説明

洗濯乾燥機

【課題】洗濯物の布量及び布質に応じて適正な時間、乾燥工程を行うことができ、乾燥工程の終了後に洗濯物が未乾燥又は過乾燥の状態になるのが抑制され、無駄な電力の消費が抑制される洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】洗濯乾燥機100の制御部7は、ドラム4の内部に収容した洗濯物の布量を検出し、洗濯物の布質が所定の基準より親水性であるか又は疎水性であるかを判定し、乾燥部6の運転の開始時点から運転の停止の判定を開始する時点までの下限運転時間、及び前記判定の結果に関わらず、前記運転の開始時点からの経過により運転を停止する上限運転時間を設定して、乾燥部6の運転を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物を洗濯及び脱水し、その後、乾燥運転を実行する洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯乾燥機は洗い、すすぎ、脱水から乾燥まで自動で行うものが一般的である。
乾燥は、送風機、加熱装置、送風ダクト、及び除湿用熱交換器を兼ねた送風経路等を有する循環式の乾燥部により行われる。乾燥部が稼働すると、送風機から送られた空気が加熱装置で加熱されて温風となり、該温風が送風ダクトから水槽に内設されたドラムへ吹き出され、ドラムに収容された洗濯物へ接触する。これにより、洗濯物が含有する水分が蒸発し、その湿潤空気はドラム周壁に設けられた小孔を通じてドラム外へ排気され、前記送風経路に導かれて冷却され、湿潤空気に含まれる水分が凝縮する。その結果、湿潤空気は除湿されて乾燥空気となり、再び送風機及び加熱装置によって温風となりドラム内へ吹き出される。このように、ドラム内外に空気を循環させることによってドラム内の洗濯物が乾燥する。
【0003】
洗濯乾燥機においては、運転開始時に、モータの回転数が所定の回転数から所定量増加するのに要した時間と、ブレーキをかけた後、所定の回転数から所定量減じるのに要した時間との比等に基づいて洗濯物の布量(質量、容量)を検知し、布量に応じて洗い、乾燥等の各工程の時間を設定している。
【0004】
乾燥が不十分である場合、再度乾燥運転を行う必要が生じ、過乾燥である場合、しわができ、衣類が傷む等の問題が生じるので、乾燥時間を適正に設定する必要がある。
特許文献1には、乾燥工程の停止時期の検出方法が異なり、ユーザにより選択できるようにした第1,第2乾燥コースを備える洗濯乾燥機の発明が開示されている。第1乾燥コースは水槽上部の温度を検知する第1温度センサ,排気口の近傍を検知する第2温度センサにより検知された温度の差に基づいて停止時期を設定し、第2乾燥コースは第2温度センサにより検知された温度に基づいて停止時期を設定する。そして、温度センサ等の故障により前記温度の差を検知できない場合は乾燥工程の停止時期を設定できないため、温度センサの検知結果に関わらず、予め設定された最長運転時間が経過したときに乾燥工程を停止するように構成されている。
【0005】
特許文献2には、循環空気の温度と、熱交換機に供給される水の出口及び入口の温度との変化状態に基づいて乾燥工程のすすみ具合を判断する乾燥機の発明が開示されている。
特許文献3には、運転開始時に洗濯物の質量を検知し、洗濯工程でモータのトルク変動の大きさを検知し、前記質量と前記トルク変動の大きさとから洗濯物の布質を判定し、この判定結果に基づいて乾燥工程直前の脱水運転の回転制御を変更し、乾燥の効率化を図った洗濯乾燥機の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−53087号公報
【特許文献2】特許3346942号公報
【特許文献3】特開2007−185357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の洗濯乾燥機においては、2つの温度センサにより検知された温度の差が所定値以下になった場合、完全な乾燥状態になったと判断している。そして、上述したように、正常に温度が検知できない場合を考慮して衣類が過乾燥状態にならないように、乾燥の最長運転時間を設定しており、該最長運転時間が経過した場合には強制的に乾燥運転を終了するように制御している。さらに、衣類の質量に応じて最長運転時間を設定することで、過乾燥になるのをより防止している。
【0008】
ところで、洗濯物の衣類を構成する繊維には化学繊維系のように水分をあまり吸収しない疎水性の繊維、綿系のように水分をよく吸収する親水性の繊維等がある。従って、通常は中間的な標準衣類(混紡衣類)を想定して洗濯工程及び乾燥工程を制御するための条件を設定している。しかし、化繊を多く含む衣類と綿を多く含む衣類とでは乾燥に要する時間が異なる。例えば化繊を多く含む衣類を乾燥する場合、標準衣類を想定した最長運転時間では過乾燥になる可能性がある。一方、綿を多く含む衣類を乾燥する場合、2つの温度センサにより検知された温度の差が所定の範囲になった場合、衣類が未乾燥状態であっても乾燥工程が終了することになり、洗濯物の乾燥状態と適合していないことになる。
また、乾燥運転の後半では水分の蒸発に伴い洗濯物の乾燥度は高くなるが、この場合に乾燥運転の初期と同じ乾燥能力で乾燥させると、洗濯物に対して乾燥能力が過大になり、無駄なエネルギーを消費するおそれがある。
熱交換器に使用する冷却水の温度が高温である場合や低温である場合には2つの温度センサにより検知された温度の差による乾燥工程の終了を正しく検知できない場合が存在する。(冷却水の温度が高温である場合は2つの温度センサの温度差が小さくなる傾向であり、冷却水の温度が低温である場合は2つの温度センサの温度差が大きくなる傾向であるため、誤検知し易くなる。)
また、乾燥フィルタが目詰まりしている場合にも、2つの温度センサにより検知された温度の差による乾燥工程の終了を正しく検知できないことがある。
(上記のようなことがあるため、最短運転時間と最長運転時間を設けている。)
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、洗濯物の布量及び布質に応じて適正な時間、乾燥工程を行うことができ、乾燥工程の終了後に洗濯物が未乾燥又は過乾燥の状態になるのが抑制され、無駄な電力の消費が抑制される洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る洗濯乾燥機は、水槽内に回転自在に配置され、周壁に複数の孔が設けられたドラムと、該ドラムを回転駆動するモータと、前記孔を通して前記ドラムの外部へ排気した空気を除湿及び加熱して前記ドラムの内部へ送出するように循環させ、前記ドラムの内部に収容した洗濯物を乾燥させる乾燥手段と、前記ドラムの内部に収容した洗濯物の布量を検出する布量検出手段と、前記乾燥手段の運転を制御する運転制御手段と、前記布量検出手段により検出した布量に基づいて、前記乾燥手段の運転の開始時点から運転の停止の判定を開始する時点までの下限運転時間、及び前記判定の結果に関わらず、前記運転の開始時点からの経過により運転を停止する上限運転時間を設定する時間設定手段とを備える洗濯乾燥機において、前記洗濯物の布質が所定の基準より親水性であるか又は疎水性であるかを判定する布質判定手段を備え、前記時間設定手段は、判定した布質に基づいて下限運転時間及び上限運転時間を設定することを特徴とする。
【0011】
本発明においては、洗濯物の布量、及び洗濯物が乾燥しにくい親水性繊維からなる衣類を多く含むか否か、すなわち洗濯物の吸水量の大小に応じて、下限(最短)運転時間及び上限(最長)運転時間を設定するので、適正な時間、乾燥工程を行うことができ、乾燥工程の終了後に洗濯物が未乾燥又は過乾燥の状態になるのが抑制される。
【0012】
本発明に係る洗濯乾燥機は、前記時間設定手段は、前記布質判定手段により前記布質は親水性であると判定した場合に、布質が前記所定の基準の布質である場合に予め設定してある基準下限運転時間より下限運転時間を長くすることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、洗濯物が乾燥しにくい親水性の衣類を多く含む場合、乾燥工程の停止時期の判定の前提条件である下限運転時間を長くするので、洗濯物が未乾燥の状態になるのがより抑制される。
【0014】
本発明に係る洗濯乾燥機は、前記時間設定手段は、前記布質判定手段により前記布質は親水性であると判定した場合に、布質が前記所定の基準の布質である場合に予め設定してある基準上限運転時間より上限運転時間を長くすることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、洗濯物が乾燥しにくい親水性の衣類を多く含む場合、上限運転時間を長くするので、洗濯物が未乾燥の状態になるのがより抑制される。
【0016】
本発明に係る洗濯乾燥機は、前記時間設定手段は、前記布質は疎水性であると判定した場合に、前記基準上限運転時間より上限運転時間を短くすることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、洗濯物が乾燥しやすい疎水性の衣類を多く含む場合、乾燥手段の運転の開始時点から経過した場合に必ず運転を停止する上限運転時間を短くするので、洗濯物が過乾燥の状態になって傷むのがより抑制される。
【0018】
本発明に係る洗濯乾燥機は、前記時間設定手段は、前記布質は疎水性であると判定した場合に、前記基準下限運転時間より下限運転時間を短くすることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、洗濯物が乾燥しやすい疎水性の衣類を多く含む場合、下限運転時間を短くするので、洗濯物が過乾燥の状態になって傷むのがより抑制される。
【0020】
本発明に係る洗濯乾燥機は、水槽内の水位を検知する水位検知手段を備え、前記布質判定手段は、前記水位検知手段により所定の水位であることが検知された後、所定時間撹拌を行って再度前記水位検知手段により検知された水位と、前記所定の水位との差に基づいて前記洗濯物の布質を判定することを特徴とする。
【0021】
本発明においては、洗濯物の吸水量に基づいて容易に布質を判定することができる。
【0022】
本発明に係る洗濯乾燥機は、前記モータのトルク変動の大きさを検知するトルク変動検知手段を備え、前記布質検知手段は、前記トルク変動検知手段により検知されたトルク変動の大きさに基づいて前記布質を判定することを特徴とする。
【0023】
本発明においては、トルク変動の大きさに基づいて容易に布質を判定することができる。
【0024】
本発明に係る洗濯乾燥機は、前記布質検知手段は、前記布量検出手段により検出された布量が所定値以下である場合に、前記トルク変動の大きさに基づいて前記布質を判定することを特徴とする。
【0025】
本発明においては、洗濯物の布量が小さい場合に、減水量に基づくときよりも正確に布質を判定することができる。
【0026】
本発明に係る洗濯乾燥機は、前記時間設定手段により設定する下限運転時間又は上限運転時間の、前記基準下限運転時間又は前記基準上限運転時間との差に係る指示を受け付ける指示受付手段を備え、前記時間設定手段は、前記指示受付手段により前記指示を受け付けたと判定した場合に、前記指示に基づいて下限運転時間又は上限運転時間を設定することを特徴とする。
【0027】
本発明においては、基準運転時間からの増減量の調整をユーザの指示により行うので、洗濯物の乾燥の仕上がり状態をユーザの好みに適合させることができる。また、ユーザが洗濯物に疎水性の衣類が多く含まれるが厚手であり、ある程度吸水されると視認した場合等、運転時間の短縮量を調整することができる。
【0028】
本発明に係る洗濯乾燥機は、前記空気の循環経路の異なる位置の温度を検知する2つの温度検知手段と、下限運転時間が経過したか否かを判定する下限運転時間経過判定手段と、前記2つの温度検知手段により検知した温度の差が所定の範囲であるか否かを判定する温度差判定手段とを備え、前記運転制御手段は、前記下限運転時間経過判定手段により下限運転時間が経過したと判定し、前記温度差判定手段により前記温度の差が前記所定の範囲であると判定した場合に、前記乾燥手段の運転を停止することを特徴とする。
【0029】
本発明においては、乾燥工程の停止時期を適正に判断することができる。
【0030】
本発明に係る洗濯乾燥機は、上限運転時間が経過したか否かを判定する上限運転時間経過判定手段を備え、前記運転制御手段は、前記上限運転時間経過判定手段により上限運転時間が経過したと判定した場合に、前記乾燥手段の運転を停止することを特徴とする。
【0031】
本発明においては、洗濯物が過乾燥になるのがより抑制される。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、洗濯物の布量及び布質に応じて下限運転時間及び上限運転時間を設定するので、適正な時間、乾燥工程を行うことができ、乾燥工程終了後に洗濯物が未乾燥又は過乾燥の状態になるのが抑制される。そして、無駄な電力の消費が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に係る洗濯乾燥機の外観を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る洗濯乾燥機を示す側面断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る洗濯乾燥機の制御ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るCPUによる洗濯乾燥処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係るCPUによる洗濯乾燥処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】布質の判定方法を設定する画面の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るCPUによる運転時間の設定の処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】変更する運転時間を設定する画面の一例を示す図である。
【図9】運転時間の変更の度合いを設定する画面の一例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るCPUによる布質の判定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は本発明の実施の形態に係る洗濯乾燥機100の外観を示す概略斜視図、図2は図1に示す洗濯乾燥機の側面断面図である。
本発明に係る洗濯乾燥機100は、前面に開口部11が設けられた外箱1と、外箱1内に配置された有底円筒形状の水槽3と、水槽3内に回転自在に設けられ、洗濯物を収容する有底円筒形状のドラム4と、洗濯物を乾燥させるための乾燥部6と、外箱1の前面の下部分に設けられたパネル12と、外箱1の底部に設けられた底台13と、水槽3の後部を弾性支持する2本のダンパ9とを備えている。外箱1の開口部11にはドア2がヒンジにより回動自在に取り付けられている。
【0035】
外箱1の上部には、洗剤、漂白剤及び柔軟剤を収容する洗剤ケース14と、操作キー及びタッチパネル式の表示部を有する操作部8とが設けられている。操作部8の操作キーには、電源キー、運転開始キー等の他に、洗濯乾燥コース(例えば標準、わが家流、念入り、ドライ、毛布等の複数段階)を入力するキーも設けてある。操作部8の裏側(外箱1の内部側)には、洗濯乾燥機100の動作を制御する制御部7が配置されている。また、外箱1の天面の後部には、天面の前部よりも低い段部15が設けられている。
【0036】
水槽3の後部には、ドラム4を回転駆動するドラムモータ5が取り付けられている。ダンパ9の水槽3側と反対側の端部は、ダンパ支持金具10のダンパ取付部10aに取り付けられている。
【0037】
水槽3の前面部には水槽開口部3aが設けられ、この水槽開口部3aの開口縁には、ゴム又は軟質樹脂等の弾性体からなるパッキン3bが固着されている。これにより、ドア2を閉じると、ドア2がパッキン3bに密着し、水槽3内の液体が水槽3の外部へ漏れ出るのが防止される。水槽3は、水槽開口部3aが外箱1の開口部11に対向するように横向きに配置され、より詳しくは、水槽開口部3aが水槽3の後部より高くなるように、水槽3の中心軸が水平方向に対して5°〜30°の角度を成すように傾斜している。
【0038】
水槽3の上部には、水槽3内に水及び洗濯液等を給水するための給水ダクト20が接続されている。水槽3の下部には、水槽3内の水及び洗濯液等を外部に排水するための排水ダクト21が接続されている。排水ダクト21は、フィルタ22を介して排水ホース23に接続されている。フィルタ22は水槽3内から流れて来た液体中の糸屑を除去する。また、排水ホース23には、排水モータ24によって開閉される排水弁25が設けられている。
【0039】
排水ダクト21の水槽3側にはエアートラップ28が設けられており、エアートラップ28には導圧パイプ29が接続され、該導圧パイプ29の上端部には水位センサ30が設けられている。水位センサ30は導圧パイプ29及びエアートラップ28を介して水槽3と連通し、水槽3内の水位による圧力(水圧)が水位センサ30に伝えられる。
水位センサ30は、コイルと磁性体とを内装し、水槽3内の水位による圧力変化に応じて磁性体がコイル内を移動する。そして、コイル内の磁性体の位置により生じるコイルのインダクタンスを発振周波数として検出し、水槽3内の水位を検知するように構成されている。
【0040】
外箱1の後側の段部15は水平面15aと鉛直面15bとで構成され、水平面15aに、水槽3へ水道水を給水するための給水口26が設けられている。給水口26は、給水弁27を介して前記給水ダクト20に接続されている。給水口26から給水ダクト20を経由して給水される水道水は、そのまま水槽3内に流入され、又は洗剤若しくは柔軟剤と混合された上で水槽3内に流入される。
【0041】
ドラム4は、中心軸が水槽3の中心軸に対して平行で且つ外箱1の天面側に偏心するように配置されている。つまり、ドラム4の回転軸は水平方向に対して5°〜30°の角度をなすように傾斜し、水槽3の中心軸よりも水槽3の上部側に位置している。言い換えれば、ドラム4の回転軸を含む鉛直面内において、ドラム4の下部と水槽3の下部との距離は、ドラム4の上部と水槽3の上部との距離よりも大きくなっている。
【0042】
ドラム4の前面部には、外箱1の開口部11及び水槽開口部3aに対向するドラム開口部4aが設けられている。このドラム開口部4aは水槽開口部3aよりも大きな径を有している。また、ドラム4の周壁には全域に亘って複数の小孔4bが設けられている。この小孔4bは、水槽3とドラム4との間の空間と、ドラム4内の空間との間で洗濯水及び乾燥空気等を流通させるためのものである。
【0043】
そして、ドラム4の内壁面には、径方向の内側に突出したバッフル4cが設けられている。このバッフル4cは、周方向に例えば120°間隔で3ヶ所に配置されている。ドラム4の回転に従って、バッフル4cにより洗濯物の持上げと落下とが繰り返される。さらに、ドラム4のドラム開口部4aを外側から取り囲むように液体バランサ4dが設けられており、ドラム4の回転時に、洗濯物及び洗濯液等の偏りにより生じるアンバランスを、液体バランサ4dの内部に封入した液体の移動によって打消すように構成されている。
【0044】
乾燥部6は、送風機61と、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ62と、外箱1の上面に取り付けられ、乾燥フィルタ64を収納したケース65と、加熱及び乾燥された空気をドラム4へ吹き出す送風ダクト66と、水槽3の背面側に設けられた熱交換部63とを有している。
【0045】
送風機61は、ファンケース61aと、ファンケース61a内に収容された回転羽根61bと、回転羽根61bを回転駆動するファンモータ61cとで構成され、水槽3の上部及び外箱1に取り付けられている。ファンモータ61cは回転羽根61bに接続され、ダイレクトドライブ構造によって回転羽根61bを回転駆動するように構成されている。
【0046】
PTCヒータ62は、送風機61内の、ファンケース61aと送風ダクト66との間に配置され、送風機61により送風される空気を加熱する。水槽開口部3aの上縁とドラム開口部4aの上縁との間に、送風ダクト66の送風口67が設けられており、該送風口67からドラム4の下部に向かって温風が吹き出される。
熱交換部63は、水槽3の上部にある送風機61側の開口部63aと水槽背面下部の開口部63bとをつなぐように形成されている。熱交換部63の周壁には冷却水が通流されている。熱交換部63の開口部63b,63a側には、それぞれ第1温度センサ63c,第2温度センサ63dが設けられており、開口部63b,63a付近の温度(空気、冷却水の温度)を検出する。
【0047】
前記乾燥部6が稼働すると、図2の矢印で示すように、空気が水槽3内を循環する。すなわち、送風機61の回転羽根61bが回転し、PTCヒータ62で生成された温風がケース65及び乾燥フィルタ64を通過し、送風ダクト66を経て送風口67からドラム4内の空間の下部に向かって吹き出す。これにより、ドラム4内の洗濯物の水分が蒸発する。その水分を含んだ空気、つまり湿潤空気は、小孔4aからドラム4外に出て、水槽3の背面下部の開口部63bから熱交換部63に吸い込まれ、該熱交換部63の外周に流されている冷却水によって冷却される。これにより、湿潤空気が含む水分が凝縮される。すなわち、該湿潤空気が熱交換部63により除湿されて乾燥空気となる。この乾燥空気は、送風機61側の開口部63aに吸い込まれ、ファンケース61a内に送られて、PTCヒータ62で再び加熱され、ケース65及び乾燥フィルタ64を通過した後、送風口67からドラム4内の下部に向かって吹き出す。乾燥部6が稼動し、温風が循環することにより、ドラム4内にある洗濯物を乾燥させることができる。
【0048】
図3は、洗濯乾燥機100の制御ブロック図である。
制御部7は、CPU(Central Processing Unit)71、洗濯乾燥機100の全体を制御するための制御プログラム及び運転時間テーブル73を格納したROM72、及び作業領域としてのRAM74を備えたマイクロコンピュータ(マイコン)で構成される。CPU71が、ROM72に格納された制御プログラムをRAM74上に読み出し、処理中のデータを一時的にRAM74に格納しながらその制御プログラムを実行する。
運転時間テーブル73は、洗濯乾燥コース毎に、洗濯物の布量及び布質別に、ユーザが選択する運転時間及び変更量の度合いに応じた最短運転時間(下限運転時間)及び最長運転時間(上限運転時間)を設定されている。運転時間のデータは、洗濯乾燥コース、布量及び布質毎に行った乾燥試験のデータに基づいている。
【0049】
制御部7には、水位センサ30、第1温度センサ63c,第2温度センサ63dの検出信号、及び操作部8の操作キーの信号が入力される。制御部7からは、操作部8の表示部に対する表示信号の他に、ドラムモータ5、ファンモータ61c、PTCヒータ62、給水弁27及び排水モータ24に対する駆動信号が出力される。
【0050】
以上のように構成された洗濯乾燥機100においては、CPU71が、洗濯乾燥の都度、ユーザの指示により運転時間テーブル73を選択し、検出した洗濯物の布量(容量、質量)、並びに洗濯物の吸水量(水位の低下に基づく減水量)及び/又はドラムモータ5のトルクの変動量から判定される布質に基づき、運転時間テーブル73を参照して乾燥工程の最短運転時間及び最長運転時間を設定する。そして、乾燥工程において最短運転時間が経過し、かつ第1温度センサ63c,第2温度センサ63dにより検知した温度の差が所定値以上になった場合、又は最長運転時間が経過した場合、CPU71は乾燥工程を終了する。
【0051】
以下、洗濯物中の綿等の親水性繊維と化学繊維等の疎水性繊維との割合(質量比)が60/40以上である場合、布質が親水性(綿多め)であるとし、前記割合が40/60以上60/40未満である場合、布質が標準(混紡)であるとし、前記割合が40/60未満である場合、布質は疎水性(化繊多め)であるとする。なお、この布質判定のための割合は随意に設定することができる。布質は、洗濯物を構成する各衣類が同一の繊維(例えば綿100%)からなるか、複数の繊維の混紡(例えば綿60%と化繊40%との混紡)からなるかに関わらず、洗濯物全体として判定する。また、衣類が化繊からなる場合であっても、厚みが厚いときは吸水量が多くなるので親水性であると判断され得る。
【0052】
図4及び図5はCPU71による洗濯乾燥処理の手順を示すフローチャート、図6は布質の判定方法を設定する画面の一例を示す図である。
【0053】
まず、CPU71は電源キーがオンされたか否かを判定する(S1)。CPU71は電源キーがオンされていないと判定した場合(S1:NO)、処理を繰り返す。
CPU71は電源キーがオンされたと判定した場合(S1:YES)、洗濯乾燥コースの選択を受け付けたか否かを判定する(S2)。CPU71は前記選択を受け付けていないと判定した場合(S2:NO)、処理を繰り返す。
【0054】
CPU71は前記選択を受け付けたと判定した場合(S2:YES)、後述するようにして乾燥運転時の運転時間(最短運転時間及び最長運転時間)を設定する、すなわち運転時間テーブル73を選択する(S3)。
【0055】
CPU71は運転時間の設定後、布質の判定方法の指示を受け付けたか否かを判定する(S4)。CPU71は、図6に示す布質の判定方法の設定画面を操作部8の表示部に表示し、ユーザから布質の判定方法の指示を受け付けたか否かを判定する。CPU71は、布質の判定を「減水量の検出」及び「ドラムモータ5のトルクの変動を検出」の2種類の方法で行うか、洗濯物の布量に応じ、いずれか1種類の方法で行うかの指示を受け付ける。CPU71は前記指示を受け付けていないと判定した場合(S4:NO)、処理を繰り返す。
なお、この布質の判定方法の指示の受付は、洗濯乾燥の都度行わずに、洗濯乾燥機100の設置時、又は所定期間毎に行うことにしてもよい。
【0056】
CPU71は、前記指示を受け付けたと判定した場合(S4:YES)、スタートキーがオンされたか否かを判定する(S5)。CPU71はスタートキーがオンされていないと判定した場合(S5:NO)、処理を繰り返す。
CPU71はスタートキーがオンされたと判定した場合(S5:YES)、洗濯物の布量(質量)を検出する(S6)。CPU71はドラムモータ5の回転数を所定の回転数から所定量増加するのに要した時間と、ブレーキをかけた後、所定の回転数から所定量減じるのに要した時間との比に基づいて布量を検出する。なお、布量の検出方法はこの方法には限定されない。ここでは、布量がY1からY13まで13段階に設定されているとする。
そして、CPU71は後述するようにして布質を判定する(S7)。
【0057】
布質の判定後、CPU71は、洗濯工程を開始する(S8)。CPU71はドラムモータ5によりドラム4を正逆両方向に交互に回転させ、洗剤を用いた洗い処理、予め設定した一定の回転数及び回転時間でドラムを回転させる脱水処理、すすぎ処理等の通常の洗濯処理を実行する。
【0058】
CPU71は洗濯工程が終了したか否か、すなわちすすぎ後の脱水処理が終了したか否かを判定する(S9)。CPU71は洗濯工程が終了していないと判定した場合(S9:NO)、処理を繰り返す。
CPU71は洗濯工程が終了したと判定した場合(S9:YES)、選択した運転時間テーブル73中の、検出した布量及び布質に対応する最短運転時間及び最長運転時間を最短運転時間及び最長運転時間に設定した上で、ドラム4を回転させ、乾燥部6を稼働させて洗濯物の乾燥を開始する(S10)。
そして、CPU71は、設定された最短運転時間が経過したか否かを判定する(S11)。CPU71は最短運転時間が経過していないと判定した場合(S11:NO)、処理を繰り返す。
【0059】
CPU71は最短運転時間が経過したと判定した場合(S11:YES)、第1温度センサ63c,第2温度センサ63dが検知した温度の差が所定値以上であるか否かを判定する(S12)。乾燥の初期において、温風は洗濯物と接触し、水分を吸収して降温された状態でドラム4を排気され、開口部63bを通流されて、第1温度センサ63cにより温度を検知される。そして、乾燥が進行するに従い、熱が奪われず、水分の吸収量が減じるので、第1温度センサ63cが検知する温度は徐々に上昇する。温風が含む熱は顕熱よりも潜熱が多いので、温風に含まれる水蒸気量(=湿度)が低下することにより、熱交換部63における潜熱交換の割合が低下し、顕熱交換が進むので、熱交換部63において排出される総熱量が徐々に低下し、第2温度センサ63dが検知する冷却水の温度は徐々に低下する。従って、乾燥が進行するのに従い、第1温度センサ63c,第2温度センサ63dが検知した温度の差は大きくなるので、該温度の差が所定値以上であるか否かを判定することによって乾燥工程の終了の時点を判定することができる。
【0060】
CPU71は前記温度差が所定値以上でないと判定した場合(S12:NO)、設定された最長運転時間が経過したか否かを判定する(S13)。CPU71は最長運転時間が経過していないと判定した場合(S13:NO)、処理をステップS12へ戻す。
CPU71は前記温度の差が所定値以上であると判定した場合(S12:YES)、及び最長運転時間が経過したと判定した場合(S13:YES)、乾燥運転を終了し(S14)、洗濯乾燥の処理を終了する。
【0061】
以下に、上述のステップS3の運転時間の設定処理について詳述する。
図7はCPU71による運転時間の設定の処理の手順を示すフローチャート、図8は変更する運転時間を設定する画面の一例を示す図、図9は運転時間の変更の度合いを設定する画面の一例を示す図である。
まず、CPU71は、図8に示す設定画面を操作部8の表示部に表示し、ユーザより標準設定から変更する運転時間の設定の指示を受け付けたか否かを判定する(S31)。図8の設定画面において、洗濯物が疎水性である場合(化繊多めの場合)に標準(混紡)の運転時間から変更する(短くする)運転時間として、「最長運転時間」、及び「最短・最長運転時間(の両方)」のいずれのボタンが選択されたかをCPU71は判定する。そして、洗濯物が親水性である場合(綿多めの場合)に変更する(長くする)運転時間として、「最短運転時間」、及び「最短・最長運転時間」のいずれのボタンが選択されたかを判定して、制御部7は前記設定の指示の受付の有無を判定する。制御部7は前記指示を受け付けていないと判定した場合(S31:NO)、処理を繰り返す。
【0062】
CPU71は前記指示を受け付けたと判定した場合(S31:YES)、運転時間の変更の度合いの設定の指示を受け付けたか否かを判定する(S32)。図9の設定画面において、化繊多めの場合の最短運転時間,最長運転時間それぞれの変更量として「標準設定(デフォルトの変更量で運転時間を変更する)」、「短め(変更量がデフォルトの変更量より多い)」、及び「長め(変更量がデフォルトの変更量より少ない)」のいずれのボタンが選択されたかをCPU71は判断する。そして、綿多めの場合の最短運転時間,最長運転時間それぞれの変更量として「標準設定」、「短め」、及び「長め」のいずれのボタンが選択されたかを判断して、制御部7は前記設定の指示の受付の有無を判定する。CPU71は前記指示を受け付けていないと判定した場合(S32:NO)、処理を繰り返す。
なお、ステップS31において、例えば、化繊多めの場合は最長運転時間のみ変更し、綿多めの場合は最短運転時間のみ変更するように指示されたとき、図9の運転時間の変更の度合いの設定画面で、化繊については最長運転時間の変更量の選択ボタンのみ示し、綿については最短運転時間の変更量の選択ボタンのみ示す、これらの選択ボタンのみ押下可能にする、又はこれらの選択ボタンのみハイライトに表示したりするのが好ましい。
また、ステップS31,32の指示の受付は、洗濯乾燥の都度行わずに、洗濯乾燥機100の設置時、又は所定期間毎に行うことにしてもよい。
【0063】
CPU71は前記指示を受け付けたと判定した場合(S32:YES)、選択された洗濯乾燥コースに対応して、化繊多め、標準、綿多めそれぞれの場合について、洗濯物の布量毎に、ユーザの選択(短め、標準設定、長めのいずれか)に応じた最短運転時間及び最長運転時間を示した運転時間テーブル73を設定する(S33)。すなわち、CPU71はステップS31,32における指示に基づいて運転時間テーブル73を選択する。
【0064】
下記の表1は、洗濯乾燥コースが標準コースであり、化繊多めのとき、最長運転時間のみ短くし、綿多めのとき、最短運転時間のみ長くし、かつ、運転時間の変更量は標準設定の変更量を用いるようにユーザにより指示された場合(S31,S32)の運転時間テーブルを示す表である。最短運転時間及び最長運転時間の単位は分である。
【0065】
【表1】

【0066】
表1に示すように、化繊多めの場合、最短運転時間は混紡の場合と変わらないが、最長運転時間は混紡の場合より短くしている。これにより本来乾きやすい洗濯物が必要以上に乾燥されて、しわが生じたり布地が傷んだりするのが防止され、無駄な電力の消費が抑制される。また、綿多めの場合、最長運転時間は混紡の場合と変わらないが、最短運転時間は混紡の場合より長くしている。停止時期の判断の前提条件である最短運転時間を長くするので、未乾燥が防止される。
【0067】
表2は、洗濯乾燥コースが標準コースであり、化繊多めのとき、最長運転時間のみ短くし、綿多めのとき、最短運転時間のみ長くし、かつ、化繊の最長運転時間は長め、綿の最短運転時間は短めにするようにユーザにより指示された場合(S31,S32)の運転時間テーブルを示す表である。
【0068】
【表2】

【0069】
表2に示すように、化繊多めの場合、最長運転時間は混紡の場合より短いが、表1の標準設定よりは長くしている。また、綿多めの場合、最短運転時間は混紡の場合より長いが、表1の標準設定より短くしている。この場合、洗濯物の乾燥の仕上がり状態をユーザの好みに適合させることができる。例えばユーザが洗濯物を洗濯乾燥機100に投入したときに、化繊の量が多いが、厚手の物が多いことを視認した場合、最長運転時間を長めに設定することで、未乾燥をより確実に防止することができる。
【0070】
表3は、洗濯乾燥コースが標準コースであり、化繊多めのとき、最短・最長運転時間ともに短くし、綿多めのとき、最短・最長運転時間ともに長くし、かつ、運転時間の変更量は標準設定値を用いるようにユーザにより指示された場合(S31,S32)の運転時間テーブルを示す表である。この場合、化繊多めの場合の過乾燥をより確実に防止することができ、綿多めの場合の未乾燥をより確実に防止することができる。
【0071】
【表3】

【0072】
以下に、上述のステップS7の運転時間の設定処理について詳述する。
図10は、CPU71による布質の判定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、CPU71は、ステップS4において布質判定を2種類の方法で行うように指示されたか否かを判定する(S41)。
CPU71は布質の判定を2種類の方法で行うように指示されたと判定した場合(S41:YES)、減水量を検出する(S42)。具体的にはCPU71は水槽3に給水し、給水完了後の水位を水位センサ30により検知し、例えば2分間等の所定時間撹拌(なじませ水流)を行った後に再度水位センサ30にて水位を検知し、前記給水完了時の水位からの減水量を検出する。そして、再度水槽3に給水し、2分間撹拌して減水量を検出するのを2回繰り返す。CPU71は、この3回の減水量の合計値、又は3回目の減水量をROM72に記憶する。布質が親水性である場合、減水量が多くなる。なお、減水量の求め方は上記の場合に限定されない。
【0073】
次に、CPU71はドラムモータ5のトルクの変動を検知する(S43)。CPU71はドラム4内の水位が所定の水位に達して安定した後に、q軸電流の大きさに基づいてドラムモータ5のトルク変動の大きさ(変動幅及び平均値)を検知する。洗濯物中の綿の比率が大きく、吸水性が大きい場合、ドラムモータ5のトルクの変動は大きくなる。
【0074】
CPU71は、ステップS41において、布質判定を2種類の方法で行うように指示されていないと判定した場合、すなわち1種類で行うように指示されたと判定した場合(S41:NO)、ステップS6において検出した布量が2kg以上であるか否かを判定する(S44)。CPU71は布量が2kg以上であると判定した場合(S44:YES)、減水量を検出する(S45)。CPU71は布量が2kg以上でない、すなわち2kg未満であると判定した場合(S44:NO)、ドラムモータ5のトルクの変動を検知する(S46)。布量が小さい場合、布質の判定を減水量に基づき行うことにした場合、減水量の絶対量が小さくなって布質を正確に判定するのが困難になるので、ドラムモータ5のトルクの変動の大きさを検知する。
【0075】
CPU71はステップS42及びS43の結果に基づいて、又はステップS45の減水量若しくはステップS46のトルクの変動の大きさに基づいて洗濯物の布質を判定する(S47)。布質の判定を2種類の方法で行う場合、判定がより正確になる。
【0076】
以上のように、本実施の形態においては、洗濯物の布量及び布質に応じてきめ細かく最短運転時間及び最短運転時間を設定して、適正な時間、乾燥工程を行うことができるので、乾燥工程終了後に洗濯物が未乾燥又は過乾燥の状態になるのが抑制され、無駄な電力の消費が抑制される。
【0077】
なお、本実施の形態においては、ステップS3において変更する運転時間及び変更の度合いの設定の指示を受け付ける場合につき説明しているがこれに限定されるものではない。CPU71が布量を検出し、布質を判定した場合に、各布量及び布質に対応して予め設定された(標準設定の)最短運転時間及び最長運転時間に基づいて乾燥処理を実施することにしてもよい。
前記指示を受け付けて乾燥を実施する場合、洗濯物の乾燥の仕上がり状態をユーザの好みに適合させることができる。
そして、布質を判定するための基準(親水性繊維と疎水性繊維との割合)をユーザにより調整できるようにしてもよい。
【0078】
また、本実施の形態においては、布質を減水量及び/又はドラムモータ5のトルク変動の大きさに基づいて判定する場合につき説明しているがこれに限定されるものではない。そして、布質の判定を1種類の方法で行う場合に方法を選択する基準となる洗濯物の布量は2kgには限定されない。
【0079】
さらに、最短運転時間が経過した後、温度差を測定する場合の第1温度センサ63c,第2温度センサ63dの位置は本実施の形態で示した場合に限定されない。例えば水槽3の上部の温度(これから乾燥に用いられる温風の温度)及び排気口の温度(温風の洗濯物に接触した後の温度)の温度差を求めることにしてもよい。この場合、乾燥が進行するのに従い、温度差は小さくなるので、最短運転時間経過後、該温度差が所定値以下になった場合に乾燥部6の運転を停止する。
【符号の説明】
【0080】
1 外箱
2 ドア
3 水槽
3a 水槽開口部
4 ドラム
4a ドラム開口部
4b 孔
5 ドラムモータ
6 乾燥部
61 送風機
62 PTCヒータ
63 熱交換部
63a、63b 開口部
63c 第1温度センサ
63d 第2温度センサ
64 乾燥フィルタ
65 ケース
66 送風ダクト
67 送風口
7 制御部
71 CPU
72 ROM
73 運転時間テーブル
74 RAM
8 操作部
30 水位センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽内に回転自在に配置され、周壁に複数の孔が設けられたドラムと、
該ドラムを回転駆動するモータと、
前記孔を通して前記ドラムの外部へ排気した空気を除湿及び加熱して前記ドラムの内部へ送出するように循環させ、前記ドラムの内部に収容した洗濯物を乾燥させる乾燥手段と、
前記ドラムの内部に収容した洗濯物の布量を検出する布量検出手段と、
前記乾燥手段の運転を制御する運転制御手段と、
前記布量検出手段により検出した布量に基づいて、前記乾燥手段の運転の開始時点から運転の停止の判定を開始する時点までの下限運転時間、及び前記判定の結果に関わらず、前記運転の開始時点からの経過により運転を停止する上限運転時間を設定する時間設定手段と
を備える洗濯乾燥機において、
前記洗濯物の布質が所定の基準より親水性であるか又は疎水性であるかを判定する布質判定手段を備え、
前記時間設定手段は、判定した布質に基づいて下限運転時間及び上限運転時間を設定することを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
前記時間設定手段は、前記布質判定手段により前記布質は親水性であると判定した場合に、布質が前記所定の基準の布質である場合に予め設定してある基準下限運転時間より下限運転時間を長くすることを特徴とする請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
前記時間設定手段は、前記布質判定手段により前記布質は親水性であると判定した場合に、布質が前記所定の基準の布質である場合に予め設定してある基準上限運転時間より上限運転時間を長くすることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗濯乾燥機。
【請求項4】
前記時間設定手段は、前記布質は疎水性であると判定した場合に、前記基準上限運転時間より上限運転時間を短くすることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1つに記載の洗濯乾燥機。
【請求項5】
前記時間設定手段は、前記布質は疎水性であると判定した場合に、前記基準下限運転時間より下限運転時間を短くすることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1つに記載の洗濯乾燥機。
【請求項6】
水槽内の水位を検知する水位検知手段を備え、
前記布質判定手段は、前記水位検知手段により所定の水位であることが検知された後、所定時間撹拌を行って再度前記水位検知手段により検知された水位と、前記所定の水位との差に基づいて前記洗濯物の布質を判定することを特徴とする請求項1から5までのいずれか1つに記載の洗濯乾燥機。
【請求項7】
前記モータのトルク変動の大きさを検知するトルク変動検知手段を備え、
前記布質検知手段は、前記トルク変動検知手段により検知されたトルク変動の大きさに基づいて前記布質を判定することを特徴とする請求項1から6までのいずれか1つに記載の洗濯乾燥機。
【請求項8】
前記布質検知手段は、前記布量検出手段により検出された布量が所定値以下である場合に、前記トルク変動の大きさに基づいて前記布質を判定することを特徴とする請求項7に記載の洗濯乾燥機。
【請求項9】
前記時間設定手段により設定する下限運転時間又は上限運転時間の、前記基準下限運転時間又は前記基準上限運転時間との差に係る指示を受け付ける指示受付手段を備え、
前記時間設定手段は、前記指示受付手段により前記指示を受け付けたと判定した場合に、前記指示に基づいて下限運転時間又は上限運転時間を設定することを特徴とする請求項1から8までのいずれか1つに記載の洗濯乾燥機。
【請求項10】
前記空気の循環経路の異なる位置の温度を検知する2つの温度検知手段と、
下限運転時間が経過したか否かを判定する下限運転時間経過判定手段と、
前記2つの温度検知手段により検知した温度の差が所定の範囲であるか否かを判定する温度差判定手段と
を備え、
前記運転制御手段は、前記下限運転時間経過判定手段により下限運転時間が経過したと判定し、前記温度差判定手段により前記温度の差が前記所定の範囲であると判定した場合に、前記乾燥手段の運転を停止することを特徴とする請求項1から9までのいずれか1つに記載の洗濯乾燥機。
【請求項11】
上限運転時間が経過したか否かを判定する上限運転時間経過判定手段を備え、
前記運転制御手段は、前記上限運転時間経過判定手段により上限運転時間が経過したと判定した場合に、前記乾燥手段の運転を停止することを特徴とする請求項1から10までのいずれか1つに記載の洗濯乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−130424(P2012−130424A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283349(P2010−283349)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】