説明

活性物質のパルス放出が強化された、コーティングされた医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤

本発明は、a)医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質と、前記医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質の放出に対して調節する形で作用する物質とを含有するコアと、b)前記コアを包囲する制御層であって、前記層中に含まれる(メタ)アクリルコポリマーの総質量に対して55〜92質量%のi)(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して80〜98質量%の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して2〜20質量%のアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される複数の(メタ)アクリレートコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物と、前記層中に含まれる(メタ)アクリルコポリマーの総質量に対して8〜45質量%のii)前記コポリマーの質量に対して5質量%を上回り59質量%までのアクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位から構成される複数の(メタ)アクリレートコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物と、を含む制御層と、を含む医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤、およびこれらを含む錠剤またはカプセルに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シグモイド型放出パターンを確保しながら、強化された活性物質の放出をもたらす新規のコーティングされた医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤と、そのような医薬製剤を含有する薬剤形態と、体液中で、医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質の放出速度を上昇させる、あるいは制御放出剤形からのより完全な薬物放出を可能にする目的で、医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質を含有するコアを包囲するカチオン性アンモニウム基を含有する特定のポリマーを含む制御層中に、アクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位を含む特定のコポリマーを使用することとに関する。
【0002】
従来技術から、医薬製剤からの医薬活性物質の放出を制御するための多くの異なる手法が知られている。経口投与剤形を用いる場合、消化器系において、どの位置で、またどの時間枠内に医薬活性物質が放出されるべきかによって、さまざまな解決法が提供されている。
【0003】
米国特許第5,395,628号から、a)医薬活性物質と有機酸とを有するコアと、b)トリメチルアンモニウムエチル基を含有する、水不溶性であり、わずかに水透過性のアクリルポリマーの水性コーティングによってコアの表面上に形成されたコーティング膜とを含む制御放出医薬製剤が知られている。この’628特許の教示による構造の効果は、医薬活性物質は一定の時間が経過するまで溶解および放出されないが、体液が徐々に製剤に浸透し、それによって有機酸が溶解すると、わずかに水透過性のポリマーが急速に水透過性に変化し、その結果医薬活性物質が急速に溶解および放出されることである。
【0004】
類似する医薬製剤は、欧州特許第1117387号から既知である。
【0005】
これら両教示は、医薬活性物質を放出するためにコーティングをより水透過性にし、放出パターンにおける遅延時間をもたらす、有機酸または有機酸の塩の機能に関する。例えば米国特許第5,395,628号の実施例から明らかなように、有機酸が存在しなければ、薬物放出は非常に緩慢かつ不完全である。
【0006】
さらに、医薬活性成分の特定の放出パターンを調整する目的で、多層コーティングされた医薬製剤が記載されているいくつかの従来技術文書も既知である。
【0007】
国際公開第2005/046649号、国際公開第2005/046561号、国際公開第2006/102964号、および国際公開第2006/102965号は全て、特定の放出プロファイルを達成する目的で、固有の調節によって、フィルムコーティングの透過性の調整を可能にする多層コーティングを有する多粒子医薬製剤に関する。これは、コアと、コアを包囲する内側制御層であって、調節作用を有する物質、特に有機酸の塩を含み、薬学的に許容されるポリマー、ワックス、樹脂、および/またはタンパク質の基質に組み込まれた内側制御層とを含む、多粒子医薬剤形によって達成される。この内側制御層は、医薬活性成分を含む有効成分層に包囲されている。この医薬製剤は、さらに、4級アンモニウム基を有するアクリルコポリマーと、最大40質量%の別の薬学的に有用なポリマーとを含む外側制御層を含有する。任意の成分として使用すべき適切な薬学的に許容される多数のポリマーの中で、20〜40質量%のメチルメタクリレートと、60〜80質量%のメタクリル酸または架橋されたおよび/または架橋されていないポリアクリル酸とからなる(メタ)アクリレートコポリマーが開示されている。外側制御層中のこのような酸官能性コポリマーの効果または目的に関して得ることが出来る情報は記載されていない。さらに、これらの酸官能性コポリマーは、任意の成分の代わりとなりうるものとして、全く異なる化学的もしくは物理的機能を有する薬学的に許容されるポリマーの多数の一覧の形で開示されているため、酸官能性コポリマーの選択が、これらの従来技術文書に記載されている放出パターンの望ましい制御に対して全く関連性がないことは明らかである。
【0008】
これらの従来技術文書を考慮して、本発明の目的は、シグモイド型放出プロファイルを確保しながら、短時間で医薬活性成分の実質的に完全な放出を可能にする、より単純な構造を有する経口投与用粒子剤形のための医薬製剤を提供することである。
【0009】
本発明者らは、驚くべきことに、医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質と、医薬活性物質の放出に対して調節する形で作用する物質とを含有するコアを包囲する、4級アンモニウム基を有する1つ以上の(メタ)アクリルコポリマーを含む制御層中に、コポリマーの質量に対して5質量%を上回り59質量%までのアクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位を含む(メタ)アクリルコポリマーを組み込むことによって、消化器系の体液中で医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質の放出速度が向上し、シグモイド型放出プロファイルにおいて、短時間で活性物質の実質的に完全な放出をもたらすことを発見した。
【0010】
したがって、定義した目的は、
a)本質的に、医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質と、医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質の放出に対して調節する形で作用する物質とを含むコアと、
b)コアを包囲する制御層であって、
i)(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して80〜98質量%の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して2〜20質量%のアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される複数の(メタ)アクリレートコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物を、層中に含まれる(メタ)アクリルコポリマーの総質量に対して55〜92質量%と、
ii)コポリマーの質量に対して5質量%を上回り59質量%までのアクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位から構成される複数の(メタ)アクリレートコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物を、層中に含まれる(メタ)アクリルコポリマーの総質量に対して8〜45質量%と、を含む制御層と、
を含む医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤によって達成された。
【0011】
コア(a):
最も単純な例では、コアは、有効成分と、調節する形で作用する物質(調節剤)とを本質的に含んでも、あるいはこれらから構成されてもよい。好ましくは、当業者は、調節剤とは異なる従来の医薬賦形剤を添加するであろう。この例には、結合剤、例えばセルロースおよびその誘導体、またはポリビニルピロリドン(PVP)、湿潤剤、崩壊促進剤、潤滑剤、デンプンおよびその誘導体、多糖類、可溶化剤などがある。またコアは、中性担体、例えばノンパレイユなども含んでよい。場合によっては、コーティングされるコアとして、ゼラチンカプセルまたはHPMCカプセルを用いることもできる。
【0012】
コア(a)は、例えば以下のものを含んでもよい。
−医薬活性成分もしくはニュートラシューティカル活性成分(コアの質量に対して、97.5〜2.5質量%、好ましくは80〜5質量%の量)。
−調節する形で作用する物質(調節剤)(コアの質量に対して、2.5〜97.5質量%、好ましくは5〜80質量%、特に好ましくは10〜50質量%の量)
−好ましくは、結合剤として機能しうる、調節剤とは異なる医薬賦形剤(コアの質量に対して、0.5〜50質量%、好ましくは5〜50質量%の量)
−場合によっては、中性担体のノンパレイユシード(コア質量中の比率0〜95質量%、好ましくは10〜60質量%)
コアは、例えば、造粒とそれに続く圧縮または直接圧縮、押し出しとそれに続く球状化、湿式もしくは乾式造粒、または直接ペレット化(例えば、ディスク上)によって、あるいは有効成分を含有しないビーズ(ノンパレイユ)上、もしくは有効成分を含有する粒子上に粉末を結合させること(粉末積層)によって製造することができる。
【0013】
コアは、100〜1500μmのサイズを有するペレットであってよく、または1500〜5000μmのサイズを有する小型錠剤であってもよい。
【0014】
コアは、均質であっても、あるいは積層構造を有してもよい。積層構造を有する場合、有効成分は、好ましくは外層に位置する。医薬活性物質の放出に対して調節する形で作用する物質(以下、調節物質とする)は、医薬物質との均質な混合物として存在してもよい。あるいは調節物質は、コア内に医薬活性物質を含む層の上または下の層の構成成分であってもよい。
【0015】
本発明の好適な実施形態によると、コアは、薬学的に許容されるポリマー、ワックス、樹脂、および/またはタンパク質を含む制御層を含まない。この実施形態によると、このような制御層は、有効成分層下にも、有効成分層上にも存在しない。しかしコアは、場合によっては、放出制御機能を有さないサブコーティング層を含んでもよい。このようなコーティングは、好ましくは水溶性であり、例えば15μm未満または10μm未満など、非常に薄く塗布してよい。このようなサブコーティング層に適した材料は、HPMCまたはPVPである。このようなサブコーティング層の機能は、有効成分と制御層との不適合を回避することである。
【0016】
本発明の好適な実施形態によると、ノンパレイユなどの不活性担体に、まず調節物質を、次に医薬活性成分を、また場合によっては医薬賦形剤を付与する。
【0017】
調節物質:
医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質の放出に対して調節する形で作用する物質は、調節物質または調節剤である。使用する調節物質は、毒物学的に許容されるものであり、かつ薬剤中に使用できるものでなければなれない。調節物質は、好ましくは、分子量が500未満であってよい。調節物質は、好ましくは固形で使用でき、好ましくはイオン形成性である。
【0018】
調節物質は、無機塩、例えば塩化ナトリウム、または硝酸カリウムもしくは塩化カリウムであってよい。好適な調節物質は、有機酸、または有機酸の塩である。
【0019】
使用する有機酸は、毒物学的に許容されるものであり、かつ薬剤中に使用できるものでなければなれない。好適な種類は、個別の配合によって異なる。例えばクエン酸、フマル酸、ギ酸、コハク酸、酢酸、マレイン酸、酒石酸、グルタル酸、または乳酸などの有機酸が好適である。遊離酸として液状の物質、例えばギ酸、酢酸、または乳酸は、好ましくはそれらの塩として、固形の状態で使用する。
【0020】
コハク酸は、本発明の目的に特に適している。クエン酸は、原則的には同様に適しているが、生理的条件にほぼ相当する緩衝媒体中で得られる放出プロファイルは、コハク酸を用いた場合ほど急勾配ではない。酢酸は、時に安定性の問題を引き起こすことがあるが、これは医薬剤形の保存中に生じることがある。コハク酸を使用した場合では、このような問題はこれまでのところ知られていない。
【0021】
調節物質の種類は、放出プロット、特にシグモイド型放出プロットにおいて、有効成分の勾配を制御する。例えばNaClまたはクエン酸Naは、有効成分の放出を減速させ、したがって放出曲線の勾配はより小さくなる。一方、例えばコハク酸Na、酢酸Na、またはクエン酸は、有効成分の放出を加速し、したがって放出曲線はより急勾配になる。
【0022】
コアの質量中の比率としての有機酸の量は、2.5〜97.5質量%、好ましくは5〜80質量%、特に好ましくは20〜60質量%でよい。
【0023】
有機酸の塩は、有機酸よりも好ましい。ほとんどの場合、有機酸と塩と用いた場合には、有機酸のみの場合と比較して、遅延時間における有効成分の放出がより緩慢であり、その後の有効成分の放出がより高速であることが認められる。
【0024】
使用する有機酸の塩は、毒物学的に許容されるものであり、かつ薬剤中に使用できるものでなければなれない。アルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩)、およびアンモニウム塩が好適である。好適な種類は、個別の配合によって異なる。しかしながら、本発明による機能のほかに、イオンの薬理学的作用も考慮しなければならない。コハク酸、クエン酸、フマル酸、ギ酸、酢酸、マレイン酸、酒石酸、グルタル酸、または乳酸などの弱い有機酸の塩が好ましい。コハク酸ナトリウムは、本発明の目的に特に適している。クエン酸ナトリウムは、原則的には同様に適しているが、生理的条件にほぼ相当する緩衝媒体中で得られる放出プロファイルは、コハク酸ナトリウムを用いた場合ほど急勾配ではない。酢酸ナトリウムは、時に安定性の問題を引き起こすがあるが、これは医薬剤形の保存中に生じることがある。このような問題は、コハク酸ナトリウムでは知られていない。
【0025】
塩の形態の酸の種類は、特にシグモイド型放出プロットにおいて、有効成分放出プロットの勾配を制御する。
【0026】
コアの質量中の比率としての有機酸の塩の量は、2.5〜97.5質量%、好ましくは5〜80質量%、特に20〜60質量%でよい。
【0027】
制御層(b):
制御層(b)は、カチオン性(メタ)アクリルコポリマーと、アニオン性基および/またはアニオン性基に変換可能な基を有する(メタ)アクリルコポリマーとの組み合わせを含有し、場合によっては従来の医薬賦形剤、例えば可塑剤、顔料、湿潤剤などを含有する。制御層(b)は、好ましくはコアを直接包み、コアとコーティング層との間にさらなる層は存在しない。特に、薬学的に許容されるポリマー、ワックス、樹脂、および/またはタンパク質を含むさらなる制御層は、コア(a)と制御層(b)との間に配置されない。制御コーティング(b)中のポリマーはフィルム形成性のものであり、このコーティングは、場合によっては存在する賦形剤と一緒にフィルムに変換されて、連続したコーティングまたはコーティングフィルムを形成する。このコーティングまたはコーティングフィルムは、その全体として、医薬活性成分の放出を制御する。
【0028】
本発明による制御層(b)は、
i)(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して80〜98質量%の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して2〜20質量%のアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される複数の(メタ)アクリレートコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物を、層中に含まれる(メタ)アクリルコポリマーの総質量に対して55〜92質量%と、
ii)コポリマーの質量に対して5質量%を上回り59質量%までのアクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位から構成される複数の(メタ)アクリレートコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物を、層中に含まれる(メタ)アクリルコポリマーの総質量に対して8〜45質量%と、を含む。
【0029】
成分i)−4級アンモニウム基を含有する(メタ)アクリルコポリマー
本発明の一実施形態によると、成分i)によるコポリマーは、(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して80〜98質量%の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して2〜20質量%のアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される(メタ)アクリレートコポリマーを含む。本発明の成分i)によるコポリマー中に含まれる、アルキル基中に4級アンモニウム基を含有する構造単位は、好ましくは、2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドから誘導される。
【0030】
本発明の一実施形態によると、成分i)によるコポリマーは、(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して93〜98質量%の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して2〜7質量%のアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される(メタ)アクリレートコポリマーを含む(EUDRAGIT(登録商標) RS型)。
【0031】
成分i)として使用すべき好適なコポリマーの1つは、例えば、50〜70質量%のメチルメタクリレートから誘導された構造単位と、20〜40質量%のエチルアクリレートから誘導された構造単位と、7〜2質量%のトリメチルアンモニウムエチルメタクリレートとから構成される。特に好適なコポリマーは、65質量%のメチルメタクリレートから誘導された構造単位と、30質量%のエチルアクリレートの構造単位と、5質量%の2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドから誘導された構造単位とを含む。このようなコポリマーは、EUDRAGIT(登録商標) RSとして市販されている。
【0032】
成分i)に適した別の(メタ)アクリレートコポリマーは、例えば、80質量%以上93質量%未満のアクリル酸または(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルと、7質量%を上回り20質量%までのアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーとのラジカル重合したモノマー単位、好ましくは85質量%以上93質量%未満のアクリル酸または(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルと、7質量%を上回り15質量%までのアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーとのラジカル重合したモノマー単位から構成されていてよい。このような(メタ)アクリレートコポリマーは市販されており、徐放性コーティングに長い間使用されている(EUDRAGIT(登録商標) RL型)。
【0033】
特に適切なコポリマーは、例えば、メチルメタクリレート60質量%と、エチルアクリレート30質量%と、2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド10質量%とを含む(EUDRAGIT(登録商標) RL)。
【0034】
本発明の特に好適な実施形態によると、成分i)によるコポリマーは、
‐(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して93〜98質量%の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して2〜7質量%のアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される、混合物の総質量に対して40〜99質量%の(メタ)アクリレートコポリマーと、
‐(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して85質量%以上93質量%未満の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して7質量%を上回り15質量%までのアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される、混合物の総質量に対して1〜60質量%の(メタ)アクリレートコポリマーと、
の混合物を含む。
【0035】
混合物中の上記に定義した第1の成分は、上記に定義した好適な実施形態を含む、EUDRAGIT(登録商標) RS型コポリマーから選択することができる。EUDRAGIT(登録商標) RS型コポリマーの比率は、成分i)による(メタ)アクリレートコポリマーの混合物の総質量に対して40〜99質量%、好ましくは60〜95質量%である。特に好ましくは、70〜90質量%の範囲である。
【0036】
混合物の第2の成分に適した(メタ)アクリレートコポリマーは、上記に定義したEUDRAGIT(登録商標) RL型の(メタ)アクリレートコポリマーから選択することができる。混合物中の比率は、4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリルコポリマーの総量に対して、最大60質量%、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であってよい。
【0037】
成分ii)−アクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位を含有する(メタ)アクリルコポリマー
さらに、制御層(b)は、コポリマーの質量に対して5質量%を上回り59質量%までのアクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位から構成される複数の(メタ)アクリレートコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物を、制御層(b)中に含まれる(メタ)アクリルポリマーの総質量に対して8〜45質量%含む。
【0038】
好適な実施形態によると、成分ii)によるコポリマー中の、アクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位の量の範囲の下限は、コポリマーの質量に対して少なくとも7質量%、好ましくは15質量%を上回る、より好ましくは少なくとも18質量%から選択される。本発明の一実施形態によると、成分ii)によるコポリマーは、コポリマーの質量に対して40〜59質量%のアクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位から構成される。
【0039】
アクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位は、例えばアルカリイオンまたはアンモニアイオンによって、部分的にまたは完全に中和されていてもよい。
【0040】
酸官能性(メタ)アクリルコポリマーの中和度によって、カルボン酸基は、完全にまたは部分的に、アニオン性カルボキシレート基に変換される。
【0041】
好ましくは、部分的な中和の程度は、25モル%以下、12モル%以下、10モル%以下、8モル%以下である。最も好ましくは、アクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位は中和されない。
【0042】
好ましくは、成分ii)によるコポリマーは、コポリマーの質量に対して41質量%以上95質量%未満の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位から構成される。コポリマー中の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位の量の適切な上限は、コポリマーの質量に対して93質量%、好ましくは85質量%未満、より好ましくは82質量%から選択される。
【0043】
アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1〜C4アルキルエステルは、具体的には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、およびブチルアクリレートである。
【0044】
上記の比率は通常は合計100質量%になる。しかしながら、本質的な特性を損なったり、または変更したりすることなく、0〜10質量%の範囲、例えば1〜5質量%の範囲の少量のビニル共重合が可能なさらなるモノマー、例えばヒドロキシエチルメタクリレートもしくはヒドロキシエチルアクリレート、ビニルピロリドン、ビニルマロン酸、スチレン、ビニルアルコール、酢酸ビニル、および/またはこれらの誘導体などが含まれていることもさらに可能である。好適には、ビニル共重合が可能なさらなるモノマーは含まれない。
【0045】
特に好適な実施形態によると、制御層(b)の成分ii)は、コポリマーの質量に対して41〜60質量%のメチルメタクリレートもしくはエチルアクリレートから誘導された構造単位と、コポリマーの質量に対して40〜59質量%の(メタ)アクリル酸から誘導された構造単位ら構成され、それによってコポリマー上のカルボキシル官能基を完全または部分的に中和されていてよい。
【0046】
以下の(メタ)アクリルコポリマーの例は、制御層(b)の成分ii)として適切である。
【0047】
EUDRAGIT(登録商標) Lは、メチルメタクリレート50質量%とメタクリル酸50質量%とのコポリマーである。腸液または擬似腸液中で、特定の有効成分の放出が開始するpHは、pH6.0と明示できる。
【0048】
EUDRAGIT(登録商標) L 100−55は、エチルアクリレート50質量%とメタクリル酸50質量%とのコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標) L 30 D−55は、EUDRAGIT(登録商標) L 100−55を30質量%含む分散液である。腸液または擬似腸液中で、特定の有効成分の放出が開始するpHは、pH5.5と明示できる。
【0049】
同様に、メタクリル酸20〜40質量%とメチルメタクリレート80〜60質量%から構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(EUDRAGIT(登録商標) S型)も適している。腸液または擬似腸液中で、特定の有効成分の放出が開始するpHは、pH7.0と明示できる。
【0050】
適切な(メタ)アクリレートコポリマーは、メチルメタクリレート10〜30質量%と、メチルアクリレート50〜70質量%と、メタクリル酸5〜15質量%とを含有するものである(EUDRAGIT(登録商標) FS型)。腸液または擬似腸液中で、特定の有効成分の放出が開始するpHは、pH7.0と明示できる。
【0051】
EUDRAGIT(登録商標) FSは、メチルメタクリレート25質量%と、メチルアクリレート65質量%と、メタクリル酸10質量%とのコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標) FS 30 Dは、EUDRAGIT(登録商標) FSを30質量%含む分散液である。
【0052】
また、
20〜34質量%のメタクリル酸および/またはアクリル酸と、
20〜69質量%のメチルアクリレートと、
0〜40質量%のエチルアクリレートと、および/または適切な場合には、
0〜10質量%のビニル共重合が可能なさらなるモノマーと、
から構成されるコポリマーは、ISO 11357−2の下位条項3.3.3によるコポリマーのガラス転移温度が60℃以下であるという条件で適している。この(メタ)アクリレートコポリマーは、良好な破断点伸び特性を有するため、ペレットを圧縮して錠剤にするのに特に適している。
【0053】
また、
20〜33質量%のメタクリル酸および/またはアクリル酸と、
5〜30質量%のメチルアクリレートと、
20〜40質量%のエチルアクリレートと、
10質量%を上回り30質量%までのブチルメタクリレートと、適切な場合には、
0〜10質量%のビニル共重合が可能なさらなるモノマーと、
から構成され、モノマーの比率の合計が100質量%になるコポリマーは、ISO 11357−2の下位条項3.3.3によるコポリマーのガラス転移温度(融点Tmg)が55〜70℃であるという条件で適している。この種のコポリマーは、良好な機械的特性を有するため、ペレットを圧縮して錠剤にするのに特に適している。
【0054】
上述のコポリマーは、具体的には、
20〜33質量%、好ましくは25〜32質量%、特に好ましくは28〜31質量%のメタクリル酸またはアクリル酸、好ましくはメタクリル酸と、
5〜30質量%、好ましくは10〜28質量%、特に好ましくは15〜25質量%のメチルアクリレートと、
20〜40質量%、好ましくは25〜35質量%、特に好ましくは18〜22質量%のエチルアクリレートと、
10質量%を上回り30質量%まで、好ましくは15〜25質量%、特に好ましくは18〜22質量%のブチルメタクリレートと、
のラジカル重合した単位から構成され、このモノマー組成は、コポリマーのガラス転移温度が55〜70°C、好ましくは59〜66°C、特に好ましくは60〜65°Cとなるように選定される。
【0055】
これに関連して、ガラス転移温度とは、具体的には、ISO 11357−2の下位条項3.3.3による融点(Tmg)を意味する。測定は、可塑剤と添加せず、残留モノマー含有量(REMO)100ppm未満、加熱速度10℃/分、窒素雰囲気下で実施する。
【0056】
アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、自体公知の方法で、モノマーのラジカル重合によって製造することができる(例えば、欧州特許公開公報第0704207号、および欧州特許公開公報0704208号参照)。本発明によるコポリマーは、自体公知の方法で、好ましくはアニオン性乳化剤の存在下、水相中でのラジカルエマルジョン重合によって製造することができる(例えば、ドイツ特許第2135073号に記載の方法によって)。
【0057】
コポリマーは、従来のラジカル重合方法によって、連続的または非連続的(バッチ式)に、ラジカル形成性開始剤の存在下、また適切な場合には分子量を調節するための調整剤の存在下、未希釈で、溶液中で、ビーズ重合によって、またはエマルジョン中で製造することができる。平均分子量Mw(質量平均、例えば溶液粘度を測定することによって判断する)は、例えば80,000〜1,000,000(g/mol)の範囲であってよい。水溶性開始剤および(好ましくはアニオン性)乳化剤を用いた、水相中でのエマルジョン重合が好適である。
【0058】
バルク重合の場合、コポリマーは、破砕、押し出し、造粒、またはホットカットによって、固形の状態で得ることができる。
【0059】
(メタ)アクリレートコポリマーは、自体公知の方法で、ラジカルバルク重合、溶液重合、ビーズ重合、またはエマルジョン重合によって得られる。これらは、加工前に、適切な粉砕、乾燥、または噴霧プロセスによって、本発明の粒子サイズ範囲にしなければならない。これは、押し出して冷却したペレットを単に破砕するか、あるいはホットカットにより行うことができる。
【0060】
粉末の使用は、特に他の粉末または液体との混合物の場合に有利なとなりうる。粉末を製造するのに適した装置は当業者に周知であり、これには例えば、エアジェットミル、ピンディスクミル、コンパートメントミルがある。適切な場合には、適当な篩過工程を含むことも可能である。産業用の大規模な量に適したミルは、例えばゲージ圧約6バールで作動される対向流ジェットミル(Multi No.4200)である。
【0061】
本発明のアニオン性(メタ)アクリルコポリマーの少なくとも部分的な中和に適した塩基は、欧州特許公開公報第0088951号または国際公開第2004/096185号において明確に記載されているもの、またはそれらの誘導体である。以下の塩基:水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液(KOH)、水酸化アンモニウム、または有機塩基、例えばトリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、もしくはアンモニア、あるいは生理的に許容されるアミン、例えばトリエタノールアミン、もしくはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンは、特に適している。
【0062】
さらなる適切なカチオン性有機塩基は、塩基性アミノ酸のヒスチジン、アルギニン、および/またはリジンである。
【0063】
さらなる薬学的に有用な賦形剤
コアおよび/またはコーティングは、さらなる薬学的に有用な賦形剤を含んでもよい。さらなる添加剤は、具体的には加工助剤として、信頼でき、かつ再現可能な製造プロセスと、良好な長期保存安定性とを確保することを目的としている。これらはコーティングの透過性に影響を与えることができ、適切な場合には、付加的な制御パラメータとして用いることができる。上記に述べたように、医薬活性成分に加えてコア中に含まれうる医薬賦形剤は、例えば、結合剤、例えばセルロースおよびその誘導体、ポリビニルピロリドン(PVP)、ゼラチン、(メタ)アクリレート、デンプンおよびその誘導体、または糖類であってよい。
【0064】
−可塑剤:
可塑剤は、具体的にはコーティング中またはコーティングの(メタ)アクリルコポリマー中に含まれてもよい。可塑剤として適した物質は、通常は、分子量100〜20,000を有し、分子中に、例えばヒドロキシル基、エステル基、またはアンモニウム基などの親水性基を1つまたは複数含む。これらはしばしば、室温で液体であるエステル類、例えばクエン酸エステル、フタル酸エステル、セバシン酸エステル、またはヒマシ油である。適切な可塑剤の例には、クエン酸アルキル、例えばクエン酸トリエチル、グリセロールエステル、フタル酸アルキル、セバシン酸アルキル、ショ糖エステル、ソルビタンエステル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、および分子量4,000〜20,000のポリエチレングリコールがある。好適な可塑剤は、クエン酸トリエチルおよびクエン酸アセチルトリエチルである。可塑剤は、コーティングのポリマーに対して、例えば5〜25質量%の量で含まれていてよい。
【0065】
−粘着防止剤:
通常は親油性を有するこれらの物質は、噴霧懸濁液に添加して、フィルムコーティング中にコアの凝集を防ぐことができる。例えば、タルク、シリカ、カオリン、ステアリン酸マグネシウム、またはステアリン酸カルシウム、あるいはHLB3〜8の非イオン性乳化剤、例えばモノステアリン酸グリセロールを使用することが可能である。使用する通常量は、コアの質量に対して0.5〜100質量%である。あるいは、粘着防止剤をコーティング中に、好ましくはコーティング中のポリマーの総質量に対して0.5〜100質量%の量で使用することもできる。
【0066】
−さらなる賦形剤:
自体公知の方法で添加することができるさらなる薬学的に有用な賦形剤は、例えば、薬学的に許容される安定剤、着色剤、抗酸化剤、湿潤剤、細孔形成剤、顔料、光沢剤などである。
【0067】
医薬活性成分
本発明の多層医薬剤形は、原則としていかなる医薬活性成分にも適している。使用する薬用物質は、例えばRote ListeまたはMerck Indexなどの参考資料に記載されている。
【0068】
本発明の目的で使用する活性成分または薬用物質は、
1.疾患、健康状態、身体的障害、または病的症状を治癒、緩和、予防、または診断するため、
2.健康状態、身体の状況もしくは機能、または精神状態を明らかにするため、
3.ヒトまたは動物の身体により生成された活性物質または体液を置換するため、
4.病原体、寄生体、または外因性物質を撃退、排除、または無害化するため、あるいは
5.身体の状態、状況、もしくは機能、または精神状態に影響を与えるために、
ヒトまたは動物の身体上または体内に使用することを目的としている。
【0069】
これらの医薬活性物質は、1つ以上の有効成分群に属していてよく、これらの群には例えば、ACE阻害薬、アドレナリン作動薬、副腎皮質ステロイド、座瘡治療薬、アルドース還元酵素阻害薬、アルドステロン拮抗薬、α−グルコシダーゼ阻害薬、α1拮抗薬、アルコール依存症治療薬、アミノ酸、抗アメーバ薬、同化薬、興奮薬、麻酔補助薬、麻酔薬(非吸入用)、麻酔薬(局所)、鎮痛薬、アンドロゲン、アンギナ治療薬、拮抗薬、抗アレルギー薬、PDE阻害薬などの抗アレルギー薬、喘息治療用の抗アレルギー薬、さらなる抗アレルギー薬(例えば、ロイコトリエン拮抗薬)、抗貧血薬、抗アンドロゲン薬、抗不安薬、抗関節炎薬、抗不整脈薬、抗アテローム硬化症薬、抗生物質、抗コリン薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、止痢薬、抗利尿薬、解毒薬、制吐薬、抗てんかん薬、抗線溶薬、抗てんかん薬、駆虫薬、抗ヒスタミン薬、抗低血圧薬、抗高血圧薬、抗高血圧薬、抗低血圧薬、抗凝固薬、抗真菌薬、抗エストロゲン薬、抗エストロゲン薬(非ステロイド系)、抗パーキンソン病薬、抗炎症薬、抗増殖有効成分、抗原虫有効成分、抗リウマチ薬、住血吸虫駆除薬、鎮痙薬、抗血栓薬、鎮咳薬、食欲抑制薬、動脈硬化症治療薬、静菌薬、β遮断薬、β受容体遮断薬、気管支拡張薬、炭酸脱水酵素阻害薬、化学療法薬、利胆薬、コリン作用薬、コリン作動薬、コリンエステラーゼ阻害薬、潰瘍性大腸炎治療薬、シクロオキシゲナーゼ阻害薬、利尿薬、外部寄生生物撲滅薬、催吐薬、酵素、酵素阻害薬、酵素阻害薬、嘔吐を阻止するための有効成分、線溶薬、静真菌薬、痛風治療剤、緑内障治療薬、グルココルチコイド、グルココルチコステロイド、止血薬、強心配糖体、ヒスタミンH2拮抗薬、ホルモンおよびそれらの阻害薬、免疫治療薬、強心薬、抗コクシジウム薬、緩下薬、脂質低下薬、胃腸治療薬、マラリア治療薬、片頭痛治療薬、防菌剤、クローン病、転移阻害薬、片頭痛治療薬、無機質製剤、運動性向上有効成分、筋弛緩薬、神経遮断薬、エストロゲン、骨粗しょう症、耳鼻科の治療のための有効成分、抗パーキンソン病薬、植物医薬、プロトンポンプ阻害薬、プロスタグランジン、良性前立腺肥大症の治療のための有効成分、掻痒症の治療のための有効成分、乾癬治療有効成分、向精神薬、フリーラジカル捕捉剤、レニン拮抗薬、甲状腺治療薬、脂漏症の治療のための有効成分、船酔いを阻止するための有効成分、鎮痙薬、α−およびβ−交感神経作動薬、血小板凝集阻害薬、精神安定薬、潰瘍治療薬、さらなる潰瘍治療薬、尿石症治療薬、ウイルス抑制剤、ビタミン、サイトカイン、細胞分裂阻害薬との併用療法のための有効成分、細胞分裂阻害薬がある。
【0070】
適切な有効成分には、アカルボース、アセチルサリチル酸、アバカビル、アセクロフェナク、アクラルビシン、アシクロビル、アクチノマイシン、アダリムマブ、アデフォビル、アデホビルジピボキシル、アデノシルメチオニン、アドレナリンおよびアドレナリン誘導体、アガルシダーゼアルファ、アガルシダーゼベータ、アレムツズマブ、アルモトリプタン、アルファセプト、アロプリノール、アルモトリプタン、アロセトロン、アルプロスタジル、アマンタジン、アンブロキソール、アミスルプリド、アムロジピン、アモキシシリン、5−アミノサリチル酸、アミトリプチリン、アムロジピン、アモキシシリン、アンプレナビル、アナキンラ、アナストロゾール、アンドロゲンおよびアンドロゲン誘導体、アポモルフィン、アリピプラゾール、三酸化ヒ素、アーテメータ、アテノロール、アトルバスタチン、アトシバン、アザチオプリン、アゼライン酸、バルビツール酸誘導体、バルサラジド、バシリキシマブ、ベクラペルミン、ベクロメタゾン、ベミパリン、ベンゾジアゼピン、ベタヒスチン、ベキサロテン、ベザフィブラート、ビカルタミド、ビマトプロスト、ボセンタン、ボツリヌス毒素、ブリモニジン、ブリンゾラミド、ブデソニド、ブジピン、ブフェキサマク、ブメタニド、ブプレノルフィン、ブプロピオン、ブチジン、カルシトニン、カルシウム拮抗剤、カルシウム塩、カンデサルタン、カペシタビン、カプトプリル、カルバマゼピン、ダリフェナシン、カルベジロール、カスポファンギン、セファクロール、セファドロキシル、セファレキシン、セファロスポリン、セフジトレン、セフプロジル、セレコキシブ、カペシタビン、セリバスタチン、セチリジン、セトロレリックス、セツキシマブ、ケノデオキシコール酸、絨毛性ゴナドトロピン、シクロスポリン、シドフォビル、シメチジン、シプロフロキサシン、シスプラチン、クラドリビン、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クリンダマイシン、クロブチノール、クロニジン、クロピドグレル、コデイン、カフェイン、コレスチラミン、クロモグリク酸、コトリモキサゾール、クマリンおよびクマリン誘導体、ダルベポエチン、システアミン、システイン、シタラビン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダクリズマブ、ダルホプリスチン、ダナパロイド、ダピプラゾール、ダルベポエチン、デフェリプロン、デシプラミン、デシルジン、デスロラタジン、デスモプレシン、デソゲストレル、デソニド、デキシブプロフェン、デクスケトプロフェン、ジソプロキシル、ジアゼパムおよびジアゼパム誘導体、ジヒドララジン、ジルチアゼム、ジメンヒドリナート、ジメチルスルホキシド、ジメチコン、ジピボキシル、ジピリダルノイ、ドラセトロン、ドンペリドンおよびドンペリドン誘導体、ドネペジル、ドーパミン、ドキサゾシン、ドキソルビジン、ドキシラミン、ジクロフェナク、ジバルプロエクス、ドロナビノール、ドロスピレノン、ドロトレコギンアルファ、デュタステリド、エバスチン、エコナゾール、エファビレンツ、エレトリプタン、エメダスチン、エムトリシタビン、エナラプリル、Encepur、エンタカポン、エンフビルチド、エフェドリン、エピネフリン、エプレレノン、エポエチンおよびエポエチン誘導体、エプロサルタン、エプチフィバチド、エルタペネム、エソメプラゾール、エストロゲンおよびエストロゲン誘導体、エタネルセプト、エテンザミド、エチンエストラジオール、エトフェナメート、エトフィブラート、エトフィリン、エトノゲストレル、エトポシド、エキセメスタン、エゼチミブ、ファムシクロビル、ファモチジン、ファロペネムダロキサート、フェロジピン、フェノフィブラート、フェンタニル、フェンチコナゾール、フェキソフェナジン、フィナステリド、フルコナゾール、フルダラビン、フルナリジン、フルオロウラシル、フルオキセチン、フルルビプロフェン、フルピルチン、フルタミド、フルバスタチン、フォリトロピン、ホミビルセン、フォンダパリヌクス、ホルモテロール、ホスホマイシン、フロバトリプタン、フロセミド、フシジン酸、ガドベネート、ガランタミン、ガロパミル、ガンシクロビル、ガニレリクス、ガチフロキサシン、ゲフィチニブ、ゲムフィブロジル、ゲンタマイシン、ゲピロン、プロゲストーゲンおよびプロゲストーゲン誘導体、イチョウ、グラチラマー、グリベンクラミド、グリピジド、グルカゴン、グルシトールおよびグルシトール誘導体、グルコサミンおよびグルコサミン誘導体、グリコシド系抗生物質、グルタチオン、グリセロールおよびグリセロール誘導体、視床下部ホルモン、ゴセレリン、グレパフロキサシン、ジャイレース阻害薬、グアネチジン、ジャイレース阻害薬、ヘミン、ハロファントリン、ハロペリドール、経口抗糖尿病薬としての尿素誘導体、ヘパリンおよびヘパリン誘導体、強心配糖体、ヒアルロン酸、ヒドララジン、ヒドロクロロチアジドおよびヒドロクロロチアジド誘導体、ヒドロキシオメプラゾール、ヒドロキシジン、イブリツモマブ、イブプロフェン、イダルビシン、インフリキシマブ、イホスファミド、イロプロスト、イマチニブ、イミダプリル、イミグルセラーゼ、イミプラミン、イミキモド、イミダプリル、インドメタシン、インドラミン、インフリキシマブ、インスリン、インスリングラルギン、インターフェロン、イルベサルタン、イリノテカン、イソコナゾール、イソプレナリン、イトラコナゾール、イバブラジン、ヨウ素およびヨウ素誘導体、セイヨウオトギリソウ、カリウム塩、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトチフェン、ラシジピン、ランソプラゾール、ラロニダーゼ、ラタノプロスト、レフルノミド、レピルジン、レルカニジピン、レテプリニム、レトロゾール、レバセチルメタドール、レベチラセタム、レボセチリジン、レボドパ、レボドロプロピジン、レボメタドン、リコフェロン、リネゾリド、リピナビル、リポ酸およびリポ酸誘導体、リシノプリル、リスリド、ロフェプラミン、ロドキサミド、ロメフロキサシン、ロムスチン、ロペラミド、
ロピナビル、ロラタジン、ロルノキシカム、ロサルタン、ルメファントリン、ルトロピン、マグネシウム塩、マクロライド系抗生物質、マンガホジピール、マプロチリン、メベンダゾール、メベベリン、メクロジン、メフェナム酸、メフロキン、メロキシカム、メマンチン、メピンドロール、メプロバメート、メロペネム、メサラジン、メスクシミド、メタミゾール、メトホルミン、メサドン、メトトレキサート、メチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート、メチルナロキソン、メチルナロキソン、メチルナルトレキソン、メチルフェニデート、メチルプレドニゾロン、メチキセン、メトクロプラミド、メトプロロール、メトロニダゾール、ミアンセリン、ミベフラジル、ミコナゾール、ミフェプリストン、ミグリトール、ミグルスタット、ミノサイクリン、ミノキシジル、ミソプロストール、マイトマイシン、ミゾラスチン、モダフィニル、モエキシプリル、モンテルカスト、モロクトコグ、モルフィナン、モルヒネおよびモルヒネ誘導体、モキシフロキサシン、麦角アルカロイド、ナルブフィン、ナロキソン、ナプロキセン、ナラトリプタン、ナルコチン、ナタマイシン、ナテグリニド、ネビボロール、ネファゾドン、ネルフィナビル、ネオスチグミン、ネラメキサン、ネビラピン、ニセルゴリン、ニケタミド、ニフェジピン、ニフルミン酸、ニモジピン、ニモラゾール、ニムスチン、ネシリチド、ニソルジピン、ノルフロキサシン、ノバミンスルホン、ノスカピン、ニスタチン、オフロキサシン、オクトトライド、オランザピン、オルメサルタン、オルサラジン、オセルタミビル、オメプラゾール、オモコナゾール、オンダンセトロン、オルリスタット、オセルタミビル、オキサセプロール、オキサシリン、オキサリプラチン、オキサプロジン、オキシカルバゼピン、オキシコドン、オキシコナゾール、オキシメタゾリン、パリビズマブ、パロノセトロン、パントプラゾール、パラセタモール、パレコキシブ、パロキセチン、ペガスパルガーゼ、ペグインターフェロン、ペグフィルグラスチム、ペンシクロビル、経口ペニシリン、ペンタゾシン、ペンチフィリン、ペントキシフィリン、ペプチド抗生物質、ペリンドプリル、ペルフェナジン、ペチジン、植物抽出物、フェナゾン、フェニラミン、フェニル酪酸、フェニトイン、フェノチアジン、フェンセリン、フェニルブタゾン、フェニトイン、ピメクロリムス、ピモジド、ピンドロール、ピオグリタゾン、ピペラジン、ピラセタム、ピレンゼピン、ピリベジル、ピルリンドール、ピロキシカム、プラミペキソール、プラムリンチド、プラバスタチン、プラゾシン、プロカイン、プロマジン、プロピベリン、プロプラノロール、プロピオン酸誘導体、プロピフェナゾン、プロスタグランジン、プロチオナミド、プロキシフィリン、クエチアピン、キナプリル、キナプリラート、キヌプリスチン、ラミプリル、ラニチジン、ラベプラゾール、ラロキシフェン、ラノラジン、ラスブリカーゼ、レボキセチン、レパグリニド、レプロテロール、レセルピン、レボフロキサシン、リバビリン、リファンピシン、リルゾール、リメキソロン、リセドロネート、リスペリドン、リトナビル、リツキシマブ、リバスチメン、リザトリプタン、ロフェコキシブ、ロピニロール、ロピバカイン、ロシグリタゾン、ロキサチジン、ロキシスロマイシン、ルスコゲニン、ロスバスタチン、ルトシドおよびルトシド誘導体、サバディラ、サルブタモール、サリチル酸塩、サルメテロール、サペルコナゾール、甲状腺ホルモン、スコポラミン、セレギリン、セルタコナゾール、セルチンドール、セルトラリン、セベラマー、シブトラミン、シルデナフィル、ケイ酸塩、シンバスタチン、シロリムス、シトステロール、ソタロール、スパグルム酸、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、スピラプリル、スピロノラクトン、スタブジン、ストレプトマイシン、スクラルファート、スフェンタニル、スルバクタム、スルホンアミド、スルファサラジン、スルピリド、スルタミシリン、スルチアム、スマトリプタン、塩化スキサメトニウム、タクリン、タクロリムス、タダラフィル、タリオロール、タルサクリジン、タモキシフェン、タソネルミン、タザロテン、テガフール、テガセロッド、テリスロマイシン、テルミサルタン、テモポルフィン、テモゾロミド、テナトプラゾール、テネクテプラーゼ、テニポシド、テノフォビル、テノキシカム、テリパラチド、テラゾシン、テルビナフィン、テルブタリン、テルフェナジン、テリパラチド、テルリプレシン、テルタトロール、テストステロンおよびテストステロン誘導体、テトラサイクリン、テトリゾリン、テゾセンタン、テオブロミン、テオフィリン、テオフィリン誘導体、チアマゾール、チオテパ、thr.成長因子、チアガビン、チアプリド、チボロン、チクロピジン、チリジン、チモロール、チニダゾール、チオコナゾール、チオグアニン、チオトロピウム、チオキソロン、チラゼタム、チロプラミド、チロフィバン、チザニジン、トラゾリン、トルブタミド、トルカポン、トルナフテート、トルペリゾン、トルテロジン、トピラマート、トポテカン、トラセミド、トラマドール、トラマゾリン、トランドラプリル、トラニルシプロミン、トラピジル、トラスツズマブ、トラボプロスト、トラゾドン、トレプロスチニル、トリアムシノロンおよびトリアムシノロン誘導体、トリアムテレン、トリフルペリドール、トリフルリジン、トリメタジジン、トリメトプリム、トリミプラミン、トリペレナミン、トリプロリジン、トリフォスファミド、トロマンタジン、トロメタモール、トロパルピン、トロバフロキサシン、トロキセルチン、ツロブテロール、トリプシン、チラミン、チロトリシン、ウラピジル、ウルソデオキシコール酸、テオフィリンウルソデオキシコール酸、バラシクロビル、バルデコキシブ、バルガンシクロビル、バルプロ酸、バルサルタン、バンコマイシン、バルデナフィル、塩化ベクロニウム、ベンラファクシン、ベラパミル、ベルテポルフィン、ビダラビン、ビガバトリン、ビロキサジン、ビンブラスチン、ビンカミン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンポセチン、ビキジル、ビタミンDおよびビタミンD誘導体、ボリコナゾール、ワルファリン、ニコチン酸キサンチノール、キシメラガトラン、キシパミド、ザフィルルカスト、ザルシタビン、ザレプロン、ザナミビル、ジドブジン、ジプラシドン、ゾレドロン酸、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾプリコン、ゾテピンなどがある。
【0071】
活性成分は、所望であれば薬学的に許容される塩または誘導体の形態で使用してもよく、キラル性の有効成分の場合には、光学活性異性体とジアステレオマーのラセミ化合物もしくは混合物とを両方使用することが可能である。所望であれば、本発明の組成物は、2つ以上の医薬有効成分を含んでもよい。
【0072】
ニュートラシューティカル
ニュートラシューティカルは、ヒトの健康に対して医療効果があると言われている食品の抽出物と定義することができる。ニュートラシューティカルは、通常は、カプセル、錠剤、または粉剤などの医薬剤形に処方量で含まれる。ニュートラシューティカルの例には、ブドウ製品由来の抗酸化剤としてのレスベラトロル、高コレステロール血症を軽減するための水溶性食物繊維製品、例えばオオバコ種子殻、癌予防剤としてのブロッコリー(スルファン)、および動脈の健康を改善するための大豆またはクローバー(イソフラボノイド)がある。その他のニュートラシューティカルの例には、フラボノイド、抗酸化剤、亜麻仁由来のα−リノール酸、マリーゴールドの花弁由来のβ−カロテン、またはベリー類由来のアントシアニンがある。neutraceuticalという表現が、nutraceutical(ニュートラシューティカル)の同義語として用いられることもある。
【0073】
制御層(b)の塗布:
塗布プロセスは、有機溶液または水性分散液からの噴霧塗布、あるいは溶融もしくは直接粉末塗布から選択することができる。この場合、均一で細孔のないコーティングを製造することが実施に不可欠である。有機溶液と比較して、水性分散液の塗布は、特に厳格なVOC要件を満足しなければならない国では好適であるが、有機溶液を用いたコーティング塗布を適用することも可能である。
【0074】
適切な塗布プロセスは、例えば、Bauer, K.H., Lehmann, K., Osterwald, H. P..Rothgang, G. "Coated Pharmaceutical Dosage Forms", 1998, Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH, Stuttgart and CRC Press LLC, Boca Raton, Florida, USA、またはMcGinity, J. W., "Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms, Second Edition, Revised and Expanded", 1997, Marcel Dekker Inc., New York, USAに記載されている。
【0075】
塗布についての関連する特性、要求される試験、および仕様は、薬局方に記載されている。
【0076】
詳細は、例えば下記の常用の教本に記載されている。
−Voigt, R. (1984), Lehrbuch der pharmazeutischen Technologie; Verlag Chemie Weinheim − Beerfield Beach/Florida − Basle
−Sucker, H., Fuchs, P., Speiser, P.: Pharmazeutische Technologie, Georg Thieme Verlag Stuttgart (1991)、特に第15章および第16章(626〜642ページ)
−Gennaro, A., R. (Editor), Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton Pennsylvania (1985)、第88章(1567〜1573ページ)
−List, P. H. (1982): Arzneiformenlehre, Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH, Stuttgart
【0077】
制御層(b)は、好ましくは、制御層(b)の総質量が、コア(a)の総質量に対して2.5〜100質量%、好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは15〜40質量%質量%となるような量でコアに塗布する。
【0078】
トップコート
本発明の医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤は、場合によっては、いかなる放出制御機能も有さないトップコートを含んでもよい。好ましくは、トップコートは、顔料または潤滑剤の担体として機能する水溶性層である。適切なトップコート材料は、多糖類から選択することができる。
【0079】
投与形態
原則として、本発明による医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤は、経口投与によって直接使用することが可能である。しかしながら、好ましくは、医薬剤形を製造するための既知の方法で、さらなる加工工程が続く。製剤は、例えば、薬学的に有用な賦形剤を用いて、自体公知の方法で、多粒子医薬剤形、特にペレットを含有する錠剤、小型錠剤、カプセル、サシェ、または再構成可能な粉剤に加工することができる着色された形態で存在してもよい。
【0080】
本発明による製剤は、好ましくはペレットの形態で圧縮して、例えば錠剤を得ることができる。あるいは製剤は、例えば、ペレットまたは小型錠剤の形態で、ゼラチンカプセルまたはHPMC(メチロース)カプセルに入れて、それによって包むこともできる。
【実施例】
【0081】
実施例では、以下のコポリマーを使用した。
【0082】
コポリマー1:
65質量%のメチルメタクリレートと、30質量%のエチルアクリレートと、5質量%の2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドとから得られたもの(EUDRAGIT(登録商標) RS)。
【0083】
コポリマー2:
60質量%のメチルメタクリレートと、30質量%のエチルアクリレートと、10質量%の2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドとから得られたもの(EUDRAGIT(登録商標) RL)。
【0084】
コポリマー3:
50質量%のメチルメタクリレートと、50質量%のメタクリル酸とから得られたもの(EUDRAGIT(登録商標) L)を中和せずに使用。
【0085】
コポリマー4:
70質量%のメチルメタクリレートと、30質量%のメタクリル酸とから得られたもの(EUDRAGIT(登録商標) S)を中和せずに使用。
【0086】
方法
モデル薬物
試験は、モデル薬物として塩酸フェニレフリンを用いて実施した。
賦形剤
全ての賦形剤は、医薬品質のものを使用した。
溶解試験
コーティングしたペレットをUSP 28−NF23, General Chapter <711>, Dissolutionに従ってテストした。
溶解パラメータ:
装置:USP Type−1(バスケット)
RPM:100/分
温度:37.5±0.5℃
溶解量:900ml
取り出し量:5mlをピペットを用いて手動で取り出し、媒体の補充はしない。
取り出し量間隔:開始時、1.0時間、2.0時間、3.0時間、4.0時間、5.0時間、6.0時間、6.5時間、7.0時間、7.5時間、8.0時間、9.0時間、10.0時間、11.0時間、および12.0時間。
検出法:HPLC
溶解媒体1:
0.1モル塩酸(HCl)、(ヨーロッパ薬局方=EP)
溶解媒体2:
緩衝液、pH4.5(米国薬局方=USP)
溶解媒体3:
リン酸緩衝液、pH7.4(米国薬局方=USP)
処方詳細
流動層処理装置内で、355〜500ミクロンのコア(糖球体など)に塩酸フェニレフリンを下部噴霧を用いて付与した。ポリビニルピロリドンを結合剤として使用した。
【0087】
医薬製剤の調製
第1ステップでは、ノンパレイユシードに、コハク酸ナトリウム六水和物を付与し、その後塩酸フェニレフリンと第1表に挙げるコア用の賦形剤を付与した。コーティング組成物を2種の異なる濃度のコポリマー3またはコポリマー4を用いて調製し、それによって第1表に示す相対量のコポリマー1とコポリマー2との混合物を含有する水性コーティング溶液中に、コポリマー3または4を微粉として分散させた。
【0088】
コーティング懸濁液の調製:
適切な容器内で穏やかに攪拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)分散液を混合する。高せん断力を与えて、潤滑剤とさまざまな賦形剤を水中に溶解または分散させる。
【0089】
穏やかに攪拌しながら、この潤滑剤の懸濁液をEUDRAGIT(登録商標)分散液に注入する。コーティングプロセス全体を通して、攪拌を継続する。
【0090】
コーティングプロセス:
適当な条件下(噴霧速度:コア1kg当たりのコーティング懸濁液およそ20g/分、流動層温度:およそ25〜28℃)の流動層装置内で、薬物積層ペレットをさまざまなコーティング懸濁液でコーティングした。コーティング後、流動層処理装置内で、ペレットを50℃で1時間流動化させた。
【0091】
ペレットの組成を第1表に示す。全ての量は、乾燥質量に基づき、質量/質量(w/w)%で示す。
【0092】
【表1】

【0093】
結果を第2表にまとめる。
【0094】
【表2】

【0095】
第2表からわかるように、本発明による実施例1〜4の医薬製剤は、12時間以内に、医薬活性成分の90%を上回る(実質的に完全な)放出をもたらす。さらに、本発明の実施例1〜4において、最初の5%を上回る放出から開始するパルス期は、比較例5よりも概して急勾配である。これとは対照的に、比較例の処方物では、医薬活性成分は12時間後でも完全に放出していなかった。
【0096】
ペレットの錠剤への圧縮
実施例2と比較例5によるペレットを以下のように圧縮して錠剤にした。賦形剤を#40の篩によって篩過した。ペレットを第3表に示すステアリン酸マグネシウム、Aerosil 200、およびタルクの半量と混合した。このブレンドを第3表に示す量の微結晶性セルロースAvivel PH 102(Bitte genau angeben was das ist)とさらに混合した。Aerosil 200とタルクの残りの半量を第3表に示す量のAc−Di−So(Bitte angeben was das ist)と一緒に添加し、混合した。最後に、ステアリン酸マグネシウムの残りの半量を添加し、混合した。このブレンドを15×7mmのカプセル型パンチを用いて、圧縮機で圧縮した。
【0097】
【表3】

【0098】
結果を第4表にまとめる。
【0099】
【表4】

【0100】
第4表からわかるように、本発明による実施例2の医薬製剤を含有する錠剤は、10時間以内に、医薬活性成分の90%を上回る(実質的に完全な)放出をもたらす。これとは対照的に、比較例の処方物を含有する錠剤では、医薬活性成分は12時間後でも完全に放出していなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤であって、
a)本質的に、医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質と、医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質の放出に対して調節する形で作用する物質とを含有するコアと、
b)前記コアを包囲する制御層であって、
i)(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して80〜98質量%の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して2〜20質量%のアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される複数の(メタ)アクリレートコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物を、前記層中に含まれる(メタ)アクリルコポリマーの総質量に対して55〜92質量%と、
ii)前記コポリマーの質量に対して5質量%を上回り59質量%までのアクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位から構成される複数の(メタ)アクリレートコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物を、前記層中に含まれる(メタ)アクリルコポリマーの総質量に対して8〜45質量%と、を含む前記コアを包囲する制御層と、
を含む、医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤。
【請求項2】
成分ii)によるコポリマーが、前記コポリマーの質量に対して7〜59質量%のアクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位から構成される、請求項1記載の製剤。
【請求項3】
成分ii)によるコポリマーが、前記コポリマーの質量に対して18〜59質量%のアクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位から構成される、請求項1記載の製剤。
【請求項4】
成分ii)によるコポリマーが、前記コポリマーの質量に対して40〜59質量%のアクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位から構成される、請求項1記載の製剤。
【請求項5】
成分ii)によるコポリマーが、前記コポリマーの質量に対して41質量%以上95質量%未満の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位から構成される、請求項1記載の製剤。
【請求項6】
成分ii)によるコポリマーが、前記コポリマーの質量に対して41〜60質量%のメチルメタクリレートもしくはエチルアクリレートから誘導された構造単位と、前記コポリマーの質量に対して40〜59質量%のメタクリル酸から誘導された構造単位とから構成される、請求項1から5までのいずれか1項に記載の製剤。
【請求項7】
成分i)よるコポリマーが、前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して93〜98質量%の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して2〜7質量%のアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される(メタ)アクリレートコポリマーを含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の製剤。
【請求項8】
成分i)よるコポリマーが、前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して80質量%以上93質量%未満の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して7質量%を上回り20質量%までのアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される(メタ)アクリレートコポリマーを含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の製剤。
【請求項9】
成分i)よるコポリマーが、
前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して93〜98質量%の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して2〜7質量%のアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される、混合物の総質量に対して40〜99質量%の(メタ)アクリレートコポリマーと、
前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して85質量%以上93質量%未満の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して7質量%を上回り15質量%までのアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される、混合物の総質量に対して1〜60質量%の(メタ)アクリレートコポリマーと、
の混合物を含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載の製剤。
【請求項10】
前記アルキル基中に4級アンモニウム基を含有する構造単位が、トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドから誘導される、請求項1から9までのいずれか1項に記載の製剤。
【請求項11】
前記制御層が、前記層中に含まれる(メタ)アクリルコポリマーの総質量に対して75〜92%の成分i)と、前記層中に含まれる(メタ)アクリルコポリマーの総質量に対して8〜25質量%の成分ii)とを含む、請求項1から10までのいずれか1項に記載の製剤。
【請求項12】
前記コアは、薬学的に許容されるポリマー、ワックス、樹脂、および/またはタンパク質を含む制御層を含まず、また前記コアと前記制御層b)との間には、薬学的に許容されるポリマー、ワックス、樹脂、および/またはタンパク質を含むさらなる制御層は配置されない、請求項1から11までのいずれか1項に記載の製剤。
【請求項13】
前記医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質の放出に対して調節する形で作用する物質が、有機酸および有機酸の塩から選択される、請求項1から12までのいずれか1項に記載の製剤。
【請求項14】
前記有機酸が、クエン酸、フマル酸、ギ酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、グルタル酸、乳酸、およびこれらの混合物から選択され、前記有機酸の塩が、前記有機酸およびそれらの混合物のアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、およびカリウム塩から選択される、請求項13記載の製剤。
【請求項15】
前記調節する形で作用する物質が塩化ナトリウム(NaCl)である、請求項1から12までのいずれか1項に記載の製剤。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項に記載の医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤を含む錠剤。
【請求項17】
請求項1から15までのいずれか1項に記載の医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤を含むゼラチンカプセルまたはHPMCカプセル。
【請求項18】
医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質と、医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質の放出に対して調節する形で作用する物質とを含有するコアを包囲する、前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して80〜98質量%の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して2〜20質量%のアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される複数の(メタ)アクリレートコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物を含む制御層の製造における、シグモイド型放出プロファイルにおいて生理液中で前記医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質の放出速度を向上させる目的での、前記コポリマーの質量に対して5質量%を上回り59質量%までのアクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位から構成される複数の(メタ)アクリレートコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物の使用。
【請求項19】
前記アクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位を含有するコポリマーは、前記制御層中に8〜45質量%の量で含まれ、前記4級アンモニウム基を含むコポリマーは、前記制御層中に55〜92質量%の量で含まれる(質量パーセントは、前記層中に含まれる(メタ)アクリルコポリマーの総質量に基づく)、請求項18記載の使用。
【請求項20】
前記アクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位を含有するコポリマーは、前記制御層中に8〜25質量%の量で含まれ、前記4級アンモニウム基を含むコポリマーは、前記制御層中に75〜92質量%の量で含まれる(質量パーセントは、前記層中に含まれる(メタ)アクリルコポリマーの総質量に基づく)、請求項18記載の使用。
【請求項21】
前記アクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位を含有するコポリマーは、請求項2から6までのいずれか1項の記載と同様に定義され、前記4級アンモニウム基を含むコポリマーは、請求項7から10までのいずれか1項の記載と同様に定義され、前記医薬活性物質の放出に対して調節する形で作用する物質は、請求項13から15までのいずれか1項の記載と同様に定義される、請求項18から20までのいずれか1項に記載の使用。

【公表番号】特表2011−509265(P2011−509265A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541718(P2010−541718)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051238
【国際公開番号】WO2009/086941
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】