説明

洗浄可能な弁及び弁洗浄システム

【課題】弁の分解が不要で、弁箱内部や弁体の洗浄作業を容易にし、弁の状態に応じて洗浄方法が選択できる洗浄可能な弁及び弁洗浄システムを提供する。
【解決手段】弁箱1と弁体2を備え、弁箱1の内部と弁体2が洗浄可能な弁12において、弁箱1は、洗浄液を注水するための注水口3a、3bと、洗浄液を排出するためのドレンノズル4を備える。注水口3a、3bは、洗浄液を弁箱1の内部へ導くための洗浄用ライン10が接続可能である。ドレンノズル4には、弁箱1の内部と弁体2を洗浄した後の洗浄液を排出するためのドレンライン9が接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁箱の内部と弁体の洗浄が可能な弁、及び弁の洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、発電施設などで使用されている弁は、用途が多種多様に渡り、さまざまな条件において使用されている。弁の内部(弁箱の内部)に流れる流体には、水や空気、ガス以外に、薬品や廃スラッジ等の固形物も含まれている。そのため、多数の弁形式が採用され、流れる流体に適した制御を行うことを考慮して、弁形式の選定が行われている。しかしながら、弁構造によっては、流体中の固形物が弁箱の内部や弁体に付着することで弁箱内に留まり、固形物を弁箱から排出するのが困難になる場合がある。
【0003】
例えば、発電施設において、活性炭を含む排水(廃液)のろ過設備の、ろ過器下部に設置されている出口弁について考える。この弁は、洗濯廃液、及び手洗い時やシャワー時に発生する廃液を円滑に収集・処理するろ過設備において、廃棄物の排出部の直前に設置されている出口弁である。このろ過設備のろ過サイクルについて、簡単に説明する。
【0004】
まず、ろ過器のプリコート工程を行う。すなわち、ろ過器内に活性炭を含ませた水を循環させてろ過器内のろ布のエレメント(細かい穴がたくさん開いた多孔質でできたろ材)に通して、活性炭をろ布表面にプリコート(付着)させる。
【0005】
次に、廃液をろ過器内へ移送し、ろ過する。廃液は、活性炭がプリコートされたろ布を通過する際、廃液中の固形物が活性炭に付着して除去され、ろ過処理される。ろ過器差圧が規定の差圧になると、ろ過の工程を終了し、次の工程へと移る。
【0006】
その後の工程では、ろ過器上部より圧縮空気を送り、廃液がろ過処理された際の固形物がろ布に付着した状態で、ろ過器内の残液を排出するドレン、及び、固形物の含水率を低下させるための脱液を行う。
【0007】
続けて、加熱空気により、ろ布に付着した固形物を乾燥させる。その後、乾燥した固形物を排出するため、ろ過器下部に設置されている出口弁を開けた後、圧縮空気を出口ノズルよりエレメント内に送り、加圧し、ろ布を膨らませて、乾燥した固形物をろ布面より剥離させる。ろ布表面から剥離された固形物は、出口弁を通り、ドラム缶に落下排出する。ドラム缶に排出した固形物が規定量に達したら、出口弁を閉め、ドラム缶を処理設備に移送する。
【0008】
この後、再びプリコート工程に戻る前に、ろ過器内を洗浄する。ろ過器内に純水を注入し、バブリングエアーを循環させて、主にろ過器内面に付着した固形物を除去する。ろ過器内の洗浄後、プリコート工程に戻る。
【0009】
従来、この出口弁では、上述した工程の途中で、弁入口側へ、活性炭及び活性炭に付着した固形物が落下し、この固形物に起因する不適合事象が発生している。この固形物は、ろ過処理後のろ過器内の洗浄によりある程度は除去できるものの、完全には除去できない。このため、活性炭及び活性炭に付着した固形物は、弁箱の内部に入り込み、その塩分によって、弁箱の内部や弁体に錆びを発生させる原因となる。また、この固形物は、弁の作動不良を発生させる原因ともなっている。このため、現在、弁の定期的な分解点検を行い、堆積物の除去及び手入れ等のメンテナンスが必要不可欠となっている。
【0010】
従来の弁の洗浄装置の例としては、特許文献1と特許文献2に記載のものがある。特許文献1に記載の技術では、弁蓋と弁箱との間に着脱可能なスペーサを装着し、スペーサに洗浄用ノズルを設けている。このスペーサは、弁の洗浄時に、弁蓋を弁箱から外して取り付ける。洗浄終了後には、スペーサを撤去し、弁蓋を弁箱に組み付け戻す。特許文献2に記載の技術は、空気弁に関する技術であり、高圧洗浄流体をノズルから弁箱の内面に向けて噴射する。噴射された洗浄流体は、そのまま通水管に流下して排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−352291
【特許文献2】特開平5−106751
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の弁では、作業員が定期的に弁を分解して洗浄する必要があり、分解に要する時間や費用、作業員の負担を減らしたいという要望がある。特に、原子力発電の施設では、作業員の被曝量を低減させるためにも、分解が不要で容易に洗浄可能な弁が望まれている。
【0013】
また、洗浄効果を高め、短期間で効率よく洗浄を終了させるために、弁の汚れの状態(固形物の付着状態など)に応じて、洗浄方法が選択できる弁が望まれている。例えば、洗浄の効果を高めるためには、弁箱内に洗浄液を溜めて洗浄する方がよい。そこで、洗浄液を弁箱の内部に溜めて洗浄する方法と、洗浄液を溜めずに流水させて洗浄する方法を選択できる弁が望まれている。
【0014】
従来技術による弁では、このような要望に対応できていなかった。本発明は、弁の分解が不要で、弁箱内部や弁体の洗浄作業を容易にし、洗浄方法が選択できる洗浄可能な弁及び弁洗浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による洗浄可能な弁は、次のような特徴を有する。
【0016】
弁箱と弁体を備え、前記弁箱の内部と前記弁体が洗浄可能な弁において、前記弁箱は、洗浄液を注水するための注水口と、前記洗浄液を排出するためのドレンノズルを備える。前記注水口は、前記洗浄液を前記弁箱の内部へ導くための洗浄用ラインが接続可能である。前記ドレンノズルには、前記弁箱の内部と前記弁体を洗浄した後の前記洗浄液を排出するためのドレンラインが接続される。
【0017】
更に、本発明による洗浄可能な弁は、次のような特徴を有するものでもある。
【0018】
前記注水口には、止め弁を有して、前記洗浄液を前記弁箱の内部へ導くための洗浄用ラインが接続され、前記止め弁は、開閉することにより、前記洗浄用ラインから前記弁箱の内部への前記洗浄液の注水を制御する。
【0019】
また、本発明による弁洗浄システムは、次のような特徴を有する。
【0020】
弁を備え、洗浄液により前記弁の弁箱の内部と弁体を洗浄する弁洗浄システムにおいて、前記弁洗浄システムを制御する制御装置を備える。前記弁箱は、前記洗浄液を注水するための注水口と、前記洗浄液を排出するためのドレンノズルを備える。前記注水口には、止め弁を有して、前記洗浄液を前記弁箱の内部へ導くための洗浄用ラインが接続される。前記ドレンノズルには、ライン閉止用の弁を有して、前記弁箱の内部と前記弁体を洗浄した後の前記洗浄液を排出するためのドレンラインが接続される。前記制御装置は、前記止め弁を開閉して、前記洗浄用ラインから前記弁箱の内部への前記洗浄液の注水を制御し、前記ライン閉止用の弁を開閉して、前記弁箱の内部から前記ドレンラインへの前記洗浄液の排出を制御する。
【発明の効果】
【0021】
本発明による洗浄可能な弁及び弁洗浄システムでは、弁の分解が不要で、弁箱や弁体の洗浄作業が容易になり、弁の状態に応じて洗浄方法が選択できる。また、弁箱の内部と弁体を自動的に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】洗浄可能な弁の構造の概要を示す図である。
【図2】弁洗浄システムを用いた廃液ろ過設備の概要を示す図である。
【図3】弁の弁箱の内部と弁体を洗浄するための手順のフローである。
【図4】弁の弁箱の内部と弁体を洗浄するための、別の手順のフローである。
【図5】自動洗浄を行う弁洗浄システムを用いた廃液ろ過設備の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明による洗浄可能な弁及び弁洗浄システムは、弁箱に注水口及び弁箱ドレンノズルを設け、注水口に洗浄液を導くための洗浄用ラインを接続し、弁箱ドレンノズルに排水ドレンラインを接続することで、弁箱内を洗浄液にて洗浄でき、弁箱内や弁体に堆積した固形物を排出することができる。これにより、作動不良の原因である弁棒への噛み込みや錆びの発生を抑制することができる。
【0024】
弁箱内に入った液体は、排出ドレンラインを介してドレンタンクに導き、回収することができる。これにより、通常は通水する液体のシートリークを防ぐことが可能である。
【0025】
また、弁内の堆積物(固形物)の除去及びメンテナンスを目的としている分解点検の頻度を抑止することから、原子力発電用バルブとして使われる場合には、メンテナンス費用の低減、更には作業者の被曝低減にも寄与する効果がある。
【0026】
以下の説明では、「固形物」は、活性炭及び活性炭に付着した固形物を主とする弁内の堆積物のことを指す。
【0027】
洗浄液には、主に純水を用いるが、固形物を除去するのに適した洗剤を含む液体(例えば、水酸化ナトリウム溶液)を用いることもできる。
【0028】
本発明による洗浄可能な弁及び弁洗浄システムの実施形態例として、発電施設における廃液ろ過設備のろ過器下部に設置されている出口弁とこの弁の洗浄システムを、図面を用いて説明する。
【0029】
図1は、本実施例による洗浄可能な弁(出口弁)の構造の概要を示す図である。上図は、出口弁12を一部断面にて示す上面図であり、下図は、側面断面図である。
【0030】
図2は、本実施例による弁洗浄システムを用いた廃液ろ過設備の概要を示す図である。図2に示すように、出口弁12は、廃液ろ過設備のろ過器11の下部に設置されている。廃液ろ過設備についての説明は、後述する。
【0031】
図1に示すように、出口弁12は、弁箱1と、弁箱1の内部に設けられた弁体2と、弁体2を挟み込みように設けられた上部カバープレート7と下部カバープレート8と、弁棒5と、駆動装置6を備える。弁体2は、上部カバープレート7と下部カバープレート8の面圧によって、シールされている。
【0032】
弁棒5は、弁体2と連結しており、駆動装置6により水平方向(図の左右方向)に往復運動することが可能であり、弁体2を動かす。弁体2は、弁棒5のこの動作により、出口弁12を開閉させる。
【0033】
本実施例での出口弁12は、弁箱1内に滞留した固形物を排出することを目的に、弁箱1に弁箱ドレンノズル4を設け、更には、弁箱1内に洗浄液を注入して洗浄可能とするために、弁箱1に注水口3a、3bを設置したことが特徴である。図1の下図(側面図)に示すように、弁箱ドレンノズル4は出口弁12の下部に設け、注水口3a、3bは出口弁12の上部及び側面に設ける。注水口3a、3bは、出口弁12の上部及び側面のどちらか一方に設けてもよい。
【0034】
弁箱ドレンノズル4には排水ドレンライン9を接続することができ、洗浄後の洗浄液(除去された固形物を含む)を容易に排出することが可能である。排水ドレンライン9には、ライン閉止用の弁19を設け、洗浄液の排出を制御することもできる。また、洗浄時にライン閉止用の弁19を閉状態にすれば、弁箱内に洗浄液を溜めて洗浄することができ、開状態にすれば、洗浄液を流水させて(洗浄液を溜めずに排出させながら)洗浄することができる。
【0035】
注入口3a、3bには、弁箱1内に洗浄液を注水するための洗浄用ライン10を接続することができる。洗浄用ライン10から洗浄液を注水して、弁箱1の内部と弁体2を洗浄することができ、弁箱1内の壁面及び弁体2に滞留している固形物を除去することができる。注入口3a、3bは、洗浄用ライン10を接続しない場合には、閉止プラグ等で塞ぐことができる。
【0036】
洗浄用ライン10は、出口弁12に常設してもよい。すなわち、注入口3a、3bに洗浄用ライン10を常時接続しておいてもよい。この場合には、洗浄用ライン10に止め弁20を設け、止め弁20の開閉により弁箱1内への洗浄液の注水を制御することができる。
【0037】
また、洗浄用ライン10は、弁箱1内にエアバブリング用のエアを供給することもできる。
【0038】
図2を用いて、本実施例による弁洗浄システムを用いた廃液ろ過設備の概要を説明する。廃液ろ過設備は、ろ過器11と、ろ過器11の下部に設置されている出口弁12を有する。図2では、出口弁12に排水ドレンライン9と洗浄用ライン10が接続されており、弁洗浄システムとして構成されている。
【0039】
図2に示した廃液ろ過設備は、ろ過器11内にあるろ布のエレメント15へ活性炭をプリコートさせて、廃液をろ過処理する設備である。以下、廃液ろ過設備による廃液のろ過処理工程について説明する。
【0040】
まず、エレメント15へ活性炭をプリコートさせるプリコート工程を実施する。活性炭を含む水を、ろ過器入口13からろ過器11内に入れ、エレメント15を通してろ過器出入口14より排出する。この手順を繰り返して、活性炭を含む水をろ過器11内で連続的に循環させる。このようにして、エレメント15へ活性炭をプリコートする。
【0041】
ろ過処理では、ろ過器入口13からろ過器11内にろ過する廃液を充填させる。廃液中の固形物は、活性炭がプリコートされたエレメント15を廃液が通過する際、活性炭に付着して除去される。
【0042】
ろ過処理の終了後、上部入口16よりろ過器11内に圧縮空気を送り、ろ布のエレメント15にろ過処理時の固形物が付着した状態で、ろ過器11内の残液をろ過器排出ドレンライン17より排出する。
【0043】
また、ろ過器入口13とろ過器出入口14を使用し、ろ過器11内で加熱空気を循環させて、ろ布のエレメント15に付着している固形物を乾燥させる。乾燥させた固形物は、ろ過器11の下部に設置されている出口弁12を開けた後、圧縮空気をろ過器出入口14よりエレメント15内に送り、ろ布を加圧して膨らませて、ろ布表面から剥離させる。
【0044】
ろ布表面から剥離された固形物は、出口弁12を通り、出口弁12の下部に設置されたドラム缶等の排出受けに落下して排出される。排出受けに排出された固形物が規定量に達したら、出口弁12を閉め、排出された固形物を処理設備に移送する。
【0045】
次のろ過処理に備えてエレメント15に活性炭をプリコートさせるが、プリコート工程に戻る前に、ろ過器11内を洗浄する。ろ過器11内に洗浄液をろ過器排出ドレンライン17より注入し、更に、ろ過器排出ドレンライン17よりバブリングエアーを循環させて、ろ過器11内の洗浄を実施する。この後、前述したプリコート工程に再び戻る。
【0046】
この一連のろ過処理工程の中で、出口弁12には、活性炭のプリコート工程及びろ布表面から剥離された固形物の排出の際に、固形物(主として活性炭及び活性炭に付着した固形物)が出口弁12の弁体2や上部カバープレート7、下部カバープレート8の流路面にこびり付くことがある。こびり付いた固形物は、出口弁12の開閉操作によって、隙間等より弁箱1内に入り込み付着する場合がある。
【0047】
本発明による洗浄可能な弁及び弁洗浄システムでは、弁箱1の内部と弁体2の洗浄が可能であり、弁箱1内や弁体2に付着した固形物を除去することができる。図3、図4を用いて、弁箱1の内部と弁体2を洗浄する方法について説明する。
【0048】
図3は、出口弁12の弁箱1の内部と弁体2を洗浄し、弁箱1内や弁体2に付着した固形物を除去するための手順のフローである。出口弁12には、排水ドレンライン9が接続されているが、洗浄用ライン10は接続されておらず、注水口3a、3bは、閉止プラグで塞がれているものとする。出口弁12に洗浄用ライン10が接続されていない場合には、廃液ろ過設備の設置現場で洗浄用ライン10のメンテナンスが不要であるという利点がある。
【0049】
S1では、出口弁12を閉止状態にする。
【0050】
S2では、注水口3a、3bに設置されている閉止プラグを取り外し、洗浄用ライン10を注水口3a、3bに接続する。
【0051】
S3では、洗浄用ライン10で導いた洗浄液を注水口3a、3bから弁箱1内に注水して、弁箱1の内部と弁体2を洗浄し、弁箱1内や弁体2に付着した固形物を除去する。必要に応じて、洗浄用ライン10から弁箱1内にエアを供給することで、エアバブリングにより弁箱1の内部に付着した固形物を効果的に除去することもできる。
【0052】
このとき、排水ドレンライン9に設けられたライン閉止用の弁19は、閉状態にしておいても、開状態にしておいてもよい。閉状態にしておけば、弁箱1内に洗浄液を溜めて洗浄することができ、より高い洗浄効果を期待できる。開状態にしておけば、洗浄液を流水させて(洗浄液を溜めずに排出させながら)洗浄することができる。
【0053】
S4では、洗浄後に、ライン閉止用の弁19を開状態にし、弁箱1内の洗浄液を排出する。ただし、S3でライン閉止用の弁19を開状態にし、洗浄液を流水させて洗浄した場合には、この処理は不要である。
【0054】
S5では、注水口3a、3bから洗浄用ライン10を取り外し、閉止プラグを注水口3a、3bに設置する。
【0055】
図4は、出口弁12の弁箱1の内部と弁体2を洗浄し、弁箱1内や弁体2に付着した固形物を除去するための、別の手順のフローである。図4は、出口弁12に排水ドレンライン9と洗浄用ライン10が接続されている場合の手順を示している。洗浄用ライン10が出口弁12に常設されている場合も、図4に示す手順に従って洗浄を実施する。なお、洗浄用ライン10には、弁箱1内への洗浄液の注水を制御する止め弁20が設けられている。
【0056】
S11では、出口弁12を閉止状態にする。
【0057】
S12では、洗浄用ライン10に設けられた止め弁20を開状態にし、弁箱1内へ洗浄液を注水可能にする。
【0058】
S13では、図3に示したS3と同様の処理を行い、弁箱1内や弁体2に付着した固形物を除去する。排水ドレンライン9に設けられたライン閉止用の弁19は、閉状態にしておいても、開状態にしておいてもよい。
【0059】
S14では、図3に示したS4と同様の処理を行い、弁箱1内の洗浄液を排出する。
【0060】
S15では、洗浄用ライン10に設けられた止め弁20を閉状態にし、弁箱1内へ洗浄液を注水できないようにする。
【0061】
洗浄用ライン10が出口弁12に常設されている場合は、弁箱1の内部と弁体2を自動的に洗浄することができる。すなわち、出口弁12に対し、分解したり、洗浄用や排水用の配管を接続したり取り外したりすることなく、予め定めた期間ごと定期的に、自動洗浄を行うことが可能である。
【0062】
図5は、自動洗浄を行う弁洗浄システムを用いた廃液ろ過設備の概要を示す図である。図5に示した廃液ろ過設備は、図2と同様の構成であるが、弁洗浄システムを制御する制御装置18が設けられている。制御装置18は、出口弁12、洗浄用ライン10に設けられた止め弁20、及び排水ドレンライン9に設けられたライン閉止用の弁19の開閉を制御する。また、洗浄液を弁箱1内に注水したり、洗浄用ライン10から弁箱1内にエアバブリング用のエアを供給したりする。
【0063】
制御装置18が図4に示した手順を実行することで、弁洗浄システムは、弁箱1の内部と弁体2の自動洗浄を行う。具体的には、制御装置18は、S11で出口弁12を閉じ、S12で、洗浄用ライン10に設けられた止め弁20を開き、S13で洗浄液を弁箱1内に注水する。S13では、必要に応じて、洗浄用ライン10から弁箱1内にエアバブリング用のエアを供給する。S14では、洗浄後に、排水ドレンライン9に設けられたライン閉止用の弁19を開く。ただし、S13でライン閉止用の弁19が開いている場合には、この処理は不要である。S15では、洗浄用ライン10に設けられた止め弁20を閉じる。
【符号の説明】
【0064】
1…弁箱、2…弁体、3a,3b…注水口、4…弁箱ドレンノズル、5…弁棒、6…駆動装置、7…上部カバープレート、8…下部カバープレート、9…排水ドレンライン、10…洗浄用ライン、11…ろ過器、12…出口弁、13…ろ過器入口、14…ろ過器出入口、15…エレメント、16…上部入口、17…ろ過器排出ドレンライン、18…制御装置、19…ライン閉止用の弁、20…止め弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁箱と弁体を備え、前記弁箱の内部と前記弁体が洗浄可能な弁において、
前記弁箱は、洗浄液を注水するための注水口と、前記洗浄液を排出するためのドレンノズルを備え、
前記注水口は、前記洗浄液を前記弁箱の内部へ導くための洗浄用ラインが接続可能であり、
前記ドレンノズルには、前記弁箱の内部と前記弁体を洗浄した後の前記洗浄液を排出するためのドレンラインが接続される、
ことを特徴とする洗浄可能な弁。
【請求項2】
弁箱と弁体を備え、弁箱の内部と弁体が洗浄可能な弁において、
前記弁箱は、洗浄液を注水するための注水口と、前記洗浄液を排出するためのドレンノズルを備え、
前記注水口には、止め弁を有して、前記洗浄液を前記弁箱の内部へ導くための洗浄用ラインが接続され、
前記ドレンノズルには、前記弁箱の内部と前記弁体を洗浄した後の前記洗浄液を排出するためのドレンラインが接続され、
前記止め弁は、開閉することにより、前記洗浄用ラインから前記弁箱の内部への前記洗浄液の注水を制御する、
ことを特徴とする洗浄可能な弁。
【請求項3】
請求項1又は2記載の洗浄可能な弁において、
前記ドレンラインは、ライン閉止用の弁を備え、
前記ライン閉止用の弁を開けた状態と前記ライン閉止用の弁を閉じた状態のいずれか一方の状態で、前記弁箱の内部と前記弁体の洗浄が可能である洗浄可能な弁。
【請求項4】
弁を備え、洗浄液により前記弁の弁箱の内部と弁体を洗浄する弁洗浄システムにおいて、
前記弁洗浄システムを制御する制御装置を備え、
前記弁箱は、前記洗浄液を注水するための注水口と、前記洗浄液を排出するためのドレンノズルを備え、
前記注水口には、止め弁を有して、前記洗浄液を前記弁箱の内部へ導くための洗浄用ラインが接続され、
前記ドレンノズルには、ライン閉止用の弁を有して、前記弁箱の内部と前記弁体を洗浄した後の前記洗浄液を排出するためのドレンラインが接続され、
前記制御装置は、前記止め弁を開閉して、前記洗浄用ラインから前記弁箱の内部への前記洗浄液の注水を制御し、前記ライン閉止用の弁を開閉して、前記弁箱の内部から前記ドレンラインへの前記洗浄液の排出を制御する、
ことを特徴とする洗浄可能な弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−241867(P2011−241867A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112725(P2010−112725)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】