説明

洗浄機器とそれを備えた温水洗浄便座装置

【課題】落下物の状態を検出でき、また、落下物が排泄物であるとき、その状態により体調を検出でき、さらに洗浄制御も行える落下物検出装置を提供する。
【解決手段】衝突現象計測手段1は、発光部5により落下物2が落下先の物体3が衝突、突入または混入により変動する領域を照射し、受光部6により前記領域からの光を受光し、その信号のデータを計測データとして記憶部7に一旦記憶する。落下物推定手段4は、比較部8により衝突したときの計測データと衝突のないときの計測データとの差のデータ、すなわち衝突によるデータを生成し、推定部10により前記差のデータを基準データ記憶部9に記憶された状態推定のための基準データと参照して落下物2の状態を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落下物を検出してその状態を検出する手段に係わり、また、落下物が人間や動物の排泄物である場合には前記状態に基づく洗浄機器に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、従来の落下物検出装置について説明する。従来の落下物検出装置は拡散装置から落下する穀粒が穀物種別センサに衝突すると、穀物の種類による衝突力の差異が電気抵抗値の差として検出され、その検出結果が穀物情報としてA/D変換器、および入力インタフェースを介して制御部に入力され、あらかじめROMに格納されている基準情報と比較されて、籾粒であるか麦粒であるかの種類が判断されるとともに、表示LEDに麦または籾の表示がなされ、たとえば乾燥速度の調整制御などに供される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方、落下物として人間や動物の排泄物があり、病院ではこの排泄物から健康状態をみているが、近年、家庭用の装置も提案されており、家庭と医療機関とを結んで治療やモニタを行うシステムの提案、たとえば、住設機器に各種の測定装置を設け、個人の利用に伴い受動的に生体情報を収集してコントローラに蓄積し、蓄積された生体情報を健康管理用の他の住設機器に入力して作動するようにし、個人の生体情報を健康管理と維持とに寄与させるようとする手段を開示しており、便所で尿検出や血圧測定を行い、人体の健康管理に役立てようとしているものもある(例えば特許文献2参照)。
【0004】
また、落下物である排泄物を排出した後の生体に対する処理機器として温水洗浄便座があるが、その洗浄方法は洗浄ノズルを上下左右に振らせることにより、でん部肛門の幅広い領域を洗浄するようにしたものがある。
【0005】
このような従来の落下物検出装置において、粒の大きさの違いによる衝突力の差を電気抵抗値の差として穀物の種類を検出するようにした手段であるが、落下する穀粒が穀物種別センサに直接当たることによって検出する手段であるためにセンサの耐久性に課題があり、また、液体のように連続的に落下してくるものをその衝突の違いから見分けるのは難しく、たとえば、液体の粒度の違いを検出することは難しい。また、人体や動物で体調によって大きさ、重量、形、および連続性などに様々な違いがでる排泄物では水分が含まれているため、その排泄物の状態を電気抵抗値変化で識別することが難しかった。すなわち、センサに当たったことを検出する方式であり、種類の異なるものを識別する手段であって、同種類における異なる状態を識別する手段ではなかった(例えば特許文献1参照)。
【0006】
一方、生体の状態をセンシングし、その情報を本人や医療関係者に知らせる健康管理の手段であって、便所設備内で生体に対する計測を行い、マイクロコンピュータで処理し、LEDで表示するとともに、ネットワークで外部に情報提供するようにしており、療養中の人やある病気にかかっている要管理者にとって必要なシステムではあるが、通常の健康な人で、自分の健康状態を知っておきたい程度の人にとっては大げさであり、実際の使い勝手の面で不都合が多かった。また、尿分析は行われているが、便分析により消化器系の健康状態を把握するものは提案されていなかった(例えば特許文2参照)。
【0007】
さらに、温水洗浄便座装置においては、洗浄範囲の自由度向上や洗浄力向上などの洗浄機能に関しては開発が進んでいるが、排泄物の状態に応じて洗浄範囲を決めたり、洗浄時間を決めたりするものはなかった。
【特許文献1】特開昭62−69085号公報
【特許文献2】特開平5−228116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の課題を解決するもので、人体や物などの落下物、たとえば排泄物が物体に衝突、突入または混入したことを、前記物体とは別な位置に設置したセンサにより検出できる落下物検出装置を備え、落下物の状態に応じて洗浄する洗浄機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、落下物が落下先にある物体に衝突、突入または混入するときの現象を計測する衝突現象計測手段と、前記衝突現象計測手段により計測したデータに基づいて落下物の状態を推定する落下物推定手段とを備えた落下物検出装置と、洗浄制御手段とを備え、前記洗浄制御手段は前記落下物検出装置によって検出された落下物の状態に応じて洗浄を行うようにしたものである。これにより、落下物の状態、すなわち同種の落下物であっても異なる様態を推定することができ、それに応じて洗浄機器を制御して洗浄する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の落下物検出装置を備えた洗浄機器は、落下物の状態に応じて洗浄を制御するので、効率的で確実な洗浄を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
第1の本発明は、落下物が落下先にある物体に衝突、突入または混入するときの現象を計測する衝突現象計測手段と、前記衝突現象計測手段により計測したデータに基づいて落下物の状態を推定する落下物推定手段とを備えた落下物検出装置と、洗浄制御手段とを備え、前記洗浄制御手段は前記落下物検出装置によって検出された落下物の状態に応じて洗浄を行うようにした。これにより、落下物の状態、すなわち同種の落下物であっても異なる様態を推定することができ、それに応じて洗浄機器を制御して洗浄する。そして、効率的で確実な洗浄を行うことができる。
【0012】
第2の本発明は、衝突現象計測手段は、落下先にある液体の液面状態の変動により落下物の衝突、突入または混入の現象を計測するようにした。
【0013】
第3の本発明は、衝突現象計測手段は、落下先にある液体の液中の状態の変動により落下物の衝突、突入または混入の現象を計測するようにした。
【0014】
第4の本発明は、衝突現象計測手段は、落下先の物体が落下物の衝突、突入または混入により変動する領域を照射する発光部と、前記発光部の光の反射光または透過光を受光する受光部と、前記受光部の出力を記憶する記憶部とを備え、前記発光部により照射した領域の状態の変動を前記受光部の出力により検出し、前記出力を計測データとして前記記憶部に記憶するようにした。
【0015】
第5の本発明は、落下物推定手段は、衝突現象計測手段により計測した衝突のないときの計測データと衝突したときの計測データとを比較して差データを出力する比較部と、前記差データから落下物の状態を推定するするための基準データを記憶してある基準データ記憶部と、前記差データと前記基準データとにより前記落下物の状態を推定する推定部とを備え、前記比較部が出力する前記差データを前記基準データにより分析して落下物の状態を推定するようにした。
【0016】
第6の発明は、第1から5の発明の洗浄機器を備え、前記洗浄機器は便器を洗浄する温水洗浄便座装置としたものである。これにより、落下物に応じて適切に便器を洗浄するので、
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
(実施の形態1)
以下、本発明の落下物検出装置の第1の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施の形態は、請求項1、請求項2、請求項4、および請求項5に記載の本発明に係わる。図1は本実施の形態の構成を示すブロック図である。図において、1は落下物2が落下先の物体3に衝突、突入または混入するときの現象を計測する衝突現象計測手段、4は衝突現象計測手段1により計測したデータに応じて落下物2の状態を推定する落下物推定手段である。また、衝突現象計測手段1は、発光部5と、発光部5の信号を受光する受光部6と、受光部6の信号出力を計測データとして記憶する記憶部7とを備えている。また、落下物推定手段4は、衝突現象計測手段1における記憶部7に記憶してある、衝突のないときの計測データと衝突したときの計測データとを比較して両者の差のデータを生成する比較部8と、比較部8が出力する前記差データを識別してその状態を推定するための基準となる基準データを記憶してある基準データ記憶部9と、比較部8により抽出された衝突時の信号を基準データ記憶部9のデータと比較して落下物2の状態を推定する推定部10とを備えている。なお、前記データはアナログ信号であってもデジタル信号であってもよい。
【0018】
図2は、落下先の物体3と、発光部5および受光部6とその周辺の構成を示す模式図である。なお、本実施の形態では物体3は水として説明する。図に示したように、落下物2は水である物体3の水面11に対してほぼ垂直方向に衝突、突入または混入し、また、発光部5は衝突、突入または混入した部分を斜めに照射し、受光部6は落下物が衝突、突入または混入する部分の水面11に対して斜め方向から受光するように設定されている。
【0019】
上記構成においてその動作を説明する。落下物2が落下先にある水3(物体)に衝突、突入または混入(以下、単に衝突と表現する)するときの現象を衝突現象計測手段1が計測し、落下物推定手段4は衝突現象計測手段1が計測したデータに応じて落下物の状態を推定する。すなわち、衝突現象計測手段1において、発光部5は落下物が衝突する水面11を照射し、受光部6はその水面からの光を受光して、その信号出力を一旦記憶する。したがって、衝突がないときには、記憶部7は衝突のないときの受光部6の出力信号をバックグラウンドの信号として記憶する。つぎに、落下物が衝突したとき、受光部6は水面11からの光を受光し、その信号を記憶部7に記憶する。比較部8は、記憶部7に記憶された衝突時の信号を前記衝突のないときのバックグラウンドの信号と比較して差の信号を生成する。比較部8が差の信号を生成する理由は、受光部6が衝突のないときに受光している入射光を差し引いて、衝突により発生した現象のみを抽出するためである。推定部10は、前記差信号を基準データ記憶部9のデータを参照して落下物2の状態を推定する。なお、ここで言う状態とは、同じ種類のものでも状況に応じて様々に異なって生じる形態や性状を意味する。
【0020】
以下、衝突現象の計測について、衝突先の物体3を水とした場合を例に、図2を参照しながら説明する。いま、発光部5は赤色レーザ光を発射するものとし、レンズ12によりリニアな直線のレーザ光が照射されるとする。このレーザ光は水面のラインAA’に入射し、屈折して水底面に達し、赤色のラインBB’を形成する。一方、受光部6は一定の幅を有するリニアな線状に感度をもつようにスリット13を備え、水面のラインAA’の明るさを計測するように受光素子を備えている。なお、受光部6はラインAA’における鉛直面に対して発光部5とは反対側に位置し、ラインAA’からの光を受光するように設置
される。このとき、水面が平坦なときは水底面の光をラインCC’の光として一部受光している。
【0021】
落下物2がない場合、水面11は静かで平坦であるので投光されたレーザ光はほとんど反射することなく水面11を透過し、水底面のラインBB’に到達する。したがって、ラインAA’で水面を監視している受光部6はバックグラウンドの信号を受け取るだけとなる。この信号は水面11に衝突がないときの信号であり、記憶部7に衝突のないときの信号として記憶する。つぎに、落下物2が落下してきて、水面11に衝突すると、水面11には大きな波が発生する。そのために投光されたレーザ光は水面11のラインAA’で散乱または乱反射し、赤色のレーザ光が部分的に受光部6で見えるようになる。受光部6はこの赤色光を受光して、空間的(この場合、ライン上の輝度分布)、および時間的に変化する様々な出力信号を出力する。この信号は前記バックグラウンドの信号と上記散乱または乱反射による信号とが重畳した信号である。そこで、落下物2が落下してきたときの受光部6の信号と、あらかじめ記憶部7で記憶してある衝突のないときの受光部6の信号との差を比較部8で比較演算して落下による信号のみを抽出し、基準データ記憶部9にあらかじめ記憶してある状態と比較して落下物2の状態を落下物推定手段4で推定する。なお、比較部8は受光部6の信号を常に入力して前記バックグラウンドの信号と比較しており、差の信号がゼロまたはゼロに近いときには落下がないと判断することは言うまでもない。また、このバックグラウンドの信号は、衝突直前に記憶した受光部6の信号であっても、あらかじめ所定の信号を固定して記憶したものであってもよい。
【0022】
以下、落下物2の状態を推定する方法について、人間の排泄物に関して考察する。いま、排泄物である便の代表的な状態として、つぎの3つを想定する。
状態1:便秘時に排泄される、ころころした固い便
状態2:正常な便(比較的硬い便)
状態3:完全下痢
上記状態1ないし状態3のいずれの状態でも排便が行われた場合は空間的、時間的に一定の範囲で出力信号が出力される。
【0023】
図3ないし図5は、便がラインAA’に突入したとき、ラインAA’上の一点についての比較部8の信号をデジタルデータとして示す波形図である。すなわち、便が水面に衝突したときの受光部8の信号から、衝突のないときに衝突現象計測手段1の記憶部7に記憶した受光部8の信号を減算した信号をデジタル化した波形である。なお、この場合の衝突のないときの信号は水面からの僅かな反射光や水底からの反射光であることは言うまでもない。また、図は受光部6の受光量に対して反転した波形になっている。
【0024】
図3は、便が状態1でラインAA’に突入したとき、ラインAA’上の一点についての比較部8の信号をデジタルデータとして示す波形図である。図において、最初の便通過期間XX’は便が受光部経路を通過することによって発生した信号部分である。また、期間YY’は突入後の波により発生した信号部分である。状態1のころころ便の場合、水面の波形は小さい便の突入により発生した波であるので、大きな波ではなく小さな波が続いて発生する。また、期間ZZ’は波が小さくなり、やがて水平面が静かになった状態を示す。
【0025】
図4は便が状態2でラインAA’に突入したとき、ラインAA’上の一点についての比較部8の信号をデジタルデータとして示す波形図ある。状態2の場合では、便通過期間XX’の期間が長く、便自体が大きいために突入後の期間YY’では大きな波が形成される。また、期間ZZ’は、波は小さくなり、やがて水平面が静かになった状態を示す。
【0026】
図5は便が状態3でラインAA’に突入しととき、ラインAA’上の一点についての比
較部8の信号をデジタルデータとして示す波形図ある。状態3の場合では、便が軟便で分かれて排出されるために便通過期間XX’は離散的になる。突入後の期間YY’では次々に離散的に突入した便のために不規則に近い波形が出現する。そして、やがて、波が治まる期間ZZ’に移行するが、ここでは便自体の比重が軽いために(便内にガスを含んでいる)水面に浮上し、水面における反射光が継続して受光部6に入射する。
【0027】
これらの波形データから便の状態を推定することができる。たとえば、最初の便通過期間XX’の計測と、期間ZZ’の計測も考慮し、期間XX’、YY’、ZZ’の時間、YY’の周期、などの組み合せにより3種類の状態を識別可能であり、上記時間や周期、その組み合せなどの条件を落下物推定手段4における基準データ記憶部9にあらかじめ記憶しておけばよい。また、それらの条件を詳細にするほど多くの便状態の識別が可能となる。また、デジタル信号の代わりにアナログ信号で比較部の出力を見ればさらに多くの種類の識別が可能となる。
【0028】
以上のように、便の種類により突入時の水面の形が変動し、その変動を受光部6の入射光の変動による信号として計測し、その信号のデータを基準のデータにより分析して便の状態を判定することができる。実際には便の種類は上記形態よりもさらに多く、また、便の量も1回だけの排出だけではなく、何回かの排泄行為に対して識別する必要がある。これらに対しては、基準となるデータを多くの実験により採取し、これらを基準データ記憶部9に記憶しておくことにより多くの種類の便を識別することが可能となる。
【0029】
以上、便性状を検出する方法について説明したが、尿の検査にも応用することができる。すなわち、尿の場合には体積、粘性、比重などの物理量の違いによる水面の挙動の違いとして検出することができる。たとえば、放尿後に泡が長く残っている場合と泡の発生が少ない場合の違いを水面の変化で観察することにより尿の性状変化を見分けることができる。
【0030】
なお、本実施の形態では水面状態の検出手段として波による受光量変化を検出する例について説明したが、水面の波の状態を画像認識することにより落下物の状態を推定することも可能である。また、水面上に浮かべた浮きの振動する様子を観察し、浮きの状態を水面の動きと対応させ、最終的に落下物の状態を推定することもできる。また、水槽内の水面の場合には、水槽に取り付けた微小な圧力センサの圧力変動を計測して波を推定し、落下物の状態を推定することもできる。
【0031】
また、物体としては、容器中の水、便器中の水、便器そのものや、水を受け取るシンクのようなものなど落下物を受け取るものであれば何でもよく、液体、固体、気体についても問わない。
【0032】
また、衝突現象計測手段1は、落下物と物体との衝突、突入または混入に関して接触時点の過度現象から平衡状態となった現象までを含めて検出できるが、活用するデータを過度現象データや平衡現象のデータに限ってもよい。また、接触時の落下物と物体との間に発生した音や光、臭い、温度変化、濃度変化、物理形状変化なども有効データとして活用できる。これらは落下物内に生じたものでも、両者に複合的に生じたものでもかまわない。
【0033】
また、落下物推定手段4の基準データ記憶部9に記憶してあるデータは数値データにこだわらず、言語で記述したものであってもかまわない。また、推定はファジイ推論などのような推論から結論を導き出すようにしてもよい。
【0034】
(実施の形態2)
以下、本発明の落下物検出装置の第2の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施の形態は、請求項1、請求項3、請求項4、および請求項5に記載の本発明に係わる。図6は本実施の形態の構成を示すブロック図である。なお、第1の実施の形態と同じ構成要素には同一番号を付与して説明を省略する。本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、発光部5は落下物2が突入する水中20の領域を照射するように設定されたことにある。
【0035】
上記構成においてその動作を説明する。発光部5は水中20を照射し、受光部6は水中20を介して前記照射された信号を受光し、記憶部7は受光部6の信号出力を計測データとして一旦記憶する。つぎに、比較部8は、記憶部7に記憶した突入時の計測データと突入のないときの計測データとを比較して差のデータを生成し、推定部10は、その差のデータを基準データ記憶部9の基準データと参照して分析することにより、落下物2の内容物に依存した光の吸収などから落下物2の内容物や量などを推定する。
【0036】
たとえば、尿中の潜血を検出したい場合、衝突現象計測手段1は、受光部6の出力信号から突入のないときの計測データと、突入のあったときの計測データとを記憶部7に格納する。落下物推定手段4は、比較部8により前記突入のないときの計測データと、突入のあったときの計測データとから差のデータを生成し、推定部10はそれを基準データ記憶部9に記憶してある潜血無しのデータと比較し、閾値以上であれば潜血ありと推定することができる。なお、便、尿または尿中の潜血、蛋白、糖(尿糖)、便中の便潜血などや、水中の血液、薬品、化粧品など液体、固体、気体を問わず応用することができる。
【0037】
また、洗浄水中の便量を測定したい場合、推定部10は便無しのデータと比較すればよい。この便量は便器の自動洗浄に活用でき、水中の便量がゼロと推定できた時点で洗浄完了とすることができる。この場合、衝突現象検出手段1は過度的な突入データと平衡状態になったのちの混入データとの両方のデータ採取をすることができる。
【0038】
(実施の形態3)
以下、本発明の落下物検出装置の第3の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施の形態は、請求項6および請求項7に記載の本発明に係わる。図7は本実施の形態の構成を示すブロック図である。なお、第1の実施の形態と同じ構成要素には同一番号を付与して説明を省略する。本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、体調推定手段14を加えて備え、落下物推定手段4により推定した排泄物の状態から体調を推定するようにしたことにある。体調推定手段14は、各種の体調の基準となるデータをあらかじめ記憶している基準値記憶部15と、落下物推定手段4のデータを前記基準のデータと比較して体調を推定する体調推定部16とを備えている。
【0039】
上記構成においてその動作を説明する。なお、実施の形態1と共通な部分の動作については説明を省略する。また、本実施の形態においても落下物は便とする。推定部10により便状態が状態1、状態2、または状態3の組み合せとして検出される。体調推定手段14は、体調推定部16でこれら便状態のデータを基準値記憶部15の基準データと参照して体調を推定する。たとえば、基準データとして
状態1のみの場合:体調=便秘気味。
状態2のみの場合:体調=正常。
状態3のみの場合:体調=下痢気味。
状態1の繰り返し:体調=便秘気味(回数によって便秘度が減少する)。
状態2の繰り返し:体調=正常。
状態3の繰り返し:体調=下痢がひどい。
状態1から状態2への変化:体調=正常になりつつある。
状態2から状態3への変化:体調=下痢の傾向である。
状態3から状態1への変化:体調=下痢はもうすぐ止まるであろう。
状態1から状態3への変化:体調=下痢気味。
状態3から状態2への変化:体調=正常になりつつある。
状態2から状態1への変化:体調=正常。
などを基準値記憶部15にあらかじめ記憶登録しておき、推定部10で推定したデータと比較することにより体調の推論を行うことができる。
【0040】
(実施の形態4)
以下、本発明の落下物検出装置の第4の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施の形態は、請求項8に記載の本発明に係わる。図8は本実施の形態の構成を示すブロック図である。なお、第1の実施の形態と同じ構成要素には同一番号を付与して説明を省略する。本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、落下物2を放出する放出部17の洗浄方法を制御する洗浄制御手段18を加えて備え、落下物推定手段4が推定した排泄物の状態に応じて、前記排泄物を放出した放出部17を洗浄する洗浄機器19を制御するようにしたことにある。
【0041】
上記構成においてその動作を説明する。状態2の正常便である場合は、放出部17には洗浄水を放出部17に均一に通常時間通常量方式で洗浄するように洗浄機器19を制御する。また、状態3の下痢便である場合は、放出部17が便で汚れているので、洗浄水を放出部17周辺まで含めて均一に広範囲洗浄方式で洗浄するように洗浄機器19を制御する。
【0042】
以上のように、便性状に対応して洗浄する範囲と時間とを自動設定し、洗浄方法を変更して、少ない洗浄水で効率的に、かつ確実に洗浄することができる。また、自動洗浄は自動停止も可能とする。
【0043】
以上の説明から明らかなように、本発明の落下物検出装置によれば、下記の効果を得ることができる。
【0044】
また、衝突現象計測手段により落下物が落下先にある物体に衝突、突入または混入するときの現象を計測し、落下物推定手段により前記計測したデータから落下物の状態を推定するするようにしたことにより、落下物が外見上同じように見えても、状態の違いを識別することができる。
【0045】
また、衝突現象計測手段により落下先にある液体の液面または液中の変動により落下物の衝突、突入または混入の現象を計測するようにしたことにより、衝突、突入、混入時に落下物の影響を受け易い液体の変動は落下物の性状をよく反映し、人や動物などの排泄物の落下物検出に適し、また、液面は衝突時に波となるため解析が比較的簡単で、かつ波の変動持続性は短時間の落下現象を長時間の現象に置き換え、多くの情報を提供する。また、液中の過度的な変動は落下物中の内容物、たとえば潜血などの検出を可能とし、また、水中の便量の検出を可能として、便器の自動洗浄制御に反映することもできる。
【0046】
また、発光部により落下物が衝突、突入、または混入する物体の領域を照射し、受光部により前記領域からの光を受光して信号に変換し、その信号を計測データとして記憶部に記憶するようにしたことにより、落下物および落下先の物体に非接触に落下現象を計測でき、また計測のためのセンサの損傷がない。また、落下前の計測データと落下時の計測データとを記憶して保持でき、衝突前後の計測データの変化を得るのに供することができる。
【0047】
また、比較部により衝突前後の計測データを比較して差のデータを求めて衝突によるデ
ータのみを抽出し、推定部により前記差のデータを記憶部の基準データと参照して落下物の状態を推定するようにしたことにより、所定の基準に基づいて落下物の状態を識別することができる。
【0048】
また、推定した落下物の状態から体調を推定するようにしたことにより、消化器系、および泌尿器系に関する体調を推定することができ、また、特別な準備や操作を必要とせずに日常の排泄動作から体調を判定することができる。
【0049】
また、基準値記憶部にあらかじめ記憶してある基準により体調を推定するようにしたことにより、所定の基準に基づいて体調を推定することができ、体調を知りたい目的に合致した体調推定ができる。
【0050】
また、落下物を放出した放出部を洗浄する洗浄機器の洗浄動作を、洗浄制御手段により落下物の状態に対応して制御するようにしたことにより、便性状に対応して洗浄する範囲と時間を自動設定して、少ない洗浄水で効率的に洗浄でき、また、確実に洗浄することができる。さらに、自動洗浄により自動停止を行うことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の落下物検出装置の第1の実施の形態の構成を示すブロック図
【図2】同実施の形態における落下現象計測手段の構成を示す模式図
【図3】同実施の形態における比較部の出力を示す波形図
【図4】同実施の形態における比較部の出力を示す波形図
【図5】同実施の形態における比較部の出力を示す波形図
【図6】本発明の落下物検出装置の第2の実施の形態の構成を示すブロック図
【図7】本発明の落下物検出装置の第3の実施の形態の構成を示すブロック図
【図8】本発明の落下物検出装置の第4の実施の形態の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0052】
1 衝突現象計測手段
2 落下物
3 物体
4 落下物推定手段
5 発光部
6 受光部
7 記憶部
8 比較部
9 基準データ記憶部
10 推定部
11 水面(液面)
14 体調推定手段
15 基準値記憶部
16 体調推定部
17 放出部
18 洗浄制御手段
19 洗浄機器
20 水中(液中)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
落下物が落下先にある物体に衝突、突入または混入するときの現象を計測する衝突現象計測手段と、前記衝突現象計測手段により計測したデータに基づいて落下物の状態を推定する落下物推定手段とを備えた落下物検出装置と、洗浄制御手段とを備え、前記洗浄制御手段は前記落下物検出装置によって検出された落下物の状態に応じて洗浄を行うようにした洗浄機器。
【請求項2】
衝突現象計測手段は、落下先にある液体の液面状態の変動により落下物の衝突、突入または混入の現象を計測するようにした請求項1記載の洗浄機器。
【請求項3】
衝突現象計測手段は、落下先にある液体の液中の状態の変動により落下物の衝突、突入または混入の現象を計測するようにした請求項1または2記載の洗浄機器。
【請求項4】
衝突現象計測手段は、落下先の物体が落下物の衝突、突入または混入により変動する領域を照射する発光部と、前記発光部の光の反射光または透過光を受光する受光部と、前記受光部の出力を記憶する記憶部とを備え、前記発光部により照射した領域の状態の変動を前記受光部の出力により検出し、前記出力を計測データとして前記記憶部に記憶するようにした請求項1から3のいずれか1項に記載の洗浄機器。
【請求項5】
落下物推定手段は、衝突現象計測手段により計測した衝突のないときの計測データと衝突したときの計測データとを比較して差データを出力する比較部と、前記差データから落下物の状態を推定するするための基準データを記憶してある基準データ記憶部と、前記差データと前記基準データとにより前記落下物の状態を推定する推定部とを備え、前記比較部が出力する前記差データを前記基準データにより分析して落下物の状態を推定するようにした請求項1から4のいずれか1項に記載の洗浄機器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の洗浄機器を備え、前記洗浄機器は便器を洗浄する温水洗浄便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−78496(P2006−78496A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−294841(P2005−294841)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【分割の表示】特願平7−295095の分割
【原出願日】平成7年11月14日(1995.11.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】