説明

泡沫状エアゾール型ヘアワックス

【課題】毛髪に使用した際に均一に塗布でき、フレーキングがなく、しなやかで均一な仕上がりで、ヘアスタイルの持続性が良好で、且つ、ヘアスタイルが崩れた際、簡単に元のヘアスタイルに整えることのできる再整髪性に優れた泡沫状エアゾール型ヘアワックスを提供すること。
【解決手段】(a)被膜形成性樹脂、(b)常温で液状のエステル油、(c)ダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステルの両末端のカルボキシル基をイソステアリルアルコールでエステル化した化合物を配合することを特徴とする泡沫状エアゾール型ヘアワックス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被膜形成性樹脂、液状エステル油、特定のエステル化合物を配合する泡沫状エアゾール型ヘアワックスに関するものであり、更に詳しくは、毛髪に使用した際に均一に塗布でき、フレーキングがなく、しなやかで均一な仕上がりで、ヘアスタイルの持続性が良好で、且つ、ヘアスタイルが崩れた際、簡単に元のヘアスタイルに整えることのできる再整髪性に優れた泡沫状エアゾール型ヘアワックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スタイリング剤の一種として、ヘアワックスと呼ばれるものが、近年市場に出回っている。ヘアワックスは、毛髪を柔らかく軽やかに仕上げたり、或いは、毛髪を立たせたり、はねさせて躍動感を感じさせるヘアスタイルに仕上げることができ、かつ、時間が経ってヘアスタイルが崩れた際にも、再び塗布することなく手で簡単に元のヘアスタイルに再整髪することが可能である。
ヘアワックスと言っても、性状としてはワックス状だけではなく、クリーム状、ペースト状、ジェル状、エアゾールタイプ等種々あり、かなりハードに仕上がり、まさにワックスをイメージさせるものから、ソフトな仕上がりにするものまで存在し、個々の髪質、髪の長さ、仕上げたい髪型によって使い分けているのが現状である。
この中でも主流はクリーム状のものであるが、配合成分によっては製剤化に制約があったり、毛髪に塗布する際、のびにくく均一に塗布しづらい場合があり、ムラ付きしてしまい美しい仕上がりにならないことがある。
その点、エアゾールタイプのヘアワックスは、エタノールや水等の媒体に整髪成分を乳化分散あるいは溶解したものを原液とし、充填缶に噴射剤と共に封入し噴射させる為、均一に毛髪に塗布し易いという利点がある。
【0003】
そして、エアゾールタイプのヘアワックスにも、さらに細かな霧状に噴射されるヘアスプレータイプのものと泡沫状のものがあり、ヘアスプレータイプは毛髪全体に均一に塗布でき均一な仕上がりが可能になるが、スタイリングに必要な狭い範囲への塗布はしづらいという欠点を持つ。また製剤化においてエアゾール原液と液化ガスが均一に溶解している必要性があり、被膜形成樹脂や固形状油等の整髪成分によっては製剤化に困難を生じることがある。
そこで、泡沫状にすることで、スタイリングに必要十分な量を取り出し、必要な毛髪部位に適切かつ均一に塗布でき、ヘアワックスとしての機能を引き出すことが可能となるが、それでもなお、整髪樹脂成分由来のごわごわとした硬い被膜や、フケ状のフレーキング等が起き、ヘアワックスに求められる毛髪のしなやかさ、再整髪性の面で機能的に劣る場合があった。
【0004】
そこで泡沫状のヘアワックスについて、塗布した際のごわごわとした硬い被膜やフレーキングのなさ、或いは、毛髪のしなやかさ、再整髪性等の機能を特化させるために様々な技術が検討されている。
具体的には、ケラチンを配合する方法や(例えば、特許文献1参照)、特定のポリアクリル酸塩とセット剤樹脂を配合し再整髪性を向上させる方法(例えば、特許文献2参照)等が検討されている。
【特許文献1】特開2001−72558号公報
【特許文献2】特開2003−137752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ケラチンを配合する整髪料では、フレーキング防止は良好となるが、ごわごわとした硬い被膜が形成され、また、整髪後のヘアスタイル持続の面で満足できる水準にはなかった。また、特定のポリアクリル酸塩とセット剤樹脂を配合した場合、再整髪性には優れるが、均一な塗布が難しく、仕上がりの均一さとフレーキングの面で十分ではなかった。すなわち、毛髪に使用した際に均一に塗布でき、フレーキングがなく、しなやかで均一な仕上がりで、ヘアスタイルの持続性が良好で、且つ、ヘアスタイルが崩れた際、簡単に元のヘアスタイルに整えることのできる再整髪性に優れた泡沫状エアゾール型ヘアワックスの開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情に鑑み、本発明者は鋭意検討した結果、被膜形成性樹脂と、常温で液状のエステル油、及び、特定のエステル化合物であるダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステルの両末端のカルボキシル基をイソステアリルアルコールでエステル化した化合物とを配合し、更に噴射剤を封入してエアゾールタイプとすることにより、泡沫状に吐出し、毛髪に使用した際に均一に塗布でき、フレーキングがなく、しなやかで均一な仕上がりで、ヘアスタイルの持続性が良好で、且つ、ヘアスタイルが崩れた際の再整髪性に優れた泡沫状エアゾール型ヘアワックスが得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、次の成分(a)〜(c);
(a)被膜形成性樹脂
(b)常温で液状のエステル油
(c)下記化学式(1)に示すダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステルの両末端のカルボキシル基をイソステアリルアルコールでエステル化した化合物
OCO−R−(−COO−R−OCO−R−)−COOR ・・・(1)
(式中、Rはダイマー酸残基を、Rはダイマージオール残基を、Rはイソステアリルアルコール残基を示し、nは4〜6の数を示す。)
を配合することを特徴とする泡沫状エアゾール型ヘアワックスを提供するものである。
また、成分(b)と(c)の配合質量比が(b)/(c)=0.3〜3.0であり、成分(a)を1〜10質量%配合することを特徴とする泡沫状エアゾール型ヘアワックスを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の泡沫状エアゾール型ヘアワックスは、毛髪に使用した際に均一に塗布でき、フケ状にフレーキングすることがなく、しなやかで均一な仕上がりで、ヘアスタイルの持続性が良好で、且つ、ヘアスタイルが崩れた際、簡単に元のヘアスタイルに整えることのできる再整髪性に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の泡沫状エアゾール型ヘアワックスに用いられる成分(a)の被膜形成性樹脂としては、毛髪化粧料に使用し得る樹脂で毛髪に適度な被膜を形成するものであれば特に制限はなく、ノニオン性、カチオン性、アニオン性、両性のいずれでも使用できる。
ノニオン性被膜形成性樹脂の具体例としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン・酢酸ビニル・アルキルアミノエチルアクリレート共重合体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、デキストリン、ガラクタン、プルラン等が挙げられ、市販品としては、PVP/VA(ISP社製)、ルビスコール K30、同K90(BASF社製)、メトローズ65SH4000、同60SH15000等がある。
【0010】
カチオン性被膜形成性樹脂の具体例としては、ポリジメチルジアリルアンモニウムハライド型カチオン性ポリマー、ジメチルジアリルアンモニウムハライドとアクリルアミドの共重合体カチオン性ポリマー、第四級窒素含有セルロースエーテル、ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体カチオン化合物等が挙げられる。
市販品としては、マーコート100、同550(カルゴン社製)、ポリマーJR400、(ユニオンカーバイト社製)、カチナールHC−100(東邦化学工業社製)HCポリマー1、1N、2、同3A(大阪有機化学工業社製)、ガフコート755、同734(ISP社製)が挙げられる。
【0011】
アニオン性被膜形成性樹脂としては、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体であるアクリル樹脂アルカノールアミン、メチルビニルエーテルとマレイン酸モノアルキルエステル共重合体、アクリル酸とアクリル酸アルキルエステルとN−アルキルアクリルアミドの共重合体、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、ペクチン等が挙げられる。
市販品としては、プラスサイズL−6330(互応化学工業社製)、ガントレッツES−42S、ES−225、ES−33(ISP社製)、ルビセットCE5055(BASF社製)等が挙げられる。
【0012】
両性被膜形成性樹脂の具体例としては、ジアルキルアミノエチルアクリレート、ダイアセトンアクリルアミド等と(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等を共重合し、ハロゲン化酢酸で両性化した化合物、アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル・アクリル酸オクチルアミド共重合体等が挙げられる。
市販品としては、(メタクロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマーであるユカフォーマ− SM、同 R205や、(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマーであるダイヤフォーマー Z−711(ダイヤケムコ社製)等が挙げられる。
【0013】
本発明に用いられる成分(a)は必要に応じて一種又は二種以上用いることができ、その配合量は、特に限定はなく、使用する樹脂や目標とする使用感に応じ適宜調整可能であるが、泡沫状エアゾール型ヘアワックス原液中、1〜10質量%(以下、単に「%」と示す)が好ましく、より好ましくは3〜7%である。この範囲であれば、髪のしなやかさ、整髪持続性に優れ、且つ、再整髪性が良好な泡沫状エアゾール型ヘアワックスが得られる。
【0014】
本発明に用いられる成分(b)の常温で液状のエステル油とは、脂肪酸とアルコールとのエステル、グリセリン又はポリグリセリンと脂肪酸とのエステルを指し、常温で液状の油である。整髪時の毛髪をしなやかにし、且つ、毛髪表面の樹脂被膜の可塑剤として配合される。成分(b)としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられる。このうち、特にミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチルが、整髪時の髪のしなやかさの付与の面で好ましい。
【0015】
成分(b)の配合量は特に限定されないが、泡沫状エアゾール型ヘアワックス原液中、好ましくは0.1〜10%、より好ましくは1〜5%である。この範囲であれば整髪時の軽やかさ、しなやかさに優れたものが得られる。
【0016】
本発明に用いられる成分(c)のダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステルの両末端のカルボキシル基をイソステアリルアルコールでエステル化した化合物(以下、単に「エステル化合物」と表す場合がある)は、下記一般式(1)で表すことができる。
OCO−R−(−COO−R−OCO−R−)−COOR ・・・(1)
(式中、Rはダイマー酸残基を、Rはダイマージオール残基を、Rはイソステアリルアルコール残基を示し、nは4〜6の数を示す。)
【0017】
本発明に用いられる成分(c)のエステル化合物は、ダイマー酸とダイマージオールから得られるオリゴマーエステルの両末端に存在するカルボキシル基をイソステアリルアルコールでエステル化した化合物である。
出発物質である、ダイマー酸は、不飽和脂肪酸の分子間重合反応によって得られるが、炭素数が11〜22の不飽和脂肪酸を2量化して得られ、炭素数36程度の二塩基酸が主成分である。CAS番号で、61788−89−4が該当する。また、ダイマー化反応において、二重結合を水素化した、水素添加ダイマー酸が好ましい。市販品としては、例えばPRIPOL1006、同1009、同1015、同1025等(ユニケマ社製)が挙げられる。
ダイマージオールは、前記ダイマー酸及び/又はその低級アルコールエステルを触媒存在下で水素添加して、ダイマー酸のカルボン酸部分をアルコールとした炭素数36程度のジオールを主成分としたものである。市販品としては、例えばPRIPOL2033等(ユニケマ社製)が挙げられる。
イソステアリルアルコールは、ダイマー酸の副産物から得られた脂肪酸を還元して得られるものや、ガーベット法により得られるもの、アルドール縮合法により得られるもの等が挙げられるが、特に限定されず、いずれのものを使用することもできる。市販品としては、例えばSpeziol C18 ISOC(コグニス社製)等が挙げられる。
【0018】
成分(c)のエステル化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、ダイマー酸とダイマージオールをエステル化してオリゴマーエステルを得た後、更にイソステアリルアルコールで、カルボキシル基をエステル化することにより得ることができる。また、ダイマー酸とダイマージオール及びイソステアリルアルコールを一度にエステル化させることにより得ることができる。
成分(c)の製造において、中間体としてオリゴマーエステルを得る場合、中間体であるダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステルは、それぞれの仕込み比を変えることにより、得られるエステルの平均エステル化度や平均分子量を調整することができる。その仕込み比の範囲は、ダイマー酸1モル当量に対してダイマージオールを0.4〜0.9モル当量であることが好ましい。更に、イソステアリルアルコールでエステル化する場合、残存するカルボキシル基に対し0.8〜1.5モルであることが好ましい。
【0019】
成分(c)のエステル化合物を得る場合の、エステル化反応の条件は特に限定されず、通常用いられる方法で行われる。例えば、触媒としてパラトルエンスルホン酸、硫酸、塩酸、メタンスルホン酸、三フッ化硼素ジエチルエーテル錯体等を用い、溶媒としてヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等を用いて、50〜260℃で行うことができる。あるいは無溶剤、無触媒でも100〜260℃でエステル化を行うことができる。
【0020】
成分(c)のエステル化合物は、25℃における粘度が10,000〜20,000mPa・sであることが好ましい。このようなエステル化合物としては、LUSPLAN DA−DD−IS(日本精化社製)が挙げられる。尚、粘度は、コーンプレート型粘度計(Haake社製ROTO visco1)を用い、条件は、ずり速度100(1/s)、コーン直径35mm、角度2°で測定した。
【0021】
成分(c)の配合量は特に限定されないが、泡沫状エアゾール型ヘアワックス原液中、好ましくは0.1〜10%、より好ましくは1〜5%である。この範囲であれば、べたつくことなく、しなやかに整髪でき、再整髪性にも優れる。
【0022】
また、前述成分(b)と(c)の質量配合比は(b)/(c)=0.3〜3.0であることが好ましく、0.5〜2.0がより好ましい。この範囲であれば、成分(b)(c)それぞれの特性が生かされ、しなやかな仕上がりと再整髪性に優れたものが得られる。
【0023】
更に、本発明の泡沫状エアゾール型ヘアワックスには、上記の必須成分に加え、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲で、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性等の各種界面活性剤、多価アルコール、エステル油以外の各種油剤、シリコーン油、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン誘導体、コンディショニング剤、エモリエント剤、紫外線吸収剤、香料、殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤、ヘアケア用の美容成分等、毛髪用化粧料において使用可能な成分を配合することができる。
【0024】
本発明の泡沫状エアゾール型ヘアワックスの製造方法は、特に限定されず、常法により製造できる。例えば、上述した成分(a)〜(c)及びその他任意の配合成分を水に混合均一溶解し、これを原液として充填缶に充填し、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、窒素等の噴射剤を封入して製造できる。
原液と噴射剤との混合質量比も、特に制限はないが、概ね、原液:噴射剤=85:15〜95:5が原液を良好に噴霧することができ好ましい。
【実施例】
【0025】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0026】
(合成例1)
「ダイマー酸ダイマージオールオリゴマーエステルイソステアリルアルコールエステル化合物」
水素添加ダイマー酸(PRIPOL1006:ユニケマ社製)200g(0.348モル)及びダイマージオール(PRIPOL2033:ユニケマ社製)132g(0.243モル)を反応器に仕込み、窒素気流中210〜220℃に加熱し、生成する水を留去しながら5時間エステル化反応を行い、中間体であるダイマー酸ダイマージオールオリゴマーエステル(ダイマー酸:ダイマージオール=1:0.7)323gを得た。さらに、当該オリゴマーエステル307gとイソステアリルアルコール(Speziol C18 ISOC:コグニス社製)59g(0.217モル)を反応器に仕込み、窒素気流中210〜220℃に加熱し、生成する水を留去しながら10時間エステル化反応を行い、目的のエステル化合物351gを得た。得られたエステル化合物は、色相ガードナー2、酸価5.2、ケン化価111、粘度15,000mPa・s、屈折率1.48であった。
【0027】
(実施例1)本発明品1〜7及び比較品1〜5:泡沫状エアゾール型ヘアワックス
表1に示す組成のエアゾールタイプの泡沫状エアゾール型ヘアワックスを下記製法により調製し、「フレーキングのなさ」、「しなやかで均一な仕上がり」、「整髪持続性」、「再整髪性」の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1に示した。
【0028】
【表1】

【0029】
(製法)
A:成分2〜8を混合する。
B:成分9にAを添加混合する。
C:Cに成分1、10、11を添加し、混合し、泡沫状エアゾール型ヘアワックスの原液とする。
D:Cの原液92質量部を充填缶に充填し、噴射剤として液化石油ガス(LPG)を8質量部封入し、泡沫状エアゾール型ヘアワックスを得た。
【0030】
(評価方法)
(1)「フレーキングのなさ」、「しなやかで均一な仕上がり」
10人の専門パネルによる使用テストを行い、評価した。すなわち、市販のシャンプーで洗髪し、毛髪を乾燥させた後、各試料を吐出し、下記評価基準にて7段階で官能評価し、更に、各試料ごとにその評価点の平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
【0031】
<評価基準(7段階)>
評点:評価
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
<判定基準(4段階)>
評点平均値 : 判定
5点を超える : ◎
3点を超えて5点以下 : ○
2点を超えて3点以下 : △
2点以下 : ×
【0032】
(2)「整髪持続性」、「再整髪性」
人頭モデル(ウイッグ)に各試料を塗布し、ヘアスタイルを手で形作り、専門パネルにより、2時間後のヘアスタイルを確認し、下記評価基準にて整髪持続性の評価を行った。更に、その後ドライヤーを用い風力でヘアスタイルを強制的に崩し、再度元のヘアスタイルを形作る作業を1時間毎に3回繰り返し行い、下記評価基準にて再整髪性の評価を行った。
【0033】
<整髪持続性の評価基準>
◎:非常に良好。(2時間後も元のヘアスタイルのままである)
○:やや良好。(2時間後もほぼ元のヘアスタイルのままである)
△:やや劣る。(2時間後、ややヘアスタイルが崩れる)
×:非常に劣る。(2時間後には、ヘアスタイルが崩れている)
【0034】
<再整髪性の評価基準>
◎:非常に良好。(ヘアスタイルを3回崩した後も、再整髪で元の形に復元出来る)
○:やや良好。(ヘアスタイルを3回崩した後も、再整髪でほぼ元の形に復元出来る)
△:やや劣る。(ヘアスタイルを2回崩すと、再整髪により元の形に復元しづらい)
×:非常に劣る。(ヘアスタイルを1回崩すと、再整髪による復元が困難)
【0035】
表1の結果から明らかなように、本発明品1〜7の泡沫状エアゾール型ヘアワックスは、比較品1〜5のものと比較して、「フレーキングのなさ」、「しなやかで均一な仕上がり」、「整髪持続性」、「再整髪性」の全てにおいて良好なものであった。一方、成分(a)の被膜形成性樹脂を配合していない比較品1は「整髪持続性」、「再整髪性」の面で、成分(b)の常温で液状のエステル油を配合していない比較品2は「しなやかで均一な仕上がり」の面で、成分(c)のエステル化合物を配合していない比較品3は「再整髪性」の面で、成分(b)の代わりに常温で固形のエステル油を配合した比較品4は「しなやかで均一な仕上がり」「再整髪性」の面で、劣るものであった。さらに、成分(b)(c)を配合していない比較品5は、「整髪持続性」はあるものの、「フレーキングのなさ」、「しなやかで均一な仕上がり」、「再整髪性」の面で、劣るものであった。
【0036】
実施例2 泡沫状エアゾール型ヘアワックス
(成分) (%)
(原液)
(1)被膜形成性樹脂 *7 4
(2)トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 2
(3)エタノール 5
(4)香料 0.1
(5)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1
(6)エステル化合物 *6 1
(7)精製水 残量
*7:ユカフォーマーR205(ダイヤケムコ社製)
【0037】
(製法)
A.(2)〜(6)を均一に混合溶解する。
B.(7)にAを加え均一に混合する。
C.Bに(1)を加えの均一に混合し、泡沫状エアゾール型ヘアワックスの原液を得た。
D.原液55質量部に対し、噴射剤としてジメチルエーテル(DME)を45質量部を充填缶に封入し泡沫状エアゾール型ヘアワックスを得た。
【0038】
得られた実施例2の泡沫状エアゾール型ヘアワックスは、これを髪に適用すると、フレーキングのない均一でしなやかな仕上がりとなり、優れた整髪性を有し、また、整髪持続性にも優れ、さらに、ヘアスタイルが崩れた後の再整髪性にも優れたものであった。
【0039】
実施例3 泡沫状エアゾール型ヘアワックス
以下に示す組成の泡沫状エアゾール型ヘアワックスを下記の製法により製造した。
(原液)
(成分) (%)
(1)被膜形成性樹脂 *1 10
(2)2エチルヘキサン酸セチル 2
(3)エタノール 15
(4)香料 0.1
(5)エステル化合物 *6 4
(6)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.5
(7)オレンジ油 0.5
(8)精製水 残量
【0040】
(製法)
A.成分(2)〜(7)を均一に混合溶解する。
B.成分(8)を均一に混合溶解する。
C.BにA及び(1)を加え均一に混合し、泡沫状エアゾール型ヘアワックスの原液を得た。
D.この原液90質量部に対し、噴射剤としてLPGを10質量部を充填缶に封入し泡沫状エアゾール型ヘアワックスを得た。
【0041】
得られた実施例3の泡沫状エアゾール型ヘアワックスは、これを髪に適用すると、フレーキングのない均一でしなやかな仕上がりとなり、優れた整髪性を有し、また、整髪持続性にも優れ、さらに、ヘアスタイルが崩れた後の再整髪性にも優れたものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)〜(c);
(a)被膜形成性樹脂
(b)常温で液状のエステル油
(c)(a)下記一般式(1)に示すダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステルの両末端のカルボキシル基をイソステアリルアルコールでエステル化した化合物
OCO−R−(−COO−R−OCO−R−)−COOR ・・・(1)
(式中、Rはダイマー酸残基を、Rはダイマージオール残基を、Rはイソステアリルアルコール残基を示し、nは4〜6の数を示す。)
を配合することを特徴とする泡沫状エアゾール型ヘアワックス。
【請求項2】
前記成分(b)と(c)の配合質量比が、(b)/(c)=0.3〜3.0であり、成分(a)を1〜10質量%配合することを特徴とする請求項1記載の泡沫状エアゾール型ヘアワックス。

【公開番号】特開2007−269725(P2007−269725A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99418(P2006−99418)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】