活性汚泥処理方法および活性汚泥処理装置
【課題】 汚泥含有生物処理水を十分に固液分離し得る活性汚泥処理方法を提供することにある。
【解決手段】 活性汚泥及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る活性汚泥処理方法であって、
前記汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)を10,000mg/L以上にしつつ、前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)を0.2kgBOD/kgSS/d以下にすることを特徴とする活性汚泥処理方法を提供する。
【解決手段】 活性汚泥及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る活性汚泥処理方法であって、
前記汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)を10,000mg/L以上にしつつ、前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)を0.2kgBOD/kgSS/d以下にすることを特徴とする活性汚泥処理方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性汚泥処理方法および活性汚泥処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、活性汚泥処理方法では、活性汚泥及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を生物処理槽内で得、該汚泥含有生物処理水から、固液分離により、活性汚泥の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ない固液分離処理水を固液分離槽内で生成している。
【0003】
ところで、斯かる活性汚泥処理方法では、通常、十分に汚泥含有生物処理水の固液分離性を高めるという観点(固液分離性の指標である活性汚泥沈降率(SV30)は、汚泥体積指標(SVI)に活性汚泥の濃度(MLSS濃度)を掛けたものであり、斯かる関係式から、MLSS濃度を低下させるとSV30も低下させることができると考えられる。)から前記汚泥含有生物処理水のMLSS濃度を8,000mg/L以下にしつつ、処理スペース効率の観点から前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)を通常0.2kgBOD/kgSS/dよりも大きく0.4kgBOD/kgSS/d以下に設定している(例えば、非特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】下水道施設計画・設計指針と解説 後編 2001年版,社団法人日本下水道協会,p82-83
【非特許文献2】水処理工学−理論と応用−,井出哲夫編著,p25,技宝堂出版(株),1976年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の活性汚泥処理方法では、汚泥含有生物処理水を十分に固液分離することができず、固液分離処理水を十分に得ることができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、汚泥含有生物処理水を十分に固液分離し得る活性汚泥処理方法および活性汚泥処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが鋭意研究したところ、汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)を所定範囲内にしつつ、活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)を所定範囲内にすることにより、汚泥含有生物処理水を十分に固液分離することができることを見出し、本発明の完成を想到するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、活性汚泥及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る活性汚泥処理方法であって、
前記汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)を10,000mg/L以上にしつつ、前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)を0.2kgBOD/kgSS/d以下にすることを特徴とする活性汚泥処理方法にある。
【0009】
また、本発明に係る活性汚泥処理方法においては、好ましくは、前記活性汚泥として、担体により凝集されたものを用いる。
【0010】
また、本発明は、活性汚泥及び廃水が混合されて混合水が生成され、該混合水が生物処理されて汚泥含有生物処理水が得られるように構成されてなる活性汚泥処理装置であって、
前記汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)が10,000mg/L以上となるようにしつつ、前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)が0.2kgBOD/kgSS/d以下となるように構成されてなることを特徴とする活性汚泥処理装置にある。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、汚泥含有生物処理水を十分に固液分離し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態に係る活性汚泥処理装置の概略図。
【図2】図1のAA矢視断面図。
【図3】一実施形態に係る活性汚泥処理装置の概略図。
【図4】一実施形態に係る活性汚泥処理装置の概略図。
【図5】一実施形態に係る活性汚泥処理装置の概略図。
【図6】一実施形態に係る活性汚泥処理装置の概略図。
【図7】一実施形態に係る生物凝集槽の概略図。
【図8】一実施形態に係る生物凝集槽の概略図。
【図9】一実施形態に係る生物凝集槽の概略図。
【図10】試験例1で実施した混合水の生物処理におけるMLSS濃度とBOD汚泥負荷との組み合わせ。
【図11】試験例2で実施した混合水の生物処理におけるMLSS濃度とBOD汚泥負荷との組み合わせ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
【0014】
まず、本実施形態に係る活性汚泥処理装置について説明する。
【0015】
本実施形態の活性汚泥処理装置は、活性汚泥及び廃水が混合されて混合水が生成され、該混合水が生物処理されて汚泥含有生物処理水が得られるように構成されてなる。
【0016】
前記廃水としては、生物分解することができる有機物等を含有する廃水であれば、特に限定されるものではないが、例えば、生活廃水や、食品工場、化学工場、電子産業工場、パルプ工場等の工場の廃水等が挙げられる。
【0017】
前記生物処理としては、具体的には、活性汚泥処理等を挙げることができる。
活性汚泥処理は、細菌、原生動物、後生動物等の生物種を有する活性汚泥と、有機物を含む廃水とを曝気しながら混合して、該有機物を前記生物種で分解する処理である。
【0018】
本実施形態の活性汚泥処理装置は、具体的には、図1に示すように、活性汚泥及び廃水Aを混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る生物処理部2と、該汚泥含有生物処理水から、固液分離により、活性汚泥の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ない固液分離処理水と活性汚泥が前記汚泥含有生物処理水よりも濃縮された汚泥濃縮水Cとを生成する固液分離部3とを備えてなる。
【0019】
また、本実施形態の活性汚泥処理装置1は、前記生物処理部2で得られた汚泥含有生物処理水が固液分離部3に、前記固液分離部3で得られた固液分離処理水が浄化水Bとして浄化水貯留部(図示せず)に、前記汚泥濃縮水Cが汚泥濃縮水貯留部(図示せず)及び/又は混合水の一部として生物処理部2に移送されるように構成されてなる。
具体的には、本実施形態の活性汚泥処理装置1は、図1に示すように、汚泥含有生物処理水を移送する汚泥含有生物処理水移送経路4aと、浄化水Bを移送する浄化水移送経路4bと、汚泥濃縮水Cを移送する汚泥濃縮水移送経路4cとを備えてなる。
【0020】
前記生物処理部2は、図2に示すように、生成した汚泥含有生物処理水を貯留する汚泥含有生物処理水貯留槽21と、該汚泥含有生物処理水貯留槽21内を曝気する生物処理曝気手段23とを備えてなる。
【0021】
また、前記生物処理部2は、必要に応じて、活性汚泥を生物的に凝集させて凝集汚泥体を生成する生物凝集手段を備えてなる。具体的には、前記生物処理部2は、活性汚泥を凝集させる担体22を備えてなる。より具体的には、前記生物処理部2は、担体22により活性汚泥を凝集させ、前記担体22から凝集した活性汚泥(凝集汚泥体)を分離するように構成されてなる。さらに、前記生物処理部2は、凝集した活性汚泥(凝集汚泥体)及び廃水Aを混合して混合水を生成するように構成されてなる。
【0022】
前記担体22は、前記活性汚泥が付着される付着体22aと該付着体22aを支持する支持部22bとを備えてなる。また、前記担体22は、前記生物処理曝気手段23による曝気によって生じる水流で前記付着体22aが揺動するように構成されてなる。
【0023】
前記付着体22aは、糸状に形成されてなる。
前記付着体22aを構成する材料は、前記活性汚泥が付着しやすいものであれば特に限定されるものではないが、該材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリエチレン、炭素繊維等が挙げられる。
【0024】
前記支持部22bを構成する材料は、該付着体22aを支持するものであれば特に限定されるものではないが、該材料としては、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン等が挙げられる。
【0025】
本実施形態の活性汚泥処理装置1は、前記汚泥含有生物処理水中に浮遊する活性汚泥の濃度(MLSS濃度)が10,000mg/L以上で、前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)が0.2kgBOD/kgSS/d以下に設定されてなる。
【0026】
また、本実施形態の活性汚泥処理装置1は、通常、連続(必要に応じて、回分)で、生物処理部2に廃水Aを供給し、生物処理部2で生成された汚泥含有生物処理水が固液分離部3に移送されるように構成されてなる。
【0027】
本実施形態の活性汚泥処理装置は、上記の如く構成されてなるが、次ぎに、本実施形態の活性汚泥処理方法について説明する。
【0028】
本実施形態の活性汚泥処理方法は、活性汚泥及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る。
【0029】
また、本実施形態の活性汚泥処理方法は、前記汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)を10,000mg/L以上にしつつ、前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)を0.2kgBOD/kgSS/d以下にする。
【0030】
前記汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)は、好ましくは、10000〜30000mg/Lにし、より好ましくは、15000〜20000mg/Lにする。
【0031】
前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)は、好ましくは、0.01〜0.19kgBOD/kgSS/dにし、より好ましくは、0.05〜0.15kgBOD/kgSS/dにする。
【0032】
BOD容積負荷は、好ましくは、0.1〜6kgBOD/m3 /dにし、より好ましくは、1〜3kgBOD/m3 /dにする。
【0033】
本実施形態の活性汚泥処理方法は、好ましくは、継続的に1日以上の継続時間で、前記汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)を10,000mg/L以上にしつつ、前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)を0.2kgBOD/kgSS/d以下にする。
尚、「継続的に1日以上の継続時間で、前記汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)を所定範囲内にしつつ、前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)を所定範囲内にする」には、“継続期間のうち一時的に、該MLSS濃度が所定範囲から外れた状態、及び/又は該BOD汚泥負荷が所定範囲から外れた状態”の場合も含まれる。例えば、“継続期間のうち合計1/20の期間、該MLSS濃度が所定範囲から外れた状態、及び/又は該BOD汚泥負荷が所定範囲から外れた状態”の場合も含まれる。更には、“継続期間のうち合計1/10の期間、該MLSS濃度が所定範囲から外れた状態、及び/又は該BOD汚泥負荷が所定範囲から外れた状態”の場合も含まれる。
【0034】
前記継続期間は、好ましくは、2日以上、より好ましくは、7日以上、さらに好ましくは、30日〜20年である。
【0035】
前記固液分離部3は、汚泥含有生物処理水から、重力沈降により、固液分離処理水と汚泥濃縮水Cが生成されるように構成されてなる。
【0036】
本実施形態の活性汚泥処理装置および活性汚泥処理方法は、上記のように構成されているので、以下の利点を有するものである。
【0037】
即ち、本実施形態の活性汚泥処理装置は、通常、連続(必要に応じて、回分)で、生物処理部2に廃水Aを供給し、生物処理部2で生成された汚泥含有生物処理水を固液分離部3に移送し、該固液分離部3で活性汚泥を固液分離し、該固液分離部3で生成された汚泥濃縮水Cを生物処理部2に戻すことにより、生物処理部2内の汚泥含有生物処理水の活性汚泥が高濃度化しやすくなるという利点を有する。
そして、本実施形態の活性汚泥処理装置は、生物処理部2の活性汚泥が生物処理部2から流出され難くなることによって、生物処理部2の汚泥含有生物処理水のMLSS濃度が10,000mg/L未満の場合には、該MLSS濃度が10,000mg/L以上になりやすくなるという利点を有する。また、本実施形態の活性汚泥処理装置は、生物処理部2の汚泥含有生物処理水のMLSS濃度が10,000mg/L以上の場合に於いては、該MLSS濃度が10,000mg/L以上に維持されやすくなるという利点を有する。
【0038】
尚、本実施形態の活性汚泥処理装置および活性汚泥処理方法は、上記構成により、上記利点を有するものであったが、本発明の活性汚泥処理装置および活性汚泥処理方法は、上記構成に限定されず、適宜設計変更可能である。
【0039】
即ち、本実施形態の活性汚泥処理装置1は、通常、連続(必要に応じて、回分)で、生物処理部2に廃水Aを供給し、生物処理部2で生成された汚泥含有生物処理水が固液分離部3に移送されるように構成されてなるが、本発明の活性汚泥処理装置1は、図3に示すように、生物処理部2には、汚泥含有生物処理水を膜濾過する膜ユニット24が浸漬膜として備えられ、生物処理部2の汚泥含有生物処理水のMLSS濃度が10,000mg/L未満の場合には、前記固液分離処理水から膜ユニット24による膜濾過によって透過水たる浄化水Bを得るように構成されてもよい。
斯かる活性汚泥処理装置1は、該膜ユニット24が備えられてなることにより、生物処理部2の汚泥含有生物処理水のMLSS濃度が10,000mg/L未満の場合には、該MLSS濃度が10,000mg/L以上にされやすくなるという利点を有する。
また、斯かる活性汚泥処理装置1は、膜ユニット24により得られた透過水たる浄化水Bが浄化水貯留部(図示せず)に移送されるように構成されてなる。
さらに、斯かる活性汚泥処理装置1は、膜ユニット24により得られた透過水たる浄化水Bを移送する浄化水移送経路4dを備えてなる。
【0040】
また、本実施形態の活性汚泥処理装置は、固液分離処理水が浄化水Bとして浄化水貯留部(図示せず)に移送されるように構成されてなるが、本発明の活性汚泥処理装置は、図4に示すように、固液分離部3には、固液分離処理水及び汚泥濃縮水Cを生成する固液分離槽32と、固液分離処理水を膜濾過する膜ユニット31とが備えられ、前記固液分離処理水から膜ユニット31による膜濾過によって透過水たる浄化水Bを得るように構成されてもよい。斯かる活性汚泥処理装置は、活性汚泥が沈降性のよい凝集汚泥体となっているため、固液分離槽32にて汚泥界面が低くなり、固液分離槽32の上澄み水(固液分離処理水)部分に膜ユニット31を浸漬することが可能となり、膜の透過流束を大きくとれるという効果を生じる。
尚、斯かる活性汚泥処理装置は、場合によっては、前記固液分離処理水から膜ユニット31による膜濾過によって透過水たる浄化水Bを得るとともに、非透過水(固液分離処理水)を固液分離槽32外に放流するように構成されてもよい。
【0041】
前記膜ユニット31は、前記固液分離槽32内の液面下に浸漬膜として設置されてなる。また、膜ユニット31は、濾過膜を常時あるいは間欠的に曝気して該濾過膜に付着した凝集汚泥体等の汚れを取り除く膜曝気手段(図示せず)を備えてなる。
【0042】
前記膜ユニット31は、図4に示すように、浸漬膜として設置されてなるが、図5に示すように、膜ユニット31が容器に濾過膜が収納されたタイプであり、固液分離槽32の槽外に設置され、且つ固液分離処理水がポンプ33を介して加圧されてから該膜ユニット31に供給されるように構成されてもよい。
【0043】
前記膜ユニット31が固液分離槽32の槽外に設置されてなる活性汚泥処理装置1は、前記膜ユニット31により生成される非透過水が混合水の一部として生物処理部2に移送されるように構成されてなる。具体的には、斯かる活性汚泥処理装置1は、非透過水を移送する非透過水移送経路4eを備えてなる。
【0044】
前記膜ユニット24,31の濾過膜の種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、限外濾過膜(UF膜)、精密濾過膜(MF膜)等が挙げられる。
【0045】
前記濾過膜の構造としては、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリビニールアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどの素材により形成された直径数mmの中空糸状に形成されたいわゆる中空糸膜などと呼ばれるタイプのものや、薄い板状の膜たる平膜と呼ばれるタイプのものなど従来公知のものを採用することができる。
【0046】
さらに、本実施形態の活性汚泥処理装置は、前記汚泥含有生物処理水貯留槽21内で凝集汚泥体を生成するように構成されてなるが、本発明の活性汚泥処理装置は、図6に示すように、前記生物処理部2には、前記生物凝集手段により凝集汚泥体を生成する生物凝集槽25が備えられ、前記固液分離部3により生成された汚泥濃縮水Cが生物凝集槽25に移送され、前記生物凝集槽25により生成された凝集汚泥体が汚泥含有生物処理水貯留槽21に移送されるように構成されてもよい。
斯かる活性汚泥処理装置は、活性汚泥が濃縮された汚泥濃縮水Cに含まれる活性汚泥が凝集されるように構成されてなることにより、より一層効率よく凝集汚泥体を生成し得るという利点がある。また、汚泥濃縮水Cを返送するためのエネルギーを有効利用することができるという利点もある。
また、斯かる活性汚泥処理装置では、生物凝集槽25及び汚泥含有生物処理水貯留槽21の両方が生物凝集手段により凝集汚泥体を生成するように構成されていてもよい。
【0047】
斯かる活性汚泥処理装置は、前記固液分離部3により生成された汚泥濃縮水Cを前記生物凝集槽25に移送する汚泥濃縮水移送手段4fと、前記生物凝集槽25で生成された凝集汚泥体を汚泥含有生物処理水貯留槽21に移送する凝集汚泥体移送経路4gとを備えてなる。
【0048】
また、斯かる活性汚泥処理装置は、必要に応じて、前記生物凝集槽25内を曝気する生物凝集槽曝気手段(図示せず)を備えてなるが、該生物凝集槽曝気手段(図示せず)を備えない態様であってもよい。
【0049】
さらに、斯かる活性汚泥処理装置は、前記生物凝集槽25と前記汚泥含有生物処理水貯留槽21とが別体の槽となるように区画形成されてなる。
【0050】
また、斯かる活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記生物凝集手段が、担体22により前記活性汚泥を凝集させ前記担体22から前記凝集汚泥体を分離させて生成するものであり、前記担体22が、活性汚泥が付着される付着体22aと該付着体22aを支持する支持部22bとを備えてなり、前記汚泥濃縮水移送手段4fから前記生物凝集槽25に移送される汚泥濃縮水Cの水流によって前記付着体22aが揺動するように構成されてなる。
斯かる活性汚泥処理装置は、水流によって前記付着体22aが揺動するように構成されてなることにより、エネルギー効率良く凝集汚泥体が担体22から分離され得るという利点がある。また、効率よく凝集汚泥体を生成することができることから、凝集汚泥体の生成効率を低下させずに、担体22の大きさを小さくし得るという利点もある。
【0051】
また、斯かる活性汚泥処理装置は、生物凝集槽25が担体22により活性汚泥を凝集させるように構成されてなる代わりに、生物凝集槽25として、汚泥濃縮水Cが乱流で移送され得るように移送経路の長さが延長されたものや経路が細分化されたもの、具体的には、図7に示すような流路がジグザグにされたものや、図8に示すような多管状(ハニカム状)のものや、図9に示すようなスタティクミキサーが設けられてなるものを備えてもよい。斯かる活性汚泥処理装置によれば、高速に活性汚泥を壁様のものに衝突させることができるため、効率良く凝集汚泥体を生成し得るという利点がある。
【実施例】
【0052】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。
【0053】
(試験例1)
汚泥含有生物処理水貯留槽(水収容可能容量:10L、内寸:0.15 m(幅)×0.15m(奥行き)×0.45m(高さ))、担体としてのバイオフリンジ(登録商標)(エヌ・イー・ティ社製)、及び生物処理曝気手段としてのポンプを用いて、活性汚泥を凝集し、該凝集した活性汚泥(凝集汚泥体)と廃水とを混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得た。具体的には、汚泥含有生物処理水貯留槽内のMLSS濃度を所定値となるようにしつつ、汚泥含有生物処理水貯留槽内の活性汚泥に対するBOD負荷(BOD汚泥負荷)を所定値にとなるように30〜90日間以上維持して、混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得た。
尚、汚泥含有生物処理水貯留槽内のMLSS濃度を所定値となるようにしつつ、汚泥含有生物処理水貯留槽内の活性汚泥に対するBOD負荷(BOD汚泥負荷)を所定値にとなるように維持する期間は、10日以上であれば、SV30、SVI、5C透過量に前記期間の違いによる影響はない。
試験例1で実施した混合水の生物処理におけるMLSS濃度とBOD汚泥負荷との組み合わせを図10に示す。
尚、MLSS濃度、及びBOD汚泥負荷は、JIS B 9944−1978に従って測定及び算出した。
【0054】
(試験例2)
担体を用いなかったこと以外は、試験例1と同様にして、汚泥含有生物処理水を得た。
試験例2で実施した混合水の生物処理におけるMLSS濃度とBOD汚泥負荷との組み合わせを図11に示す。
【0055】
試験例の汚泥含有生物処理水を下記の試験に供した。
【0056】
(SV30、SVIの測定)
試験例の汚泥含有生物処理水の活性汚泥沈降率(SV30)、及び汚泥体積指標(SVI)は、JIS B 9944−1978に従って測定及び算出した。
【0057】
(5C透過量の測定)
濾過器上に5種C(JIS P 3801)の濾紙(アドバンテック東洋社製、直径15cm)を載置し、該濾紙上に試験例の汚泥含有生物処理水を50mL滴下し、滴下してから5分経過した時に濾紙を透過した濾液(透過水)の量(5C透過量)を測定した。
【0058】
上記試験の結果を、試験例1に関しては表1に、試験例2に関しては表2に示す。尚、表1、表2において、SVI、MLSS濃度、SV30、5C透過量として、算出平均値が示されている。また、nは試料数を示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
本発明の範囲内である実施例1および2の汚泥含有生物処理水では、BOD汚泥負荷が0.2kgBOD/kgSS/dを超え且つMLSS濃度が10,000mg/L未満である条件の比較例1、MLSS濃度が10,000mg/L未満である条件の比較例2、BOD汚泥負荷が0.2kgBOD/kgSS/dを超えている条件の比較例3、および担体を用いなかった比較例4〜6に比して、SV30及びSVIが低い値を示した。
また、本発明の範囲内である実施例1および2の汚泥含有生物処理水では、比較例1〜6に比して、5C透過量が高い値を示した。
【符号の説明】
【0062】
1:活性汚泥処理装置、2:生物処理部、3:固液分離部、4a:汚泥含有生物処理水移送経路、4b:浄化水移送経路、4c:汚泥濃縮水移送経路、4d:浄化水移送経路、4e:非透過水移送経路、4f:汚泥濃縮水移送手段、4g:凝集汚泥体移送経路、21:汚泥含有生物処理水貯留槽、22:担体、22a:付着体、22b:支持部、23:生物処理曝気手段、24:膜ユニット、25:生物凝集槽、31:膜ユニット、32:固液分離槽、33:ポンプ、A:廃水、B:浄化水、C:汚泥濃縮水
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性汚泥処理方法および活性汚泥処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、活性汚泥処理方法では、活性汚泥及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を生物処理槽内で得、該汚泥含有生物処理水から、固液分離により、活性汚泥の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ない固液分離処理水を固液分離槽内で生成している。
【0003】
ところで、斯かる活性汚泥処理方法では、通常、十分に汚泥含有生物処理水の固液分離性を高めるという観点(固液分離性の指標である活性汚泥沈降率(SV30)は、汚泥体積指標(SVI)に活性汚泥の濃度(MLSS濃度)を掛けたものであり、斯かる関係式から、MLSS濃度を低下させるとSV30も低下させることができると考えられる。)から前記汚泥含有生物処理水のMLSS濃度を8,000mg/L以下にしつつ、処理スペース効率の観点から前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)を通常0.2kgBOD/kgSS/dよりも大きく0.4kgBOD/kgSS/d以下に設定している(例えば、非特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】下水道施設計画・設計指針と解説 後編 2001年版,社団法人日本下水道協会,p82-83
【非特許文献2】水処理工学−理論と応用−,井出哲夫編著,p25,技宝堂出版(株),1976年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の活性汚泥処理方法では、汚泥含有生物処理水を十分に固液分離することができず、固液分離処理水を十分に得ることができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、汚泥含有生物処理水を十分に固液分離し得る活性汚泥処理方法および活性汚泥処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが鋭意研究したところ、汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)を所定範囲内にしつつ、活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)を所定範囲内にすることにより、汚泥含有生物処理水を十分に固液分離することができることを見出し、本発明の完成を想到するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、活性汚泥及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る活性汚泥処理方法であって、
前記汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)を10,000mg/L以上にしつつ、前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)を0.2kgBOD/kgSS/d以下にすることを特徴とする活性汚泥処理方法にある。
【0009】
また、本発明に係る活性汚泥処理方法においては、好ましくは、前記活性汚泥として、担体により凝集されたものを用いる。
【0010】
また、本発明は、活性汚泥及び廃水が混合されて混合水が生成され、該混合水が生物処理されて汚泥含有生物処理水が得られるように構成されてなる活性汚泥処理装置であって、
前記汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)が10,000mg/L以上となるようにしつつ、前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)が0.2kgBOD/kgSS/d以下となるように構成されてなることを特徴とする活性汚泥処理装置にある。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、汚泥含有生物処理水を十分に固液分離し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態に係る活性汚泥処理装置の概略図。
【図2】図1のAA矢視断面図。
【図3】一実施形態に係る活性汚泥処理装置の概略図。
【図4】一実施形態に係る活性汚泥処理装置の概略図。
【図5】一実施形態に係る活性汚泥処理装置の概略図。
【図6】一実施形態に係る活性汚泥処理装置の概略図。
【図7】一実施形態に係る生物凝集槽の概略図。
【図8】一実施形態に係る生物凝集槽の概略図。
【図9】一実施形態に係る生物凝集槽の概略図。
【図10】試験例1で実施した混合水の生物処理におけるMLSS濃度とBOD汚泥負荷との組み合わせ。
【図11】試験例2で実施した混合水の生物処理におけるMLSS濃度とBOD汚泥負荷との組み合わせ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
【0014】
まず、本実施形態に係る活性汚泥処理装置について説明する。
【0015】
本実施形態の活性汚泥処理装置は、活性汚泥及び廃水が混合されて混合水が生成され、該混合水が生物処理されて汚泥含有生物処理水が得られるように構成されてなる。
【0016】
前記廃水としては、生物分解することができる有機物等を含有する廃水であれば、特に限定されるものではないが、例えば、生活廃水や、食品工場、化学工場、電子産業工場、パルプ工場等の工場の廃水等が挙げられる。
【0017】
前記生物処理としては、具体的には、活性汚泥処理等を挙げることができる。
活性汚泥処理は、細菌、原生動物、後生動物等の生物種を有する活性汚泥と、有機物を含む廃水とを曝気しながら混合して、該有機物を前記生物種で分解する処理である。
【0018】
本実施形態の活性汚泥処理装置は、具体的には、図1に示すように、活性汚泥及び廃水Aを混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る生物処理部2と、該汚泥含有生物処理水から、固液分離により、活性汚泥の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ない固液分離処理水と活性汚泥が前記汚泥含有生物処理水よりも濃縮された汚泥濃縮水Cとを生成する固液分離部3とを備えてなる。
【0019】
また、本実施形態の活性汚泥処理装置1は、前記生物処理部2で得られた汚泥含有生物処理水が固液分離部3に、前記固液分離部3で得られた固液分離処理水が浄化水Bとして浄化水貯留部(図示せず)に、前記汚泥濃縮水Cが汚泥濃縮水貯留部(図示せず)及び/又は混合水の一部として生物処理部2に移送されるように構成されてなる。
具体的には、本実施形態の活性汚泥処理装置1は、図1に示すように、汚泥含有生物処理水を移送する汚泥含有生物処理水移送経路4aと、浄化水Bを移送する浄化水移送経路4bと、汚泥濃縮水Cを移送する汚泥濃縮水移送経路4cとを備えてなる。
【0020】
前記生物処理部2は、図2に示すように、生成した汚泥含有生物処理水を貯留する汚泥含有生物処理水貯留槽21と、該汚泥含有生物処理水貯留槽21内を曝気する生物処理曝気手段23とを備えてなる。
【0021】
また、前記生物処理部2は、必要に応じて、活性汚泥を生物的に凝集させて凝集汚泥体を生成する生物凝集手段を備えてなる。具体的には、前記生物処理部2は、活性汚泥を凝集させる担体22を備えてなる。より具体的には、前記生物処理部2は、担体22により活性汚泥を凝集させ、前記担体22から凝集した活性汚泥(凝集汚泥体)を分離するように構成されてなる。さらに、前記生物処理部2は、凝集した活性汚泥(凝集汚泥体)及び廃水Aを混合して混合水を生成するように構成されてなる。
【0022】
前記担体22は、前記活性汚泥が付着される付着体22aと該付着体22aを支持する支持部22bとを備えてなる。また、前記担体22は、前記生物処理曝気手段23による曝気によって生じる水流で前記付着体22aが揺動するように構成されてなる。
【0023】
前記付着体22aは、糸状に形成されてなる。
前記付着体22aを構成する材料は、前記活性汚泥が付着しやすいものであれば特に限定されるものではないが、該材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリエチレン、炭素繊維等が挙げられる。
【0024】
前記支持部22bを構成する材料は、該付着体22aを支持するものであれば特に限定されるものではないが、該材料としては、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン等が挙げられる。
【0025】
本実施形態の活性汚泥処理装置1は、前記汚泥含有生物処理水中に浮遊する活性汚泥の濃度(MLSS濃度)が10,000mg/L以上で、前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)が0.2kgBOD/kgSS/d以下に設定されてなる。
【0026】
また、本実施形態の活性汚泥処理装置1は、通常、連続(必要に応じて、回分)で、生物処理部2に廃水Aを供給し、生物処理部2で生成された汚泥含有生物処理水が固液分離部3に移送されるように構成されてなる。
【0027】
本実施形態の活性汚泥処理装置は、上記の如く構成されてなるが、次ぎに、本実施形態の活性汚泥処理方法について説明する。
【0028】
本実施形態の活性汚泥処理方法は、活性汚泥及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る。
【0029】
また、本実施形態の活性汚泥処理方法は、前記汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)を10,000mg/L以上にしつつ、前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)を0.2kgBOD/kgSS/d以下にする。
【0030】
前記汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)は、好ましくは、10000〜30000mg/Lにし、より好ましくは、15000〜20000mg/Lにする。
【0031】
前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)は、好ましくは、0.01〜0.19kgBOD/kgSS/dにし、より好ましくは、0.05〜0.15kgBOD/kgSS/dにする。
【0032】
BOD容積負荷は、好ましくは、0.1〜6kgBOD/m3 /dにし、より好ましくは、1〜3kgBOD/m3 /dにする。
【0033】
本実施形態の活性汚泥処理方法は、好ましくは、継続的に1日以上の継続時間で、前記汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)を10,000mg/L以上にしつつ、前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)を0.2kgBOD/kgSS/d以下にする。
尚、「継続的に1日以上の継続時間で、前記汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)を所定範囲内にしつつ、前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)を所定範囲内にする」には、“継続期間のうち一時的に、該MLSS濃度が所定範囲から外れた状態、及び/又は該BOD汚泥負荷が所定範囲から外れた状態”の場合も含まれる。例えば、“継続期間のうち合計1/20の期間、該MLSS濃度が所定範囲から外れた状態、及び/又は該BOD汚泥負荷が所定範囲から外れた状態”の場合も含まれる。更には、“継続期間のうち合計1/10の期間、該MLSS濃度が所定範囲から外れた状態、及び/又は該BOD汚泥負荷が所定範囲から外れた状態”の場合も含まれる。
【0034】
前記継続期間は、好ましくは、2日以上、より好ましくは、7日以上、さらに好ましくは、30日〜20年である。
【0035】
前記固液分離部3は、汚泥含有生物処理水から、重力沈降により、固液分離処理水と汚泥濃縮水Cが生成されるように構成されてなる。
【0036】
本実施形態の活性汚泥処理装置および活性汚泥処理方法は、上記のように構成されているので、以下の利点を有するものである。
【0037】
即ち、本実施形態の活性汚泥処理装置は、通常、連続(必要に応じて、回分)で、生物処理部2に廃水Aを供給し、生物処理部2で生成された汚泥含有生物処理水を固液分離部3に移送し、該固液分離部3で活性汚泥を固液分離し、該固液分離部3で生成された汚泥濃縮水Cを生物処理部2に戻すことにより、生物処理部2内の汚泥含有生物処理水の活性汚泥が高濃度化しやすくなるという利点を有する。
そして、本実施形態の活性汚泥処理装置は、生物処理部2の活性汚泥が生物処理部2から流出され難くなることによって、生物処理部2の汚泥含有生物処理水のMLSS濃度が10,000mg/L未満の場合には、該MLSS濃度が10,000mg/L以上になりやすくなるという利点を有する。また、本実施形態の活性汚泥処理装置は、生物処理部2の汚泥含有生物処理水のMLSS濃度が10,000mg/L以上の場合に於いては、該MLSS濃度が10,000mg/L以上に維持されやすくなるという利点を有する。
【0038】
尚、本実施形態の活性汚泥処理装置および活性汚泥処理方法は、上記構成により、上記利点を有するものであったが、本発明の活性汚泥処理装置および活性汚泥処理方法は、上記構成に限定されず、適宜設計変更可能である。
【0039】
即ち、本実施形態の活性汚泥処理装置1は、通常、連続(必要に応じて、回分)で、生物処理部2に廃水Aを供給し、生物処理部2で生成された汚泥含有生物処理水が固液分離部3に移送されるように構成されてなるが、本発明の活性汚泥処理装置1は、図3に示すように、生物処理部2には、汚泥含有生物処理水を膜濾過する膜ユニット24が浸漬膜として備えられ、生物処理部2の汚泥含有生物処理水のMLSS濃度が10,000mg/L未満の場合には、前記固液分離処理水から膜ユニット24による膜濾過によって透過水たる浄化水Bを得るように構成されてもよい。
斯かる活性汚泥処理装置1は、該膜ユニット24が備えられてなることにより、生物処理部2の汚泥含有生物処理水のMLSS濃度が10,000mg/L未満の場合には、該MLSS濃度が10,000mg/L以上にされやすくなるという利点を有する。
また、斯かる活性汚泥処理装置1は、膜ユニット24により得られた透過水たる浄化水Bが浄化水貯留部(図示せず)に移送されるように構成されてなる。
さらに、斯かる活性汚泥処理装置1は、膜ユニット24により得られた透過水たる浄化水Bを移送する浄化水移送経路4dを備えてなる。
【0040】
また、本実施形態の活性汚泥処理装置は、固液分離処理水が浄化水Bとして浄化水貯留部(図示せず)に移送されるように構成されてなるが、本発明の活性汚泥処理装置は、図4に示すように、固液分離部3には、固液分離処理水及び汚泥濃縮水Cを生成する固液分離槽32と、固液分離処理水を膜濾過する膜ユニット31とが備えられ、前記固液分離処理水から膜ユニット31による膜濾過によって透過水たる浄化水Bを得るように構成されてもよい。斯かる活性汚泥処理装置は、活性汚泥が沈降性のよい凝集汚泥体となっているため、固液分離槽32にて汚泥界面が低くなり、固液分離槽32の上澄み水(固液分離処理水)部分に膜ユニット31を浸漬することが可能となり、膜の透過流束を大きくとれるという効果を生じる。
尚、斯かる活性汚泥処理装置は、場合によっては、前記固液分離処理水から膜ユニット31による膜濾過によって透過水たる浄化水Bを得るとともに、非透過水(固液分離処理水)を固液分離槽32外に放流するように構成されてもよい。
【0041】
前記膜ユニット31は、前記固液分離槽32内の液面下に浸漬膜として設置されてなる。また、膜ユニット31は、濾過膜を常時あるいは間欠的に曝気して該濾過膜に付着した凝集汚泥体等の汚れを取り除く膜曝気手段(図示せず)を備えてなる。
【0042】
前記膜ユニット31は、図4に示すように、浸漬膜として設置されてなるが、図5に示すように、膜ユニット31が容器に濾過膜が収納されたタイプであり、固液分離槽32の槽外に設置され、且つ固液分離処理水がポンプ33を介して加圧されてから該膜ユニット31に供給されるように構成されてもよい。
【0043】
前記膜ユニット31が固液分離槽32の槽外に設置されてなる活性汚泥処理装置1は、前記膜ユニット31により生成される非透過水が混合水の一部として生物処理部2に移送されるように構成されてなる。具体的には、斯かる活性汚泥処理装置1は、非透過水を移送する非透過水移送経路4eを備えてなる。
【0044】
前記膜ユニット24,31の濾過膜の種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、限外濾過膜(UF膜)、精密濾過膜(MF膜)等が挙げられる。
【0045】
前記濾過膜の構造としては、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリビニールアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどの素材により形成された直径数mmの中空糸状に形成されたいわゆる中空糸膜などと呼ばれるタイプのものや、薄い板状の膜たる平膜と呼ばれるタイプのものなど従来公知のものを採用することができる。
【0046】
さらに、本実施形態の活性汚泥処理装置は、前記汚泥含有生物処理水貯留槽21内で凝集汚泥体を生成するように構成されてなるが、本発明の活性汚泥処理装置は、図6に示すように、前記生物処理部2には、前記生物凝集手段により凝集汚泥体を生成する生物凝集槽25が備えられ、前記固液分離部3により生成された汚泥濃縮水Cが生物凝集槽25に移送され、前記生物凝集槽25により生成された凝集汚泥体が汚泥含有生物処理水貯留槽21に移送されるように構成されてもよい。
斯かる活性汚泥処理装置は、活性汚泥が濃縮された汚泥濃縮水Cに含まれる活性汚泥が凝集されるように構成されてなることにより、より一層効率よく凝集汚泥体を生成し得るという利点がある。また、汚泥濃縮水Cを返送するためのエネルギーを有効利用することができるという利点もある。
また、斯かる活性汚泥処理装置では、生物凝集槽25及び汚泥含有生物処理水貯留槽21の両方が生物凝集手段により凝集汚泥体を生成するように構成されていてもよい。
【0047】
斯かる活性汚泥処理装置は、前記固液分離部3により生成された汚泥濃縮水Cを前記生物凝集槽25に移送する汚泥濃縮水移送手段4fと、前記生物凝集槽25で生成された凝集汚泥体を汚泥含有生物処理水貯留槽21に移送する凝集汚泥体移送経路4gとを備えてなる。
【0048】
また、斯かる活性汚泥処理装置は、必要に応じて、前記生物凝集槽25内を曝気する生物凝集槽曝気手段(図示せず)を備えてなるが、該生物凝集槽曝気手段(図示せず)を備えない態様であってもよい。
【0049】
さらに、斯かる活性汚泥処理装置は、前記生物凝集槽25と前記汚泥含有生物処理水貯留槽21とが別体の槽となるように区画形成されてなる。
【0050】
また、斯かる活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記生物凝集手段が、担体22により前記活性汚泥を凝集させ前記担体22から前記凝集汚泥体を分離させて生成するものであり、前記担体22が、活性汚泥が付着される付着体22aと該付着体22aを支持する支持部22bとを備えてなり、前記汚泥濃縮水移送手段4fから前記生物凝集槽25に移送される汚泥濃縮水Cの水流によって前記付着体22aが揺動するように構成されてなる。
斯かる活性汚泥処理装置は、水流によって前記付着体22aが揺動するように構成されてなることにより、エネルギー効率良く凝集汚泥体が担体22から分離され得るという利点がある。また、効率よく凝集汚泥体を生成することができることから、凝集汚泥体の生成効率を低下させずに、担体22の大きさを小さくし得るという利点もある。
【0051】
また、斯かる活性汚泥処理装置は、生物凝集槽25が担体22により活性汚泥を凝集させるように構成されてなる代わりに、生物凝集槽25として、汚泥濃縮水Cが乱流で移送され得るように移送経路の長さが延長されたものや経路が細分化されたもの、具体的には、図7に示すような流路がジグザグにされたものや、図8に示すような多管状(ハニカム状)のものや、図9に示すようなスタティクミキサーが設けられてなるものを備えてもよい。斯かる活性汚泥処理装置によれば、高速に活性汚泥を壁様のものに衝突させることができるため、効率良く凝集汚泥体を生成し得るという利点がある。
【実施例】
【0052】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。
【0053】
(試験例1)
汚泥含有生物処理水貯留槽(水収容可能容量:10L、内寸:0.15 m(幅)×0.15m(奥行き)×0.45m(高さ))、担体としてのバイオフリンジ(登録商標)(エヌ・イー・ティ社製)、及び生物処理曝気手段としてのポンプを用いて、活性汚泥を凝集し、該凝集した活性汚泥(凝集汚泥体)と廃水とを混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得た。具体的には、汚泥含有生物処理水貯留槽内のMLSS濃度を所定値となるようにしつつ、汚泥含有生物処理水貯留槽内の活性汚泥に対するBOD負荷(BOD汚泥負荷)を所定値にとなるように30〜90日間以上維持して、混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得た。
尚、汚泥含有生物処理水貯留槽内のMLSS濃度を所定値となるようにしつつ、汚泥含有生物処理水貯留槽内の活性汚泥に対するBOD負荷(BOD汚泥負荷)を所定値にとなるように維持する期間は、10日以上であれば、SV30、SVI、5C透過量に前記期間の違いによる影響はない。
試験例1で実施した混合水の生物処理におけるMLSS濃度とBOD汚泥負荷との組み合わせを図10に示す。
尚、MLSS濃度、及びBOD汚泥負荷は、JIS B 9944−1978に従って測定及び算出した。
【0054】
(試験例2)
担体を用いなかったこと以外は、試験例1と同様にして、汚泥含有生物処理水を得た。
試験例2で実施した混合水の生物処理におけるMLSS濃度とBOD汚泥負荷との組み合わせを図11に示す。
【0055】
試験例の汚泥含有生物処理水を下記の試験に供した。
【0056】
(SV30、SVIの測定)
試験例の汚泥含有生物処理水の活性汚泥沈降率(SV30)、及び汚泥体積指標(SVI)は、JIS B 9944−1978に従って測定及び算出した。
【0057】
(5C透過量の測定)
濾過器上に5種C(JIS P 3801)の濾紙(アドバンテック東洋社製、直径15cm)を載置し、該濾紙上に試験例の汚泥含有生物処理水を50mL滴下し、滴下してから5分経過した時に濾紙を透過した濾液(透過水)の量(5C透過量)を測定した。
【0058】
上記試験の結果を、試験例1に関しては表1に、試験例2に関しては表2に示す。尚、表1、表2において、SVI、MLSS濃度、SV30、5C透過量として、算出平均値が示されている。また、nは試料数を示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
本発明の範囲内である実施例1および2の汚泥含有生物処理水では、BOD汚泥負荷が0.2kgBOD/kgSS/dを超え且つMLSS濃度が10,000mg/L未満である条件の比較例1、MLSS濃度が10,000mg/L未満である条件の比較例2、BOD汚泥負荷が0.2kgBOD/kgSS/dを超えている条件の比較例3、および担体を用いなかった比較例4〜6に比して、SV30及びSVIが低い値を示した。
また、本発明の範囲内である実施例1および2の汚泥含有生物処理水では、比較例1〜6に比して、5C透過量が高い値を示した。
【符号の説明】
【0062】
1:活性汚泥処理装置、2:生物処理部、3:固液分離部、4a:汚泥含有生物処理水移送経路、4b:浄化水移送経路、4c:汚泥濃縮水移送経路、4d:浄化水移送経路、4e:非透過水移送経路、4f:汚泥濃縮水移送手段、4g:凝集汚泥体移送経路、21:汚泥含有生物処理水貯留槽、22:担体、22a:付着体、22b:支持部、23:生物処理曝気手段、24:膜ユニット、25:生物凝集槽、31:膜ユニット、32:固液分離槽、33:ポンプ、A:廃水、B:浄化水、C:汚泥濃縮水
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性汚泥及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る活性汚泥処理方法であって、
前記汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)を10,000mg/L以上にしつつ、前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)を0.2kgBOD/kgSS/d以下にすることを特徴とする活性汚泥処理方法。
【請求項2】
前記活性汚泥として、担体により凝集されたものを用いる請求項1記載の活性汚泥処理方法。
【請求項3】
活性汚泥及び廃水が混合されて混合水が生成され、該混合水が生物処理されて汚泥含有生物処理水が得られるように構成されてなる活性汚泥処理装置であって、
前記汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)が10,000mg/L以上となるようにしつつ、前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)が0.2kgBOD/kgSS/d以下となるように構成されてなることを特徴とする活性汚泥処理装置。
【請求項1】
活性汚泥及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る活性汚泥処理方法であって、
前記汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)を10,000mg/L以上にしつつ、前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)を0.2kgBOD/kgSS/d以下にすることを特徴とする活性汚泥処理方法。
【請求項2】
前記活性汚泥として、担体により凝集されたものを用いる請求項1記載の活性汚泥処理方法。
【請求項3】
活性汚泥及び廃水が混合されて混合水が生成され、該混合水が生物処理されて汚泥含有生物処理水が得られるように構成されてなる活性汚泥処理装置であって、
前記汚泥含有生物処理水の活性汚泥の濃度(MLSS濃度)が10,000mg/L以上となるようにしつつ、前記活性汚泥に対するBODの負荷(BOD汚泥負荷)が0.2kgBOD/kgSS/d以下となるように構成されてなることを特徴とする活性汚泥処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−16038(P2011−16038A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160612(P2009−160612)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】
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