説明

洗浄剤組成物

【課題】洗濯後の衣類のしわ発生防止性及び洗浄性に優れた洗浄剤組成物、及び該洗浄剤組成物を衣料の洗浄又は仕上げに用いる洗浄又は仕上げ方法を提供すること。
【解決手段】界面活性剤1〜80重量%、ポリグリセロール型変性シリコーン0.01〜10重量%、カチオン化ポリマー0.1〜20重量%を含有する洗浄剤組成物、該洗浄剤組成物を衣料の洗浄又は仕上げに用いる洗浄又は仕上げ方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯による衣類のしわの発生を抑制する洗浄剤組成物及び該組成物を用いる衣料の洗浄又は仕上げ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯した後にみられる衣類のしわは、仕上げ剤(のり剤、柔軟剤等)で処理することで、その発生の予防が図られている。
【0003】
このような仕上げ剤は、洗剤とは別途に使用される必要があり、従来の洗濯において仕上げ剤を使用する場合、洗濯工程と仕上げ工程とを分けて行なわれている。
【0004】
しかしながら、洗濯工程と仕上げ工程とからなる洗濯作業は、しわ等の仕上がりの良好な洗濯が可能とはなるものの、使用される水の量が多量となる、洗濯にかかる時間が長くなるという点においてまだ改善点があった。
【0005】
そこで、洗浄作用に加え、しわの発生を防止する効果を有する洗浄剤組成物が考案されている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
しかしながら、かかる洗浄剤組成物では、配合された仕上げ剤と洗剤成分とが作用して、互いの効果の発現を阻害しあうため、洗浄剤と仕上げ剤とを分けて用いる従来の洗濯方法と同じ程度の洗浄効果及びしわ防止効果は発現されているとはいえなかった。
【特許文献1】特表2003−505580号公報
【特許文献2】特表2002−543302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、洗濯後の衣類のしわ発生防止性及び洗浄性に優れた洗浄剤組成物、及び該洗浄剤組成物を衣料の洗浄又は仕上げに用いる洗浄又は仕上げ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 界面活性剤1〜80重量%、ポリグリセロール型変性シリコーン0.01〜10重量%、カチオン化ポリマー0.1〜20重量%を含有する洗浄剤組成物、
〔2〕 前記〔1〕記載の洗浄剤組成物を衣料の洗浄又は仕上げに用いる洗浄又は仕上げ方法、
〔3〕 防しわ効果を訴求した、前記〔1〕記載の洗浄剤組成物
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の洗浄剤組成物を用いることにより、洗濯後のしわの発生が極めて少ない衣類を効率よく得られるという効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の洗浄剤組成物は、界面活性剤1〜80重量%、ポリグリセロール型変性シリコーン0.01〜10重量%、カチオン化ポリマー0.1〜20重量%を含有することを特徴とし、かかる特徴を有することで、しわの発生が顕著に少なく、且つ汚れの残存が少ない衣類を効率よく得られるという効果が奏される。
【0010】
本発明の洗浄剤組成物は、界面活性剤1〜80重量%を含有する。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、洗浄性、吸着性、しわ防止性の観点から、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤が好ましく、非イオン界面活性剤を含有することがさらに好ましい。
【0011】
陰イオン性界面活性剤としては、炭素数10〜18のアルコールの硫酸エステル塩、炭素数8〜20のアルコールのアルコキシル化物の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩が好ましい。中でも、アルキル鎖の炭素数が10〜14の、より好ましくは12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を含有することが好ましく、対イオンとしては、アルカリ金属塩やアミン類が好ましく、特にナトリウム及び/又はカリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンが好ましい。
【0012】
陽イオン性界面活性剤としては、例えば日本国特許庁公報「周知・慣用技術集(衣料用粉末洗剤)の3章の1」記載の公知の陽イオン性界面活性剤を使用することができ、中でも第3級アミド酸塩、第4級アンモニウム塩が好ましい。具体的には、炭素数8〜20、より好ましくは12〜18のエステルアミド塩酸塩もしくは硫酸塩や、炭素数8〜20、より好ましくは12〜18のアルキルもしくはアルケニル基を分子内に少なくとも1つ以上有する第4級アンモニウム塩が好ましい。
【0013】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜20)エーテル、アルキルポリグリコシド、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜20)フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸(炭素数8〜22)エステル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸(炭素数8〜22)エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーが好ましい。この発明では、特に、炭素数10〜30、より好ましくは12〜18のアルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを平均で0.5〜30モル、より好ましくは1〜30モル、さらに好ましくは4〜20モル、特に8〜14モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。また、陰イオン性界面活性剤との混合系がより好ましく、特にポリオキシアルキレンアルキルエーテル/アルキルベンゼンスルホン酸塩の重量比が10/1〜1/10が更に好ましく、5/1〜1/5が特に好ましい。
【0014】
両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アキノプロピルベタイン等が挙げられる。
【0015】
界面活性剤の本発明の組成物中の含有量は、しわ防止性、洗浄性の観点から、5〜50重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。
【0016】
本発明の洗浄剤組成物は、ポリグリセロール型変性シリコーン0.01〜10重量%を含有する。
【0017】
ポリグリセロール型変性シリコーンとしては、特開昭57−149290号公報や特開平9−278892号公報で開示されている直鎖型ポリグリセロール変性シリコーンや国際公開第03/080712号パンフレットで示される分岐型ポリグリセロール変性シリコーンを用いることが可能である。
【0018】
本発明において、ポリグリセロール型変性シリコーンの重量平均分子量は、しわ防止性の観点から、500〜100000が好ましく、1000〜10000がより好ましく、2000〜7000がさらに好ましい。この重量平均分子量は、GPCによりポリエチレングリコールを標準物質として求めたものである。
【0019】
また、ポリグリセロール型変性シリコーンの形態としては、繊維への吸着の観点から、直鎖型に比べ分岐型の方がより好ましい。
【0020】
また、分子量に占めるグリセロール鎖の重量割合を親水基率とし、この割合(分子量に占めるグリセロール構造単位の重量割合)が5〜70%、より好ましくは8〜50%、さらに好ましくは10〜30%である化合物がしわ防止性の観点より適している。
【0021】
ポリグリセロール型変性シリコーンの本発明の洗浄剤組成物中における含有量は、0.05〜8重量%がより好ましく、0.1〜5重量%がさらに好ましい。
【0022】
本発明の洗浄剤組成物は、カチオン化ポリマー0.1〜20重量%を含有する。
【0023】
カチオン化ポリマーは、分子内にカチオン基を有する化合物であり、カチオン基としては、第4級アンモニウム塩が好ましい。具体的には下記一般式(A1)で表される化合物を含む不飽和単量体を重合して得られるカチオン化ポリマーやデンプン、セルロース、グアーガム等の糖由来の化合物をカチオン化したポリマーが好ましい。
【0024】
【化1】

【0025】
〔式中、R1、R2、R3は水素原子、水酸基又は炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは炭素数1〜12のアルキレン基、−COOR7−、−CONHR7−、−OCOR7−、−R8−OCO−R7−から選ばれる基である。ここでR7、R8は炭素数1〜5のアルキレン基である。R4は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はR12C=C(R3)−X−である。R5、R6は炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、Y-は陰イオン基である。〕。
【0026】
一般式(A1)で表される化合物の中でもアクリロイル(又はメタクリロイル)アミノアルキル(好ましくは炭素数1〜5)−N,N,N−トリアルキル(好ましくは炭素数1〜3)4級アンモニウム塩、アクリロイル(又はメタクリロイル)オキシアルキル(好ましくは炭素数1〜5)−N,N,N−トリアルキル(好ましくは炭素数1〜3)4級アンモニウム塩、N−(ω−アルケニル(好ましくは炭素数2〜10))−N,N,N−トリアルキル(好ましくは炭素数1〜3)4級アンモニウム塩、N,N−ジ(ω−アルケニル(好ましくは炭素数2〜10))−N,N−ジアルキル(好ましくは炭素数1〜3)4級アンモニウム塩が好ましく、特にN,N−ジアリル−N,N−ジメチル4級アンモニウム塩が良好である。
【0027】
本発明のカチオン化ポリマーは、一般式(A1)で表される化合物(以下、モノマーAという)を単独で重合させたものを使用することもできるが、該モノマーAと共重合可能な不飽和化合物(以下、モノマーBという)との共重合体を用いても良い。モノマーBとしては(i)アクリル酸又はその塩、メタクリル酸又はその塩、マレイン酸又はその塩、無水マレイン酸又はその塩、スチレンスルホン酸塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩、アリルスルホン酸塩、ビニルスルホン酸塩、メタクリルスルホン酸塩、スルホプロピルメタクリレートから選ばれる化合物、(ii)アクリル(又はメタクリル)アミド、N,N−ジメチルアクリル(又はメタクリル)アミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドンから選ばれるアミド基含有化合物、(iii)アクリル酸(又はメタクリル酸)アルキル(好ましくは炭素数1〜5)、アクリル酸(又はメタクリル酸)2−ヒドロキシエチル、アクリル酸(又はメタクリル酸)−N,N−ジメチルアミノアルキル(好ましくは炭素数1〜5)、酢酸ビニルから選ばれるエステル基含有化合物、(iv)エチレン、プロピレン、N−ブチレン、イソブチレン、N−ペンテン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、N−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンから選ばれるオレフィン系化合物、(v)下記一般式(A2)で表される化合物が好ましく、特に(i)及び/又は(ii)の化合物が良好である。モノマーBとして上記の複数の化合物を用いて共重合させても構わない。
【0028】
【化2】

【0029】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5及びXは、一般式(A1)のものと同じである。〕。
【0030】
一般式(A1)で表される化合物を含む不飽和単量体を重合して得られるカチオン化ポリマーは、モノマーA及びモノマーBを、(モノマーA)/[(モノマーA)+(モノマーB)]=0.3〜1、好ましくは0.4〜1、特に好ましくは0.5〜0.95のモル比で重合して得られる重合体が好ましい。具体的には、特に、下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマー、あるいは下記式(1)及び(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
【0031】
【化3】

【0032】
〔式中、R11、R12は炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R13は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基(好ましくはメチル基)である。X-は陰イオン基であり、nは1又は2である。Aは−NH2、−OM、−OR14又は−NR1516である。ここでMは陽イオンであり、R14は炭素数1〜24のアルキル基であり、R15、R16は炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。〕。
【0033】
式(1)の繰り返し単位のみで構成されるポリマーとしてポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドが、また式(1)の繰り返し単位及び式(2)の繰り返し単位から構成されるポリマーとしてジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリル酸コポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミドコポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド−アクリル酸ターポリマー等が挙げられる。
【0034】
また、糖由来の化合物をカチオン化したポリマーの窒素原子の含有率は0.05〜5重量%であることが好ましく、0.1〜3重量%がさらに好ましく、0.3〜2重量%が特に好ましい。窒素量の測定はケルダール法で行う。
【0035】
カチオン化ポリマーの具体例を以下に示す。糖由来の化合物として、日本NSC社製「CATO3210」や松谷化学社製「ネオポジパリン42SL」(カチオン化デンプン)、花王社製「ポイズC−150L」やダウ・ケミカル社製「JR−400」「LR−30M」(カチオン化セルロース)、ハーキュレス社製「N−HANCE3000」「N−HANCE3215」や三晶株式会社製「MEYPROBOND9806」(カチオン化グアーガム)等が挙げられる。一方、不飽和単量体を重合して得られるカチオン化ポリマーとして、オンデコナルコ社製「マーコート100」、「マーコート280」、「マーコート550」、「マーコート3330」、旭電化工業(株)社製「アデカカチオエースPD−50」、チバスペシャリティケミカルス社製「SALCARE SC30」、センカ(株)社製「ユニセンスCP−102」、特開2003−238996号公報の段落[0070]の実施例記載の重合体Aや重合体B等が挙げられる。これらの中でも、木綿繊維との相性から、糖鎖を有す糖由来の化合物がより好ましく、カチオン化デンプン及び/もしくはカチオン化グアーガムがさらに好ましい。
【0036】
カチオン化ポリマーの重量平均分子量は、しわ防止性の観点から、1000〜500 万が好ましく、より好ましくは、1万〜300万がより好ましくは5万〜150万 である。この重量平均分子量は、GPCによりポリエチレングリコールを標準 物質として求めたものである。
【0037】
カチオン化ポリマーの本発明の洗浄剤組成物中における含有量は、0.5〜10重量%がより好ましく、1〜5重量%がさらに好ましい。
【0038】
ポリグリセロール型変性シリコーンとカチオン化ポリマーの重量比は、しわ防止性の観点から、5/1〜1/10が好ましく、3/1〜1/10がより好ましく、1/1〜1/5が更に好ましい。
【0039】
本発明の洗浄剤組成物には漂白剤として水中で過酸化水素や有機過酸を発生する化合物を含有してもよい。洗浄・漂白性能の点で、洗浄剤組成物中の漂白剤の含有量は、0.1〜20重量%が好ましく、0.3〜16重量%がより好ましく、0.5〜13重量%が更に好ましく、1〜10重量%が更に好ましく、3〜8重量%が特に好ましい。
【0040】
水中で過酸化水素を発生する化合物としては、炭酸塩・過酸化水素付加物、硼酸塩・過酸化水素付加物、トリポリリン酸塩・過酸化水素付加物、ピロリン酸塩・過酸化水素付加物、尿素・過酸化水素付加物等が挙げられる。この中でも、炭酸塩・過酸化水素付加物、硼酸塩・過酸化水素付加物が好ましく、炭酸ナトリウム・過酸化水素付加物、硼酸ナトリウム・過酸化水素付加物がより好ましい。高温での洗浄性能の点で硼酸ナトリウム・過酸化水素付加物が更に好ましく、低温での洗浄性能の点で炭酸ナトリウム・過酸化水素付加物がさらに好ましい。
【0041】
また、前記漂白剤は無機化合物や有機化合物等で被覆されることが貯蔵安定性の点で好ましい。無機化合物としては、ホウ酸、ホウ酸塩、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、珪酸ナトリウム等が挙げられ、有機化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。中でも、少なくともホウ酸又はホウ酸塩を用いて被覆することが好ましい。ホウ酸としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等が挙げられ、その塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。
前記無機化合物又は有機化合物を用いた被覆は、例えば、特開昭59-196399号公報記載の方法により行うことができる。
【0042】
水中で有機過酸を発生する化合物としては、グルコースペンタアセテート、トリアセチン、N,N,N’,N’−テトラアセチルエチレンジアミン、テトラアセチルグリコリルウリル等の漂白活性化剤を使用することができるが、効果の点で、一般式(3)〜(6)で表される化合物が好ましく、一般式(3)〜(4)で表される化合物が特に好ましい。
【0043】
【化4】

【0044】
〔式中、R17は炭素数4〜13のアルキル基、R18は炭素数5〜13のアルキル基、Mは水素原子又はアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム若しくはアルカノールアミンを示し、Mがアルカリ土類金属原子の場合、nは2、Mがアルカリ金属原子、アンモニウムもしくはアルカノールアミンの場合、nは1である。〕
【0045】
【化5】

【0046】
〔式中、R19、R20、R21、R22、R23、R25、R26は、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基)又はヒドロキシアルキル基(好ましくはヒドロキシエチル基)であり、R24は炭素数2〜10のアルキレン基であり、X-は陰イオン(好ましくはハロゲンイオン、炭素数1〜3のアルキル硫酸イオン、炭素数1〜12の脂肪酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン)を示す。〕
【0047】
前記一般式(3)及び(4)中、R17及びR18としては、洗浄性能の点で、好ましくは炭素数7〜18、更に好ましくは10〜13のアルキル基又はアルケニル基(より好ましくはアルキル基)が好ましい。また、Mとしては、アルカリ金属原子が好ましく、中でもナトリウム、カリウムが好ましく、特にナトリウムが好ましい。
【0048】
また、安定性の点で有機過酸を発生する化合物を含む粒子として配合することが好ましい。粒子中の化合物の量は好ましくは1〜80重量%、より好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは30〜75重量%である。また、粒子には洗濯浴中での溶解性を改善するためにポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキル硫酸塩及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を粒子中に0〜50重量%配合するのが好ましく、より好ましくは1〜45重量%、更に好ましくは2〜40重量%である。
【0049】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、エチレンオキシドとプロピレンオキシドがブロック状に付加したものが好ましく、エチレンオキシド平均付加モル数は3〜20が好ましく、特に4〜15が好ましく、プロピレンオキシド平均付加モル数は1〜10が好ましく、特に2〜7が好ましい。アルキル基の炭素数は10〜18が好ましく、特に12〜16が好ましい。
【0050】
アルキル硫酸塩としては、炭素数10〜18でナトリウム塩が好ましく、ラウリル硫酸ナトリウム又はミリスチル硫酸ナトリウムが特に好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩としては、アルキル基の炭素数が10〜18のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましく、またナトリウム塩が良好である。ここでポリオキシエチレン基の平均重合度(以下、EOp)は1〜10、特に1〜5が良好であり、特にポリオキシエチレン(EOp=2〜5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(EOp=2〜5)ミリスチルエーテル硫酸ナトリウムが良好である。
【0051】
有機過酸を発生する化合物を含む粒子は、上記成分を、ポリオキシエチレン及び脂肪酸から選ばれるバインダー物質を用いて製剤化したものでもよい。
【0052】
ポリオキシエチレンとしては、平均分子量2000〜20000、更に4000〜15000、特に4000〜10000のものが良好である。また、脂肪酸としては炭素数8〜20、更に10〜18、特に12〜18のものが好ましく、こられはナトリウムあるいはカリウム石鹸の状態であってもよい。
【0053】
バインダー物質は有機過酸を発生する化合物を含む粒子中に0.5〜30重量%、更に1〜20重量%、特に5〜20重量%使用するのが好ましい。
【0054】
有機過酸を発生する化合物を含む粒子には、上記組成物を上記比率で配合することが安定性の点で好ましい。
【0055】
また、本発明の洗浄剤組成物には、ビルダー、漂白剤、分散剤、柔軟剤、起泡抑制剤、酵素、汚れ除去剤、再付着防止剤、酸化防止剤、殺菌剤、染料、香料、増白剤等の洗剤に通常配合される成分を、本発明の効果を阻害しない程度に含有することができる。
【0056】
かかる構成を有する本発明の洗浄剤組成物は、前記界面活性剤、ポリグリセロール型シリコーン、カチオン化ポリマー、要すれば他の任意の成分を公知の方法で混合することにより調製することができる。この混合方法としては、特に限定はない。
【0057】
また、本発明の洗浄剤組成物は、衣類の洗浄・処理時のpHにより、得られる防しわ効果の程度が変わることから、1L水溶液(20℃・4°DH)中に、該組成物を0.1重量%溶解させ、スターターを用いて600rpmの速度で3分攪拌して得られる混合物のpHが6〜10.5であることが好ましく、中でも6.5〜10、さらに6.7〜9.5、特に7〜9であることが特に好ましい。
【0058】
本発明の洗浄剤組成物は、衣料の洗浄・仕上げに使用することができる。したがって、本発明は、前記洗浄剤組成物を衣料の洗浄又は仕上げに用いる洗浄又は仕上げ方法に関する。ここで、洗浄剤組成物の具体的な使用方法としては、特に限定はなく、公知の方法において、洗浄剤又は仕上げ剤として前記洗浄剤組成物を使用すればよい。前記洗浄剤組成物の濃度としては、0.1〜10重量%の濃度の水溶液で処理することが好ましい。
【実施例】
【0059】
(洗浄剤組成物)
漂白剤粒子、漂白活性化剤粒子、酵素、香料、及び表面改質用ゼオライト3重量%を除いた成分で洗浄剤ベースを得た。これに前記の成分を混合して、表1に示す洗浄剤組成物1〜9を調製した。この際用いた成分は以下のものである。
【0060】
・ポリグリセロール型変性シリコーン:WO03/080712号記載の実施例10の分岐ポリグリセロール変性シリコーンJ(連結基:−CH2CH2CH2−C64−O−)で示される分岐型変性シリコーンA
〔なお、分岐ポリグリセロール変性シリコーンJは、以下のようにして得られた:
東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製フェノール変性シリコーンBY16−752 1000gをフラスコに取り、カリウムメトキシド30%メタノール溶液46.8gを加え、攪拌しながら減圧下に60℃まで加温して、メタノールを全て留去し、黄色油状物としてカリウム化フェノール変性シリコーンを得た。95℃まで昇温し、激しく攪拌しながらアルゴン気流下にグリシドール148.1g(3.0当量)を定量液送ポンプを用いて4.3時間にわたり添加した。10分間さらに加熱攪拌後、室温まで放冷すると、淡黄色ペースト状生成物が得られた。得られたポリグリセロール変性シリコーンはこのまま用いてもよいが、共存するカリウムを除去するには、実施例9記載のカチオン交換樹脂処理を行えばよく、微黄色油状物として分岐ポリグリセロール変性シリコーンJが得られた。収率99.7%。13C−NMRの測定により、分岐ポリグリセロール変性シリコーンであることが確認できた。また1H−NMRの測定により、G=6.2(片側3.1)、Si=32.3でG/Si比は0.19であった。〕
・カチオン化ポリマー1:ハーキュレス社製カチオン化グアーガム「N-HANCE3215」
・カチオン化ポリマー2:花王社製カチオン化セルロース「ポイズC-150L」
・カチオン化ポリマー3:日本NSC社製カチオン化デンプン「CATO 3210」
・LAS−Na:アルキル基の炭素数12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
・非イオン界面活性剤:炭素数12〜14の1級アルコールにEOを平均12モル付加させたもの
・脂肪酸Na:アルキル基の炭素数が10〜18の脂肪酸ナトリウム
・結晶性シリケート:「プリフィード顆粒品」(株式会社トクヤマシルテック製)
・AAポリマー:ポリアクリル酸(平均分子量1.5万;GPCによる測定、ポリエチレングリコール換算)
・PEG:ポリエチレングリコール(平均重量分子量10000)
・プロテアーゼ造粒物:花王社製「KAP」
・セルラーゼ造粒物:花王社製「KAC」
・過炭酸ソーダ:炭酸ナトリウム・過酸化水素付加物。特開2000−256699号公報の段落〔0019〕に記載の漂白剤粒子。
・ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸Na:特開2000−256699号公報の段落〔0018〕に記載の漂白剤粒子。
なお、かぎ括弧内の用語は商品名を示す。
【0061】
得られた洗浄剤組成物1〜9のしわ発生防止効果及び洗浄力について以下の方法により評価した。
(しわ評価法)
市販のカジュアルシャツ(ユニクロ製:オックスフォードシャツ(薄青色、綿100%))5枚を表1の組成物を用いて全自動洗濯機(松下電器産業株式会社製「NA-F70AP」標準コース)にて10回処理した。このとき、洗濯水として20℃、4°DH(Ca/Mg=7/3)硬水を用い、浴比は17L/kgに調製し、衣類の不足分は肌着で調整した。なお、表1の組成物は洗濯開始注水時に衣類の上に均一に添加した。10回の洗濯終了後、取り出したシャツをハンガーにかけ、軽く2回振りさばき、少し全体をのばした後、1晩吊干しした。乾燥後のシャツ前面のしわの状態を組成物1のシャツ(基準)と比較することで判定した。判定には5人のパネラーによって、以下に示す基準で採点してもらい、その平均値を求めてしわレベルの評価点とし、1.0以上を合格品とした。その結果を表1に示す。
【0062】
「しわ判定基準」
3:基準よりしわが明らかに減っている
2:基準よりしわが減っている
1:基準より少ししわが減っている
0:基準と変わらない
【0063】
(襟あか布の調製)
JIS K3362:1998記載の襟あか布を調製した。
【0064】
(洗浄力評価方法)
JIS K 3362:1998記載の衣料用合成洗剤の洗浄力評価方法に準じ、表1の洗浄剤組成物と洗浄力判定用指標洗剤の洗浄力を比較した。表1の洗浄剤組成物の使用濃度を1.0g/Lとした。
評価基準 ○:指標洗剤より勝る
△:指標洗剤と同等
×:指標洗剤より劣る
【0065】
表1の結果から、界面活性剤1〜80重量%、ポリグリセロール型変性シリコーン0.01〜10重量%、カチオン化ポリマー0.1〜20重量%を含有する洗浄剤組成物No.4〜8は、しわ防止効果の点で優れ、かつ優れた洗浄性を有していることがわかる。
【0066】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の洗浄剤組成物は、衣料用洗剤、繊維の処理剤等として好適に用いられる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤1〜80重量%、ポリグリセロール型変性シリコーン0.01〜10重量%、カチオン化ポリマー0.1〜20重量%を含有する洗浄剤組成物。
【請求項2】
ポリグリセロール型変性シリコーンの親水基率が5〜70重量%である、請求項1記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
ポリグリセロール型変性シリコーンが分岐型である、請求項1又は2記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
ポリグリセロール型変性シリコーンとカチオン化ポリマーの重量比が5/1〜1/20である、請求項1〜3いずれか記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
カチオン化ポリマーが糖由来の化合物である、請求項1〜4いずれか記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
20℃・4°DHの1L水溶液中に、0.1重量%溶解させた時のpHが6〜10.5である、請求項1〜5いずれか記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか記載の洗浄剤組成物を衣料の洗浄又は仕上げに用いる洗浄又は仕上げ方法。
【請求項8】
洗浄剤組成物を0.1〜10重量%の濃度で処理する請求項7記載の洗浄又は仕上げ方法。
【請求項9】
防しわ効果を訴求した、請求項1〜6いずれか記載の洗浄剤組成物。


【公開番号】特開2006−193633(P2006−193633A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7302(P2005−7302)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】