説明

洗い場床

【課題】表面材の端部の後処理が省略でき、且つクッション材における耐熱性および耐圧性といった材料への制約が緩和されたクッション性を有する洗い場床を提供する。
【解決手段】ユニットバスに組み込まれる洗い場床であって、洗い場床の外縁部を構成し、開口部13oを有する枠状の外縁側基材13aと、前記開口部のなかに設けられ、前記外縁側基材から分離可能な中央側基材13cと、前記開口部を上方から覆い、端部が前記外縁側基材に熱融着される表面材11と、前記開口部内において前記表面材と前記中央側基材との間に設けられ、柔軟性のクッション材12と、を備え、前記クッション材は、前記中央側基材が分離された状態の前記開口部を介して、前記表面材の下に配置可能であることを特徴とする洗い場床が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗い場床に関する。
【背景技術】
【0002】
基材層と表面材との間にクッション材を積層した浴室用洗い場床が、特許文献1に開示されている。この構成のソフト床によれば、ソフトな感触を使用者に与えることができる。
【0003】
特許文献1においては、別個に成形した基材層、クッション材及び表面材を貼り合わせて接着していく構造が開示されている。この場合には、表面材の端部からクッション材側に水が入り込まないように、止水性のある接着剤でコーキング処理する後処理が必要となる。表面材の端部は浴室内に露出する部分であり、高度な処理が必要になるため、この後処理の作業は大変であり、改善の余地がある。
【0004】
これに対し、表面材及び基材を一体成形し、この成形時に表面材の端部と基材とを熱融着させることで、表面材の端部の後処理を省略し、これによって生産性を向上させることが期待される。
【0005】
この時、クッション材を基材及び表面材に積層した状態で一緒に成形しようとすると、クッション材には、成形熱に耐えられる程度の耐熱性、及び、成形圧に耐えられる程度の耐圧性が要求され、クッション材として用いる材料への制約が多くなり、コスト等の点からも望ましくない。
【0006】
そこで、クッション材を積層しない状態で表面材と基材とを一体成形し、表面材の端部と基材とが触れる部分が熱融着したままの状態を保持しつつ、成形後にクッション材を基材と表面材で囲まれた空間内に収容できる構成が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4186127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、表面材の端部の後処理が省略でき、且つクッション材における耐熱性および耐圧性といった材料への制約が緩和されたクッション性を有する洗い場床を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る洗い場床は、ユニットバスに組み込まれる洗い場床であって、前記洗い場床の外縁部を構成し、開口部を有する枠状の外縁側基材と、前記開口部のなかに設けられ、前記外縁側基材から分離可能な中央側基材と、前記開口部を上方から覆い、端部が前記外縁側基材に熱融着される表面材と、前記開口部において前記表面材と前記中央側基材との間に設けられ、前記外縁側基材、前記中央側基材及び前記表面材よりも柔軟性が高いクッション材と、を備え、前記クッション材は、前記中央側基材が分離された状態の前記開口部を介して、前記表面材の下に配置可能であることを特徴とする。
【0010】
本発明では、耐熱性および耐圧性の点でクッション材よりも優れた中子を用いることが可能となり、プレス成形時に表面材の端部と外縁側基材とを熱融着させながらもクッション性のある洗い場床を提供することが可能となる。すなわち、外縁側基材の開口部のなかに設けられた中央側基材が外縁側基材から分離可能であるため、外縁側基材及び中央側基材となる材料と、表面材となる材料と、の間に中子を入れてプレス成形した後に、成形された中央側基材を分離し、開口部より中子を取り出してクッション材と入れ換えることが可能となる。したがって、洗い場床にクッション性を与えるクッション材の選択において、プレス成形時の熱や加圧を考慮する必要が無い。これにより、プレス成形時に表面材の端部と外縁側基材とを熱融着させながらも、クッション材への耐熱性や耐圧性等の制約が緩和される洗い場床を実現することが可能となる。
【0011】
本願請求項2に係る洗い場床は、前記中央側基材及び前記外縁側基材の下部に設けられ、前記中央側基材と前記外縁側基材との相対的な位置関係を保持する補強材をさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
この態様では、中央側基材及び外縁側基材の下部に補強材を設けることで、分離可能な中央側基材と外縁側基材との相対的な位置関係を保持するため、例えば、洗い場床上の使用者の荷重が中央側基材に伝わった際に、中央側基材が外縁側基材に対して下方にずれてしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表面材の端部の後処理が省略でき、且つクッション材における耐熱性および耐圧性といった材料への制約が緩和されたクッション性を有する洗い場床が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る洗い場床を例示する模式的断面図である。
【図2】実施形態に係る洗い場床を例示する模式的斜視図である。
【図3】実施形態に係る洗い場床の製造方法で使用される型を例示する模式的断面図である。
【図4】実施形態に係る洗い場床の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図5】実施形態に係る洗い場床の周辺部の構成を例示する模式的断面図である。
【図6】図5のB部を拡大した模式的断面図である。
【図7】比較例の洗い場床を例示する模式図である。
【図8】実施形態に係る別の洗い場床を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1〜図6、及び、図8は、本発明の実施形態に係る洗い場床及びその製造方法を例示する模式図であり、図7は、比較例の洗い場床を例示する模式図である。
すなわち、図1は、洗い場床を例示する模式的断面図であり、図2は、洗い場床を例示する模式的斜視図である。図3は、洗い場床の製造方法で使用される型を例示する模式的断面図であり、図4は、洗い場床の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。図5は、洗い場床の周辺部の構成を例示する模式的断面図であり、図6は、図5のB部を拡大した模式的断面図である。図8は、洗い場床の変形例を例示する模式的断面図である。
【0016】
(第1の実施の形態)
まず図2を参照しながら、本発明の実施形態に係る洗い場床の概要について説明する。 図2に表したように、洗い場床10は、例えばユニットバスに用いられる浴室用洗い場床である。なお、洗い場床10には、排水口21aが設けられる。そして、洗い場床10の一部となる後述する基材13には、排水凹部21が設けられる。
【0017】
図1に表したように、洗い場床10は、外縁側基材13aと、中央側基材13cと、表面材11と、クッション材12と、を備える。すなわち、外縁側基材13aと中央側基材13cとが基材13に含まれる。
【0018】
外縁側基材13aは、洗い場床10の外縁部を構成する。外縁側基材13aは枠状であり、これにより外縁側基材13aの内側に開口部13oが形成される。
【0019】
中央側基材13cは、開口部13oのなかに設けられ、外縁側基材13aから分離可能である。
【0020】
表面材11は、外縁側基材13aの上に設けられる。すなわち、表面材11は、外縁側基材13aの開口部13oを上方から覆う。そして、表面材11の端部11aは、外縁側基材13aに熱融着されている。
【0021】
表面材11は、可撓性を有する。例えば、表面材11の可撓性は、外縁側基材13a及び中央側基材13cよりも高い。
【0022】
クッション材12は、開口部13o内において表面材11と中央側基材13cとの間に設けられる。すなわち、クッション材12は、開口部13o内の、表面材11の下層(表面材11の内側部11bの下側)に配置される。
【0023】
クッション材12は柔軟性を有する。すなわち、クッション材12の柔軟性は、外縁側基材13a、中央側基材13c及び表面材11よりも高い。
【0024】
ここで、可撓性は、撓み易さであり、例えばその材料の一端を保持した状態で、他端を変形させようとした時のその変形のし易さである。また、ここでいう柔軟性は、例えば表面に力を加えた時の変形のし易さである。なお、柔軟性が高い場合に、可撓性も高い場合があり、従って、クッション材12は、表面材11及び基材13よりも可撓性が高くても良い。
【0025】
中央側基材13cは、外縁側基材13aとは別体として形成され、クッション材12の下部に配置されるが、外縁側基材13aから分離可能である。
【0026】
クッション材12は、中央側基材13cが分離された状態の開口部13oを介して、表面材11の下に配置可能である。すなわち、クッション材12は、この開口部13oを介して、中央側基材13cを外縁側基材13aから分離してできた空間の中に配置されることによって、表面材11と中央側基材13cとの間に配置可能となっている。
【0027】
従って、クッション材12が表面材11と中央側基材13cとの間に配置された後に、中央側基材13cが外縁側基材13aに例えば接着剤などによって固定され、中央側基材13cが外縁側基材13aと簡単には分離できない状態となっていても差し支えない。
【0028】
すなわち、中央側基材13cと外縁側基材13aとが別体として形成され、一時的に中央側基材13cが外縁側基材13aから分離可能であれば良く、この場合も、中央側基材13cは、外縁側基材13aとは別体であり、すなわち、分離可能に形成されているものとされる。
【0029】
この構成によって、表面材11及び基材13(外縁側基材13a及び中央側基材13c)を一体成形して、この時に表面材11の端部11aを外縁側基材13aに対して熱融着させ、かつ、一体成形工程の後に、中央側基材13cを分離してクッション材12を表面材11の下側に挿入することができ、クッション材12には、高い耐熱性や高い耐圧性が要求されない。このように、洗い場床10によれば、表面材11の端部11aの後処理が省略でき、且つクッション材への制約が緩和されたソフト床の洗い場床が提供できる。
【0030】
なお、表面材11の下側にクッション材12を入れることで、洗い場床10を使用する使用者は、軟らかい感触を得ることができる。
【0031】
なお、表面材11の表面には、表面凹凸パターン11cが形成されており、表面凹凸パターン11cによって形成された凹部11dが、洗い場床10の表面に貯まった水を排水する排水溝の役目を果たし、洗い場床10から排水口21aまで水を導水して、洗い場床10を速く乾かすことができる。なお、凹部11dの親水性を、表面凹凸パターン11cによって形成される凸部11eに対して相対的に高く設定することで、凸部11eの上の水滴を、親水性の高い凹部11dに流れ込ませ、洗い場床10の表面の水を排水口21aまで効率的に導水し、効率良く排水させることができる。
【0032】
基材13(外縁側基材13a及び中央側基材13c)は、浴室外に湯水を漏出させない防水性、並びに、浴室壁パネル、天井パネル、風呂椅子及び洗面器などの静荷重、使用者の動荷重を受けても撓んだり破損しない十分な強度、を有する硬質材料から形成されている。例えば、基材13は、FRP(Fiber Reinforced Plastic)等の熱硬化性樹脂、または、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂に補強を施したものから形成されている。なお、外縁側基材13a及び中央側基材13cには同じ材料を用いることができる。ただし、本発明はこれに限らず、外縁側基材13a及び中央側基材13cに異なる材料を用いても良い。
【0033】
表面材11は、耐水性、耐薬品性、耐摩耗性、耐衝撃性など、洗い場床表面に要求される基本性能(耐久性)を満足するべく比較的強靱な材料から形成されている。そのような表面材11の材料としては、FRP、PVC(塩化ビニル)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン・ポリエステル・オレフィン・アクリル系の各種エラストマー、EVA、EPDM、シリコンゴムなどのゴム(硬質)系、あるいはこれらを十分な耐久性が期待できる程度の硬さに調整したもの、あるいはこれらをベースに充填材や強化材を加えた複合材料などが例として挙げられる。なお、これらの材料は一例であって、その他、表面材11の材料としては、浴室の一般的な使用に際し十分な耐久性を有するべく強靱な材料であれば良く、前述したものに限らない。
【0034】
そして、表面材11は、表面材11の上に荷重が加わった際に、荷重が加わった部分が局所的に変形しない程度の硬さを有することができる、なお、特に、洗い場床材に要求される基本性能発揮に実績のあるFRPを表面材11に用いることで、信頼性の高い製品を提供することができる。
【0035】
クッション材12には、例えばウレタン系の樹脂を用いることができる。ただし、本発明はこれに限らず、クッション材12には、耐水性、耐薬品性、耐摩耗性、耐衝撃性など、洗い場床表面に要求される基本性能(耐久性)を満足し、柔軟性を有する材料を用いることができる。そのようなクッション材12の材料としては、FRP、PVC(塩化ビニル)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン・ポリエステル・オレフィン・アクリル系の各種エラストマー、EVA、EPDM、シリコンゴムなどのゴム(硬質)系、あるいはこれらを調整したもの、あるいはこれらをベースに充填材や強化材を加えた複合材料などが例として挙げられる。また、例えば、上記の材料において、柔軟性を有するように成分を調整したものを用いても良い。
【0036】
このような構成を有する洗い場床10は、表面材11と基材13とを一体的にプレス成型する方法で作製できる。
【0037】
図3に表したように、このプレス成形に用いる型として、例えば、表面側型31と裏面側型33とを用いる。表面側型31の裏面側型33に対向する面には、表面材11の表面凹凸パターン11cを形成するための凹凸パターン31cが設けられている。そして、裏面側型33の表面側型31に対向する面には、例えば溝33c等が設けられ、基材13に所定の形状を附与することができる。
【0038】
表面側型31と裏面側型33とを近接させ、例えば、表面側型31の当接部31aと裏面側型33の当接部33aとが互いに当接した時に(図3中の点線の状態の時に)、表面側型31の内側面と裏面側型33の内側面との間に所定の間隙が形成されるように、表面側型31と裏面側型33とが設計され、これにより、これらの型の間に挿入した表面材11と基材13とに所定の形状を附与することができる。
【0039】
そして、本実施形態に係る洗い場床の製造方法においては、上記の表面側型31及び裏面側型33の他に、中子を使用する。
【0040】
以下、中子を用いる洗い場床の製造方法について図4を参照しながら説明する。
まず、図4(a)に表したように、表面材11となる表面材用材料11mと、中子32と、基材13(外縁側基材13a及び中央側基材13c)となる基材用材料13mと、を重ねた状態で、表面材用材料11mと中子32と基材用材料13mとを表面側型31と裏面側型33との間に配置する。なお、本具体例では、表面材用材料11mは、シート状である。そして、例えば、表面側型31の上に表面材用材料11mを載置し、その上に、例えば離型処理が施された中子32を載置する。そして、その上に基材用材料13mをチャージする。なお、本具体例では、基材用材料13mは、表面材用材料11mよりも変形性(例えば流動性)が高い材料が用いられている。基材用材料13mには、例えば熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステルのSMC(シートモールディングコンパウンド)を用いることができる。
【0041】
「中子」は、例えば、中空の鋳物等を作る際に、中空となる部分に入れる型のことであり、このような「中子」が中子32として用いられる。なお、中子32がこのプレス成形によって実質的に変形することがないように、中子32には、加えられる圧力と熱に耐えられるような材料が用いられる。中子32には、例えば、シリコン系やフッ素系の樹脂等が用いられる。
【0042】
中子32の形状は、クッション材12を収容するための中央側基材13cと表面材11との間の空間を形成するための形状に加えて、外縁側基材13aと中央側基材13cとを分離するための突出部32pを有している。この時、中子32として離型性を有するものを用いると、後の工程において中子32を取り外すことが容易になる。
【0043】
そして、図4(b)に表したように、表面側型31と裏面側型33との間の距離を狭め、所定の温度において所定の圧力を加え、プレス成形する。この時に、表面材11の端部11aは、外縁側基材13aに対して熱融着される。なお、この時の熱融着を強固にするために、例えば表面材用材料11mと基材用材料13mとが互いに接触する部分は離型性を有さず固着性が高いことが望ましい。なお、プレス成形の際の温度は、例えば160℃〜200℃である。ただし、本発明はこれに限らず、プレス成形が可能な任意の温度を採用することができる。
【0044】
この時、中子32は、プレス成形の際の圧力に耐えるので、基材13及び表面材11には所定の圧力がかかる。これにより、表面材11に狙った寸法の表面凹凸パターン11cが形成できる。
【0045】
なお、中子32の突出部32pを除いた部分の形状は、例えば、クッション材12の形状と実質的に同じに設定される。これにより、プレス成形された時に、中子32の形状に対応して中央側基材13cと表面材11との間に空間を形成でき、この空間に、後にクッション材12を収容することができる。
【0046】
そして、表面側型31と裏面側型33との間の距離を広げ、プレス成形された外縁側基材13a、中央側基材13c及び表面材11と、それらの間に挟まれた中子32を取り出す。
【0047】
そして、図4(c)に表したように、中央側基材13cを分離し、中子32を取り出す。なお、中子32には離型性があるので、中子32は表面材11から容易に離れ、中子32を容易に取り出すことができる。また、表面材11は、外縁側基材13aと熱融着によって固定されているので、この工程において、表面材11と外縁側基材13aとの相互の位置関係がずれることはない。
【0048】
そして、図4(d)に例示したように、中央側基材13cの上にクッション材12を載置する。なお、必要に応じてクッション材12を中央側基材13cに例えば両面テープや接着剤等によって固定しても良い。
【0049】
そして、図4(e)に表したように、クッション材12を載せた中央側基材13cを、外縁側基材13aの内側の開口部13oにはめ込み、一旦分離した中央側基材13cを元の位置に戻す。そして、必要に応じて、中子32の突出部32pによって形成された外縁側基材13aと中央側基材13cとの間の間隙を充填剤などによって埋め込み、また、外縁側基材13aと中央側基材13cとを接着剤などで固定しても良い。
【0050】
このようにして、図1に例示した洗い場床10が製造できる。これにより、表面材の端部の後処理が省略でき、且つクッション材への制約が緩和されたソフト床の洗い場床が提供できることに加え、ハード床用と共用の成形型によってソフト床を成形した場合であっても、所望の寸法の凹凸を表面に形成できる利点がある。
【0051】
すなわち、このような型(表面側型31及び裏面側型33)を用いて、クッション材を有さないハード床を製造する際には、中子32を用いないで、基材用材料13m及び表面材用材料11mを積層してプレス成形することで、中子32を用いた場合の中子32の位置の空間に例えば基材用材料13mが充填され、中央側基材13cの厚さが、中子32の分だけ厚くなって成形されるのみであり、所望の形状の表面材11と基材13(外縁側基材13a及び中央側基材13c)とを得ることができる。
【0052】
すなわち、表面側型31及び裏面側型33は、ソフト床の製造とハード床の製造との両方に共通して利用できる。
【0053】
図5に表したように、洗い場床10においては、表面材11の端部11aは、外縁側基材13aに熱融着され、直接固定されている。すなわち、表面材11の端部11aと外縁側基材13aとが対向する部分では、プレス成形の際に、表面材用材料11mと基材用材料13mとが熱融着して直接固定される。
【0054】
そして、図6に表したように、洗い場床10においては、表面材11の端部11aの形状が外縁側基材13aの形状と一致し、見た目もきれいにできる。
【0055】
図7は、比較例の洗い場床の構成を例示している。
比較例の洗い場床10xにおいては、表面材11と基材13とが別に成形される。このため、図7に表したように、表面材11と基材13とで形状が一致せず、例えば、表面材11の端部11aと基材13との間に空隙11gが発生する。このために、この空隙を埋めるために、コーキング材などの周辺仕上げ部16を形成する必要があり、工程が複雑になり、また、見た目も良くない。また、表面材11と基材13とは、接着層14で固定されており、このための作業も必要である。
【0056】
これに対し、図6に関して説明したように、本実施形態に係る洗い場床10においては、表面材11と外縁側基材13aとの継ぎ目部分の見切りがきれいにでき、水密性が高いだけではなく、工程が簡単でありつつ意匠性にも優れるという利点がある。
【0057】
(変形例)
図8に表したように、本実施形態に係る変形例の洗い場床10aは、中央側基材13c及び外縁側基材13aの下部に設けられた補強材17をさらに備える。そして、補強材17は、中央側基材13c及び外縁側基材13aを支持する。この補強材17によって、中央側基材13cと外縁側基材13aの相対的な位置関係が保持される。
【0058】
この補強材17は、例えば、外縁側基材13a及び中央側基材13cの両方に当接し、外縁側基材13a及び中央側基材13cに加わる荷重を支え、外縁側基材13aと中央側基材13cと相対的な位置がずれないようする。なお、荷重が分散するように、補強材17は、面状の形状を有することができる。
【0059】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、洗い場床を構成する各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0060】
その他、本発明の実施の形態として上述した洗い場床を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての洗い場床も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0061】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0062】
10、10a、10x、…洗い場床、 11…表面材、 11a…端部、 11b…内側部、 11c…表面凹凸パターン、 11d…凹部、 11e…凸部、 11g…空隙、 11m…表面材用材料、 12…クッション材、 13…基材、 13a…外縁側基材、 13c…中央側基材、 13m…基材用材料、 13o…開口部、 14…接着層、 16…表面仕上げ部、 17…補強材、 21…排水凹部、 21a…排水口、 31…表面側型、 31a…当接部、 31c…凹凸パターン、 32…中子、 32p…突出部、 33…裏面側型、 33a…当接部、 33c…溝、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットバスに組み込まれる洗い場床であって、
前記洗い場床の外縁部を構成し、開口部を有する枠状の外縁側基材と、
前記開口部のなかに設けられ、前記外縁側基材から分離可能な中央側基材と、
前記開口部を上方から覆い、端部が前記外縁側基材に熱融着される表面材と、
前記開口部において前記表面材と前記中央側基材との間に設けられ、前記外縁側基材、前記中央側基材及び前記表面材よりも柔軟性が高いクッション材と、
を備え、
前記クッション材は、前記中央側基材が分離された状態の前記開口部を介して、前記表面材の下に配置可能であることを特徴とする洗い場床。
【請求項2】
前記中央側基材及び前記外縁側基材の下部に設けられ、前記中央側基材及び前記外縁側基材を支持する補強材をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の洗い場床。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−281031(P2010−281031A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132686(P2009−132686)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】