説明

洗浄ルーメンを有するマルチルーメン気管カテーテル

【課題】可膨張性カフの真上に溜まった分泌物を、十分に除去し、かつ粘膜に損傷を与えることなく吸引することができるマルチルーメン・カテーテルを提供する。
【解決手段】本発明に係る気管チューブ10は、吸引ルーメン16及び洗浄ルーメン18とを備える。吸引ルーメン16は、可膨張性カフ22の上方に溜まった液体及び分泌物を吸引する。洗浄ルーメン18は、ポート24に近位する吸引ルーメン16の内部で終端する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入院患者の機械的人工換気に使用され、前記患者の気管に挿入される気管チューブに関する。特に、本発明は、気管チューブを洗浄するため及び/又は気管チューブカフの上方に溜まった汚染された分泌物を排出するための手段を有し、前記手段によって前記汚染された分泌物が患者の肺に入る危険性を減少させるようにした気管チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
気管挿管は、気管チューブとして知られているチューブ状の機器を患者の気管に挿入することを伴う。気管チューブは、気管を通過して、第2胸部脊椎と第4胸部脊椎との間の位置の前方にある気管分岐部の上方の位置に至る。その後、気体が、気管チューブを通って患者の肺に導入される。
【0003】
気管挿管の主目的は、患者が病気によって通常の呼吸誘発性換気ができない場合、又は外科処置中に麻酔ガスを供給する場合に、患者の肺の機械的人工換気を行うことである。機械的人工換気を行うのに十分な気圧を生成するため及びチューブを通過した気体の漏出を防止するために、気管チューブの周りの通路を密閉する必要がある。前記密閉は、気管チューブの周囲に一体的に設けられた可膨張性カフを使用して行われる。気管チューブが患者の気管に挿入されたとき、可膨張性カフは通常は、管状の気管内における気管分岐部の約3〜5センチメートル上方の位置に配置される。
【0004】
その後、可膨張性カフを膨張させて気管の壁と係合させることによって、気管を密閉する。このことにより、気管チューブを通って導入された気体がチューブの周りを容易に逆流することを防止する。この種の治療処置は、慢性又は急性呼吸器疾患を有する患者に対して有効であることが証明されているが、いくつかの合併症についての一定のリスクがある。
【0005】
特に、気管挿管を受けている患者の多くは、挿管中に喉頭蓋をバイパスした後に、汚染された貯留分泌物が気管及び肺に入って肺が感染すると、肺炎を発症する。喉頭蓋は、通常は、気管及び肺への入口を選択的に閉じて分泌物及び他の粒子状物質の進入を防止するバルブとして機能する。しかし、気管チューブの挿管中は、喉頭蓋は開放位置に保たれる。そのため、通常は気管から消化器系へ導かれる分泌物は、気管チューブの周りの通路を進んで可膨張性カフの上方に溜まる。
【0006】
感染性分泌物が肺に到達する危険が最も高いのは、機械的人工換気を終了したときである。具体的には、気管内挿管の必要がなくなり、患者から気管チューブを取り出すために可膨張性カフを収縮したときである。このとき、可膨張性カフの上方に溜まった感染性分泌物は開放され、肺に自由に流入することができる。感染性分泌物が肺に入ると、気管支炎又は肺炎が急速に発症する。また、挿管中に、気管チューブのカフを通過した感染性分泌物を吸引することにより、感染性分泌物が肺に入る危険もある。
【0007】
これらの危険を解決するために、従来技術では、単一ルーメンの吸引チューブを、気管チューブに組み合わせることが知られている。前記吸引チューブは、気管チューブに適切な方法で結合される。前記吸引チューブの端部は、可膨張性カフの上方の位置で終端する。前記吸引チューブは、気管内における可膨張性カフの上方に溜まった貯留分泌物を吸引又は排出する手段を提供する。しかし、このような従来技術には、吸引チューブは単一ルーメンを使用しているため、気管の粘膜を直接吸引することがしばしば起こり、その結果、粘膜を損傷させるという欠点があった。
【0008】
Porter IIIによる米国特許第4,840,173号には、単一ルーメンの吸引チューブが組み合わせた気管チューブが開示されている。具体的には、この特許は、吸引チューブが可膨張性カフの真上の位置で終端するように、吸引チューブが換気チューブの外側に配置された機器を開示している。前記吸引チューブは、可膨張性カフの上方に溜まった分泌物を排出するのに使用される複数の開口を有している。また、可膨張性カフにおける前記吸引チューブの端部と直接隣接する部分は、可膨張性カフの可撓性材料が前記吸引チューブの開口から吸い上げられるのを防止するために、当該可膨張性カフの他の部分よりも可撓性が低くなるように形成されている。この特許に開示されている気管チューブは、単一ルーメンの吸引チューブは気管の粘膜を吸引して粘膜を損傷させるという、上記した従来技術の欠点を有している。さらに、この特許に開示されている機器は、比較的複雑なデザインであり、複雑な加工を必要とするため、高価な製品となる。
【0009】
Peckhamによる米国特許第5,143,062号には、空気を循環させる2つのルーメンと、前記2つのルーメンの遠位端と連通され可膨張性カフの近位に形成された吸引口とを有し、前記吸引口を介しての間接的な優しい吸引を生成するようにした気管チューブが開示されている。しかし、この設計では、分泌物の吸引に必要とされる適切な吸引を提供することができない。また、この設計では、閉塞しやすい。
【0010】
実際に、上記のカテーテルにおいて高頻度で発生する問題は、吸引ポートが分泌物によって閉塞され、吸引機能が阻害されることである。そのため、可膨張性カフの真上に溜まった分泌物を、十分に除去し、かつ粘膜に損傷を与えることなく吸引することができるマルチルーメン・カテーテルが求められている。このような機器の吸引機能は、機器の使用中に、貯留分泌物を除去できることが好ましい。本発明は、上記課題を解決すべく、洗浄機能を有するマルチルーメン気管チューブ及びカテーテルシステムを提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、気管チューブに洗浄ルーメンを組み入れることにより、気管チューブを改良する。ある実施形態では、本発明に係る気管チューブは、長さ、遠位端及び近位端を有する可撓性カニューレから成る。前記カニューレは、前記長さに沿って実質的に延びて、自身を呼吸ルーメン、吸引ルーメン、洗浄ルーメン及び膨張ルーメン等の複数の別個のルーメンに分割する複数の壁を含む。可膨張性カフが、前記カニューレの遠位端の近位を取り囲む。前記可膨張性カフは、患者の気管をシールするように構成される。前記可膨張性カフは、前記膨張ルーメンと流体的に連通される。ポートが、前記可膨張性カフの近位にある前記カニューレの側壁を貫通して延びる。前記ポートは、前記吸引ルーメンと流体的に連通される。前記洗浄ルーメンは、前記ポートに近位する前記吸引ルーメンの内部で終端する。あるいは、前記洗浄ルーメンは、前記気管チューブ内に形成され、前記ポートに近位するチャンバーの内部で終端する。
【0012】
他の実施形態では、前記気管チューブは、複数の吸引ルーメン、複数の洗浄ルーメン、又はその両方を備える。各吸引ルーメンは、前記ポートの内部で終端する。各洗浄ルーメンは、前記ポートの1つに近位する前記吸引ルーメンの1つの内部で終端する。
【0013】
他の実施形態では、前記気管チューブは、患者の声門の真下にある気管を塞ぐ形状を有する可膨張性カフを備える。カニューレが、前記可膨張性カフを貫通して配置される。前記カニューレは、呼吸ルーメン、吸引ルーメン及び洗浄ルーメンを有する。前記吸引ルーメンは、前記呼吸ルーメンを介しての換気と同時に、前記カニューレの外側にある声門下領域の吸引を行うことができるポートを有する。前記洗浄ルーメンは、前記ポートに近位する前記吸引ルーメンの内部で終端する。あるいは、前記洗浄ルーメンは、前記気管チューブ内に形成されかつ前記ポートに近位するチャンバーの内部で終端する。
【0014】
上記の実施形態のいずれでも、前記気管チューブは、前記吸引ルーメンの作用範囲を広げるために、薄型延長部が前記カニューレの外面に前記ポートを覆うように設けられ得る。前記洗浄ルーメンは、前記薄型延長部の内部で終端する。
【0015】
他の実施形態では、挿管された患者の声門下領域から流体を吸引する方法が提供される。この方法は、患者の気管にマルチルーメン・カテーテルを挿入するステップと、前記声門下領域から前記患者の肺への前記流体の流動を最小限に抑えるために、カフを前記気管の壁と密閉的に係合するように膨張させるステップとを含む。前記患者は、前記マルチルーメン・カテーテルの少なくとも1つのルーメンを介して継続的に換気される。少なくとも1つの他のルーメンを介して前記声門下領域から前記液体を吸引する。前記ルーメンは、前記液体に接近するための、前記カフに近位する前記カテーテルの側壁を貫通して延びるポートを有する。前記吸引ルーメンで前記声門下領域から前記液体を吸引すると同時に、少なくとも他のルーメンを介して前記ポートに近位する前記吸引ルーメンに洗浄液を供給することにより前記吸引ルーメンを洗浄する。前記洗浄は、噴霧を含む乱流条件下で行われる。
【0016】
本発明の他の目的、利点及び用途は、図面を参照しつつ行う、本発明の好適な実施形態に対する以下の説明から明確になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本発明の本質の例示のみを目的としたものであり、本発明を限定するものではない。したがって、当業者は、本発明の精神と範囲から逸脱しない範囲内で、上記の実施形態に種々な変更及び修正を加えることが可能であろう。
【0018】
図1及び図1aは、本発明の一実施形態に係る気管チューブ10を示す。この実施形態に係る気管チューブ10は、少なくとも1つの呼吸ルーメン14と、少なくとも1つの吸引ルーメン16と、少なくとも1つの洗浄ルーメン18とを備えるマルチルーメン・カニューレ12である。この実施形態では、前記各ルーメンは、カニューレ12に、少なくとも部分的に内在する。呼吸ルーメン14は、カニューレ12の全体を通じて延び、患者(図示せず)の人工呼吸を行うように構成されている。カニューレ12の遠位端20は、前記患者の上気道系の内部に位置される。バルーン、ブラダー(bladder)、又は可膨張性カフ22は、遠位端20の近位に設けられる。前記カフ22は、膨張時に、患者の声門の真下にある気管を塞ぐような形状に形成される。患者の声門及び声門下領域から気管支及び肺への望ましくない液体流動を無くする又は少なくとも最小化することは、当業者には周知であり理解されている。
【0019】
ポート24は、吸引ルーメン16から、カニューレ12の壁25を貫通して、カニューレ12の外面27に延びている。この実施形態では、ポート24は、カフ22の上部表面に隣接している。吸引ルーメン16は、呼吸ルーメン14を介しての患者の換気に悪影響を与えることなく、患者の声門下領域におけるカフ22の上側に集まった液体を吸引するように構成されている。この実施形態では、洗浄ルーメン18は、カニューレ12の内部で終端する。具体的には、洗浄ルーメン18は、図3に示すように、吸引ルーメン16の内部における出口30で終端する。さらに、図3に示すように、洗浄ルーメン18は、ポート24の近位で終端し得る。または、図4に示すように、洗浄ルーメン18は、ポート24の近位に設けられたチャンバー26の内部で終端し得る。どちらの場合も、洗浄ルーメン18は、洗浄液28を供給するための経路を提供する。このことは、図3に、噴霧パターンとして描かれている。
【0020】
洗浄液28は、吸引ルーメン16が吸引を行っている場合は吸引ルーメン16に供給され、他の場合は声門下領域に排出される。このことは、溜まって吸引ルーメン16を閉塞する可能性がある分泌物及び他の液体を除去するために、介護者の裁量で行われる。図1〜4に示した実施形態では、洗浄ルーメン18は、洗浄液28を吸引ルーメン16に供給し、前記洗浄液28が貯留した液体及び他の吸引ルーメン16を閉塞する可能性がある分泌物と共に吸引されるように構成される。洗浄液28としては、水、生理食塩水、及び他の生体適合性液体がある。患者への所望する効果を得るため、又は吸引ルーメン16の吸引及び/又は洗浄を容易にするために、薬剤(例えば、消毒剤、抗生剤)又は処理剤(例えば、界面活性剤)を前記洗浄液に加えることも可能である。洗浄液28の主目的は、吸引ルーメン16の洗浄及び/又は貯留分泌物等の除去なので、洗浄液を吸引ルーメン16に乱流状態で供給することにより、吸引ルーメンの洗浄等をより向上させることがでる。吸引ルーメン18の出口30は、乱流又は噴霧パターン(図3参照)を生成するように構成し得る。さらに、図4に示すようにチャンバー26が設けられる場合は、チャンバー26の形状は、乱流を生成する一因となるように、又はその内部で噴霧を所望するように方向付けできる容積を提供するように構成される。
【0021】
図2の断面図は、気管チューブ10の1つの可能な構成、より詳しくは、カニューレ12におけるルーメンの配置の可能性を示している。図2に示すように、呼吸ルーメン14は、カニューレ12の全長に沿って実質的に延びる内壁32によって、吸引ルーメン16から分離されている。上述したようにポート24に近位する吸引ルーメン16若しくはチャンバー26の内部の出口30で終端する又は至る洗浄ルーメン18は、内壁32内に形成される。当然のことながら、この構成は、1つの可能な構成を示唆しているにすぎない。本発明の精神と範囲から逸脱しない範囲内で、他の構成が可能である。例えば、カニューレ12の内部におけるルーメンの配置は変更可能である。さらに、洗浄ルーメン18を他の壁(例えば、カニューレの壁25)の内部に形成することも可能である。あるいは、洗浄ルーメン18は、カニューレ12のどの壁にも埋め込まれない、内蔵型ルーメンであり得る。図2、図3及び図4には、膨張ルーメン34も描かれている。膨張ルーメン34が可膨張性カフ22と流体的に連通しており、膨張ルーメン34によって前記カフの膨張及び収縮を制御できることは、当業者には理解できるであろう。図4に示す気管チューブ10は、バルーン22が気管粘膜又は気管壁39と接触するように、患者の気管37内に配置されている。
【0022】
他の実施形態では、複数の吸引ルーメン16を設けることができる。各吸引ルーメンは、各々が洗浄ルーメン18から提供される洗浄液によって洗浄されるという点では、基本的には上記のように構成される。各吸引ルーメン16に、専用の洗浄ルーメン18を設け得る。これらのルーメンのカニューレ12内での配置は、特定の構造に限定されるものではない。当然のことながら、上記の各実施形態において、1つの吸引ルーメン16に対して、2つ以上の洗浄ルーメン18を設け得る。このように構成すると、吸引ルーメンの洗浄をより完全に行うことができる。上記の実施形態はいずれもルーメンの数及び配置を変更しただけなので、当業者には容易に理解できるであろう。よって、これらの変形例の理解には、特別な図面は不要であろう。
【0023】
図5に示すさらなる別の実施形態では、カニューレ12の壁25に、ポート24を覆う薄型の延長部36が設けられる。延長部36は、吸引ルーメンの吸引力の有効範囲を、患者の気管壁に近いカニューレ12の壁25から放射状に外側に広げる。この構成では、吸引ルーメン16及び延長部36をより効率的に洗浄するために、洗浄ルーメン18の出口30は、薄型の延長部35の可能な限り近位(延長部35の内部を含む)に配置される。このような延長部は、同一の発明者により2005年8月25日に出願された同時継続出願である米国特許出願(Kimberly-Clark事件番号21852、US速達番号EV094172642US)に開示されている(参照により全体として本明細書に組み込まれるものとする)。
【0024】
使用時は、介護者は、マルチルーメン・カテーテル又は気管チューブ10を、当業者には周知であり理解されている方法によって、患者の気管37に挿入する。可膨張性カフ22を、膨張ルーメン24によって膨張させて、患者の気管37の壁39と密閉的に係合させる。このことにより、声門下領域から気管支及び肺への望ましくない液体流動を、効果的に防止する又は最小限に抑えることができる。呼吸ルーメン14を介しての患者の換気は、この時点から開始され、必要な限り継続される。介護者の裁量で、患者の気管内の声門下領域は、カニューレ12の壁25を貫通するポート24を介して、吸引ルーメン16によって吸引される。吸引中は、吸引ルーメン16は、洗浄ルーメン18から供給される洗浄液28によって洗浄される。洗浄液28は、ルーメン16全体をより良く洗浄するために、ポート24で又はその近傍で、吸引ルーメン16に噴霧を含む乱流状態で注入される。吸引ルーメン16の吸引と同時に洗浄を行うことにより、少なくとも2つの機能が果たされる。1つ目は、不注意により洗浄液がカニューレ12から患者の声門下領域に流出することを最小限に抑えることができる。2つ目は、ポートでの及び吸引ルーメン内を通る際の洗浄液の乱流を増加させることができる。また、洗浄液に薬剤(例えば、消毒剤、抗生剤)を加えることも可能である。その場合は、吸引の前に、所望する治療効果を得るために、洗浄液はカニューレ12から排出させることが望ましい。
【0025】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「含む(comprising)」という用語は、包含的又は無制限を意味するものであり、追加的な未記載の構成要素、組成要素、又は方法ステップを排除するものではない。以上、本発明の様々な実施形態を説明したが、これらの実施形態は例示的なものであり、本発明を限定するものではない。本発明の細部の実施にあたっては、本発明の精神と範囲から逸脱しない範囲内で、上記の実施形態に種々な変更及び修正を加えることが可能である。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るマルチルーメン・カテーテルの正面図である。
【図2】図1に示したカテーテルの2−2線の断面図である。前記カテーテル内のルーメンも図示されている。
【図3】図1に示したカテーテルのポート領域を示す縦方向の断面図である。
【図4】図1に示したカテーテルの他の実施形態(チャンバーを有する)を示す断面図である。
【図5】図1に示したカテーテルのさらなる別の実施形態(薄型延長部を有する)を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気管チューブであって、
長さ、遠位端及び近位端を有し、前記長さに沿って実質的に延びて自身を呼吸ルーメン、吸引ルーメン、洗浄ルーメン及び膨張ルーメン等の複数の別個のルーメンに分割する複数の壁を含む可撓性カニューレと、
前記カニューレの遠位端の近位を取り囲み、患者の気管をシールするように構成され、かつ前記膨張ルーメンと流体的に連通された可膨張性カフと、
前記可膨張性カフに近位する前記カニューレの側壁を貫通して延び、前記吸引ルーメンと流体的に連通されたポートと備え、
前記洗浄ルーメンは、前記ポートに近位する前記吸引ルーメンの内部で終端することを特徴とする気管チューブ。
【請求項2】
請求項1に記載の気管チューブであって、
複数の吸引ルーメンと複数の洗浄ルーメンとを備え、
前記各吸引ルーメンは、前記ポートの内部で終端し、
前記各洗浄ルーメンは、前記ポートの1つに近位する前記吸引ルーメンの1つの内部で終端することを特徴とする気管チューブ。
【請求項3】
請求項1に記載の気管チューブであって、
前記洗浄ルーメンから洗浄液が噴出され、前記噴出された洗浄液は前記吸引ルーメンから吸引されるように構成されたことを特徴とする気管チューブ。
【請求項4】
請求項1に記載の気管チューブであって、
各吸引ルーメンに対して、複数の洗浄ルーメンが設けられたことを特徴とする気管チューブ。
【請求項5】
請求項1に記載の気管チューブであって、
前記吸引ルーメンの作用範囲を広げるために、薄型延長部が前記カニューレの外面に前記ポートを覆うように設けられたことを特徴とする気管チューブ。
【請求項6】
請求項1に記載の気管チューブであって、
前記洗浄ルーメンは、前記呼吸ルーメンと前記吸引ルーメンとの間に配置された前記壁の内部に形成されることを特徴とする気管チューブ。
【請求項7】
請求項1に記載の気管チューブであって、
前記洗浄ルーメンは、前記吸引ルーメン内に形成されかつ前記ポートに近位するチャンバーの内部で終端することを特徴とする気管チューブ。
【請求項8】
挿管された患者の声門下領域から流体を吸引する方法であって、
患者の気管にマルチルーメン・カテーテルを挿入した後、前記声門下領域から前記患者の肺への前記流体の流動を最小限に抑えるために、カフを前記気管の壁と密閉的に係合するように膨張させるステップと、
専用の呼吸ルーメンを含む前記マルチルーメン・カテーテルの少なくとも1つのルーメンを介して前記患者を継続的に換気するステップと、
前記カフに近位する前記カテーテルの側壁を貫通して延びるポートを有する、専用の吸引ルーメンを含む少なくとも1つの他のルーメンを介して前記声門下領域から前記液体を吸引するステップと、
前記吸引ルーメンで前記声門下領域から前記液体を吸引すると同時に、専用の洗浄ルーメンを含む少なくとも他のルーメンを介して前記ポートに近位する前記吸引ルーメンに洗浄液を供給することにより前記吸引ルーメンを洗浄するステップと
を含む方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記洗浄液は、水や生理食塩水などの生体適合性液体を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、
前記洗浄液は、消毒剤を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法であって、
前記洗浄液は前記吸引ルーメンの内部で前記洗浄ルーメンから排出され、前記ポートからの前記患者への前記洗浄液の流出が極微量であることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項8に記載の方法であって、
前記洗浄液は、前記吸引ルーメン内に形成されたチャンバーに供給されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項8に記載の方法であって、
前記洗浄液は、吸引ルーメンに乱流条件下で供給されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項8に記載の方法であって、
前記洗浄液は、吸引ルーメンに噴霧として供給されることを特徴とする方法。
【請求項15】
気管チューブであって、
患者の声門の真下にある気管を塞ぐ形状を有する可膨張性カフと、
前記可膨張性カフを貫通して配置され、呼吸ルーメン、吸引ルーメン及び洗浄ルーメンを有するカニューレとを備え、
前記吸引ルーメンは、前記呼吸ルーメンを介しての換気と同時に、前記カニューレの外側にある声門下領域の吸引を行うことができるポートを有し、
前記洗浄ルーメンは、前記ポートに近位する前記吸引ルーメンの内部で終端する気管チューブ。
【請求項16】
請求項15に記載の気管チューブであって、
前記洗浄ルーメンから排出された洗浄液を受容するために、前記ポートに近位する前記吸引ルーメンの内部に形成されたチャンバーを備えることを特徴とする気管チューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−505721(P2009−505721A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527901(P2008−527901)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/015861
【国際公開番号】WO2007/024288
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】