説明

洗顔料組成物。

【課題】解決しようとする課題は、洗顔料組成物が原料臭を有することである。
【解決手段】パルミチン酸が構成脂肪酸の40%以上を占め、構成脂肪酸全体の中和率が70〜82%であって、且つ、グリセリンを含有することを特徴とする洗顔料組成物により、原料臭を皆無又は極めて少なくすることを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料を含有しない脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物において、構成脂肪酸等の原料臭の低減に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物は、スキンケアの分野において他の形態の洗顔料に比べ、機能、使用性、使用感触において有用な製剤として広く使用されている。
【0003】
また、昨今の安全性志向の高まりから、洗顔料組成物においても香料を含有しない所謂無賦香の製剤が求められ上市されている。ところが、洗顔料組成物には脂肪酸をはじめとする特有の原料臭を有する構成原料が種々含有されている。このため、製剤にも原料臭があらわれ使用者に不快感を与え、商品価値を低下させることとなる。
【0004】
そこで、従来原料臭のマスキングを目的として、植物抽出物などの香りを有する香料以外の成分が使用されている。(特開2002−3329号)
【0005】
しかしながら、これらの技術では、強さ的に十分に原料臭をマスクできなかったり、マスキング剤と原料臭とのにおうタイミングが異なるため、結果として原料臭をマスクできないのが現状であった。
【特許文献1】特開2002−3329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする課題は、洗顔料組成物が原料臭を有することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、洗顔料組成物の原料臭を低減させるため、パルミチン酸が構成脂肪酸の40%以上を占め、構成脂肪酸全体の中和率が70〜82%であって、且つ、グリセリンを含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、原料臭の少ない、又は皆無の新規脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物を提供することができる。とりわけ無賦香の製剤においてはその効果を顕著に発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に用いるパルミチン酸は、特に制限はなく市販品を利用することができる。その配合量は、構成脂肪酸の40%以上を占め、構成脂肪酸全体は洗顔料組成物全量に対して、15.0〜40.0重量%であり、好ましくは、20.0〜35.0重量%である。また、構成脂肪酸全体の中和率が70〜82%である。
【0010】
本発明に用いるグリセリンは、特に制限はなく市販品を利用することができる。本発明におけるグリセリンの好ましい含有量は、洗顔料組成物全量に対して、0.1〜50.0重量%であり、特に好ましくは、1.0〜25.0重量%である。
【0011】
本発明の組成物には、前述の脂肪酸およびグリセリンに加えて、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で化粧料に一般に用いられる各種成分、すなわち油性成分、界面活性剤、保湿剤、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤等々を配合することができる。
【実施例】
【0012】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
次に示す処方に従って本発明の洗顔料組成物を作成した。同時に、この実施例の洗顔料組成物のパルミチン酸の構成脂肪酸中の割合を40%以下とした比較例1、グリセリンを除いた比較例2を、また中和率を70%以下とした比較例3、及び中和率を82%以上とした比較例4を作成した。
【0014】
更に、実施例1および比較例1、比較例2、比較例3、比較例4を、20名の女性パネラーにより臭いの官能評価を行なった。これにより、本発明の洗顔料組成物が、原料臭の少ないまたは皆無の新規脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物を提供することができるものであることが判る。
【0015】
実施例1及び比較例1〜比較例4の洗顔料の処方例を表1に示す。
なお、洗顔料は通常の製法にて製造し、試料を得た。
【0016】
【表1】

【0017】
女性パネラーによる臭いの官能評価結果を表2に示す。
【0018】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、原料臭の低減に優れた洗顔料組成物である為、化粧料や洗浄料を作る上で広く利用できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルミチン酸が構成脂肪酸の40%以上を占め、構成脂肪酸全体の中和率が70〜82%であって、且つ、グリセリンを含有することを特徴とする洗顔料組成物。

【公開番号】特開2006−282591(P2006−282591A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−105340(P2005−105340)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(591230619)株式会社ナリス化粧品 (200)
【Fターム(参考)】