説明

活性保持性が向上されたコバルト触媒

本発明は、触媒金属、好ましくはコバルト、レニウム、またはそれらの混合物を含む触媒を提供する。触媒金属は、主要量のチタニア、およびアナターゼ型チタニアから誘導された少量のアルミン酸コバルトを含む担体上に担持される。担体はまた、チタンキレートから誘導された少量のチタニアを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コバルトを、チタニアおよびアルミン酸コバルト担体上に担持して含む触媒に関する。また、本発明は、これらの触媒の活性保持性の向上方法、および炭化水素合成におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
コバルトを、シリカまたはアルミナなどの担体上に含む触媒は、アルデヒドおよびニトリルの水素添加などの水素添加反応で有用であることが知られる。その触媒は、また、フィッシャー−トロプシュ法による炭化水素合成で用いられる。
【0003】
助触金属(レニウム、ジルコニウム、マンガンなど)は、通例、コバルトと共に用いられて、触媒性能の種々の側面が向上される。
【0004】
フィッシャー−トロプシュ炭化水素合成法の場合、特にスラリーバブルカラム反応器で行なわれる場合に、好ましい触媒は、コバルトを、チタニア担体上に担持して含む。一般に、これらの触媒中のチタニアは、ルチル型である。
【0005】
(特許文献1)(本明細書にその全体が援用される)においては、主にチタニア(そのアナターゼ型からそのルチル型へ転化されている)、および少量の結合剤(アルミン酸コバルトを含む)を含む向上された触媒担体が開示される。アルミン酸コバルトは、チタニア担体をアルミナ結合剤で形成し、その後アルミナ結合剤を、少なくとも一部分の(好ましくは実質的に全ての)アルミナが、アルミン酸コバルトへ転化されるのに十分な量のコバルト化合物と反応させることによって、ルチル型チタニア担体に組込まれる。典型的には、少量のチタン酸コバルトが、さらに形成される。便宜上、この担体は、ここでは「チタネート担体」と呼ばれる。コバルト、レニウム、またはそれらの混合物を「チタネート担体」上に含む触媒は、フィッシャー−トロプシュ法で、より高級な炭化水素を製造するための向上された選択性を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0204506A1号明細書
【特許文献2】米国特許第5,140,050号明細書
【特許文献3】欧州特許第0,266,898号明細書
【特許文献4】米国特許第5,856,260号明細書
【特許文献5】米国特許第5,856,261号明細書
【特許文献6】米国特許第5,863,856号明細書
【特許文献7】米国特許第5,348,982号明細書
【特許文献8】米国特許第6,117,814号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで、コバルトを「チタネート担体」上に含む触媒の活性保持性が、チタンキレートから誘導された少量のTiOを触媒中に組込むことによって向上されることが発見された。チタンキレートから誘導されたTiOは、触媒金属が「チタネート担体」上に充填される前に、または触媒金属が「チタネート担体」上に充填される際に、触媒中に組込まれてもよい。
【0008】
したがって、本発明の一実施形態においては、触媒金属、好ましくはコバルト、レニウム、またはそれらの混合物;主要量のチタニア、およびアナターゼ型チタニアから誘導された少量のアルミン酸コバルトを含む触媒担体;およびチタンキレートから誘導された少量のチタニアを含む触媒が提供される。
【0009】
本発明の一実施形態においては、コバルト含有触媒前駆体を、主要量のチタニアおよび少量のアルミン酸コバルトを含む担体上に作製するための方法が提供され、本方法は、
(a)担体をチタンキレートで処理し、そのように処理された担体を温度約250℃超で焼成し、それによりTiOが、チタンキレートから形成され、次いで焼成された担体にコバルト化合物を充填する工程、または
(b)担体を、チタンキレートおよびコバルト化合物で同時に処理し、次いでそのように処理された担体を温度約250℃超で焼成する工程
の一つを含む。
【0010】
本発明のこれらの実施形態および他の実施形態は、次の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の触媒の担体は、主要量のチタニア、および少量のアルミン酸コバルト結合剤を含む。任意に、担体は、酸化ケイ素またはアルミナ結合剤を含んでもよい。しかし、好ましくは担体は、実質的にアルミナを含まない。一般に、担体は、少なくとも50wt%のチタニア、好ましくは80wt%〜90wt%のチタニアを含むであろう。好ましくは、チタニアの60〜98wt%は、ルチル型結晶質相である。結合剤中のアルミン酸コバルトの量は、担体を形成する際に用いられるコバルトおよびアルミニウム化合物の量による。コバルト/アルミニウムの原子比0.25超、好ましくは0.5〜2、より好ましくは約1をもたらすのに十分なコバルトが担体中に存在するといえば十分である。したがって、Co/Al比0.25では、約半分の酸化アルミニウムが、アルミン酸コバルトとして存在する。Co/Al比0.5では、存在する実質的に全てのアルミナ酸化物が、アルミン酸コバルトとして存在する。Co/Al比0.5超では、担体は、アルミン酸コバルトの他に、チタン酸コバルトを含み、本質的にアルミナを含まないであろう。好ましくは、担体は、例えば、担体の全重量の約4〜12wt%のチタン酸コバルトを含むであろう。
【0012】
前述されるように、結合剤にはまた、アルミナおよび任意のシリカが含まれてもよい。一般に、結合剤は、担体の約30wt%未満、好ましくは担体の約15wt%未満である。典型的には、結合剤は、担体の約3wt%超である。シリカの量は、結合剤の全量の50wt%未満、好ましくは結合剤の35wt%である。
【0013】
典型的には、担体は、約5m/g〜約40m/g、好ましくは10m/g〜30m/gの範囲の表面積を有するであろう。細孔容積は、約0.2cc/g〜約0.5cc/g、好ましくは0.3cc/g〜0.4cc/gの範囲である。
【0014】
担体は、典型的には、チタニア、アルミナ結合剤物質、および任意のシリカ結合剤物質の適切な水性スラリーを、出口温度約105℃〜135℃の加熱空気でパージされた室中に噴霧乾燥することによって形成される。噴霧乾燥手順により、サイズ範囲約20〜120ミクロンの球状担体がもたらされる。この噴霧乾燥された担体は、次いで、400℃〜800℃の範囲の温度、好ましくは約700℃で焼成される。次に、焼成された物質には、焼成時に、少なくとも一部分のアルミナをアルミン酸コバルトへ転化するのに十分な量のコバルト化合物(好ましくは硝酸コバルト)の水溶液が含浸される。好ましくは、アルミナの50%〜99%をアルミン酸コバルトへ転化するのに十分なコバルト化合物が用いられる。したがって、担体の調製中に添加されるコバルト化合物の量は、0.25:1〜2:1、好ましくは0.5:1〜1:1の範囲のCo:Al原子比に対応するであろう。実際には、製造された担体は、実質的にアルミナを含まないことが、特に好ましい。
【0015】
コバルト含浸担体の焼成は、典型的には、空気中約700℃〜約1000℃、好ましくは約800℃〜約900℃の範囲の温度で行われる。
【0016】
本発明の一実施形態においては、担体は、少量のTiOが、チタンキレートの焼成時に担体と組込まれるのに十分な水溶性チタンキレートを用いて処理される。有用なチタンキレートは、炭素原子2〜約10個を有する一種以上の線状または分枝有機カルボン酸からのものを含む。好ましいキレートは、乳酸チタンである。
【0017】
乳酸チタンは、二種の形態で調製されてもよい水溶性塩である。すなわち、一つは、単一の乳酸塩配位子を有し、他方は、二つの乳酸塩配位子を有する。いずれの形態も、本発明で有用である。
【0018】
好都合には、「チタネート担体」は、乳酸チタンを用いて、担体に乳酸チタンの水溶液を含浸し、その後含浸された担体を、空気中約250℃超、好ましくは約250〜約500℃の範囲の温度で、乳酸チタンがTiOへ転化するのに十分な時間焼成することによって処理されてもよい。一般に、焼成は、約30分〜約24時間行われるであろう。
【0019】
乳酸チタンから誘導されたTiOの担体上への充填量は、重要ではないと思われる。TiOレベル0.3〜1.0wt%が添加された触媒は、活性保持性について、類似の有益な効果を有する。乳酸チタンの焼成後に、TiO約0.5wt%のレベルが、好ましい。
【0020】
フィッシャー−トロプシュ触媒前駆体をこの担体から調製する場合には、フィッシャー−トロプシュ合成に触媒活性のある金属が、担体と複合化される。好ましい金属は、元素周期律表の第VIII族からのものである。特に、鉄、コバルト、およびルテニウムであり、コバルトおよびルテニウムが好ましく、コバルトが最も好ましい。ジルコニウム、チタン、レニウム、ハフニウム、セリウム、トリウム、およびウラン、ならびに当業者に周知の他の助触媒などの助触媒もまた、用いられてもよい。金属は、フィッシャー−トロプシュ合成に触媒活性のある量で存在し、これは、選択される金属によって異なるであろう。例えば、ルテニウムは、この環境においてはコバルトよりずっと活性であり、結果として、約0.5〜3.0wt%の範囲の量で用いられ、一方コバルトは、好ましくは約2〜40wt%、より好ましくは5〜30wt%、さらにより好ましくは10〜25wt%の量で用いられるであろう。
【0021】
助触媒が用いられる場合には、それらは、活性触媒金属より少ない量で用いられる。例えば、活性金属を基準として、重量比約1/20〜1/10である。最も好ましい触媒は、コバルトおよびレニウム、コバルトおよびルテニウム、ならびにコバルトおよびトリアを含むものである。特には、コバルトおよびレニウムである。
【0022】
触媒は、当業者に周知の種々の技術によって調製されることができる。これには、含浸(助触媒との共含浸または連続的含浸のいずれか−いずれも、噴霧乾燥または初期湿潤技術による)が含まれる。固定床フィッシャー−トロプシュ法に好ましい触媒は、触媒金属が触媒粒子の外側部分中(すなわち、深さ250ミクロン以下、好ましくは深さ200ミクロン以下の層中)に存在するものであることから、触媒を調製する好ましい方法は、(特許文献2)(参照により本明細書に援用される)、または(特許文献3)(参照により本明細書に援用される)に記載される噴霧方法である。スラリーフィッシャー−トロプシュ法については、触媒は、好ましくは、噴霧乾燥された担体の初期湿潤含浸によって作製される。初期湿潤含浸技術を用いる場合には、有機含浸助剤が、任意に用いられる。これらの助剤は、(特許文献4)、(特許文献5)、および(特許文献6)に記載される。それらは全て、参照により本明細書に援用される。
【0023】
したがって、担体は、触媒金属化合物の溶液を用いて処理され、次いで焼成されてもよい。典型的には、焼成は、空気中約250℃超、好ましくは約250℃〜約500℃の範囲の温度であろう。
【0024】
コバルトおよびレニウムを含むフィッシャー−トロプシュ触媒について、好ましい場合においては、担体は、硝酸コバルトおよび過レニウム酸の溶液を、Re:Coの重量比約0.005:1〜約0.2:1の範囲で用いて処理される。
【0025】
本発明の別の好ましい実施形態においては、「チタネート担体」は、乳酸チタンをまた含む触媒金属化合物の溶液を用いて処理され、その後、そのように処理された担体が、空気中約250℃超の温度で焼成される。
【0026】
触媒前駆体は、触媒を提供するのに、前駆体を還元剤(典型的には水素)と、約250℃〜約550℃、好ましくは約275℃〜約425℃の範囲の温度、大気圧〜約40気圧の圧力で、約0.5時間〜約24時間の範囲の時間接触させることによって活性化される。
【0027】
本発明にしたがって調製された触媒は、フィッシャー−トロプシュ合成法による炭化水素合成で用いるのに、特に適切である。
【0028】
フィッシャー−トロプシュ合成は、周知の方法であり、その反応条件は、入手可能な文献に記載されている。例えば、温度は、約175℃〜約400℃、好ましくは約180℃〜250℃の範囲であってよく、一方圧力は、約1〜100バール、好ましくは約15〜40バールの範囲であってよい。水素/CO比は、0.5/1〜約4/1、好ましくは約1.7/1〜2.5/1の範囲であってよく、化学量論量±約3%が最も好ましい。本発明の担体から作製された触媒は、好ましくは、スラリーで用いられる。例えば、ガス空間速度が約1,000〜25,000の範囲であってよいスラリーバブルカラムである。好ましいスラリーバブルカラムの運転は、(特許文献7)(参照により本明細書に援用される)に記載される。本発明の方法によって製造された生成物は、一般に、シュルツ−フローリ分布にしたがう。但し、メタンの収率は、通常、この分布から予想されるより高い。これは、メタンが、明らかに、さらなるメカニズムによって製造されることを示す。
【0029】
上記される方法において製造される炭化水素は、典型的には、C炭化水素の全てまたは一部分を、分留および/または転化に付すことによって、より価値のある生成物へ品質向上される。「転化」とは、炭化水素の少なくとも一部分の分子構造が変化される一種以上の運転を意味する。これには、非接触処理(例えばスチーム分解)および接触処理(例えば、部分または留分が適切な触媒と接触される接触分解)が含まれる。水素が反応体として存在する場合には、これらのプロセス工程は、典型的には、水素転化、別様には水素異性化、水素化分解、水素化脱ロウ、水素化精製などと呼ばれる。より過酷な水素化精製は、典型的には水素化と呼ばれる。これらの反応は、炭化水素原料(パラフィンリッチの炭化水素原料を含む)の水素転化に関する文献に、十分詳細に記録された条件下に行われる。これらの方法によるこれらの原料からのより価値のある生成物について、例示であるが限定しない例には、合成原油、液体燃料、エマルジョン、精製オレフィン、溶剤、モノマーまたはポリマー、潤滑油、医薬油、ワックス質炭化水素、種々の窒素または酸素含有生成物などが含まれる。液体燃料の例には、ガソリン、ディーゼル燃料、およびジェット燃料が含まれ、一方潤滑油には、自動車油、ジェット油、タービン油などが含まれる。工業油には、坑井掘削流体、農業油、伝熱油などが含まれる。
【0030】
本発明を実施するに際して、種々の他の実施形態および変更は、上記される本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろうこと、および当業者によって容易になされることができることが理解される。したがって、本明細書に添付される特許請求の範囲は、上述される正確な記載に限定されるものではなく、むしろ特許請求の範囲は、本発明に存在する特許可能な新規性の特徴の全てを含むものとして解釈される。これには、本発明が関連する当業者によって、その均等物として扱われるであろう全ての特徴および実施形態が含まれる。本発明は、さらに、次の実施例で説明される。
【実施例】
【0031】
A.モノ乳酸チタンの調製
チタンイソプロポキシド293g部を、乳酸110gおよびイソプロパノール200gの撹拌溶液へ添加し、続いて脱イオン水350gを添加した。混合物を、緩やかに加熱して、イソプロパノールが留去され、最終重量480gが得られた。この混合物を、0.2ミクロンのアンテク(antek)フィルターを通してろ過して、非常に少量の固形物が除去された。ろ液348g部を、脱イオン水620gで希釈して、乳酸チタン原液が製造された。溶液中のチタン濃度は、水酸化ナトリウムを少量部添加し、沈殿物をろ過によって回収することによって決定された。沈殿物を乾燥し、700℃で焼成し、秤量した。この分析結果は、乳酸チタン原液が、TiO8.15wt%当量を含んだことを示した。
【0032】
B.触媒の調製
一連の触媒を、(特許文献8)にしたがって、Degussa P−25 TiOを、アルミナ/シリカの重量比9:1からなる結合剤6wt%と共に噴霧乾燥することによって調製された担体から出発して調製した。表1に列記される触媒A〜Dについては、担体を、「チタネート担体」型へ、(a)噴霧乾燥された担体を700℃で焼成し、(b)担体に、約6wt%のCoを、硝酸コバルト水溶液を用いて含浸し、(c)含浸された担体を、400℃で焼成し、(d)871℃で再焼成して、実質的に全てのアルミナ結合剤をアルミン酸コバルトへ転化することによって転化した。触媒EおよびFについては、担体を、コバルトで処理せず、単に1000℃で焼成した。
【0033】
触媒は、触媒Eを除く全ての触媒について、硝酸コバルト(Co 15wt%)および過レニウム酸の水溶液(Re:Coの重量比=0.09:1.0)による初期湿潤含浸水によって作製された。触媒Eは、過レニウム酸アンモニウムを用いた。含浸後、触媒は、250℃で焼成された。触媒A、B、およびFについては、含浸溶液はまた、乳酸チタン原液を含んだ。触媒Aの含浸溶液はまた、マロン酸を、マロン酸:コバルトのモル比0.3:1.0で含んだ。
【0034】
二重の含浸および焼成を、表1に示される最終充填量を得るように適用した。
【0035】
【表1】

【0036】
C.活性保持性の決定
表1の触媒を、固定床装置で長期運転して試験し、活性保持性が決定された。石英で希釈された触媒約1.3ccの充填物を、375℃、280psigで、1時間水素還元した。低温で開始した後、CO転化率約60〜70%を、215℃、280psig、GHSV約7200ccガス(標準条件)/触媒cc/時間で、H約64%、CO31%、Ar3%およびN2%を含む原料からもたらす条件を確立した。CO転化率を、内部標準としてNを用いて、GCによって測定した。活性速度定数Kを、CO転化率、ガス組成、温度、圧力、およびGHSVに基づいて、経験的な所有の動力学モデルを用いて計算した。一次失活速度(ΔlnK/日から計算された半減期)は、運転の最後までの10日間から得られた速度データに基づいた。結果を、表2に要約する。半減期データから、本発明の触媒AおよびBは、実質的に、他の触媒より安定であることが明らかである。この利点は、乳酸チタンから誘導された少量のTiOを「チタネート」型の担体へ添加することによって得られている。実施例Fは、比較例Eに比較して、ベースケースのルチル型TiO−Al−SiO担体へ乳酸チタンを添加する利点を全く示さない。
【0037】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)主要量のチタニア、(B)アルミン酸コバルトを含み、その際、Co/Al原子比は0.25超である少量の結合剤、および(C)チタンキレートから誘導された少量のTiOを含むことを特徴とする触媒担体組成物。
【請求項2】
前記チタンキレートは、炭素原子2〜10個を有する一種以上の線形または分枝有機カルボン酸のチタンキレートであることを特徴とする請求項1に記載の触媒担体組成物。
【請求項3】
前記Co/Al原子比は、0.5超であることを特徴とする請求項2に記載の触媒担体組成物。
【請求項4】
前記チタンキレートは、乳酸チタンであることを特徴とする請求項3に記載の触媒担体組成物。
【請求項5】
乳酸チタンから誘導された前記TiOは、担体の全重量を基準として、0.3wt%〜1wt%の範囲の量で存在することを特徴とする請求項4に記載の触媒担体組成物。
【請求項6】
前記結合剤は、担体の3wt%〜15wt%を構成することを特徴とする請求項5に記載の触媒担体組成物。
【請求項7】
前記結合剤は、0wt%〜35wt%のシリカを含むことを特徴とする請求項6に記載の触媒担体組成物。
【請求項8】
(イ)主にチタニア、および少量のアルミナ、ならびに任意の少量のシリカを含む物質を噴霧乾燥して、噴霧乾燥生成物を形成する工程、
(ロ)コバルト化合物を、噴霧乾燥生成物中に組込んで、コバルト含有物質を形成する工程であって、コバルト化合物は、少なくとも一部分のアルミナが、焼成時にアルミン酸コバルトへ転化されるのに十分な量で組込まれる工程、
(ハ)コバルト含有物質を、空気中700℃〜1000℃で焼成する工程、
(ニ)焼成されたコバルト物質を、十分量のチタンキレートで処理して、そのように処理された物質の焼成時に、少量のTiOが提供される工程、および
(ホ)処理された物質を、空気中250℃超で焼成して、キレートがTiOへ転化される工程
を含むことを特徴とする触媒担体の調製方法。
【請求項9】
コバルト含有触媒前駆体を、主要量のチタニアおよび少量のアルミン酸コバルトを含む担体上に作製するための方法であって、
(a)担体をチタンキレートで処理し、そのように処理された担体を温度250℃超で焼成し、それによりTiOが、チタンキレートから形成され、次いで焼成された担体にコバルト化合物を充填する工程、または
(b)担体を、チタンキレートおよびコバルト化合物で同時に処理し、次いでそのように処理された担体を温度250℃超で焼成する工程
の一つを含むことを特徴とするコバルト含有触媒前駆体の作製方法。
【請求項10】
前記チタンキレートは、炭素原子2〜10個を有する一種以上の線形または分枝有機カルボン酸のキレートであることを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
組込まれるコバルトの量は、0.25:1〜2:1のCo/Al原子比を提供するのに十分であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記チタンキレートは、乳酸チタンであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
乳酸チタンの量は、焼成時に、担体の全重量を基準として0.3wt%〜1wt%のTiOを提供するのに十分であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
触媒活性金属または触媒活性金属の混合物、および請求項1〜7のいずれか一項に記載の担体を含み、その際、前記金属は、コバルト、レニウム、およびそれらの混合物から本質的になる群から選択されることを特徴とする触媒。
【請求項15】
フィッシャー−トロプシュ反応条件で、請求項9〜14のいずれか一項にしたがって作製された前駆体を還元することによって調製された触媒の存在下に合成ガスを反応させる工程を含むことを特徴とする活性保持性が向上されたフィッシャー−トロプシュ合成法。
【請求項16】
主要量のチタニアおよび少量のアルミン酸コバルトを含み、その際、Co/Al原子比は、0.25超である触媒担体、ならびに
触媒の全重量を基準として、レニウムにより助触されたコバルトの2〜40wt%、および担体の重量を基準として、乳酸チタンから誘導されたTiOの0.3wt%〜1.0wt%を含む触媒活性金属
を含むことを特徴とするフィッシャー−トロプシュ法による炭化水素合成における触媒の使用方法。

【公表番号】特表2011−502038(P2011−502038A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531042(P2010−531042)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/012088
【国際公開番号】WO2009/055013
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】