説明

波長パス再配置方法及び上位レイヤパス再配置方法

【課題】通信網内で使用されている波長領域の空き波長も含めた波長数(使用波長領域数)並びに通信装置コストを削減することを目的とする。
【解決手段】通信網内に設定された波長パスを再配置するパス再配置装置における波長パス再配置方法は、波長パス設計部が、通信網内の使用波長領域数を再配置前の値より小さくする計算を行うことにより、再配置先の波長パスを設計する波長パス設計ステップと、波長パス設定部が、空き波長を用いて、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更する波長パス設定ステップを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長パス再配置方法及び上位レイヤパス再配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中継ノード間で波長変換が行われないトランスペアレント光メッシュ網においては、波長パスの設定及び削除を繰り返すことによって徐々に波長空き帯域を有効に使うことができなくなり、ネットワーク設備量が増大することが懸念される。また、OTN(Optical Transport Network)やSDH(Synchronous Digital Hierarchy)やVCAT(Virtual Concatenation)等の上位レイヤパスにおいても、パスの設定及び削除を繰り返すことによって波長パス内の収容効率が悪くなると考えられる。
【0003】
これらの問題を解決するために、波長パスを再配置する方法(非特許文献1参照)、パスの容量・経路を変更する方法(特許文献1参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−20572
【特許文献2】特開2007−209040
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】E. Bouillet, et al., "Lightpath Re-Optimization in Mesh Optical Networks", IEEE/ACM Transactions on Networking, Vol. 13, No2, pp437-pp447.April, 2005.
【非特許文献2】J. Kuri, et al., "Resolution of a WDM network design problem using a decomposition approach and a size reduction method", Proceedings of ECUMN 2002, Colmar,. France, April 2002.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の通り、波長パスの設定及び削除を繰り返すことによって、通信網内で使用されている波長領域内に空き波長が生じて、波長領域内の空き波長も含めた波長数(使用波長領域数)、すなわち、使用中の最小の波長番号から使用中の最大の波長番号までの波長数(通信網内で使用されていない波長番号を除く)が大きくなる。しかし、非特許文献1及び特許文献1に記載の方法では、使用波長領域数を削減することは考慮されていない。
【0007】
また、波長パスを再配置するときの順序(再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更する順序)と空きリソース量によっては、波長パスを再配置できない可能性がある。しかし、非特許文献1及び特許文献1に記載の方法では、波長パスを再配置するときの順序は考慮されていない。
【0008】
更に、波長パス内に上位レイヤパスが設定されている場合には、上位レイヤパスと波長パスとの双方を考慮して再配置する必要があるが、非特許文献1及び特許文献1に記載の方法では、このような点は考慮されていない。
【0009】
更に、波長パスの再配置を行うオペレーション数を考慮して、オペレーションコストも最小にするような波長パスの再配置方法は考えられていない。
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明は、通信網内で使用されている波長領域の空き波長も含めた波長数(使用波長領域数)の削減並びにオペレーションコストを削減する波長パス再配置方法及び上位レイヤパス再配置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の波長パス再配置方法は、
通信網内に設定された波長パスを再配置するパス再配置装置における波長パス再配置方法であって、
波長パス設計部が、通信網内の使用波長領域数を再配置前の値より小さくする計算を行うことにより、再配置先の波長パスを設計する波長パス設計ステップと、
波長パス設定部が、空き波長を用いて、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更する波長パス設定ステップと、
を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の上位レイヤパス再配置方法は、
通信網内に設定された波長パス内の上位レイヤパスを再配置するパス再配置装置における上位レイヤパス再配置方法であって、
上位レイヤパス設計部が、通信網内で使用されている波長数を再配置前の値より小さくする計算を行うことにより、再配置先の上位レイヤパスを設計する上位レイヤパス設計ステップと、
上位レイヤパス設定部が、再配置対象の上位レイヤパスを再配置先の上位レイヤパスに変更する上位レイヤパス設定ステップと、
を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の波長パス再配置方法は、
通信網内に設定された波長パスを再配置するパス再配置装置におけるパス再配置方法であって、
波長パス設計部が、通信装置の利用効率を上げる、もしくは将来的なトラフィック需要による波長衝突を削減するように波長パスを再配置する波長パス設計ステップと、
空き波長を用いて、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更するための順序を決定してオペレーション数を算出する収容順序演算ステップを有し、
オペレーション数が最小の波長再配置及び順序を決定するステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通信網内で使用されている波長領域の空き波長も含めた波長数(使用波長領域数)を削減とともにオペレーションコストの削減も実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】使用波長領域数と使用波長数とを説明するための図(その1)
【図2】使用波長領域数と使用波長数とを説明するための図(その2)
【図3】フラグメンテーション関数の説明図例
【図4】本発明の第1の実施形態に係る管理装置のブロック図(集中制御方式)
【図5】本発明の第1の実施形態に係るノード装置のブロック図(その1)
【図6】本発明の第1の実施形態に係るノード装置のブロック図(その2)
【図7】本発明の第1の実施形態に係るノード装置のブロック図(分散制御方式)
【図8】本発明の第1の実施形態で用いられるフロー保存方程式の算出例を示す図
【図9】本発明の第1の実施形態に係る管理装置で計算された再配置前後の波長パスを示す図
【図10】本発明の第1の実施形態に係る管理装置における収容順序決定手順を示す図
【図11】本発明の第1の実施形態に係る管理装置における波長パス設定手順を示す図
【図12】本発明の第1の実施形態に係る管理装置における波長パスの再配置を示す図
【図13】本発明の第1の実施形態に従って波長パスを設定するシーケンス図(集中制御方式)
【図14】本発明の第1の実施形態に従って波長パスを設定するシーケンス図(分散制御方式)
【図15】本発明の第2の実施形態に係る管理装置における収容順序決定手順を示す図
【図16】本発明の第3又は4の実施形態に係る管理装置のブロック図(集中制御方式)
【図17】本発明の第4の実施形態に係る管理装置における波長パスの再配置を示す図
【図18】本発明の第4の実施形態に係る管理装置における波長パス設定手順を示す図
【図19】本発明の第5の実施形態に係る管理装置のブロック図(集中制御方式)
【図20】本発明の第5の実施形態に係る管理装置における波長パスの再配置を示す図
【図21】本発明の第6の実施形態に係る管理装置のブロック図(集中制御方式)
【図22】本発明の第6の実施形態に係る管理装置における上位レイヤパス設定手順を示す図
【図23】本発明の第6の実施形態に従って上位レイヤパスを設定するシーケンス図(集中制御方式)
【図24】本発明の第6の実施形態に従って上位レイヤパスを設定するシーケンス図(分散制御方式)
【図25】本発明の第7の実施形態に係る管理装置のブロック図
【図26】本発明の第7の実施形態に係る管理装置における上位レイヤパス設定手順を示す図
【図27】本発明の第8の実施形態に係る管理装置のブロック図(集中制御方式)
【図28】本発明の第8の実施形態に係る管理装置における上位レイヤパス及び波長パスの再配置手順を示す図
【図29】本発明の第9の実施形態に係る管理装置における収容順序決定手順を示す図
【図30】本発明の第10の実施形態に係る管理装置における波長パス設定手順を示す図
【図31】本発明の第10の実施形態で用いられる物理トポロジ及び波長割当状況を示す図
【図32】本発明の第10の実施形態に係る管理装置における波長パスの再配置を示す図
【図33】本発明の第11の実施形態に係る管理装置における計算対象の波長パスを示す図
【図34】本発明の第12の実施形態に係る管理装置における計算対象の波長パスを示す図
【図35】本発明の第13の実施形態に係る通信システムの概要図
【図36】本発明の第14の実施形態に係る管理装置における波長パスの再配置を示す図
【図37】本発明の第15の実施形態に係るフローチャート
【図38】本発明の第15の実施の形態に係るフラグメンテーションコストの説明図例
【図39】本発明の第16の実施形態に係るフローチャート
【図40】本発明の第19の実施の形態に係るフローチャート
【図41】本発明の第19の実施の形態における効果
【図42】本発明の第20の実施の形態における再配置の例を示す図
【図43】本発明の実施形態における上位レイヤパスの再配置の効果を示す図
【図44】本発明の実施形態における波長パスの再配置の効果を示す図
【図45】本発明の効果を示すための想定モデル
【図46】本発明における波長パス及び上位例やパス再配置の効果
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0017】
まず、本発明の実施形態で用いる用語について説明する。
【0018】
「使用波長領域数」とは、通信網内で使用されている波長領域の空き波長を含めた波長数、すなわち、使用中の最小の波長番号から使用中の最大の波長番号までの波長数(通信網内で使用されていない波長番号を除く)のことである。使用波長領域数の算出には、(1)リンク毎に使用されている波長領域の波長数を算出する方法と、(2)通信網全体で使用されている波長領域の波長数を算出する方法との2通りがある。
【0019】
「使用波長数」とは、使用されている波長の数である(空き波長は含まない)。
【0020】
例えば、図1のように波長を小さい順又は大きい順に割り当てた通信網における使用波長領域数及び波長数について説明する。(1)の場合、ノードA-B間の使用波長領域数は6(λ1〜λ6)となり、使用波長数は4(λ1、λ2、λ3、λ6)となる。ノードB-C間の使用波長領域数は4(λ2〜λ5)となり、使用波長数は3(λ2、λ3、λ5)となる。ノードC-D間の使用波長領域数は5(λ2〜λ6)となり、使用波長数は5(λ2〜λ6)となる。(2)の場合、全てのリンクにおいて使用波長領域数は6(λ1〜λ6)となる。
【0021】
また、図2のように波長をランダムに(小さい順又は大きい順以外の方法で)割り当てた場合又は波長パスが削除されて使用されていない波長が存在する場合、通信網内において使用されている波長を片側に寄せて使用波長領域数を算出する。(1)の場合、ノードA-B間の使用波長領域数は3(λ1、λ2、λ6)となり、使用波長数は3(λ1、λ2、λ6)となる。ノードB-C間の使用波長領域数は4(λ2、λ6、λ4、λ7)となり、使用波長数は3(λ2、λ4、λ7)となる。ノードC-D間の使用波長領域数は4(λ2、λ6、λ4、λ7)となり、使用波長数は3(λ2、λ6、λ7)となる。(2)の場合、全てのリンクにおいて使用波長領域数は5(λ1、λ2、λ6、λ4、λ7)となる。
【0022】
なお、「使用波長数領域数」は、ノードの「使用しているポートまでの数」、「使用波長数」はノードの「使用しているポート数」としてもよい。
【0023】
「スイッチング機能部」とは、信号光をスイッチングする機能部であり、例えば、光クロスコネクト、光スイッチ、ODU(Optical-channel Data Unit)クロスコネクト、2-D MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スイッチ、3-D MEMSスイッチ等が含まれる。
【0024】
「波長パス選択機能部」とは、波長を選択する機能部であり、例えばWSS(Wavelength Selective Switch)等が含まれる。
【0025】
「管理装置」とは、波長パスの波長及び経路を選択して設定し、また、上位レイヤパスの経路を選択して設定する装置であり、例えば、NMS(Network Management System)、NRM(Network Resource Manager)、PCE(Path Computation Element)、EMS(Element Management System)等が含まれる。
【0026】
「無瞬断切り替え」とは、瞬断なく切り替えることであり、例えば、短時間で(50ms以内等)パスを切り替えること、データが欠落しないようにパスを切り替えること、パケットレイヤでパケットが欠落しないようにパスを切り替えること等が含まれる。短時間でパスを切り替える場合には、その間のデータが欠落してもよい。
【0027】
「上位レイヤパス」とは、波長パス内に設定されてユーザに提供されるパスのことであり、例えば、TDM(Time Division Multiplexing)パス、SDH(Synchronous Digital Hierarchy)パス、Ethernet(登録商標)、MPLS(Multiprotocol Label Switching)のLabel Switched Path、又はそれらをグループ化したVCAT(Virtual Concatenation)、Link Aggregation等が含まれる。上位レイヤパスは、波長パスに重畳される。
【0028】
「上位レイヤパスの粒度」とは、上位レイヤパスに割り当てられた帯域量のことであり、例えば、1G上位レイヤパスの粒度とは、1Gであり、3G上位レイヤパスの粒度とは3Gである。
【0029】
「通信路設定メッセージ」とは、リソースの予約又はリソースの割り当てを行う制御情報とパス経路情報とを含むメッセージのことであり、波長パスを設定する場合には、通信路設定メッセージは更に波長情報を含む。
【0030】
「通信路設定完了通知」とは、波長情報を含む波長パスの設定が完了したことを通知するメッセージである。
【0031】
「通信路削除メッセージ」とは、リソースの開放予約又はリソースの開放を行う制御情報とパス経路情報とを含むメッセージのことであり、波長パスを削除する場合には、通信路削除メッセージは更に波長情報を含む。
【0032】
「通信路削除完了通知」とは、波長情報を含む波長パスの削除が完了したことを通知するメッセージである。
【0033】
「上位レイヤパス設定メッセージ」とは、上位レイヤパスを収容する波長パスを選択するための波長情報又はポート情報と、収容する上位レイヤパスの識別情報とを含むメッセージである。
【0034】
「上位レイヤパス削除完了通知」とは、上位レイヤパスの識別情報を含む上位レイヤパスの削除が完了したことを通知するメッセージである。
【0035】
「上位レイヤパス削除メッセージ」とは、リソースの開放予約又はリソースの開放を行う制御情報とパス経路情報とを含むメッセージのことであり、更に上位レイヤパスの識別情報を含む。
【0036】
「波長パス選択完了通知」とは、上位レイヤパスの識別情報を含む波長パスの選択が完了したことを通知するメッセージである。
【0037】
「リソース開放メッセージ」とは、ノード装置に対してリソース開放を行う制御情報を含むメッセージのことである。
【0038】
「リソース割当」とは、波長パスにおいては、入力ポートからの波長多重信号光から分波された光信号を、所定の出力光伝送路ポートに同じ波長で出力されるように設定すること(光クロスコネクト)のことである。上位レイヤパスにおいては、始点ノードと終点ノードとの間に上位レイヤパスを設定することであり、始点ノード及び終点ノードに上位レイヤパス設定メッセージを送信することで設定可能である。
【0039】
「リソース割当メッセージ」とは、ノード装置に対してリソース割り当てを行う制御情報を含むメッセージのことである。
【0040】
「通信装置」とは、ROADM、ODUクロスコネクトスイッチ、MPLS-TPルータ、OXC、トランスポンダー等である。
【0041】
「オペレーション数」とは、パスを再配置するときに必要となるパスの設定/削除シーケンスの数のことである。もしくは、パスの設定/削除に必要なオペレーションコストの合計である。
【0042】
「波長チャネル」とは、図3に示すように、ネットワーク内における波長番号のことのことである。
【0043】
「フラグメンテーション」とは、図3に示すように、ある波長チャネルにおいて使用可能な経路が限られている状態、もしくは波長がリンクに対して離散的になっている状態をさす。
【0044】
本発明における実施形態について、以下の3つの場合について説明する。
【0045】
(1)波長パスを再配置する場合(第1の実施形態〜第5の実施形態、第9の実施形態〜第12の実施形態、第14の実施形態〜第20の実施の形態)
(2)上位レイヤパスを再配置する場合(第6の実施形態〜第7の実施形態)
(3)上位レイヤパスを再配置し、その後波長パスを再配置する場合(第8の実施形態)
なお、(3)は(1)と(2)とを組み合わせた方法であり、(2)の再配置によって不要な波長パスを削減することによって波長パスの再配置数を削減することが可能となる。
【0046】
<第1の実施形態>
第1の実施形態では、波長パスを再配置する場合について説明する。波長パスの設定方法としては集中制御方式と分散制御方式が存在する。集中制御方式は、1つの管理装置で通信網内全体のノード装置を管理し、各ノード装置に対して波長パス及び上位レイヤパスを設定するための制御信号を送信する方式である。分散制御方式は、各ノード装置に管理制御機能が備えられる方式である。
【0047】
まず、集中制御方式での管理装置及びノード装置について説明する。
【0048】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る管理装置10のブロック図である。管理装置10は、既存パス管理データベース101と、波長パス事前設計機能部102と、再配置対象パス管理データベース103と、波長パス収容順序決定機能部104と、収容順序管理データベース105と、パス設定機能部106と、制御信号送受信インタフェース107とを有する。
【0049】
既存パス管理データベース101は、通信網内に設定された既存波長パスの経路・波長情報と、通信網内の各リンクの空き波長情報と、上位レイヤパスの収容先の波長パスの経路・波長情報と、各上位レイヤパスの粒度とを管理する。既存パス管理データベース101は、クライアント情報(どの上位レイヤパスがどのクライアントに対応するかという情報)を管理してもよい。
【0050】
波長パス事前設計機能部102は、既存パス管理データベース101で管理されている情報を用いて、再配置対象の波長パスと、再配置先の波長パスとを事前に設計する。再配置先の波長パスの設計方法は、後述する。
【0051】
再配置対象パス管理データベース103は、波長パス事前設計機能部102から得られた再配置対象の波長パス(再配置する必要のある波長パスの再配置前の波長パス)の経路・波長と、再配置先の波長パス(再配置する必要のある波長パスの再配置後の波長パス)の経路・波長とを保存する。
【0052】
波長パス収容順序決定機能部104は、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更することができる収容順序を決定する。収容順序の決定方法は、後述する。
【0053】
収容順序管理データベース105は、波長パス収容順序決定機能部104で決定された収容順序情報を保存する。
【0054】
パス設定機能部106は、収容順序に従って、波長パス及び上位レイヤパスを設定/削除する。具体的には、パス設定機能部106は、波長パス及び上位レイヤパスの設定/削除を指示するため、制御信号送受信インタフェース107を介してリソース割当メッセージ、通信路設定メッセージ又は通信路削除メッセージをノード装置に送信する。また、パス設定機能部106は、上位レイヤパスの収容先波長パスの設定/削除を指示するため、制御信号送受信インタフェース107を介して上位レイヤパス設定メッセージをノード装置に送信する。なお、パス設定機能部106は、波長パス及び上位レイヤパスのリソースの予約(割当)又は開放(削除)情報を保存するためのリソース管理データベース(図示せず)を有してもよい。
【0055】
制御信号送受信インタフェース107は、制御信号をノード装置に送信し、また、ノード装置から制御信号を受信する。
【0056】
図5は、本発明の第1の実施形態に係るノード装置20のブロック図である。ノード装置20は、制御信号送受信インタフェース201と、上位レイヤ装置接続インタフェース202と、信号複製機能部203と、無瞬断切り替え機能部204と、波長パス選択機能部205と、スイッチング機能部206と、データ転送用インタフェース207とを有する。
【0057】
制御信号送受信インタフェース201は、管理装置から制御信号を受信し、また、管理装置へ制御信号を送信する。
【0058】
上位レイヤ装置接続インタフェース202は、上位レイヤパスを提供する上位レイヤ装置に接続するためのインタフェースである。
【0059】
信号複製機能部203は、上位レイヤ装置接続インタフェース202から入力された信号を複製し、2つのポートから複製信号を送信する。
【0060】
無瞬断切り替え機能部204は、信号複製機能部203から入力された2つの信号の位相同期を行い、無瞬断で切り替える。
【0061】
波長パス選択機能部205は、制御信号送受信インタフェース201から送られてきた制御信号に基づいて、上位レイヤパスを収容する波長パス(波長)を選択する。
【0062】
スイッチング機能部206は、制御信号送受信インタフェース201から送られてきた制御信号に基づいて、波長パスを設定/削除する。
【0063】
データ転送用インタフェース207は、データを別ノードに転送する。
【0064】
また、図6に示すように、信号複製機能部203で信号を複製せずに、上位レイヤ装置接続インタフェース202の2つのポートから同じデータを出力してもよい。この場合、信号複製機能部203はノード装置20に含まれなくてもよい。
【0065】
次に、分散制御方式でのノード装置について説明する。
【0066】
図7に分散制御方式でのノード装置を示す。分散制御方式の場合、各ノード装置は、図4に示す管理装置の各管理機能部を有する。例えば、図7に示すように、図5のノード装置に、図4の管理装置の各管理機能部が含まれてもよい。同様に、図6のノード装置に、図4の管理装置の各管理機能部が含まれてもよい。図5又は図6におけるノード装置の制御情報送受信インタフェースが各管理機能部と接続するためのインタフェースとなる。なお、パス設定機能部106は、波長パス及び上位レイヤパスのリソースの予約(割当)又は開放(削除)情報を保存するためのリソース管理データベース(図示せず)を有してもよい。
【0067】
次に、波長パス事前設計機能部102における波長パスの再配置先の設計方法について説明する。この設計方法は、オフラインで事前に設計されてもよい。ここでは、整数線形計画法(ILP:integer linear programming)を用いて、再配置先の波長パスの経路及び波長を事前に設計する。
【0068】
波長パス事前設計機能部102は、以下の目的関数を最小化する波長パスの経路及び波長を計算する。
【0069】
【数1】

この目的関数は、使用されている波長番号と波長数の積の合計数を最小化するための関数、すなわち、使用波長領域数を最小化するための関数である。すなわち、できるだけ小さい波長番号から順に波長を使用し、使用されている波長数を少なくすることを目的とした関数である。ただし、pijwsdは、波長wが使用されているか否かを示す変数であり、始点sから終点dまでの各物理リンク(i,j)において、波長wが使用されている場合はpijwsd=1であり、波長wが使用されていない場合はpijwsd=0である。Vはノードの集合であり、Eはリンクの集合であり、Wは波長の集合(w=0,1,2,3,...,WMAX)であり、WMAXは最大波長多重数であり、これらは予め決められたパラメータである。
【0070】
目的関数(1)の計算にあたり、以下の制約条件を用いる。
【0071】
【数2】

【0072】
【数3】

【0073】
【数4】

【0074】
【数5】

制約条件(2)は、始点s、終点d及び波長wにおいて各リンクのトラヒックフローを表す方程式(非特許文献2参照)である。この制約によりパスの経路と始点・終点ノードで同一波長を選択することが可能となる。ただし、λwsdは、始点sから終点dまでの経路で波長wが使用されている数(0〜Dsd)を示す。λwsd=0の場合、始点sから終点dまでの経路で波長wが使用されていないことを示し、λwsd=1の場合、始点sから始点dまでの1つの経路で波長wが使用されていることを示す。また、i<jのときΣpijwsd=Σpijwsd、i>jのときΣpijwsd=−Σpjiwsdとなる。制約条件(2)の算出例を図8に示す。λwsdは、既存パス管理データベース101内に保存された通信網内に設定された既存波長パスの経路・波長情報から求めることができる。
【0075】
制約条件(3)は、各リンクの波長数の合計が最大波長多重数WMAX以下とする条件である。
【0076】
制約条件(4)は、波長衝突を起こさないための条件であり同じリンクで2つ以上の同じ波長を使わないという条件である。
【0077】
制約条件(5)は、始点sから終点dまでの経路で使用される波長の合計数が、始点sから終点dまでの波長パスの需要総数Dsdに等しいという条件である。ただし、Dsdは、始点sから終点dまでの波長パスの総数であり、既存パス管理データベース101内に保存された既存パスの経路・波長情報から予め求められる。
【0078】
制約条件(2)〜(5)を用いて目的関数(1)を計算することにより、再配置後の波長パスの経路及び波長pijwsdが出力される。
【0079】
制約条件(2)〜(5)に加えて、次の制約条件(6)〜(9)のうち1つ以上が用いられてもよい。
【0080】
【数6】

【0081】
【数7】

【0082】
【数8】

【0083】
【数9】

制約条件(6)は、始点sから終点dまでのホップ数の合計が最大ホップ数Himpairment以下とする条件である。ただし、Himpairmentは最大伝送可能ホップ数であり、予め決められたパラメータである。
【0084】
制約条件(7)は、始点sから終点dまでのホップ数の合計が、始点s及び終点dのノードの組毎に設定した伝送ホップ数Hsd以下とする条件である。ただし、Hsdは、始点sから終点dまでのパスにおける伝送ホップ数であり、予め決められたパラメータである。
【0085】
制約条件(8)は、再配置する波長の数が既存波長数の合計数のうち所定の割合Rを超えないようにする条件である。すなわち、制約条件(8)は、再配置対象の波長数が所定の閾値を超えないようにする条件である。ただし、Rは再配置する波長パスの割合であり、予め決められたパラメータである。
【0086】
制約条件(9)は、再配置前の始点sから終点dの経路ホップ数と再配置後の経路ホップ数との差が遅延差又は距離差の限界Hdelayを満たすホップ数以下であるとする条件である。ただし、Hdelayは、許容される最大の遅延差又は距離差を満たすホップ数であり、予め決められたパラメータである。
【0087】
制約条件(6)を用いることにより、再配置対象の波長数を制限することができる。また、制約条件(7)のHsdにおいて、最短ホップ数を事前に設定することで、最短経路の波長パスを計算することができる。また、制約条件(8)により、パスを切り替える際のバッファメモリの許容範囲内での経路選択が可能になる。
【0088】
また、制約条件(2)〜(5)に加えて、以下の制約条件(10)が用いられてもよい。
【0089】
【数10】

制約条件(10)は、経路変更を行わないという条件、すなわち、再配置前の波長パスと再配置後の波長パスの経路が同じであるという条件である。ただし、p0ijwsdは、再配置前に波長wが使用されているか否かを示す変数であり、始点sから終点dまでの各物理リンク(i,j)において、再配置前に波長wが使用されている場合はp0ijwsd =1であり、再配置前に波長wが使用されていない場合はp0ijwsd=0である。p0ijwsdは、既存パス管理データベース101内に、通信網内に設定された既存波長パスの経路・波長情報として保存されている。
【0090】
このように、制約条件(10)では、経路変更を行わずに再配置先の波長パスを計算することができる。
【0091】
波長パス事前設計機能部102は、線形計画法(ILP)により目的関数を最小化する波長パスの経路・波長pijwsdを求め、再配置対象の波長パスの経路・波長と、再配置先の波長パスの経路・波長とを再配置対象パス管理データベース103に保存する。なお、再配置対象の波長パスは、再配置前の波長パスの経路・波長と、前記波長パス事前設計機能部から算出された波長パスの経路・波長pijwsdとの比較により抽出することができる。具体的には、図9に示すように、再配置前後の波長・経路が異なる場合(λ1、λ3、λ5、λ6)、再配置対象の波長パスとなり、再配置前後の波長・経路が同じである場合(λ2、λ4)、再配置対象の波長パスとはならない。
【0092】
次に、波長パス収容順序決定機能部104は、波長パス収容順序決定機能部104における再配置対象の波長パスの収容順序を決定する。ここでは、波長パス収容順序決定機能部104は、空き波長を用いて、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更することができる収容順序を事前に決定する。具体的には、波長パス収容順序決定機能部104は、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更する際に、再配置先に既に波長パスが存在するか否かを判別し、既に波長パスが存在する場合、その波長パスを空き波長に退避させることにより、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更することができる収容順序を決定する。波長パス収容順序決定機能部104における収容順序決定手順について、図10を用いて説明する。
【0093】
波長パス事前設計機能部102で算出されて再配置対象パス管理データベース103に保存された再配置対象の波長パスの数をNとしたときに、N!通りの収容順序が考えられる。波長パス収容順序決定部104は、このN!通りの収容順序のそれぞれについて、空き波長を用いて再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更可能であるか否かを判別し、変更可能である収容順序jを収容順序管理データベース105に出力する。なお、再配置対象の波長パスの経路・波長と、再配置先の波長パスの経路・波長とは、再配置対象パス管理データベース103に保存されている。更に、空き波長(各リンクにおける空き波長リソース数、各リンクにおける空き波長番号)は、既存パス管理データベース101内に、空き波長情報として保存されている。
【0094】
まず、ステップS101において、再配置先のN本の波長パスにおいて、再配置する波長の順番i(1≦i≦N)の全ての組み合わせj(1≦j≦N!)を求める。例えば、図9に示す例では、N=4である。4本の波長を再配置する収容順序は、4!=24通り考えられる。従って、ステップS101では、4本の波長(λ1、λ3、λ5、λ6)を再配置する収容順序の全ての組み合わせ(1,2,3,4),(1,2,4,3,),(1,3,2,4),...(4,3,2,1)を求め、順にj=1,2,...24とする。
【0095】
ステップS102において、再配置する波長の収容順序の組み合わせj=1から計算をする。
【0096】
ステップS103において、通信網内全てのリンクlに関して、リンクlの空き波長の使用数Ul=0とする。そして、再配置する波長の順番i=1とする。
【0097】
ステップS104において、R0,ijをjの収容順序におけるi番目の再配置対象の波長パスの経路情報とし、W0,ijをjの収容順序におけるi番目の再配置対象の波長パスの波長番号とし、Rijをjの収容順序におけるi番目の再配置先の波長パスの経路情報とし、Wijをjの収容順序におけるi番目の再配置先の波長パスの波長番号としたときに、経路R0,ij・波長W0,ijの波長パスの再配置先の経路Rij・波長Wijに既存波長パスが存在するか否かを判別する。既存波長パスが存在する場合には、ステップS105に進み、既存波長パスが存在しない場合には、ステップS112に進む。
【0098】
ステップS105において、再配置先の波長パスが既存波長パスに使用されているため、既存波長パスに使われている波長Wijを、一時的に空き波長Wc,ijに退避させる。具体的には、リンクlにおける空き波長数をClとし、Wijに既存波長パスが存在していたときのWijの変更先の波長番号をWc,ijとすると、Clの空き波長の中から変更先の波長番号Wc,jiを見つけ、既存波長パスに使われている波長Wijを、経路Rijの変更先の波長Wc,ijに変更する。そして、Rijの全てのリンクにおいてUl→Ul+1とする。
【0099】
ステップS106において、通信網内全てのリンクに関して、ClとUlとを比較する。Cl≧Ulである場合、既存波長パスに使われている波長Wijを、一時的に空き波長Wc,ijに退避させることができるため、ステップS107に進み、Cl<Ulである場合、ステップS109に進む。
【0100】
ステップS107において、jの収容順序における最後の順番の波長まで計算したか否かを判別する(i=N ?)。i=Nの場合、最後の順番の波長まで計算したことになり、ステップS108に進む。i≠Nの場合、最後の順番の波長まで計算していないため、ステップS114に進む。
【0101】
ステップS108において、再配置する波長の収容順序jを出力する。
【0102】
ステップS109において、再配置する波長の順序の全ての収容順序の組み合わせの計算が終了したか否かを判別する(j=N! ?)。j=N!の場合、全ての収容順序の組み合わせの計算が終了したことになり、収容順序決定手順が終了する。このとき再配置が不可能となるため、波長パス事前設計機能部において例えば数式(8)の制約を用いて再度計算を行う必要がある。j≠N!の場合、全ての収容順序の組み合わせの計算が終了していないため、ステップS110に進む。
【0103】
ステップS110において、ステップS105で変更した波長情報を初期化する。すなわち、経路Rijの変更先の波長Wc,ijに変更された波長を元の波長Wijに戻す。
【0104】
ステップS111において、j→j+1とし、ステップS103に戻る。
【0105】
ステップS112において、再配置対象の波長パスに使用されている波長W0,ijがステップS105で変更した波長Wc,ijであるか否かを判別する。波長W0,ijが波長Wc,ijである場合、ステップS113において、Wc,ijにおける経路Rijの全てのリンクにおいてUl→Ul−1とし、空き波長数Clを1つ増やす(Cl→Cl−1)、ステップS114に進む。波長W0,ijが波長Wc,ijでない場合、ステップS114に進む。
【0106】
ステップS114において、i→i+1とし、ステップS104に戻る。
【0107】
以上から、波長パスの収容順序が決定され、収容順序jは、収容順序管理データベース105に保存される。また、図10の収容順序決定手順は、収容順序jのときにどの空き波長を用いて再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更できるかも示している。
【0108】
また、ステップS105とステップS106との間に以下のステップS105−2を加え、ステップS107とステップS108との間に以下のステップS107−2を加えることで、最小の空きリソースを使用して波長パスを再配置することが可能となる。
【0109】
ステップS105−2において、各リンクの使用リソースUlの合計使用リソースΣUlを計算し、jの収容順序における合計使用リソース数ΣUlを保存する。
【0110】
ステップS107において、jの収容順序における最後の順番の波長まで計算したか否かを判別する(i=N ?)。i=Nの場合、最後の順番の波長まで計算したことになり、ステップS107−2に進む。i≠Nの場合、最後の順番の波長まで計算していないため、ステップS114に進む。この場合、ステップS114において、i→i+1とし、ステップS103に戻る。
【0111】
ステップS107−2において、全ての収容順序の組み合わせjについて計算が終了したか否かを判別する(j=N! ?)。j=N!の場合、全ての収容順序の組み合わせjについて計算が終了したことになり、ステップ108において、ステップS105−2で保存したUlが最小値の場合の収容順序jを出力する。j≠N!の場合、全ての収容順序の組み合わせjについて計算が終了していないため、ステップS103に戻る。
【0112】
次に、パス設定機能部106は、波長パス収容順序決定機能部104で決定された収容順序jに基づいて、波長パスを設定する。パス設定機能部106における波長パス設定手順について、図11を用いて説明する。ここで、パス設定機能部106は、空き波長を用いて再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更する。なお、再配置対象の波長パスの経路・波長と、再配置先の波長パスの経路・波長とは、再配置対象パス管理データベース103に保存されている。更に、空き波長(各リンクにおける空き波長番号)は、既存パス管理データベース101内に、空き波長情報として保存されている。更に、上位レイヤパスの収容先の波長パスの経路・波長情報と、上位レイヤパスの粒度とは、既存パス管理データベース101に保存されている。
【0113】
ステップS201において、波長パス収容順序決定機能部104で決定された収容順序jを取得する。まず、i=1とする。
【0114】
ステップS202において、R0,ijをjの収容順序におけるi番目の再配置対象の波長パスの経路情報とし、W0,ijをjの収容順序におけるi番目の再配置対象の波長パスの波長番号とし、Rijをjの収容順序におけるi番目の再配置先の波長パスの経路情報とし、Wijをjの収容順序におけるi番目の再配置先の波長パスの波長番号としたときに、経路R0,ij・波長W0,ijの波長パスの再配置先の経路Rij・波長Wijに既存波長パスが存在するか否かを判別する。既存波長パスが存在する場合には、ステップS208に進み、既存波長パスが存在しない場合には、ステップS203に進む。
【0115】
ステップS203において、再配置先の波長パスが空き波長であるため、再配置先の波長パスの経路Rij・波長Wijを用いて波長パスを設定する。
【0116】
ステップS204において、再配置対象の波長パスに収容されている上位レイヤパスと同じ粒度(及びクライアント情報)の上位レイヤパスを、ステップS203において設定した再配置先の波長パスに収容する。
【0117】
ステップS205において、経路R0,ij・波長W0,ijの再配置対象の波長パスを削除する。
【0118】
ステップS206において、全ての再配置対象の波長パスの再配置が終了したか否かを判別する。全ての再配置が終了した場合には、波長パス設定手順が終了する。全ての再配置が終了していない場合には、ステップS207において、i→i+1とし、ステップS202に戻る。
【0119】
ステップS208において、再配置先の波長パスが既存波長パスに使用されているため、既存波長パスに使われている波長Wijを、一時的に空き波長Wc,ijに退避させる。具体的には、空き波長Wc,ijに波長パスを設定する。
【0120】
ステップS209において、再配置先の経路Rij・波長Wijに存在している波長パスに収容されている上位レイヤパスと同じ粒度(及びクライアント情報)の上位レイヤパスをステップS208で設定した波長パスに収容する。
【0121】
ステップS210において、再配置先で既存波長パスに使われている経路Rij・波長Wijの波長パスを削除する。
【0122】
ステップS211において、波長Wijを波長Wc,ijに変更したため、既存波長パスに使われている波長Wijを、経路Rijの変更先の波長Wc,ijに変更すると共に、空き波長番号を更新する。そして、ステップS202に戻る。
【0123】
以上の波長パスの再配置の概要図を図12に示す。図9を用いて説明したように、再配置対象の波長パスは、λ1、λ3、λ5、λ6の4本である。再配置対象の波長パス(λ6)の再配置先の波長パスが使用されていない場合、この波長パスは、再配置先の波長パスに変更することができる。従って、再配置先の波長パスを設定し、再配置対象の波長パス(λ6)に収容されている上位レイヤパスを、再配置先の波長パスに収容する。上位レイヤパスの収容が終了すると、再配置対象の波長パス(λ6)を削除する。
【0124】
しかし、再配置対象の波長パス(λ5)の再配置先の波長パスが既存波長パスに使用されている場合、既存波長パス(λ2)を空き波長(λ7)に退避させる。既存波長パス(λ2)と同じ経路の波長パスを空き波長(λ7)に設定し、既存波長パス(λ2)に収容されている上位レイヤパスを空き波長に設定された波長パス(λ7)に収容する。上位レイヤパスの収容が終了すると、既存波長パス(λ2)を削除する。その後、再配置対象の波長パス(λ5)を再配置先の波長パスに変更する。同様に、再配置先の波長パスを設定し、再配置対象の波長パス(λ5)に収容されている上位レイヤパスを、再配置先の波長パスに収容する。上位レイヤパスの収容が終了すると、再配置対象の波長パス(λ5)を削除する。空き波長に設定された波長パス(λ7)を再配置対象の波長パスとして、上記の処理を繰り返すことで、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに無瞬断で変更することができる。
【0125】
次に、集中制御方式の場合に、管理装置10からノード装置20に対して波長パスを設定するシーケンス図を図13に示す。
【0126】
ステップS301において、管理装置10は、再配置対象の波長パスに対する再配置先の波長パスの経路・波長を決定し、始点ノードにリソース割当メッセージを送信する。ステップS302において、始点ノードは送信されてきた経路・波長情報に基づいてクロスコネクト(XC)の設定を行い、通信路設定完了通知を管理装置10に送信する。同様に、ステップS303及びS304において、中継ノード及び終点ノードでXCの設定を行う。
【0127】
ステップS305において、終点ノードでの通信路設定完了通知の受信を契機に、再配置対象の波長パスの上位レイヤパスを再配置先波長パスに収容するため、始点ノードに上位レイヤパス設定メッセージを送信する。ステップS306において、始点ノードの波長パス選択機能部205は、再配置先の波長パスを選択し、信号複製機能部203で複製された上位レイヤパスの信号を再配置先の波長パスに収容する。全ての上位レイヤパスの収容が終了すると、始点ノードは、波長パス選択完了通知を管理装置に送信する。同様に、ステップS307において、終点ノードで再配置先の波長パスを選択し、上位レイヤパスの信号を再配置先の波長パスに収容して上位レイヤパスを開通させる。
【0128】
ステップS308において、全ての上位レイヤパスの波長パス選択完了通知の受信を契機に、管理装置10は、通信路削除メッセージを始点ノード、中継ノード及び終点ノードに送信する。ステップS309、S310及びS311において、それぞれ始点ノード、中継ノード及び終点ノードは、XCを削除し、通信路削除完了通知を管理装置10に送信する。このようにして、再配置対象の波長パスの再配置が終了する。
【0129】
なお、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更する際に、再配置先の波長パスに既存波長パスが存在する場合にも、図13と同様にして再配置対象の波長パスを既存波長パスに変更することができる。
【0130】
次に、分散制御方式の場合に波長パスを設定するシーケンス図を図14に示す。
【0131】
ステップS401において、始点ノードは、再配置対象の波長パスに対する再配置先の波長パスの経路・波長を決定する。ステップS402において、始点ノードは、再配置先の波長のリソース予約を行い、中継ノードのリソースを予約するため、通信路設定メッセージを中継ノードに送信する。ステップS403において、中継ノードも同様に、再配置先の波長のリソース予約を行い、終点ノードのリソースを予約するため、通信路設定メッセージを終点ノードに送信する。ステップS404において、終点ノードは、再配置先の波長のリソース予約を行い、ステップS405において、XCの設定を行う。XCの設定が終了すると、リソース割当メッセージを中継ノードに送信する。ステップS406において、中継ノードは、XCの設定を行い、リソース割当メッセージを始点ノードに送信する。ステップS407において、始点ノードはXCの設定を行う。
【0132】
ステップS408において、始点ノードでのXCの設定完了を契機に、再配置先波長パスへの上位レイヤパスの収容を開始する。ステップS409において、始点ノードの波長パス選択機能部205は、再配置先の波長パスを選択し、信号複製機能部203で複製された上位レイヤパスの信号を再配置先の波長パスに収容する。全ての上位レイヤパスの収容が終了すると、始点ノードは、上位レイヤパス設定メッセージを終点ノードに送信する。同様に、ステップS410において、終点ノードで再配置先の波長パスを選択し、上位レイヤパスの信号を再配置先の波長パスに収容して上位レイヤパスを開通させる。全ての上位レイヤパスの収容が終了すると、終点ノードは、波長パス選択完了通知を始点ノードに送信する。
【0133】
ステップS411において、始点ノードは、波長パス選択完了通知の受信を契機に、再配置対象の波長パスの削除を開始する。ステップS412において、始点ノードは、再配置対象の波長パスのリソースを開放するためのスケジュールを生成し、通信路削除メッセージを中継ノードに送信する。ステップS413において、通信路削除メッセージ中継ノードを受信した中継ノードも同様に、再配置対象の波長パスのリソースを開放するためのスケジュールを生成し、通信路削除メッセージを終点ノードに送信する。ステップS414において、通信路削除メッセージ中継ノードを受信した終点ノードも、再配置対象の波長パスのリソースを開放するためのスケジュールを生成する。ステップS415において、終点ノードは、スケジュールに従ってXCを削除し、リソース開放メッセージを中継ノードに送信する。ステップS416において、中継ノードも、XCを削除し、リソース開放メッセージを始点ノードに送信する。ステップS417において、始点ノードもXCを削除する。このようにして、再配置対象の波長パスの再配置が終了する。
【0134】
なお、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更する際に、再配置先の波長パスに既存波長パスが存在する場合にも、図14と同様にして再配置対象の波長パスを既存波長パスに変更することができる。
【0135】
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、波長パスを再配置する場合、波長パス収容順序決定機能部104が、より簡単に収容順序を決定する収容順序決定手順について、図15を用いて説明する。
【0136】
波長パス収容順序決定機能部104は、N本の再配置対象の波長パスのうち再配置先に既存の波長パスが存在していない波長M本を抽出する。例えば、図9の場合、再配置対象の波長パスλ7は、再配置先に既存の波長パスが存在しない。他の再配置対象の波長パスは、再配置先に既存の波長パスが存在する。従って、図9の場合、M=1である。このM本は、再配置先の波長パスにそのまま変更することができるため、収容順序決定手順における波長の順列数を削減することができる。
【0137】
より具体的には、ステップS501において、N−M本の波長パスのうち、再配置する波長の順番i=1とする。
【0138】
ステップS502において、R0,iをi番目の再配置対象の波長パスの経路情報とし、W0,iをjのi番目の再配置対象の波長パスの波長番号とし、Riをi番目の再配置先の波長パスの経路情報とし、Wiをi番目の再配置先の波長パスの波長番号としたときに、経路R0,i・波長W0,iの波長パスの再配置先の経路Ri・波長Wiに既存波長パスが存在するか否かを判別する。既存波長パスが存在する場合には、ステップS505において、i→i+1とし、ステップS502に戻る。既存波長パスが存在しない場合には、ステップS503に進む。
【0139】
ステップS503において、再配置先の波長パスが空き波長であるため、経路R0,i・波長W0,i及び波長番号iを収容順序管理データベース105に保存する。
【0140】
ステップS504において、全ての再配置対象の波長パスの収容順序を決定したか否かを判別する(i=N−M ?)。全ての再配置対象の波長パスの収容順序を決定していない場合、ステップS505において、i→i+1とし、ステップS502に戻る。決定した場合、収容順序決定手順が終了する。
【0141】
これを全ての再配置する波長の順番の組み合わせjについて計算する。
【0142】
以上のステップから、波長パスの収容順序が決定される。前述のように、第2の実施形態における再配置する波長の順番iの範囲は1≦i≦N−Mであり、再配置する波長の順番の組み合わせjの範囲は1≦j≦(N−M)!となる。
【0143】
<第3の実施形態>
第3の実施形態では、波長パスを再配置する場合について説明する。第3の実施形態では、第1の実施形態における波長パス事前設計機能部102で計算された波長パスの経路及び波長を用いて、収容順序を決定せずに、パス設定機能部106が波長パス及び上位レイヤパスを設定/削除する。例えば、空き波長が多く存在することが分かっている場合には、収容順序を決定する必要なく、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更することができる。このような場合に、パス設定機能部106は、事前に収容順序を決定せずに、逐次的に波長パスを再配置することができる。
【0144】
図16は、第3の実施形態に係る管理装置であり、図3の管理装置から波長パス収容順序決定機能部104及び収容順序管理データベース105を省いた装置である。
【0145】
波長パス事前設計機能部102における波長パスの再配置先の設計方法は、第1の実施形態と同じである。パス設定機能部106は、波長パス事前設計機能部102において計算されたN本の再配置対象の波長パスのうち、波長番号iが小さい順又は大きい順にパスを設定する。より具体的には、図11のステップS201を、「N本の再配置対象の波長パスのうち、波長番号iが小さい順又は大きい順に波長パスを設定する」と変更すればよい。また、図11の各ステップにおいてjが用いられないため、経路R0,ij・波長W0,ijを経路R0,i・波長W0,iに、経路Rij・波長Wijを経路Ri・波長Wiに変更する。管理装置10からノード装置20に対して波長パスを設定するシーケンス図は、図13及び図14と同じである。
【0146】
<第4の実施形態>
第4の実施形態では、波長パスを再配置する場合について説明する。第4の実施形態では、第1の実施形態における波長パス事前設計機能部102で計算された波長パスの経路及び波長を用いて、収容順序を決定せずに、パス設定機能部106が波長パス及び上位レイヤパスを設定/削除する。例えば、空き波長が再配置対象のパスの数より多い場合には、収容順序を決定する必要なく、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更することができる。このような場合に、パス設定機能部106は、事前に収容順序を決定せずに、逐次的に波長パスを再配置することができる。第4の実施形態に係る管理装置も、図16と同様の構成になる。
【0147】
第4の実施形態では、例えば図17に示すように、再配置対象の波長パス(λ1、λ3、λ5、λ6)を空き波長(λ7、λ8、λ9、λ10)に設定する。このとき、上位レイヤパスも空き波長に設定した波長パスに収容する。次に、再配置対象の波長パス(λ1、λ3、λ5、λ6)を削除する。そして、再配置先の波長パスを設定し、上位レイヤパスを再配置先の波長パスに収容する。最後に、空き波長に設定した波長パス(λ7、λ8、λ9、λ10)を削除する。
【0148】
パス設定機能部106における波長パス設定手順について、図18を用いて説明する。
【0149】
ステップS601において、波長パス事前設計機能部102からN本の再配置対象の波長パスを取得する。前述のように、N本の再配置対象の波長パスは、再配置前の波長パスの経路・波長と、波長パス事前設計機能部102で計算された波長パスの経路・波長との比較により取得できる。
【0150】
ステップS602において、空き波長にN本の波長パスを設定する。
【0151】
ステップS603において、再配置対象の波長パスに収容されている上位レイヤパスをステップS602で設定された波長パスに収容する。
【0152】
ステップS604において、再配置対象の波長パスを削除する。
【0153】
ステップS605において、波長パス事前設計機能部102で計算された波長パスの経路・波長を用いて、N本の再配置先の波長パスを設定する。
【0154】
ステップS606において、ステップS605で設定した波長パスにステップS603で設定した上位レイヤパスを収容する。
【0155】
ステップS607において、ステップS602で設定した波長パスを削除する。
<第4の実施形態の変形例>
第4の実施形態の変形例では、波長パスを再配置する場合について説明する。第4の実施形態の変形例ではまず、第1の実施形態における波長パス事前設計機能部102で数式(1)〜(5)を用いて計算する。計算結果から各リンクの空き波長を求めることができるので、それを用いて数式(18)の制約を加えて波長パス事前設計機能部102で再度計算する。
【0156】
【数11】

ここでCijはリンクijの空き波長である。前記計算結果は、変更する波長よりも空き波長のほうが大きくなるため、確実に波長パスの再配置を実行することが可能となる。
【0157】
パス設定機能部106における波長パス設定手順については第4の実施形態と同じなので省略する。
【0158】
<第5の実施形態>
第5の実施形態では、波長パスを再配置する場合について説明する。第5の実施形態では、再配置対象及び再配置先の波長パスを事前に設計せずに、パス設定機能部106が波長パス及び上位レイヤパスを設定/削除する。例えば、通信網が複雑でない場合には、再配置対象の波長パスを逐次的に再配置することができる。
【0159】
図19は、第5の実施形態に係る管理装置であり、図4の管理装置から波長パス事前設計機能部102、再配置対象パス管理データベース103、波長パス収容順序決定機能部104及び収容順序管理データベース105を省いた装置である。
【0160】
第5の実施形態では、例えば図20に示すように、パス設定機能部106は、使用波長領域数内の波長番号の小さい順又は大きい順に未使用の空き波長の経路を検索する。検索された空き波長(λ1、λ4)が再配置予定場所になる。この再配置予定場所(λ1)に収容できる波長パスを波長番号の小さい順又は大きい順に検索する。再配置予定場所(λ1)に収容できる波長パス(λ5)が存在する場合、この波長パスを再配置対象の波長パスとし、再配置予定場所に設定する。このとき、再配置対象の波長パスに収容されている上位レイヤパスを、再配置予定場所に設定した波長パスに収容する。そして、再配置対象の波長パス(λ5)を削除する。この手順を使用波長領域数内の全ての波長番号に関して繰り返すことにより、再配置が完了する。
【0161】
<第6の実施形態>
第6の実施形態では、上位レイヤパスを再配置する場合について説明する。
【0162】
図21は、本発明の第6の実施形態に係る管理装置30のブロック図である。管理装置30は、既存パス管理データベース301と、上位レイヤパス事前設計機能部302と、再配置対象パス管理データベース303と、パス設定機能部306と、制御信号送受信インタフェース307とを有する。
【0163】
既存パス管理データベース301は、通信網内に設定された既存波長パスの経路・波長情報と、通信網内の各リンクの空き波長情報と、上位レイヤパスの収容先の波長パスの経路・波長情報と、各上位レイヤパスの粒度とを管理する。既存パス管理データベース301は、クライアント情報(どの上位レイヤパスがどのクライアントに対応するかという情報)を管理してもよい。
【0164】
上位レイヤパス事前設計機能部302は、既存パス管理データベース301で管理されている情報を用いて、再配置対象の上位レイヤパスと、再配置先の上位レイヤパスとを事前に設計する。再配置先の上位レイヤパスの設計方法は、後述する。
【0165】
再配置対象パス管理データベース303は、上位レイヤパス事前設計機能部302から得られた再配置対象の上位レイヤパス(再配置する必要のある上位レイヤパスの再配置前の上位レイヤパス)の経路・波長と、再配置先の上位レイヤパス(再配置する必要のある上位レイヤパスの再配置後の上位レイヤパス)の経路・波長とを保存する。
【0166】
パス設定機能部306は、波長パス及び上位レイヤパスを設定/削除する。具体的には、パス設定機能部306は、波長パス及び上位レイヤパスの設定/削除を指示するため、制御信号送受信インタフェース307を介してリソース割当メッセージ、通信路設定メッセージ又は通信路削除メッセージをノード装置に送信する。また、パス設定機能部306は、上位レイヤパスの収容先波長パスの設定/削除を指示するため、制御信号送受信インタフェース307を介して上位レイヤパス設定メッセージをノード装置に送信する。なお、パス設定機能部206は、波長パス及び上位レイヤパスのリソースの予約(割当)又は開放(削除)情報を保存するためのリソース管理データベース(図示せず)を有してもよい。
【0167】
制御信号送受信インタフェース307は、制御信号をノード装置に送信し、また、ノード装置から制御信号を受信する。
【0168】
なお、ノード装置は、第1の実施形態と同じである。
【0169】
次に、上位レイヤパス事前設計機能部302における上位レイヤパスの再配置先の設計方法について説明する。この設計方法は、オフラインで事前に設計されてもよい。ここでは、整数線形計画法(ILP:integer linear programming)を用いて、再配置先の上位レイヤパスの経路を事前に設計する。
【0170】
上位レイヤパス事前設計機能部302は、以下の目的関数を最小化する波長パスの経路を計算する。
【0171】
【数12】

この目的関数(11)は、通信網内で使用されている波長数(網内波長総数)を最小化するための関数である。ただし、pijwsdは、波長wが使用されているか否かを示す変数であり、始点sから終点dまでの各物理リンク(i,j)において、波長wが使用されている場合はpijwsd=1であり、波長wが使用されていない場合はpijwsd=0である。Vはノードの集合であり、Eはリンクの集合であり、Wは波長の集合(w=0,1,2,3,...,WMAX)であり、WMAXは最大波長多重数であり、これらは予め決められたパラメータである。また、pijwsdを通信装置の設備数もしくは通信装置コストとしてもよい。
【0172】
目的関数(11)の計算にあたり、以下の制約条件を用いる。
【0173】
【数13】

【0174】
【数14】

【0175】
【数15】

【0176】
【数16】

制約条件(12)は、始点s、終点d及び上位レイヤパスaにおいて各リンクのトラヒックフローを表す方程式(非特許文献2参照)である。ただし、Aは上位レイヤパスの集合であり、Uijasdは、上位レイヤパスaが使用されているか否かを示す変数であり、始点sから終点dまでの各物理リンク(i,j)において、上位レイヤパスaが使用されている場合はUijasd=1であり、上位レイヤパスaが使用されていない場合はUijasd=0である。また、δasdは、始点sから終点dまでの経路で上位レイヤパスaが使用されているか否かを示す。δasd=0の場合、始点sから終点dまでの経路で上位レイヤパスaが使用されていないことを示し、δasd=1の場合、始点sから始点dまでの経路で上位レイヤパスaが使用されていることを示す。また、i<jのときΣUijwsd=ΣUijwsd、i>jのときΣUijwsd=−ΣUjiwsdとなる。
【0177】
制約条件(13)は、各リンク内の上位レイヤパスの粒度の和が波長パスの容量以下とする条件である。ただし、Gaは上位レイヤパスaの粒度であり、Cijはリンク(i,j)における容量である。Gaは、既存パス管理データベース301内に保存された上位レイヤパスの粒度から予め求められる。
【0178】
制約条件(14)は、再配置後に使用される波長パス数が既存の波長パス数以下とする条件である。ただし、p0ijwsdは、再配置前に波長wが使用されているか否かを示す変数であり、始点sから終点dまでの各物理リンク(i,j)において、再配置前に波長wが使用されている場合はp0ijwsd=1であり、再配置前に波長wが使用されていない場合はp0ijwsd=0である。p0ijwsdは、既存パス管理データベース301内に、通信網内に設定された既存波長パスの経路・波長情報として保存されている。
【0179】
制約条件(15)は、始点sから終点dまでの経路で使用される上位レイヤパスの合計数が、始点sから終点dまでの上位レイヤパスの需要総数Dupper_trafficsdに等しいという条件である。ただし、Dupper_trafficsdは、始点sから終点dまでの上位レイヤパスの総数であり、既存パス管理データベース301内に保存された通信網内に設定された既存波長パスの経路・波長情報と、上位レイヤパスの収容先の波長パスの経路・波長情報とから予め求められる。
【0180】
制約条件(12)〜(15)を用いて目的関数(11)を計算することにより、再配置後の上位レイヤパスの経路Uijasdが出力される。
【0181】
制約条件(12)〜(15)に加えて、次の制約条件(16)〜(17)のうち1つ以上が用いられてもよい。
【0182】
【数17】

【0183】
【数18】

制約条件(16)は、再配置対象の上位レイヤパスの数が既存の上位レイヤパスの合計数のうち所定の割合Rを超えないようにする条件である。すなわち、制約条件(16)は、再配置対象の上位レイヤパスの数が所定の閾値を超えないようにする条件である。ただし、Rは再配置する上位レイヤパスの割合であり、予め決められたパラメータである。また、U0ijasdは、再配置前に上位レイヤパスaが使用されているか否かを示す変数であり、始点sから終点dまでの各物理リンク(i,j)において、再配置前に上位レイヤパスaが使用されている場合はU0ijasd=1であり、再配置前に上位レイヤパスaが使用されていない場合はU0ijasd=0である。U0ijasdは、既存パス管理データベース301内に、通信網内に設定された既存波長パスの経路・波長情報と、上位レイヤパスの収容先の波長パスの経路・波長情報とから予め求められる。
【0184】
制約条件(17)は、再配置前の始点sから終点dの経路ホップ数と再配置後の経路ホップ数との差が遅延差又は距離差の限界Hdelayを満たすホップ数以下であるとする条件である。ただし、Hdelayは、許容される最大の遅延差又は距離差を満たすホップ数であり、予め決められたパラメータである。
【0185】
制約条件(16)を用いることにより、再配置対象の上位レイヤパスの数を制限することができる。また、制約条件(17)を用いることにより、パスを切り替える際のバッファメモリの許容範囲内での経路選択が可能になる。
【0186】
上位レイヤパス事前設計機能部302は、線形計画法(ILP)により目的関数を最小化する上位レイヤパスの経路Uijasdを求め、再配置対象の上位レイヤパスの経路と、再配置先の上位レイヤパスの経路とを再配置対象パス管理データベース303に保存する。なお、再配置対象の上位レイヤパスは、再配置前の上位レイヤパスの経路と、目的関数を最小化する上位レイヤパスの経路との比較により抽出することができる。
【0187】
パス設定機能部306は、再配置対象の上位レイヤパスを再配置先の上位レイヤパスに変更する。なお、波長パスとは異なり、上位レイヤパスの場合収容順序は予め決定する必要はない。パス設定機能部306における上位レイヤパス設定手順について、図22を用いて説明する。なお、再配置対象の上位レイヤパスの経路と、再配置先の上位レイヤパスの経路とは、再配置対象パス管理データベース303に保存されている。更に、上位レイヤパスの粒度は、既存パス管理データベース301に保存されている。
【0188】
まず、ステップS701において、N本の再配置対象の上位レイヤパスの収容順序を任意の順番で決定する。なお、上位レイヤパスの収容順序は、波長の小さい順番又は大きい順序に決定されてもよい。N本の上位レイヤパスのうち、再配置する上位レイヤパスの順番i=1とする。
【0189】
ステップS702において、再配置対象の上位レイヤパスと同じ上位レイヤパスを再配置先に設定する。
【0190】
ステップS703において、再配置対象の上位レイヤパスを削除する。
【0191】
ステップS704において、全ての再配置対象の上位レイヤパスの再配置が終了したか否かを判別する(i=N ?)。再配置が終了していない場合(i≠N)、ステップS705において、i→i+1として、ステップS702に戻る。再配置が終了した場合(i≠N)、ステップS706に進む。
【0192】
ステップS706において、上位レイヤパスを収容していない波長パスが存在するか否かを判別する。存在する場合、ステップS707に進み、存在していない場合、上位レイヤパス設定手順が終了する。
【0193】
ステップS707において、上位レイヤパスを収容していない波長パスを削除する。
【0194】
次に、集中制御方式の場合に、管理装置30からノード装置20に対して上位レイヤパスを設定するシーケンス図を図23に示す。
【0195】
ステップS801において、管理装置30は、再配置対象の上位レイヤパスに対する再配置先の上位レイヤパスの経路を決定し、また、上位レイヤパスを収容する波長パスを決定する。管理装置30は、始点ノードに上位レイヤパス設定メッセージを送信する。ステップS802において、始点ノードの波長パス選択機能部205は、送信されてきた経路情報に基づいて再配置先の波長パスを選択し、信号複製機能部203で複製された上位レイヤパスの信号を再配置先の波長パスに収容する。上位レイヤパスの収容が終了すると、始点ノードは、波長パス選択完了通知を管理装置に送信する。同様に、ステップS803において、終点ノードで再配置先の波長パスを選択し、上位レイヤパスの信号を再配置先の波長パスに収容して上位レイヤパスを開通させる。
【0196】
ステップS804において、全ての上位レイヤパスの波長パス選択完了通知の受信を契機に、管理装置30は、再配置対象の上位レイヤパスを削除するため、上位レイヤパス削除メッセージを始点ノードに送信する。ステップS805において、始点ノードは、上位レイヤパスを削除し、上位レイヤパス削除完了通知を管理装置に送信する。
【0197】
ステップS806において、全ての上位レイヤパスの上位レイヤパス削除完了通知の受信を契機に、管理装置30は、上位レイヤパスを収容していない波長パスを削除する。このため、管理装置30は、通信路削除メッセージを始点ノード、中継ノード及び終点ノードに送信する。ステップS807、S808及びS809において、それぞれ始点ノード、中継ノード及び終点ノードは、XCを削除し、通信路削除完了通知を管理装置30に送信する。このようにして、再配置対象の上位レイヤパスの再配置が終了する。
【0198】
次に、分散制御方式の場合に上位レイヤパスを設定するシーケンス図を図24に示す。
【0199】
ステップS901において、始点ノードは、再配置対象の上位レイヤパスに対する再配置先の上位レイヤパスの経路を決定し、また、上位レイヤパスを収容する波長パスを決定する。ステップS902において、始点ノードの波長パス選択機能部205は、決定された経路情報に基づいて再配置先の波長パスを選択し、信号複製機能部203で複製された上位レイヤパスの信号を再配置先の波長パスに収容する。上位レイヤパスの収容が終了すると、始点ノードは、上位レイヤパス設定メッセージを終点ノードに送信する。ステップS903において、同様に終点ノードで再配置先の波長パスを選択し、上位レイヤパスの信号を再配置先の波長パスに収容して上位レイヤパスを開通させる。終点ノードは、波長パスの選択が完了すると、波長パス選択完了通知を始点ノードに送信する。
【0200】
ステップS904において、全ての上位レイヤパスの波長パス選択完了通知の受信を契機に、始点ノードは、再配置対象の上位レイヤパスの削除を開始する。ステップS905において、始点ノードは、再配置対象の上位レイヤパスを削除する。
【0201】
ステップS906において、全ての上位レイヤパスの上位レイヤパスの削除が完了すると、始点ノードは、上位レイヤパスを収容していない波長パスの削除を開始する。始点ノードは、再配置対象の波長パスのリソースを開放するためのスケジュールを生成し、通信路削除メッセージを中継ノードに送信する。ステップS907において、通信路削除メッセージ中継ノードを受信した中継ノードも同様に、再配置対象の波長パスのリソースを開放するためのスケジュールを生成し、通信路削除メッセージを終点ノードに送信する。ステップS908において、通信路削除メッセージ中継ノードを受信した終点ノードも、再配置対象の波長パスのリソースを開放するためのスケジュールを生成する。ステップS909において、終点ノードは、スケジュールに従ってXCを削除し、リソース開放メッセージを中継ノードに送信する。ステップS910において、中継ノードも、XCを削除し、リソース開放メッセージを始点ノードに送信する。ステップS911において、始点ノードもXCを削除する。このようにして、再配置対象の上位レイヤパスの再配置が終了する。
【0202】
なお、上位レイヤパスに更に上位レイヤパスが収容されている場合(例えば、3G上位レイヤパスに3本の1G上位レイヤパスが収容されている場合)、上記の数式(11)〜(17)の「波長パス」を「上位レイヤパス」に変更することで、複数の上位レイヤパスの再配置が可能になる。
【0203】
<第7の実施形態>
第7の実施形態では、上位レイヤパスを再配置する場合について説明する。第7の実施形態では、再配置対象及び再配置先の上位レイヤパスを事前に設計せずに、パス設定機能部306が上位レイヤパスを設定/削除する。例えば、通信網が複雑でない場合には、再配置対象の上位レイヤパスを逐次的に再配置することができる。
【0204】
図25は、第7の実施形態に係る管理装置30であり、図21の管理装置30から上位レイヤパス事前設計機能部302及び再配置対象パス管理データベース303を省いた装置である。
【0205】
パス設定機能部306における上位レイヤパス設定手順について、図26を用いて説明する。
【0206】
ここでは、N本の波長パス内の上位レイヤパスを再配置するものとする。ステップS1001において、波長パス内の使用帯域量が多い順番に波長を並び替え、順にiとする(1≦i≦N)。なお、波長パス内の使用帯域量は、波長パスに収容されている上位レイヤパスの粒度の合計である。更に、波長パス内の使用帯域量が少ない順番に波長を並び替え、順にjとする(1≦j≦N)。
【0207】
ステップS1002において、j=1,i=1とする。
【0208】
ステップS1003において、aj=1とする。ただし、ajは、j番目の波長パスに収容されている上位レイヤパスに順に付与された番号である。
【0209】
ステップS1004において、j番目の波長パスに収容されている上位レイヤパスajと同じ経路であり、i番目の波長パス内の空き容量をCiとしたときに、Ci≧Cjを満たす波長パスをi番目の波長パスから検索する。なお、上位レイヤパスと同じ経路の波長パスとは、上位レイヤパスと同じ始点及び終点ノードを有する波長パスのことを言う。
【0210】
ステップS1005において、上位レイヤパスajを収容可能な波長パスが存在するか否かを判別する。存在する場合、ステップS1006に進み、存在しない場合、ステップS1001に進む。
【0211】
ステップS1006において、j番目の波長パスの上位レイヤパスajをi番目の波長パスに収容する。
【0212】
ステップS1007において、j番目における全ての上位レイヤパスの収容の検索が完了したか否かを判別する。完了した場合、ステップS1008に進み、完了していない場合、ステップS1013において、aj→aj+1として、ステップS1004に戻る。
【0213】
ステップS1008において、j番目の波長パスに収容されている上位レイヤパスが存在するかを判別する。存在しない場合、ステップS1009に進み、存在する場合、ステップS1010に進む。
【0214】
ステップS1009において、上位レイヤパスを収容していない波長パスを削除する。
【0215】
ステップS1010において、i+j=Nであるか否かを判別する。i+j=Nである場合、計算終了となる。i+j≠Nである場合、全ての波長パスを検索していないため、ステップS1014に進む。
【0216】
ステップS1011において、i+j=Nであるか否かを判別する。i+j=Nである場合、計算終了となる。i+j≠Nである場合、ステップS1012において、i→i+1として、ステップS1004に戻る。
【0217】
以上の手順により、上位レイヤパスの再配置が終了する。
【0218】
<第8の実施形態>
第8の実施形態では、上位レイヤパスと波長パスとの双方の再配置を行う場合について説明する。
【0219】
まず、上位レイヤパスの再配置から行い、その後、波長パスの再配置を行う。これは、第1〜第5の実施形態と、第6〜第7の実施形態との組み合わせである。
【0220】
図27は、第8の実施形態に係る管理装置であり、図4の管理装置と図21の管理装置とを組み合わせた装置である。図4、図21と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0221】
図27の管理装置での上位レイヤパス及び波長パスの再配置手順を図28に示す。
【0222】
ステップS1101において、上位レイヤパス事前設計機能部は、上位レイヤパスの再配置計算を行う。この具体的な手順は、第6〜第7の実施形態に示した通りである。
【0223】
ステップS1102において、再配置計算によって、削除可能な波長パスが存在するか否かを判別する。削除可能な波長パスが存在する場合、ステップS1103に進み、存在しない場合、ステップS1104に進む。
【0224】
ステップS1103において、上位レイヤパスを再配置する。この具体的な手順は、第6〜第7の実施形態に示した通りである。
【0225】
ステップS1004において、波長パスを再配置する。この具体的な手順は、第1〜第5の実施形態に示した通りである。
【0226】
<第9の実施形態>
第9の実施形態では、波長パス収容順序決定機能部104において、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更するためのオペレーション数を最小化する計算方法について説明する。
【0227】
オペレーション数を最小化するため、図10を参照して説明した収容順序決定手順において、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更するためのオペレーション数を求め、複数の収容順序が決定された場合、オペレーション数の少ない収容順序を選択する。
【0228】
図29は、第9の実施形態に係る管理装置における収容順序決定手順を示す図である。第9の実施形態の基本的なステップは図10と同じであるが、ステップS102'、S105'、S114'にオペレーション数の計算が追加され、ステップS115'及びS116'が新たに追加されている。
【0229】
ステップS102'において、オペレーション数p=0とする。
【0230】
ステップS105'において、既存パスに使われている波長を空き波長に変更する場合、オペレーション数p→p+2とする。オペレーション数が2回増える理由は、再配置先の波長を一度空き波長に退避させる必要があるためである。
【0231】
ステップS114'においてp→p+1とする。
【0232】
ステップS107においてi=Nの場合に、ステップ115'に進み、組み合わせjにおけるオペレーション数p[j]を1つ前のオペレーション数の計算結果P[j-1]と比較する。p[j]とP[j-1]とのうち値が小さいものをP[j-1]とし、その収容順序を保存し、値が大きいものに対応する収容順序は破棄する。
【0233】
ステップS116'において、全ての計算が終了した時点で最小のオペレーション数P[j-1]に対応する収容順序を出力する。
【0234】
このように、空き波長を用いて波長パスを再配置するための収容順序を決定する際に、オペレーション数が大きい収容順序を破棄することにより、オペレーション数を最小化することができると共に、計算メモリ量を削減することができる。
【0235】
<第10の実施形態>
第10の実施形態では、波長パスを再配置する場合について説明する。第10の実施形態では、再配置対象及び再配置先の波長パスを事前に設計せずに、パス設定機能部106が波長パス及び上位レイヤパスを設定/削除する。例えば、通信網が複雑でない場合には、再配置対象の波長パスを逐次的に再配置することができる。第10の実施形態に係る管理装置は、図19と同様の構成になる。
【0236】
図30は、第10の実施形態に係る管理装置における波長パス設定手順を示す図である。
【0237】
まず、ステップS1201において、パス設定機能部106は、各リンクの波長割当状況を取得する。第10の実施形態では、図31に示すように、波長割当状況としてリンク毎の波長の使用/未使用を管理する。例えば、図31(1)に示すような2×3の格子網の物理トポロジの場合、ノード0とノード1との間のリンク0−1において、波長λ0〜λ10が使用されているか否かを管理する。波長が使用されている場合、波長パス識別番号も管理する。ここでは、図31(2)のような波長割当状況を仮定する。ただし、行を波長とし、列をリンク番号とし、波長を使用しているリンクを網掛けで表し、使用していないリンクを空白で表し、枠内の番号を波長パス識別番号とする。例えば、λ2のパス識別番号2は、リンク1−2及びリンク2−5の経路を使用することがわかる。
【0238】
ステップS1202において、パス設定機能部106は、波長割当状況において、空き波長が少ない順に波長を並び替える。すなわち、波長を使用していないリンク数が少ない順に波長を並び替える。なお、波長を使用していないリンク数が大きい順に並び替えてもよい。
【0239】
ステップS1203において、パス設定機能部106は、空き波長が多い順に移設可能な波長パスを検索する。すなわち、波長を使用してないリンク数が大きい順に、波長パスを再配置先のリンクを検索する。
【0240】
ステップS1204において、検索された再配置先のリンクに波長パスを再配置する。
【0241】
ステップS1205において、上記の手順を移設可能な波長パスが存在しなくなるまで繰り返す。
【0242】
図32は、第10の実施形態に係る管理装置における波長パスの再配置を示す図である。
【0243】
図32(1)に示すような波長割当状況は、波長を使用していないリンク数が少ない順に並び替えられる。例えば、波長λ2を使用していないリンク数は1であるため、波長割当状況の先頭に並び替えられる。この例では、波長は、λ2、λ3、λ7、λ10、λ8、λ5の順に並び替えられる。なお、波長λ4、λ6、λ9及びλ1のように、全てのリンクで波長が使用されている場合には、再配置による波長数の削減は見込めないため、波長割当状況の最後に並び替えられてもよい。
【0244】
波長を使用していないリンク数が最も大きいものは波長λ5であるため、波長λ5を使用している波長パスの再配置先のリンクを検索する。波長λ5を使用している識別番号8の波長パスは、波長λ3に再配置することができ、波長λ5を使用している識別番号9の波長パスは、波長λ10に再配置することができる。なお、識別番号15の波長パスのように波長λ8を複数のリンクで使用している場合、これらの複数のリンクに共通して空きのある波長を検索して再配置する。この例では、識別番号15の波長パスは、波長λ10に再配置できる。これを繰り返すことにより、波長パスの再配置が終了する。
【0245】
<第11の実施形態>
第11の実施形態では、波長パス事前設計機能部102において、波長パスの再配置先を設計する際の整数線形計画法の計算量を削減する例について説明する。
【0246】
波長パス事前設計機能部102は、通信網内のいずれかのリンクで使用されている波長について、再配置対象の波長パスと、再配置先の波長パスとを設計する。すなわち、全てのリンクで使用されていない波長については、計算の対象から除外する。
【0247】
例えば、図33に示すような波長割当状況は、全てのリンクで使用されていない波長λ4及びλ9を省いて並び替えられる。いずれかのリンクで波長が使用されている場合、その波長には、仮波長番号(1)〜(8)が順に付与される。この仮波長番号を用いて、波長パス事前設計機能部102は、波長パスの再配置先を設計することができる。なお、パス設定機能部106において波長を設定する場合、仮の波長番号を元の波長番号に戻して設定する。
【0248】
第11の実施形態によれば、整数線形計画法の変数及び制約数が少なくなるため、計算量の削減が可能となる。
【0249】
<第12の実施形態>
第12の実施形態では、波長パス事前設計機能部102において、波長パスの再配置先を設計する際の整数線形計画法の計算量を削減する例について説明する。
【0250】
波長パス事前設計機能部102は、通信網内のいずれかのリンクに空きのある波長について、再配置対象の波長パスと、再配置先の波長パスとを設計する。すなわち、全てのリンクで使用されている波長については、計算の対象から除外する。なお、全てのリンクで使用されていない波長についても、計算の対象から除外してもよい。
【0251】
例えば、図34に示すような波長割当状況は、全てのリンクで使用されている波長λ4、λ6、λ9及びλ1を省いて並び替えられる。いずれかのリンクにおいて波長に空きがある場合、その波長には、仮波長番号(1)〜(6)が順に付与される。この仮波長番号を用いて、波長パス事前設計機能部102は、波長パスの再配置先を設計することができる。なお、パス設定機能部106において波長を設定する場合、仮の波長番号を元の波長番号に戻して設定する。
【0252】
第12の実施形態によれば、整数線形計画法の変数及び制約数が少なくなるため、計算量の削減が可能となる。
【0253】
<第13の実施形態>
第13の実施形態では、上記のいずれかの実施形態を、無瞬断切り替え機能をもつイーサネット装置で構成される通信網に適用した場合について説明する。無瞬断切り替え機能をもつイーサネット装置は、例えば特許文献2に記載されている。
【0254】
図35は、第13の実施形態に係る通信システムの概要図である。この通信システムでは、無瞬断切り替え機能をもつイーサネット装置がトランスポート装置に接続される。トランスポート装置は、イーサネット装置から受信したパケットを対向のトランスポート装置に送信する伝送装置である。
【0255】
上記のいずれかの実施形態で説明した管理装置が通信網に接続され、波長パス及び上位レイヤパスの設計及び再配置を行うことで、イーサネット装置間に設定されたパスを無瞬断で切り替えることが可能になる。
【0256】
<第14の実施形態>
第14の実施形態では、波長パス収容順序決定機能部104において、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更するためのアルゴリズムを説明する。
【0257】
まず、再配置前後で波長パスの経路が変更しない場合について説明する。例えば図36(1)に示すように、波長λ3の波長パスをλ5に再配置し、波長λ5の波長パスをλ4に再配置し、波長λ4の波長パスをλ6に再配置し、波長λ6の波長パスをλ3に再配置する場合を考える。波長λ6の波長パスをλ3に再配置しようとすると、λ3は使用されているため、無瞬断で再配置できない。このように波長パスの再配置先を順に辿ったときにループが生じる場合が考えられる。この場合、空き波長(例えばλ80)を用いてループを解除し、再配置関係をツリー化する。そして、ツリーの先端(この場合はλ6)から再配置を開始することで、無瞬断での再配置が可能になる。
【0258】
具体的には、まず、波長λ6の波長パスを空き波長λ80に再配置する。この再配置により、波長λ6が空き波長になり、波長λ4の波長パスをλ6に再配置することができる。同様に、波長λ5の波長パスをλ4に再配置し、次に、波長λ3の波長パスをλ5に再配置することが可能になる。そして、空き波長λ80に退避させた波長パスをλ3に再配置することが可能になる。このように、最初にループ内のいずれかの波長パスを空き波長に退避させることで、ループを切断できる。
【0259】
次に、再配置前後で波長パスの経路が変更する場合について説明する。例えば図36(2)に示すように、パス識別子1の波長パスをパス識別子1'が収容されている波長に再配置し、パス識別子3の波長パスをパス識別子4が収容されている波長及びパス識別子8が収容されている波長に再配置し、パス識別子8の波長パスをパス識別子1が収容されている波長、パス識別子3が収容されている波長及びパス識別子9が収容されている波長に再配置する場合を考える。パス識別子1の波長パスは、パス識別子1'が収容されている波長に再配置することができる。しかし、パス識別子8の波長パスをパス識別子3が収容されている波長に再配置しようとすると、その波長は使用されているため、無瞬断で再配置できない。このように波長パスの再配置先を順に辿ったときにループが生じる場合が考えられる。この場合も同様に、空き波長(例えばλ80)を用いてループを解除し、再配置関係をツリー化する。そして、ツリーの先端(この場合はパス識別子1及び3)から再配置を開始することで、無瞬断での再配置が可能になる。
【0260】
具体的には、まず、パス識別子3の波長パスを空き波長λ80に再配置する。また、パス識別子1の波長パスをパス識別子1'が収容されている波長に再配置する。この再配置により、パス識別子1が収容されている波長及びパス識別子3が収容されている波長が空き波長になり、パス識別子8の波長パスを再配置することができる。そして、空き波長λ80に退避させた波長パスをパス識別子4が収容されている波長及びパス識別子8が収容されている波長に再配置することが可能になる。このように、最初にループ内のいずれかの波長パスを空き波長に退避させることで、ループを切断できる。
【0261】
<第15の実施形態>
本発明における第15の実施の形態を、図37を用いて説明する。以下のフローで実施する。
ステップ2100において、前述の数式(1)、もしくは後述の数式(19)の目的関数を満たす整数線形計画法を用いて、既存波長パスの再配置演算を行う。 このとき、目的関数を満たす複数解を算出する。
【0262】
ステップ2200において、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更するための順序をステップ2100で算出した複数解において決定する。
【0263】
ステップ2300において、ステップ2200の順序におけるパスの設定/削除するオペレーション数を算出する。
【0264】
ステップ2400において、オペレーション数を比較してオペレーション数が最小の再配置波長パス並びに再配置順序を決定する。
【0265】
以上から目的関数を満たしかつオペレーション数が最小の解を算出可能となる。以下にステップ2100、2200の処理について説明をする。ステップ2100で用いる整数線形計画法は、ノードv (ν∈V)、リンクe (e∈E)のグラフG( V, E)、波長w( w∈W)とし、制約は非特許文献2に示されたフロー保存式を用いる。
【0266】
<変数>
・Pdew:対地間ペアdの波長パスが、リンクeにおいて波長番号wが使用される場合は1、それ以外は0
・FW: フラグメンテーション関数:
フラグメンテーション関数は、使用波長領域数を最小にするために用いる関数であり、図3に示すようにある波長に関して全リンクで使用している場合もしくは未使用の場合はコストが0で、それ以外を1とする関数を表す。
【0267】
<定数>
・P0,dew:対地間ペアdの再配置前の既存波長パスが、リンクeにおいて波長番号wが使用される場合は1、それ以外は0
・CP:波長パスコストパラメータ
・CF:フラグメンテーションコストパラメータ(0以上の実数)
・CWR:波長パス再配置コストパラメータ(0以上の実数)
<目的関数>
【0268】
【数19】

目的関数の第1項は、波長パスを最短経路で設計することを示し、第2項は、フラグメンテーションコストを最小にするように設計することを示し、第3項は、波長パスの変更に伴うコスト値を表す。第3項における「波長パス」を「上位レイヤパス」としてもよいし、また波長パス及び上位レイヤパスの両方を考慮してもよい。また、第3項を目的関数に加えないで、式(8)や式(16)のように変更数を所定数以下とする制約を追加して、その制約内で算出してもよい。第1項と第2項を小さくする目的関数によって使用波長領域数を削減可能となる。
【0269】
CPは例えば設備コストから波長1本あたりのコストを算出する方法で設定する。CFも同様に例えば設備コストから波長1本あたりのコストを算出する方法で設定する。ただし、CP 、CF ともに任意の値としてもよい。CWRは任意の値とする。また、式(19)の第2項を、以下の式に置き換えることでフラグメンテーションが発生している波長チャネルの波長数の重み付けが可能となる。
【0270】
【数20】

ここで、αは実数。
【0271】
例えば、リンク数が7のネットワークでCF=1、α=0.1で式(20)のこの関数をある波長wに関して図示すると図38のように表すことができる。
【0272】
以上から上記目的関数を満たす複数の解を算出する。ステップ2200における再配置順序演算は前述の図10で示した第1の実施形態における収容順序決定手順や図36に示す第14の実施形態における再配置方法により行なう。
【0273】
[第16の実施の形態]
本発明における第16の実施の形態を、図39を用いて説明する。予め算出する解の数を決めておき、第15の実施の形態のステップ2100の目的関数(式(19))の波長パス再配置コスト値CWRを、予め決めた算出する解の数まで変更して複数の解を算出する(ステップ3101,3102)。ここで再配置効果パラメータをそれぞれの解において算出する。再配置効果パラメータとは、目的関数の値、目的関数(式(19))の第1項と第2項の合計値、第2項においてコストが1の波長チャネルにおける波長数の合計値、設備コスト等があげられる。ステップ2200以降は第15の実施の形態と同様の処理をし、ステップ2400において、再配置効果パラメータとオペレーション数がともに小さいものを選択する。
【0274】
[第17の実施の形態]
本発明における第17の実施の形態を説明する。第15の実施の形態における図37のステップ2300において、例えばホップ数が大きいパスを変更するコストは、小さいものより大きくし、それらの合計をオペレーション数とする(式(2))。もしくは、パス毎に変更コストの重み付けを行い、それらの合計をオペレーション数とする(式(3))。
【0275】
[第18の実施の形態]
本発明における第18の実施の形態を説明する。第16の実施の形態において、第17の実施の形態のフロー(図39)におけるステップ2101,2102の処理を用いたものである。
【0276】
[第19の実施の形態]
本発明における第19の実施の形態を、図40を用いて説明する。第1の実施の形態におけるステップ2100、ステップ2200、ステップ2300は同様の処理を行う。ここでステップ2100においては複数解でなく1つの解としてもよい。次に予め算出する解の数と、オペレーション数のどちらかもしくは両方を設定しておき、設定数に達した場合はステップ2400において、再配置効果パラメータとオペレーション数がともに小さいものを選択する。達していない場合は目的関数(式(19))の波長パス再配置コスト値CWRを、予め決めた算出する解の数まで変更して複数の解を算出する。
【0277】
第19の実施の形態の効果を図41に示す。ネットワーク条件は、物理トポロジは2×3格子網、論理トポロジはフルメッシュ双方向パス、上位レイヤパス及び波長パスの収容数は100本、波長パスコストCPは1、フラグメンテーションコストパラメータCFは1、波長パスに上位レイヤパス1本が収容されている条件で評価した。また、オペレーション数は第14の実施の形態を用いて算出した。図41は波長再配置コストパラメータに対するオペレーション数(左)とフラグメンテーションが起きている波長チャネルにおける波長数(右)を表しており、この結果からCWR=0~0.2のときにオペレーション数が小さくかつ再配置効果が大きい組み合わせを選択することができることがわかる。本実施の形態を用いることで再配置効果を保ったまま約50%のオペレーション数の削減が可能となる。
【0278】
[第20の実施の形態]
本発明における第20の実施の形態を、図42を用いて説明する。第14の実施の形態において、再配置前後の波長パスの移設関係をグラフツリーに表し、移設ループの小さい順番に移設させることによって、空き波長を有効に使用するための方法である。例えば、図42のようにツリーAには2つのループが、ツリーBには1つのループが存在していた場合に、ループの数が小さいツリーBから再配置させることによって、空きリソースを有効に使用することができる。
【0279】
<実施形態の効果>
本発明の実施形態によれば、通信網内で使用されている波長領域の空き波長も含めた波長数(使用波長領域数)もしくは設備コストを削減することが可能になり、設備増設量を低減することが可能になる。
【0280】
例えば、図43に示すように、上位レイヤパスを再配置することにより、上位レイヤパスを収容していない波長パスを削除することが可能になり、また複数の波長パスに跨って上位レイヤパスが設定される場合は、トランスポンダを削減することが可能となる。さらに、図44に示すように、使用波長領域数(通信網全体で使用されている波長領域の波長数)を削減することが可能になる。
【0281】
また、本発明の第8の実施形態の変形例に従って波長パス及び上位レイヤパスを再配置した場合と、再配置しなかった場合との比較結果を図46に示す。想定するノードアーキテクチャとコストモデルは図45に示す。ノードアーキテクチャは波長パスクロスコネクト装置に複数の上位レイヤパスクロスコネクト装置が結合しており、波長パスの最大転送レート内において上位レイヤパスをマルチホップグルーミング(複数の拠点から発生する上位レイヤパスを束ねて波長パスに収容。文献:「K. Zhu and B. Mukherjee, "Traffic grooming in an optical WDM mesh network," IEEE J. Select. Areas Commun., vol. 20, no. 1, pp. 122-133, Jan. 2002.」参照)することが可能であるネットワークモデルを想定する。
【0282】
シミュレーション条件は、以下の通り。
【0283】
・物理トポロジ:2×3格子網
・波長多重数:40
・上位レイヤパスのクロスコネクト装置のポート数:32
・波長パス1本あたりの最大転送レート:40[Gbps]
・上位レイヤパスの転送レート種別:2.5G、10G、40G
・上位レイヤパスの転送レート別存在比率:2.5Gパス:10Gパス:40Gパス=5:2:3
・再配置タイミング:50本の上位レイヤパスを収容毎
・トラフィック発生条件:始点と終点のノードペアはランダム
以上のモデルにおいて、本発明の方式とパス再配置を行わなかった場合を比較した結果が図46である。図46はトラフィック量に対する本発明方式の相対的なコスト削減効果を表しており、本発明を用いた場合には、用いない場合に比べて最大で12%のコスト削減効果がある。
【0284】
更に、本発明の実施形態によれば、波長パスの再配置及び上位レイヤパスの再配置を無瞬断で行うことができる。
【0285】
説明の便宜上、本発明の実施形態に係る管理装置は機能的なブロック図を用いて説明しているが、本発明の管理装置は、ハードウェア、ソフトウェア又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。また、2以上の実施形態及び実施形態の各構成要素が必要に応じて組み合わせて使用されてもよい。
【0286】
上記の実施形態では、主に集中制御方式について説明しているが、分散制御方式でも同様に実現可能である。また、図5及び図6に本発明の実施形態で用いられるノード装置を示しているが、ノード装置は波長パス及び上位レイヤパスを設定する装置であれば、如何なる構成になってもよい。また、パスの事前設計及び収容順序決定は、事前に計算されずに、逐次的に計算されてもよい。同様に、逐次的な計算も、事前に行われてもよい。
【0287】
また、本発明の実施形態では、空き波長を用いて再配置を行っているが、予め再配置専用に空き波長を通信網内に確保しておいてもよい。
【0288】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々の変更・応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0289】
本発明は、通信網における波長パス及び上位レイヤパスの再配置に適用可能である。
【符号の説明】
【0290】
10 管理装置
101 既存パス管理データベース
102 波長パス事前設計機能部
103 再配置対象パス管理データベース
104 波長パス収容順序決定機能部
105 収容順序管理データベース
106 パス設定機能部
107 制御信号送受信インタフェース
20 ノード装置
201 制御信号送受信インタフェース
202 上位レイヤ装置接続インタフェース
203 信号複製機能部
204 無瞬断切り替え機能部
205 波長パス選択機能部
206 スイッチング機能部
207 データ転送用インタフェース
30 管理装置
301 既存パス管理データベース
302 上位レイヤパス事前設計機能部
303 再配置対象パス管理データベース
306 パス設定機能部
307 制御信号送受信インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網内に設定された波長パスを再配置するパス再配置装置における波長パス再配置方法であって、
波長パス設計部が、通信網内の使用波長領域数を再配置前の値より小さくする計算を行うことにより、再配置先の波長パスを設計する波長パス設計ステップと、
波長パス設定部が、空き波長を用いて、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更する波長パス設定ステップと、
を有する波長パス再配置方法。
【請求項2】
収容順序決定部が、空き波長を用いて、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更するための収容順序を決定する収容順序決定ステップを更に有し、
前記波長パス設定ステップは、決定された収容順序に基づいて、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに無瞬断で変更する、請求項1に記載の波長パス再配置方法。
【請求項3】
前記収容順序決定ステップは、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更する際に、再配置先に既に波長パスが存在するか否かを判別し、再配置先に既に波長パスが存在する場合に当該波長パスを空き波長に退避させることにより、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更することができる収容順序を決定する、請求項2に記載の波長パス再配置方法。
【請求項4】
前記収容順序決定ステップは、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更するためのオペレーション数を求め、複数の収容順序が決定された場合、オペレーション数の少ない収容順序を選択する、請求項3に記載の波長パス再配置方法。
【請求項5】
前記波長パス設計ステップは、再配置対象の波長パス数もしくは波長数が所定の閾値を超えないという制約の範囲内で計算する、請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の波長パス再配置方法。
【請求項6】
前記波長パス設計ステップは、再配置対象の波長パスと再配置先の波長パスとの遅延差若しくは経路差が所定の閾値を超えないという制約、又は再配置対象の波長パスと再配置先の波長パスとの経路が変わらないという制約の範囲内で計算する、請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の波長パス再配置方法。
【請求項7】
前記波長パス設定ステップは、
再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更する際に、再配置先に既に波長パスが存在するか否かを判別し、
再配置先に波長パスが存在しない場合、
再配置先の波長パスを設定し、
再配置対象の波長パスに収容されている上位レイヤパスを、前記再配置先の波長パスに収容し、
上位レイヤパスの収容が完了した場合に、前記再配置先の波長パスを削除し、
再配置先に既に波長パスが存在する場合、
空き波長を用いて、再配置先の波長パスと同じ経路の波長パスを設定し、
再配置対象の波長パスに収容されている上位レイヤパスを、前記再配置先の波長パスと同じ経路の波長パスに収容し、
上位レイヤパスの収容が完了した場合に、前記再配置対象の波長パスを削除し、
前記再配置先の波長パスと同じ経路の波長パスを再配置対象の波長パスとして、当該波長パス設定ステップを繰り返す、請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の波長パス再配置方法。
【請求項8】
前記波長パス設計ステップは、通信網内のいずれかのリンクで使用されている波長について、通信網内の使用波長領域数を再配置前の値より小さくする計算を行う、請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の波長パス再配置方法。
【請求項9】
前記波長パス設計ステップは、通信網内のいずれかのリンクに空きのある波長について、通信網内の使用波長領域数を再配置前の値より小さくする計算を行う、請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の波長パス再配置方法。
【請求項10】
上位レイヤパス設計部が、通信網内で使用されている波長数もしくは通信装置数もしくは通信装置コストを再配置前の値より小さくする計算を行うことにより、再配置先の上位レイヤパスを設計する上位レイヤパス設計ステップと、
上位レイヤパス設定部が、再配置対象の上位レイヤパスを再配置先の上位レイヤパスに変更する上位レイヤパス設定ステップと、
前記波長パス設定部が、上位レイヤパスを収容していない波長パスが存在する場合に、当該波長パスを削除する波長パス削除ステップと、
を更に有する、請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の波長パス再配置方法。
【請求項11】
前記上位レイヤパス設計ステップは、再配置対象の上位レイヤパスの数が所定の閾値を超えないという制約の範囲内で計算する、請求項10に記載の波長パス再配置方法。
【請求項12】
前記上位レイヤパス設計ステップは、再配置対象の上位レイヤパスと再配置先の上位レイヤパスとの遅延差若しくは経路差が所定の閾値を超えないという制約の範囲内で計算する、請求項10又は11に記載の波長パス再配置方法。
【請求項13】
通信網内に設定された波長パス内の上位レイヤパスを再配置するパス再配置装置における上位レイヤパス再配置方法であって、
上位レイヤパス設計部が、通信網内で使用されている波長数もしくは通信装置数もしくは通信装置コストを再配置前の値より小さくする計算を行うことにより、再配置先の上位レイヤパスを設計する上位レイヤパス設計ステップと、
上位レイヤパス設定部が、再配置対象の上位レイヤパスを再配置先の上位レイヤパスに変更する上位レイヤパス設定ステップと、
を有する上位レイヤパス再配置方法。
【請求項14】
前記収容順序決定ステップは、いずれかの波長パスの再配置先を順に辿ったときにループが生じる場合、ループ内のいずれかの波長パスを空き波長に退避させることにより、収容順序を決定する、請求項3に記載の波長パス再配置方法。
【請求項15】
前記収容順序決定ステップは、
空き波長を用いて、再配置対象の波長パスを再配置先の波長パスに変更するための順序を決定してオペレーション数を算出する収容順序演算ステップと、
オペレーション数が小さい、もしくはあらかじめ決められた数のオペレーション数の範囲内で、再配置波長と再配置順序を決定するステップを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の波長パス再配置方法。
【請求項16】
前記波長パス設計ステップは、複数の解を算出し、
前記収容順序決定ステップにおいて、
前記複数の解それぞれに対してオペレーション数を算出する
ことを特徴とする請求項15に記載の波長パス再配置方法。
【請求項17】
前記波長パス設計ステップは、整数線形計画法を用いて、目的関数を満たす複数の解を算出することを特徴とする請求項16に記載の波長パス再配置方法。
【請求項18】
前記使用波長領域数は、使用波長領域数に1波長あたりの使用コストを乗じた数、もしくはフラグメンテーションが発生している波長領域数、もしくはフラグメンテーションが発生している波長領域数に1波長あたりの使用コストを乗じた数、もしくはフラグメンテーションが発生している波長領域数に波長チャネル内の使用波長数に応じて重みをつけた数、で表すことを特徴とする請求項1,8,9のいずれか1項に記載の波長パス再配置方法。
【請求項19】
前記目的関数は、波長数もしくは通信装置数もしくは通信装置コストと、使用波長領域数の合計を小さくする、もしくは、波長数もしくは通信装置数もしくは通信装置コストと、使用波長領域数と、波長パスもしくは上位レイヤパスもしくは波長パス及び上位レイヤパスを変更するコストの合計を小さくすることを特徴とする請求項17に記載の波長パス再配置方法。
【請求項20】
前記波長パス設計ステップは、
整数線形計画法を用いて、目的関数を変更することによって複数の解を算出する
ことを特徴とする請求項17に記載の波長パス再配置方法。
【請求項21】
前記収容順序決定ステップにおける前記オペレーション数は、
再配置するパスそれぞれに重みをつけて合計数を算出、もしくはパスのホップ数もしくは経路長に応じて重みをつけて算出する
ことを特徴とする請求項15に記載の波長パス再配置方法。
【請求項22】
前記収容順序決定ステップは、
再配置対象となる波長パスにおいて、再配置先を順に辿ったときのループ発生量の小さい順番に、ループ内のいずれかの波長パスを空き波長に退避させることにより、収容順序を決定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の波長パス再配置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【公開番号】特開2012−109928(P2012−109928A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105714(P2011−105714)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】