説明

治療剤

本発明は、(a)シナノキ科植物、(b)ショウガ科植物、(c)キク科植物、(d)ユリ科植物、及び(e)タデ科植物からなる群より選択される少なくとも1種の植物由来の処理物を有効成分として含有することを特徴とする、インスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患の治療剤又は予防剤、インスリン様作用剤、インスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患の治療用又は予防用の食品、飲料又は飼料、細胞へのグルコース取り込み促進剤、並びに脂肪細胞への分化誘導剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、生体内でインスリンが関連する疾病、例えば糖尿病や肥満症等の治療または予防に有用な医薬、食品、飲料又は飼料に関する。
【背景技術】
インスリンは、哺乳動物の正常な炭水化物、タンパク質、及び脂肪代謝に必要なホルモンである。I型糖尿病のヒトは、生命を支えるホルモンであるインスリンが十分産生されないので、生存のために外部からのインスリン投与を必要とする。II型糖尿病のヒトは、インスリン産生量の不足、インスリン抵抗性などの要因による不適切な血液グルコース量の適切な量への制御のために、インスリンの投与やインスリン分泌促進薬の投与が必要となる。しかし、II型糖尿病のヒトの中でも、高インスリン血症やインスリン受容体異常、インスリン受容体の下流シグナルの異常などにより起こるインスリン抵抗性が要因の糖尿病患者については、インスリンやインスリン分泌促進薬を投与しても治療効果は見られないことがある。
近年、インスリンの副作用や上記の問題を解決するため、インスリンと同様の生理機能を有する物質(以下、インスリン様物質と称することもある)の開発が行われてきており、合成のベンゾキノン誘導体がインスリン様物質であること(例えば、国際公開第99/51225号パンフレット)、またシコン(紫根)由来のシコニンがインスリン様物質であること(例えば、Kamei R.他7名,Biochem.Biophys.Res.Commun.,2002年,Vol.292,P642−651)が判明している。これらのようなインスリン様物質は、I型糖尿病患者だけでなく、II型糖尿病患者、さらにはインスリン抵抗性が要因のII型糖尿病患者についても、インスリンと同様の生理活性を示すことにより症状を改善することが期待されている。
モロヘイヤは学名Corchorus olitoriusという、双子葉類シナノキ科コルコルス属(日本名ツナソ属)の一年生草本である。モロヘイヤはエジプト原産の栄養価の高い緑黄色野菜として知られており、その薬理作用としては、免疫賦活作用等が知られている。しかし、抗糖尿病作用や抗肥満作用等の、インスリン様作用についてはこれまで知られていない。
ガジュツ(紫ウコン)は学名Curcuma zedoaria Roscという、ショウガ科に属する亜熱帯地方に育成する植物であり、古くから根茎を薬として使用されている。その薬理作用としては、抗菌作用、胆汁分泌作用、抗潰瘍作用、抗腫瘍活性等が知られている。しかし、抗糖尿病作用や抗肥満作用等の、インスリン様作用についてはこれまで知られていない。
シュンギク(別名、キクナ、ムジンソウ、コウライキク)は学名Chrysanthemum coronariumという、キク科に属する南ヨーロッパ、地中海沿岸の原産の植物であり、カロチン、ビタミンB2、ビタミンC、カルシウム、鉄分、などの栄養成分を多く含むことが知られている。シュンギクの薬理作用としては、抗酸化作用、ガンやかぜの予防、貧血予防・改善作用、整腸作用等が知られている。しかし、抗糖尿病作用や抗肥満作用等の、インスリン様作用についてはこれまで知られていない。
ヨモギは学名Artemisia princeps pampanという、キク科に属する多年性草本であり、アジア諸国で食用にされている。ヨモギの薬理作用としては、抗がん作用、活性酸素除去作用、血液浄化作用、止血作用等が知られている。しかし、抗糖尿病作用や抗肥満作用等の、インスリン様作用についてはこれまで知られていない。
アロエは学名Aloe arborescensという、ユリ科に属するアフリカ原産の葉が多肉の多年性草本であり、観賞用、薬用として一般に栽培されている。その薬理作用は、別名「医者いらず」と呼ばれるほどであり、便秘、胃酸欠乏症、急性腸炎、慢性腸炎、神経性腸炎、脳血管の拡張による偏頭痛や痛風等、多数の薬効が知られている。しかし、抗糖尿病作用や抗肥満作用等の、インスリン様作用についてはこれまで知られていない。
ヤナギタデは学名Polygonum hydropiperという、タデ科に属する一年草であり、その薬理作用としては、抗菌作用、抗真菌作用、防虫作用等が知られている。しかし、抗糖尿病作用や抗肥満作用等の、インスリン様作用についてはこれまで知られていない。
【発明の開示】
本発明の目的は、天然物由来で安全で、簡便に摂取可能な、食品素材、医薬品素材として適したインスリン様作用を有する植物由来の処理物を開発し、当該処理物を用いた、医薬、食品、飲料または飼料を提供することにある。
以下、本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は、(a)シナノキ科植物、(b)ショウガ科植物、(c)キク科植物、(d)ユリ科植物、及び(e)タデ科植物からなる群より選択される少なくとも1種の植物由来の処理物を有効成分として含有することを特徴とするインスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患の治療剤又は予防剤に関する。
本発明の第2の発明は、上記(a)〜(e)からなる群より選択される少なくとも1種の植物由来の処理物を有効成分として含有することを特徴とするインスリン様作用剤に関する。
本発明の第3の発明は、上記(a)〜(e)からなる群より選択される少なくとも1種の植物由来の処理物を有効成分として含有することを特徴とするインスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患の治療用又は予防用の食品、飲料又は飼料に関する。
本発明の第4の発明は、上記(a)〜(e)からなる群より選択される少なくとも1種の植物由来の処理物を有効成分として含有することを特徴とする細胞へのグルコース取り込み促進剤に関する。
本発明の第5の発明は、上記(a)〜(e)からなる群より選択される少なくとも1種の植物由来の処理物を有効成分として含有することを特徴とする脂肪細胞への分化誘導剤に関する。
本発明の第1〜5の発明において、シナノキ科植物としては、例えばモロヘイヤが、ショウガ科植物としては、例えばガジュツが、キク科植物としては、例えばシュンギク及び/又はヨモギが、ユリ科植物としては、例えばアロエが、タデ科植物としては、例えばヤナギタデが例示される。
【図面の簡単な説明】
第1図は、モロヘイヤ水抽出画分、モロヘイヤエタノール抽出画分、及びモロヘイヤ酢酸エチル抽出画分により分化誘導された脂肪細胞のトリグリセリド生合成量を示す図である。
第2図は、モロヘイヤエタノール抽出画分及びモロヘイヤ酢酸エチル抽出画分によるグルコース取り込み促進作用を示す図である。
第3図は、ガジュツ水抽出画分、ガジュツエタノール抽出画分及びガジュツ酢酸エチル抽出画分により分化誘導された脂肪細胞のトリグリセリド生合成量を示す図である。
第4図は、ガジュツエタノール抽出画分及びガジュツ酢酸エチル抽出画分によるグルコース取り込み促進作用を示す図である。
第5図は、シュンギク水抽出画分により分化誘導された脂肪細胞のトリグリセリド生合成量を示す図である。
第6図は、シュンギクエタノール抽出画分及びシュンギク酢酸エチル抽出画分によるグルコース取り込み促進作用を示す図である。
第7図は、ヨモギエタノール抽出画分及びヨモギ酢酸エチル抽出画分により分化誘導された脂肪細胞のトリグリセリド生合成量を示す図である。
第8図は、ヨモギエタノール抽出画分及びヨモギ酢酸エチル抽出画分によるグルコース取り込み促進作用を示す図である。
第9図は、ヤナギタデエタノール抽出画分及びヤナギタデ酢酸エチル抽出画分によるグルコース取り込み促進作用を示す図である。
第10図は、ヤナギタデエタノール抽出画分とインスリンによるグルコース取り込み促進活性の相乗効果を示す図である。
第11図は、ヤナギタデエタノール抽出画分によるグルコース取り込み促進作用のサイトカラシンBによる阻害を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明により提供される医薬、食品、飲料又は飼料等は、上記(a)〜(e)からなる群より選択される少なくとも1種の植物由来の処理物を有効成分とする。以下に述べるような本発明の所望の効果の発現は、当該有効成分が発揮するインスリン様作用に基づくものである。
本発明において、シナノキ科植物としては、被子植物類シナノキ科に属する植物であれば特に限定はなく、例えば、モロヘイヤ、シナノキ、ヘラノキ、ボダイジュ、ツナソ、カラスノゴマ、ラセンソウ、ハテルマカズラ等が例示される。本発明においては、モロヘイヤが特に好適に使用できる。
本発明において、ショウガ科植物としては、被子植物類ショウガ科に属する植物であれば特に限定はなく、例えば、ガジュツ、ウコン、ミョウガ、クマタケラン、ゲットウ、チクリンカ、ショウガ、キョウオウ(春ウコン)、バンウコン等が例示される。本発明においては、ガジュツが特に好適に使用できる。
本発明において、キク科植物としては、被子植物類キク科に属する植物であれば特に限定はなく、例えば、シュンギク、ヨモギ、ベニバナ、タンポポ、ヒマワリ、アザミ、食用菊、ゴボウ、フキ等が例示される。本発明においては、シュンギク、ヨモギが特に好適に使用できる。
本発明において、ユリ科植物としては、被子植物類ユリ科に属する植物であれば特に限定はなく、例えば、アロエ、タマネギ、ネギ、ニンニク、チューリップ、ユリ等が例示される。本発明においては、アロエが特に好適に使用できる。
本発明において、タデ科植物としては、被子植物類タデ科に属する植物であれば特に限定はなく、例えば、ヤナギタデ、スイバ、ギシギシ、ダイオウ、ミチヤナギ、オオケタデ、イヌタデ、アザブタデ、ホソバタデ、ボントクタデ、ヤブタデ、ヒメタデ、ホソバイヌタデ、ヌカボタデ、ヤナギヌカボ、ケネバリタデ、ハルタデ、サナエタデ、アイ、サクラタデ、ニオイタデ、エゾノミズタデ、タニソバ、ツルタデ、ツルソバ、イタドリ、ソバ等が例示される。本発明においては、ヤナギタデが特に好適に使用できる。
本発明に使用される植物は、特に限定はないが、果実、種子、種皮、花、葉、茎、根、根茎及び/又は植物全体そのままを使用することができる。
本発明の有効成分として使用される、各種植物由来の処理物としては、原料植物に対し何らかの加工を施したものであってインスリン様作用を有していれば特に限定はないが、例えば抽出物、粉砕物、搾汁液、破砕物、化学処理物、酵素処理物をいい、特に好適には抽出物、粉砕物および搾汁液が例示される。
なお、本発明においてインスリン様作用とは、インスリンの有する生理活性のうち少なくとも1つを示すものであれば特に限定はなく、例えば、細胞における糖、アミノ酸の取り込み促進、グリコーゲン、タンパク質合成及び分解抑制などの代謝調節作用が例示される。また、インスリン様作用の有無については、後述の実施例2又は3に記載の方法により簡便に測定することができる。
本発明において、抽出物とは原料植物に対し抽出溶媒を用いて抽出操作を行う工程を経て得られる物質そのもののことをいう。抽出は、公知の抽出方法により以下のように行うことができる。例えば原料を粉砕もしくは細断した後、溶媒を用いてバッチ式もしくは連続式で行うことができる。抽出物を得る際の抽出溶媒としては、特に限定はないが、水、クロロホルム、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等の親水性もしくは親油性の溶媒を挙げることができ、所望により単独で、もしくは適宜混合液として用いることができる。抽出溶媒の量は適宜決定すればよいが、通常、原料植物に対し、使用時の原料植物の形態そのまま(例えば原料植物が生の植物であれば生の植物)の重量の、好ましくは0.1〜100倍量の抽出溶媒を使用すれば良い。抽出温度も適宜、目的に応じて決定すれば良いが、水抽出の場合は通常、好ましくは4〜130℃、より好ましくは25〜100℃である。また、溶媒中にエタノールが含まれる場合は4〜60℃の範囲が好適である。抽出時間も、抽出効率を考慮し決定すればよいが、通常、好ましくは数秒〜数日間、より好ましくは5分〜24時間の範囲となるように、原料、抽出溶媒、抽出温度を設定するのが好適である。抽出操作は、たとえば、攪拌しながら又は静置して行えばよく、また、必要に応じて数回繰り返してもよい。以上の操作により、本発明に使用される各種植物由来の抽出物(以下、本発明の抽出物と称することがある。)を得ることができる。抽出物は必要に応じ、ろ過、遠心分離、濃縮、限外ろ過、分子ふるい等の処理を行い、目的のインスリン様作用物質が濃縮された抽出物を調製することができる。抽出物や濃縮抽出物のインスリン様作用は、後述の実施例2又は3記載の方法により簡便に測定することができる。また、本発明に使用される各種植物を公知の方法で茶葉状にし、これを用いた抽出物もインスリン様作用を有していれば、本発明の抽出物として使用することができる。また、以上の抽出物を2種以上含有させて使用することもできる。なお、本発明においては原料植物から異なった抽出法で得られた抽出物を2種以上含有させて使用することもできる。
また、本発明においては、本発明の抽出物を公知の方法で分画することによって得られる画分や、分画操作を複数回繰り返すことにより得られる画分についても本発明の抽出物に包含される。上記の分画手段としては、抽出、分別沈殿、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等が挙げられる。得られた画分の精製を、インスリン様作用を指標としてさらに進めることにより、インスリン様作用物質を単離することもできる。
また、本発明に使用される各種植物由来の処理物であって、本発明の抽出物以外のものとしては、例えば、本発明に使用される各種植物由来の粉砕物(以下、本発明の粉砕物と称することがある。)が例示される。本発明の粉砕物の製造方法としては、例えば植物を乾燥させ、粉砕機を使用して粉砕することで粉状の各種植物由来の粉砕物を得る方法が挙げられる。また、凍結粉砕により粉砕物を得てもよい。
また、本発明に使用される各種植物由来の搾汁液も、本発明の処理物として使用できる。当該搾汁の製造方法としては、公知の植物の搾汁方法であれば特に限定はないが、例えばスクリュー式、ギア式、カッター式等の搾り機やジューサーを用いて搾汁することができる。また、前処理として細断あるいはすりつぶして、上述のジューサー又は布等で絞って搾汁液を得ることもできる。
破砕物とは、原料植物を砕き壊したものであり、一般には粉砕物よりも組織片が大きく、例えば、破砕機を使用することにより製造することができる。また、化学処理物とは、特に限定はないが、原料植物を酸処理、アルカリ処理、酸化処理、還元処理等に供して得られた物をいい、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、酢酸等の無機酸や有機酸、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基や有機塩基を含む水溶液に原料植物を浸漬することにより製造することができる。化学処理物には、前記のような化学処理を受けた植物体に由来するすべてのものを含む。酵素処理物とは、例えば、ペクチナーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、アミラーゼ、マンナナーゼ、グルコシダーゼ等による酵素処理物、微生物による酵素反応物(例えば、発酵物)をいい、例えば、原料植物に対して上記酵素を適当な緩衝液中で作用させることにより製造することができる。酵素処理物には、前記のような酵素処理を受けた植物体に由来するすべてのものを含む。さらに、本発明の植物由来処理物としては、例えば、原料植物の茎を切断し、その切断面から得られる汁液も包含される。
本発明において、本発明の処理物の形状としては、本発明の各態様で有効成分として使用した際にインスリン様作用を発揮できれば特に限定はないが、粉状、固形状、液状のいずれの形状であってもよい。また、処理物を公知の方法で造粒して粒状の固形物として使用することができる。造粒方法としては、特に限定はないが、転動造粒、攪拌造粒、流動層造粒、気流造粒、押出し造粒、圧縮成型造粒、解砕造粒、噴射造粒又は噴霧造粒等が例示される。粉状の当該処理物を液体、例えば水やアルコール等に溶解して液状とし、本発明の各種植物由来処理物として使用することもできる。
また、本発明は、本発明の処理物を高濃度又は高純度に含有する食品、飲料又は飼料を提供するが、それらの食品、飲料又は飼料は、従来の食品、飲料又は飼料と比べて、インスリン様作用物質が高濃度及び/又は高純度に含有されている。
なお、本発明において、本発明の処理物を本発明の有効成分と称し、本発明の有効成分を含有するインスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患の治療剤又は予防剤を本発明の治療剤又は予防剤と称することがある。また、本発明の医薬という場合、治療剤および予防剤に加え、インスリン様作用剤が含まれる場合がある。
本発明の有効成分には、後述するように特に毒性は認められない。また、副作用の発生の心配もない。それゆえ、安全かつ適切に疾患の治療又は予防を行うことができる。従って、当該有効成分を含んでなる本発明の治療剤、予防剤、食品、飲料または飼料は、インスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患の治療または予防に有効である。
また、本発明において、インスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患としては、血中のインスリンレベルの変化、インスリンもしくはインスリン受容体の活性のレベルの変化、インスリン受容体の下流シグナルの異常、及びそれらの組み合わせから選択される因子によって特徴づけられる疾患が挙げられ、例えば、糖尿病、肥満症、高血圧、動脈硬化、コカイン禁断症状、鬱血性心不全、健忘症、心臓血管痙攣、大脳血管痙攣、クロム親和性細胞腫、神経節神経芽腫、ハンチントン病、高脂血症が例示される。糖尿病としては、I型糖尿病、II型糖尿病のいずれもが例示される。また、II型糖尿病としては、インスリンやインスリン分泌促進薬を投与しても治療効果の見られないようなインスリン抵抗性が要因の疾患についても包含される。
また、インスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患は、その発症段階において、インスリン産生量が不足していたり、あるいはインスリン抵抗性が原因となってインスリンによる作用が不十分となることが多い。本発明の有効成分はインスリン様作用を示すことにより、インスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患の発症を抑制することができることから、当該疾患の予防効果をも期待できるものである。
インスリン抵抗性の状態においてはインスリンによるインスリン受容体からの信号が阻害されており、インスリンの持つ多彩な機能が発揮されず、種々の代謝異常が生じる。本発明に使用される有効成分はインスリン抵抗性の症状に対してもインスリン様の効果を発揮することができる。すなわち、本発明の予防剤または治療剤を用いることで、インスリン抵抗性が要因の疾患、例えばインスリンやインスリン分泌促進薬を投与しても治療効果の見られないようなII型糖尿病に対しても治療もしくは予防効果を発揮することができる。また、本発明の有効成分は、血中インスリン量の低下効果をも発揮し得る。すなわち、本発明の医薬を、治療又は予防にインスリン量の低下を要する疾患の治療又は予防剤として使用することもできる。当該疾患としては、特に限定はないが、高インスリン血症やアルツハイマー病等が例示される。また、インスリン受容体を介する刺激と延命効果については密接な関係があるという報告もあることから(Science,vol.299,P572〜574(2003年);Nature,vol.424,P277〜284(2003年))、本発明の医薬を老化防止剤として使用することもできる。
インスリンは脂肪前駆細胞の脂肪細胞への分化誘導を促進することが知られており、また成熟した脂肪細胞ではグルコースを取り込み、細胞内にトリグリセリドが蓄積されることが知られている(J.Biol.Chem.,Vol.253,No.20,P7570〜7578(1978年))。すなわち、この方法を利用して、インスリンの代わりに被験物質を投与し、脂肪細胞への分化や細胞中のトリグリセリド量を測定することで、被験物質のインスリン様作用を測定することができる。
また、インスリンは細胞へのグルコース取り込み促進作用を有することが知られており、成熟した脂肪細胞ではインスリンの作用により細胞内へのグルコースの取り込みが促進されることが知られている(J.Biol.Chem.,Vol.253,No.20,P7579−7583(1978年))。すなわち、この方法を利用して、インスリンの代わりに被験物質を投与し、成熟脂肪細胞内へのグルコースの取り込み量を測定することで、被験物質のインスリン様作用を測定することができる。
本発明の治療剤または予防剤としては、本発明に係る前記有効成分を公知の医薬用担体と組み合わせて製剤化したものが挙げられる。また、本発明の治療剤又は予防剤としては、前記有効成分を当該有効成分と同じ用途に使用可能な他の成分、例えば公知のインスリン製剤、インスリン分泌促進剤、インスリン抵抗性改善剤、食後過血糖改善剤、インスリン様作用剤などと配合することもできる。国際公開第04/014407号パンフレットに記載のインスリン様作用を有するセリ科植物由来の処理物と配合することもできる。
本発明の治療剤または予防剤の製造は、通常、前記有効成分を薬学的に許容できる液状または固体状の担体と配合することにより行われ、所望により溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を加えて、錠剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、カプセル剤等の固形剤、通常液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤とすることができる。また、使用前に適当な担体の添加によって液状となし得る乾燥品や、その他、外用剤とすることもできる。
医薬用担体は、治療剤または予防剤の投与形態および剤型に応じて選択することができる。固体組成物からなる経口剤とする場合は、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤等とすることができ、たとえば、デンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩などが利用される。また経口剤の調製に当っては、更に結合剤、崩壊剤、界面活性剤、潤沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料などを配合することもできる。たとえば、錠剤または丸剤とする場合は、所望によりショ糖、ゼラチン、ハイドロキシプロピルセルロースなどの糖衣または胃溶性もしくは腸溶性物質のフィルムで被覆してもよい。液体組成物からなる経口剤とする場合は、薬理学的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤などとすることができ、たとえば、精製水、エタノールなどが担体として利用される。また、さらに所望により湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、防腐剤などを添加してもよい。
一方、非経口剤とする場合は、常法に従い本発明の前記有効成分を希釈剤としての注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、注射用植物油、ゴマ油、落花生油、大豆油、トウモロコシ油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどに溶解ないし懸濁させ、必要に応じ、殺菌剤、安定剤、等張化剤、無痛化剤などを加えることにより調製することができる。また、固体組成物を製造し、使用前に無菌水または無菌の注射用溶媒に溶解して使用することもできる。
外用剤としては、経皮投与用または経粘膜(口腔内、鼻腔内)投与用の、固体、半固体状または液状の製剤が含まれる。また、座剤なども含まれる。たとえば、乳剤、ローション剤などの乳濁剤、外用チンキ剤、経粘膜投与用液剤などの液状製剤、油性軟膏、親水性軟膏などの軟膏剤、フィルム剤、テープ剤、パップ剤などの経皮投与用または経粘膜投与用の貼付剤などとすることができる。
以上の各種製剤は、それぞれ公知の医薬用担体などを利用して、適宜、常法により製造することができる。また、かかる製剤における有効成分の含有量は、その投与形態、投与方法などを考慮し、好ましくは後述の投与量範囲で当該有効成分を投与できるような量であれば特に限定されるものではない。本発明の医薬中の有効成分の含有量としては通常1〜100重量%程度である。
本発明の治療剤又は予防剤は、製剤形態に応じた適当な投与経路で投与される。投与方法も特に限定はなく、内用、外用および注射によることができる。注射剤は、たとえば静脈内、筋肉内、皮下、皮内などに投与し得、外用剤では、たとえば、座剤をその適する投与方法により投与すればよい。
本発明の治療剤または予防剤としての投与量は、その製剤形態、投与方法、使用目的および当該治療剤または予防剤の投与対象である患者の年齢、体重、症状によって適宜設定され一定ではない。一般には、製剤中に含有される前記有効成分の投与量で、成人1日当り好ましくは0.1μg〜10g/kg体重、より好ましくは1μg〜5g/kg体重、さらに好ましくは10μg〜1g/kg体重である。もちろん投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、あるいは範囲を超えて必要な場合もある。投与は、所望の投与量範囲内において、1日内において単回で、または数回に分けて行ってもよい。投与期間も任意である。また、本発明の治療剤または予防剤はそのまま経口投与するほか、任意の飲食品に添加して日常的に摂取させることもできる。
また、本発明は前記有効成分を含むインスリン様作用剤を提供することもできる。当該インスリン様作用剤としては、前記有効成分そのものであってもよく、また、前記有効成分を含む組成物であってもよい。当該インスリン様作用剤は、たとえば、前記有効成分を当該有効成分と同じ用途に使用可能な他の成分、例えば公知のインスリン製剤、インスリン分泌促進剤、インスリン抵抗性改善剤、食後過血糖改善剤、インスリン様作用剤などと配合し、上記治療剤または予防剤の製造方法に準じて通常使用される試薬の形態に製造すればよい。また、国際公開第04/014407号パンフレットに記載のインスリン様作用を有するセリ科植物由来の処理物と配合することもできる。当該インスリン様作用剤における前記有効成分の含有量は、当該インスリン様作用剤の投与方法、使用目的などを考慮し、本発明の所望の効果の発現が得られ得るような量であればよく、特に限定されるものではない。本発明のインスリン様作用剤中の有効成分の含有量としては通常1〜100重量%程度である。また、当該インスリン様作用剤の使用量も、本発明の所望の効果の発現が得られ得る量であれば特に限定されるものではない。特に、生体に投与して使用する場合には、好ましくは前記治療剤または予防剤における有効成分の投与量の範囲内で有効成分を投与できるような量で使用すればよい。インスリン様作用剤は、インスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患の治療または予防において有用である。また、当該インスリン様作用剤はインスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患に対する薬物のスクリーニングにも有用である。さらに当該インスリン様作用剤は、インスリンの細胞への作用メカニズム研究や、その細胞の物理的変化に関する機能研究にも有用である。また、当該インスリン様作用剤は血清やインスリン製剤のかわりに、もしくはそれらと共に細胞・組織・臓器培養用の培地に添加して使用することもできる。当該培地は血清やインスリン製剤を低減もしくは含まない細胞・組織・臓器培養用の培地として使用するのに非常に有用である。
また、本発明のインスリン様作用剤をヒトに投与することにより、血中インスリン量の低下を期待することができる。すなわち、本発明のインスリン様作用剤を、治療又は予防にインスリン量の低下を要する疾患の治療又は予防剤として使用することもできる。当該疾患としては、特に限定はないが、高インスリン血症やアルツハイマー病等が例示される。また、インスリン受容体を介する刺激と延命効果については密接な関係があるという報告もあることから(Science,vol.299,P572〜574(2003年);Nature,vol.424,P277〜284(2003年))、本発明のインスリン様作用剤を老化防止剤として使用することもできる。
本発明の有効成分には、後述するように特に毒性は認められない。また、副作用の発生の心配もない。それゆえ、安全かつ適切にインスリン様作用を生体内で発現させることができる。従って、当該有効成分を含んでなる本発明の医薬、食品、飲料または飼料は、インスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患の治療または予防に有効である。
また、本発明は、前記有効成分を含有してなるインスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患の治療用又は予防用の食品、飲料又は飼料を提供する。本発明の食品、飲料または飼料は、そのインスリン様作用により、インスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患の症状改善、予防に極めて有用である。さらに、本発明の食品又は飲料は、血糖値を低下させる作用を有する、血糖値低下用の食品又は飲料であり、血糖値が気になる方や体脂肪が気になる方に対して有効な機能性食品又は飲料として有用である。
本発明の食品、飲料または飼料においては、本発明の有効成分と、抗糖尿病作用を有することが知られている他の物質、例えば、公知のインスリン様作用物質、インスリン分泌促進作用を有する物質、インスリン抵抗性改善作用を有する物質、食後過血糖改善作用を有する物質などとを配合することもできる。例えば、難消化性デキストリン等と配合することもできる。また、国際公開第04/014407号パンフレットに記載のインスリン様作用を有するセリ科植物由来の処理物と配合することもできる。
なお、本発明の食品、飲料または飼料において「含有」とは、含有、添加および/または希釈を意味する。ここで、「含有」とは食品、飲料または飼料中に本発明で使用される有効成分が含まれるという態様を、「添加」とは食品、飲料または飼料の原料に、本発明で使用される有効成分を添加するという態様を、「希釈」とは本発明で使用される有効成分に、食品、飲料または飼料の原料を添加するという態様をいうものである。
本発明の食品、飲料または飼料の製造法に特に限定はない。たとえば、配合、調理、加工などは一般の食品、飲料または飼料のものに従えばよく、それらの製造法により製造することができ、得られた食品、飲料または飼料にインスリン様作用を有する本発明に係る前記有効成分が含有されていれば良い。
本発明の食品または飲料としては特に限定はないが、たとえば、本発明に係る前記有効成分が含有されてなる、穀物加工品(小麦粉加工品、デンプン類加工品、プレミックス加工品、麺類、マカロニ類、パン類、あん類、そば類、麩、ビーフン、はるさめ、包装餅など)、油脂加工品(可塑性油脂、てんぷら油、サラダ油、マヨネーズ類、ドレッシングなど)、大豆加工品(豆腐類、味噌、納豆など)、食肉加工品(ハム、ベーコン、プレスハム、ソーセージなど)、水産製品(冷凍すりみ、かまぼこ、ちくわ、はんぺん、さつま揚げ、つみれ、すじ、魚肉ハム、ソーセージ、かつお節、魚卵加工品、水産缶詰、つくだ煮など)、乳製品(原料乳、クリーム、ヨーグルト、バター、チーズ、練乳、粉乳、アイスクリームなど)、野菜・果実加工品(ペースト類、ジャム類、潰け物類、果実飲料、野菜飲料、ミックス飲料など)、菓子類(チョコレート、ビスケット類、菓子パン類、ケーキ、餅菓子、米菓類など)、アルコール飲料(日本酒、中国酒、ワイン、ウイスキー、焼酎、ウオッカ、ブランデー、ジン、ラム酒、ビール、清涼アルコール飲料、果実酒、リキュールなど)、嗜好飲料(緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒー、清涼飲料、乳酸飲料など)、調味料(しょうゆ、ソース、酢、みりんなど)、缶詰・瓶詰め・袋詰め食品(牛飯、釜飯、赤飯、カレー、その他の各種調理済み食品)、半乾燥または濃縮食品(レバーペースト、その他のスプレッド、そば・うどんの汁、濃縮スープ類)、乾燥食品(即席麺類、即席カレー、インスタントコーヒー、粉末ジュース、粉末スープ、即席味噌汁、調理済み食品、調理済み飲料、調理済みスープなど)、冷凍食品(すき焼き、茶碗蒸し、うなぎかば焼き、ハンバーグステーキ、シュウマイ、餃子、各種スティック、フルーツカクテルなど)、固形食品、液体食品(スープなど)、香辛料類などの農産・林産加工品、畜産加工品、水産加工品などが挙げられる。
本発明の食品または飲料は、前記有効成分が単独もしくは複数含有、添加および/または希釈されており、その含有量がインスリン様作用を発現するための必要量に相当するものであれば特にその形状に限定はなく、タブレット状、顆粒状、カプセル状等の形状の経口的に摂取可能な形状物も包含する。また、本発明の食品としては、原料植物の処理物をそのまま、もしくは適当な乳化剤等と適宜混合して固めたものも包含される。
また、本発明の飲料については、本発明の有効成分と、本発明に使用される植物以外の植物(野菜や果実等)の搾汁液と混合もしくは本発明に使用される植物と同時に搾汁して健康飲料とすることもできる。例えば、本発明に使用される各種植物の搾汁液を水で希釈したり、アシタバ、パセリ、セロリ、甘草、ニンジン、小松菜、カブ、チンゲンサイ、トマト、ミカン、レモン、グレープフルーツ、キウイ、ほうれん草、ラディッシュ、大根、白菜、キャベツ、サラダ菜、レタス、ニラ、オクラ、ピーマン、キュウリ、インゲン、えだまめ、エンドウ、トウモロコシ、ニンニク、ルッコラ、ビワ、夏みかん、甘夏等の搾汁液や、牛乳、豆乳等と混合してインスリン様作用を有する健康飲料とすることができる。
本発明の食品又は飲料中の前記有効成分の含有量は特に限定されず、その官能と活性発現の観点から適宜選択できるが、例えば食品中、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5〜95重量%、更に好適には1〜90重量%であり、例えば、飲料中、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5〜95重量%、更に好適には1〜90重量%である。また本発明の食品又は飲料は、好ましくは、それらに含有される有効成分が、例えば成人1日当たり0.1μg〜10g/kg体重、好ましくは1μg〜5g/kg体重、さらに好ましくは10μg〜1g/kg体重となるように摂取すればよい。
また、本発明は、前記有効成分を含有、すなわち、含有、添加および/または希釈してなる、インスリン様作用を有する生物用の飼料を提供するものであり、さらに、別の一態様として、前記有効成分を生物に投与することを特徴とする生物の飼育方法をも提供する。また、本発明の別の一態様として、前記有効成分を含有することを特徴とする生物飼育用剤が提供される。
これらの発明において、生物とはたとえば養殖動物、ペット動物などであり、養殖動物としては家畜、実験動物、家禽、魚類、甲殼類または貝類が例示される。飼料としては体調の維持および/または改善用飼料が例示される。生物飼育用剤としては浸漬用剤、飼料添加剤、飲料用添加剤が例示される。
これらの発明によれば、それらを適用する前記例示するような生物において、本発明に使用される前記有効成分のインスリン様作用に基づき、本発明の前記治療剤または予防剤によるのと同様の効果の発現が期待できる。すなわち、本発明の飼料は、当該生物におけるインスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患の治療または予防効果を発揮し得る。
本発明に使用される前記有効成分は通常、対象生物の体重1kg、1日当たり好ましくは0.01〜2000mg投与される。投与は、たとえば、当該有効成分を、対象生物に供する人工配合飼料の原料中に添加混合しておくか、人工配合飼料の粉末原料と混合した後、その他の原料にさらに添加混合することで行うことができる。また、前記有効成分の飼料中の含有量は特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜設定すれば良いが、0.001〜15重量%の割合が好適である。生物飼育用剤における本発明の有効成分の含有量も同程度とすればよい。
本発明の飼料の製造法に特に限定はなく、また配合も一般の飼料に準ずるものであればよく、製造された飼料中にインスリン様作用を有する本発明に係る前記有効成分が含まれていればよい。生物飼育用剤も同様にして調製することができる。
本発明が適用できる生物としては限定はないが、養殖動物としては、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ラマなどの家畜、マウス、ラット、モルモット、ウサギなどの実験動物、ニワトリ、アヒル、七面鳥、駝鳥などの家禽、ペット動物としてはイヌ、ネコなどが挙げられ、広く適用できる。
本発明においては、例えば、インスリン様作用を有する本発明に使用される前記有効成分を含んでなる飼料を摂取させたり、またはインスリン様作用を有する本発明に使用される前記有効成分の含有液(例えば、前記浸漬剤を水に溶解させたもの)に対象生物を浸漬したりすることにより、家畜、実験動物、家禽、ペット動物などの体調を良好に維持し、または、改善させたりすることができる。なお、これらの態様は本発明における生物の飼育方法の一態様である。
また、本発明は前記有効成分を含む細胞へのグルコース取り込み促進剤を提供することもできる。当該グルコース取り込み促進剤としては、前記有効成分そのものであってもよく、また、前記有効成分を含む組成物であってもよい。当該グルコース取り込み促進剤は、たとえば、前記有効成分を当該有効成分と同じ用途に使用可能な他の成分、例えば公知のインスリン製剤、インスリン分泌促進剤、インスリン抵抗性改善剤、食後過血糖改善剤、インスリン様作用剤などと配合し、上記治療剤または予防剤の製造方法に準じて通常使用される試薬の形態に製造すればよい。また、国際公開第04/014407号パンフレットに記載の細胞へのグルコース取り込み促進作用を有するセリ科植物由来の処理物と配合することもできる。当該グルコース取り込み促進剤における前記有効成分の含有量は、当該グルコース取り込み促進剤の投与方法、使用目的などを考慮し、本発明の所望の効果の発現が得られ得るような量であればよく、特に限定されるものではない。本発明のグルコース取り込み促進剤中の有効成分の含有量としては通常1〜100重量%程度である。また、該グルコース取り込み促進剤の使用量も、本発明の所望の効果の発現が得られ得る量であれば特に限定されるものではない。特に、生体に投与して使用する場合には、好ましくは前記治療剤または予防剤における有効成分の投与量の範囲内で有効成分を投与できるような量で使用すればよい。当該グルコース取り込み促進剤は、治療又は予防に細胞へのグルコース取り込み促進作用を要する疾患の治療又は予防に有用である。当該疾患としては、例えば上記の治療又は予防にインスリン様作用を要する疾患のほか、心臓疾患、特に心筋梗塞、虚血後の心臓損傷等が例示される。また、当該グルコース取り込み促進剤は、細胞によるグルコースの取り込みを促進することから、筋肉細胞においては当該作用が機能することにより、筋肉増強作用、疲労回復作用を誘発することができる。また、当該グルコース取り込み促進剤は、これらの疾患に対する治療又は予防用の食品、飲料又は飼料の製造に使用することもできる。これらの食品、飲料又は飼料については、本発明の前記食品、飲料又は飼料に準じて使用することができる。また、当該グルコース取り込み促進剤は上記の治療又は予防に細胞へのグルコース取り込み促進作用を要する疾患に対する薬物のスクリーニングにも有用である。さらに当該グルコース取り込み促進剤は、細胞によるグルコース取り込み作用のメカニズム研究やその細胞の物理的変化等の機能研究にも有用である。
また、本発明は前記有効成分を含む脂肪細胞への分化誘導剤を提供することもできる。当該分化誘導剤が脂肪細胞に分化誘導できる前駆細胞としては、脂肪細胞に分化しうる細胞であれば特に限定はないが、例えば前駆脂肪細胞の他、繊維芽細胞や間葉系幹細胞等が挙げられる。当該分化誘導剤としては、前記有効成分そのものであってもよく、また、前記有効成分を含む組成物であってもよい。当該分化誘導剤は、たとえば、前記有効成分を当該有効成分と同じ用途に使用可能な他の成分、例えば公知のインスリン製剤、インスリン分泌促進剤、インスリン抵抗性改善剤、食後過血糖改善剤、インスリン様作用剤などと配合し、上記治療剤または予防剤の製造方法に準じて通常使用される試薬の形態に製造すればよい。また、国際公開第04/014407号パンフレットに記載の脂肪細胞への分化誘導作用を有するセリ科植物由来の処理物と配合することもできる。当該分化誘導剤における前記有効成分の含有量は、当該分化誘導剤の投与方法、使用目的などを考慮し、本発明の所望の効果の発現が得られ得るような量であればよく、特に限定されるものではない。本発明の脂肪細胞への分化誘導剤中の有効成分の含有量としては通常1〜100重量%程度である。また、当該分化誘導剤の使用量も、本発明の所望の効果の発現が得られ得る量であれば特に限定されるものではない。特に、生体に投与して使用する場合には、好ましくは前記治療剤または予防剤における有効成分の投与量の範囲内で有効成分を投与できるような量で使用すればよい。当該分化誘導剤は、治療又は予防に脂肪細胞への分化誘導作用を要する疾患の治療又は予防に有用である。当該疾患としては、例えば上記の治療又は予防にインスリン様作用を要する疾患のほか、痛風、脂肪肝、胆石症、月経異常、不妊症等が例示される。また、当該分化誘導剤は、これらの疾患に対する治療又は予防用の食品、飲料又は飼料の製造に使用することもできる。これらの食品、飲料又は飼料については、本発明の前記食品、飲料又は飼料に準じて使用することができる。また、当該分化誘導剤は上記の治療又は予防に脂肪細胞への分化誘導剤を要する疾患に対する薬物のスクリーニングにも有用である。さらに当該分化誘導剤は、脂肪細胞への分化誘導作用のメカニズム研究やその物理的変化等の機能研究にも有用である。
本発明で使用される前記有効成分は、その作用発現にとっての有効量の投与を生体に行っても毒性は認められない。たとえば経口投与の場合、モロヘイヤ、アロエ、ガジュツ、シュンギク、ヤナギタデ又はヨモギのエタノール抽出物をそれぞれ1g/kg体重でマウスに単回投与しても死亡例は認められない。また、前記有効成分は、ラットへの経口投与において1g/kgを経口単回投与しても死亡例は認められない。
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら限定されるものではない。なお、実施例における%は特に記載がなければすべて容量%を意味する。
実施例1 モロヘイヤ抽出画分の調製
モロヘイヤの乾燥粉末2gずつに40mlの蒸留水、エタノールまたは酢酸エチルを加え、30分間、室温で抽出を行い、遠心分離にて抽出液と残渣に分けた。次いで残渣に対して同溶媒30mlによる抽出操作を2回繰り返した。なお、水抽出は60℃、エタノール抽出、酢酸エチル抽出は室温で行った。得られた抽出液を集めてロータリーエバポレーターで濃縮した。最終的に、水抽出液については20mlの蒸留水に溶解し、モロヘイヤ水抽出画分を得た。エタノール抽出液については5mlのジメチルスルホキシドに溶解し、モロヘイヤエタノール抽出画分を得た。酢酸エチル抽出液については5mlのジメチルスルホキシドに溶解し、モロヘイヤ酢酸エチル抽出画分を得た。
実施例2 モロヘイヤ抽出画分による脂肪細胞への分化誘導
(1)脂肪細胞への分化誘導
脂肪細胞への分化誘導は前述のRubin C.S.らの方法(J.Biol.Chem.,Vol.253,No.20,P7570〜7578(1978年))を一部改良して行った。200μMアスコルビン酸を含む10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有ダルベッコ改良イーグル培地(シグマ社製,D6046)(以下A−D−MEM培地)に前駆脂肪細胞株3T3−L1(ATCC CCL−92.1)を4×10個/mlになるように懸濁し、12穴マイクロタイタープレートのウェルに2mlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で7日間培養した。なお、2,4日目に同培地により培地交換を行った。7日目に、0.25μMデキサメタゾンを含むA−D−MEM培地に交換後、実施例1で調製したモロヘイヤ水抽出画分水溶液を終濃度0.1%となるように、あるいは実施例1で調製したモロヘイヤエタノール抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を終濃度0.067%となるように、あるいは実施例1で調製したモロヘイヤ酢酸エチル抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を終濃度0.067%となるように添加した。なお陽性対照として4μlの5mg/mlインスリン(タカラバイオ社製)水溶液添加の区分を、陰性対照としてジメチルスルホキシド添加の区分を設定した。45時間後にA−D−MEM培地に交換し、前記と同様にして、各ウェルにモロヘイヤ水抽出画分水溶液を終濃度0.1%となるように、モロヘイヤエタノール抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を終濃度0.067%となるように、モロヘイヤ酢酸エチル抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を終濃度0.067%となるように添加し、陽性対照として2μlの5mg/mlインスリン水溶液、陰性対照としてジメチルスルホキシドを添加し、さらに7日間培養した。なお、2、4日目に培地を交換し、前記と同様にして、その際各ウェルに、モロヘイヤ水抽出画分水溶液を終濃度0.1%となるように、モロヘイヤエタノール抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を終濃度0.067%となるように、モロヘイヤ酢酸エチル抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を終濃度0.067%となるように添加し、陽性対照として2μlの5mg/mlインスリン水溶液、陰性対照としてジメチルスルホキシドを添加した。
(2)トリグリセリド生合成量の測定
成熟脂肪細胞への分化誘導の指標として、またインスリン様作用の評価として細胞中のトリグリセリドの量を測定した。培養終了後、培地を除き、リン酸緩衝塩溶液で2回細胞を洗浄し、1mlのヘキサン:イソプロパノール=3:2の溶媒を添加して30分間室温に置いた後上清を回収した。この操作を再度繰り返し、得られた2mlの上清を濃縮乾固した。沈殿を100μlのイソプロパノールに溶解後、溶液10μl中に含まれるトリグリセリドの量をトリグリセライドG−テスト(和光純薬社製、code 276−69801)を用い測定した。また、測定は全て2連で行った。
この結果、ジメチルスルホキシド添加区分と比較してモロヘイヤ水抽出画分、モロヘイヤエタノール抽出画分、あるいはモロヘイヤ酢酸エチル抽出画分添加区分においてインスリンを添加した区分と同様にトリグリセリド生合成の誘導が確認できた。すなわち、モロヘイヤ水抽出画分、モロヘイヤエタノール抽出画分、あるいはモロヘイヤ酢酸エチル抽出画分に脂肪細胞への分化誘導活性が認められた。これを第1図に示す。第1図は、横軸に各サンプルを、縦軸にトリグリセリド生合成量(μg/ml)を示す。
実施例3 モロヘイヤ抽出画分によるグルコース取り込み促進作用
(1)成熟脂肪細胞の調製
成熟脂肪細胞への分化誘導は前述のRubin C.S.らの方法を一部改良し、行った。200μMアスコルビン酸を含む10%ウシ胎児血清含有ダルベッコ改良イーグル培地(シグマ社製,D6046)に3T3−L1細胞を4×10個/mlになるように懸濁し、12穴マイクロタイタープレートのウエルに2mlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で7日間培養した。7日目に、200μMアスコルビン酸、0.25μMデキサメタゾン及び10μg/mlインスリン、0.5mM 3−イソブチル1−メチルキサンチン(ナカライテスク社製、19624−44)を含む10%ウシ胎児血清含有ダルベッコ改良イーグル培地2mLに交換した。45時間後に200μMアスコルビン酸及び5μg/mlインスリンを含む10%ウシ胎児血清含有ダルベッコ改良イーグル培地2mLに交換し、さらに2日後、4日後に同培地を交換し7日間培養することで成熟脂肪細胞を調製した。
(2)成熟脂肪細胞へのグルコース取り込み促進作用の測定
グルコース取り込み促進作用の評価として、またインスリン様作用の評価として成熟脂肪細胞においてサンプル(前記モロヘイヤ抽出画分)刺激時の細胞内への2−デオキシグルコース取り込み量を測定した。
培養終了後、培地を除き、0.1%(w/v)牛血清アルブミン(シグマ社製、A8022)含有ダルベッコ改良イーグル培地で2回細胞を洗浄した後、各ウエルにそれぞれ実施例1で調製したモロヘイヤエタノール抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を終濃度で0.2%または0.1%、あるいはモロヘイヤ酢酸エチル抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を終濃度で0.1%含む同培地1mLを添加し、5%炭酸ガス存在下、37℃で一晩培養した。なお、陰性対照としてサンプルを添加しない区分を設定した。一晩培養後、ヘペス緩衝塩溶液(140mM NaCl、5mM KCl、2.5mM MgSO、1mM CaCl、20mM HEPES−Na(pH7.4))で2回細胞を洗浄し、各ウエルにそれぞれモロヘイヤエタノール抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を終濃度で0.2%または0.1%、あるいはモロヘイヤ酢酸エチル抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を終濃度で0.1%含む同緩衝液0.9mLを添加し、37℃で75分間培養した。この際陽性対照として、45分間経過した時点でサンプルを添加していないウエルで終濃度1μg/mLとなるようにインスリンを添加した区分を設定した。その後、0.5μCi/ml 2−デオキシ−[1,2−H(N)]−グルコース(パーキンエルマーライフサイエンス社製、NET549A)、1mM 2−デオキシグルコース(ナカライテスク社製、10722−11)含有ヘペス塩緩衝液100μLを添加しさらに37℃で10分培養した。培養終了後、上清を除去し、4℃に冷却したリン酸塩緩衝液で3回細胞を洗浄後、1%ノニデットP−40含有リン酸塩緩衝液0.5mLを添加し細胞を溶解することで、細胞中に取り込まれた2−デオキシ−[1,2−H(N)]−グルコースを溶出した。上清25μlを用いてAquasol−2(パーキンエルマーライフサイエンス社製、6NE9529)をシンチレーションカクテルとして液体シンチレーションカウンターLS6500(ベックマン社製)により放射活性を測定した。
この結果、各濃度のモロヘイヤエタノール抽出画分あるいはモロヘイヤ酢酸エチル抽出画分を添加した区分で陰性対照と比較してインスリンを添加した区分と同様に2−デオキシ[1,2−H(N)]−グルコース取り込みの促進が見られた。すなわち、モロヘイヤエタノール抽出画分およびモロヘイヤ酢酸エチル抽出画分にグルコース取り込み促進活性が認められた。これを第2図に示す。第2図は、横軸に各サンプルを、縦軸に2−デオキシ[1,2−H(N)]−グルコース量(dpm)を示す。
実施例4 ガジュツ抽出画分の調製
ガジュツの乾燥粉末2gずつに40mlの蒸留水、エタノールまたは酢酸エチルを加え、30分間抽出を行い、遠心分離にて抽出液と残渣に分けた。次いで残渣に対して同溶媒30mlによる抽出操作を2回繰り返した。なお、水抽出は60℃、エタノール抽出、酢酸エチル抽出は室温で行った。得られた抽出液を集めてロータリーエバポレーターで濃縮した。最終的に、水抽出液については10mlの蒸留水に溶解し、ガジュツ水抽出画分を得た。エタノール抽出液については5mlのジメチルスルホキシドに溶解し、ガジュツエタノール抽出画分を得た。酢酸エチル抽出液については5mlのジメチルスルホキシドに溶解し、ガジュツ酢酸エチル抽出画分を得た。
実施例5 ガジュツ抽出画分による脂肪細胞への分化誘導
実施例4によって調製したガジュツ水抽出画分、ガジュツエタノール抽出画分、ガジュツ酢酸エチル抽出画分の成熟脂肪細胞への分化誘導作用(インスリン様作用)を実施例2の方法に準じて測定した。
すなわち、サンプルとして、各ウエルに、終濃度で0.1%のガジュツ水抽出画分水溶液を、それぞれ終濃度0.2%、0.067%または0.022%のガジュツエタノール抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を、あるいはそれぞれ終濃度0.2%、0.067%または0.022%のガジュツ酢酸エチル抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を添加した区分を設定した。なお陽性対照として4μlの5mg/mlインスリン水溶液添加の区分を、陰性対照としてジメチルスルホキシド添加の区分を設定した。この後実施例2記載の方法と同様に、培地およびサンプルの交換を行い、サンプル添加7日後に細胞中のトリグリセリドの量を測定した。
この結果、ガジュツ水抽出画分、各濃度のガジュツエタノール抽出画分およびガジュツ酢酸エチル抽出画分添加区分においてトリグリセリド生合成の誘導が認められた。すなわち、ガジュツ水抽出画分、ガジュツエタノール抽出画分およびガジュツ酢酸エチル抽出画分に成熟脂肪細胞への分化誘導作用が認められた。これを第3図に示す。第3図は、横軸に各サンプルを、縦軸にトリグリセリド生合成量(μg/ml)を示す。
実施例6 ガジュツ抽出画分によるグルコース取り込み促進作用
実施例4によって調製したガジュツエタノール抽出画分およびガジュツ酢酸エチル抽出画分のグルコース取り込み促進作用の評価として、またインスリン様作用の評価として、実施例3記載の方法に準じて成熟脂肪細胞でのサンプル(前記ガジュツ抽出画分)刺激時の細胞内への2−デオキシグルコース取り込み量を測定した。
すなわち、サンプルとして各ウエルにそれぞれ終濃度で0.2%または0.1%のガジュツエタノール抽出画分ジメチルスルホキシド溶液あるいは終濃度で0.1%のガジュツ酢酸エチル抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を添加した。なお、陰性対照としてサンプルを添加しない区分を、陽性対照として、終濃度1μg/mLとなるようにインスリンを添加した区分を設定した。この後同様に、細胞中に取り込まれた2−デオキシ−[1,2−H(N)]−グルコースを測定した。
この結果、各濃度のガジュツエタノール抽出画分およびガジュツ酢酸エチル抽出画分を添加した区分で陰性対照と比較してインスリンを添加した区分と同様に2−デオキシ[1,2−H(N)]−グルコース取り込みの促進が見られた。すなわち、ガジュツエタノール抽出画分およびガジュツ酢酸エチル抽出画分にグルコース取り込み促進活性が認められた。これを第4図に示す。第4図は、横軸に各サンプルを、縦軸に2−デオキシ[1,2−H(N)]−グルコース量(dpm)を示す。
実施例7 シュンギク抽出画分の調製
シュンギクの乾燥粉末2gずつに40mlの蒸留水、エタノールまたは酢酸エチルを加え、30分間抽出を行い、遠心分離にて抽出液と残渣に分けた。次いで残渣に対して同溶媒30mlによる抽出操作を2回繰り返した。なお、水抽出は60℃、エタノール抽出、酢酸エチル抽出は室温で行った。得られた抽出液を集めてロータリーエバポレーターで濃縮した。最終的に、水抽出液については10mlの蒸留水に溶解し、シュンギク水抽出画分を得た。エタノール抽出液については5mlのジメチルスルホキシドに溶解し、シュンギクエタノール抽出画分を得た。酢酸エチル抽出液については5mlのジメチルスルホキシドに溶解し、シュンギク酢酸エチル抽出画分を得た。
実施例8 シュンギク抽出画分による脂肪細胞への分化誘導
実施例7によって調製したシュンギク水抽出画分の成熟脂肪細胞への分化誘導作用(インスリン様作用)を実施例2の方法に準じて測定した。
すなわち、サンプルとして、各ウエルにそれぞれ終濃度で0.4%、0.2%または0.1%のシュンギク水抽出画分水溶液を添加した区分を設定した。なお陽性対照として4μlの5mg/mlインスリン水溶液添加の区分を、陰性対照としてジメチルスルホキシド添加の区分を設定した。この後実施例2記載の方法と同様に、培地およびサンプルの交換を行い、サンプル添加7日後に細胞中のトリグリセリドの量を測定した。
この結果、各濃度のシュンギク水抽出画分添加区分においてトリグリセリド生合成の誘導が認められた。すなわち、シュンギク水抽出画分に成熟脂肪細胞への分化誘導作用が認められた。これを第5図に示す。第5図は、横軸に各サンプルを、縦軸にトリグリセリド生合成量(μg/ml)を示す。
実施例9 シュンギク抽出画分によるグルコース取り込み促進作用
実施例7によって調製したシュンギクエタノール抽出画分およびシュンギク酢酸エチル抽出画分のグルコース取り込み促進作用の評価として、またインスリン様作用の評価として、実施例3記載の方法に準じて成熟脂肪細胞でのサンプル(前記シュンギク抽出画分)刺激時の細胞内への2−デオキシグルコース取り込み量を測定した。
すなわち、サンプルとして各ウエルにそれぞれ終濃度で0.2%または0.1%のシュンギクエタノール抽出画分ジメチルスルホキシド溶液あるいは終濃度で0.1%のシュンギク酢酸エチル抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を添加した。なお、陰性対照としてサンプルを添加しない区分を、陽性対照として、終濃度1μg/mLとなるようにインスリンを添加した区分を設定した。この後同様に、細胞中に取り込まれた2−デオキシ−[1,2−H(N)]−グルコースを測定した。
この結果、各濃度のシュンギクエタノール抽出画分およびシュンギク酢酸エチル抽出画分を添加した区分で陰性対照と比較してインスリンを添加した区分と同様に2−デオキシ[1,2−H(N)]−グルコース取り込みの促進が見られた。すなわち、シュンギクエタノール抽出画分およびシュンギク酢酸エチル抽出画分にグルコース取り込み促進活性が認められた。これを第6図に示す。第6図は、横軸に各サンプルを、縦軸に2−デオキシ[1,2−H(N)]−グルコース量(dpm)を示す。
実施例10 ヨモギ抽出画分の調製
ヨモギの乾燥粉末2gずつに40mlのエタノールまたは酢酸エチルを加え、30分間、室温で抽出を行い、遠心分離にて抽出液と残渣に分けた。次いで残渣に対して同溶媒30mlによる抽出操作を2回繰り返した。得られた抽出液を集めてロータリーエバポレーターで濃縮した。最終的に、エタノール抽出液については5mlのジメチルスルホキシドに溶解し、ヨモギエタノール抽出画分を得た。酢酸エチル抽出液については5mlのジメチルスルホキシドに溶解し、ヨモギ酢酸エチル抽出画分を得た。
実施例11 ヨモギ抽出画分による脂肪細胞への分化誘導
実施例10によって調製したヨモギエタノール抽出画分、ヨモギ酢酸エチル抽出画分の成熟脂肪細胞への分化誘導作用(インスリン様作用)を実施例2の方法に準じて測定した。
すなわち、サンプルとして、各ウエルにそれぞれ終濃度で0.2%、0.067%または0.022%のヨモギエタノール抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を、あるいは各ウエルにそれぞれ終濃度で0.2%、0.067%または0.022%のヨモギ酢酸エチル抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を添加した区分を設定した。なお陽性対照として4μlの5mg/mlインスリン水溶液添加の区分を、陰性対照としてジメチルスルホキシド添加の区分を設定した。この後実施例2記載の方法と同様に、培地およびサンプルの交換を行い、サンプル添加7日後に細胞中のトリグリセリドの量を測定した。
この結果、各濃度のヨモギエタノール抽出画分およびヨモギ酢酸エチル抽出画分添加区分においてトリグリセリド生合成の誘導が認められた。すなわち、ヨモギエタノール抽出画分およびヨモギ酢酸エチル抽出画分に成熟脂肪細胞への分化誘導作用が認められた。これを第7図に示す。第7図は、横軸に各サンプルを、縦軸にトリグリセリド生合成量(μg/ml)を示す。
実施例12 ヨモギ抽出画分によるグルコース取り込み促進作用
実施例10によって調製したヨモギエタノール抽出画分およびヨモギ酢酸エチル抽出画分のグルコース取り込み促進作用の評価として、またインスリン様作用の評価として、実施例3記載の方法に準じて成熟脂肪細胞でのサンプル刺激時の細胞内への2−デオキシグルコース取り込み量を測定した。
すなわち、サンプルとして各ウエルにそれぞれ終濃度で0.2%または0.1%のヨモギエタノール抽出画分ジメチルスルホキシド溶液あるいは終濃度0.1%のヨモギ酢酸エチル抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を添加した。なお、陰性対照としてサンプルを添加しない区分を、陽性対照として、終濃度1μg/mLとなるようにインスリンを添加した区分を設定した。この後同様に、細胞中に取り込まれた2−デオキシ−[1,2−H(N)]−グルコースを測定した。
この結果、各濃度のヨモギエタノール抽出画分およびヨモギ酢酸エチル抽出画分を添加した区分で陰性対照と比較してインスリンを添加した区分と同様に2−デオキシ[1,2−H(N)]−グルコース取り込みの促進が見られた。すなわち、ヨモギエタノール抽出画分およびヨモギ酢酸エチル抽出画分にグルコース取り込み促進活性が認められた。これを第8図に示す。第8図は、横軸に各サンプルを、縦軸に2−デオキシ[1,2−H(N)]−グルコース量(dpm)を示す。
実施例13 アロエ抽出画分の調製
アロエの乾燥粉末2gずつに40mlのエタノールまたは酢酸エチルを加え、30分間、室温で抽出を行い、遠心分離にて抽出液と残渣に分けた。次いで残渣に対して同溶媒30mlによる抽出操作を2回繰り返した。得られた抽出液を集めてロータリーエバポレーターで濃縮した。最終的に、エタノール抽出液については5mlのジメチルスルホキシドに溶解し、アロエエタノール抽出画分を得た。酢酸エチル抽出液については5mlのジメチルスルホキシドに溶解し、アロエ酢酸エチル抽出画分を得た。
実施例14 アロエ抽出画分によるグルコース取り込み促進作用
実施例13によって調製したアロエエタノール抽出画分およびアロエ酢酸エチル抽出画分のグルコース取り込み促進作用の評価として、またインスリン様作用の評価として、実施例3記載の方法に準じて成熟脂肪細胞でのサンプル(前記アロエ抽出画分)刺激時の細胞内への2−デオキシグルコース取り込み量を測定した。
すなわち、サンプルとしてウエルに終濃度で0.05%のアロエエタノール抽出画分ジメチルスルホキシド溶液あるいは終濃度0.05%のアロエ酢酸エチル抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を添加した。なお、陰性対照としてサンプルを添加しない区分を、陽性対照として、終濃度1μg/mLとなるようにインスリンを添加した区分を設定した。この後同様に、細胞中に取り込まれた2−デオキシ−[1,2−H(N)]−グルコースを測定した。
この結果、アロエエタノール抽出画分およびアロエ酢酸エチル抽出画分を添加した区分で陰性対照と比較してインスリンを添加した区分と同様に2−デオキシ[1,2−H(N)]−グルコース取り込みの促進が見られた。すなわち、アロエエタノール抽出画分およびアロエ酢酸エチル抽出画分にグルコース取り込み促進活性が認められた。
実施例15 ヤナギタデ抽出画分の調製
ヤナギタデの乾燥粉末2gずつに40mlの蒸留水、エタノールまたは酢酸エチルを加え、30分間抽出を行い、遠心分離にて抽出液と残渣に分けた。次いで残渣に対して同溶媒30mlによる抽出操作を2回繰り返した。なお、水抽出は60℃、エタノール抽出、酢酸エチル抽出は室温で行った。得られた抽出液を集めてロータリーエバポレーターで濃縮した。最終的に、水抽出液については10mlの蒸留水に溶解し、ヤナギタデ水抽出画分を得た。エタノール抽出液については5mlのジメチルスルホキシドに溶解し、ヤナギタデエタノール抽出画分を得た。酢酸エチル抽出液については5mlのジメチルスルホキシドに溶解し、ヤナギタデ酢酸エチル抽出画分を得た。
実施例16 ヤナギタデ抽出画分による脂肪細胞への分化誘導
実施例15によって調製したヤナギタデ水抽出画分の成熟脂肪細胞への分化誘導作用(インスリン様活性)を実施例2の方法に準じて測定した。
すなわち、サンプルとして、各ウエルにそれぞれ終濃度で0.2%または0.1%のヤナギタデ水抽出画分水溶液を添加した区分を設定した。なお陽性対照として4μlの5mg/mlインスリン水溶液添加の区分を、陰性対照としてジメチルスルホキシド添加の区分を設定した。この後実施例2記載の方法と同様に、培地およびサンプルの交換を行い、サンプル添加7日後に細胞中のトリグリセリドの量を測定した。
この結果、各濃度のヤナギタデ水抽出画分添加区分においてトリグリセリド生合成の誘導が認められた。すなわち、ヤナギタデ水抽出画分に成熟脂肪細胞への分化誘導作用が認められた。
実施例17 ヤナギタデ抽出画分によるグルコース取り込み促進作用
実施例15によって調製したヤナギタデエタノール抽出画分およびヤナギタデ酢酸エチル抽出画分のグルコース取り込み促進作用の評価として、またインスリン様作用の評価として、実施例3記載の方法に準じて成熟脂肪細胞でのサンプル(前記ヤナギタデ抽出画分)刺激時の細胞内への2−デオキシグルコース取り込み量を測定した。
すなわち、サンプルとして各ウエルにそれぞれ終濃度で0.025%、0.0125%または0.0063%のヤナギタデエタノール抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を、あるいは終濃度で0.008%のヤナギタデ酢酸エチル抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を用いた。なお、陰性対照としてサンプルを添加しない区分を、陽性対照として、終濃度1μg/mLとなるようにインスリンを添加した区分を設定した。また、さらにインスリンを添加する区分と同時期にヤナギタデエタノール抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を添加した区分(短時間処理)を設定した。すなわち、インスリンの代わりに、終濃度で0.03%、0.01%または0.003%となるようにヤナギタデエタノール抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を添加した区分を設定した。この後同様に、細胞中に取り込まれた2−デオキシ−[1,2−H(N)]−グルコースを測定した。
この結果、各濃度のヤナギタデエタノール抽出画分およびヤナギタデ酢酸エチル抽出画分を添加した区分およびインスリンと同時期に各濃度のヤナギタデエタノール抽出画分を添加した区分で陰性対照と比較してインスリンを添加した区分と同様に2−デオキシ[1,2−H(N)]−グルコース取り込みの促進が見られた。すなわち、ヤナギタデエタノール抽出画分およびヤナギタデ酢酸エチル抽出画分にグルコース取り込み促進活性が認められた。また、ヤナギタデエタノール抽出画分は短時間処理においてもグルコース取り込み促進活性が認められた。これらの結果を第9図に示す。第9図は、横軸に各サンプルを、縦軸に2−デオキシ[1,2−H(N)]−グルコース量(dpm)を示す。
実施例18 ヤナギタデエタノール抽出画分とインスリンによるグルコース取り込み促進相乗作用
実施例15により調製したヤナギタデエタノール抽出画分と低濃度インスリンとのグルコース取り込み促進相乗作用の評価として、実施例17記載の方法に一部準じて成熟脂肪細胞でのサンプル(前記ヤナギタデ抽出画分とインスリン)刺激時の細胞内への2−デオキシグルコース取り込み量を測定した。成熟脂肪細胞の調製は実施例3記載の方法に準じて行った。
培養終了後、培地を除き、0.1%(w/v)牛血清アルブミン含有ダルベッコ改良イーグル培地で2回細胞を洗浄した後、5%炭酸ガス存在下、37℃で一晩培養した。一晩培養後、ヘペス緩衝塩溶液(140mM NaCl,5mM KCl,2.5mM MgSO,1mM CaCl,20mM HEPES−Na(pH7.4))で2回細胞を洗浄し、同緩衝液0.9mLを添加し、37℃で45分間培養した。続いて終濃度で0.013%となるようにヤナギタデエタノール抽出画分を加えて、さらに終濃度で0.01μg/mLとなるようにインスリンを添加し、30分間培養した。この際対照として、ヤナギタデエタノール抽出画分を添加していないウエルで終濃度0.01μg/mLとなるようにインスリンを添加した区分、およびインスリンを添加していないウエルで終濃度0.013%となるようにヤナギタデエタノール抽出画分を添加した区分を設定した。また、サンプルを添加していない区分を陰性対照とした。その後、実施例3記載の方法と同様に、細胞中に取り込まれた2−デオキシ−[1,2−H(N)]−グルコース量を測定した。
その結果、ヤナギタデエタノール抽出画分を添加した区分は陰性対照から比較すると、インスリンを添加した区分と同様に2−デオキシ−[1,2−H(N)]−グルコース取り込みの促進が見られたが、インスリンと同時に添加した区分において、インスリン単独で添加した区分およびヤナギタデエタノール抽出画分単独で添加した区分のいずれよりも、グルコース取り込みの促進が認められた。すなわち、ヤナギタデエタノール抽出画分とインスリンとを同時に添加することにより、グルコース取り込み促進活性が相乗的に増加することが分かった。これを第10図に示す。第10図は、横軸に各サンプルを、縦軸に2−デオキシ−[1,2−H(N)]−グルコース量(dpm)を示す。
実施例19 ヤナギタデエタノール抽出画分によるグルコース取り込み促進作用のサイトカラシンBによる阻害
実施例15で得られたヤナギタデエタノール抽出画分のグルコース取り込み促進作用が、グルコーストランスポーターの阻害剤であるサイトカラシンBにより阻害されるか、実施例17記載の方法に準じて成熟脂肪細胞でのサンプル刺激時の細胞内への2−デオキシグルコース取り込みにおけるサイトカラシンBの影響を試験した。
すなわち、サンプルとしてウエルに終濃度で0.05%となるようにヤナギタデエタノール抽出画分ジメチルスルホキシド溶液を添加した区分(短時間処理)を設定した。なお、陰性対照としてサンプルを添加しない区分を、陽性対照として、終濃度1μg/mLとなるようにインスリンを添加した区分を設定した。さらに各区分においてインスリンあるいはサンプルを添加した時期と同じ時期に終濃度40μMとなるようにサイトカラシンB(ナカライテスク社製、10435−81)を添加する区分を設定した。この後同様に、細胞中に取り込まれた2−デオキシ−[1,2−H(N)]−グルコース量を測定した。
この結果、ヤナギタデエタノール抽出画分を添加した区分で陰性対照と比較してインスリンを添加した区分と同様に2−デオキシ−[1,2−H(N)]−グルコース取り込みの促進が見られたが、各区分ともにサイトカラシンB添加により2−デオキシ−[1,2−H(N)]−グルコース取り込みはほぼ完全に抑制された。すなわち、ヤナギタデエタノール抽出画分によるグルコース取り込み促進活性は、インスリンと同様にグルコーストランスポーターを介していることが確認できた。これを第11図に示す。第11図は、横軸に各サンプルを、縦軸に2−デオキシ−[1,2−H(N)]−グルコース量(dpm)を示す。
【産業上の利用可能性】
本発明により、(a)シナノキ科植物、(b)ショウガ科植物、(c)キク科植物、(d)ユリ科植物、及び(e)タデ科植物からなる群より選択される少なくとも1種の植物由来の処理物を有効成分として含有することを特徴とするインスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患の治療用又は予防用の医薬、食品、飲料又は飼料が提供される。
該医薬は糖尿病または肥満症等のインスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患の治療剤又は予防剤として有用である。また、該食品又は飲料は、日常の飲食品として摂取することにより、インスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患の症状改善等が可能となる。従って、上記の各種植物由来の処理物を含有する本発明の飲食品は機能性飲食品であり、そのインスリン様作用により、生体の恒常性の維持に有用である。また、本発明により、上記の各種植物由来の処理物を含有するインスリン様作用剤も提供され、該インスリン様作用剤はインスリンの機能研究、インスリンに関連する疾患用医薬のスクリーニングに有用である。また、本発明により、上記の各種植物由来の処理物を含有する細胞へのグルコース取り込み促進剤も提供され、該グルコース取り込み促進剤は、治療又は予防に細胞へのグルコース取り込み促進作用を要する疾患の治療又は予防、当該疾患の治療又は予防用の食品、飲料又は飼料の製造、該グルコース取り込み促進作用を要する疾患に対する薬物のスクリーニングにも有用である。また、本発明により、上記の各種植物由来の処理物を含有する脂肪細胞への分化誘導剤も提供され、該分化誘導剤は、治療又は予防に脂肪細胞への分化誘導作用を要する疾患の治療又は予防、当該疾患の治療又は予防用の食品、飲料又は飼料の製造、該分化誘導作用を要する疾患に対する薬物のスクリーニングにも有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)シナノキ科植物、(b)ショウガ科植物、(c)キク科植物、(d)ユリ科植物、及び(e)タデ科植物からなる群より選択される少なくとも1種の植物由来の処理物を有効成分として含有することを特徴とするインスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患の治療剤又は予防剤。
【請求項2】
シナノキ科植物がモロヘイヤであり、ショウガ科植物がガジュツであり、キク科植物がシュンギク及び/又はヨモギであり、ユリ科植物がアロエであり、タデ科植物がヤナギタデである請求項1記載の治療剤又は予防剤。
【請求項3】
(a)シナノキ科植物、(b)ショウガ科植物、(c)キク科植物、(d)ユリ科植物、及び(e)タデ科植物からなる群より選択される少なくとも1種の植物由来の処理物を有効成分として含有することを特徴とするインスリン様作用剤。
【請求項4】
シナノキ科植物がモロヘイヤであり、ショウガ科植物がガジュツであり、キク科植物がシュンギク及び/又はヨモギであり、ユリ科植物がアロエであり、タデ科植物がヤナギタデである請求項3記載のインスリン様作用剤。
【請求項5】
(a)シナノキ科植物、(b)ショウガ科植物、(c)キク科植物、(d)ユリ科植物、及び(e)タデ科植物からなる群より選択される少なくとも1種の植物由来の処理物を有効成分として含有することを特徴とするインスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患の治療用又は予防用の食品、飲料又は飼料。
【請求項6】
シナノキ科植物がモロヘイヤであり、ショウガ科植物がガジュツであり、キク科植物がシュンギク及び/又はヨモギであり、ユリ科植物がアロエであり、タデ科植物がヤナギタデである請求項5記載の食品、飲料又は飼料。
【請求項7】
(a)シナノキ科植物、(b)ショウガ科植物、(c)キク科植物、(d)ユリ科植物、及び(e)タデ科植物からなる群より選択される少なくとも1種の植物由来の処理物を有効成分として含有することを特徴とする細胞へのグルコース取り込み促進剤。
【請求項8】
シナノキ科植物がモロヘイヤであり、ショウガ科植物がガジュツであり、キク科植物がシュンギク及び/又はヨモギであり、ユリ科植物がアロエであり、タデ科植物がヤナギタデである請求項7記載のグルコース取り込み促進剤。
【請求項9】
(a)シナノキ科植物、(b)ショウガ科植物、(c)キク科植物、(d)ユリ科植物、及び(e)タデ科植物からなる群より選択される少なくとも1種の植物由来の処理物を有効成分として含有することを特徴とする脂肪細胞への分化誘導剤。
【請求項10】
シナノキ科植物がモロヘイヤであり、ショウガ科植物がガジュツであり、キク科植物がシュンギク及び/又はヨモギであり、ユリ科植物がアロエであり、タデ科植物がヤナギタデである請求項9記載の脂肪細胞への分化誘導剤。

【国際公開番号】WO2004/100969
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506261(P2005−506261)
【国際出願番号】PCT/JP2004/006874
【国際出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【出願人】(302019245)タカラバイオ株式会社 (115)
【Fターム(参考)】