説明

治療組成物および方法

本発明は、新規化合物、その発見方法、およびその治療用途に関する。特に、本発明は、ベンゾジアゼピン誘導体ならびに構造的および機能的関連化合物、ならびにベンゾジアゼピン誘導体および関連化合物を多くの状態を治療するための治療薬として使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体が参照により本明細書に組み入れられる、2005年10月26日に出願された米国特許仮出願第60/730,711号に対し優先権を主張する。
【0002】
本発明は、国立衛生研究所により与えられた助成金AI47450の下、政府支援によりなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【0003】
発明の分野
本発明は新規化合物、その発見方法、およびその治療用途に関する。特に、本発明はベンゾジアゼピン誘導体ならびに構造的および機能的関連化合物ならびにベンゾジアゼピン誘導体および関連化合物を多くの状態を治療するための治療薬として使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
多細胞生物は細胞数を正確に制御する。細胞増殖と細胞死との間の均衡がこの恒常性を達成する。細胞死はほとんど全ての型の脊椎動物細胞において壊死を介して、またはアポトーシスとして公知の細胞死の自殺形態により起こる。アポトーシスは、共通の遺伝的にプログラムされた死メカニズムに関与する様々な細胞外および細胞内シグナルにより誘発される。
【0005】
多細胞生物は損傷した、または必要ない細胞に、生物のためにそれ自体を破壊するように指示するためにアポトーシスを使用する。そのため、アポトーシス過程の制御は正常な発達、例えば、指の胎生期発達に対して非常に重要であり、つま先はアポトーシスにより過剰の相互連結組織の制御された除去を要求し、脳内での神経シナプスの形成がそうである。同様に、制御されたアポトーシスは月経開始時の子宮内壁(子宮内膜)が剥がれ落ちるのに関与する。アポトーシスは組織スカルプティングおよび正常な細胞維持において重要な役割を果たすが、アポトーシスはまた、生物の健康を脅かす細胞および侵入者(例えば、ウイルス)に対する一次防御となる。
【0006】
予想通り、多くの疾患は細胞死過程の異常調節と関連する。実験モデルは、異常なアポトーシス調節と様々な腫瘍性、自己免疫およびウイルス疾患の病原性との間の因果関係を確立した。例えば、細胞媒介免疫応答では、エフェクター細胞(例えば、細胞傷害性Tリンパ球“CTL”)はウイルス感染細胞を、アポトーシスを受けるように誘導することにより感染細胞を破壊する。生物はその後、アポトーシス過程に依存し、エフェクター細胞がもはや必要無い場合、それらの細胞を破壊させる。自己免疫は通常、互いに、およびそれ自体にアポトーシスを誘導するCTLにより阻止される。この過程の欠陥が、紅斑性狼瘡および関節リウマチなどの様々な自己免疫疾患と関連する。
【0007】
多細胞生物はまた、損傷した核酸(例えば、DNA)を有する細胞を、癌化する前にそれ自体を破壊するように指示するアポトーシスを使用する。いくつかの発癌性ウイルスが、感染(形質転換)細胞を再プログラミングし、正常なアポトーシス過程を中止させることによりこの防護手段を乗り越える。例えば、いくつかのヒトパピローマウイルス(HPV)は、p53アポトーシスプロモータを不活性化するタンパク質(E6)を産生することにより、形質転換細胞のアポトーシス除去を抑制することにより子宮頸癌を誘発することに関与している。同様に、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、単核球症およびバーキットリンパ腫の原因病原体は感染細胞を再プログラムし、異常細胞の正常なアポトーシス除去を阻止するタンパク質を産生させ、このため、癌細胞が増殖し、生物全体に広がることができる。
【0008】
さらに別のウイルスは、直接癌の発現には至らずに、細胞アポトーシス機構を破壊的に操作する。例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)を感染させた個体における免疫系の破壊は、非感染姉妹細胞にアポトーシスを受けるように指示する感染CD4+T細胞(100,000中約1)を介して進行すると考えられる。
【0009】
非ウイルス手段により生じるいくつかの癌はまた、アポトーシスによる破壊を免れる機構を発達させている。例えば、メラノーマ細胞は、Apaf-1をコードする遺伝子の発現を阻害することによりアポトーシスを回避する。他の癌細胞、とりわけ肺および結腸癌細胞は、異常細胞のCTL媒介クリアランスの開始を阻止する高レベルの可溶性デコイ分子を分泌する。アポトーシス機構の調節不全はまた、様々な変性状態および血管疾患に関与する。
【0010】
アポトーシス過程およびその細胞機構の制御された調節は、多細胞生物の生存にとって不可欠であることは明らかである。典型的には、アポトーシスを受けるように指示された細胞内で起こる生物化学変化が、順序だった進行において起こる。しかしながら、上記のように、アポトーシスの欠陥のある調節は生物において重篤な有害効果を引き起こすことができる。
【0011】
異常細胞(例えば、癌細胞)におけるアポトーシス機構の調節を制御し、および回復させる様々な試みが存在している。例えば、異常細胞が増殖する前にそれらを破壊する細胞傷害性薬物を開発するために多くの研究がなされてきた。そのようなものとして、細胞傷害性薬物はヒトおよび動物の健康の両方において有用性を広げており、ほとんど全ての型の癌および紅斑性狼瘡および関節リウマチのような過剰増殖性自己免疫疾患に対する治療の第一線を示す。
【0012】
臨床用途における多くの細胞傷害性薬物は、DNAを損傷する(例えば、シス-ジアミノジクロプラタニム(II)はDNAに架橋し、一方ブレオマイシンは鎖の切断を誘発する)ことにより効果を示す。この核損傷の結果は、p53系のような細胞因子により認識されると、アポトーシスカスケードを開始させ、損傷細胞の死に至る。
【0013】
しかしながら、現存の細胞傷害性化学療法薬は重大な欠点を有する。例えば、多くの公知の細胞傷害性薬物は健康細胞と異常細胞との間で区別がほとんどできない。この特異性の欠如によりしばしば、有効性を制限し、および/または早死に至る場合がある重篤な副作用が起こる。さらに、多くの現存の細胞傷害性薬物の長期にわたる投与により耐性遺伝子の発現が起こり(例えば、bcl-2ファミリーまたは多剤耐性(MDR)タンパク質)、さらに投与の効果が低くなり、または無用なものとなる。いくつかの細胞傷害性薬物はp53および関連タンパク質に突然変異を誘発する。これらのことを考慮すると、理想的な細胞傷害性薬物は、異常細胞のみを殺し、化学耐性の影響を受けにくいものであるべきである。
【0014】
異常細胞を選択的に殺し、またはそれらの増殖をブロックする1つの戦略は、異常細胞において発現される分子を選択的に認識する薬物の開発である。このように、効果的な細胞傷害性化学療法薬は、疾患表示分子を認識し、異常細胞の死を(例えば、直接または間接的に)誘導する。いくつかの型の癌細胞のマーカーが、同定され、治療抗体および小分子により標的とされるが、診断および治療開発のための独特の形質がほとんどの癌に対し公知となっていない。さらに、狼瘡のような疾患では、薬物開発のための特異的な分子標的が同定されていない。
【0015】
必要なことは、これらの過程の調節不全により特徴づけられる疾患および状態(例えば、ウイルス感染、過剰増殖性自己免疫疾患、慢性炎症状態、および癌)で苦しむ被験体においてアポトーシス過程を調節するための改善された組成物および方法である。
【発明の開示】
【0016】
概要
本発明は、ヒトおよび動物における多くの疾患および状態の治療において使用される、および研究、化合物スクリーニング、研究用途、および診断用途において使用される新規化合物を提供する。本発明はまた、特別な生物応答を引き出す、これらの新規化合物の使用、ならびに公知の化合物(例えば、特別な標的分子へ結合する、および/または特別な細胞的事象を引き起こす化合物)の使用を提供する。そのような化合物および使用を、本出願全体で記載し、組成物および用途の多様な収集を示す。
【0017】
ある好ましい組成物および使用を下記で記載する。本発明はこれらの特別な組成物および使用に限定されない。本発明は本出願全体で記載されるように多くの有用な組成物を提供する。
【0018】
本発明のある態様は、ベンゾジアゼピンに、ベンゾジアゼピン環の第3炭素位と関連する不斉中心を欠如させる化学部分を有するベンゾジアゼピン化合物を含む組成物を含む。
【0019】
本発明のある態様は、ベンゾジアゼピンに、ベンゾジアゼピン環の第3炭素位と関連する不斉中心を欠如させる化学部分を有するベンゾジアゼピン化合物を含む組成物を含む。いくつかの態様では、組成物は下記式を有し:

RおよびS鏡像体の両方ならびにラセミ混合物が含まれる。
【0020】
いくつかの態様では、A----Bは、N-CH2およびC=Nからなる群より選択される。
【0021】
いくつかの態様では、R5はリンカー基であり、かつ存在するか、または存在しない。
【0022】
いくつかの態様では、R1はOHの同配体である。いくつかの態様では、R1は、水素;ハロゲン;OH;アリールサブ基(subgroup)を含む化学部分;置換アリールサブ基を含む化学部分;環状脂肪族サブ基を含む化学部分;置換環状脂肪族サブ基を含む化学部分;複素環サブ基を含む化学部分;置換複素環サブ基を含む化学部分;少なくとも1つのエステルサブ基を含む化学部分;少なくとも1つのエーテルサブ基を含む化学部分;直鎖または分枝、飽和または不飽和、置換または非置換の少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;硫黄を含む化学部分;窒素を含む化学部分;および-OR-からなる群より選択され、ここで、Rは、アリールサブ基を含む化学部分;置換アリールサブ基を含む化学部分;環状脂肪族サブ基を含む化学部分;置換環状脂肪族サブ基を含む化学部分;複素環サブ基を含む化学部分;置換複素環サブ基を含む化学部分;直鎖または分枝、飽和または不飽和、置換または非置換の少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;少なくとも1つのエステルサブ基を含む化学部分;少なくとも1つのエーテルサブ基を含む化学部分;硫黄を含む化学部分;窒素を含む化学部分からなる群より選択される。
【0023】
いくつかの態様では、R1は下記からなる群より選択され:


式中、R1’は、ハロゲン;アルキル;置換アルキル;アリール;置換アリール;アミノ;カルボニル;スルホン;スルホンアミド;エーテル;OH;硫黄を含む化学部分;窒素を含む化学部分;CH3;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも1つの炭素を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのヒドロキシサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのチオールサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、アルデヒドサブ基で終わる脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのケトンサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、カルボン酸サブ基で終わる脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのアミドサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのアシル基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つの窒素含有部分を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのアミンサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのエーテルサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのハロゲンサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのニトロニウムサブ基を有する脂肪族鎖からなる群より選択される。
【0024】
いくつかの態様では、R2は、アリールサブ基を含む化学部分;置換アリールサブ基を含む化学部分;環状脂肪族サブ基を含む化学部分;置換環状脂肪族サブ基を含む化学部分;複素環サブ基を含む化学部分;置換複素環サブ基を含む化学部分;硫黄を含む化学部分;および窒素を含む化学部分からなる群より選択される。いくつかの態様では、R2はベンゼンより大きい環状基であり、ここでベンゼンより大きいということは、7個またはそれ以上の水素でない原子を含む任意の化学基を含む。
【0025】
いくつかの態様では、R2は、ナフタレン;フェノール;1-ナフタレノール;2-ナフタレノール;




キノリン、および全ての芳香族位置異性体からなる群より選択される。
【0026】
いくつかの態様では、R3はOHの同配体である。いくつかの態様では、R3は、水素;ハロゲン;OH;少なくとも1つのエステルサブ基を含む化学部分;少なくとも1つのエーテルサブ基を含む化学部分;直鎖または分枝、飽和または不飽和、置換または非置換の少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;硫黄を含む化学部分;窒素を含む化学部分;および-OR-からなる群より選択され、ここで、Rは、アリールサブ基を含む化学部分;置換アリールサブ基を含む化学部分;環状脂肪族サブ基を含む化学部分;置換環状脂肪族サブ基を含む化学部分;複素環サブ基を含む化学部分;置換複素環サブ基を含む化学部分;直鎖または分枝、飽和または不飽和、置換または非置換の少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;少なくとも1つのエステルサブ基を含む化学部分;少なくとも1つのエーテルサブ基を含む化学部分;硫黄を含む化学部分;窒素を含む化学部分からなる群より選択される。
【0027】
いくつかの態様では、R3は、アルキル;モノ置換アルキル;ジ置換アルキル;トリ置換アルキル;(CH2)n、式中n=1〜6;CN;N3;CNO;NH2;SH;CF3;OCH3;NCH2CH(CH2)N(CH3)2;NCH2CHCH2N(CH3)2;フェニル;2-ピリジル;3-ピリジル;4-ピリジル;NCH3;NCONHCH3;CH2OH;NHCONH2;NHCOCH3;NHSO2CH3;NHCN;NHCHO;SOCH3;SO2CH3;CHNOH;CHNOCH3;SCH3;CH2CO;CH2SO2;CONH;CH2C(NOH);CH2C(NOMe);NHSO2PH;NHCS;CH2NHCO;COCH2;NHCO2;およびNHCOSからなる群より選択される。いくつかの態様では、R3は、例えば、参照により全体が本明細書に組み入れられるPatani, G. and LaVoie, E.J., 1996, Chem. Rev. 96:3147-3176において記載されている同配体のいずれかにより説明される。
【0028】
いくつかの態様では、R3は、ベンゾジアゼピン構造の6、7炭素位、ベンゾジアゼピン構造の7、8炭素位、またはベンゾジアゼピン構造の8、9炭素位で結合された環状構造である。いくつかの態様では、環状構造は、アリールサブ基を含む化学部分;置換アリールサブ基を含む化学部分;環状脂肪族サブ基を含む化学部分;置換環状脂肪族サブ基を含む化学部分;複素環サブ基を含む化学部分;置換複素環サブ基を含む化学部分;硫黄を含む化学部分;酸素を含む化学部分;および窒素を含む化学部分からなる群より選択される。
【0029】
いくつかの態様では、R1およびR3の少なくとも1つは、水素結合に関与する化学部分である。いくつかの態様では、水素結合に関与する化学部分と3次元空間のR2基との間の距離は、例えば、わずか約12オングストロームだけしか違わない。
【0030】
いくつかの態様では、R4は、ベンゾジアゼピンに不斉中心を欠如させる化学部分である。いくつかの態様では、R4は水素、

であり、ここで、R4’は、直鎖または分枝、飽和または不飽和、置換または非置換の少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖である。
【0031】
いくつかの態様では、組成物は下記化学式を含む。

【0032】
いくつかの態様では、組成物は下記からなる群より選択される式を含む。

【0033】
いくつかの態様では、構造は

であり;式中、R4''は1〜6個の炭素であり、そのいずれか1つは置換されるか、または非置換である。置換炭素としては、OH;ハロゲン;CH3;直鎖または分枝、環状または非環状、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;ハロゲンを含む化学部分;硫黄を含む化学部分;窒素を含む化学部分;芳香族化学部分;親水性化学部分;および疎水性化学部分で置換されたものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0034】
いくつかの態様では、化合物は下記からなる群より選択される。


【0035】
いくつかの態様では、化合物は下記からなる群より選択される。

【0036】
ある態様では、本発明は、細胞を本発明の組成物を用いて処理する方法を提供する。そのような方法は、研究、薬物スクリーニング、および治療用途で使用される。いくつかの態様では、処理は、標的細胞での細胞増殖停止の誘発、標的細胞での細胞死の誘発、および標的細胞での細胞アポトーシスの誘発からなる群より選択される。いくつかの態様では、標的細胞は、例えば、自己免疫疾患、過剰増殖障害、表皮過形成障害、色素異常障害、心血管障害、および/またはウイルス障害を有する被験体中に存在する。
【0037】
いくつかの態様では、標的細胞はインビトロ細胞、インビボ細胞、およびエクスビボ細胞からなる群より選択される。別の好ましい態様では、標的細胞は癌細胞である。さらに別の態様では、標的細胞はB細胞、T細胞および顆粒球からなる群より選択される。
【0038】
ある態様では、本発明は、下記群より選択される薬剤を含む薬学的組成物を提供する:リスベラトロール、ピセタノール、エストロゲン、ランソプラゾール;および本発明で記載されるベンゾジアゼピン誘導体または構造的および機能的関連化合物。
【0039】
ある態様では、本発明は、本発明で記載されるベンゾジアゼピン誘導体または構造的および機能的関連化合物を含む組成物を含む薬学的組成物を提供する。
【0040】
本発明の開発中に実施された実験により、ウイルス感染、過剰増殖性自己免疫疾患、慢性炎症状態、および癌を含むが、それらに限定されない、多くの状態に関連する様々な細胞過程を調節する際に使用される一連の化合物が、同定された。いくつかの態様では、化合物はベンゾジアゼピンであった。いくつかの態様では、化合物はベンゾジアゼピンとした。いくつかの態様では、本発明のベンゾジアゼピンと同様の3次元構造類似性(例えば、空間における官能基の同様の提示)を有する化合物もまた、本発明の方法で機能することが見出された。このように、本発明は、本発明の方法において使用される特別な構造および機能特性を有する幅広いクラスの化合物を提供する。
【0041】
定義
本発明の理解を容易にするために、多くの用語および句を下記で規定する。
【0042】
本明細書で使用されるように、「ベンゾジアゼピン」という用語は、フェニル環に縮合された7員の非芳香族複素環を示し、ここで、7員環は複素環の一部として2つの窒素原子を有する。いくつかの局面では、下記一般構造で示されるように、2つの窒素原子は1および4位または1および5位に存在する。

【0043】
「ベンゼンより大きい」という用語は、7個またはそれ以上の非水素原子を含む任意の化学基を示す。
【0044】
本明細書で使用されるように、「同配体」という用語は、同じ数の価電子を同じ配列で有する結果として同様の特性を示し、および、異なる原子から構成され、必ずしも同じ数の原子から構成されない2つまたはそれ以上の物質の1つを示す。
【0045】
「化学部分」という用語は、少なくとも1つの炭素原子を含む任意の化合物を示す。化学部分の例としては、芳香族化学部分、硫黄を含む化学部分、窒素を含む化学部分、親水性化学部分、および疎水性化学部分が挙げられるが、それらに限定されない。
【0046】
本明細書で使用されるように、「脂肪族」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、環状脂肪族を含むが、それらに限定されない基を示す。
【0047】
本明細書で使用されるように、「アリール」という用語は、フェニル環などの単一芳香族環、または2つもしくはそれ以上の芳香族環(例えば、ビスフェニル、ナフタレン、アントラセン)、または芳香族環と1つもしくは複数の非芳香族環を示す。アリール環は低級脂肪族基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、または環状脂肪族)により置換されてもよい。さらに、脂肪族およびアリール基は、さらに、-NH2、-NHCOCH3、-OH、低級アルコキシ(C1-C4)、ハロ(-F、-Cl、-Br、または-I)を含むがそれらに限定されない1つまたは複数の官能基により置換させることができる。
【0048】
本明細書で使用されるように、「置換脂肪族」という用語は、脂肪族水素原子の少なくとも1つが、例えば、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、ニトロ、チオ、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、低級脂肪族、置換低級脂肪族、または環(アリール、置換アリール、環状脂肪族、または置換環状脂肪族、など)により置換されている、アルカン、アルケン、アルキン、または環状脂肪族部分を示す。そのようなものの例としては、1-クロロエチルなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0049】
本明細書で使用されるように、「置換アリール」という用語は、環炭素上の水素原子の少なくとも1つが、例えば、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、ニトロ、チオ、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、低級脂肪族、置換低級脂肪族、または環(アリール、置換アリール、環状脂肪族、または置換環状脂肪族)により置換されている、芳香族環または少なくとも1つの芳香族環から構成される縮合芳香族環構造を示す。そのようなものの例としては、ヒドロキシフェニルなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0050】
本明細書で使用されるように、「環状脂肪族」という用語は、縮合環構造を含む脂肪族構造を示す。そのようなものの例としては、デカリンなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0051】
本明細書で使用されるように、「置換環状脂肪族」という用語は、脂肪族水素原子の少なくとも1つがハロゲン、ニトロ、チオ、アミノ、ヒドロキシ、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、低級脂肪族、置換低級脂肪族、または環(アリール、置換アリール、環状脂肪族、または置換環状脂肪族)により置換されている、環状脂肪族構造を示す。そのようなものの例としては、1-クロロデカリル、ビシクロ-ヘプタン、オクタン、およびノナン(例えば、ノルボルニル)などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0052】
本明細書で使用されるように、「複素環」という用語は、例えば、1つまたは複数のヘテロ原子を含む芳香族または非芳香族環を示す。ヘテロ原子は、互いに同じかまたは異なるものとすることができる。ヘテロ原子の例としては、窒素、酸素および硫黄が挙げられるが、それらに限定されない。芳香族および非芳香族複素環は、当技術分野において周知である。芳香族複素環のいくつかの非制限的例としては、ピリジン、ピリミジン、インドール、プリン、キノリンおよびイソキノリンが挙げられる。非芳香族複素環化合物の非制限的例としては、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロリジンおよびピラゾリジンが挙げられる。酸素含有複素環の例としては、フラン、オキシラン、2H-ピラン、4H-ピラン、2H-クロメン、およびベンゾフランが挙げられるが、それらに限定されない。硫黄含有複素環の例としては、チオフェン、ベンゾチオフェン、およびパラチアジンが挙げられるが、それらに限定されない。窒素含有複素環の例としては、ピロール、ピロジリン、ピラゾール、ピラゾリジン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピリジン、ピペリジン、プラジン、ピペラジン、ピリミジン、インドール、プリン、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、トリアゾール、およびトリアジンが挙げられるが、それらに限定されない。2つの異なるヘテロ原子を含む複素環の例としては、フェノチアジン、モルホリン、パラチアジン、オキサジン、オキサゾール、チアジン、およびチアゾールが挙げられるが、それらに限定されない。複素環は、脂肪族、ニトロ、アセチル(すなわち、-C(=O)-CH3)、またはアリール基から選択される1つまたは複数の基によりさらに置換されてもよい。
【0053】
本明細書で使用されるように、「置換複素環」という用語は、環炭素原子の少なくとも1つが酸素、窒素または硫黄により置換され、脂肪族水素原子の少なくとも1つがハロゲン、ヒドロキシ、チオ、ニトロ、アミノ、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、低級脂肪族、置換低級脂肪族、または環(アリール、置換アリール、環状脂肪族、または置換環状脂肪族)により置換されている、複素環構造を示す。そのようなものの例としては、2-クロロピラニルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0054】
本明細書で使用されるように、「リンカー」という用語は、2つの異なる構造部分を結合する8個までの隣接する原子を含む鎖を示し、ここで、そのような原子は、例えば、炭素、窒素、酸素、または硫黄である。エチレングリコールは1つの非制限的な例である。
【0055】
本明細書で使用されるように、「低級アルキル置換アミノ」という用語は、8個までの炭素原子を含み、脂肪族水素原子の1つがアミノ基により置換されている、任意のアルキルユニットを示す。そのようなものの例としては、エチルアミノなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0056】
本明細書で使用されるように、「低級アルキル置換ハロゲン」という用語は、8個までの炭素原子を含み、脂肪族水素原子の1つがハロゲンにより置換されている、任意のアルキルユニットを示す。そのようなものの例としては、クロロエチルなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0057】
本明細書で使用されるように、「アセチルアミノ」という用語は、アセチル化された任意の一級または二級アミノを意味する。そのようなものの例としては、アセトアミドなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0058】
本明細書で使用されるように、「水素結合に関与する部分」または「水素結合に関与する化学部分」という用語は、プロトンを受容または供与し、これにより水素結合が形成される基を示す。水素結合に関与する部分のいくつかの具体的な非制限的な例としては、当技術分野で周知の、フルオロ、酸素含有および窒素含有基が挙げられる。水素結合に関与する酸素含有基のいくつかの例としては下記が挙げられる:ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級カルボニル、低級カルボキシル、低級エーテルおよびフェノール基。本明細書で使用されるように「低級」という修飾語句は、個々の酸素含有官能基が結合される低級脂肪族基(C1〜C4)を示す。このように、例えば、「低級カルボニル」という用語は、とりわけ、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドを示す。水素結合形成に関与する窒素含有基のいくつかの非制限的な例としては、アミノおよびアミド基が挙げられる。さらに、酸素および窒素原子の両方を含む基もまた、水素結合形成に関与することができる。そのような基の例としては、ニトロ、N-ヒドロキシおよび亜硝酸基が挙げられる。本発明における水素結合受容体は、芳香族環のπ電子とすることもできる。
【0059】
本明細書で使用されるように、化合物の「誘導体」という用語は、化学的に修飾された化合物を示し、ここで、化学修飾は、化合物の官能基(例えば、芳香族環)またはベンゾジアゼピンバックボーンのいずれかで起こる。そのような誘導体としては、アルコール含有化合物のエステル、カルボキシ含有化合物のエステル、アミノ含有化合物のアミド、カルボキシ含有化合物のアミド、アミノ含有化合物のイミン、アルデヒド含有化合物のアセタール、カルボニル含有化合物のケタールなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0060】
本明細書で使用されるように、「被験体」という用語は、本発明の方法により処置される生物を示す。そのような生物としては、哺乳類(例えば、マウス、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなど)が挙げられるが、それらに限定されず、最も好ましくはヒトを含む。本発明との関連で、「被験体」という用語は、一般に、アポトーシス過程の異常調節により特徴づけられる状態に対する治療(例えば、本発明の化合物および任意で1つまたは複数の薬剤の投与)をこれから受けるか、またはすでに受けた個体を示す。
【0061】
本明細書で使用されるように、「診断された」という用語は、その兆候および症状(例えば、従来の療法に対する抵抗性)、または遺伝子解析、病理解析、組織学的解析、などによる疾患の認識を示す。
【0062】
本明細書で使用されるように、「抗癌剤」または「従来の抗癌剤」という用語は、癌の治療で使用される、任意の化学療法化合物、放射線療法、または外科的処置を示す。
【0063】
本明細書で使用されるように、「インビトロ」という用語は、人工環境および人工環境内で起こる過程または反応を示す。インビトロ環境としては、試験管および細胞培養物が挙げられるが、それらに限定されない。「インビボ」という用語は、自然環境(例えば、動物または細胞)および自然環境内で起こる過程または反応を示す。
【0064】
本明細書で使用されるように、「宿主細胞」という用語は、インビトロまたはインビボにあるかどうかに関係なく、任意の真核または原核細胞(例えば、哺乳類細胞、トリ細胞、両生類細胞、植物細胞、魚細胞、および昆虫細胞)を示す。
【0065】
本明細書で使用されるように、「細胞培養」という用語は、任意のインビトロ細胞培養を示す。この用語には、連続細胞系(例えば、不死の表現型を有する)、初代細胞培養物、有限細胞系(例えば、非形質転換細胞)、ならびに卵母細胞および胚を含む、インビトロで維持された任意の他の細胞群が含まれる。
【0066】
いくつかの態様では、本発明の組成物および方法の「標的細胞」は、リンパ球細胞または癌細胞を含み、示すが、それらに限定されない。リンパ球細胞は、B細胞、T細胞、および顆粒球を含む。顆粒球は、好酸球およびマクロファージを含む。いくつかの態様では、標的細胞は、患者生検から得られた、連続して培養された細胞または無培養細胞である。
【0067】
癌細胞は、腫瘍細胞、新生物細胞、悪性細胞、転移細胞、および過形成細胞を含む。新生物細胞は良性または悪性であることができる。新生物細胞は、浸潤せず、転移しなければ、良性である。悪性細胞は、浸潤し、および/または転移することができるものである。過形成は、組織または器官における病的な蓄積であり、構造または機能に有意の変化はない。
【0068】
1つの具体的な態様では、標的細胞は病的成長または増殖を示す。本明細書で使用されるように、「病的に増殖し、または成長する細胞」という用語は、正常な成長の通常の制限により支配されない動物における増殖細胞の局在集合を示す。
【0069】
本明細書で使用されるように、「非活性化標的細胞」という用語は、G0期にある細胞または刺激が適用されていない細胞のいずれかを示す。
【0070】
本明細書で使用されるように、「活性化標的リンパ球細胞」という用語は、シグナル伝達カスケードを引き起こす適当な刺激により刺激されたリンパ球細胞、またはG0期にないリンパ球細胞を示す。活性化されたリンパ球細胞は、増殖し、活性化誘発性細胞死を受け、または1つもしくは複数の細胞毒、サイトカイン、および細胞型(例えば、CD8+またはCD4+)に特徴的な他の関連膜結合タンパク質を産生する場合がある。これらはまた、表面に特別な抗原を表示する任意の標的細胞を認識し、結合し、その後、エフェクター分子を放出することができる。
【0071】
本明細書で使用されるように、「活性化癌細胞」という用語は、シグナル伝達を引き起こす適当な刺激で刺激された癌細胞を示す。活性化癌細胞は、G0期にあっても、なくてもよい。
【0072】
活性化剤は、標的細胞と相互作用すると、シグナル伝達カスケードを引き起こす刺激である。活性化刺激の例としては、小分子、放射エネルギー、および細胞活性化細胞表面受容体に結合する分子が挙げられるが、それらに限定されない。活性化刺激により誘発される応答は、とりわけ、細胞内Ca2+、スーパーオキシド、またはヒドロキシルラジカルレベル;キナーゼまたはホスファターゼのような酵素の活性;または細胞のエネルギー状態の変化により特徴づけることができる。癌細胞では、活性化剤はまた、トランスフォーミング癌遺伝子を含む。
【0073】
T細胞リガンドの例としては、MHC分子に結合するペプチド、ペプチドMHC複合体、またはT細胞受容体の構成要素を認識する抗体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0074】
B細胞リガンドの例としては、B細胞受容体の構成要素に結合し、またはそれを認識する分子または抗体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0075】
細胞ストレスを増強させる媒介物または条件の例としては、熱、放射線、酸化ストレス、または増殖因子離脱、などが挙げられるが、それらに限定されない。成長因子の例としては、血清、IL-2、血小板由来増殖因子(“PDGF”)、などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0076】
本明細書で使用されるように、「有効量」いう用語は、有益なまたは所望の結果を達成するのに十分な化合物(例えば、本発明の化合物)の量を示す。有効量は、1回または複数回の投与、適用または服用で投与することができ、特別な製剤または投与経路に限定されると、限定的に意図されるものではない。
【0077】
本明細書で使用されるように、「細胞死の過程の異常調節」いう用語は、壊死またはアポトーシスのいずれかによる細胞死を受ける細胞の能力(例えば、素因)における任意の異常を示す。細胞死の異常調節は、様々な状態に関連し、またはそれらにより誘発され、例えば、自己免疫疾患(全身性紅斑狼瘡、関節リウマチ、移植片対宿主病、重症筋無力症、シェーグレン症候群、など)、慢性炎症状態(例えば、乾癬、喘息およびクローン病)、過剰増殖疾患(例えば、腫瘍、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、など)、ウイルス感染(例えば、ヘルペス、パピローマ、HIV)、ならびに骨関節炎およびアテローム性動脈硬化などの他の状態が挙げられる。
【0078】
異常調節がウイルス感染により誘発されるか、またはそれと関連する場合、異常調節が起こった、または観察された時点で、ウイルス感染が検出される可能性があるか、またはないことに留意すべきである。すなわち、ウイルス誘発異常調節は、ウイルス感染の症状が消えた後でさえ起こる可能性がある。
【0079】
本明細書で使用されるように、「過剰増殖性疾患」は、動物における増殖細胞の局在集団が正常な増殖の通常の制限により制限されない任意の状態を示す。過剰増殖性疾患の例としては、腫瘍、新生物、リンパ腫などが挙げられる。新生物は、浸潤または転移しけなければ良性、どちらかであれば悪性と言われる。転移細胞または組織は、細胞が隣接する身体構造に浸潤し、破壊することができることを意味する。過形成は、組織または器官における細胞数の増加が関係する、構造または機能に有意の変化がない、細胞増殖形態である。異形成は、1つの型の完全に分化した細胞が、別の型の分化細胞にとって代わる制御された細胞増殖の形態である。異形成は、上皮または結合組織細胞で起こることができる。典型的な異形成は、幾分無秩序な異形成上皮を含む。
【0080】
活性化リンパ球細胞の病的増殖は、しばしば、自己免疫疾患または慢性炎症状態を引き起こす。本明細書で使用されるように、「自己免疫疾患」は、生物が生物自体の分子、細胞または組織を認識する抗体または免疫細胞を産生する任意の状態を示す。自己免疫疾患の非制限的例としては、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、ベルジェ病またはIgA腎症、セリアックスプルー、慢性疲労症候群、クローン病、皮膚筋炎、線維筋痛症、移植片対宿主病、グレーブス病、橋本甲状腺炎、突発性血小板血症、扁平苔癬、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、リウマチ熱、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、全身性紅斑狼瘡、I型糖尿病、潰瘍性大腸炎、白斑、結核などが挙げられる。
【0081】
本明細書で使用されるように、「慢性炎症状態」という用語は、生物の免疫細胞が活性化される状態を示す。そのような状態は病的続発症を伴う持続炎症応答により特徴付けられる。この状態は、単核細胞の浸潤、線維芽細胞および小血管の増殖、結合組織の増加、および組織破壊により特徴づけられる。慢性炎症疾患の例としては、クローン病、慢性閉塞性肺疾患、炎症性腸疾患、多発性硬化症、および喘息が挙げられるが、それらに限定されない。関節リウマチおよび全身性紅斑狼瘡などの自己免疫疾患はまた、慢性炎症状態を引き起こすことがある。
【0082】
本明細書で使用されるように、「同時投与」という用語は、被験体への少なくとも2つの薬剤(例えば、本発明の化合物)または療法の投与を示す。いくつかの態様では、2つまたはそれ以上の薬剤/療法の同時投与は同時に行われる。他の態様では、第1の薬剤/療法は、第2の薬剤/療法前に投与される。当業者であれば、使用する様々な薬剤/療法の製剤および/または投与経路は、変動する場合があることを理解する。同時投与のための適当な用量は当業者により容易に決定することができる。いくつかの態様では、薬剤/療法が同時投与される場合、個々の薬剤/療法は、それらの単独投与に適した用量より低い用量で投与される。このように、同時投与は、薬剤/療法の同時投与により、公知の潜在的に有害な(例えば、毒性の)薬剤の必要な用量が低下する態様ではとりわけ望ましい。
【0083】
本明細書で使用されるように、「毒性」という用語は、毒物の投与前の細胞または組織と比較した場合の、同じ細胞または組織への任意の不利な、または有害な効果を示す。
【0084】
本明細書で使用されるように、「薬学的組成物」という用語は、とりわけインビボ、インビボまたはエクスビボでの診断または治療用途に適するようにする、不活性または活性である、担体と活性薬剤との組み合わせを示す。
【0085】
本明細書で使用されるように、「薬学的に許容される担体」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水、水、エマルジョン(例えば、油/水または水/油エマルジョンなど)、および様々な型の湿潤剤などの、標準の薬学的担体のいずれかを示す。組成物はまた、安定化剤および保存剤を含むことができる。担体の例では、安定化剤およびアジュバント(例えば、Martin, Remington's Pharmaceutical Sciences, 15th Ed., Mack Publ. Co., Easton, PA[1975]を参照されたい)。
【0086】
本明細書で使用されるように、「薬学的に許容される塩」という用語は、被験体に投与されると、本発明の化合物またはその活性代謝産物もしくは残渣を提供することができる本発明の化合物の任意の薬学的に許容される塩(例えば、酸または塩基)を示す。当業者には公知のように、本発明の化合物の「塩」は無機または有機の酸および塩基に由来してもよい。酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、などが挙げられるが、それらに限定されない。シュウ酸などの他の酸は、それ自体は薬学的に許容されないが、本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される酸付加塩を得る際に中間体として有用な塩の調製において使用してもよい。
【0087】
塩基の例としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)水酸化物、アンモニア、および式NW4+の化合物などが挙げられるが、それらに限定されず、ここで、WはC1〜4アルキルなどである。
【0088】
塩の例としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:アセテート、アジペート、アルギネート、アスパルテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、ビスルフェート、ブチラート、シトレート、カンフォレート、カンフォスルホネート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルフェート、エタンスルホネート、フマレート、フルコヘプタノエート、グリセロホスフェート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロイオダイド、2-ヒドロキシエタンスルホネート、ラクテート、マレアート、メタンスルホネート、2-ナフタレンスルホネート、ニコチネート、オキサレート、パルモアート、ペクチネート、ペルスフェート、フェニルプロピオネート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、スクシネート、タルトレート、チオシアネート、トシレート、ウンデカノアート、など。塩の他の例としては、Na+、NH4+、およびNW4+(式中、WはC1〜4アルキル基である)などの適したカチオンと化合させた本発明の化合物のアニオンなどが挙げられる。
【0089】
治療用途では、本発明の化合物は薬学的に許容されるものとして意図される。しかしながら、薬学的に許容されない酸および塩基の塩もまた、薬学的に許容される化合物の調製または精製において使用してもよい。
【0090】
本明細書で使用されるように、「病原体」という用語は、宿主において疾患状態(例えば、感染、癌、など)を引き起こす生物因子を示す。「病原体」としては、ウイルス、細菌、古細菌、真菌、原虫、マイコプラズマ、プリオン、および寄生虫が挙げられるが、それらに限定されない。
【0091】
「細菌」および「細菌類」は原核生物界の全ての門内にあるものを含む全ての原核生物を示す。この用語は、マイコプラズマ、クラミジア、アクチノミセス、ストレプトミセスおよびリケッチアを含む細菌であると考えられる全ての微生物を含むものとする。球菌、桿菌、スピロヘータ、スフェロプラスト、プロトプラスト、などを含む、全ての形態の細菌がこの定義に含まれる。この用語の中には、グラム陰性またはグラム陽性である原核生物も含まれる。「グラム陰性」および「グラム陽性」は当技術分野で周知のグラム染色過程による染色パターンを示す(例えば、Finegold and Martin, Diagnostic Microbiology, 6th Ed., CV Mosby St. Louis, pp. 13-15 [1982]を参照されたい)。「グラム陽性細菌」はグラム染色で使用される一次染料を保持する細菌であり、染色された細胞は顕微鏡下で紺青色〜紫を示す。「グラム陰性細菌」はグラム染色で使用される一次染料を保持しないが、対比染色により染色される。このように、グラム陰性細菌は赤色を示す。
【0092】
本明細書で使用されるように、「微生物」という用語は、細菌、古細菌、真菌、原虫、マイコプラズマ、および寄生虫を含むが、それらに限定されない、任意の種または型の微生物を示す。本発明は、本発明に含まれる多くの微生物はまた、被験体にとって病原体となると考える。
【0093】
本明細書で使用されるように、「真菌」という用語は、二形性真菌を含む、カビおよび酵母などの真核生物に関して使用される。
【0094】
本明細書で使用されるように、「ウイルス」という用語は、ある一定の例外がある、光学顕微鏡で観察できず、独立した代謝が欠如し、生存する宿主細胞内でのみ複製できる微細な感染病原体を示す。個々の粒子(すなわち、ビリオン)は典型的には、核酸およびタンパク質シェルまたはコートから構成され;いくつかのビリオンはまた、脂質含有膜を有する。「ウイルス」という用語は、動物、植物、ファージ、および他のウイルスを含む、全ての型のウイルスを含む。
【0095】
本明細書で使用されるように、「試料」という用語は、最も広い意味で使用される。アポトーシス機能の異常調節により特徴づけられる状態を示すことが疑われる試料は、細胞、組織、または流体、細胞から単離した染色体(例えば、中期染色体の広がり)、ゲノムDNA(溶液中またはサザンブロット解析のためなどの固体支持体へ結合される)、RNA(溶液中またはノーザンブロット解析のためなどの固体支持体へ結合される)、cDNA(溶液中または固体支持体へ結合される)などを含んでもよい。タンパク質を含むことが疑われる試料は、細胞、組織の一部、1つまたは複数のタンパク質を含む抽出物などを含んでもよい。
【0096】
本明細書で使用されるように、「精製された」または「精製する」という用語は、試料からの望ましくない成分の除去を示す。本明細書で使用されるように、「実質的に精製された」という用語は、通常関連する他の成分が、少なくとも60%、好ましくは75%、最も好ましくは90%またはそれ以上、存在しない分子を示す。
【0097】
本明細書で使用されるように、「抗原結合タンパク質」という用語は、特異的な抗原に結合するタンパク質を示す。「抗原結合タンパク質」としては、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖、およびヒト化抗体、Fabフラグメント、F(ab')2フラグメント、およびFab発現ライブラリを含む免疫グロブリンが挙げられるが、それらに限定されない。ポリクローナル抗体を産生するために、当技術分野で公知の様々な手順が使用される。抗体の産生では、所望のエピトープに対応するペプチドの注入により、ウサギ、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギなどを含むがそれらに限定されない様々な宿主動物を免疫化することができる。好ましい態様では、ペプチドは免疫原性担体(例えば、ジフテリアトキソイド、ウシ血清アルブミン(BSA)、またはキーホールリンペットヘモシアニン[KLH])に結合される。宿主種によって、免疫応答を増加させるために様々なアジュバントが使用され、このアジュバントとして、フロインド(完全および不完全)、水酸化ナトリウムなどの鉱物ゲル、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノールなどの表面活性物質、およびBCG(カルメット・ゲラン桿菌)およびコリンバクテリウム・パルバムなどの潜在的に有用なヒトアジュバントが挙げられるが、それらに限定されない。
【0098】
モノクローナル抗体の調製のために、培養下の連続細胞系により抗体分子を産生させる任意の技術を使用してもよい(例えば、Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NYを参照されたい[1975])。これらは、KohlerおよびMilstein(Kohler and Milstein, Nature, 256:495-497)により元々開発されたハイブリドーマ技術、ならびに、トリオーマ技術、ヒトB-細胞ハイブリドーマ技術(例えば、Kozbor et al., Immunol. Today, 4:72[1983]を参照されたい)、およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBV-ハイブリドーマ技術(Cole et al., in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96 [1985])を含むが、それらに限定されない。
【0099】
本発明によれば、単鎖抗体の生成のために記述した技術(U.S.4,946,778;本明細書で参照により組み入れられる)を適合させて、所望の特異的な単鎖抗体を生成させることができる。本発明の別の態様では、Fab発現ライブラリの作成のための当技術分野で公知の技術(Huse et al., Science, 246: 1275-1281[1989])を使用して所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速で容易な同定が可能になる。
【0100】
抗体分子のイディオタイプ(抗原結合領域)を含む抗体フラグメントは、公知の技術により生成させることができる。例えば、そのようなフラグメントは下記を含むが、それらに限定されない:抗体分子のペプシン消化により生成させることができるF(ab')2フラグメント;F(ab')2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することにより生成させることができるFab'フラグメント、および抗体分子をパパインおよび還元剤で処理することにより生成させることができるFabフラグメント。
【0101】
抗原結合タンパク質をコードする遺伝子は、当技術分野において公知の方法により単離することができる。抗体の産生では、所望の抗体に対するスクリーニングが当技術分野で公知の技術(例えば、ラジオイムノアッセイ、ELIZA(酵素結合免疫吸着測定法)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫放射線測定法、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、インサイチューイムノアッセイ(例えば、コロイド金、酵素または放射性同位元素ラベルの使用)、ウエスタンブロット、沈降反応、凝集アッセイ(例えば、ゲル凝集アッセイ、血球凝集アッセイ、など)、補体結合アッセイ、免疫蛍光アッセイ、タンパク質Aアッセイ法、および免疫電気泳動アッセイ、など)などにより達成することができる。
【0102】
本明細書で使用されるように、「免疫グロブリン」または「抗体」という用語は、特異抗原に結合するタンパク質を示す。免疫グロブリンとしては、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、およびヒト化抗体、Fabフラグメント、F(ab')2フラグメントが挙げられるが、それらに限定されず、下記クラスの免疫グロブリンを含む:IgG、IgA、IgM、IgD、IbE、および分泌された免疫グロブリン(sIg)。免疫グロブリンは一般に2つの同一の重鎖および2つの軽鎖を含む。しかしながら、「抗体」および「免疫グロブリン」という用語はまた、単鎖抗体および二重鎖抗体を含む。
【0103】
本明細書で使用されるように、「エピトープ」という用語は、特別な免疫グロブリンと接触する抗原の部分を示す。タンパク質またはタンパク質のフラグメントを使用して宿主動物を免疫する場合、タンパク質の多くの領域が、タンパク質のある領域または三次元構造に特異的に結合する抗体の産生を誘発することができ;これらの領域または構造は「抗原決定基」と呼ばれる。抗原決定基は、抗体への結合に対し、無傷の抗原(すなわち、免疫応答を誘発するのに使用される「免疫原」)と競争することができる。
【0104】
「特異結合」または「特異的に結合」という用語は、抗体およびタンパク質またはペプチドの相互作用に関連して使用されると、相互作用がタンパク質の特別な構造(すなわち、抗原決定基またはエピトープ)の存在に依存すること;言い換えれば、抗体が一般のタンパク質ではなく特異タンパク質構造を認識し、それに結合することを意味する。例えば、抗体がエピトープ「A」に対し特異的である場合、標識「A」および抗体を含む反応では、エピトープA(または、遊離、未標識A)を含むタンパク質の存在は、抗体に結合した標識Aの量を減少させる。
【0105】
本明細書で使用されるように、「非特異結合」および「バックグラウンド結合」という用語は、抗体とタンパク質またはペプチドの相互作用に関して使用されると、特別な構造の存在に依存しない相互作用を示す(すなわち、抗体がエピトープなどの特別な構造よりむしろ一般のタンパク質に結合する)。
【0106】
本明細書で使用されるように、「調節する」という用語は、細胞成長、増殖、アポトーシスなどを含むが、それらに限定されない細胞機能の局面に影響する(例えば、促進する、または妨害する)化合物(例えば、本発明の化合物)の活性を示す。
【0107】
本明細書で使用されるように、「結合のために競争する」という用語は、第2の分子(例えば、本発明の第2の化合物またはミトコンドリアATPシンターゼにおけるオリゴマイシン感受性付与タンパク質に結合する他の分子)が結合する物質と同じ物質(例えば、ミトコンドリアATPシンターゼにおけるオリゴマイシン感受性付与タンパク質)に結合する活性を有する第1の分子(例えば、本発明の第1の化合物)に関して使用される。第1の分子による結合の効率(例えば、動力学または熱力学)は、第2の分子に結合する物質の効率と同じか、それより大きいか、またはそれより小さくてもよい。例えば、物質平衡結合定数(KD)は、2つの分子に対し異なってもよい。本明細書で使用されるように、「化合物を被験体に投与するための指示」という用語およびその文法的等価物は、細胞または組織におけるアポトーシス過程の異常調節により特徴づけられる状態の処置のためのキットに含まれる組成物を使用するための指示(例えば、治療医師のために、患者特異特性をアクションの治療課程と相関させるための、用量、投与経路、決定樹を提供する)を含む。この用語はまた、自己免疫疾患(例えば、全身性紅斑狼瘡、関節リウマチ、移植片対宿主病、重症筋無力症、シェーグレン症候群、など)、慢性炎症疾患(例えば、乾癬、喘息およびクローン病)、過剰増殖性疾患(例えば、腫瘍、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、など)、ウイルス感染(例えば、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、HIV)、ならびに骨関節炎およびアテローム性動脈硬化などの他の状態を治療するためのキットに含まれる組成物の使用に対する指示を具体的に示す。
【0108】
「試験化合物」という用語は、身体機能の疾患、不調、疾病、または障害を治療もしくは阻止するために、またはそうでなければ、試料の生理学的または細胞状態(例えば、細胞または組織におけるアポトーシスの異常調節のレベル)を変化させるために使用することができる、任意の化学的実態、薬剤、薬物、などを示す。試験化合物は公知および潜在的な治療化合物を含む。試験化合物は、本発明のスクリーニング法を用いて治療に役立つと決定することができる。「公知の治療化合物」はそのような治療または予防において効果的であることが(例えば、動物試験を通してまたはヒトへの投与の経験前に)示された治療化合物を示す。いくつかの態様では、「試験化合物」は細胞におけるアポトーシスを調節する薬剤である。
【0109】
発明の一般的な説明
薬物の1つのクラスとして、ベンゾジアゼピン化合物は、広く研究されており、多くの疾患を治療するための効果的な薬剤であると報告されている。例えば、各々が参照により全体として本明細書に組み入れられるU.S.4,076823、U.S.4,110,337、U.S.4,495,101、U.S.4,751,223およびU.S.5,776,946は、あるベンゾジアゼピン化合物が、鎮痛薬および抗炎症薬として効果的であることを報告している。同様に、各々が参照により全体として本明細書に組み入れられるU.S.5,324,726およびU.S.5,597,915は、あるベンゾジアゼピン化合物が、コレシストキニンおよびガストリンの拮抗薬であり、このため、ある胃腸疾患を治療するのに有用であることを報告している。
【0110】
他のベンゾジアゼピン化合物が、とりわけ、心筋虚血、敗血症ショック症候群などのヒト好中球エラスターゼ媒介状態の治療においてヒト好中球エラスターゼの阻害剤として研究されている(例えば、参照により全体が本明細書に組み入れられるU.S.5,861,380を参照されたい)。参照により全体が本明細書に組み入れられるU.S.5,041,438は抗レトロウイルス薬として有用であることを報告している。
【0111】
ベンゾジアゼピン化合物が興味を引きつけているにも関わらず、下本発明が様々な疾患の治療のための、新規ベンゾジアゼピン化合物および関連化合物ならびに新規化合物、および公知の化合物の使用法を提供することが、記説明から明らかになると思われる。
【0112】
ベンゾジアゼピン化合物は、中枢神経系(CNS)内のベンゾジアゼピン受容体に結合することが知られており、そのため、不安およびてんかんを含む様々なCNS障害を治療するために使用されてきた。末梢ベンゾジアゼピン受容体もまた同定されており、この受容体もまた付随的にCNS中に存在することができる。本発明は、ベンゾジアゼピンおよび関連化合物が、組織培養において増殖した形質転換細胞の処置において有用なアポトーシス促進性および細胞毒性特性を有することを証明する。これらの化合物の作用経路は、先に同定されたベンゾジアゼピン受容体を介さない。
【0113】
このように、いくつかの態様では、本発明は、所望の生物学的結果を達成するために新規細胞標的に対して誘導される、多くの新規化合物および以前より公知の化合物を提供する。別の態様では、本発明は、生物過程を調節するためにそのような化合物を使用するための方法を提供する。本発明はまた、化合物を同定し、最適化するための薬物スクリーニング法を提供する。本発明はさらに、疾患および状態を特定するため、治療計画をモニタするため、および/または最適治療方針を特定するための診断マーカーを提供する。これらのおよび他の研究および治療有用性は下記に記載する。
【0114】
発明の詳細な説明
本発明は、新規化合物、それらの発見方法、それらの治療、研究および診断用途を提供する。特に、本発明は、ベンゾジアゼピン誘導体および関連化合物、ならびにベンゾジアゼピン誘導体および関連化合物を、プログラムされた細胞死、自己免疫、炎症、および過剰増殖などの過程の調節不全と関連する多くの状態を治療するための治療薬として使用する方法を提供する。
【0115】
本発明の例示的な組成物および方法について、下記の項でより詳細に記載する:I.細胞死のモジュレータ;II.例示的な化合物;III.薬学的組成物、製剤、および例示的な投与経路ならびに投与考慮事項;IV.薬物スクリーニング;ならびにV.治療への適用。
【0116】
特に記載がなければ、本発明の実行には、当技術分野の技術内にある、有機化学、薬理学、分子生物学(組換え技術を含む)、細胞生物学、生物化学、および免疫学の従来技術を使用する。そのような技術は、例えば、各々が参照により全体として本明細書に組み入れられる、“Molecular cloning: a laboratory manual”Second Edition (Sambrook et al., 1989);“Oligonucleotide synthesis”(M.J. Gait, ed., 1984);“Animal cell culture”(R.I. Freshney, ed., 1987);シリーズ“Methods in enzymology”(Academic Press, Inc.);“Handbook of experimental immunology”(D.M. Weir & C.C. Blackwell,eds.);“Gene transfer vectors for mammalian cells”(J.M. Miller & M.P. Calos, eds., 1987);“Current protocols in molecular biology”(F.M. Ausubel et al., eds., 1987,および定期的最新版);“PCR: the polymerase chain reaction”(Mullis et al., eds., 1994);および“Current protocols in immunology”(J.E. Coligan et al., eds., 1991)などの文献において完全に説明されている。
【0117】
I.細胞死のモジュレータ
いくつかの態様では、本発明は、細胞を化合物に曝露することによりアポトーシスを調節する。化合物の効果は、かなり多数の細胞変化を検出することにより測定することができる。細胞死は本明細書および当技術分野で記載したようにアッセイしてもよい。いくつかの態様では、細胞系は適当な細胞培養条件(例えば、ガス(CO2)、温度および培地)下で、密度依存制約のない指数関数的増殖が達成される適当な期間の間、維持される。細胞数およびまたは生存率を、トリパンブルー排除/血球計算法、またはMTT染料転換アッセイ法などの標準技術を用いて測定する。また、アポトーシスまたは壊死の異常に関連する遺伝子または遺伝子産物の発現に対し、細胞を分析してもよい。
【0118】
いくつかの態様では、本発明を細胞に曝露させるとアポトーシスが誘導される。いくつかの態様では、本発明は、ミトコンドリアF1F0-ATPアーゼとの相互作用を介してアポトーシスを誘導する。
【0119】
II.例示的な化合物
本発明の例示的な化合物を下記に示す。本発明のある態様は、ベンゾジアゼピンにベンゾジアゼピン環の第3炭素位と関連する不斉中心を欠如させる化学部分を有するベンゾジアゼピン化合物を含む。
【0120】
本発明のある態様は、ベンゾジアゼピンにベンゾジアゼピン環の第3炭素位と関連する不斉中心を欠如させる化学部分を有するベンゾジアゼピン化合物を含む組成物を含む。いくつかの態様では、組成物は下記式を含み:

RおよびS鏡像体の両方ならびにラセミ混合物が含まれる。
【0121】
いくつかの態様では、A----Bは、N-CH2およびC=Nからなる群より選択される。
【0122】
いくつかの態様では、R5はリンカー基であり、かつ存在するか、または存在しない。
【0123】
いくつかの態様では、R1はOHの同配体である。いくつかの態様では、R1は、水素;ハロゲン;OH;アリールサブ基を含む化学部分;置換アリールサブ基を含む化学部分;環状脂肪族サブ基を含む化学部分;置換環状脂肪族サブ基を含む化学部分;複素環サブ基を含む化学部分;置換複素環サブ基を含む化学部分;少なくとも1つのエステルサブ基を含む化学部分;少なくとも1つのエーテルサブ基を含む化学部分;直鎖または分枝、飽和または不飽和、置換または非置換の少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;硫黄を含む化学部分;窒素を含む化学部分;および-OR-からなる群より選択され、ここで、Rは、アリールサブ基を含む化学部分;置換アリールサブ基を含む化学部分;環状脂肪族サブ基を含む化学部分;置換環状脂肪族サブ基を含む化学部分;複素環サブ基を含む化学部分;置換複素環サブ基を含む化学部分;直鎖または分枝、飽和または不飽和、置換または非置換の少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;少なくとも1つのエステルサブ基を含む化学部分;少なくとも1つのエーテルサブ基を含む化学部分;硫黄を含む化学部分;窒素を含む化学部分からなる群より選択される。
【0124】
いくつかの態様では、R1は下記からなる群より選択され:


式中、R1’は、ハロゲン;アルキル;置換アルキル;アリール;置換アリール;アミノ;カルボニル;スルホン;スルホンアミド;エーテル;OH;硫黄を含む化学部分;窒素を含む化学部分;CH3;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも1つの炭素を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのヒドロキシサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのチオールサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、アルデヒドサブ基で終わる脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのケトンサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、カルボン酸サブ基で終わる脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのアミドサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのアシル基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つの窒素含有部分を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのアミンサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのエーテルサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのハロゲンサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのニトロニウムサブ基を有する脂肪族鎖からなる群より選択される。
【0125】
いくつかの態様では、R2は、アリールサブ基を含む化学部分;置換アリールサブ基を含む化学部分;環状脂肪族サブ基を含む化学部分;置換環状脂肪族サブ基を含む化学部分;複素環サブ基を含む化学部分;置換複素環サブ基を含む化学部分;硫黄を含む化学部分;および窒素を含む化学部分からなる群より選択される。いくつかの態様では、R2はベンゼンより大きい環状基であり、ここでベンゼンより大きいということは、7個またはそれ以上の水素でない原子を含む任意の化学基を含む。
【0126】
いくつかの態様では、R2は、ナフタレン;フェノール;1-ナフタレノール;2-ナフタレノール;



;キノリン、および全ての芳香族位置異性体からなる群より選択される。
【0127】
いくつかの態様では、R3はOHの同配体である。いくつかの態様では、R3は、水素;ハロゲン;OH;少なくとも1つのエステルサブ基を含む化学部分;少なくとも1つのエーテルサブ基を含む化学部分;直鎖または分枝、飽和または不飽和、置換または非置換の少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;硫黄を含む化学部分;窒素を含む化学部分;および-OR-からなる群より選択され、ここで、Rは、アリールサブ基を含む化学部分;置換アリールサブ基を含む化学部分;環状脂肪族サブ基を含む化学部分;置換環状脂肪族サブ基を含む化学部分;複素環サブ基を含む化学部分;置換複素環サブ基を含む化学部分;直鎖または分枝、飽和または不飽和、置換または非置換の少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;少なくとも1つのエステルサブ基を含む化学部分;少なくとも1つのエーテルサブ基を含む化学部分;硫黄を含む化学部分;窒素を含む化学部分からなる群より選択される。
【0128】
いくつかの態様では、R3は、アルキル;モノ置換アルキル;ジ置換アルキル;トリ置換アルキル;(CH2)n、式中n=1〜6;CN;N3;CNO;NH2;SH;CF3;OCH3;NCH2CH(CH2)N(CH3)2;NCH2CHCH2N(CH3)2;フェニル;2-ピリジル;3-ピリジル;4-ピリジル;NCH3;NCONHCH3;CH2OH;NHCONH2;NHCOCH3;NHSO2CH3;NHCN;NHCHO;SOCH3;SO2CH3;CHNOH;CHNOCH3;SCH3;CH2CO;CH2SO2;CONH;CH2C(NOH);CH2C(NOMe);NHSO2PH;NHCS;CH2NHCO;COCH2;NHCO2;およびNHCOSからなる群より選択される。いくつかの態様では、R3は、例えば、参照により全体が本明細書に組み入れられるPatani, G. and LaVoie, E.J., 1996, Chem. Rev. 96:3147-3176において記載されている同配体のいずれかにより説明される。
【0129】
いくつかの態様では、R3は、ベンゾジアゼピン構造の6、7炭素位、ベンゾジアゼピン構造の7、8炭素位、またはベンゾジアゼピン構造の8、9炭素位で結合された環状構造である。いくつかの態様では、環状構造は、アリールサブ基を含む化学部分;置換アリールサブ基を含む化学部分;環状脂肪族サブ基を含む化学部分;置換環状脂肪族サブ基を含む化学部分;複素環サブ基を含む化学部分;置換複素環サブ基を含む化学部分;硫黄を含む化学部分;酸素を含む化学部分;および窒素を含む化学部分からなる群より選択される。
【0130】
いくつかの態様では、R1およびR3の少なくとも1つは水素結合に関与する化学部分である。いくつかの態様では、水素結合に関与する化学部分と3次元空間のR2基との間の距離は、例えば、わずか約12オングストロームだけしか違わない。
【0131】
いくつかの態様では、R4はベンゾジアゼピンに、不斉中心を欠如させる化学部分である。いくつかの態様では、R4は水素、

であり、ここで、R4’は直鎖または分枝、飽和または不飽和、置換または非置換の少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖である。
【0132】
いくつかの態様では、組成物は下記化学式を含む。

【0133】
いくつかの態様では、組成物は下記からなる群より選択される式を含む。

【0134】
いくつかの態様では、構造は、

であり;式中、R4''は1〜6個の炭素であり、そのいずれか1つは置換されるか、または非置換である。置換炭素としては、OH;ハロゲン;CH3;直鎖または分枝、環状または非環状、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;ハロゲンを含む化学部分;硫黄を含む化学部分;窒素を含む化学部分;芳香族化学部分;親水性化学部分;および疎水性化学部分で置換されたものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0135】
いくつかの態様では、化合物は下記からなる群より選択される。

【0136】
いくつかの態様では、化合物は下記からなる群より選択される。

【0137】
上記記載から、多くの具体的な例が、上記一般式により表されることが明らかである。各置換基位で特別な基を選択することにより生じる様々なサブコンビネーションが可能であり、そのようなサブコンビネーションは全て本発明の範囲内にある。
【0138】
さらに、この開示全体で示した数値範囲は、その範囲内の任意の可能な部分領域を意図する柔軟な範囲として考えるべきであることを理解すべきである。例えば、1〜10個の炭素の範囲を有する基の記載はまた、例えば、1〜3個、1〜5個、1〜8個、または2〜3個、2〜5個、2〜8個、3〜4個、3〜5個、3〜7個、3〜9個、3〜10個などの炭素の部分領域を有する基を意図する。このように、1〜10の範囲は、多くの可能な部分領域が明確に意図される範囲の外側境界を示すと考えるべきである。他の文脈で範囲を意図する別の例がこの開示全体で見られるが、この場合、そのような範囲はその中の類似の部分領域を含む。
【0139】
要約すれば、本明細書では多くの化合物が提供される。これらの化合物の任意の1つまたは複数を使用して、本明細書の他の箇所で記載した細胞死に関連する様々な異常調節疾患を治療することができる。さらに、これらの化合物の任意の1つまたは複数を使用して、細胞合成または細胞生存率に影響を与えずにATP加水分解を阻止することができる。さらに、これらの化合物の任意の1つまたは複数を少なくとも1つの別の治療薬(例えば、カリウムチャネル開口薬、カルシウムチャネル遮断薬、ナトリウム水素交換阻害薬、抗不整脈剤、抗アテローム動脈硬化剤、抗凝固剤、抗血栓薬、プロ血栓溶解剤、フィブリノーゲン拮抗薬、利尿薬、降圧薬、ATPアーゼ阻害剤、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、抗糖尿病薬、抗炎症薬、抗酸化剤、血管新生モジュレータ、抗骨粗鬆症薬、ホルモン補充療法、ホルモン受容体モジュレータ、経口避妊薬、抗肥満薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬、抗増殖薬、抗腫瘍薬、抗潰瘍および胃食道逆流疾患薬、成長ホルモン薬および/または成長ホルモン分泌促進剤、甲状腺模倣薬、抗感染薬、抗ウイルス薬、抗菌剤、抗真菌剤、コレステロール/脂質降下剤および脂質プロファイル療法、および虚血プレコンディショニングおよび/または心筋気絶を模倣する薬剤、抗アテローム動脈硬化剤、抗凝固剤、抗血栓薬、降圧剤、抗糖尿病薬、ならびにACE阻害剤、AT-1受容体拮抗薬、ET受容体拮抗薬、デュアルET/AII受容体拮抗薬、およびバソペプシダーゼ阻害剤から選択される降圧剤、またはGPIIb/IIIa遮断薬、P2Y1およびP2Y12拮抗薬、トロンボキサン受容体拮抗薬、およびアスピリンから選択される抗血小板薬)と組み合わせて、薬学的に許容される担体または希釈剤と共に、薬学的組成物中で使用することができる。さらに、これらの化合物の任意の1つまたは複数を使用して、患者におけるミトコンドリアF1F0ATPヒドロラーゼ関連疾患(例えば、心筋梗塞、心室肥大、冠動脈疾患、非Q波心筋梗塞、うっ血性心不全、不整脈、不安定狭心症、慢性安定狭心症、プリンツメタル狭心症、高血圧、間欠性跛行、閉塞性末梢動脈疾患、血栓閉塞性卒中の血栓または血栓閉塞症状、静脈血栓症、動脈血栓症、脳血栓、肺血栓症、脳塞栓症、血栓形成傾向、播種性血管内凝固、再狭窄、心房細動、脳室拡張、アテローム硬化性血管疾患、動脈硬化プラーク破綻、動脈硬化プラーク形成、移植アテローム性動脈硬化、血管リモデリングアテローム動脈硬化、癌、手術、炎症、全身感染、人工表面、介入性心臓病学、不動、薬剤、妊娠および胎生損失、ならびに網膜症、腎症および神経障害を含む糖尿病合併症)を治療することができる。上記化合物はまた、薬物スクリーニングアッセイならびに他の診断および研究法において使用することができる。
【0140】
III.薬学的組成物、製剤、および例示的な投与経路および投与考慮事項
様々な意図された薬剤および薬学的組成物の例示的な態様を下記で示す。
【0141】
A.薬剤の調製
本発明の化合物は、細胞死、異常細胞増殖および過剰増殖の異常調節に関連する様々な状態を治療する薬剤の調製において有用である。
【0142】
さらに、化合物はまた、化合物の有効性が公知または予測される他の疾患を治療するための薬剤を調製するために有用である。そのような疾患としては、神経(例えば、てんかん)または神経筋疾患が挙げられるが、それらに限定されない。本発明の化合物の薬剤を調製するための方法および技術は当技術分野で周知である。例示的な製剤および送達経路は下記で記載する。
【0143】
当業者であれば、多くの具体的な態様を含む、本明細書で記載した化合物のいずれか1つまたは複数は、標準薬学的製造手順を適用することにより調製されることを認識すると思われる。そのような薬剤は、薬学分野において周知の送達方法を用いることにより、被験体に送達させることができる。
【0144】
B.例示的な薬学的組成物および製剤
本発明のいくつかの態様では、組成物は単独で投与され、一方、いくつかの別の態様では、組成物は好ましくは、上記で規定したように、少なくとも1つの活性成分/薬剤を、固体支持体と共に、1つまたは複数の薬学的に許容される担体と共に、および任意で別の治療薬(例えば、米国特許仮出願第60/607,599号および同第60/641,040号、ならびに米国特許出願第11/176,719号、同第11/110,228号、同第10/935,333号、同第10/886,450号、同第10/795,535号、同第10/634,114号、同第10/427,211号、同第10/427,212号、同第10/217,878号、同第09/767,283号、同第09/700,101号、および関連出願で記載されているベンゾジアゼピン化合物;各々が全体として参照により本明細書に組み入れられる)と共に含む製剤中に存在する。各担体は製剤の他の成分と適合性があり、被験体に対し有害でないという意味で「許容される」べきである。
【0145】
意図される製剤としては、経口、直腸、鼻内、局所(経皮、頬側および舌下を含む)、膣、非経口(皮下、筋内、静脈内および皮内を含む)および肺投与に適したものが挙げられる。いくつかの態様では、製剤は単位剤形で存在すると好都合であり、薬学分野において公知の任意の方法により調製される。そのような方法は活性成分を、1つまたは複数の補助成分を構成する担体と結合させる工程を含む。一般に、製剤は均一にかつ密接に活性成分を液体担体または微粉固体担体またはその両方と結合させる(例えば、混合する)ことにより、その後、必要であれば生成物を成形することにより調製される。
【0146】
経口投与に適した本発明の製剤は、カプセル、カシェ剤または錠剤などの分離単位として提供してもよく、この場合、各々が好ましくは、予め決められた量の活性成分を粉末または顆粒として;水性または非水液中の溶液または懸濁液として;または水中油型液体エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョンとして含む。別の態様では、活性成分がボーラス、舐剤、またはペースト、などとして提供される。
【0147】
いくつかの態様では、錠剤は少なくとも1つの活性成分および任意で1つまたは複数の補助剤/担体を含み、個々の薬剤を圧縮または成形することにより製造される。いくつかの態様では、圧縮された錠剤は、適した機械において、粉末または顆粒などの自由に流れる活性成分を、任意で結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)表面活性または分散剤と共に圧縮することにより調製される。成形錠剤は、適した機械において、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物(例えば、活性成分)の混合物を成形することにより製造される。錠剤は、任意でコートされてもよく、またはスコア化してもよく、および、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを所望の放出プロファイルを提供するように様々な割合で使用してその中の活性成分の持続放出または制御放出を提供するように製剤化してもよい。錠剤に任意で腸溶性コーティングを提供してもよく、この錠剤は胃ではなく腸の部分で放出される。
【0148】
口の中での局所投与に適した製剤としては、フレーバー基礎、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントゴム中に活性成分を含むロゼンジ;ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基礎中に活性成分を含むトローチ;ならびに適した液体担体中に活性成分を含むうがい薬が挙げられる。
【0149】
本発明による局所投与のための薬学的組成物は、任意で、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、噴霧、エアロゾルまたは油として製剤化される。別の態様では、局所製剤は、活性成分、および任意で1つまたは複数の賦形剤または希釈剤を含浸させた、パッチまたは、包帯もしくは絆創膏などの包帯材を含む。いくつかの態様では、局所製剤は、活性薬剤の皮膚または他の影響を受ける領域を通る吸収または浸透を増強させる化合物を含む。そのような皮膚浸透増強剤の例としてはジメチルスルホキシド(DMSO)および関連類似体が挙げられる。
【0150】
所望であれば、クリームベースの水相は、例えば、少なくとも約30%w/wの多価アルコール、すなわち、2つまたはそれ以上のヒドロキシル基を有するアルコール、例えば、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロールおよびプロピレングリコールおよびそれらの混合物を含む。
【0151】
いくつかの態様では、本発明の油相エマルジョンは、公知の方法で公知の成分から構成される。この相は典型的には唯一の乳化剤(そうでなければ、乳状化剤として公知)を含み、いくつかの態様では、この相がさらに少なくとも1つの乳化剤と、脂肪もしくは油または脂肪と油の両方との混合物を含むことも望ましい。
【0152】
好ましくは、親水性乳化剤が安定化剤として作用する親油性乳化剤と共に含有される。いくつかの態様では、油および脂肪の両方を含むことが好ましい。同時に、乳化剤は安定化剤と共に、または安定化剤無しで、いわゆる乳化蝋を形成し、蝋は油および/または脂肪と共に、クリーム製剤の油分散相を形成するいわゆる乳化軟膏ベースを形成する。
【0153】
本発明の製剤中で使用するために適した乳状化剤およびエマルジョン安定化剤としては、Tween 60、Span 80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、グリセリルモノステアレートおよびラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0154】
薬学的エマルジョン製剤において使用される可能性のあるほとんどの油における活性化合物/薬剤の溶解度は非常に低いため、製剤のために適した油または脂肪の選択は、所望の特性(例えば、化粧品特性)の達成に基づく。このように、クリームは、好ましくは、チューブまたは他の容器から漏れないように適した稠度を有する、ベタベタしておらず、染色しない水性製品であるべきである。直鎖または分枝鎖、一または二塩基アルキルエステル、例えば、ジ-イソアジペート、イソセチルステアレート、ココナッツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、イソプロピルミリステート、デシルオレアート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、2-エチルヘキシルパルミテートまたはCrodamol CAPとして公知の分枝鎖エステルのブレンドを使用してもよく、最後の3つが好ましいエステルである。これらは、要求される特性によって、単独で、または組み合わせて使用してもよい。また、高融点脂質、例えば白色ソフトパラフィンおよび/または流動パラフィンまたは他の鉱物油を使用することができる。
【0155】
目への局所投与のために適した製剤としては、点眼薬が挙げられ、ここで、活性成分は適した担体、とりわけ薬剤のための水性溶媒に溶解または懸濁される。
【0156】
直腸投与のための製剤は、例えば、ココアバターまたはサリチレートを含む適したベースを有する坐薬として提供されてもよい。
【0157】
膣内投与のために適した製剤は、薬剤の他に、当技術分野で適していることが公知の担体などを含むペッサリ、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたは噴霧製剤として提供されてもよい。
【0158】
担体が固体である鼻内投与のために適した製剤としては、粒子サイズが約20〜約500μmの範囲である粗い粉末が挙げられ、これらは、嗅ぎ薬が摂取される様式で、すなわち鼻に接近させて保持された粉末容器から鼻孔を通す迅速吸入(例えば、強制)により投与される。投与のための担体が液体である他の適した製剤としては、薬剤の水性または油性溶液を含む、鼻内噴霧、点鼻薬、ネビュライザによるエアロゾルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0159】
非経口投与に適した製剤としては、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬および製剤を対象レシピエントの血液と等張にする溶質を含んでもよい水性および非水性等張性滅菌注射溶液;ならびに懸濁化剤および増ちょう剤、ならびにリポソームまたは、化合物を血液成分または1つもしくは複数の器官に標的させるように設計された他の微粒子系を含んでもよい水性および非水性滅菌懸濁液が挙げられる。いくつかの態様では、製剤は、単回用量または複数回用量の密閉容器、例えば、アンプルおよびバイアル中で提供/製剤化され、滅菌液体担体、例えば、水を注入のために、使用直前の添加のみが必要となるフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存してもよい。即席の注入溶液および懸濁液は、滅菌粉末、顆粒および先に記載された種類の錠剤から調製してもよい。
【0160】
好ましい単回用量製剤は、本明細書で上記で引用したように、1日量または単位、1日部分用量(subdose)、またはその適当な一部の薬剤を含むものである。
【0161】
上記で特に言及した成分の他に、本発明の製剤は、問題となっている製剤の型に関連する当技術分野で従来の他の薬剤を含んでもよく、例えば、経口投与に適したものは、甘味剤、増ちょう剤および香味剤などの別の薬剤を含んでもよいことが理解されるべきである。本発明の薬剤、組成物および方法を他の適した組成物および療法と組み合わせることも意図される。さらに別の製剤は任意で、食品添加物(適した甘味剤、香味剤、着色剤、など)、植物栄養素(例えば、亜麻仁油)、ミネラル(例えば、Ca、Fe、K、など)、ビタミン、および他の許容される組成物(例えば、結合リノール酸)、増量剤、および安定化剤、などを含む。
【0162】
C.例示的な投与経路および投与考慮事項
様々な送達システムが公知であり、これらを使用して、本発明の治療薬(例えば、上記例示的な化合物)を投与することができ、例えば、リポソーム中への封入、微小粒子、微小カプセル、受容体媒介エンドサイトーシスなどである。送達方法としては、動脈内、筋内、静脈内、鼻内、および経口経路が挙げられるが、それらに限定されない。具体的な態様では、本発明の薬学的組成物を治療の必要な領域に局所的に投与することが望ましく;これは、例えば、手術中での局所注入、注射、またはカテーテルにより達成されてもよいが、これらに限定されない。
【0163】
同定された薬剤を、標的細胞の病的増殖および関連状態が疑われる、またはその発症の危険のある被験体または個体に投与することができる。薬剤がマウス、ラットまたはヒト患者などの被験体に投与される場合、薬剤は薬学的に許容される担体に添加し、全身にまたは局所的に被験体に投与することができる。効果的に治療することができる患者を特定するために、患者から組織試料を除去し、薬剤に対する感受性について細胞をアッセイする。
【0164】
治療量は、経験により決定され、治療される病態、治療される被験体ならびに薬剤の有効性および毒性によって変動する。動物に送達される場合、方法は、薬剤の有効性をさらに確認するのに有用である。動物モデルの一例はMLR/MpJ-lpr/lpr(“MLR-lpr”)(Jackson Laboratories, Bal Harbor, Maineから入手可能)である。MLR-lprマウスは全身性自己免疫疾患を発症する。また、本明細書で規定されるように、腫瘍成長を誘発することにより、例えば、ヌードマウスに約105〜約109の過剰増殖性癌および標的細胞を皮下接種することにより、他の動物モデルを開発することができる。腫瘍が確立されている場合、本明細書で記載されている化合物は、例えば、腫瘍周辺での皮下注射により投与される。腫瘍サイズの減少を決定するための腫瘍測定は、1週間に2度、ノギスを用いて二次元でなされる。別の動物モデルもまた適当であれば使用してもよい。上記疾患および状態のためのそのような動物モデルは当技術分野で周知である。
【0165】
いくつかの態様では、インビボ投与が1回用量で、連続的または断続的に治療を通して実施される。投与の最も効果的な手段および用量を決定する方法は当業者に周知であり、治療のために使用される組成物、治療の目的、治療される標的細胞、および治療される被験体によって変動する。単回または複数回投与を治療する医師により選択された用量レベルおよびパターンで実行する。
【0166】
適した投与製剤および薬剤を投与する方法は当業者により容易に決定される。好ましくは、化合物は約0.01mg/kg〜約200mg/kg、より好ましくは約0.1mg/kg〜約100mg/kg、さらに好ましくは約0.5mg/kg〜約50mg/kgで投与される。本明細書で記載される化合物が別の薬剤(例えば、増感剤として)と共に投与される場合、有効量は薬剤が単独で使用される場合よりも少なくてよい。
【0167】
薬学的組成物は、経口、鼻内、非経口で、または吸入療法により投与することができ、錠剤、ロゼンジ、顆粒、カプセル、ピル、アンプル、坐薬またはエアロゾル形態であってもよい。これらはまた、水性または非水性希釈剤、シロップ、顆粒または粉末中の活性成分の懸濁液、溶液およびエマルジョンの形態であってもよい。本発明の薬剤の他に、薬学的組成物はまた、他の薬学的活性化合物または複数の本発明の化合物を含むことができる。
【0168】
より特定的には、本発明の薬剤はまた、本明細書において、活性成分と呼ばれ、治療のために、経口、直腸、鼻内、局所(経皮、エアロゾル、頬側および舌下を含むがそれらに限定されない)、膣内、非経口(皮下、筋内、静脈内および皮内を含むが、それらに限定されない)および肺を含むがそれらに限定されない任意の適した経路により投与されてもよい。好ましい経路はレシピエントの状態および年齢、ならびに治療される疾患により変動することも認識される。
【0169】
理想的には、薬剤は疾患部位で活性化合物のピーク濃度が達成されるように投与されるべきである。これは、例えば、任意で生理食塩水中の薬剤の静脈注射により達成され、または、例えば活性成分を含む錠剤、カプセルまたはシロップとして経口投与されてもよい。
【0170】
疾患組織内で治療量の活性成分が提供されるよう薬剤の望ましい血液レベルは連続注入により維持してもよい。有効な組み合わせは、個々の治療化合物または薬物を単独で使用する場合に必要とされる量よりも低い各成分抗ウイルス薬の総用量を必要とする治療的組み合わせを提供するように意図され、これにようい副作用が減少する。
【0171】
D.例示的な同時投与経路および投与考慮事項
本発明はまた、本明細書で記載した化合物の1つまたは複数の別の活性薬剤との同時投与を含む方法を含む。実際、本発明の別の局面は、本発明の化合物を同時投与することにより、先行技術療法および薬学的組成物を増強するための方法を提供することである。同時投与手順では、薬剤は同時にまたは連続して投与されてもよい。1つの態様では、本明細書で記載した化合物を他の活性薬剤前に投与する。製剤および投与方式は上記で記載したもののいずれかであってもよい。さらに、2つまたはそれ以上の同時投与される化学剤、生物剤または放射線はそれぞれ、異なる方式または異なる製剤を用いて投与してもよい。
【0172】
同時投与される1つまたは複数の薬剤は、治療される状態の型に依存する。例えば、治療される状態が癌である場合、追加の薬剤は化学療法薬または放射線とすることができる。治療される状態が自己免疫疾患である場合、追加の薬剤は免疫抑制剤または抗炎症薬とすることができる。治療される状態が慢性炎症である場合、追加の薬剤は抗炎症薬とすることができる。同時投与される追加の薬剤、例えば、抗癌剤、免疫抑制剤、抗炎症薬は当技術分野で周知の薬剤のいずれかとすることができ、現在臨床用途にあるものが挙げられるが、それらに限定されない。放射線治療の適当な型および線量の決定はまた、当分野の技術範囲内であるか、またはかなり容易に決定することができる。
【0173】
異常アポトーシスに関連する様々な状態の治療は一般に、下記2つの主因子により限定される:(1)薬物耐性の発現および(2)公知の治療薬の毒性。ある癌では、例えば、化学薬品および放射線療法に対する耐性がアポトーシスの阻止と関連することが示されている。いくつかの治療薬は、非特異的リンパ球毒性、腎臓および骨髄毒性を含む有害副作用を有する。
【0174】
本明細書で記載した方法は、これら両方の問題対処する。治療効果を達成するのに必要とされる用量が増加する薬物耐性は、本明細書で記載した化合物を公知の薬剤と同時投与することにより克服される。本明細書で記載される化合物は標的細胞を公知の薬剤に感作させ(およびその逆)、したがって、治療効果を達成するのに必要とされるこれらの薬剤の量が減少する。
【0175】
特許請求される合物の感作機能はまた、公知の療法の毒性効果と関連する問題に対処する。公知の薬剤が毒性である場合、全ての場合において、特に薬物耐性により必要用量が増加する場合、投与する用量を制限することが望ましい。特許請求される化合物が公知の薬剤と同時投与される場合、これらは必要とされる用量を減少させ、ひいては有害効果を減少させる。さらに、特許請求される化合物はそれ自体、大用量で効果的で、非毒性であるので、公知の毒性治療薬よりもより多くのこれらの化合物を比例的に同時投与すると、毒性効果を最小に抑えながら所望の効果が達成される。
【0176】
IV.薬物スクリーニング
本発明のいくつかの態様では、本発明の化合物、および他の潜在的に有用な化合物を、アポトーシスを誘導する能力に対しスクリーニングする。
【0177】
V.治療用途
特別に好ましい態様では、本発明の組成物は、多くの状態(例えば、細胞または組織における壊死および/またはアポトーシス過程の異常調節により特徴づけられる疾患、異常細胞増殖および/または過剰増殖により特徴づけられる疾患、など)のいずれか1つまたは複数を患う患者に対し治療的利益を提供するように意図される。
【0178】
上記明細書で言及した出版物および特許は全て参照により本明細書に組み入れられる。本発明について具体的な好ましい態様と関連させて記述してきたが、特許請求される本発明は、そのような具体的な態様に不当に制限されるべきでないことを理解すべきである。実際、関連分野の当業者には明らかである本発明を実行するための上記形態の様々な改変は下記特許請求の範囲内にあるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RおよびS鏡像体の両方ならびにラセミ混合物を含む、下記式を含む組成物:

式中、A----Bが、N-CH2およびC=Nからなる群より選択され;
R1が水素;ハロゲン;OH;アリールサブ基(subgroup)を含む化学部分;置換アリールサブ基を含む化学部分;環状脂肪族サブ基を含む化学部分;置換環状脂肪族サブ基を含む化学部分;複素環サブ基を含む化学部分;置換複素環サブ基を含む化学部分;少なくとも1つのエステルサブ基を含む化学部分;少なくとも1つのエーテルサブ基を含む化学部分;直鎖または分枝、飽和または不飽和、置換または非置換の少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;硫黄を含む化学部分;窒素を含む化学部分;および-OR-からなる群より選択され、ここで、Rがアリールサブ基を含む化学部分;置換アリールサブ基を含む化学部分;環状脂肪族サブ基を含む化学部分;置換環状脂肪族サブ基を含む化学部分;複素環サブ基を含む化学部分;置換複素環サブ基を含む化学部分;直鎖または分枝、飽和または不飽和、置換または非置換の少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;少なくとも1つのエステルサブ基を含む化学部分;少なくとも1つのエーテルサブ基を含む化学部分;硫黄を含む化学部分;窒素を含む化学部分からなる群より選択され;
式中、R2がベンゼンより大きい環状基であり、ここでベンゼンより大きいということが、7個またはそれ以上の水素でない原子を含む任意の化学基を含み;
式中、R3がベンゾジアゼピン環の6,7、7,8または8,9炭素位で結合されたR3環状構造;水素;ハロゲン;OH;少なくとも1つのエステルサブ基を含む化学部分;少なくとも1つのエーテルサブ基を含む化学部分;直鎖または分枝、飽和または不飽和、置換または非置換の少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;硫黄を含む化学部分;窒素を含む化学部分;および-OR-からなる群より選択され、ここで、Rがアリールサブ基を含む化学部分;置換アリールサブ基を含む化学部分;環状脂肪族サブ基を含む化学部分;置換環状脂肪族サブ基を含む化学部分;複素環サブ基を含む化学部分;置換複素環サブ基を含む化学部分;直鎖または分枝、飽和または不飽和、置換または非置換の少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;少なくとも1つのエステルサブ基を含む化学部分;少なくとも1つのエーテルサブ基を含む化学部分;硫黄を含む化学部分;窒素を含む化学部分からなる群より選択され;
式中、R1およびR3の少なくとも1つが水素結合に関与する化学部分であり;
式中、R4がベンゾジアゼピンに、不斉中心を欠如させる化学部分であり;ならびに
式中、R5がリンカー基であり、かつ存在するか、または存在しない。
【請求項2】
R1が下記からなる群より選択される、請求項1記載の組成物:


式中、R1’が、ハロゲン;アルキル;置換アルキル;アリール;置換アリール;アミノ;カルボニル;スルホン;スルホンアミド;エーテル;OH;硫黄を含む化学部分;窒素を含む化学部分;CH3;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも1つの炭素を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのヒドロキシサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのチオールサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、アルデヒドサブ基で終わる脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのケトンサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、カルボン酸サブ基で終わる脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのアミドサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのアシル基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つの窒素含有部分を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのアミンサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのエーテルサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのハロゲンサブ基を有する脂肪族鎖;直鎖または分枝、飽和または不飽和の少なくとも2つの炭素を有し、少なくとも1つのニトロニウムサブ基を有する脂肪族鎖からなる群より選択される。
【請求項3】
R2がナフタレン;フェノール;1-ナフタレノール;2-ナフタレノール;


;キノリン、および全ての芳香族位置異性体からなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
R4が水素、

からなる群より選択され;式中、R4’が直鎖または分枝、飽和または不飽和、置換または非置換の少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖である、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
組成物が下記式により記載される、請求項4記載の組成物:


【請求項6】
式が下記からなる群より選択される、請求項1記載の組成物:


【請求項7】
下記式により記載される、請求項1記載の組成物:

式中、R4''が1〜6個の炭素であり、そのいずれか1つが置換されるか、または非置換である。
【請求項8】
R3環状構造が、アリールサブ基を含む化学部分;置換アリールサブ基を含む化学部分;環状脂肪族サブ基を含む化学部分;置換環状脂肪族サブ基を含む化学部分;複素環サブ基を含む化学部分;置換複素環サブ基を含む化学部分;硫黄を含む化学部分;酸素を含む化学部分;および窒素を含む化学部分からなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
化合物が下記からなる群より選択される、請求項8記載の組成物:


【請求項10】
化合物が下記からなる群より選択される、請求項1記載の組成物:


【請求項11】
水素結合に関与する化学部分と3次元空間のR2基との間の距離が、12オングストローム未満である、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
a.i)標的細胞;および
ii)請求項1記載の組成物
を提供する工程;ならびに
b)標的細胞を組成物に曝露する工程
を含む、細胞を処理する方法。

【公表番号】特表2009−513644(P2009−513644A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537873(P2008−537873)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/041446
【国際公開番号】WO2007/050587
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(507286909)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (13)
【Fターム(参考)】