説明

泥水の還流設備及び泥水式推進工法

【課題】埋設管の径が700mm以下の小口径管の泥水式推進工法で推進距離を延長できる泥水の還流設備を提供する。
【解決手段】先導体10から埋設管11、そして地表へと伸びる排泥管5の途中に排泥ポンプ21を設け、埋設管11から排泥ポンプ21までの排泥管5の途中からセパレータタンク26へ繋がる分岐管24を伸ばし、セパレータタンク26にバキュームポンプ27を連結し、排泥ポンプ21とバキュームポンプ27を併用することで、先導体10で掘削されて出た排泥水は各管を通って、排泥ポンプ21とセパレータタンク26のそれぞれへ吸い上げられて排出される。また、セパレータタンク26内部にサンドポンプ28を設けて、セパレータタンク26へ吸い上げられて溜まった排泥水を排出し、セパレータタンク26から排出される排泥水が通る分岐管25の途中に逆止弁29を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小口径管での泥水式推進工法に適用される泥水の還流設備と、その泥水式推進工法に関する。
【背景技術】
【0002】
生活圏では下水道、水道、ガス、電力、通信等のライフラインが地中に埋設されており、この埋設で代表的な方法として泥水式推進工法がある。泥水式推進工法は、掘進機の先導体が掘削する掘削面に、送泥管の途中に設けた送泥ポンプによって泥水が送泥管を通って圧送・供給されて、泥水の圧力により掘削面の地盤が崩壊するのを防止し、地盤が安定した状態で地中の掘削ができる。掘削して出た土砂は先導体に供給されている泥水に混入し、排泥水となって排泥管の途中に配置されている排泥ポンプによって吸い上げられ、地表に排出される。
【0003】
一般的な泥水式推進工法では、地表に泥水を処理して溜める泥水処理部を備えて、泥水を供給する送泥管を泥水処理部から立坑、そして埋設管の内部へと伸ばす。埋設管の内部から先導体まで伸ばした送泥管は、先導体の前部に配置された隔壁から圧力室へ繋がっており、その途中には泥水を圧送するためのポンプが備えられ、泥水は泥水処理部から圧力室へ送泥管を通って供給される。圧力室の前方には掘削ビット等を備えて回転する掘削面盤が配置されている。
【0004】
また、先導体の圧力室からは排泥管が伸びており、掘削面盤で掘削されて出た土砂が泥水とともに排泥水となって、排泥管へ吸い込まれる。排泥管は、埋設管の内部から立坑、そして地表の泥水処理部へと繋げられ、その途中には排泥水を先導体の圧力室から吸い上げて排出するポンプが備えられており、排泥水は圧力室から排泥管を通って泥水処理部へ戻る。泥水処理部に送られた排泥水は、泥水と土砂に分離されて、土砂を分離した泥水は再び送泥管へ送られる。(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−349179
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した泥水式推進工法では、推進の延長距離(凡そ100m以上)を伸ばすことが非常に困難である。すなわち、送泥ポンプと排泥ポンプのみによって成り立っており、埋設される管の推進距離が長くなるに従って、送泥管と排泥管の各配管の長さが伸びることで、各配管と泥水・排泥水との間で発生する摩擦抵抗が増加し、配管内を流れる泥水・排泥水の流量や圧力が低下する。特に、先導体から排泥水を吸い上げて、泥水処理部に圧送する場合、排泥水は泥水の中に、さらに土砂が混ざっているため、排泥水を吸い上げる力、つまり負圧を高める必要がある。負圧を高める方法として複数のポンプを埋設管の内部に間隔をあけて配置する方法がある。
【0006】
多数のポンプを配置した場合、先導体の点検や操作、測量を行うとき、ポンプを避けて埋設管内を移動しなければならず、また各ポンプの点検や修理する手間などから作業効率が落ちる。しかも、径が700ミリ以下の小口径管での泥水式推進工法では、埋設管の内部の空間が狭いためポンプを設置することが難しい。また、長距離推進施工となると曲線施工となるケースが多々存在する。曲線にて施工する場合は、管内に設置したポンプが障害となりカーブ測量することが出来ない。したがって、小口径管の泥水推進工事において、推進距離を延長させることが非常に困難であった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みて提案されたものであり、その目的は小口径管での泥水式推進工法で排泥管内の負圧を大きくすることにより排泥ポンプの能力を高め、掘削したときに出る排泥水を効率よく吸い上げて排出することで、推進の延長距離を伸ばすことを可能にする泥水の還流設備及び泥水式推進工法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は特許請求の範囲に記載の通りの泥水の還流設備及び泥水式推進工法とすることで、前記課題を解決したものである。本発明に係る泥水式推進工法は、地盤に垂直方向の立坑を掘削し、立坑の内壁から地盤内に掘進機の先導体が掘削、推進することで埋設孔を形成し、掘進機の後方に埋設管を順次連結することで、埋設管を埋設孔に推進させていく推進工法である。また、泥水還流設備の泥水処理部が泥水を先導体から地盤の掘削面に供給し、掘削された土砂が泥水とともに排泥水となって、先導体から排泥管を通じて泥水処理部に排出される工法であって、埋設管外で排泥管に分岐部を設けて、分岐部から分岐管を伸ばして地表に設けたセパレータタンクへ繋げている。セパレータタンクは排泥水と空気を分離させるものが好ましい。
【0009】
セパレータタンクの外部には、排泥水を先導体からセパレータタンクまで吸い上げるバキュームポンプを設置する。バキュームポンプは、排泥水と一緒に空気も吸い上げて、吸い上げられたそれぞれはセパレータタンクで分離され、その内の空気はバキュームポンプによってさらに吸い上げられて排出され、排泥水はセパレータタンクに溜まる。セパレータタンクに溜まった排泥水を泥水処理部へ排出するために、セパレータタンクの内部にはポンプを設置し、ポンプがセパレータタンクから泥水処理部へ排出する排泥水の水圧によって開く逆止弁を、ポンプから泥水処理部へ伸びている分岐管の途中に設けて、先導体からの排泥水の吸い上げと排出を、セパレータタンクに設けたバキュームポンプとポンプの併用によって行うことが好ましい。また、逆止弁はセパレータタンクから排泥水が排出される経路の途中に設置して、泥水処理部より空気がセパレータタンクに流れ込むのを防止するもので、ポンプは排泥水を吸い出すことができるサンドポンプが好ましい。
【0010】
泥水式推進工法では、先導体による地盤の掘削面に泥水を供給し、掘削された土砂を泥水とともに排泥水として排泥管を通じて排出する。基本的には通常の推進工法と同様の作業の手順、装置、条件を適用すればよい。
【0011】
泥水式推進工法では先導体の前面に掘削面盤、掘削面盤の後方に隔壁が設けられ、隔壁と掘削面盤との間にある圧力室に泥水が供給されて、掘削された土砂が泥水とともに排泥水となって排出される。送泥管は、埋設孔の外から埋設管の内部を経て先導体の掘削面つまり圧力室まで配置されている。また、排泥管も、圧力室から埋設管の内部を経て埋設管の外まで配置されている。
【0012】
送泥管および排泥管は、埋設管の外である立坑内、そして地表へと伸びて泥水処理部に接続される。泥水処理部には、排泥管から送られてくる排泥水を泥水と土砂に分離する泥水処理装置と処理されて出た泥水を溜めておく調整槽と沈殿槽で構成される泥水槽を備える。また、送泥管と排泥管の途中には、それぞれ送泥ポンプと排泥ポンプを配置して、泥水の供給、排泥水の排出を行う。
【0013】
立坑内で先導体から排泥ポンプに向かう排泥管の途中に分岐部を設けて、分岐部から分岐管を伸ばして地表に設けたセパレータタンクに繋げて、セパレータタンクの外部には、排泥水を先導体からセパレータタンクへと吸い上げるバキュームポンプを設ける。バキュームポンプは、インバータの制御によってセパレータタンクへ過剰な排泥水の吸い上げを防止し、排泥管内の負圧の調整と泥水・排泥水が通る各配管の流量のバランスをとっている。
【0014】
排泥ポンプとバキュームポンプが先導体から排泥水をそれぞれ別系統で吸い上げて、吸い上げられる排泥水が通る排泥管の途中の分岐部で、排泥ポンプ側とセパレータタンク側へ排泥水は分流し、排泥ポンプ側へ吸い上げられた排泥水は排泥管を通って泥水処理部へ排出される。また一方、バキュームポンプ側へ吸い上げられた排泥水は、分岐部から分岐管を通ってセパレータタンクに溜まる。セパレータタンクに溜まった排泥水をポンプが圧送し、圧送される排泥水の水圧によって、ポンプから泥水処理部へと伸びている分岐管の途中に設けた逆止弁が開いて、排泥水はセパレータタンクから泥水処理部へ排出される。
【発明の効果】
【0015】
埋設管の外に配置した排泥ポンプ、バキュームポンプによって、排泥水を吸い上げる力である負圧を大きくでき、推進距離を延長できる。これにより、埋設管の径が小さいために埋設管の内部にポンプを設置することが難しく、推進距離の範囲が限られる、小口径管の泥水式推進工法の難点を解消できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明における好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の実施形態の概要を示した図であり、断面の切り方については、全体を把握するために場所ごとに切断方法を適宜変更してあり、断面図のハッチングが、本実施形態の全体を把握するのを複雑にしてしまうことから適宜省略した。推進工法において、地盤Eには、地表から垂直下方に発進立坑Hが掘削される。発進立坑Hには推進架台1が設置され、推進架台1には押輪2と押輪2を往復移動させる推進ジャッキ3が設置される。また、発進立坑Hには送泥管4と排泥管5の泥水・排泥水の配管などが設置される。推進ジャッキ3は地表に設置された操作盤6によって操作線7を通じて操作され、また油圧ユニット8が油圧ホース9を通じて推進ジャッキ3に動力を与える。発進立坑Hの内壁から地盤Eに対して水平方向に、先導体10を掘削推進させる。先導体10の後方にヒューム管などからなる埋設管11を順次連結することで、埋設管11は先導体10とともに地盤E内を推進していく。
【0018】
先導体10と複数の埋設管11からなる埋設管列の後端には、発進立坑Hに設置されている推進ジャッキ3から推進力が加えられる。推進ジャッキ3が作動軸上の前方(図1で左方向)に伸びると、押輪2を介して先導体10と埋設管11が推進される。先導体10は前面に掘削ビットが設けられた掘削面盤12を備え、先導体10の推進に併せて、地盤Eが掘削される。また、先導体10による地盤Eの掘削の際には、掘削面盤12の後方に設けられた圧力室13へ泥水が圧送され、泥水の圧力によって掘削される地盤Eの崩壊を防止し、安定した状態を維持する。掘削されて出た土砂は泥水と混ざり、排泥水となって圧力室13から排出される。
【0019】
泥水の還流設備Sは、図1に示す通り、先導体10から泥水を送泥管4を通して地盤Eへ供給し、先導体10が地盤Eを掘削することで出た土砂を泥水とともに吸い込んで、先導体10から排泥管5を通って排出される排泥水を処理する泥水処理部Dと、排泥管5の途中に設けた分岐部23から分岐させた排泥水が、泥水処理部Dへ排出されるのに通る分岐管24と分岐管25の間に設置されるセパレータタンク26とを備えている。分岐部23は、発進立坑H内の推進ジャッキ3の上部空間に配置されている。セパレータタンク26が分岐管24を介してセパレータタンク26へ排泥水を吸い上げるバキュームポンプ27と、バキュームポンプ27を制御するインバータ制御装置31と、バキュームポンプ27に吸い上げられて、セパレータタンク26に溜まった排泥水を、分岐管25を介して泥水処理部Dに排出するサンドポンプ28と、を備えている。バキュームポンプ27によって、この分岐部23に負圧を加えることが特徴である。分岐部23はまた、泥水処理部Dは後述する調整槽14、マッドスクリーン15、沈殿槽16、サイクロン18で構成され、泥水・排泥水の処理・貯留を行う。
【0020】
つぎに泥水の還流設備Sを利用した泥水式推進工法における泥水の供給と排出について説明する。先導体10内にある圧力室13には、送泥管4および排泥管5が連結されている。送泥管4および排泥管5は、先導体10から埋設管11の内部を通り、発進立坑Hを上って、地表まで延び、地表において送泥管4と排泥管5は、それぞれ地表に設置された調整槽14とマッドスクリーン15に繋がっている。マッドスクリーン15は、圧力室13から排出された排泥水を土砂と泥水に分離し、泥水は調整槽14に隣接された沈殿槽16に移送され、土砂は廃棄処理に送り出される。
【0021】
沈殿槽16に溜まった泥水の上澄みと、沈殿槽16に溜まっている泥水で、沈殿槽16内部にあるポンプ17によってサイクロン18へ圧送され、サイクロン18で細かい粒子が取り除かれた泥水が、調整槽14に送られる。
【0022】
調整槽14では、地盤Eの掘削推進作業に適した粘度や成分になるように泥水が調整されている。調整された泥水は調整槽14に連結されている送泥管4に送り込まれ、送泥管4の調整槽14に近い位置にある送泥ポンプ19が圧送することで、泥水は調整槽14から送泥管4を通って先導体10内の圧力室13に供給される。送泥ポンプ19は、泥水式推進工法の内容に応じて、一般的な構造のポンプを適宜用いればよい。送泥管4から送泥ポンプ19の途中には必要に応じてバルブ20aが設置される。
【0023】
排泥管5は、先導体10内の圧力室13から埋設管11の内部を通り、発進立坑Hを上って、マッドスクリーン15に繋がっており、発進立坑Hを上っている排泥管5の途中に排泥ポンプ21と、その後に排泥電磁流量計22が設置されている。また、排泥ポンプ21から埋設管11に入るまでの排泥管5の途中に分岐部23を設けて、分岐部23から分岐管24を伸ばして、地表に設けられたセパレータタンク26に繋げる。
【0024】
セパレータタンク26の外部には、排泥水を先導体10からセパレータタンク26へと吸い上げるバキュームポンプ27が設置されている。セパレータタンク26の内部には、バキュームポンプ27によって吸い上げられて、セパレータタンク26溜まった排泥水を、マッドスクリーン15へ排出するサンドポンプ28が設置されている。サンドポンプ28の吐出口にはマッドスクリーン15へと繋がる分岐管25が連結され、分岐管25の途中には逆止弁29が設置されている。図では逆止弁29はバネで開閉する構造が例示される。また、分岐部23から排泥ポンプ21の排泥管5と、送泥ポンプ19から埋設管11に入るまでの送泥管4の途中には必要に応じてバルブ20b〜20e(バイパス弁とも呼ばれる)、バイパス配管30が設けられ、矢印に示す通り、送泥水を途中でバイパスできるようになっている。
【0025】
先導体10内の圧力室13にある排泥水は、排泥ポンプ21とバキュームポンプ27によって先導体10から排泥管5を通って吸い上げられる。排泥管5の途中に設けられた分岐部23で排泥水は、排泥ポンプ21側とセパレータタンク26側へと分流する。排泥ポンプ21側へ吸い上げられて圧送される排泥水は、排泥管5を通ってマッドスクリーン15へと排出され、排出の流量は排泥電磁流量計22によって計測される。
【0026】
一方、バキュームポンプ27側へ吸い上げられた排泥水は、分岐管24を通ってセパレータタンク26に溜まる。バキュームポンプ27は排泥水と一緒に空気も吸い上げている。その吸い上げられたそれぞれはセパレータタンク26で分離される。分離した空気はバキュームポンプ27によってさらに吸い上げられて排出される。バキュームポンプ27の吸い上げによって、セパレータタンク26内が排泥水で満杯になった場合(例えば、水位センサによる液面検知、水圧検知等により検出)、、溜まった排泥水は、サンドポンプ28が泥水を外部に圧送するように設定してある。この圧送により生じる水圧が逆止弁29のバネに抗して弁を開き、泥水が分岐管25を通って、マッドスクリーン15に排出される。これにより、溢れた排泥水をバキュームポンプ27が吸い込まないようにしてある。また、逆止弁29は、分岐管25内でサンドポンプ28がマッドスクリーン15へ排泥水を圧送する方向(図1の分岐管25に沿った矢印方向)のみに開くことで、マッドスクリーン15側からセパレータタンク26側へ排泥水や空気が逆流し、セパレータタンク26に侵入するのを防止している。これにより、逆止弁29は、マッドスクリーン15側から分岐管25を通って、セパレータタンク26に空気が入り、セパレータタンク26内の気圧の変動が起きるのを防止する。サンドポンプ28が排泥水をセパレータタンク26外部に排出すると、排泥水の水位が下がり、サンドポンプ28が停止する。そうすると、逆止弁29のバネが作用し弁を閉じるので、外部からの空気の流入を防止することができ、セパレータタンク26内の気圧は常に負圧に維持される。
【0027】
本実施形態において、逆止弁29は必要な能力や容量に合わせて、一般的な構造のものを用いればよい。また、バキュームポンプ27は、推進距離を延長することを目的としており、よって吸引能力が高いものを採用している。バキュームポンプ27を制御するインバータ制御装置31は、バキュームポンプ27を駆動するモータの回転を制御することで、セパレータタンク26へ流入する排泥水の吸引力を調節できるインバータを採用することが好ましい。バキュームポンプ27をインバータ制御装置31によって制御し、排泥水が余剰にセパレータタンク26内に流入するのを防止し、併せて送排泥管内を流れる泥水の負圧の調整と、泥水の流れのバランスをとることができる。
【0028】
以上のことから、次の効果が生じる。
(1)人が入って排泥ポンプを埋設管11の内部に設置することが困難な小口径管(通常、埋設管11の径が700ミリ以下)の泥水式推進工法において、排泥ポンプ21とバキュームポンプ27の併用により、排泥水を吸い上げる力が大きくなり、これによって泥水が滞りなく循環され、推進距離の延長が可能になる。例えば、条件によっては、従来の倍以上の推進距離を得ることが可能となる。
(2)バキュームポンプ27に連結されているセパレータタンク26と、セパレータタンク26内部に設けたサンドポンプ28とを設けることで、バキュームポンプ27によって吸い上げられセパレータタンク26に溜まった排泥水をサンドポンプ28によりセパレータタンク26から排出するので、溜まって一杯になった排泥水をバキュームポンプ27が吸い込み、バキュームポンプ27に排泥水が侵入するのを防止し、バキュームポンプ27が故障してしまうことを防止している。
(3)サンドポンプ28からマッドスクリーン15へ伸びている分岐管25の途中に設けた逆止弁29によって、排泥水の逆流を防止し、またマッドスクリーン15側からセパレータタンク26に空気が入ることによるセパレータタンク26内の圧力変動を防止して、バキュームポンプ27の真空状態を維持することで、バキュームポンプ27は先導体10内の圧力室13から安定して排泥水を吸い上げることができる。
【0029】
なお、上記実施例おいて、本発明の態様を実施するに当たって、本発明者により採用された技術の代表例である。これら技術は本発明を実施するための好ましい実施例の例示である。また、本技術分野に属する者は、本発明の開示に鑑みて、本発明の精神及び意図された要旨から離れることなく多数の改変・追加等が可能である。例えば、泥水式推進工法は一工程式、二工程式のいずれでもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態を表わす泥水式推進工法の全体構成図。
【符号の説明】
【0031】
1…推進架台 2…押輪 3…推進ジャッキ 4…送泥管 5…排泥管
6…操作盤 7…操作線 8…油圧ユニット 9…油圧ホース
10…先導体 11…埋設管 12…掘削面盤 13…圧力室
14…調整槽 15…マッドスクリーン 16…沈殿槽 17…ポンプ
18…サイクロン 19…送泥ポンプ 20…バルブ 21…排泥ポンプ
22…排泥電磁流量計 23…分岐部 24…分岐管 25…分岐管
26…セパレータタンク 27…バキュームポンプ 28…サンドポンプ
29…逆止弁 30…バイパス配管 31…インバータ制御装置 E…地盤
H…発進立坑 S…泥水の還流設備 D…泥水処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先導体から泥水を送泥管を通して地盤へ供給し、先導体が地盤を掘削することで出た土砂を泥水とともに吸い込んで、先導体から排泥管を通って排出される排泥水を処理する泥水処理部と、
前記排泥管の途中で分岐させ排泥水を前記泥水処理部に排出する分岐管の途中に設置され、排泥水と空気を分離するセパレータタンクと、を備え、
該セパレータタンクが、
前記分岐管を介してセパレータタンクへ排泥水を吸い上げるバキュームポンプと、
該バキュームポンプに吸い上げられて、前記セパレータタンクに溜まった排泥水を排出するポンプと、
を備えたことを特徴とする泥水の還流設備。
【請求項2】
先導体から泥水を送泥管を通して地盤へ供給し、先導体が地盤を掘削することで出た土砂を泥水とともに吸い込んで、先導体から排泥管を通って排出される排泥水を処理する泥水の還流設備を利用する泥水式推進工法において、
前記排泥管の途中から分岐された分岐管により排泥水を分岐させ、
排泥ポンプによる排泥とは別系統で、該分岐管を介してバキュームポンプの泥水吸引によりセパレータタンクに排泥水を貯留させ、
該セパレータタンクに貯留される排泥水を、前記バキュームポンプに入らないように、ポンプが外部に排出する、
ことを特徴とする泥水式推進工法。
【請求項3】
先導体から泥水を送泥管を通して地盤へ供給し、先導体が地盤を掘削することで出た土砂を泥水とともに吸い込んで、先導体から排泥管を通って排出される排泥水を処理する泥水の還流設備を利用する泥水式推進工法において、
前記排泥管の途中から分岐された分岐管により排泥水を分岐させ、
排泥ポンプによる排泥とは別系統で、該分岐管を介してバキュームポンプの泥水吸引によりセパレータタンクに排泥水を貯留させ、
該バキュームポンプをインバータによって制御し、排泥水が余剰にセパレータタンク内に流入するのを防止し、併せて送排泥管内を流れる泥水の負圧の調整と、泥水の流れのバランスをとる、
ことを特徴とする泥水式推進工法。

【図1】
image rotate