説明

治療用抗菌組成物及び方法

ライノウイルス、ロタウイルス、コロナウィルス(coronovirus)、呼吸器合胞体ウイルス、グラム陽性菌、及びグラム陰性菌並びにこれらの組み合わせに対して高い即時かつ残留的な抗ウィルス効力及び抗菌効力を与える、治療のための抗菌組成物及び方法。特に、有機酸又は有機酸混合物と、大きな先端基、分枝アルキル鎖及び不飽和アルキル鎖のうち少なくとも1つを有する短鎖アニオン性界面活性剤とを含む治療のための抗菌組成物、並びにそれを用いた治療方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライノウイルス、ロタウイルス、グラム陽性菌、グラム陰性菌及びこれらの組み合わせに対して高い即時かつ残留的な抗ウィルス効力及び抗菌効力を提供する、治療のための抗菌組成物及び方法に関する。より詳細には、本発明は、有機酸若しくは有機酸混合物と、大きな親水性先端基、不飽和構造、及び/又は分枝状構造のうち少なくとも1つを有する特定の短鎖アニオン性界面活性剤とを含む抗菌組成物、並びに前記組成物を用いた治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭、学校、職場、及び一般の環境における細菌の存在の蔓延は、ヒト及び哺乳類の健康に確実に影響している。実に、ウイルス及び細菌が、様々な病気及び不快症状をもたらし続け、学校及び雇用場所における高い欠席率を引き起こしている。食中毒などの広範な蔓延を受け、一般市民は、人と所有物、両方の除菌にさらになる関心を寄せるようになってきている。そのため当業者は、好適な抗菌組成物、具体的には水を用いて又は水を用いずに微生物を即時及び残留的に殺傷する好適な抗菌組成物の特定並びに展開に研究活動の焦点を当ててきた。
【0003】
本発明の実施で達成される莫大な利益を理解するには、本組成物が有効である様々な微生物の把握が必要である。ヒトの皮膚上に見出される細菌は、2つの群、すなわち常在性細菌及び一過性細菌に分類することができる。常在性細菌は、皮膚の表面及び最外層上に永久的な微小コロニーを構築するグラム陽性菌である。このような細菌は、より有害な他の細菌及び真菌のコロニー形成を妨げる基本的役割を果たす。一過性細菌は、皮膚の通常の常在菌叢を成す細菌ではない。正確に言えば、一過性細菌は、空気中に浮遊する汚染物質が皮膚上に落下した時、又は汚染物質が当該細菌と物理的に接触した時に付着する。一過性細菌は、通常、2つの亜群すなわちグラム陽性及びグラム陰性に分類される。グラム陽性菌には、黄色ブドウ球菌、化膿性連鎖球菌、及びボツリヌス菌のような病原体が挙げられる。グラム陰性菌には、サルモネラ菌、大腸菌、クレブシェラ、ヘモフィルス、緑膿菌(Pseudomonas aeuginosa)、プロテウス及び志賀菌のような病原体が挙げられる。グラム陰性菌は、一般に、グラム陰性菌に追加的な保護細胞膜が存在する点でグラム陽性菌と区別されており、このことが、しばしばグラム陰性菌を従来の局所的抗菌活性の影響を受けにくいものにする。
【0004】
細菌及び/又はウイルスの形成を低減及び/又は廃絶する、最新の組成物及び方法がいくつか存在する。例えば、硬質表面、食物(例えば果実若しくは野菜)、及び皮膚、特に手を抗菌石鹸又は非薬用石鹸で洗浄することがウイルス及び細菌に有効であることは周知である。実際には、ウイルス及び細菌の除去は、抗菌剤の働きではなく、石鹸の界面活性及び洗浄手順の機械的作用によるものである。したがって、ウイルス及び細菌の蔓延を低減するには、人が頻繁に洗浄することが推奨される。しかし、洗浄を含む従来の多くの除菌製品及び除菌方法は、除菌の「オンザゴー」のジレンマ、すなわち消費者が流水の恩恵を受けられない時のジレンマに対処していない。当業者は、消毒ローション、クレンジング拭き取り用品などに抗菌剤を組み込むことによってこのジレンマを解決しようと試みてきた。このような物品は、主題組成物の適用時又は適用後の水の必要性を低減させる。
【0005】
他の従来の抗菌クレンジング製品には、防臭石鹸、硬質表面クリーナー及び外科用消毒剤が挙げられる。これら従来型のリンスオフ式抗菌製品は、洗浄時に細菌の除去をもたらすように配合されてきた。抗菌石鹸を含め、そのような少数製品は、グラム陽性菌に対して残留効果を提供するが、グラム陰性菌に対する残留効果は限られていることも明らかになってきている。「残留効果」とは、主題抗菌剤が、洗浄及び/又はすすぎプロセス後のいくらかの時間にわたり、微生物の成長を妨害するか又は微性物を連続的に殺すことによって、基材上の微生物の成長を制御することを意味する。グラム陰性菌に対する残留効力が限られているというジレンマに対処するために、当業者は、最新の抗菌製品に高濃度のアルコール及び/又は強力な界面活性剤を組み込むことに努めてきたが、これらは、皮膚組織に乾燥及び炎症を引き起こすことが明らかになってきている。
【0006】
したがって、消費者が「いつでもどこでも(on the go)」で使用でき、洗浄によって又は洗浄なしで微生物を即時且つ残留的に殺し、適用後の皮膚の乾燥及び炎症を防ぐ抗菌組成物の特定及び展開が、依然として大いに必要とされている。水の利用可能性のジレンマに対するある程度の解決策が提供されたにも関わらず、当業者は、皮膚の乾燥及び炎症に関係した問題に対処する抗菌組成物を未だ特定していない。実際にこのジレンマを解決しようとする試みは、一般に、有意な即時又は残留利益を提供するには弱すぎる双極性イオン性界面活性剤を高濃度で組み込んだ水性抗菌配合の選択に帰着してきた。他の試みは、抗菌組成物にカチオン性界面活性剤を組み込むことによって皮膚の乾燥又は炎症のジレンマに対処しようとしたが、これは環境及びヒトの健康に対して悪影響を伴った。さらに他の試みは、皮膚組織への浸透を防ぐ目的で抗菌組成物に長鎖のアニオン性界面活性剤を組み込むことによって、このジレンマを解決しようとしてきた。とは言うものの、しばしばこのような界面活性剤は、製品中での相安定性に乏しく、また市販の抗菌剤との適合性もなく、残留殺菌能力が低い。実際のところ、抗菌性能、皮膚への低刺激性及び水の利用可能性の因子間のバランスの特定が、依然として抗菌分野の技術者にとって重要な関心事である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、従来の抗菌組成物及び/又は製品の使用に付随する問題すべてに対処し、解決する。実に驚くべきことに、有機酸若しくは有機酸混合物と、大きな親水性先端基、不飽和構造、及び/又は分枝状構造のうち少なくとも1つを有する特定の短鎖アニオン性界面活性剤とを組み込んだ組成物が、抗菌配合の分野における有望な進歩及び代替手段を成すことが発見された。本発明の抗菌組成物は、乾燥又は炎症を引き起こすことなく、ヒトの皮膚へ直接適用するのに適合している。さらに本発明の抗菌組成物は、水と併せて又は水なしで使用されるように作られており、いずれの場合にも、ロタウイルス、ライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、コロナウイルス、グラム陽性菌、及びグラム陰性菌を含む様々なウイルス及び細菌に対して即時効果及び残留効果を提供する。
【0008】
本発明の特定のアニオン性界面活性剤は、本組成物の特に新規態様を提供する。当業者は、一般に、より長鎖(すなわち、C12〜C16)のアニオン性界面活性剤を抗菌組成物へ組み込むことに頼っている。従来の界面活性剤は、細菌及びウイルスの細胞膜のリン脂質マトリックス中に見られるアシル構成成分に類似しており、皮膚組織浸透性の低い、最適な抗菌活性を有すると考えられている。しかし従来のアニオン性界面活性剤は酸性条件下での溶解度が低く、カチオン性抗菌剤との適合性に劣り、溶解速度が遅く、残留抗菌性能が限られていた。
【0009】
当該技術分野の一般通念とは対照的に、本発明の短鎖アニオン性界面活性剤は、大きな親水性先端基、不飽和構造、及び/又は分枝状構造のうち、少なくとも1つの特徴を含む。実に本発明の界面活性剤は、これまで当該界面活性剤が比較的低い表面活性を有するという説に基づき、抗菌組成物への組み込みには適していないと見なされてきた。旧来の通念に反して驚くべきことに、本発明の界面活性剤が、ロタウイルス、ライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、コロナウイルス、グラム陰性菌及びグラム陽性菌に対して高い抗菌効力をもたらすことが発見された。より重要なことに、本界面活性剤の大きな先端基、不飽和構造及び/又は分枝状構造は、当該界面活性剤が皮膚組織に浸透する傾向を低減又は制限すると同時に、当該界面活性剤が組み込まれる抗菌組成物の即時及び残留効果を最大にする。さらに本発明のアニオン性界面活性剤は、低いpHにおいて水性製品中で安定性を示し、カチオン性抗菌剤との適合性があり、当該アニオン性界面活性剤が適用される基材に、後でウイルス又は細菌を接種した時に強い残留抗菌活性を示す。
【0010】
ライノウイルス、ロタウイルス、グラム陽性菌、グラム陰性菌及びこれらの組み合わせに対して高い即時かつ残留的な抗ウィルス抗菌効力及び抗菌効力を与える抗菌組成物は、同一出願人による米国特許第出願20030235550A1、20040001797A1及びPCT国際公開特許WO2004/000016に記載されており、これらの内容を参照として本明細書に組み込む。これらの抗菌組成物は、有機酸又は有機酸混合物、分枝した先端基又は大きな先端基を有する特定の短鎖アニオン性界面活性剤、並びに任意選択的に、カルシウムイオン除去剤及び/又は消泡剤を含む。
【0011】
本発明の第1態様によれば、治療のための抗菌組成物及び方法が開示されている。一態様では、有機酸又は有機酸混合物、特定の短鎖アニオン性界面活性剤混合物を含む本抗菌組成物が開示されている。本発明の下で使用するのに好適なアニオン性界面活性剤は、約C4〜C12の鎖長と、大きな親水性先端基、不飽和構造、及び/又は分枝状構造のうちの少なくとも1つの特徴とを含む。更に他の態様では、本明細書に開示の抗菌組成物は、任意選択的に、カルシウムイオン除去剤及び/又は消泡剤をさらに含む。本発明の治療のための方法及び組成物は、水を用いて又は水を用いずに、皮膚の乾燥又は炎症を引き起こすことなく、多数の細菌及びウイルスを即時且つ残留的に殺傷するのに適している。
【0012】
前述及びその他の目的、特徴、並びに利点は、以下の発明を実施するための最良の形態及び添付の特許請求の範囲を読めば当業者には明らかになろう。特に指定のない限り、本明細書の百分率、比率、及び割合は、全て重量基準である。温度は、特に指定しない限り、全て摂氏(℃)である。引用される文献はすべて、関連部分において本明細書に参考として組み込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ライノウイルス、ロタウイルス、グラム陽性菌、グラム陰性菌及びこれらの組み合わせに対して高い即時かつ残留的な抗ウィルス抗菌効力及び抗菌効力を与える抗菌組成物は、同一出願人による米国特許第出願20030235550A1、20040001797A1及びPCT国際公開特許WO2004/000016に記載されており、これらの内容を参照として本明細書に組み込む。これらの組成物は、グラム陰性菌及びグラム陽性菌に対する効力とウィルスに対する効力も有すると述べられていた。これらの短鎖と大きな先頭の界面活性剤をベースとする抗菌組成物の特定の配合は、柑橘類癌腫症を包含するが、これに限定するものではない、広く様々な病原性の(pathenogenic)農学上の生物に対して有効であると考えられる。
【0014】
これらの抗菌組成物は、有機酸又は有機酸混合物、分枝した先端基又は大きな先端基を有する特定の短鎖アニオン性界面活性剤、並びに任意に、カルシウムイオン除去剤及び/又は消泡剤を含む。治療のための使用において、前記配合は、界面活性剤、有機酸及び非イオン性剤を更に必要とする。界面活性剤としてC8−AGSを、有機酸としてピロリドンカルボン酸を、そして非イオン性剤としてエチルヘキシルグリセロールエーテル(EHOP)を使用するのが好ましい。当業者には、20030235550A1、20040001797A1又はWO2004/000016に開示されているような他の薬剤で代用可能であることが分かるであろう。好ましくは、約0.50%を超えるC8AGSを有する組成物であり、より好ましくは、少なくとも1.25%のC8AGSと2.0%以上のピロリドンカルボン酸含量を含有する組成物である。
【0015】
当業者には、他の活性成分を含有異なる特性を提供するか又は特定の生物に対する本組成物の効力を改善することができることが容易に分かるであろう。他の活性物質を加える場合、所望の活性度をもたらすために界面活性剤、酸及び/又は非イオン性剤の濃度も変更する。例えば、既知の抗菌剤であるパラクロロメタキシレノール(PCMX)を加えて、別の広域スペクトルの抗菌剤を提供することができる。例えば、PCMXを加える場合、C8AGSの量を1重量%濃度未満に低減することが可能である。
【0016】
表1に示す活性剤を有する5つの配合の抗菌組成物が考え出された。配合の残りは水で補う。これらの配合は、20030235550A1、20040001797A1及びPCT国際公開特許WO2004/000016に従って作製され、これらの内容を参照として本明細書に組み込む。
【0017】
【表1】

【0018】
配合
本発明の組成物は、当業者に既知の任意の方式で使用するために配合されてもよい。薬剤を局所的に粘膜にエアゾールで送達するための配合は、現代薬剤学(Modern Pharmaceutics)、ギルバート・S.バンカー(Gilbert S. Banker)(編者)、クリストファー・T.ローズ(Christopher T. Rhodes)(編者)、マーセル・デッカー社(Marcel Dekker)、第4版(2002年6月15日)ISBM:0824706749に教示されており、これら全てを参照として本明細書に組み込む。www.ijpc.comでアクセスできる国際薬剤調合会誌(International Journal of Pharmaceutical)も参照され、この内容を参照として本明細書に組み込む。これらの出典は、薬剤調合の基礎を教示し、説明している。当業者には、本発明の活性成分の摂取の仕方や、送達するために前記活性成分を配合する仕方が既知であろう。このような配合は、ローション、軟膏、ジェル、クリーム、点滴薬、洗浄液(drops washes)、ペースト、座薬、トローチ剤、うがい薬、含嗽薬、潅水器具、フォーム、表面コーティング、リポゾーム、微小球及び貼付剤の形態にすることができる。
【0019】
当業者は、本組成物の活性が賦形剤の選択によって影響を受けて、様々な程度で皮膚へ浸透するか又は放出を制御することができることを認めるであろう。本配合の活性は、適した包帯又はラップ材で適用してから皮膚を塞ぐことで、高めることができる。当業者は、活性物質の放出を時間をかけて遅らせる放出制御技術を用いることによって持続的な作用を高めることができることにも気付くであろう。
【0020】
本明細書で意図される配合は、拭き取り用品、スポンジ、包帯、外科用カーテン、診察着、手術着のような医療用具にコーティングされるか、もしくは別の方法で前記医療用具に組み込むことができる。医療用具を消毒するのに好適な配合を開発することができる。このような配合は、表面を消毒するために表面上に噴霧したり、機器を浸漬したり、機器の中に噴出するのに使用可能であるか、又は拭き取り用品に組み込み可能な液状である場合がある。
【0021】
試験
上記の配合は、カンジダ・アルビカンス、大腸菌、セラチア・マルセッセンス(S. marcesens)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌及び大腸レンサ球菌に対する最小細菌希釈度及び残留効力について試験した。
【0022】
最小細菌希釈度
以下の表2に示す様々な配合は、最小細菌希釈度について試験した。被試験生物は、傾斜培養で増殖させて、画線することによって寒天平板に移して菌叢を形成させた。コロニーは、滅菌白金耳ループを用いて寒天平板から掻きだして、リン酸緩衝溶液(PBS)中に懸濁させ、5×106CFU/mLまで希釈する。
【0023】
【表2−1】

【0024】
【表2−2】

【0025】
【表2−3】

【0026】
生体外での死滅時間
カンジダ・アルビカンスを適切な条件下で培養した。(生物を培養するための最新のUSP手順が適当である。)インキュベーション期間は1.0E+06〜1.0E+07CFUs/mLまでの密度に合わせて変化する(典型的には、25℃±1℃で120時間)。出発培養物の実際のCFUs/mLは、アリコートの希釈とプレーティングを続けて行うことによって求めた(典型的には、10-6、10-5、10-4、10-3、10-2希釈液を蒔く)。酵母培養物のアリコート50μLを、滅菌シンチレーションバイアル瓶内の抗菌溶液(1又は複数)5.0mL中へピペットで採取して(生物体:溶液比=1:100)、全体を攪拌混合した。試験接種濃度は約1.0E+04〜1.0E+05CFUs/mLであった。予め決められた時間である1分、5分及び10分に、インキュベートした抗菌溶液のアリコート0.5mLをデイ/エングレイ(Dey/Engley)(D/E)中和ブロス(比率=1:10)4.5mL中へピペットで採取して、攪拌混合する。酵母を含む中和サンプルのアリコートを、標準的な混釈平板技術を用いてサボウオード(Sabouaud)ブドウ糖寒天(SDA)平板に蒔いた。前記SDA平板を25℃±1℃において5日間(約120時間)インキュベートした後、CFU値を数える。生物培養物についてのCFUs/mLを計算し、抗菌溶液のCFUs/mLと比較して、対数減少値を求める。
【0027】
残留物皮膚テスト
残留物皮膚テストは、皮膚用パッチ剤の表面を活性物質溶液20μLで均一にコーティングすることによって行った。皮膚サンプルは、ペトリ皿の蓋を取り外した状態で1分、15分、60分、120分、240分、360分、480分及び14時間蒸発させた。適当な時間において、皮膚サンプルは、18時間抗菌懸濁液の1:10希釈液(〜1.0E+08CFUs/mL)10μLで全面積を一様に覆うように接種し、サンプルを回復して5分静置した。5分後に、皮膚を滅菌ピンセットを用いて抽出して、滅菌遠心管に移した。サンプリング溶液10mLを入れて30秒間攪拌した。皮膚からのいくらかの微生物を含む抽出サンプルのアリコートを、スパイラル・プレータを用いてトリプチケース・ソイ(trypticase soy)寒天平板に蒔いた(典型的には指数関数モードで50μL)。前記寒天平板を37℃で一晩(〜18時間)インキュベートした後、CFU値を数える。ベースライン計数で確立されたCFUs/mLを計算して、抗菌剤/細菌溶液についてのCFUs/mLと比較して、対数減少値を求める。ベースライン計数は、希釈した細菌懸濁液10μLを矩形の皮膚にむらなく広げ、活性物質溶液を加えないこと以外は上記手順に従って処理することによって行った。
【0028】
(試験結果)
抗カビ/抗酵母活性
配合R、M、H、KS及びKSMはカンジダ・アルビカンスに対して試験し、クローラ・プレップ(ChloraPrep)との活性について比較した。これら配合の抗カビ特性は、これまでに試験されておらず、また知られていなかった。上述と同様にして、生体外での死滅時間試験を行った。試験結果を表3に示す。
【0029】
【表3】

【0030】
カンジダ・アルビカンスに対する残留皮膚効力試験は上述と同様にして行った。データを以下の表4に示す。
【0031】
【表4】

上記データは、RIDの医学的に許容できる強度がカンジダ菌を死滅させることを示している。既知の広域スペクトル抗菌剤(PCMX)を加えることで、より速く死滅するが、より高くない残留活性を得ることができる。
【0032】
大腸菌
配合R、M、H、KS及びKSMを、大腸菌に対して試験して、クローラ・プレップ(ChloraPrep)と比較した。大腸菌に対する残留皮膚効力試験は上述と同様に行った。データを以下の表5に示す。
【0033】
【表5】

【0034】
セラチア・マルセッセンス(S.marcesens 14756)
配合R、M、H、KS及びKSMをセラチア・マルセッセンス(S. marcesens)に対して試験して、クローラ・プレップ(ChloraPrep)と比較した。セラチア・マルセッセンス(S. marcesens)に対する残留皮膚効力試験は上述と同様に行った。データを以下の表6に示す。
【0035】
【表6】

【0036】
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
配合R、M、H、KS及びKSMをMRSAに対して試験して、クローラ・プレップ(ChloraPrep)と比較した。MRSAに対する残留皮膚効力試験は上述と同様に行った。データを以下の表7に示す。
【0037】
【表7】

【0038】
バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)
配合R、M、H、KS及びKSMを大腸レンサ球菌に対して試験して、クローラ・プレップ(ChloraPrep)と比較した。大腸レンサ球菌に対する残留皮膚効力試験は上述と同様に行った。データを以下の表8に示す。
【0039】
【表8】

【実施例】
【0040】
治療実施例
実施例1 ニキビ
ニキビは数百万人のアメリカ人に毎年発症する一般的な病気である。前記疾患は、プロピオン酸菌ざ瘡菌(P. acnes)及び/又は顆粒膜プロピオン酸菌(P. granulosum bacteria)に感染することで引き起こされる病変又は吹き出物を特徴とする。一般的な治療は、レチノイド類、ステロイド類、抗生物質類を局所的に使用すること、イオウ、過酸化ベンゾイルなどの反対刺激剤及び/もしくはアルコールを局所的に使用すること、並びに/又は抗生物質を全身に使用することである。
【0041】
ニキビは、本明細書に開示する配合をバー、綿球、ローション、ジェル又はクリームで局所的に投与することで治療することができ、またその広がりを予防することもできる。
【0042】
実施例2 アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、アメリカ人の3〜10%に発症する疾患である。アトピー性皮膚炎は通常、幼児に発症し、表皮の角質層内に黄色ブドウ球菌が存在することによって引き起こされるうろこ状の斑、小さな水疱(small vescicles)、表皮剥離、痂皮形成、膿痂疹化を特徴とする。現在の治療は、皮膚軟化剤を使用すること、コルチコステロイドを局所的に使用すること、及び/又は、抗ヒスタミン剤を局所的に使用するかもしくは経口投与することである。重症例では、UV−B光線療法、ソラレン+UVA、コルチコステロイドの経口投与によって治療される場合もある。
【0043】
本明細書に開示する種類の抗菌組成物は、黄色ブドウ球菌を殺傷するのに有用であることが分かってきている。アトピー性皮膚炎は、本発明の配合を石鹸、綿球、ローション、ジェル又はクリームで局所的に投与することによって治療することができ、またその広がりを予防することもできる。
【0044】
実施例3 眼瞼炎
眼瞼に一生涯の慢性炎症を引き起こす眼瞼炎は、眼瞼の縁へのブドウ球菌又は酵母のコロニー形成によって生じる。触れると伝染する可能性がある。現在の治療としては、温かい圧迫ガーゼの使用と眼瞼(lid)の洗浄が挙げられる。ハリソンの第1内科(Harrison's Principals of Internal Medicine)、第15版を参照し、これを参考として本明細書に組み込む。
【0045】
本明細書に開示する種類の抗菌組成物は、黄色ブドウ球菌の殺傷有用であることが分かってきている。眼瞼炎は、本発明の配合を軟膏、点滴薬、又は経口投与に適した他の配合で局所的に投与することによって治療することができ、またその広がりを予防することもできる。
【0046】
実施例4 おむつかぶれ/おむつ皮膚炎
おむつかぶれは、尿や便との接触による刺激によって生じ、皮膚の発赤及び分解を引き起こす。普通のおむつかぶれは、おむつ皮膚炎を伴うことが多い。おむつ皮膚炎は、カンジダ真菌株によって最も頻繁に生じる。ブドウ球菌やエンテロバクターの二次細菌感染も生じ得る。現在の治療としては、酸化亜鉛クリームと、局所的な抗真菌薬とが挙げられる。2歳までの乳児の20%と考えられる。症例の10%しか報告されていない。セシルの医学教本(Cecil Textbook of Medicine)、第22版、2004を参照し、これを参考として本明細書に組み込む。
【0047】
一次カンジダ感染の治療及び/又は予防は本配合を塗布によって(in by application)使用することで行われなければならない。本明細書に開示する種類の抗菌組成物は、カンジダ菌、黄色ブドウ球菌及びエンテロバクターを殺傷するのに有用であることが分かってきている。おむつかぶれ及びおむつ皮膚炎は、本発明の配合をバー、綿球、ローション、ジェル、軟膏又はクリームで局所に投与することによって治療することができ、またその広がりを予防することもできる。
【0048】
実施例5 皮膚の真菌感染症
紅色白癬菌、毛瘡白癬菌、有毛表皮糸状菌(Epidermophyton floccosum)、デムラトファイト(demratophytes)、酵母及びかびの真菌感染によって様々な皮膚感染症が生じる。運動選手に足の真菌(足白癬菌)や爪の真菌が生じることが多い。運動選手の足は、一般には、抗真菌クリーム、スプレー及び粉末や、経口薬物を使用して治療される。爪の真菌及び足指の爪の真菌は、保護している爪のために治療がより難しい。一般的なOTCネイルクリーム及び軟膏は比較的無効である。イトラコナゾールのような経口抗真菌薬は良好な効力をもたらすが、高価である。セシルの医学教本(Cecil Textbook of Medicine)、第22版、2004を参照し、これを参考として本明細書に組み込む。
【0049】
皮膚の真菌感染症は、本発明の配合をバー、綿球、ローション、ジェル、軟膏又はクリームで局所に投与することによって治療することができ、またその広がりを予防することもできる。
【0050】
実施例6 膿痂疹
膿痂疹は、子供によく見られる皮膚の細菌感染症である。この疾患は、黄色ブドウ球菌及び/又は連鎖球菌によって生じる水疱、小胞及び疱疹を含む、様々な皮膚の病変を特徴とする。伝染性膿痂疹は、最も一般的な型であり、最初に疱疹又は赤い傷が現れる。最終的には疱疹が潰れて流体が滲み出て、それが患部上に痂皮を形成する。前記の傷は痒みを伴う傾向があるが、一般に痛みは生じない。しかし患部のリンパ節が腫れることはある。伝染性膿痂疹は、非常に感染性が高く、傷に触れたり掻いたりすることで体の他部位に容易に広がる。伝染性膿痂疹はまた、感染者との個人的接触や物品共有で、他人に容易に蔓延する。
【0051】
伝染性膿痂疹は、衛生状態を改善させ、抗生物質軟膏を局所的に使用すること、及び/又は抗生物質を経口投与することで容易に治療される。大抵の場合、3日以内の治療で治癒が始まる。重症にはほとんどならないが、この感染は、治療しないまま放置すると、瘢痕などの合併症を引き起こす場合がある。セシルの医学教本(Cecil Textbook of Medicine)、第22版、2004及びMayoClinic.comを参照し、これらを明示的に参考として本明細書に組み込む。
【0052】
本発明の配合は、黄色ブドウ球菌や他の細菌を死滅させてそれらの移動を阻止することによって、膿痂疹を治療及び防止すると考えられる。膿痂疹は、本発明の配合をバー、綿球、ローション、ジェル、軟膏又はクリームで局所的に投与することによって治療することができ、またその広がりを予防することもできる。
【0053】
実施例7 鵞口瘡
口咽頭カンジダ症(OPC)又は鵞口瘡は、口、喉及び/又は舌のカンジダ菌感染症である。これは主に新生児、乳児及び高齢者に見られるが、どの年齢でも発症し得る。T−細胞機能障害が原因の鵞口瘡は、HIV感染がより進行した患者全体の80〜90%が発症する、HIVにおいて最も一般的な日和見感染症である。鵞口瘡は、一般には大衆薬や処方された抗真菌薬で治療されるが、HIV感染患者では、アゾールの経口投与を併用(concommitant use)することによって、あるいは重症の難治性の場合には、アンホテリシンを静脈に(intrvenous)投与することによって治療する。セシルの医学教本(Cecil Textbook of Medicine)、第22版、2004を参照し、これを参考として本明細書に組み込む。
【0054】
鵞口瘡は、カンジダ菌種が隠れることができる場所が多いため、乳児では治療が困難な場合がある。おもちゃ、おしゃぶり、母体の乳房などから再感染することもある。酵母の増殖する速度が速いため、現在の治療としては、ナイスタチンを1日4〜8回又はそれ以上の回数使用する治療が挙げられる(includ)。本組成物の残留作用は、カンジダ菌が隠れて蔓延する可能性を減らすことで、適用頻度を低減して回復速度を高めると考えられる。優先適用は、母体の乳房、乳児のおしゃぶりへの局所適用、及び口の患部へ塗布することである。成人は、同様の方式並びにうがい薬や含嗽薬でも治療することができる。
【0055】
実施例8 トラコーマ
トラコーマは、トラコーマ病原体(C. trachomatis)が引き起こす(cause)慢性の結膜(conjuctival)炎である。トラコーマは、主に発展途上国で見られ、少なくとも4百万件の失明の症例の原因であり、また5百万件の視力低下の症例の原因でもある。現在の治療は、眼瞼の手術と、抗生物質の局所適用による。セシルの医学教本(Cecil Textbook of Medicine)、第22版、2004を参照し、これを参考として本明細書に組み込む。
【0056】
本発明の配合は、目に点滴薬又は軟膏として適用してトラコーマを治療及び/又は予防することができる。
【0057】
実施例9 いぼ
いぼは、ヒト・パピローマ・ウイルスによって生じる、皮膚上の硬い腫瘍である。主要な治療手段は、サリチル酸による局所的な処置(treatmentwith)である。セシルの医学教本(Cecil Textbook of Medicine)、第22版、2004を参照し、これを参考として本明細書に組み込む。
【0058】
いぼは、本出願の抗ウィルス組成物を任意に局所的に配合することによって、及び/又は本出願の抗ウィルス組成物で処理された包帯を用いることによって治療することができる。
【0059】
実施例10 トリ流感/トリインフルエンザ
トリ流感は、A型インフルエンザウィルスによって生じる、非常に感染性が高く(infections)、しばしば致死性となる。その致死率は、SARSの10%に対して33%である。治療には、感染したトリを破棄すること、及びウィルスに触れた可能性のある道具や衣類を漂白剤溶液を用いて汚染除去することが挙げられる。世界保健機関の流感・インフルエンザに関するファクトシート(World Health Organization avian influenza fact sheet)2004を参照し、これを参考として本明細書に組み込む。
【0060】
本発明の配合は、感染した家畜に噴霧によって投与して、突発的な蔓延を処置及び予防することができる。本発明は、局所適用すること、噴霧すること、又は拭き取ることによって皮膚、衣類及び道具の汚染除去に使用することもできる。
【0061】
本発明の配合は、SARS、HBV、HPV、HIVなどを死滅させるのに使用することもできる。
【0062】
実施例11 口蹄疫
口蹄疫は、迅速に蔓延しているウシとブタの口蹄疫ウィルス(aphthovirus)感染症であり、これは発熱及び疱疹を引き起こす。処置は、感染した動物の処分及び破棄である。本発明の配合は、動物、ヒト並びに関連物質及び道具に局所適用して、ウィルスの蔓延を予防することが可能である。
【0063】
実施例12 乳腺炎
細菌感染は、ウシの乳房にB群レンサ球菌(S. agalactia)、黄色ブドウ球菌及び/又はマイコプラズマによって引き起こされる炎症、圧通及び痛みを発症させる。治療しなければ、乳腺炎は、乳房の崩壊、生産性の低下及び感染した乳をもたらすことがある。現在の治療としては、乳搾りの後で乳首をヨウ素で消毒すること(discinfecting)、及び慢性症状のある動物を処分すること、並びに抗生物質を局所的及び全身的に用いた治療が挙げられる。この疾患の予防には、衛生が重大な役割を果たす。メルク獣医学マニュアル(Merck Veterninary Manual)、第8版、フォーブズ(Forbes)、1998年1月;ノックスヴィル・ニュース−センチネル(The Knoxville News-Sentinel)、2002年11月;UGA畜産及び酪農科学年次報告書(UGA Animal & Dairy Science Annual Report)1995、乳腺炎費用の分析(Analysis of Mastitis Costs)、(エバーハート(Eberhart)ら、1987年);動物医薬品報告−乳腺炎:課題と機会(Animal Pharm Reports - Mastitis: Challenges and Opportunities)、2002年(要旨)を参照し、これら全てを参考として本明細書に組み込む。本発明の配合は、乳房を局所的に処置するのに用いることができる。
【0064】
実施例13 化学滅菌
保健医療研究所の労働者に対する安全上の懸念、並びにモーター、可動部及び非金属の(例えば、プラスチックの)境界面を有する設備の腐食の原因となる、現存の化学滅菌剤に代わるものを提供する。滅菌すべき機器を、本発明の組成物に浸漬する、該組成物で洗浄する、該組成物で拭き取る、該組成物を噴霧する、又は該組成物で洗い流すことができる。適用に応じて、滅菌水又は食塩水フラッシュを使用して任意の残留活性物質を取り除く必要がある場合がある。可能性のある用途には、滅菌を必要とするいずれかの表面又は機器が含まれ、限定はされないが、分析機器、ロボット機器、バイタルサインモニター用リード線及び設備などが挙げられる。
【0065】
実施例14 浸透性もしくは塗布型の患者のケア又はパーソナル衛生機器
多くの医療用具又はパーソナルケア製品には、クロロヘキシジングルオクネート(chlorhexidine gluocnate)(CHG)が染み込んでいる。CHGは、静脈内カテーテル、局所的な抗菌性皮膚包帯剤及び移植された抗菌性外科用メッシュに使用された場合、過敏反応を引き起こすことが分かっている。本発明の配合は、皮膚に対して極端に穏やかで良性であると考えられる。そのため、本発明の配合は、患者と接触している常用の機器に活性物質バリアを形成するために使用することができる。患者に接触しているいずれの医療用具も、場合によっては、本配合でコーティングされることがある。例えば、人工呼吸器感染症は、人工呼吸器装着患者の35%に発症し、33%〜35%の死亡率を伴って、ICUでの滞留を平均13日長引かせる。人工呼吸器の管類は、本発明の配合で処理すると感染源を低減又は廃絶することが可能である。同様に、ECGリード一式及び他のものは再使用可能である。
【0066】
実施例 15パーソナルケア製品
本発明の配合は、皮膚又は粘膜と接触するいずれのパーソナルケア製品にも含浸又はコーティングすることができる。可能性のある用途には、滅菌を必要とする機器が包含され、限定されないが、タンポン及び生理用ナプキン、ペーパータオル、トイレットペーパー、おむつ、包帯、衣類、ベッドシーツ、マスク、外科用カーテンなどが挙げられる。例えば、含浸されたタンポンは、中毒性ショック症候群を引き起こすA群連鎖球菌(group A streptococcal bacteria)の成長を積極的に抑制することができる。
【0067】
実施例16 コンドームコーティング
本発明の配合は、コンドームをコーティングして、性行為によって感染する細菌性/ウィルス性疾患又は真菌病(bacterial viral or fungal diseases)の蔓延を予防するのにも好適であり、前記疾患には、淋病(gonnorhea)、梅毒、HIV及びHPVが挙げられるが、これらに限定されない。このような配合は、製造時、又は使用中に適用するための潤滑ゲルもしくはローションに組み込む時に添加することができる。コンドーム材料に損傷を与えない賦形剤を選択するように注意を払わなければならない。
【0068】
実施例17 女性用衛生製品
本発明の製品は、潅水器具、ジェル、ローション又はフォームとして配合して、尿路感染症(「UTIs」)、中毒性ショックを治療又は予防することもでき、また性感染症の蔓延を予防することもできる。UTIsの最も一般的な原因は大腸菌である。ベッサリー、殺精子剤コーティングしたコンドーム、及び体内に留置しているカテーテルを用いることで、UTIsの危険が高まることがある。女性は、頸膣部からの細菌が尿道に入り込むことがあるため、性的に活発になるとUTIを患うことが多い。本発明の配合は、感染する前にベッサリー(diaphrams)やスポンジに塗布することができる。潅水器具又は洗浄液の形態の配合は、膣管を洗浄するのに使用することができる。本発明の配合は、性交渉直前に使用するために個別の剤形に梱包することができ、そしてベッサリー又はコンドームに適用するのに適した剤形や皮膚を消毒するのに適した剤形も包含される。
【0069】
実施例18 耳用溶液
本発明の配合は、耳に使用するために配合して泳ぐ人の耳や微生物による耳感染症を予防する、又は治療することができる。
【0070】
実施例19 ボディソープ及びシャンプー
本発明の配合は、ヒト又は動物に使用するための治療上のシャンプーに組み込んで、微生物によって引き起こされる皮膚疾患を治療することができる。
【0071】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、どの文献の引用もそれが本発明に関する先行技術であるとの容認と解釈されるべきではない。この文書における用語のあらゆる意味又は定義が、参照として組み込まれる文献における用語のあらゆる意味又は定義と対立する範囲内においては、本文書における用語に与えられた意味又は定義が適用される。 本発明の特定の実施形態が説明及び記載されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物に起因する感染の治療又は予防を必要とする患者における、微生物に起因する感染の治療方法又は予防方法であって、前記方法が、a.0.2%〜70%の有機酸と、b.(i)C4〜C12の線状のアルキル鎖長及び少なくとも4オングストロームの合計先端基寸法;並びに/又は(ii)C4〜C12の分枝したアルキル鎖長;並びに/又は(iii)C4〜C12の分枝したアルキル鎖長及び少なくとも4オングストロームの合計先端基寸法を有する、0.1%〜40%のアニオン性界面活性剤混合物とを含む有効量の抗菌組成物を投与する工程を含むことを特徴とし、前記組成物が2.0〜4.5のpHであることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記アニオン性界面活性剤が、アルキルグリセリルスルホネート、α−スルホ脂肪酸、アルキルホスホネート、分枝アルキルスルホネート及び分枝アルキルベンゼンスルホネート、二級アルキルスルフェート、アルキルスルホコハク酸のモノエステル、アルキルイセチオネート、アルキルアミドスルホネート、並びにこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アニオン性界面活性剤が、スルホネート、スルフェート又はホスホネート基で置換されていることをさらに特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記有機酸が、ピログルタミン酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコノラクトン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリコール酸、酒石酸、アスコルビン酸及びこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする、請求項1〜3に記載の方法。
【請求項5】
前記抗菌組成物が、非イオン性剤を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記非イオン性剤が、1−(2−エチルヘキシル)グリセロールエーテル、オクチルグリセロールエーテル、2−(2−エチルヘキシルキソキシ)プロパノール(2-(2-ethylhexylxoxy)propanol)、オクチルオキシ−プロパノール、1−(2−エチルヘキシルオキシ)エタノール、オクチルオキシエタノール、1,2−ヘキシレンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、イソプロピルグリセロールエーテル及びこれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記非イオン性剤が、組成物全体の0.1重量%〜10重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記細菌感染が、酵母、カビ、細菌又はウィルスのうち少なくとも1つに起因することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記酵母が、カンジタ菌株に由来することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記細菌が、グラム陰性又はグラム陽性のいずれかであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
機器の消毒方法であって、a.0.2%〜70%の有機酸と、b.i.C4〜C12の線状のアルキル鎖長及び少なくとも4オングストロームの合計先端基寸法;及び/又はii.C4〜C12の分枝したアルキル鎖長;及び/又はiii.C4〜C12の分枝したアルキル鎖長及び少なくとも4オングストロームの合計先端基寸法を有する、0.1%〜40%のアニオン性界面活性剤混合物とを含む有効量の抗菌組成物で機器を処理することを含むことを特徴とし、前記組成物が2.0〜4.5のpHであることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記抗菌組成物が、洗浄液、スプレー、浸漬溶液又は拭き取り用品として適用されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
医療用具内で発生する感染の予防を必要とする患者における、医療用具内で発生する感染の予防方法であって、前記方法が、a.0.2%〜70%の有機酸と、b.i.C4〜C12の線状のアルキル鎖長及び少なくとも4オングストロームの合計先端基寸法;並びに/又はii.C4〜C12の分枝したアルキル鎖長;並びに/又はiii.C4〜C12の分枝したアルキル鎖長及び少なくとも4オングストロームの合計先端基寸法を有する、0.1%〜40%のアニオン性界面活性剤混合物とを含む有効量の抗菌組成物で前記機器を消毒することを含むことを特徴とし、前記組成物が2.0〜4.5のpHであることを特徴とする方法。

【公表番号】特表2007−534701(P2007−534701A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509738(P2007−509738)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/014279
【国際公開番号】WO2005/105070
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】