説明

流体の強制流動によって冷却される装置を備える回転電気機械に用いられる換気システム、およびこのような装置を備える回転電気機械

【課題】公知のシステムに固有の高い機械損失、および大きな換気ノイズの問題を解消した、回転電気機械用の換気システムを提供する。
【解決手段】回転電気機械用の換気システムであって、ステータ内に取り付けられたロータと、このロータに固定された少なくとも1つのファン、および独立ファン(10)を有する、空気などの流体を強制流動させる冷却装置を備えている。この独立ファン(10)は、比較的低いロータの回転速度での冷却の決定要因となるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の回転電気機械に用いられる換気システムに関し、詳細に述べると、ロータを取り囲んでいるステータを有するケーシング内で回転するように取り付けられたロータと、このロータに固定された、少なくとも1つのファンによって構成され、空気などの流体の強制流動によって冷却する装置とを備えるタイプの換気システムに関する。
【0002】
また、本発明は、このような換気システムを備える回転電気機械に関する。
【背景技術】
【0003】
このタイプの換気システムは、回転電気機械の分野、特に、前軸受および後軸受と呼ぶ少なくとも2つの部品からなるケーシングを有する自動車用オルタネータに、広く用いられている。前記軸受は、少なくとも1つのファンの作動下で、回転電気機械内の冷却流体が循環するための吸気口および排気口を備えている。
【0004】
具体的には、このファンは、ロータに固定されており、空気などの冷却流体の流れを生成する。この流速は、回転速度と共に線形に増大する。この回転速度による気流の線形変化により、高い回転速度(1分間当たりの回転数)で、極めて高い出力が得られ、このような速度により、ステータの効果的な冷却が可能となる。
【0005】
しかしながら、このような高い流速では、消費電力Pが、例えば、所定の後側ファンの場合、回転数が18,000rpm、流速が約80L/秒では、約775Wと非常に高くなってしまう。したがって、前側ファンおよび後側ファンを備える回転電気機械の場合、現在のところ、総機械損失は約1.5kWである。
【0006】
ここに記載する従来の換気システムの別の大きな問題は、約7,000rpmで現われる換気ノイズのレベルが、例えば、回転数が18,000rpmで115dbと非常に大きくなることである。
【0007】
図1により、特定の従来の回転電気機械における、回転速度の関数である、曲線Aによって示される有効電力、および曲線Bによって示される消費電力の変化を評価することができる。この図は、ロータに回転可能に取り付けられたファンを用いた従来の換気システムに、固有のものとして存在する、消費電力に対する有効電力の不満足な比を明確に示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、公知のシステムに固有の高い機械損失、および大きな換気ノイズの問題を解消した換気システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を果たすために、本発明による換気システムは、ロータによって駆動されるファンに加えて、ロータの比較的低い回転速度での冷却を有効に行うようになっている独立ファンを備えている。
【0010】
また本発明の回転電気機械は、このような冷却システムを有することを特徴としている。
【0011】
本発明により、ロータの高い回転速度での機械損失を軽減できる。
【0012】
さらに、ロータの比較的低い回転速度でも、回転電気機械の適切な冷却を実現できる。
【0013】
また、換気のノイズレベルを低減できる。
【0014】
独立ファンは、ロータのファンに対して回転速度を変更することができるものである。
【0015】
一実施形態では、独立ファンおよびロータに固定されたファンは、ロータの各側に配置されている。
【0016】
別の実施形態では、ロータに固定されたファンおよび独立ファンは、ロータの同じ側に配置されている。
【0017】
一実施形態によると、ロータによって駆動されるファンは、このファンと独立ファンの総流量と実質的に等しい流量を生成するロータに固定された別のファンに比べて、サイズが小さい。
【0018】
本発明のさらに別の有利な実施形態によると、換気システムの特徴は、ロータに固定されたファンのサイズの縮小により、機械損失および換気システムによって生じるノイズレベルが低減されることである。
【0019】
本発明のさらに別の有利な実施形態による、換気システムの特徴は、独立ファンが、一定の回転速度で回転できることである。
【0020】
本発明のさらに別の有利な実施形態による、換気システムの特徴は、独立ファンが、回転速度を段階的、すなわち非連続的に変更可能なファンであることである。
【0021】
本発明のさらに別の有利な実施形態による、換気システムの特徴は、独立ファンが、電気モータなどの独立モータによって、駆動されることである。
【0022】
本発明のさらに別の有利な実施形態による、換気システムの特徴は、独立ファンの回転速度が、有利なことに、回転電気機械の電圧レギュレータによって、前記回転電気機械の作動に応じて制御されることである。
【0023】
本発明のさらに別の有利な実施形態による、換気システムの特徴は、独立ファンが、吸気口などの気道開口に面して、回転電気機械のカバーに固定できる支持構造内に取り付けられていることである。
【0024】
本発明のさらに別の有利な実施形態による、換気システムの特徴は、独立ファンが、軸流換気ファンであることである。
【0025】
独立ファンの回転速度は、温度の値を考慮しないで、ロータの回転速度によって制御される。
【0026】
本発明の実施形態の一例では、ロータは、その両側に配置された2つのファンを有する。独立ファンと同じ側に位置するファンは、ロータによって保持される他方のファンの外径よりも確実に小さい外径を有する。
【0027】
このような場合、独立ファンと同じ側に配置されたロータによって保持されたファンの外径と、ロータの外径との間の割合は、95%または90%未満、例えば、84%〜68%の範囲である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
単に本発明の実施形態を例示する添付の模式的な図面を用いて行う以下の説明から、本発明をより良く理解でき、また本発明の目的、特徴、詳細、および利点が明らかになると思う。
【0029】
図2は、本発明による換気システムを備える回転電気機械の構造を模式的に例示している。
【0030】
図2に示す回転電気機械は、少なくとも2つの部品4、24からなるケーシング20を有する内部換気システムを備える自動車用のマルチフェイスオルタネータを構成している。
【0031】
ケーシング20は、ロータシャフト2に固定された誘導ロータ1を取り囲んでいるステータ3を、内部に有する。ステータ3は、巻線7を保持する本体30を備えている。巻線7は、本体30を通り、この本体30の両端から、軸方向に延びている。
【0032】
本体30およびロータ1は、環状構造である。後軸受4および前軸受24と呼ぶ少なくとも2つの部品4、24は、図2では、金属、具体的にはアルミニウム系合金からなっている。
【0033】
これらの軸受4、24は、中空であり、概ね軸方向を向いたリムによって、その外周部で、全体的に横断方向に延びる底部を有する。
【0034】
これらの軸受4、24は、図2に部分的に示すように、自動車の固定パーツにオルタネータを固定するためのラグを有する。
【0035】
公知の方式では、これらの2つの軸受は、例えば、国際公開第WO02/29958号の図7に示されているネジ、すなわちタイロッドによって、互いに結合される。
【0036】
図2において、この文献に記載されている軸受4、24内への本体30の弾性的な取り付けでは、弾性変形可能な熱伝導樹脂(符号なし)、平坦な環状シール、および一連のパッド(符号なし)を用意して、本体30と軸受4、24との間に径方向の機械結合を形成する。本体30の軸前端部と前軸受の外周肩との間にシールが形成され、パッドが、本体30の軸後端部と後軸受4の外周部に設けられた肩ハウジングとの間で機能する。
【0037】
変更態様では、本体30は、軸受4、24内に固着されている。
【0038】
シャフト2の軸線X−Xは、オルタネータの軸線である。このシャフト2は、ロータ1の中心を通り、シャフト2にロータ1をプレス嵌めするために部分的に刻みが付けられている。
【0039】
ロータシャフト2は、軸受4、24を通り、その前端部に、前軸受24の底部に近接した運動伝達部材を有する。この部材は、この図ではプーリー21であり、変更形態では歯車である。プーリー21は、内燃機関とも呼ぶ熱機関と、オルタネータとの間で動作する運動伝達装置の一部である。
【0040】
各軸受4、24は、ロータシャフト2の回転可能な取付けのために、中心に玉軸受5、50を有する。
【0041】
ここでは、後軸受4よりも直径の大きい玉軸受50を、模式的に示してある。
【0042】
ロータ1は、環状であって、誘導巻線43を流れる電流を制御する回路を有する電圧レギュレータに接続された少なくとも1つの誘導巻線43を有する。このレギュレータは、単一機能タイプまたは多機能タイプであって、どんな回転速度、温度、および電流出力でも、自動車のバッテリの電圧の制御を行う。
【0043】
多機能レギュレータは、例えば、制御に必要な演算および処理動作を行うマイクロプロセッサを含んでいる。このタイプのレギュレータは、例えば、欧州特許第A0802606号に開示されている。このレギュレータは、自動車のエンジン制御装置から情報を受け取ることができる。
【0044】
図2のロータ1は、環状の2つの磁極ホイール41、42、およびこれらの2つの磁極ホイール41と42との間に配置された環状のコア44を有する噛合いロータである。このコア44は、この例では環状である励磁巻線43を有する。各ホイール41、42は、外周部に概ね軸方向を向いた歯を有する概ね横断方向を向いたフランジを備えている。
【0045】
この磁極ホイール41、42の歯は、図13から分かるように、概ね台形であり、他方の磁極ホイールのフランジに向いている。磁極ホイール上の2つの連続した歯は、他方の磁極ホイールの歯を受容し、これらの歯は、周方向に交互配置されている。
【0046】
磁極ホイール41、42およびコア44は、この例では、強磁性物質から形成されている。励磁巻線43に電気が流れると、1つの歯に1つの磁極の割合で、磁極で磁極ホイールの磁化が起こる。各磁極ホイールは、例えば、6個〜8個の歯を有する。
【0047】
変更形態では、ロータは、突出した磁極を備えるロータであり、各磁極の周りには、巻線が設けられている。
【0048】
いずれの場合も、環状ロータ1の外周部とステータ3の本体30の内周部との間に空隙が存在する。
【0049】
このロータ1は、この例ではその外周部において、渦電流による損失を低減させるべく、歯に溝が設けられている。
【0050】
ステータ3の巻線7は、それぞれが少なくとも1つの巻線を有するいくつかの相からなっている。
【0051】
これらの巻線の出力端部(その1つを、図2に符号70で示す)が、自動車に搭載のバッテリを充電するか、または負荷に電力供給するために、ステータがアーマチュアの場合、ステータの各相によって生成される交流を直流に整流するために、整流装置6に電気的に接続されている。
【0052】
この整流装置は、例えばダイオードブリッジ6からなり、変更形態では、例えばMOSFET型の可変抵抗ブリッジである。
【0053】
図2では、このブリッジ6は、プラス放散器63、マイナス放散器4、およびコネクタ64を有する。
【0054】
放散器は、金属製である。
【0055】
プラス放散器63は、ケーブルによって、自動車のバッテリのプラス端子に接続されており(不図示)、複数のプラスダイオード(その1つを、図2に符号61で示す)を有する。この放散器は、その内部に冷却フィンを備えている。これらのフィン(符号なし)の2つが、図2に示されている。
【0056】
マイナス放散器4は、接地されており、複数のマイナスダイオードを有する。図2では、マイナス放散器は、後軸受4の底部によって形成され、軸線X‐Xに対して概ね横断方向に向いている。この図では、プラスダイオード(この切断面では不図示)の軸線62が示されている。
【0057】
各ダイオードの尾部は、この例では、軸方向に同じ方向を向いており、各ダイオードの刻み付き本体は、この例では金属である後軸受、およびプラス放散器63内に嵌め込まれている。変更形態では、この固定は、溶接または蝋付けによって行われる。
【0058】
プラスダイオードおよびマイナスダイオードは、ダイオードブリッジ6のアームを形成するために、公知の方式で、対にグループ分けされている。ダイオードの対の数は、用途、具体的には、オルタネータの相の数によって決まる。例えば、6相のオルタネータの場合、ブリッジ6は、6つのアームと6対のダイオードを有する。3相のオルタネータの場合、ブリッジ6は、3対のダイオードと、場合によってはもう1対のダイオードを有する。
【0059】
コネクタ64は、電気絶縁材料、この例では、金属トレースが埋め込まれたプラスチック材料からなるプレートを備えている。これらの金属トレースは、ステータの巻線7の出力端部70およびダイオードとの電気接点のために可視部を有する。
【0060】
ブリッジ6は、後軸受4の底部のネジ突出部内にねじ込まれた植込みボルト65によって、後軸受4に固定されている。放散器63を軸受4から電気的に絶縁するために、各植込みボルト65に絶縁碍子66が設けられている。この絶縁碍子66は、例えば、プラスチック材料から形成されており、対応する植込みボルト65のネジ部が通過する孔と、後軸受4の対応するネジ突出部とプラス放散器63との間に軸方向に配置されたベースを有する。
【0061】
コネクタ64に支持されているワッシャー(符号なし)を介して、軸受4にブリッジを軸方向に締め付けるために、対応するナット(符号なし)が、植込みボルト65にねじ込まれている。
【0062】
植込みボルト65は、保護カバー15を後軸受4に固定する役割も果たしている。このため、各植込みボルト65は、カバー15の環状突起67と係合する第2のネジ部を有する。この突起67は、植込みボルト65が通る孔68内で、局所的に突出しており、各植込みボルト65に関連したナットのハウジングとして機能する。
【0063】
中空キャップすなわちカバー15は、電気絶縁材料、この例ではプラスチック材料から形成されており、この実施形態では、突起67を各植込みボルト65の第2のネジ部にスナップ式に取り付けることにより固定し、このカバー15を軸受4の底部に固定している。
【0064】
変更形態では、カバー15は、ネジまたはボルトによって、後軸受4に固定される。
【0065】
したがって、このカバーは、軸受4と一体である。
【0066】
保護カバー15は、ダイオードブリッジ6、および軸受4の底部を通るシャフト2の後端部である出力端部70を覆っている。
【0067】
このカバー15は、この例では、軸線X−Xに対して概ね軸方向を向く、出力端部70、およびブリッジ6を取り囲んでいるスカート150を有する。このスカートの自由端は、軸受4の底部に近接しており、他方の軸端部は、軸線X−Xに対して概ね横断方向のカバーの底部151に接続されている。
【0068】
この底部151は、後述するように、中心が開口している。
【0069】
変更形態では、スカートの自由端は、ネジまたはボルトでカバー15を軸受4に取り付けるために、外側に向かって延びる径方向リムを有する。このネジは、植込みボルト65と交換することができる。
【0070】
ロータ1の誘導巻線43は、図2では、ロータ1の2つの磁極ホイール41と42との間に位置しており、コア44は、この例では、各磁極ホイールと一体に形成された2つの部品である。当然、絶縁支持体(図2には符号なし)が、巻線43とコア44の外周部との間に配置されている。
【0071】
変更形態では、巻線43が巻き付けられたコア44は、磁極ホイール41、42の2つのフランジの間に軸方向に配置された1つの部品の中に存在する。この場合、ロータシャフトは、軸受4の底部を通る軸後端部に、ケーブル接続(符号なし)によって誘導巻線43の端部に接続された接続リング46、47を有する。
【0072】
ブラシ(符号なし)は、接続リング46、47を擦る。このブラシは、電圧レギュレータ(図2には不図示)に接続されたブラシホルダ48の一部である。
【0073】
ブラシホルダ48および電圧レギュレータは、この例では、カバー15内に受容され、軸受の底部に固定されている。
【0074】
これらの構成要素48、15は、例えば、国際公開第WO02/29958に示されているように、組立体を形成している。
【0075】
変更形態では、ロータの誘導巻線43は、電圧レギュレータに固定して接続することができる。
【0076】
自動車では、多相オルタネータは、自動車の熱機関によって駆動される誘導ロータ1の回転運動を、ステータ3の巻線7に誘導される電流に変換する。オルタネータは、可逆回転することができる。オルタネータは、自動車の爆発機関とも呼ばれる熱機関を、ロータシャフトを介して回転させることができる電気モータとして機能する。この可逆オルタネータは、オルタネータ/スタータと呼ばれる。オルタネータは、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0077】
オルタネータ/スタータは、定電流源モードで機能する場合も同様に、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する。オルタネータ/スタータは、特に自動車の熱機関を始動させるために、電気モータモードで機能する場合、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する。
【0078】
定電流源モードで機能するオルタネータ、またはオルタネータ/スタータでは、ステータは、被誘導ステータであり、ロータは、起誘導ロータである。電気モータモードで機能するオルタネータ/スタータでは、ステータは、起誘導ステータであり、ロータは、被誘導ロータである。
【0079】
オルタネータ/スタータでは、整流装置は、通常、例えばMOSFET型のトランジスタブリッジを有し、特に自動車の熱機関を始動させるために、オルタネータ/スタータが電気モータモードで機能する場合、ステータの相に電流を投入するべく、制御装置が設けられている。
【0080】
いずれの場合も、ステータは、いくつかの相を構成する巻線7を有する本体30を有している。各相は、少なくとも1つの巻線を有し、その出力は、バッテリを充電するか、または自動車搭載システムの負荷に電力供給するために、ステータがアーマチュアである場合、ステータの各相で生成される交流を直流に整流するために、整流装置6に電気的に接続されている。この整流装置は、例えば、ダイオードブリッジを備えている。
【0081】
ステータ3の本体30は、例えば、図2から分かるように、渦電流を低減するために、金属シートの束の形態である。
【0082】
この金属シートは、複数の凹部を備えている。この凹部は、複数の軸方向の溝または螺旋状の溝を形成するべく整合している。
【0083】
これらの凹部は、閉鎖型または半閉鎖型である。この場合、各凹部は、ステータ本体の内周部で開いた開口を有する。これらの凹部は、歯によって交互に画定され、2つの連続した凹部が、歯によって分離されている。
【0084】
ステータコイルの巻線は、凹部内に取り付けられており、巻線の本数は、用途および相の数によって異なる。例えば、3相型のオルタネータまたはオルタネータ/スタータであって、ロータが、それぞれが6つの歯を有する2つの磁極ホイールを備える噛合いロータである場合、このロータは、36の凹部を有する。変更形態では、凹部の数は、ノイズを低減するために2倍である。
【0085】
一実施形態では、巻線は、例えば、いくつかの歯の周りに波型または交互配置式に形成された連続したワイヤ巻線である。変更形態では、電気機械の出力を上げ、凹部の充填率を上げるために、巻線は、溶接によって互いに接続されたピンを有するバー巻線である。
【0086】
巻線が、ステータの本体30を通過し、このステータ本体の両側から突き出る場合、これらの突出部71、72は、延出ワイヤと呼ばれる。延出ワイヤ71は、軸受4内に受容された後延出ワイヤであり、延出ワイヤ72は、軸受24内に受容された前延出ワイヤである。
【0087】
軸受4、24の少なくとも一方は、オルタネータ内での冷却流体の循環のために、通気開口を有する。
【0088】
この循環は、ロータの高い回転速度でのノイズ、従って自動車の爆発機関すなわち熱機関のノイズを軽減するために、換気システムによって生成される。この換気システムは、本発明の1つの特徴によると、比較的低いロータの回転速度での冷却の決定要因となるように配置された独立ファン10を有する。
【0089】
この独立ファン10は、後述する要領で固定されたファン8、80に関連している。
【0090】
図2では、楕円形の通気開口55、54が、後軸受4の底部およびリムにそれぞれ形成されている。
【0091】
これらの開口の形状は、図12に、明確に示されている。特に、開口55は、後軸受4のハウジングとして機能する管状コア56によって、内側が画定されている。したがって、これらの開口の下縁は、円弧の形状である。これらの開口は、概ね径方向を向くアーム57によって、横方向に画定されている。
【0092】
これらの開口55の上縁は、概ね円弧状である。変更形態では、上縁は、非円弧状である。
【0093】
開口55は、数の多い開口54よりも、寸法が大きい。
【0094】
これらの開口54は、型から容易に取り外すことができるように、軸受4の概ね軸方向を向いた外周リム、および軸受4の概ね横断方向を向く底部の外周部の一部に作用する。これらの各開口54は、2つの傾斜したフィン156によって画定されている。
【0095】
フィン156は、軸受4の底部で横方向に傾斜し、かつ軸受4のリムで軸方向に傾斜している。これらの開口は、軸方向に楕円形である。この構造により、空気の良好な循環が可能となり、これによりノイズが低減される。
【0096】
マイナスダイオードを固定するための開口が、符号58として示されており、図2の植込みボルト65に関連したネジ突出部が、符号59として示されている。
【0097】
楕円形の開口155、154も、前軸受24の底部、およびリムにそれぞれ形成されている。これらの開口は、開口55、54に類似した形状を有する。
【0098】
開口54、154は、入口すなわち吸気口であり、開口55、155は、ロータ1に固定され、このロータ1によって駆動される2つのファン8、80が作動した状態で、電気機械内で空気を循環させるための排気口である。
【0099】
前側ファン80は、ロータ1の軸前端部に固定されており、巻線7の前延出ワイヤ72の径方向下側の前軸受24の底部に近接して配置されている。
【0100】
後側ファン8は、ロータ1の軸後端部に固定されており、巻線7の後延出ワイヤ71の径方向下側の後軸受4の底部に近接して配置されている。
【0101】
ロータの軸前端部と軸受24の底部との間の空間は、ロータの軸後端部と軸受4の底部との間の空間よりも狭い。
【0102】
各ファンは、複数の羽根を有する。
【0103】
前側ファン80の羽根は、例えば、スポット溶接または圧接によって、ロータ1の前面に固定された金属プレートのカット、および折り曲げによって形成されている。
【0104】
一実施形態では、後側ファンも同様である。
【0105】
図2の実施形態によると、後側ファン8の羽根は、2連の羽根からなり、各羽根は、金属プレートのカットおよび折り曲げによって形成されている。
【0106】
このファン8は、2つの重なり合ったファンを備えており、その第1のフランジは、例えばスポット溶接によって、ロータの軸後端部に固定されており、第2のフランジは、例えばスポット溶接によって、第1のフランジに固定されている。
【0107】
このようなファン8は、例えば、フランス国特許第A2741912号に開示されている。
【0108】
ファン8、80は、遠心型である。図2は、シャフト2およびロータ1が回転した時のオルタネータ内の空気の循環を、矢印で示している。シャフト2と熱機関との間で作用する伝達装置の上記の運動により、自動車の熱機関の回転速度の間に、減速比が存在する。
【0109】
この伝達比は、シャフト2が高速で回転できるように、約2〜3.5である。
【0110】
このオルタネータを備えた本発明による換気システムは、この実施形態では、ファン8とは別に、図の軸方向に作用する、すなわち、図示の例では、軸方向に換気する有利な遠心型の独立ファン10が、シャフト2に近接して、このシャフト2と直線状に配置されている。このファン10は、回転電気機械(オルタネータ)の外部または内部に配置することができる。
【0111】
図2において、模式的に示す独立ファン10は、外側を向いて、中心が開口するカバー15の底部に固定されたスリーブ200の内部に配置されている。このスリーブは、ファン10を回転可能に取り付けるためのアーム(不図示)を有する。このような取付けは、図3および図4に詳細に示している。
【0112】
変更形態では、ファン10は、回転電気機械の外部に配置され、例えば、冷区域内のハウジング内に取り付けられ、コンジットによって、スリーブ200に接続されている。このスリーブ200は、一実施形態では、後述するハウジングによって置き換えられている。
【0113】
2つのファン8、10は、ロータ1の同じ側、この例では、後側に配置されている。
【0114】
1つの特徴によると、ファン8は、ファン8、10の出力と実質的に等しい出力を生成するロータに固定されたファンに比べて、サイズが小さい。
【0115】
図2では、ファン8は、従来のファンよりも、横断方向の高さが低く、この例では、前側ファン80よりも、横断方向の高さが低い。
【0116】
ファン8は、ファン80に比して、軸方向の高さが高い。
【0117】
その結果、ファン8の外径は、ファン80の外径よりも小さい。このファン80は、この例では、ノイズを低減するように構成されている。具体的には、ファン8の外径とロータ1の外径との間の割合は、97%〜90%の範囲である。
【0118】
図2では、ファン8の外径は、ロータ1のコア44の外径よりも大きい。
【0119】
ファン8の外径とロータ1の外径との間の割合は、この例では、90%未満である。
【0120】
ファン8の外径は、開口55の直径D1、すなわち、開口55の上縁の外径よりも大きい。
【0121】
変更形態では、開口の上縁の外径は、必ずしも円形にする必要はない。いずれの場合も、ファンの外周縁は、開口55の外周縁の外側まで延びている。
【0122】
84%〜68%の割合(ファンの外径/ロータの外径)で良好な結果が得られた。例えば、外径111mmのロータの場合、ファン8の外径は、90mmである。
【0123】
変更形態では、ファンの外径は、関連する磁極ホイールのフランジに対するロータの歯の谷底、すなわち基部の直径D2(図2)と等しい。
【0124】
具体的には、図2では、ロータは、上記したように、概ね軸方向を向いた2連の歯を有する環状の噛合いロータである。各連の歯は、その基部が、概ね横断方向を向くフランジの所定の直径D2の外周縁に結合されている。サイズの小さいファン8の外径は、ロータのフランジの外径D2と等しい。
【0125】
上記した割合は、概ね76%である。当然、このファン8は、図2から分かるように、開口55の内径よりも大きい内径の羽根を有する。羽根の内径は、開口55を完全には覆っていない。
【0126】
図3および図4は、一例として、独立ファン10の製造および取付け方法を示している。このファン10は、中心が開口した支持ハウジングの形態である支持体13の中心に配置されたモータ12によって駆動される。支持体13の中心開口は、この例では、図4から分かるように、ファン10を受容するために、ファン10の羽根の外径に一致する円形である。この支持体13は、この例では、4つのネジ14によって、回転電気機械の中心が開口したカバー15に固定されている。ネジ14は、この例では、正方形である矩形の断面の中空バーの形態である支持体の四隅に固定されている。
【0127】
保護グリル16が、ファン10の前方のハウジングに配置されている。このグリル16は、ネジ14によってハウジング13に固定されている。ハウジング13は、カバー15と同じ側で開口しているが、モータ12を支持する放射状の4つの支持部材17を有する。支持部材の数は、用途によって異なる。グリル16は、一実施形態では、例えば、ダイヤモンド型である規則的なメッシュを有する。グリルのワイヤは、非円形の断面を有するのが有利である。この構造によると、ノイズが発生する。
【0128】
したがって、本発明は、ロータに固定された遠心型の換気ファンに結合された軸方向の独立した換気ファンを有する換気システムを提案するものである。独立ファンの回転速度は、一定または段階的とするか、または回転電気機械のレギュレータによって制御される。
【0129】
具体的には、独立ファンは、一実施形態では、一定の回転速度で動作する。
【0130】
変更形態では、ファンの回転速度は、例えば、自己制御である電圧レギュレータによって制御される。
【0131】
一実施形態では、独立ファンの回転速度は、段階的、すなわち非連続的である。この回転速度は、例えば、自動車の内燃機関の低い回転速度で最大となり、内燃機関の所定の回転速度で、第2の回転速度に低下する。
【0132】
独立ファンの回転速度は、3段階以上にすることも可能である。
【0133】
変更形態では、この独立ファンの回転速度は、連続的に低下する。
【0134】
全ては、用途によって決まる。
【0135】
この独立ファンは、一実施形態では、ロータの所定または計画の回転速度で、係合解除される。
【0136】
係合解除されても、独立ファンは、特定の条件、具体的には、温度センサが回転電気機械の異常な温度を検出すると、再び始動することも可能である。
【0137】
したがって、独立ファンの回転速度は、例えば、回転電気機械の電圧レギュレータ、または回転電気機械の温度によって、上記の要領で、回転電気機械の作動状態に応じて制御することができる。この温度検出のために、温度センサが設けられている。
【0138】
独立ファンは、一実施形態では、電気モータによって作動させられる。
【0139】
回転速度と共に出力が実質的に線形に増大する図2のファン8などのロータに固定されたファンに対して、独立ファンは、ロータの全範囲の回転速度で、一定の冷気流を生成する。したがって、独立ファンは、ロータの低い回転速度で有効に冷却することができ、高い回転速度では、詳細を後述する図5〜図10から分かるように、冷却を決定するのは、ロータに固定されたファンである。
【0140】
しかし、ロータに固定されたファンの出力と、独立ファンの出力が重なり合うため、本発明による換気システムにより、同一の総出力では、従来の単一ロータファンに比べて、ロータに固定されたファン8のサイズを縮小させることができる。この縮小により、ファンの直径は縮小されるが、ファンの高さ、すなわちファンの羽根の軸方向の長さも、縮小される。したがって、ファン8のサイズは小さい。
【0141】
しかし、サイズの小さいファンは、損失およびノイズを著しく低減させるという利点を有する。一例として、同一の出力では、独立ファン10を追加することにより、例えば、3,000rpmで13L/秒の出力の従来のロータファンの代わりに、同じ回転速度で、僅かに7L/秒の小さいファンを用いることができる。このため、18,000回転での機械損失を、大きいファンの770Wから僅か295Wに低減することが可能である。独立ファンは、例えば、18L/秒の出力を有する。
【0142】
さらに、詳細を後述する図5〜図10から分かるように、図2のロータ10などのロータから独立したファンの動作と、従来のロータに回転可能に固定されたサイズの小さい従来型のファンの動作を組み合わせることにより、低速では、独立ファン10によって冷却され、高速では、ロータに固定されたファン8によって冷却され、全ての速度で良好に冷却することができる。
【0143】
これは、従来のファンが、ロータの速度と共に線形に変化する、ゼロを通る出力を有し、独立ファンが、ロータの回転速度で変動しない一定(当てはまる場合)の出力を有するためである。
【0144】
2つのファン8、10によって生成されるトルクは、ロータの回転速度の関数として出力が線形に変化する。しかし、この出力は、ゼロからではなく、独立ファンの出力値から始まり、実質的に直線状に増大する。当然、ファンの速度を、段階的、すなわち非連続的に変更するか、またはレギュレータによって制御されるファンを設けることにより、ファン8および10のトルクによって生成される出力を変更することが可能である。
【0145】
図5〜図10は、ロータ1によって駆動されるサイズの小さいファン8および独立ファン10を備えた本発明による換気システムによって実現される換気の有効性を、ロータの回転速度(rpm)の関数である、3つの曲線C、D、およびEの形態である回転電気機械の特定の重要なパラメータの変化によって示している。
【0146】
曲線Cは、サイズの大きい唯1つの従来のファンを有する換気システムを備えた回転電気機械のパラメータの変化を示し、曲線Dは、独立ファン10のみを備えた回転電気機械のパラメータの変化を示し、曲線Eは、組合せ換気システムを備えた回転電気機械のパラメータの変化を示している。
【0147】
熱機関とシャフト2との間で作用する上記の伝達比を考慮すると、シャフト2の回転速度(rpm)は、伝達比が3で18,000rpm、伝達比が2で12,000rpmであることに留意されたい。
【0148】
公知の方式では、従来のオルタネータに用いると、延出ワイヤ71における温度は、200℃超に達し、後軸受4における温度は、150℃超に達することとなる。
【0149】
ダイオード6の平均温度は、約200℃に達しうる。
【0150】
図5〜図10は、見やすくするために、高い回転数に対する曲線部分を示していない。図示する最大値は、10,000rpmである。
【0151】
図5は、上記した3つのケースのステータの巻線7の後延出ワイヤ71で測定された温度TCHを示し、図6は、後軸受の玉軸受5の温度TRを示し、図7および図8は、それぞれ、プラスダイオードおよびマイナスダイオードの接合部で記録された平均温度TJD+、TJD-を示している。
【0152】
これら4つの図から分かるように、比較的低い回転速度ゾーン、すなわち最大2000rpmでは、2つの曲線DとEは重なっているが、従来のロータ8によって達成される冷却効果を反映する曲線Cの値が高く、このような回転速度では、直径の大きい従来のファンの効果が低いため、温度は、独立ファン10によって決まる。
【0153】
他方、高い回転速度では、独立ファン10のみで得られる冷却は、直径の小さいファン8と独立ファン10を組み合わせた本発明によるシステムによって生成される冷却よりも大幅に劣っている。この速度範囲では、曲線CとEは、ほぼ同じ傾きであり、比較的接近している。すなわち、小さいファン8の使用が、高い回転速度範囲での冷却に悪影響を与えていないことを示している。
【0154】
図9および図10は、ロータの回転速度(rpm)の関数である、整流装置6のプラスダイオードおよびマイナスダイオードと空気との間の熱伝導係数(ワット/℃)を示しており、熱伝導係数の変化は、比較的低い回転速度では、独立ファン10が決定要因であり、高速では、ロータファンによって決まり、独立ファンの効果は、有利に重ね合わせられている。
【0155】
図11は、上記の3つのケースに対するロータ1の回転速度(rpm)の関数として、ノイズレベル(Db)を表し、本発明による換気システムによって生成される曲線Eで示されているノイズが、曲線Cで示されている従来の大きいファンによって生成されるノイズよりも小さい。
【0156】
換気システムの機能は、図2から明らかである。独立ファン10は、ステータ巻線7の後延出ワイヤ71を通過する流れを生成するロータに固定された遠心型のファン8に達するように、後軸受に設けられた開口55、54を通過して、ダイオードブリッジ6および後軸受4の玉軸受5に接触する矢印F1で示されている軸方向の冷気流を生成する。
【0157】
この構成は、図13から分かるように、磁極ホイールの一方の歯90の各側に、少なくとも1対の永久磁石138を有する噛合いロータ1と良好に組み合わせることができる。
【0158】
この図では、各磁極ホイールは、8つの歯と4対の磁石138を有する。
【0159】
この磁石により、回転電気機械の出力を上げることができる。磁石の数は、用途によって異なる。
【0160】
したがって、一実施形態では、歯と歯の間の空間の全てが、永久磁石138によって占められている。
【0161】
変更形態では、磁石が一切設けられていない。
【0162】
一実施形態では、後側ファン8を省き、前側ファン80の代わりに、螺旋遠心型または軸流型の前側ファンを用いることができる。米国特許文献第A4418295号に開示されているファンを、螺旋遠心型ファンとして用いることができる。このファンでは、フランジの平面に対する羽根の傾斜角は、30度〜80度の範囲である。したがって、換気ファンは、延出ワイヤ72を超えて延びている径方向構成要素、およびロータおよび後延出ワイヤ71を超えて延びている軸方向構成要素を有する。
【0163】
次に、独立ファン10に、螺旋遠心型または軸流型ファンを取り付ける。
【0164】
この場合には、2つのファン80、10が、ロータ1の各側に配置されており、一実施形態では、ロータシステムは、独立ファン10が位置するロータの後側のロータに固定されたファンを備えていない。
【0165】
当然、本発明は、ここに開示する例示的な実施形態に限定されるものではない。
【0166】
一実施形態では、ケーシングは、3つ以上の部品を有する。例えば、ケーシングは、軸受4と24との間に軸方向に配置された中間部品を有する。この中間部品は、一実施形態では、内部にステータの本体を有する。この中間部品は、冷却流体の循環によって冷却することができ、この冷却のために、冷却流体(一実施形態では、自動車の熱機関のための冷却液)を循環させるための流路を有する。
【0167】
同様に、前軸受は、一実施形態では、冷却流体の循環によって冷却され、この冷却のために、この流体を循環させるための流路を有する。
【0168】
この場合、前側ファン80を省き、後側ファン8を維持することができる。変更形態では、前側ファン80を、軸作動ファンとする。このような前側ファン80は、図2の実施形態に用いることができ、開口154を必要としない。あらゆる組合せが可能である。
【0169】
軸作動ファンを用いることにより、一実施形態では、後側ファン8を省くことができる。
【0170】
後側ファン8は、変更形態では、単一ファンである。前側ファン80は、変更形態では、2連の羽根を備える二重ファンであり、2つのファンは重なっている。
【0171】
変更形態では、ファン80、8は、フランジを有していない。例えば、一実施形態では、ファンの各羽根は、国際公開特許第WO2004/107535号に開示されているように、ロータ内に取り付けられたヒートパイプの一部である。ファンが、2連の羽根を有する場合、一方の連の少なくとも1枚の羽根が、ヒートパイプの一部である。変更形態では、ファンの少なくとも1枚の羽根は、ヒートパイプの一部である。
【0172】
当然、ファン80、8の少なくとも一方の出力を増大させるために、一方のファンは、図14から分かるように、その羽根の自由縁に固定されたリングを備えている。
【0173】
図14では、1列の羽根を有する後側ファン8は、羽根181の自由縁に固定されたリング180を備えている。羽根181は、例えば、スポット溶接または圧接によって、ロータの軸後端部に固定されるフランジ182のカットおよび折り曲げによって形成されている。
【0174】
この構造により、ファンの出力が増大するため、ファン8の横断方向の高さをさらに低くし、その外径を、ロータの外径の約68%にすることができる。
【0175】
変更形態では、少なくとも1つのファンを、成形によって設けることができる。このファンは、例えば、プラスチック材料から形成される。
【0176】
オルタネータまたはオルタネータ/スタータは、上記の国際公開特許第WO2004/107535号に開示されているように、そのシャフトまたはそのステータまたはその整流装置に、少なくとも1つのヒートパイプを設けることができる。
【0177】
当然、この構造を、逆にすることもできる。
【0178】
したがって、図2の整流装置6のプラスダイオードは、欧州特許第A0743738号に開示されているように、それらの尾部が開口55内に受容されるように配置することができる。この場合、ダイオードの対が、反対向きに取り付けられ、コネクタが、後軸受4の底部とプラス放散器との間に配置される。
【0179】
開口54、154は、変更形態では、吸気口であり、開口55、155は、排気口であり、ファン80、8および独立ファン10は求心型であり、独立ファン10は、図2に示すように、排気するのではなく吸気する。
【0180】
当然、変更形態では、カバーは、例えば、米国特許第A4488070号に示されているように、後軸受4を備えた単一部品の形態である。
【0181】
この場合、図3の取付け具が、後軸受の底部に固定されている。この特許文献の図2を参照すると、後側ファン8を、図2のリング46、47を有するコレクタと一体にできることが分かると思う。いずれの場合も、後側ファンは、ロータによって回転させられ、シャフト2を介して、ロータに直接または間接的に固定されている。
【0182】
いずれの場合も、後軸受4、整流装置6、電圧レギュレータ、およびブラシホルダが、良好に冷却されることは分かると思う。
【0183】
変更形態では、回転電気機械は、電気モータである。
【0184】
変更形態では、整流装置および電圧レギュレータは、後軸受の外部のハウジング内に位置し、出口40およびブラシホルダ48に、ケーブルによって接続されている。
【0185】
当然、サイズの小さいファンおよび独立ファンは、一実施形態では、回転電気機械のロータの前面と同じ側に配置されている。したがって、一実施形態では、小さいファンは、前軸受24に取り付けられ、独立ファンは、前軸受24とプーリー21との間、一般には前軸受と駆動部材との間に軸方向に配置されている。
【0186】
一実施形態では、回転電気機械のロータのシャフトは、玉軸受などの軸受によって回転させるために、前軸受に固定されたスリーブに取り付けられた独立ファンを通っており、オルタネータのシャフトも独立ファンを通っている。
【0187】
このファンは、例えば、角度戻り伝達機構を介して電気モータによって駆動される。この伝達装置は、例えば、少なくとも2つの垂直な歯車を備えており、一方の歯車は、ファンに固定され、他方の歯車は、ロータシャフトに垂直に電気モータに回転可能に固定されている。
【0188】
変更形態では、回転電気機械のロータシャフトは、独立ファンの電気モータのロータを保持している。
【0189】
いずれの場合も、独立ファンは、前軸受に固定されたハウジング内に取り付けられている。
【0190】
いずれの場合も、サイズの小さいファンは、遠心力の作用に対する影響が小さいため、信頼性が高く、より強い。
【0191】
したがって、このファンは、リブを強化しなくても良く、プラスチック材料から形成することができる。
【0192】
一般に、このファンは、簡単で低コストである。
【0193】
これらはいずれも、本発明による解決策をなすものであり、これにより、ファンの外径を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】ロータの回転速度(1分当たりの回転数:rpm)の関数である、ロータに回転可能に固定された後側ファンを備える回転電気機械の有効電力、および消費電力を曲線AおよびBで例示している。
【図2】本発明による換気システムを備える回転電気機械の模式的な軸方向の断面図である。
【図3】独立ファンの製造、および取付け方法を示す模式的な側面図である。
【図4】図3の矢印IVの方向から見た独立ファンを示す図である。
【図5】ロータによって駆動される従来のファンのみを備える換気システム、独立ファンのみを備える換気システム、およびロータによって駆動されるサイズの小さいファンと上記の独立ファンの組合せを備えた換気システムにおける、ロータの回転速度(rpm)の関数である、後軸受の後延出ワイヤで測定した平均温度TCHを、曲線C、D、およびEの形態で示すグラフである。
【図6】ロータによって駆動される従来のファンのみを備える換気システム、独立ファンのみを備える換気システム、およびロータによって駆動されるサイズの小さいファンと、上記の独立ファンの組合せを備える換気システムにおける、ロータの回転速度(rpm)の関数である、後軸受の玉軸受で測定した平均温度TRを、曲線C、D、およびEの形態で示すグラフである。
【図7】3つの換気システムにおける、ロータの回転速度(rpm)の関数である、プラスダイオードの接合部の温度TJD+の変化を、曲線C、D、およびEの形態で示すグラフである。
【図8】3つの換気システムにおける、ロータの回転速度(rpm)の関数である、マイナスダイオードの接合部の温度TJD-の変化を、曲線C、D、およびEの形態で示すグラフである。
【図9】3つの換気システムにおける、ロータの回転速度(rpm)の関数である、整流装置のプラスダイオードの平均導電係数G0+を、曲線C、D、およびEの形態で示すグラフである。
【図10】3つの換気システムにおける、ロータの回転速度(rpm)の関数である、整流装置のマイナスダイオードの平均導電係数G0-を、曲線C、D、およびEの形態で示すグラフである。
【図11】3つの換気システムにおける、ロータの回転速度(rpm)の関数である、回転電気機械のノイズ(Db)を、曲線C、D、およびEの形態で示すグラフである。
【図12】図2の後軸受の部分斜視図である。
【図13】歯と歯の間に少なくとも1つの磁石を備える噛合いロータの斜視図である。
【図14】図2の後側ファンの変更形態の斜視図である。
【符号の説明】
【0195】
1 ロータ
2 ロータシャフト
3 ステータ
4 後軸受(マイナス放散器)
5 玉軸受
6 整流装置(ダイオードブリッジ)
7 巻線
8 ファン
10 独立ファン
12 独立モータ
13 支持体
14 ネジ
15 カバー
16 グリル
17 支持部材
20 ケーシング
21 プーリー
24 前軸受
30 本体
41、42 磁極ホイール
43 誘導巻線
46、47 接続リング
48 ブラシホルダ
50 後玉軸受
54、55 開口
56 管状コア
57 アーム
58 開口
59 ネジ突出部
61 プラスダイオード
62 軸線
63 プラス放散器
64 コネクタ
65 植込みボル
66 絶縁碍子
67 環状突起
68 孔
70 出力端部
71 後延出ワイヤ
72 前延出ワイヤ
80 ファン
90 歯
138 永久磁石
150 スカート
151 カバー底部
154、155 開口
156 フィン
180 リング
181 羽根
182 フランジ
200 スリーブ
F1 冷気流
D1 開口55の直径
D2 歯の谷底の直径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の回転電気機械の換気システムであって、
ケーシング20によって保持されたステータ3内で回転可能に取り付けられたロータ1と、このロータ1に固定された少なくとも1つのファン8、80とを備える、空気などの冷却流体の強制流動によって冷却するための装置とを備えており、
前記ロータ1によって駆動される前記ファン8、80に加えて、前記ロータ1の比較的低い回転速度での冷却の決定要因となるように配置された独立ファン10を備えていることを特徴とする換気システム。
【請求項2】
ロータ1に固定されたファン80および独立ファン10は、ロータ1の各側に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の換気システム。
【請求項3】
ロータ1に固定されたファン80は、螺旋遠心型または軸流型であることを特徴とする、請求項2に記載の換気システム。
【請求項4】
独立ファン10が配置されているロータ1の側には、前記ロータ1に固定されたファンが存在しないことを特徴とする、請求項2または3に記載の換気システム。
【請求項5】
ロータ1に固定されたファン80および独立ファン10は、前記ロータ1の同じ側に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の換気システム。
【請求項6】
ロータ1に固定されたファン8は、独立ファン10とサイズの小さい前記ロータファン8の総出力と実質的に等しい出力を生成するロータに固定されたファンと比較して、サイズが小さいことを特徴とする、請求項5に記載の換気システム。
【請求項7】
ロータに固定されたファン8のサイズの縮小により、機械損失および換気システムによって生じるノイズレベルが低減されるようになっていることを特徴とする、請求項6に記載の換気システム。
【請求項8】
ロータ1に固定されたサイズの小さいファン8、および独立ファン10の側とは反対側の前記ロータ1には、ファンが固定されていないことを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1つに記載の換気システム。
【請求項9】
ロータ1に固定されたサイズの小さいファン8、および独立ファン10の側とは反対側の前記ロータ1に、前記ロータ1に固定されたサイズの小さいファン8の外径よりも外径が大きい追加のファン80が固定されていることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1つに記載の換気システム。
【請求項10】
サイズの小さいファン8の外径とロータ1の外径との間の割合は、95%または90%未満、特に84%〜68%の範囲であることを特徴とする、請求項5〜9のいずれか1つに記載の換気システム。
【請求項11】
ロータは、概ね軸方向を向く2連の歯90を有する環状の噛合いロータであり、各連の歯は、その基部が、概ね横断方向を向いたフランジの直径の外周縁に結合されており、かつサイズの小さいファン8の外径は、前記フランジの外径D2に等しいことを特徴とする、請求項10に記載の換気システム。
【請求項12】
ロータ1に固定されたサイズの小さいファン8は、遠心型であることを特徴とする、請求項5〜11のいずれか1つに記載の換気システム。
【請求項13】
ロータ1に固定されたサイズの小さいファン8は、求心型であることを特徴とする、請求項5〜11のいずれか1つに記載の換気システム。
【請求項14】
独立ファン10は、一定の回転速度で動作することができることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1つに記載の換気システム。
【請求項15】
独立ファン10は、回転速度が段階式のファンであることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1つに記載の換気システム。
【請求項16】
独立ファン10の回転速度は、回転電気機械の電圧レギュレータによって前記回転電気機械の作動に応じて制御されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1つに記載の換気システム。
【請求項17】
独立ファン10は、電気モータなどの独立モータ12によって駆動されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1つに記載の換気システム。
【請求項18】
独立ファン10は、開口54、55、154、155を備える回転電気機械のカバー15に固定できる支持体13内に取り付けられていることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1つに記載の換気システム。
【請求項19】
独立ファン10は、軸流換気ファンであることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1つに記載の換気システム。
【請求項20】
ケーシング20によって保持されたステータ3内で回転するように取り付けられたロータ1を備える回転電気機械であって、
前記ケーシング20は、前軸受24および後軸受4の少なくとも2つの部品からなり、気道を備え、前記後軸受4に固定されたカバー15内に受容されたブラシホルダ48を保持しており、かつ
請求項1〜19のいずれか1つに記載の換気システムを備えていることを特徴とする回転電気機械。
【請求項21】
独立ファン10は、後軸受に取り付けられたカバー15に固定された支持体13内に取り付けられている、請求項20に記載の回転電気機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−510318(P2009−510318A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532833(P2008−532833)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050906
【国際公開番号】WO2007/036659
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(508075579)ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール (49)
【Fターム(参考)】