説明

洗浄液の濃度管理方法及び管理装置

【課題】
粉体洗浄剤(A)の特性、該粉体供給装置と溶解装置の位置関係が変わっても簡単に対応できる、多種類の粉体洗浄剤を洗浄液にするための自動濃度管理装置、及びこの装置を用いて多種類の粉体洗浄剤からなる洗浄液を迅速正確に自動濃度管理ができる方法を提供することである。
【解決手段】
粉体洗浄剤(A)の洗浄液の自動濃度管理装置において、粉体供給装置、給水装置、溶解装置、導電率計測装置、導電率に基づいて該粉体供給装置若しくは給水装置に供給指示を出す制御装置からなり、且つ該(A)の特性、該粉体供給装置と溶解装置の位置関係に応じて粉体供給装置のフィーダー部を交換できるように脱着可能に構成したことを特徴とする粉体洗浄剤(A)の洗浄液の自動濃度管理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄液の濃度管理方法及び装置に関し、詳しくは粉体洗浄剤を洗浄液にするための自動濃度管理方法及び装置に関する。
【従来技術】
【0002】
従来、溶液の濃度管理方法及び装置については、多く知られている。また、粉体を溶解して濃度管理する方法及び装置も色々なものが提案されている。例えば、ホッパーを用いて上部から粉体を投入するにあたり開口面を下方に回動させる駆動手段を備えた粉体供給手段を有する溶解装置(例えば、特許文献1)、貯蔵ホッパーから所定量の粉体をリードスクリューを回転させて排出する供給装置を有する溶解装置(例えば、特許文献2)が提案されている。
【特許文献1】特開平10−232 号公報
【特許文献2】特開平6−226068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の装置は粉体の供給装置と溶解装置とが一体化され、供給装置のフィーダーも固定されたものであり、決められた1種類か似たような特性をもつものにしか適応されず、そのため、多様な特性を有するものには対応が難しく、精度よく迅速に濃度管理をする装置というものがなかった。
例えば粉体界面活性剤や粉体洗浄剤のようなものは非常に数多くの種類や形状があり、粒子径や吸湿性等の性状が異なり、これらを自動で供給し濃度管理する装置はなかった。また、供給装置と溶解装置との高さ、位置関係が使用条件により異なる場合にも対応が面倒であった。本発明の目的は、粉体洗浄剤(A)の特性、該粉体供給装置と溶解装置の位置関係が変わっても簡単に対応できる、多種類の粉体洗浄剤を洗浄液にするための自動濃度管理装置、及びこの装置を用いて多種類の粉体洗浄剤からなる洗浄液を迅速正確に自動濃度管理ができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を達成するため鋭意検討した結果、粉体供給装置のフィーダーを脱着可能に取り付け種々のフィーダーを用意し上記の種々の条件に応じて変えることで容易に対応でき、この装置を用いて迅速正確に濃度管理する方法を見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、粉体洗浄剤(A)の洗浄液の自動濃度管理装置において、粉体供給装置、給水装置、溶解装置、導電率計測装置、導電率に基づいて該粉体供給装置若しくは給水装置に供給指示を出す制御装置からなり、且つ該(A)の特性、該粉体供給装置と溶解装置の位置関係に応じて粉体供給装置のフィーダー部を交換できるように脱着可能に構成したことを特徴とする粉体洗浄剤(A)の洗浄液の自動濃度管理装置;
及び、該自動濃度管理装置を用いて該(A)の洗浄液を自動濃度管理する方法において、該溶解装置の中の液面が低下したときに水を自動給水し、次に給水した水の量に相当する量の粉体洗浄剤を理論値よりも過剰に自動追加供給し、攪拌機により混合し、追加した粉体洗浄剤が均一に溶解した時点で、導電率を計測しながら水を自動追加し所定の導電率にすることを特徴とする粉体洗浄剤(A)の洗浄液の自動濃度管理方法である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の粉体洗浄剤(A)の洗浄液の自動濃度管理方法及び装置は下記の効果を奏する。
(1)非常に種類が多く性状も異なる粉体洗浄剤の洗浄液の濃度が迅速正確に測定できる。
(2)粉体洗浄剤の種類、粒子径、吸湿性等の特性が異なっても、フィーダーを交換することにより簡単に対応できる。
(3)該粉体供給装置と溶解装置の位置関係が変わっても、フィーダーを交換することにより簡単にスムーズに対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明における自動濃度管理装置は、粉体供給装置、給水装置、溶解装置、導電率計測装置、導電率に基づいて該粉体供給装置若しくは給水装置に供給指示を出す制御装置からなる。各装置の大きさ、形状は限定しない。
粉体供給装置は、ストック部及びフィーダー部からなり、フィーダー部は、粉体洗浄剤(A)の特性、該粉体供給装置と溶解装置の位置関係に応じて自由に交換できるように脱着可能に構成されている。ストック部は粉体洗浄剤(A)を貯蔵するところであり、従来公知のものが適用でき、大きさも任意である。該フィーダーは、スプリングフィーダー、電磁フィーダー、スクリューフィーダー、空気輸送式フィーダーから選ばれる。例えば、粉体供給装置と溶解装置の位置が近い場合は電磁フィーダーを使用し、位置が近いが洗浄剤が湿気を吸って潮解性を有する場合には、スクリューフィーダーを用い、溶解装置が粉体供給装置よりも高い場合にはスプリングフィーダーを用い、溶解装置が粉体供給装置と遠く離れている場合、潮解性のあるものを扱う場合にはドライエアー方式のフィーダーを用いるのが好ましい。この場合、潮解性のあるものは一旦乾燥したものをフィードするのが好ましい。フィーダーは通常粉体洗浄剤が入っている槽の下部に手動で容易に脱着可能できるような構成で設置されており、手動により他のフィーダーに簡単に交換することができるように設計されている。また、後記する制御装置と連結して自動的に所望量の(A)を投入することができる。
給水装置は給水が制御できるものなら何でもよく、給水源そのものに制御装置が連結したものでもよい。給水装置は制御装置と連結して自動的に給水ができる構成になっている。
【0007】
溶解装置は攪拌槽であり、攪拌機と溶解槽からなる装置である。本装置も制御装置に連結して攪拌のオンオフ、及び攪拌速度が自動で制御できる。この溶解槽には後記の制御装置に繋がる温度計、導電率測定器又はセンサー、水量センサー等がさしこまれている。
導電率に基づいて該粉体供給装置若しくは給水装置に供給指示を出す制御装置には、通常測定機能も内蔵されるが導電率計測機能(装置)は別装置でもよい。該制御装置は上記の他の装置と繋がっており、洗浄液の導電率を測定して濃度が薄ければその値が指定範囲内に入るまで粉体供給装置に供給の指示を出したり、また、濃度が濃ければ給水する指示を出すコンピューターで制御する装置である。
【0008】
次に上記装置を用いた、本発明の濃度管理方法を説明する。洗浄液の調製は、基本的には、給水装置から溶解用水を溶解槽等に入れ、これに粉体供給装置からフィーダーを用いて所要量の粉体洗浄剤を供給して溶解させ、洗浄液濃度を測定する。
すなわち、溶解装置の中の液面が低下したときに水を自動給水し、給水した水の量に相当する量の粉体洗浄剤を理論値よりも若干過剰に追加し、攪拌機により混合し、追加した粉体洗浄剤が均一に溶解した時点で、導電率を計測しながら水を追加し所定の導電率になるよう希釈する。
【0009】
ここで、粉体洗浄剤を理論値よりも若干過剰に追加するのは、一旦粉体を過剰に溶解しておいて水などで希釈して濃度を調整する方が、粉体で濃度を調整するよりも正確であり容易であるからである。過剰に追加する量は管理値に対して好ましくは0.1〜0.5(%で)である。均一に溶解したかどうかは肉眼で判定できるが、導電率が一定になった時点でも判断できるので、導電率と時間を対比してみていくのが好ましい。完全に溶解する時間は粉体洗浄剤の種類や粒度等で異なるため、予め完全に溶解する時間を確認しておき、制御は時間で行うのが好ましい。この溶解時間により粉体洗浄剤が一括で投入されるか分割又は連続で投入されるかが決定され、自動制御装置に設定される。
【0010】
本発明にかかる溶解装置は、これらの操作を自動的にかつ連続的に行うため、溶解用水を溶解槽に導入し、洗浄液濃度を所定の濃度に調整するため、導電率測定による濃度を検出しつつ、粉体洗浄剤の供給量を制御して溶解槽に供給するように作動するが、洗浄液濃度の検出手段に使用する導電率計による濃度の検出原理は、導電率が洗浄剤の濃度により異なることに基づいている。導電率と洗浄剤の濃度との関係は、洗浄液中に溶解している粉体洗浄剤により異なるが、あらかじめ検量線を用いて導電率と粉体洗浄剤の濃度との関係を求めておき、導電率から粉体洗浄剤の濃度を求める。この関係を制御装置にインプットしておき、また、この導電率は洗浄液の温度によって異なる。洗浄液温度が高い方が濃度変化に対する導電率の変化が大きい。これは洗浄液温度が高い方が、導電率による濃度の検出感度が高く、濃度の微小差も導電率の変化として検出できることを示している。これは洗浄剤の濃度を精度良く調整するために必要な条件である。導電率の濃度検出感度を高くするためには、洗浄液温度を高くすることが必要で、溶解用水を加温するか、洗浄液を加温するなど、洗浄液温度を適当な温度範囲(好ましくは20〜50℃)に保つようにする。このようにして、洗浄液濃度の微小差を検出できる手段を講じ、所定の洗浄剤の濃度になるように粉体洗浄剤や水の供給量を制御することにより、濃度精度の良い洗浄液を調製することができる。
洗浄液濃度は任意であるが好ましくは 0.5〜10重量%である。導電率は洗浄剤の種類、濃度によって異なる。
【0011】
本発明で用いられる粉体洗浄剤としては、従来公知の粉体洗浄剤が用いられ、洗浄液作成時に粉体であればよい。種類としては、中性、アニオン性、カチオン性及び両性のものが挙げられるが、空気中の湿気を吸って潮解性を示すようなものでもよい。例えば、ノニオン性洗浄剤としては、具体的には例えば脂肪族系アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8)高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8)多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル、脂肪酸アルカノールアミド、(ポリ)オキエチレン・(ポリ)オキシプロピレンブロックポリマー(重量平均分子量=150〜10000)等;アニオン性洗浄剤としては、炭素数8〜24の炭化水素系エーテルカルボン酸又はその塩、炭素数8〜24の炭化水素系硫酸エステル塩、炭素数8〜24の炭化水素系スルホン酸塩及び炭素数8〜24の炭化水素系リン酸エステル塩、脂肪酸塩、アシル化アミノ酸塩等;カチオン性洗浄剤としては、第4級アンモニウム塩型、アミン塩型が;両性洗浄剤としては、ベタイン型両性界面活性剤、アミノ酸型両性界面活性剤などが挙げられる。
洗浄剤であるので、水溶性であることが必要であるが、水に溶解して洗浄力を示せばよく、またあらゆる濃度で使用する可能性があるので、上記に挙げられた洗浄剤の水への溶解度については限定はない。
【0012】
粉体は粉末状若しくは粒状を意味し、粉体供給装置でフィードできれば形状や粒子径などは特に限定はない。粒子径は好ましくは0、1μm〜1cmの大きさのものを95重量%以上含有し、より好ましくは1μm〜0.5cmの大きさのものを95重量%以上含有するものである。平均粒子径は特に限定はないが、1μm〜0.5cmのものが好ましい。平均粒子径は質量平均粒子径を意味し、質量平均粒子径は、架橋重合体の各粒度分布を横軸が粒子径、縦軸が質量基準の含有量の対数確率紙にプロットし、全体の質量の50%をしめるところの粒子径を求める方法により測定する。
【0013】
粒子径が0、1μm〜1cmの大きさのものであれば溶解し易い。形状も球状であれ、塊状であれフィードできれば限定はない。粉体供給装置のフィード部に使用する部品の大きさ形状を考慮して粒子径を選定したらよく、粒子径を測定する場合は通常の粒子測定装置が使用でき、好ましくは篩い法による装置である。例えば、塊状の粉体洗浄剤を適当な粒子径のものにするには、ミキサーのような簡易な粉砕機でもよく、衝撃粉砕機(ピンミル、カッターミル、スキレルミル、ACMパルペライザー等)や空気粉砕(ジェット粉砕機等)で行うことができる。必要により乾燥した乾燥粉末は、必要により所望のスクリーンを備えたフルイ機(振動フルイ機、遠心フルイ機等)を用いて、所望の粒径の粉体洗浄剤を得ることができる。
【実施例】
【0014】
本発明の実施例を装置で説明するがこれに限定されない。
【0015】
図1は本発明の粉体洗浄剤(A)の洗浄液の自動濃度管理装置の図である。攪拌槽3(容量:500L、SUS製)の液面がL以下であるとき、攪拌機3aは停止、調合洗剤供給弁6は閉である。給水弁2aが開となり自動給水が開始され、設定量の水200lが入れば自動給水が停止する。この給水により液面がM以上になると攪拌機3aの運転が開始され、粉体洗浄剤6.7kgの自動給粉が開始する。溶解槽内の温度は40℃であった。この図1では溶解装置3が粉体供給装置1(供給面:1b)よりも高いので、ここではスプリングフィーダー1cが用いられ、トランジー(スプリングフィーダー 社製)運転により粉体洗浄剤を導電率が設定値に達するまで自動供給開始される。導電率は溶解槽に入れられたセンサーを通じて導電率計測装置4で測定され信号が制御装置5に送られ、濃度が感知される。この場合、目標の洗浄液濃度よりも若干高めの濃度2.0%に設定され、追加の自動給水25lにより目標の洗浄液濃度1.5%に調整される。液面がH以上になり、導電率が一定になれば(5分で一定になった)調合洗剤供給弁6が開となり洗浄液(L)が供給される。
【0016】
また、粉体洗浄剤の種類や特性、粉体供給装置と溶解装置の位置関係などの条件が変わって、トランジー1では供給できない場合には、トランジー用ホッパー1bの下部からフィーダーの管1cをはずし、その条件に応じて電磁フィーダー、スクリューフィーダー、空気輸送式フィーダーなどの管を取り替えて対応することができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
粉体洗浄剤(A)を溶解した洗浄液の自動濃度管理方法及びその濃度管理装置は、粉体
洗浄剤を使用するあらゆる工場、研究所等で好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の粉体洗浄剤(A)の洗浄液の自動濃度管理装置の図である。
【符号の説明】
【0019】
1.トランジー:粉体供給装置
1a.トランジーコントロール盤
1b.トランジー用ホッパー
1c.フィーダー部(管)
2.給水装置
2a.給水電磁弁
2b.流量センサー
3.溶解装置
3a.攪拌機
3b.溶解槽
3c.液面センサー
4.導電率計測装置
5.制御装置
6.調合洗剤供給弁
7.電源




【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体洗浄剤(A)の洗浄液の自動濃度管理装置において、粉体供給装置、給水装置、溶解装置、導電率計測装置、導電率に基づいて該粉体供給装置若しくは給水装置に供給指示を出す制御装置からなり、且つ該(A)の特性、該粉体供給装置と溶解装置の位置関係に応じて粉体供給装置のフィーダー部を交換できるように脱着可能に構成したことを特徴とする粉体洗浄剤(A)の洗浄液の自動濃度管理装置。
【請求項2】
前記フィーダーがスプリングフィーダー、電磁フィーダー、スクリューフィーダー、空気輸送式フィーダーから選ばれることを特徴とする請求項1記載の自動濃度管理装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2記載の粉体洗浄剤(A)の洗浄液の自動濃度管理装置を用いて該(A)の洗浄液を自動濃度管理する方法において、前記溶解装置の中の液面が低下したときに水を自動給水し、次に給水した水の量に相当する量の粉体洗浄剤を理論値よりも過剰に自動追加供給し、攪拌機により混合し、追加した粉体洗浄剤が均一に溶解した時点で、導電率を計測しながら水を自動追加し所定の導電率にすることを特徴とする粉体洗浄剤(A)の洗浄液の自動濃度管理方法。




【図1】
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【公開番号】特開2007−260645(P2007−260645A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−92850(P2006−92850)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(593045123)中央化学株式会社 (3)
【Fターム(参考)】