説明

活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物

【課題】基材との接着時には粘着性を有して仮固定させることができ、仮固定した基材が高温で処理されても剥がれや発泡等の性能低下が発生せず、活性エネルギー線の照射により架橋・硬化し、被着体から容易に剥離できる活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物、及びこれを用いて得られる活性エネルギー線剥離型粘着シートの提供。
【解決手段】(A)特定のマレイミド基及びエチレン性不飽和基を有する化合物(a1)の5〜50重量%及び化合物(a1)と共重合性を有するエチレン性不飽和単量体(a2)の50〜95重量%を構成単量体単位とするマレイミド基を側鎖に有する共重合体、(B)分子中に2〜4個の特定のマレイミド基を有する化合物及び(C)増感剤を含有する組成物であって、90°剥離強度が当該組成物に活性エネルギー線を照射した後に低下する活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体との接合時には粘着性を有して仮接着させることができ、活性エネルギー線の照射により架橋又は硬化し、被着体から容易に剥離できる活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物、当該組成物を使用して製造された活性ネルギー線剥離型粘着シート、及び当該組成物を使用する表面加工品の製造方法に関し、これら技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
異種のフィルム、基板及び薄膜等を積層して一体化した積層体は、各産業分野で幅広く用いられている。例えば、ガスバリア層を積層した包装材料、銅箔にポリイミドフィルムを積層したフレキシブル回路基板、粘着シートを積層した粘着テープ、ヨウ素で染色したポリビニルアルコールとトリアセチルセルロースを積層した偏光板、有機エレクトロルミネッセンス、透明導電フィルム、薄膜トランジスタフィルム等多くが挙げられる。
【0003】
それら積層体の多くは、携帯電話や携帯オーディオ機器、ノートパソコン、ゲーム機器等の小型電子機器に用いられ普及している。これらの小型電気機器に対する小型化・薄型化・軽量化の市場要求は年々高まっており、使用されるフィルムや基板を薄膜化したいという要望も強くなってきている。又、薄膜化は柔軟性が向上する点からも有利である。
【0004】
しかし、フィルムや基板を薄膜化すると剛性が低下するため、薄膜化したフィルムや基板等を使用したり、加工したりする際に、割れや亀裂、シワが入りやすくなるといったハンドリング性低下の問題がある。
この問題を解決するための手段として、薄膜化したフィルムや基板に、粘着剤を塗布した粘着フィルムを貼り合せて補強し、所望の加工を行った後、最終工程で粘着フィルムを剥がすという方法が提案されている。
【0005】
粘着剤とは、感圧接着剤ともいい、常温で粘着性(タック性とも呼称される)を有する接着剤の一種であり、JIS K 6800においては「常温で粘着性を有し、軽い圧力で被着体に接着する物質」と定義されている。
粘着剤は、被着体同士を短時間で接着できることから、粘着テープ、粘着ラベル及び粘着フィルム等に広く使用されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、透明フィルムと微粘着層を有する基材フィルムを貼り合わせ、透明フィルム上に透明電極を形成した後、最終的には透明導電フィルム積層体の微粘着フィルムを剥がして透明導電フィルムを得る提案がなされている。
【0007】
又、特許文献2には、微粘着フィルムに薄膜透明フィルムを貼り付けた二層構造の基材フィルムを用い、その上に透明電極、発光層、反射絶縁層、裏面電極及び保護層を順次印刷形成し、乾燥固化後、微粘着フィルム4を薄膜透明フィルム5から剥離除去することにより超薄型の電界発光灯を得る提案がなされている。
【0008】
又、特許文献3には、片面に微粘着フィルムが積層された厚さ0.5μm〜10μmのポリイミドフィルムを用いて、当該ポリイミドフィルムの微粘着フィルムが積層された面と異なる他面に機能性薄膜層を形成する積層ポリイミドフィルムの製造方法の提案がなされている。
【0009】
しかし、これらの粘着フィルムを用いる方法は、簡便かつ経済的である一方、剥離強度が低いため工程中に剥がれたり、耐熱性が低いため温度がかかる工程でハガレや気泡の発生といった不具合がある。
【0010】
一方で、従来から部材加工時の仮固定を紫外線硬化型接着剤で行い、加工後に温水浸漬等の方法で接着剤と部材を剥離するという工法が提案されている。
例えば、特許文献4には、多官能(メタ)アクリレート、単官能(メタ)アクリレート、光重合開始剤、特定有機溶剤及びこれらに溶解しない粒状物質を含有する組成物を用いて部材を接着仮固定し、該仮固定された部材を加工後、該加工された部材を90℃以下の温水に浸漬して、前記組成物の硬化体を取り外す部材の仮固定方法が提案されている。
【0011】
しかし、これらの温水剥離型接着剤を用いる方法は、剥離強度や耐熱性は高くできるため、工程中に剥がれたり気泡が発生するといった不具合は解消できるものの、水に弱い素子やフィルムには適用できないという問題点がある。
【0012】
一方、ICを製造する際にシリコンウエハーを所定の寸法に裁断する工程で使用される、ダイシングテープと呼ばれる粘着剤がある。これは、粘着剤上にシリコンウエハーを置いて接着固定し、特定寸法に裁断を行った後、熱又は光等のエネルギーにより粘着剤を架橋・硬化させて粘着力を低減し、シリコン片をシートから剥離(ピックアップ)して取り外すというプロセス部材である。
【0013】
例えば、特許文献5には、半導体ウエハ素子を小片に切断分離する際の半導体ウエハ固定用の接着薄板であって、光透過性の支持体とこの支持体上に設けられた光照射により硬化し三次元網状化する感圧性接着剤層とからなり、かつこの接着剤層がベースポリマー、光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する低分子量化合物及び光重合開始剤を特定割合で含んでなる、半導体ウエハに対する180゜剥離接着力(剥離速度300mm/分)が光照射前で200〜1,000g/20mmであり、この接着力が光照射により150g/20mm以下となる感圧性接着剤組成物からなる半導体ウエハ固定用接着薄板が提案されている。
【0014】
例えば、特許文献6には、基材の少なくとも片方の面に熱膨張性微小球を含有する熱膨張性粘着層を設けてなる熱剥離型粘着シートを用いて被着体を加工する被着体の加工方法が提案されている。
【0015】
しかし、これらのダイシングテープは、熱反応性を有する粘着剤であるため、反応前の状態では耐熱性が低く、半導体素子を加工するような150℃を上回るような高温に曝されると変質し、剥れや発泡が生じるという不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2008−293770号公報(特許請求の範囲、実施例)
【特許文献2】特開2006−260862号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2007−320058号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開2007−9131号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特公平6−16524号公報(特許請求の範囲)
【特許文献6】特開2009−35609号公報(特許請求の範囲)
【特許文献7】特許4438134号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前記した通り、薄膜フィルムや塗膜の補強に従来使用されている、粘着剤や温水剥離接着剤、IC製造用のダイシングテープは、耐熱性や耐水性等が十分ではなく、半導体デバイスや高精細FPC等、高温プロセス耐性や耐薬品性が要求される分野には適用できないものであった。
【0018】
本発明は、基材との接着時には粘着性を有して仮固定させることができ、仮固定した基材が高温で処理されても、具体的には、仮固定した基材が150℃を超えるような高温で処理されても剥がれや発泡等の性能低下が発生せず、活性エネルギー線の照射により架橋・硬化し、被着体から容易に剥離できる活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物、及びこれを用いて得られる活性エネルギー線剥離型粘着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願出願人は、活性エネルギー線照射により剥離強度が低下する仮固定のための接着剤組成物として、マレイミド基を有する共重合体を含む接着剤組成物を提案している(特許文献7)。当該組成物は、種々の性能に優れた組成物であるが、使用する基材によっては粘着性が不充分になったり、仮固定後、加熱処理が行われる用途で使用する場合には、剥がれや粘着力が低下する場合があった。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特許文献7の発明に改良を加え、側鎖にマレイミド基を多数有する共重合体と、分子中2〜4個のマレイミド基を有する化合物及び増感剤を必須成分とする活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物が、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下、本発明を詳細に説明する説明する。
尚、本明細書では、組成物に活性エネルギー線照射して架橋又は硬化させることをまとめて「硬化」と表し、これにより得られる架橋物又は硬化物を、まとめて「硬化物」と表す。
【発明の効果】
【0020】
本発明の活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物によれば、基材との接着時には粘着性を有して仮固定させることができ、仮固定した基材が高温で処理されても、具体的には、仮固定した基材が150℃を超えるような高温で処理されても剥がれや発泡等の性能低下が発生せず、活性エネルギー線の照射により硬化し、被着体から容易に剥離できる。
このため、本発明の粘着剤組成物又は粘着シートは、表面加工品の製造に使用することにより、軽量・薄型の表面加工品を生産性良く製造することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物
本発明は、以下の成分を必須成分とする活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物である。
・(A)後記一般式(1)で表されるマレイミド基及びこれ以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(a1)〔以下、「単量体(a1)」という〕の5〜50重量%及び化合物(a1)と共重合性を有するエチレン性不飽和単量体(a2)〔以下、「単量体(a2)」という〕の50〜95重量%を構成単量体単位とするマレイミド基を側鎖に有する共重合体〔以下、「(A)成分」という〕
・分子中に2〜4個の下記一般式(1)で表されるマレイミド基を有する化合物〔以下、「(B)成分」という〕
・増感剤〔以下、「(C)成分」という〕
以下、各成分について説明する。
【0022】
1−1.(A)成分
(A)成分は、単量体(a1)の5〜50重量%及び単量体(a2)の50〜95重量%を構成単量体単位とするマレイミド基を側鎖に有する共重合体である。
以下、単量体(a1)及び単量体(a2)について説明する。
【0023】
1−1−1.単量体(a)
単量体(a1)は、下記一般式(1)で表されるマレイミド基〔以下、単に「マレイミド基」ということもある〕とこれ以外のエチレン性不飽和基を有する化合物である。
単量体(a1)は、後記一般式(1)で表されるマレイミド基を有する化合物であるため、(A)成分である共重合体を容易に製造することができる。一方、後記R1及びR2において両方が水素原子であるマレイミド基を有する化合物である場合は、製造工程でゲル化したり、又は共重合体中に不飽和基が消費され、得られる共重合体中にマレイミド基を有しない共重合体となってしまう。
【0024】
【化1】

【0025】
〔但し、一般式(1)において、R1及びR2は、一方が水素原子で他方がハロゲン原子、アルキル基若しくはアリール基、両方がハロゲン原子、アルキル基若しくはアリール基、又は一つとなって炭素環を形成する基を表す。〕
【0026】
ハロゲン原子としては、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数4以下のアルキル基が好ましい。
アリール基としてはフェニル基等を挙げることができる。
一つとなって炭素環を形成する基としては、5員環又は6員環を形成する炭化水素基が好ましい。5員環又は6員環を形成する炭化水素基としては、基−CH2CH2CH2−、基−CH2CH2CH2CH2−、基−CH=CH−CH2CH2−等が挙げられる。
【0027】
一般式(1)におけるマレイミド基の好ましい具体例を、以下の式(2)〜式(6)に示す。尚、式(5)において、Xは塩素原子又は臭素原子を表す。又、式(6)におけるPhは、フェニル基を表す。
【0028】
【化2】

【0029】
【化3】

【0030】
【化4】

【0031】
1及びR2としては、一方が水素原子で他方が炭素数4以下のアルキル基、R1及びR2の両方が炭素数4以下のアルキル基、並びにそれぞれが一つとなって炭素環を形成する飽和炭化水素基が、ポリマーの分子量制御が容易であり、かつ組成物の耐熱性を向上させる点で好ましい。
【0032】
さらに、これらの中でも、それぞれが一つとなって炭素環を形成する飽和炭化水素基がポリマーの分子量制御が特に容易であり、かつ組成物の耐熱性にも優れる点でより好ましい。
【0033】
単量体(a)のエチレン性不飽和基としては、マレイミド基以外であれば良く、(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びビニルエーテル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0034】
本発明の単量体(a)としては、前記したマレイミド基とエチレン性不飽和基を有する化合物であれば種々の化合物を使用することができるが、下記一般式(7)で表される化合物が、製造が容易で、得られる共重合体の硬化性に優れるため好ましい。
【0035】
【化5】

【0036】
〔但し、式(7)において、R1及びR2は前記と同義である。又、R3はアルキレン基を表し、R4は水素原子又はメチル基を表し、nは1から6の整数を表す。〕
【0037】
3のアルキレン基としては、直鎖状であっても又は分岐状を有していても良い。より好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基である。
【0038】
1−1−2.単量体(a2)
単量体(a2)は、前記した単量体(a1)と共重合性を有するエチレン性不飽和単量体である。
単量体(a2)としては、単量体(a1)以外の化合物であれば種々の化合物を使用でき、1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、単官能(メタ)アクリレートという〕、ビニル化合物、ビニルエステル、共役ジエン及び(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
【0039】
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、i−ミリスチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、i−デシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート及びn−ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びトリシクロデカン(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル(メタ)アクリレート;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート及びメトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、アルキルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、p−クミルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート及びo−フェニルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート等の芳香環を有する(メタ)アクリレート(アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる);並びに
ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート及びN−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等の複素環を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0040】
ビニル化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、N−ビニルホルムアミド、アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルカプロラクトン等が挙げられる。
ビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、塩化ビニル、ピバリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル及びバーサチック酸ビニル等が挙げられる。
共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン及びイソブチレン等挙げられる。
(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びN−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0041】
単量体(a2)としては、エチレン性不飽和基以外の官能基を含むものであっても良く、1個以上の水酸基を有するエチレン性不飽和化合物、及び1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物が好ましい。
【0042】
水酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等;並びにアリルアルコール等を挙げることができる。
【0043】
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ケイヒ酸及び無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸;イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル及びマレイン酸モノブチルエステル等の不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル;ω−カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0044】
これらの単量体(a2)は、1種又は2種以上用いることができる。
【0045】
単量体(a2)としては、前記した中でもアルキル(メタ)アクリレート〔以下、「単量体(a2-1)」という〕が、単量体(a1)との重合性に優れ、得られる組成物の粘着力又は接着力が大きく、かつ工業的に入手が容易で安価なため好ましい。
【0046】
単量体(a2-1)の具体例は前記した通りであり、それらの中でも、炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0047】
本発明の(A)成分としては、単量体(a2-1)に加え、分子中に1個以上の水酸基又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート〔以下、単量体(a2-2)という〕を共重合したものが、得られる粘着剤組成物の粘着力又は接着力をさらに大きくでき好ましい。
単量体(a2-2)具体例は前記した通りであり、それらの中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0048】
1−1−3.共重合割合
(A)成分は、単量体(a1)の5〜50重量%及び単量体(a2)の50〜95重量%を構成単量体単位とする共重合体である。単量体(a1)を使用することにより、得られる共重合体は、側鎖に多数のマレイミド基を有する共重合体となる。
単量体(a1)の単量体単位の共重合割合を5重量%以上とすることで、活性エネルギー線を照射した後の剥離性を良好なものとすることができ、50重量%以下とすることで、(A)成分の製造を容易にすることができるうえ、活性エネルギー線を照射する前の接着力を高くすることができる。
(A)成分としては、単量体(a1)の15〜40重量%及び単量体(a2)の60〜85重量%を構成単量体単位とする共重合体が好ましい。
【0049】
単量体(a2)として、単量体(a2-1)を使用する場合においても、(A)成分における構成単量体単位の好ましい共重合割合としては、単量体(a)が5〜50重量%、単量体(a2-1)が50〜95重量%であるものが好ましく、単量体(a)が15〜40重量%、単量体(a2-1)が60〜85重量%であるものがより好ましい。
さらに、単量体(a2)として、単量体(a2-1)と単量体(a2-2)を併用する場合は、(A)成分における構成単量体単位の好ましい共重合割合としては、単量体(a1)が5〜50重量%、(a2-1)が20〜94.9重量%、(a2-2)が0.1〜30重量%であるものが好ましい。
【0050】
1−1−4.(A)成分の製造方法
(A)成分の製造方法は特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合及び懸濁重合等の常法に従い製造すれば良い。
【0051】
溶液重合法でラジカル重合により製造する方法としては、使用する原料単量体を有機溶剤に溶解させ、熱重合開始剤の存在下に加熱攪拌する方法等が挙げられる。
又、必要に応じて、重合体の分子量を調節するために連鎖移動剤を使用することができる。
【0052】
使用される熱重合開始剤の例としては、熱によりラジカル種を発生する過酸化物、アゾ化合物及びレドックス開始剤等が挙げられる。
過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド等が挙げられる。アゾ化合物の例としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。レドックス開始剤の例としては、過酸化水素−鉄(II)塩、ペルオキソ二硫酸塩−亜硫酸水素ナトリウム、クメンヒドロペルオキシド−鉄(II)塩等が挙げられる。
【0053】
有機溶剤としては、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びシクロヘキサン等の炭化水素系溶剤;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール及び1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール系溶剤;
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル及びビス(2−ブトキシエチル)エーテル等のエーテル系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジエチルケトン、ブチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、ホロン、イソホロン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等のケトン系溶剤;
蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸−i−ブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸ペンチル及び酢酸イソペンチル等のエステル系溶剤;
ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン及びε−カプロラクタム等の窒素化合物系溶剤;並びに
ジメチルスルホキシド及びスルホラン等の硫黄化合物系溶剤が挙げられる。
【0054】
連鎖移動剤としては、シアノ酢酸;シアノ酢酸の炭素数1〜8アルキルエスエル類;ブロモ酢酸;ブロモ酢酸の炭素数1〜8アルキルエステル類;アントラセン、フェナントレン、フルオレン、9−フェニルフルオレン等の芳香族化合物類;p−ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノール、p−ニトロトルエン等の芳香族ニトロ化合物類;ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラメチル−p−ベンゾキノン等のベンゾキノン誘導体類;トリブチルボラン等のボラン誘導体;四臭化炭素、1,1,2,2−テトラブロモエタン、トリブロモエチレントリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、3−クロロ−1−プロペン等のハロゲン化炭化水素類;クロラール、フラルデヒド等のアルデヒド類;炭素類1〜18のアルキルメルカプタン類;チオフェノール、トルエンメルカプタン等の芳香族メルカプタン類;メルカプト酢酸;メルカプト酢酸の炭素数1〜10アルキルエステル類;炭素数1〜12のヒドロキシルアルキルメルカプタン類;並びにビネン及びターピノレン等のテルペン類等が挙げられる。
【0055】
(A)成分の分子量としては、重量平均分子量で5,000〜2,000,000が好ましく、より好ましくは50,000〜1,500,000である。
尚、本発明において、数平均分子量及び重量平均分子量とは、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(以下GPCと略す)により測定した分子量をポリスチレンの分子量を基準にして換算した値を意味する。
【0056】
1−2.(B)成分
(B)成分は、分子中に2〜4個の前記一般式(1)で表されるマレイミド基を有する化合物である。(B)成分は、前記一般式(1)で表されるマレイミド基を有する化合物であるため、組成物の使用に当たり、活性エネルギー線の照射前に加熱工程を有する用途に使用する場合、剥離性に優れるものとなる効果を奏する。一方、前記R1及びR2において両方が水素原子であるマレイミド基を有する化合物である場合は、組成物を使用して仮固定した基材が高温で処理される場合に硬化が進行してしまい、剥がれや発泡等の性能低下が発生したり、活性エネルギー線照射後の剥離が不充分になるという問題を有する。
(B)成分のマレイミド基としては、前記したものと同様の基が具体例として挙げられ、前記したものと同様の基が好ましい。
(B)成分としては、分子中に2個のマレイミド基を有する化合物が好ましく、より好ましくは両末端に2個のマレイミド基を有する化合物である。
(B)成分としては、低分子量の化合物(以下、「モノマー」という)及び高分子量の化合物(以下、「ポリマー」という)が挙げられる。
以下、(B)成分におけるモノマー及びポリマーについて説明する。
【0057】
1−2−1.モノマー
(B)成分においてモノマーの例としては、下記一般式(8)で表される化合物が挙げられる。
【0058】
【化6】

【0059】
〔但し、一般式(8)において、R1及びR2は前記と同義である。Ra及びRcはアルキレン基、オキシアルキレン基又は一重結合を表し、Rbは2価の有機基であって全体として炭素数1〜20を有する基を表す。〕
【0060】
Ra及びRcのアルキレン基としては、炭素数1〜10であるものが好ましく、直鎖状であっても、分岐状であっても良い。Ra及びRcは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基及びテトラメチレン基等が挙げられる。
Ra及びRcのオキシアルキレン基としては、オキシエチレン、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基等が挙げられ、これらが複数個連結しているポリオキシアルキレン基でも良い。Ra及びRcがオキシアルキレン基の繰返し数としては、1〜6が好ましい。
【0061】
Rbの2価の有機基としては、アルキレン基、オキシアルキレン基、2価のアリール基、カルボニル基を含む2価の基、エステル結合を含む2価の基及びウレタン結合を含む2価の基が挙げられる。
アルキレン基としては、直鎖状であっても、分岐状であっても良い。アルキレン基としては、炭素数1〜5の基が好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基及びテトラメチレン基等が挙げられる。
2価のアリール基としては、フェニレン基及び2価のトルイル基等が挙げられる。
カルボニル基を含む2価の基の例としては、後記一般式(9)で表される化合物における基が挙げられる。
エステル結合を含む2価の基及びウレタン結合を含む2価の基の例としては、後記一般式(11)で表される化合物における基が挙げられる。
【0062】
(B)成分としては、式(8)において、Ra及びRcが炭素数1〜3のアルキレン基で、Rcが2価のアリール基を有する化合物が硬化性に優れるため好ましい。
さらに、(B)成分としては、R1及びR2が、一方が水素原子で他方がアルキル基である化合物が硬化性に優れるため好ましい。
当該化合物の例としては、1,2−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,4−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、2,3−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,4−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,5−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,6−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、1,2−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,3−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,4−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、2,3−ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,4−ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,5−ビスシトラコンイミドエチルトルエン及び2,6−ビスシトラコンイミドエチルトルエン等が挙げられる。
【0063】
(B)成分におけるモノマーの他の例としては、後記一般式(9)、(10)及び(11)で表される化合物も挙げられる。
以下、それぞれの化合物について説明する。
【0064】
1)一般式(9)で表される化合物
(B)成分としては、下記一般式(9)で表される化合物が挙げられる。
【0065】
【化7】

【0066】
〔但し、式(9)において、R1及びR2は前記と同義である。又、R5は、炭素数1〜6のアルキレン基である。R6は、ジカルボン酸又はその酸無水物からカルボキシル基又はオキシジカルボニル基を除いた残基である。mは1〜6の整数である。〕
一般式(9)で表される化合物は、一般式(8)において、Ra及びRcがオキシアルキレン基で、Rbの2価の有機基が、カルボニル基を有する2価の基である場合、より具体的には、−(CO)R6(CO)−である化合物に相当する。
一般式(9)で表される化合物において、R5のアルキレン基としては、直鎖状のものであっても分岐状のものであっても良く、エチレン基又はプロピレン基が好ましい。
【0067】
一般式(9)において、R6は、多価カルボン酸又はその無水物〔以下多価カルボン酸(無水物)という〕からカルボキシル基又はオキシジカルボニル基を除いた残基であり、その原料多価カルボン酸(無水物)としては、ジカルボン酸(無水物)が好ましい。ジカルボン酸(無水物)としては、脂肪族ジカルボン酸(無水物)、環状脂肪族ジカルボン酸(無水物)及び芳香族ジカルボン酸等(無水物)が挙げられる。
【0068】
脂肪族ジカルボン酸(無水物)としては、具体的には、マロン酸(無水物)、コハク酸(無水物)、メチルコハク酸(無水物)、グルタル酸(無水物)、3−メチルグルタル酸(無水物)、セバシン酸及び1,10−ドデカンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、並びにマレイン酸(無水物)、シトラコン酸及びイタコン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸(無水物)としては、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を有するものであっても良い。酸素原子を有する飽和脂肪族ジカルボン酸としては、ジグリコール酸(無水物)及び3−オキソアジピン酸等が挙げられる。窒素原子を有する脂肪族ジカルボン酸としては、イミノジ酢酸等が挙げられる。硫黄原子を有する脂肪族ジカルボン酸としては、チオマレイン酸及び3,3’−チオジプロピオン酸等が挙げられる。
環状脂肪族ジカルボン酸(無水物)としては、ヘキサヒドロフタル酸(無水物)等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸(無水物)としては、フタル酸(無水物)、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び2,3−ピラジンジカルボン酸等が挙げられる。
【0069】
テトラカルボン酸無水物の例としては、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及びエチレンジアミン四酢酸無水物等が挙げられる。
【0070】
これらの中でも飽和脂肪族ジカルボン酸(無水物)が、得られる組成物の硬化性に優れる点で好ましい。
【0071】
式(9)の化合物としては、R6が炭素数4〜20のアルキレン基であるものが好ましい。
【0072】
2)一般式(10)で表される化合物
(B)成分としては、下記一般式(10)で表される化合物が挙げられる。
【0073】
【化8】

【0074】
〔但し、式(10)において、R1及びR2は前記と同義である。R7は、ジアミンからアミノ基を除いた残基である。〕
一般式(10)で表される化合物は、一般式(8)において、Ra及びRcが一重結合で、Rbの2価の有機基が、アルキレン基又はアリール基である化合物に相当する。
一般式(10)で表される化合物おいて、R7は、ジアミンからアミノ基を除いた残基であり、その原料ジアミンの好ましい例としては、脂肪族ジアミン及び芳香族ジアミン等が挙げられる。
【0075】
脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン及び1,6−ヘキサンジアミン等及び等が挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を有するものであっても良い。酸素原子を有する脂肪族ジアミンとしては、4,9−ジオキサ−1,12−ドデカンジアミン等が挙げられる。窒素原子を有する脂肪族ジアミンとしては、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン及びN−[(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン]等が挙げられる。硫黄原子を有する脂肪族ジアミンとしては、2−メチル−3−チオセミカルバジド等が挙げられる。
【0076】
芳香族ジアミンとしては、1,1−ビナフチル−2,2−ジアミン、1,2−フェニレンジアミン、4,5−ジメチル−1,2−フェニレンジアミン、2,3−ジアミノピリジン及び2,4−ジアミノピリジン等が挙げられる。
【0077】
3)一般式(11)で表されるジイミド化合物
(B)成分としては、下記一般式(11)で表される化合物が挙げられる。
【0078】
【化9】

【0079】
〔但し、式(11)において、R1及びR2は前記と同義である。R8は、炭素数1〜6のアルキレン基である。R9は、ジイソシアネートからイソシアネート基を除いた残基である。R10は、ジオールから水酸基を除いた残基である。〕
一般式(11)で表される化合物は、一般式(8)において、Ra及びRcがオキシアルキレン基で、Rbの2価の有機基が、ウレタン結合を含む2価の有機基である化合物に相当する。
一般式(11)で表される化合物おいて、R8のアルキレン基としては、直鎖状のものであっても分岐状のものであっても良く、エチレン基又はプロピレン基が好ましい。
【0080】
9は、ジイソシアネートからイソシアネート基を除いた残基であり、その原料ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシイレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0081】
10はジオールから水酸基を除いた残基であり、その原料ジオールとしては、低分子量ジオール、ポリエチレングリコール及びポリエステルポリオール等が挙げられる。
低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール、並びにポリエチレンポリプロポキシブロックポリマージオール等のブロック又はランダムポリマーのジオール等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール又は/及びポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、テトラヒドルフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分とのエステル化反応物等が挙げられる。
【0082】
上記一般式(9)、(10)及び(11)で表される化合物の製造方法は、下記に記載された方法に従い製造することができる。
・加藤清ら、有機合成化学協会誌30(10),897,(1972)
・Javier de Abajoら、Polymer,vol33(5),(1992)
・特開昭56−53119号公報、特開平1−242569号公報
・特許4337206号公報
【0083】
これらモノマーの中でも、得られる粘着剤組成物の粘着力又は接着力が大きく、かつ工業的に入手が容易で安価な1,3−ビスシトラコンイミドアルキルベンゼンが好ましく、1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼンがより好ましい。
1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼンは市販されており、「PERKALINK900」「BCI−MX」(フレキシス社)が挙げられる。
【0084】
1−2−2.ポリマー
(B)成分がポリマーである場合の分子量としては、重量平均分子量で1,000〜50,000が好ましく、より好ましくは2,000〜10,000である。
(B)成分においてポリマーの具体例としては、以下の3種の重合体を挙げることができる。
1)重合体(B1):2個以上のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーとマレイミド基及び活性水素基を有する化合物の付加反応物。
2)重合体(B2):2個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸とマレイミド基及び活性水素基を有する化合物のエステル化反応物。
3)重合体(B3):2個以上の水酸基を有するポリオールとマレイミド基を有するカルボン酸のエステル化反応物。
以下、重合体(B1)〜(B3)について説明する。
【0085】
1)重合体(B1)の製造方法
重合体(B1)は、2個以上のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(以下、「ウレタンプレポリマー」という)と、マレイミド基及び活性水素基を有する化合物(以下、「マレイミド活性水素化合物」という)の付加反応物であり、ウレタンプレポリマー1モルに対してマレイミド活性水素化合物を2モル以上反応させ製造する。
【0086】
まず、ウレタンプレポリマーについて説明する。
ウレタンプレポリマーとしては、2個以上の水酸基を有するポリオール(以下単にポリオールという)と、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(以下単にポリイソシアネートという)との反応物等が挙げられる。
【0087】
ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及びラジカル重合性単量体から製造されたポリマーポリオール等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステルポリオールが、得られる硬化塗膜が低粘度で、得られる粘着剤が耐水性に優れるものとなる点で好ましい。
【0088】
ポリエステルポリオールは、ポリカルボン酸と多価アルコールとのランダム共縮重合物である。これらの中でも、脂肪族ポリエステルポリオールが粘着剤の活性エネルギー線による硬化性に優れるため好ましい。
【0089】
ここで、ポリカルボン酸としては、分子内に2個以上のカルボキシル基を有するものであれば種々のものが使用できる。具体的には、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコ酸二酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、グルタル酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、マロン酸、フマル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、イタコン酸、マレイン酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、1,4−テレフタル酸、1,3−テレフタル酸及びパラオキシ安息香酸が挙げられる。
【0090】
多価アルコールとしては、分子内に2個以上の水酸基を有するものであれば種々のものが使用できる。具体的には、ブチルエチルプロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及びポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−へプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2デカンジオール、1,10−デカンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール及び1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
これらの中でも、ブチルエチルプロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールが、得られる粘着剤が、低粘度で粘着性に優れるものとなるため好ましい。
【0091】
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール及びポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール;エチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン及びジペンタエリスリトール等のアルキレングリコールの、エチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物、ブチレンオキシド変性物及びテトラヒドロフラン変性物;エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、プロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体;ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレングリコール、ポリブタジエングリコール及び水添ポリブタジエングリコール等の炭化水素系ポリオール;並びにポリテトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリセリンのテトラヒドロフラン変性物)等が挙げられる。
【0092】
ラジカル重合性単量体から製造されたポリマーポリオールとしては、エチレン性不飽和基及び水酸基を有する単量体を必須成分とする重合体が挙げられる。より具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとこれ以外の(メタ)アクリレート等のラジカル重合性単量体を重合したもの等が挙げられる。
ポリマーポリオールの製造方法としては、ラジカル重合性単量体を溶液重合や高温連続重合法により製造する方法等が挙げられる。
【0093】
ポリイソシアネートは、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば種々のものが使用可能である。具体的には、p−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニレンジイソシアネート、1,5−オクチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイネシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート及びカルボジイミド変性4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
これらの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネートが、粘着剤の活性エネルギー線による硬化性に優れるため好ましい。
【0094】
本発明において、ウレタンプレポリマーを製造する際のポリオールに対するポリイソシアネートの量は、基−NCO/基−OHの当量比が1〜4となるような範囲が好ましく、より好ましくは1.5〜3である。
【0095】
次に、マレイミド活性水素化合物について説明する。
マレイミド活性水素化合物としては、マレイミド基を有するアルコール(以下、マレイミドアルコールという)が好ましい。マレイミドアルコールとしては、下記式(12)のマレイミドアルキルアルコール等が挙げられる。
【0096】
【化10】

【0097】
式(12)において、R1及びR2は前記と同義であり、R10はアルキレン基を表し、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキレン基が好ましい。
【0098】
重合体(B1)としては、ポリエステルポリオールを原料とするウレタンプレポリマーを使用して製造された、ポリエステル骨格を有するマレイミド化合物が、活性エネルギー線による硬化性に優れ、かつ硬化塗膜の耐水性に優れる点で好ましい。
【0099】
2)重合体(B2)の製造方法
重合体(B2)は、2個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸とマレイミド活性水素化合物のエステル化反応物である。
ポリカルボン酸及びマレイミド活性水素化合物としては、前記と同様のものが挙げられる。
【0100】
3)重合体(B3)の製造方法
重合体(B3)は、2個以上の水酸基を有するポリオールとマレイミド基を有するカルボン酸(以下、マレイミドカルボン酸という)とからエステル化反応物である。
2個以上の水酸基を有するポリオールとしては、前記と同様のものが挙げられる。
マレイミドカルボン酸としては、種々の化合物が使用でき、下記式(13)で表される化合物が好ましい。
【0101】
【化11】

【0102】
式(13)において、R1及びR2は前記と同義であり、R11はアルキレン基を表し、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキレン基が好ましい。
【0103】
1−3.(C)成分
本発明の組成物は、(A)及び(B)成分が感光性のあるマレイミド基を有するため、光重合開始剤や増感剤を含まなくとも、活性エネルギー線を照射によりマレイミド基の光二量化反応により組成物を硬化させることができる。
本発明では、より少ない活性エネルギー線の照射量により硬化させるため、さらに(C)増感剤〔以下、(C)成分という〕を配合する。これにより、組成物の硬化性に優れ、硬化膜が耐熱性に優れたものとすることができる。
【0104】
(C)成分としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4-(2−ヒドロキシエトキシ)-フェニル]−2−ヒドロキシー2−メチルー1−プロパンー1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシー2−メチルー1−[4−1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン、2−ヒドロキシー1−[4−[4−(2−ヒドロキシー2−メチループロピオニル)−ベンジル]−フェニル]−2−メチルプロパンー1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)]フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノー1−(4−モルフォリノフェニル)ブタンー1−オン、2−ジメチルアミノー2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルーフェニル)−ブタンー1−オン、アデカオプトマーN−1414(旭電化製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン化合物;
ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル−2−ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパンー1−オン、4,4‘−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン及び4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチルー(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロー4−プロピルチオキサントン、3−[3,4−ジメチルー9−オキソー9H−チオキサントンー2−イル]オキシ]−2−ヒドロキシプロピルーN,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
アクリドン、10−ブチルー2−クロロアクリドン等のアクリドン系化合物;
1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O―ベンゾイルオキシム)]及びエタノン1−[9−エチルー6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾールー3−イル]−1−(O―アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体及び2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;並びに
9−フェニルアクリジン及び1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等が挙げられる。
これらの化合物は、1種又は2種以上を併用することもできる。
【0105】
これらの中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、4−フェニルベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロー4−プロピルチオキサントンが、接着力や耐熱性、保存安定性の点から好ましい。
【0106】
(C)成分の配合割合としては、組成物中に0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
(C)成分の配合割合を0.01重量%以上とすることにより、適量な活性エネルギー線量で組成物を硬化させることができ生産性を向上させることができ、一方10重量%以下とすることで、硬化物を耐侯性や透明性に優れたものとすることができる。
【0107】
1−4.(D)成分
本発明の組成物において、硬化物にさらに優れた貯蔵安定性、剥離性を付与できる他、特に活性エネルギー線照射前の組成物における粘着剤のはみ出しを防止することができるため、(D)熱硬化型架橋剤〔以下、(D)成分という〕を配合することが好ましい。より具体的には、本発明の組成物を使用して粘着シートを製造し、これをロール状にして長期間保存した場合、粘着剤がはみ出すと作業性が低下してしまう。
【0108】
(D)成分としては、多価イソシアネート化合物、多価エポキシ化合物、アミノ系樹脂、金属キレート等の架橋剤が挙げられる。
【0109】
多価イソシアネート化合物としては、イソホロンジイソシネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート等の2官能イソシアネート化合物、これら2官能イソシアネート化合物の三量体、2官能イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー、2官能イソシアネート化合物、2官能イソシアネート化合物の三量体、末端イソシアネートウレタンプレポリマーをフェノール、オキシム類等で封鎖した多価イソシアネート化合物のブロック体等が挙げられる。
【0110】
多価エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂等のビスフェノール型のエポキシ樹脂を例示することができる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は市販されており、例えばジャパンエポキシレジン社製エピコート827(商品名、以下同じ)、エピコート828、エピコート1001、エピコート1004等が挙げられ、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、エピコート806、エピコート4004P等が挙げられる。
【0111】
又これらの他に、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンポリオール(ネオペンチルグリコール、グリセロール等)ポリグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノール、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン等のグリシジルアミン系エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート等のグリシジルエステル系エポキシ、ビニルシクロヘキセンジオキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート、(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキルメチル)アジペート等の環状脂肪族型、トリグリシジルイソシヌレート、グリシジルグリシドオキシアルキルヒダントイン等の複素環式エポキシ樹脂等が挙げられる。さらに、これらエポキシ樹脂のハロゲン化合物、これらエポキシ樹脂の多塩基酸又はポリエステルポリカルボン酸のポリグリシジルエステル、ポリエステルポリオールのポリグリシジルエーテル、が挙げられる。
【0112】
アミノ樹脂としては、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、ユリア樹脂、メラミン−ユリア共縮合樹脂、メラミン−フェノール共縮合樹脂等が挙げられる。
【0113】
金属架橋剤としては、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリ−i−プロピオネート、アルミニウムトリ−s−ブチレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジ−i−プロピレート等の有機アルミニウム化合物、チタニウムテトラ−i−プロピレート、チタニウムテトラ−2−エチルヘキシレート、トリエタノールアミンチタニウムジ−i−プロピレート、チタニウムラクテートのアンモニウム塩、テトラオクチレングリコールチタネート、ポリアルキルチタネート、ポリチタニウムアシレート(チタニウムテトラブチレートの重合物、チタニウムオレエートの重合物)等の有機チタン化合物、ジルコニウム−s−ブチレート、ジルコニウムジエトキシ−t−ブチレート等の有機ジルコニウム化合物、ハフニウム−t−ブチレート、アンチモンブチレート等のその他の有機金属化合物、等が挙げられる。
【0114】
これらの中でも、(D)成分としては多価イソシアネート化合物、多価エポキシ化合物が接着力、貯蔵安定性の点から好ましい。又、(D)成分の配合割合としては、(A)成分の100重量部に対して、0.01〜3重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜1重量部である。
(D)成分の配合割合をこの範囲とすることにより、組成物の粘着剤層の初期接着力が低くなり過ぎることがなく、貯蔵安定性に優れるものとすることができる。
【0115】
1−5.その他の成分
本発明の組成物には、さらに必要に応じて、分子内に1個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物(但し、(A)(B)成分に該当するものを除く)、シランカップリング剤、高分子ポリマー、可塑剤、重合禁止剤、レベリング剤、表面潤滑剤、消泡剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、充填剤等の添加剤も使用することができる。
【0116】
分子内に1個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物〔但し、(A)及び(B)成分に該当するものを除く〕としては、前記単量体(a2)と同様のものが使用できる。
即ち、単官能(メタ)アクリレート、ビニル化合物、ビニルエステル、共役ジエン及び(メタ)アクリルアミド等を挙げることができ、その具体例としては、前記と同様の化合物を挙げることができる。又、1個以上の水酸基を有するエチレン性不飽和化合物及び1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物等を挙げることができ、その具体例としては、前記と同様の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、1種又は2種以上用いることができる。
【0117】
前記以外の分子内に1個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物〔但し、(A)(B)成分に該当するものを除く〕の例としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、多官能(メタ)アクリレートという〕が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸ジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、炭素数2〜5の脂肪族変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、炭素数2〜5の脂肪族変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性ビス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0118】
さらに、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の、分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーが挙げられる。
【0119】
ウレタン(メタ)アクリレートは、多価アルコール、多価イソシアネート及びヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレート化合物の反応物や、多価アルコールを使用せずに多価イソシアネート及びヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレート化合物との反応物が挙げられる。
【0120】
多価アルコールとしてはポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、前記多価アルコールと前記多塩基酸との反応によって得られるポリエステルポリオール、前記多価アルコールと前記多塩基酸とε−カプロラクトンとの反応によって得られるカプロラクトンポリオール、及びポリカーボネートポリオール(例えば、1,6−ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートポリオール等)等が挙げられる。
【0121】
有機多価イソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート等が挙げられる。
【0122】
ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ビス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性ビス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0123】
エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応物である。
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えばジャパンエポキシレジン社製エピコート827(商品名、以下同じ)、エピコート828、エピコート1001、エピコート1004等が挙げられ、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、エピコート806、エピコート4004P等が挙げられる。又、ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピコート152、エピコート154等が挙げられる。
【0124】
ポリエステル(メタ)アクリレートは、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との反応物である。
ポリエステルポリオールは、多価アルコールと多塩基酸との反応によって得られる。
多価アルコールとしては、例えばネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール及びビス−[ヒドロキシメチル]−シクロヘキサン等が挙げられる。
多塩基酸としては、例えばコハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸及びテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0125】
シランカップリング剤は、粘着剤層とガラスやシリコンウェハ、プラスチックフィルムとの界面接着強度を改善できる成分である。本発明に用いられるシランカップリング剤としては、基材との接着性向上に寄与できるものであれば特に限定されるものではない。
【0126】
b具体的には、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル-N-(1,3−ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0127】
これらシランカップリング剤の中でも、組成物の貯蔵安定性、接着力の点から、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0128】
シランカップリング剤の配合割合は、組成物中に0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは1〜10重量%である。シランカップリング剤の割合が0.1重量%未満だと、組成物の接着力を向上させる効果が十分でなく、20重量%を越えると、貯蔵安定性の悪化が著しい。シランカップリング剤は、前記した化合物を一種類だけ使用しても、又は二種以上を使用してもよい。
【0129】
高分子ポリマーとして例えば、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリビニル系樹脂等が挙げられる。可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジオクチルアジペート、リン酸トリクレシル、エポキシ化大豆油、トリメリット酸トリオクチル、塩素化パラフィン等が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えばアルキル系、アミン系、(メタ)アクリレート系、イソシアネート系、エポキシ系、チオール系等が挙げられる。重合禁止剤としては例えば、メトキノン、メチルハイドロキノン、フェノチアジン等が挙げられる。レベリング剤、表面潤滑剤、消泡剤としては有機ポリマー系、シリコン系、フッ素系等が挙げられる。酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、高分子フェノール系等が挙げられる。帯電防止剤としては、四級アンモニウム系、ポリエーテル系、導電性粉末等が挙げられる。充填剤としては、シリカゲル、酸化チタン、アルミナ、導電性粉末等が挙げられる。これらの添加剤の使用量は目的に応じ上記範囲内で適宜定められる。
【0130】
1−6.活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物
本発明は、前記(A)、(B)及び(C)成分を必須成分として含有する組成物であって、JIS K−6854−1で規定される90°剥離強度(以下、単に「剥離強度」という)が、当該組成物に活性エネルギー線を照射した後に低下する活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物である。
【0131】
本発明の組成物の製造方法は、常法に従えば良く、(A)、(B)及び(C)成分、並びに必要に応じてその他成分を攪拌・混合して製造することができる。
【0132】
本発明の組成物は、さらに組成物に活性エネルギー線を照射した後に剥離強度が低下するものである必要がある。これにより、組成物の有する粘着性能を利用して基材を固定した後、活性エネルギー線を照射して硬化させ、硬化物を剥がすことができるものとなる。
剥離強度としては、具体的には、組成物に対して積算光量が1,000mJ/cm2以上の条件で活性エネルギー線を照射した後に、2.00N/インチ(78.7N/m)未満に低下するものが好ましく、より好ましくは1.00N/インチ(39.4N/m)未満に低下するものである。
又、活性エネルギー線を照射する前の組成物の剥離強度は目的に応じて適宜設定すれば良いが、剥離強度が3.00N/インチ(118N/m)〜20.0N/インチ(787N/m)であるものが好ましく、より好ましくは5.00N/インチ(197N/m)〜10.0N/インチ(394N/m)である。
【0133】
2.活性エネルギー線剥離型粘着シート
本発明の組成物は、活性エネルギー線剥離型粘着シート(以下、「AE剥離型粘着シート」という)の製造に好ましく使用できる。
尚、この項目においては、図1に基づき一部説明する。
AE剥離型粘着シートの製造方法としては常法に従えば良く、例えば、組成物を基材に塗布して製造することができる。
【0134】
図1は、AE剥離型粘着シートの好ましい製造方法の一例を示す。
組成物が無溶剤型の場合(図1:A1)は、組成物を基材〔図1:(1)〕に塗工する。組成物が有機溶剤等を含む場合(図1:A2)は、組成物を基材〔図1:(1)〕に塗工した後に、乾燥させて有機溶剤等を蒸発させる。
これらの方法により、基材上にAE剥離性の粘着層(以下、単に粘着層という)が形成された〔図1:(2)〕、AE剥離型粘着シートが製造される(図1:B1)。
【0135】
基材としては、接着を目的とする材料(以下、「被着体」という)であってもよく、被着体とは無関係の離型可能な材料(以下、「離型材」という)であっても良い。
当該基材の材質としては、木、紙、布、皮革、ガラス、セラミックス、鋼板やアルミ等の金属、金属や金属酸化物の蒸着膜、シリコン及びポリマー等が挙げられる。
ポリマーとしては、セロハン、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ユリア・メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエーテルサルホン、上記ポリマーの共重合体、液晶ポリマー及びフッ素樹脂等が挙げられる。紙としては、表面をシリコーン処理したものも使用できる。
ポリマーとしては、シート又はフィルム状のものが好ましい。
離型材としては、表面未処理OPPフィルム(ポリプロピレン)、シリコーン処理PETフィルム及び表面をシリコーン処理した紙等が挙げられる。
ポリマーを接着する場合、層間接着力を大きくするために、一方又は両方の表面に活性化処理を行うことができる。表面活性化処理としては、プラズマ処理、コロナ放電処理、薬液処理、粗面化処理、エッチング処理及び火炎処理等が挙げられ、これらを併用しても良い。
【0136】
本発明の組成物の塗工量としては、使用する用途に応じて適宜選択すればよいが、有機溶剤等を乾燥した後の膜厚が0.5〜500μmとなるよう塗工するのが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。
【0137】
組成物が有機溶剤等を含む場合は、塗布後に乾燥させ、有機溶剤等を蒸発させる必要があるが、乾燥条件は、使用する有機溶剤等に応じて適宜設定すれば良く、40〜120℃の温度に加熱する方法等が挙げられる。
【0138】
AE剥離型粘着シート製造後は、粘着層に離型材〔図1:(3)〕を保護フィルムとしてラミネートしておくことが好ましい(図1:B2)。又、基材として離型フィルムを使用し、粘着層の両側を離形フィルムでラミネートした形態でも使用できる。離形フィルムを基材として使用した場合は、他の基材へ転写することが可能であり、基材に直接塗工しなくても粘着層を形成できるという特徴がある。
【0139】
3.表面加工品の製造方法
薄膜で取扱いが非常に困難なフィルム又はシートや塗膜(以下、これらをまとめて「薄膜被加工物」という)は、直接表面加工処理することが困難であり、特に半導体デバイスを形成する等の微細加工を行う場合にはより困難である。このため、薄膜被加工物を表面加工する場合は、ガラスやシリコンウェハ等の比較的剛性の高い基材(以下、これらをまとめて「剛性基材」という)に貼り付け表面加工した後に、基材から剥がして最終製品を得ている。
本発明のAE剥離型粘着シートは、この薄膜被加工物の表面加工方法に好ましく使用できる。
この場合、前記において、一方の基材が薄膜被加工物となり、他方の基材が被着体となる。この場合、薄膜被加工物又は被着体の少なくともいずれか一方を透明性材料とする必要がある。薄膜被加工物を被着体に貼り合せることで、薄膜被加工物が被着体(好ましくは剛性基材)に固定され、表面加工が容易になる。
【0140】
本発明のAE剥離型粘着シートを使用した薄膜被加工物の表面加工としては、AE剥離型粘着シートを使用して薄膜被加工物及び被着体を貼り合せた後に、薄膜被加工物に表面加工を実施した後、透明性材料側から活性エネルギー線を照射して硬化させて粘着層を硬化させ非粘着化して剥がし、表面加工した薄膜を得る方法等が挙げられる。
【0141】
薄膜被加工物の表面加工方法としては、目的及び用途等に応じて適宜設定すれば良い。
例えば、フレキシブルプリント配線板を製造する場合には、薄膜被加工物としてポリアミド等を使用し、酸化カドミウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化錫及び酸化亜鉛等の金属酸化物、銅、金、銀、クロム、チタニウム及びアルミニウム等の金属、シリコン及びゲルマニウム等の半導体を使用し、スパッタリング法及び真空蒸着法等により回路を形成する方法等が挙げられる。
薄膜被加工物に透明電極を形成する場合には、前記した金属酸化物又は導電性高分子を使用し、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーション法及び化学蒸気蒸着(CVD)法等を行う方法等が挙げられる。
これら以外にも、フォトリソグラフィー法及びメタルマスク法等でパターン形成をした後、薬液によるウェットエッチング法やドライエッチング法によるレリーフ形成も容易に行うことができる。これらの工程は、半導体デバイス等を作製する場合に多用される手段である。
【0142】
これらの表面加工を薄膜被加工物に行った後、薄膜被加工物又は被着体の少なくともいずれか一方の透明性材料の側から、活性エネルギー線を照射して粘着層を硬化させ、剥離することができる。そうすることで、半導体デバイス等を微細加工した薄膜被加工物だけを得ることが可能となる。
活性エネルギー線の光源としては、種々のものが使用可能である。好適な光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、UV無電極ランプ及び紫外線又は/及び可視光を放射するLED等が挙げられる。
活性エネルギー線の照射における、照射強度等の照射条件は、使用する組成物、基材及び目的等に応じて適宜設定すれば良い。
【0143】
次に、AE剥離型粘着シートを使用した表面加工品の製造方法の製造方法について、図2及び図3を使用してより具体的に説明する。
【0144】
図2は、薄膜被加工物を含む離型シートでラミネートされたAE剥離型粘着シートB2を使用して被着体と密着させ、薄膜被加工物を表面加工した後、被着体側から活性エネルギー線を照射して基材から剥がして表面加工品を得る製造する例を示している。図2のAE剥離型粘着シートB2において、(1)は薄膜被加工物、(2)は粘着層、(3)は離型材を意味する。
この場合、前記図1において、基材シート(1)として薄膜被加工物を使用し、この片側に前記方法に従い、基材上に粘着層が形成された〔図1:(2)〕、AE剥離型粘着シートが製造されたものを使用する(図1:B1)。
図2では、使用直前にAE剥離型粘着シートB2から離型シート(3)を離型し(図:2−1)、粘着層と被着体〔図2:(4)〕を密着させる(図2:2−2)。その後、薄膜被加工物に表面加工処理を実施し(図2:2−3)、薄膜被加工物に表面加工層〔図2:(5)〕を形成する。加工終了後、被着体〔図2:(4)〕側から活性エネルギー線を照射して粘着層を非粘着化し(図2:2−4)、被着体から剥がすことにより表面加工品を得る(図2:2−5)。
【0145】
図2では、離型シートでラミネートされたAE剥離型粘着シートB2を使用しているが、AE剥離型粘着シートB1を製造した後、直ちに粘着層と被着体〔図2:(4)〕を密着させ前記と同様の方法で表面加工品を製造することもできる。
【0146】
図3は、離型シート2枚でラミネートされたAE剥離型粘着シートB3を使用し、薄膜被加工物と被着体とを密着させ、薄膜被加工物を表面加工した後、被着体側から活性エネルギー線を照射して基材から剥がして表面加工品を得る製造する例を示している。図3のAE剥離型粘着シートB3において、(2)は粘着層、(3)は離型材を意味する。
図3では、使用直前にAE剥離型粘着シートB3から離型シートを離型し(図:3−1)、粘着層と薄膜被加工物〔図3:(1)〕を密着させた後(図3:3−2)、もう一方の離型シートを離型し(3図:3−3)、粘着層と被着体〔図2:(4)〕を密着させる(図3:3−4)。その後、薄膜被加工物に表面加工処理を実施し(図3:3−5)、薄膜被加工物に表面加工層〔図3:(5)〕を形成する。加工終了後、被着体〔図3:(4)〕側から活性エネルギー線を照射して粘着層を非粘着化し(図3:3−6)、被着体から剥がすことにより表面加工品を得る(図3:3−7)。
【0147】
前記した通り、図2及び図3で例示した場合において、被着体として剛性基材を使用することにより、表面加工を容易にすることができる。
【0148】
4.用途
本発明の組成物によれば、取扱いの困難な薄膜被加工物を剛性のある基材と仮接着させることができ、かつ150℃以上の高温プロセスや各種薬品の接触にも耐えうる。さらに、活性エネルギー線の照射により硬化し、薄膜被着体から容易に剥離できる。
本発明の組成物はこれらの性能を生かして、表面加工品の製造に好ましく使用することができ、種々の用途に使用することができる。
具体的には、基材フィルムに電子回路を形成させるフレキシブルプリント配線板の製造、基材フィルムに透明電極層を形成させる電界発光素子の製造、さらに、基材フィルムに透明電極層、発光層、反射絶縁層、裏面電極及び保護層を形成させる電界発光灯の製造、基材フィルムに切削加工を行う光学レンズの製造、半導体ウエハを素子小片に切断分離する際のダイシング、半導体基板上に加工する半導チップの製造等が挙げられる。
【実施例】
【0149】
以下に、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。尚、以下の記載において、「部」は重量部を、「%」は重量%を意味する。
【0150】
製造例で使用した略号の意味は、以下のとおりである。
THPI:下記式(14)で表される化合物
【0151】
【化12】

【0152】
BA:ブチルアクリレート
EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
酢ブチ:酢酸n−ブチル
DM:ドデシルメルカプタン
AMBN;2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
BHT:ジブチルヒドロキシトルエン
AOI:2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート
【0153】
(製造例1:(A)成分の製造)
攪拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、室温で下記化合物を下記の量で仕込み、窒素を流量50mL/分で吹き込みながら均一に溶解させた。
THPI:45.0g、BA:45.0g、EHMA:30.0g、HEA:30.0g、酢ブチ:190g、AMBN:0.3g、DM:0.60g
この後昇温して、85℃で30分撹拌した後、90℃に昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下し、その後5時間撹拌して共重合体を得た。
THPI:45.0g、BA:45.0g、EHMA:30.0g、HEA:30.0g、酢ブチ:190g、AMBN:1.2g、DM:0.60g
【0154】
(製造例2:(A)成分以外の共重合体の製造)
攪拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、室温で下記化合物を下記の量で仕込み、窒素を流量50mL/分で吹き込みながら均一に溶解させた。
BA:67.5g、EHMA:52.5g、HEA:30.0g、酢ブチ:290g、AMBN:0.15g
この後昇温して、85℃で30分撹拌した後、90℃に昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下し、その後5時間撹拌した。
BA:67.5g、EHMA:52.5g、HEA:30.0g、酢ブチ:100g、AMBN:0.6g
一旦室温まで冷却した後、5%酸素/95%窒素混合ガスを流量50mL/分で吹き込みながら、BHT:0.1g、ジブチルスズジラウレート:0.1gを追加し、均一に溶解させた。その後80℃まで昇温して1時間保持した後、AOI:30.0gを一括仕込みし、80℃で2時間反応させて、エチレン性不飽和基含有共重合体溶液を得た。
【0155】
(共重合体の評価)
製造例1及び同2で得られた共重合体について、次の方法に従って不揮発分及び分子量を測定した。それらの結果を表1に示す。尚、表1における各原料成分の数字は、単量体合計量が100となる割合で換算した部数で表記している。
【0156】
(1)不揮発分
得られた共重合体溶液を150℃×1時間の条件で乾燥し、サンプルの乾燥前と後の重量から不揮発分を算出した。
【0157】
(2)分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより、ポリスチレン換算の分子量を測定した。Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量を表す。
【0158】
【表1】

【0159】
(実施例1、比較例1〜3)
後記表2に示す化合物を表2に示す割合でステンレス製容器に投入し、室温にてマグネチックスターラーで均一になるまで撹拌し、活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物を得た。
【0160】
幅300mm×長さ300mmの東レフィルム加工(株)製離型フィルム「セラピールBX8」(シリコーン処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ38μm)に、得られた組成物を乾燥後の膜厚が10μmになるようバーコーターで塗工し、熱風乾燥機で90℃×5分乾燥した。その後、粘着剤層に、幅300mm×長さ300mmの東レフィルム加工(株)製離型フィルム「セラピールBK」(シリコーン処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ38μm)をラミネートし、活性エネルギー線剥離型粘着シート(以下、単に「粘着シート」という)を得た。
得られた粘着シートについて、下記の方法で評価した。それらの結果を表3に示す。
【0161】
(比較例4)
市販品である綜研化学(株)製粘着フィルム「SK−1478」(粘着剤層25μm)を評価した。
【0162】
(1)紫外線照射前 耐熱性
実施例及び比較例で得られた粘着シートの片側の離型フィルムを剥がして、膜厚25μmのポリイミドフィルムフィルム〔商品名「カプトン」、東レデュポン(株)製。以下、単に「カプトン」という。〕に貼り合せた。その後、積層フィルムを80mm×80mmのサイズに裁断し、もう一方の離型フィルムを剥がし、100mm×100mm×厚さ1mmの白スライドグラスを貼り合せた。
150℃×1時間加熱した後、外観観察して以下の水準で評価した。
○:異常なし、×:剥がれや発泡が見られた。
【0163】
(2)紫外線照射前 剥離強度
粘着シートの片側の離型フィルムを剥がし、カプトンに貼り合せた。その後、もう一方の離型フィルムを剥がし、厚さ1mmの白スライドグラスを貼り合せた。
23℃、50%RHで1日保管して状態調整し、剥離幅25mm、23℃、50%RHの条件においてJIS K−6854−1に準じて90度剥離試験を実施した。
【0164】
(3)紫外線照射後 剥離強度
粘着シートの片側の離型フィルムを剥がし、カプトンに貼り合せた。その後、もう一方の離型フィルムを剥がし、厚さ1mmの白スライドグラスを貼り合せた。
150℃×1時間加熱した後、集光型高圧水銀灯(120W/cm、1灯、ランプ高さ30cm)下を5m/minのコンベアスピードで通過させることにより紫外線を照射した(365nm光の照度130mW/cm2、1パス当たりの積算光量0.5J/cm2)。
紫外線は2パス(1J/cm2)又は4パス(2J/cm2)照射した。
23℃、50%RHで1日保管して状態調整し、剥離幅25mm、23℃、50%RHの条件においてJIS K−6854−1に準じて90度剥離試験を実施した。
【0165】
(4)紫外線照射後 剥離状態
(3)で剥離したフィルムの界面が、ポリイミド/硬化後粘着層であれば○、ガラス/硬化後粘着層であれば×とした。
【0166】
(5)粘着剤はみ出し
実施例及び比較例で得られた粘着シートを100mm×50mmのサイズに裁断し、100mm×100mmのサイズのガラス板で上下をサンドイッチした。その後、1kg荷重の重りを載せた状態で50℃×24時間熱風乾燥機で加熱し、シート端部からの粘着剤のはみ出し度合いを目視で観察し、以下の水準で評価した。
○:粘着剤のはみ出しがない、△:わずかにガラスに粘着剤が転写するものの、のり残りはなかった、×:はみ出した粘着剤がガラスに転写してしまった
【0167】
【表2】

【0168】
表2における略号は、下記を意味する。
・P900:1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、フレキシス(株)製パーカリンク900
・M313:イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ及びトリアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−313
・DETX:2,4−ジエチルチオキサントン
・CO−L:3官能イソシアネート化合物、日本ポリウレタン(株)製コロネートL
又、(A)+溶剤の欄において、上段は共重合体溶液として配合割合、下段は各成分の配合割合を意味する。
【0169】
【表3】

【0170】
本発明の組成物である実施例1及び同2は、紫外線照射前の剥離強度が高く、耐熱性も良好であり、紫外線照射後の剥離強度は低く、かつ剥離界面も薄膜被着体であるポリイミド界面であり良好であった。加えて、実施例1の組成物は、粘着剤のはみ出しがなく、長期保管が可能なため作業性、経済性に優れる。
これに対して、比較例1〜3の組成物は、(B)成分を含まない組成物であるが、紫外線照射前の耐熱性が不充分であったり、紫外線照射後の剥離強度の低下が不十分であったり、剥離状態も不充分になった。又、活性エネルギー線硬化性を有しない粘着シートである比較例4は、紫外線照射後の剥離強度が高いもので、剥離状態も不充分であった。比較例の組成物は、いずれも高温での耐久性や微細加工後の剥離性が要求される用途には使用できないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明の活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物によれば、取扱いが困難な薄膜被加工物を剛性のある基材と仮接着させることができ、かつ高温におけるプロセス、より具体的には150℃以上の高温プロセスにも耐えうる。
さらに、薄膜被加工物を表面加工した後、活性エネルギー線の照射により硬化し、表面品から容易に剥離できるため、薄型トランジスタ付フィルム等の半導体デバイスや、高精細FPC等の電子回路の加工用部材として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】図1は、本発明の組成物を使用した、活性エネルギー線剥離型粘着シートの製造の1例を示す。
【図2】図2は、本発明の活性エネルギー線剥離型粘着シートを使用した、表面加工品製造の1例を示す。
【図3】図3は、本発明の活性エネルギー線剥離型粘着シートを使用した、表面加工品製造の1例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で表されるマレイミド基及びこれ以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(a1)の5〜50重量%及び化合物(a1)と共重合性を有するエチレン性不飽和単量体(a2)の50〜95重量%を構成単量体単位とするマレイミド基を側鎖に有する共重合体、
(B)分子中に2〜4個の下記一般式(1)で表されるマレイミド基を有する化合物及び
(C)増感剤
を含有する組成物であって、JIS K−6854−1で規定される90°剥離強度(以下、単に「剥離強度」という)が、当該組成物に活性エネルギー線を照射した後に低下する活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物。
【化1】

〔但し、一般式(1)において、R1及びR2は、一方が水素原子で他方がハロゲン原子、アルキル基若しくはアリール基、両方がハロゲン原子、アルキル基若しくはアリール基、又は一つとなって炭素環を形成する基を表す。〕
【請求項2】
前記剥離強度が、組成物に対して積算光量が1,000mJ/cm2以上の条件で活性エネルギー線を照射した後に2.00N/インチ(78.7N/m)未満に低下するものである請求項1記載の活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物。
【請求項3】
前記(A)成分において、化合物(a1)が下記一般式(2)で表される化合物である請求項1又は請求項2に記載の活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物。
【化2】

〔但し、式(2)において、R1及びR2は前記と同義である。又、R3はアルキレン基を表し、R4は水素原子又はメチル基を表し、nは1から6の整数を表す。〕
【請求項4】
前記(A)成分が、下記の単量体単位及び共重合割合の共重合体である請求項3に記載の活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物。
(a1):前記一般式(2)で表される化合物;5〜50重量%
(a2):アルキル(メタ)アクリレート;10〜94.9重量%及び分子中に1個以上の水酸基又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート;0.1〜40重量%
【請求項5】
前記(B)成分が、下記一般式(8)で表される化合物である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物。
【化3】

〔但し、一般式(8)において、R1及びR2は前記と同義である。Ra及びRcはアルキレン基、オキシアルキレン基又は一重結合を表し、Rbは2価の有機基であって全体として炭素数1〜20を有する基を表す。〕
【請求項6】
前記一般式(8)において、Ra及びRcが炭素数1〜3のアルキレン基で、Rcが2価のアリール基を有する化合物である請求項5に記載の活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物。
【請求項7】
前記(B)成分が、1,3−ビスシトラコンイミドアルキルベンゼンである請求項6に記載の活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物。
【請求項8】
さらに、(D)熱硬化型架橋剤を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物。
【請求項9】
さらに、有機溶剤を含む請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物。
【請求項10】
基材、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物の乾燥皮膜及び他の基材がこの順で構成される活性エネルギー線剥離型粘着シート。
【請求項11】
基材の一方又は両方が剥離処理されたものである請求項10記載の活性エネルギー線剥離型粘着シート。
【請求項12】
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物を基材に塗布・乾燥して成膜し、得られた粘着面に別の基材を貼り合せる活性エネルギー線剥離型粘着シートの製造方法。
【請求項13】
基材、請求項1〜請求項9いずれか1項に記載の活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物の乾燥皮膜及び他の基材がこの順で構成される活性エネルギー線剥離型粘着シートであって、基材の一方が剥離処理されたものである活性エネルギー線剥離型粘着シートを使用し、
離型処理された基材を剥ぎ取り、露出した組成物乾燥皮膜の面と被着体とを粘着させ、基材に表面加工処理を実施した後、基材か被着体のいずれかの側から活性エネルギー線を照射し、表面加工処理された基材を被着体から剥がす表面加工品の製造方法。
【請求項14】
基材、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物の乾燥皮膜及び他の基材がこの順で構成される活性エネルギー線剥離型粘着シートであって、基材の両方が剥離処理されたものである活性エネルギー線剥離型粘着シートを使用し、
一方の離型処理された基材を剥ぎ取り、露出した組成物乾燥皮膜の面と被着体とを粘着させた後、もう一方の離型処理された基材を剥ぎ取り、露出した活性エネルギー線剥離型組成物と他の被着体とを粘着させ、いずれか一方の被着体に表面加工処理を実施した後、いずれかの被着体の側から活性エネルギー線を照射し、表面加工処理された被着体を表面加工処理されていない被着体から剥がす表面加工品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−97141(P2012−97141A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243467(P2010−243467)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000003034)東亞合成株式会社 (548)
【Fターム(参考)】