洗濯機
【課題】槽傾斜装置の異常発生時に異常状態により動作停止や警報出力を行い、安全にしかも確実に適切な処理を実行できるようにした洗濯機を得る。
【解決手段】制御部71が負荷駆動回路72を駆動すると、駆動機構31は嵌合歯車32を回転させる。これにより、嵌合歯車32の雌ネジと噛み合う雄ネジ34が上下方向に動作して吊り棒4を同方向に移動させる。複数の吊り棒の各々に対して嵌合歯車32の回転角度を調整することで、吊り棒によって吊り下げられている水槽5が傾斜する。また、嵌合歯車32の回転に伴い、嵌合歯車32に設けられているマグネットとホールICから回転角度に対応する数のパルス信号を発生してパルス検出回路74経由で制御部71へ送られる。制御部71は、負荷駆動回路72を目標方向へ移動するように駆動しても前記パルス検出手段からのパルスを受信しなければ、異常が発生したと判断し、駆動停止や警報出力などを行う。
【解決手段】制御部71が負荷駆動回路72を駆動すると、駆動機構31は嵌合歯車32を回転させる。これにより、嵌合歯車32の雌ネジと噛み合う雄ネジ34が上下方向に動作して吊り棒4を同方向に移動させる。複数の吊り棒の各々に対して嵌合歯車32の回転角度を調整することで、吊り棒によって吊り下げられている水槽5が傾斜する。また、嵌合歯車32の回転に伴い、嵌合歯車32に設けられているマグネットとホールICから回転角度に対応する数のパルス信号を発生してパルス検出回路74経由で制御部71へ送られる。制御部71は、負荷駆動回路72を目標方向へ移動するように駆動しても前記パルス検出手段からのパルスを受信しなければ、異常が発生したと判断し、駆動停止や警報出力などを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関するものであり、特に異常処理機能を備えた洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、洗濯機は外箱内にその四隅から吊り下げ手段によって水槽を吊下げ、底部に攪拌翼を配設した洗濯兼脱水槽を上記水槽内に配設し、洗濯兼脱水槽の下方にギヤ、クラッチなどの機構を介してモータを配設したもので、外箱の上部の四隅部から、吊り棒を主体とする吊り下げ手段によって水槽が吊持されており、この槽体の内部に、洗濯槽と脱水槽とを兼ねる内槽が配設されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、洗濯機には、水平軸または傾斜軸を中心に回転するドラムを有するドラム式洗濯機や、鉛直軸を中心に回転するドラムを有する縦型洗濯機が知られている。ドラム式洗濯機には衣類の取り出し易さや布がらみの少なさ、縦型洗濯機には低温度低振動などそれぞれにメリットがあるが、それらのメリットを同時に実現するため、洗濯の工程ごとに水槽の傾斜角度を制御する洗濯機が考案されている。(水槽傾斜角度制御、水槽傾斜の角度リミット検知)。
【特許文献1】特開2000−237491号公報(図12及び図13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1で示される従来の洗濯機では、水槽の傾斜角度を制御する部品が異常な挙動を示した場合には、槽傾斜角度が動作不能の状態に陥り、洗濯・乾燥運転を継続できないという問題や、槽傾斜装置が動作し続けて故障を引き起こすという問題があった。
【0005】
本発明は上記の課題を解決するために為されたものであり、外箱の中に弾性的に吊支された水槽を、運転条件などにより傾斜可能な洗濯機において、槽傾斜装置の異常発生時に異常状態により動作停止や警報出力を行い、安全にしかも確実に適切な処理を実行できるようにした洗濯機を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る洗濯機は、外箱と、水槽と、外箱の隅に設けられた吊り板と、吊り板によって前記水槽を支持する吊り棒と、回転体と動作時に回転体を回転させて吊り棒を上下方向に移動させる駆動機構とを有する槽傾斜装置と、槽傾斜装置を駆動する制御部と、回転体の回転角度に応じて数が変化するパルス信号を発生して制御部へ送信するパルス検出手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回転体と動作時に回転体を回転させて吊り棒を上下方向に移動させる駆動機構とを有する槽傾斜装置と、槽傾斜装置を駆動する制御部と、回転体の回転角度に応じて数が変化するパルス信号を発生して制御部へ送信するパルス検出手段と、を備え、槽傾斜装置の異常状態により動作停止や警報出力を行うので、安全にしかも確実に適切な処理が実行可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1を示す洗濯機の側面断面図である。また、図2は上記洗濯機のトップカバーを外したときの平面図である。また、図3は図1におけるアクチュエーターの断面図である。
次に、実施の形態1について図1〜図3を用いて説明する。アクチュエーター1は外箱2の四角に設けられた吊り板3で支持されており、吊り棒4の長さを変位させる機能を持つ。また、水槽5は、下部のフランジ6に形成された孔に吊り棒4を通し、吊り棒4の下部先端の防振部分7がこのフランジ6に当接することで上下方向に弾性支持されている。また、アクチュエーター1は、図3に示すように駆動機構31と、雌ネジが切られた内面を持ち、駆動機構31によって回転動作する嵌合歯車32(回転体)と、嵌合歯車32の雌ネジ33と嵌合する外側面を持ち、吊り棒4を貫通させて固着保持する管状の雄ネジ34と、球面座35を持つ。この球面座35を吊り板3の凹部(図示せず)と嵌合させることで、アクチュエーター1は吊り板3を介して外箱2に固定的に支持される。また、図4はアクチュエーター1の内部の断面図を示している。図4に示すように、嵌合歯車32に取り付けられたマグネット41の到来を嵌合歯車32の上方にあるホールIC42によって非接触で検出できる構成になっている。また、図5はアクチュエ−ター1の平面図を示しており、嵌合歯車32の周方向に沿って等間隔に設けられた位置検出個所51に複数のマグネット41が取り付けられており、嵌合歯車32の回転とともに位置検出個所51が到来する所定位置の真上に1個のホールIC42が取り付けられていることを示している。
【0009】
次に、水槽5を傾斜させる機構について説明する。図3の駆動機構31を動作させると、嵌合歯車32が回転し、この嵌合歯車32の内部に一体に形成されている雌ネジ33が同期して吊り棒4を中心軸として水平方向に回転する。この雌ネジ33の回転により、この雌ネジ33と嵌合している雄ネジ34が逆方向に回転し、同時に回転方向と垂直な上下方向に移動する。吊り棒4はこの雄ネジ34の内部で固着されているので、この雄ネジ34と共に上下方向に移動する。ホールIC42は、嵌合歯車32の回転に伴い、位置検出個所51に取り付けられているマグネット41がホールIC42の真下を通過する都度、これを検知し、パルス状の信号を発するので、このパルスの数を数えることにより嵌合歯車32の回転角度を判定することができる。この嵌合歯車32の回転角度を測定することによって、4本の吊り棒4の各々の移動距離が分かり、これにより水槽5の傾斜角度が検出できる。
水槽5を傾斜させる場合、例えば、前方の2つのアクチュエーター1を駆動せず、後方の2つのアクチュエーター1のみを駆動すると、後方の2本の吊り棒4のみが上方に引き上げられる。これに伴い、水槽5のフランジ6も後部のみが後部の吊り棒4の防振部分7によって引き上げられるので水槽5は前方へ傾く。このように、アクチュエーター1を駆動して吊り棒4の長さを変位させることで、水槽5を目的の傾斜状態に調整することができる。
【0010】
次に、本実施の形態1における異常検知処理について説明する。
なお、この実施の形態1では、図7の構成から電流検出回路73を除いた構成が用いられる。図7は、異常検知処理回路の構成を示すブロック図であり、CPUやメモリを備えたマイコンで構成された制御部71と、アクチュエーター1に電流を流して駆動する負荷駆動回路72と、ホールIC42がマグネット41の到来を検知する都度、発生するパルスを検出するパルス検出回路74とから構成されている。
次に、実施の形態1の動作を説明する。
水槽5を傾斜させる際、制御部71は、負荷駆動回路72に対して、目標値(目標角度に相当)を指令として与えてアクチュエーター1に電流を流す(通電する)。これにより、嵌合歯車32が回転を開始し、吊り棒が目標の位置に達するまで回転を継続する。この間、嵌合歯車32に設けられたマグネット41がホールIC42の真下を通過する都度、ホールIC42からパルス状信号が発生する。ホールIC42から出力されたパルス信号をパルス検出回路が受信すると、パルスとして検出し、制御部71へ送信する。制御部71はパルス検出回路からパルスを受信すると、このパルスの数をカウントして積算数が目標値に達したか否かを比較により確認する。また、制御部71は、この間に電流検出回路73が検出したアクチュエーター1に流れる電流が異常か否かを絶えず監視し、正常ならば、目標位置に達するまで、アクチュエーター1の運転を続行し、異常ならばアクチュエーター1の運転を停止し、必要に応じて図示しない警報装置に表示または音声出力の形で出力する。
そして、目標値に達したらアクチュエーター1への電流の供給(通電)を停止する。これにより、傾斜動作が停止する。
【0011】
図8は、本発明の実施の形態1における異常検知処理を示すフローチャートである。
次に、実施の形態1における異常検知処理の動作を図1〜7および図8のフローチャートを用いて説明する。
水槽5を目標の角度に傾斜させる時に、制御部71は、まず水槽5を目標角度に対する方向(以下、正方向と呼ぶことがある)に傾斜させるために負荷駆動回路72を駆動してアクチュエーター1に電流を供給(通電)する(ステップS81)。そして正常なパルスが検出されているか否かを調べる(ステップS82)。正常なパルスを検出すれば、負荷駆動回路72とアクチュエーター1から成る槽傾斜装置、およびホールIC42とパルス検出回路74から成る位置検出装置は正常であり、運転が良好であると判断されるので、ステップS83に進み、目標角度に到達したか否か調べる。目標角度に到達していなければステップS81に戻り、目標角度に達するまで上記槽傾斜装置の駆動を続行する。そして、目標角度に達したら、処理を終了して槽傾斜装置の駆動を停止する。これにより、水槽5は目標角度で停止する。
ステップS82において、正常なパルスが検出できなかった時には、この異常状態が1回目であるか否かを調べ(ステップS84)、1回目でなく、複数回目であれば、槽傾斜装置か位置検出装置の少なくとも一方が、障害物や摩擦などにより動けず、過負荷の状態であることが想定されるので、「過負荷の状態である」旨のエラーメッセージを警報手段(図示せず)に表示または音声出力した(ステップS85)上で処理を終了する。
ステップS84において、正常パルスが入力されないという異常状態が1回目であれば、ノイズによる誤動作も考えられる。そこで、槽傾斜装置および位置検出装置が正常に動作するか否かを調べるために、目標角度の方向とは逆の方向に槽傾斜装置を駆動させる(ステップS86)。そして、正常パルスが受信できたか調べる(ステップS87)。正常パルスが受信できれば、槽傾斜装置および位置検出装置が正常であり、ノイズによる誤動作と判断されるので、再度ステップS81に戻って、正方向の槽傾斜駆動を再開(リトライ)して目標の角度になるまで通電を継続する。この時、再び正常パルスが検出できなければ表示装置にエラー表示(過負荷)する。
ステップS87において、逆向きに駆動させても正常なパルスが検出できない時には、槽傾斜装置または位置検出装置の故障であると判断して警報装置に「槽傾斜装置を駆動できない」という旨のエラーメッセージを表示または音声出力した(ステップS88)上で処理を終了する。
【0012】
以上のように、この実施の形態1によれば、負荷駆動回路とアクチュエーターから成る槽傾斜装置、またはホールICとパルス検出回路から成る位置検出装置に異常があった場合に、制御部はその異常状態により動作停止や動作のやり直しなどの判断を下すとともに、異常状態に応じて異なる警報出力を行うので安全にしかも確実に適切な処理を実行することが可能である。
【0013】
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2における異常検知処理を示すフローチャートである。
図1〜図5と図7は、この実施の形態2でも用いられる。なお、この実施の形態2では、実施の形態1の構成に図7に示す電流検出回路73が追加されている。電流検出回路73は、アクチュエーター1に流れる電流を検出して、制御部71へ出力する。
次に、実施の形態2における異常検知処理の動作を図1〜図5、図7および図9のフローチャートを用いて説明する。
ステップS81〜ステップS87までは実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。ステップS87において、逆向きに駆動させても正常なパルスが検出できない時には、制御部71は、槽傾斜装置の異常かそれとも位置検出装置の異常かを判別するために、電流検出回路73からの信号を調べ、アクチュエーター1に電流が流れたか否かを判断する(ステップS91)。電流検出回路73がアクチュエーター1への電流を検出したときには、槽傾斜装置は正常であるため、制御部71は、異常状態は、位置検出装置の故障であると判断して警報装置に「パルス検出異常」という旨のエラーメッセージを表示または音声出力した(ステップS92)上で処理を終了する。また、ステップS91において、電流検出回路73がアクチュエーター1への電流を検出しなかったときには、槽傾斜装置の故障であると判断して警報装置に「槽傾斜装置故障」という旨のエラーメッセージを表示または音声出力した(ステップS93)上で処理を終了する。
【0014】
以上のように、この実施の形態2によれば、電流検出回路を追加することで、実施の形態1の効果に加えて、正方向および逆方向での槽傾斜装置の駆動において正常パルスが受信出来ない場合には、警報出力をさらに槽傾斜装置動作不具合の槽傾斜装置故障(電流0)とパルス検出異常(定常電流)とに細別することが可能である。
【0015】
実施の形態3.
図10は、本発明の実施の形態3における異常検知処理を示すフローチャートである。
図1〜図5と図7は、この実施の形態3でも用いられる。
この実施の形態3の構成は実施の形態2と同様である。
次に、実施の形態3における異常検知処理の動作を図1〜図5、図7および図10のフローチャートを用いて説明する。
ステップS85を除くステップS81〜ステップS87まで、およびステップS91〜ステップS93までは実施の形態2と同様であるため、説明を省略する。
ステップS84において、正常パルスが受信出来ないという異常状態が1回目でない場合、槽傾斜装置が過負荷であると判断される。この場合、アクチュエーター1の駆動部分にゴミが詰まって過負荷状態になっているか、障害物によって過負荷状態になっているかの少なくとも一方であることが想定される。ゴミ詰まりによる過負荷の場合には、アクチュエーター1の駆動力(トルク)をさらに高めてゴミを振り払うことで、正常運転に戻すことが可能である。そこで、ステップS84において、過負荷と判定したとき、制御部71は、槽傾斜装置へ指令を送り、アクチュエーター1への印加電圧をUPさせる(ステップS101)。そして、正常パルスが受信できたか否かを調べる(ステップS102)。正常パルスが受信できたときには、アクチュエーター1の動作により詰まっていたゴミが振り払われて過負荷の状態が解除され、再び運転が可能になったと判断できるので、制御部71は、ステップS81に戻り、正方向の槽傾斜駆動を再開(リトライ)して目標の角度になるまで通電を行う。
ステップS102において、正常パルスが受信できなかったときには、過負荷の状態を解除できていないため、「過負荷」という旨のエラーメッセージを警報手段(図示せず)に表示または音声出力した(ステップS103)上で処理を終了する。
【0016】
以上のように、この実施の形態3によれば、実施の形態2の効果に加えて、過負荷で槽傾斜装置が駆動できないときでも、必要性に応じて制御側電源の印加電圧を上げ、駆動トルクを調整することで、駆動を再開することができる。
【0017】
実施の形態4.
この実施の形態4では、左用のアクチュエーター1と右用のアクチュエーター1の双方を同時に利用してバランスよく水槽5を傾ける場合の異常処理について説明する。
図11は、本発明の実施の形態4における異常検知処理を示すフローチャートである。
図1〜図5と図7は、この実施の形態4でも用いられる。
この実施の形態4の構成は実施の形態1と同様である。
次に、実施の形態4における異常検知処理の動作を図1〜図5、図7および図11のフローチャートを用いて説明する。
水槽5を目標の角度に傾斜させる時に、制御部71は、まず水槽5を正方向に傾斜させるために左右双方の負荷駆動回路72を駆動して左右双方のアクチュエーター1に電流を供給(通電)する(ステップS81)。そして正常なパルスが検出されているか否かを調べる(ステップS82)。正常なパルスが検出できなかった時には、実施の形態1におけるステップS84以降の処理と同様の処理を実行する。
ステップS82において、正常なパルスを検出すれば、負荷駆動回路72とアクチュエーター1から成る槽傾斜装置、およびホールIC42とパルス検出回路74から成る位置検出装置は正常であり、運転が良好であると判断されるので、制御部71は、パルスを左右それぞれについて積算し、左右それぞれのパルス積算数を比較してその差を算出する。次に、制御部71は、この差が所定の値(Nとする)以内か否かを調べる。所定以内ならば、左右はある程度バランスがとれているので、制御部71は、目標角度に到達したか否かを調べ(ステップS83)、目標角度に到達しなければ、ステップS81に戻り、到達するまで槽傾斜装置の駆動を続行する。そしてステップS83において、目標角度に到達したら、処理を終了する。
一方、ステップS111において、左右アクチュエーター1の駆動による積算パルス数の差が所定の値N以上であれば、2つのアクチュエーターの駆動トルクの相違により水槽傾斜駆動において左右のバランスが悪いと判断されるので、駆動トルクの強い方の駆動を停止して、駆動トルクの弱いアクチュエーター1のみを駆動させて、バランスをとることが必要である。そこで、制御部71は、左右の積算パルス数の大小を比較し(ステップS112)、左の積算パルス数が右のそれよりも大きければ、左のアクチュエーター1のみ駆動を停止(OFF)して(ステップS113)、ステップS83へ飛び、積算パルス数の差が所定値以内に収まる(即ち、バランスがとれる)まで右のアクチュエーターのみを駆動する。そして、積算パルス数の差が所定値以内に収まった(バランスがとれた)とき、再び、左右双方のアクチュエーター1の通電を開始し、目標角度に達するまで駆動を続行する。また、ステップS113において、右の積算パルス数が左のそれよりも大きければ、右のアクチュエーター1のみ駆動を停止(OFF)して(ステップS114)、ステップS83へ飛び、積算パルス数の差が所定値以内に収まる(即ち、バランスがとれる)まで左のアクチュエーターのみを駆動する。そして、積算パルス数の差が所定値以内に収まった(バランスがとれた)とき、再び、左右双方のアクチュエーター1の通電を開始し、目標角度に達するまで駆動を続行する。
【0018】
以上のように、槽傾斜装置を駆動した場合のパルスが、左右で大きく差が出たときには、槽の傾斜が左右に傾いてしまうから、駆動速度がより速い槽傾斜装置の駆動を一旦停止して、駆動速度がより遅い槽傾斜装置のみを駆動する。そして、左右方向の傾斜角度が同等になった(バランスがとれたことを意味する)ときに、駆動速度がより遅い槽傾斜装置を駆動したまま、駆動速度がより速い槽傾斜装置の駆動を再開して目標の角度に傾斜させるので、バランスよい槽傾斜制御が可能である。
【0019】
この実施の形態4によれば、実施の形態1〜3の効果に加えて、左右の槽傾斜装置を同時に駆動したときにこの左右でバランスが大きく崩れた場合には、左右のバランスが所定の範囲に入るまでの間、進んでいる方の駆動を止め、遅れている方のみを駆動するように構成したので、常時バランスのとれた槽傾斜制御が可能である。
【0020】
実施の形態5.
この実施の形態5では、槽傾斜装置駆動時の正常な回転パルスを検知していながらも、回転速度が設定した範囲外であった場合の処理について説明する。
図12は、本発明の実施の形態5における異常検知処理を示すフローチャートである。
図1〜図5と図7は、この実施の形態5でも用いられる。
この実施の形態5の構成は実施の形態1と同様である。
次に、実施の形態5における異常検知処理の動作を図1〜図5、図7および図12のフローチャートを用いて説明する。
水槽5を目標の角度に傾斜させる時に、制御部71は、まず水槽5を正方向に傾斜させるために負荷駆動回路72を駆動してアクチュエーター1に電流を供給(通電)する(ステップS81)。そして正常なパルスが検出されているか否かを調べる(ステップS82)。正常なパルスが検出できなかった時には、実施の形態1におけるステップS84以降の処理と同様の処理を実行する。
ステップS82において、正常なパルスを検出すれば、負荷駆動回路72とアクチュエーター1から成る槽傾斜装置、およびホールIC42とパルス検出回路74から成る位置検出装置は正常であり、運転が良好であると判断されるので、回転速度が予め設定した範囲(例えば、+10%〜−10%の範囲)内にあるか否かを調べる(ステップS121)。回転速度が設定範囲内にあれば、槽傾斜装置は正常であり、運転が良好であると判断されるので、目標角度に到達したか否かを調べ(ステップS83)、まだ目標角度に到達していなければ、ステップS81に戻り、到達するまで槽傾斜装置の駆動を続行する。そしてステップS83において、目標角度に到達したら、処理を終了する。
一方、ステップS121において、回転速度が設定範囲外であれば、その範囲が+10%を超えているか否かを調べ(ステップS122)、+10%を上回っていれば、槽傾斜移動速度が異常に高いと判断されるので、槽傾斜装置への印加電圧をダウンして回転速度を減速させて(ステップS123)、ステップS83へ飛び、回転速度が設定範囲内に収まるまで印加電圧のダウンを続行する。そして、回転速度が設定範囲内に収まったとき、再び、通常通り、槽傾斜装置の駆動を開始し、目標角度に達するまで駆動を継続する。ステップS122において、+10%を上回っていなければ、−10%を下回っており、傾斜移動速度が異常に低いと判断されるので、槽傾斜装置への印加電圧をアップして回転速度を加速させて(ステップS124)、ステップS83へ飛び、回転速度が設定範囲内に収まるまで印加電圧のアップを続行する。そして、回転速度が設定範囲内に収まったとき、再び、通常通り、槽傾斜装置の駆動を開始し、目標角度に達するまで駆動を継続する。
【0021】
以上のように、槽傾斜装置駆動時の正常な回転パルスを検知していながらも、回転速度が設定した範囲外であった場合には、槽傾斜移動速度の異常と判断し、制御電源の印加電圧を制御することで、正常な槽傾斜移動速度に戻すことが可能となる。
【0022】
この実施の形態4によれば、実施の形態1の効果に加えて、回転速度が設定した範囲外であった場合には、制御電源の印加電圧を制御することで、正常な槽傾斜移動速度に戻すことが可能となる。
【0023】
実施の形態6.
マイコンに併設した記憶装置の槽傾斜位置情報が消えてしまった場合(動作中の停電、基板の交換等)などは、目標の角度までの駆動が不安定になってしまう。
そこで、この実施の形態6では、上記記憶装置の槽傾斜位置情報が消えてしまった場合の処理について説明する。
また、水槽5を傾斜させるときに、外箱2と衝突して破損することを防ぐために図6のような水槽5の傾斜角度の移動上限(0°や20°など)を検出する移動上限センサ(マイクロスイッチ等)61を備えることで、水槽5の傾斜角度の上限を設定することが可能となる。
図13は、本発明の実施の形態6における異常検知処理を示すフローチャートである。
図1〜図7は、この実施の形態6でも用いられる。
この実施の形態6の構成は実施の形態1と同様である。
次に、実施の形態6における異常検知処理の動作を図1〜図7および図13のフローチャートを用いて説明する。
制御部71は、位置情報が記憶装置にあるか否かを調べ(ステップS131)、位置情報が記憶装置にあれば問題ないので処理を終了する。ステップS131において、位置情報が記憶装置になければ、制御部71は、槽傾斜装置に通電を行い(ステップS61)、移動上限に到達したか否かを調べる(S63)。移動上限に到達しなければ、ステップS61に戻り、移動上限に到達するまで槽傾斜装置に通電を続行する。ステップS63において、移動上限に到達したら、制御部71は、傾斜位置情報を初期値として設定して(ステップS132)、処理を終了する。
【0024】
以上のように、マイコンに併設した記憶装置の槽傾斜位置情報が消えてしまった場合、図6に示す水槽傾斜角度の移動上限センサを使用して、一旦0°や20°まで傾けて、槽傾斜位置情報を初期化するので、以降は目標の角度に達するまで通常通り槽傾斜装置を駆動することが可能になる。
【0025】
この実施の形態6によれば、実施の形態1の効果に加えて、記憶装置の槽傾斜位置情報が消えてしまった場合でも、一旦移動上限まで傾けてその位置で槽傾斜位置情報を初期化するようにしたので、以降は目標の角度に達するまで通常通り槽傾斜装置を駆動することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1〜5を示す洗濯機の側面断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1〜5における洗濯機のトップカバーを外したときの平面図である。
【図3】図1におけるアクチュエーターの縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1〜5におけるアクチュエーター1の内部の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1〜5におけるアクチュエ−ター1の平面図である。
【図6】本発明の実施の形態6における移動上限センサを備えたアクチュエーターの縦断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1〜5における異常検知処理回路の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態1における異常検知処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2における異常検知処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態3における異常検知処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態4における異常検知処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態5における異常検知処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態6における異常検知処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0027】
1 アクチュエーター、2 外箱、3 吊り板、4 吊り棒、5 水槽、6 フランジ、7 防振部分、31 駆動機構、32 嵌合歯車、33 雌ネジ、34 雄ネジ、35 球面座、41 マグネット、42 ホールIC、51 検出位置個所、61 移動上限センサ、71 制御部(マイコン)、72 負荷駆動回路、73 電流検出器、74 パルス検出回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関するものであり、特に異常処理機能を備えた洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、洗濯機は外箱内にその四隅から吊り下げ手段によって水槽を吊下げ、底部に攪拌翼を配設した洗濯兼脱水槽を上記水槽内に配設し、洗濯兼脱水槽の下方にギヤ、クラッチなどの機構を介してモータを配設したもので、外箱の上部の四隅部から、吊り棒を主体とする吊り下げ手段によって水槽が吊持されており、この槽体の内部に、洗濯槽と脱水槽とを兼ねる内槽が配設されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、洗濯機には、水平軸または傾斜軸を中心に回転するドラムを有するドラム式洗濯機や、鉛直軸を中心に回転するドラムを有する縦型洗濯機が知られている。ドラム式洗濯機には衣類の取り出し易さや布がらみの少なさ、縦型洗濯機には低温度低振動などそれぞれにメリットがあるが、それらのメリットを同時に実現するため、洗濯の工程ごとに水槽の傾斜角度を制御する洗濯機が考案されている。(水槽傾斜角度制御、水槽傾斜の角度リミット検知)。
【特許文献1】特開2000−237491号公報(図12及び図13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1で示される従来の洗濯機では、水槽の傾斜角度を制御する部品が異常な挙動を示した場合には、槽傾斜角度が動作不能の状態に陥り、洗濯・乾燥運転を継続できないという問題や、槽傾斜装置が動作し続けて故障を引き起こすという問題があった。
【0005】
本発明は上記の課題を解決するために為されたものであり、外箱の中に弾性的に吊支された水槽を、運転条件などにより傾斜可能な洗濯機において、槽傾斜装置の異常発生時に異常状態により動作停止や警報出力を行い、安全にしかも確実に適切な処理を実行できるようにした洗濯機を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る洗濯機は、外箱と、水槽と、外箱の隅に設けられた吊り板と、吊り板によって前記水槽を支持する吊り棒と、回転体と動作時に回転体を回転させて吊り棒を上下方向に移動させる駆動機構とを有する槽傾斜装置と、槽傾斜装置を駆動する制御部と、回転体の回転角度に応じて数が変化するパルス信号を発生して制御部へ送信するパルス検出手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回転体と動作時に回転体を回転させて吊り棒を上下方向に移動させる駆動機構とを有する槽傾斜装置と、槽傾斜装置を駆動する制御部と、回転体の回転角度に応じて数が変化するパルス信号を発生して制御部へ送信するパルス検出手段と、を備え、槽傾斜装置の異常状態により動作停止や警報出力を行うので、安全にしかも確実に適切な処理が実行可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1を示す洗濯機の側面断面図である。また、図2は上記洗濯機のトップカバーを外したときの平面図である。また、図3は図1におけるアクチュエーターの断面図である。
次に、実施の形態1について図1〜図3を用いて説明する。アクチュエーター1は外箱2の四角に設けられた吊り板3で支持されており、吊り棒4の長さを変位させる機能を持つ。また、水槽5は、下部のフランジ6に形成された孔に吊り棒4を通し、吊り棒4の下部先端の防振部分7がこのフランジ6に当接することで上下方向に弾性支持されている。また、アクチュエーター1は、図3に示すように駆動機構31と、雌ネジが切られた内面を持ち、駆動機構31によって回転動作する嵌合歯車32(回転体)と、嵌合歯車32の雌ネジ33と嵌合する外側面を持ち、吊り棒4を貫通させて固着保持する管状の雄ネジ34と、球面座35を持つ。この球面座35を吊り板3の凹部(図示せず)と嵌合させることで、アクチュエーター1は吊り板3を介して外箱2に固定的に支持される。また、図4はアクチュエーター1の内部の断面図を示している。図4に示すように、嵌合歯車32に取り付けられたマグネット41の到来を嵌合歯車32の上方にあるホールIC42によって非接触で検出できる構成になっている。また、図5はアクチュエ−ター1の平面図を示しており、嵌合歯車32の周方向に沿って等間隔に設けられた位置検出個所51に複数のマグネット41が取り付けられており、嵌合歯車32の回転とともに位置検出個所51が到来する所定位置の真上に1個のホールIC42が取り付けられていることを示している。
【0009】
次に、水槽5を傾斜させる機構について説明する。図3の駆動機構31を動作させると、嵌合歯車32が回転し、この嵌合歯車32の内部に一体に形成されている雌ネジ33が同期して吊り棒4を中心軸として水平方向に回転する。この雌ネジ33の回転により、この雌ネジ33と嵌合している雄ネジ34が逆方向に回転し、同時に回転方向と垂直な上下方向に移動する。吊り棒4はこの雄ネジ34の内部で固着されているので、この雄ネジ34と共に上下方向に移動する。ホールIC42は、嵌合歯車32の回転に伴い、位置検出個所51に取り付けられているマグネット41がホールIC42の真下を通過する都度、これを検知し、パルス状の信号を発するので、このパルスの数を数えることにより嵌合歯車32の回転角度を判定することができる。この嵌合歯車32の回転角度を測定することによって、4本の吊り棒4の各々の移動距離が分かり、これにより水槽5の傾斜角度が検出できる。
水槽5を傾斜させる場合、例えば、前方の2つのアクチュエーター1を駆動せず、後方の2つのアクチュエーター1のみを駆動すると、後方の2本の吊り棒4のみが上方に引き上げられる。これに伴い、水槽5のフランジ6も後部のみが後部の吊り棒4の防振部分7によって引き上げられるので水槽5は前方へ傾く。このように、アクチュエーター1を駆動して吊り棒4の長さを変位させることで、水槽5を目的の傾斜状態に調整することができる。
【0010】
次に、本実施の形態1における異常検知処理について説明する。
なお、この実施の形態1では、図7の構成から電流検出回路73を除いた構成が用いられる。図7は、異常検知処理回路の構成を示すブロック図であり、CPUやメモリを備えたマイコンで構成された制御部71と、アクチュエーター1に電流を流して駆動する負荷駆動回路72と、ホールIC42がマグネット41の到来を検知する都度、発生するパルスを検出するパルス検出回路74とから構成されている。
次に、実施の形態1の動作を説明する。
水槽5を傾斜させる際、制御部71は、負荷駆動回路72に対して、目標値(目標角度に相当)を指令として与えてアクチュエーター1に電流を流す(通電する)。これにより、嵌合歯車32が回転を開始し、吊り棒が目標の位置に達するまで回転を継続する。この間、嵌合歯車32に設けられたマグネット41がホールIC42の真下を通過する都度、ホールIC42からパルス状信号が発生する。ホールIC42から出力されたパルス信号をパルス検出回路が受信すると、パルスとして検出し、制御部71へ送信する。制御部71はパルス検出回路からパルスを受信すると、このパルスの数をカウントして積算数が目標値に達したか否かを比較により確認する。また、制御部71は、この間に電流検出回路73が検出したアクチュエーター1に流れる電流が異常か否かを絶えず監視し、正常ならば、目標位置に達するまで、アクチュエーター1の運転を続行し、異常ならばアクチュエーター1の運転を停止し、必要に応じて図示しない警報装置に表示または音声出力の形で出力する。
そして、目標値に達したらアクチュエーター1への電流の供給(通電)を停止する。これにより、傾斜動作が停止する。
【0011】
図8は、本発明の実施の形態1における異常検知処理を示すフローチャートである。
次に、実施の形態1における異常検知処理の動作を図1〜7および図8のフローチャートを用いて説明する。
水槽5を目標の角度に傾斜させる時に、制御部71は、まず水槽5を目標角度に対する方向(以下、正方向と呼ぶことがある)に傾斜させるために負荷駆動回路72を駆動してアクチュエーター1に電流を供給(通電)する(ステップS81)。そして正常なパルスが検出されているか否かを調べる(ステップS82)。正常なパルスを検出すれば、負荷駆動回路72とアクチュエーター1から成る槽傾斜装置、およびホールIC42とパルス検出回路74から成る位置検出装置は正常であり、運転が良好であると判断されるので、ステップS83に進み、目標角度に到達したか否か調べる。目標角度に到達していなければステップS81に戻り、目標角度に達するまで上記槽傾斜装置の駆動を続行する。そして、目標角度に達したら、処理を終了して槽傾斜装置の駆動を停止する。これにより、水槽5は目標角度で停止する。
ステップS82において、正常なパルスが検出できなかった時には、この異常状態が1回目であるか否かを調べ(ステップS84)、1回目でなく、複数回目であれば、槽傾斜装置か位置検出装置の少なくとも一方が、障害物や摩擦などにより動けず、過負荷の状態であることが想定されるので、「過負荷の状態である」旨のエラーメッセージを警報手段(図示せず)に表示または音声出力した(ステップS85)上で処理を終了する。
ステップS84において、正常パルスが入力されないという異常状態が1回目であれば、ノイズによる誤動作も考えられる。そこで、槽傾斜装置および位置検出装置が正常に動作するか否かを調べるために、目標角度の方向とは逆の方向に槽傾斜装置を駆動させる(ステップS86)。そして、正常パルスが受信できたか調べる(ステップS87)。正常パルスが受信できれば、槽傾斜装置および位置検出装置が正常であり、ノイズによる誤動作と判断されるので、再度ステップS81に戻って、正方向の槽傾斜駆動を再開(リトライ)して目標の角度になるまで通電を継続する。この時、再び正常パルスが検出できなければ表示装置にエラー表示(過負荷)する。
ステップS87において、逆向きに駆動させても正常なパルスが検出できない時には、槽傾斜装置または位置検出装置の故障であると判断して警報装置に「槽傾斜装置を駆動できない」という旨のエラーメッセージを表示または音声出力した(ステップS88)上で処理を終了する。
【0012】
以上のように、この実施の形態1によれば、負荷駆動回路とアクチュエーターから成る槽傾斜装置、またはホールICとパルス検出回路から成る位置検出装置に異常があった場合に、制御部はその異常状態により動作停止や動作のやり直しなどの判断を下すとともに、異常状態に応じて異なる警報出力を行うので安全にしかも確実に適切な処理を実行することが可能である。
【0013】
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2における異常検知処理を示すフローチャートである。
図1〜図5と図7は、この実施の形態2でも用いられる。なお、この実施の形態2では、実施の形態1の構成に図7に示す電流検出回路73が追加されている。電流検出回路73は、アクチュエーター1に流れる電流を検出して、制御部71へ出力する。
次に、実施の形態2における異常検知処理の動作を図1〜図5、図7および図9のフローチャートを用いて説明する。
ステップS81〜ステップS87までは実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。ステップS87において、逆向きに駆動させても正常なパルスが検出できない時には、制御部71は、槽傾斜装置の異常かそれとも位置検出装置の異常かを判別するために、電流検出回路73からの信号を調べ、アクチュエーター1に電流が流れたか否かを判断する(ステップS91)。電流検出回路73がアクチュエーター1への電流を検出したときには、槽傾斜装置は正常であるため、制御部71は、異常状態は、位置検出装置の故障であると判断して警報装置に「パルス検出異常」という旨のエラーメッセージを表示または音声出力した(ステップS92)上で処理を終了する。また、ステップS91において、電流検出回路73がアクチュエーター1への電流を検出しなかったときには、槽傾斜装置の故障であると判断して警報装置に「槽傾斜装置故障」という旨のエラーメッセージを表示または音声出力した(ステップS93)上で処理を終了する。
【0014】
以上のように、この実施の形態2によれば、電流検出回路を追加することで、実施の形態1の効果に加えて、正方向および逆方向での槽傾斜装置の駆動において正常パルスが受信出来ない場合には、警報出力をさらに槽傾斜装置動作不具合の槽傾斜装置故障(電流0)とパルス検出異常(定常電流)とに細別することが可能である。
【0015】
実施の形態3.
図10は、本発明の実施の形態3における異常検知処理を示すフローチャートである。
図1〜図5と図7は、この実施の形態3でも用いられる。
この実施の形態3の構成は実施の形態2と同様である。
次に、実施の形態3における異常検知処理の動作を図1〜図5、図7および図10のフローチャートを用いて説明する。
ステップS85を除くステップS81〜ステップS87まで、およびステップS91〜ステップS93までは実施の形態2と同様であるため、説明を省略する。
ステップS84において、正常パルスが受信出来ないという異常状態が1回目でない場合、槽傾斜装置が過負荷であると判断される。この場合、アクチュエーター1の駆動部分にゴミが詰まって過負荷状態になっているか、障害物によって過負荷状態になっているかの少なくとも一方であることが想定される。ゴミ詰まりによる過負荷の場合には、アクチュエーター1の駆動力(トルク)をさらに高めてゴミを振り払うことで、正常運転に戻すことが可能である。そこで、ステップS84において、過負荷と判定したとき、制御部71は、槽傾斜装置へ指令を送り、アクチュエーター1への印加電圧をUPさせる(ステップS101)。そして、正常パルスが受信できたか否かを調べる(ステップS102)。正常パルスが受信できたときには、アクチュエーター1の動作により詰まっていたゴミが振り払われて過負荷の状態が解除され、再び運転が可能になったと判断できるので、制御部71は、ステップS81に戻り、正方向の槽傾斜駆動を再開(リトライ)して目標の角度になるまで通電を行う。
ステップS102において、正常パルスが受信できなかったときには、過負荷の状態を解除できていないため、「過負荷」という旨のエラーメッセージを警報手段(図示せず)に表示または音声出力した(ステップS103)上で処理を終了する。
【0016】
以上のように、この実施の形態3によれば、実施の形態2の効果に加えて、過負荷で槽傾斜装置が駆動できないときでも、必要性に応じて制御側電源の印加電圧を上げ、駆動トルクを調整することで、駆動を再開することができる。
【0017】
実施の形態4.
この実施の形態4では、左用のアクチュエーター1と右用のアクチュエーター1の双方を同時に利用してバランスよく水槽5を傾ける場合の異常処理について説明する。
図11は、本発明の実施の形態4における異常検知処理を示すフローチャートである。
図1〜図5と図7は、この実施の形態4でも用いられる。
この実施の形態4の構成は実施の形態1と同様である。
次に、実施の形態4における異常検知処理の動作を図1〜図5、図7および図11のフローチャートを用いて説明する。
水槽5を目標の角度に傾斜させる時に、制御部71は、まず水槽5を正方向に傾斜させるために左右双方の負荷駆動回路72を駆動して左右双方のアクチュエーター1に電流を供給(通電)する(ステップS81)。そして正常なパルスが検出されているか否かを調べる(ステップS82)。正常なパルスが検出できなかった時には、実施の形態1におけるステップS84以降の処理と同様の処理を実行する。
ステップS82において、正常なパルスを検出すれば、負荷駆動回路72とアクチュエーター1から成る槽傾斜装置、およびホールIC42とパルス検出回路74から成る位置検出装置は正常であり、運転が良好であると判断されるので、制御部71は、パルスを左右それぞれについて積算し、左右それぞれのパルス積算数を比較してその差を算出する。次に、制御部71は、この差が所定の値(Nとする)以内か否かを調べる。所定以内ならば、左右はある程度バランスがとれているので、制御部71は、目標角度に到達したか否かを調べ(ステップS83)、目標角度に到達しなければ、ステップS81に戻り、到達するまで槽傾斜装置の駆動を続行する。そしてステップS83において、目標角度に到達したら、処理を終了する。
一方、ステップS111において、左右アクチュエーター1の駆動による積算パルス数の差が所定の値N以上であれば、2つのアクチュエーターの駆動トルクの相違により水槽傾斜駆動において左右のバランスが悪いと判断されるので、駆動トルクの強い方の駆動を停止して、駆動トルクの弱いアクチュエーター1のみを駆動させて、バランスをとることが必要である。そこで、制御部71は、左右の積算パルス数の大小を比較し(ステップS112)、左の積算パルス数が右のそれよりも大きければ、左のアクチュエーター1のみ駆動を停止(OFF)して(ステップS113)、ステップS83へ飛び、積算パルス数の差が所定値以内に収まる(即ち、バランスがとれる)まで右のアクチュエーターのみを駆動する。そして、積算パルス数の差が所定値以内に収まった(バランスがとれた)とき、再び、左右双方のアクチュエーター1の通電を開始し、目標角度に達するまで駆動を続行する。また、ステップS113において、右の積算パルス数が左のそれよりも大きければ、右のアクチュエーター1のみ駆動を停止(OFF)して(ステップS114)、ステップS83へ飛び、積算パルス数の差が所定値以内に収まる(即ち、バランスがとれる)まで左のアクチュエーターのみを駆動する。そして、積算パルス数の差が所定値以内に収まった(バランスがとれた)とき、再び、左右双方のアクチュエーター1の通電を開始し、目標角度に達するまで駆動を続行する。
【0018】
以上のように、槽傾斜装置を駆動した場合のパルスが、左右で大きく差が出たときには、槽の傾斜が左右に傾いてしまうから、駆動速度がより速い槽傾斜装置の駆動を一旦停止して、駆動速度がより遅い槽傾斜装置のみを駆動する。そして、左右方向の傾斜角度が同等になった(バランスがとれたことを意味する)ときに、駆動速度がより遅い槽傾斜装置を駆動したまま、駆動速度がより速い槽傾斜装置の駆動を再開して目標の角度に傾斜させるので、バランスよい槽傾斜制御が可能である。
【0019】
この実施の形態4によれば、実施の形態1〜3の効果に加えて、左右の槽傾斜装置を同時に駆動したときにこの左右でバランスが大きく崩れた場合には、左右のバランスが所定の範囲に入るまでの間、進んでいる方の駆動を止め、遅れている方のみを駆動するように構成したので、常時バランスのとれた槽傾斜制御が可能である。
【0020】
実施の形態5.
この実施の形態5では、槽傾斜装置駆動時の正常な回転パルスを検知していながらも、回転速度が設定した範囲外であった場合の処理について説明する。
図12は、本発明の実施の形態5における異常検知処理を示すフローチャートである。
図1〜図5と図7は、この実施の形態5でも用いられる。
この実施の形態5の構成は実施の形態1と同様である。
次に、実施の形態5における異常検知処理の動作を図1〜図5、図7および図12のフローチャートを用いて説明する。
水槽5を目標の角度に傾斜させる時に、制御部71は、まず水槽5を正方向に傾斜させるために負荷駆動回路72を駆動してアクチュエーター1に電流を供給(通電)する(ステップS81)。そして正常なパルスが検出されているか否かを調べる(ステップS82)。正常なパルスが検出できなかった時には、実施の形態1におけるステップS84以降の処理と同様の処理を実行する。
ステップS82において、正常なパルスを検出すれば、負荷駆動回路72とアクチュエーター1から成る槽傾斜装置、およびホールIC42とパルス検出回路74から成る位置検出装置は正常であり、運転が良好であると判断されるので、回転速度が予め設定した範囲(例えば、+10%〜−10%の範囲)内にあるか否かを調べる(ステップS121)。回転速度が設定範囲内にあれば、槽傾斜装置は正常であり、運転が良好であると判断されるので、目標角度に到達したか否かを調べ(ステップS83)、まだ目標角度に到達していなければ、ステップS81に戻り、到達するまで槽傾斜装置の駆動を続行する。そしてステップS83において、目標角度に到達したら、処理を終了する。
一方、ステップS121において、回転速度が設定範囲外であれば、その範囲が+10%を超えているか否かを調べ(ステップS122)、+10%を上回っていれば、槽傾斜移動速度が異常に高いと判断されるので、槽傾斜装置への印加電圧をダウンして回転速度を減速させて(ステップS123)、ステップS83へ飛び、回転速度が設定範囲内に収まるまで印加電圧のダウンを続行する。そして、回転速度が設定範囲内に収まったとき、再び、通常通り、槽傾斜装置の駆動を開始し、目標角度に達するまで駆動を継続する。ステップS122において、+10%を上回っていなければ、−10%を下回っており、傾斜移動速度が異常に低いと判断されるので、槽傾斜装置への印加電圧をアップして回転速度を加速させて(ステップS124)、ステップS83へ飛び、回転速度が設定範囲内に収まるまで印加電圧のアップを続行する。そして、回転速度が設定範囲内に収まったとき、再び、通常通り、槽傾斜装置の駆動を開始し、目標角度に達するまで駆動を継続する。
【0021】
以上のように、槽傾斜装置駆動時の正常な回転パルスを検知していながらも、回転速度が設定した範囲外であった場合には、槽傾斜移動速度の異常と判断し、制御電源の印加電圧を制御することで、正常な槽傾斜移動速度に戻すことが可能となる。
【0022】
この実施の形態4によれば、実施の形態1の効果に加えて、回転速度が設定した範囲外であった場合には、制御電源の印加電圧を制御することで、正常な槽傾斜移動速度に戻すことが可能となる。
【0023】
実施の形態6.
マイコンに併設した記憶装置の槽傾斜位置情報が消えてしまった場合(動作中の停電、基板の交換等)などは、目標の角度までの駆動が不安定になってしまう。
そこで、この実施の形態6では、上記記憶装置の槽傾斜位置情報が消えてしまった場合の処理について説明する。
また、水槽5を傾斜させるときに、外箱2と衝突して破損することを防ぐために図6のような水槽5の傾斜角度の移動上限(0°や20°など)を検出する移動上限センサ(マイクロスイッチ等)61を備えることで、水槽5の傾斜角度の上限を設定することが可能となる。
図13は、本発明の実施の形態6における異常検知処理を示すフローチャートである。
図1〜図7は、この実施の形態6でも用いられる。
この実施の形態6の構成は実施の形態1と同様である。
次に、実施の形態6における異常検知処理の動作を図1〜図7および図13のフローチャートを用いて説明する。
制御部71は、位置情報が記憶装置にあるか否かを調べ(ステップS131)、位置情報が記憶装置にあれば問題ないので処理を終了する。ステップS131において、位置情報が記憶装置になければ、制御部71は、槽傾斜装置に通電を行い(ステップS61)、移動上限に到達したか否かを調べる(S63)。移動上限に到達しなければ、ステップS61に戻り、移動上限に到達するまで槽傾斜装置に通電を続行する。ステップS63において、移動上限に到達したら、制御部71は、傾斜位置情報を初期値として設定して(ステップS132)、処理を終了する。
【0024】
以上のように、マイコンに併設した記憶装置の槽傾斜位置情報が消えてしまった場合、図6に示す水槽傾斜角度の移動上限センサを使用して、一旦0°や20°まで傾けて、槽傾斜位置情報を初期化するので、以降は目標の角度に達するまで通常通り槽傾斜装置を駆動することが可能になる。
【0025】
この実施の形態6によれば、実施の形態1の効果に加えて、記憶装置の槽傾斜位置情報が消えてしまった場合でも、一旦移動上限まで傾けてその位置で槽傾斜位置情報を初期化するようにしたので、以降は目標の角度に達するまで通常通り槽傾斜装置を駆動することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1〜5を示す洗濯機の側面断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1〜5における洗濯機のトップカバーを外したときの平面図である。
【図3】図1におけるアクチュエーターの縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1〜5におけるアクチュエーター1の内部の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1〜5におけるアクチュエ−ター1の平面図である。
【図6】本発明の実施の形態6における移動上限センサを備えたアクチュエーターの縦断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1〜5における異常検知処理回路の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態1における異常検知処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2における異常検知処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態3における異常検知処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態4における異常検知処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態5における異常検知処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態6における異常検知処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0027】
1 アクチュエーター、2 外箱、3 吊り板、4 吊り棒、5 水槽、6 フランジ、7 防振部分、31 駆動機構、32 嵌合歯車、33 雌ネジ、34 雄ネジ、35 球面座、41 マグネット、42 ホールIC、51 検出位置個所、61 移動上限センサ、71 制御部(マイコン)、72 負荷駆動回路、73 電流検出器、74 パルス検出回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
水槽と、
前記外箱の隅に設けられた吊り板と、
この吊り板によって前記水槽を支持する吊り棒と、
この吊り棒毎に設けられ、回転体と、動作時に前記回転体を回転させて前記吊り棒を上下方向に移動させる駆動機構と、を有する槽傾斜装置と、
この槽傾斜装置を駆動する制御部と、
前記槽傾斜装置毎に設けられ、前記回転体の回転角度に応じて数が変化するパルス信号を発生して前記制御部へ送信するパルス検出手段と、を備えたことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記制御部は、前記駆動機構を目標方向へ移動するように駆動しても前記パルス検出手段からのパルスを受信しなければ、異常が発生したと判断し、この異常が1回目の場合には、前記駆動機構を前記目標方向とは逆の方向へ移動するように駆動することを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記制御部は、前記駆動機構の前記目標方向とは逆の方向への駆動において、前記パルス検出手段からのパルスを受信しなければ、駆動不可能の旨のエラーメッセージを表示または音声で警報出力することを特徴とする請求項2記載の洗濯機。
【請求項4】
前記駆動機構は電圧によって駆動されるものであり、
前記駆動機構の駆動時に、前記駆動機構に流れる電流を検出する電流検出手段を備え、
前記制御部は、前記駆動機構の前記目標方向とは逆の方向への駆動において、前記パルス検出手段からのパルスを受信しないとき、前記電流検出手段が電流を検出すれば、前記パルス検出手段が異常の旨のエラーメッセージを表示または音声で警報出力することを特徴とする請求項2記載の洗濯機。
【請求項5】
前記駆動機構の駆動時に、前記駆動機構に流れる電流を検出する電流検出手段を備え、
前記制御部は、前記駆動機構の前記目標方向とは逆の方向への駆動において、前記パルス検出手段からのパルスを受信しないとき、前記電流検出手段が電流を検出しなかったときには、槽傾斜装置故障の旨のエラーメッセージを表示または音声で警報出力することを特徴とする請求項2記載の洗濯機。
【請求項6】
前記制御部は、前記駆動機構を目標方向へ移動するように駆動しても前記パルス検出手段からのパルスを受信しなければ、異常が発生したと判断し、この異常が1回目でなければ、「駆動不可能」の旨のエラーメッセージを表示または音声で警報出力することを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項7】
前記制御部は、警報出力の代わりに、前記駆動機構の駆動電圧を上昇させることを特徴とする請求項6記載の洗濯機。
【請求項8】
前記制御部は、前記駆動機構の駆動電圧を上昇させても、前記パルス検出手段からのパルスを受信しなければ、「過負荷」の旨のエラーメッセージを表示または音声で警報出力することを特徴とする請求項7記載の洗濯機。
【請求項9】
前記制御手段は、予め設定した時間における、複数のパルス検出手段によって検出されたパルス数をそれぞれ積算し、積算したパルス数を相互に比較してパルス数の多い方と少ない方との差が所定値を超えたときには、前記差分が所定値以内に収まるまで、パルス数の多い方の駆動を停止して、パルス数の少ない方の駆動を継続することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項10】
前記制御手段は、予め設定した時間におけるパルス入力の速度が所定の範囲を超えると、駆動電圧を変更することを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項11】
前記制御手段は、前記パルス入力の速度が所定の範囲を上回ると、駆動電圧を下げることを特徴とする請求項10記載の洗濯機。
【請求項12】
前記制御手段は、前記パルス入力の速度が所定の範囲を下回ると、駆動電圧を上げることを特徴とする請求項10記載の洗濯機。
【請求項13】
前記吊り棒の上限位置を検知する上限センサを備え、
前記制御手段は、前記パルスの積算値に基づいて前記水槽の傾斜情報を管理し、この傾斜情報に基づいて前記槽傾斜装置を駆動し、
前記傾斜情報が喪失したとき、前記制御手段は、前記槽傾斜装置を駆動し、前記上限センサによって前記槽傾斜装置の前記上限位置への到達が検知されたら、前記傾斜情報を初期化することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項1】
外箱と、
水槽と、
前記外箱の隅に設けられた吊り板と、
この吊り板によって前記水槽を支持する吊り棒と、
この吊り棒毎に設けられ、回転体と、動作時に前記回転体を回転させて前記吊り棒を上下方向に移動させる駆動機構と、を有する槽傾斜装置と、
この槽傾斜装置を駆動する制御部と、
前記槽傾斜装置毎に設けられ、前記回転体の回転角度に応じて数が変化するパルス信号を発生して前記制御部へ送信するパルス検出手段と、を備えたことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記制御部は、前記駆動機構を目標方向へ移動するように駆動しても前記パルス検出手段からのパルスを受信しなければ、異常が発生したと判断し、この異常が1回目の場合には、前記駆動機構を前記目標方向とは逆の方向へ移動するように駆動することを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記制御部は、前記駆動機構の前記目標方向とは逆の方向への駆動において、前記パルス検出手段からのパルスを受信しなければ、駆動不可能の旨のエラーメッセージを表示または音声で警報出力することを特徴とする請求項2記載の洗濯機。
【請求項4】
前記駆動機構は電圧によって駆動されるものであり、
前記駆動機構の駆動時に、前記駆動機構に流れる電流を検出する電流検出手段を備え、
前記制御部は、前記駆動機構の前記目標方向とは逆の方向への駆動において、前記パルス検出手段からのパルスを受信しないとき、前記電流検出手段が電流を検出すれば、前記パルス検出手段が異常の旨のエラーメッセージを表示または音声で警報出力することを特徴とする請求項2記載の洗濯機。
【請求項5】
前記駆動機構の駆動時に、前記駆動機構に流れる電流を検出する電流検出手段を備え、
前記制御部は、前記駆動機構の前記目標方向とは逆の方向への駆動において、前記パルス検出手段からのパルスを受信しないとき、前記電流検出手段が電流を検出しなかったときには、槽傾斜装置故障の旨のエラーメッセージを表示または音声で警報出力することを特徴とする請求項2記載の洗濯機。
【請求項6】
前記制御部は、前記駆動機構を目標方向へ移動するように駆動しても前記パルス検出手段からのパルスを受信しなければ、異常が発生したと判断し、この異常が1回目でなければ、「駆動不可能」の旨のエラーメッセージを表示または音声で警報出力することを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項7】
前記制御部は、警報出力の代わりに、前記駆動機構の駆動電圧を上昇させることを特徴とする請求項6記載の洗濯機。
【請求項8】
前記制御部は、前記駆動機構の駆動電圧を上昇させても、前記パルス検出手段からのパルスを受信しなければ、「過負荷」の旨のエラーメッセージを表示または音声で警報出力することを特徴とする請求項7記載の洗濯機。
【請求項9】
前記制御手段は、予め設定した時間における、複数のパルス検出手段によって検出されたパルス数をそれぞれ積算し、積算したパルス数を相互に比較してパルス数の多い方と少ない方との差が所定値を超えたときには、前記差分が所定値以内に収まるまで、パルス数の多い方の駆動を停止して、パルス数の少ない方の駆動を継続することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項10】
前記制御手段は、予め設定した時間におけるパルス入力の速度が所定の範囲を超えると、駆動電圧を変更することを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項11】
前記制御手段は、前記パルス入力の速度が所定の範囲を上回ると、駆動電圧を下げることを特徴とする請求項10記載の洗濯機。
【請求項12】
前記制御手段は、前記パルス入力の速度が所定の範囲を下回ると、駆動電圧を上げることを特徴とする請求項10記載の洗濯機。
【請求項13】
前記吊り棒の上限位置を検知する上限センサを備え、
前記制御手段は、前記パルスの積算値に基づいて前記水槽の傾斜情報を管理し、この傾斜情報に基づいて前記槽傾斜装置を駆動し、
前記傾斜情報が喪失したとき、前記制御手段は、前記槽傾斜装置を駆動し、前記上限センサによって前記槽傾斜装置の前記上限位置への到達が検知されたら、前記傾斜情報を初期化することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の洗濯機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−167972(P2008−167972A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4367(P2007−4367)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】
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