説明

治療方法

本発明は、ピリミジン誘導体、ベンゾジアゼピニル誘導体およびそれらを含有する医薬組成物の投与による、哺乳動物における眼血管新生障害の治療方法に関する。本発明は、5-[[4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)メチルアミノ]-2-ピリミジニル]アミノ]-2-メチルベンゼンスルホンアミド、(S)-3-オキソ-8-[3-(ピリジン-2-イルアミノ)-1-プロピルオキシ]-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-酢酸またはそれらの塩もしくは溶媒和物の投与による、眼血管新生障害の治療方法を含む。眼血管新生障害の治療のための組み合わせ療法も含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は哺乳動物における眼血管新生障害の治療方法に関する。該方法は、ピリミジン誘導体、ベンゾジアゼピニル誘導体およびそれらを含有する医薬組成物を投与することを含む。
【背景技術】
【0002】
血管新生は、血管形成とも称され、新たな血管を形成する過程である。血管新生は正常な発達中に生じ、組織への損傷後の創傷治癒においても重要な役割を果たす。しかし、血管新生は、例えば癌、慢性関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、乾癬および眼病を含む多数の病態の重要な原因としても関連づけられている。
【0003】
血管漏出および/血管新生に関連した眼病は先進国における眼病罹患および失明の大多数の原因となっている(Campochiaro (2004) Expert Opin. Biol. Ther. 4:1395-402)。そのような障害の一例は糖尿病網膜症であり、これは、糖尿病を有する個体における一般的な合併症であり、新たな失明の第5主要原因である。糖尿病網膜症の発生に対する最も重要な寄与因子は、血管透過性の上昇、内皮細胞増殖および病的血管新生を招く高血糖および低酸素である(Chorostowska-Wynimkoら, J. Physiol. Pharmacol. (2005) 56 Suppl 4:65-70)。これらの血管異常は黄斑における流体漏出を引き起こし、これは進行性視力低下を招きうる。
【0004】
血管新生が何らかの役割を果たしているもう1つの眼障害は老人性黄斑変性(AMD)であり、これは高齢者における重篤な視力低下の主要原因である。AMDにおける視力低下は脈絡膜血管新生(CNV)により生じる。該血管新生は脈絡膜血管から生じ、通常は複数の部位において、ブルッフ膜を介して、網膜下色素性上皮腔および/または網膜内へ成長する(例えば、Campochiaroら (1999) Mol. Vis. 5:34を参照されたい)。これらの新たな血管からの漏出および出血が視力低下を招く。
【0005】
眼血管新生に関連した眼障害は視力低下および失明の主要原因である。したがって、眼血管新生障害の新規治療方法が依然として必要とされている。
【発明の開示】
【0006】
本発明は眼血管新生障害の新規治療方法に関する。該方法は、ピリミジン誘導体、ベンゾジアゼピニル誘導体およびそれらを含有する医薬組成物を投与する工程を含む。
【0007】
1つの態様において、本発明は、式(I):
【化1】

【0008】
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における眼血管新生障害の治療方法を提供する。
【0009】
もう1つの態様において、本発明は、式(II):
【化2】

【0010】
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における眼血管新生障害の治療方法を提供する。
【0011】
もう1つの態様において、本発明は、本発明は、式(III):
【化3】

【0012】
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における眼血管新生障害の治療方法を提供する。
【0013】
本発明はまた、眼血管新生障害の治療において有用な医薬の製造のための、式(I)、式(II)、式(III)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用を含む。
【0014】
また、眼血管新生障害の治療における、式(I)、式(II)、式(III)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は哺乳動物における眼血管新生障害の新規治療方法を提供する。該方法は、ピリミジン誘導体、ベンゾジアゼピニル誘導体およびそれらを含有する医薬組成物を哺乳動物に投与する工程を含む。1つの態様においては、投与する化合物はパゾパニブ(Pazopanib)((5-[{4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)(メチル)アミノ]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2-メチルベンゼンスルホンアミド)またはその塩もしくは溶媒和物である。もう1つの態様においては、投与する化合物は(S)-3-オキソ-8-[3-(ピリジン-2-イルアミノ)-1-プロピルオキシ]-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-酢酸またはその塩もしくは溶媒和物である。本発明者らは、網膜に対するレーザー誘発損傷の後にパゾパニブで処理されたマウスが、未処理マウスと比較して、生じる脈絡膜血管新生病変のサイズの減少を示すことを実証した。また、本発明者らは、網膜に対するレーザー誘発損傷の前にパゾパニブ、(S)-3-オキソ-8-[3-(ピリジン-2-イルアミノ)-1-プロピルオキシ]-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-酢酸またはこれらの化合物の組み合わせで処理されたマウスが、生じる脈絡膜血管新生病変のサイズにおける減少を示すことを示した。したがって、本発明者らは、パゾパニブ、(S)-3-オキソ-8-[3-(ピリジン-2-イルアミノ)-1-プロピルオキシ]-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-酢酸ならびにそれらの誘導体、塩および溶媒和物が、眼における血管新生に関連した障害を治療するための治療用物質として有用であることを実証した。
【0016】
1つの態様において、本発明は、式(I):
【化4】

【0017】
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における眼血管新生障害の治療方法を提供する。
【0018】
特定の実施形態において、本発明は、式(I'):
【化5】

【0019】
の化合物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における眼血管新生障害の治療方法を提供する。
【0020】
もう1つの態様において、本発明は、式(I”):
【化6】

【0021】
の化合物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における眼血管新生障害の治療方法を包含する。
【0022】
もう1つの態様において、本発明は、本発明は、式(II):
【化7】

【0023】
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における眼血管新生障害の治療方法を提供する。
【0024】
本発明は組み合わせ療法をも提供する。したがって、いくつかの実施形態においては、該治療方法は、式(I)、式(II)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の投与と組み合わせて、式(III):
【化8】

【0025】
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を哺乳動物に投与する工程を含む。
【0026】
もう1つの態様において、本発明は、式(III):
【化9】

【0027】
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における眼血管新生障害の治療方法を包含する。
【0028】
もう1つの態様において、本発明は、眼血管新生障害の治療において有用な医薬の製造のための、式(I)、式(II)、式(III)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用を含む。
【0029】
また、眼血管新生障害の治療における、式(I)、式(II)、式(III)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用も提供する。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態においては、該眼血管新生障害は脈絡膜血管新生障害または網膜血管新生障害である。特定の実施形態においては、該眼血管新生障害は、滲出性老人性黄斑変性、網膜色素線条症、ぶどう膜炎および黄斑浮腫から選ばれる。
【0031】
本明細書中で用いる「眼血管新生障害」なる語は、眼内に新たな血管が病的に生じる障害を意味する。本発明の方法により治療されうる眼血管新生障害には、血管漏出により特徴づけられるものが含まれる。眼血管新生障害は部分的または完全な視力の喪失を引き起こしうる。本発明の方法において治療される血管新生障害は、例えば角膜、虹彩、網膜、硝子体および脈絡膜を含む眼の任意の部分において生じうる。
【0032】
本明細書中で用いる「脈絡膜血管新生障害」なる語は、脈絡膜の最内層であるブルッフ膜を介した新たな血管の侵襲により特徴づけられる障害を意味する。
【0033】
本明細書中で用いる「網膜血管新生障害」なる語は、網膜静脈から生じ網膜の硝子体表面に沿って伸長する新たな血管の成長に関連した障害を意味する。
【0034】
本発明の方法により治療されうる眼血管障害の非限定的な具体例には、滲出性老人性黄斑変性(AMD)、網膜色素線条症、病的近視、眼ヒストプラズマ症候群、ブルッフ膜裂孔、黄斑浮腫(糖尿病黄斑浮腫を含む)、サルコイドーシスおよびぶどう膜炎が含まれる。開示されている方法により治療されうる障害の他の具体例には、萎縮性AMD、円錐角膜、シェーグレン症候群、近視、眼腫瘍、角膜移植片拒絶反応、角膜損傷、血管新生緑内障、角膜潰瘍、角膜瘢痕、増殖性硝子体網膜症、未熟児網膜症、網膜変性、慢性緑内障、網膜剥離および鎌状赤血球網膜症が含まれる。
【0035】
本発明は眼血管新生障害の治療方法を提供する。本明細書中で用いる「治療」なる語は、該障害に関連した1以上の症状が有益に改変される任意の様態を意味する。したがって、この用語は、該障害の症状もしくは副作用の治癒、予防もしくは改善、または該障害の進行速度の減少を含む。
【0036】
本発明の方法においては、眼血管障害の治療は、治療すべき対象への1以上の治療用物質の有効量の投与によりもたらされうる。本明細書中で用いる「有効量」なる語は、該症状の1以上の症状を治療、予防および/または改善するのに十分な、治療用物質の量を意味する。
【0037】
本明細書中で用いる「溶媒和物」なる語は、溶質(本発明においては式(I)、(II)、(III)の化合物またはそれらの塩)と溶媒との種々の化学量論の複合体を意味する。本発明の目的におけるそのような溶媒は溶質の生物活性を妨げるものであってはならない。適当な溶媒の具体例には、水、メタノール、エタノールおよび酢酸が含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、使用する溶媒は、製薬上許容される溶媒である。適当な製薬上許容される溶媒の具体例には、水、エタノールおよび酢酸が含まれるが、これらに限定されるものではない。特定の実施形態においては、使用する溶媒は水である。
【0038】
1つの実施形態においては、本明細書に開示されている眼血管新生障害の予防または治療方法は、式(I):
【化10】

【0039】
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を投与することを含む。
【0040】
ある実施形態においては、式(I)の化合物の塩は塩酸塩である。特定の実施形態においては、式(I)の化合物の塩は、式(I')により例示される一塩酸塩である。式(I)の化合物の一塩酸塩は化学名5-[[4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)メチルアミノ]-2-ピリミジニル]アミノ]-2-メチルベンゼンスルホンアミド一塩酸塩を有する。
【化11】

【0041】
もう1つの実施形態においては、式(I)の化合物の塩は式(I)の化合物の一塩酸塩一水和物である。式(I)の一塩酸塩一水和物は、化学名5-({4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)メチルアミノ]-2-ピリミジニル}アミノ)-2-メチルベンゼンスルホンアミド一塩酸塩一水和物を有し、式(I”)により示される。
【化12】

【0042】
本発明はまた、式(II):
【化13】

【0043】
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を投与することを含む、本明細書中に開示されている眼血管新生障害の治療または予防方法を含む。この化合物は化学名N4-(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)-N4-メチル-N2-{4-[(メチルスルホニル)メチル]フェニル}-2,4-ピリミジンジアミンを有する。
【0044】
式(I)または(II)の化合物の遊離塩基、塩および溶媒和物は、例えば、2001年12月19日付けで出願され2002年8月1日付けでWO 02/059110として公開された国際特許出願番号PCT/US01/49367、および2003年6月17日付けで出願され2003年12月24日付けでWO 03/106416として公開された国際特許出願番号PCT/US03/19211の方法、または本明細書に記載の方法により製造されうる。式(III)の化合物およびその誘導体は米国特許第6,825,188号の方法または本明細書に記載の方法により製造されうる。
【0045】
典型的には、本発明の塩は製薬上許容される塩である。「製薬上許容される塩」なる語に含まれる塩は本発明の化合物の無毒性塩を意味する。本発明の化合物の塩は、本発明の化合物中の置換基上の窒素から誘導される酸付加塩を含みうる。代表的な塩には以下のものが含まれる:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、ブロミド、エデト酸カルシウム、カムシレート、炭酸塩、クロリド、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシレート、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシネート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨージド、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチルブロミド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、マレイン酸一カリウム、ムチン酸塩、ナプシレート、硝酸塩、N-メチルグルカミン、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム塩、サリチル酸塩、ナトリウム塩、ステアリン酸塩、スバセテート、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシル酸塩、トリエチオジド、トリメチルアンモニウムおよび吉草酸塩。本発明の化合物の製造においては、製薬上許容されない他の塩が有用であることもあり、これらは、本発明のもう1つの態様を構成する。
【0046】
本発明の方法において使用する化合物は単独で投与されることが可能であり、あるいはそれらは医薬組成物として投与されうる。したがって、本発明は更に、本発明の治療方法における医薬組成物の使用を提供する。該医薬組成物は、式(I)、(II)、(III)の化合物およびそれらの塩または溶媒和物と、1以上の製薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤とを含む。該担体、希釈剤または賦形剤は、該製剤のその他の成分に適合性でありその被投与者に有害でないという意味において許容されるものでなければならない。
【0047】
医薬製剤は、単位用量当たりに所定量の有効成分を含有する単位投与形として提供されうる。そのような単位は、例えば、治療される状態、投与経路ならびに患者の年齢、体重および状態に応じて、1μg〜1g、例えば5μg〜500μg、10μg〜250μg、0.5mg〜700mg、2mg〜350mg、または5mg〜100mgの式(I)、(II)、(III)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を含有することが可能であり、あるいは医薬製剤は、単位用量当たりに所定量の有効成分を含有する単位投与形として提供されうる。ある実施形態においては、単位投与製剤は、有効成分の前記のとおりの1日量もしくは亜用量(sub-dose)またはその適当な割合を含有するものである。さらに、そのような医薬製剤は、薬学分野でよく知られている方法のいずれかにより製造されうる。
【0048】
式(I)、(II)、(III)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物は任意の適当な経路により投与されうる。適当な経路には、経口、直腸、鼻腔内、局所(頬側、舌下および眼を含む)、膣および非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、眼外、眼内(例えば硝子体内、網膜下、強膜下、脈絡膜内および結膜下を含む)、鞘内および硬膜外を含む)が含まれる。好ましい経路は例えば被投与者の状態によって様々となることが理解されるであろう。
【0049】
また、本発明の方法は、眼血管新生障害の治療のための他の方法と組み合わせて使用されうる。いくつかの実施形態においては、本発明の方法は、式(I)、(II)、(III)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物が血管新生障害の治療のための1以上の追加的な治療用物質と組み合わせて投与される組み合わせ療法(併用療法)を含む。組み合わせ療法において使用されうる追加的な治療用物質の非限定的な具体例には、ペガプタニブ(pegaptanib)、ラニビズマブ(ranibizumab)、PKC412、ネパフェナック(nepafenac)およびインテグリン受容体アンタゴニスト(ビトロネクチン受容体アゴニストを含む)が含まれる。例えば、Takahashiら (2003) Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 44: 409-15、Campochiaroら (2004) Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 45:922-31、van Wijngaardenら (2005) JAMA 293:1509-13、Callahanら, 米国特許第6,825,188号およびManleyら, 米国特許6,881,736号(該文献のそれぞれを、これらの化合物に関するそれらの教示に関して、参照により本明細書に組み入れることとする)を参照されたい。特定の実施形態においては、式(I)もしくは式(II)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物は式(III)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物と組み合わせて投与される。
【0050】
組み合わせ療法を用いる場合、それらの治療用物質は一緒に又は別々に投与されうる。該組み合わせ療法の2以上の治療用物質に関して、同じ投与手段が用いられうる。あるいは該組み合わせ療法の異なる治療用物質は異なる手段により投与されうる。治療用物質を別々に投与する場合、それらは同時に、または時間的に接近して及び離れて任意の順序で連続的に投与されうる。式(I)、(II)、(III)の化合物および/またはその他の薬学的に活性な物質の量ならびに投与の相対的時機は、組み合わされる所望の治療効果が達成されるよう選択される。
【0051】
経口投与に適した医薬製剤は、分離した単位、例えばカプセル剤または錠剤;散剤または顆粒剤;水性または非水性液中の溶液または懸濁剤;可食性泡またはホイップ;あるいは水中油型液体エマルションまたは油中水型液体エマルションとして提供されうる。
【0052】
例えば、錠剤またはカプセル剤の形態での経口投与の場合には、活性薬物成分は、製薬上許容される経口無毒性不活性担体、例えばエタノール、グリセロール、水などと組み合わされうる。散剤は、該化合物を適当な微小サイズに粉末化し、同様に粉末化された医薬担体、例えば可食性炭水化物、例えばデンプンまたはマンニトールと混合することにより製造されうる。香味剤、保存剤、分散剤および着色剤も存在しうる。
【0053】
カプセル剤は、前記のとおりに粉末混合物を調製し、成型されたゼラチン殻物質に充填することにより製造されうる。充填操作の前に、滑剤および滑沢剤、例えばコロイドシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固体ポリエチレングリコールを該粉末混合物に加えることが可能である。カプセルが摂取された際の医薬の利用能を改善するために、崩壊剤または可溶化剤、例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムを加えることも可能である。
【0054】
さらに、所望により又は必要に応じて、適当な結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色剤を該混合物中に加えることも可能である。適当な結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然糖、例えばグルコースまたはβラクトース、トウモロコシ甘味剤、天然および合成ガム、例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ロウなどが含まれる。これらの剤形において使用される滑沢剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、限定的なものではないがデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが含まれる。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、顆粒化または乾式顆粒圧縮し、滑沢剤および崩壊剤を加え、錠剤に圧縮することにより製剤化されうる。粉末混合物は、該化合物(適切には粉末化されたもの)を前記希釈剤または基剤と、また、場合によっては結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン、溶解遅延剤、例えばパラフィン、再吸収促進剤、例えば第四級塩、および/または吸収剤、例えばベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウムと混合することにより製造される。該粉末混合物は、結合剤、例えばシロップ、デンプンペースト、アカジア(acadia)粘質物またはセルロース性もしくは重合性物質の溶液で湿式造粒し、篩いにかけることにより顆粒化されうる。顆粒化の代替手段として、該粉末混合物を錠剤機にかけることが可能であり、生じるものは、顆粒に分解される不完全に形成したスラッグである。錠剤形成鋳型への付着を妨げるために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油の添加により該顆粒を滑化することが可能である。ついで該滑化混合物を錠剤に圧縮する。また、本発明の化合物を自由流動性不活性担体と一緒にし、顆粒化または乾式顆粒圧縮工程を経ることなく直接的に錠剤に圧縮することも可能である。セラックのシーリングコート、糖または高分子物質のコーティングおよびロウの光沢コーティングよりなる透明または不透明な保護コーティングを施すことが可能である。異なる単位投与形を区別するために、これらのコーティングに染料を加えることが可能である。
【0055】
経口流体、例えば水剤(溶液)、シロップ剤およびエリキシル剤は、ある与えられた量が所定量の該化合物を含有するよう単位投与形として製造されうる。シロップ剤は、該化合物を、適切に香味づけされた水性溶液に溶解することにより製造されうる。一方、エリキシル剤は、無毒性アルコール性ビヒクルを使用することにより製造される。懸濁剤は、該化合物を無毒性ビヒクル中に分散させることにより製剤化されうる。安定剤および乳化剤、例えばエトキシ化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテル、保存剤、香味添加剤、例えばハッカ油、または天然甘味剤またはサッカリンまたは他の人工甘味剤なども加えられうる。
【0056】
適当な場合には、経口投与用の投与単位製剤はマイクロカプセル化されうる。また、該製剤は、例えば、高分子、ロウなどで粒子状物質をコーティングまたは包埋することにより、放出が遅延または持続されるように製造されうる。
【0057】
本発明に従い使用する物質は、リポソーム送達系(例えば、小単ラメラ小胞、大単ラメラ小胞および多重ラメラ小胞)の形態としても投与されうる。リポソームは、種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンから形成されうる。
【0058】
本発明に従い使用する物質は、該化合物分子が結合した個々の担体としてのモノクローナル抗体の使用によっても送達されうる。また、該化合物は、標的化可能な薬物担体としての可溶性高分子に結合されうる。そのような高分子には、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノールまたはポリエチレンオキシドポリリシン(パルミトイル残基で置換されているもの)が含まれうる。さらに、該化合物は、薬物の制御放出の達成に有用な生分解性高分子のクラス、例えばポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロック共重合体に結合されうる。
【0059】
経皮投与に適した医薬製剤は、長期にわたり被投与者の表皮との密接な接触を保つよう意図された分離したパッチとして提供されうる。例えば、有効成分は、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に全般的に記載されているイオントホレシスにより該パッチから送達されうる。
【0060】
局所投与に適した医薬製剤は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、水剤(溶液)、パスタ剤、ゲル剤、噴霧剤、エアゾール剤または油として製剤化されうる。
【0061】
眼または他の外部組織、例えば口および皮膚の治療には、該製剤は局所軟膏剤またはクリーム剤として適用されうる。有効成分は、軟膏剤中に製剤化される場合には、パラフィン性または水混和性軟膏基剤と共に使用されうる。あるいは有効成分は水中油型クリーム基剤または油中水型基剤と共にクリーム剤中に製剤化されうる。
【0062】
眼への局所投与に適した医薬製剤には、有効成分が適当な担体、特に水性溶媒に溶解または懸濁された点眼剤が含まれる。眼に投与される製剤は、眼科的に許容されるpHおよび浸透圧を有する。以下のものを包含する1以上の眼科的に許容されるpH調節剤および/または緩衝剤が本発明の組成物中に含有されうる:酸、例えば酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸および塩酸;塩基、例えば水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムおよび乳酸ナトリウム;ならびにバッファー、例えばシトレート/デキストロース、炭酸水素ナトリウムおよび塩化アンモニウム。そのような酸、塩基およびバッファーは、該組成物のpHを眼科的に許容される範囲内に維持するのに必要な量で含まれうる。該組成物中には、該組成物の浸透圧を眼科的に許容される範囲内にするのに十分な量の1以上の眼科的に許容される塩が含まれうる。そのような塩には、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウム陽イオン、およびクロリド、シトレート、アスコルバート、ボレート、ホスフェート、ビカーボネート、スルフェート、チオスルフェートまたはビスルフェート陰イオンを有するものが含まれる。
【0063】
口内の局所投与に適した医薬製剤には、ロゼンジ、トローチおよび口洗剤が含まれる。
【0064】
担体が固体である場合の鼻腔内投与に適した医薬製剤には、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒径を有する粗末が含まれる。該粉末は、鼻から吸うことにより、すなわち、鼻に密着保持された粉末容器からの鼻腔内通過による迅速な吸入により投与される。鼻噴霧剤または点鼻剤としての投与のための、担体が液体である適当な製剤には、有効成分の水性または油性溶液が含まれる。
【0065】
吸入による投与に適した医薬製剤には、微粒子粉剤またはミストが含まれ、これらは、種々のタイプの加圧式定量エアゾール、ネブライザーまたはインサフレーターにより生成されうる。
【0066】
非経口投与に適した医薬製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および意図される被投与者の血液に対して該製剤を等張にする溶質を含有しうる水性および非水性無菌注射溶液;ならびに懸濁化剤および濃稠化剤を含みうる水性および非水性無菌懸濁液が含まれる。該製剤は、単位投与用または複数投与用の容器、例えば密封アンプルおよびバイアル中に提供されることが可能であり、使用直前に無菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを要する凍結乾燥状態で保存されうる。必要に応じて調合される注射溶液および懸濁液は、無菌散剤、顆粒剤および錠剤から調製されうる。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態においては、該医薬製剤は、眼内注射または眼送達用の他のデバイスによる眼内投与に適合化される。本発明の方法において使用されうる眼用デバイスの具体例には、眼周囲用または硝子体内デバイス、コンタクトレンズおよびリポソームが含まれる。例えば、米国特許第3,416,530号、第3,828,777号、第4,014,335号、第4,300,557号、第4,327,725号、第4,853,224号、第4,946,450号、第4,997,652号、第5,147,647号、第5,164,188号、第5,178,635号、第5,300,114号、第5,322,691号、第5,403,901号、第5,443,505号、第5,466,466号、第5,476,511号、第5,516,522号、第5,632,984号、第5,679,666号、第5,710,165号、第5,725,493号、第5,743,274号、第5,766,242号、第5,766,619号、第5,770,592号、第5,773,019号、第5,824,072号、第5,824,073号、第5,830,173号、第5,836,935号、第5,869,079号、第5,902,598号、第5,904,144号、第5,916,584号、第6,001,386号、第6,074,661号、第6,110,485号、第6,126,687号、第6,146,366号、第6,251,090号、第6,299,895号、第6,331,313号、第6,416,777号、第6,649,184号、第6,719,750号、第6,660,960号ならびに米国特許公開番号2003/0064088、2004/0247645および2005/0113806(これらのそれぞれを、光学デバイスのそれらの教示のために、参照により本明細書に組み入れることとする)を参照されたい。
【0068】
該眼送達デバイスは、複数の一定の放出速度ならびに持続的用量速度論および透過性を伴う1以上の治療用物質の制御放出のために設計されうる。制御放出は、生分解性/生腐食性(bioerodable)高分子(例えば、ポリ(エチレンビニル)アセテート(EVA)、超加水分解PVA)、ヒドロキシアルキルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ無水物の種々の選択および特性を組み込んで高分子マトリックスを設計することにより、ならびに薬物の拡散、腐蝕、溶解および浸透を向上させる高分子分子量、高分子結晶度、共重合比、加工条件、表面仕上、幾何配置、賦形剤添加および高分子コーティングを設計することにより得られうる。
【0069】
眼用デバイスを使用する薬物送達(ドラッグデリバリー)用の製剤は、1以上の活性物質と、適応投与経路に適した補助剤との組み合わせを含有する。例えば、該活性物質は、通常の投与用に錠剤化またはカプセル化される任意の製薬上許容される賦形剤、ラクトース、スクロース、デンプン粉末、ステアリン酸、アルカン酸のセルロースエステル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウムおよびカルシウム塩、アカシア、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルアルコールと混合されうる。あるいは該化合物はポリエチレングリコール、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースコロイド溶液、エタノール、トウモロコシ油、ラッカセイ油、綿実油、ゴマ油、トラガカントガムおよび/または種々のバッファーに溶解されうる。該化合物は、生分解性および非生分解性の両方の高分子の組成物ならびに時間遅延(time delay)特性を有する担体または希釈剤とも混合されうる。生分解性組成物の代表例には、アルブミン、ゼラチン、デンプン、セルロース、デキストラン、多糖、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(アルキルカーボネート)およびポリ(オルトエステル)ならびにそれらの混合物が含まれうる。非生分解性高分子の代表例には、EVA共重合体、シリコーンゴムおよびポリ(メチルアクリレート)ならびにそれらの混合物が含まれうる。
【0070】
眼送達用の医薬組成物には、in situゲル化可能水性組成物も含まれる。そのような組成物は、眼または涙液との接触の際のゲル化を促進するのに有効な濃度のゲル化剤を含む。適当なゲル化剤には、熱硬化性高分子が含まれるが、これに限定されるものではない。本明細書中で用いる「in situゲル化可能」なる語は、眼または涙液との接触の際にゲルを形成する低粘度の液体だけでなく、眼への投与の際に粘度またはゲル剛性の実質的な上昇を示す、半流体およびチキソトロピーゲルのような、より粘性の液体をも含む。例えば、Ludwig (2005) Adv. Drug Deliv. Rev. 3;57:1595-639(これを、眼薬物送達に使用する高分子の具体例のその教示のために、参照により本明細書に組み入れることとする)を参照されたい。
【0071】
該製剤は、前記で特に挙げた成分に加えて、問題の製剤のタイプに関して当技術分野において通常に使用される他の物質を含みうる、と当業者に理解される。例えば、経口投与に適したものには香味剤が含まれうる。
【0072】
本発明の方法においては、式(I)、(II)または(III)の具体的な化合物を哺乳動物に投与する。典型的には、本発明の投与物質の1つの量は、例えば該哺乳動物の年齢および体重、治療を要する厳密な状態、該状態の重症度、該製剤の性質ならびに投与経路を含む多数の要因に左右されるであろう。最終的には、該量は担当医師または獣医の判断に委ねられる。
【0073】
典型的には、式(I)、(II)、(III)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物は、被投与者(哺乳動物)の体重1kg当たり1日当たり0.1〜100mgの範囲、より通常は1〜10mg/kg体重/日の範囲で投与される。特定の実施形態においては、該化合物は局所的(例えば、眼)に投与され、投与される化合物の総量は1μg〜10mg、例えば5μg〜500μg、または10μg〜250μgでありうる。
【0074】
以下の実施例は専ら例示を意図したものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0075】
本明細書において、これらの方法、スキームおよび実施例において用いる記号および慣例は、現代の科学文献、例えばJournal of the American Chemical SocietyまたはJournal of Biological Chemistryにおいて用いられているものに合わせてある。一般には、アミノ酸残基を示すためには標準的な1文字または3文字の略語が用いられており、それらは、特に示さない限り、L配置とされている。特に示さない限り、すべての出発物質は商業的供給業者から入手し、更なる精製を行うことなく使用した。特に、実施例および本明細書全体においては以下の略語が用いられうる。
【表1】

【0076】
特に示さない限り、すべての温度は℃(摂氏度)で表されている。特に示さない限り、すべての反応は不活性雰囲気下、室温で行われる。
【0077】
以下の実施例においては、式(I)および(II)の化合物の合成に特に有用な中間体の合成を記載する。
【0078】
中間体実施例1
2,3-ジメチル-6-ニトロ-2H-インダゾールの製造
【化14】

【0079】
方法1:
350 mlのアセトン中の18.5 g (0.11 mol)の3-メチル-6-ニトロ-1H-インダゾールの攪拌溶液に、室温で、20 g (0.14 mol)のトリメチルオキソニウムテトラフルオロボレートを加えた。該溶液をアルゴン下で3時間攪拌した後、該溶媒を減圧下で除去した。得られた固体に、飽和水性NaHCO3(600 mL)およびクロロホルム-イソプロパノールの4:1混合物 (200 ml)を加え、該混合物を攪拌し、層を分離した。水相を追加的なクロロホルム:イソプロパノール (4×200 mL)で洗浄し、合わせた有機相を乾燥 (Na2SO4)させた。濾過および溶媒の除去は黄褐色固体を与えた。該固体をエーテル(200 mL)を洗浄して2,3-ジメチル-6-ニトロ-2H-インダゾールを黄色固体(15.85 g, 73%)として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.51 (s, 1H), 7.94 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 4.14 (s, 3H), 2.67 (s, 3H). MS (ES+, m/z) 192 (M+H)。
【0080】
方法2:
トリメチルオルトホルメート (11 mmol, 1.17 g)を、-30℃に冷却された三フッ化ホウ素エーテレート (塩化メチレン (2.0 mL)中、12.5 mmol, 1.77 g)の溶液に2分間にわたって加えた。該混合物を0℃に15分間加温し、ついで-70℃に冷却した。ニトロインダゾール (10 mmol, 1.77 g) を塩化メチレン (30 mL) 中でスラリー化し、該冷却混合物に一斉に加えた。該混合物を-70℃で15分間および室温で17時間攪拌した。17時間後、該混合物は赤くなり、不均一になった。該反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液 (20 mL)でクエンチし、有機層を分離した。水層を塩化メチレン (30 mL)で抽出した。該塩化メチレン層を合わせ、水 (30 mL)で抽出した。該塩化メチレン層を、残留物が〜10mLになるまで、減圧下で蒸留した。プロパノール (10 mL)を加え、該塩化メチレンの残留物を減圧下で除去して黄色スラリーを得た。該生成物を濾過により単離して2,3-ジメチル-6-ニトロ-2H-インダゾール (65%, 7mmol, 1.25 g)を淡黄色粉末として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.51 (s, 1H), 7.94 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 4.14 (s, 3H), 2.67 (s, 3H). MS (ES+, m/z) 192 (M+H)。
【0081】
方法3:
25 mLの丸底フラスコ内で3-メチル-6-ニトロインダゾール (7.27 mmol, 1.28 g)を攪拌しながらDMSO (4.0 mL)に溶解し、濃硫酸 (7.27 mmol, 0.73 g)で処理して濃厚なスラリーを得た。該スラリーを硫酸ジメチル (21.1 mmol, 2.66 g)で処理した。該混合物を窒素下、50℃で72時間加熱した。72時間後、濃厚な黄色スラリーを得た。該スラリーを冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム (10 mL)で処理した。該混合物を塩化メチレン (2×20 mL)で抽出した。該塩化メチレン層を合わせ、水 (20 mL)で逆抽出した。該塩化メチレン層をプロパノール (10 mL)で処理し、該塩化メチレンを減圧下で除去した。固体を濾過により単離し、黄色固体をヘプタン (5 mL)で洗浄し、風乾した。2,3-ジメチル-6-ニトロ-2H-インダゾール生成物 (70%, 0.97 g)を淡黄色固体として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.51 (s, 1H), 7.94 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 4.14 (s, 3H), 2.67 (s, 3H). MS (ES+, m/z) 192 (M+H)。
【0082】
方法4:
250 mL三頚丸底フラスコ内に、3-メチル-6-ニトロ-1H-インダゾール硫酸塩 (5.0 g, 18.2 mmol) および塩化メチレン (25 mL)を配置した。該混合物を25℃で攪拌し、DMSO (5 mL)で処理した。硫酸ジメチル (6.7 g, 5.0 mL, 53.0 mmol)をシリンジを介して加え、該反応を70℃の浴内で還流温度で加熱した。7時間後、HPLC分析は9%の出発物質を示した。この時点で、加熱を停止し、後処理を開始した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液 (35 mL)を該反応混合物に室温で加えた。層を分離させ、水層を塩化メチレン (25 mL)で抽出した。該塩化メチレン層を合わせ、水 (2× 25 mL)で洗浄した。該塩化メチレン層を、半分の体積が除去されるまで、減圧下で蒸留した。プロパノール (25 mL)を加え、すべての塩化メチレンが除去されるまで減圧下の蒸留を継続した。これは黄色スラリーを与え、これを25℃で1時間攪拌した。生成物を濾過により単離し、得られた黄色固体をヘプタン (10 mL)で洗浄した。これは2,3-ジメチル-6-ニトロ-2H-インダゾール (70%, 2.43 g)を黄色固体として与えた。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.51 (s, 1H), 7.94 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 4.14 (s, 3H), 2.67 (s, 3H). MS (ES+, m/z) 192 (M+H)。
【0083】
中間体実施例2
2,3-ジメチル-6-アミノ-2H-インダゾールの製造:
【化15】

【0084】
方法1:
2-メトキシエチルエーテル (12 ml)中の2,3-ジメチル-6-ニトロ-2H-インダゾール (1.13 g)の攪拌溶液に、0℃で、8.9 mlの濃HCl中の4.48 gの塩化スズ(II)の溶液を5分間にわたって滴下した。該滴下の完了後、氷浴を除去し、該溶液を更に30分間攪拌した。約40 mLのジエチルエーテルを反応に加えたところ、沈殿物の形成が生じた。得られた沈殿物を濾過により単離し、ジエチルエーテルで洗浄し、黄色固体 (1.1 g, 95%)である2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-アミンHCl塩を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 7.77 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.18 (s, 1H), 7.88 (m, 1H), 4.04 (s, 3H), 2.61 (s, 3H). MS (ES+, m/z) 162 (M+H)。
【0085】
方法2:
2 L 三頚丸底フラスコに窒素の入口および出口ならびに機械的攪拌装置を設けた。適度な窒素流動を開始し、該反応器に10% Pd/C (50% 水湿, 6.0 g)を仕込んだ。攪拌を開始し、該反応器にメタノール (750 mL)および中間体実施例1の生成物 (50 g)を仕込んだ。アンモニウムホルメート (82.54 g)を水 (120 mL)に溶解した。アンモニウムホルメートの該水溶液を該反応溶液に、反応温度を25〜30℃に維持する添加速度で加えた。該反応を25℃で進行させた。6時間後、HPLC分析に基づき、該反応が完了したと判断した。該混合物を濾過し、該触媒をメタノール (50 mL)で洗浄した。メタノール層を合わせ、該溶媒を減圧下で除去した。残渣を水 (200 mL)に溶解し、塩化メチレン (3×250 mL)で抽出した。塩化メチレン層を合わせ、溶媒を真空下で除去して該溶媒の約半分を除去した。ヘプタン (400 mL)を加え、約300 mLの反応生成物スラリーが残るまで、該真空蒸留を継続した。生成物を濾過により単離し、真空下、50℃で4時間乾燥させて2,3-ジメチル-6-アミノ-2H-インダゾールを遊離塩基として得た (40.76 g, 96.7%)。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 7.31 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 6.45 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 6.38 (s, 1H), 4.95 (s, br, 2H), 3.85 (s, 3H), 2.44 (s, 3H) MS (ES+, m/z) 162 (M+H)。
【0086】
中間体実施例3
N-(2-クロロピリミジン-4-イル)-2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-アミンの製造
【化16】

【0087】
方法1
THF (15 mL)およびエタノール (60 mL)中の中間体実施例2の生成物 (2.97 g, .015 mol)およびNaHCO3 (5.05 g, .06 mol)の攪拌溶液に、2,4-ジクロロピリミジン (6.70 g, .045 mol)を室温で加えた。該反応を85℃で4時間攪拌した後、該懸濁液を室温に冷却し、濾過し、酢酸エチルで十分に洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた固体を酢酸エチルでトリチュレーションしてN-(2-クロロピリミジン-4-イル)-2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-アミン (89%, 3.84 g)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.28 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.42 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.37 (s, 1H), 5.18 (br s, 1H), 3.84 (s, 3H), 2.43 (s, 3H). MS (ES+, m/z) 274 (M+H)。
【0088】
方法2
空気駆動機械的攪拌装置、温度計および窒素入口/出口を備えた1L 三頚フラスコに、425 mL (13容量)のEtOH/THF (4/1)中の中間体実施例2の生成物 (32.89 g, 0.204 mol, 1.0当量)の溶液、炭酸水素ナトリウム (51.42 g, 0.612 mol, 3.0 当量)、そしてついで2,4-ジクロロピリミジン (45.59 g, 0.306 mol, 1.5当量)を仕込んだ。フラスコ内容物を75℃に加熱し、74〜76℃で6〜7時間維持した。該反応の進行をHPLCにより調べた(中間体実施例2の生成物 < 2%)。該反応内容物を30分間にわたって20〜25℃に冷却し、20〜25℃で30分間維持した。ついで該反応内容物を更に、30分間にわたって10〜12℃に冷却し、その温度で更に10分間維持した。該内容物を濾過し、濾過ケークをEtOAc (2×100 mL, 3.0容量)および脱イオン水 (514 mL, 15.6容量)で洗浄した。ついで濾過ケークを真空オーブン内で35℃で一晩乾燥させて、所望の生成物44.75 gを白色固体 (80.1%)として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.28 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.42 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.37 (s, 1H), 5.18 (br s, 1H), 3.84 (s, 3H), 2.43 (s, 3H). MS (ES+, m/z) 274 (M+H)。
【0089】
方法3
2Lジャケット付き反応器にIMS (1000 mL)、中間体実施例2の生成物 (100 g, 0.620 mol, 1当量)、炭酸水素ナトリウム (107g, 1.27 mol, 2.05当量)および2,4-ジクロロピリミジン (101 g, 0.682 mol, 1.1当量)を仕込んだ。該溶液を攪拌し、85℃のジャケット温度で還流温度まで8時間加熱した。ついで、得られたスラリーを50℃に冷却し、水 (500 mL)を加えて温度を40〜50℃に維持した。ついで該反応を50℃の内部温度で1時間攪拌し、ついで20℃に冷却した。固体生成物を濾過により集め、水 (750 mL×2)、ついでEtOAc (450 mL×1)で洗浄した。真空下、60℃で一晩乾燥した後、135 g (80%)のN-(2-クロロピリミジン-4-イル)-2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-アミンを得た。
【0090】
中間体実施例4
N-(2-クロロピリミジン-4-イル)-N,2,3-トリメチル-2H-インダゾール-6-アミンの製造
【化17】

【0091】
方法1
DMF (50 ml)中の中間体実施例3の生成物 (7.37 g)の攪拌溶液に、Cs2CO3 (7.44 g, 2当量)およびヨードメタン (1.84 ml, 1.1当量)を室温で加えた。該混合物を室温で一晩攪拌した。ついで該反応混合物を氷水浴内に注ぎ、沈殿物を濾過により集め、水で洗浄した。該沈殿物を風乾してN-(2-クロロピリミジン-4-イル)-N,2,3-トリメチル-2H-インダゾール-6-アミンをオフホワイト色固体 (6.43 g, 83%)として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.94 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 7.80 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.50 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 6.88 (m, 1H), 6.24 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 4.06 (s, 3H), 3.42 (s, 3H), 2.62 (s, 3H). MS (ES+, m/z) 288 (M+H)。
【0092】
方法2
空気駆動機械的攪拌装置、温度計、滴下漏斗および窒素入口/出口を備えた3L三頚フラスコに、DMF (272 mL, 5容量)および中間体実施例3の生成物 (54.4 g, 0.20 mol, 1.0当量)を攪拌しながら仕込んだ。反応温度を20〜25℃に維持しながら、該反応混合物に更に、炭酸セシウム (194.5 g, 0.60 mol, 3.0当量)を仕込んだ。該反応混合物を20〜25℃で10分間攪拌した。温度を20〜30℃に維持しながら、ヨードメタン (45.1 g, 0.32 mol, 1.6当量)を〜10分間にわたって仕込んだ。該反応混合物を20〜30℃で攪拌した(典型的には、該反応は1〜2時間のうちに完了する)。温度を25〜40℃に維持しながら、脱イオンH2O (925 mL, 17容量)を〜30分間にわたって加えた。該反応混合物を20〜25℃で40分間攪拌した。生成物を濾過により単離し、ついで濾過ケークをH2O / DMF (6 : 1, 252 mL, 4.6容量)で洗浄した。その湿ったケークを真空下、40〜45℃で乾燥させ、N-(2-クロロピリミジン-4-イル)-N,2,3-トリメチル-2H-インダゾール-6-アミン (51.7 g, 90.4%)を黄色固体として単離した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.94 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 7.80 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.50 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 6.88 (m, 1H), 6.24 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 4.06 (s, 3H), 3.42 (s, 3H), 2.62 (s, 3H). MS (ES+, m/z) 288 (M+H)。
【0093】
方法3
2Lジャケット付き反応器にDMF (383 mL)、炭酸ジメチル (192 mL)、中間体実施例3の生成物 (115 g, 0.420 mol, 1当量)および炭酸カリウム (174 g, 1.26 mol, 3当量)を仕込んだ。該懸濁液を攪拌し、135℃のジャケット温度で還流温度まで6時間加熱した。ついで、得られたスラリーを60℃に冷却し、反応温度を50〜65℃に維持しながら水 (1150 mL)をゆっくり加えた。ついで該反応を20℃に冷却し、20℃の内部温度で2時間攪拌し、ついで10℃に冷却し、一晩維持し、その後、それを濾過した。該固体を室温で水 (230 mL×2)で洗浄し、IMS:水 (1:1)混合物 (230 mL×1)ですすいだ。真空下、60℃で一晩乾燥した後、N-(2-クロロピリミジン-4-イル)-N,2,3-トリメチル-2H-インダゾール-6-アミンを得た。
【0094】
中間体実施例5
5-アミノ-2-メチルベンゼンスルホンアミドの製造
【化18】

【0095】
方法1
2-メトキシエチルエーテル (43 mL)中の2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホンアミド (4.6 g, 0.021 mol)の攪拌溶液に、0℃で、32 mLの濃HCl中の16.1の塩化スズ(II)の溶液を15分間にわたって滴下した。該滴下の完了後、氷浴を除去し、該溶液を更に30分間攪拌した。約130 mLのジエチルエーテルを反応に加えた。該混合物を激しく1時間攪拌した。該混合物をNaOHおよびNaHCO3の溶液で塩基性化し、酢酸エチルで抽出 (×3)した。合わせた酢酸エチル層を無水MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して粗生成物を得た。メタノールでの該粗生成物のトリチュレーションにより2.4 gの純粋な5-アミノ-2-メチルベンゼンスルホンアミドを淡褐色固体として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 7.11-7.10 (m, 3H), 6.95 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.60 (dd, J = 8.1 & 2.4 Hz, 1H), 5.24 (s, 2H), 2.36 (s, 3H). MS (ES+, m/z) 187 (M+H)。
【0096】
中間体実施例6
4-[(メチルスルホニル)メチル]アニリンの製造
【化19】

【0097】
方法1
4-ニトロベンジルブロミド (40 g, 0.185 mol)およびメタンスルフィン酸ナトリウム (19.5 g, 1当量)をエタノール (460 mL, 〜0.4M)中で一緒にした。該混合物を攪拌し、還流下で80℃に加熱した。3時間後、該反応混合物を室温に冷却し、濾過して、オフホワイト色固体を集めた。該固体をEtOHで2回洗浄し、風乾して37 gのメチル4-ニトロベンジルスルホンを得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.27 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.69 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 4.71 (s, 2H), 2.96 (s, 3H). MS (ES+, m/z) 216 (M+H)。
【0098】
メチル4-ニトロベンジルスルホン (9.5 g, 0.044 mol)および10% Pd/C (0.95 g, 0.1 w/w)を酢酸エチル(220 mL, 〜0.2M)中で一緒にした。該混合物を40 psiの水素と共にパール(Parr)攪拌機下に配置した。〜3時間後、該反応混合物を50%のMeOH/EtOAc (400 mL)中に注ぎ、激しく30分間攪拌した。該混合物をセライトおよびシリカゲルのパッドに通して濾過した。該パッドの最上部の黒色物質を取り出し、80% MeOH/EtOAc (200 mL)中に配置し、激しく30分間攪拌した。該混合物を再び、セライトおよびシリカゲルのパッドに通して濾過した。この手順を2、3回繰返した。すべての濾液を合わせ、蒸発させ、乾燥させた。EtOAcでのトリチュレーションは純粋な4-[(メチルスルホニル)メチル]アニリンを与えた。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 7.03 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.54 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 5.20 (s, 2H), 4.20 (s, 2H), 2.79 (s, 3H). MS (ES+, m/z) 186 (M+H)。
【0099】
方法2
磁気攪拌棒および還流冷却器を備えた丸底フラスコ (1.0 L)に4-ニトロベンジルブロミド (40 g, 0.185 mol, 1.0当量)、メタンスルフィン酸ナトリウム (21.7 g, 0.213 mol, 1.15当量) およびエタノール (400 mL, 200プルーフ, 10容量)を仕込んだ。該混合物を攪拌し、還流下、80℃に2時間加熱した。高速HPLCにより反応の進行を調べた(HPLCが4-ニトロベンジルブロミド < 0.5%を示した場合に反応は完了したとみなされる)。該混合物を室温まで冷却した。濾過を行い、ケークをエタノール (40 mL)で洗浄した。その湿ったケーク (15 g, 46.2 mmol)を、更に乾燥させることなく次の水素添加工程で使用した。
【0100】
500 mLの水素添加フラスコに、前記の湿ったケークであるメチル4-ニトロベンジルスルホン (15 g, 46.2 mmol, 「そのまま」使用)、10% Pd/C (0.1 g, 1% w/w)ならびにエタノール (120 mL, 200プローフ)および水 (40 mL)を仕込んだ。反応器の雰囲気を水素で置換した(3回)。該反応器をH2 (65 psi)下、室温で30分間および50℃で2時間振とうした。HPLCにより反応の進行を調べた(HPLCがメチル4-ニトロベンジルスルホン < 0.2 %を示した場合に反応は完了したとみなされる)。該混合物を80℃に加熱した。該加熱溶液をセライト (2.0 g)のパッドに通して濾過し、該パッドをEtOH (10 mL)ですすいだ。該濾液を結晶化用の丸底フラスコ (500 mL)内に移した。スラリーを、60 mLの容量が残るまで、ハウス真空 (house vacuum)下、60℃で蒸留した。該スラリーを1時間にわたって0℃に冷却した。結晶を真空濾過により単離し、容器および結晶をエタノール (10 mL)で洗浄した。生成物をハウス真空下、50℃で一定重量まで乾燥させた。オフホワイト色固体 (7.3 g)を得た。2工程合わせて収率は85%であり、HPLCによる生成物の純度は99%である。
【0101】
中間体実施例7
4-[(イソプロピルスルホニル)メチル]フェニルアミンの製造
【化20】

【0102】
エタノール (50 mL)中の1-(ブロモメチル)-4-ニトロベンゼン (3.0 g, 17.4 mmol)の溶液に、ナトリウム2-チオプロポイレート (2.7 g, 17.4 mmol)を加えた。12時間後、該溶媒を減圧下で除去し、残留残渣をEtOAcで希釈し、濾過して残留塩を除去した。該溶媒をMgSO4で乾燥させ、減圧下で除去し、生成物を、更に精製することなく次工程に進めた。次に該スルフィドをCH2Cl2 (50 mL)で希釈し、m-クロロペルオキシ安息香酸 (〜70%) (6.6 g, 38.4 mmol)を数分割で加えた。反応が完了したことをTLCにより判定し、該溶媒を減圧下で除去した。残留残渣をEtOAcで希釈し、1M NaOH (2×100 mL)で洗浄した。該溶媒をMgSO4で乾燥させ、減圧下で除去し、生成物を、更に精製することなく次工程に進めた。次に該残渣をグライム (glyme) (8.0 mL)で希釈し、HCl (8.0 mL)中のSnCl2 (13.8 g, 69 mmol)の溶液を滴下した。該溶液を2時間攪拌し、還元が完了したことをTLCにより判定した。該反応混合物をEt2Oで希釈し、生成物をHCl塩として沈殿させた。該固体を集め、Et2O (2×100 mL)で洗浄して、純粋なアニリン (〜2.4 g, 65%)を得た。1H NMR (300 MHz, d6DMSO+NaHCO3) δ 7.37 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.21 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 4.41 (s, 2H), 3.18-3.09 (m, 1H), 1.21 (d, J = 6.9 Hz, 6H)。
【0103】
中間体実施例8
4-[2-(メチルスルホニル)エチル]アニリンの製造
【化21】

【0104】
エタノール (70 mL)中の1-(ブロモエチル)-4-ニトロベンゼン (3.0 g, 13.0 mmol)の溶液に、ナトリウム2-チオメトキシド (1.0 g, 14.0 mmol)を加えた。12時間後、該溶媒を減圧下で除去し、残留残渣をEtOAcで希釈し、濾過して残留塩を除去した。該溶媒をMgSO4で乾燥させ、減圧下で除去し、生成物を、更に精製することなく次工程に進めた。次に該スルフィドをCH2Cl2 (100 mL)で希釈し、m-クロロペルオキシ安息香酸 (〜70%) (8.2 g, 48.8 mmol)を数分割で加えた。反応が完了したことをTLCにより判定し、該溶媒を減圧下で除去した。残留残渣をEtOAcで希釈し、1M NaOH (2×100 mL)で洗浄した。該溶媒をMgSO4で乾燥させ、減圧下で除去し、生成物を、更に精製することなく次工程に進めた。次に該残渣をパール (Parr) 振とう容器内のEtOAC (50 mL)中のパラジウム-炭素 (10 mol %)のスラリーに加えた。ついで該反応を40 atmの水素ガス下に配置した。該溶液を2時間振とうし、還元が完了したことをTLCにより判定した。該反応混合物をセライトのパッド上で濾過し、EtOAcで洗浄し、該溶媒を減圧下で除去して粗固体を得た。該混合物を熱EtOAc中で再結晶して純粋なアニリン (〜1.8 g, 69%)を得た。1H NMR (300 MHz, d6DMSO+NaHCO3) δ 6.93 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 6.87 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 5.09 (bs, 2H), 3.31-3.26 (m, 2H), 2.92 (s, 3H), 2.84-2.79 (m, 2H)。
【0105】
中間体実施例9
4-[1-(メチルスルホニル)エチル]アニリンの製造
【化22】

【0106】
CH2Cl2 (100mL)中の4-ニトロフェニルカルボノール (3.0 g, 17.9 mmol)およびトリエチルアミン (3.5 mL, 21.0 mmol)の溶液に、メタンスルホニルクロリド (1.7 mL, 21.0 mmol)を滴下した。1時間後、該反応が完了したことをTLCにより判定し、飽和水性NaHCO3でクエンチした。該反応混合物をEtOAcで希釈し、有機層を分離し、MgSO4で乾燥させ、該溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣をエタノール (100 mL)に溶解し、ナトリウムチオメトキシド (1.5 g, 21.0 mmol)を数分割で加えた。12時間後、該溶媒を減圧下で除去し、残留残渣をEtOAcで希釈し、濾過して残留塩を除去した。該溶媒をMgSO4で乾燥させ、減圧下で除去し、生成物を、更に精製することなく次工程に進めた。次に該スルフィドをCH2Cl2 (100 mL)で希釈し、m-クロロペルオキシ安息香酸 (〜70%) (10.8 g, 62 mmol)を数分割で加えた。反応が完了したことをTLCにより判定し、該溶媒を減圧下で除去した。残留残渣をEtOAcで希釈し、1M NaOH (2×100 mL)で洗浄した。該溶媒をMgSO4で乾燥させ、減圧下で除去し、生成物を、更に精製することなく次工程に進めた。次に該残渣をパール (Parr) 振とう容器内のEtOAC (50 mL)中のパラジウム-炭素 (10 mol %)のスラリーに加えた。ついで該反応を40 atmの水素ガス下に配置した。該溶液を2時間振とうし、還元が完了したことをTLCにより判定した。該反応混合物をセライトのパッド上で濾過し、EtOAcで洗浄し、該溶媒を減圧下で除去して粗固体を得た。該混合物を熱EtOAc中で再結晶して純粋なアニリン (〜2.0 g, 57%)を得た。1H NMR (300 MHz, d6DMSO+NaHCO3) δ 7.06 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.53 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 5.21 (s, 2H), 4.23 (q, J = 7.1 Hz, 1H), 2.70 (s, 3H), 1.21 (d, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0107】
中間体実施例10
4-[1-メチル-1-(メチルスルホニル)エチル]アニリンの製造
【化23】

【0108】
THF中のt-ブトキシド (5.76g, 0.051 mol)の攪拌溶液に、メチル4-ニトロベンジルスルホン (5 g, 0.023 mol)、ついでヨードメタン (2.89 ml, 0.046 mol)を加えた。該混合物を室温で1時間攪拌した。追加的なt-ブトキシド (2.9 g) およびヨードメタン (0.5 ml)を加えた。該混合物を室温で更に1時間攪拌した。該混合物をEtOAcで希釈し、6N HClで酸性化した。該混合物を酢酸エチルで抽出した(×3)。合わせた酢酸エチル層を無水MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。該固体をエタノールでトリチュレーションして純粋な1-[1-メチル-1-(メチルスルホニル)エチル]-4-ニトロベンゼンを得た。
【0109】
2-メトキシエチルエーテル (70 mL)中の1-[1-メチル-1-(メチルスルホニル)エチル]-4-ニトロベンゼン (3.32 g, 0.014 mol)の攪拌溶液に、0℃で、20.5 mLの濃HCl中の10.35 gの塩化スズ(II)を15分間にわたって滴下した。該滴下の完了後、氷浴を除去し、該溶液を更に30分間攪拌した。約70 mlのジエチルエーテルを反応に加えた。該混合物を激しく1時間攪拌した。沈殿物を形成させ、濾過により集めた。該固体をCH2Cl2に溶解し、1N NaOHで洗浄した。該混合物をCH2Cl2で抽出した (×3)。合わせたCH2Cl2層を無水MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて4-[1-メチル-1-(メチルスルホニル)エチル]アニリンをオフホワイト色固体として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 7.21 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.55 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 5.23 (s, 2H), 2.58 (s, 3H), 1.64 (s, 6H)。
【0110】
実施例1:パゾパニブ(pazopanib) (5-({4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)(メチル)アミノ]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2-メチルベンゼンスルホンアミド)ならびにその塩および溶媒和物の製造
実施例1a
5-({4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)(メチル)アミノ]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2-メチルベンゼンスルホンアミドの製造
【化24】

【0111】
方法1
イソプロパノール (6 ml)中の中間体実施例4の(200 mg, 0.695 mmol)および5-アミノ-2-メチルベンゼンスルホンアミド (129.4 mg, 0.695 mmol)の溶液に4滴の濃HClを加えた。該混合物を還流温度に一晩加熱した。該混合物を室温に冷却し、エーテル (6 ml)で希釈した。沈殿物を濾過により集め、エーテルで洗浄した。5-({4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)(メチル)アミノ]-ピリミジン-2-イル}アミノ)-2-メチルベンゼンスルホンアミドの塩酸塩をオフホワイト色固体として単離した。1H NMR (400 MHz, d6DMSO+NaHCO3) δ 9.50 (br s, 1H), 8.55 (br s, 1H), 7.81 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.69 (m, 1H), 7.43 (s, 1H), 7.23 (s, 2H), 7.15 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.86 (m, 1H), 5.74 (d, J = 6.1 Hz, 1H), 4.04 (s, 3H), 3.48 (s, 3H), 2.61 (s, 3H), 2.48 (s, 3H). MS (ES+, m/z) 438 (M+H)。
【0112】
方法2
磁気攪拌棒、温度計、還流冷却器および窒素入口/出口を備えた250-mL 三頚フラスコに、攪拌しながら、エタノール (60 mL, 10容量)、中間体実施例4の生成物 (6.00 g, 20.85 mmol, 1.0当量)および5-アミノ-2-メチルベンゼンスルホンアミド (4.00 g, 21.48 mmol, 1.03当量)を仕込んだ。該反応混合物を70℃に加熱した。該反応混合物を68〜72℃で3時間攪拌した後、ジオキサン中の4M HCl(0.11 mL, 0.44 mmol, 0.02当量)を約2分間にわたって仕込んだ。HPLC分析により、出発した中間体実施例4の生成物の残留が1.5面積%未満になるまで、該反応混合物を68〜72℃で攪拌した (典型的には、この反応は > 8時間のうちに完了する)。該反応混合物を約30分間にわたって20℃に冷却し、20〜22℃で40分間攪拌した。ついで生成物を濾過により単離し、濾過ケークをエタノール (20 mL, 3.3容量)で洗浄した。その湿ったケークを真空下、45〜50℃で乾燥させた。5-({4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)(メチル)アミノ]-ピリミジン-2-イル}アミノ)-2-メチルベンゼンスルホンアミドの一塩酸塩 (9.52 g, 96.4%)を白色固体として単離した。1H NMR (400 MHz, d6DMSO+NaHCO3) δ 9.50 (br s, 1H), 8.55 (br s, 1H), 7.81 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.69 (m, 1H), 7.43 (s, 1H), 7.23 (s, 2H), 7.15 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.86 (m, 1H), 5.74 (d, J = 6.1 Hz, 1H), 4.04 (s, 3H), 3.48 (s, 3H), 2.61 (s, 3H), 2.48 (s, 3H). MS (ES+, m/z) 438 (M+H)。
【0113】
方法3
14 mLのMeOH中の中間体実施例4の生成物 (1.1 g, 3.8 mmol)の攪拌懸濁液に、5-アミノ-2-メチルベンゼンスルホンアミド (0.78 g, 4.2 mmol, 1.1当量)を室温で加えた。該反応混合物を還流温度で3時間加熱し、ついで1,4-ジオキサン中の4 M HCl(19 μL, 0.076 mmol)を一度に加えた。4時間後、該懸濁液を室温に冷却し、濾過した。得られた固体を10 mLのMeOHで洗浄し、真空中で乾燥させて1.3 g (72%)の5-({4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)メチルアミノ]-2-ピリミジニル}アミノ)-2-メチル ベンゼンスルホンアミド一塩酸塩を白色固体として得た。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.95 (s, 1H), 8.36 (s, 1H), 7.86 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.64-7.59 (m, 2H), 7.40 (m, 3H), 6.93 (dd, J = 8.8, 2.0 Hz, 1H), 5.92 (s, 1H), 4.08 (s, 3H), 3.57 (s, 3H), 2.65 (s, 3H), 2.56 (s, 3H)。
【0114】
方法4
10 mLのTHF中の中間体実施例4の生成物 (1.1 g, 3.7 mmol)の攪拌懸濁液に、5-アミノ-2-メチルベンゼンスルホンアミド (0.70 g, 3.8 mmol, 1.0当量)を室温で加えた。該反応混合物を還流温度で3時間加熱し、ついで1,4-ジオキサン中の4 M HCl(18 μL, 0.072 mmol)を一度に加えた。5時間後、該懸濁液を室温に冷却し、濾過した。得られた固体を16 mLのTHFで洗浄し、風乾して1.6 g (92%)の5-({4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)メチルアミノ]-2-ピリミジニル}アミノ)-2-メチルベンゼンスルホンアミド一塩酸塩を淡黄色固体として得た。
【0115】
方法5
10 mLのCH3CN中の中間体実施例4の生成物 (1.0 g, 3.6 mmol)の攪拌懸濁液に、5-アミノ-2-メチルベンゼンスルホンアミド (0.70 g, 3.8 mmol, 1.0当量)を室温で加えた。該反応混合物を還流温度で3時間加熱し、ついで1,4-ジオキサン中の4 M HCl(18 μL, 0.076 mmol)を一度に加えた。20時間後、該懸濁液を室温に冷却し、濾過した。得られた固体を10 mLのCH3CNで洗浄し、風乾して1.3 g (73%)の5-({4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)メチルアミノ]-2-ピリミジニル}アミノ)-2-メチル ベンゼンスルホンアミド一塩酸塩をオフホワイト色固体として得た。
【0116】
方法6
2Lジャケット付き反応器にMeOH (1005 mL)、中間体実施例4の生成物 (84 g, 0.292 mol, 1当量)および5-アミノ-2-メチルベンゼンスルホンアミド (60 g, 0.320 mol, 1.1当量)を仕込んだ。該溶液を攪拌し、50℃に加熱し、ジオキサン中の4M HCl(1.46 mL, 2 mol%)を加えた。ついで該溶液を攪拌し、85℃のジャケット温度で還流温度に10時間加熱した。ついで、得られたスラリーを20〜25℃に冷却し、濾過した。該濾過固体をアセトニトリル (293 mL×2)で室温で洗浄した。真空下、60℃で一晩の乾燥後、116 g (81%)の5-({4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)メチルアミノ]-2-ピリミジニル}アミノ)-2-メチル ベンゼンスルホンアミド一塩酸塩を得た。
【0117】
実施例1b
5-({4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)メチルアミノ]-2-ピリミジニル}アミノ)-2-メチルベンゼンスルホンアミド一塩酸塩一水和物の製造
【化25】

【0118】
丸底フラスコに、2.6 gの実施例1a、方法1(任意形態)の一塩酸塩を加えた。ついで39 mLのイソプロパノール (15容量)を加えた。該混合物を油浴内で75℃に加熱し、ついで14 mLの0.05N水性HCl (5.4容量)を加えた。該透明溶液を65℃に冷却し、ついで実施例1、方法1の一塩酸塩の一水和物 (0.05-0.1 wt %)の結晶種を入れた。濁った溶液を65℃で60分間攪拌し、ついで〜0.25-0.5℃/分で0℃に冷却した。得られた白色固体を濾過し、真空下、室温で一定重量まで乾燥させて、収率88%の5 -({4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)メチルアミノ]-2-ピリミジニル}アミノ)-2-メチルベンゼンスルホンアミド一塩酸塩一水和物を得た。
【0119】
実施例1c
5-({4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)メチルアミノ]-2-ピリミジニル}アミノ)-2-メチルベンゼンスルホンアミド一塩酸塩無水物の製造
【化26】

【0120】
1Lジャケット付き反応器に、アセトニトリル (563 mL)、水 (188 mL)、実施例1、方法6の一塩酸塩 (50 g, 0.105 mol)を仕込んだ。該溶液を攪拌し、85℃のジャケット温度に加熱し、透明な溶液を得た。ついで該溶液を45℃に冷却し、90分間維持して該水和物を結晶化させた。その90分間の維持の後、該溶液を0℃に冷却し、一時間維持し、ついでフィルター-ドライヤーを通して濾過した。ついで該濾過固体をアセトニトリル (200 mL×1)で0℃で洗浄した。LODが25%未満になるまで、該フィルター-ドライヤー内で25℃で該固体に窒素を吹き付けた。アセトニトリル (300 mL)をフィルター-ドライヤー内の該固体に加え、60℃で少なくとも8時間、またはDATRによる観察で形態変換が完了するまで(一水和物が残存しなくなるまで)攪拌して、5-({4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)メチルアミノ]-2-ピリミジニル}アミノ)-2-メチルベンゼンスルホンアミド一塩酸塩無水物を形成させた。該フィルター-ドライヤーの内容物を〜30℃に冷却し、窒素圧を用いて濾液を押し出した。LODが0.5%未満になるまで、該濾過ケークに真空下、〜60℃で窒素を吹き付けた。内容物を20℃に冷却して、37.5 g (75%)の5-({4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)メチルアミノ]-2-ピリミジニル}アミノ)-2-メチルベンゼンスルホンアミド一塩酸塩無水物を得た。
【0121】
実施例2
N4-(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)-N4-メチル-N2-{4-[(メチルスルホニル)メチル]フェニル}ピリミジン-2,4-ジアミンの製造
【化27】

【0122】
中間体実施例4および適当なアニリンを使用して、実施例1における前記の一般的方法に従い、実施例2を製造した。適当なアニリンは、中間体実施例5〜10に記載されているのと同様の方法を用いて製造した。1H NMR (300 MHz, d6DMSO+NaHCO3) δ 9.37 (bs, 1H), 7.88 (d, J = 6.1 Hz, 1H), 7.78 (m, 3H), 7.47 (s, 1H), 7.22 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.91 (dd, J = 8.8, 1.5 Hz, 1H), 5.84 (d, J = 6.1 Hz, 1H), 4.37 (s, 2H), 4.09 (s, 3H), 3.51 (s, 3H), 2.88 (s, 3H), 2.65 (s, 3H). MS (ES+, m/z) 437 (M+H), 435 (M-H)。
【0123】
実施例3
5-({4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)メチルアミノ]-2-ピリミジニル}アミノ)-2-メチルベンゼンスルホンアミド一塩酸塩無水物の製造
【化28】

【0124】
製造1
メチル (±)-8-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-アセテートの製造
a)3-[N-(tert-ブトキシカルボニル)-N-メチルアミノ]メチル-4-ブロモアニソール
THF (280 mL)中の4-ブロモ-3-ブロモメチルアニソール (15.76 g, 56.29 mmol)の溶液に、室温で、40% 水性メチルアミン(49 mL, 563 mmol)を迅速に加えた。2.5時間後、該反応を濃縮し、残渣をEt2O (560 mL)と1.0 N NaOH (100 mL)とに分配した。層を分離し、有機層を乾燥 (MgSO4)させ、濃縮して黄色油を得た:TLC (5% MeOH/CHCl3) Rf 0.32。該油をCHCl3 (280 mL)に溶解し、ジ-tert-ブチルジカーボネート (1.29 g, 56.29 mmol)を加えた。該反応を室温で45分間攪拌し、ついで濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー (5% EtOAc/トルエン)は表題化合物 (16.81 g, 90%)を淡黄色油として与えた:TLC (5% EtOAc/トルエン) Rf 0.43; 1H NMR (400, CDCl3) 回転異性体の混合物; 7.42 (d, J=8.7 Hz, 1 H, 6.65-6.80 (m, 2 H), 4.40-4.55 (m, 2 H), 3.77 (s, 3 H), 2.81-2.97 (m, 3 H), 1.37-1.60 (m, 9 H); MS (ES) m/e 352/354 (M+Na) +
【0125】
b)メチル (±)-3-カルボメトキシ-4-[2-[N-(tert-ブトキシカルボニル)-N-メチルアミノ]メチル-4 -メトキシフェニル]ブタノエート
プロピオニトリル (75 mL)中の3-[N-(tert-ブトキシカルボニル)-N-メチルアミノ]メチル-4-ブロモアニソール (4.95 g, 15 mmol)、ジメチルイタコネート (3.08 g, 19.5 mmol)、酢酸パラジウム (168 mg, 0.75 mmol)、トリ-o-トリホスフィン (457 mg, 1.5 mol)およびジイソプロピルエチルアミン (5.2 mL, 30 mmol)の溶液を還流温度に45分間加熱し、ついでロータリーエバポレーターで濃縮した。該残渣をEt2O (150 mL)で希釈し、該混合物をセライト(celite (登録商標))に通して濾過して不溶性物質を除去した。濾液を濃縮し、残渣をキシレンから再濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー (勾配: 20% EtOAc/ヘキサン、ついで1:1 EtOAc/ヘキサン)により該ホスフィンおよびベースライン物質を除去した。Rf 0.40〜0.70を有する全ての他の物質を一緒に集め、濃縮して、濁った黄色油を得た: TLC (30% EtOAc/ヘキサン) Rf 0.41 (主生成物)。
【0126】
該油をMeOH (75 mL)に溶解し、10% Pd/Cを注意深く加えた。該混合物を水素(50 psi)下で2.5時間振とうし、ついでセライト(celite (登録商標))に通して濾過して該触媒を除去した。濾液を濃縮し、残渣を再び該反応条件に付した。更に2.5時間後、該混合物をセライト(celite (登録商標))に通して濾過して該触媒を除去し、濾液を濃縮して淡黄色油を得た。これをCHCl3/ヘキサンから再濃縮し、ついでシリカゲルクロマトグラフィー(勾配: 20% EtOAc/ヘキサン、ついで1:1 EtOAc/ヘキサン)に付して表題化合物 (4.53 g, 74%)を淡黄色油として得た: TLC (30% EtOAc/トルエン) Rf 0.46; 1H NMR (400, CDCl3) 回転異性体の混合物; δ 7.03 (d, J=8.2 Hz, 1 H, 6.65-6.80 (m, 2 H), 4.46 (br s, 2 H), 3.77 (s, 3 H), 3.64 (s, 3 H), 3.63 (s, 3 H), 2.62-3.12 (m, 7 H), 2.35-2.50 (m, 1 H, 1.47 (br s, 9 H); MS (ES) m/e 432 (M+Na) +
【0127】
c)メチル (±)-3-カルボメトキシ-4-[2-(メチルアミノ)メチル-4-メトキシフェニル]ブタノエート
無水CH2Cl2 (55 mL)中のメチル (±)-3-カルボメトキシ-4-[2-[N-(tert-ブトキシカルボニル)-N-(メチルアミノ]メチル-4-メトキシフェニル]ブタノエート (4.53 g, 11.06 mmole)の溶液に0℃でTFA (55 mL)を一斉に加え、該反応を室温に加温した。1時間後、該反応を濃縮し、残渣をトルエン (2×100 mL)から再濃縮して、表題化合物 (11.06 mmol, 定量的)を淡黄色油として得た: MS (ES) m/e 310 (M+H) +
【0128】
d)メチル (±)-8-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-アセテート
トルエン (110 mL)中のメチル (±)-3-カルボメトキシ-4-[2-(メチルアミノ)メチル-4-メトキシフェニル]ブタノエート (11.06 mmole)およびジイソプロピルエチルアミン (5.8 mL, 33.18 mmol)の溶液を還流温度で25時間加熱し、室温で4日間攪拌し、ついで還流温度で更に24時間加熱した。濃縮およびシリカゲルクロマトグラフィー (5% MeOH in 1:1 EtOAc/CHCl3)は表題化合物(2.88 g, 94%)を淡黄色固体として与えた: TLC (1:1 EtOAc/CHCl3中の5% MeOH) Rf 0.63; 1H NMR (250, CDCl3) δ 7.02 (d, J=8.4 Hz, 1 H, 6.78 (dd, J=8.4, 2.7 Hz, 1 H), 6.63 (d, J=2.7 Hz, 1 H), 5.29 (d, J=16.3 Hz, 1 H), 3.50-3.90 (m, 2 H), 3.79 (s, 3 H), 3.71 (s, 3 H), 2.73-3.16 (m, 3 H), 3.04 (s, 3 H), 2.41 (dd, J=16.7, 5.4 Hz, 1 H; MS (ES) m/e 300 (M+Na) +, 278 (M+H) +
【0129】
e)メチル (±)-8-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-アセテート
アルゴン下、0℃の、無水CH2Cl2 (20 mL)中のメチル (±)-8-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-アセテート (562 mg, 2.03 mmol)およびエタンチオール (0.75 mL, 10.15 mmol)の溶液に、無水塩化アルミニウム (1.35 g, 10.15 mmol)を一斉に加えた。該混合物を室温に加温し、4.5時間攪拌し、ついで0℃に再冷却した。氷冷H2O (20 mL)を加え、該混合物を激しく5分間攪拌し、ついでCHCl3 (3×20 mL)で抽出した。合わせたCHCl3層を乾燥 (MgSO4)し、濃縮して残渣を得た。水層を吸引濾過して固体沈殿物を集めた。この沈殿物および該CHCl3層からの残渣を1:1 MeOH/CHCl3中で一緒にし、該溶液を濃縮してオフホワイト色固体を得た。これを熱MeOHでトリチュレーションし、該混合物を室温に冷却した。該固体を吸引濾過により集め、冷MeOHおよびEt2Oで順次洗浄した。高真空中、40℃での乾燥は表題化合物 (467.9 mg, 88%)を無色固体として与えた: TLC (5% MeOH/CHCl3) Rf 0.17; 1H NMR (250, DMSO-d6) δ 9.29(s, 1 H), 6.89 (d, J=8.1 Hz, 1 H), 6.50-6.70 (m, 2 H), 5.16 (d, J=16.4 Hz, 1 H), 3.84 (d, J=16.4 Hz, 1 H), 3.60-3.85 (m, 1 H), 3.56 (s, 3 H), 2.30-3.00 (m, 4 H), 2.86 (s, 3 H); MS (ES) m/e 286 (M+Na) +, 264 (M+H) +
【0130】
製造2
メチル (±)-8-ヒドロキシ-3-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-アセテートのエナンチオマーのHPLC分離
a)メチル(R)-(+)-8-ヒドロキシ-3-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-アセテートおよびメチル(S)-(-)-8-ヒドロキシ-3-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-アセテート
メチル(±)-8-ヒドロキシ-3-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-アセテートを、以下の条件を用いるキラルHPLCにより、そのエナンチオマーに分離した: Diacel Chiralpak AS (登録商標)カラム (21.2×250 mm), EtOH移動相, 流速7 mL/分, 254 nmでuv検出, 70 mg 注入; メチル(R)-(+)-8-ヒドロキシ-3-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-アセテートのtR=21.5分; メチル (S)-(-)-8-ヒドロキシ-3-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-アセテートのtR=39.1分。
【0131】
製造3
(S)-3-オキソ-8-[3-(ピリジン-2-イルアミノ)-1-プロピルオキシ]-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-酢酸の製造
a)メチル(S)-3-オキソ-8-[3-(1-オキソピリジン-2-イルアミノ)-1-プロピルオキシ]-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-アセテート
アルゴン下の乾燥THF (400 mL)および乾燥DMF (200 mL)中のメチル(S)-8-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-アセテート (19 g, 57.4 mmol)の攪拌溶液に、2-(3-ヒドロキシプロピルアミノ)ピリジン N-オキシド (11.6 g, 69 mmol)およびトリフェニルホスフィン (18.0 g, 69 mmol)を加えた。すべての固体が完全に溶解した後 (〜30分間)、該反応を氷浴内で0℃に冷却し、ジイソプロピル アゾジカルボキシレート (14.3 mL, 69 mmol)をシリンジで加えた。該反応を室温にゆっくり加温し、18時間攪拌した。濃縮およびフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー (8:2:1 CHCl3/EtOAc/EtOH)は表題化合物 (20.83 g, 75%)を固体泡として与えた。前記反応から回収した出発物質のリサイクルにより追加的な5.73 gの生成物を得て、合計26.56 g (96%)の表題化合物を得ることが可能である: MS (ES) m/e 482.2 (M+H) + ; 1 H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.09 (dd, J=6.5, 1.3 Hz, 1H), 7.29 (t, 1H), 7.18 (t, 1H), 7.02 (d, J=9.2 Hz, 1H), 6.84-6.79 (m, 3H), 6.59 (t, 1H), 5.32 (d, J=16.5 Hz, 1H), 4.28-4.14 (m, 2H), 4.16 (d, J=16.5 Hz, 1H), 4.02 (t, 2H), 3.84 (m, 1H), 3.58 (s, 3H), 3.40 (dd, 2H), 3.01 (dd, 1H), 2.73 (dd, 1H), 2.70 (dd, 1H), 2.52 (dd, 1H), 2.02 (ddd, 2H)。
【0132】
b)メチル(S)-3-オキソ-8-[3-(ピリジン-2-イルアミノ)-1-プロピルオキシ]-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-アセテート
イソプロパノール (500 mL)中のメチル(S)-3-オキソ-8-[3-(1-オキソピリジン-2-イルアミノ)-1-プロピルオキシ]-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-アセテート (26.56 g, 55 mmol)の攪拌溶液に、10%パラジウム/活性炭 (8 g, 7.5 mmol; アルゴン下、注意深くイソプロパノールで予め湿らせたもの)およびシクロヘキセン (55.7 mL, 550 mmol)を加えた。ついで該反応を、90℃に設定された油浴内で、アルゴン下、還流温度に加熱した。6時間後、追加量の10%パラジウム/活性炭 (8 g, 7.5 mmol; アルゴン下、注意深くイソプロパノールで予め湿らせたもの) およびシクロヘキセン (55.7 mL, 550 mmol)を加えた。更に18時間後、該反応をセライト (celite (登録商標))を通して熱時濾過し、該フィルターパッドを1:1 MeOH/CHCl3 (400 mL)で洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー (95:5 CHCl3/MeOH)により精製して表題化合物 (19.50 g, 76%)を白色付着性泡として得た: TLC (シリカ, CHCl3中の5% MeOH) Rf 0.52; MS (ES) m/e 466.3 (M+H)+ ; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.94 (dd, 1H), 7.34 (t, 1H), 7.02 (d, J=9.2 Hz, 1H), 6.81 (m, 2H), 6.54 (t, 1H), 6.46 (m, 2H), 5.31 (d, J=16.5 Hz, 1H), 4.23-4.13 (m, 2H), 4.17 (d, J=16.5 Hz, 1H), 4.02 (t, 2H), 3.82 (m, 1H), 3.58 (s, 3H), 3.36 (m, 2H), 3.01 (dd, 1H), 2.72 (dd, 1H), 2.68 (dd, 1H), 2.50 (dd, 1H), 1.96 (ddd, 2H)。
【0133】
c)(S)-3-オキソ-8-[3-(ピリジン-2-イルアミノ)-1-プロピルオキシ]-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-酢酸
ジオキサン (150 mL)中のメチル(S)-3-オキソ-8-[3-(ピリジン-2-イルアミノ)-1-プロピルオキシ]-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾアゼピン-4-アセテート (19.50 g, 42 mmol)の攪拌溶液に、水性1 N NaOH (75 mL, 75 mmol)を加えた。濁った反応液を室温で2時間攪拌し、ついで、得られた均一溶液を水性1 N HCl (75 mL, 75 mmol)で中和した。該溶液をほぼ乾固状態になるまで回転減圧蒸発(ロータリーエバポレーション)により濃縮して生成物を析出させた。上清をデカントし、残留粘着性固体をメタノールに再溶解した。ついで該透明溶液を回転減圧蒸発により再濃縮した。残留固体を少容量の水でトリチュレーションし、濾過し、真空下で乾燥させて表題化合物 (16.38 g, 86%)を白色粉末として得た。HPLC (Hamilton PRP-1(登録商標), 0.1% TFAを含有する25% CH3CN/H2O) k'=3.1; [α]D -112.3° (c, 1.0, MeOH); MS (ES) m/e 452.3 (M+H) +; . 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.95 (dd, 1H), 7.34 (dt, 1H), 7.02 (d, J=9.2 Hz, 1H), 6.81 (m, 2H), 6.58 (t, 1H), 6.47 (m, 2H), 5.30 (d, J=16.5 Hz, 1H), 4.27-4.13 (m, 2H), 4.15 (d, J=16.5 Hz, 1H), 4.02 (t, 1H), 3.78 (m, 1H), 3.37 (m, 2H), 3.00 (dd, 1 H), 2.69 (dd, 1H), 2.65 (dd, 1H), 2.41 (dd, 1H), 1.96 (ddd, 2 H). 元素分析: C22H24F3N3O4としての計算値: C, 58.53; H, 5.36; N, 9.31. 実測値: C, 58.37; H, 5.42; N, 9.20。
【0134】
生物学的データ:脈絡膜血管新生(CNV)のマウスモデルにおけるCNVに対する実施例1および3に記載の化合物の効果
以下の実施例におけるマウスは、眼科および視覚研究における動物の使用に関するARVO声明(ARVO statement for the Use of Animals in Ophthalmic and Vision Research)を遵守して処理した。
【0135】
実施例4:CNVに関する退行モデル
マウスを麻酔し、散瞳させた。クリプトンレーザー光凝固の熱傷を網膜に施した。該レーザー誘発損傷の7日後、実施例1に記載の化合物の投与を開始した。ビヒクルのみ、または4 mg/kg、20 mg/kgもしくは100 mg/kgの用量の式(I)の化合物を含有するビヒクル(図1にはVEGF Rと示されている)の経口用量を、1日2回、7日間投与した。7日間の処理の後、該マウスにフルオレセイン標識デキストランを潅流し、脈絡膜血管新生の面積を定量した。パゾパニブ(pazopanib)はCNV面積を用量特異的に減少させた。図1を参照されたい。
【0136】
実施例5:CNVに関する予防モデル
この実験においては、実施例1に記載の化合物(図2にはVEGF Rと示されている)、実施例3に記載の化合物(図2にはビトロネクチンと示されている)または実施例1および実施例3に記載の化合物の組み合わせ(図2には「両方」と示されている)を、実施例4に記載の方法に従い網膜熱傷を行う1日前から、各マウスに投与した。該化合物は、実施例1の化合物に関しては100 mg/kgまたは実施例3の化合物に関しては45 mg/kgの投与量で、1日2回、経口投与した。該網膜熱傷の14日後、前記のとおりにCNV面積を定量した。結果を図2に示す。
【0137】
本明細書中には本発明の特定の実施形態が例示され詳細に記載されているが、本発明はそれらに限定されるものではない。前記の詳細な説明は本発明の例示として記載されており、本発明を何ら限定するものではないと解釈されるべきである。改変は当業者に明らかであり、本発明の精神から逸脱しない全ての改変が、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれると意図される。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】図1は、マウスにおける脈絡膜血管新生(CNV)に関する退行モデルにおける実施例1に記載のVEGF受容体インヒビターの効果を示す。この退行モデルにおいては、網膜の眼底後極部上のレーザー熱傷によりマウスにおいてCNVを誘発した。該レーザー誘発損傷の7日後、ビヒクルのみ又は5-[[4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)メチルアミノ]-2-ピリミジニル]アミノ]-2-メチルベンゼンスルホンアミドのいずれかを示されている用量で該マウスに与える処理方式を該マウスにおいて開始した。この処理方式の開始の7日後、CNV病変のサイズを定量した。結果を図1にグラフにより要約する。更なる情報は実施例を参照されたい。
【図2】図2は、CNVに関する予防モデルのマウスにおける損傷誘発CNVに対する実施例1に記載のVEGF受容体インヒビター、実施例3に記載のビトロネクチン受容体アンタゴニストまたはそれらの組み合わせでの前処理の効果を示す。結果を図1にグラフにより要約する。更なる情報は実施例を参照されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を哺乳動物に投与することを含んでなる、哺乳動物における眼血管新生障害の治療方法。
【請求項2】
化合物が式(I'):
【化2】

の化合物である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
化合物が式(I”):
【化3】

の化合物である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
方法が、式(III):
【化4】

の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を該哺乳動物に投与する工程を更に含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
式(III):
【化5】

の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を哺乳動物に投与することを含んでなる、哺乳動物における眼血管新生障害の治療方法。
【請求項6】
眼血管新生障害が脈絡膜血管新生障害である、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
眼血管新生障害が網膜血管新生障害である、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
眼血管新生障害が、滲出性老人性黄斑変性、網膜色素線条症、ぶどう膜炎および黄斑浮腫よりなる群から選ばれる、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
脈絡膜血管新生障害が滲出性老人性黄斑変性である、請求項6記載の方法。
【請求項10】
眼血管新生障害が黄斑浮腫である、請求項8記載の方法。
【請求項11】
眼血管新生障害の治療において有用な医薬の製造のための、式(I)、(III)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用。
【請求項12】
眼血管新生障害が脈絡膜血管新生障害である、請求項11記載の使用。
【請求項13】
眼血管新生障害が網膜血管新生障害である、請求項11記載の使用。
【請求項14】
眼血管新生障害が、滲出性老人性黄斑変性、網膜色素線条症、ぶどう膜炎および黄斑浮腫よりなる群から選ばれる、請求項11記載の使用。
【請求項15】
眼血管新生障害が滲出性老人性黄斑変性である、請求項14記載の使用。
【請求項16】
眼血管新生障害が黄斑浮腫である、請求項11記載の使用。
【請求項17】
眼血管新生障害の治療方法における、式(I)、(III)の化合物またはそれらの塩もしくは溶媒和物の1以上の使用。
【請求項18】
眼血管新生障害が脈絡膜血管新生障害である、請求項17記載の使用。
【請求項19】
眼血管新生障害が網膜血管新生障害である、請求項17記載の使用。
【請求項20】
眼血管新生障害が、滲出性老人性黄斑変性、網膜色素線条症、ぶどう膜炎および黄斑浮腫よりなる群から選ばれる、請求項17記載の使用。
【請求項21】
脈絡膜血管新生障害が滲出性老人性黄斑変性である、請求項20記載の使用。
【請求項22】
脈絡膜血管新生障害が黄斑浮腫である、請求項20記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−517396(P2009−517396A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542486(P2008−542486)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/045776
【国際公開番号】WO2007/064752
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(597173680)スミスクライン ビーチャム コーポレーション (157)
【Fターム(参考)】