説明

洗濯用添加剤粒子とその製造方法および、これを含む衣料用洗剤

【課題】製造時や洗濯時における機能性物質の流出を防ぎ、該機能性物質を衣料に効果的に付着させ、かつ、徐放効果を向上させた洗濯用添加剤粒子とその製造方法、およびこれを含む衣料用洗剤を提供する。
【解決手段】本発明の衣洗濯用添加剤粒子は、下記(a)〜(c)に示す成分を含有することを特徴とする。(a)成分:香料成分、消臭剤、忌避剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、殺菌剤、柔軟剤、再汚染防止剤から選ばれる少なくとも1種の機能性物質。(b)成分:シリカ粒子。(c)成分:粘土鉱物、セルロース、カチオン化セルロース、カチオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種からなり、綿布への吸着率が20%以上である繊維吸着性物質。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば衣料や繊維の洗濯に用いられる衣料用洗剤等に好適に添加される洗濯用添加剤粒子とその製造方法、およびこれを含む衣料用洗剤に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料用の洗剤にあっては、近年、洗浄力の強さに加えて、それ以外の複合的な機能が求められている。例えば、洗濯後における香りの持続性や、洗い上がりの白さや柔軟性等は要求が高い。また、忌避性を付与した洗剤を用いて洗濯を行えば、衣類を着用することによって虫除けの効果も期待できる。
しかし、このような機能を有する機能性物質は、洗濯中に流出しやすく、その効果を保持するのが困難であった。
【0003】
そこで、機能性物質の保持や徐放効果を高める手法として、多孔質物質に機能性物質を含浸させる方法等が検討されている。
例えば、特許文献1には、無機キャリア物質の粒子と香料等の物質を乳化し、その乳化物を噴霧乾燥して顆粒化する耐湿性組成物の製造方法が記載されている。
特許文献2には、疎水性修飾シリカを油(香料)中に分散させた後に水性ポリマー中で乳化し、そのエマルジョンを噴霧し、噴霧したエマルジョンを脱水してカプセル化油粒子を形成する方法が記載されている。
特許文献3には、香料を吸収させた多孔性無機担体粒子を添加した洗剤組成物が記載されている。
特許文献4には、香料を吸着した不活性担体粉体を、結合剤溶液を用いて造粒した固形粒子の全表面に、フィルム形成性重合体で被膜層を形成させた徐放性香料組成物の製造方法が記載されている。
特許文献5には、液体又は液化可能な活性成分と、非水溶性固体支持体成分と、水溶性及び/又は水分散性カプセル化物質と、1以上の補助剤成分と、アクリルアミドとジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル四級塩(DMA3−MeCl)とのコポリマー等の表面付着増強陽イオン性ポリマーとを含む洗剤補助組成物を噴霧乾燥して製造する方法が記載されている。
【特許文献1】特表平8−506991号公報
【特許文献2】特表2003−505537号公報
【特許文献3】特開平5−209188号公報
【特許文献4】特公昭62−29056号公報
【特許文献5】特表2006−523729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に記載の方法では、噴霧乾燥を行うため、ある程度熱をかける必要があるが、香料等は低沸点であるため顆粒や粒子の製造時に香料が流出したり、大規模な乾燥装置と多大な乾燥エネルギーを必要としていた。また、乳化した後に噴霧乾燥を行うため工程が煩雑になりやすく、乳化剤等を最適化することも困難であるため、製造コストが高かった。
特許文献3に記載の洗剤組成物では、特定の孔サイズの多孔質物質に香料を含浸させているだけなので、洗濯やすすぎの際に起こりやすい香料等の成分の流出を抑制しにくく、洗濯終了時まで成分を保持するのが困難であった。
特許文献4に記載の方法では、洗濯後の衣類にまで香りが持続されにくかった。
特許文献5に記載の方法においては、噴霧乾燥により製造するため、香料に含まれる揮散しやすい低沸点成分や、熱で劣化、変性しやすい成分の使用が制限されるなどの問題があった。
【0005】
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、製造時や洗濯時における機能性物質の流出を防ぎ、該機能性物質を衣料に効果的に付着させ、かつ、徐放効果を向上させた洗濯用添加剤粒子とその製造方法、およびこれを含む衣料用洗剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、機能性物質を多孔質担体であるシリカ粒子に含浸させることにより機能性物質の保持性が向上した粒子が得られることに着目した。そして、香料等の低沸点の機能性物質においては、表面を疎水処理した多孔質担体を用いることにより、水中での流出を抑制し、高い保持性を示す粒子が得られることを見出した。更には、機能性物質を含浸させたシリカ粒子と共に繊維吸着性物質を含有させることにより、洗浄時やすすぎの後においても機能性物質が粒子中に保持され、機能性物質を含む粒子が衣類(繊維)に付着し、衣類に対して非常に優れた効果をもたらすと共に、効果の持続性(徐放効果)が高まることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の洗濯用添加剤粒子は、下記(a)〜(c)に示す成分を含有することを特徴とする。
(a)成分:香料成分、消臭剤、忌避剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、殺菌剤、柔軟剤、再汚染防止剤から選ばれる少なくとも1種の機能性物質。
(b)成分:シリカ粒子。
(c)成分:粘土鉱物、セルロース、カチオン化セルロース、カチオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種からなり、綿布への吸着率が20%以上である繊維吸着性物質。
【0008】
ここで、当該洗濯用添加剤粒子100質量%中、前記(a)成分の含有量が5〜70質量%、前記(b)成分の含有量が5〜80質量%、前記(c)成分の含有量が5〜80質量%であることが好ましい。
また、前記(a)成分が香料成分であることが好ましい。
さらに、前記(b)成分が疎水性を示すことが好ましい。
また、本発明の衣料用洗剤は、前記洗濯用添加剤粒子を含む。
【0009】
また、本発明の洗濯用添加剤粒子の製造方法は、下記(a)成分と下記(b)成分とを混合して、(b)成分に(a)成分が含浸した粉体混合物を調製する工程と、該粉体混合物を下記(c)成分と共に圧密化処理する造粒工程を有することを特徴とする。
(a)成分:香料成分、消臭剤、忌避剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、殺菌剤、柔軟剤、再汚染防止剤から選ばれる少なくとも1種の機能性物質。
(b)成分:シリカ粒子。
(c)成分:粘土鉱物、セルロース、カチオン化セルロース、カチオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種からなり、綿布への吸着率が20%以上である繊維吸着性物質。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、製造時や洗濯時における機能性物質の流出を防ぎ、該機能性物質を衣料に効果的に付着させ、かつ、徐放効果を向上させた洗濯用添加剤粒子とその製造方法、およびこれを含む衣料用洗剤を提供することができる。
さらに、本発明によれば、高濃度の機能性物質を含有した洗濯用添加剤粒子が製造できると共に、製造時に高温で処理する必要がないので、機能性物質の流出を抑制でき、高い効果を発現させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の洗濯用添加剤粒子は、機能性物質と、シリカ粒子と、繊維吸着性物質とを含有する。
【0012】
[洗濯用添加剤粒子]
<(a)成分:機能性物質>
機能性物質としては、香料成分、消臭剤、忌避剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、殺菌剤、柔軟剤、再汚染防止剤から選ばれる少なくとも1種を用いる。中でも、香料成分が好ましい。
機能性物質の含有量は、洗濯用添加剤粒子100質量%中、5〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、30〜50質量%がさらに好ましい。機能性物質の含有量の下限値が上記値より少なくなると、徐放効果が低下し、また、洗濯用添加剤粒子中の有効成分が減少する。一方、含有量の上限値が上記値より多くなると、水中で機能性物質の流出が起こりやすくなり、保持性が低下する。
【0013】
(香料成分)
香料成分としては、脂肪族エーテル、芳香族エーテル等のエーテル類、脂肪族オキサイド、テルペン類のオキサイド等のオキサイド類、アセタール類、ケタール類、フェノール類、フエノールエーテル類、脂肪酸、テルペン系カルボン酸、水素化芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の酸類、酸アマイド類、ニトロムスク類、ニトリル、アミン、ピリジン類、キノリン類、ピロール、インドール等の含窒素化合物等の合成香料及び動物、植物からの天然香料、天然香料及び/又は合成香料を含む調合香料の1種又は、2種以上を混合し使用することができる。例えば、1996年化学工業日報社刊印藤元一著「合成香料 化学と商品知識」、1969年MONTCLAIR,N.J.刊STEFFEN ARCTANDER著“Perfume and Flavor Chemicals”等に記載の香料が使用できる。
【0014】
ここで、以下に主な香料名を示す。オイゲノール、ゲラニオール、バクダノール、ジプロピレングリコール、リナロール、フェニルエチルアルコール、9−デセン−1−オール、シトロネロール、イソオイゲノール、セドロール、シス−3−ヘキセノール、ネロール、ターピネオール、ボルネオール、シス−3−ヘキセニルサリシレート、ジブチルヒドロキシトルエン、メチルアトラレート、マンザネート、フルイテート、酢酸 p−t−ブチルシクロヘキシル、メントール、テトラヒドロリナロール、ジメチルベンジルカルビノール、ゲラニルアセテート、シトロネリルアセテート、フェニルエチルアセテート、メチルジヒドロジャスモネート、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、ターピニルアセテート、アセチルセドレン、p−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、2−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、メチルアンスラニレート、ヂメチルベンジルカービニルアセテート、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、2−メチルウンデカナール、アニスアルデヒド、ヘリオトロピン、ヘキシルシンナミックアルデヒド、リリアール、リラール、バニリン、エチルバニリン、ムスコン、シクロヘキサデセノン、ムスクケトン、トナリド、ヨノン、メチルヨノン、β−メチルナフチルケトン、カシメラン、α,β,γ−ダマスコン、リモネン、ピネン、ミルセン、カリオフィレン、シクロペンタデカノリド、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、クマリン、ガラクソリド、アンブロキサン、セドリルメチルエーテル、ファレナール、インドール、ベンジルアルコール、ベンジルサリシレート、パラターシャリーブチルシクロヘキサノール、オルトターシャリーブチルシクロヘキサノール、シンナミックアルコール、フェノキシエタノール、ジヒドロリナロール、ミルセノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、3−オクタノール、1−オクテン−3−オール、9−デセノール、トランスー2−シス−6−ノナジエノール、ファルネソール、ネロリドール、ビサボロール、パチュリアルコール、ベチベロール、p−ターシャリーブチルシクロヘキサノール、アンブリノール、1−(2−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)−2−ブタノール、ジヒドロミルセノール、ジメトール、ジミルセトール、フェンチールアルコール、ヘキシルサリシレート、ヒドロトロピックアルコール、マイヨール、メチルサリシレート、ムゴール、ノピルアルコ−ル、ネロ−ル、オキシフェニロン、ラバンジュロール、サンダロア、サンデラ、サンタレックス、ブラマノール、ポリサントール、エバノール、ジメチルベンジルカルビノール、テトラヒドロムゴール、テトラヒドロゲラニオール、チモール、カルバクロール、パラメチルアニソール、ベルトフィックス、トナリッド、アリルアミルグリコレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、アミルバレリアネート、アミルサリシレート、イソアミルアセテート、イソアミルサリシレート、アセチルユゲノール、ベンジルサリシレート、ベルガミールアセテート、ボルニルアセテート、ブチルブチレート、ベンジルフォーメート、セドリルアセテート、シトロネリルフォーメート、シクラセット、シクラプロップ、シンナミルアセテート、フルテート、フェニルエチルフェニルアセテート、ゲラニルフォーメート、シス−3−ヘキセニールアセテート、ヘキシルサリシレート、イソボルニルアセテート、イソノニルアセテート、ジャスマール、メンチルアセテート、メチルサリシレート、ノピルアセテ−ト、ネリルアセテ−ト、メチルフェニルアセテ−ト、ネオベルガメート、エチル−2−メチルペンタノエート、スチラリールアセテート、スチラリールプロピオネート、テトラヒドロリナリールアセテート、テトラヒドロゲラニールアセテート、ベルドックス、シス−3−ヘキセナール、トランスー2−ヘキセナール、ヘプタナール、オクタナール、アドキサール、アミルシンナミックアルデヒド、ベンツアルデヒド、シンナミックアルデヒド、シトラール、シトラサール、シトロネラール、シクラメンアルデヒド、p−エチル−2,2−ジメチルヒドロシンナムアルデヒド、3−(p−t−ブチルフェニル)−プロピルアルデヒド、クミンアルデヒド、デュピカール、ヘリオナール、ヒヤシンスアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、イソシクロシトラール、リグストラール、ミューゲアルデヒド、ミラックアルデヒド、トリプラール、4−トリシクロデシリデンブタナール、トリメチルシクロヘキセンメチルブタナール、サフラナール、ペリラアルデヒド、α−メチレンシトロネラール、ウンデシレンアルデヒド、ジメチルオクタナール、トリメチルウンデセナール、トランス−2−ノネナール、アセトフェノン、ローズフェノン、カルボン、セレストリッド、シスジャスモン、キャロン、ジヒドロジャスモン、ジフェニルオキサイド、コアボン、メチルラベンダーケトン、ラズベリーケトン、シベトン、シクロペンタデカノン、オキサヘキサデセン−2−オン、オリボン、オキシフェニロン、トラセオライド、アセチルセドレン、メチルラベンダーケトン、イソシクレモン、イロン、α−ダイナスコン、イソダマスコン、ダマセノン、ネロン、3,3−ジメチルシクロヘキシルメチルケトン、p−ターシャリル−ブチルシクロヘキサノン、シクロテン、トリメチルシクロペンタノン、ヘキシルシクロペンタノン、マルトール、エチルマルトール、ソトロン、2,5−ジメチルー4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、テルピネン、フェランドレン、p−サイメン、ファルネセン、3−カレン、テルピノーレン、カンフェン、サビネン、ビサボレン、セドレン、グアイエン、ジフェニル、ジフェニルメタン、アンブレットリッド、n−ブチルフタリド、プロピリデンフタリド、ブチリデンフタリド、δ−ヘキサラクトン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−2−デセノラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、δ−テトラデカラクトン、ラクトスカトン、γ−ヘキサラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、ウイスキーラクトン、アンゲリカラクトン、γ−ドデカラクトン、γ−ジャスモラクトン、ジャスミンラクトン、シスジャスモンラクトン、シクロヘキシルラクトン、ε−デカラクトン、ε−ドデカラクトン、2−メチル酪酸エチル、アリルヘプタノエート、エチレンドデカンジオエート、ガラクソライド、シクロヘキサデカノリド、10−オキサヘキサデカノリド、11−キサヘキサデカノリド、12−オキサヘキサデカノリド、エチレンブラシレ−ト、14−メチル−ヘキサデセノリド、14−メチル−ヘキサデカノリド、オシメンエポキシド、パラクレジールメチルエーテル、ローズオキサイド、シンナミルニトリル、クミニルニトリル、キノリン、イソキノリン、p−メチルキノリン、6−イソプロピルキノリン、イソブチルキノリン、ヤラヤラ、酢酸、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、ゲラン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、ヒドロケイ皮酸、バニリン酸、アニス油、ベイ油、ボアドローズ油、カナンガ油、カルダモン油、カシア油、シダーウッド油、オレンジ油、マンダリン油、タンジェリン油、バジル油、ナツメグ油、シトロネラ油、クローブ油、コリアンダー油、エレミ油、ユーカリ油、フェンネル油、ガルバナム油、ゼラニウム油、ヒバ油、桧油、ジャスミン油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、レモングラス油、ライム油、ネロリ油、オークモス油、オコチア油、パチュリ油、ペパーミント油、ペリラ油、プチグレン油、パイン油、ローズ油、ローズマリー油、しょう脳油、芳油、クラリーセージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スパイクラベンダー油、スターアニス油、タイム油、トンカ豆チンキ、テレピン油、ワニラ豆チンキ、ベチバー油、イランイラン油、グレープフルーツ油、ゆず油、ベンゾイン、ペルーバルサム、トルーバルサム、チュベローズ油、ムスクチンキ、カストリウムチンキ、シベットチンキ、アンバーグリスチンキ。又、香料の溶剤又は、保留剤としてジエチルフタレート、ベンジルベンゾエート、イソプロピールミリステート、ハーコリン、イソペンタン、オレンジテルペン等を使用することができるが、これらに限定されない。
【0015】
(消臭剤)
消臭剤としては、発生した悪臭をマスキングする物質であれば、特に限定されない。具体的には、オウゴン、アセンヤク、セージ、チャ、ローズマリー、ウイキョウ、タイム、ナツメグ、コショウ、ターメリック、バニラ、パプリカ、ヨクイニン、サイコ、木瓜、スホウ、キュレン、ジョンラブ、カタバミ、ドクダミ、ツガ、イチョウ、クロマツ、カラマツ、アカマツ、キリ、ヒイラギモクセイ、ライラック、キンモクセイ、フキ、ツワブキ、レンギョウ、クリ、ハンノキ、コナラ、ザクロ、イチジク、ゼンマイ、タニウツギ、カキノキ、オオバコ、ヨモギ、ヤマモミジ、サルスベリ、シロバナハギ、アセビ、シダ、ヤマナラシ、コバノトネリコ、甘蔗(ショ糖)などから溶媒等で抽出されるエキス等が挙げられる。
これら消臭剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
(忌避剤)
忌避剤は、一般的に、害虫等の虫除けに用いる薬剤であり、昆虫類がそのにおいや味を嫌って避ける性質を利用したものである。
忌避成分としては、安全性の点から天然素材抽出物が好ましい。具体的には、ジャスモン、ジヒドロジャスモン、ジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、メチルオイゲノール、イソオイゲノール、サリチル酸アミル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸シス−3−ヘキセニル、サリチル酸ベンジル、L−メントン、L−カルボン、ベンズアルデヒド、ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、2−フェノキシエタノール、α−アミルケイ皮アルデヒド、桂皮アルコール、桂皮アルデヒド、桂皮酸エチル、桂皮酸プロピル、桂皮酸イソプロピル、酢酸シンナミル、安息香酸アミル、安息香酸イソアミル、安息香酸ヘキシル、安息香酸シス−3−ヘキセニル、安息香酸ヘプチル、安息香酸オクチル、ファルネソール、ネロリドール、フェトール、テトラハイドロリナロール、ボルニルアセテート、ミルセニルアセテート、セドリルアセテート、ラベンダリーアセテート、シトロネリルイソブチレート、テルピニルプロピオネート、リナリルホルメート、シトロネリルチグレート、ノピルアセテート、ベチベリルアセテート、リラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、2,6,10−トリメチル−9−ウンデカナール、ヨノン、ダマスコン、ヌートカトン、セドリルメチルエーテル、イソメントン、シトロネラール、リナロール、シトロネロール、シトラール、p−メンタン、α−ピネン、β−ピネン、d−リモネン、ゲラニオール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、1,8−シネオール、p−メンタン−8−エン−1,2−ジオール、オイゲノール、ベンジルホーメイト、ベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、ベンジルブチレート、ベンジルバレレート、ベンジルカプロエート、リナロール、α−ヘキシルケイ皮アルデヒド、レモングラス油、ラベンダー油、オレンジ油、ベチバ−油、パチョウリ油、カナンガ油、クロ−ブ油、カジェプット油、シトロネラ油、ナツメグ油、ペッパ−油、サンダルウッド油、バルク油、ガ−ジン油、ジンジャ−油、カンポ−油、キュウベブュ油、コ−ンミント油、アニス油、ラング油、シナモン油、メ−ス油、パロマロ−サ油、フェンネル油、カラムス油、タイムス油、ニ−ム油、シナモンリーフ油等が挙げられる。
これら忌避剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としは、紫外線を吸収し赤外線や可視光線等に変換して放出する物質であれば特に限定されない。具体的には、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル等のアミノ安息香酸誘導体、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸ミリスチル等のサリチル酸誘導体、ジイソプロピルケイ皮酸メチル、p−メトキシケイ皮酸エチル、p−メトキシケイ皮酸イソプロピル、p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、p−メトキシケイ皮酸ブチル等のケイ皮酸誘導体、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2、2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等のアゾール系化合物、あるいは4−t−ブチル−4'−メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。
これら紫外線吸収剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
(抗菌剤)
抗菌剤としては、一般的に抗菌剤として用いられる物質や、抗菌作用以外の作用を併せもつ物質等、抗菌作用を有するものであれば特に限定されない。具体的には、アニオン系又は非イオン系抗菌剤、カチオン系又は両性イオン系抗菌剤、無機系抗菌剤等が挙げられる。
アニオン系又は非イオン系抗菌剤としては、フェノール系(オルトフェニルフェノール(OPP)等)、カルボン酸系(安息香酸等)、エステル系(グリセリン脂肪酸エステル等)、エーテル系(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)等)、ニトリル系(2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル(TPN)等)、ハロゲン系(N,N−ジメチル−N’−(ジクロロフルオロメチルチオ)−N’−フェニルスルファミド(ジクロフルアニド)等)、ピリジン系(1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2−ピリドンモノエタノールアミン塩(ピロクトンオラミン)、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛(ジンクピリチオン)等)、イソチアゾロン系(2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(ケーソン)等)、イミダゾール系(2−(4’−チアゾリル)−ベンツイミダゾール(TBZ)等)、アニリド系(3,4,4’−トリクロロカルバニリド等)、糖質系(β−1,4−ポリグルコサミン(キトサン)等)、トロポロン系(4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−シクロヘプタ−2,4,6−トリエン−1−オン(ヒノキチオール)等)が挙げられる。
カチオン系又は両性イオン系抗菌剤としては、界面活性剤系(塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(塩化ベンザルコニウム)、アルキルジ(アミノエチル)グリシン等)、ビグアニド系(グルコン酸−1,1’−ヘキサメチレンビス[5−(4−クロロフェニル)ビグアニド](グルコン酸クロルヘキシジン)等)が挙げられる。
無機系抗菌剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属イオン系(銀イオン、銅イオン、亜鉛イオン等)が挙げられる。
これら抗菌剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
(殺菌剤)
殺菌剤としては、菌を死滅させるものであれば、特に限定されない。具体的には、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物やベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物、5−ブロモ−5−ニトロー1,3−ジオキサン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、5−クロロ−5−ニトロー1,3−ジオキサン、2−クロロ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール等が挙げられる。
また、Bronidox L(Henkel社製)、Bronopol(Inolex社製)、ブロノポール(吉富製薬社製)、マイアサイドBT(ブーツ社製)、マイアサイドファーマBP(BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
また、息香酸類として、安息香酸又はその塩、サリチル酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル等を用いることもできる。さらに、フェノール化合物として、3−メチル−3−イソプロピルフェノール、o−フェニルフェノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、レゾルシン、クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等を用いることもできる。
これら殺菌剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
(柔軟剤)
柔軟剤としては、洗濯後の衣料のしなやかさを保たせるものであれば、特に限定されない。具体的には、ジ長鎖炭化水素基を有するカチオン性界面活性剤等の柔軟成分、水溶性又は水分散性ポリウレタン等の繊維変形防止成分、2〜6官能性ポリアルキレンオキシドポリオール又は、2〜6官能性ポリアルキレンオキシドポリオールで末端処理した脂肪族イソシアネート及び/又は芳香族イソシアネート等の防縮成分やピリング生成防止成分等が挙げられる。
また、繊維の吸水性、アイロンすべり性、防しわ性、退色した衣類の色調、繊維の感触を改善する目的で、ジメチルポリシロキサン、各種有機官能基を有する変性ジメチルポリシロキサンから選ばれるシリコーンやセルロース誘導体、化工澱粉等を用いてもよい。
これら柔軟剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
(再汚染防止剤)
再汚染防止剤としては、洗濯の際に、繊維から離脱して洗濯液に分散する汚れの一部が再び繊維に沈着するのを防ぐ効果を有するものであれば、特に限定されない。具体的には、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ソイルリリースポリマー等が挙げられる。
これら再汚染防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
<(b)成分:シリカ粒子>
シリカ粒子としては、特に限定されるものではないが、多孔質のものが好ましい。
また、JIS K5101により測定される吸油能が100ml/100g以上であることが好ましい。平均粒子径は0.1〜200μmが好ましい。なお、平均粒子径は質量基準のメジアン径であり、コールターカウンター法により求められる。
このようなシリカ粒子としては、沈降性シリカ、乾式シリカ、シリカゾル、シリカゲル等が挙げられる。具体的には、「NIPSIL」「NIPGEL」(東ソー・シリカ(株)製)、「トクシール」「ファインシール」「親水性レオロシール」((株)トクヤマ製)、「サイシリア」(富士シリシア化学(株)製)、「親水性AEROSIL」(日本アエロジル(株)製)等のシリカ粒子を用いることができ、市販品として容易に入手できる。
また、表面を疎水化処理した疎水性シリカやカチオン性シリカを用いてもよい。洗濯、すすぎ中の機能性物質の保持という点から疎水性シリカが好ましく、衣類への吸着という点からカチオン性シリカが好ましい。具体的には、疎水性シリカとして、「サイロホービック」(富士シリシア化学(株)製)、「AEROSIL:R972、R974、RX200、R805、RY200」(日本アエロジル(株)製)、「NIPSIL SS」(東ソー・シリカ(株)製)、「疎水性レオロシール」((株)トクヤマ製)等が挙げられる。カチオン化シリカとしては、「AEROSIL:RA200HS」(日本アエロジル(株)製)等が挙げられる。
これらシリカ粒子は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
シリカ粒子の含有量は、洗濯用添加剤粒子100質量%中、5〜80質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。シリカ粒子の含有量の下限値が上記値より少なくなると、機能性物質の保持性が低下する。一方、含有量の上限値が上記値より多くなると、微粉によるハンドリング性や作業性が低下し、洗濯用添加剤粒子中の機能性物質の割合が減少するため、機能性物質が発揮する効果が低下する。
【0024】
<(c)成分:繊維吸着性物質>
繊維吸着性物質は、粘土鉱物、セルロース、カチオン化セルロース、カチオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種からなり、綿布への吸着率が20%以上であるものを用いる。なお、2種以上の繊維吸着性物質を混合する場合は、混合物の状態で吸着率を下記に示す吸着量測定法により測定し、その値が上記範囲内であればよい。
繊維吸着性物質の含有量は、洗濯用添加剤粒子100質量%中、5〜80質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましく、5〜30質量%がさらに好ましい。繊維吸着性物質の含有量の下限値が上記値より少なくなると、繊維への吸着が低下する。一方、含有量の上限値が上記値より多くなると、洗濯用添加剤粒子を製造する際の粒子化が困難となったり、洗濯用添加剤粒子中の機能性物質の割合が減少するため、機能性物質が発揮する効果が低下する。
【0025】
(綿布への吸着性)
本発明における吸着率の値は、下記に示す吸着量測定法により得られる値である。綿布への吸着率は20%以上であり、好ましくは30〜100%であり、より好ましくは50〜100%である。吸着率が20%未満になると、綿布への吸着が弱まるため、望む効果が得られなくなる。
吸着量測定法;
プロペラ型の撹拌翼(撹拌部サイズ:50×12mm、シャフト径φ:8×400mm、Heidolph社製)を備えた500mlのビーカに、繊維吸着性物質を0.01質量%含有する洗液(水溶液又は蒸留水を用いた分散液)300gと、綿タオル(MUKOTOWEL綿100%、新田タオル(株)製)5gを入れ、撹拌温度20℃、回転数200rpmで20分間撹拌する。次いで、洗液100mlを採取し、水溶液の場合は、洗液中の繊維吸着性物質の質量を全有機体炭素計((株)島津製作所製、「TOC−VCSH」)で測定し、分散液の場合は、メンブランフィルター(孔径0.45μm、直径φ47mm)にてろ過し、ろ過残分の質量を測定し、下記式から綿布への吸着率を算出する。
綿布への吸着率(%)=[撹拌前の洗液中の繊維吸着性物質の濃度(質量)−撹拌後の洗液中の繊維吸着性物質の濃度(質量)]/撹拌前の洗液中の繊維吸着性物質の濃度(質量)×100
なお、前記綿タオルは、市販の洗剤(ライオン(株)製「トップ、2006年製造」)を用い、洗濯機の標準コース(20℃水道水)で洗浄、濯ぎ、脱水を3回繰り返し行い、乾燥したものを用いる。
【0026】
(粘土鉱物)
粘土鉱物は、一般的に、主としてアルミニウム、鉄、マンガン、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウムなどの金属を含む含水ケイ酸塩であり、微細な結晶片の集合体である。また、組成や結晶形、結晶片の配列、粒状等によって呼称が異なり、多くの種類が存在する。例えば、スメクタイト類(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等)、雲母類(セリサイト、イライト、白雲母、金雲母等)、バーミキュライト、緑泥石、パイロフィライト、タルク、カオリン鉱物、蛇紋石、セピオライト、アロフェン、ハイドロタルサイト等が挙げられる。
これらの粘土鉱物は一般に、繊維に対する吸着性に優れ、さらに各種の界面活性剤が共存する場合においても繊維に対する吸着性が維持される性質があるので、綿布への吸着率が20%以上であれば、いずれも本発明に使用することができる。中でも、水膨潤性の粘土鉱物、例えばスメクタイト類や雲母類が好ましい。
なお、以下に例示する粘土鉱物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
スメクタイト類には天然産出品と合成品とがあり、いずれも本発明に好適に使用できる。天然産のスメクタイトとしては、例えば、モンモリロナイトを含有するものとしては、ベンゲル、ベンゲルHV、ベンゲルA、ベンゲルFW、ベンゲル31、ベンゲルW−100(豊順鉱業(株)製)、クニピアG、クニピアF(クニミネ工業(株)製)、ウエスタンボンド(アメリカンコロイド社製)、イエローストーン(ドレッサーミネラルズ社製)等が挙げられる。
サポナイトを含有するものとしては、ビーガムT、ビーガムHV、ビーガムF、ビーガムK(バンダービルド社製)等が挙げられる。
ヘクトライトを含有するものとしては、ヘクタブライトAW、ヘクタブライト200、ベントンEW(アメリカンコロイド社製)、マカロイド(ナショナルリード社製)等が挙げられる。
合成スメクタイトとしては、例えば、スメクトンSA(クニミネ工業(株)製)、イオナイトH(水澤化学工業(株)製)、SWN、SAN(コープケミカル(株)製)、ラポナイト(ラポルテインダストリー社製)等が挙げられる。
雲母類としては、例えば、膨潤性合成雲母ME(コープケミカル(株)製)、ナトリウム四ケイ素雲母DP−DM(トピー工業(株)製)等が挙げられる。
【0028】
また、水膨潤性の粘土鉱物中に存在する交換性カチオンを1価または多価のカチオンで置換した交換性カチオン置換粘土鉱物も、前記水膨潤性の粘土鉱物と同様に本発明の洗濯用添加剤粒子に用いることができる。1価または多価のカチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、チタニウムイオン、鉄イオン、銅イオン、銀イオン等の遷移金属イオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン等が挙げられる。
【0029】
さらに、水膨潤性の粘土鉱物として、酸性白土のアルカリ処理物も用いることができる。酸性白土は通常、1%水分散液におけるpHが5〜6以下、膨潤度が10ml/2g以下、SiOとAlの含有量がモル比でSiO/Al=6〜10のものである。例えば、中条、小戸、上赤谷、糸魚川、水澤、川崎、松根、三川、青梅、上砂見産の酸性白土や、これらの酸性白土と類似の性質を示す英国産のFuller’s earth、米国産のFloride earth 、ドイツ産のWarkel erde等が挙げられる。これらの酸性白土中に存在する交換性の陽イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン等がある。
これらの酸性白土は、アルカリ処理することで綿布への吸着率が20%以上となり、前記の水膨潤性の粘土鉱物と同様に本発明の洗濯用添加剤粒子に用いることができる。
【0030】
(セルロース)
セルロースは、葉樹や広葉樹等の木材、麻類やミツマタ、コウゾ、ガンビ、ワラ、バガス、タケ等の葉繊維、茎繊維、ジン皮繊維、モメン、キワタ、カボック等の種子毛繊維等を原料としている。
綿布への吸着率が20%以上のセルロースとしては、KCフロックW−400G(日本製紙(株)製)、ArbocelBE−600/10、ArbocelHB120、ArbocelBE−600/30、ArbocelFD−600/30、Arbocel−TF30HG、ArbocelBWW−40、ArbocelBC−200、ArbocelBE−600/20(レッテンマイヤー社製)等が挙げられる。
これらセルロースは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
(カチオン化セルロース)
カチオン化セルロースは、繊維への吸着性が良好である。綿布への吸着率が20%以上のカチオン化セルロース としては、ヒドロキシトリメチルアンモニオプロピルヒドロキシエチルセルロースクロリドである市販のレオガードGPS(窒素分1.8質量%、平均分子量900,000)、レオガードGP(窒素分1.8質量%、平均分子量900,000)、レオガードGPO(窒素分1.8質量%、平均分子量900,000)、レオガードLP(窒素分1.0質量%、平均分子量900,000)、レオガードKGP(窒素分1.8質量%、平均分子量900,000)、レオガードMGP(窒素分1.8質量%、平均分子量2,000,000)、レオガードMLP(窒素分0.6質量%、平均分子量2,000,000)、レオガードMTY(窒素分0.6質量%、平均分子量900,000)〔以上、ライオン化学社製、グレードの相違はセルロースの分子量、エチレンオキシド(EO)付加及びカチオン化度等による。〕や、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体であるセルコートH−100(窒素分1.0質量%、平均分子量140,000)、セルコートL−200(窒素分2.0質量%、平均分子量30,000)、セルコートSC−240C(窒素分2.0質量%、平均分子量115,000)、セルコートSC−230M(窒素分2.0質量%、平均分子量170,000)〔以上、日本エヌエスシー社製、グレードの相違はセルロースの分子量、EO付加及びカチオン化度等による〕等が挙げられる。
これらカチオン化セルロースは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン化セルロースの分子量は、10,000〜10,000,000が好ましく、500,000〜5,000,000がより好ましい。分子量が小さすぎると布への吸着が小さくなり、分子量が大きすぎると水溶液中における粘性が高まり、顆粒の溶解性が悪くなる。
【0032】
(カチオン界面活性剤)
本発明に用いる繊維吸着性物質として、カチオン界面活性剤を用いることができる。
綿布への吸着率が20%以上のカチオン界面活性剤としては、アルキル基の炭素数8〜18のモノアルキルトリメチルアンモニウム塩、各アルキル基の炭素数4〜10のジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキル基の炭素数8〜18のアルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキル基の炭素数8〜18のアルキルピリジニウム塩、エステル型カチオン等が挙げられる。
これらカチオン界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
<任意成分>
本発明の洗濯用添加剤粒子には、その他の成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、賦形剤(バインダー)、賦形助剤、粉砕助剤、被覆剤、着色剤、洗浄剤、界面活性剤、高分子等の任意成分を適宜配合することができる。
【0034】
ここで、洗濯用添加剤粒子の製造方法の一実施形態例について説明する。
本発明の洗濯用添加剤粒子の製造方法は、前記機能性物質と前記シリカ粒子とを混合して、シリカ粒子に機能性物質が含浸した粉体混合物を調製する工程と、該粉体混合物と前記繊維吸着性物質とを造粒する工程を有する。
【0035】
まず、シリカ粒子に機能性物質を添加し、シリカ粒子に機能性物質が含浸した粉体混合物を調製する。機能性物質の添加方法は特に制限されないが、噴霧添加が好ましい。
次いで、上記粉体混合物を繊維吸着性物質と共に造粒する。造粒の方法としては、噴霧乾燥造粒や流動層造粒とは異なる、圧密化処理する造粒工程を有する造粒方法が好ましい。例えば、粉体混合物と繊維吸着性物とを、混練・捏和機にて捏和した後に破砕する混練・捏和・破砕造粒法、混練しながら押し出す押出造粒法、撹拌しながら圧密を加えて造粒する撹拌造粒法等の造粒方法が好ましい。また、打錠機、ブリケッティング機、コンパクティング機などで、上記粉体混合物と繊維吸着性物質との混合物を圧縮成型後、所定の粒径に破砕造粒する造粒方法も好ましい。中でも、混練・捏和・破砕造粒法や押出造粒法が特に好ましく、単に混ぜ合わせる方法とは異なり、粉体混合物と繊維吸着性物質とを緊密に接触させた均一混合物を調製することができる。
上記の造粒処理にて得られた造粒物は、さらに、篩にかけて粒度調整してもよく、これにより粒子径の揃った洗濯用添加剤粒子が得られる。
なお、本発明において、圧密化処理する造粒工程とは、上記のような造粒によって粒子の嵩密度の増加が、上記粉体混合物と繊維吸着性物質との混合物の嵩密度を基準にして、好ましくは0.1g/ml以上、より好ましくは 0.15〜0.9g/mlとなる造粒工程を意味する。
【0036】
このようにして得られる洗濯用添加剤粒子は、圧密を加えながら造粒することにより機能性物質が含浸したシリカ粒子と繊維吸着性物質とが緊密に接触して、均一に混合した状態の粒子となっている。
洗濯用添加剤粒子の平均粒子径は100〜1000μmが好ましい。なお、平均粒子径は質量基準のメジアン径である。
【0037】
[衣料用洗剤]
本発明の衣料用洗剤は、界面活性剤を含む洗剤組成物に、上述した洗濯用添加剤粒子を添加することにより得られる。なお、洗剤組成物の配合組成は、任意に設計できる。
洗濯用添加剤粒子の含有量は、衣料用洗剤100質量%中、0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%がさらに好ましい。洗濯用添加剤粒子の含有量の下限値が上記値より少なくなると、洗濯後、効果が弱くなってしまう。一方、含有量の上限値が上記値より多くなると、安定性に問題が生じたり、香料の場合には、製品中や洗濯後の香りが強くなりすぎることもある。また、経済的に好ましくない。
衣料用洗剤の平均粒子径は200〜1500μmが好ましく、350〜1000μmがより好ましい。なお、平均粒子径は質量基準のメジアン径である。
また、嵩密度は0.3〜1.2g/mLが好ましく、0.6〜1.0g/mLがより好ましい。なお、嵩密度はJIS K3362に準じて測定できる。
【0038】
このように、本発明の洗濯用添加剤粒子の製造方法によれば、シリカ粒子に機能性物質を含浸させることにより機能性物質の保持性が高まり、また、機能性物質含有シリカ粒子と繊維吸着性物質を造粒することにより、機能性物質は繊維吸着性物質の効果で洗濯時においても粒子中に保持されたまま繊維に吸着されるので、洗濯後もその効果を持続することができる。また、高濃度の機能性物質を含有した洗濯用添加剤粒子が製造できると共に、製造時に高温で処理する必要がないので、機能性物質の流出を抑制でき、高い効果を発現させることも可能となる。
【実施例】
【0039】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「%」は、特に断らない限り、質量%を示す。
【0040】
[使用原料]
(機能性物質)
香料成分:2−メチル酪酸エチル0.5%、マンザネート0.5%、パラメチルアニソール1%、アリルヘプタノエート1%、ジヒドロミルセノール3%、リナロール7%、酢酸 p−t−ブチルシクロヘキシル4.5%、シトロネロール8%、フルイテート1%、β-ダマスコン0.2%、フェニルエチルアルコール2%、シクラメンアルデヒド13%、リリアール6%、アンブロキサン0.2%、ローズフェノン2%、ヘキシルサリシレート5.5%、ヘリオトロピン3%、ベルトフィックス1%、γ−ウンデカラクトン3.4%、ガラクソライド(ベンジルベンゾエート50%含有溶液)20%、ヘキシルシンナミックアルデヒド6%、トナリッド3.5%、ヘリオナール0.5%、クマリン5.5%、エチルバニリン0.2%、ラズベリーケトン1.5%(%は香料成分中の含有量示す。)。
忌避剤:シトロネラ。
消臭剤:ローズマリーエキス。
抗菌剤:ゲラニオール。
柔軟剤:ポリエーテル変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製)。
(シリカ粒子)
疎水処理多孔質シリカ:サイロホービック200(富士シリシア化学(株)製)。
多孔質シリカ:トクシールNP(東ソー・シリカ(株)製)。
(繊維吸着性物質(吸着率%))
モンモリロナイト:ラウンドロジルDGA(48%)(SUD−CHEMIE社製)。
セルロース:Arbocel BE―600/30(68%)(レッテンマイヤー社製)。
カチオン化セルロース1:レオガードMTY(69%)(ライオン社製)。
カチオン化セルロース2:レオガードGP(71%)(ライオン社製)。
カチオン化セルロース3:レオガードKGP(50%)(ライオン社製)。
カチオン界面活性剤1:アーカードT−800(98%)(ライオンアクゾ社製)。
カチオン界面活性剤2:アーカードTES−85E(21%)(ライオンアクゾ社製)。
(任意成分)
賦形剤:LPB(ラウリン酸アミドプロピルベタイン)(ライオン(株)製)。
【0041】
[洗剤組成物の調製]
<使用原料>
LAS−K:ライポンLH−200(ライオン(株)製)のカリウム塩。
α−SF−Na:(炭素数14:炭素数16=18:82)のα−スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム(AI=70%、残部は未反応脂肪酸メチルエステル、硫酸ナトリウム、メチルサルフェート、過酸化水素、水等)。
石鹸:C12〜18の脂肪酸ナトリウム(純分67%、タイター40〜45℃、分子量289)。
ノニオン界面活性剤:C1214天然アルコール(P&G(株)製)の酸化エチレン平均15モル付加体(純分90%)。
ゼオライト:シルトンB(水沢化学(株)製)(純分80%)。
アクリル酸/マレイン酸コポリマー塩:アクアリックTL−400(日本触媒(株)製)(純分40%水溶液)。
A型ゼオライト:純分47.5%のスラリー(日本化学(株)製)。
炭酸ナトリウム:粒灰(旭硝子(株)製)。
炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子(株)製)。
亜硫酸ナトリウム:無水亜硫酸曹達(神州化学(株)製)。
硫酸ナトリウム:中性無水芒硝(日本化学工業(株)製)。
【0042】
<調製>
表1に示す使用原料のうち、ノニオン界面活性剤と、α−SF−Naと、6.6%相当量(対洗剤組成物、以下同様)の粉砕助剤(A型ゼオライト)を除く成分を水に溶解もしくは分散させて水分38%のスラリーを調製した後、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度300℃の条件で噴霧乾燥し、水分3%の噴霧乾燥粒子を得た。
α−SF−Naが11.0%、ノニオン界面活性剤が2.7%の濃縮物及び前記載の噴霧乾燥粒子と共に、2.3%相当量のノニオン界面活性剤及び水を連続ニーダー((株)栗本鐵工所製、「KRC−S4型」)に投入し、捏和能力120kg/h、温度60℃の条件で捏和し、不定形固形洗剤を得た。この不定形固形洗剤を穴径10mmのダイスを装備したペレッターダブル(不二パウダル(株)製、「EXDFJS−100型」)を用いて押し出しつつ、カッターで切断し(カッター周速は5m/s)、長さ5〜30mm程度のペレット状固形洗剤を得た。
次いで、得られたペレット状固形洗剤に6.6%相当量のA型ゼオライト(平均粒子径180μm)を添加し、冷風(10℃、15m/s)下で直列3段に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、「DKA−3」)を用いて粉砕し(スクリーン穴径:1段目/2段目/3段目=12mm/6mm/3mm、回転数:全段4700rpm)、洗剤組成物を調製した。
【0043】
<平均粒子径の測定>
得られた洗剤組成物(サンプル)について、目開き1680μm、1410μm、1190μm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μmの9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行った。分級操作は、受け皿に目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の1680μmの篩の上から100g/回のサンプルを入れ、蓋をしてロータップ型ふるい振盪機((株)飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収する操作を行った。
この操作を繰すことによって1410〜1680μm(1410μm.on)、1190〜1410μm(1190μm.on)、1000〜1190μm(1000μm.on)、1000〜710μm(710μm.on)500〜710μm(500μm.on)、350〜500μm(350μm.on)、250〜350μm(250μm.on)、149〜250μm(149μm.on)、受け皿〜149μm(149μm.pass)の各粒子径の分級サンプルを得、重量頻度(%)を算出した。
次に、算出した重量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きをa(μm)とし、またa(μm)よりも一段大きい篩の目開きをbvとし、受け皿からa(μm)の篩までの重量頻度の積算をc%、またa(μm)の篩上の重量頻度をd%として、次式によって平均粒子径(重量50%)を求めた。結果を表1に示す。
平均粒子径(重量50%径)=10[50-(c-d/(log b-log a) × log b)]/[d/(log b-log a)]
【0044】
<嵩密度の測定>
得られた洗剤組成物の嵩密度を、JIS K3362に準じて測定した。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
[実施例1]
<洗濯用添加剤粒子の製造>
表2に示す、シリカ粒子(疎水処理多孔質シリカ)600gをレーディゲミキサー((株)マツボー製 「M−20型」、内容積:20L、撹拌翼直径:0.3m)に投入し、主軸200rpm、チョッパー6000rpmにて撹拌を開始した。撹拌開始後10秒後に香料成分1100gを噴霧角度70℃の2流体ホロコーンノズルを用いて100g/分の供給速度で噴霧添加し、香料成分をシリカ粒子に含浸させた。続いて、得られた粉末(香料成分含浸シリカ粒子)のうち360gを採取し、これと任意成分として賦形剤(LPB)90g及び、繊維吸着性物質としてモンモリロナイト150gを連続ニーダー((株)栗本鐵工所製、「KRC−S1型」)に投入し、温度30℃で捏和し造粒(混練)した。得られた捏和物を卓上ミル(トリオサイエンス(株)製、「トリオブレンダー」)で粉砕し、目開き1000μmの篩を用いて分級し、目開き1000μmの篩を通過する粒子を得て、香料成分含有の洗濯用添加剤粒子とした。なお、表2に示す各原料の配合量は、洗濯用添加剤粒子を100%とした場合の値である。洗濯用添加剤粒子中の香料成分の含有量を表2に示す。
【0047】
<繊維への吸着率>
洗濯用添加剤粒子に用いた繊維吸着性物質の繊維への吸着率を上述の吸着量測定法から求めた。結果を表2に示す。
【0048】
<残香性評価>
先に調製した洗剤組成物に、香料成分が0.2%相当になるように洗濯用添加剤粒子を添加して衣料用洗剤を調製し、衣類への残香性の評価を行った。
市販洗濯機(日立(株)製、「NW−70RS1型」)に市販の綿タオル(綿100%)1.5kgと水道水30Lを入れ、衣料用洗剤を20g加えて、すすぎ−脱水操作(すすぎ3分、脱水2分)を2回繰り返した後、綿タオルを取り出して温度25℃、湿度50%の恒温恒湿室に24時間放置して乾燥させた。なお、綿タオルは、市販洗剤(ライオン(株)製、「トップ、2006年製造」)を用い、前記洗濯機の標準コース(20℃水道水)で洗浄、濯ぎ、脱水を3回繰り返し、前記条件で乾燥したものを用いた。
衣類への残香性を、専門パネラー5人により下記の評価基準で官能評価した。結果を表1に示す。
5:香料の残香がとても強い。
4:香料の残香が強い。
3:香料の残香がある。
2:香料の残香が弱い。
1:香料の残香がしない。
【0049】
[実施例2]
繊維吸着性物質として、表2に示すカチオン化セルロース1に変更した以外は実施例1と同様にして洗濯用添加剤粒子を製造した後、衣料用洗剤を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0050】
[実施例3]
表2に示すように、繊維吸着性物質としてモンモリロナイト75gとセルロース75gを用い、賦形剤(任意成分)の代わりにカチオン界面活性剤1を用いた以外は実施例1と同様にして洗濯用添加剤粒子を製造した後、衣料用洗剤を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
なお、表2に示す繊維吸着性物質の繊維への吸着率は、用いた繊維吸着性物質全てを混合した際の混合物の吸着率を吸着量測定法にて測定したものである。以下、同様である。
【0051】
[実施例4]
繊維吸着性物質として、モンモリロナイト75gとセルロース75gを用いた以外は実施例1と同様にして洗濯用添加剤粒子を製造した後、衣料用洗剤を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0052】
[実施例5]
繊維吸着性物質として、モンモリロナイト75gとカチオン化セルロース1を75g用いた以外は実施例1と同様にして洗濯用添加剤粒子を製造した後、衣料用洗剤を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0053】
[実施例6]
繊維吸着性物質として、モンモリロナイト75gとカチオン化セルロース2を75g用いた以外は実施例1と同様にして洗濯用添加剤粒子を製造した後、衣料用洗剤を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0054】
[実施例7]
繊維吸着性物質として、モンモリロナイト75gとカチオン化セルロース3を75g用いた以外は実施例1と同様にして洗濯用添加剤粒子を製造した後、衣料用洗剤を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0055】
[実施例8]
表2に示す、シリカ粒子(多孔質シリカ)300gをレーディゲミキサーに投入し、主軸200rpm、チョッパー6000rpmにて撹拌を開始した。撹拌開始後10秒後に香料成分550gを噴霧角度70℃の2流体ホロコーンノズルを用いて100g/分の供給速度で噴霧添加し、香料成分をシリカ粒子に含浸させた。続いて、任意成分として賦形剤(LPB)212.5g及び、繊維吸着性物質としてモンモリロナイト177gとカチオン化セルロース1を177gレーディゲミキサーに投入し、30秒間撹拌を続け造粒物を得た。これ以降の操作を実施例1と同様にして行い、洗濯用添加剤粒子を製造した後、衣料用洗剤を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0056】
[実施例9]
表2に示す、シリカ粒子(多孔質シリカ)600gをレーディゲミキサーに投入し、主軸200rpm、チョッパー6000rpmにて撹拌を開始した。撹拌開始後10秒後に香料成分1201.8gを噴霧角度70℃の2流体ホロコーンノズルを用いて100g/分の供給速度で噴霧添加し、香料成分をシリカ粒子に含浸させた。続いて、得られた粉末(香料成分含浸シリカ粒子)のうち360gを採取し、これと任意成分として賦形剤(LPB)90g及び、繊維吸着性物質としてモンモリロナイト75gとセルロース75gを連続ニーダーに投入し、温度30℃で捏和し造粒した。これ以降の操作を実施例1と同様にして行い、洗濯用添加剤粒子を製造した後、衣料用洗剤を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0057】
[実施例10]
繊維吸着性物質として、モンモリロナイト75gとカチオン化セルロース1を75g用いた以外は実施例9と同様にして洗濯用添加剤粒子を製造した後、衣料用洗剤を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0058】
[実施例11]
香料成分をシリカ粒子に含浸させた粉末(香料成分含浸シリカ粒子)のうち480gを採取し、これと任意成分として賦形剤(LPB)60g及び、繊維吸着性物質としてカチオン界面活性剤2を60g連続ニーダー((株)栗本鐵工所製、「KRC−S1型」)に投入し、その後の操作は実施例1と同様にして洗濯用添加剤粒子を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0059】
[実施例12]
実施例1と同様にして調製した香料成分含浸シリカ粒子360gと、任意成分として賦形剤(LPB)90g及び、繊維吸着性物質としてモンモリロナイト75gとカチオン化セルロース1を75g、造粒(混練)せずに配合した以外は、実施例1と同様にして洗濯用添加剤粒子を製造した後、衣料用洗剤を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0060】
[比較例1]
実施例1と同様にして調製した香料成分含浸シリカ粒子80gと、任意成分として賦形剤(LPB)20gを、厚さ0.08mm、300mm×400mmのビニール袋で混合(造粒(混練)操作なし。)して洗濯用添加剤粒子を製造した。次いで、実施例1と同様にして、洗剤組成物に香料成分が0.2%相当になるように洗濯用添加剤粒子を添加して衣料用洗剤を調製し、衣類への残香性の評価を行った。 結果を表2に示す。
【0061】
[比較例2]
水平円筒型転動混合機(円筒直径:585mm、円筒長さ:490mm、容器:131.7Lのドラム内部壁面に、内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mm、の邪魔板を2枚有するもの)に、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で先に調製した洗剤組成物を混合しつつ、表2に示す香料成分を0.20%相当量となるように噴霧して衣料用洗剤を調製した。得られた衣料用洗剤を実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
【0062】
【表2】

【0063】
表2から明らかなように、実施例で得られた洗濯用添加剤粒子を含有した衣料用洗剤は、衣類への残香性に優れていた。なお、香料成分含浸シリカ粒子を繊維吸着性物質と共に造粒して得られた実施例5の洗濯添加剤粒子は、造粒せずに製造した実施例12に比べて残香性が優れていた。これは、実施例12の場合、香料成分含浸シリカ粒子の表面に繊維吸着性物質が均一に合わさっていなかったためと推測できる。
一方、比較例1は、繊維吸着性物質を含まず、かつ、造粒せずに洗濯用添加剤粒子を製造したため、該洗濯用添加剤粒子を含有した衣料用洗剤は、実施例に比べて残香性が劣っていた。
比較例2では、単に香料成分を洗剤組成物に噴霧して衣料用洗剤としたため、洗濯後の衣類は残香しなかった。
【0064】
[実施例13〜16]
<洗濯用添加剤粒子の製造>
機能性物質として表3に示すものを用い、繊維吸着性物質として、モンモリロナイト75gとカチオン化セルロース1を75g用いた以外は実施例1と同様にして洗濯用添加剤粒子を製造した。なお、表3に示す各原料の配合量は、洗濯用添加剤粒子を100%とした場合の値である。洗濯用添加剤粒子中の機能性物質の含有量と、繊維吸着性物質の綿布の吸着率を表3に示す。
【0065】
<評価>
先に調製した洗剤組成物に、機能性物質が0.2%相当になるように洗濯用添加剤粒子を添加して衣料用洗剤を調製し、以下のようにして評価した。結果を表3に示す。
(忌避効果)
衣料用洗剤にて処理した長袖の綿シャツを着用し、5匹の蚊のいる30×30×30cmの密閉空間に肘から入れ、5分間で衣類に止まった蚊の回数で以下のように評価した。
○:1回以下。
×:5回以上。
【0066】
(消臭・抗菌効果)
衣料用洗剤を使用して、下記評価条件に従って悪臭の発生抑制効果を評価した。
新品の綿100%のタオル3枚及びTシャツ3枚を、通常生活で50回(1年相当)使用・洗濯を繰り返した後、二槽式洗濯機(三菱電機(株)製、「CW−C30A1−H」)を用いて、温度25℃、水道水30L、衣料用洗剤15g、洗浄10分、すすぎ3分+脱水1分×2回の条件で洗濯し、室温25℃、湿度90%RHの室内で24時間干した時の衣類の臭いを、10名のパネラーにより、下記の評価基準で官能評価し、10名の評価を平均した。結果を表3に示す。
○:悪臭をほとんど感じない。
×:悪臭を感じる。
【0067】
(柔軟効果)
市販の綿ニット(綿100%)とポリエステルジャージ(ポリエステル100%)を市販衣料用洗剤「トップ」(ライオン(株)製、2006年製造)により、家庭用二槽式洗濯機を用いて洗浄15分(洗剤は標準量使用、浴比30倍、45℃水道水)、脱水5分の工程を2サイクル繰り返した後、流水すすぎ15分、脱水5分の工程を5回繰り返し、自然乾燥したものを試験布とした。
上記処理を行った試験布(綿ニット100gとポリエステルジャージ100g)を前記のように調製した衣料用洗剤を使用して、15分洗浄(衣料用洗剤は標準使用量、浴比30倍、25℃の水道水使用)した。その後、20℃、40%RHの条件で自然乾燥し、以下の評価を行った。
柔軟剤を使用せずに処理した綿ニット、ポリエステルジャージを対照品として専門パネラー10人による柔らかさにおける官能一対比較を行い、以下に示す評価基準で評価を行った。
○:対照品より良好。
×:対照品とほぼ同等。
【0068】
[比較例3〜6]
比較例2と同様の水平円筒型転動混合機に、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で先に調製した洗剤組成物を混合しつつ、表3に示す機能性物質を0.20%相当量となるように噴霧して衣料用洗剤を調製した。得られた衣料用洗剤を実施例13〜16と同様にして評価した。結果を表3に示す。
【0069】
【表3】

【0070】
表3から明らかなように、実施例の衣料用洗剤は、各々に含まれる機能性物質の効果を十分に発揮することができた。
一方、比較例の衣料用洗剤は、単に機能性物質を洗剤組成物に噴霧して衣料用洗剤としたため、その効果が発揮されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)〜(c)に示す成分を含有することを特徴とする洗濯用添加剤粒子。
(a)成分:香料成分、消臭剤、忌避剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、殺菌剤、柔軟剤、再汚染防止剤から選ばれる少なくとも1種の機能性物質。
(b)成分:シリカ粒子。
(c)成分:粘土鉱物、セルロース、カチオン化セルロース、カチオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種からなり、綿布への吸着率が20%以上である繊維吸着性物質。
【請求項2】
当該洗濯用添加剤粒子100質量%中、前記(a)成分の含有量が5〜70質量%、前記(b)成分の含有量が5〜80質量%、前記(c)成分の含有量が5〜80質量%である請求項1に記載の洗濯用添加剤粒子。
【請求項3】
前記(a)成分が香料成分である請求項1または2に記載の洗濯用添加剤粒子。
【請求項4】
前記(b)成分が疎水性を示す請求項1または3に記載の洗濯用添加剤粒子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の洗濯用添加剤粒子を含む衣料用洗剤。
【請求項6】
下記(a)成分と下記(b)成分とを混合して、(b)成分に(a)成分が含浸した粉体混合物を調製する工程と、該粉体混合物を下記(c)成分と共に圧密化処理する造粒工程を有することを特徴とする洗濯用添加剤粒子の製造方法。
(a)成分:香料成分、消臭剤、忌避剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、殺菌剤、柔軟剤、再汚染防止剤から選ばれる少なくとも1種の機能性物質。
(b)成分:シリカ粒子。
(c)成分:粘土鉱物、セルロース、カチオン化セルロース、カチオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種からなり、綿布への吸着率が20%以上である繊維吸着性物質。

【公開番号】特開2008−156565(P2008−156565A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349741(P2006−349741)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】