注入カセット用のピンチクランプ組立体
患者へ栄養を補給しまたは医療液剤を注入するように構成された経腸補給または注入ポンプにチューブを係合するためのピンチクランプ組立体であって、ベース(1)に動作可能に係合した状態でチューブの圧送部(10)を保持するための保持手段(3)と、第1のクランプ面(4)と、コネクタ(6)を支持するための支持手段(5)とを有するベース(1)と、第2のクランプ面(8)を有するクランプ要素(7)であって、第2のクランプ面が、チューブ(10)に係合可能であると共に、チューブ(10)を通じた液体の流れを可能にする開放位置と、クランプ要素(7)によりチューブ(10)を閉塞する閉鎖位置との間を移動可能であるクランプ要素と、患者のポートにチューブを接続するためのコネクタ(6)であって、ピンチクランプ組立体から取り外し可能なコネクタと、ばね(12)とを備え、コネクタ(6)が、クランプ要素(7)に係合してクランプ要素(7)を開放位置に保持するように構成され、コネクタ(6)が組立体から取り外されるとすぐにクランプ要素(7)がばね(12)の力により開放位置から閉鎖位置へ付勢され、クランプ要素(7)が、ピンチクランプ組立体を経腸補給または注入ポンプへ装着してコネクタ(6)を取り外すときに、閉鎖位置から開放位置へ移動されるように構成されたピンチクランプ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者へ栄養を補給するように構成された経腸補給ポンプまたは医療液剤を注入するように構成された注入ポンプにチューブを係合するためのピンチクランプ組立体に関する。より具体的には、本発明は、経腸補給セットまたは注入セットおよび同等品に使用するための、クランプ要素を伴うカセット形式のピンチクランプ組立体に関する。クランプ要素は、クランプ要素がカセットと共に経腸補給ポンプまたは注入ポンプの筐体または他の構造に適切に装着されている限り、経腸補給セットを通じた経腸フォーミュラまたは注入セットを通じた液剤のフリーフローを防止する。
【背景技術】
【0002】
患者へ液剤および食品を投与するための注入および栄養補給セットの使用は、医療分野において周知である。注入セットと栄養補給セットは、経腸投与と非経口投与にそれぞれ使用される。衛生上の理由から注入および経腸セットは、使用後直ちに廃棄されなければならず、後に再生利用可能な使い捨て装置となる。経腸補給ポンプは、様々な理由から通常の摂食ができない患者に栄養および薬剤(フォーミュラ)を供給するために使用される。非経口(点滴)液剤は、適切な水分補給を確保し、必要な栄養素、無機物および薬剤を供給するために患者へ供給される。しばしば、経腸または注入セットは、フォーミュラまたは液剤を患者へ重力により流下させる自立装置内に配置される。現在の市場で入手可能なローラクランプなどの様々なクランプによって、患者に入る液剤の流量を大まかに制御することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くの投与では、患者に入る液剤またはフォーミュラの量を正確に制御することが必要である。この場合には、患者へ補給される液剤の流量を制御するために、注入セットと共に注入ポンプなどの制御装置が配置される。ポンプなどを使用する投与では、流れを調節するために用いられるクランプは、一般に、ポンプの適切な機能を妨げないように最大限に開放される。クランプは、経腸補給ポンプまたは注入ポンプが経腸セットまたは注入セットを通じた液体の流れを制御することを見込んで開放される。しかし、緊急事態または他の注意散漫によって、医療従事者が経腸補給ポンプまたは注入ポンプに経腸または注入セットを適切に装着することが妨げられる場合がある。また、ポンプの運転中に経腸または注入セットがポンプから不注意に取り外される場合がある。
【0004】
経腸または注入セットがポンプに適切に装着されていなくてクランプを開放してしまうと、フリーフローとして知られる状態がしばしば生じる。重力は、ポンプまたは他の調節装置により抑制されずに液剤またはフォーミュラを患者へ自由に流入させる。フリーフロー状態では、所望量の数倍に及ぶ多量の液剤またはフォーミュラを比較的短期間に患者へ供給してしまう。これは、液剤が強い薬剤を含んでいたり、患者の体が液剤またはフォーミュラの大量の流入に適応するのに十分なほど体力的に強くなかったりする場合、特に危険を及ぼす場合がある。よって、経腸または注入セットがポンプまたは他の調節手段に適当に装着されていない場合に、フリーフロー状態を防止する装置が必要である。また、フリーフロー状態の発生に関して耐タンパー性を有する(tamper−resistant)ことが重要である。このような経腸補給または注入セットは、数年に及ぶ長期間の保管をさらに要求される。このため、使用中の一様な流れ特性からの逸脱をもたらしうるシリコンチューブの付着変形および連続変形を回避するべきである。
【0005】
前述したフリーフロー状態を回避するためにいくつかのアプローチがとられている。そのうちの一つは、国際公開第96/030679A1号パンフレットに開示されている。そこでは、ピンチクリップ閉塞体は、少なくとも部分的に筐体内に組み込まれた1以上のアームを伴うクランプ機構を用いている。クランプ機構は、アームが注入セットを通じた流れを閉塞する位置と、アームが注入セットを通じたフリーフローを可能にする位置との間でアームを移動することにより、調節機構として働く。これに関連する一つの問題は、圧迫具、締結具または同等品など他の外部要素によりばね力に抵抗する方法でピンチクリップ閉塞体を操作することができる点にある。ピンチクリップ閉塞体を含む注入セットの他の欠点は、注入または経腸補給ポンプへの装着がかなり複雑である点にある。つまり、そのために形成されて回転ユニットなどを包む穴にシリコンチューブを正確に配置しなければならない。さらに、この既知のピンチクリップ閉塞体の主要な欠点は、カニューレ(prone)を伴うキャップをピンチクリップ閉塞体内に残してチューブを開放するときには、注入セットをポンプへ取り付けていなくてもフリーフロー状態が生じる点にある。
【0006】
米国特許第4689043号明細書は、蠕動IV注入ポンプと共に使用されるIVチューブアクティベータを説明している。IVチューブアクティベータは、IVチューブをポンプに係合する際、続いてIVチューブの係合を解く際に、チューブに関連付けられたクランプを閉鎖するための手段を備える。このIVチューブアクティベータも、かなり複雑な構造を有しており、クランプされたシリコンチューブをその使用前に注入ポンプ内に保管する問題を解決していない。また。IVチューブアクティベータと共に注入セットを設定することは、多くの様々な構成要素に起因して煩雑であり、かつ間違いを生じ易い。
【0007】
このため、本発明の課題は、患者へ栄養を補給しまたは医療液剤を注入するように構成された経腸補給または注入ポンプにチューブを係合するためのピンチクランプ組立体を提供することにある。ピンチクランプ組立体は、比較的簡素な構造を備え、いつでも機能するフリーフロー防止機構を確保し、シリコンチューブの長期保管を可能にする。
【0008】
この課題は、請求項1の特徴により解決される。本発明の有利な実施形態は、従属項の主題である。
【0009】
本発明によれば、患者へ栄養を補給しまたは医療液剤を注入するように構成された経腸補給または注入ポンプにチューブを係合するためのピンチクランプ組立体は、ベースに動作可能に係合した状態でチューブを保持するための保持手段と、第1のクランプ面と、コネクタを支持するための支持手段とを有するベースと、第2のクランプ面を有するクランプ要素であって、第2のクランプ面が、チューブに係合可能であると共に、チューブを通じた液体の流れを可能にする開放位置と、クランプ要素によりチューブを閉塞する閉鎖位置との間を移動可能であるクランプ要素と、患者のポート(port)にチューブを接続するためのコネクタであって、ピンチクランプ組立体から取り外し可能なコネクタとばねを備え、コネクタが、クランプ要素に係合してクランプ要素を開放位置に保持するように構成され、コネクタがピンチクランプ組立体から取り外されるとすぐにクランプ要素がばねの力により開放位置から閉鎖位置へ付勢され、クランプ要素が、ピンチクランプ組立体を経腸補給または注入ポンプへ装着してコネクタを取り外すときに、閉鎖位置から開放位置へ移動されるように構成される。
【0010】
これにより、ピンチクランプ組立体がその出荷状態にあるときには、患者のポートへ接続されるべきコネクタがまだピンチクランプ組立体の一部であるため、フリーフロー状態が防止される。コネクタを組立体から取り外すとすぐに、バネの力によりクランプ要素がその閉鎖位置へ自動的に移動し、シリコンチューブの圧送部を通じた流れを防止する。これにより、フリーフロー状態は、各コネクタが一端でポートへ接続され、他端で液剤またはフォーミュラ容器へ接続されるときに再び防止される。この状態では、つまりコネクタを取り外した後には、ピンチクランプ組立体を経腸補給または注入ポンプへ挿入することができる。ポンプを挿入するときに、クランプ要素は、解放要素を伴うポンプの相互作用により開放される。しかし、シリコンチューブの圧送部が経腸補給または注入ポンプの圧送機構(回転ユニット)の周りに緊密に巻かれており、シリコンチューブを通じた液剤の流れが防止されるので、フリーフロー状態が生じない。よって、本発明に係るピンチクランプ組立体を備える注入セットのフリーフロー状態は、いつも特にその最初の使用前に回避される。
【0011】
本発明に係るピンチクランプ組立体の他の利点は、クランプ要素がその開放位置にあり、シリコンチューブが圧縮されたり締め付けされたりせず、従って材料の劣化または付着を防止するので、組立体をその出荷状態で5年などの長期間に亘って保管することができる点にある。また、フリーフロー防止機構は、ピンチクランプ組立体の一体部であり、他の構成要素が回避される。
【0012】
また、本発明に係るピンチクランプ組立体は、耐タンパー性を有する。これは、通常の利用者にとって、コネクタがまだ組立体内にあるときに、手でクランプ要素を閉鎖することができないためである。フリーフロー状態は、コネクタを切断してその先端部を他の部分から離すことによってのみもたらされるが、これでは、ポート、ルアーロックまたは同等品などの他の部品を取り付けられなければならない特殊なアダプタを両端部に備えるコネクタの機能を必然的に損なうことになる。
【0013】
好ましくは、クランプ要素は、ベースにヒンジ留めされる。これは、揺り子のような動きと機構を可能にし、ばねとクランプ要素の開放/閉鎖の相互作用を確実にする。スナップイン機構は、クランプ要素に対する十分な固定をもたらす。
【0014】
有利な実施形態では、コネクタは、経腸スパイク、IV(intravenous:静脈)スパイク、経腸補給アダプタ、IVルアーロックアダプタまたは他の経腸もしくはIV構成要素である。経腸補給または注入の分野で既知の利用可能な全てのコネクタを使用することができる。
【0015】
コネクタは、クランプ要素および/または支持手段へねじ結合されることが好ましい。これは、コネクタがクランプ要素に緊密に固定されることを確実にし、コネクタが組立体から意図せずに落下することを防止する。磁石式手段、バヨネット接続または同様な、クランプ要素に対するコネクタの他の固定手段も可能である。
【0016】
好適な実施形態では、ベースは、ピンチクランプ組立体を経腸補給または注入ポンプに一体に装着可能なカセットとして形成される。カセットは、嵩張らず、しかも小型の構成を備える平坦な構造をもたらす。
【0017】
好適な実施形態では、べース、クランプ要素およびコネクタは、熱可塑性プラスチックなどの再生利用可能なプラスチック材料で作られ、ばねは金属で作られ、チューブの圧送部は、シリコンで作られる。これは、ばねだけが異なる材料であるこの使い捨て装置の再生利用作業を簡素化することを可能にする。
【0018】
好ましくは、ベースは、ばねを収容するための円筒状の保持要素を有する。これは、主要な機能部品の1つであるばねが組立体内のその所定位置に絶えず保持されることを確実にする。
【0019】
好適な実施形態では、クランプ要素は、チューブ閉塞部を伴う第1の脚部と、ばねに係合するための手段およびコネクタに係合するための保持部を有する第2の脚部と、ベース上の適当な座部に係合するように構成されたスイベルピンとを有する。チューブ閉塞部は、ベースのクランプ面との最適な相互作用を確実にし、ばねに係合するための手段は、ばねがその指定された機能位置に常に留まること確実にし、保持部は、クランプ要素に対するコネクタの係合を確実にする。
【0020】
他の好適な実施形態では、保持部は、コネクタの先端を収容するように構成されたキャップまたはダストカバーとして構成される。これは、コネクタの案内領域を拡大し、従ってクランプ要素に対するコネクタの適切な係合を確実にする。また、それは、コネクタの開口へのほこりの侵入を防止する。また、そのようなキャップ内またはコネクタ上に、より大きなねじ部領域を設けてもよく、従って係合機能が向上する。
【0021】
好適な実施形態では、クランプ面が凹凸を有し、波形を付けられ、またはフィンを有する。シリコン配管の特定の要件に応じて、クランプ面の異なる構成を使用することができる。
【0022】
ベースは、第1の内壁と第2の内壁を有し、第1の内壁と第2の内壁の間にクランプ要素が配置されることが好ましい。これは、チューブの方向と直角にクランプ要素を良好に案内することを確実にし、クランプ要素を取り出す不正操作のために利用可能なアクセスポイントを回避する。
【0023】
本発明の他の実施形態によれば、経腸補給または注入ポンプは、前述したピンチクランプ組立体と、クランプ要素に係合してクランプ要素を閉鎖位置から開放位置へ解放するように構成された解放手段とを備える。
【0024】
好ましくは、圧送部を通じた流れは、ピンチクランプ組立体が圧送部に装着されているときにのみ可能となる。これは、ピンチクランプ組立体が注入ポンプへ完全に装着されているときにのみ、フリーフロー防止機構が動作しないことを確実にする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の上記課題、特徴および利点は、添付の図面に関連して提示された以下の詳細な説明の考察から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】本発明に係るピンチクランプ組立体の好適な実施形態に係るカセットの斜視図である。
【図1B】図1に示したカセットの正面図である。
【図1C】図1に示したカセットの平面図である。
【図1D】図1に示したカセットの側面図である。
【図2A】本発明に係るピンチクランプ組立体の第1の実施形態に係るクランプ要素の斜視図である。
【図2B】本発明に係るピンチクランプ組立体の第1の実施形態に係るクランプ要素の斜視図である。
【図2C】図2Aと図2Bに示したクランプ要素の正面図である。
【図2D】図2Aと図2Bに示したクランプ要素の左側面図である。
【図2E】図2Aと図2Bに示したクランプ要素の平面図である。
【図2F】図2Aと図2Bに示したクランプ要素の右側面図である。
【図3A】本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態に係るクランプ要素の斜視図である。
【図3B】本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態に係るクランプ要素の斜視図である。
【図3C】図3Aと図3Bに示したクランプ要素の正面図である。
【図3D】図3Aと図3Bに示したクランプ要素の左側面図である。
【図3E】図3Aと図3Bに示したクランプ要素の平面図である。
【図3F】図3Aと図3Bに示したクランプ要素の右側面図である。
【図4】本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態を構成要素の組立て前の状態で示す分解斜視図である。
【図5】図4に示したピンチクランプ組立体のばねを伴う詳細図である。
【図6】本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態を第2の装着状態で示す分解斜視図である。
【図7】本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態を第3の装着状態で示す分解斜視図である。
【図8】本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態を出荷状態で示す斜視図である。
【図9A】図8のピンチクランプ組立体の異なる斜視図である。
【図9B】図8のピンチクランプ組立体の異なる斜視図である。
【図10A】本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態をクランプ要素の取り外し状態で示す斜視図である。
【図10B】本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態をクランプ要素の取り外し状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1Aは、本発明に係るピンチクランプ組立体の好適な実施形態の主要な構成要素を示す斜視図である。主要な構成要素は、組立体のベースを形成するカセット1からなる。カセット1は、ほぼ矩形の比較的平らな構造を有する。カセット1をポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンまたはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)などの熱可塑性材料から射出成形により製造する場合を想定する。なお、他の適当な熱可塑性プラスチックを用いてもよい。カセット1は、シリコンチューブ(この図では不図示)の圧送部を異なる側部で支持するための4つの保持手段3を備えている。シリコンチューブを収容するための保持手段3は、カセット1の中心に向けて長手方向の縁部に配置されている。ベースまたはカセット1は、保持手段3に隣接する第1のクランプ面4をさらに備えている。第1のクランプ面4は、平らであり、カセット1の基面とほぼ並行である。その領域は、チューブの最適なクランプをもたらすに足るほど大きい。カセット1には、支持手段5が設けられている。支持手段5は、カセット1の側壁に形成されたほぼ円形の穴と、支持手段5を収容する側壁とほぼ並行な内壁11に形成されたほぼ円形の別の穴との形で設けられている。ほぼ円形の穴同士は、ほぼ同一の軸を有し、詳細について後述するコネクタを支持するために設けられている。カセット1は、後述するばねを収容するように構成される円筒状の保持要素14をさらに備えている。チューブの方向とほぼ直角に並行な内壁22、23が形成されている。また、カセット1の基面には、座部21が形成されている。本発明にとって本質的ではない構成要素により図を必要以上に複雑にしないために、現時点ではチューブが省略されている。カセット1の底部は、回転ユニット用の穴9を備えている。ピンチクランプ組立体を経腸補給または注入ポンプへ装着するときには、本発明に係る回転ユニット用の穴9により解放された空間へ蠕動回転ユニットのピンが取り付けられる。保持手段3の爪状の接触領域は、シリコンチューブの緊密な取り付けをもたらすに足るほど十分に大きい。
【0028】
図1B、図1Cおよび図1Dのそれぞれは、図1のピンチクランプ組立体の構成要素の前面図、平面図および側面図である。ここで、同一の要素には、同一の符号が付されている。
【0029】
図2Aおよび図2Bは、本発明に係るピンチクランプ組立体の第1の実施形態に係るクランプ要素7の斜視図である。クランプ要素7は、ピンチクランプ組立体の中心要素であり、チューブ閉塞部17を伴う第1の脚部15と、ばね12(不図示)との係合のための手段16を有する第2の脚部19と、コネクタ6との係合のための保持部18とにより形成されている。第1の脚部15および第2の脚部19は、約10〜20°の角度で互いに対向しており、それらの間に位置するスイベルピン20により揺り子状の構成が形成されている。スイベルピン20は、カセット1に形成された座部21へ取り付けられるように構成されている。また、クランプ要素7は、内部側壁22、23の間に案内されて囲まれている。チューブ閉塞部17は、カセット1の第1のクランプ面4と相互作用して係合するように構成される第2のクランプ面8を備えている。手段16は、ばね2の完全な取り付けを実現するように設計されている。安定性を目的として、第1の脚部15、第2の脚部19、手段16およびチューブ閉塞部17の間には、T形材状のリンクが設けられている。
【0030】
図2C、図2D、図2Eおよび図2Fのそれぞれは、図2Aおよび図2Bに示したクランプ要素の前面図、左側面図、平面図および右側面図である。ここで、同一の要素には、同一の符号が付されている。
【0031】
図2Aから図2Fに示した実施形態では、保持部18は、コネクタ6の先端を収容するためのリングとして概ね形成されている。第2の脚部19と保持部18の間の接続は、本発明に係るピンチクランプ組立体の一部としてのクランプ要素7の最適な動作を確保するために非常に固くすべきである点に留意しなければならない。
【0032】
図3Aおよび図3Bは、本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態に係るクランプ要素7の斜視図を示している。第1と第2の実施形態の違いは、保持部18の形状にある。第2の実施形態では、保持部18は、クランプ要素7の揺れ方向とほぼ直角に延びる細長い円筒キャップまたはダストカバーとして形成されている。第1の実施形態の保持部18のリングをその中心軸沿いに延長すると、第2の実施形態の保持部18の形状となる。円筒キャップ以外の形状も可能である点に留意しなければならない。また、保持部18は、内側に平坦面またはねじ部を備えてもよい。詳細について後述するように、コネクタ6に対する保持部18の相互作用が重要である。
【0033】
図3C、図3D、図3Eおよび図3Fのそれぞれは、図3Aおよび図3Bに示したクランプ要素の前面図、左側面図、平面図および右側面図である。ここで、同一の要素には、同一の符号が付されている。
【0034】
図4は、本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態を構成要素の組立前の状態で示している拡大斜視図である。チューブ10は、シリコンまたは他の適当な材料で作られた圧送部を備えている。チューブ10の両端には、シリコンチューブ10を保持すると共に、ピンチクランプ組立体のカセット1の長手方向の端部に設けられた保持手段3へ取り付けられるように構成されている2つのチューブ取り付け要素24が設けられている。良好な取り付けをもたらすために、チューブ取り付け要素24は、カセット1の保持手段3に形成された穴に係合するように構成されるフランジを備えている。図6は、本発明に係るピンチクランプ組立体へ取り付けられたチューブ10を示している。通常、注入セット全体の配管部のうち圧送部のみをシリコンで作り、チューブの他の部分をPVC(ポリ塩化ビニル)で作る点に留意されたい。また、PVCチューブなど注入セットの他の構成要素は、本発明の原理に寄与しないので、添付図面に示されていない点に留意しなければならない。
【0035】
本発明に係るピンチクランプ組立体の他の主要な構成要素は、金属または同様の特性を伴う他の適当な材料からなるばね12である。カセットまたはベース1へクランプ要素7が装着可能となる前に、図5から詳細に分かるように、円筒状の保持要素14にばね12を挿入しなければならない。その後、図示した実施形態では経腸アダプタであるコネクタ6をクランプ要素7と共に組立体へ装着することができる(図6参照)。クランプ要素7のスイベルピン20をばね12の力に抗してカセット1の座部21に挿入しなければならない。これにより、チューブ10は、ベース1の第1のクランプ面4と、クランプ要素7のチューブ閉塞部17の第2のクランプ面8との間で圧縮される。図示した実施形態では、チューブ閉塞部17と第2の脚部19のクランプ面が平らである。しかし、クランプ面は、シリコンチューブの特性に応じてクランプ要素7の圧迫機能を助けるように、凹凸を有し、波形を付けられ、またはフィンを有してもよい。
【0036】
本発明の課題によれば、ピンチクランプ組立体の出荷状態でチューブが圧縮されてはならない。このため、クランプ面同士が離れた状態のままとなるようにクランプ要素7をいくらか傾けなければならない。これは、一端が円筒状の保持要素14内にあり、他端が手段16上にあるばね12を圧縮するように、第2の脚部19上でクランプ要素7を押し下げることにより達成される。そして、第2の脚部19の最も低い位置、つまり手段16が円筒状の保持要素14にほぼ接触するときに、その一方でカセット1の側壁および内壁11に支持部5を通じて挿入されるコネクタ6(図7参照)をクランプ要素7の保持部またはキャップ18へ挿入するように、その先端を伴ってその軸沿いにさらに移動させる。保持部またはキャップ18は、この第2の実施形態では、クランプ要素側で閉鎖される円筒として形成されており、従って係合している状態でコネクタ6へのダストの進入を防止する。この係合は、第1および第2のクランプ面4、8を離し、従ってチューブ10を解放するように、第2の脚部19の側にクランプ要素7を下げて、第1の脚部15を上げた状態に保つロック機構としての役目を果たす。チューブ10を開放し、クランプ要素7をばね12の力に抗して下げた状態に保つこの位置を開放位置と称する。
【0037】
図8、図9Aおよび図9Bは、本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態を開放位置で異なる側面から示している。軸方向に引っ張らなければコネクタ6が組立体から落ちないようにコネクタ6を保持部18に固く係合している点に留意しなければならない。これらの図は、一端部にテーパーフィットを備える経腸アダプタをコネクタ6として示している。他の形式のコネクタを使用することもでき、コネクタ6を外向きの端部でチューブに液剤結合(solvent bonding)などを介して直接接続する点に留意されたい。チューブへ接続するためにルアー型ロックを使用することもできる。
【0038】
互いに対向する面にねじ部を設けることにより、コネクタ6と保持部18の間の係合、および/またはカセット1の側壁の支持部5と内壁11の間の係合を改良してもよい。これは、保持部18をキャップまたはダストカバーとして形成する、図に示した第2の実施形態の場合に特に好ましい。
【0039】
前述したようにピンチクランプ組立体に装着したコネクタ6を伴う開放位置は、出荷状態を示している。経腸補給または注入ポンプへピンチクランプ組立体を装着するために、コネクタ6を組立体から取り外さなければならず、コネクタを患者のポートへ装着しなければならず、コネクタを伴わない組立体をポンプの対応するスロットへ挿入しなければならない。
【0040】
ピンチクランプ組立体からコネクタ6を取り外すと直ぐに、クランプ要素7は、閉鎖位置へ向かい、それによりチューブ10を通じた流れを閉塞する。コネクタ6の取り外しは、コネクタの先端を保持部18(キャップもしくはダストカバーまたはリング)との係合から離すことを意味している。この離脱は、クランプ要素7の手段16を押し付けて第2の脚部19を持ち上げるばね12を解放する。結果として、これは、シリコンチューブ10を間にしてクランプ面4、8を互いに押し付けるので、チューブ10を直ちに閉鎖することになる。クランプ要素7は、従ってばね12の状態に応じてチューブ10を通じた流れを開放および閉鎖する傾動スイッチの役目を果たす。本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態の異なる斜視図を示す図10Aおよび図10Bからも、閉鎖位置が分かる。
【0041】
本発明の主要な原理は、コネクタ6を固く係合し、従ってピンチクランプ組立体の一体部分としている間には、組立体が出荷状態および開放位置にある点にある。コネクタ6を組立体内に緊密に保持しており、コネクタ6を組立体から取り外すと直ぐにクランプ要素7をその閉鎖位置に持ってくるので、フリーフロー状態を発生することができない。よって、ピンチクランプ組立体をポンプへ挿入する前には、シリコンチューブ10を通じた流れがいつも閉塞される。
【0042】
図10Aおよび図10Bに示したピンチクランプ組立体は、そのままで経腸補給または注入ポンプへ装着されるように構成されている点に留意されたい。もちろん、装着が可能となる前には、コネクタ6を取り外さなければならない。コネクタ6を取り外してピンチクランプ組立体を経腸補給または注入ポンプへ装着するときには、クランプ要素7は、まだその閉鎖位置にあり、それによりシリコンチューブ10の圧送部を通じた液体の流れを閉塞する。フリーフロー状態は、従って回避される。しかし、ピンチクランプ組立体の他の構成要素を伴うカセット1を経腸補給または注入ポンプへ挿入すると直ぐに、シリコンチューブ10の圧送部の閉塞状態を解かなければならない。図10Aおよび図10Bからは、第2の脚部19がその上面で組立体の他の部分の上面から突出していることが分かる。このため、ポンプには、ばね12の力に抗してクランプ要素7の第2の脚部19を押し下げ、従ってチューブ10を通じた流れを開放するようにクランプ面4、8同士を離した状態にする解放手段が備えられている。当業者であれば、クランプ要素7の第2の脚部19を押し下げるためのポンプの様々なデザインを検討するであろう。
【0043】
以上、ロック解放機構の好適な実施形態について説明した。磁石式の解決策、固定手段を伴う解決策など、他のロック解放機構も可能である点に留意されたい。全ての代替解決策は、しかし、コネクタ6の取り外しなしに、手または医療従事者が容易に入手可能な工具によりクランプ要素7を容易に開放できないような耐タンパー性を有する、という中心的な要件を満たすべきである。
【0044】
本発明の主題によって、患者へ栄養を補給しまたは医療液剤を注入するように構成された経腸補給または注入ポンプにチューブを係合するためのピンチクランプ組立体が提供される。ピンチクランプ組立体は、比較的簡素な構造を備え、いつでも機能するフリーフロー防止機構を確保する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者へ栄養を補給するように構成された経腸補給ポンプまたは医療液剤を注入するように構成された注入ポンプにチューブを係合するためのピンチクランプ組立体に関する。より具体的には、本発明は、経腸補給セットまたは注入セットおよび同等品に使用するための、クランプ要素を伴うカセット形式のピンチクランプ組立体に関する。クランプ要素は、クランプ要素がカセットと共に経腸補給ポンプまたは注入ポンプの筐体または他の構造に適切に装着されている限り、経腸補給セットを通じた経腸フォーミュラまたは注入セットを通じた液剤のフリーフローを防止する。
【背景技術】
【0002】
患者へ液剤および食品を投与するための注入および栄養補給セットの使用は、医療分野において周知である。注入セットと栄養補給セットは、経腸投与と非経口投与にそれぞれ使用される。衛生上の理由から注入および経腸セットは、使用後直ちに廃棄されなければならず、後に再生利用可能な使い捨て装置となる。経腸補給ポンプは、様々な理由から通常の摂食ができない患者に栄養および薬剤(フォーミュラ)を供給するために使用される。非経口(点滴)液剤は、適切な水分補給を確保し、必要な栄養素、無機物および薬剤を供給するために患者へ供給される。しばしば、経腸または注入セットは、フォーミュラまたは液剤を患者へ重力により流下させる自立装置内に配置される。現在の市場で入手可能なローラクランプなどの様々なクランプによって、患者に入る液剤の流量を大まかに制御することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くの投与では、患者に入る液剤またはフォーミュラの量を正確に制御することが必要である。この場合には、患者へ補給される液剤の流量を制御するために、注入セットと共に注入ポンプなどの制御装置が配置される。ポンプなどを使用する投与では、流れを調節するために用いられるクランプは、一般に、ポンプの適切な機能を妨げないように最大限に開放される。クランプは、経腸補給ポンプまたは注入ポンプが経腸セットまたは注入セットを通じた液体の流れを制御することを見込んで開放される。しかし、緊急事態または他の注意散漫によって、医療従事者が経腸補給ポンプまたは注入ポンプに経腸または注入セットを適切に装着することが妨げられる場合がある。また、ポンプの運転中に経腸または注入セットがポンプから不注意に取り外される場合がある。
【0004】
経腸または注入セットがポンプに適切に装着されていなくてクランプを開放してしまうと、フリーフローとして知られる状態がしばしば生じる。重力は、ポンプまたは他の調節装置により抑制されずに液剤またはフォーミュラを患者へ自由に流入させる。フリーフロー状態では、所望量の数倍に及ぶ多量の液剤またはフォーミュラを比較的短期間に患者へ供給してしまう。これは、液剤が強い薬剤を含んでいたり、患者の体が液剤またはフォーミュラの大量の流入に適応するのに十分なほど体力的に強くなかったりする場合、特に危険を及ぼす場合がある。よって、経腸または注入セットがポンプまたは他の調節手段に適当に装着されていない場合に、フリーフロー状態を防止する装置が必要である。また、フリーフロー状態の発生に関して耐タンパー性を有する(tamper−resistant)ことが重要である。このような経腸補給または注入セットは、数年に及ぶ長期間の保管をさらに要求される。このため、使用中の一様な流れ特性からの逸脱をもたらしうるシリコンチューブの付着変形および連続変形を回避するべきである。
【0005】
前述したフリーフロー状態を回避するためにいくつかのアプローチがとられている。そのうちの一つは、国際公開第96/030679A1号パンフレットに開示されている。そこでは、ピンチクリップ閉塞体は、少なくとも部分的に筐体内に組み込まれた1以上のアームを伴うクランプ機構を用いている。クランプ機構は、アームが注入セットを通じた流れを閉塞する位置と、アームが注入セットを通じたフリーフローを可能にする位置との間でアームを移動することにより、調節機構として働く。これに関連する一つの問題は、圧迫具、締結具または同等品など他の外部要素によりばね力に抵抗する方法でピンチクリップ閉塞体を操作することができる点にある。ピンチクリップ閉塞体を含む注入セットの他の欠点は、注入または経腸補給ポンプへの装着がかなり複雑である点にある。つまり、そのために形成されて回転ユニットなどを包む穴にシリコンチューブを正確に配置しなければならない。さらに、この既知のピンチクリップ閉塞体の主要な欠点は、カニューレ(prone)を伴うキャップをピンチクリップ閉塞体内に残してチューブを開放するときには、注入セットをポンプへ取り付けていなくてもフリーフロー状態が生じる点にある。
【0006】
米国特許第4689043号明細書は、蠕動IV注入ポンプと共に使用されるIVチューブアクティベータを説明している。IVチューブアクティベータは、IVチューブをポンプに係合する際、続いてIVチューブの係合を解く際に、チューブに関連付けられたクランプを閉鎖するための手段を備える。このIVチューブアクティベータも、かなり複雑な構造を有しており、クランプされたシリコンチューブをその使用前に注入ポンプ内に保管する問題を解決していない。また。IVチューブアクティベータと共に注入セットを設定することは、多くの様々な構成要素に起因して煩雑であり、かつ間違いを生じ易い。
【0007】
このため、本発明の課題は、患者へ栄養を補給しまたは医療液剤を注入するように構成された経腸補給または注入ポンプにチューブを係合するためのピンチクランプ組立体を提供することにある。ピンチクランプ組立体は、比較的簡素な構造を備え、いつでも機能するフリーフロー防止機構を確保し、シリコンチューブの長期保管を可能にする。
【0008】
この課題は、請求項1の特徴により解決される。本発明の有利な実施形態は、従属項の主題である。
【0009】
本発明によれば、患者へ栄養を補給しまたは医療液剤を注入するように構成された経腸補給または注入ポンプにチューブを係合するためのピンチクランプ組立体は、ベースに動作可能に係合した状態でチューブを保持するための保持手段と、第1のクランプ面と、コネクタを支持するための支持手段とを有するベースと、第2のクランプ面を有するクランプ要素であって、第2のクランプ面が、チューブに係合可能であると共に、チューブを通じた液体の流れを可能にする開放位置と、クランプ要素によりチューブを閉塞する閉鎖位置との間を移動可能であるクランプ要素と、患者のポート(port)にチューブを接続するためのコネクタであって、ピンチクランプ組立体から取り外し可能なコネクタとばねを備え、コネクタが、クランプ要素に係合してクランプ要素を開放位置に保持するように構成され、コネクタがピンチクランプ組立体から取り外されるとすぐにクランプ要素がばねの力により開放位置から閉鎖位置へ付勢され、クランプ要素が、ピンチクランプ組立体を経腸補給または注入ポンプへ装着してコネクタを取り外すときに、閉鎖位置から開放位置へ移動されるように構成される。
【0010】
これにより、ピンチクランプ組立体がその出荷状態にあるときには、患者のポートへ接続されるべきコネクタがまだピンチクランプ組立体の一部であるため、フリーフロー状態が防止される。コネクタを組立体から取り外すとすぐに、バネの力によりクランプ要素がその閉鎖位置へ自動的に移動し、シリコンチューブの圧送部を通じた流れを防止する。これにより、フリーフロー状態は、各コネクタが一端でポートへ接続され、他端で液剤またはフォーミュラ容器へ接続されるときに再び防止される。この状態では、つまりコネクタを取り外した後には、ピンチクランプ組立体を経腸補給または注入ポンプへ挿入することができる。ポンプを挿入するときに、クランプ要素は、解放要素を伴うポンプの相互作用により開放される。しかし、シリコンチューブの圧送部が経腸補給または注入ポンプの圧送機構(回転ユニット)の周りに緊密に巻かれており、シリコンチューブを通じた液剤の流れが防止されるので、フリーフロー状態が生じない。よって、本発明に係るピンチクランプ組立体を備える注入セットのフリーフロー状態は、いつも特にその最初の使用前に回避される。
【0011】
本発明に係るピンチクランプ組立体の他の利点は、クランプ要素がその開放位置にあり、シリコンチューブが圧縮されたり締め付けされたりせず、従って材料の劣化または付着を防止するので、組立体をその出荷状態で5年などの長期間に亘って保管することができる点にある。また、フリーフロー防止機構は、ピンチクランプ組立体の一体部であり、他の構成要素が回避される。
【0012】
また、本発明に係るピンチクランプ組立体は、耐タンパー性を有する。これは、通常の利用者にとって、コネクタがまだ組立体内にあるときに、手でクランプ要素を閉鎖することができないためである。フリーフロー状態は、コネクタを切断してその先端部を他の部分から離すことによってのみもたらされるが、これでは、ポート、ルアーロックまたは同等品などの他の部品を取り付けられなければならない特殊なアダプタを両端部に備えるコネクタの機能を必然的に損なうことになる。
【0013】
好ましくは、クランプ要素は、ベースにヒンジ留めされる。これは、揺り子のような動きと機構を可能にし、ばねとクランプ要素の開放/閉鎖の相互作用を確実にする。スナップイン機構は、クランプ要素に対する十分な固定をもたらす。
【0014】
有利な実施形態では、コネクタは、経腸スパイク、IV(intravenous:静脈)スパイク、経腸補給アダプタ、IVルアーロックアダプタまたは他の経腸もしくはIV構成要素である。経腸補給または注入の分野で既知の利用可能な全てのコネクタを使用することができる。
【0015】
コネクタは、クランプ要素および/または支持手段へねじ結合されることが好ましい。これは、コネクタがクランプ要素に緊密に固定されることを確実にし、コネクタが組立体から意図せずに落下することを防止する。磁石式手段、バヨネット接続または同様な、クランプ要素に対するコネクタの他の固定手段も可能である。
【0016】
好適な実施形態では、ベースは、ピンチクランプ組立体を経腸補給または注入ポンプに一体に装着可能なカセットとして形成される。カセットは、嵩張らず、しかも小型の構成を備える平坦な構造をもたらす。
【0017】
好適な実施形態では、べース、クランプ要素およびコネクタは、熱可塑性プラスチックなどの再生利用可能なプラスチック材料で作られ、ばねは金属で作られ、チューブの圧送部は、シリコンで作られる。これは、ばねだけが異なる材料であるこの使い捨て装置の再生利用作業を簡素化することを可能にする。
【0018】
好ましくは、ベースは、ばねを収容するための円筒状の保持要素を有する。これは、主要な機能部品の1つであるばねが組立体内のその所定位置に絶えず保持されることを確実にする。
【0019】
好適な実施形態では、クランプ要素は、チューブ閉塞部を伴う第1の脚部と、ばねに係合するための手段およびコネクタに係合するための保持部を有する第2の脚部と、ベース上の適当な座部に係合するように構成されたスイベルピンとを有する。チューブ閉塞部は、ベースのクランプ面との最適な相互作用を確実にし、ばねに係合するための手段は、ばねがその指定された機能位置に常に留まること確実にし、保持部は、クランプ要素に対するコネクタの係合を確実にする。
【0020】
他の好適な実施形態では、保持部は、コネクタの先端を収容するように構成されたキャップまたはダストカバーとして構成される。これは、コネクタの案内領域を拡大し、従ってクランプ要素に対するコネクタの適切な係合を確実にする。また、それは、コネクタの開口へのほこりの侵入を防止する。また、そのようなキャップ内またはコネクタ上に、より大きなねじ部領域を設けてもよく、従って係合機能が向上する。
【0021】
好適な実施形態では、クランプ面が凹凸を有し、波形を付けられ、またはフィンを有する。シリコン配管の特定の要件に応じて、クランプ面の異なる構成を使用することができる。
【0022】
ベースは、第1の内壁と第2の内壁を有し、第1の内壁と第2の内壁の間にクランプ要素が配置されることが好ましい。これは、チューブの方向と直角にクランプ要素を良好に案内することを確実にし、クランプ要素を取り出す不正操作のために利用可能なアクセスポイントを回避する。
【0023】
本発明の他の実施形態によれば、経腸補給または注入ポンプは、前述したピンチクランプ組立体と、クランプ要素に係合してクランプ要素を閉鎖位置から開放位置へ解放するように構成された解放手段とを備える。
【0024】
好ましくは、圧送部を通じた流れは、ピンチクランプ組立体が圧送部に装着されているときにのみ可能となる。これは、ピンチクランプ組立体が注入ポンプへ完全に装着されているときにのみ、フリーフロー防止機構が動作しないことを確実にする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の上記課題、特徴および利点は、添付の図面に関連して提示された以下の詳細な説明の考察から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】本発明に係るピンチクランプ組立体の好適な実施形態に係るカセットの斜視図である。
【図1B】図1に示したカセットの正面図である。
【図1C】図1に示したカセットの平面図である。
【図1D】図1に示したカセットの側面図である。
【図2A】本発明に係るピンチクランプ組立体の第1の実施形態に係るクランプ要素の斜視図である。
【図2B】本発明に係るピンチクランプ組立体の第1の実施形態に係るクランプ要素の斜視図である。
【図2C】図2Aと図2Bに示したクランプ要素の正面図である。
【図2D】図2Aと図2Bに示したクランプ要素の左側面図である。
【図2E】図2Aと図2Bに示したクランプ要素の平面図である。
【図2F】図2Aと図2Bに示したクランプ要素の右側面図である。
【図3A】本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態に係るクランプ要素の斜視図である。
【図3B】本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態に係るクランプ要素の斜視図である。
【図3C】図3Aと図3Bに示したクランプ要素の正面図である。
【図3D】図3Aと図3Bに示したクランプ要素の左側面図である。
【図3E】図3Aと図3Bに示したクランプ要素の平面図である。
【図3F】図3Aと図3Bに示したクランプ要素の右側面図である。
【図4】本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態を構成要素の組立て前の状態で示す分解斜視図である。
【図5】図4に示したピンチクランプ組立体のばねを伴う詳細図である。
【図6】本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態を第2の装着状態で示す分解斜視図である。
【図7】本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態を第3の装着状態で示す分解斜視図である。
【図8】本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態を出荷状態で示す斜視図である。
【図9A】図8のピンチクランプ組立体の異なる斜視図である。
【図9B】図8のピンチクランプ組立体の異なる斜視図である。
【図10A】本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態をクランプ要素の取り外し状態で示す斜視図である。
【図10B】本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態をクランプ要素の取り外し状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1Aは、本発明に係るピンチクランプ組立体の好適な実施形態の主要な構成要素を示す斜視図である。主要な構成要素は、組立体のベースを形成するカセット1からなる。カセット1は、ほぼ矩形の比較的平らな構造を有する。カセット1をポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンまたはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)などの熱可塑性材料から射出成形により製造する場合を想定する。なお、他の適当な熱可塑性プラスチックを用いてもよい。カセット1は、シリコンチューブ(この図では不図示)の圧送部を異なる側部で支持するための4つの保持手段3を備えている。シリコンチューブを収容するための保持手段3は、カセット1の中心に向けて長手方向の縁部に配置されている。ベースまたはカセット1は、保持手段3に隣接する第1のクランプ面4をさらに備えている。第1のクランプ面4は、平らであり、カセット1の基面とほぼ並行である。その領域は、チューブの最適なクランプをもたらすに足るほど大きい。カセット1には、支持手段5が設けられている。支持手段5は、カセット1の側壁に形成されたほぼ円形の穴と、支持手段5を収容する側壁とほぼ並行な内壁11に形成されたほぼ円形の別の穴との形で設けられている。ほぼ円形の穴同士は、ほぼ同一の軸を有し、詳細について後述するコネクタを支持するために設けられている。カセット1は、後述するばねを収容するように構成される円筒状の保持要素14をさらに備えている。チューブの方向とほぼ直角に並行な内壁22、23が形成されている。また、カセット1の基面には、座部21が形成されている。本発明にとって本質的ではない構成要素により図を必要以上に複雑にしないために、現時点ではチューブが省略されている。カセット1の底部は、回転ユニット用の穴9を備えている。ピンチクランプ組立体を経腸補給または注入ポンプへ装着するときには、本発明に係る回転ユニット用の穴9により解放された空間へ蠕動回転ユニットのピンが取り付けられる。保持手段3の爪状の接触領域は、シリコンチューブの緊密な取り付けをもたらすに足るほど十分に大きい。
【0028】
図1B、図1Cおよび図1Dのそれぞれは、図1のピンチクランプ組立体の構成要素の前面図、平面図および側面図である。ここで、同一の要素には、同一の符号が付されている。
【0029】
図2Aおよび図2Bは、本発明に係るピンチクランプ組立体の第1の実施形態に係るクランプ要素7の斜視図である。クランプ要素7は、ピンチクランプ組立体の中心要素であり、チューブ閉塞部17を伴う第1の脚部15と、ばね12(不図示)との係合のための手段16を有する第2の脚部19と、コネクタ6との係合のための保持部18とにより形成されている。第1の脚部15および第2の脚部19は、約10〜20°の角度で互いに対向しており、それらの間に位置するスイベルピン20により揺り子状の構成が形成されている。スイベルピン20は、カセット1に形成された座部21へ取り付けられるように構成されている。また、クランプ要素7は、内部側壁22、23の間に案内されて囲まれている。チューブ閉塞部17は、カセット1の第1のクランプ面4と相互作用して係合するように構成される第2のクランプ面8を備えている。手段16は、ばね2の完全な取り付けを実現するように設計されている。安定性を目的として、第1の脚部15、第2の脚部19、手段16およびチューブ閉塞部17の間には、T形材状のリンクが設けられている。
【0030】
図2C、図2D、図2Eおよび図2Fのそれぞれは、図2Aおよび図2Bに示したクランプ要素の前面図、左側面図、平面図および右側面図である。ここで、同一の要素には、同一の符号が付されている。
【0031】
図2Aから図2Fに示した実施形態では、保持部18は、コネクタ6の先端を収容するためのリングとして概ね形成されている。第2の脚部19と保持部18の間の接続は、本発明に係るピンチクランプ組立体の一部としてのクランプ要素7の最適な動作を確保するために非常に固くすべきである点に留意しなければならない。
【0032】
図3Aおよび図3Bは、本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態に係るクランプ要素7の斜視図を示している。第1と第2の実施形態の違いは、保持部18の形状にある。第2の実施形態では、保持部18は、クランプ要素7の揺れ方向とほぼ直角に延びる細長い円筒キャップまたはダストカバーとして形成されている。第1の実施形態の保持部18のリングをその中心軸沿いに延長すると、第2の実施形態の保持部18の形状となる。円筒キャップ以外の形状も可能である点に留意しなければならない。また、保持部18は、内側に平坦面またはねじ部を備えてもよい。詳細について後述するように、コネクタ6に対する保持部18の相互作用が重要である。
【0033】
図3C、図3D、図3Eおよび図3Fのそれぞれは、図3Aおよび図3Bに示したクランプ要素の前面図、左側面図、平面図および右側面図である。ここで、同一の要素には、同一の符号が付されている。
【0034】
図4は、本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態を構成要素の組立前の状態で示している拡大斜視図である。チューブ10は、シリコンまたは他の適当な材料で作られた圧送部を備えている。チューブ10の両端には、シリコンチューブ10を保持すると共に、ピンチクランプ組立体のカセット1の長手方向の端部に設けられた保持手段3へ取り付けられるように構成されている2つのチューブ取り付け要素24が設けられている。良好な取り付けをもたらすために、チューブ取り付け要素24は、カセット1の保持手段3に形成された穴に係合するように構成されるフランジを備えている。図6は、本発明に係るピンチクランプ組立体へ取り付けられたチューブ10を示している。通常、注入セット全体の配管部のうち圧送部のみをシリコンで作り、チューブの他の部分をPVC(ポリ塩化ビニル)で作る点に留意されたい。また、PVCチューブなど注入セットの他の構成要素は、本発明の原理に寄与しないので、添付図面に示されていない点に留意しなければならない。
【0035】
本発明に係るピンチクランプ組立体の他の主要な構成要素は、金属または同様の特性を伴う他の適当な材料からなるばね12である。カセットまたはベース1へクランプ要素7が装着可能となる前に、図5から詳細に分かるように、円筒状の保持要素14にばね12を挿入しなければならない。その後、図示した実施形態では経腸アダプタであるコネクタ6をクランプ要素7と共に組立体へ装着することができる(図6参照)。クランプ要素7のスイベルピン20をばね12の力に抗してカセット1の座部21に挿入しなければならない。これにより、チューブ10は、ベース1の第1のクランプ面4と、クランプ要素7のチューブ閉塞部17の第2のクランプ面8との間で圧縮される。図示した実施形態では、チューブ閉塞部17と第2の脚部19のクランプ面が平らである。しかし、クランプ面は、シリコンチューブの特性に応じてクランプ要素7の圧迫機能を助けるように、凹凸を有し、波形を付けられ、またはフィンを有してもよい。
【0036】
本発明の課題によれば、ピンチクランプ組立体の出荷状態でチューブが圧縮されてはならない。このため、クランプ面同士が離れた状態のままとなるようにクランプ要素7をいくらか傾けなければならない。これは、一端が円筒状の保持要素14内にあり、他端が手段16上にあるばね12を圧縮するように、第2の脚部19上でクランプ要素7を押し下げることにより達成される。そして、第2の脚部19の最も低い位置、つまり手段16が円筒状の保持要素14にほぼ接触するときに、その一方でカセット1の側壁および内壁11に支持部5を通じて挿入されるコネクタ6(図7参照)をクランプ要素7の保持部またはキャップ18へ挿入するように、その先端を伴ってその軸沿いにさらに移動させる。保持部またはキャップ18は、この第2の実施形態では、クランプ要素側で閉鎖される円筒として形成されており、従って係合している状態でコネクタ6へのダストの進入を防止する。この係合は、第1および第2のクランプ面4、8を離し、従ってチューブ10を解放するように、第2の脚部19の側にクランプ要素7を下げて、第1の脚部15を上げた状態に保つロック機構としての役目を果たす。チューブ10を開放し、クランプ要素7をばね12の力に抗して下げた状態に保つこの位置を開放位置と称する。
【0037】
図8、図9Aおよび図9Bは、本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態を開放位置で異なる側面から示している。軸方向に引っ張らなければコネクタ6が組立体から落ちないようにコネクタ6を保持部18に固く係合している点に留意しなければならない。これらの図は、一端部にテーパーフィットを備える経腸アダプタをコネクタ6として示している。他の形式のコネクタを使用することもでき、コネクタ6を外向きの端部でチューブに液剤結合(solvent bonding)などを介して直接接続する点に留意されたい。チューブへ接続するためにルアー型ロックを使用することもできる。
【0038】
互いに対向する面にねじ部を設けることにより、コネクタ6と保持部18の間の係合、および/またはカセット1の側壁の支持部5と内壁11の間の係合を改良してもよい。これは、保持部18をキャップまたはダストカバーとして形成する、図に示した第2の実施形態の場合に特に好ましい。
【0039】
前述したようにピンチクランプ組立体に装着したコネクタ6を伴う開放位置は、出荷状態を示している。経腸補給または注入ポンプへピンチクランプ組立体を装着するために、コネクタ6を組立体から取り外さなければならず、コネクタを患者のポートへ装着しなければならず、コネクタを伴わない組立体をポンプの対応するスロットへ挿入しなければならない。
【0040】
ピンチクランプ組立体からコネクタ6を取り外すと直ぐに、クランプ要素7は、閉鎖位置へ向かい、それによりチューブ10を通じた流れを閉塞する。コネクタ6の取り外しは、コネクタの先端を保持部18(キャップもしくはダストカバーまたはリング)との係合から離すことを意味している。この離脱は、クランプ要素7の手段16を押し付けて第2の脚部19を持ち上げるばね12を解放する。結果として、これは、シリコンチューブ10を間にしてクランプ面4、8を互いに押し付けるので、チューブ10を直ちに閉鎖することになる。クランプ要素7は、従ってばね12の状態に応じてチューブ10を通じた流れを開放および閉鎖する傾動スイッチの役目を果たす。本発明に係るピンチクランプ組立体の第2の実施形態の異なる斜視図を示す図10Aおよび図10Bからも、閉鎖位置が分かる。
【0041】
本発明の主要な原理は、コネクタ6を固く係合し、従ってピンチクランプ組立体の一体部分としている間には、組立体が出荷状態および開放位置にある点にある。コネクタ6を組立体内に緊密に保持しており、コネクタ6を組立体から取り外すと直ぐにクランプ要素7をその閉鎖位置に持ってくるので、フリーフロー状態を発生することができない。よって、ピンチクランプ組立体をポンプへ挿入する前には、シリコンチューブ10を通じた流れがいつも閉塞される。
【0042】
図10Aおよび図10Bに示したピンチクランプ組立体は、そのままで経腸補給または注入ポンプへ装着されるように構成されている点に留意されたい。もちろん、装着が可能となる前には、コネクタ6を取り外さなければならない。コネクタ6を取り外してピンチクランプ組立体を経腸補給または注入ポンプへ装着するときには、クランプ要素7は、まだその閉鎖位置にあり、それによりシリコンチューブ10の圧送部を通じた液体の流れを閉塞する。フリーフロー状態は、従って回避される。しかし、ピンチクランプ組立体の他の構成要素を伴うカセット1を経腸補給または注入ポンプへ挿入すると直ぐに、シリコンチューブ10の圧送部の閉塞状態を解かなければならない。図10Aおよび図10Bからは、第2の脚部19がその上面で組立体の他の部分の上面から突出していることが分かる。このため、ポンプには、ばね12の力に抗してクランプ要素7の第2の脚部19を押し下げ、従ってチューブ10を通じた流れを開放するようにクランプ面4、8同士を離した状態にする解放手段が備えられている。当業者であれば、クランプ要素7の第2の脚部19を押し下げるためのポンプの様々なデザインを検討するであろう。
【0043】
以上、ロック解放機構の好適な実施形態について説明した。磁石式の解決策、固定手段を伴う解決策など、他のロック解放機構も可能である点に留意されたい。全ての代替解決策は、しかし、コネクタ6の取り外しなしに、手または医療従事者が容易に入手可能な工具によりクランプ要素7を容易に開放できないような耐タンパー性を有する、という中心的な要件を満たすべきである。
【0044】
本発明の主題によって、患者へ栄養を補給しまたは医療液剤を注入するように構成された経腸補給または注入ポンプにチューブを係合するためのピンチクランプ組立体が提供される。ピンチクランプ組立体は、比較的簡素な構造を備え、いつでも機能するフリーフロー防止機構を確保する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者へ栄養を補給しまたは医療液剤を注入するように構成された経腸補給または注入ポンプにチューブを係合するためのピンチクランプ組立体であって、
ベース(1)に動作可能に係合した状態で前記チューブの圧送部(10)を保持するための保持手段(3)と、第1のクランプ面(4)と、コネクタ(6)を支持するための支持手段(5)とを有するベース(1)と、
第2のクランプ面(8)を有するクランプ要素(7)であって、前記第2のクランプ面が、前記チューブ(10)に係合可能であると共に、前記チューブ(10)を通じた液体の流れを可能にする開放位置と、前記クランプ要素(7)により前記チューブ(10)を閉塞する閉鎖位置との間を移動可能であるクランプ要素と、
患者のポートにチューブを接続するためのコネクタ(6)であって、当該ピンチクランプ組立体から取り外し可能なコネクタと、
ばね(12)と、
を備え、
前記コネクタ(6)が、前記クランプ要素(7)に係合して前記クランプ要素(7)を前記開放位置に保持するように構成され、
前記コネクタ(6)が当該ピンチクランプ組立体から取り外されるとすぐに前記クランプ要素(7)が前記ばね(12)の力により前記開放位置から前記閉鎖位置へ付勢され、
前記クランプ要素(7)が、当該ピンチクランプ組立体を前記経腸補給または注入ポンプへ装着して前記コネクタ(6)を取り外すときに、前記閉鎖位置から前記開放位置へ移動されるように構成されたピンチクランプ組立体。
【請求項2】
前記クランプ要素(7)が前記ベース(1)にヒンジ留めされる、請求項1に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項3】
前記コネクタ(6)が経腸スパイク、IVスパイク、経腸補給アダプタ、IVルアーロックアダプタまたは他の経腸もしくはIV構成要素である、請求項1または2に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項4】
前記コネクタ(5)が前記クランプ要素(7)および/または前記支持手段(5)へねじ結合される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項5】
前記ベース(1)が、当該ピンチクランプ組立体を前記経腸補給または注入ポンプに一体に装着可能なカセットとして形成される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項6】
前記ベース(1)、前記クランプ要素(7)および前記コネクタ(6)が熱可塑性プラスチックなどの再生利用可能なプラスチック材料で作られ、前記ばね(12)が金属で作られ、前記チューブ(10)がシリコンで作られる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項7】
前記ベース(1)が、前記ばね(12)を収容するための円筒状の保持要素(14)を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項8】
前記クランプ要素(7)が、チューブ閉塞部(17)を伴う第1の脚部(15)と、前記ばね(12)に係合するための手段(16)および前記コネクタ(6)に係合するための保持部(18)を有する第2の脚部(19)と、前記ベース(1)上の適当な座部(21)に係合するように構成されたスイベルピンとを有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項9】
前記保持部(18)が、前記コネクタ(6)の先端を収容するように構成されたキャップとして構成される、請求項8に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項10】
前記第1および/または第2のクランプ面(4、8)が凹凸を有し、波形を付けられ、またはフィンを有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項11】
前記ベース(1)が第1の内壁(22)と第2の内壁(23)を有し、前記第1の内壁と前記第2の内壁の間に前記クランプ要素(7)が配置される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のピンチクランプ組立体と、前記クランプ要素(7)に係合するように構成された解放手段(43)とを備える、経腸補給または注入ポンプ。
【請求項13】
前記ピンチクランプ組立体が前記圧送部に装着されているときにのみ、前記圧送部(10)を通じた流れが可能となる、請求項12に記載の経腸補給または注入ポンプ。
【請求項1】
患者へ栄養を補給しまたは医療液剤を注入するように構成された経腸補給または注入ポンプにチューブを係合するためのピンチクランプ組立体であって、
ベース(1)に動作可能に係合した状態で前記チューブの圧送部(10)を保持するための保持手段(3)と、第1のクランプ面(4)と、コネクタ(6)を支持するための支持手段(5)とを有するベース(1)と、
第2のクランプ面(8)を有するクランプ要素(7)であって、前記第2のクランプ面が、前記チューブ(10)に係合可能であると共に、前記チューブ(10)を通じた液体の流れを可能にする開放位置と、前記クランプ要素(7)により前記チューブ(10)を閉塞する閉鎖位置との間を移動可能であるクランプ要素と、
患者のポートにチューブを接続するためのコネクタ(6)であって、当該ピンチクランプ組立体から取り外し可能なコネクタと、
ばね(12)と、
を備え、
前記コネクタ(6)が、前記クランプ要素(7)に係合して前記クランプ要素(7)を前記開放位置に保持するように構成され、
前記コネクタ(6)が当該ピンチクランプ組立体から取り外されるとすぐに前記クランプ要素(7)が前記ばね(12)の力により前記開放位置から前記閉鎖位置へ付勢され、
前記クランプ要素(7)が、当該ピンチクランプ組立体を前記経腸補給または注入ポンプへ装着して前記コネクタ(6)を取り外すときに、前記閉鎖位置から前記開放位置へ移動されるように構成されたピンチクランプ組立体。
【請求項2】
前記クランプ要素(7)が前記ベース(1)にヒンジ留めされる、請求項1に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項3】
前記コネクタ(6)が経腸スパイク、IVスパイク、経腸補給アダプタ、IVルアーロックアダプタまたは他の経腸もしくはIV構成要素である、請求項1または2に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項4】
前記コネクタ(5)が前記クランプ要素(7)および/または前記支持手段(5)へねじ結合される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項5】
前記ベース(1)が、当該ピンチクランプ組立体を前記経腸補給または注入ポンプに一体に装着可能なカセットとして形成される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項6】
前記ベース(1)、前記クランプ要素(7)および前記コネクタ(6)が熱可塑性プラスチックなどの再生利用可能なプラスチック材料で作られ、前記ばね(12)が金属で作られ、前記チューブ(10)がシリコンで作られる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項7】
前記ベース(1)が、前記ばね(12)を収容するための円筒状の保持要素(14)を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項8】
前記クランプ要素(7)が、チューブ閉塞部(17)を伴う第1の脚部(15)と、前記ばね(12)に係合するための手段(16)および前記コネクタ(6)に係合するための保持部(18)を有する第2の脚部(19)と、前記ベース(1)上の適当な座部(21)に係合するように構成されたスイベルピンとを有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項9】
前記保持部(18)が、前記コネクタ(6)の先端を収容するように構成されたキャップとして構成される、請求項8に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項10】
前記第1および/または第2のクランプ面(4、8)が凹凸を有し、波形を付けられ、またはフィンを有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項11】
前記ベース(1)が第1の内壁(22)と第2の内壁(23)を有し、前記第1の内壁と前記第2の内壁の間に前記クランプ要素(7)が配置される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のピンチクランプ組立体。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のピンチクランプ組立体と、前記クランプ要素(7)に係合するように構成された解放手段(43)とを備える、経腸補給または注入ポンプ。
【請求項13】
前記ピンチクランプ組立体が前記圧送部に装着されているときにのみ、前記圧送部(10)を通じた流れが可能となる、請求項12に記載の経腸補給または注入ポンプ。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【公表番号】特表2012−530566(P2012−530566A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516527(P2012−516527)
【出願日】平成21年9月22日(2009.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062292
【国際公開番号】WO2010/149232
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月22日(2009.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062292
【国際公開番号】WO2010/149232
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]