説明

津波・波浪観測設備

【課題】海底に係留された係留ブイの係留索が伸長限にあっても、波の入射波高を正確に計測することができる。
【解決手段】海底に固定された第1係留索13を介して所定海域に係留された第1係留ブイ14と、第1係留ブイ14に第2係留索15を介して係留された第2係留ブイ16とを具備し、第2係留ブイ16に当該第2係留ブイ16の変位を検出可能な海面変位検出部42を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一端が海底に固定された係留索により所定海域に係留された係留ブイを使用して、波浪や津波の観測を行う津波・波浪観測設備に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、図11(a)に示すように、海底に設置されたアンカー2や沈錘3に連結された係留索4により、観測用ブイ1が所定海域に係留されるものが、たとえば特許文献1,2などに開示されている。
【特許文献1】特開平8−110226号公報
【特許文献2】特開2002−13923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図11(c)に示すように、海面に浮かぶ浮体Mの動揺は、前後方向の直線動揺(surge:入射波の進行方向に沿うx軸方向の揺れ)、上下方向の直線動揺(heave:鉛直方向に沿うz軸方向の揺れ)、左右方向の旋回動揺(pitch:入射波の進行方向と鉛直方向に直交するy軸周りの旋回揺れ)、左右方向の直線動揺(sway:入射波の進行方向と鉛直方向に直交するy軸方向の揺れ)、前後方向の旋回動揺(roll:入射波の進行方向に沿うx軸周りの旋回揺れ)、周方向の旋回動揺(yaw:鉛直方向のz軸周りの旋回揺れ)からなる複雑な連成運動と見ることができる。
【0004】
波の計測では、図11(b)に示すように、観測用ブイ1で計測された上下方向の直線動揺[以下、直線動揺(heave)という]の計測値ηを、左右方向の旋回動揺[以下、旋回動揺(pitch)という]と前後方向の旋回動揺[以下、旋回動揺(roll)という]の計測値により補正して入射波高Hを求めている。
【0005】
図11(a)に示すように、係留索4が弛んでいる場合には、観測用ブイ1は自由に浮かぶ状態で、入射波により観測用ブイ1が直線動揺(heave)する場合にも、旋回動揺(pitch,roll)する場合にも、大きな影響が無く、波や津波の計測に問題がない。
【0006】
しかし、図11(b)に示すように、波漂流力(潮流や風、波浪および浮体の動特性などを要因として生じる力)により観測用ブイ1が押し流されて係留索4の伸長限となると、係留索4により観測用ブイ1が引っ張られてその動揺が抑制される。すなわち、係留索4の張力Fの鉛直方向の成分Fvが、観測用ブイ1の直線動揺(heave)に作用するとともに、張力Fの水平方向の成分Fhが観測用ブイ1の旋回動揺(roll,pitch)に作用する。これにより、正確な入射波高Hを計測できないという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解決して、海底に係留された係留索が伸長限にあっても、係留ブイにより入射波高を正確に計測することができる津波・波浪観測設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、係留ブイにより津波および/または波浪を計測するとともに当該係留ブイから計測されたデータを地上基地局に送信する津波・波浪観測設備であって、前記係留ブイを、海底に固定された第1係留索を介して所定海域に係留された第1係留ブイと、当該第1係留ブイに第2係留索を介して係留された第2係留ブイとで構成し、第2係留ブイに当該第2係留ブイの変位を検出可能な海面変位検出部を設けたものである。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、第1係留ブイに、当該第1係留ブイが潮流に対して一定方向を向く方向制御部材を設けるとともに、第2係留索の基端部を周方向に沿って旋回移動自在に支持する索体支持装置を設けたものである。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の構成において、第2係留索の長さを、所定海域の有義波長の1/4倍以上で1/2倍以下としたものである。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成において、海面変位検出部に、第2係留ブイの高度測位値を検出するGPS受信機を設けるとともに、第2係留ブイの重心位置に、第2係留ブイのロール角とピッチ角とを検出する傾斜検出手段を設け、第1係留ブイに、海面変位検出部のデータと傾斜検出手段のデータとを受信するとともに、地上基地局にデータを送信する観測装置を設け、地上基地局または前記観測装置あるいは第2係留ブイに、GPS受信機により計測された高度測位値、またはこれら高度測位値により求められた第2係留ブイの変位量を、傾斜検出手段により検出されたロール角およびピッチ角と、前記重心位置に対するGPS受信機の座標位置とに基づいて補正し、入射波高を求める演算部を設けたものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、第2係留ブイは第2係留索を介して第1係留ブイに係留され、第2係留索の張力が大きくなる伸長限では、第2係留索の傾斜角は入射波高と第2係留索の長さによって変動するが、第2係留索の最大傾斜角が小さいため、伸長限の第1係留索の張力の鉛直方向の成分に比較して、第2係留索の張力の鉛直方向の成分が極めて小さくなり、第2係留ブイの直線動揺(heave)への影響をほとんど無くすことができる。これにより、第2係留ブイに設けられた海面変位検出部で入射波高を正確に計測することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、方向制御部材により潮流の進行方向に一定方向を向く対潮流姿勢の第1係留ブイに対して、波漂流力により第2係留ブイが異なる方向に流されて第1係留ブイの周りを旋回するようなことがあっても、索体支持装置により第2係留索の基端部が第1係留ブイの周囲を旋回移動自在に支持されるので、第2係留索が第1係留ブイに巻き付いたり、絡まることがない。これにより、第2係留ブイの海面変位検出部により入射波高を正確に計測することができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、第2係留索の長さを有義波長の1/4以上とすることにより、第2係留ブイが第1係留ブイに接触するのを防止することができ、第2係留索の長さを有義波の波長の1/2以下とすることにより、第2係留索のコストを削減することができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、演算部により、GPS受信機により計測される高度測位値、または高度測位値から得られた第2係留ブイの変位量を、重心位置に設置された傾斜検出手段により検出されたロール角[旋回動揺(roll)角]およびピッチ角[旋回動揺(pitch)角]と、前記重心位置に対するGPS受信機の座標位置とに基づいて補正し、入射波高を求めるので、旋回動揺(roll,pitch)により傾斜する第2係留ブイに設置されたGPS受信機により、入射波高を高精度で計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る津波・波浪観測設備の実施の形態を図1〜図10に基づいて説明する。
[実施の形態1]
図1および図3に示すように、この津波・波浪観測設備は、海底のアンカー11および/または沈錘12に連結された第1係留索13により、所定の海域に係留された第1係留ブイ14と、この第1係留ブイ14に第2係留索15を介して係留された第2係留ブイ16と、この第2係留ブイ16に設けられて入射波高を計測する海面変位検出部42と、海面変位検出部42で計測された計測データを受信する地上基地局51とを具備している。
【0016】
また図示していないが、第1係留ブイ14に、風向、風速、気温、気圧などの気象観測データを取得する計測器を具備し、これら気象観測データも、前記計測データと共に地上基地局51に送信している。
【0017】
第1係留ブイ14は、縦向きに浮遊する円柱状の第1ブイ本体21に、その底部軸心から転倒防止用のバラストを有する尾筒22が垂下され、尾筒22の下端部に設けられた係留環23に第1係留索13の他端が連結されている。また第1ブイ本体21には観測室25が設けられ、この観測室25に、海面変位検出部42で計測された計測データを受信する受信機24aと、計測データを地上基地局51に送信する送信機24bが設けられている。そして、観測室25の上部に送信機24bから計測データを地上基地局51に送信するためのアンテナ26が設けられている。さらに尾筒22の上部に、左右一対の方向制御用フイン(方向制御部材)27が対称位置に取り付けられており、これら方向制御用フイン27により、第1係留ブイ14を方向制御用フイン27が潮流の進行方向に沿う対潮流姿勢に保持することができ、メンテナンス用の巡視船などを容易に接舷できるように構成されている。
【0018】
第1係留ブイ14には、第2係留索15の基端部を周方向に移動自在に支持する索体支持装置31が設けられている。この索体支持装置31は、図7に示すように、第1ブイ本体21の喫水線W.Lの上方位置で外周面に沿って設けられたガイド部材である上下一対の環状ガイド32と、環状ガイド32間に移動自在に案内される可動部材である転動体33とで構成されている。前記環状ガイド32は、第1ブイ本体21に上下方向に一定間隔をあけて取り付けられ、対抗面にガイド溝32aが周方向に沿ってそれぞれ形成されている。前記転動体33は、上下のガイド溝32aにそれぞれ嵌合されて転動自在な球体状に形成され、第2係留索15の基端部が転動体33の一端部にジョイント部材34を介して回転自在に連結されている。
【0019】
第2係留ブイ16は、縦向きに浮遊する円柱状の第2ブイ本体41からなり、第2係留索15の先端部が第2ブイ本体41の喫水線W.Lの上方の外周面で所定部位に連結されている。この第2ブイ本体41内には、海面の変位を検出するための海面変位検出部42が設けられ、海面変位検出部42により計測されたデータをアンテナ付き送信機42aを介して観測装置24に送信するように構成されている。
【0020】
図4に示すように、海面変位検出部42には、GPS受信機42bと送信機42aが設けられ、GPS受信機42bによりGPS用の人工衛星から受信した電波から得られる計測データを、送信機42aから観測装置24の受信機24aにそれぞれ送信し、さらに観測装置24の送信機24bからアンテナ26を介して地上基地局51に送信している。そして地上基地局51では、受信機51aで受信した計測データを演算部51bで処理して第2係留ブイ16の入射波高を求め、出力装置51dに出力する。
【0021】
つぎに、第2係留索15の長さについて図6を参照して説明する。高い波や低い波が混在する場合に、波の特性の表し方として、有義波高、有義波周期、有義波長がある。これらは、ある地点で連続する波を観測した時に、波高の高いほうから順に全体の1/3の個数の波を選び、これらの波の波高、周期、波長を平均したものである。上記第2係留索15の長さLの適正範囲は、有義波長λ×1/4以上で、有義波長λ×1/2以下に設定されている。これは第2係留索15の長さLが有義波長λ×1/2を越えると、第2係留ブイ16の上下方向の移動量は小さくなって測位精度は向上するが、第2係留索15が長くなり過ぎて、コストが大きくなるためである。また第2係留索15の長さLが有義波長λ×1/4未満となると、第2係留ブイ16が第1係留ブイ14に接触するおそれがあり、接触により海面変位検出部42による計測が不正確になりやすいからである。
【0022】
上記構成において、図3に示すように、第1係留索13および第2係留索15が弛んだ状態の場合、第1係留ブイ14と第2係留ブイ16の直線動揺(heave)は、第1係留ブイ14と第2係留ブイ16の喫水線W.Lの上下の表面積差や体積差、重心位置、海象作用などにより、互いに位相差や振幅差が生じることもあるが、入射波に追従するものと考えられる。したがって、第2係留ブイ16は入射波に追従して直線動揺(heave,surge,sway)および旋回動揺(pitch,roll,yaw)する。
【0023】
ところで、第2係留ブイ16の海面変位検出部42では、GPS受信機42bにより計測データとして高度測位値を計測しており、第2係留ブイ16に旋回動揺(pitch,roll)がない場合には、GPS受信機42bにより計測された計測データから求められた変位量と、実際の入射波高とが等しくなる。しかし、第2係留ブイ16に旋回動揺(pitch,roll)がある場合には、第2係留ブイ16が重心G位置を中心として旋回動揺(pitch,roll)された分、GPS受信機42bにより計測された計測データから求められた第2係留ブイ16の変位量が、実際の入射波高より大きくなる。
【0024】
これを補正するために、海面変位検出部42には、図5に示すように、第2係留ブイ16の重心G位置に、傾斜検出手段である二軸傾斜検出器(たとえば二軸傾斜ジャイロセンサ)52を配置している。そしてこの二軸傾斜検出器52により第2係留ブイ16のx軸周りの旋回動揺(roll)角とy軸周りの旋回動揺(pitch)角とを検出し、これら検出データをGPS受信機42bの計測データと共に送信機42aから観測装置24を介して地上基地局51に送信する。そして、地上基地局51の演算部51bでは、検出データの旋回動揺(roll)角および旋回動揺(pitch)角と、第2係留ブイ16の重心G位置に対するGPS受信機42bの位置座標から傾斜補正量を演算し、この傾斜補正量によりGPS受信機42bの高度測位値を補正し入射波高を演算する。もちろん、GPS受信機42bの高度測位値から第2係留ブイ16の変位量を演算し、この変位量を傾斜補正してもよい。
【0025】
ここで、第2係留ブイ16の重心G位置からGPS受信機42bまでのx軸方向の距離:x、第2係留ブイ16の重心G位置からGPS受信機42bまでのy軸方向の距離:y、第2係留ブイ16の重心G位置からGPS受信機42bまでのz軸方向の距離:zとし、この時の旋回動揺(roll)角=θ、旋回動揺(pitch)角=θとすると、傾斜補正量:ζを求める式は、
[式1]
【0026】
ζ=z(1-cosθ・cosθ)−x・cosθ・sinθ+y・sinθ・cosθ…(1)式
で表される。
【0027】
入射波高:Hは、高度測位値:Haとすると、
[式2]
【0028】
H=Ha+ζ…(2)式
となる。
【0029】
また、図1に示すように、波漂流力により、第1係留ブイ14が移動限まで流されて第1係留索13が伸長限にあり、さらに第2係留索15も伸長限にある場合、第1係留ブイ14は、第1係留索13の張力Fの鉛直方向の成分Fvにより直線動揺(heave)が抑制されるが、第2係留ブイ16は、第2係留索15の張力F2の鉛直方向の成分F2vが小さいため、直線動揺(heave)がほとんど影響を受けることがない。
【0030】
また第2係留索15の張力F2のうち、水平方向の成分F2hが比較的大きいことから、第2係留ブイ16の旋回動揺(roll,pitch)に影響を与えるおそれがあるが、地上基地局51の演算部51bで、二軸傾斜検出器52により検出した第2係留ブイ16の旋回動揺(roll)角および旋回動揺(pitch)角と、GPS受信機42bの重心G位置に対する座標位置とにより、GPS受信機42bにより計測された高度測位値、または高度測位値から求められた第2係留ブイ16の変位量を補正するので、入射波高を精度良く求めることができる。
【0031】
また図2に示すように、波漂流力により第1係留ブイ14が流され、潮流により方向制御用フイン27を介して第1係留ブイ14が対潮流姿勢に保持されている時に、波漂流力の変動により第2係留ブイ16が異なる方向に流されて第2係留ブイ16が第1係留ブイ14の周囲を旋回するようなことがあっても、第2係留索15の基端部が索体支持装置31を介して第1ブイ本体21の周囲を旋回移動することで、第2係留索15が第1係留ブイ14に巻き付いたり、絡まるのが未然に防止される。
【0032】
上記実施の形態によれば、第2係留ブイ16は第2係留索15を介して第1係留ブイ14に係留されるので、第2係留索15の張力が大きくなる伸長限では、第2係留索15の傾斜角が、入射波高と第2係留索15の長さLにより決まる。ここで図6に示すように、たとえば第2係留索15の長さLが有義波長λ×1/2の場合、第2係留索15の最大の傾斜角θは、sinθ=有義波高H/第2係留索15の長さL(有義波長λ×1/2)となる。したがって、第2係留索15の張力F2の鉛直方向の成分F2vによる第2係留ブイ16の直線動揺(heave)への影響をほとんど無視できる程度に小さくすることができ、第2係留ブイ16に設けた海面変位検出部42により入射波高を正確に計測することができる。
【0033】
また方向制御フイン27により対潮流姿勢となる第1係留ブイ14に対して、図2に示すように、波漂流力が変化して第2係留ブイ16が第1係留ブイ14の周りを旋回移動するようなことがあっても、索体支持装置31により第2係留索15の基端部が第1ブイ本体21の周りを移動するので、第2係留索15が第1係留ブイ14に巻き付いたり、絡まることがない。
【0034】
さらに第2係留索15の長さLを、有義波長λ×1/4以上とすることにより、第2係留ブイ16が第1係留ブイ14に接触するのを防止することができ、また有義波長λ×1/2以下とすることにより、第2係留索15のコストを削減することができる。
【0035】
さらにまた、地上基地局51の演算部51bで、GPS受信機42bにより計測される高度測位値、または高度測位値から求められた二次係留ブイ16の変位量を、重心G位置に設置された二軸傾斜検出器52のロール角[旋回動揺(roll)角]およびピッチ角[旋回動揺(pitch)角]の検出値と、重心G位置に対するGPS受信機42bの座標位置とに基づいて補正し、入射波高を求めるので、旋回動揺(roll,pitch)により傾斜する第2係留ブイ16のGPS受信機42bから入射波高を高精度で計測することができる。
【0036】
なお、索体支持装置31の第1変形例として、図8に示すように、可動部材を、ガイド溝32aに嵌合されて転動自在な輪体形の転動体35で構成してもよく、この場合には、第2係留索15の基端部が転動体35の回転軸心部にジョイント部材34を介して回転自在に連結される。
【0037】
また索体支持装置31の第2変形例は、図9に示すように、転動体33を案内支持するガイド部材を、上下複数本のロッド状のガイドレール36により構成したもので、ガイドレール36は支持部材36aを介して第1ブイ本体21に取り付けられている。
【0038】
さらに上記索体支持装置31の第3変形例は、図10に示すように、上下一対の環状ガイド(ガイド部材)37の間に、旋回リング体(可動部材)39を周方向に旋回自在に配置し、上下の環状ガイド37の対抗面に複数のガイド用のベアリング球38をそれぞれ介在させて旋回リング体39を案内するように構成したもので、旋回リング体39の一部に第2係留索15の基端部が連結されている。また旋回リング体39の上面と下面に、ベアリング球38が転動自在に嵌合されるガイド溝が周方向に沿って形成されている。
【0039】
上記索体支持装置31の変形例1〜3によれば、先の索体支持装置31と同様の作用効果を奏することができる。
また、GPS受信機42bにより計測される高度測位値、または高度測位値から求められた二次係留ブイ16の変位量を、傾斜補正量により補正する演算部42bを地上基地局51に設置したが、第1係留ブイ14の観測装置24や第2係留ブイ16に設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る津波・波浪観測設備の実施の形態で、第2係留索の伸長限の第1係留ブイと第2係留ブイを示す側面図である。
【図2】第1係留ブイと第2係留ブイの漂流動作を示す平面図である。
【図3】係留ブイの構成を示す側面図である。
【図4】海面変位検出部と観測装置と地上基地局を示す構成図である。
【図5】第2係留ブイの傾斜補正を説明する概略斜視図である。
【図6】有義波長と第2係留索の長さを説明する説明図である。
【図7】索体支持装置を示し、(a)は全体側面図、(b)は部分縦断面図である。
【図8】索体支持装置の第1変形例を示す部分縦断面図である。
【図9】索体支持装置の第2変形例を示し、(a)は全体側面図、(b)は部分縦断面図である。
【図10】索体支持装置の第3変形例を示し、(a)は全体側面図、(b)は部分縦断面図である。
【図11】従来の浮体または観測用ブイの動揺を説明する説明図で、(a)は通常状態の観測用ブイを示し、(b)は潮流により係留索が伸長限にある観測用ブイを示し、(c)は浮体の動揺を示す。
【符号の説明】
【0041】
13 第1係留索
14 第1係留ブイ
15 第2係留索
16 第2係留ブイ
21 第1ブイ本体
22 尾筒
24 観測装置
25 観測室
26 アンテナ
27 方向制御用フイン
31 索体支持装置
32 環状ガイド
33 転動体
34 ジョイント部材
41 第2ブイ本体
42 海面変位検出部
42a 送信機
42b GPS受信機
51 地上基地局
51b 演算部
52 二軸傾斜検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
係留ブイにより津波および/または波浪を計測するとともに当該係留ブイから計測されたデータを地上基地局に送信する津波・波浪観測設備であって、
前記係留ブイを、海底に固定された第1係留索を介して所定海域に係留された第1係留ブイと、当該第1係留ブイに第2係留索を介して係留された第2係留ブイとで構成し、
第2係留ブイに当該第2係留ブイの変位を検出可能な海面変位検出部を設けた
津波・波浪観測設備。
【請求項2】
第1係留ブイに、当該第1係留ブイが潮流に対して一定方向を向く方向制御部材を設けるとともに、第2係留索の基端部を周方向に沿って旋回移動自在に支持する索体支持装置を設けた
請求項1記載の津波・波浪観測設備。
【請求項3】
第2係留索の長さを、所定海域の有義波長の1/4倍以上で1/2倍以下とした
請求項1または2に記載の津波・波浪観測設備。
【請求項4】
海面変位検出部に、第2係留ブイの高度測位値を検出するGPS受信機を設けるとともに、第2係留ブイの重心位置に、第2係留ブイのロール角とピッチ角とを検出する傾斜検出手段を設け、
第1係留ブイに、海面変位検出部のデータと傾斜検出手段のデータとを受信するとともに、地上基地局にデータを送信する観測装置を設け、
地上基地局または前記観測装置あるいは第2係留ブイに、GPS受信機により計測された高度測位値、またはこれら高度測位値により求められた第2係留ブイの変位量を、傾斜検出手段により検出されたロール角およびピッチ角と、前記重心位置に対するGPS受信機の座標位置とに基づいて補正し、入射波高を求める演算部を設けた
請求項1乃至3のいずれかに記載の津波・波浪観測設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−224556(P2008−224556A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65936(P2007−65936)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】