説明

洗濯機

【課題】水位検知手段により、導電率検知手段の異常確認を行なう。
【解決手段】洗濯水の導電率を検知する導電率検知手段78と、内槽44内の水位を検知する水位検知手段90と、運転の設定や制御に必要なデータ等を記憶する記憶手段97と、洗濯動作の異常状態等を報知する報知手段98と、一連の行程を逐次制御する制御手段87とを備え、制御手段87は、水位検知手段90が、所定の水位を検知していないのに、導電率検知手段78が、その水位を検知している場合は、導電率検知手段78が異常状態であると判定することで、導電率検知手段が正しく検知できる状態にあるかどうかを判定することができるので、信頼性の高い判定ができ、以降の行程の制御を適切に行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯液の導電率を検知して、行程運転の動作制御をおこなう全自動洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の全自動洗濯機は、導電率検知手段によって検知した洗濯液の導電率の変化率を検知して、行程を制御する構成が提案されてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、特許文献1に記載された洗濯機の縦断面図、図7は、同洗濯機の動作フローチャートを示す。
【0004】
図6において、洗濯兼脱水槽2を回転自在に内包した水受け槽1の外底部と連通して設けた循環水路7は、水受け槽1の水(洗濯水またはすすぎ水)を循環するもので、この循環経路7の途中に循環ポンプ8を設け、水供給ノズル6と循環経路7と循環ポンプ8とで水循環手段9を構成している。循環経路7の上流側には、洗濯水の導電率を検知する導電率検知手段10が設けられている。
【0005】
図7において、ステップ30で動作を開始し、ステップ31において洗濯、排水(脱水)行程を実行する。その後、ステップ32で給水弁11を開いて所定量のすすぎ水を給水する。つぎに、ステップ33ではモータ4を駆動して洗濯兼脱水槽2の回転を開始し、引き続いてステップ34で循環ポンプ8を作動させて、すすぎ水の循環を行なう。
【0006】
ステップ35では、導電率検知手段10によりすすぎ水の導電率検知を行ない、この値の変化率が安定したかどうかをステップ36で判定し、安定していなければステップ33に戻る。安定していればステップ37へ進み、導電率の値が所定値より小さければステップ41へ進み、所定値より大きい場合はステップ38において、既に行なったすすぎ行程の繰返し回数を確認し、所定回数に達していなければステップ39の排水、中間脱水行程を経て再びステップ32からすすぎ行程の繰返しを行なうが、所定回数に達していればステップ40に進んで洗濯兼脱水槽2に所定水位まで給水してすすぎ(ためすすぎ)を行なう。最後に、ステップ41で排水、最終脱水を行なって全行程を終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平07−308485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来の構成では、導電率検知手段が正しく動作し、正確な導電率が検知されているということが前提であり、導電率を検知する電極へ汚れ等が付着したり、電極や周辺回路等が故障したりして、導電率の検知が正しく行われていなかった場合に、その不正確さを正しく判定するということに課題があった。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、導電率を検知する導電率検知手段の異常状態を判定することにより、導電率検知の信頼性を向上させ、洗いやすすぎ行程の時間短縮や省エネルギーを行なうことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の洗濯機は、筐体内に弾性的に吊支した外槽と、前記外槽内に回転自在に支持された内槽と、この内槽の内底部に設けられたパルセータと、前記内槽またはパルセータを回転駆動する駆動手段と、前記外槽の外周側壁下部で、前記パルセータ外周部上面より低い位置に設けられ、洗濯水の導電率を検知する導電率検知手段と、前記内槽内の水位を検知する水位検知手段と、前記駆動手段等を逐次制御し、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の一連の行程を逐次制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記水位検知手段が所定の水位を検知していないのに、前記導電率検知手段がその水位を検知している場合は、前記導電率検知手段が異常状態であると判定するものである。
【0011】
これにより導電率検知手段が正しく検知できる状態にあるかどうかを判定することができるので、信頼性の高い判定ができ、以降の行程の制御を適切に行なうことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の全自動洗濯機は、導電率検知の信頼性向上により、洗いやすすぎ行程の制御を適切に行ない、時間短縮や省エネルギーを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における全自動洗濯機の縦断面図
【図2】同全自動洗濯機のブロック回路図
【図3】同全自動洗濯機の洗いのフローチャート
【図4】同全自動洗濯機の導電率判定1のフローチャート
【図5】同全自動洗濯機の導電率判定2のフローチャート
【図6】従来の洗濯機縦断面図
【図7】同洗濯機の動作フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、筐体内に弾性的に吊支した外槽と、前記外槽内に回転自在に支持された内槽と、この内槽の内底部に設けられたパルセータと、前記内槽またはパルセータを回転駆動する駆動手段と、前記外槽の外周側壁下部で、前記パルセータ外周部上面より低い位置に設けられ、洗濯水の導電率を検知する導電率検知手段と、前記内槽内の水位を検知する水位検知手段と、前記駆動手段等を逐次制御し、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の一連の行程を逐次制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記水位検知手段が所定の水位を検知していないのに、前記導電率検知手段がその水位を検知している場合は、前記導電率検知手段が異常状態であると判定することにより、導電率検知手段が正しく検知できる状態にあるかどうかを判定することができるので、信頼性の高い判定ができ、以降の行程の制御を適切に行なうことができ、それにより、行程の時間短縮や省エネルギーを達成することができる。
【0015】
第2の発明は、特に、第1の発明の制御手段は、水位検知手段が所定の水位を検知しているのに、前記導電率検知手段がその水位を検知していない場合に、前記導電率検知手段が異常状態であると判定することにより、導電率検知手段が正しく検知できる状態にあるかどうかを判定することができるので、信頼性の高い判定ができ、以降の行程の制御を適切に行なうことができ、それにより、行程の時間短縮や省エネルギーを達成することができる。
【0016】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の制御手段は、導電率検知手段が正常に検知を行うことができない状態と判定した場合に、前記導電率検知手段を用いずに以降の行程を制御することにより、行程を停止することなく継続するので、使用者に洗濯が出来ないという不満を抱かせることがない。
【0017】
第4の発明は、特に、第1または第2の発明の制御手段は、導電率検知手段が正常に検知を行うことができない状態と判定した場合に、その回数を記憶し、前記導電率検知手段が所定回数以上正常に検知を行うことができない状態と判定した場合に報知することにより、導電率検知手段が正常に判定できない状態であることを使用者に知らせることができ、サービス性を向上することができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における全自動洗濯機の縦断面図、図2は、同全自動洗濯機のブロック回路図である。
【0020】
図1において、筐体41は、内部に複数のサスペンション42によって弾性的に吊り下げた外槽43を設け、脱水時の振動をサスペンション42によって吸収する構成としている。外槽43の内部には、衣類および乾燥対象物を収容する内槽44を中空で2重構造とした洗濯・脱水軸45を中心に回転可能に配設し、内槽44の内底部に衣類や乾燥対象物を撹拌するパルセータ46を回転自在に配設している。
【0021】
また、内槽44の内部周壁には脱水時の水抜き穴、兼通気孔44aを多数設けるとともに、上方には流体バランサ47を設けている。モータ(駆動手段)48は、外槽43の外底部に取り付け、洗濯または脱水時に回転力の伝達を洗濯・脱水軸45に切り換えるクラッチ49と洗濯・脱水軸45を介して、内槽44またはパルセータ46に連結している。パルセータ46は外周部に傾斜面50を有する略鍋型の形状をし、撹拌用突出部51を形成し、洗濯行程時に衣類が撹拌されるとともに、乾燥行程において、乾燥対象物をパルセータ46の回転による遠心力で傾斜面に沿って上方へと舞い上がりやすくしている。つまり、衣類は撹拌により、左右(回転方向)に入れ替わるとともに、上下にも入れ替わるという動きをするように構成されている。
【0022】
乾燥機能の熱交換ダクト52は、循環する湿った温風(循環風)を除湿するもので、一端を、接続ダクト53を介して外槽43の下部に設けた排水経路口54に接続し、他端を、温風循環経路57を構成する温風送風手段61の入り口側に接続している。
【0023】
一方、外槽43には、外槽43の上面を気密的に覆う外槽カバー65を設けており、この外槽カバー65に伸縮自在の上部蛇腹状ホース58からの温風噴出孔60を開口している。また、外槽カバー65に中蓋66を開閉自在に設け、衣類を出し入れするようにしている。
【0024】
筺体41の上部は、略中央部に衣類投入口67を有する上部枠体68が装着されており、衣類投入口67を覆うように外蓋69が開閉自在に設けられている。
【0025】
また、上部枠体68後部内方には、前記乾燥機能用の温風送風手段61や給水弁70などを装着した支持部材71が設けられている。
【0026】
給水弁70は、2個以上の水路が開閉可能な複数弁構成とし、水道水等から供給され、一つの水路は小流量で洗浄ホース72にて、外槽43外底部の排水ダクト75に形成された洗浄パイプ77に接続し、他の水路は大流量で給水ホース73にて、支持部材71に設けた注水部材(図示せず)等を介して内槽44に洗濯水として給水可能に接続される。
【0027】
また、上部枠体68内方の支持部材71には、複数回の洗濯に使用できる量の液体洗剤が収納可能で、その液体洗剤を外槽43内に自動的に投入する液体洗剤自動投入装置64が構成されている。液体洗剤自動投入装置64と外槽カバー65の間には、可撓性のある洗剤注水ホース59が接続され、空気ポンプ40(図2で後述)によって、液体洗剤自動投入装置64から圧送された液体洗剤が、この洗剤注水ホース59を介して、外槽43と内槽44の間に滴下される。なお、洗剤注水ホース59は可撓性があるために、脱水時に、振動系である外槽43全体が振れ回っても、振動系への影響はほとんど無い。
【0028】
外槽43の底部には、外槽43内の水を排水する排水弁74を設け、前記排水ダクト75を介して熱交換ダクト52と接続ダクト53とに接続し、接続ダクト53と熱交換ダクト52からの排水を排水ダクト75、排水弁74に導き、排水ホース76から機外へ排水するようにしている。また、前述のように、排水ダクト75には、給水弁70に配管された洗浄ホース72の一端が接続された洗浄パイプ77が形成されている。
【0029】
また、排水ダクト75には、排水弁74の上流に、赤外線を発光、受光させ、その透過度合、変化率により洗濯水の濁度を検知し、衣類の汚れ度合いを検知する濁度検知手段92が取り付けられている。
【0030】
外槽43の外周側壁下部には、洗濯水の導電率を検知して、水の有無や洗剤の種類を検知する一対の電極94を有する導電率検知手段78が設けられており、外槽43の下部でパルセータ46外周部上面より下方にあるため、パルセータ46の回転による水流の影響を受けにくく、安定して導電率を検知することができる。
【0031】
また、外槽43の外周側壁にはエアートラップ95を構成し、空気管96にて圧力センサーなどで構成された水位検知手段90に連接し、外槽43内部に給水された洗濯水の水圧により複数段の水位を検知する事が出来る。
【0032】
なお、水位は、ランク1からランク9まで設定されており、図1ではランク1、ランク3、ランク4、ランク9のみ示すが、ランク4からランク9までが布量に応じて、洗い撹拌、すすぎ撹拌が行なわれる水位であり、ランク9が高水位である。
【0033】
冷却用送風機79は、筺体41の側面に取り付け、筺体41の内部に外槽43、熱交換ダクト52などを冷却するように送風できるよう構成している。
【0034】
制御装置80は、一体集中的に形成するとともに、筺体41の背面部(裏カバー)81に略垂直に配設し、制御装置80の下側に冷却用送風機79を設けている。また、制御装置80は、カバー82にて覆われ保護されている。
【0035】
上部枠体68の前面部には、入力設定手段83と、図2にて後述する表示手段84とで構成される操作表示部85が設けられている。
【0036】
図2のブロック回路図において、制御装置80は、負荷駆動手段86を介して、モータ(駆動手段)48、クラッチ49や、温風送風手段61を構成する乾燥用ファン55およびヒータ56、排水弁74、冷却用送風機(冷却手段)79、給水弁70などの動作を制御し、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の各行程および除菌・脱臭行程を制御する制御手段87を有している。
【0037】
制御手段87は、マイクロコンピュータなどで構成し、商用電源88から、電源スイッチ89のONにより電力が供給されて動作を始め、布量検知手段93、水位検知手段90、温度検知手段62、63の出力を入力し、入力設定手段83にて使用者の入力により設定された内容に基づいて、表示手段84に設定内容を表示するとともに、双方向サイリスタ、リレーなどで構成した負荷駆動手段86を介して、モータ48、クラッチ49、乾燥用ファン55、ヒータ56、排水弁74、冷却用送風機79、給水弁70、吸水ポンプ91、空気ポンプ40などの動作を制御し、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の各行程を制御する。また、入力設定手段83と表示手段84とで、操作表示部85を構成している。
【0038】
また、制御手段87は、導電率検知手段78から得られる洗濯液の導電率や、濁度検知手段92から得られる赤外線透過度合、およびその変化率をもとに、洗濯水の有無や洗剤の種類や衣類の汚れ度合いなどを検知し、各行程を制御する。
【0039】
そして、制御手段87は、乾燥行程にて、温度検知手段63により検知した温度が第1の所定温度(たとえば、110℃)に達したとき、ヒータ56をオフし、そのときの温度検知手段62による温度から第2の所定温度(たとえば、2k)が下がったとき、ヒータ56を動作させて循環風の温度を調節するよう構成している。
【0040】
記憶手段97は、制御手段87により制御に必要なデータを記憶する書き込み自由な不揮発性メモリー等で構成される。
【0041】
報知手段98は、圧電ブザー等により構成し、制御手段87の出力により、運転終了時や異常発生時などの報知動作を行う。
【0042】
上記構成による洗濯機の動作、作用について、図3、図4、図5を参照しながら説明する。
【0043】
図3は、本発明の実施の形態1における全自動洗濯機の洗い制御のフローチャートであり、図4は、図3内に記載の導電率判定1のフローチャートであり、図5は、図3内に記載の導電率判定2のフローチャートである。
【0044】
洗い行程では、使用者が外蓋69を開け、中蓋66を開けて、内槽44に衣類を投入し、入力設定手段83にて運転コースを設定して運転を開始する(ステップS100)と、布量検知手段93にて投入された布量を検知し、制御手段87にて布量に応じた水位、洗剤量の決定および以降のシーケンスの仮決定をし、表示手段84にて表示する(ステップS101)。
【0045】
なお、前述のように、水位は、ランク1からランク9まで設定されており、ランク9が高水位である。なお、図3は、布量が多く、高水位に検知された場合の例を示している。
【0046】
ランク1は、パルセータ46の外周部上面よりも略100mm低く、導電率検知手段78が水に浸かる水位である。
【0047】
その後、給水bにて小流量の給水弁70が動作して洗浄ホース72側へ給水が開始され、洗浄パイプ77を介して、排水ダクト75、接続ダクト53を通り、下側から槽内へ、導電率検知手段78が浸からない程度の水位、つまりランク1より低い水位まで給水される(ステップS102)。
【0048】
そして、給水された水の水位状態を判定(ステップS103)し、水位検知手段90の検知する水位がランク1未満の場合は、導電率判定1を行う(ステップS104)。
【0049】
ここで水位検知手段90の検知する水位がランク1以上の場合は、使用者がバケツで水を入れたなどの何らかの原因で、既に導電率検知手段78が水に浸かっている状態である可能性があるため、上記判定は行なわず、ステップS117に進む。
【0050】
導電率判定1(ステップS104)の動作、作用については、図4のフローチャートを参照しながら説明する。
【0051】
導電率判定1を開始する(ステップS200)と、記憶手段97から異常検知回数(N1)を呼び出す(ステップS201)。次に、導電率検知手段78が、ランク1まで水が来ていないと検知するかどうかの判定を行なう(ステップS202)。
【0052】
導電率検知手段78が、ランク1まで水が来ていないという水なし状態を検知している場合は、正常と判定し、異常検知回数(N1)を0にし(ステップS203)、記憶手段97に記憶し(ステップS205)、導電率判定1を終了する(ステップS206)。ここで異常検知回数(N1)を0にするのは、前回の運転で異常判定を行なっても、今回正常と判定したことにより、前回の異常判定以降に汚れが取り払われ、正常な状態に戻ったと判定したためである。
【0053】
また、導電率検知手段78が、ランク1まで水が来ているという水あり状態を検知した場合は、水位検知手段90の検知する水位と矛盾が生じる。この場合は、導電率検知手段78が、洗剤カスやリント等の汚れが付着したことにより、水がないにもかかわらず、水あり状態を検知していると判断し、異常検知回数を1回増やし(ステップS204)、正常判定した場合と同様に、記憶手段97に記憶し(ステップS205)、導電率判定1を終了する(ステップS206)。
【0054】
導電率判定1を終了し、図3のステップS105において判定の結果、異常と判断した場合(N1≠0)は、異常回数(N1)の回数を確認し(ステップS106)、異常回数が所定回数以上(例えば5回)の場合は、報知手段98により異常状態であることを報知する(ステップS107)。
【0055】
また、異常ではあるが、異常回数(N1)が所定回数未満の場合は、後述する導電率判定2(ステップS108)やD0判定(ステップS112)等の判定を行なわず、給水aに進み(ステップS117)、以降の運転動作を継続する。これは、異常回数が所定回数未満であり、運転を継続することにより、洗剤カスやリント等の汚れが取り払われる可能性があるためである。
【0056】
図3において、導電率判定1の結果、ステップS105にて正常とした場合は、導電率判定2を行なう(ステップS108)。
【0057】
導電率判定2(ステップS108)の動作、作用については、図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0058】
導電率判定2を開始する(ステップS300)と、記憶手段97から異常検知回数(N2)を呼び出す(ステップS301)。次に給水bにて、つまり小流量の給水弁70が動作して、洗浄ホース72、洗浄パイプ77を介して、排水ダクト75、接続ダクト53を通り、下側から槽内へ給水され(ステップS302)、水位検知手段90にてランク1と検知する水位、つまり導電率検知手段78が浸かる水位まで給水される(ステップS303)。
【0059】
次に、導電率検知手段78が、ランク1まで水が来ていると検知するかどうかの判定を行なう(ステップS304)。
【0060】
導電率検知手段78が、ランク1まで水が来ていると検知した場合は、正常と判定し、異常検知回数を0にして(ステップS305)、記憶手段97に記憶し(ステップS306)、導電率判定2を終了する(ステップS308)。
【0061】
しかし、ステップS304において、導電率検知手段78がランク1を検知していない場合は、導電率検知手段78が回路の故障やリード線の断線等により、水がランク1まであるにもかかわらず、水なし状態を検知していると判断し、異常検知回数を1回増やし(ステップS307)、記憶手段に記憶し(ステップS306)、導電率判定2を終了する(ステップS308)。
【0062】
図3のステップS109において導電率判定2を終了し、判定の結果、異常と判定した場合(N2≠0)に、異常回数(N2)が所定回数以上(例えば3回)の場合(ステップS110)は、報知手段98により異常状態であることを報知する(ステップS111)。
【0063】
また、異常ではあるが、異常回数(N2)が所定回数未満の場合は、後述するD0判定(ステップS112)等の判定を行なわず、給水a(ステップS117)に進み、以降の運転動作を継続する。異常を報知するまでを複数回にすることにより、これについても誤判定による誤報知を低減することができ、以降の運転動作をより正確に行なうことができる。
【0064】
また、導電率判定2を終了し、ステップS109において判定の結果、正常とした場合は、濁度検知のD0判定(ステップS112)が行なわれ、給水された水道水の濁度が、濁度検知手段92にて検知され、そのデータが制御手段87に入力される。大流量の給水弁70を動作させ、水道水を、給水ホース73を介して内槽44内に給水すると、水道水は汚れた衣類を通過して排水ダクト75へ溜まるので、正確な水道水の濁度が検知されないが、洗浄パイプ77側から少量給水するので、正確な濁度が検知できる。
【0065】
そして、液体洗剤自動投入装置64により、設定水位に応じた洗剤量が外槽43内に自動的に投入される(ステップS113)と、次に、排水弁74は閉じた状態で、伝達機構部のクラッチ49を脱水側に切り換えて、モータ48の動力を、脱水軸を介し内槽44に伝達して回転させ、内槽44とパルセータ46を一緒に100r/min前後の低速で回転させる(槽回転動作)(ステップS114)。これにより、槽内の洗濯液は、遠心力の作用で内槽44と外槽43の間をゆっくりと回転し、洗濯液が衣類の汚れに付着することなく、洗剤が十分に溶解させる。そして、槽回転動作が停止(ステップS115)した後、濁度検知のD1判定(ステップS116)が行なわれ、洗濯液の洗剤による濁度の初期値が、濁度検知手段92にて検知され、そのデータが制御手段87に入力され、前のステップ(D0判定)で検知した水道水の濁度を排除して、洗剤の種類が判定される。
【0066】
次に、大流量の給水弁70を動作させ、水道水を、給水ホース73を介して内槽44内に給水し、ランク3まで給水して(ステップS117)、伝達機構部のクラッチ49によりモータ48の動力を、洗濯軸を介してパルセータ46に伝達し、パルセータ46が回転するという撹拌aを行ない(ステップS118)、さらに、ランク5まで給水する(ステップS119)。これらの給水時のランク2以上の複数の水位検知は、圧力式の水位検知手段90にて行われる。
【0067】
これらの動作により、定格水位より低い水位で、この場合は、高水位より4ランク下の水位で、いわゆる洗剤高濃度攪拌が行なわれ、泡立ちも十分に行なわれ、衣類の汚れも洗濯液中に溶出される。そして、停止して濁度検知のD2判定が行なわれ(ステップS121)、洗濯液の濁度が、濁度検知手段92にて検知され、衣類の汚れが多いか、少ないかというデータが制御手段87に入力され、上記のD0判定、D1判定の値と合わせて演算される。
【0068】
その演算結果により、洗い撹拌c(ステップS123)および洗い撹拌d(ステップS125)の時間短縮が可能かどうかどうかが決定され、以降のシーケンスが決定される。
【0069】
シーケンスが決定されると、大流量の給水弁70を動作させ、給水ホース73を介して内槽44内に給水が始まり、定格水位まで、図3の場合は高水位(ランク9)まで給水される(ステップS122)。給水が終わると、決定された時間の洗い撹拌c(ステップS123)が始まり、パルセータ46が回転することで、衣類がパルセータ46の撹拌用突出部11に引っかかり、中心部へ引き込まれる。内槽44の中心下層部の衣類は、引き込まれた衣類により、内槽44の上層部へ押し上げられる。このようにして内槽44内の衣類を撹拌して、衣類同士、または内槽44の内壁やパルセータ46との接触により作用する機械力と、水流力により行われ、衣類に含まれた汚れは洗濯水中に溶出し洗濯水の濁度が、順次変化していく。
【0070】
所定の定格水位(ランク6〜9)で洗い行程の洗い撹拌c(ステップS123)が開始された後も濁度検知手段92にて洗濯液の濁度検知のD3判定(ステップS124)を行い、D2にて判定した検知による制御が合理性を有するかどうかの検証をおこない、以降の撹拌d(ステップS125)の時間の補正を行うことができる。撹拌d(ステップS125)終了後、すすぎや脱水等の次行程に進む(ステップS126)。
【0071】
また、図示はしないが、衣類の汚れ程度や衣類の量により、次行程で行なうすすぎの回数を省略することができるようになっている。
【0072】
以上のように、本実施の形態においては、制御手段は、水位検知手段が、所定の水位を検知していないのに、導電率検知手段が、その水位を検知している場合に、導電率検知手段が異常状態であると判定することにより、信頼性の高い判定ができ、以降の行程の制御を適切に行なうことができる。
【0073】
また、制御手段は、水位検知手段が、所定の水位を検知しているのに、導電率検知手段が、その水位を検知しない場合に、導電率検知手段が異常状態であると判定することにより、信頼性の高い判定ができ、以降の行程の制御を適切に行なうことができる。
【0074】
また、制御手段は、導電率検知手段が、正常に検知を行うことができない状態と判定した場合に、導電率検知手段を用いずに以降の行程を制御することにより、行程を停止することなく継続するので、使用者に洗濯が出来ないという不満を抱かせることがない。
【0075】
また、制御手段は、導電率検知手段が、正常に検知を行うことができない状態と判定した場合に、その回数を記憶手段に記憶し、導電率検知手段が、所定回数以上、正常に検知を行うことができない状態と判定した場合に、報知手段により報知することにより、導電率検知手段が正常に判定できない状態であることを使用者に知らせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上のように、本発明にかかる全自動洗濯機は、導電率の検知が正しく行える状態かどうかを判定することが可能となるので、各種の洗濯機等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0077】
43 外槽
44 内槽
46 パルセータ
48 モータ(駆動手段)
53 接続ダクト
75 排水ダクト
78 導電率検知手段
87 制御手段
90 水位検知手段
92 濁度検知手段
97 記憶手段
98 報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に弾性的に吊支した外槽と、前記外槽内に回転自在に支持された内槽と、この内槽の内底部に設けられたパルセータと、前記内槽またはパルセータを回転駆動する駆動手段と、前記外槽の外周側壁下部で、前記パルセータ外周部上面より低い位置に設けられ、洗濯水の導電率を検知する導電率検知手段と、前記内槽内の水位を検知する水位検知手段と、前記駆動手段等を逐次制御し、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の一連の行程を逐次制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記水位検知手段が所定の水位を検知していないのに、前記導電率検知手段がその水位を検知している場合は、前記導電率検知手段が異常状態であると判定する洗濯機。
【請求項2】
制御手段は、水位検知手段が所定の水位を検知しているのに、前記導電率検知手段がその水位を検知していない場合に、前記導電率検知手段が異常状態であると判定する請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
制御手段は、導電率検知手段が正常に検知を行うことができない状態と判定した場合に、前記導電率検知手段を用いずに以降の行程を制御する請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項4】
制御手段は、導電率検知手段が正常に検知を行うことができない状態と判定した場合に、その回数を記憶し、前記導電率検知手段が所定回数以上正常に検知を行うことができない状態と判定した場合に報知するようにした請求項1または2に記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−103052(P2013−103052A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250347(P2011−250347)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】