説明

泡放出機構及び泡放出装置

【課題】浮屋根式タンクの損傷状況に応じ、適切な方向に泡を放出することができる泡放出機構及び泡放出装置を提供する。
【解決手段】浮屋根式タンクの浮屋根に泡放出機構が固定されている。泡放出機構は、浮屋根の上側に位置する開口と、浮屋根の下側に位置する開口と、開口及び開口の開閉を制御する開閉制御部とを備えている。タンク火災時において、開口1aの位置がタンク内の可燃性液体の液面より下となった場合には、フロート15が浮力を受け、開口2c、2a、3dが開状態、開口1a、7dが閉状態となり、開口2c、2a、3dから浮屋根80の上側に泡が放出される。また、開口1a、7dの位置がタンク内の可燃性液体の液面より上となった場合には、フロート15等が自重によって下方に移動し、開口1a、7dが開状態、開口2c、2a、3dが閉状態となり、開口1a、7dから浮屋根80の下側に泡が放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浮屋根式タンク火災に用いられる泡放出機構及び泡放出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浮屋根式タンクは、タンク内の可燃物液面の上昇下降に伴って浮屋根が上下に移動する、落し蓋構造となっている。そして、図10に示すように、タンク側壁90と浮屋根91との間には、油の蒸発を防ぐためのソフトシール92が配設されている。しかし、ソフトシール92によって油の蒸発を完全に防ぐことはできないため、このシール部分から気化したガス等が漏出しやすく、タンク火災の原因となる。このため、浮屋根91の周縁のやや内側に泡堰93を立設しておき、火災発生時にはタンク側壁90の上端に設けられたフォームチャンバー94から泡を放出し、泡堰93とタンク側壁90との間に泡を満たして消火・防火を行うことがなされている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開昭60−228283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の泡放出装置では、地震による揺動等によってタンク内の油が泡堰を乗り越えたり、浮屋根が傾いてタンク内の油が浮屋根上に流れ出た場合には、消火・防火に対応することができない。また、地震による揺動等で浮屋根が傾き、浮屋根の下にできた空間が外気と連通状態となり、火災が発生したり、引火のおそれが生じた場合にも、そこへ泡を送ることができない。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、浮屋根式タンクの損傷状況に応じ、適切な方向に泡を放出することができる泡放出機構及び泡放出装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の泡放出機構は、浮屋根式タンクの浮屋根に固定され、
該浮屋根の上側に泡を放出するための上部放出口と、該浮屋根の下側に泡を放出するための下部放出口と、該上部放出口及び該下部放出口の開閉を制御する開閉制御部とを備えており、
該開閉制御部は、タンク内の可燃性液体の液面に対する該下部放出口の位置が所定位置より下方の場合には、該上部放出口を開状態、該下部放出口を閉状態とし、該液面に対する該下部放出口の位置が所定位置より上方の場合には、該上部放出口を閉状態、該下部放出口を開状態とすることを特徴とする。
【0007】
本発明の泡放出機構は、浮屋根式タンクの浮屋根に固定されているため、地震による揺動等で浮屋根式タンクの浮屋根が傾いた場合、浮屋根とともにタンク内の油の中に沈んだり、逆に浮屋根とともに油の上方に持ち上げられたりする。例えば、浮屋根が傾いて泡放出機構がタンク内の可燃性液体中に没し、タンク内の可燃性液体の液面に対する下部放出口の位置が所定位置より下方となった場合には、開閉制御部が作動して上部放出口が開状態となり、下部放出口が閉状態となる。これにより、可燃性液体中に没した上部放出口から泡が放出され、可燃性液体中を浮上し、可燃性液体の表面が泡で覆われることによって、消火したり、引火の危険性を回避したりすることができる。
【0008】
また、それとは逆に、浮屋根の傾斜によって浮屋根とタンク内の可燃性液体との間に外気と連通する空間が生じ、その中で火災が発生したり、引火のおそれが生じたりした場合には、可燃性液体の液面に対する下部放出口の位置が所定位置より上方となり、開閉制御部が作動して上部放出口が閉状態となり、下部放出口が開状態となる。これにより、泡は浮屋根の下側に存在する下部放出口から放出され、可燃性液体の液面上で展開されることによって、浮屋根下での火災の消火及び防火を行うことができる。
【0009】
さらに、浮屋根が破損してタンク内の可燃性液体中に沈んでしまった場合には、開閉制御部が作動して上部放出口が開状態となり、下部放出口が閉状態となる。これにより、可燃性液体中に没した上部放出口から泡が放出され、可燃性液体中を浮上し、液面が泡で覆われることによって消火及び防火を行うことができる。
【0010】
すなわち、本発明の泡放出機構は、浮屋根式タンクの損傷状況に応じ、火災の発生している、あるいは火災発生の可能性の高い方向にむけて、適切な方向に泡を放出することができる。
【0011】
開閉制御部には上下に移動可能なフロートが設けられており、該フロートがタンク内の可燃性液体から受けるの浮力と該フロートの自重とによって上部放出口と下部放出口の開閉制御をなすとすることができる。こうであれば、浮屋根が傾いたり、沈んだりしてフロートが可燃性液体から浮力を受けた場合、その浮力によって自動的に開閉制御部が作動して上部放出口が開状態となり、下部放出口が閉状態となる。また、浮屋根の傾斜によってフロートが上昇し可燃性液体から浮力を受けなくなった場合には、フロートの自重によって自動的に開閉制御部が作動して上部放出口が閉状態となり、下部放出口が開状態となる。このため、泡放出機構が自ら自動的に開閉制御部の制御を行うことができるとともに、構造も単純なものとなり、ひいては泡放出機構の製造コストが低廉となる。
【0012】
開閉制御部には上部放出口及び下部放出口の開閉制御をロックするロック機構が設けられており、該ロック機構は泡の供給圧力によって解除されることが好ましい。浮屋根式タンクは、平常時において可燃性液体の液面と浮屋根との間に可燃性のガスが貯まることがある。このような場合において開閉制御部が作動し、外気とタンク内とが連通状態となると、かえって引火の危険性が高まることになる。上記ロック機構があれば、開閉制御部は作動せす、外気とタンク内とが連通状態となって引火の危険性が高まることを防止できる。また、地震発生時においてタンク内に貯留されている可燃性液体は、地震動によって揺動し、一定時間の間、その液面が上下するため、この可燃性液体の液面の揺動時に開閉制御部が作動したとすると、上部放出口及び下部放出口の開閉が繰り返して行われ、下部放出口が開状態時にそこから可燃性液体が侵入し、上部放出口が開状態時に可燃性液体が浮屋根上に漏れ出すおそれがある。これに対して、上記のロック機構が存在していれば、地震動による可燃性液体の揺動が収まってから泡放出機構に泡を供給することにより、こうした上部放出口及び下部放出口を介しての可燃性液体の漏洩を防止することができる。
【0013】
本発明の泡放出装置は、浮屋根式タンクの浮屋根に固定された請求項1乃至3のいずれかの泡放出機構と、該泡放出機構に泡を供給する発泡器とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の泡放出装置では、泡消火剤水溶液が発泡器に供給されて泡となり、泡放出機構から放出される。泡放出機構は開閉制御部によって泡の放出方向が適切に制御される結果、浮屋根式タンクの損傷状況に応じ、適切な方向に泡を放出することができる。発泡器の設置場所としては、泡放出機構の内部やその近辺に設置してもよいし、浮屋根式タンクから離れた場所に設置し、耐熱ホースを介して泡を泡放出機構に供給してもよい。泡放出機構の内部やその近辺に発泡器を設置した場合、泡が形成されてから放出されるまでの距離が短くなるため、発泡倍率が低下する割合が小さくなり好適である。
【0015】
泡放出機構は浮屋根の複数箇所に設けられていることが好ましい。浮屋根式タンクの浮屋根が地震動等によって傾いた場合、場所によってタンク内の可燃性液体中に沈んでいる部分と、沈んでいない部分とが両方生ずることが考えられる。このような場合において、泡放出機構が複数箇所に設けられていれば、その設置場所の状況に応じ、適切な方向に泡を放出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0017】
<実施形態1>
実施形態1の泡放出装置は、図1に示すように、周縁にフロート80aが設けられたポンツーン型の浮屋根80に固定された2基の泡放出機構81、82を備えている。泡放出機構81、82には供給用ホース81a、82aが接続されており、供給用ホース81a、82aの他端はバルブ83を介して発泡器84に接続されている。
【0018】
泡放出機構81、82は同じ構造とされており、図2に示すように、浮屋根80に開けられた開口80cを覆う固定板1がボルト80bによって浮屋根80に固定されており、固定板1の上には円筒状のチャンバー2が溶接されている。チャンバー2の上端には円形の開口2aが設けられており、開口2aの上には点検蓋2cがボルト4によってチャンバー2に固定されている。点検蓋2cには、開口2aより小径の開口2dが開口2aと同軸で開けられている。点検蓋2cには、開口2dより大径の略ドーナツ形状の軸支盤3が開口2dと同軸でボルト2eによって固定されている。軸支盤3は、図3に示すように、中央に軸受3aを有しており、軸受3aは4本のアーム3bによって四方から支えられており、開口3dを有している。軸支盤3の内周縁は環状凸部3cが設けられている。図2に示すように、環状凸部3cには樹脂製の円筒5の一端側が嵌合されており、円筒5の内部とチャンバー2の内部は、開口2a、開口2d及び開口3d(図3参照)を介して連通状態とされている。円筒5の他端側は天板6が載置されており、天板6の中央には孔6aが開けられている。円筒5がロック機構である。
【0019】
また、固定板1には円形の開口1aが設けられており、開口1aの下側には、図3に示すように、軸受7a、アーム7b、環状凸部7c及び開口7dを有する軸支盤7が、図2に示すようにボルト8によって軸支盤3と反対向きで固定板1に固定されている。軸支盤3の軸受3aと軸支盤7の軸受7aとは同軸とされており、フロート柄9が上下移動可能に挿通されている。フロート柄9の上部にはテーパ状の封止板10が上方に向かって大径となるように設けられており、フロート柄9の上端には天板6の孔6aを貫通する雄ネジ11が形成されており、蝶ネジ12が雄ネジ11と螺合することにより、天板6が円筒5を軸支盤3の方向に押さえつけ、固定されるようになっている。封止板10の径は軸支盤3の環状凸部3cの内径より僅かに大径とされており、フロート柄9が下方に移動した場合、封止板10と環状凸部3cとが当接し、チャンバー2内と円筒5内との連通状態が遮断されるようになっている。
【0020】
また、フロート柄9の下端には雄ネジ13が形成されており、雄ネジ13には、軸支盤7の環状凸部7cの内径より僅かに小径とされた円板形状の封止板14が嵌挿されており、雄ネジ13の先端は、フロート取手15aに形成されているに雌ネジ15bに螺合されている。また、封止板14とフロート取手15aとはボルト16によって接合されている。環状凸部7cはフロート取手15aに当接し、塞がれた状態となっている。フロート取手15aは耐油性エポキシ樹脂からなる略直方体形状のフロート15の上端に固定されている。
【0021】
また、チャンバー2の側壁には開口2bが設けられており、開口2bにはエルボー17が溶接によってチャンバー2内に少し飛び出した状態で接続されている。エルボー17のチャンバー2側の先端にはガラス板取付治具18が取り付けられており、ガラス板取付用治具18には薄い円盤状のガラス板19が嵌め込まれている。エルボー17の他端は供給用ホース81a、82aが接続されている。
【0022】
以上のように構成された実施形態の泡放出装置では、火災時あるいは火災発生のおそれが生じた場合、浮屋根80の状況に応じ、以下に示すよう泡放出機構81、82から泡が放出される。
【0023】
(ケース1)
例えば、図4に示すように、地震が発生して浮屋根80が傾いて一部が可燃性液体中に没した状態となった場合、泡放出装置の操作者は、地震動によるタンク内の可燃性液体の揺れが収まった後、発泡器84を駆動させる。これにより、発泡器84に泡消火薬剤混合液が供給され、発泡器84内でエアーと混合されて泡となり、この泡がバルブ83及び供給用ホース81a、82aを介して泡放出機構81、82に供給される。こうして供給された泡は、図2に示すエルボー17を通り、ガラス板取付治具18に嵌められていたガラス板19を押し破り、チャンバー2内に侵入する。そして、さらに開口2a、開口2d及び軸支盤3の開口3d(図3参照)を通って円筒5内に泡が流入し、その圧力によって円筒5が破壊される。これによって、フロート柄9はフロート15とともに上下方向に移動可能状態となる。
【0024】
そして、図4で示すように、タンク内の可燃性液体に沈んだ状態の泡放出機構81では、図5に示すように、フロート15が可燃性液体によって浮力を受けて上方に移動し、フロート取手15aの上面が環状凸部7cの下端に当接し、これにより開口1a及び開口7d(図3参照)は塞がれた状態となる。一方、フロート柄9の上部に設けられた封止板10は、環状凸部3cの上端よりも上の位置となるため、軸支盤3の開口3d(図3参照)は封止板10によって塞がれることはなく、チャンバー2の内部とその上方の空間とは連通した状態となる。このため、エルボー17からチャンバー2内に侵入した泡は、開口2a、開口2d及び軸支盤3の開口3d(図3参照)を通り、図4に示すように、浮屋根80の上側に放出され、可燃性液体中を浮上し、その液面上に展開され、消火・防火が行われる。
【0025】
一方、図4で示すように、タンク内の可燃性液体の液面よりも上方に存在する状態の泡放出機構82では、図6に示すように、フロート柄9及びそれに固定されているフロート15、フロート取手15a、封止板14、封止板10、天板6は自重によって下方に下がり、封止板10の下面が環状凸部3cと当接して停止する。これにより、チャンバー2内と円筒5内との連通状態が遮断されるとともに、フロート取手15a及び封止板14によって塞がれていた軸支盤7の開口7d(図3参照)は開放され、チャンバー2の内部とその下方の空間とは連通状態となる。このため、エルボー17からチャンバー2内に侵入した泡は、開口1a及び軸支盤7の開口7d(図3参照)を通って、図4に示すように、浮屋根80の下側に放出され、可燃性液体表面に落下し、展開され、消火・防火が行われる。
【0026】
以上のように、地震によって浮屋根80が傾いた場合、泡放出機構81、82から火災が発生する危険の高い方向に向かって、泡の放出が自動的になされる。
【0027】
(ケース2)
また、ケース2として、図7に示すように、浮屋根80自体は地震によって損傷を受けることはなかったが、地震動によって可燃性液体が浮屋根80の周辺から上方に漏れ出し、浮屋根80上で火災が発生したり、火災のおそれが生じたりした場合には、次のようにして泡放出機構81,82から泡が放出される。すなわち、泡放出装置の操作者は、地震動によるタンク内の可燃性液体の揺れが収まった後、発泡器84を駆動させることにより、図5に示すように、フロート15が可燃性液体によって浮力を受けて上方に移動する。このため、泡放出機構81、82は、(ケース1)における泡放出機構81と同様に、フロート15がタンク内の可燃性液体から浮力を受ける状況となり、図7に示すように、泡放出機構81及び82の双方から浮屋根80の上側に泡が放出され、消火・防火が行われる。
【0028】
(ケース3)
さらに、ケース3として、図8に示すように、浮屋根80のフロート80aが破損し、タンク内の可燃性液体中に沈んでしまった場合においても、ケース2の場合と同様、図5に示すように、フロート15がタンク内の可燃性液体から浮力を受ける状況となり、図8に示すように、泡放出機構81及び82の双方から可燃性液体中に泡が放出され、放出された泡が浮上して可燃性液体の表面で展開され、消火・防火が行われる。
【0029】
以上のように、実施形態1の泡放出装置では、浮屋根式タンク80の損傷状況に応じ、適切な方向に泡を放出することができる。なお、上記実施形態1の泡放出装置では、浮屋根80に泡放出機構が2基固定されていたが、設置数をさらに増やすことももちろん可能である。
【0030】
<実施形態2>
実施形態2の泡放出装置は、図9に示すように、上部デッキ30aと下部デッキ30bとからなるダブルデッキ型浮屋根30に固定された泡放出機構22を備えている。泡放出機構20は、実施形態1と同様の供給用ホース21に接続され、バルブを介して発泡器に接続され、発泡器はさらに泡消火剤貯留タンクに接続されている。
【0031】
泡放出機構20は、図2に示す、実施形態1における泡放出機構81、82と同様の構成を有すとともに、更に、以下の付加された構成も有している(泡放出機構81、82と同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。)。
【0032】
すなわち、図9に示すように、チャンバー2の上部には、円筒5及び天板6を更に囲む円筒形の第2チャンバー22が溶接されている。第2チャンバー22の側壁には開口22aが設けられており、開口22aには検査用窓23が取り付けられている。また、第2チャンバー22の上部中央には開口22bが設けられており、開口22bには上部デッキ30aを貫通するエルボー24が溶接されている。
【0033】
以上のように構成された実施形態2の泡放出装置では、泡放出機構20に泡が供給された場合、実施形態1と同様にしてガラス板19が破壊され、さらに円筒5が破壊される。この場合において、泡放出機構20が可燃性液体の液面下に沈んでいる場合には、フロート15が可燃性液体によって浮力を受けて上方に移動し、チャンバー2の内部と第2チャンバー22とが連通した状態となる。これにより、エルボー17からチャンバー2内に侵入した泡は、開口2a及び開口3d(図3参照)を通り、さらに第2チャンバー22からエルボー23を経由して、上部デッキ30a上に泡が放出される。このため、ダブルデッキ型の浮屋根においても使用することができる。他の作用効果は、実施形態1の泡放出装置と同様である。
【0034】
<実施形態3>
実施形態3の泡放出装置は、図11に示すように、ガラス板19とエルボー17との間に円筒状の発泡器85が取り付けられている。発泡器85のガラス板19と反対側の一端には、ジェットノズル85aが設けられており、ジェットノズル85aから少しガラス板19寄りの近傍側壁には吸気口85bが設けられ、ベンチュリー構造となっている。エルボー17は耐圧ホース86及び図示しない薬剤ポンプを介して図示しない泡消火薬剤タンクに接続されている。その他の構成については泡放出機構81、82と同一であり、同一の構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0035】
以上のように構成された泡放出装置では、泡消火薬剤タンクに貯留されている泡消火薬剤が薬剤ポンプ、耐圧ホース86及びエルボー17を介して発泡器85に供給される。そして発泡器85のジェットノズル85aから泡消火薬剤が高速で噴出されることにより、吸気口85bから空気が取り入れられて泡消火薬剤と混合されて泡が形成される。さらに、こうして形成された泡によってガラス板19が突き破られる泡が供給される。このため、発泡器85によって形成された泡がすぐに放出されることとなり、発泡倍率の低下を防ぐことができる。他の作用効果は実施形態1の泡放出装置と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、浮屋根式のタンク用の泡放出機構及び泡放出装置として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施形態1の泡放出装置を浮屋根式タンクに使用した場合の模式図である。
【図2】実施形態1の泡放出装置に係る泡放出機構の作動前における断面図である。
【図3】軸支盤の平面図である。
【図4】実施形態1の泡放出装置の作動状況(ケース1)を示す模式図である。
【図5】実施形態1の泡放出装置に係る泡放出機構が作動し、フロートが上がった状態を示す断面図である。
【図6】実施形態1の泡放出装置に係る泡放出機構が作動し、フロートが下がった状態を示す断面図である。
【図7】実施形態1の泡放出装置の作動状況(ケース2)を示す模式図である。
【図8】実施形態1の泡放出装置の作動状況(ケース3)を示す模式図である。
【図9】実施形態2の泡放出装置に係る泡放出機構の断面図である。
【図10】タンク側壁の上端に設けられたフォームチャンバーから泡を放出する従来の泡放出機構である。
【図11】実施形態3の泡放出装置に係る泡放出機構の作動前における断面図である。
【符号の説明】
【0038】
80、30…浮屋根
81、82、20…泡放出機構
2a、2c、3d…上部放出口(開口)
1a、7d…下部放出口(開口)
11、12、6、10、9、13、14、15a、15、16、3、7…開閉制御部(11…雄ネジ、12…蝶ネジ、6…天板、10…封止板、9…フロート柄、13…雄ネジ、14…封止板、15a…フロート取手、15…フロート、16…ボルト、3、7…軸支盤)
15…フロート
5…ロック機構(円筒)
81a、82a…供給用ホース
84、85…発泡器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮屋根式タンクの浮屋根に固定され、
該浮屋根の上側に泡を放出するための上部放出口と、該浮屋根の下側に泡を放出するための下部放出口と、該上部放出口及び該下部放出口の開閉を制御する開閉制御部とを備えており、
該開閉制御部は、タンク内の可燃性液体の液面に対する該下部放出口の位置が所定位置より下方の場合には、該上部放出口を開状態、該下部放出口を閉状態とし、該液面に対する該下部放出口の位置が所定位置より上方の場合には、該上部放出口を閉状態、該下部放出口を開状態とすることを特徴とする泡放出機構。
【請求項2】
開閉制御部には上下に移動可能なフロートが設けられており、該フロートがタンク内の可燃性液体から受ける浮力と該フロートの自重とによって上部放出口と下部放出口の開閉制御がなされることを特徴とする請求項1記載の泡放出機構。
【請求項3】
開閉制御部には上部放出口及び下部放出口の開閉制御をロックするロック機構が設けられており、該ロック機構は泡の供給圧力によって解除されることを特徴とする請求項2記載の泡放出機構。
【請求項4】
浮屋根式タンクの浮屋根に固定された請求項1乃至3のいずれかの泡放出機構と、
該泡放出機構に泡を供給する発泡器とを備えることを特徴とする泡放出装置。
【請求項5】
泡放出機構は浮屋根の複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項4記載の泡放出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−334257(P2006−334257A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165009(P2005−165009)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000192338)深田工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】