説明

活性炭を用いるPETの再加熱速度を改善するための組成物及びその製造方法

ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートのようなポリエステルと当該組成物の再加熱速度を増進させるための活性炭とを含む、ポリエステル組成物、プレフォーム、及びボトルを提供する。活性炭は、活性リン含有化合物の存在下で、あるいはプレポリマー化後の溶融相及びポリエステルポリマーが固化した後のいずれかの段階で添加されてもよい。活性炭を含むポリエステル濃厚物は、バルクポリエステルに添加されて、ボトルをブロー成形するのに適したプレフォームとされてもよい。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、二段階工程を用いて容器に成形される。第一に、管状のプレフォームが、射出成形される。第二に、当該プレフォームが、そのガラス転移温度を超えて加熱され、高圧空気で吹込み成形されて瓶に成形される。
【0002】
石英赤外線ランプを用いて、当該プレフォームは、第二段階で「再加熱」される。典型的なランプ温度は、2500〜3000°Kであり、500〜2000nmの範囲に広い発光スペクトルを有する。その発光の最大値は、約900〜1000nmである。PETは、500〜2000nmの領域では僅かしかエネルギーを吸収しない。よって、ランプからのエネルギー吸収を最大とし、かつプレフォームの「再加熱」速度を増大させるために、時々、赤外線吸収化合物がPETに添加される。残念なことに、これらの材料も、PETボトルの外観に悪影響を及ぼし、それを暗く(低L*)してしまう。よって、かかる添加がL*に与える影響を最小限にしつつ、PETのプレフォームの再加熱速度を改善することの要望が、依然としてある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
我々は、PET組成物の明度L*に与える添加物の影響を最小にしつつ、当該PET組成物の再加熱速度を改善するための手段及び添加剤を見出した。また、我々は、この同じ添加剤が、ポリマーの明度(L*)レベルに著しい喪失を起こすことなく改善された再加熱速度を与えることに加えて、熱処理条件の結果生ずる遊離のアセトアルデヒド量に一定量の低減をもたらすことも見出した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、今や、ポリエステルポリマー及び2μmを超えるd50粒度を有する活性炭を含んでなる、溶融物、固体、プレフォーム、熱成形用に好適なシート、及びボトルを含むポリエステル組成物が提供される。
【0005】
また、本発明によれば、2μmを超える粒度を有する活性炭を、ポリエステルポリマー製造用の溶融相に、固相ペレットの形態にあるポリエステルポリマーに、あるいは当該ポリエステルポリマーからプレフォームを製造するための射出成形機に加えることを含む、ポリアルキレンテレフタレート又はポリアルキレンナフタレートポリマーを含んでなるポリエステルポリマーを含むポリエステル組成物の製造方法が提供される。
【0006】
その他の実施態様では、本発明によれば、ジアルキルテレフタレート又はジアルキルナフタレートをエステル交換することによって、あるいはテレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸を直接エステル化することによって作られるポリアルキレンテレフタレート又はポリアルキレンナフタレートポリマーのようなポリエステルポリマーを含むポリエステル組成物の製造方法が提供される。当該ポリエステルポリマー組成物は、活性リン含有化合物の存在下で、活性炭をポリエステルポリマー製造用の溶融相に添加することによって製造される。
【0007】
更にその他の実施態様では、本発明によれば、活性炭は、
a)エステル化ゾーン、プレポリマー化ゾーン、又はこれら二つのゾーン間のいずれかの位置に、リン含有化合物と同時に、あるいは、
b)リン含有化合物がエステル化ゾーンに加えられる前のエステル化ゾーンに、(ここでは、当該リン含有化合物は、そのエステル化反応が所望程度のエステル化まで完了する前に添加される)、あるいは、
c)反応混合物が活性リン含有化合物を含有していることを条件として、当該リン化合物がエステル化ゾーン又はプレポリマー化ゾーンに加えられた後に、
添加される。
【0008】
また、本発明によれば、活性炭が、
a)プレポリマーゾーン後のポリエステルポリマー製造用の溶融相に、あるいは、
b)先駆体又は溶融ブレンドによる固相のポリエステル固体に、あるいは
c)ボトルプレフォームを製造するための射出成形機に、
添加されることを含む、ポリアルキレンテレフタレートポリマー又はポリアルキレンナフタレートポリマーを含んでなるポリエステルポリマーを含むポリエステル組成物の製造方法が提供される。
【0009】
その他の実施態様では、本発明によれば、ポリエステル濃厚組成物の重量に対して0.15重量%、好ましくは少なくとも0.2重量%から約35重量%までの範囲量の活性炭、及び当該濃厚組成物の重量に対して少なくとも65重量%の量の、25℃で固体の熱可塑性ポリマー固体を含むポリエステル濃厚組成物が提供される。
【0010】
また、濃厚物に関しては、本発明によれば、液体又は固体のバルクポリエステルと、活性炭及びポリエステル濃厚物に対して少なくとも65重量%量のポリエステルポリマーを含む、液体、溶融物又は固体のポリエステル濃厚組成物とをプレポリマーを製造するための装置に供給することを含む、ポリエステルプレフォームの製造方法が提供される。
【0011】
本発明によれば、当該ポリエステル濃厚物は、プレフォームの製造段階で添加されるばかりでなく、その他の実施態様では、活性炭及び少なくとも65重量%のポリエステルポリマーを含む当該濃厚ポリエステル組成物が、未使用のポリエステルポリマー製造用の溶融相に添加されることを含むポリエステル組成物の製造方法も提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、本明細書中で言及した添付図面、及び本明細書中に示した実施例を含め、以下の本発明についての詳細な説明を参酌することによってより容易に理解できよう。本発明は、処理するプラスチック製品自体に係る特定の処理及び/又は処理条件が当然のこととして変わってくるので、記載される特定の処理や条件に限定されないことが理解されるべきである。また、本明細書中で用いる専門用語は、特定の実施態様を記載することのみを目的としており、それにより限定されることは意図していないことも、理解されるべきである。
【0013】
また、本明細書及び特許請求の範囲に使用されているような単数形式の「a」、[an]、「the」には、その文脈が明瞭にそれ以外のことを示していない限り、複数の指示物が含まれることも、留意されなければならない。例えば、熱可塑性プラスチックの「プレフォーム」、「容器」又は「ボトル」を処理することへの言及には、複数の熱可塑性プレフォーム、物品、容器又はボトルが含まれることが意図されている。
【0014】
「comprising(含む)」又は「containing(含有する)という場合には、少なくとも言及された化合物、元素、粒子などが当該組成物又は物品中に存在していなければならないが、他の化合物、材料、粒子などの存在についても、仮にこれら他のかかる化合物、材料、粒子などが言及されたものと同じ機能を有しているとしても、これらを排除していないこと、を意味している。
【0015】
本明細書中を通じて記載される極限粘度値は、60/40重量/重量のフェノール/テトラクロロエタン中、25℃で測定されたdL/g単位で説明されている。
【0016】
本発明の「ポリエステル組成物」は、熱可塑性ポリマーのいずれかであり、それには、選択的に、当該熱可塑性ポリマーがポリエステル組成物の重量当たり少なくとも30重量%の量で存在することを条件として、いかなる数の成分が、いかなる量で含まれてもよく、また、前記熱可塑性ポリマーの主鎖には、繰り返しテレフタレート単位又はナフタレート単位を有している。好適な熱可塑性ポリマーの具体例には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びPETとPENのコポリエステル及びブレンドが含まれる。当該ポリエステル組成物の形態は限定されず、射出成形機内で見られるようなその製造工程中のあるいは重合後の溶融状態にある溶融物、及び液体、ペレット、プレフォーム、及び/又はボトルの形態にあるものが含まれる。ポリエステルのペレットは、移送及び処理を容易にするために25℃、1気圧下で固体として単離される。ポリエステルのペレット形状は限定されず、規則的なあるいは不規則な形状の分離した粒子として類型化され、シート、フィルム又はファイバーとは区別される。
【0017】
50粒度は中位径であり、その体積の50%が、規定されたd50値を超える粒子からなり、その体積の50%が、規定されたd50値未満の粒子からなる。
【0018】
本発明では、2μmを超えるd50粒度を有する活性炭を含む、溶融物、ペレット、シート、プレフォーム及びボトルを含むがそれらに限定されないポリエステル組成物が提供される。
【0019】
活性炭は、非常に大きい内部表面積及び孔容積をもつ炭素の一形態である(「エンサイクロペディア・オブ・ケミカル・テクノロジー」、第4編、第4巻、1015〜1037頁、Jhon Wiley and Sons 社」)。市販の活性炭は、石炭、亜炭、木材、堅果殻、泥炭、ピッチ及びコークスのような有機材料から製造されている。活性炭の製造には、二つの工程、即ち、先駆体材料を熱分解して粗原料木炭となすこと、及び当該木炭を酸化雰囲気に曝してガス化することが含まれ、それによって、その生成物の孔容積と表面積が大きく増大する。
【0020】
活性炭の好適な形態には、亜炭を水蒸気活性することによって作られる酸洗浄活性炭粉末が含まれるが、これに限定されない。活性炭の構造は、脂肪族架橋基によって架橋された欠損炭素層面の捩れ網状組織として記載されている。多くの活性炭の形態は、非晶質粒子と、非常に大きな孔容積即ち表面積と炭素面の不規則な捩れに一部起因する低密度を有する黒鉛結晶との組み合わせとして記載することができる。
【0021】
活性炭の好ましい特性は、商業的に使用されているものとしては、薬剤中間体の処理、糖溶液及びコーンシロップの精製のような食品関係の用途、及び飲料水の処理に使われている。
【0022】
ポリエステルポリマー内の活性炭の位置は、限定されない。活性炭は、ポリエステルポリマー、ペレット、プレフォーム、又はボトルの表面あるいは内部のいずれの位置に配されてもよい。ペレット形態のポリエステルポリマーでは、連続相を形成することが好ましい。連続相「内」に分布するとは、通常は塗膜に期待されるような表面にのみ配されているのとは対照的に、活性炭が少なくともペレットの一部の横断カット面内に見られることを意味している。活性炭は、ポリエステルポリマー内にランダムに分布していても、別々の領域内に分布していても、あるいは熱可塑性ポリマーの部分内にのみ分布していてもよい。これに代えて、活性炭は、ポリエステルポリマーの表面に配されてもよい。好ましい実施態様では、活性炭は、当該活性炭を溶融物に添加する方法、又は当該活性炭を固体ポリマー組成物と混合し、次いで溶融、混合する方法によって、ポリエステルポリマー組成物の全体にわたってランダムに配されている。
【0023】
再加熱剤としての使用に好適な活性炭の比表面積、密度、特性、及び粒度は、特に限定されない。しかしながら、再加熱指数1.05で測定されるときに70以上の明度L*を維持しながら、再加熱速度を、再加熱指数1.05以上、より好ましくは1.08以上に改善する活性炭種を用いることが、非常に望ましい。この再加熱指数は、以下に特定されるように活性炭又は何らの他の再加熱速度増進添加剤が存在しない対照ポリマーに対する、輻射エネルギー源に曝した後の活性炭を含有する試験サンプルの温度における平均増分の比率である。
【0024】
当該再加熱指数は、再加熱指数値を決定する目的で、また、再加熱指数1.05あるいは他の値下でのL*を確認する目的で、以下のように測定され、算定される。ポリマーサンプル及び対照サンプルは、二組の、それぞれが3cmの直径と67ミル(1ミル=0.001インチ)の厚さをもつ3枚のディスクに射出成形される。当該ディスクは、周囲温度と平衡を保つまで24時間、放置される。再加熱添加剤をそれぞれの量で含む対照ディスクと試験サンプルディスクの両者は、以下のように取り扱われる。各ディスクは、その縁に沿ってのみ成形品と接している支持体上に置かれる。アクチュエーターが、自動的にディスクを高温計の下方に移動させ、初期温度(Ti)が測定される。次いで、当該ディスクは、60Vで照らされる電球(GE DYH照射電球、250W,120V)を備えたランプの下方の一定距離まで移動され、20秒間、輻射光に曝される。ランプのカラー温度は、約2200℃である。加熱後、このディスクは、自動的に高温計まで戻され、そこで、ランプ(前面)に面した側部の中央域の表面温度が、ランプの消灯後2秒間(Tf)記録される。逐次試験の間には、90秒間の冷却サイクルが用いられ、その間に、次のサンプルを装填する前に、送風機によりランプの筐体が冷却される。記録される温度は、3枚のディスクのそれぞれから得られる平均温度である。当該サンプルの再加熱指数は、以下の等式:
再加熱指数=(Tf−Tiサンプル/(Tf−Ti対照
により算定される。
【0025】
ここで、参照として用いた対照材料は、約0.80dL/gの極限粘度を有するポリエチレンテレフタレートポリマーであって、当該ポリマーは、アンチモン触媒から意図的に還元されたアンチモン金属を生成させる還元剤を添加しないアンチモン化合物で触媒された純粋なテレフタル酸から得られたもので、1.5モル%のシクロヘキサンジメタノールで変性されており、そしてそれには活性炭や他の添加された再加熱速度増進剤は含まれていない。対照ディスクは、サンプルディスクと全く同じように試験される。
【0026】
(以下に記載するポリエステル濃厚組成物以外の)ポリエステル組成物、プレフォーム及び容器における活性炭の好適な量は、当該ポリエステル組成物中の全ポリエステルポリマー重量に対して0.5〜250ppmの範囲である。用いられる活性炭の最適量は、活性炭のタイプ及び特性、粒度及び表面積、粒子の形態、及び所望の再加熱速度の改善の程度に左右される。典型的な量は3〜100ppmであり、そして殆どの用途では、活性炭の好適量は10〜50ppmである。
【0027】
活性炭のd50粒度は、約100μmまでであってよい。この粒度は、レーザ回折型の粒度分布計で測定できる。これに代えて、粒度は、メッシュを通過する粒子の割合と関連付けることができる。少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の粒子が140標準米国篩を通過する粒度分布を有する活性炭は、再加熱剤としての使用に好適である。また、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の粒子が325標準米国篩を通過する粒度分布を有する活性炭も、再加熱剤としての使用に好適である。
【0028】
本発明で用いられる活性炭は、プレフォームの再加熱速度を増進させるだけでなく、予期しないことに、L*を許容レベル以下に下げないことで、プレフォーム及びボトルの明度に与える影響を最小のものとしている。プレフォーム又はボトルの許容可能なL*値は、再加熱指数1.05、好ましくは1.08で測定されるときに、70以上であると看做されている。
【0029】
*カラーに係る活性炭を含む添加剤の影響は、CIEカラー標準L*値を用いて判定することができる。L*値は、明度の測度である。この値は、ASTM D−2244−93に従って測定される。カラー測定理論と実践は、Fred W. Billmeyer, Jr. 著の「Principles of Color Technology(カラー技術の原理)」、25〜66頁、John Wiley & Sons 社、ニューヨーク(1981年)に詳細に論じられている。Billmeyer, Jr.の明度は、CIE 1976の対立カラースケールにおけるL*として測定され、100%をもって、全ての波長で100%反射する完全白色物体であることを示し、又は、無色のサンプルでは、全ての波長で100%透過することを示す。カラーサンプルでのL*100は、完全に透過し、一方、無色のサンプルでのL*0は、不透明となる。
【0030】
特定のポリエステル組成物のL*値を決定するため、溶融物、ペレット、プレフォーム又はボトルの形態では、当該ポリエステル組成物は、以下の方法によって分析される。L*が、3cm径、67ミルの厚さを有する成形ディスクに関して測定される。HunterLab の超走査分光比色計を用いて、一緒に重ねられた3枚のディスク(約201ミルの厚さ)に係るL*が測定される。当該装置は、D65照明光源を用いて、10°の観察角及び積分球立体図形で操作される。カラー測定は、全透過(TTRAN)モードでなされ、そこではサンプルを完全に透過する光と拡散して散乱する光の両者が測定される。3枚のディスクは、最大の表面積が光源に対して直角に配置されるようにして、光源の前に一緒に積み重ねられる。
【0031】
その他の実施態様では、我々は、また、活性炭が、L*を許容レベル以下でしか低減させないことで、プレフォーム及びボトルの明度に最小の影響しか与えずにプレフォームの再加熱速度を高めるばかりでなく、以下の熱処理条件下で存在する遊離アルデヒドの量をかなり低減させることで、付加的ではあるが本質的ではない利益をもたらすことも、見出している。アルデヒド(AA)は、熱処理条件下でのPETの望ましくない分解副産物である。仮に、AAの濃度が高くなり過ぎると、それは、PET容器に入れられた飲料の香りに悪影響を与えることとなる。このことは、水のような無香飲料では最も顕著である。よって、熱処理されたPETにおけるAAの量を減らすことができる添加剤が、非常に望ましい。PETを熱処理すると、一度、当該PETポリマーが、例えば、重合仕上器内、ペレットの押出時、あるいはプレフォームを製造する射出成形機内において、約0.35以上の極限粘度となり、溶融されると、そのいかなる段階でもAAが発生し得る。
【0032】
よって、この、他の実施態様では、2μmを超えるd50粒度を有し、かつ、前記活性炭を含まない同じ組成物中でのAA量に比して、少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、最も好ましくは少なくとも15%だけAA量を低下させる活性炭を含む溶融物、ペレット、シート、プレフォーム及びボトルを含むがこれらに限定されないポリエステル組成物が提供される。
【0033】
PET組成物中のAA量を決定する目的で用いられる方法は、仏国方式の試験法である。押出されたサンプルは、1.0のメッシュ篩を備えたWiley 微粉砕機を通して極低温で磨砕される。サンプルの一部(0.20g)は、20mLのヘッドスペースバイアル内に秤量して挿入され、密封され、次いで150℃で、60分間加熱される。加熱後、密封されたPETポリマーのサンプル上のガスが、ガスクロマトグラフのカラム上に注入される。当該アセトアルデヒドが分離され、その後、サンプル中に存在するアセトアルデヒドのppmが算定される。
【0034】
その他の実施態様では、溶融物、ペレット、シート、プレフォーム及び/又はボトルの形態において、2μmを超える、又は3μm以上、又は5μm以上で、100μmまでであるが、好ましくは50μm以下、そしてより好ましくは35μm以下のd50を有する、0.5ppm、又は少なくとも3ppm、又は少なくとも10ppmの活性炭を含むポリエステル組成物が提供され、当該ポリエステル組成物は、再加熱指数1.05で、より好ましくは再加熱速度指数1.08で測定されるときに、70以上、好ましくは75以上、最も好ましくは80以上のL*値を有している。
【0035】
上述したように、当該活性炭粒子の比表面積は、特に限定されない。しかしながら、より高速で赤外線エネルギーを吸収するためには、当該粒子の表面積を増大させることが望ましい。500m2/gを超える比表面積を有し、同じく1000m2/gの比表面積を有する活性炭が好適である。
【0036】
本発明の第一処理の実施態様では、2μmを超える粒度を有する活性炭は、エステル化ゾーンを含む溶融相における任意の位置で、プレポリマーゾーンと仕上ゾーンからなる重縮合ゾーンに、ペレット化ゾーンの前に、そしてこれらゾーン間の任意の位置に添加される。また、活性炭は、それらが固相の反応器を出る際に、固相ペレットに添加されてもよい。更に、活性炭は、射出成形機への他の供給物と共にPETのペレットに添加されても、あるいは別々に射出成形機に供給されてもよい。明瞭にするために、活性炭は、溶融相に添加されてもよく、あるいは当該ポリエステル組成物を固化、単離してペレットとすること無く射出成形機に添加されてもよい。よって、また、活性炭は、プレフォームを作る工程におけるいずれかの箇所での成形工程への溶融物に添加されてもよい。添加時でのそれぞれの場合に、活性炭は、粉体だけで液体又はポリマーの濃厚物中に添加されても、未使用PET又は再利用PETに添加されても、あるいはPETポリマーの担体として未使用PET又は再利用PETを用いるポリマー濃厚物として添加されてもよい。それぞれの場合に、この第一処理の実施態様では、活性炭は、2μmを超える粒度を有している。
【0037】
第二の実施態様では、ジアルキルテレフタレート又はジアルキルナフタレートをエステル交換するか、あるいはテレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸を直接エステル化することによって作られるポリアルキレンテレフタレート又はポリアルキレンナフタレートポリマーのようなポリエステルポリマーを含むポリエステル組成物の製造方法が提供される。当該ポリエステルポリマー組成物は、活性リン含有化合物の存在下に、ポリエステルポリマー製造用の溶融相に活性炭を添加することによって製造される。活性のリン含有化合物とは、溶融物中に存在する金属化合物と活発に反応する、あるいは反応可能な、そして/また活性炭が当該溶融相に添加される際に活性炭の触媒活性を(活性炭が触媒活性を有する程度まで)減ずるように作用するリン化合物を意味する。
【0038】
ポリエステルの慣用的な製造法では、リン含有化合物は、通常、反応混合物中に存在する金属化合物と反応させるために、プレポリマー化ゾーンより遅くない段階で溶融相に添加される。これが仮に未処理のまま放置されると、溶融物中に着色物を生成し、同時にアセトアルデヒドの生成を触媒するため、両者とも望ましくない。よって、リン含有化合物は、安定剤と言われてきた。DMT系のプロセスでは、エステル交換触媒は、通常、その触媒が着色物の生成に活性があるため、エステル交換反応の完了時に完全にブロックされる。直接のエステル化反応では、反応混合物中に不純物として痕跡量で存在する金属化合物を着色物の生成から防ぐために、リン含有化合物は当該溶融物に添加するのが有効であることが見出されている。しかしながら、リン含有化合物は、当該溶融物中の金属化合物の不純物と反応するばかりでなく、そのエステル化及び重縮合の金属触媒とも反応してしまう。それにも拘らず、活性炭の触媒活性を減ずる可能性のある活性リン化合物の存在下で、当該溶融相に活性炭が添加されるときですら、許容可能なL*及び再加熱速度を有するポリエステル組成物が製造されることがある。
【0039】
よって、この実施態様では、活性炭は、リン含有化合物に関して種々な順序及び段階での溶融相に添加することができる。例えば、活性炭は、
a)リン化合物と同時に、エステル化ゾーン、プレポリマー化ゾーンに、又はこれら二つのゾーン間のいずれかの箇所で、あるいは、
b)リン含有化合物がエステル化ゾーンに添加される前のエステル化ゾーンに(ここでは、リン含有化合物は所望程度のエステル化までエステル化反応が完了する前に添加される)、あるいは、
c)反応混合物が活性なリン含有化合物を含有していることを条件として、エステル化ゾーン又はプレポリマー化ゾーンにリン化合物が添加された後に、
添加することができる。
【0040】
第三処理の実施態様では、プレポリマーゾーン後のポリアルキレンテレフタレート又はポリアルキレンナフタレートの製造用の溶融相に、あるいはポリアルキレンテレフタレート又はポリアルキレンナフタレートの固体に、あるいはボトルプレフォームを製造するための射出成形機に(ある粒度を有する)活性炭を添加して、ジアルキルテレフタレート又はジアルキルナフタレートをエステル交換するか、あるいはテレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸をジオールと直接エステル化することによるポリアルキレンテレフタレート又はポリアルキレンナフタレートポリマー組成物の製造方法が提供される。
【0041】
これら処理の各実施態様について、当該ポリエステルポリマーの記載と共に、更に詳しく説明する。
【0042】
ポリエステルポリマーは、好ましくはPET,PEN、又はそれらの混合物あるいはコポリマーである。最も好ましいポリエステルポリマーは、ポリエチレンテレフタレートである。本発明で使用されているように、ポリアルキレンテレフタレートポリマー又はポリアルキレンナフタレートポリマーは、ポリマー単位の全モル当たり、それぞれが少なくとも60モル%量のポリアルキレンテレフタレート単位又はポリアルキレンナフタレート単位を有するポリマーであることを意味している。好ましくは、当該ポリマーは、その反応混合物に添加される成分のモル%で測定されて、少なくとも85モル%、より好ましくは少なくとも90モル%、そして最も好ましくは92モル%の量のエチレンテレフタレート単位又はナフタレート単位を含有している。よって、ポリエチレンテレフタレートポリマーには、脂肪属酸又は芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコール又はアリールグリコールから誘導されるエチレンテレフタレート単位と他の単位とからなるコポリマーが含まれてもよい。
【0043】
具体的な目的で、ポリエチレンテレフタレートが参照されると、当該ポリマーは、ポリエチレンナフタレートポリマーであってもよいことが理解されるべきである。ポリエチレンテレフタレートは、少なくとも60モル%の、好ましくは少なくとも70モル%の、より好ましくは少なくとも85モル%の、更に好ましくは少なくとも90モル%の、そして多くの用途では少なくとも95モル%にもなるテレフタル酸又はC1〜C4のジアルキルテレフタレートを含むジ酸又はジエステル成分と、少なくとも60モル%の、好ましくは少なくとも70モル%の、より好ましくは少なくとも85モル%の、更に好ましくは少なくとも90モル%の、そして多くの用途では少なくとも95モル%にもなるエチレングリコールを含むジオール成分とを反応させることによって製造することができる。また、そのジ酸成分はテレフタル酸で、そのジオール成分はエチレングリコールであることが、好ましい。全てのジ酸成分のモルパーセントは、合計で100モル%となり、そして全てのジオール成分のモルパーセントは、合計で100モル%となる。
【0044】
ポリエステルペレットの組成物には、ポリカーボネート(PC)及びポリアミドのような他の熱可塑性ポリマーと共に、ポリアルキレンテレフタレート、PEN,又はそれらの混合物が含まれてよい。当該ポリエステル組成物には、ポリマー重量に対して、(フィラー、化合物、無機化合物又は粒子、ファイバー、衝撃改質剤、又は不連続相を形成する他のポリマーを除く)多量の、より好ましくは少なくとも80重量%量の、最も好ましくは少なくとも95重量%量のポリアルキレンテレフタレートポリマー又はPENポリマーが含まれることが、好ましい。テレフタル酸から誘導される単位に加えて、当該ポリエステルの酸成分は、1個以上の付加的なジカルボン酸から誘導される単位で変性されてもよい。かかる付加的な酸成分には、好ましくは8〜14個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸、好ましくは4〜12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸、又は好ましくは8〜12個の炭素原子を有する脂環式ジカルボン酸が含まれる。この酸成分を変性するために有用なジカルボン酸単位の具体例は、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンジ酢酸、ジフェニル−4,4'−ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等であり、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、及びシクロヘキサンジカルボン酸が、最も好ましい。これら酸の対応する酸無水物、エステル、及び酸クロリドは、用語「ジカルボン酸」に含まれることが、理解されるべきである。
【0045】
エチレングリコールから誘導される単位に加えて、当該ポリエステルのジオール成分は、好ましくは6〜20個の炭素原子を有する脂環式ジオール及び好ましくは3〜20個の炭素原子を有する脂肪族ジオールを含む付加的なジオールからの単位で変性されてもよい。かかるジオールの具体例には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、3−メチルペンタンジオール−(2,4)、2−メチルペンタンジオール−(1,4)、2,2,4−トリメチルペンタンージオール−(1,3)、2,5−エチレンヘキサンジオール−(1,3)、2,2−ジエチルプロパン−ジオール−(1,3)、ヘキサンジオール−(1,3)、1,4−(ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン、2,2−ビスー(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチルーシクロブタン、2,2−ビス−(3−ヒドロキシエトキシフェニル)−プロパン、及び2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)−プロパンが含まれる。典型的には、ポリエチレンテレフタレートポリマーのようなポリエステルは、グリコールを、遊離酸又はそのジメチルエステルのようなジカルボン酸と反応させて、エステルモノマーを得、次いでこれを重縮合してポリエステルを得ることによって作られる。必要な場合には、当該ポリエステルの分子量は、次いで固相重合によって更に大きくされてもよい。溶融相及び/又は固相重合後に、このポリエステル組成物は、先駆体ペレットとして、0.55dL/g〜約0.70dL/gの範囲の極限粘度(It.V.)、及び固相のペレットの場合には、0.70dL/g〜約1.15dL/gの範囲の極限粘度を有することが、好ましい。
【0046】
本発明のポリエステル組成物は、満足するエステル化及び重縮合をもたらす当該分野で周知な慣用の重合手順によって製造することができる。ポリエステル溶融相の製造工程には、エステル化ゾーンで、エステル化触媒の存在下に選択的にジカルボン酸とジオールとを直接縮合させ、次いで、プレポリマーゾーン及び仕上ゾーンで、重縮合触媒の存在下に重縮合させること、あるいは、通常、エステル化ゾーンで、エステル交換触媒の存在下にエステル交換させ、次いで、重縮合触媒の存在下に初期重合及び仕上を行うことが含まれるが、それぞれは、選択的に、周知の方法によって固体状態であってもよい。
【0047】
更に説明すると、一種以上のジカルボン酸、好ましくは芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成誘導体と一種以上のジオールとの混合物が、約200℃〜300℃、典型的には240℃〜290℃の温度下、そして約1psi〜約70psiの圧力下で操作されるエステル交換器に供給される。反応物の滞留時間は、典型的には約1〜5時間である。通常は、ジカルボン酸は、高圧下、約240℃〜約270℃の温度下で直接エステル化される。当該エステル化反応は、少なくとも60%のエステル化の程度が達成されるまで続けられるが、典型的には、望ましいモノマーを作製するため少なくとも85%のエステル化の程度が達成されるまで継続される。このエステル化モノマー反応は、典型的には、直接のエステル化工程では触媒されないが、エステル交換反応では触媒される。重縮合触媒は、選択的に、エステル/エステル交換触媒と共に、エステル化ゾーンに添加される。
【0048】
使用されてよいエステル/エステル交換触媒には、チタンアルコキシド、ジブチル錫ジラウレートが含まれるが、これらは、別々に、あるいは任意に、亜鉛、マンガン、又はマグネシウムの酢酸塩又は安息香酸塩及び/又は当業者に周知な他のかかる触媒物質と組み合わせて用いられてもよい。また、リン含有化合物及びコバルト化合物が、エステル化ゾーンに存在してもよい。このエステル化ゾーンで生成されて得られる生成物には、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)モノマー、低分子量オリゴマー、DEG、及び縮合副生物としての水が、触媒反応によって生成される他の痕跡不純物及び着色剤やリン含有化合物のような他の化合物と共に、含まれる。BHET及びオリゴマー種の相対量は、当該工程が、オリゴマー種が顕著で、主たる種としても存在している直接エステル化工程であるか、あるいはBHETの相対的な量がオリゴマー種よりも優位を占めるエステル交換工程であるかによって変わる。水は、エステル化反応結果物として取り除かれ、そして過剰なエチレングリコールは、好適な平衡条件を与えるように除かれる。このエステル化ゾーンでは、典型的に、連続する一連の1個以上の反応器内のそれぞれで、モノマーとオリゴマーの混合物が生成される。これに代えて、当該モノマーとオリゴマーの混合物は、1個以上のバッチの反応器内で得ることもできる。しかしながら、PENの製造工程において、モノマー種として含まれる反応混合物は、ビス(2−ヒドロキシエチル)ナフタレート及びその相当オリゴマーであると、考えられている。一度、そのエステルモノマーが所望のエステル化程度まで作られると、それは、エステル化ゾーン内のエステル化反応器からプレポリマーゾーン及び仕上ゾーンからなる重縮合ゾーンに移される。重縮合反応は、プレポリマー化ゾーン内で開始され、溶融相の状態で続行された後、仕上ゾーンで溶融相の状態で終了し、その後、溶融物が、チップ、ペレット、又は他の形態で、先駆体物質の固体に固化される。便宜上、固体はペレットと言うが、ペレットはいかなる形態も有するものと理解されるべきである。所望の場合は、重縮合反応は、固相ゾーンで先駆体ペレットを固相化することによって続行されてもよい。
【0049】
本明細書中では、プレポリマーゾーン及び仕上ゾーンが参照されるが、各ゾーンには、異なる条件下で操作する一連の1個以上の明確な反応容器が含まれてよく、あるいは当該ゾーンが、単一の反応器内で異なる条件下での一以上の副段階を用いる一つの反応容器に結合されてもよい。つまり、当該プレポリマー段階には、連続的に操作される1個以上の反応器を用いること、1個以上のバッチ反応器を用いること、あるいは単一の反応容器内で一以上の反応工程又は副段階が行われることが含まれてよい。ある反応器の設計では、プレポリマー化ゾーンは、反応時間の点で重縮合の最初の半分を示し、一方、仕上ゾーンは、重縮合の第2の半分を示す。これに対して、他の反応設計では、プレポリマー化ゾーンと仕上ゾーンとの間の滞留時間を約2:1の比に調整してもよいが、プレポリマー化ゾーンと仕上ゾーン間での全ての設計における共通の区別は、後者のゾーンでは、プレポリマー化ゾーンにおける操作条件よりも、一層高温、低圧で、かつより高い表面更新速度下で操作することである。一般に、プレポリマー化ゾーン及び仕上ゾーンのそれぞれには、一つ又は一連の1個以上の反応容器が含まれ、かつ、その予備重合反応器及び仕上反応器は、ポリエステルポリマーを製造するための連続工程の一部として、一連の中に組み込まれている。
【0050】
プレポリマー化ゾーンでは、また、当該工業において低重合器として知られているように、低分子量モノマーや少量のオリゴマーが、触媒の存在下に、重縮合を経て重合されて、ポリエチレンテレフタレートポリエステル(即ち、PENポリエステル)も生成されている。仮に、触媒が、当該モノマーのエステル化段階で添加されない場合には、当該触媒はこの段階で添加されて、モノマーと低分子量オリゴマーとの間の反応を触媒して、プレポリマーが生成され、副生物としてジオールが除かれる。仮に、重縮合触媒がエステル化ゾーンに添加される場合には、それは、一般に、ジオールとブレンドされて、ジオール供給物としてエステル化反応器に供給される。また、リン含有化合物、コバルト化合物、及び着色剤のような他の化合物が、プレポリマー化ゾーンに添加されてもよい。しかしながら、これらの化合物は、プレポリマー化ゾーンに代えて、あるいはプレポリマー化ゾーンに加えて、仕上ゾーンに添加されてもよい。典型的なDMT系プロセスでは、当業者は、他の触媒物質並びに当該触媒物質及び他の成分の添加時点を典型的な直接エステル化工程とは変えていることが認められる。
【0051】
典型的な重縮合触媒には、得られるポリエステルポリマーの重量に対して0.1〜1000ppmの範囲量の、Sb、Ti、Ge、Zn及びSnの化合物が含まれる。プレポリマー化ゾーンに添加される通常の重合触媒は、アンチモン系重合触媒である。好適なアンチモン系触媒には、当該分野で認められているアンチモン(III)及びアンチモン(V)化合物及び特に、ジオール可溶性アンチモン(III)及びアンチモン(V)化合物が含まれ、アンチモン(III)が最も普通に使われる。他の好適な触媒には、ジオールと反応するが、必ずしもジオールに可溶性でないそれらのアンチモン化合物が含まれるが、かかる化合物の具体例には、アンチモン(III)酸化物が含まれる。好適なアンチモン触媒の特定の具体例には、アンチモン(III)酸化物及び酢酸アンチモン(III)、アンチモン(III)グリコレート、アンチモン(III)エチレングリコキシド及びそれらの混合物が含まれるが、アンチモン(III)酸化物が好ましい。添加されるアンチモン触媒の好適な量は、得られるポリエステルの重量当たり、約75〜約400ppmの量を与えることが有効である。
【0052】
このプレポリマーの重縮合段階では、一般に、一連の2個以上の反応容器が用いられ、役250℃〜305℃の温度で、約1〜4時間操作される。この段階時に、モノマー及びオリゴマーの極限粘度は約0.35以下まで増大する。そのジオール副生物は、その反応を完了させるために15〜70トールの真空を用いてプレポリマーの溶融物から除かれる。これに関して、ポリマー溶融物は、普通、撹拌されて、当該ポリマー溶融物からのジオールの除去を促進させ、また重合容器を通る高粘性ポリマー溶融物の移動を助ける。当該ポリマー溶融物は継続的な容器に供給されるので、当該ポリマー溶融物の分子量及びそれによる極限粘度が増大する。一般に、各容器の温度を上げ、圧力を下げると、それぞれの引き続く容器内での重合の程度がより大きくなる。しかしながら、グリコール、水、アルコール、アルデヒド、及び他の反応性生物の除去を助けるために、各反応器は、典型的に、真空下に又は不活性ガスでパージして稼動させる。不活性ガスは、反応条件下で、望ましくない反応又は生成物特性を発生させないいずれかのガスである。好適なガスには、CO2、アルゴン、ヘリウム及び窒素が含まれるが、それらに限定されない。
【0053】
一度、0.35以下の極限粘度が得られたなら、当該プレポリマーは、プレポリマー化ゾーンから仕上ゾーンに送られ、そこで、当該重縮合の第2の半分が一以上の仕上容器内で継続される。当該仕上容器は、溶融物の極限粘度がプレポリマー化ゾーンでの溶融物の極限粘度(典型的には0.30dL/gであるが、通常、0.35dL/g以下)から約0.50〜約0.70dL/gの範囲の極限粘度に増大するまで、仕上容器での温度が、プレポリマー化ゾーンでの温度よりも高温、即ち280℃〜305℃の範囲の値まで高められている。当該工業分野において、一般に、「高重合器」、「仕上器」又は「重縮合器」として知られる最終容器は、約0.8〜4.0トールの範囲内の、プレポリマー化ゾーンで用いられるよりも低圧下で操作される。仕上ゾーンには、典型的に、プレポリマーゾーンと同じ塩基性成分が含まれるが、その分子の大きさ、かくしてその粘度が異なるという事実は、反応条件もまた異なるということを意味する。しかしながら、予備重合反応器と同様に、仕上容器のそれぞれは、フラッシュ容器と連結され、そして、それぞれは、普通は、エチレングリコールの除去がし易いように撹拌される。連続工程における、重縮合容器での滞留時間及びエチレングリコールとテレフタル酸のエステル化ゾーンへの供給速度は、一部、当該ポリエチレンテレフタレートポリマーの目標分子量に基づいて決定される。当該分子量は、ポリマー溶融物の極限粘度に基づいて容易に決定できるので、一般に、当該ポリマー溶融物の極限粘度を用いて、温度、圧力、反応体の供給速度、及び重縮合容器内での滞留時間のような重合条件は、決定される。
【0054】
一度、所望の極限粘度が仕上器内で得られたら、当該溶融物はペレット化ゾーンに送られ、そこで、濾過されて、所望の形態に押出される。本発明のポリエステルポリマーは、濾過されて、所定の大きさを超えるものが除かれ、続いて、溶融相で押出されて、ポリマーシート、フィラメント、又はペレットに成形される。このゾーンは「ペレット化ゾーン」と呼ばれているが、このゾーンは、溶融物をペレット形態に固化することに限定されずに、所望の形態に固体化することも含まれる。好ましくは、当該ポリマー溶融物は、重縮合の直後に押出される。押出し後に、当該ポリマーは、好ましくは水が噴霧されて、あるいは水中に浸漬されることによって冷却されて、固体化が促進される。この固体化した重縮合ポリマーは、ペレットを含むいずれかの所望の形状に切断される。
【0055】
当業者に知られているように、重縮合ポリマーから形成されたペレットは、ある状況下では、固相化ゾーンに付され、そこで当該固体が最初に結晶化され、続いて固相重合(SSP)されて、溶融相で存在していた極限粘度から意図する最終用途に有用な所望の極限粘度にまでポリエステル組成物の固体の極限粘度を更に増大させてもよい。典型的には、固相のポリエステル固体の極限粘度は、0.70〜1.15dL/gである。
【0056】
その後、ポリエステルポリマーの固体は、それが固相であるか否かに拘わらず、再溶融、再押出しされて、容器(例えば、飲料ボトル)、フィラメント、フィルム、又は他の用途のような成形品に成形される。この段階で、ペレットは、典型的に、延伸吹込成形されてボトルとなるプレフォームに好適な射出成形機に送られる。
【0057】
第一の処理態様で前述したように、2μmを超える粒度を有する活性炭は、前記溶融相に、あるいはその後におけるいかなる箇所で添加されてもよい。よって、2μmを超える粒度を有する活性炭は、エステル化ゾーン、プレポリマー化ゾーン、仕上ゾーン、及びペレット化ゾーンに、あるいはこれら各ゾーン間のいかなる箇所でも、例えば計量装置、配管、及び混合機に添加することができる。また、活性炭は、固相ゾーン内に又はペレットが固相反応器を出る際に、固相ゾーンのペレットに添加することもできる。更に、活性炭は、射出成形機への他の供給材料と共にペレットに、あるいは別に、射出成形機に添加されてもよい。
【0058】
活性炭が溶融相に添加される場合には、溶融相、特にペレット化ゾーンでのフィルターを通過するに十分な小さなd50粒度を有する活性炭を使用することが好ましい。このようにすれば、当該粒子が、溶融物のフィルター通過に必要なギアポンプ圧の増加によって見られるように、フィルターを詰まらせることはない。しかしながら、所望の場合には、活性炭は、ペレット化ゾーンのフィルターの後でかつ押出器の前又は押出器に添加されてもよい。
【0059】
第2の処理態様では、いずれのd50粒度の活性炭が、リン含有化合物と共にエステル化ゾーン、プレポリマーゾーン又はそれらの間のいずれかの箇所で、あるいはエステル化ゾーンへのリン化合物の添加後でエステル化反応が所望の程度まで完了する前に、あるいはいずれかのゾーンへのリン化合物の添加後でかつ活性リン化合物を含有する反応混合物に添加されてもよい。活性炭は、触媒としてというよりもむしろ再加熱剤として使用されるので、活性炭は、活性炭の触媒活性を低下させるように働く、そして/また溶融物に存在する金属化合物と反応する他の化合物の存在下に溶融相に添加されてよい。活性炭は加熱速度を高める機能を有するので、活性炭の添加時点、又は当該溶融物におけるかかる他の活性化合物の存否に制限を受けない。再加熱増進剤としての活性炭の機能によって、溶融相に活性リン含有化合物が存在しても広範な作動時間が取れ、また適宜な箇所で活性炭を添加してもよいという融通性をもたらす。よって、活性炭は、リン含有化合物と共に、混合物としてエステル化ゾーン又はプレポリマーゾーンへの供給原料流に添加されてもよいし、あるいは別個の供給原料として、同時に当該ゾーン内の反応混合物に添加されてもよい。これに代えて、活性炭は、リン化合物がエステル化ゾーンに添加された後でかつエステル化反応の完了前に、エステル化ゾーン内の反応混合物に添加されてもよい。リン化合物は、それがエステル化触媒又は重縮合触媒の全てと結合するに足る程長い滞留時間を有しないという理由、あるいは化学量論的に過剰な量のリンが反応混合物に添加されているという理由のため、特定ゾーン内での活性が残留していることがある。この理由で、活性炭は、リン化合物が存在し、活性炭又は溶融物中の他の金属化合物と結合あるいは反応する活性のあるいかなるゾーンに添加されてもよい。
【0060】
当該溶融相に添加される典型的なリン含有化合物は、当該分野で認められている酸性のリン含有化合物である。かかる添加剤の好適な具体例には、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、カルボキシホスホン酸、及びホスフェートモノ−及びジ−エステルのような酸性のホスフェートエステル及びトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリトリルホスフェート、エチレングリコールホスフェート、トリエチルホスホノアセテート、ジメチルメチルホスホネート、テトライソプロピルメチレンジホスホネート、リン酸のモノ−、ジ−、及びトリ−エステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、及び2−エチルヘキサノールとの混合物のような非酸性のホスフェートエステルを含むそれらの誘導体のいずれか、又は、特にそれらの混合物が含まれる。
【0061】
前述したように、第3の処理態様では、活性炭(特定粒度を有する)は、プレポリマーゾーン後のポリアルキレンテレフタレート又はポリアルキレンナフタレート製造用の溶融相に、あるいはポリアルキレンテレフタレート又はポリアルキレンナフタレートの固体に、あるいはボトルプレフォームを製造するための射出成形機に添加される。エステル化又は重縮合用の触媒は、エステル化ゾーンに、あるいはプレポリマーゾーンの重縮合の開始時に添加される。活性炭は再加熱増進剤として働くので、当該活性炭は、触媒がエステル化又は重縮合反応を触媒するために添加されなければならない時点の後の溶融相に、そしてプレポリマー化の後の溶融相に対してばかりでなく、固体にあるいはプレフォームを製造するための射出成形機に添加されてもよい。
【0062】
これらの各処理態様では、活性炭は、粒子形態の単独で、エチレングリコールのような液体キャリアで、又はポリマー濃厚物として添加することが可能である。ポリマー濃厚物として、当該活性炭を、製品の製造に使われるバルクポリマーと同じタイプのポリマー内に分散させ、その後バルクポリマーと溶融ブレンドすることによって、均一分散を促進させてもよい。得られる濃厚物は、25℃で固体である。これに代えて、活性炭を、25℃で液体となるポリマーに添加して、液体濃厚物を生成させるようにしてもよい。濃厚物を作るよりも、むしろ、活性炭は、これをキャリア媒体としてのジオールに添加し、続いて当該活性炭を含有するジオール流をエステル化ゾーン、プレポリマー化ゾーンに、これらのゾーン間に、そして選択的に、リン含有化合物と共に供給することによって添加されてもよい。
【0063】
当該ポリマー濃厚物は、未使用ポリマー又は使用後の再生ポリマー(PCR)であってよい。活性炭は、押出器に供給されて、ポリエステルの溶融物に分散され、次いでペレット化されて、当該ポリエステル組成物の全重量に対して0.15重量%〜35重量%量の活性炭を含有する濃厚物とされてよい。この濃厚物は、分離されて、後に、例えば、当該固体濃厚物と前記固体バルクポリマーとをプレフォームを作るための射出成形ゾーンで混練する方法で活性炭をバルクポリマー中に均一分散させることに使われる。活性炭と固体濃厚物は、ペレット/ペレット混合、ペレット/フレーク混合などの方法でバルクポリマーと混練されてよく、あるいは活性炭単独で又は液体キャリアでバルクポリマーの溶融物に添加されてもよい。プレフォームを作るための射出成形機への典型的な供給法には、射出成形機内の溶融したポリマーに活性炭を供給すること、あるいは射出成形機へ送られるバルクポリマー流と活性炭を混練すること、つまり、溶融ブレンド法又は乾式ペレットブレンド法が含まれる。
【0064】
活性炭は、それが単独で、濃厚物で又はキャリアで添加されるか否かに関係なく、溶融相に添加される前に、バルクポリマーに添加される前に、あるいは濃厚物となすための添加前に乾燥されてよい。また、添加前に乾燥されない場合には、当該濃厚物が、溶融ブレンドする前に乾燥されてもよい。当該濃厚物及び活性炭は、バルクポリマーに添加する前に乾燥されてもよい。これらは、乾燥ガス又は他の不活性ガス、例えば窒素の雰囲気下に乾燥されてよく、所望の場合は、減圧下で乾燥されてもよい。
【0065】
濃厚物に関しては、濃厚組成物の重量に対して、少なくとも0.15重量%、好ましくは少なくとも0.20重量%、そして約35重量%まで、又は20重量%までの量の活性炭と、濃厚組成物の重量に対して、少なくとも65重量%、好ましくは少なくとも80重量%で99.5重量%まで、そして好ましくは99.5重量%まで、より好ましくは98重量%までの量のポリエステル、ポリオレフィン、又はポリカーボネート、好ましくはポリアルキレンテレフタレート又はナフタレートポリエステルポリマーのような、25℃、1気圧で通常固体の熱可塑性ポリマーとを含む、濃厚組成物が提供される。当該濃厚物は、液体又は固体の形態であってよい。ポリマーペレットをプレフォームに変える転化器では、その射出成形段階で、活性炭がバルクポリエステルに継続的又は断続的に添加されるが、その際に、バルクのポリエステルポリマー供給材料と一緒に、前記固体又は溶融した濃厚ペレットを射出成形機に供給しても、あるいは前記固体濃厚物を固体バルクのポリエステルポリマーと固体/固体ブレンドしても、あるいは前記液体濃厚物を射出成形機に供給するか、更には末端の使用用途や顧客要求に合致させるべく前記濃厚物の量を秤量することによってプレフォームに含まれる活性炭の量を調整するようにしてもよい。
【0066】
当該濃厚物は、単軸又は二軸スクリュー押出機内で、選択的に、他の再加熱添加剤と混練して、活性炭と、ポリカーボネート、ポリエステル、又はポリオレフィン、好ましくは、ポリエチレンテレフタレートポリマー又はポリアルキレンナフタレートポリマーのような熱可塑性ポリマーとを混合することによって作られてもよい。好ましいポリカーボネートは、ビスフェノールAポリカーボネートである。好ましいポリオレフィンは、ポリエチレン及びポリプロピレンである。溶融温度は、少なくともポリマーの融点と同じ高さでなければならない。ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステルの場合は、溶融温度は、典型的に、260℃〜310℃の範囲である。好ましくは、溶融混練温度は、できるだけ低く維持される。押出物は、ストランド形態のようないかなる形態で抜取られてもよく、切断のような通常のやり方によって回収されてよい。
【0067】
好ましくは、当該濃厚物は、最終製品で使われるものと同様のポリエステルで調製される。しかしながら、ある場合には、濃厚物にポリオレフィンのようなその他のポリマーを使うと好都合であることがある。一つの実施態様では、仕上器を出る溶融流の一部がペレット製造機から反れて活性炭と混ざり合って、溶融濃厚物の流れとなったり、あるいは先ずペレットが溶融し、次いで液体の濃厚物流として溶融相に送られることによって、濃厚物のペレットが溶融相に添加されたりすることがある。いずれの場合にも、溶融した濃厚物の流れが、ポリエチレンテレフタレートを溶融製造するための異なる工程に沿ったいずれかの場所に添加されるか、あるいは、当該濃厚物がバルクポリマー又はその先駆体と最も相溶性であるように、射出成形機に送られるバルクポリマーに添加されたりする。例えば、その溶融した濃厚物の流れは、ポリエチレンテレフタレートの極限粘度と当該溶融濃厚物の極限粘度とが同様である箇所で、例えば+/−0.2dL/gの極限粘度、好ましくは、特に仕上ゾーンでの+/−0.05dL/gの極限粘度の箇所で溶融相に添加される。前記極限粘度は、60/40wt/wtのフェノール/テトラクロロエタン溶液中で、25℃下に測定されたものである。濃厚物は、重縮合段階での製造下のポリエチレンテレフタレートの典型的な極限粘度と一致するように0.3〜0.70dL/gの範囲の極限粘度で作ることができる。これに代えて、濃厚物は、射出成形段階で使われる固相ペレットの極限粘度と同様な極限粘度(例えば、先の粘度と一致する、0.70〜1.15dL/gの極限粘度)で作ることもできる。
【0068】
多くの他の成分が、当該濃厚物に添加されてもよい。例えば、結晶化助剤、耐衝撃性改良剤、表面滑剤、嵌め外し剤、塗料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、二酸化チタン及びカーボンブラックのような着色剤、ポリエチレン及びポリプロピレンのような核剤、ホスフェート化合物、フィラーなどが添加されてよい。これら添加剤の全て及びその使用は、当業者に周知である。
【0069】
活性炭を未使用のポリマーに添加することに加えて、濃厚物を作るため、あるいは予備重合反応器の後の溶融相に又は射出成形ゾーンに単独で添加するためであるか否かに拘わらず、活性炭は、また、(PCR)ポリマーに添加されてもよい。活性炭を含むPCRは、固体/固体ブレンドによって、あるいは両者の固体を押出機に供給することによって、未使用のバルクポリマーに添加される。これに代えて、活性炭を含むPCRポリマーは、プレポリマー化ゾーン及び仕上ゾーンの間で、未使用のポリマーを作るための溶融相に添加されると好都合である。プレポリマー化ゾーンの後の未使用溶融相の極限粘度は、この未使用溶融物とPCRとの溶融ブレンドが可能となる箇所で、十分に高い。更に、PCRは、仕上器に添加されてもよい。いずれの場合にも、未使用の溶融相に添加されるPCRには、活性炭が含まれる。活性炭は、前述した方法のいずれによってPCRと混練され、別個に送られて、加熱容器内で溶融ブレンドされ、次いで、これらの添加箇所で、未使用の溶融相に対して活性炭を含むPCRが添加されてもよい。
【0070】
本発明のポリエステル組成物は、パリソンとしても知られている、テストチューブ形状の、一般に射出成形又は熱成形された物品であるボトルプレフォームの成形に使われてもよい。このプレフォームには、ポリエステルポリマーと活性炭が含まれている。当該プレフォームには、そのポリエステルポリマー内に0.5ppm〜250ppmの範囲量で活性炭が含まれている。
【0071】
当該プレフォームは、普通、このプレフォームを石英製の赤外線加熱ランプの列を通過させることによって、ポリマー組成物のガラス転移温度より20℃高い温度となるまで加熱され、ボトル金型内に位置決めされ、次いで、金型の開口端を通して加圧空気が吹き込まれる。そして、ある場合には、当該プレポリマーは、延伸ブロー成形される。得られるボトルには、ポリエステルポリマーと活性炭が含まれ、好ましくは、0.5ppm〜250ppmの範囲量の活性炭粒子が、ポリエステルポリマーの連続相内に分散されている。
【0072】
種々の製品が、このポリエステルポリマーのペレットから作られる。製品には、シート、フィルム、ボトル、トレー、他の包装品、ロッド、チューブ、蓋、及び射出成形品が含まれる。いかなるタイプのボトルも、本発明のポリエステル組成物から作ることができる。一つの実施態様では、水を容れるのに好適なポリエチレンテレフタレートから作られる飲料ボトルが提供される。その他の実施態様では、熱いうちにボトル内に充たす飲料を容れるのに好適なヒートセット飲料ボトルが提供される。
【0073】
所望の場合には、当該プレフォーム仕上品の結晶化が、プレフォームに対して(吉野法における如く)、予備ボトルに対して(米国特許第5,382,157号明細書に概要が説明されるSidel SRCF 法における如く)あるいは現実のヒートセットボトルに対して行われてもよい。例えば、ヒートセットボトルは、プレフォームが暖められた又は熱せられた金型内に設置され、容器に延伸されて作られる。これらのボトルは、典型的に、熱充填された場合にも、約1容積%超の収縮が無いように設計されている。また、必ずしも必要であるとはいえないが、ボトルへの熱充填時での熱変形に耐えるように、ボトルの側壁に大量の球状結晶化を施すことも、望ましいことである。
【0074】
例えば、結晶化プレフォーム工程では、プレフォームが、晶化器に移送され、そこでの晶化熱の暴露に対してプレフォームの本体は遮蔽するが仕上品は暴露したままとする搬送車に載置される。プレフォームを収容した搬送車は、晶化器を通過し、そこでプレフォーム仕上品は、それが結晶化するに十分な時間、赤外線エネルギーに曝される。この段階では、好ましくは、プレフォームの本体は保護されたまま、プレフォーム仕上品の少なくとも一部が一列の炉内ランプからの(赤外範囲を含むスペクトルを横切る)輻射熱に曝されることが含まれる。仕上品は、選定されたポリエステルが速やかに結晶化する温度(PETの場合は、約150℃〜約180℃)まで加熱される。この結果、高度に結晶化した仕上品となる。この高度の結晶化度は、仕上品に対して寸法安定性を付与するので、得られる容器は、仕上領域で熱変形を受けること無く、熱充填が可能となる。
【0075】
本発明の組成物に対しては、当該ポリエステルポリマーの性能特性を向上させるために、他の成分が添加されてもよい。例えば、結晶化助剤、耐衝撃性改良剤、表面滑剤、嵌め外し剤、塗料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、着色剤、核剤、アセトアルデヒド減少化合物、他の再加熱速度増進剤、タルクのような粘着ボトル添加剤、フィラーなどが含まれてよい。また、当該樹脂には、当該分野で一般に知られている、三官能性又は四官能性コモノマー、例えば、トリメリット酸無水物、トリメチロールプロパン、ピロメリット酸二無水物、ペンタエリスリトール、及び他のポリエステル生成の多酸もしくはジオールのような、少量の分枝剤が含まれてもよい。これら添加剤の全て及び他の多くのもの並びにその使用は、当該分野で周知であり、更に議論する必要は無い。これらの化合物は、いずれも本発明で使用可能である。本発明の組成物は、本質的に、熱可塑性ポリマーと活性炭、並びに存在している単なる変性量の他の成分のブレンドからなっていることが、好ましい。
【0076】
活性炭と組み合わせて使われる他の再加熱速度増進剤の具定例には、カーボンブラック、アンチモン金属、錫、銅、銀、金、白金パラジウム、黒色酸化鉄等、並びに米国特許第6,197,851号明細書に含まれるがこれに限定されない、近赤外線吸収色素(ここで参照したことにより、本明細書中に含める。)が含まれる。
【0077】
好ましくは黒色である酸化鉄は、例えば、約0.01〜約200μm、好ましくは約0.1〜約10.0μm、そして最も好ましくは約0.2〜約5.0μmの極めて微粉砕された形態で使用される。黒色酸化鉄の好適な型には、磁鉄鉱及び磁赤鉄鉱、が含まれるが、これらに限定されない。赤色酸化鉄は、得られるポリマーに望ましくない赤の色相を与えるので、あまり好ましくない。このような酸化物は、例えば、「Pigment Handbook (顔料ハンドブック)」、第1巻、1973年、John Willey & Sons 社、323〜349頁に記載されている。
【0078】
本発明の組成物には、選択的に、1種以上のUV吸収性化合物が付加的に含まれてもよい。一つの具体例には、コモノマー、側基、又は末端基のいずれかとしてポリエステル分子に共有結合されるUV吸収性化合物が含まれる。 好適なUV吸収性化合物は、ポリエステルの処理温度で熱的に安定であり、約320nm〜約380nmの範囲で吸収し、そして前記ポリマーからは非抽出性である。当該UV吸収性化合物は、12ミル(305μm)厚のボトル壁を通して、好ましくは約20%未満、より好ましくは10%未満の370nmの波長を有するUV光の透過率を与える。好適な化学反応性のUV吸収性化合物には、以下の式:
【化1】

で表される置換メチン化合物が含まれる。
【0079】
式中、
Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、又はアルケニルであり、
1は、水素、又はアルキル、アリール、もしくはシクロアルキルのような基であり、当該基の全ては置換されていてもよい。
2は、ポリエステルとの縮合を妨げない基、例えば、水素、アルキル、置換アルキル、アリル、シクロアルキル又はアリールであり、
3は、水素又はアルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ及びハロゲンから選ばれる1−3置換基であり、そして
Pは、シアノ、又はカルバミル、アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、複素環、アルカノイル、もしくはアロイルのような基であり、当該基の全ては置換されてもよい。
【0080】
好ましいメチン化合物は、式中:R2が、水素、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、シアノアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル又はアリールであり、Rは、水素;シクロアルキル;1個又は2個のアルキル、アルコキシもしくはハロゲンで置換されたシクロアルキル;フェニル;1−3のアルキル、アルコキシ、ハロゲン、アルカノイルアミノ、もしくはシアノで置換されたフェニル;直鎖もしくは分枝鎖低級アルケニル;直鎖もしくは分枝鎖アルキル及び1−3の下記で置換されたかかるアルキル;ハロゲン;シアノ;スクシンイミド;グルタルイミド;フタルイミド;フタルイミジノ、2−ピロリドノ;シクロヘキシル;フェニル;アルキル、アルコキシ、ハロゲン、シアノ、もしくはアルキルスルファモイルで置換されたフェニル;ビニルスルホニル;アクリルアミド;スルファミル;ベンゾイルスルホニックイミド;アルキルスルホンアミド;フェニルスルホンアミド;アルケニルカルボニルアミノ;以下の式からなる基:
【化2】

から選ばれる。
【0081】
式中、Yは、−NH−、−N−アルキル、−O−、−S−、又は−CH2O−;−S−R14;−SO2CH2SR14であり;式中、R14は、アルキル、フェニル、ハロゲンで置換されたフェニル、アルキル、アルコキシ、アルカノイルアミノ、又はシアノ、ピリジル、ピリミジニル、ベンゾオキサゾールイル、ベンズイミダゾールイル、ベンゾチゾールイル、又は以下の式の基:
【化3】

−NHXR16、−CONR1515、及び−SO2NR1515であり、式中、R15は、H、アリール、アルキル、及びハロゲン、フェノキシ、アリール、−CN、シクロアルキル、アルキルスルホニル、アルキルチオ、又はアルコキシで置換されたアルキルであり;Xは、−CO−、−COO−、又は−SO2−であり、そしてR16は、アルキル及びハロゲン、フェノキシ、アリール、シアノ、シクロアルキル、アルキルスルホニル、アルキルチオ、及びアルコキシで置換されたアルキルであり;そしてXが−CO−であるときは、R16は、また、水素、アミノ、アルケニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アリール、又はフリル;シアノ又はアルコキシで置換されたアルコキシ;フェノキシ;又は1−3アルキル、アルコキシ、又はハロゲン置換基で置換されたフェノキシであってもよく、そして、
【0082】
Pは、シアノ、カルバミル、N−アルキルカルバミル、N−アルキル−N−アリールカルバミル、N,N−ジアルキルカルバミル、N,N−アルキルアリールカルバミル、N−アリールカルバミル、N−シクロヘキシル−カルバミル、アリール、2−ベンゾオキサゾールイル、2−ベンゾチアゾールイル、2−ベンズイミダゾールイル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル又はアシルである。
【0083】
上記定義の全てにおいて、種々の基のアルキル又は二価の脂肪族部分または一部には、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖が含まれる。好ましいUV吸収性化合物には、R及びR1が水素であり、R3が水素又はアルコキシであり、R2がアルキル又は置換アルキルであり、そしてPがシアノであるものが含まれる。この実施態様では、好ましい置換アルキルのクラスはヒドロキシ置換アルキルである。最も好ましいポリエステル組成物には、以下の化合物:
【化4】

の約10〜約700ppmの反応残留物が含まれる。
【0084】
これら化合物、その製造方法及びポリエステルへの配合は、米国特許第4,617,374号明細書に更に詳細に開示されているが、その開示を、ここで引用したことにより本明細書に含める。当該UV吸収性化合物は、重量当たり約1〜約5000ppm、好ましくは約2〜1500ppm、そしてより好ましくは約10〜500ppmの量で存在してよい。また、当該UV吸収性化合物のダイマーも、使用されてよい。二種以上のUV吸収性化合物の混合物が使用されてもよい。更に、当該UV吸収性化合物は、当該ポリマーと反応して、ポリマーの主鎖中に共重合して包含されるので、得られるポリマーは、プレートアウト及び/又は揮発等に起因するUV吸収性化合物の損失を減少させることを含め、改良された加工性を示す。
【0085】
本発明のポリエステル組成物は、フィルム、シート、チューブ、プレフォーム、成形製品、容器などを含む、種々な形態の製品の成形に好適である。前記製品の好適な成形法が知られており、それには押出成形、押出ブロー成形、溶融キャスティング、射出成形、延伸ブロー成形(SBM)、熱成形等が含まれる。
【実施例】
【0086】
本発明は、以下の実施例によって、更に詳細に説明するが、これら実施例によって、本発明が限定されるものと解してはならない。
【0087】
実施例1
PET Aは、精製されたテレフタル酸から製造された1.5モル%のシクロヘキサンジメタノールで変性されたポリエチレンテレフタレートであり、アンチモン化合物で触媒され、約0.80dL/gの極限粘度を有し、活性炭や他の添加された再加熱速度増進剤、又はアンチモン金属を生成させるために意図的に添加された還元剤も含有していない。
【0088】
PET Aのサンプルを、活性炭(AC)、黒色酸化鉄(BIO)及びカーボンブラック(CB)再加熱添加剤を加えて調製した。5種の異なるタイプのACを用いたが、これらは、Dalco(登録商標)GFP、Dalco(登録商標)Gro-Safe、Dalco(登録商標)G-60、Dalco(登録商標)Insul、及びDalco(登録商標)S-51の商標名で、全てNORIT Americas 社から市販されている。Dalco(登録商標)GFPは、亜炭の水蒸気賦活により作られた粉末活性炭であり、12μmのd50粒度を有する。Dalco(登録商標)Gro-Safeは、農業用の用途に特別に粉末化された活性炭であり、19μmのd50粒度を有する。Dalco(登録商標)G-60は、商標付原料から作られた水蒸気賦活された活性炭であり、24μmのd50粒度を有する。Dalco(登録商標)Insulは、高空孔容積と低密度の微粉砕された活性炭であり、5μmのd50粒度を有する。Dalco(登録商標)S-51は、亜炭の水蒸気賦活により作られた酸性の洗浄粉末活性炭であり、28μmのd50粒度を有する。BIOは、Ferro Corporation から購入したが、これは3.2μmの平均粒度を有する。CBは、DeGussa社から得たSpecial Schwarz No.4であったが、これは20μmの平均粒度(三つの並数分布)を有する。
【0089】
各添加剤をPET Aポリマー組成物に配合した濃厚物(約0.2重量%)を、Daca(登録商標)Micro Compounder(ミクロ混練機)を用いて、以下の方法に従って調製した。それぞれの再加熱添加剤を、ガラスボトル中で、3mm径の孔をもつ篩を十分に通過するまでの粒度に極低温で微粉砕しておいたPET Aとドライブレンドした。ブレンドした混合物は、30インチ(76.2cm)未満の水圧下の真空炉内で、一晩、110℃で乾燥した。このドライ混合物を、Daca(登録商標)Micro Compounder内で、スクリュー温度290℃、スクリュウ速度120rpmを用いて溶融ブレンドした。混合物を装置内で2分間再循環させ、次いで押出した。得られた押出物を、Wileyミル内で、3mm径の孔をもつ篩を十分に通過する小さな粉体となるまで極低温粉砕した。その後、この最終の溶融濃厚物を、一連のガラスジャー内で、PET Aとドライブレンドして、所望濃度の再加熱添加剤を配合した最終ポリマーのセットを得た。最終の乾燥ポリマーセットのそれぞれを、2分間の再循環を用いなかったことを除いて、前述したようにDaca(登録商標)Micro Compounderを用いて押出した。この押出物を、室温で、固化するまで放置し、次いで、Wileyミル内で3mmの篩を通過するまで粉砕した。典型的に、これらの最終濃度は、PET A中での再加熱添加剤が5〜100ppmの範囲であった。粉砕した材料は、下記するように、ディスクを作製する前に、真空炉内で、30インチ未満の水圧下で一晩、110℃で乾燥した。
【0090】
一連の3cm径、67ミル厚の3枚の透明ディスクを、前記した最終混合物のそれぞれから作製した。ディスクの作製は、290℃の温度、120rpmのスクリュー速度でそれぞれの混合物を当該装置のミクロインゼクターバレルに押出すことによって行った。このバレルは、ディスクの成形にかかる前に当該材料でパージした。最終ディスクを、射出ピストンに80〜120psiのインゼクター圧をかけて作製した。ディスクの金型を、冷却水を循環させることによって10〜25℃の温度範囲に維持した。
【0091】
再加熱速度の測定は、以下の試験法に従って行った。成形したポリマーディスクを、周囲温度と同じになるまで、24時間放置した。対照ディスク及びそれぞれの量の再加熱剤を有する一組の3枚のサンプルディスクの両者を、以下のように扱った。ディスクを、その端部に沿ってのみ成形品と接触する支持台上に置いた。次いで、アクチュエーターによりディスクを高温計の下方に移動して、初期温度(Ti)を測定した。その後、このディスクを、60Vで点灯する電球(GE DYH投射バルブ、250W,120V)を備えたランプの下方へ一定距離移動させ、そこで20秒間、輻射光に暴露した。このランプのカラー温度は、約2200℃であった。加熱した後、ディスクを自動装置で高温計まで戻し、そこでランプ(前面)に面していた側面の中心領域の表面温度を、ランプが消えた後2秒間記録した(Tf)。逐次テストの間に、90秒の冷却を繰り返し、その間に、送風機が、次のサンプルを設置する前にランプ筐体を冷却した。サンプルの再加熱指数は、次の等式によって算定した。
再加熱指数=(Tf−Tiサンプル/(Tf−Ti対照
式中、実施例で用いた対照材料は、サンプルディスクと同様に正確に検定した、活性炭や他に添加した再加熱添加剤などを含まないPET Aであった。
【0092】
ディスクの色(L*、a*、b*)は、Hunter Lab ウルトラスキャン分光比色計を用いて測定した。約200ミル厚をもつサンプルを与えるために、3枚のディスクを積み上げ一体とした。装置は、10°の観察角度、積分球立体図形で、D65照明光源を用いて操作した。カラー測定は、全透過モード(TTRAN)で行い、サンプルの直接透過光と拡散散乱光の両者を測定した。3個のチップを、特別なホルダーを用いて光源の前に積み上げ、最大の表面積となる表面を光源に対して直角に配置した。
【0093】
図1及び2には、ポリマーのL*が、所定の再加熱指数(1.05を含む)で、活性炭サンプルの全ての場合において、BIO又はCBよりも高い(即ち、明るい)ことを示している。表1では、再加熱指数とL*に関する一次方程式によって決定されるような、再加熱指数1.08で予想されるポリマーのL*値を示している。それは、また、再加熱指数1.08に達するのに必要なそれぞれの再加熱添加剤の量についても示している。
【0094】
【表1】

【0095】
実施例2
活性炭、BIO及び還元したアンチモン(RA)再加熱剤を、以下の配合に従って作られた数種のPET Bポリマーに添加した。実施例1で記載した同じ5種の活性炭サンプルを使用した。BIOサンプルは、実施例1で用いたものと同じであった。RA再加熱剤は、再加熱剤として作用する算出された量の還元された元素状アンチモンを得るために、その場で、約10〜100ppmの範囲の亜リン酸還元剤を加えることによって作製した。PET Bポリマーは、以下のようにして調製した。5Lの三つ口丸底フラスコへの反応体の典型的な装填量は、以下の表1Aに示す。
【0096】
【表2】

【0097】
反応混合物を加熱、撹拌して、メタノールを、充填カラムを経て取り除いた。反応混合物の温度は、取り除くメタノールの質量が装填したDMTの約100%の転換率が期待される量となるまで、放置して上昇させた。一度、反応が完了したと見られたら、加熱源を取り除き、EGの沸点より低い温度となるまで放置して冷却し、その時点で、混合物をステンレススチールのパン上に注ぎ、放置して冷却し、固化させた。
【0098】
128gの反応生成物を、数個の500mLの丸底フラスコのそれぞれに装填した。次いで、それぞれのフラスコを、ステンレススチールの撹拌装置のシャフトを挿入する設備を有する縮合物引き取りヘッドに取り付けた。このヘッドに、窒素ガスを導入するためのホースを接続した。窒素のパージを開始し、そしてこのフラスコを、反応の加熱源として働く溶融金属浴中に浸漬した。この金属浴は、反応フラスコを挿入する前に、225℃の温度まで予め加熱しておいた。以下に示す反応概要にしたがって、重合を達成した。再加熱剤は、反応器構の段階4中に、エチレングリコールのスラリーとして添加し、また、適当量のリンも、段階4中に、リン酸としてエチレングリコールに添加した。RA再加熱剤の場合には、アンチモン触媒の一部をアンチモン金属に還元するため、リン酸の一部を亜リン酸還元剤に代えた。反応を、以下の表1Bに示される設定値にしたがって続行した。この手順及び触媒系を用いて、0.70+/−0.06の極限粘度を有する生成物を得た。ポリマーを、フラスコから回収して、Wiley ミル内で3mmの篩を通過するまで粉砕し、実施例1に記載したように、ディスクを作製する前に、30インチ未満の水圧の真空炉内で、一晩、110℃で乾燥した。再加熱速度及びL*色は、実施例1に記載したように、ディスクに関して測定した。
【0099】
【表3】

【0100】
図3及び4における再加熱指数対L*のプロットは、活性炭のサンプル全てが、BIO及びRAよりも明るいポリマー(即ち、より高いL*)であったという予測できない結果を示している。表2では、再加熱指数とL*に関する一次方程式によって決定されるような、再加熱指数1.08で予想されるポリマーのL*値を示している。それは、また、再加熱指数1.08に達するのに必要なそれぞれの再加熱添加剤の量についても示している。
【0101】
活性炭を含有するPETポリマーの方が、カーボンブラック、黒色酸化鉄、及び還元されたアンチモン再加熱助剤に比して、L*色において一層明るいことを見出したことは、驚くべきことであった。
【0102】
【表4】

【0103】
実施例3
0.17重量%のDarco G60 活性炭をPET Aに含有する濃厚物を、Daca(登録商標)Micro Compounder を用いて調製した。活性炭(0.085g)を、Wileyミル内で、3mmの篩を通過するまで微粉砕しておいたPET A(50.01g)と混練し、30インチ(76.2cm)の水圧下の真空炉内で、一晩、110℃で乾燥した。この混合物を、温度285℃、スクリュウ速度120rpmで混練した。この材料を、混練機内で2分間再循環させ、次いで押出した。得られた押出物を、Wileyミル内で、3mmの篩を通過するまで極低温粉砕した。その後、この濃厚物を、3mmの篩を通過するまで粉砕しておいたPET A中にブレンドして、最終濃度50、100及び200ppmの活性炭を含有するPET Aを得た。これらのブレンドを、30インチ(76.2cm)の水圧下の真空炉内で、一晩、110℃で乾燥した。このブレンドを、以下のようにして、Daca(登録商標)Micro Compounderを用いて押出した。約3.3gのブレンドを、285℃、スクリュー速度120rpmで操作する当該 Micro Compounderに、電動機負荷が約1100ニュートンとなるまで装填した。このブレンドを、正確に2分間混練機内で再循環し、次いで、それを液体窒素が入ったジュワーフラスコ内に押出した。この手順を、それぞれのブレンドに対して全部で10gの押出物が得られるまで、2回繰り返した。押出したブレンドは、AA濃度が分析されるまで冷凍庫に保管した。
【0104】
AA濃度を、フランスナショナル試験法によって測定した。押出したサンプルを、1.0メッシュ篩を備えた Wileyミルを通して極低温粉砕した。次いで、サンプルの一部(0.20g)を、20mLのヘッドスペースバイアル中に入れて秤量し、封印し、その後、60分間、150℃で加熱した。加熱後、PETポリマーの封印サンプル上部のガスを、細管のGCカラムに圧入した。アセトアルデヒドを分離し、サンプルに存在するアセトアルデヒドのppmを算定した。
【0105】
表3は、活性炭を添加することによって、押出されたポリマー中に生成するAA量が減少していることを示している。
【0106】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】PET Aにおける再加熱剤に係る再加熱指数対L*のプロットである。
【図2】PET Aにおける再加熱剤に係る再加熱指数対L*のプロットである。
【図3】PET Bにおける再加熱剤に係る再加熱指数対L*のプロットである。
【図4】PET Bにおける再加熱剤に係る再加熱指数対L*のプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルポリマー及び2μmを超えるd50粒度を有する活性炭を含んでなるポリエステル組成物。
【請求項2】
前記ポリエステル組成物が飲料ボトルのプレフォームの形態にある、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項3】
前記ポリエステル組成物が飲料ボトルの形態にある、請求項2に記載のポリエステル組成物。
【請求項4】
前記粒度が3μmを超える、請求項3に記載のポリエステル組成物。
【請求項5】
前記ポリエステル組成物がポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項6】
前記活性炭が、先駆体材料の熱分解によって粗原料の木炭を生成させ、当該木炭を酸化雰囲気に曝してガス化することによって製造される、請求項5に記載のポリエステル組成物。
【請求項7】
前記活性炭が、亜炭の水蒸気賦活によって製造された酸性の洗浄活性炭粉末を含む、請求項5に記載のポリエステル組成物。
【請求項8】
前記ポリエステル組成物がポリエステルポリマーの連続相を有し、そして前記活性炭が当該ポリエステルポリマーの連続相中にランダムに配されている、請求項5に記載のポリエステル組成物。
【請求項9】
ポリエステル組成物の再加熱速度が少なくとも1.05の再加熱速度指数となるまで増進し、かつ1.05の再加熱速度指数で当該ポリエステル組成物の明度L*が70以上に維持されるように、前記活性炭が選定される、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項10】
前記ポリエステル組成物における活性炭の量が、ポリエステル組成物中の全ポリエステルポリマーの重量に対して3ppm〜50ppmの範囲にある、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項11】
前記活性炭のd50粒度が3μm〜50μmの範囲にある、請求項5に記載のポリエステル組成物。
【請求項12】
前記活性炭が、当該粒子の少なくとも90%が140標準US篩を通過する粒度分布を有する、請求項5に記載のポリエステル組成物。
【請求項13】
前記活性炭が、当該粒子の少なくとも90%が325標準US篩を通過する粒度分布を有する、請求項5に記載のポリエステル組成物。
【請求項14】
3ppm〜50ppmの量で、3μm〜50μmの範囲のd50粒度を有する活性炭を含み、1.05以上の再加熱指数を有し、かつ1.05の再加熱速度指数で70以上の明度L*を有する、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項15】
3ppm〜50ppmの量で、3μm〜50μmのd50粒度を有する活性炭を含み、1.05以上の再加熱指数を有し、かつ1.05の再加熱速度指数で80以上の明度L*を有する、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項16】
前記ポリエステル組成物がポリエチレンテレフタレートを含み、そして前記活性炭が500m2/g以上の比表面積を有する、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項17】
ポリエステルポリマー製造用の溶融相に、固相ペレット形態のポリエステルポリマーに、又はポリエステルポリマーからプレフォームを製造するための射出成形機に、2μmを超える粒度を有する活性炭を添加することを含んでなる、ポリアルキレンテレフタレート又はポリアルキレンナフタレートポリマーを含むポリエステル組成物の製造方法。
【請求項18】
前記活性炭が、エステル化ゾーンに、プレポリマーゾーンに、仕上ゾーンに、ペレット化ゾーンに、又はこれらゾーン間のいずれかの位置に添加される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記活性炭が、プレポリマー化ゾーンと仕上ゾーン間に、仕上ゾーンに、又はペレット化ゾーンに添加される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
0.15〜35重量%の活性炭及びポリエステルポリマーを含む濃厚物を射出成形機に添加することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
活性リン含有化合物の存在下で、ポリエステルポリマー製造用の溶融相に活性炭を添加することを含むポリエステル組成物の製造方法。
【請求項22】
前記リン含有化合物が、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、カルボキシホスホン酸、酸性ホスフェートエステル、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリトリルホスフェート、エチレングリコールホスフェート、トリエチルホスホノアセテート、ジメチルメチルホスホネート、テトライソプロピルメチレンジホスホネート、リン酸のモノ−、ジ−、及びトリエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、及び2−エチルヘキサノールとの混合物、又はそれらの混合物を含む酸性のリン含有化合物を含み、そして前記ポリエステルポリマーがポリエチレンテレフタレートを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
活性炭が約3μm以上のd50粒度を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
活性炭が、
a)エステル化ゾーン、プレポリマー化ゾーン、又は前記二つのゾーン間のいずれかの位置に、リン含有化合物と同時に、又は、
b)リン含有化合物がエステル化ゾーンに加えられる前のエステル化ゾーンに(ここで、当該リン含有化合物は、エステル化反応が所望程度のエステル化まで完了する前に添加される)、又は、
c)反応混合物が活性リン含有化合物を含有していることを条件として、当該リン化合物がエステル化ゾーン又はプレポリマー化ゾーンの反応混合物に加えられた後に、
添加されることを含む、ポリアルキレンテレフタレートポリマー又はポリアルキレンナフタレートポリマーを含むポリエステルポリマーを含んでなるポリエステル組成物の製造方法。
【請求項25】
リン含有化合物が、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、カルボキシホスホン酸、酸性ホスフェートエステル、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリトリルホスフェート、エチレングリコールホスフェート、トリエチルホスホノアセテート、ジメチルメチルホスホネート、テトライソプロピルメチレンジホスホネート、リン酸のモノ−、ジ−、及びトリエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、及び2−エチルヘキサノールとの混合物、又はそれらの混合物を含む酸性のリン含有化合物を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
活性炭が約3μm以上のd50粒度を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
活性炭が、
a)プレポリマーゾーン後のポリエステルポリマー製造用の溶融相に、又は、
b)先駆体又は溶融ブレンドによる固相のポリエステル固体に、又は
c)ボトルプレフォームを製造するための射出成形機に、
添加されることを含む、ポリアルキレンテレフタレート又はポリアルキレンナフタレートポリマーを含むポリエステルポリマーを含んでなるポリエステル組成物の製造方法。
【請求項28】
活性炭が、ボトルプレフォームを製造するための射出成形機に添加される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリエステル組成物がポリエチレンテレフタレートを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
ポリエステル組成物における全ポリエステルポリマーの重量に対して、3ppm〜50ppmの活性炭を添加する、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記活性炭のd50粒度が3μm〜50μmの範囲にある、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
活性炭を濃厚組成物の重量に対して0.15重量%〜35重量%の量で、25℃で固体の熱可塑性ポリマーを濃厚組成物の重量に対して少なくとも65重量%の量で含む、濃厚組成物。
【請求項33】
濃厚組成物の重量に対して、活性炭を少なくとも0.2重量%の量で、前記熱可塑性ポリマーを少なくとも80重量%の量で含む、請求項32に記載の濃厚組成物。
【請求項34】
前記ポリエステルがポリエチレンテレフタレートを含み、25℃で固体である、請求項32に記載の濃厚組成物。
【請求項35】
前記活性炭のd50粒度が3μm以上である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記熱可塑性ポリマーが0.3から0.70dL/g未満の極限粘度を有するポリエステルポリマーを含む、請求項32に記載の濃厚組成物。
【請求項37】
前記熱可塑性ポリマーが0.70〜1.15dL/gの極限粘度を有するポリエステルポリマーを含む、請求項32に記載の濃厚組成物。
【請求項38】
溶融した又は固体のバルクポリエステルと、液体の、溶融した又は固体のポリエステル濃厚組成物とをプレフォームを製造するための機械に供給することを含み、当該濃厚組成物が、活性炭、及び濃厚組成物の重量に対して少なくとも65重量%量のポリエステルポリマーを含む、ポリエステルプレフォームの製造方法。
【請求項39】
前記活性炭が少なくとも0.15重量%量で前記濃厚組成物中に存在している、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記濃厚組成物のポリエステルポリマーが、バルクポリエステルポリマーと同じポリエステルである、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記バルクポリエステルとポリエステル濃厚物とが、別の流れでプレフォームを製造するための機械に供給される、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記濃厚ポリエステルが使用済み回収ポリエステルを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
未使用のポリエステルポリマーを製造するための溶融相工程に、活性炭と少なくとも65重量%のポリエステルポリマーを含む濃厚ポリエステル組成物を添加することを含むポリエステル組成物の製造方法。
【請求項44】
前記ポリエステル濃厚組成物が極限粘度を有し、当該濃厚組成物が、溶融相組成物の極限粘度と同じ極限粘度を有する溶融相の段階に添加される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
添加される前記濃厚組成物の極限粘度が、前記溶融相組成物の極限粘度の+/−0.2の極限粘度単位内の極限粘度を有する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
2μmを超えるd50粒度を有する活性炭を含み、かつ前記活性炭を含まない同じ組成物におけるアセトアルデヒド量に比して少なくとも5%だけ減じたアセトアルデヒド量を有するポリエステル組成物。
【請求項47】
前記アセトアルデヒド量が、前記活性炭を含まない同じ組成物におけるアセトアルデヒド量に比して少なくとも10%だけ減少している、ポリエステル組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−529000(P2006−529000A)
【公表日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533379(P2006−533379)
【出願日】平成16年5月25日(2004.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/016345
【国際公開番号】WO2004/110716
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】