-N-(2-アミノエチル)-グリシン-D-Ser-D-Lys-Gln-Trp-Ala-Val-β-Ala-His-Phe-Nle-アミド(配列番号:18)の調製
実施例7で調製したカンプトテシン-ペプチド樹脂(0.063ミリモル)を丸底フラスコ中に入れ、これに水(2.5%)とトリイソプロピルシラン(1%)を含有する15mLのトリフルオロ酢酸(TFA)の溶液を添加した。この懸濁液を攪拌(2時間)、濾過し、かつTFAにより数回洗浄した。このTFAを真空中で蒸発させ、かつ生成した油にエーテルを添加して、黄色粉末を得、次にこれを60%の酢酸(250mL)に溶解した。
【0110】
この溶液を真空中でほぼ10mLの容積まで減容し、かつこの粗カンプトテシンペプチドを調製用逆相高圧液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)によりC-18結合したシリカ(Dynamax300、8μm)のカラム(21.4×250mm)上で精製した。20mL/分の流量の直線勾配の溶出系を使用し、緩衝液Aは、0.1%のTFAと緩衝液B、80%のMeCN中の0.1%のTFAからなり;20%のB〜50%のBを1分当たり1%で増加させた。分離を280nmでモニターした。分析HPLCにより同定して純粋な生成物を含有するこの画分を貯液し、真空中で濃縮し、凍結乾燥に供した。酢酸水溶液から凍結乾燥することにより、このペプチドを一定重量のふわふわした黄色粉末として得た。酸加水分解物のアミノ酸分析およびマトリックス支援レーザー脱離質量分析法により正確な組成が示された。
【0111】
実施例9
カンプトテシン-カルボニル-N-アミノエチル-グリシン-D-tert-ブチル-Ser-D-tert-ブチル-Tyr-Gln-Trp-Ala-Val-β-Ala-トリチル-His-Phe-Nle-リンク-アミド-樹脂(配列番号:19)の調製
リンクアミドMBHAポリスチレン樹脂(0.063ミリモル)[4-(2’,4’-ジメトキシフェニル-Fmoc-(アミノメチル)フェノキシアセトアミド-ノルロイシル-メチルベンズヒドリルアミン樹脂、100〜200メッシュ(Novabiochem,San Diego,CA)]をCS136自動ペプチド合成装置(CS Bio,Inc.,San Carlos,CA)の反応容器に添加し、かつDMF中でほぼ1時間膨潤させた。この樹脂を濾過し、かつDMF中の過剰の20%ピペリジンを添加し、2分間混合した。この樹脂を濾過し、かつ再度過剰量の20%ピペリジンを添加、20分間混合して、この樹脂Fmoc基の完全な除去を確実にした。脱保護後、この樹脂をDMFにより4回洗浄し、次に第1の保護されたアミノ酸のFmoc-ノルロイシン(0.188ミリモル)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(0.188ミリモル)、およびN-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(HOBt)(0.188ミリモル)をすべてDMFに溶解し、かつこの樹脂に添加し、これを1時間混合し、続いてDMFにより4回洗浄した。
【0112】
このFmoc基を20%のピペリジン/DMF溶液により処理することにより再度除去し、かつ同一の一般のカップリング手順に続いて、次のアミノ酸をこの伸長ペプチド鎖と逐次反応させた。Fmoc-L-フェニルアラニン、Fmoc-Nim-トリチル-L-ヒスチジン、Fmoc-β-Ala、Fmoc-バリン、Fmoc-アラニン、Fmoc-Nin-Boc-L-トリプトファン、Fmoc-グルタミン、Fmoc-O-t-ブチル-D-Tyr、Fmoc-O-t-ブチル-D-セリン、ブロモ酢酸。ペプチジル樹脂へのブロモ酢酸のカップリングの完了後、(3当量)N-Boc-エチレンジアミンをNMP中に添加、2時間混合し、次にDMFにより3回かつDCMにより3回洗浄した。実施例1からのカンプトテシンクロロホルメートをこの樹脂に添加、一晩混合し、大量のDMFにより、続いてメタノールにより洗浄した。最終濾過後、この誘導体化された樹脂を一晩風乾した。
【0113】
実施例10
カンプトテシン-カルボニル-N-(2-アミノエチル)-グリシン-D-ser-D-Tyr-Gln-Trp-Ala-Val-β-Ala-His-Phe-Nle-アミド(配列番号:19)の調製
実施例9で調製したカンプトテシン-ペプチド樹脂(0.063ミリモル)を丸底フラスコ中に入れ、これに水(2.5%)とトリイソプロピルシラン(1%)を含有する15mLのトリフルオロ酢酸(TFA)の溶液を添加した。この懸濁液を攪拌(2時間)、濾過し、かつTFAにより数回洗浄した。このTFAを真空中で蒸発させ、かつ生成した油にエーテルを添加して、黄色粉末を得、次にこれを60%の酢酸(250mL)に溶解した。
【0114】
この溶液を真空中でほぼ10mLの容積まで減容し、かつこの粗カンプトテシンペプチドを調製用逆相高圧液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)によりC-18結合したシリカ(Dynamax300,8μm)のカラム(21.4×250mm)上で精製した。20mL/分の流量の直線勾配の溶出系を使用し、緩衝液Aは、0.1%のTFAと緩衝液B、80%のMeCN中の0.1%のTFAからなり;20%のB〜50%のBを1分当たり1%で増加させた。分離を280nmでモニターした。分析HPLCにより同定して純粋な生成物を含有するこの画分を貯液し、真空中で濃縮し、凍結乾燥に供した。酢酸水溶液から凍結乾燥することにより、このペプチドを一定重量のふわふわした黄色粉末として得た。酸加水分解物のアミノ酸分析およびマトリックス支援レーザー脱離質量分析法により正確な組成が示された。
【0115】
実施例11
コンブレタスタチン-カルボニル-N-(2-アミノエチル)-グリシン-D-tert-ブチル-Ser-ノルロイシン-D-tert-ブチル-Tyr-D-tert-ブチル-Ser-S-トリチル-Cys-Phe-D-Trp-ε-tert-ブチルオキシカルボニル-Lys-tert-ブチル-Thr-S-トリチル-Cys-tert-ブチル-Thr-リンク-アミド-樹脂(配列番号:39)の調製
リンクアミドMBHAポリスチレン樹脂(0.063ミリモル)[4-(2’,4’-ジメトキシフェニル-Fmoc-(アミノメチル)フェノキシアセトアミド-ノルロイシル-メチルベンズヒドリルアミン樹脂、100〜200メッシュ(Novabiochem,San Diego,CA)]をCS136自動ペプチド合成装置(CS Bio,Inc.,San Carlos,CA)の反応容器に添加し、かつDMF中でほぼ1時間膨潤させた。この樹脂を濾過し、かつDMF中の過剰の20%ピペリジンを添加し、2分間混合した。この樹脂を濾過し、かつ再度過剰量の20%ピペリジンを添加、20分間混合して、この樹脂Fmoc基の完全な除去を確実にした。脱保護後、この樹脂をDMFにより4回洗浄し、次に第1の保護されたアミノ酸のFmoc-Thr(tBut)(0.188ミリモル)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(0.188ミリモル)、およびN-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(HOBt)(0.188ミリモル)をすべてDMFに溶解し、かつこの樹脂に添加し、これを1時間混合し、続いてDMFにより4回洗浄した。
【0116】
このFmoc基を20%のピペリジン/DMF溶液により処理することにより再度除去し、かつ同一の一般のカップリング手順に続いて、次のアミノ酸をこの伸長ペプチド鎖と逐次反応させた。Fmoc-S-トリチル-L-システイン、Fmoc-O-t-ブチル-L-トレオニン、Nα-Fmoc-Nε-Boc-L-リジン、Nα-Fmoc-Nin-Boc-D-トリプトファン、Fmoc-L-フェニルアラニン、Fmoc-S-トリチル-L-システイン、Fmoc-O-t-ブチル-D-セリン、Fmoc-O-t-ブチル-D-チロシン、Nα-Fmoc-ノルロイシン、Fmoc-O-t-ブチル-D-セリン、ブロモ酢酸。ペプチジル樹脂へのブロモ酢酸のカップリングの完了後、(3当量)N-Boc-エチレンジアミンをNMP中に添加、2時間混合し、次にDMFにより3回かつDCMにより3回洗浄した。実施例1からのコンブレタスタチンクロロホルメートをこの樹脂に添加、一晩混合し、大量のDMFにより、続いてメタノールにより洗浄した。最終濾過後、この誘導体化された樹脂を一晩風乾した。
【0117】
実施例12
コンブレタスタチン-カルボニル-N-(2-アミノエチル)-グリシン-D-Ser-Nle-D-Tyr-D-Ser-シクロ[Cys-Phe-D-Trp-Lys-Thr-Cys]-Thr-アミド(配列番号:40)の調製
実施例11で調製したコンブレタスタチン-ペプチド樹脂(0.063ミリモル)を丸底フラスコ中に入れ、これに水(2.5%)、1,2-エタンジチオール(2.5%)およびトリイソプロピルシラン(1%)を含有する15mLのトリフルオロ酢酸(TFA)の溶液を添加した。この懸濁液を攪拌(2時間)、濾過し、かつTFAにより数回洗浄した。このTFAを真空中で蒸発させ、かつ生成した油にエーテルを添加して、白色粉末を得、次にこれを60%の酢酸(250mL)に溶解した。メタノール中のヨウ素の濃縮溶液を激しい攪拌と共に永続的な褐色の着色が生成するまで滴加し、そこで少量のアスコルビン酸の添加により過剰のヨウ素を除去した。
【0118】
この溶液を真空中でほぼ10mLの容積まで減容し、かつこの粗カンプトテシンペプチドを調製用逆相高圧液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)によりC-18結合したシリカ(Dynamax300,8μm)のカラム(21.4×250mm)上で精製した。20mL/分の流量の直線勾配の溶出系を使用し、緩衝液Aは、0.1%のTFAと緩衝液B、80%のMeCN中の0.1%のTFAからなり;20%のB〜50%のBを1分当たり1%で増加させた。分離を280nmでモニターした。分析HPLCにより同定して純粋な生成物を含有するこの画分を貯液し、真空中で濃縮し、凍結乾燥に供した。酢酸水溶液から凍結乾燥することにより、このペプチドを一定重量のふわふわした白色粉末として得た。酸加水分解物のアミノ酸分析およびマトリックス支援レーザー脱離質量分析法により正確な組成が示された。
【0119】
実施例13
カンプトテシン-カルボニル-N-(N-メチル-2-アミノエチル)-グリシン-D-tert-ブチル-Ser-ノルロイシン-D-tert-ブチル-Tyr-D-tert-ブチル-Ser-S-トリチル-Cys-Phe-D-Trp-ε-tert-ブチルオキシカルボニル-Lys-tert-ブチル-Thr-S-トリチル-Cys-tert-ブチル-Thr-リンク-アミド-樹脂(配列番号:39)の調製
リンクアミドMBHAポリスチレン樹脂(0.063ミリモル)[4-(2’,4’-ジメトキシフェニル-Fmoc-(アミノメチル)フェノキシアセトアミド-ノルロイシル-メチルベンズヒドリルアミン樹脂、100〜200メッシュ(Novabiochem,San Diego,CA)]をCS136自動ペプチド合成装置(CS Bio,Inc.,San Carlos,CA)の反応容器に添加し、かつDMF中でほぼ1時間膨潤させた。この樹脂を濾過し、かつDMF中の過剰の20%ピペリジンを添加し、2分間混合した。この樹脂を濾過し、かつ再度過剰量の20%ピペリジンを添加、20分間混合して、この樹脂Fmoc基の完全な除去を確実にした。脱保護後、この樹脂をDMFにより4回洗浄し、次に第1の保護されたアミノ酸のFmoc-Thr(tBut)(0.188ミリモル)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(0.188ミリモル)、およびN-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(HOBt)(0.188ミリモル)をすべてDMFに溶解し、かつこの樹脂に添加し、これを混合(1時間)し、続いてDMFにより4回洗浄した。
【0120】
このFmoc基を20%のピペリジン/DMF溶液により処理することにより再度除去し、かつ同一の一般のカップリング手順に続いて、次のアミノ酸をこの伸長ペプチド鎖と逐次反応させた。Fmoc-S-トリチル-L-システイン、Fmoc-O-t-ブチル-L-トレオニン、Nα-Fmoc-Nε-Boc-L-リジン,Nα-Fmoc-Nin-Boc-D-トリプトファン、Fmoc-L-フェニルアラニン、Fmoc-S-トリチル-L-システイン、Fmoc-O-t-ブチル-D-セリン、Fmoc-O-t-ブチル-D-チロシン、Nα-Fmoc-ノルロイシン、Fmoc-O-t-ブチル-D-セリン、ブロモ酢酸。ペプチジル樹脂へのブロモ酢酸のカップリングの完了後、(3当量)N-Boc-N-エチレンジアミンをNMP中に添加、2時間混合し、次にDMFにより3回かつDCMにより3回洗浄した。実施例1からのカンプトテシンクロロホルメートをこの樹脂に添加、一晩混合し、大量のDMFにより、続いてメタノールにより洗浄した。最終濾過後、この誘導体化された樹脂を一晩風乾した。
【0121】
実施例14
カンプトテシン-カルボニル-N-(N-メチル-2-アミノエチル)-グリシン-D-Ser-Nle-D-Tyr-D-Ser-シクロ[Cys-Phe-D-Trp-Lys-Thr-Cys]-Thr-アミド(配列番号:40)の調製
実施例13で調製したカンプトテシン-ペプチド樹脂(0.063ミリモル)を丸底フラスコ中に入れ、これに水(2.5%)、1,2-エタンジチオール(2.5%)およびトリイソプロピルシラン(1%)を含有する15mLのトリフルオロ酢酸(TFA)の溶液を添加した。この懸濁液を攪拌(2時間)、濾過し、かつTFAにより数回洗浄した。このTFAを真空中で蒸発させ、かつ生成した油にエーテルを添加して、黄色粉末を得、次にこれを60%の酢酸(250mL)に溶解した。メタノール中のヨウ素の濃縮溶液を激しい攪拌と共に永続的な褐色の着色が生成するまで滴加し、そこで少量のアスコルビン酸の添加により過剰のヨウ素を除去した。
【0122】
この溶液を真空中でほぼ10mLの容積まで減容し、かつこの粗カンプトテシンペプチドを調製用逆相高圧液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)によりC-18結合したシリカ(Dynamax300,8μm)のカラム(21.4×250mm)上で精製した。20mL/分の流量の直線勾配の溶出系を使用し、緩衝液Aは、0.1%のTFAと緩衝液B、80%のMeCN中の0.1%のTFAからなり;20%のB〜50%のBを1分当たり1%で増加させた。分離を280nmでモニターした。分析HPLCにより同定して純粋な生成物を含有するこの画分を貯液し、真空中で濃縮し、凍結乾燥に供した。酢酸水溶液から凍結乾燥することにより、このペプチドを一定重量のふわふわした黄色粉末として得た。酸加水分解物のアミノ酸分析およびマトリックス支援レーザー脱離質量分析法により正確な組成が示された。
【0123】
実施例15
ジ-tert-ブチルオキシカルボニル-His-Leu-Gln-Ile-Gln-Pro-tert-ブチルオキシカルボニル-Trp-tert-ブチル-Tyr-Pro-Gln-Ile-tert-ブチル-Ser-N-e-カンプトテシン-カルボニル-N-(N-2-アミノエチル)-グリシン-Lys-tert-ブチル-Ser-リンク-アミド-樹脂(配列番号:20)
リンクアミドMBHAポリスチレン樹脂(0.063ミリモル)、100〜200メッシュ(Novabiochem,San Diego,CA)をCS136自動ペプチド合成装置(CS Bio,Inc.,San Carlos,CA)の反応容器に添加し、かつDMF中でほぼ1時間膨潤させた。この樹脂を濾過し、かつDMF中の過剰の20%ピペリジンを添加し、2分間混合した。この樹脂を濾過し、かつ再度過剰量の20%ピペリジンを添加、20分間混合して、この樹脂Fmoc基の完全な除去を確実にした。脱保護後、この樹脂をDMFにより4回洗浄し、次に第1の保護されたアミノ酸のFmoc-セリン(tBut)(0.188ミリモル)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(0.188ミリモル)、およびN-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(HOBt)(0.188ミリモル)をすべてDMFに溶解し、かつこの樹脂に添加し、これを混合(1時間)し、続いてDMFにより4回洗浄した。
【0124】
このFmoc基を20%のピペリジン/DMF溶液により処理することにより再度除去し、かつ同一の一般のカップリング手順に続いて、次のアミノ酸をこの伸長ペプチド鎖と逐次反応させた。Fmoc-N-e-1(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)3-3メチル-ブチル-L-リジン、Fmoc-O-t-ブチル-L-セリン、Nα-Fmoc-L-イソロイシン、N-Fmoc-L-グルタミン、N-Fmoc-L-プロリン、N-Fmoc-O-トリチル-L-チロシン、Nα-Fmoc-Nin-Boc-L-トリプトファン、N-Fmoc-L-プロリン、N-Fmoc-L-グルタミン、Nα-Fmoc-L-イソロイシン、N-Fmoc-L-グルタミン、Nα-Fmoc-ロイシン、Boc-O-t-ブチル-L-ヒスチジン。
【0125】
次に、リジン残基上のN-e-1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)3-メチル-ブチル(ivDde)基を除去するために、この保護されたペプチド樹脂をDMF中のヒドラジン水和物の2%溶液により3回(各々3分間)処理した。次に、この遊離e-アミノ基をブロモ酢酸とカップリングさせ、続いてNMP中のN-Boc-N-エチレンジアミン(3当量、12時間)を添加した。実施例1からのカンプトテシンクロロホルメートをこの樹脂に添加、一晩混合し、大量のDMFにより、続いてメタノールにより洗浄した。最終濾過後、この誘導体化された樹脂を一晩風乾した。
【0126】
実施例16
ファージペプチドp147:His-Leu-Gln-Ile-Gln-Pro-Trp-Tyr-Pro-Gln-Ile-Ser-N-e-カンプトテシン-カルボニル-N-(N-2-アミノエチル)-グリシン-Lys-Ser-NH2(配列番号:20)のカンプトテシン誘導体の調製
実施例15で調製したカンプトテシン-ペプチド樹脂(0.063ミリモル)をRBフラスコ中に入れ、これに水(2.5%)、1,2-エタンジチオール(2.5%)およびトリイソプロピルシラン(1%)を含有する15mLのトリフルオロ酢酸(TFA)の溶液を添加した。この懸濁液を攪拌(5時間)、濾過し、かつTFAにより数回洗浄した。このTFAを真空中で蒸発させ、かつ生成した油にエーテルを添加して、黄色粉末を得、これを調製用逆相高圧液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)によりC-18結合したシリカ(Dynamax300,8μm)のカラム(21.4×250mm)上で精製した。20mL/分の流量の直線勾配の溶出系を使用し、緩衝液Aは、0.1%のTFAと緩衝液B、80%のMeCN中の0.1%のTFAからなり;20%のB〜50%のBを1分当たり1%で増加させた。分離を280nmでモニターした。分析HPLCにより同定して純粋な生成物を含有するこの画分を貯液し、真空中で濃縮し、凍結乾燥に供した。酢酸水溶液から凍結乾燥することにより、このペプチドを一定重量のふわふわした黄色粉末として得た。酸加水分解物のアミノ酸分析およびマトリックス支援レーザー脱離質量分析法により正確な組成が示された。
【0127】
実施例17
O-t-ブチル-D-セリン、L-セリンのN-カルボキシアンハイドライドの調製
O-t-ブチル-D-セリン(0.0062モル)とO-t-ブチル-L-セリン(0.0062モル)を窒素雰囲気下で55mLの無水テトラヒドロフラン(THF)に懸濁した。ホスゲン(0.025モル)を懸濁液に添加し、かつこの懸濁液を15分間還流した。溶媒と過剰のホスゲンを蒸発させ、かつ生成した油を10mlのTHFに溶解し、次に600mLのヘキサンに添加し、かつ-20℃で結晶化させた。
【0128】
実施例18
カンプトテシン-カルボニル-N-(2-アミノエチル)-グリシン-[DもしくはL O-tert-ブチル-Ser]-15-D-tert-ブチル-Ser-ノルロイシン-D-tert-ブチル-Tyr-D-tert-ブチル-Ser-S-トリチル-Cys-Phe-D-Trp-ε-tert-ブチルオキシカルボニル-Lys-tert-ブチル-Thr-S-トリチル-Cys-tert-ブチル-Thr-リンクアミド-樹脂(配列番号:21、および配列番号:23-配列番号:36)の調製
リンクアミドMBHAポリスチレン樹脂(0.063ミリモル)[4-2’,4’-ジメトキシフェニル-Fmoc-(アミノメチル)フェノキシアセトアミド-ノルロイシル-メチルベンズヒドリルアミン樹脂、100〜200メッシュ(Novabiochem、San Diego、CA)]をCS136自動ペプチド合成装置(CS Bio、Inc.、San Carlos、CA)の反応容器に添加し、かつDMF中でほぼ1時間膨潤させた。この樹脂を濾過し、かつDMF中の過剰の20%ピペリジンを添加し、2分間混合した。この樹脂を濾過し、かつ再度過剰量の20%ピペリジンを添加、20分間混合して、この樹脂Fmoc基の完全な除去を確実にした。脱保護後、この樹脂をDMFにより4回洗浄し、次に第1の保護されたアミノ酸のFmoc-Thr(tBut)(0.188ミリモル)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(0.188ミリモル)、およびN-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(HOBt)(0.188ミリモル)をすべてDMFに溶解し、かつこの樹脂に添加し、これを混合(1時間)し、続いてDMFにより4回洗浄した。
【0129】
このFmoc基を20%のピペリジン/DMF溶液により処理することにより再度除去し、かつ同一の一般のカップリング手順に続いて、次のアミノ酸をこの伸長ペプチド鎖と逐次反応させた。Fmoc-S-トリチル-L-システイン、Fmoc-O-t-ブチル-L-トレオニン、Nα-Fmoc-Nε-Boc-L-リジン、Nα-Fmoc-Nin-Boc-D-トリプトファン、Fmoc-L-フェニルアラニン、Fmoc-S-トリチル-L-システイン、Fmoc-O-t-ブチル-D-セリン、Fmoc-O-t-ブチル-D-チロシン、Nα-Fmoc-ノルロイシン、Fmoc-O-t-ブチル-D-セリン。この地点で、このN末端Fmoc基を除去し、この樹脂をDMFにより数回洗浄し、次にこの樹脂を100mLのRBフラスコに移した。O-tert-ブチル-セリンNCA(1.5g)を無水DMFに溶解し、このペプチジル樹脂に添加し、かつこの懸濁した樹脂を40℃で一晩振盪した。この樹脂を濾過し、かつDMFにより数回洗浄し、次にCS Bio合成装置上に戻した。次に、ブロモ酢酸をDCM/DIC中でこのN末端セリンにカップリングした。ペプチジル樹脂へのブロモ酢酸のカップリングの完了後、(3当量)N-Boc-エチレンジアミンをNMP中に添加、2時間混合し、次にDMFにより3回かつDCMにより3回洗浄した。実施例1からのカンプトテシンクロロホルメートをこの樹脂に添加、一晩混合し、大量のDMFにより、続いてメタノールにより洗浄した。最終濾過後、この誘導体化された樹脂を一晩風乾した。
【0130】
実施例19
カンプトテシン-カルボニル-N-(2-アミノエチル)-グリシン-[ポリ-D,L-Ser]-D-Ser-Nle-D-Tyr-D-Ser-シクロ[Cys-Phe-D-Trp-Lys-Thr-Cys]-Thr-アミド(配列番号:22)の調製
実施例18で調製したカンプトテシン-ペプチド樹脂(0.063ミリモル)をRBフラスコ中に入れ、これに水(2.5%)、1,2-エタンジチオール(2.5%)およびトリイソプロピルシラン(1%)を含有する15mLのトリフルオロ酢酸(TFA)の溶液を添加した。この懸濁液を攪拌(2時間)、濾過し、かつTFAにより数回洗浄した。このTFAを真空中で蒸発させ、かつ生成した油にエーテルを添加して、黄色粉末を得、次にこれを60%の酢酸(250mL)に溶解した。メタノール中のヨウ素の濃縮溶液を激しい攪拌と共に永続的な褐色の着色が生成するまで滴加し、そこで少量のアスコルビン酸の添加により過剰のヨウ素を除去した。
【0131】
この溶液を真空中でほぼ10mLの容積まで減容し、かつこの粗カンプトテシンペプチドを調製用逆相高圧液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)によりC-18結合したシリカ(Dynamax300,8μm)のカラム(21.4×250mm)上で精製した。20mL/分の流量の直線勾配の溶出系を使用し、緩衝液Aは、0.1%のTFAと緩衝液B、80%のMeCN中の0.1%のTFAからなり;20%のB〜50%のBを1分当たり1%で増加させた。分離を280nmでモニターした。分析HPLCにより同定して純粋な生成物を含有するこの画分を貯液し、真空中で濃縮し、凍結乾燥に供した。酢酸水溶液から凍結乾燥することにより、このペプチドを一定重量のふわふわした黄色粉末として得た。酸加水分解物のアミノ酸分析およびマトリックス支援レーザー脱離質量分析法により正確な組成が示された。
【0132】
実施例20
抱合体カルバメート化合物のインビボおよびインビトロの使用
カルバメートリンカーを含む抱合体化合物を細胞毒性剤の放出速度についてインビトロおよびインビボで試験した。例えば一般的に使用されるエステルタイプの結合に比較して、カルバメートリンカーは血漿中でほどほどに安定であるために、カルバメートリンカーを選んだ。本発明者らは、また、このカルバメートのアルコール成分の放出速度の調整を可能とし、好適な細胞毒素の放出速度の制御に使用可能である結合したアルコール誘導体の放出と環状尿素の形成に至らせる分子内環状部分を含有するカルバメート化合物も試験した(図1)。カルバメートの脱離アルコールのpKa値がこのプロドラッグの安定性に重要であることは既知であり、従って本発明者らは、各々著しく異なるpKa値の1個のヒドロキシル基を含有する2つの異なる化学的に好適な細胞毒性剤を選んだ。一方の細胞毒性剤は、環位置20(図1)にほぼ18のpKaのtert-ヒドロキシル基を担持するトポイソメラーゼI阻害剤のカンプトテシンであった。他方の細胞毒性剤は、ほぼ10.3のきわめて低いpKa値を呈する芳香族環に結合した1個のフェノール型ヒドロキシル基を有する、チューブリン結合剤のコンブレタスタチンであった。
【0133】
単純なDICカップリングおよびカイザー試験が陽性である(上述のように)場合にのみ第2段階としてHBTU活性化を使用する標準的なFMOC(9-フルオレニルメトキシカルボニル)保護/脱保護戦略を用いて、表1に示すすべてのペプチド抱合体を全部リンクアミド樹脂支持体上で合成した。この抱合体のペプチド部分が完成した場合には、DIC/DCMを用いてブロモ酢酸をこのN末端にカップリングした。この樹脂を洗浄した後、NMP中の5M過剰N-BOCエチレンジアミン(または適切な保護されたジアミン)を添加し、かつ1時間混合した。別に、無水DCM(40mL)中のカンプトテシン(200mg;Aldrich)とDMAP(400mg)を混合し、0℃で冷却した。この懸濁液にトルエン(600μL)中の20%ホスゲンを添加し、かつこの混合物を約45分間反応させた。溶媒の蒸発の後、この粉末をDCM(40mL)中に懸濁し、かつ遊離の2級アミンを有するペプチジル樹脂に添加し、かつ一晩反応させ、その後DMF、DCM、およびメタノールにより数回洗浄した。次に、標準的な酸混合物TFA:H2O:EDT:TIS、95:2:2:1を用いて、このペプチドをこの樹脂から2時間開裂させた。開裂後、この抱合体をエチルエーテル中で4回沈澱させ、60%HOACに溶解し、かつメタノール中のヨウ素により環化させた。次に、これを調製用クロマトグラフィに供し、かつMSおよびアミノ酸分析により特徴付けした。すべてのペプチドは少なくとも90+%純度で得られ、かつ収率は理論値のほぼ35%であった。ソマトスタチンそれ自体に対する抱合体作用剤の効力の完全な保持は、ラット下垂体細胞の単層培養物からの生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GNRH)を刺激したGHの放出、すなわちヒト2型ソマトスタチン受容体に対する結合親和性とよく相関することが示されている(例えば、Raynorら、Mol.Pharmacol.43:838、1993を参照のこと)アッセイ系を阻害する能力により示された。表2に示す抱合体の阻害剤効力(IC50)は、ソマトスタチン-14それ自体に対する0.63nMに比較して、0.26〜0.49nMの範囲であった。完全な親和性の保持は、この抱合体の環状ソマスタチン部分のN末端Nle-d-Tyr-d-Serトリペプチドの伸長の使用によるものであり、このことによって親和性を殆ど失わずにまたは全く失わずに大きな基が結合することが一般に可能となることを本発明者らは見出した。
【0134】
(表1)種々のBINAR結合基を含有するカンプトテシンとコンブレスタチン抱合体の構造

【0135】
(表2)化合物1〜6および対照化合物の作用剤活性、細胞毒性、および緩衝液と血清半減期

a50時間実験を実施。
bソマトスタチン類似体は、10-5Mの濃度までIMR32細胞に対して非毒性であった。
【0136】
各ペプチド抱合体をリン酸塩緩衝液およびラット血清安定性試験に供した。この類似体を0.1Mリン酸塩緩衝液または新鮮なラット血清のいずれかで37℃においてインキューベーションし、かつアリコットを異なる時点で採取し、かつHPLCにより試験した。化合物1、3、および4は、実験期間の間(50時間;表2)完全な緩衝液安定性を示した。化合物2は緩衝液中で低安定性で、半減期はほぼ120時間であり、化合物6は最も低安定性で、半減期は緩衝液中で僅か30時間であった。ラット血清においては、この化合物の安定性に及ぼす血清の異化効果が明らかに存在することを除いて、この同一傾向は明白であった。再度になるが、化合物1、3、および4は最も安定であり、化合物2の半減期は18時間であり、かつフェノール型ヒドロキシルを含有するコンブレスタチン化合物6は最も低安定性で、半減期は4時間であった。
【0137】
標準的なMTTアッセイキット(Promega Corporation(Madison,WI))を用いて、これらの抱合体の細胞毒性活性を測定した。各化合物をヒト神経芽細胞腫IMR32細胞(ソマトスタチン受容体過剰発現)と共に4枚のプレート中で異なる濃度で3日間インキューベーションし、かつIC50を用量-応答曲線から求めた(図2)。緩衝液中の安定性データを再調査後、コンブレタスタチン-エチレンジアミンBINAR化合物6は最も細胞毒性であったが、細胞媒体が若干の酵素を含有するので、この抱合体の50%は3日後およびおそらくそれ以上後に遊離サイトキシンであることが明白である。N-Me-エチレンジアミンカンプトテシン抱合体2は2番目に最も強力であった。3日後、この抱合体の80%を超えるものがなお原型を保っていた。次に最も強力であったのはエチレンジアミン化合物1であった。この類似体は、リン酸塩緩衝液中で完全な安定性を示したが、化合物2よりも数倍低強力であり、かつ血清中で更に安定であるが、化合物3よりも若干高活性であった。この性質は、恐らく化合物1の環状尿素形成能によるものであり、一方、化合物3はこの同一種を形成することができない。
【0138】
予備的な腫瘍担持動物の試験においては、化合物1および2は、繰り返しの腹腔内投与の後腫瘍中に細胞毒性効果を誘起する点で同等に有効であるように見える。N,N-ジメチルエチレンジアミン、ジアミノプロピル、および2-ヒドロキシエチルアミンBINAR基を元とする化合物(図2;表2)は、おそらく任意の遊離細胞毒性剤の細胞内または細胞外放出が欠如することにより本質的に不活性であった。リードカンプトテシン抱合体2は、カンプトテシン単独の最大許容当量用量よりもはるかに下の用量でヌードマウスの移植されたNCI-H69小細胞肺ガン(SSTR2の発現)の増殖を顕著に安定化することができた。このデータは、このアルコールの放出速度に対する化学成分のみならず、ある酵素成分も示唆する。
【0139】
このBINAR結合戦略の値は、種々のタイプのアルコール含有基に対する理想的な放出速度を受け入れるように調整を受ける能力および単純な固相化学によるペプチド遊離アミノ基上への組み込みの容易さの両方の中に存する。この基を導入するための化学は固相合成にきわめて適し、かつ多数の異なるペプチド、治療剤、および細胞毒素に対して容易に適合される。この戦略はN末端に容易に適用されるが、同様にペプチド結合親和性の保存に必要ならば、これは直交に保護された側鎖にも適用可能である。本発明のカンプトテシン抱合体によれば、化合物1および2は、細胞媒体インキューベーション条件に対しては極めて安定であったが、高細胞毒性が得られた(図2;表2)。高濃度の原型を保ったペプチド抱合体が腫瘍細胞に特異的に結合し、そこで吸収が起こる。更には、この抱合体は極めて可溶性であり、かつこのペプチド成分の親水性を上述のように変えることにより、組織クリアランス速度および経路を容易に更に調整することができる。このペプチド抱合体がクリアランス時にほどほどに原型を保ったままである場合には、毒性副作用は極めて低下する。
【0140】
実施例21
カンプトテシン-カルボニル-N-アミノエチル-グリシン-S-トリチル-Cys-リンク-アミド-樹脂の調製
リンクアミド[4-(2’,4’-ジメトキシフェニル-Fmoc-(アミノメチル)フェノキシアセトアミド-ノルロイシル-メチルベンズヒドリルアミン樹脂(0.063ミリモル)、100〜200メッシュ(Novabiochem,San Diego,CA)]をCS136自動ペプチド合成装置(CS Bio,Inc.,San Carlos,CA)の反応容器に添加し、かつジメチルホルムアミド(DMF)中でほぼ1時間膨潤させた。この樹脂を濾過し、かつDMF中の過剰の20%ピペリジンを添加し、混合(2分間)した。この樹脂を濾過し、かつ再度過剰量の20%ピペリジンを添加、混合(20分間)して、この樹脂Fmoc基の完全な除去を確実にした。脱保護後、この樹脂をDMFにより4回洗浄し、次に第1の保護されたアミノ酸のFmoc-S-トリチル-L-システイン(0.188ミリモル)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(0.188ミリモル)、およびN-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(HOBt)(0.188ミリモル)をすべてDMF/DCMに溶解し、かつこの樹脂に添加し、これを1時間混合し、続いてDMFにより4回洗浄した。
【0141】
このFmoc基を20%のピペリジン/DMF溶液により処理することにより再度除去し、かつ同一の一般のカップリング手順を行い、Fmoc-N-(2-Boc-アミノエチル)グリシン(Neosystem)を添加した。このFmoc基を除去し、かつこのペプチジル樹脂をDCMにより数回洗浄した。実施例1からのカンプトテシンクロロホルメートをこの樹脂に添加、一晩混合し、大量のDMFにより、続いてメタノールにより洗浄した。最終濾過後、この誘導体化された樹脂を一晩風乾した。
【0142】
実施例22
カンプトテシン-カルボニル-N-(2-アミノエチル)-グリシン-Cys-アミドの調製
実施例21で調製したカンプトテシン-ペプチド樹脂(0.063ミリモル)を丸底フラスコ中に入れ、これに水(2.5%)、1,2-エタンジチオール(2.5%)およびトリイソプロピルシラン(1%)を含有する15mLのトリフルオロ酢酸(TFA)の溶液を添加した。この懸濁液を攪拌(2時間)、濾過し、かつTFAにより数回洗浄した。このTFAを真空中で蒸発させ、かつ生成した油にエーテルを添加して、黄色粉末を得、次にこれを60%の酢酸(15mL)に溶解した。
【0143】
この粗カンプトテシンペプチドを調製用逆相高圧液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)によりC-18結合したシリカ(Dynamax300,8μm)のカラム(21.4×250mm)上で精製した。20mL/分の流量の直線勾配の溶出系を使用し、緩衝液Aは、0.1%のTFAと緩衝液B、80%のMeCN中の0.1%のTFAからなり;20%のB〜50%のBを1分当たり1%で増加させた。分離を280nmでモニターした。分析HPLCにより同定して純粋な生成物を含有するこの画分を貯液し、真空中で濃縮し、凍結乾燥に供した。酢酸水溶液から凍結乾燥することにより、このペプチドを一定重量のふわふわした黄色粉末として得た。マトリックス支援レーザー脱離質量分析法により、下記に示す正確な組成が示された。

【0144】
実施例23
カンプトテシン-カルボニル-N-アミノエチル-グリシン-Phe(ベンゾフェノン)-アミド樹脂の調製
リンクアミド[4-(2’,4’-ジメトキシフェニル-Fmoc-(アミノメチル)フェノキシアセトアミド-ノルロイシル-メチルベンズヒドリルアミン樹脂(0.063ミリモル)、100〜200メッシュ(Novabiochem,San Diego,CA)]をCS136自動ペプチド合成装置(CS Bio,Inc.,San Carlos,CA)の反応容器に添加し、かつジメチルホルムアミド(DMF)中でほぼ1時間膨潤させた。この樹脂を濾過し、かつDMF中の過剰の20%ピペリジンを添加し、混合(2分間)した。この樹脂を濾過し、かつ再度過剰量の20%ピペリジンを添加、混合(20分間)して、この樹脂Fmoc基の完全な除去を確実にした。脱保護後、この樹脂をDMFにより4回洗浄し、次に第1の保護されたアミノ酸のFmoc-L-p-ベンゾイル-フェニルアラニン(0.188ミリモル)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(0.188ミリモル)、およびN-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(HOBt)(0.188ミリモル)をすべてDMF/DCMに溶解し、かつこの樹脂に添加し、これを混合(1時間)し、続いてDMFにより4回洗浄した。
【0145】
このFmoc基を20%のピペリジン/DMF溶液により処理することにより再度除去し、かつ同一の一般のカップリング手順を行い、Fmoc-N-(2-Boc-アミノエチル)グリシン(Neosystem)を添加した。このFmoc基を除去し、かつこのペプチジル樹脂をDCMにより数回洗浄した。実施例1からのカンプトテシンクロロホルメートをこの樹脂に添加、一晩混合し、大量のDMFにより、続いてメタノールにより洗浄した。最終濾過後、この誘導体化された樹脂を一晩風乾した。
【0146】
実施例24
カンプトテシン-カルボニル-N-(2-アミノエチル)-グリシン-p-ベンゾイル-フェニルアラニン-アミドの調製
実施例23で調製したカンプトテシン-ペプチド樹脂(0.063ミリモル)を丸底フラスコ中に入れ、これに水(2.5%)とトリイソプロピルシラン(1%)を含有する15mLのトリフルオロ酢酸(TFA)の溶液を添加した。この懸濁液を2時間攪拌、濾過し、かつTFAにより数回洗浄した。このTFAを真空中で蒸発させ、かつ生成した油にエーテルを添加して、黄色粉末を得、次にこれを60%の酢酸(15mL)に溶解した。
【0147】
この粗カンプトテシンペプチドを調製用逆相高圧液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)によりC-18結合したシリカ(Dynamax300,8μm)のカラム(21.4×250mm)上で精製した。20mL/分の流量の直線勾配の溶出系を使用し、緩衝液Aは、0.1%のTFAと緩衝液B、80%のMeCN中の0.1%のTFAからなり;20%のB〜50%のBを1分当たり1%で増加させた。分離を280nmでモニターした。分析HPLCにより同定して純粋な生成物を含有するこの画分を貯液し、真空中で濃縮し、凍結乾燥に供した。酢酸水溶液から凍結乾燥することにより、このペプチドを一定重量のふわふわした黄色粉末として得た。マトリックス支援レーザー脱離質量分析法により、下記に示す正確な組成が示された。

【0148】
他の態様
好ましい態様を参照しながら本発明を説明してきたが、当業者ならば、その本質的な特徴を容易に確かめることができ、かつ本発明の精神と範囲から逸脱せずに、本発明の種々の変化および改変を行って、種々の使用および条件にそれを適合させることができる。当業者ならば、本明細書に述べた本発明の特異的な態様に対する多数の同等物を認識するか、または単なる日常的な実験を使用してこれらを確認することができよう。このような同等物は本発明の範囲の中に網羅されるように意図されている。
【0149】
本明細書で挙げたすべての刊行物と特許出願は、参照として本明細書に組み入れられ、これは各刊行物と特許出願が参照として組み入れられるように詳細に、かつ個別に示されるのと同程度のものである。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】BINAR基含有ソマトスタチン類似体を樹脂上で合成すること、およびカルバメート結合基によりカンプトテシンを結合し、引き続いてこの樹脂から除去して化合物2を得ることを示す図である。塩基性条件または酵素攻撃によって、遊離カンプトテシンの求核性試薬援用の放出が起こる。
【図2】抱合体1〜6に対する用量-応答曲線を表示し、かつ抱合体1〜6が細胞生存度MTTアッセイ法を用いて3日間インキュベーションした後にソマトスタチン受容体サブタイプ2(SSTR2)陽性IMR-32細胞を死滅させる能力を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】


(式中、
Xが細胞毒性剤または治療剤であり;
nが0〜6の整数であり、(CH2nが置換もしくは非置換の直鎖または分岐鎖であり、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、環状、ヘテロ環状、芳香族、またはヘテロ芳香族基であり;
RがN(R1R2)、OR1、またはSR1であり、ここでR1とR2が独立に水素または低級アルキル基であり;
Yが親水性スペーサー配列であるか、または除外され;
Zが、QのN末端またはQの互換性のある側鎖のアミノ基によりQに結合している場合には、Qの少なくとも50%の生物活性を保つ結合ペプチドであり、式
A-B-C-E-F
(式中、
AがD-Lys、D-Tyr、D-Ser、もしくはL-Serであるか、または削除され;
BがD-LysもしくはD-Tyrであるか、または削除され;
CがLys、Ser、hSer、Thr、Nle、Abu、Nva、(2、3、もしくは4)3-ピリジル-Ala(Pal)、Orn、Dab、Dap、4-NH2-Phe、D-4-OH-Pro、もしくはL-4-OH-Proであるか、または削除され;
EがD-Lys、D-Tyr、D-Ser、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、3-ヨード-D-Tyr、3-5ジヨード-D-Tyr、3-アスタチン-D-Tyr、3-5アスタチン-D-Tyr、3-ブロモ-D-Tyr、3-5ジブロモ-D-Tyr、D-Asn、L-Asn、D-Asp、L-Asp、D-Glu、L-Glu、D-Gln、またはL-GInであり;かつ
FがD-Lys、D-Tyr、D-Ser、L-Ser、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、3-ヨード-D-Tyr、3-5ジヨード-D-Tyr、3-アスタチン-D-Tyr、3-5アスタチン-D-Tyr、3-ブロモ-D-Tyr、3-5ジブロモ-D-Tyr、D-Asn、L-Asn、D-Asp、L-Asp、D-Glu、L-Glu、D-Gln、またはL-Glnであり、
但し、A、B、C、およびEがそれぞれTyr、Tyr、Lys、およびTyrである場合には、FがLysでなく;かつA、B、C、およびEがそれぞれLys、Tyr、Lys、およびTyrである場合には、EがTyrまたはLysでなく;かつAとBが削除され、かつCとEがそれぞれLysとTyrである場合には、FがTyrまたはLysでないものとする)
を有するものであり;かつ
Qが標的化部分であり、または除外される)
により表される抱合体化合物。
【請求項2】
Xが細胞毒性剤である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
細胞毒性剤がアルキル化剤、抗生物質、代謝拮抗剤、チューブリン阻害剤、トポイソメラーゼIもしくはII阻害剤、ホルモン作用剤もしくは拮抗剤、アポトーシス剤、または免疫調整剤である、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
細胞毒性剤がカンプトテシン、ホモカンプトテシン、コルヒチン、コンブレタスタチン、ドリスタチン、ドキソルビシン、メトトレキセート、ポドフィロトキシン、リゾキシン、リゾキシンD、タキソール、パクリタキソール、CC1065、マイタンシノイド、またはこれらの誘導体もしくは類似体である、請求項2記載の化合物。
【請求項5】
親水性スペーサー配列が化合物の親水性体内分布を増大させるペプチドである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
ペプチドが式U(V-V)nを有し、UがD-Pro、L-Pro、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、サルコシン、Lys、Orn、Dab、Dap、4-NH2-Phe、または(NH2-(CH2m-COOH)(式中、mが2からl0までである(2と10を含む))であるか、または削除される)であり;各VがD-Ser、L-Ser、D-Thr、L-Thr、D-Gln、L-Gln、D-Asn、L-Asu、D-4-OH-Pro、またはL-4ヒドロキシ-Proからなる群から独立に選択され;かつnが1から50までである(1と50を含む)、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
Vが独立にD-SerまたはL-Serである、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
少なくとも1つのVがD-アミノ酸である、請求項6記載の化合物。
【請求項9】
親水性スペーサー配列が親水性ポリマーである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
親水性ポリマーがポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、HPMA(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)もしくはHPMAコポリマー、α,β-ポリ(N-ヒドロキシエチル)-DL-アスパルトアミド(PHEA)、またはα,β-ポリ(N-ヒドロキシプロピル)-DL-アスパルトアミドである、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
標的化部分が生物活性ペプチドである、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
生物活性ペプチドがソマトスタチン、ボンベシン、KiSSペプチド、ウロテンシンIIペプチド、生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)IおよびIIペプチド、オクトレオチド、デプレオチド、バプレオチド、血管作用性腸管ペプチド(VIP)、コレシストキニン(CCK)、インスリン様成長因子(IGF)、RGD含有ペプチド、メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)ペプチド、ニューロテンシン、カルシトニン、抗腫瘍抗体の相補性決定領域を含むペプチド、グルタチオン、アミノ酸配列YIGSRを含む白血球親和性ペプチド、血小板因子-4(PF-4)とリジンに富む配列のヘパリン結合領域、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、β-アミロイドペプチド、δ-オピオイド拮抗剤、アネキシン-V、エンドテリン、インターロイキン(IL)-1、IL-1ra、IL-2、IL-8、ロイコトリエンB4(LTB4)、走化性ペプチド、GP IIb/IIIa受容体拮抗剤、上皮成長因子、ヒト好中球エラスターゼ阻害剤、プラスミン阻害剤、抗菌性ペプチド、アプチサイドP280、アプチサイドP274、トロンボスポンジン受容体、ビチスタチン、下垂体アデニリルシクラーゼI型受容体(PAC1)、フィブリンα鎖、またはこれらの誘導体もしくは類似体である、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
生物活性ペプチドが抗体または抗体断片である、請求項11記載の化合物。
【請求項14】
白血球親和性ペプチドがP483Hである、請求項12記載の化合物。
【請求項15】
δ-オピオイド拮抗剤がITIPP(psi)である、請求項12記載の化合物。
【請求項16】
走化性ペプチドがN-ホルミル-メチオニル-ロイシル-フェニルアラニン-リジン(fMLFK)である、請求項12記載の化合物。
【請求項17】
GP IIb/IIIa受容体拮抗剤がDMP444である、請求項12記載の化合物。
【請求項18】
ヒト好中球エラスターゼ阻害剤がEPI-HNE-2またはEPI-HNE-4である、請求項12記載の化合物。
【請求項19】
トロンボスポンジン受容体がTP-1300である、請求項12記載の化合物。
【請求項20】
生物活性ペプチドが哺乳動物の体内の細胞または組織に化合物を標的化する、請求項11記載の化合物。
【請求項21】
標的化部分が、哺乳動物の体内の細胞または組織に化合物を標的化するファージディスプレイライブラリまたはその保存的置換から誘導されるペプチドである、請求項1記載の化合物。
【請求項22】
細胞または組織が癌細胞、白血球細胞、心臓組織、脳組織、または結核に罹った結節を含む、請求項20または21記載の化合物。
【請求項23】
組織が腫瘍または増殖性血管形成血管である、請求項20または21記載の化合物。
【請求項24】
血管が眼中にあるものである、請求項23記載の化合物。
【請求項25】
Qがソマトスタチンペプチドである、請求項1記載の化合物。
【請求項26】
Qがボンベシンペプチドである、請求項1記載の化合物。
【請求項27】
抗体がモノクローナル抗体またはこれらの断片である、請求項13記載の化合物。
【請求項28】
ZがD-Ser-Nle-D-Ser-D-Serである、請求項1記載の化合物。
【請求項29】
ZがD-Ser-Lys-D-Ser-D-Serである、請求項1記載の化合物。
【請求項30】
ZがD-Ser-Lys-D-Tyr-D-Tyrである、請求項1記載の化合物。
【請求項31】
ZがD-Ser-Lys-D-Tyr-D-Serである、請求項1記載の化合物。
【請求項32】
ZがD-Ser-Ser-D-Lys-D-Serである、請求項1記載の化合物。
【請求項33】
ZがD-Ser-Ser-D-Lys-Serである、請求項1記載の化合物。
【請求項34】
ZがD-Ser-Nle-D-Tyr-D-Serである、請求項1記載の化合物。
【請求項35】
ZがD-Ser-Pal-D-Tyr-D-Serである、請求項1記載の化合物。
【請求項36】
ZがD-Ser-Thr-D-Tyr-D-Serである、請求項1記載の化合物。
【請求項37】
ZがLys-D-Ser-D-Serである、請求項1記載の化合物。
【請求項38】
ZがSer-D-Lys-D-Serである、請求項1記載の化合物。
【請求項39】
ZがSer-D-Lys-Serである、請求項1記載の化合物。
【請求項40】
ZがNle-D-Tyr-D-Serである、請求項1記載の化合物。
【請求項41】
ZがLys-D-Tyr-D-Serである、請求項1記載の化合物。
【請求項42】
ZがPal-D-Lys-D-Serである、請求項1記載の化合物。
【請求項43】
ZがThr-D-Tyr-D-Serである、請求項1記載の化合物。
【請求項44】
ZがD-Ser-D-Lysである、請求項1記載の化合物。
【請求項45】
ZがD-Ser-D-Tyrである、請求項1記載の化合物。
【請求項46】
ZがD-Lys-D-Lysである、請求項1記載の化合物。
【請求項47】
ZがD-Lys-D-Tyrである、請求項1記載の化合物。
【請求項48】
ZがD-Tyr-D-Lysである、請求項1記載の化合物。
【請求項49】
Zが式
E-F
(式中、
EがD-Lys、D-Tyr、D-Ser、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、3-ヨード-D-Tyr、3-5ジヨード-D-Tyr、3-アスタチン-D-Tyr、3-5アスタチン-D-Tyr、3-ブロモ-D-Tyr、3-5ジブロモ-D-Tyr、D-Asn、L-Asn、D-Asp、L-Asp、D-Gln、またはL-Glnであり;および
FがD-Lys、D-Tyr、D-Ser、L-Ser、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、3-ヨード-D-Tyr、3-5ジヨード-D-Tyr、3-アスタチン-D-Tyr、3-5アスタチン-D-Tyr、3-ブロモ-D-Tyr、3-5ジブロモ-D-Tyr、D-Asn、L-Asn、D-Asp、L-Asp、D-Glu、L-Glu、D-Gln、またはL-Glnである)
を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項50】
Rが1〜20個の炭素原子を含む、請求項1記載の化合物。
【請求項51】
Rが1〜8個の炭素原子を含む、請求項50記載の化合物。
【請求項52】


(式中、Xが細胞毒性剤または治療剤であり;
nが0〜6の整数であり、(CH2nが置換もしくは非置換の直鎖または分岐鎖であり、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、環状、ヘテロ環状、芳香族、またはヘテロ芳香族基であり;
RがN(R1R2)、OR1、またはSR1であり、R1とR2が独立に水素または低級アルキル基であり;
Yが親水性スペーサー配列であるか、または除外され;
Zが、QのN末端またはQの互換性のある側鎖のアミノ基によりQに結合している場合には、Qの少なくとも50%の生物活性を保つ結合ペプチドであり、式
A-B-C-E-F
(式中、
AがD-Lys、D-Tyr、D-Ser、もしくはL-Serであるか、または削除され;
BがD-LysもしくはD-Tyrであるか、または削除され;
CがLys、Ser、hSer、Thr、Nle、Abu、Nva、(2、3、もしくは4)3-ピリジル-Ala(Pal)、Orn、Dab、Dap、4-NH2-Phe、D-4-OH-Pro、もしくはL-4-OH-Proであるか、または削除され;
EがD-Lys、D-Tyr、D-Ser、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、3-ヨード-D-Tyr、3-5ジヨード-D-Tyr、3-アスタチン-D-Tyr、3-5アスタチン-D-Tyr、3-ブロモ-D-Tyr、3-5ジブロモ-D-Tyr、D-Asn、L-Asn、D-Asp、L-Asp、D-Glu、L-Glu、D-Gln、またはL-Glnであり;かつ
FがD-Lys、D-Tyr、D-Ser、L-Ser、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、3-ヨード-D-Tyr、3-5ジヨード-D-Tyr、3-アスタチン-D-Tyr、3-5アスタチン-D-Tyr、3-ブロモ-D-Tyr、3-5ジブロモ-D-Tyr、D-Asn、L-Asn、D-Asp、L-Asp、D-Glu、L-Glu、D-Gln、またはL-Glnであり、
但し、A、B、C、およびEがそれぞれTyr、Tyr、Lys、およびTyrである場合には、FがLysでなく;かつA、B、C、およびEがそれぞれLys、Tyr、Lys、およびTyrである場合には、EがTyrまたはLysでなく;かつAとBが削除され、かつCとEがそれぞれLysとTyrである場合には、FがTyrまたはLysでないものとする)
を有するものであり;かつ
Qが標的化部分であるか、または除外される)
を有する治療的に有効な量の化合物を疾患に罹っている被験者に投与することを含む疾患を治療する方法。
【請求項53】
Xが細胞毒性剤である、請求項52記載の方法。
【請求項54】
細胞毒性剤がカンプトテシン、ホモカンプトテシン、コルヒチン、コンブレタスタチン、ドリスタチン、ドキソルビシン、メトトレキセート、ポドフィロトキシン、リゾキシン、リゾキシンD、タキソール、パクリタキソール、CC1065、マイタンシノイド、またはこれらの誘導体もしくは類似体である、請求項53記載の方法。
【請求項55】
親水性スペーサー配列が化合物の親水性体内分布を増大させるペプチドである、請求項52記載の方法。
【請求項56】
ペプチドが式U(V-V)nを有し、UがD-Pro、L-Pro、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、サルコシン、Lys、Orn、Dab、Dap、4-NH2-Phe、または(NH2-(CH2m-COOH)(式中、mが2から10までである(2と10を含む))であるか、または削除される)であり;各VがD-Ser、L-Ser、D-Thr、L-Thr、D-Gln、L-Gln、D-Asn、L-Asn、D-4-OH-Pro、またはL-4ヒドロキシ-Proからなる群から独立に選択され;かつnが1から50までである(1と50を含む)、請求項55記載の方法。
【請求項57】
Vが独立にD-SerまたはL-Serである、請求項56記載の方法。
【請求項58】
少なくとも1つのVがD-アミノ酸である、請求項56記載の方法。
【請求項59】
親水性スペーサー配列が親水性ポリマーである、請求項52記載の方法。
【請求項60】
親水性ポリマーがポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、またはポリビニルアルコールである、請求項59記載の方法。
【請求項61】
標的化部分が生物活性ペプチドである、請求項52記載の方法。
【請求項62】
生物活性ペプチドがソマトスタチン、ボンベシン、KiSSペプチド、ウロテンシンIIペプチド、生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)IおよびIIペプチド、オクトレオチド、デプレオチド、バプレオチド、血管作用性腸管ペプチド(VIP)、コレシストキニン(CCK)、インスリン様成長因子(IGF)、RGD含有ペプチド、メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)ペプチド、ニューロテンシン、カルシトニン、抗腫瘍抗体の相補性決定領域を含むペプチド、グルタチオン、アミノ酸配列YIGSRを含む白血球親和性ペプチド、血小板因子-4(PF-4)およびリジンに富む配列のヘパリン結合領域、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、β-アミロイドペプチド、δ-オピオイド拮抗剤、アネキシン-V、エンドテリン、インターロイキン(IL)-1、IL-1ra、IL-2、IL-8、ロイコトリエンB4(LTB4)、走化性ペプチド、GP IIb/IIIa受容体拮抗剤、上皮成長因子、ヒト好中球エラスターゼ阻害剤、プラスミン阻害剤、抗菌性ペプチド、アプチサイドP280、アプチサイドP274、トロンボスポンジン受容体、ビチスタチン、下垂体アデニリルシクラーゼI型受容体(PAC1)、フィブリンα鎖、またはこれらの誘導体もしくは類似体である、請求項61記載の方法。
【請求項63】
生物活性ペプチドが抗体または抗体断片である、請求項61記載の方法。
【請求項64】
白血球親和性ペプチドがP483Hである、請求項62記載の方法。
【請求項65】
δ-オピオイド拮抗剤がITIPP(psi)である、請求項62記載の方法。
【請求項66】
走化性ペプチドがN-ホルミル-メチオニル-ロイシル-フェニルアラニン-リジン(fMLFK)である、請求項62記載の方法。
【請求項67】
GP IIb/IIIa受容体拮抗剤がDMP444である、請求項62記載の方法。
【請求項68】
ヒト好中球エラスターゼ阻害剤がEPI-HNE-2またはEPI-HNE-4である、請求項62記載の方法。
【請求項69】
トロンボスポンジン受容体がTP-1300である、請求項62記載の方法。
【請求項70】
生物活性ペプチドが哺乳動物の体内の細胞または組織に化合物を標的化する、請求項61記載の方法。
【請求項71】
標的化部分が哺乳動物の体内の細胞または組織に化合物を標的化するファージディスプレイライブラリまたはその誘導体もしくは類似体から誘導されるペプチドである、請求項52記載の方法。
【請求項72】
細胞または組織が癌細胞、白血球細胞、心臓組織、脳組織、または結核に罹った結節を含む、請求項70または71記載の方法。
【請求項73】
組織が腫瘍または増殖性血管形成血管である、請求項70または71記載の方法。
【請求項74】
血管が眼中にあるものである、請求項73記載の方法。
【請求項75】
Qがソマトスタチンまたはこれらの類似体、ボンベシンまたはこれらの類似体、または抗体である、請求項50記載の方法。
【請求項76】
Qがソマトスタチンペプチドである、請求項52記載の方法。
【請求項77】
Qがボンベシンペプチドである、請求項52記載の方法。
【請求項78】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項63記載の方法。
【請求項79】
ZがD-Ser-Nle-D-Ser-D-Serである、請求項52記載の方法。
【請求項80】
ZがD-Ser-Lys-D-Ser-D-Serである、請求項52記載の方法。
【請求項81】
ZがD-Ser-Lys-D-Tyr-D-Tyrである、請求項52記載の方法。
【請求項82】
ZがD-Ser-Lys-D-Tyr-D-Serである、請求項52記載の方法。
【請求項83】
ZがD-Ser-Ser-D-Lys-D-Serである、請求項52記載の方法。
【請求項84】
ZがD-Ser-Ser-D-Lys-Serである、請求項52記載の方法。
【請求項85】
ZがD-Ser-Nle-D-Tyr-D-Serである、請求項52記載の方法。
【請求項86】
ZがD-Ser-Pal-D-Tyr-D-Serである、請求項52記載の方法。
【請求項87】
ZがD-Ser-Thr-D-Tyr-D-Serである、請求項52記載の方法。
【請求項88】
ZがLys-D-Ser-D-Serである、請求項52記載の方法。
【請求項89】
ZがSer-D-Lys-D-Serである、請求項52記載の方法。
【請求項90】
ZがSer-D-Lys-Serである、請求項52記載の方法。
【請求項91】
ZがNle-D-Tyr-D-Serである、請求項52記載の方法。
【請求項92】
ZがLys-D-Tyr-D-Serである、請求項52記載の方法。
【請求項93】
ZがPal-D-Lys-D-Serである、請求項52記載の方法。
【請求項94】
ZがThr-D-Tyr-D-Serである、請求項52記載の方法。
【請求項95】
ZがD-Ser-D-Lysである、請求項52記載の方法。
【請求項96】
ZがD-Ser-D-Tyrである、請求項52記載の方法。
【請求項97】
ZがD-Lys-D-Lysである、請求項52記載の方法。
【請求項98】
ZがD-Lys-D-Tyrである、請求項52記載の方法。
【請求項99】
ZがD-Tyr-D-Lysである、請求項52記載の方法。
【請求項100】
Zが式
E-F
(式中、
EがD-Lys、D-Tyr、D-Ser、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、3-ヨード-D-Tyr、3-5ジヨード-D-Tyr、3-アスタチン-D-Tyr、3-5アスタチン-D-Tyr、3-ブロモ-D-Tyr、3-5ジブロモ-D-Tyr、D-Asn、L-Asn、D-Asp、L-Asp、D-Gln、またはL-Glnであり;および
FがD-Lys、D-Tyr、D-Ser、L-Ser、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、3-ヨード-D-Tyr、3-5ジヨード-D-Tyr、3-アスタチン-D-Tyr、3-5アスタチン-D-Tyr、3-ブロモ-D-Tyr、3-5ジブロモ-D-Tyr、D-Asn、L-Asn、D-Asp、L-Asp、D-Glu、L-Glu、D-Gln、またはL-Glnである)
を有する、請求項52記載の方法。
【請求項101】
疾患が炎症性腸疾患、リウマチ様関節炎、末端肥大症、結核、肺、胸、脳、眼、前立腺または結腸の腫瘍;神経内分泌起源の腫瘍;または不適切な血管増殖を引き起こす血管形成である、請求項52記載の方法。
【請求項102】
神経内分泌起源の腫瘍がカルチノイド症候群である、請求項101記載の方法。
【請求項103】
血管が眼中にあるものである、請求項101記載の方法。
【請求項104】
1〜20個の炭素原子を含む、請求項52記載の方法。
【請求項105】
Rが1〜8個の炭素原子を含む、請求項104記載の方法。
【請求項106】


(式中、
Xが細胞毒性剤または治療剤であり;
nが0〜6の整数であり、(CH2nが置換もしくは非置換の直鎖または分岐鎖であり、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、環状、ヘテロ環状、芳香族、またはヘテロ芳香族基であり;
RがN(R1R2)、OR1、またはSR1であり、R1とR2が独立に水素または低級アルキル基であり;かつR3がNH(CH2mSH基およびm=2〜6、DもしくはLシステイン、ベンゾフェノン、またはOH基である)
により表される化合物。
【請求項107】
R3基を使用して、化合物にペプチド、タンパク質、または抗体を結合することができる、請求項106記載の化合物。
【請求項108】
R3がNH(CH2)mSHおよびm=2〜6であり、かつペプチド、タンパク質、または抗体がチオール反応により化合物に結合される、請求項106記載の化合物。
【請求項109】
R3がベンゾフェノンであり、かつペプチド、タンパク質、または抗体が光化学反応により化合物に結合される、請求項106記載の化合物。
【請求項110】
ベンゾフェノンがp-ベンゾイル-フェニルアラニンである、請求項109記載の化合物。
【請求項111】
疾患の治療のための薬物を製造するための抱合体化合物であって、化合物が式

(式中、
Xが細胞毒性剤または治療剤であり;
nが0〜6の整数であり、(CH2nが置換もしくは非置換の直鎖または分岐鎖であり、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、環状、ヘテロ環状、芳香族、またはヘテロ芳香族基であり;
RがN(R1R2)、OR1、またはSR1であり、R1とR2が独立に水素または低級アルキル基であり;
Yが親水性スペーサー配列であるか、または除外され;
Zが、QのN末端またはQの互換性のある側鎖のアミノ基によりQに結合している場合には、Qの少なくとも50%の生物活性を保つ結合ペプチドであり、式
A-B-C-E-F
(式中、
AがD-Lys、D-Tyr、D-Ser、もしくはL-Serであるか、または削除され;
BがD-LysもしくはD-Tyrであるか、または削除され;
CがLys、Ser、hSer、Thr、Nle、Abu、Nva、(2、3、もしくは4)3-ピリジル-Ala(Pal)、Orn、Dab、Dap、4-NH2-Phe、D-4-OH-Pro、もしくはL-4-OH-Proであるか、または削除され;
EがD-Lys、D-Tyr、D-Ser、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、3-ヨード-D-Tyr、3-5ジヨード-D-Tyr、3-アスタチン-D-Tyr、3-5アスタチン-D-Tyr、3-ブロモ-D-Tyr、3-5ジブロモ-D-Tyr、D-Asn、L-Asn、D-Asp、L-Asp、D-Glu、L-Glu、D-Gln、またはL-Glnであり;かつ
FがD-Lys、D-Tyr、D-Ser、L-Ser、D-4-OH-Pro、L-4-OH-Pro、3-ヨード-D-Tyr、3-5ジヨード-D-Tyr、3-アスタチン-D-Tyr、3-5アスタチン-D-Tyr、3-ブロモ-D-Tyr、3-5ジブロモ-D-Tyr、D-Asn、L-Asn、D-Asp、L-Asp、D-Glu、L-Glu、D-Gln、またはL-Glnであり、
但し、A、B、C、およびEがそれぞれTyr、Tyr、Lys、およびTyrである場合には、FがLysでなく;かつA、B、C、およびEがそれぞれLys、Tyr、Lys、およびTyrである場合には、EがTyrまたはLysでなく;かつAとBが削除され、かつCとEがそれぞれLysとTyrである場合には、FがTyrまたはLysでないものとする)
を有するものであり;かつ
Qが標的化部分であり、または除外される)
を有する化合物の使用。
【請求項112】
疾患が炎症性腸疾患、リウマチ様関節炎、末端肥大症、結核、肺、胸、脳、眼、前立腺または結腸の腫瘍;神経内分泌起源の腫瘍;または不適切な血管増殖を引き起こす血管形成である、請求項111記載の使用。
【請求項113】
神経内分泌起源の腫瘍がカルチノイド症候群である、請求項111記載の使用。
【請求項114】
血管が眼中にあるものである、請求項111記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−510571(P2006−510571A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−573017(P2003−573017)
【出願日】平成15年3月3日(2003.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/006657
【国際公開番号】WO2003/074551
【国際公開日】平成15年9月12日(2003.9.12)
【出願人】(591069318)ジ アドミニストレイターズ オブ ザ チューレン エデュケイショナル ファンド (4)
【Fターム(参考)】