説明

注射装置

【課題】本発明は、同時に少なくとも二種類以上の内容物を含む混合剤を均等に注射することができ、しかも、前記内容物を空気にさらすことがなく、回転させることで簡単に注射方向を高精度に制御することが可能であり、大きいパワーをもち、製品の歩留まりが高い、組み立てが簡単、生産コストが低い、製品のメンテナンスが便利といった特性をもつ注射装置を提供する。
【解決手段】本発明は、銃型ケースと、針管方向制御メカニズムと、加圧プッシュメカニズムと、定量制御メカニズムと、針筒位置決めメカニズム或いは位置決めリングとによって構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は注射装置(Injection Device)に関し、特に高精度の方向調整ができるとともに、均等に注射を行え、且つ組み立てが簡単な注射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自己脂肪移植(Autologous fat graft)の方法を用い、軟組織充填物によって、凹んだ傷跡を埋める(或いは平らにする)、皺を改善する、顔の輪郭を若くする、唇や鼻の外形を強化するといった技術は、1893年にドクターNe▲u▼berが正式に文献で発表して以来、既に百年以上の歴史がある。長い間、脂肪移植は、軟組織移植や軟組織充填の優れた手術方法であると考えられており、再建手術(Reconstructive surgery)や美容手術(Cosmetic surgery)によく用いられる。
【0003】
脂肪移植手術成功の条件は、脂肪の採取(harvesting)、注射前の脂肪の製造過程(processing)と精製(refinement)、及び、脂肪の移植(transplantation)のいずれとも関係がある。以上の各点に関して、世界の多くの権威ある医師達は様々な論述を発表しており、それぞれ独自の見解をもっている。
【0004】
脂肪移植手術の際には、医師の手によって脂肪球を被移植領域に注入するが、個人の経験の差により、脂肪移植の生存率が低くなり、後遺症が残ることも少なくなく、医師達は有効な方法も対策も無く頭を悩ませている。一般的に、脂肪移植で起こりうる後遺症としては、例えば、吸収(absorption)、感染(infection)、塞栓(embolism)、シスト形成(cyst formation)、カルシウム沈着(calcification)、骨化(ossification)、偽腫瘍(pseudotumor)形成、壊死(necrosis)、非対称性(asymmetry)、皮膚壊死/瘻孔形成(skin necrosis/fistula formation)、医原性の神経/血管傷害(iatrogenic nerve/vascular injuries)、海綿静脈洞血栓(carvenous sinus thrombosis)等があり、それらが発生する原因は、ほとんどが、脂肪移植手術の際の脂肪の不適切な(improper)、或いは、不均等な(uneven)、或いは、過剰な(excess)配置(placement)と直接関係がある。市場で販売されている補助機器の最小の注射量は、1/10ミリリットル(cc)、或いは、1/2ミリリットル(cc)にしか達しておらず(例えば、Byron Medical社のDISPOS−A−JECTTM SYSTEMシリーズ)、中には、最小出力量が1ミリリットル(cc)にしか達していない機器もある。この種の脂肪移植手術は、最後の移植の手順において精密・正確でないことが原因で失敗し、上述したような多くの後遺症が生じることがある。このため、臨床上、どのようにして、適切・均等且つ精密に(precisely)、脂肪を正確な位置に配置するかは、脂肪移植手術の技術の中で最も重要な課題となっている。
【0005】
著名な整形外科医師Coleman SRが、2006年の世界的に有名な整形再建雑誌PRSで発表した“Structural Fat Grafting”More Than a Permanent Fillerの中で、脂肪移植手術における脂肪の配置(Placement)に関して、いくつかの注目すべき論点が述べられている。
1、一旦人体内に注射されると脂肪組織を再成型させることは難しいため、脂肪移植の時、配置される脂肪(parcel)の体積の精密性(accuracy)が極めて重要である。
2、顔の脂肪移植手術においては、注射針管(infiltration cannula)を引いて脂肪を体内に注入する際、注入される脂肪の体積は、毎回わずか1/10ミリリットル(cc)までに抑えなければならない。
3、ある特定の範囲、例えば、まぶた等においては、脂肪細胞が中心性壊死(central necrosis)によって連鎖反応を起こし、各種合併症や後遺症が生じるのを防ぐために、最大の脂肪注入量は1/30から1/50ミリリットルに近づけなければならない。
【0006】
しかしながら、臨床上、Coleman SRの提言に従って、一ミリリットル注射針筒を使用し医師の手の感覚と経験に頼って手術を行った場合、1/10ミリリットルの脂肪を毎回正確に注入することは極めて困難である。もし、注入量を毎回均一で1/30或いは1/50ミリリットルに制御しようとした場合、それだけの精密性と正確度を人為的に実現するのは不可能である。優れた手術効果を得るため、Byron Medical社は、図1に示すような、DISPOS−A−JECTTM SYSTEMを発売している。しかし、このシステムでは、1/10ミリリットルの最小注入体積しか実現できず、明らかに、もっと小さい1/30や1/50ミリリットルといった要求を満たすことはできない。また、DISPOS−A−JECTTM SYSTEMに連結される一ミリリットル針筒は、特殊で高価なLuer−Lok型の一ミリリットル注射針筒(1 cc BD Luer−Lok Syringe)であり、一般的な病院や診療所で常備されている汎用型の一ミリリットル注射針筒ではないため、使用上の利便性と普遍性が十分とはいえない。
【0007】
また、DISPOS−A−JECTTM SYSTEMを用いて脂肪移植手術を行った場合、図1に示すように、まず、注射針筒1のピストン(plunger)11を取り出して、さらにSYSTEM自体のプッシュバー(adapter)12を注射針筒1内に挿入することで、脂肪を押しだすことができるが、操作の過程で脂肪は必然的に空気中に露出するため、脂肪細胞の感染と生存率の低下の可能性がある。しかも、前記SYSTEMの本体面と、注射針管13及び針管開口部14の角度は固定されており、脂肪手術で使用する際、操作する医師は臨機応変に注射角度を調整することができず、注射面のずれを調整しにくかったり、注射しにくかったりする状況が生じる。
【0008】
Carpanedaが1993年に発表した理論によると、脂肪移植の際に、脂肪球体辺縁から約1.5±0.5mmの辺縁帯(peripheral zone)内では、約60%の組織の生存が観察される。そして、Carpanedaは、1994年には、再度以下のように述べている。厚さ(thickness)と幾何学形状(geometrical shape)は、移植後の脂肪組織の生存成功の鍵となる。言い換えると、脂肪移植手術は、円球体(spherical shape)或いは円柱体(cylindroid shape)のいずれの方式で脂肪を注入するにしても、高い生存率を得るためには、その半径を2mmより小さくするのが最もよい。
【0009】
Carpanedaの理論に基づくと、1mmを半径とした円球体の体積は(4/3)π(1)であり、1.5mmを半径とした円球体の体積は(4/3)π(1.5) であり、2mmを半径とした円球体の体積は(4/3)π(2)である。
【0010】


【0011】
このように、理想的な自己脂肪移植手術では、ミリリットル(cc)の脂肪を、最良の生存率を得るために、少なくとも30回以上に分けて注射し、一層ずつ均等に分布させなければならない。
【0012】
近年では、ある学者が、脂肪由来幹細胞(Adipose−Derived Stem/Stromal Cells)を併せて移植することで脂肪移植の高い生存率を実現する方法や、或いは、脂肪移植の前に栄養液或いは複数種類の成長因子(growth factor)が含まれた多血小板血漿(Platelet−Rich Plasma、PRP)を添加することで脂肪の生存率を向上させる方法を発表している。しかしながら、これらの方法は、実際に注射する際に均一に混合(even mixture)することができないという問題が生じ、添加物が均一に分布されないため最良の効果を得ることができない。
【0013】
以上の説明をまとめると、手術の精密性、設備の気密性、操作の簡便性、コスト、最も重要である細かい出力量(即ち、毎回の出力量を1/30から1/240ccの間にする)、そして、幹細胞(stem cell)等のその他の細胞や生物互換性医療材料や各種成長因子を併せて均一に注射すること、等の複数の要素を考慮すると、従来の技術から派生する多くの欠点を解決するために、新しい形態の脂肪移植装置を開発する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Coleman SR、「“Structural Fat Grafting”More Than a Permanent Filler」、PRS、2006年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明は、同時に少なくとも二種類以上の内容物を含む混合剤を均等に注射することができ、しかも、前記内容物を空気にさらすことのない注射装置を提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、回転させることで簡単に注射方向を高精度に制御することが可能な注射装置を提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、大きいパワーをもち、製品の歩留まりが高い、組み立てが簡単、生産コストが低い、製品のメンテナンスが便利といった特性をもつ注射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述の目的を達するために、本発明による注射装置は、銃型ケースと、針管方向制御メカニズムと、加圧プッシュメカニズムと、定量制御メカニズムとによって構成する。前記銃型ケースは、手で握って操作するための握り部を備える。前記針管方向制御メカニズムは、前記銃型ケースの前端に設けられるとともに、前方中空止め輪と、後方中空止め輪と、中空係合カバーと、回転部材と、押筒とによって構成する。その内、前記中空係合カバーは、前方中空止め輪と後方中空止め輪の間に配置されるとともに、少なくとも一つの球体を備え、前記回転部材は、前記中空係合カバーに被せて設けられ、前記押筒は、前記中空係合カバーと前記回転部材間の隙間に配置され、前記隙間の前端には第一バネが設けられる。前記加圧プッシュメカニズムは、銃型ケース内に設けられるとともに、引き金と、牽引部材と、前方位置決め部材と、後方位置決め部材と、押棒と、係止板と、取り外し部材と、押し板とによって構成する。その内、前記押棒は、前記前方位置決め部材と、前記牽引部材と、前記後方位置決め部材と、前記係止板とに順番に穿設され、押棒の後端は前記押し板の下端に固定される。前記引き金は、枢軸を介して銃型ケース内に枢設され、前記引き金の上端は前記牽引部材に枢設され、前記牽引部材と前記前方位置決め部材の間には第二バネが設けられる。前記牽引部材は前記後方位置決め部材に係止し、前記後方位置決め部材と前記係止板の間には第三バネが設けられ、前記係止板は、作用力が均衡した状態で傾斜して前記押棒に係止するとともに、前記第三バネと前記取り外し部材と第一固定柱に接触する。前記引き金は抑え部を備え、前記抑え部と前記押し板の上端は、前記銃型ケース外に露出する。前記定量制御メカニズムは、銃型ケース内に設けられるとともに、不規則凸ブロックと、凸ブロック位置決め部材と、投薬量つまみと、によって構成する。その内、前記投薬量つまみは、同時制御軸を介して前記不規則凸ブロックに枢設されるとともに、前記銃型ケース外に設けられ、前記不規則凸ブロックは、前記引き金と前記凸ブロック位置決め部材の間に設けられる。
【0019】
本発明の目的を達するため、及び、従来の技術問題を解決するため、本発明は、以下の技術手段をさらに採用することができる。
【0020】
前記銃型ケースは、左側ケースと、右側ケースとによって構成する。
【0021】
前記回転部材の外表面には複数の溝部が設けられ、前記前方中空止め輪と前記後方中空止め輪との間には台座が設けられ、前記台座は、銃型ケースに固定されるとともに、少なくとも一つの球体を備え、前記球体は、対応する回転部材外表面の溝部に係止する。
【0022】
前記針管方向制御メカニズムは中空構造の針管を備え、前記針管の前端には針管開口部が設けられ、前記針管の後端には、環状溝を備える連結ヘッドが設けられる。
【0023】
前記針管方向制御メカニズムの後端には、針筒位置決めメカニズムが設けられる。前記針筒位置決めメカニズムは、銃型ケースに固定されるとともに、前記針管方向制御メカニズムの後端に接合され、少なくとも二つの針筒配置口を備える。少なくとも一つの針筒の開口は、前記針筒配置口内に接合され、前記押し板は前記針筒のピストンに当接する。
【0024】
前記針管方向制御メカニズムの後端には位置決めリングが設けられ、前記位置決めリングは、針筒の注射方向を安定させるために銃型ケースに固定され、前記押し板は前記針筒のピストンに当接する。
【0025】
前記取り外し部材は前記銃型ケースに可動に設けられるとともに、錐状部を備え、錐状部は前記係止板に接触する。
【0026】
前記凸ブロック位置決め部材は、位置決めバネと第二固定柱に連結することにより、前記不規則凸ブロックの一辺縁に当接する。
【0027】
前記引き金の枢軸にはリセットバネが設けられ、リセットバネの両端は、それぞれ、前記引き金と前記第二固定柱に係止する。
【0028】
前記定量制御メカニズムの注射投薬量の制御精密度は、使用する針筒の最大容積の1/10から1/300である。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、以下の効果をもつ。
(1)同時に少なくとも二種類以上の内容物を含む混合剤を均等に注射することができ、しかも、前記内容物を空気にさらすことがない。このように、本発明は、均等注射及び高気密性の特性を備えている。
(2)回転させることで簡単に注射方向を高精度に制御することができる。このように、本発明は、操作の簡便性の効果を備えている。
(3)本発明は、引き金を引くと押棒も連動して移動する構造により大きいパワーをもち、また、製品の歩留まりが高い、組み立てが簡単、生産コストが低い、製品のメンテナンスが便利、といった利点を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来の注射装置の構造部材を示した分解図である。
【図2】本発明の構成を示した説明図である。
【図3】本発明の針管方向制御メカニズムを示した部分断面図1である。
【図4】本発明の針管方向制御メカニズムを示した部分断面図2である。
【図5】本発明の定量制御メカニズムを示した部分断面図である。
【図6】本発明の実施例2の一部を示した斜視図である。
【図7】本発明の実施例2の一部を示した断面図である。
【図8】本発明の実施例3の一部を示した斜視図である。
【図9A】本発明の押される前の取り外し構造を示した説明図である。
【図9B】本発明の押された後の取り外し構造を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(実施例1)
図2に示すように、本発明による注射装置は、銃型ケース100と、針管方向制御メカニズム200と、加圧プッシュメカニズム300と、定量制御メカニズム400とによって構成する。銃型ケース100は、手で握って操作するための握り部110を備え、銃型ケース100は、左側ケース120と、右側ケース130とによって構成するのが好ましい。
【0032】
図3を参照する。針管方向制御メカニズム200は、銃型ケース100の前端に設けられるとともに、前方中空止め輪210と、後方中空止め輪220と、中空係合カバー230と、回転部材240と、押筒250と、針管260とによって構成する。その内、中空係合カバー230は、前方中空止め輪210と後方中空止め輪220の間に配置されるとともに、少なくとも一つの球体231を備える。回転部材240は、中空係合カバー230に被せて設けられ、押筒250は、中空係合カバー230と回転部材240の間の隙間270に配置され、隙間270の前端には第一バネ280が設けられる。針管260は中空構造であり、針管260の前端は針管開口部261を備え、後端は連結ヘッド262を備え、連結ヘッド262は環状溝2621を備える。ここで、図4も併せて参照する。針管260を中空係合カバー230に接合させたい場合は、まず、押筒250を前方中空止め輪210の方向に押す。次に、針管260の連結ヘッド262を中空係合カバー230内に挿入させると、中空係合カバー230の球体231に対応する押筒250内縁には凹部251が設けられているため、中空係合カバー230の球体231は凹部251まで転がり、それにより、針管260の連結ヘッド262は中空係合カバー230内にスムーズに差し込まれる。その後、押筒250を放すと、押筒250は第一バネ280の弾力を受けて元の位置に戻る。この時、中空係合カバー230の球体231は、押筒250内の表面252と針管260の連結ヘッド262の環状溝2621の間に係止し、それにより、針管260の連結ヘッド262は、中空係合カバー230内に安定して係合される。なお、連結ヘッド262の外表面と中空係合カバー230の内表面はいずれも真円でないのが好ましい。それにより、使用者が回転部材240を回転させた時、同時に中空係合カバー230を回転させることができるとともに、針管開口部261の方向を制御して注射角度を調整することができる。また、回転部材240の外表面には複数の溝部241が設けられ、前方中空止め輪210と後方中空止め輪220の間には台座290が設けられ、台座290は、銃型ケース100に固定されるとともに、少なくとも一つの球体291を備えるのが好ましい。回転部材240を回転させた時、台座290の球体291は、対応する回転部材240の外表面の溝部241に係止し、それにより、針管開口部261の注射方向を更に安定して制御することができる。以上の構造により、使用者は、必要に応じて、回転部材240を回転させることで針管開口部261の注射方向を調整・制御することができる。また、回転部材240の外表面には、使用者が針管開口部261の位置を識別しやすいように、東(E)、西(W)、南(S)、北(N)等の方向符合が明示されるのが好ましい。
【0033】
再び図2を参照する。加圧プッシュメカニズム300は、銃型ケース100内に設けられるとともに、引き金310と、牽引部材320と、前方位置決め部材330と、後方位置決め部材340と、押棒350と、係止板360と、取り外し部材370と、押し板380とによって構成する。その内、押棒350は、前方位置決め部材330と、牽引部材320と、後方位置決め部材340と、係止板360とに順番に穿設され、押棒350の後端は押し板380の下端に連結される。引き金310は、枢軸311を介して銃型ケース100内に枢設されるとともに、引き金310の上端は、牽引部材320に枢設され、牽引部材320と前方位置決め部材330の間には第二バネ331が設けられるとともに、牽引部材320は後方位置決め部材340に当接し、後方位置決め部材340と係止板360の間には第三バネ341が設けられ、係止板360は、作用力が均衡した状態で傾斜して押棒350に係止するとともに、第三バネ341と取り外し部材370と第一固定柱390に接触する。その内、引き金310は、抑え部312を備え、抑え部312と押し板380の上端は、銃型ケース100の外に露出する。その内、引き金310の枢軸311にはリセットバネ313が設けられ、その両端は、それぞれ引き金310と第二固定柱460に係止し、使用者が引き金310の抑え部312を引いた後、引き金310はリセットバネ313の弾力によって元の位置に戻る。
【0034】
図5と図8を参照する。定量制御メカニズム400は、銃型ケース100内に設けられるとともに、不規則凸ブロック410と、凸ブロック位置決め部材420と、投薬量つまみ430とによって構成する。その内、投薬量つまみ430は、同時制御軸440を介して不規則凸ブロック410に枢設されるとともに銃型ケース100外に設けられる。また、不規則凸ブロック410は、引き金310と凸ブロック位置決め部材420の間に設けられる。その内、凸ブロック位置決め部材420は、位置決めバネ450と第二固定柱460に連結することにより、不規則凸ブロック410の一辺縁に当接する。不規則凸ブロック410の任意の一辺縁は、いずれも、その枢軸中心の半径方向の距離と異なるため、引き金310を引ける距離を制限することができ、それにより、注射の投薬量を制御する効果を達成することができる。定量制御メカニズム400の注射投薬量の制御精密度は、使用する針筒600の最大容積の1/10から1/300までであり、針筒600の内容物は、脂肪組織、ヒアルロン酸、コラーゲン、ボツリヌス菌毒素、及び、各種流動或いは半流動性藥物の内の少なくとも一種類、或いは、それらの任意の組み合わせである。また、制御軸440と投薬量つまみ430の間の結合方法は、正円ではない孔軸、シャフト、ピン、轂等を用いた、シンクロ作動が可能な任意の結合方式である。
【0035】
(実施例2、実施例3)
実施例2では、図6に示すように、針管方向制御メカニズム200の後端には、針筒位置決めメカニズム500が接合され、針筒位置決めメカニズム500は、銃型ケース100に固定されるとともに、少なくとも二つの針筒配置口510を備え、少なくとも一つの針筒600の開口601は、針筒配置口510内に接合され、押し板380は、針筒600のピストン610に当接する。また、図7に示すように、針筒配置口510は、針管260の連結ヘッド262に当接する少なくとも一つの流道511を備え、針筒600の内容物は、針筒600の開口601から流道511を通過し、さらに針管260の針管開口部261から外にでる。図8に示すように、実施例3においては、針管方向制御メカニズム200の後端に位置決めリング520が設けられ、位置決めリング520は、銃型ケース100に固定され、それによって針筒600の注射方向を安定させることができる。針筒600の開口601は連結ヘッド262に当接し、押し板380は針筒600のピストン610に当接し、針筒600の内容物は、針筒600の開口601を通過して針管260の針管開口部261から外に出される。
【0036】
次に、図8、図9A、図9Bを参照する。取り外し部材370は、銃型ケース100に可動に設けられるとともに、係止板360に接触する錐状部371を備える。好ましくは、取り外し部材370内には第四バネ372が設けられ、使用者が取り外し部材370の外端373を押した時、係止板360は、取り外し部材370の錐状部371の外縁に沿って傾斜角度が変わり、それにより、係止板360は押棒350から外れ、それにより、押棒350を引っ張り出すことで、別の針筒600に交換することができる。
【0037】
以上をまとめると、本発明は、銃型ケースと、針管方向制御メカニズムと、加圧プッシュメカニズムと、定量制御メカニズムと、針筒位置決めメカニズム或いは位置決めリングとによって構成し、以下のような特性をもつ。
(1)同時に少なくとも二種類以上の内容物を含む混合剤を均等に注射することができ、しかも、前記内容物を空気にさらすことがない。このように、本発明は、均等注射及び高気密性の特性を備えている。
(2)回転させることで簡単に注射方向を高精度に制御することができる。このように、本発明は、操作の簡便性の効果を備えている。
(3)本発明は、引き金を引くと押棒も連動して移動する構造により大きいパワーをもち、また、製品の歩留まりが高い、組み立てが簡単、生産コストが低い、製品のメンテナンスが便利、といった利点を備えている。
従って、本発明の効果は一般の注射装置と異なり、本発明は、類似の製品の中で独創的で新しい特徴を備えている。
【0038】
以上に述べた内容は、本発明の好ましい実施形態についての説明にすぎず、本発明の明細書、請求項、図を基に行った同じ効果をもつ構造の変更等は、いずれも本発明の請求項の範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0039】
1 注射針筒
11 ピストン
12 プッシュバー
13 注射針管
14 針管開口部
100 銃型ケース
110 握り部
120 左側ケース
130 右側ケース
200 針管方向制御メカニズム
210 前方中空止め輪
220 後方中空止め輪
230 中空係合カバー
231 球体
240 回転部材
241 溝部
250 押筒
251 凹部
252 内表面
260 針管
261 針管開口部
262 連結ヘッド
2621 環状溝
270 隙間
280 第一バネ
290 台座
291 球体
300 加圧プッシュメカニズム
310 引き金
311 枢軸
312 抑え部
313 リセットバネ
320 牽引部材
330 前方位置決め部材
331 第二バネ
340 後方位置決め部材
341 第三バネ
350 押棒
360 係止板
370 取り外し部材
371 錐状部
372 第四バネ
373 外端
380 押し板
390 第一固定柱
400 定量制御メカニズム
410 不規則凸ブロック
420 凸ブロック位置決め部材
430 投薬量つまみ
440 同時制御軸
450 位置決めバネ
460 第二固定柱
500 針筒位置決めメカニズム
510 針筒配置口
511 流道
520 位置決めリング
600 針筒
601 開口
610 ピストン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銃型ケースと、針管方向制御メカニズムと、加圧プッシュメカニズムと、定量制御メカニズムと、によって構成する注射装置であって、前記銃型ケースは、手で握って操作するための握り部を備え、前記針管方向制御メカニズムは、前記銃型ケースの前端に設けられるとともに、前方中空止め輪と、後方中空止め輪と、中空係合カバーと、回転部材と、押筒とによって構成し、前記中空係合カバーは、前方中空止め輪と後方中空止め輪の間に配置されるとともに、少なくとも一つの球体を備え、前記回転部材は、前記中空係合カバーに被せて設けられ、前記押筒は、前記中空係合カバーと前記回転部材の間の隙間に配置され、前記隙間の前端には第一バネが設けられ、前記加圧プッシュメカニズムは、銃型ケース内に設けられるとともに、引き金と、牽引部材と、前方位置決め部材と、後方位置決め部材と、押棒と、係止板と、取り外し部材と、押し板とによって構成し、前記押棒は、前記前方位置決め部材と、前記牽引部材と、前記後方位置決め部材と、前記係止板とに順番に穿設され、前記押棒の後端は、前記押し板の下端に固定され、前記引き金は、枢軸を介して銃型ケース内に枢設されるとともに、前記引き金の上端は前記牽引部材に枢設され、前記牽引部材と、前記前方位置決め部材の間には、第二バネが設けられ、前記牽引部材は、前記後方位置決め部材に係止し、前記後方位置決め部材と前記係止板の間には第三バネが設けられ、前記係止板は、作用力が均衡した状態で傾斜して前記押棒に係止するとともに、前記第三バネと前記取り外し部材と第一固定柱に接触し、前記引き金は抑え部を備え、前記抑え部と前記押し板の上端は前記銃型ケースの外に露出し、前記定量制御メカニズムは、前記銃型ケース内に設けられるとともに、不規則凸ブロックと、凸ブロック位置決め部材と、投薬量つまみとによって構成し、前記投薬量つまみは、同時制御軸を介して前記不規則凸ブロックに枢設されるとともに、前記銃型ケース外に設けられ、前記不規則凸ブロックは、前記引き金と前記凸ブロック位置決め部材の間に設けられることを特徴とする、注射装置。
【請求項2】
前記銃型ケースは、左側ケースと、右側ケースとによって構成し、前記回転部材の外表面には複数の溝部が設けられ、前記前方中空止め輪と後方中空止め輪の間には台座が設けられ、前記台座は、銃型ケースに固定されるとともに、少なくとも一つの球体を備え、前記台座の球体は、対応する回転部材外表面の溝部に係止することを特徴とする、請求項1に記載の注射装置。
【請求項3】
前記針管方向制御メカニズムは中空構造の針管を備え、前記針管の前端には針管開口部が設けられ、前記針管の後端には環状溝を備える連結ヘッドが設けられ、針管方向制御メカニズムの後端には、針筒位置決めメカニズム、或いは、位置決めリングが接合され、前記針筒位置決めメカニズムは、銃型ケースに固定されるとともに、少なくとも二つの針筒配置口を備え、少なくとも一つの針筒の開口は前記針筒配置口内に接合され、前記押し板は前記針筒のピストンに当接し、前記位置決めリングは、針筒の注射方向を安定させるために、銃型ケースに固定されることを特徴とする、請求項1に記載の注射装置。
【請求項4】
前記加圧プッシュメカニズムの引き金の枢軸にはリセットバネが設けられ、取り外し部材は、前記銃型ケースに可動に設けられるとともに、錐状部を備え、錐状部は前記係止板に接触することを特徴とする、請求項1に記載の注射装置。
【請求項5】
前記凸ブロック位置決め部材は、位置決めバネと第二固定柱に連結することにより、前記不規則凸ブロックの一辺縁に当接することを特徴とする、請求項1に記載の注射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【公開番号】特開2011−240130(P2011−240130A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100401(P2011−100401)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(511107315)
【Fターム(参考)】