説明

治療用アミドの立体選択的調製のための酵素的方法

【課題】治療用アミドの立体選択的調製のための酵素的方法の提供。
【解決手段】(S)−(−)−N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの調製により例示されるように、第三級アルコール立体中心を有するN−アリールまたはN−ピリジルプロパンアミドの立体選択的調製のための新規な酵素的方法であって、このような化合物は、細胞カリウムチャンネルの開封剤であり、それゆえ、泌尿器失禁および他の疾患および病態(高血圧、喘息、末梢血管疾患およびアンギナを含む)の治療に有用である、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製薬化合物を合成する方法、およびこのような化学化合物の合成に使用する中間体に関する。特に、本発明は、第三級アルコール立体中心を有するN−アリールまたはN−ピリジルプロパンアミドの立体選択的調製のための新規な酵素的方法、およびこのような化合物の合成に有用な鏡像異性体中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドおよび他のN−アリールまたはN−ピリジルプロパンアミドは、1993年12月21日にRussellらに発行された特許文献に開示されている。このような化合物は、前記特許に開示のように、細胞カリウムチャンネルの開封剤であり、それゆえ、泌尿器失禁および他の疾患および病態(高血圧、喘息、末梢血管疾患およびアンギナを含む)の治療に有用である。特許文献1はまた、N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの(S)−(−)鏡像異性体を調製する方法を開示しており、この方法は、ジアステレオマーエステルの形成に続いて、クロマトグラフィー分離、およびそれに続く塩基処理によるエステル基の除去を使用する。
【特許文献1】米国特許第5,272,163号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の要旨)
本発明は、(S)−(−)−N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの調製により例示されるように、第三級アルコール立体中心を有するN−アリールまたはN−ピリジルプロパンアミドの立体選択的調製のための新規な酵素的方法を提供する。このような化合物は、細胞カリウムチャンネルの開封剤であり、それゆえ、泌尿器失禁および他の疾患および病態(高血圧、喘息、末梢血管疾患およびアンギナを含む)の治療に有用である。
【0004】
本発明の新規な方法は、N−アリールまたはN−ピリジルプロパンアミドから形成したエステルのラセミ混合物の1個の鏡像異性体に由来のエステル基を選択的に切断する酵素的工程を使用する。この酵素的工程に続いて、そのように生成したアルコールからの残留エステルの分離を行うことができる。この酵素工程で切断しなかった回収エステルは、所望ならば、加水分解して、対応するアルコールを生成できる。
【0005】
本発明はまた、(S)−(−)−N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの調製で有用な(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸の調製により例示されるように、前記N−アリールまたはN−ピリジルプロパンアミドの合成で有用な中間体を合成する方法も提供する。
【0006】
(S)−(−)−N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドで例示される、第三級アルコール立体中心を有するN−アリールまたはN−ピリジルプロパンアミドの立体選択的合成方法、およびこのような化合物の合成に有用な中間体は、本明細書中で提供される。
【0007】
本発明によれば、以下が提供される:
(1)式Iの光学活性化合物を調製する方法であって、該方法は、式IIのラセミ化合物を加水分解酵素で処理する工程を包含する:
【0008】
【化3】

ここで、Eは、窒素およびCZから選択され、ここで、Cは、環炭素であり、そしてZは、以下で定義する置換基であり、ここで:
EがCZのとき、XおよびZは、以下からなる群から選択される:
(A)Xは、ArYであり、ここで、Yは、カルボニル、スルフィニルおよびスルホニルから選択した連結基であり、そしてArは、以下からなる群から選択される:
ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシから選択した0個〜2個の置換基で置換したフェニル;
唯一のヘテロ原子として、1個〜2個の窒素原子を含有する六員環ヘテロアリール環;
窒素、酸素およびイオウから選択した1個〜2個のヘテロ原子を含有する五員環ヘテロアリール環;そして
Zは、水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシから選択される;および
(B)Xは、シアノであり、そしてZは、フェニルチオ、フェニルスルフィニルおよびフェニルスルホニルからなる群から選択され、該フェニル環は、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシから選択した0個〜2個の置換基で置換されている;そして
Eが窒素のとき、Xは、独立して、(A)において上で示したXの値のいずれかから選択される;そして
*は、光学活性キラル中心である:
【0009】
【化4】

ここで、XおよびEは、先に定義した意味を有する;そしてRは、ヒドロキシ、ハロゲン、C−Cアルコキシ、シアノ、C−CアルキルアミノおよびC−Cジアルキルアミノから独立して選択した1個またはそれ以上の置換基により必要に応じて置換したアルキルである。
(2)式Iの光学活性化合物から、式IIの未反応化合物を分離する工程をさらに包含する、項目(1)に記載の方法。
(3)式IIの未反応化合物を、式Iの対応するアルコールに転化する工程をさらに包含する、項目(2)に記載の方法。
(4)上記加水分解酵素が、リパーゼである、項目(1)に記載の方法。
(5)上記リパーゼが、ブタ膵臓リパーゼである、項目(4)に記載の方法。
(6)Rが、必要に応じて置換したC〜Cアルキルである、項目(1)に記載の方法。
(7)式Iの上記光学活性化合物が、(S)−(−)−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドであり、式IIの化合物のラセミ混合物を加水分解酵素で処理する上記工程が、Eが、CZであり、Xが、ArYであり、Yが、カルボニルであり、Arが、フェニルであり、そしてZが、水素である式IIの化合物を用いて行われる、項目(1)に記載の方法。
(8)(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸を調製する方法であって、該方法は、式Vのラセミ化合物を、加水分解酵素で処理する工程を包含する:
【0010】
【化5】

ここで、Rは、C−Cアルキル、C−Cアルコキシまたはフェニルである。
(9)上記加水分解酵素が、リパーゼである、項目(8)に記載の方法。
(10)上記リパーゼが、Candida antarcticaリパーゼである、項目(9)に記載の方法。
(11)式Vまたは式VIの化合物:
【0011】
【化6】

ここで、Rは、C−Cアルキル、C−Cアルコキシまたはフェニルであり、*は、光学活性キラル中心であるが、但し、該化合物が式Vを有するとき、Rは、エチルではない。
(12)(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸を調製する方法であって、該方法は、式VIIの化合物を、加水分解酵素で処理して、式VIIIの対応する化合物を提供する工程;および式VIIIの化合物を酸に転化する工程を包含する:
【0012】
【化7】

ここで、Aは、CN、COH、CH(OR、COR、COOR、CONH、CONHRまたはCONRである;R、R、R、R、RおよびRは、独立して、アルキル、アリールおよびアラルキルから選択される;そしてRは、アルキル、アリールまたはアラルキルであり、ここで、R、R、R、R、R、RおよびRは、必要に応じて、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、C−Cアルコキシ、シアノ、C−CアルキルアミノまたはC−Cジアルキルアミノから選択した置換基で置換されていてもよい:
【0013】
【化8】

ここで、Aは、上で定義した意味を有し、そして*は、光学活性キラル中心である。
(13)上記加水分解酵素が、リパーゼである、項目(12)に記載の方法。
(14)上記リパーゼが、ブタ膵臓リパーゼである、項目(13)に記載の方法。
(15)式VIIIでは、Aが、CNである、項目(12)に記載の方法。
(16)式VIIIの化合物:
【0014】
【化9】

ここで、*は、光学活性キラル中心である;そして
Aは、CN、COH、CH(OR、COR、COOR、CONH、CON
HRまたはCONRである;R、R、R、R、RおよびRは、独立して、アルキル、アリールから選択される;ここで、R、R、R、R、RおよびRは、必要に応じて、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、C−Cアルコキシ、シアノ、C−CアルキルアミノまたはC−Cジアルキルアミノから選択した置換基で置換されていてもよい。
(17)Aが、CNである、項目(16)に記載の化合物。
(18)式VIIまたは式IXの化合物:
【0015】
【化10】

ここで、*は、光学活性キラル中心である;そして
Aは、CN、COH、CH(OR、COR、COOR、CONH、CONHRまたはCONRである;R、R、R、R、RおよびRは、独立して、アルキル、アリールおよびアラルキルから選択される;そしてRは、アルキル、アリールまたはアラルキルであり、ここで、R、R、R、R、R、RおよびRは、必要に応じて、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、C−Cアルコキシ、シアノ、C−CアルキルアミノまたはC−Cジアルキルアミノから選択した置換基で置換されていてもよい;但し、AがCNのとき、Rは、メチルではない。
【0016】
添付の請求の範囲で記載されるような本発明のこれらの局面および他の局面は、以下の発明の詳細な説明において、それらの好ましい実施態様で記述されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
本発明の第一の局面は、式Iの光学活性化合物を調製する方法を提供し、該方法は、式IIのラセミ化合物を加水分解酵素で処理する工程を包含する:
【0018】
【化11】

ここで、Eは、窒素およびCZから選択され、ここで、Cは、環炭素であり、そしてZは、以下で定義される置換基であり、ここで:
EがCZのとき、XおよびZは、以下からなる群から選択される:
(A)Xは、ArYであり、ここで、Yは、カルボニル、スルフィニルおよびスルホニルから選択した連結基であり、そしてArは、以下からなる群から選択される:
ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシから選択した0個〜2個の置換基で置換したフェニル;
唯一のヘテロ原子として、1個〜2個の窒素原子を含有する六員環ヘテロアリール環;
窒素、酸素およびイオウから選択した1個〜2個のヘテロ原子を含有する五員環ヘテロアリール環;そして
Zは、水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシから選択される;および
(B)Xは、シアノであり、そしてZは、フェニルチオ、フェニルスルフィニルおよびフェニルスルホニルからなる群から選択され、該フェニル環は、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシから選択した0個〜2個の置換基で置換されている;そして
Eが窒素のとき、Xは、独立して、(A)において上で示したXの値のいずれかから選択される;そして
*は、光学活性キラル中心である。式IIの化合物は、以下のように定義される:
【0019】
【化12】

ここで、EおよびXは、本明細書中で先に定義した意味を有する;そしてRは、ヒドロキシ、ハロゲン、C−Cアルコキシ、シアノ、C−CアルキルアミノおよびC−Cジアルキルアミノから独立して選択した1個またはそれ以上の置換基により必要に応じて置換したアルキルである。好ましくは、Rは、必要に応じて置換したC−Cアルキル、より好ましくは、必要に応じて置換したC−Cアルキルである。好ましい置換基は、ハロゲンであり、より好ましくは、クロロである。本発明の方法では、この加水分解酵素は、式IIのエステルの1個の鏡像異性体に由来のエステル基を切断して、この酵素の特異性に依存して、式Iのアルコールとして、(S)または(R)鏡像異性体を提供し、他の鏡像異性体は、未反応基質中に残る。
【0020】
本発明の方法はまた、この酵素的工程中に形成された生成物を、未反応出発物質から分離する工程、すなわち、この酵素的処理中に形成された式Iのアルコールと式IIの未反応エステル出発化合物とを分離する工程も包含できる。この酵素は、式IIの化合物のラセミ混合物の1個の鏡像異性体に由来のエステル基を切断して、このアルコールを生成する。式Iの化合物および式IIの未反応エステル出発物質は、通常の方法(例えば、シリカカラム上のクロマトグラフィー)を用いて分離できる。所望の鏡像異性体が未反応エステルのとき、本発明の方法は、さらに、このエステルを対応するアルコールに転化することを包含できる。このエステルは、塩基(例えば、水酸化ナトリウム)で処理することにより、対応するアルコールに転化できる。
【0021】
本発明のこの局面の好ましい実施態様は、(S)−(−)−N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(式Iにおいて、ここで、*は、(S)立体配置であり、Eは、CZであり、Xは、ArYであり、Yは、カルボニルであり、Arは、フェニルであり、そしてZは、水素である)を調製する方法を提供する。
【0022】
ラセミN−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドは、当該技術分野で公知の通常の方法を用いて、エステルに転化できる。例えば、このラセミ化合物は、スキーム1で示すように、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下にて、式IIIの酸塩化物と反応される:
【0023】
【化13】

ここで、Rは、この上で定義した意味を有する。式IIIの好ましい化合物には、モノクロロアセチルクロライドおよびブチリルクロライドが挙げられる。ラセミN−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドは、例えば、米国特許第5,382,598号の方法または本明細書中で記述の方法を用いて、調製できる。
【0024】
N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドに由来の得られたエステルは、次いで、加水分解酵素(好ましくは、リパーゼ、より好ましくは、粗ブタ膵臓リパーゼ)と反応されるが、この加水分解酵素は、この(R)鏡像異性体に由来のエステル基を選択的に切断して、(S)鏡像異性体のエステルを残す。この反応は、好ましくは、共溶媒として第三級ブチルメチルエーテル(MTBE)を用いて、およそpH 7で、緩衝水溶液中で起こる。しかし、この緩衝水溶液のpHは、この反応で使用される酵素に依存することが分かる。この反応混合物中の共溶媒の存在は、任意である。この反応は、利用可能な基質が反応するまで進行し、これは、約1日間〜約3日間であり得る。この反応は、反応条件および使用する酵素に依存して、より速くまたはより遅く進行し得る。逆の特異性を有する酵素を用いて、この酵素的工程にて、この(S)鏡像異性体に由来のエステル基を直接切断することも可能であり得る。
【0025】
【化14】

この(S)エステルは、標準的な方法(例えば、シリカカラム上のクロマトグラフィーまたは任意の他の適当な方法)により、N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの(R)鏡像異性体から分離できる。このエステルが(S)鏡像異性体の場合には、それは、次いで、塩基(例えば、水性メタノールまたは他の溶媒中の水酸化ナトリウム)で処理されて、このエステル基が取り除かれ、(S)−(−)−N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドが提供される。
【0026】
本発明のこの局面は、(S)−(−)−N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの合成により例示される。式Iの他のN−アリールまたはN−ピリジルプロパンアミドは、スキームIで記述の方法において、N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを、このような化合物のラセミ混合物で置き換えることにより、調製できる。一部の置換基には、保護基の使用が必要な場合がある。式Iの化合物のラセミ混合物は、米国特許第5,382,598号の方法に従って、調製できる。
【0027】
スキーム2は、(S)−(−)−N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの調製を示し、ここで、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸中間体は、酵素的方法よりもむしろ、分割剤を用いた選択的結晶化により、調製される。スキーム2で示すように、1,1,1−トリフルオロアセトン(1)は、酸(例えば、塩酸)の存在下にて、シアン化物(例えば、シアン化ナトリウム)と反応されて、ラセミ3,3,3−トリフル
オロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンニトリル(2)を形成する。このラセミ3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンニトリル(2)は、次いで、例えば、塩酸または硫酸で加水分解されて、ラセミ3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸(3)を形成する。ラセミ(3)は、次いで、分割剤(例えば、(1R,2S)−ノルエフェドリン(4))で選択的に結晶化されて、塩(5)を形成し、これは、ジアステレオマー純度まで再結晶できる。精製塩(6)は、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸(7)を含有する。(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸(7)は、この塩からの離脱後、有機塩基(例えば、トリエチルアミンまたはHunig塩基)を用いて、4−アミノベンゾフェノン(8)およびSOClと反応されて、(S)−(−)−N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(9)を形成し、これは、次いで、再結晶により精製できる。
【0028】
S立体配置を有する式Iの他のN−アリールまたはN−ピリジルプロパンアミドを調製するには、以下で規定した式IVのアミンは、スキーム2に示す合成における4−アミノベンゾフェノン(8)と置き換えられる。
【0029】
【化15】

このアミンは、類似の様式で、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸と反応されて、アミド生成物を生成し、これは、次いで、必要に応じ
て、通常の方法により、精製され得る。式IVのアミンはまた、米国特許第5,272,163号で記述されている。
【0030】
式IVの化合物は、以下のように定義されている:
【0031】
【化16】

ここで、XおよびEは、この上で定義した意味を有する。式IVのこのようなアミンは、米国特許第5,272,163号で開示の方法に従って、調製できる。
【0032】
スキーム2に示す方法に加えて、式IVの化合物の(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸とのカップリングは、他の適切な溶媒中および他の適切なカップリング剤の存在下にて、行なうことができる。標準的なペプチドカップリング試薬として当該技術分野で一般に公知の適切なカップリング試薬、例えば、チオニルクロライド(Morrisら、J.Med.Chem.、34、447、(1991))、カルボニルジイミダゾール(CDI)およびジシクロヘキシルカルボジイミドは、必要に応じて、触媒(例えば、ジメチルアミノピリジン(DMAP)または4−ピロリジノピリジン)の存在下にて、使用できる。適切な溶媒には、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、ベンゼン、テトラヒドロフランおよびジメチルホルムアミドが挙げられる。このカップリング反応は、約−40℃〜40℃の温度範囲で行うことができる。
【0033】
さらなる局面では、本発明は、(S)−(−)−N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドおよび米国特許第5,272,163号に開示の他のN−アリールまたはN−ピリジルプロパンアミドの合成に有用な(S)鏡像異性体中間体を調製する立体選択的方法を提供する。(S)鏡像異性体中間体は、分割剤(例えば、α−メチルベンジルアミンまたはノルエフェドリン)を用いて、単調な立体選択的塩形成工程なしに、(S)−(−)−N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドまたは他のN−アリールまたは式IのN−ピリジルプロパンアミドを調製することを可能にする。本発明は、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンニトリルおよび(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸を調製する複数の立体選択的方法を提供し、各方法は、酵素的工程を含む。
【0034】
このような中間体を調製する第一の立体選択的方法では、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸は、加水分解酵素、好ましくは、リパーゼ(例えば、Candida antarcticaリパーゼ)を用いて、ラセミ3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸のエステルの選択的切断により、調製される。この方法は、好ましくは、式Vを有する3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸のエステルを、加水分解酵素で処理することを包含する:
【0035】
【化17】

ここで、Rは、C−Cアルキル、C−Cアルコキシまたはフェニルである。このエステルは、通常の方法(例えば、鉱酸および適切なアルコールを用いたラセミ酸からの調製)を用いて、調製できる。例えば、このプロピルエステルおよびブチルエステルは、少量の濃硫酸または乾燥塩酸の存在下にて、ラセミ3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸とプロパノールまたはブタノールとを反応させて、それぞれ、プロピルエステルまたはブチルエステルを形成することにより、調製できる。式Vのエステルはまた、適切なアルコールの存在下でのラセミ3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンニトリルと硫酸との加水分解により、調製できる。
【0036】
式Vのエステルは、加水分解酵素、好ましくは、リパーゼ(例えば、Candida antarcticaリパーゼ)により選択的に切断されて、エステルおよび酸の生成物混合物を形成する。この加水分解酵素との反応は、好ましくは、使用する酵素が良好な反応速度を与えるのに適当なpH(通常、約pH5と約pH9との間)で、水性緩衝溶液中で行われる。共溶媒(例えば、メチル第三級ブチルエーテル(MTBE))もまた、使用できる。この反応は、充分な量のエステルが反応されるまで、通常、約1日〜3日後まで、進行する。実際の反応時間は、使用する酵素、基質および溶媒のような要因に依存する。このエステルおよび酸は、次いで、シリカゲル上のクロマトグラフィーまたは当該技術分野で任意の公知の他の適当な方法を用いて、分離できる。この酵素の選択性に依存して、所望の(S)鏡像異性体は、回収された未反応エステルまたは遊離酸として存在できる。この未反応エステルが(S)鏡像異性体を含有する場合には、このエステル基は、次いで、塩基(例えば、水酸化ナトリウム)との反応に続く中和により除去されて、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸が生成する。
【0037】
(S)−(−)−N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを調製するために、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸は、次いで、本明細書中の方法に従って、4−アミノベンゾフェノンと反応される。式Iの他のN−アリールまたはN−ピリジルプロパンアミドは、ここで記述のように、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸を用い、スキーム2で示した合成において、4−アミノベンゾフェノンを式IVのアミンで置き換えて、調製できる。
【0038】
式Vの化合物は、本発明の他の局面を構成する:
【0039】
【化18】

ここで、Rは、C−Cアルキル、C−Cアルコキシまたはフェニルである。
【0040】
式VIの化合物は、本発明のさらなる局面を構成する:
【0041】
【化19】

ここで、*は、光学活性キラル中心であり、そしてRは、C−Cアルキル、C−Cアルコキシまたはフェニルである。好ましくは、*は、(S)立体配置を有する光学活性キラル中心である。
【0042】
このような中間体を調製する第二の立体選択的方法では、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸は、式VIIの化合物を
【0043】
【化20】

(ここで、Aは、CN、COH、CH(OR、COR、COOR、CONH、CONHRまたはCONRである;R、R、R、R、RおよびRは、独立して、アルキル、アリールおよびアラルキルから選択される;そしてRは、アルキル、アリールまたはアラルキルであり、そのいずれかは、必要に応じて、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、C−Cアルコキシ、シアノ、C−CアルキルアミノまたはC−Cジアルキルアミノから選択される置換基で置換されていてもよい)、そのエステル基を選択的に切断する加水分解酵素(例えば、リパーゼ、(例えば、粗ブタ膵臓リ
パーゼ))で処理するかまたは反応させて、式VIIIの対応するアルコールを得、そして式VIIIの化合物のA基を酸(すなわち、COOH基)に転化することにより、調製される:
【0044】
【化21】

ここで、*は、光学活性キラル中心であり、そしてAは、ここで先に定義した意味を有する。Rは、好ましくは、必要に応じて置換したC−C10アルキル、より好ましくは、C−Cアルキルである。Aは、好ましくは、CNである。好ましくは、R、R、R、R、RおよびRは、独立して、C−C10アルキル、より好ましくは、C−Cアルキルである。
【0045】
この加水分解酵素との反応は、水性緩衝液中で行うことができ、この溶液のpHは、使用する酵素に対して、適当な値(一般に、約pH7と約pH7.5の間)に調整される。共溶媒(例えば、MTBE)もまた、使用できる。この反応は、充分な量のエステルが反応するまで、進行する。この反応は、通常、約3日間進行するが、実際の時間は、使用する酵素、基質および溶媒のような要因に依存する。
【0046】
アルコールおよびエステルの混合物は、次いで、通常の方法(例えば、シリカゲル上のクロマトグラフィー)により、分離できる。この酵素の選択性に依存して、所望の(S)鏡像異性体は、回収(未反応)エステルまたはアルコールとして存在できる。所望の(S)鏡像異性体が回収エステルの場合、このエステルは、次いで、塩基(例えば、水酸化ナトリウム)で処理でき、このエステル基が除去される。このA基は、標準的な方法により、カルボキシル基に転化されて、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸が得られる。必要に応じて、Aの性質に依存して、このエステル除去工程およびニトリル加水分解工程を組み合わせることができる。
【0047】
好ましい実施態様では、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸は、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンニトリルと酸との反応により、調製される。(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンニトリルは、塩酸の存在下にて、1,1,1−トリフルオロアセトンとシアン化ナトリウムとを反応させて、ラセミ3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンニトリルを形成することにより、調製できる。このラセミ3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンニトリルは、次いで、酸塩化物(例えば、ブチリルクロライド)と反応されて、エステルを形成する。このラセミエステルは、このエステル基を(R)鏡像異性体から選択的に切断して(S)鏡像異性体のエステルを残すリパーゼ酵素(例えば、粗ブタ膵臓リパーゼ)と反応される。この(S)鏡像異性体のエステル基は、次いで、標準的な方法を用いて除去されて、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンニトリルが得られ、これは、次いで、酸(例えば、硫酸または塩酸)で処理されて、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸を形成する。
【0048】
本発明のさらなる局面は、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンニトリルを調製する方法を提供し、この方法は、式VIIの化合物(ここで、Aは、CNである)を加水分解酵素(好ましくは、リパーゼ、例えば、粗ブタ膵臓リパーゼ)で処理することを包含する。
【0049】
それゆえ、本発明はまた、式VIIの化合物および式IXの化合物を提供する:
【0050】
【化22】

ここで、AおよびRは、ここで先に定義した意味を有する;
【0051】
【化23】

ここで、*は、光学活性キラル中心であり、そしてAおよびRは、ここで先に定義した意味を有する。好ましくは、*は、(S)立体配置を有する光学活性キラル中心を表わす。
【0052】
本発明はまた、式VIIIの化合物を提供する:
【0053】
【化24】

ここで、*は、光学活性キラル中心であり、そしてAは、ここで先に定義した意味を有する。好ましくは、*は、(S)立体配置を有する光学活性キラル中心を表わす。
【0054】
本明細書中に記載の方法の酵素的工程は、エステル基を選択的に切断してアルコールを形成できる任意のタイプの加水分解酵素(例えば、リパーゼ、エステラーゼ、ペプチターゼまたはプロテアーゼ)を用いて、行うことができる。この酵素は、微生物培養物から、または植物または動物から得ることができる。このような酵素は、市販されているか、または当該技術分野で公知の方法により調製できる。リパーゼ酵素は、N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドから形成したエステルおよび本明細書中で記述の他のエステルを選択的に切断して、適当な収率で、これらの鏡像異性体を分割できることが分かった。市販のリパーゼ調製物は、その(R)鏡像異性体に由来のエステル基を優先的に切断し、その(S)鏡像異性体をエステル形状で残すことが分かった。好ましいリパーゼは、粗ブタ膵臓リパーゼであり、これは、市販されている。他の種に由来のリパーゼもまた使用できる。ブタ膵臓リパーゼは、良好な特異性および反応速度を与える。本発明で有用な酵素は市販されており、さらに処理せずに、入手した状態で、この反応混合物中で使用できるか、またはこれらの酵素は、例えば、pH 7〜7.5程度の緩衝液に溶解し、そして支持体(例えば、ガラスビーズ、ケイソウ土、木炭、イオン交換樹脂またはシリカゲル)に吸着させるかまたは重合体支持体に共有結合させることにより、前処理できる。
【0055】
典型的には、本発明の方法の酵素的工程は、1:10〜100:1(重量:重量)の基質:酵素比で、行うことができる。5:1〜1:1の基質:酵素比は、良好な結果を与えることが分かった。基質と酵素との比は、出発物質、使用する酵素および反応条件(例えば、温度および溶媒)のような要因に依存して、良好な反応速度を生じるように変える必要があるかも知れない。この酵素反応は、この出発物質に由来のエステル基の切断により充分な量のアルコールが形成されるまで、進行する。一般に、この酵素反応は、約12時間〜約4日間または5日間、好ましくは、約1日間〜3日間進行する。
【0056】
この反応混合物のpHは、一般に、約5〜約9、好ましくは、約7〜約8である。この酵素的工程は、一般に、約15℃〜約40℃、好ましくは、約25℃〜約38℃の温度で行われる。これらの反応条件は、出発物質、使用する酵素および溶媒のような要因に依存して、良好な反応速度を与えるように、前記範囲内(またはその範囲外)で変える必要であり得る。
【0057】
この反応混合物中で使用する溶媒および任意の共溶媒は、この反応で使用する酵素および基質のような要因に依存して変わる。この溶媒はまた、この酵素反応の選択性および/または速度に影響を与える場合があり(このような場合には、この溶媒は、(他の溶媒に関して)、反応速度を高めるように選択できる)、および/または所望の鏡像異性体に対する酵素の選択性に影響を与える場合がある。この反応混合物の溶媒は、任意の通常の水性緩衝液(リン酸二水素カリウム緩衝液)であり得る。この反応に適切な共溶媒には、MTBEが挙げられる。
【0058】
この酵素的分割反応は、N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドに由来のラセミエステルおよび酪酸および粗ブタ膵臓リパーゼを用い、1:1(wt/wt)の基質:酵素比を使用して、2日間で、ほぼ完結する(すなわち、この(R)エステルのほとんど全ての反応)。同じ物質の5:1(wt/wt)の基質:酵素比は、2日間で、このエステルのおよそ25%の加水分解を生じた。ブタ膵臓リパーゼと、N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドに由来のラセミエステルおよび酪酸との反応により、回収エステルの加水分解後、収率35%(利用可能な(S)エステル70%)で、98.5%(S)異性体過剰の鏡像異性体が得られた。
【0059】
ここで使用するアルキル、およびアルコキシおよびアラルキルのアルキル部分には、直鎖基および分枝鎖基が含まれる。
【0060】
アルキルの特定の意味には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソプロピル、sec−ブチルおよびtert−ブチルが含まれる。
【0061】
アルコキシの特定の意味には、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびブトキシが含まれる。
【0062】
アラルキルの特定の意味には、ベンジル、フェニルエチルおよびフェニルプロピルが含まれる。
【0063】
アリールの特定の意味には、フェニルが含まれる。
【0064】
アルキルアミノの特定の意味には、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノおよびブチルアミノが含まれる。
【0065】
ジアルキルアミノの特定の意味には、ジメチルアミノおよびジエチルアミノが含まれる。
【0066】
窒素原子を1個〜2個含有する六員環ヘテロアリール環としてのArの特定の意味には、2−、3−および4−ピリジル、2−ピラジニル、2−および4−ピリミジニルおよび3−および4−ピリダジニルが含まれる。
【0067】
窒素、酸素およびイオウから選択したヘテロ原子1個〜2個を含有する五員環ヘテロアリール環としてのArの特定の意味には、3−、4−および5−イソチアゾリル、2−、4−および5−オキサゾリル、2−、4−および5−チアゾリル、2−および3−フリル、ならびに2−および3−フリルが含まれる。
【0068】
ハロゲンとの用語は、他に指示がなければ、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを表わす。
【0069】
*は、RまたはS立体配置の光学活性キラル中心を表わす。
【0070】
本発明を、さらに、以下の実施例に関連して例示するが、これらの実施例は、本発明の範囲を限定しない。
【実施例】
【0071】
(実施例1:(S)−(−)−N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの合成)
(A.N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドから誘導したラセミ酪酸エステルの調製)
ラセミN−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(25g)およびトリエチルアミン(15ml)を、アセトニトリル(150ml)中にて、0〜5℃で撹拌し、10℃未満で、15分間にわたって、ブチリルクロライド(10ml)を添加した。10℃未満で2時間45分後、さらにトリエチルアミン(2ml)およびブチリルクロライド(1ml)を添加し、この反応系を、20℃で1時間30分間撹拌した。このとき、さらにブチリルクロライド(1ml)を添加した。この反応は、さらに30分後に、完結した。水(450ml)に次いで酢酸エ
チル(175ml)を添加し、この混合物を15分間撹拌し、次いで、分離した。その水層を酢酸エチル(175ml)で再抽出し、次いで、合わせた有機抽出物を50%ブライン(150ml)で洗浄し、濾過し、そしてエバポレートした。このオイルを、熱tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)(60ml)に溶解させ、10分間にわたってヘキサン(400ml)をゆっくりと添加し、次いで、1時間にわたって5℃まで冷却することにより、結晶化した。5℃で30分後、N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドから誘導したラセミ酪酸(butryic)エステルを濾過により除き、ヘキサン(50ml)で洗浄し、そして真空中で40℃で乾燥した。収量:26g(86%)。
【0072】
(B.N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドから誘導した酪酸エステルの酵素的加水分解)
5ミリモルのリン酸二水素カリウム溶液(50ml)を、0.1N水酸化ナトリウム溶液(2ml)でpH7に調整し、ブタ膵臓リパーゼ(Biocatalysts、Treforest、UK)(0.2g)を添加し、そのpHを、0.1N水酸化ナトリウム(2ml)で7.1に再調整した。N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(1g)から誘導したラセミ酪酸エステルをMTBE(10ml)に溶解し、そして上の反応系に添加し、さらにMTBE(2ml)で洗浄した。この反応系を、最初に7.05max/7.00minにpH制御した状態で、38℃で撹拌した。24時間後、さらにブタ膵臓リパーゼ(0.8g)を添加し、そのpHを7.55max/7.50minに調整し、さらに42時間そのままにし、その時点で、全体で10mlの0.1N水酸化ナトリウムを添加した。この反応混合物を2N HCl(2ml)でpH3.5に酸性化し、15分間撹拌し、次いで、酢酸エチル(30ml)を添加し、この混合物をさらに10分間撹拌した。次いで、この混合物を濾過し、その残留物を酢酸エチル(20ml)で洗浄した。その水相を分離し、そして酢酸エチル(30ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を50%ブライン(20ml)で洗浄し、濾過し、そして部分的に結晶化したオイルになるまでエバポレートした。収量:0.95g。この生成物は、(R)−アルコール(99%鏡像異性体過剰)およびエステルの混合物であった。
【0073】
(生成物の分離)
この生成物は、エステルを除去するための5%酢酸エチル/トルエンに次いでアルコールを除去するための50%酢酸エチル/トルエンで溶出するSilica Gel 60(Fluka、Buchs、Switzerland)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、分離した。アルコール収量:338mg;97.6%鏡像異性体過剰の(R)−鏡像異性体。エステル収量:415mg。
【0074】
(C.回収エステルの加水分解)
回収エステル(415mg)をメタノール(25ml)に溶解し、100°TW水酸化ナトリウム溶液を添加し、そして20℃で30分間撹拌した。水(70ml)を添加し、この混合物を2N HCl(2ml)でpH2まで酸性化し、次いで、酢酸エチル(2×30ml)で抽出した。これらの有機抽出物を50%ブライン(20ml)で洗浄し、濾過し、そして白色固体になるまでエバポレートした。(S)−(−)−N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの収量:297mg(71.7%、98.5%鏡像異性体過剰)。
【0075】
(実施例2:エステルの加水分解速度および反応の特異性に対する酸部分の効果)
ラセミN−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドおよび対応する酸塩酸塩から、一連のエステルを調製した。これらを、ブタ膵臓リパーゼにより切断させて、24時間後に分析した。
【0076】
リン酸緩衝液(50ml)を38℃でpH7.6に調整し、酵素(0.2g)を添加し、そのpHを7.6に再調整した。MTBE中のN−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(1.0g)から誘導したラセミエステルを添加し、続いて、MTBE(合計12ml)で洗浄し、次いで、この混合物を、自動滴定機および0.1N NaOHを用いて、pH制御下にて、約38℃で撹拌した。この反応の終了時点で、この混合物のpHを2N HClで5未満まで調整し、その生成物を酢酸エチルに抽出した。このエステルおよびアルコールは、クロマトグラフィーにより分離してもよく、回収エステルは、メタノール中のNaOHを用いて加水分解してもよい。この(R)および(S)アルコールは、Chiracel OJ(Daicel Chemical Industries)カラムを用いた高速(hygh
pressure)液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析して、その鏡像異性体の純度を決定した。
【0077】
その転化率は、その安息香酸エステルおよび酢酸フェニルの反応(これらは、極めて遅い)以外は、その(R)アルコールを未反応エステルから分離した後に、この(R)アルコール生成物の鏡像異性体過剰度と共に、測定した。結果を、表1に示す。
【0078】
(表1)
【0079】
【表1】

このモノクロロ酢酸エステルは、試験した他のエステルのいずれよりも相当に速く加水分解した。この反応は、50%の点を優に超えて継続し、残留エステルから回収した(S)−(−)−N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド中では、検出可能な(R)異性体は存在せず、このことは、良好な選択性を意味する。
【0080】
(実施例3:N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドおよび酪酸から形成したラセミエステルの加水分解)
A.スキーム2に従って、ラセミ3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸および4−アミノベンゾフェノンから、ラセミN−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを調製し、その酪酸エステルに転化した。この酪酸エステルを、一連のエステラーゼおよびリパーゼに対してスクリーニングした。30℃でpH7.5に維持した緩衝液中で、この酵素(0.1g)に、DMSO(0.3ml)中のN−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(0.5g)のラセミ酪酸エステルを添加した。結果を、表2に示す。
【0081】
(表2)
【0082】
【表2】

B.スキーム2に従って、ラセミ3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸および4−アミノベンゾフェノンから、ラセミN−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを調製し、その酪酸エステルに転化した。この酪酸エステルを、ブタ膵臓リパーゼ(Biocatalysts)を用いて加水分解した。30℃でpH7.5に維持した緩衝液中で、この酵素(0.1g)に、MTBE(5ml)中のN−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(0.5g)のラセミ酪酸エステルを添加した。ブタ膵臓リパーゼを用いると、この反応は、2日間で約25%の転化率まで進行し、そして所望の(S)鏡像異性体は、極めてわずかしか加水分解しなかったことが明らかとなった。さらに多くのブタ膵臓リパーゼ(0.2g)を添加すると、さらに3時間後に、35%の反応が得られ、ワークアップにより、約99%鏡像異性体過剰で、この(R)アルコールが得られた。この生成物をクロマトグラフィーにかけて、99%鏡像異性体過剰の(R)アルコールが得られたが、加水分解後の回収エステルは、50%の鏡像異性体過剰を有していた。
【0083】
この反応は、1:1(w/w)の酵素:基質を用いると、2日間でほぼ完結し、回収エステルを加水分解した後、N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの注入ラセミ酪酸エステルを基準にして、収率35%で98.5%鏡像異性体過剰で(すなわち、利用可能な(S)エステルの70%)、(S)−(−)−N−(4−ベンゾイルフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドが得られた。
【0084】
(実施例4:3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸のエステルの酵素的分割)
7.10max/7.07minに設定したpH制御器を用いて、38℃で、これらの反応を行った。5ミリモルのリン酸二水素カリウム溶液(100ml)および固定化Candida antarcticaリパーゼ(Novozyme(R) SP435、Bo
ehringer Mannhein)(2g)を共に撹拌し、そのpHを、38℃で、0.5N水酸化ナトリウム水溶液(2ml)で、7.1に調整した。必要に応じてメチル第三級ブチルエーテル(MTBE)(50ml)または第三級ブタノール(50ml)に溶解した3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸(5g)のラセミメチルエステル、エチルエステルまたはブチルエステルを添加した。この反応混合物を、約50%の加水分解に対応する量の0.5N水酸化ナトリウム溶液が添加されるまで、この反応混合物を撹拌した。必要に応じて、この加水分解の速度を上げるために、より多くの量の酵素を添加してもよい。
【0085】
さらにMTBE(50ml)を添加し、この反応混合物を15分間撹拌し、次いで、濾過し、その残留物をMTBE(15ml)で洗浄した。その水層を分離し、そしてMTBE(30ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(30ml)で洗浄し、次いで、濾過し、そしてエバポレートして、未反応エステルを得た。このエステルの鏡像異性体割合は、キラルシフト試薬(例えば、2,2,2−トリフルオロ−1−(9−アンスリル)エタノール(tfae))を用いるNMR分析により決定できる。この分離から得た水層を約pH2まで酸性化し、そしてMTBEまたは酢酸エチルのいずれか(2×50ml)で抽出した。これらの有機抽出物をケイソウ土(2g)で濾過し、ブラインで洗浄し、濾過し、そしてエバポレートしてさせて、分割3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸を得、これは、その固体の濾出前に、ヘキサンで粉末化できる。この酸の鏡像異性体純度は、L−(−)−α−メチルベンジルアミンの存在下にて、NMRにより決定し得る。
【0086】
(i)3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸のメチルエステル、エチルエステルおよびブチルエステルの共溶媒なしの加水分解の結果を、表3にて、以下に示す。
【0087】
【表3】

(ii)種々の共溶媒を用いた3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸のエチルエステルの加水分解の結果を、表4にて、以下に示す。
【0088】
【表4】

(実施例5:3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸のエステルの酵素的分割)
(実施例5A)
以下の(a)または(b)のいずれかにて反応を行った:
(a)50mMクエン酸/リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.6、4ml)を含有する7mlガラスバイアル。
【0089】
この緩衝液に、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸のエチルエステル(40mg)を懸濁し、酵素(10mg)を添加して、この反応を開始した。これらの反応系を22℃で穏やかに撹拌した。または
(b)5mMクエン酸/リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.6、30ml)を含有する50mlジャケット付きガラス反応容器。
【0090】
この緩衝液に、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸のエチルエステル(300mg)を懸濁し、そのpHを、0.1M水酸化ナトリウム溶液を用いて、7.6に再調整した。酵素(75mg)を添加して、この反応を開始した。これらの反応系を28℃で撹拌し、そのpHを、0.1M水酸化ナトリウム溶液を用いた自動滴定により、7.6で維持した。
【0091】
この反応混合物の試料(0.2ml)を一定間隔で取り出し、そしてヘキサン(1.8ml)で抽出した。ガスクロマトグラフィーにより残留エステル濃度を測定することにより、加水分解の程度について、試料を分析した。自動滴定機で反応を行った場合、加水分解の程度はまた、水酸化ナトリウム溶液の消費からも決定できる。
【0092】
このエステルの濃度は、以下の条件下にて、ガスクロマトグラフィーにより決定した:クロマトグラフ:Perkin Elmer 8500;カラム:DB5(30メーター)、J&W Scientific;オーブン:120℃;検出器:250℃;注射器:250℃;キャリヤーガス:ヘリウムガス;圧力:8psi;検出器:FID。このエチルエステルの保持時間は、2.8分間であった。
【0093】
残留エステルの鏡像異性体過剰もまた、以下の条件下にて、ガスクロマトグラフィーにより決定した:クロマトグラフ:Perkin Elmer 8500;カラム:CP Chirasil−Dex CB(25メーター)、Chrompak;オーブン:温度勾配等温1〜80℃、3分間、ランプ−20℃/分で2分間、等温2〜120℃で6分間;他の設定は、非キラル分析と同じである。この(S)−鏡像異性体の保持時間は、4.0分間であり、そしてこの(R)−鏡像異性体の保持時間は、4.1分間であった。
【0094】
これらの結果を、表5に示す。表5で示すように、Aspergillus oryzae、Bacillus licheniformis、Aspergillus sojaeおよびSP539酵素による3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸のエチルエステルの加水分解により、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸のエチルエステルの(R)鏡像異性体に対して、良好な選択性が得られた。
【0095】
(実施例5B)
Aspergillus sojae(Sigma)およびSP539(Novo)からの酵素(プロテアーゼ)もまた、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸のブチルエステルを加水分解するのに使用した。分析操作は、実施例5Aでエチルエステルに対して使用したものと同じであった。このブチルエステルに対する保持時間は、4.6分間であった(DB5カラム)。その(S)−鏡像異性体に対する保持時間は、6.1分間であった。その(R)−鏡像異性体に対する保持時間は、6.3分間であった(CP Chirasil−Dex CBカラム)。
【0096】
実施例5Aでエチルエステルに対して記述したものと同じpH自動滴定機にて、実験を行った。時間の経過ごとに、試料を取り出した。結果を、表6および7に示す。
【0097】
【表5】

【0098】
【表6】

【0099】
【表7】

(実施例6:3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニトリルの酪酸エステルの酵素的分割)
この反応は、7.5max/7.45minに設定したpH制御器を用いて、38℃で行った。5ミリモルのリン酸二水素カリウム溶液(100ml)および粗ブタ膵臓リパーゼ(PPL)(1g)を共に撹拌し、そのpHを、38℃で、0.1N水酸化ナトリウム水溶液(5ml)を用いて、7.5に調整した。MTBE(20ml)に溶解した3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンニトリル(5g)のラセミ酪酸エステルを添加し、さらに多くのMTBE(5ml)で洗浄した。7時間後、さらにPPL(1g)を添加し、この反応系を一晩撹拌し、その時点で、0.1N NaOH(30ml)を添加した。さらに7時間後、さらに0.1N NaOH(14ml)を添加し、さらに多くのPPL(2g)を添加したが、中和のためには、0.1N NaOH(10ml)を必要とした。この反応系を、さらに2日間撹拌し、その後、さらに0.1N NaOH(69ml)を添加した(理論量119mlに対して、酵素触媒加水分解により、全体で113mlを消費した)。
【0100】
MTBE(50ml)、ケイソウ土(2g)および2N塩酸(5ml)を添加して、pHを5に調整し、この反応混合物を15分間撹拌し、次いで、濾過した。その水層を分離し、そしてMTBE(50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を50%ブラインで洗浄し、次いで、濾過し、そしてエバポレートした。得られたオイル(3.3g)を、溶離液としてジクロロメタンを用いたシリカゲルフラッシュカラム上にて、クロマトグラフィーにかけた。未反応エステル(950mg)を回収したところ、シフト試薬の存在下でのNMRにより、単一の鏡像異性体であることが明らかとなった。
【0101】
回収したエステル(100mg)、水(1ml)および濃塩酸(2ml)を、100℃で6時間、共に加熱し、次いで、20℃で一晩撹拌した。飽和ブライン(2ml)を添加し、この混合物をMTBE(2×5ml)で抽出した。このMTBE溶液を濾過し、そしてエバポレートして、オイルおよびある種の固体を得、これを、ヘキサン(2ml)で粉末化した。この固体(14.5mg)を濾過により取り除き、そしてヘキサン(5ml)で洗浄した。L(−)−α−メチルベンジルアミンの存在下でのNMRにより、これは、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸の(S)−鏡像異性体であることが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用アミドの立体選択的調製のための酵素的方法。

【公開番号】特開2006−345873(P2006−345873A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−247390(P2006−247390)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【分割の表示】特願平9−535967の分割
【原出願日】平成9年4月7日(1997.4.7)
【出願人】(300022113)アストラゼネカ・ユーケイ・リミテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】AstraZeneca UK Limited
【住所又は居所原語表記】15 Stanhope Gate, London W1K 1LN, United Kingdom
【Fターム(参考)】