説明

活性エネルギー線硬化性印刷方法およびその印刷物

【課題】
本発明は、活性エネルギー線硬化性下刷りインキを印刷後、硬化処理を行なわず直ちに活性エネルギー線硬化性上刷りニスを塗工し、ちりめんじわ状にする活性エネルギー線硬化性印刷方法、およびその印刷物を提供するものである。
【解決手段】
酸化重合性または活性エネルギー線硬化性下刷りインキの不完全を未硬化状態にし、その後活性エネルギー線硬化性上刷りニスを塗工し、ちりめんじわ状にする活性エネルギー線硬化性印刷方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化重合性または活性エネルギー線硬化性下刷りインキの印刷後硬化させず直ちに、活性エネルギー線硬化性上刷りニスを塗工し、活性エネルギー線照射し、ちりめんじわ状にする活性エネルギー線硬化性印刷方法、およびその印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、印刷物にマット部と光沢部を同一紙面上に印刷して意匠性を高める技術としては、マット加工部分にシリカ等の粉体を添加して乱反射を発生させるマット加工用インキをシルクスクリーン、オフセット印刷にて印刷し、光沢部分にはコーティングニスをスポットコートすることにより作成されている。
【0003】
また、凹凸感を有するマット加工を有する化粧板の凸凹模様の作成にはエンボスロールにより機械的に加圧したり、凹凸加工をしたフィルムを貼る事により作成されている。
【0004】
また基材シートにグラビア用印刷インキ・オフセット印刷インキ組成物を部分的に印刷し、上記印刷面を有する模様表面に、フタル酸ジエステルを撥液剤としインキ上に不飽和ポリエステルを塗布しハジキ現象により凹部を形成する方法が知られている。
【特許文献1】特開昭48−58068 ハジキ現象を利用する凹凸加工方法は他にも、撥液剤としてフッ素系樹脂を用い、重合性樹脂を均一に塗布した凹凸模様化粧シートの製造方法(特開昭57−53355)や撥液剤が電離放射線樹脂と反応性を有する事を特徴とする化粧シート及び化粧シートの製造方法(特開平6−8392)が知られている。
【特許文献2】特開昭57−53355
【特許文献3】特開平6−8392 更に、オフセット印刷により撥液性を有する電子線又は紫外線硬化性の下刷りインキを電子線又は紫外線照射により硬化させ、電子線又は紫外線硬化性コーティング剤を塗布する工程をオフセット印刷機による一工程で設けることを特徴とする凹凸感を有するマット加工印刷物の製造方法が知られている。
【特許文献4】特開2003−181370
【0005】
しかしながら、マット加工用インキとスポットコーティング方法を用いて凹凸を形成する方法は十分な凹凸感を有するマット加工表面を形成することが困難である。更に、エンボスロールによる加圧法や凹凸加工を施したフォルムを貼る事により凹凸を形成する方法では微細な凹凸感を表現することと印刷絵柄と一致させる事が困難であり、工程が複雑化して生産性が低い。
【0006】
一方、特許文献1〜4に開示されている技術は何れも凹凸感を発現させる方法であるが、マット加工部分の形状、大きさが最終工程で全面に塗工されるコーティングニスの膜厚により風合いが変わってしまい、一般的なロールコーター、カーテンコーター等では印刷物作成時の温度変化によりコーティングニス粘度が変化し塗工膜厚が安定化せず、時間を置いてから同様の印刷を行う場合に前回と同様な凹凸感を得ることが困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点を克服し、活性エネルギー線硬化性下刷りインキを印刷後硬化させず直ちに、活性エネルギー線硬化性上刷りニスを塗工し、活性エネルギー線照射し、ちりめんじわ状にする活性エネルギー線硬化性印刷方法、およびその印刷物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、酸化重合性または活性エネルギー線硬化性下刷りインキを印刷後、硬化処理を行なわず直ちに活性エネルギー線硬化性上刷りニスを塗工し、次いで活性エネルギー線を照射することによりちりめんじわ状の皮膜を形成させることを特徴とする印刷方法に関する。
また、本発明は、アニロックスロールを有するコーターを用いて活性エネルギー線硬化性上刷りニスを塗工することを特徴とする上記印刷方法に関する。
また、本発明は、活性エネルギー線硬化性下刷りインキをスポットコートで印刷し、その後活性エネルギー線硬化性上刷りニスを塗工し、同一印刷物にちりめんじわと高光沢感の落差を利用し高級感を出すことを特徴とする上記印刷方法に関する。
【0009】
さらに、本発明は、上記印刷方法を用いて得られる印刷物に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の印刷方法によって、ちりめんじわと高光沢感の落差を利用し高級感を出すことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明にについて詳しく説明する。
本発明で使用する活性エネルギー線としては、紫外線、電子線が挙げられる。しかし、これに限定される必要はない。
【0012】
本発明の酸化重合性または活性エネルギー線硬化性下刷りインキとは本発明の場合クリアインキである。(インキ業界ではメジウムインキと称す)。つまり酸化重合性または活性エネルギー線硬化性の黄、紅、藍、墨等のカラーインキを印刷後硬化あるいは未硬化後本発明の酸化重合性または活性エネルギー線硬化性下刷りインキを印刷するものである。



【0013】
酸化重合性または活性エネルギー線硬化性下刷りインキに対して硬化処理を行なわず、直ちにその上に活性エネルギー線硬化性上刷りニスを塗工し、活性エネルギ線で照射すると活性エネルギー線硬化性上刷りニスが完全硬化し、硬化の際上刷りニスの皮膜の硬化収縮が起きる。そして下刷りインキを硬化性しない為、下刷りインキが徐々に(数秒〜1日の間に)上刷りニスの応力により引っ張られ上刷りニスの皮膜がちりめんじわ状態になり、光沢が劣化する。
【0014】
上記カラーインキを印刷し、活性エネルギー線硬化性下刷りインキを硬化しない状態で、スポットコートで印刷し、その後活性エネルギー線硬化性上刷りニスを塗工すると下刷りインキと上刷りニスが重なった部分はちりめんじわになり光沢が劣化する。他方下刷りインキがない上刷りニスは十分な光沢が出て、同一印刷物上にちりめんじわと高光沢感の落差を利用し高級感を出すことができる。
【0015】
本発明に使用される酸化重合性インキの組成としてはロジンフェノール樹脂またはロジンアルキッド樹脂、石油樹脂アルキッド樹脂10〜40重量%
動植物油またはその脂肪酸モノエステル 1〜30重量%
体質顔料 1〜30重量%
石油系溶剤 5〜40重量%
ドライヤー 0.1〜5重量%
添加剤 0.1〜10重量%
重量平均分子量0.5〜20万の樹脂酸(またはロジン類)フェノール樹脂、樹脂酸(またはロジン類)アルキッド樹脂、石油樹脂アルキッドが使用される。尚、本発明の樹脂酸とは天然由来のロジン類でに含有される遊離またはエステルとして存在する有機酸であれば特に限定されるものではない。例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、d−ピマール酸、イソ−d−ピマール酸、ポドカルプ酸、アガテンジカルボン酸、ダンマロール酸、安息香酸、桂皮酸、p−オキシ桂皮酸が例示される。これらの樹脂酸を含有する天然樹脂の形態で使用することが取り扱い上好ましく、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、部分不均化ロジン、部分水素添加ロジン、部分重合ロジン、コパール、ダンマル等ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、重合ロジン類が例示される。しかしこれらの樹脂は常温で固体である為、植物油またはその脂肪酸エステル、インキ用溶剤を添加し調整した樹脂ワニスとして使用される。樹脂ワニスの粘度は印刷インキ組成物を作製し易い粘度(100〜200Pa・s)にする為、樹脂/植物油またはその脂肪酸エステル/インキ用溶剤=30〜60重量部/1〜60重量部/0〜50重量部の構成比とし、樹脂は150〜200℃で空気気流下に30分〜1時間で溶解する。さらに樹脂ゲルワニスにするには上記溶解した樹脂ワニスにゲル化剤0.1〜3重量部を仕込み100〜120℃で30分〜1時間反応させて得られる。
【0016】
ロジン類変性フェノール樹脂として、石炭酸、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、(ターシャリ)ブチルフェノール、(ターシャリ)オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、ヘキシルフェノールおよびこれらの混合物等のフェノール類とホルムアルデヒドを縮合反応させたレゾールまたはノボラックフェノール樹脂とロジン類をクロマン化反応させ、さらにグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオールをエステル化反応させた重量平均分子量0.5〜20万、軟化点80〜180℃(主流は130〜170℃)の樹脂で反応法は常法による。
【0017】
ロジン類等の樹脂酸を使用した樹脂酸アルキッド樹脂として50〜90重量%の樹脂酸、3〜50重量%の多塩基酸、3〜50重量%アルコール化合物、必要に応じ0.01〜10重量%のスルフォン酸化合物を触媒にし、150〜300℃で反応させるロジン類アルキッド樹脂について説明する。
【0018】
樹脂酸は上記樹脂酸類が例示される。さらに多塩基酸としてα,βエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物があり、フマル酸、マレイン酸またはその無水物、イタコン酸またはその無水物、シトラコン酸またはその無水物、クロトン酸、桂皮酸、(メタ)アクリル酸、2,4−ヘキサジエノン酸(ソルビック酸)等が例示される。特に好ましくはマレイン酸、またはその無水物が例示される。樹脂酸とα,βエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物との反応はディールスアルダーまたは重合反応が反応であり、公知の方法で反応させることができる。例えば、ディールスアルダー反応温度は120〜300℃、好ましくは180〜260℃、反応時間は1〜4時間である。不均化されたロジン、重合ロジン中の二量体以上のロジン、水素添加されたロジン(以上変換されたロジン類)はディールスアルダー反応しにくく、このような変性されていないロジンがディールスアルダー反応にて酸変性される。現在環境対応印刷インキとして、芳香族成分を3重量%以下にした印刷インキ溶剤(アロマーフリー溶剤、以下AFソルベントという)が使用されている。このAFソルベント使用の場合は樹脂酸/α,βエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物の重量比=80/15〜97/3、好ましくは88/12〜97/3が良い。これよりα,βエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物の量が多いと樹脂の印刷インキ溶剤に対する溶解性が劣化し、少ないと印刷インキ用としての適正な分子量が得られない。さらに樹脂酸とα,βエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物との重合反応では過酸化ベンゾイル等のパーオキサイドを重合触媒にして80〜150℃で重合する場合も例示される。さらに必要におうじ他の多塩基酸である蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライ酸、ドデセニル無水コハク酸、ペンタデセニルコハク酸等のアルケニル無水コハク酸、フマル酸、(無水)マレイン酸酸、o -フタル酸またはその無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸またはその無水物、ヘキサヒドロフタル酸またはその無水物、(メチル)ハイミック酸またはその無水物、トリメリット酸またはその無水物、ピロメリット酸またはその無水物等が例示される。
【0019】
さらにα、β反応物とアルコール化合物を反応させる。分子量を上げるには二価以上のアルコールが望ましいが、一部一価のアルコールで変性されることもある。
アルコール化合物としては上記例示多価アルコールが使用される。
【0020】
上記α、β反応生成物とアルコール化合物との反応比は上記α、β反応生成物のカルボン酸の総モル数量/上記アルコール化合物の水酸基の総モル数量が1/0.5〜1/1.2、好ましくは1/0.8〜1/1.2にする。エステル化反応は180〜270℃で酸価が15〜30位になるまで反応させる。さらに必要におうじ0〜75KPaの減圧反応させる。スルフォン酸化合物触媒としてはp−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等のスルホン酸類、硫酸、塩酸等の鉱酸、トリフルオロメチル硫酸、トリフルオロメチル酢酸、ルイス酸等があり、さらにテトラブチルジルコネート、テトライソプロピルチタネート等の金属錯体、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等のアルカリ、アルカリ土類金属の酸化物、金属塩触媒等が例示される。これらの触媒を全樹脂中0.01〜1重量%使用し反応させる。さらに必要におうじ0〜75KPaの減圧反応させる。しかし、このような条件では反応物が容易に着色するため、還元剤である次亜リン酸、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスフェート等を併用することもある。重量平均分子量0.5〜20万、軟化点80〜180℃(主流は130〜170℃)の樹脂が得られる。
【0021】
さらに90〜99.9重量%樹脂酸類を0.01〜10重量%スルフォン酸化合物を触媒にし100〜300℃で0.1〜20時間、無溶媒または溶媒10重量%以下で反応させてなる多量体樹脂酸組成物について説明する。
【0022】
本発明の多量体樹脂製造法について、反応温度は100〜300℃、好ましくは150〜195℃が望ましい。これより低いと得られる多量体樹脂酸量が少なく、多いと樹脂酸中のカルボン酸の分解量が多くなり、また得られる樹脂の軟化点が下がる。特に反応温度が200℃を超えると軟化点が常温(25℃)近くになり印刷インキに使用すると乾燥性が劣化してくる。
【0023】
反応時間は0.1〜24時間、好ましくは1〜8時間が望ましい。これより少ないと得られる多量体樹脂酸量が少なく、多いと得られる多量体樹脂酸がコスト高になる。
【0024】
多量体は2量体が主成分となるが、勿論多量体の生成量は多いほうが望ましい。しかし本発明の場合仕込み量に対し多量体が10〜70%生成すれば十分でありそれ以上を求めるとさらに反応時間を長くするとか触媒を多くするとかでコスト高になり必ずしも望ましいものではない。以上のようにして多量体樹脂組成物を製造する。
触媒は上記ロジンフェノール樹脂の合成で使用した触媒に準ずる。
【0025】
さらに石油樹脂アルキッドについて記載する。石油樹脂等はナフサ分解により得られるC5留分あるいはC9留分をカチオン、アニオンあるいはラジカル重合することにより得られる。C5留分含む石油樹脂とは、常法に従ってシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、これらの2〜5量体、共多量体などのごときシクロペンタジエン系単量体単独、またはシクロペンタジエン系単量体と共重合可能な共単量体との混合物を、触媒の存在下あるいは無触媒で熱重合して得られるものである。触媒としてはフリーデルクラフト型のルーイス酸触媒、例えば三フッ化ホウ素およびそのフェノール、エーテル、酢酸などとの錯体が通常使用される。本発明の炭化水素樹脂におけるシクロペンタジエン系単量体と、それと共重合可能な共単量体との共重合比は、少なくともシクロペンタジエン系単量体が5モル%以上であることが必要である。使用される共単量体の例としては、エチレン、プロピレン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、イソブチレンを酸触媒で二量化して得られるジイソブチレン(2,4,4−トリメチルペンテン−1と2,4,4−トリメチルペンテン−2との混合物)、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−オクテン、2−オクテン、4−オクテン、1−デセンなどの炭素数2〜10のオレフィン類、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン(ピペリレン)、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエンなどの鎖状共役ジエン類、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、イソプロペニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル芳香族類、インデン、メチルインデン、クマロン(ベンゾフラン)、メチルクマロン(2−メチルベンゾフラン)などの芳香族不飽和化合物類などがあげられる。C9留分を含む石油樹脂は上記ビニル芳香族類、芳香族不飽和化合物類等の上記熱重合により得られる。
【0026】
以下丸善石油(株)製C5系のマルカレッツM510A、マルカレッツM845A、マルカレッツM905A、マルカレッツM100A、マルカレッツ#8011、マルカレッツT−100A、マルカレッツR−100B、マルカレッツS100A、マルカレッツH505、マルカレッツH700F、マルカレッツH925が例示される。さらに新日本石油化学(株)製日石ネオレジン540、日石ネオレジン580、日石ネオレジンEP−80、日石ネオレジンEP−110、日石ネオレジンEP−140,日石ネオレジンPH−105、日石ネオレジンNB−90、日石ネオポリマーS、日石ネオポリマー80、日石ネオポリマーL−90、日石ネオポリマー100、日石ネオポリマー110、日石ネオポリマー120、日石ネオポリマー130、日石ネオポリマーE−100、日石ネオポリマーE−130、日石ネオポリマーE−130S、日石ネオポリマーM、日石ネオポリマーS−110、日石ネオポリマーE−100日石ネオポリマーGS、日石ネオポリマー170S、TO−90,TO−100が例示される。さらに日本ゼオン(株)製C5系クイントン1000番シリーズ(1325、1345、1500、1522、1700)、クイントンQTN1100、クイントンQTN1345H、クイントンRI−201が例示される。さらに東邦化学(株)製トーホハイレジン(#60、#90、#90S、#NX、#120、#130、#140、#120S、RS−9、RS−21、#2100,スーパー#110、スーパー#110T、PA−140)、COPEREX2100等が例示される。さらにトーネックス(株)製ESCOREZ1100番シリーズ、1200番シリーズ、1300番シリーズ、2000番シリーズ、5000番シリーズ、8000番シリーズ等が例示される。さらにトーソー(株)製C9系のペトコール(以下各グレードLX、LX−HS、100−T、120、120HV、130、140、140HM、140HM3、150)、C9系リッチのC9/C5混合系のペトロタック(70、90)等が例示される。さらにハーキュレス(株)製C5系ピコタック(95、B)、ピコペール100、C9変性C5系ハーコタック1149、C9系エンデックス155、クリスタレックス(以下各グレード#1120、3085、3100、5140、F100)、ハーコライト(以下各グレード#240、290)ピコラスチック(以下各グレードA5、A75、100、LC)、水添C9系リガライトY(以下各グレードR1010、R1090、R1100、R1125、S5100、R7100)等が例示される。
【0027】
さらに上記炭化水素樹脂とディールスアルダー反応させる上記α,βエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物があり、現在環境対応印刷インキとして、芳香族成分を3重量%以下にした印刷インキ溶剤(アロマーフリー溶剤、以下AFソルベントという)が使用されている。このAFソルベント使用の場合は炭化水素樹脂/α,βエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物の重量比=80/15〜97/3、好ましくは88/12〜97/3が良い。これよりα,βエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物の量が多いと樹脂の印刷インキ溶剤に対する溶解性が劣化し、少ないと印刷インキ用としての適正な分子量が得られない。さらに樹脂酸または炭化水素樹脂とα,βエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物との重合反応では過酸化ベンゾイル等のパーオキサイドを重合触媒にして80〜150℃で重合する場合も例示される。さらに必要におうじ他の多塩基酸である蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライ酸、ドデセニル無水コハク酸、ペンタデセニルコハク酸等のアルケニル無水コハク酸、フマル酸、(無水)マレイン酸酸、o -フタル酸またはその無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸またはその無水物、ヘキサヒドロフタル酸またはその無水物、(メチル)ハイミック酸またはその無水物、トリメリット酸またはその無水物、ピロメリット酸またはその無水物等が例示される。さらに石油樹脂α,βエチレン性不飽和カルボン酸変性物とアルコール化合物の反応法は樹脂酸アルキッド樹脂の反応法に準ずる。
さらに樹脂酸と石油樹脂を樹脂酸/石油樹脂=1〜99重量%/1〜99重量%併用のα,βエチレン性不飽和カルボン酸変性物のアルキッド変性物が例示される。反応法は上記樹脂酸アルキッド、石油樹脂アルキッドの反応法に準ずる。重量平均分子量0.5〜20万、軟化点80〜180℃(主流は130〜170℃)の樹脂が得られる。
【0028】
本発明で使用される動植物油、その脂肪酸モノエステルについて説明する。先ず植物油とは、グリセリンと脂肪酸とのトリグリセライドにおいて、少なくとも1つの脂肪酸が炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有する脂肪酸であるトリグリセライドのことであり、その様な植物油として代表的な化合物は、アサ実油、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ油、カポック油、カヤ油、カラシ油、キョウニン油、キリ油、ククイ油、クルミ油、ケシ油、ゴマ油、サフラワー油、ダイコン種油、大豆油、大風子油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ニガー油、ヌカ油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘントウ油、松種子油、綿実油、ヤシ油、落花生油、脱水ヒマシ油などが挙げられる。さらに好適な植物油を挙げるとすれば、そのヨウ素価が少なくとも100以上ある植物油(括弧内は油脂化学製品便覧:日刊工業新聞社から引用したヨウ素価を示す。)、アサ実油(149以上)、アマニ油(170以上)、エノ油(192以上)、オイチシカ油(140以上)、カポック油(85〜102)、カヤ油(130以上)、カラシ油(101以上)、キョウニン油(97〜109)、キリ油(145以上)、ククイ油(136以上)、クルミ油(143以上)、ケシ油(131以上)、ゴマ油(104以上)、サフラワー油(130以上)、ダイコン種油(98〜112)、大豆油(117以上)、大風子油(101)、トウモロコシ油(109以上)、ナタネ油(97〜107)、ニガー油(126以上)、ヌカ油(92〜115)、ヒマワリ油(125以上)、ブドウ種子油(124以上)、ヘントウ油(93〜105)、松種子油(146以上)、綿実油(99〜113)、落花生油(84〜102)、脱水ヒマシ油(147以上)が好適に用いられ、さらには、ヨウ素価が120以上の植物油がより好ましい。ヨウ素価を120以上とすることで、硬化性組成物の酸化重合による乾燥性をより高めることができる。さらにイカ油、さんま油等の魚油、牛脂油、馬油、鯨油、羊油等が例示される。特に大豆油(白絞油)、アマニ油、桐油が好ましい。
【0029】
その他、本発明においては、天ぷら油などの食用に供された後、回収/再生された再生植物油も用いることができる。再生植物油としては、含水率を0.3重量%以下、ヨウ素価を100以上、酸価を3以下として再生処理した油が好ましく、含水率を0.3重量%以下にすることにより、水分に含まれる塩分等のインキの乳化挙動に影響を与える不純物を除去することが可能となり、ヨウ素価を100以上として再生することにより、乾燥性、すなわち酸化重合性の良いものとすることが可能となり、さらに酸価が3以下の植物油を選別して再生することにより、再生植物油の酸価を低いものとするができ、インキの過乳化を抑制することが可能となる。回収植物油の再生処理方法としては、濾過、静置による沈殿物の除去、および活性白土などによる脱色といった方法がとられる。
【0030】
次に、本発明における脂肪酸エステルとしては、植物油の加水分解で得られる飽和または不飽和脂肪酸と、飽和または不飽和アルコールとをエステル反応させてなる脂肪酸モノエステルを挙げることができるが、常温(20〜25℃)で液状で且つ常圧(101.3kPa)で沸点が200℃以上の脂肪酸1価アルコールのモノエステルが好ましく、その様な脂肪酸エステルの具体例としては、飽和脂肪酸モノエステルとして、酪酸ヘキシル、酪酸ヘプチル、酪酸ヘキシル、酪酸オクチル、カプロン酸ブチル、カプロン酸アシル、カプロン酸ヘキシル、カプロン酸ヘプチル、カプロン酸オクチル、カプロン酸ノニル、エナント酸プロピル、エナント酸ブチル、エナント酸アミル、エナント酸ヘキシル、エナント酸ヘプチル、エナント酸オクチル、カプリル酸エチル、カプリル酸ビニル、カプリル酸プロピル、カプリル酸イソプルピル、カプリル酸ブチル、カプリル酸アミル、カプリル酸ヘキシル、カプリル酸ヘプチル、カプリル酸オクチル、ペラルゴン酸メチル、ペラルゴン酸エチル、ペラルゴン酸ビニル、ペラルゴン酸プロピル、ペラルゴン酸ブチル、ペラルゴン酸アミル、ペラルゴン酸ヘプチル、カプリン酸メチル、カプリン酸エチル、カプリン酸ビニル、カプリン酸プロピル、カプリン酸イソプロピル、カプリン酸ブチル、カプリン酸ヘキシル、カプリン酸ヘプチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ビニル、ラウリン酸プロピル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸イソアミル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸−2エチル−ヘキシルなどを挙げることができる。
【0031】
不飽和脂肪酸1価アルコールモノエステルとしては、オレイン酸エチル、オレイン酸プロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸アリル、オレイン酸イソアミル、オレイン酸ヘプチル、オレイン酸−2−エチルヘキシル、エライジン酸メチル、エライジン酸エチル、エライジン酸プロピル、エライジン酸アリル、エライジン酸ブチル、エライジン酸イソブチル、エライジン酸−tert−ブチル、エライジン酸イソアミル、エライジン酸−2−エチルヘキシル、、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸アリル、リノール酸プロピル、リノール酸イソプロピル、リノール酸ブチル、リノール酸イソブチル、リノール酸−tert−ブチル、リノール酸ペンチル、リノール酸ヘキシル、リノール酸ヘプチル、リノール酸−2−エチルヘキシル、リノレン酸メチル、リノレン酸エチル、リノレン酸アリル、リノレン酸プロピル、リノレン酸イソプロピル、リノレン酸ブチル、リノレン酸イソブチル、リノレン酸−tert−ブチル、リノレン酸ペンチル、リノレン酸ヘキシル、リノレン酸ヘプチル、リノレン酸−2−エチルヘキシル、アラキドン酸メチル、アラキドン酸エチル、アラキドン酸アリル、アラキドン酸プロピル、アラキドン酸イソプロピル、アラキドン酸ブチル、アラキドン酸イソブチル、アラキドン酸−tert−ブチル、アラキドン酸ペンチル、アラキドン酸ヘキシル、アラキドン酸ヘプチル、アラキドン酸−2−エチルヘキシル、エイコセン酸メチル、エイコセン酸エチル、エイコセン酸アリル、エイコセン酸プロピル、エイコセン酸イソプロピル、エイコセン酸ブチル、エイコセン酸イソブチル、エイコセン酸−tert−ブチル、エイコセン酸ペンチル、エイコセン酸ヘキシル、エイコセン酸ヘプチル、エイコセン酸−2−エチルヘキシル、エイコサペンタエン酸メチル、エイコサペンタエン酸エチル、エイコサペンタエン酸アリル、エイコサペンタエン酸プロピル、エイコサペンタエン酸イソプロピル、エイコサペンタエン酸ブチル、エイコサペンタエン酸イソブチル、エイコサペンタエン酸−tert−ブチル、エイコサペンタエン酸ペンチル、エイコサペンタエン酸ヘキシル、エイコサペンタエン酸ヘプチル、エイコサペンタエン酸−2−エチルヘキシル、エルカ酸メチル、エルカ酸エチル、エルカ酸アリル、エルカ酸プロピル、エルカ酸イソプロピル、エルカ酸ブチル、エルカ酸イソブチル、エルカ酸−tert−ブチル、エルカ酸ペンチル、エルカ酸ヘキシル、エルカ酸ヘプチル、エルカ酸−2−エチルヘキシル、ドコサヘキサエン酸メチル、ドコサヘキサエン酸エチル、ドコサヘキサエン酸アリル、ドコサヘキサエン酸プロピル、ドコサヘキサエン酸イソプロピル、ドコサヘキサエン酸ブチル、ドコサヘキサエン酸イソブチル、ドコサヘキサエン酸−tert−ブチル、ドコサヘキサエン酸ペンチル、ドコサヘキサエン酸ヘキシル、ドコサヘキサエン酸ヘプチル、ドコサヘキサエン酸−2−エチルヘキシル、リシノール酸メチル、リシノール酸エチル、リシノール酸アリル、リシノール酸プロピル、リシノール酸イソプロピル、リシノール酸ブチル、リシノール酸イソブチル、リシノール酸−tert−ブチル、リシノール酸ペンチル、リシノール酸ヘキシル、リシノール酸ヘプチル、リシノール酸−2−エチルヘキシルなどを例示することができる。
【0032】
本発明の印刷インキ溶剤は、例えば日本石油(株)製1号スピンドル油、3〜8号ソルベント、ナフテゾールH、アルケン56NT、三菱化学(株)製ダイヤドール13、ダイヤレン168、日産化学(株)製Fオキソコール、Fオキソコール180等が例示される。芳香族成分を3%以下に減じた印刷インキ用溶剤とは同沸点範囲の石油系溶剤で芳香族系成分/ナフテン系成分/パラフィン系成分の重量比が0〜3/0〜100/100〜0の溶剤であり、時にはオレフィン系成分が含まれることもある溶剤である。具体的には、日本石油(株)製AFソルベント4〜8、0号ソルベントH、ISU(株)製N−パラフィンC14−C18、出光興産(株)のスーパーゾルLA35、LA38等、エクソン化学(株)のエクソールD80、D110、D120、D130、D160、D100K、D120K、D130K、D280、D300、D320等、マギーブラザーズ社製のマギーソル−40、−44、−47、−52、−60等が例示される。アニリン点は60から115℃が望まれる。もしアニリン点が115℃より高い溶剤を使用すれば、インキ組成中の使用樹脂との溶解力が不足して、インキの流動性が不十分であり、その結果被印刷体へのレベリングが乏しく光沢のない印刷物しか得られない。また、60℃より低いアニリン点の溶剤を使用したインキは乾燥時のインキ被膜からの溶剤の脱離性が悪く乾燥劣化を起こしてしまう。
【0033】
さらに、該ワニスをゲル化剤を用いてゲルワニスとすることも可能である。ゲル化剤としては、通常アルミニウム錯体化合物を挙げる事が出来る。環状アルミニウム化合物類、例えば環状アルミニウムオキサイドオクテート(川研ファインケミカル社製アルゴマー800)、環状アルミニウムオキサイドステアレート(川研ファインケミカル社製アルゴマー1000S)等、アルミニウムアルコラート類としてアルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート(川研ファインケミカル社製AIPD) 、アルミニウム−sec−ブチレート(川研ファインケミカル社製ASPD) 、アルミニウムイソプロピレート−モノ−sec−ブチレート(川研ファインケミカル社製AMD) 、アルミニウムアルキルアセテート類、例えばアルミニウム−ジ−n −ブトキサイド−エチルアセトアセテート(ホープ製薬製Chelope−Al−EB2)、アルミニウム−ジ−iso−ブトキサイド−メチルアセトアセテート(ホープ製薬製Chelope−Al−MB12)、アルミニウム−ジ−iso−ブトキサイド−エチルアセトアセテート(ホープ製薬製Chelope−Al−EB102)、アルミニウム−ジ−iso−ブトキサイド−エチルアセトアセテート(ホープ製薬製Chelope−Al−EB2)、アルミニウム−ジ−iso−プロポキサイド−エチルアセトアセテート(ホープ製薬社製Chelope−Al−EP12、川研ファインケミカル社製ALch)、アルミニウム−トリス(アセチルアセトナート)(川研ファインケミカル社製ALCH−TR) 、アルミニウム−トリス(アチルアセトアセテート)(川研ファインケミカル社製アルミキレート−A) 、アルミニウム−ビス(エチルアセチルアセトナート)−モノアセチルアセトナート(川研ファインケミカル社製アルミキレートD) 、アルミキレートM(川研ファインケミカル社製)、アルミキレートNB−15(ホープ製薬社製)、ケロープS(ホープ製薬社製)ケロープACS−2(ホープ製薬社製、液状オリープAOO(ホープ製薬社製) 、液状オリープAOS( ホープ製薬社製) が例示される。アルミニウム石鹸としてアルミニウムステアレート(日本油脂(株)製)、アルミニウムオレート、アルミニウムナフトネート、アルミニウムウレート、アルミニウムアセチルアセトネート、が例示される。これらのゲル化剤は、ワニス100重量部に対し、0.1重量部から10重量部の範囲で使用される。その他のゲル化剤として、環状ジペプチド類、有機液体をゲル化せしめる性質エチレンビス(12−ヒドロキシオクタデカン酸)アマイド等のビスアミド類、Al −Mg−ヒドロキシカプリレ−ト、Al −Mg−ヒドロキシミリステート、Al −Mg−ヒドロキシパルミテート、Al −Mg−ヒドロキシベヘネート等の粉末状のアルミニウム−マグネシウム化合物が例示される。さらにテトライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタネート、テトレオクチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル等の有機チタネート等が例示される。さらにジルコニウム−テトラブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトン、ジルコニウムアセチルアセトン、ジルコニウムアセチルアセトン、アセチルアセトンジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド等の有機ジルコニム等が例示される。ゲルワニスの作成は、通常ゲル化剤を0.1〜3重量部を仕込み、100〜200℃の温度範囲で、30分〜2時間反応させて得られる
さらにナフテン酸マンガンドライヤー、ナフテン酸コバルトドライヤーが使用される。
【0034】
次に、本発明における印刷インキ組成物としての使用形態について説明する。本発明における印刷インキ組成物は、通常平版印刷インキとしての形態において使用される。一般的には上記組成比で使用される。、
また、樹脂は常温で固体である為、植物油またはその脂肪酸エステル、インキ用溶剤を添加し調整した樹脂ワニスとして使用される。樹脂ワニスの粘度は印刷インキ組成物を作製し易い粘度(100〜200Pa・s)にする為、樹脂/植物油またはその脂肪酸エステル/インキ用溶剤=30〜60重量部/1〜60重量部/0〜50重量部の構成比とし、樹脂は150〜200℃で空気気流下に30分〜1時間で溶解する。さらに樹脂ゲルワニスにするには上記溶解した樹脂ワニスにゲル化剤0.1〜3重量部を仕込み100〜120℃で30分〜1時間反応させて得られる。
【0035】
本発明の印刷インキは、常温から100℃の間で、顔料、樹脂ワニスおよび/またはそのゲルワニス、植物油またはその脂肪酸エステル、インキ用溶剤を添加しその他添加剤などの印刷インキ組成物成分を、ニーダー、三本ロール、アトライター、サンドミル、ゲートミキサーなどの練肉、混合、調整機を用いて製造される。
【0036】
体質顔料として無機顔料無機顔料としては、硫酸バリウム、シリカ、酸化チタン、亜鉛華、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、使用可能である。
【0037】
さらに、該印刷インキには、必要に応じてその他の添加剤を使用することが可能である。例えば、耐摩擦剤、ブロッキング防止剤、スベリ剤、スリキズ防止剤としては、カルナバワックス、木ろう、ラノリン、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの天然ワックス、フィッシャートロプスワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリアミドワックス、およびシリコーン化合物などの合成ワッックスを例示することができる。
【0038】
本発明の印刷インキは、湿し水を使用するオフセット印刷にも適用されるが、湿し水を使用しない水無し印刷、すなわち乾式平版印刷にも適用される。
【0039】
例えば本発明において上記0号ソルベント、ISU(株)製N−パラフィンC14−C18等のようなパラフィン系成分、ダイヤレン168のようなオレフィン系成分を含んだ溶剤が使用される場合もある。特に本乾式平版印刷インキ組成物中1〜30重量%の5〜100万、望ましくは5〜15万の重量平均分子量の樹脂と0.1〜10重量%のパラフィン、オレフィン溶剤を組み合わせることにより本素材との溶解性を調整し、乾式平版とインキの間に溶剤による非常に弱い結合力を持った弱境界層「当該技術分野ではWFBL(Week Fluid Boundary Layer)と称す」を形成させて乾式平版印刷適性(非画線部にインキが着かず)を向上させることが出きる。
【0040】
さらに乾式平版印刷インキ組成物中0.1〜10重量%のオルガノポリシロキサンを組み合わせることにより本素材の溶解性の悪さを利用し、印刷後本インキ組成物の表面に概オルガノポリシロキサンが浮き出て本素材との溶解性を調整し、印刷後本インキ組成物の表面に概オルガノポリシロキサンが浮き出てインキと版の非画線部の界面に非常に弱い結合力を持った弱境界層「当該技術分野ではWFBL(Week Fluid Boundary Layer)と称す」を形成させて乾式平版印刷適性(非画線部にインキが着かず)を向上させることが出きる。本発明のオルガノポリシロキサンはジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンが例示される。例えば、東芝シリコン(株)製TSF451−10、TSF451−20、TSF451−30、TSF451−50、TSF451−100、TSF451−200、TSF451−300、TSF451−350、TSF451−500、TSF451−1000、TSF451−3000、等が例示される。更に信越シリコン(株)製非反応性シリコンオイル中、ポリエーテル変性シリコンオイルとして、KF−351、KF−352、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−618、KF−6011、KF−6015、KF−6004、X−22−4272,X−22−4952、X−22−6266、メチルスチル変性シリコンオイルとしてKF−410、アルキル変性シリコンオイルとしてKF−412、KF−413、KF−414、等が例示される。
【0041】
更に本発明は、石油系溶剤等の揮発性有機化合物(VOCS)を一切使用しない印刷物を提供することも可能である。本発明により米国環境保護庁が提示しているVOC測定方法Metyod24(110℃、1時間の加熱による加熱残分測定)における熱重量減分を1%以下(水を除く)に制限することが可能となり、VOCフリーのインキおよび印刷物を提供することが可能となる。
【0042】
さらに環境対応としてオフセットインキに含まれる石油系成分、乾生油の一部を大豆油またはその変性物に替えた大豆油インキでASA( American Soybean Association:アメリカ大豆協会)の認定基準をクリアーしたインキが要求されており本発明によりその要求基準を満たすことも可能である。
【0043】
本発明で使用する活性エネルギー線としては、紫外線、電子線が挙げられる。しかし、これに限定される必要はない。
本発明に使用される活性エネルギー線硬化性下刷りインキの組成としては
エチレン性不飽和二重結合を有するオリゴマー若しくは非反応性樹脂
5〜25重量%
動植物油ままたはその脂肪酸エステル 0〜20重量%
エチレン性不飽和二重結合を有するモノマー
15〜65重量%
体質顔料 0〜30重量%
ラジカル重合性開始剤 0〜15重量%(このましくは0〜3重量%)
シリコンオイルなどのシリコーン系添加剤
・ 1〜5重量%
重合禁止剤 0.01〜3重量%
含有する活性エネルギー線硬化性下刷りインキのオフセットタイプである。
【0044】
活性エネルギー線硬化性下刷りインキの硬化性を遅い状態にするには上記組成面からラジカル重合性開始剤を通常0〜15重量%に対し好ましくは 0〜3重量%、エチレン性不飽和二重結合を有するオリゴマー、モノマーを通常3〜6官能以上に対し、1〜2官能タイプを主流にする(1〜2官能タイプ/3官能〜6官能タイプ=50〜100重量%/50〜0重量%)等がある。さらに活性エネルギー線照射量は例えば120W/cm高圧水銀ランプ3灯でランプより10cm下を印刷物を通常の印刷物は100〜150m/mのコンベヤースピードで照射され硬化するが本発明の活性エネルギ線硬化性下刷りインキは不完全硬化の状態になる。
【0045】
非反応樹脂は熱硬化性または熱可塑性樹脂等があり、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース)、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリアマイド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ブタジエンーアクリルニトリル共重合体のような合成ゴム等が挙げられる。これらの樹脂は、その中の1種または2種以上を用いることができる。さらに油性インキと活性エネルギー線硬化性インキの特性を併用して持つハイブリッドインキ用樹脂は上記ロジン類フェノール樹脂、ロジン類アルキッド樹脂、石油樹脂変性アルキッド樹脂、スチレンアクリル樹脂(例えばスチレンイソボルニルアクリル樹脂)が使用される。さらに上記動植物油またはその脂肪酸モノエステルが使用される。
【0046】
さらに重合禁止剤としては、アルキルフェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p −メトキシフェノール、t −ブチルカテコール、t −ハイドロキノン、ピロガロール、1,1−ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p −ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5−ジ−tert−ブチル−p −ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ−p −ニトロフェニルメチル、N−(3−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o−イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム等が用いられる。
例示された重合禁止剤が使用される。
【0047】
本発明に使用される活性エネルギー線硬化性上刷りニスの組成例としては、
エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーまたはオリゴマー
60〜90重量%
ラジカル重合性開始剤 0〜15重量%
その他添加剤 1〜10重量%
が挙げられる。
【0048】
本発明において、モノマーとは単官能または多官能の(メタ)アクリレート類をいい、これらを適宜用いることでインキ組成物の粘度を調節することが出来る。モノマーは、全インキ組成物を基準として、15〜65重量%の範囲で用いられ、また活性エネルギー線硬化性上刷りニス組成物としては、60〜90重量%の範囲で用いられる。
【0049】
30〜80重量%の(メタ)アクリモノマーとして1官能モノマーのフェノキシエチルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノメチロール(メタ)アクリレート等が例示される。さらに2官能モノマーとしてエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、 ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ、、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−オクタンジオールジ(メタ)アクリレートジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、3官能モノマーとしてグリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が例示される。4官能以上のモノマーとしてペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイドヘプタ(メタ)アクリレート等が例示される。
C1〜C18のアルキル基を持ったポリオールの(メタ)アクリレートモノマーとは1官能モノマーとしてアルキル(カーボン数1〜18)(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートがあり、さらにイソボルニル(メタ)アクリレート等が例示される。さらに2官能モノマーとしてとしてプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート(通称マンダ)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、、ビスフェノールAテトラプロピレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリアルキレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラプロピレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリアルキレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSポリアルキレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールAテトラプロピレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールAポリアルキレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFテトラプロピレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFポリアルキレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノーAジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジヒドロキシベンゼン(カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン等)ポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、アルキルジヒドロキシベンゼンポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート等が例示される。3官能モノマーとして、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリカプロラクトネートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタント(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールヘキサントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールヘキサントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストリヒドロキシベンゼン(ピロガロール等)ポリアルキレンオキサイド付加体トリアクリレート等が例示される。4官能以上のモノマーとしてート、、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンポリアルキレンオキサイドテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、オクタ(メタ)アクリレート等が例示される。ジトリメチロールブタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールオクタンテトラ(メタ)アクリレート、等が例示される。
【0050】
さらに脂肪族アルコール化合物のアルキレンオキサイド付加体(メタ)アクリレートモノマー、特にC3〜C20以上のアルキレンオキサイドを持つ脂肪族アルコール化合物のアルキレンオキサイド付加体(メタ)アクリレートモノマーは上記樹脂、植物油またはその脂肪酸エステルに対し溶解性が向上してくる。脂肪族アルコール化合物のアルキレンオキサイド付加体(メタ)アクリレートモノマーとして脂肪族アルコール化合物のモノまたはポリ(1〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、ペンチレンオキサイド、ヘキシレンオキサイド他)モノまたはポリ(1〜10)(メタ)アクリレートがある。さらに2官能モノマーとしてエチレングリコールモノまたはポリ(1〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノまたはポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)ジ(メタ)アクリレート、、1,6ヘキサンジオールポリ(2〜20)アルキレンオキサイド付加体(例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)ジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)ジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)ジ(メタ)アクリレート、1,2−デカンジオールポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)ジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)ジ(メタ)アクリレート、1,2−デカンジオールポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)ジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)ジ(メタ)アクリレート、3官能モノマーとしてグリセリンポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)トリ(メタ)アクリレート例示される。4官能以上のモノマーとしてペンタエリスリトールポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)テトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)テトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンポリ(2〜20)アルキレンオキサイド(例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加体テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンポリ(2〜20)アルキレンオキサイド(例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネート、テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)テトラ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0051】
本発明において使用されている 反応性オリゴマーとしてはアルキッドアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン変性アクリレート等が使用されている
【0052】
本発明で使用されているラジカル重合開始剤としては、光開裂型と水素引き抜き型に大別できる。前者の例としてベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α-アクリルべンゾイン等のベンゾイン系、ベンジル、イルガキュア907(チバスペシャルティケミカルズ社製2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン)、イルガキュア369(チバスペシャルティケミカルズ社製2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン)、イルガキュア651(チバスペシャルティケミカルズ社製ベンジルメチルケタール)、イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ社製1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、ダロキュア1173(メルク社製2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン)、ダロキュア1116(メルク社製1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン)、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、ZLI3331(チバスペシャルティケミカルズ社製4-(2-アクリロイル-オキシエトキシ)フェニル-2-ヒドロキシ-2-プロピルケトン、ジエトキシアセトフェノン、エサキュアーKIP100(ラムベルティ社製)、ルシリンTPO( BASF社製)、BTTB(日本油脂(株)製)、CGI1700( チバスペシャルティケミカルズ社製等が例示される。後者の例としてベンゾフェノン、p-メチルベンゾフェノン、p-クロルベンゾフェノン、テトラクロロベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4' -メチル-ジフェニルサルファイド、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4ジエチルチオキサントン、2,4ジクロロチオキサントン、アセトフェノン等のアリールケトン系開始剤、4,4' -ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4' -ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p-ジメチルアミノアセトフェノン等のジアルキルアミノアリールケトン系開始剤、チオキサントン、キサントン系のおよびそのハロゲン置換系の多環カルボニル系開始剤等が例示される。これらの単独または適宣組み合わせにより用いる事も出来る。これらの開始剤は組成物中に0.1〜30重量%の範囲で用いる事が出来るが、好ましくは1〜15重量%の範囲で用いる事が出来る。
【0053】
本発明で使用されているシリコンオイルなどのシリコーン系添加剤としては、例えばエポキシ変性、カルボキシル変性、アミノ変性、カルビノール変性、アルコール変性、フェノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、異種官能基変性の如き反応性シリコーン;ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、アルキルアラルキル変性、脂肪酸変性、アルコキシ変性、フッ素変性の如き非反応性シリコーン;ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、ジフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーンの如きストレートシリコーンが挙げられる。
【0054】
これらのシリコンオイルの中でも非反応性シリコーン、直鎖状シリコーンが好ましく用いられる。具体例としては、ジメチルシリコーン−ポリオキシアルキレン共重合体である。
【0055】
添加剤としては、例えば、耐摩擦剤、ブロッキング防止剤、スベリ剤、スリキズ防止剤としては、カルナバワックス、木ろう、ラノリン、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの天然ワックス、フィッシャートロプスワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリアミドワックスなどの合成ワックスを使用することができる。
【0056】
本発明で用いる撥液剤を有する活性エネルギー線硬化型下刷りインキの印刷方法はオフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、ロータリーシルクスクリーン印刷、凸版印刷等の印刷方式より任意に選ぶことができ、何れも多色印刷機等の印刷手段で絵柄印刷と撥液剤を有する活性エネルギー線硬化型下刷りインキを一工程で印刷して絵柄を作成することができる。
【0057】
一般に、活性エネルギー線硬化型インキは、常温から100℃の間で、顔料、樹脂ワニスおよび/またはそのゲルワニス、アクリル系モノマーもしくはオリゴマー、ラジカル重合禁止剤、ラジカル重合性開始剤およびまたは増感剤、その他添加剤などの印刷インキ組成物成分を、ニーダー、三本ロール、アトライター、サンドミル、ゲートミキサーなどの練肉、混合、調整機を用いて製造される。
【0058】
活性エネルギー線硬化性上刷りニスは、60℃で加熱溶解、攪拌を行い製造される。
【0059】
本発明で用いる絵柄部分の印刷方法は、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、ロータリーシルクスクリーン印刷、凸版印刷等の印刷方式より任意若しくは組み合わせて選ぶことができ、インキの硬化形態につきては酸化重合、熱風乾燥、熱硬化、活性エネルギー線硬化等の硬化手段を任意若しくは組み合わせて用いることができる。
【0060】
上刷りニス塗工方法としては、アニロックスロールとドクターを有するコーターを用い、一般的にはフレキソコーター、チャンバーコーター方式等が挙げられる
【0061】
本発明で使用するアニロックスロールとは金属シリンダーに凹部(セル)をエンドレスに作り、その凹部のセル容積でインキ転移量をコントロールすることが可能であり、バラツキが少なく精度も高く、低圧でインキ転移が可能である。
【0062】
本発明で使用するアニロックスロールの線数としては、50〜1000l/inchであり、好ましくは、80〜200l/inchの使用が可能である。
【0063】
また、ゴースト、ギヤ目を少なくすることが可能であり、高速運転時にニスの飛びを少なくすることも可能である。
【0064】
本発明で用いるアニロックスロールの材質はセラミックス製、クロムまたはスチール製等が挙げられる。
【0065】
本発明で用いるアニロックスロールのセル形状は、ピラミッド型セル、格子型セル、斜線型セル、ロトフロー・ピラミッド型セル、ロトフロー・格子型セル、亀甲型セルなどが挙げられる。
【0066】
本発明で用いるドクター刀は、ポリエステルやナイロンのようなプラスチックブレードとスチールやステンレスのようなメタルブレード等があげられ0.7〜1.4mm幅の刃先がつけられている。
【0067】
以下、実施例として本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。
【0068】
ロジンフェノール樹脂の合成例(製造例R1)
(レゾール型フェノール樹脂の合成)
攪拌機、還流冷却器、温度計付4つ口フラスコにp−オクチルフェノール100部、P−ブチルフェノール75部、37%ホルマリン203部、キシレン250部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら加熱攪拌し、50℃で水酸カルシウム2.0部を水10部に分散させて、その分散液を添加し95℃に昇温し、同温度で3.5時間反応させた。その後、冷却し、硫酸で中和、水洗した。レゾールキシレン溶液層と水層を静置分離した。このレゾール型フェノール樹脂をレゾ−ル液とする。
(ロジンフェノ−ル樹脂の合成)
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、温度計付4つ口フラスコに窒素ガスを吹き込みながら、ロジン120部を仕込み、加熱攪拌し、200℃でレゾール液80部(80部は固形分換算)を滴下しながら約2時間かけて仕込み、その間水とキシレンを回収しながら反応させ、仕込み終了後、昇温し250℃でグリセリン6.0部、p−トルエンスルフォン酸0.6部を仕込み12時間反応させ、酸価が20以下になったので汲み出した。
本樹脂の重量平均分子量は4.5万、軟化点160℃であった。(製造例樹脂R2)
注)*ロジンと反応するレゾ−ル液は固形分の重量部を示す。
*重量平均分子量は東ソー(株)製ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(HLC8020)で検量線用標準サンプルはポリスチレンで測定した。
【0069】
(アルキッド樹脂の合成例)
製造例樹脂R2
攪拌機付き、水分離管付き、温度計付き四つ口フラスコに安息香酸68部、不均化ロジン340部、トリメチロールプロパン278部、キシレン50部を仕込み、窒素気流下で徐々に昇温し250℃4時間で反応させ酸価が5以下になったところで、180℃に冷却し、無水フタル酸315部を仕込み、その後徐々に昇温し230℃で10時間反応させ、酸価が20になり同温度で減圧脱溶媒後汲み出した。樹脂R2(ゲルパーミエイションクロマトグラフィ測定によるポリスチレン換算で重量平均分子量5.7万、軟化点95℃)を得た。(製造例樹脂R2)

【0070】
(樹脂ワニスの実施例)
実施例ワニスV1:
印刷インキ用樹脂ワニスとするには、攪拌機付き、水分離冷却管付き、温度計付き四つ口に製造例樹脂R1を50部、大豆白絞油30部、BHT(ブチル−ヒドロキシトルエン)0.1部、AF6(新日本石油化学(株)製アロマーフリー溶剤)19.4部、ALCH(川研ファインケミカル(株)製ゲル化剤)0.5部を仕込み、窒素気流下で190℃で30分〜1時間で溶解し、サンプリングを行いB型粘度計で粘度を測定したところ、150Pa ・s /25℃であった。(実施例ワニスV1)
【0071】
実施例ワニスV2:
攪拌機付き、水分離冷却管付き、温度計付き四つ口に製造例樹脂R2を25部、NP130(新日本石油化学(株)製石油樹脂)10部、大豆白絞油10部を仕込み窒素気流下で180℃30分〜1時間溶解させ、その後100℃にしハイドロキノン0.1部、ネオペンチルグリコールジプロピレンオキシドジアクリレート24.9部、ノニルアルコール
モノアクリレート30部を仕込み、空気気流下で100℃で30分〜1時間で溶解し、サンプリングを行いB型粘度計で粘度を測定したところ、150Pa ・s /25℃であった。(実施例ワニスV2)
【0072】
実施例ワニスV3:
攪拌機付き、水分離冷却管付き、温度計付き四つ口にダップトート
DT170(東都化成(株)製ジアリルフタレート樹脂30部、ハイドロキノン0.1部、ネオペンチルグリコールジプロピレンオキシドジアクリレート34.9部、ノニルアルコールモノアクリレート30部、を仕込み、空気気流下で100℃で30分〜1時間で溶解し、サンプリングを行いB型粘度計で粘度を測定したところ、150Pa ・s /25℃であった。(実施例ワニスV3)
【0073】
比較例ワニス
比較例ワニスV4は実施例ワニスV2と同様の手順、比較例ワニスV5は実施例ワニスV3と同様の手順で表1に示す処方で作製した。
以下実施例ワニスV1〜V3、比較例ワニスV4〜V5を表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
硬化性インキ(インキ1)の実施例
炭酸カルシウム20部、実施例ワニスV1を50部、大豆白絞油20部、AF6を9部、ナフテン酸マンガンドライヤー1部、BHT0.1部仕込み、三本ロ−ルミルで常法により製造した。タック値10、フロー値18.0であった。
以下表2に示した処方で実施例インキ2〜4、比較例インキ5〜7を製造した。尚、インキ1は酸化重合製インキ、インキ2〜3、5〜6は紫外線硬化性インキ、インキ4、7は電子線硬化性インキの例である。
さらにインキ2、5はハイブリッドインキ(油性インキと、活性エネルギー線硬化性インキの特徴を併せ持つ)である。硬化性インキの実施例、比較例を表2に示す。
【0076】
【表2】

【0077】
−紫外線照射の場合−
OKトップコート紙(王子製紙(株)製コート紙)にRIテスター(明製作所(株)製簡易印刷機)を使用し、インキ盛り0.3ccで各インキを展色刷りした後、紫外線照射を行った後硬化性を試験した。紫外線照射は、USHIO(株)製照射装置UVC−2535(120W/cm高圧水銀ランプ3灯)を使用した。
−電子線照射の場合−
紫外線照射の場合と同条件で電子線硬化性ニスを塗工後、直ちに電子線照射硬化性を試験したした。電子線照射については、岩崎電気(株)超低電圧電子線照射装置EZ−V{加速電圧50〜70KV、処理能力3000KGy・m/min(at70KV)酸素濃度500ppm の窒素置換した雰囲気}を用いた。

【0078】
以上の結果を表2にまとめて示した。
・ 硬化性:活性エネルギー線硬化性下刷りインキを上記印刷物を上記コンベヤスピード100(m/m)条件で硬化させた時の指触乾燥試験の状態を表示した。
同様に酸化重合性下刷りインキを印刷後放置しタックフリーになった時間を表した。
【0079】
*紫外線硬化性上刷りニス組成:
オリゴマーは荒川化学製ビームセット550 10部
アロニックスM−350(東亜合成(株)製モノマー) 75部
イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製開始剤 14部
SH28PA(トーレダウコニング(株)製シリコン系添加剤) 1部

*電子線硬化性上刷りニス組成:
オリゴマーは荒川化学製ビームセット550 10部
アロニックスM−350(東亜合成(株)製モノマー) 89部
SH28PA(トーレダウコニング(株)製シリコン系添加剤) 1部

【0080】
印刷機として、インラインコーター(チャンバーコーター)付き枚葉印刷機、またインラインコーター(ロールコーター)付き枚葉印刷機を用いて、OKトップコート紙に1胴から4胴を用いて東洋インキ製造(株)製酸化重合型インキについてはTKハイユニティ墨、藍、紅、黄、活性エネルギー線硬化性インキについては東洋インキ製造(株)製FDカルトンACE墨、藍、紅、黄にて絵柄を印刷し、5胴にて上記処方表2からなる活性エネルギー線硬化性下刷りインキを任意の部分にオフセットスポットコート印刷を施し、更にインラインコーターにて上記の処方のからなるインラインコーター用紫外線硬化性上刷りニス上刷りニスまたは電子線硬化性上刷りニスを全面塗工した。直ちに前者は上記紫外線硬化性照射装置、後者は電子線硬化性装置で100m/mのコンベヤースピードで照射した。その後印刷物を1日放置すると活性エネルギー線硬化性下刷りインキを任意の部分にオフセットスポットコートした部分はちりめんじわ状の光沢の劣化した部分が出来た。また活性エネルギー線硬化性下刷りインキを任意の部分にオフセットスポットコートしない部分はちりめんじわがなく高光沢で、印刷部全体ではちりめんじわ状の光沢劣化の部分と高光沢の部分があり、意匠性、高級感の印刷物が得られた。実施例下刷りインキは活性エネルギー線硬化性インキについては開始剤を減量した1〜2官能モノマーを使用することにより硬化しにくくし、さらに体質顔料を使用し、ちりめんじわが出来、光沢を劣化させたものと考える。他方比較例インキは開始剤を一般的使用量にし、4官能モノマーを使用し、体質顔料を使用しないことにより硬化性を十分にした為光沢劣化は生じない。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化重合性または活性エネルギー線硬化性下刷りインキを印刷後、硬化処理を行なわず直ちに活性エネルギー線硬化性上刷りニスを塗工し、次いで活性エネルギー線を照射することによりちりめんじわ状の皮膜を形成させることを特徴とする印刷方法。
【請求項2】
アニロックスロールを有するコーターを用いて活性エネルギー線硬化性上刷りニスを塗工することを特徴とする請求項1記載の印刷方法。
【請求項3】
活性エネルギー線硬化性下刷りインキをスポットコートで印刷し、その後活性エネルギー線硬化性上刷りニスを塗工し、同一印刷物にちりめんじわと高光沢感の落差を利用し高級感を出すことを特徴とする請求項1または2記載の印刷方法。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか記載の印刷方法を用いて得られる印刷物。





















【公開番号】特開2007−45104(P2007−45104A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234310(P2005−234310)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】