説明

治療器

【課題】治療器の構成を簡略化し小型化および軽量化を図り得る技術を提供する。
【解決手段】治療器10は、外部診断機器である根管長測定器91によって取得された根管長情報を、通信ケーブル20を介して受信する通信部19と、根管長情報を表示するための表示デバイス12と、根管拡大処置を行うためにファイルFが取り付けられた治療器本体部11を備えている。治療器本体部11は、使用者が把持するための把持部111を構成しており、把持部111の外周部分に表示デバイス12が設けられている。使用者は、治療器10を把持して根管拡大処理を行う際に、表示デバイス12において根管長を視認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医科歯科等を含む医療分野において使用される治療器に関するものであって、特に、治療器の小型化および軽量化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医科や歯科等の治療機器において、診断と治療処置とを同時に行う技術が提案されている。例えば、歯科用根管治療器において、根管長の測定等の診断と、治療処置とを同時に行うための治療器が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1では、根管拡大用のコードレスハンドピースに、表示器と根管長測定回路とが搭載されている。また、この治療器では、充電器上の大型表示部に、根管長の計測データを表示することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の治療器によると、1つの治療器で診断と治療とを実行できるが、構成が肥大化し、複雑化するという問題がある。特に、特許文献1に記載の治療器では、ハンドピースに根管拡大用のモジュールだけでなく、根管長測定モジュールも取り付けられている。そのため、ハンドピースの構成が複雑でありサイズも肥大化している。このように治療器が肥大化すると、操作性が悪くなったり、占有スペースが大きくなったり、全体に重くなったりし、却って診療を阻害する可能性も生じるため、治療器を小型化および軽量化する技術が望まれている。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、治療器の構成を簡略化し小型化および軽量化を図り得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、第1の態様は、外部診断機器によって取得された診断情報を受信する通信部と、前記診断情報を表示するための表示部と、前記診断情報に基づいて行われる処置の際に使用される治療器本体とを備える。
【0008】
また、第2の態様は、第1の態様に係る治療器において、前記表示部が、自身の駆動情報をさらに表示する。
【0009】
また、第3の態様は、第1または第2の態様に係る治療器において、前記治療器本体は、使用者が把持し得る把持部を備えたハンドピース形状である。
【0010】
また、第4の態様は、第3の態様に係る治療器において、前記表示部が、前記治療器本体の前記把持部の外周部分に設けられる。
【0011】
また、第5の態様は、第1から第4までの態様のいずれか1態様に係る治療器において、前記表示部が、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、発光ダイオードの少なくともいずれか1つで構成される。
【0012】
また、第6の態様は、第1から第5までの態様のいずれか1態様に係る治療器において、前記通信部が、前記外部診断機器との間で、通信線を介した有線による通信方式で前記診断情報を受信する。
【0013】
また、第7の態様は、第6の態様に係る治療器において、前記通信部の前記通信線が、外部診断機器による診断のための電気回路の一部を兼ねる。
【0014】
また、第8の態様は、第1から第5までの態様のいずれか1態様に係る治療器において、前記通信部が、無線による信号通信方式で前記診断情報を受信する。
【0015】
また、第9の態様は、第1から第8の態様までのいずれか1態様に係る治療器において、前記通信部が受信する前記診断情報には、歯科用根管長測定器によって測定された根管長の測定結果が含まれる。
【発明の効果】
【0016】
第1から第9までの態様に係る治療器によれば、治療器自身が持たない診断機能を外部診断機器に委ねて、外部診断機からの診断情報を受信して表示部に表示するように治療器を構成することによって、治療器自体の構成を簡略化し得る。したがって、治療器の小型化および軽量化を図ることができるという優れた効果を奏し得る。
【0017】
特に、第2の態様に係る治療器によれば、同一の表示部において、自身の駆動情報と、外部診断機器による診断情報との双方を表示し得る。したがって、使用者は、治療器自体の駆動情報を確認することができるとともに、診断情報に従って処置を適切に行いやすくなるという優れた効果を奏し得る。
【0018】
特に、第3の態様に係る治療器によれば、治療器本体がハンドピース形状であることによって、使用者が治療器本体を扱いやすくなるという優れた効果を奏し得る。
【0019】
特に、第4の態様に係る治療器によれば、表示部が把持部の外周部分に設けられるため、患部と表示部との間で、治療器の使用者が視線を動かす距離を小さくすることができるという優れた効果を奏し得る。
【0020】
特に、第5の態様に係る治療器によれば、診断情報を適切に見易く表示することができる。特に、表示部が液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであれば、小型でバラエティに富んだ表示が可能となる。また、表示部が電子ペーパーであれば、薄くて軽くて曲げられる、という特長から、特に治療器がハンドピース形状である場合、非常に搭載しやすい。また、表示部が発光ダイオードであれば、安価なものとなる。
【0021】
特に、第7の態様に係る治療器によれば、前記通信線が、外部診断器のための電気回路を兼ねるため、診療機器の部品数を削減し得る。したがって、診療機器におけるスペースを確保しやすくなるとともに、治療機器のコスト削減を図ることができるという優れた効果を奏し得る。
【0022】
特に、第8の態様に係る治療器によれば、治療器を診断情報を送信する部分から離れた場所で使用することができるため、処置の自由度を高めることができるという優れた効果を奏し得る。
【0023】
特に、第9の態様に係る治療器によれば、根管長を確認しながら、その情報に基づいた処置を行うことができる。根管長情報は、歯科治療において重要な情報の一つであるため、処置を適切に行うことができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係る治療器と根管長測定器とを示す外観斜視図である。
【図2】治療器および根管長測定器の内部構成を示すブロック図である。
【図3】治療器の使用状態を示す斜視図である。
【図4】表示デバイスの画面を示す図である。
【図5】根管長測定システムを示す外観斜視図である。
【図6】第2実施形態に係る治療器および根管長測定器の内部構成を示すブロック図である。
【図7】第3実施形態に係る治療器および根管長測定器の内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して実施の形態を詳細に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0026】
<1.第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る治療器10と根管長測定器91とを示す外観斜視図である。また、図2は、治療器10および根管長測定器91の内部構成を示すブロック図である。さらに、図3は、治療器10の使用状態を示す斜視図である。
【0027】
図1に示すように、治療器10は略棒状の治療用ツールであり、詳細には、先端に取り付けたファイルFの駆動によって歯を切削して根管を拡大する根管拡大用マイクロモーターハンドピースとして構成されている。また、根管長測定器91は、本来、治療器10とは別に単独で使用される外部診断機器であり、診断情報として根管長を取得して、治療器10に送信するように構成されている。以下に、それぞれの構成について詳細に説明する。
【0028】
図1に示すように、治療器10は、使用者が把持する部分である把持部111を構成する治療器本体11と、各種情報を表示する画面を構成する表示デバイス12と、治療器10の動作を設定するための設定操作部13と、ファイルF(治療器具)の回転駆動をオンオフ操作するための駆動操作部14とを備えている。また、図2に示すように、治療器10は、ファイルFを回転駆動するモーター15と、モーター15を回転駆動するための駆動回路16と、治療器10の全体を制御する制御回路17と、電力を供給する電源部18と、外部診断機器と通信を行う通信部19とを内部に備えている。
【0029】
表示デバイス12は、図1に示すように、治療器本体11の把持部111の外周部分に設けられている。そして表示デバイス12は、モーター15の駆動情報や、根管長測定器91によって取得される根管長情報を表示するように構成されている。
【0030】
制御回路17は、論理回路で構成されており、設定操作部13や駆動操作部14等からの信号入力に基づいて、駆動回路16や表示デバイス12の動作を制御する。詳細には、設定操作部13を介する入力に基づいて、制御回路17は、表示デバイス12に対して、駆動情報もしくは診断情報のどちらを表示するか、あるいは、駆動情報と診断情報の双方を表示するかを決定する。また、制御回路17は、設定操作部13を介した入力に基づいて駆動回路16を制御することにより、モーター15の回転数(回転速度)等を操作することも可能である。また、制御回路17は、駆動操作部14を介する入力に基づいて、駆動回路16を制御することにより、モーター15の回転のオンオフを制御する。
【0031】
電源部18は、電池や電源回路等で構成されており、駆動回路16や表示デバイス12等の治療器10の各構成要素のそれぞれに適した電力を供給する。本実施形態では、電源部18は、制御回路17に接続されており、制御回路17が電源部18から供給される電力を治療器10の各構成要素に出力する。ただし、電源部18から直接(すなわち、制御回路を介さずに)治療器10の各構成要素に電力を供給するように構成されていてもよい。
【0032】
また、電源部18の電力供給源は、交換可能な使い捨ての一次電池であってもよいし、充電可能な二次電池であってもよい。また、電源部18が、電気コードを介して外部から電力供給を受けるように構成されていてもよい。また、二次電池を利用する場合には、二次電池を治療器本体11から取り出して充電するようにしてもよいが、二次電池が内蔵されたまま有接点または無接点で充電できるように構成されていてもよい。
【0033】
通信部19は、制御回路17の制御に基づいて、根管長測定器91によって取得された診断情報を受信する。根管長測定器91は、後述する根管長測定システム90において、根管長を測定する本体部を構成する。根管長測定器91と治療器10との間は、通信ケーブル20で接続されており、治療器10の一部に取り付けられた通信ケーブル20が根管長測定器91の通信ケーブル接続部913に接続される。制御回路17は、通信ケーブル20を介して接続された根管長測定器91に対し、診断情報の送信要求を行う。この要求に対して、外部診断機器が既に取得した診断情報を送信し、これを通信部19が受信する。根管長測定器91から送信された診断情報は、制御回路17に入力されて、表示デバイス12に表示される。但しここで、制御回路17から根管長測定器91に対して診断情報の送信要求を行わず、根管長測定器91は通信ケーブル接続部913に通信ケーブル20が接続されている状態であれば自動的に診断情報を送信し続ける構成としてもよい。
【0034】
ここで、「外部診断機器」とは、治療器10が備えていない1以上の診断機能を備える機器であって、取得した診断情報を治療器10の通信部19に送信するように構成された機器をいう。例えば、図1、図2に示す根管長測定器91は、根管長測定回路911を備えており、治療器10が持たない根管長測定機能を有する外部診断機器である。
【0035】
なお、治療器10に接続可能な外部診断機器は、根管長測定器91に限られるものではなく、歯周ポケットの深さ測定器や、病変部が発する蛍光を検出し評価する蛍光診断器といった種々の診断機能を有する機器を想定し得ることは言うまでもない。また、治療器10を複数種の外部診断機器に接続して、各外部診断機器から診断情報を取得するように構成することも可能である。この場合、外部診断機器側と治療器10との間で識別情報をやり取りすることによって、接続された外部診断機器の種類を治療器10が特定できるように構成してもよい。
【0036】
図3に示すように、使用者は、治療器10を把持した際に、表示デバイス12を適切な位置に配置させることで、駆動情報や根管長情報を視認することができる。そのため、表示デバイス12に表示される診断情報に基づいて、患部Pに対して処置(根管拡大処置)を適切に施すことが可能となっている。また、手元と患部Pとの間で視線移動を行うことで診断情報を確認することができるため、連続的にかつ集中が途切れることなく治療を行い得る。したがって、治療効率を向上させることができる。
【0037】
図4は、表示デバイス12の画面を示す図であって、図4(a)は、表示デバイス12に診断情報が表示されている状態を示しており、図4(b)は、表示デバイス12に治療器10自身の駆動情報が表示されている状態を図示している。上述したように、設定操作部13のボタンを押下することによって、この図4(a)に示す診断情報表示と図4(b)に示す駆動情報表示との間での画面の切り替えが実現される。もちろん、診断情報または駆動情報のいずれかを表示している状態で、設定操作部13のボタンを押下することによって、診断情報と駆動情報の双方を表示するよう画面を切り替えてもよい。
【0038】
本実施形態では、図4(a)に示すように、根管長情報が、メーターで表現される。すなわち、メーターの示す数値が大きくなるほど、ファイルFの先端が根尖位置から遠い位置にあることを示している。また駆動情報としては、図4(b)に示すようにモーター15の回転数とトルク値とを表示するように構成されている。もちろん、表示デバイス12における表示態様は図4に示したようなものに限られるものではなく、任意に変更することが可能である。表示デバイス12を液晶ディスプレイで構成することによって、診断情報を適切に見易く表示することができる。
【0039】
なお、駆動情報と診断情報とを常に同時に表示するように構成されていてもよい。このように常に同時に表示するようにすれば、根管拡大処置の間でも、設定操作部13を操作せずとも、根管長情報と駆動情報とを同時に把握することができる。
【0040】
また、表示デバイス12は、液晶ディスプレイに限られるものではなく、例えば、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、発光ダイオードのうちの少なくともいずれか1つで構成されていてもよい。ここで表示デバイス12が液晶ディスプレイや有機ELディスプレイである場合、小型でバラエティに富んだ表示が可能となる。また、表示デバイス12を電子ペーパーで構成した場合、薄くて軽くて曲げやすくなるという特長から、特に治療器10がハンドピース形状である場合に、非常に搭載しやすい。また、表示デバイス12が発光ダイオードであれば、安価に構成することが容易となる。なお、これら種々の表示デバイスを、1つのみ選択してもよいし、複数の種類の表示デバイスを組み合わせて使用することで、表示する診断情報に応じて使い分けたり協働させたりしてもよい。
【0041】
{根管長測定システム90}
図5は、根管長測定システム90を示す外観斜視図である。図5に示すように、根管長測定システム90は、根管長測定器91と、測定用インスツルメント92と、根管長測定器91および測定用インスツルメント92を接続する電極ケーブル93とを備えている。
【0042】
図2に示すように、根管長測定器91は、根管長を測定するための根管長測定回路911と、治療器10の通信部19と通信を行うための通信部912を内部に備えている。また、図5に示すように、根管長測定器91は、通信ケーブル接続部913と、電極ケーブル93が接続される電極ケーブル接続部914と、根管長情報を表示する表示部915とを備えている。
【0043】
測定用インスツルメント92は、主に正極94と負極95とを備えている。(説明の便宜上、正極と負極とを区別して記載するが、測定用の電気信号が交流であれば、正負の別は始終変化する。本明細書において、以下同様。)正極94は、ファイル電極941とファイル942とで構成されている。電極ケーブル93には、正極94に接続される導電線931と負極95接続される導電線932とが内蔵されている。電極ケーブル93の先から出る導電線931は、正極94のファイル電極941に接続されている。また、電極ケーブル93の先から出る導電線932は、口腔電極951に接続されている。
【0044】
このような根管長測定システム90を用いて根管長を測定する場合、ファイル942の先端を歯の根管内に挿入し、口腔電極951を歯茎や唇などに接触させる。この状態でファイル942と口腔電極951との間に電気的測定信号を印加することによって、歯根の先端(根尖)の位置を検出する。この根尖を検出することによって、根管の深さが検出される。なお、根管長の電気的測定技術については従来より種々提案されているため、ここでは詳細を省略する。
【0045】
また、本実施形態の根管長測定器91は、取得した根管長情報を、通信部912により診断情報として治療器10の通信部19へ送信するように構成されているが、必ずしも外部診断機器が治療器10へ診断情報を直接送信しなければならないものではない。例えば通信機能を有する図示しない外部機器を介在させて、根管長測定器と治療器とが根管長情報をやり取りするように構成されていてもよい。
【0046】
以上のように、治療器10が、外部診断機器から診断情報を受信する通信部19を備えることによって、自身の持たない診断機能を外部診断機器に委ねることが可能となる。そして受信した診断情報を表示デバイス12に表示するように治療器10を構成することによって、治療器10自体の構成を簡略化し得る。したがって、治療器10の小型化および軽量化を図ることができる。
【0047】
また、図3に示すように、ハンドピース型の治療器10の把持部111の外周部分に表示デバイス12を設けることによって、根管長の診断情報に基づいて、根管拡大処置を適切に行うことができる。したがって、歯科治療等の処置精度を向上させることができる。
【0048】
<2.第2実施形態>
第1実施形態では、測定用インスツルメント92を接続した根管長測定器91によって根管長を測定した後に、治療器10を根管長測定器91に接続して、根管長情報を診断情報として治療器10の表示デバイス12に表示するように構成されている。しかし、根管長測定器91による根管長の測定方法は、このようなものに限られない。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の機能を有する要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0049】
図6は第2実施形態に係る治療器10Aおよび根管長測定器91Aの内部構成を示すブロック図である。本実施形態の通信ケーブル20には、通信部19と通信部912とを接続する通信線が内蔵されているが、この導電線が、根管長測定器91Aの根管長測定回路911から延びる正極の導電線が通されている。そしてこの導電線は、通信部19から延びて治療器10の治療器本体11を通って、その先端に取り付けられたファイルFに電気的に接続されている。また、根管長測定回路911には、負極の導電線を介して口腔電極951が接続されている。このように、本実施形態では、通信ケーブル20Aを構成する通信線が、根管長測定を行うための電気回路の一部を構成しており、治療器10Aが図5に示す正極94としての機能を持つように構成されている。
【0050】
このように治療器10Aと根管長測定器91Aとを構成した場合において、根管長測定回路911がファイルFと口腔電極951との間で電気的測定信号を印加することにより、標的とする歯の根管長を測定することができる。したがって、根管拡大処理をしている際に、根管長測定器91Aを操作することによって、治療器10を使って根管長を測定することができる。
【0051】
本実施形態の治療器10Aによれば、前記通信ケーブルが、外部診断器のための電気回路を兼ねるため、診療機器の部品数を削減し得る。したがって、診療機器におけるスペースを確保しやすくなるとともに、治療機器のコスト削減を図ることができる。
【0052】
なお、制御回路17が通信部19を介して根管長測定器91を制御することにより、根管長測定回路911を動作させるように構成することも妨げられない。設定操作部13等の治療器本体11に設けられた操作ボタン類に、根管長測定回路911を動作させる機能を持たせることによって、治療器10を操作するだけで根管長測定のための設定、例えば基準位置の設定を行うことが可能となる。
【0053】
<3.第3実施形態>
上記実施形態では、外部機器と治療器10との間で、通信ケーブル20,20Aを介して診断情報のやり取りを行っているが、通信手段は有線接続によるものに限定されるわけではない。
【0054】
図7は、第3実施形態に係る治療器10Bおよび根管長測定器91Bの内部構成を示すブロック図である。本実施形態では、治療器10Bは通信部19Bを、根管長測定器91Bは通信部912Bを、それぞれ備えている。そして通信部19Bと通信部912Bとの間で、無線通信方式で診断情報のやり取りが行われる。この無線通信については、従来の無線通信技術を含めた種々の通信手段を適用することが可能である。
【0055】
本実施形態によれば、有線接続をなくすことにより、空間的制約がより緩和される。したがって、根管長測定器91等を含めた外部診断機器の配置の自由度が向上するとともに、治療器10Bハンドピースの操作性を向上させることができる。
【0056】
また、物理的な接続がなくなることで、ケーブルを引っかけて落下させるといったリスクを低減することができる。また、配線の手間やメンテナンスの手間も同様に低減することができる。
【0057】
<4.変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0058】
例えば、上記実施形態では、治療器10として根管拡大機能を有するものを例にあげて説明しているが、本発明はこれに限られるものでなく、例えば治療に用いるマイクロモーターハンドピース、スケーラー、光重合器、半導体レーザー、根管充填器等や、診療に必要なう蝕検出器、歯髄診断器、口腔内カメラ、歯周ポケット測定器、歯牙揺動測定器等、種々の治療器に適用することができる。いずれの治療器においても、外部診断機器から診断情報を取得する通信部を設けることによって、治療器の小型化や軽量化を図ることができる。
【0059】
また、外部診断機器に関しても、根管長を測定するものに限られるものではなく、その他の診断機能を持つ機器であってもよいことは言うまでもない。ただし、根管長情報は、歯科治療において重要な情報の一つであり、また、治療器の動作を制御する上でも活用し易い情報でもある。そのため、根管長情報を治療器の表示デバイスに表示しながら治療処置を行えるように構成することによって、治療処置の効率を向上させることができる。
【0060】
また、上記実施形態では、制御回路17を専用回路としてハードウェア的に実現しているが、制御回路17を、中央演算処理装置(CPU)やプログラムが格納されたROM、および一時的なメモリ装置(RAM等)等で構成してもよい。すなわち、CPUがメモリ装置上でプログラムにしたがって動作することで、制御回路17と同様の機能をソフトウェア的に実現してもよい。また、この中央演算処理装置によって、その他の専用回路をソフトウェア的に実現することも妨げられない。
【0061】
また、ハンドピース型の治療器の各構成を分離することも妨げられない。ハンドピース自体の内部構成を簡略化することによって、ハンドピースの軽量化や小型化を図ることができるため、使用者が治療器を扱いやすくなり得る。例えば、表示デバイス12を別の治療器本体に配置することによって、診断情報をより大きな画面で表示するようにしてもよい。
【0062】
また、例えば、通信部19,19Bを、治療器10,10A,10Bに対して後付け可能なものとすれば、診断情報の受信と表示を必要としない場合に治療器本体11をより軽量化することができ、治療処置の効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0063】
10,10A,10B 治療器
11 治療器本体
111 把持部
12 表示デバイス
13 設定操作部
14 駆動操作部
17 制御回路
19,19B 通信部
20,20A 通信ケーブル
90 根管長測定システム
91,91A,91B 根管長測定器
911 根管長測定回路
912 通信部
92 測定用インスツルメント
F ファイル
P 患部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部診断機器によって取得された診断情報を受信する通信部と、
前記診断情報を表示するための表示部と、
前記診断情報に基づいて行われる処置の際に使用される治療器本体と、
を備える治療器。
【請求項2】
請求項1に記載の治療器において、
前記表示部が、自身の駆動情報をさらに表示する治療器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の治療器において、
前記治療器本体は、使用者が把持し得る把持部を備えたハンドピース形状である治療器。
【請求項4】
請求項3に記載の治療器において、
前記表示部が、前記治療器本体の前記把持部の外周部分に設けられる治療器。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の治療器において、
前記表示部が、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、発光ダイオードの少なくともいずれか1つで構成される治療器。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の治療器において、
前記通信部が、前記外部診断機器との間で、通信線を介した有線による通信方式で前記診断情報を受信する治療器。
【請求項7】
請求項6に記載の治療器において、
前記通信部の前記通信線が、外部診断機器による診断のための電気回路の一部を兼ねる治療器。
【請求項8】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の治療器において、
前記通信部が、無線による信号通信方式で前記診断情報を受信する治療器。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の治療器において、
前記通信部が受信する前記診断情報には、歯科用根管長測定器によって測定された根管長の測定結果が含まれる治療器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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