説明

流体を塗布する装置

【課題】
塗布パターンを変更することができる流体塗布装置を提供する。
【解決手段】
流体塗布装置は、接着剤、特にホットメルト接着剤などの流体を、装置に対して相対移動可動な基材へ塗布する装置であって、流体源に接続可能な供給路を有する本体と、供給路における流体の流れを、選択的に、遮断する又は可能にする塗布弁と、供給路に接続可能な分配通路及び分配通路と連通して流体を放出するための少なくとも1つのノズル開口を有するノズル構造体と、分配通路内で可動であり、複数の貫通路を有する部材であって、部材の移動により、貫通路をノズル開口と選択的に連通して、分配通路から少なくとも1つの貫通路を通してノズル開口へ流体を流すことができる部材と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置と相対移動可動な基材に、接着剤などの流体、特にホットメルト接着剤を塗布する装置であって、流体源に接続可能な供給路を有する本体と、供給路における流体の流れを、選択的に、遮断する又は可能にする塗布弁と、供給路に接続可能な分配通路及び該分配通路と連通して流体を放出ための少なくとも1つのノズル開口を有するノズル構造体とを備える、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる種類の装置は塗布ヘッドと呼ばれる場合も多く、例えば塗布される流体の形状である所定の塗布パターンを生成するために、例えば、膜形状又は層形状の基材が例えばホットメルト接着剤である流体接着剤でその表面積を覆われるように又はビード状で塗装される場合に使用される。流体接着剤は、通常、溶融装置等の流体源内に貯蔵されている。この流体源は、ホース接続部を介して装置の本体と連通する。流体接着剤は、例えばポンプ等の搬送手段によって装置に搬送され、さらに分配通路内を搬送され、その際、塗布弁の弁本体を通る。分配通路は、ノズル開口と連通し、ノズル開口から接着剤が放出され基材に塗布される。基材と装置が相対移動しながら、流体が基材に塗布されてその表面を覆う。かかる種類の既知の装置では、ノズル開口は、典型的に細長い溝穴の形状である。溝穴の動作部分の長さは、分配通路内に長手方向に可動に配されるピストンによって調整することができる。かかる装置は、例えば特許文献1から既知である。接着剤ビード又は接着剤細長片を塗布することができる装置も既知である。
【0003】
既知の塗布装置の動作にはいくつかの問題が生じている。塗布されるべき流体の面積の幅の調整は、分配通路内でのピストンの押出又は引込運動によって行われる。押出運動は所望の塗布の他に流体がノズル構造体から押し出されること引き起こし、その一方、ピストンが引込運動を行っている場合には空気がノズル構造体に吸引される。ノズル内に空気がある場合、ノズルが再び作動状態になり得る前にノズルの空気を抜く必要があることに留意されたい。これは、本質的に分配通路内部の容積変化となり、悪影響の原因となる。さらなる不都合点は、上記の種類の塗布装置は、装置自体が必要とする空間の他に、最大の伸張状態のピストンを収容することを可能にするために装置の一方の側に十分な空間もあるようにせねばならないため、比較的大きな空間を占める。このため、特に、一列内に、互いに小間隔を置いて相互に並列関係で複数の塗布装置を配置することが困難となる。流体が塗布される基材の工場生産では、そのことが製造コストを増大させる結果となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許第29908150号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、現行の技術水準に見られる不都合点を実質的に可能な限り低減する装置であって、該装置により、各種塗布パターンを単純な方法で生成することができる装置を提供することである。
【0006】
本明細書の冒頭部に記載の種類の装置において、本発明は、分配通路内で可動な部材であって、流体が分配通路から出て少なくとも1つの貫通路を通ってノズル開口へ入るように部材の移動によってノズル開口と選択的に連通することができる貫通路を有する部材によってその目的を達成する。したがって、可動な部材の各位置に応じて、異なる塗布パターンを生成することが容易に可能である。この場合では、本発明によれば、分配通路内での部材の移動は、分配通路内の容積変化をもたらさないようなものである。これに関してこの種の部材の移動は並進又は回転とすることができ、その場合、部材は、流体の流れが可能であるように、いずれの場合にも貫通路がちょうどノズル開口と一致しなくなる程度だけ移動される。したがって、部材が流れを可能にする位置から閉鎖位置まで動く偏位は、貫通路の直径よりもほんのわずか大きいだけである。この結果、可動な部材を収容し移動させることができるのに必要とされる空間は著しく少なくて済む。したがって、分配通路内の回転移動に適合した部材は、流体の流れが可能であるように、貫通路の開口断面が、ちょうど対応ノズル開口と一致しなくなる程度だけ回転されればよい。
【0007】
本発明による装置の概念は、装置によって生成されて基材へ放出される塗布パターンが少なくとも1つのノズル開口と貫通路との連通の変化によって得られることを利用する。この場合では、放出されるべき流体が配される分配通路の容積は実質的に一定のままである。
【0008】
部材のこの種の移動(並進又は回転)は、分配通路内の部材の容積が一定のままであるため、流体がノズル構造体から押し出されることはないし、また、空気がノズル構造体内へ吸引されることもないことを意味する。部材の移動によって開口の位置だけが変わる。
【0009】
有利な実施の形態では、部材は中空部材であり、該中空部材は分配通路内で回転可能であり、該中空部材の回転によってノズル開口と連通することができる放射状に配置された貫通路を有する。分配通路内で回転可能な中空部材の利点は、特に、中空部材の外周上に多数の異なる組合せの貫通路を配置することが可能であることであり、中空部材の回転によって、それぞれの組み合わせは、基材への流体の異なる幅の塗布を生じさせ、且つ/又は異なる塗布パターンを生成する。しかしながら、中空部材にどれくらい多くの異なる設定を設けることが出来るかということは、この実施の形態による塗布装置が占める必要がある空間に対して、無関係である。
【0010】
本発明のさらに有利な実施の形態によれば、複数の貫通路は、中空部材の長手方向軸線に平行な列で配置され、該中空部材の外周面を貫通する。このようにして、例えばビード又は細長片を塗布することが可能である。この場合では、中空部材の回転により、一列の全ての貫通路が同時に少なくとも1つのノズル開口と位置合わせされて、流体を分配通路からノズル開口へ移すことができるように、その列が中空部材の外周に有利に配置されている。
【0011】
本発明による装置のさらに有利な実施の形態によれば、貫通路により形成された複数の列は、中空部材の外周に沿ってそれぞれ互いに間隔を置いて配置されている。中空部材の外周上の貫通路のこのような配置選択により、各所定の列の貫通路は、各所定の位置への中空部材の回転により少なくとも1つのノズル開口と位置合わせすることができる。
【0012】
本発明による装置のさらに有利な実施の形態では、貫通路により形成されている列は、中空部材の長手方向軸線に対して中空部材内で互いに異なる関係で配置されている。列が上記のように中空部材の外周上に互いに異なる関係で配置されているということは、中空部材が回転すると中空部材の長手方向軸線に対して位置が変わり得ることを意味する。装置に対して相対的に移動可動な基材に関して、それは、中空部材を別の位置へ単に回転させることにより基材への流体の塗布位置を変えることができることを意味する。
【0013】
本発明による装置のさらに有利な実施の形態によれば、貫通路の列は、異なる数の貫通路をそれぞれ有し、且つ/又は貫通路の間に異なる間隔をそれぞれ有する。中空部材上の貫通路のかかる構成により、貫通路の各列について、したがって中空部材の各角度位置について、異なる構成の貫通路を提供することが可能となる。この結果、一列の貫通路が少なくとも1つのノズル開口と位置合わせされる中空部材の角度位置のそれぞれにおいて、それに連関した特定の塗布パターンを基材へ塗布することが可能である。その場合では、中空部材を単に回転させることによって異なる塗布パターンへ切り替えることが可能である。
【0014】
本発明のさらに有利な実施の形態によれば、貫通路は、円形、長円、楕円又は多角形、特に矩形である開口断面を有する。貫通路についての異なる幾何学形状の選択により、少なくとも1つのノズル構造体の異なる幾何学形状を最適に考慮することが可能である。さらに、幾何学形状を変えることにより、材料の流れ及び塗布画像又は塗布パターンに特別に且つ目標を定めた影響を与えることが可能である。さらに、上記の実施の形態によれば、貫通路が溝穴の形態であることも可能であり、それにより、適した構成のノズル開口を用いて、その領域にわたって途切れなく連続した方法で流体を基材に塗布することが可能である。
【0015】
本発明のさらなる実施の形態によれば、中空部材は、分配通路内に回転可能に取り付けられており、該中空部材の各角度位置において、1つの貫通路、又は中空部材の長手方向軸線に平行に配置された一列の貫通路が、少なくとも1つのノズル開口と位置合わせされる。
【0016】
本発明による装置のさらに有利な実施の形態によれば、少なくとも1つのノズル開口は、ノズル構造体において凹部の形態、特にフライス加工された凹部の形態で出口通路の出口端に設けられ、特に溝穴形状又は丸い断面を有し、出口通路は、分配通路と流体導通関係でノズル開口と接続するようになっている。ノズル構造体の部材から出口通路をフライス加工することにより、高精度及び繰り返し精度を有する出口通路を形成することが可能となる。このことは、流体の均一な正確な吐出に特に有利である。
【0017】
本発明による装置のさらに有利な実施の形態では、少なくとも1つの出口通路は、出口通路と連通可能な中空部材の貫通路の幅に対応する幅の入口を有する。出口通路と連通可能な給送通路の幅に出口通路の幅を適合させることにより、貫通路と出口通路との間の移行部での流体の流れの弱化が、これら2つの通路の幅が互いに一致していなければ起こるであろうよりも低い程度まで影響されるか又は妨げられることになる。
【0018】
本発明による装置のさらに有利な実施の形態では、少なくとも1つの出口通路は多角形、特に矩形又は台形の長手方向断面を有する。出口通路の長手方向の通路幅に増大及び/又は減少が見られる出口通路の構成は、流体の吐出性能、特にその吐出速度及び流れの形態に影響を与えるのに有利であり得る。出口通路の正確な構成は各個々の場合に応じて決まり、特に使用されるべき流体、並びに例えば粘度、温度及び圧力のような動作パラメータに応じて決まる。
【0019】
本発明のさらに有利な実施の形態によれば、部材は、所定の角度位置で強制係止又は確実な係止関係で、特に締め付けねじ又は外れ止め手段によって係止することができる。有利には、かかる係止能力は、貫通路の列のそれぞれが少なくとも1つのノズル開口と位置合わせされた関係に向けられる角度位置に正確に位置できるように提供される。かかる係止能力により、塗布パターンに所望でない変化をもたらす可能性のある中空部材の意図せぬ変位を防止する。例えば、締め付けねじのような締め付け装置が強制係止作用を有する拘束手段として考えられる。各種外れ止め手段が確実な係止拘束効果を提供するのに適していると思われる。これらの外れ止め手段としては、例えば、弾性加圧部のようなばね支援機構が挙げられる。
【0020】
本発明のさらなる実施の形態によれば、部材の端部に回転不能に接続され、ノズル構造体の外部へ延在する回転把持部を有する。回転把持部を作動させて、中空部材を回転することにより、所望の塗布パターンを手動で調整することが可能となる。さらに、回転把持部の手動回転による中空部材の変位の代替として、中空部材に対しモータ駆動装置を取り付けることが可能であり、このモータ駆動装置は、回転把持部と外側から協働するようにしてもよいし、又は本発明による装置のハウジング内に配置してもよい。かかるモータ駆動装置から中空部材への力の伝達は、例えば、歯車伝動装置及び/又はベルト駆動装置によって行われ得る。
【0021】
本発明による装置のさらに有利な実施の形態では、回転把持部の外周面又は外周面複合体は、粗面加工されている。回転把持部の表面の少なくとも一部を粗面加工することは、操作者が回転把持部をより良好に保持することに寄与する。装置の操作性能はこの場合では決定的に改善されている。これに関して、回転把持部は、実質的に円筒形状であってもよいし、又は、それから出発して、非円形の断面を有していてもよいし、それは、例えば多角形又は星形断面形状であってもよい。
【0022】
本発明のさらなる実施の形態によれば、ノズル構造体は、ノズル構造体に接続可能であると共に、少なくとも1つの出口通路及び少なくとも1つのノズル開口が配置されたノズル構造体の一部と連通することができる口金を有する。口金は、好ましくは、締結手段によってノズル構造体に接続され、少なくとも1つのノズル開口の出口断面を画定するようにノズル構造体に配置される領域を有する。有利には、少なくとも1つのノズル開口及び少なくとも1つの出口通路及び/又はノズル構造体全体を洗浄することができるように、口金は、いくつかの手動動作でノズル構造体から取り外し可能にノズル構造体に接続されることができる。ノズル構造体の洗浄が、装置全体を分解する必要なしに、口金だけを取り外すことにより行われ得ることは、本発明による装置の動作の停止時間及び保守時間が短縮されることができることを意味する。
【0023】
本発明による装置のさらに有利な実施の形態では、流体は、中空部材の外周面に設けられた外周方向に延在した凹部、特に、環状溝により中空部材へ給送され、少なくとも1つの導管が凹部から中空部材の内部へ延在している。中空部材の内部への流体の給送は、環状溝により中空部材のいかなる角度位置においても可能である。
【0024】
本発明による装置のさらに有利な実施の形態によれば、少なくとも貫通路が延在している部分における中空部材の外壁は、分配通路の壁と実質的に密封接触させられる。これによって、中空部材の内部に給送された流体は、もっぱら貫通路を通って少なくとも1つの出口通路に入ることができることが確実になる。このようにして、漏洩による流体の所望でない流出又は漏洩箇所が回避されるので、装置が接着剤により詰まったり汚染されたりするという危険性を減らすことができる。
【0025】
本発明は、接着剤、特にホットメルト接着剤などの流体を、装置に対して相対移動可動な基材へ塗布する本発明の装置の例としての好適な実施形態によって、以下に、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による接着剤塗布装置を外側から見た斜視図である。
【図2】図1の装置の部分的な側部断面図である。
【図3】ノズル構造体を下側から見た側面図である。
【図4】図3のノズル構造体の断面図である。
【図5】図4の図の詳細図である。
【図6】図3〜図5のノズル構造体のさらなる断面図である。
【図7】中空部材の代替的な操作位置の場合の、図3〜図6のノズル構造体のさらなる断面図である。
【図8】図7の図の詳細図である。
【図9】口金が取り外されているノズル構造体の斜視図である。
【図10】図9の図の詳細図である。
【図11】代替的な中空部材を有し、口金が取り外されている、ノズル構造体の斜視図である。
【図12】図11の図の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示す装置10は、接着剤、特にホットメルト接着剤などの流体を、装置10に対して相対移動可動な基材へ塗布するように作用する。装置10は、本体12に接続された電空式塗布弁14を有する。本体12は、塗布弁14が配置された端面13を有する。この場合、端面(図2を参照)は、塗布弁が配置された傾斜段部13’を有する。
【0028】
ノズル構造体18は、端面13と反対の側の本体12の側面16にねじ接続部20によって取り外し可能に締結され、ピン21によって中心に位置合わせされる(図2を参照)。ノズル構造体は、ノズル構造体18に取り外し可能に接続される口金24を有する。装置10は、ホース接続部22によって流体源(図示せず)と連通することができる。装置10は、接続素子26をさらに有し、接続素子26により電力が装置10へ給送される。装置10は、締結部材28によって所定の位置に固定され得る。
【0029】
電気作動可能な塗布弁14は、電気接続部30と図2に示す圧縮空気接続部32とを有する。圧縮空気源(図示せず)は、圧縮空気接続部32によって接続されることができる。塗布弁14は、流体源からノズル構造体18への流体の流れを、選択的に、遮断する又は可能にするように作用する。
【0030】
図1及び図2から分かるように、選択された実施形態では、ノズル構造体18は実質的に溝穴形状を有するノズル開口34を有する。さらに、ノズル構造体18の側面35には、回転把持部40が配置されており、回転把持部40は、塗布装置10によって基材上へ放出される塗布パターンの変位を可能にする。流体の経路は概して図2からさらに分かるであろう。流体は、流体源から接続部22を通って装置10へ給送される。流体は、供給路36からノズル構造体18に流れ、ここで、供給路36は弁本体38によって選択的に開閉される。弁本体38は、弁棒37によって動く。
【0031】
ノズル構造体18は、図3に示す。締結ねじ20は、ノズル構造体18を貫通し、側面16’にてノズル構造体18から突出して、本体12のねじ部(図示せず)と係合する。ピン21は、ノズル構造体18内に部分的に延在しており、このピン21もまた側面16’にてノズル構造体18のハウジングから突出する。回転把持部40は、ノズル構造体の側面35に配置され、この回転把持部40は操作者の手によって作動可能である。
【0032】
図4の断面図は、線C−Cに沿った図3のノズル構造体の断面に対応する。分配通路41がノズル構造体18内に位置する。分配通路41は、実質的に円筒形状であり、図5の詳細図及び図6に示す長手方向軸線46に沿って延在している。
【0033】
図5からさらに分かるように、中空部材50の形状の可動部材は、分配通路41内に回転可能に装着されている。中空部材50には、その外周に沿って複数の貫通路44が配置されている。ノズル開口34は、中空部材50の回転によって少なくとも1つの貫通路44と位置合わせされると、少なくとも1つの出口通路48によって、少なくとも1つの貫通路44と流体導通関係となることがさらに分かる。中空部材50は、分配通路41の長手方向軸線46を中心に回転可能に装着されている。
【0034】
線A−Aに沿った図3のノズル構造体の断面図である図6から、流体が導管54によって中空部材50に給送されることが分かるであろう。流体は、導管54を通って、中空部材50の周りに延設される環状溝52に入り、この環状溝52から導管55(図7を参照)をさらに通って中空部材50の内部56に入る。図6にさらに明示するように、中空部材50は、複数列の貫通路44を有し、これらの列はそれぞれ、中空部材50の外周に長手方向軸線46に平行に配置され、これらの列はそれぞれ、中空部材50の外周に沿って離間関係で配置される。そのようにして、回転把持部40での中空部材50の回転移動によって、貫通路44が出口通路48と位置合わせされて流体導通関係になるように貫通路44の列のそれぞれが、分配通路41内で連動することができる。図6に示すように出口通路が貫通路44と位置合わせされると、流体が装置10から基材へ吐出され得る。これにより、塗布パターン58がもたらされる。
【0035】
中空部材50は、少なくとも貫通路が延在している部分が分配通路41の壁62と密封接触状態にあるように分配通路41内に配置される。これにより、流体が流出するのを防ぐ。さらに、封止部材60が中空部材50の外周の溝に配置され、これにより、流体がハウジングから流出して側面35から出るのを防ぐ。
【0036】
図7に示すように、出口通路48と位置合わせされる貫通路44の数及び配置は、中空部材50の回転移動によって変わり得る。図7は、図6と比較して変えられた中空部材50の回転位置を示しており、これにより、変更された塗布パターン58がもたらされる。特に、図8から分かるように、中空部材50の選択された回転位置では、全ての出口通路48ではなく、一部の出口通路48だけが流体吐出が可能であるように貫通路44と連通する。この例では、塗布パターン52の形状は、主として、中空部材50の貫通路44の長手方向軸線46の方向の軸線方向配置と一列における貫通路44の数とによって決まる。
【0037】
口金24(不図示)が取り外されている図9の図は、出口通路48の形状の三次元図を示す。特に、図10からわかるように、出口通路48は幅が貫通路44の直径と同一の入口開口47を有する。出口通路48の幅は、流体の流れ方向に線形に広がり、ノズル開口34へ向けて開いている。この例では、出口通路48は、出口通路の深さよりも顕著に幅広であり、口金24が取り付けられると溝穴形状になる。出口通路48の正確な寸法及び形状は、塗布パターン52の各要求に従って変えることができる。影響を与えるさらなる変数は、流体の作動パラメータである。
【0038】
図11及び図12は、中空部材50の代替的な実施形態を示す。特に、図12から分かるように、この実施形態の貫通路44は、単純な穿孔の形状ではなく、実質的に丸い貫通孔が設けられた凹部の形状であり、溝状の凹部64は、中空部材50の外面に軸線46(不図示)と平行に延在している。この例では、溝64の長さにより、分配通路41からの流体が供給される出口通路48の数が決まる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤、特にホットメルト接着剤などの流体を、装置に対して相対移動可動な基材へ塗布する装置であって、
流体源に接続可能な供給路を有する本体と、
前記供給路内の流体の流れを、選択的に、遮断する又は可能にする塗布弁と、
前記供給路に接続可能な分配通路及び前記分配通路と連通して前記流体を放出するための少なくとも1つのノズル開口を有するノズル構造体と、
前記分配通路内で可動であり、複数の貫通路を有する部材であって、前記貫通路は、前記部材の移動によって前記ノズル開口と選択的に連通することができ、それによって、前記流体が少なくとも1つの貫通路を通って前記分配通路から前記ノズル開口へ流れるようにする部材と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記部材は、中空部材であり、前記中空部材は、前記分配通路内で回転可能であり、前記中空部材の回転によって前記ノズル開口と連通することができる貫通路が前記分配通路に放射状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
複数の貫通路は、前記中空部材の長手方向軸線に平行な列で配置され、前記中空部材の外周面を貫通していることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記貫通路により形成された複数の列は、前記中空部材の外周に沿ってそれぞれ互いに間隔を置いて配置されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記貫通路により形成された前記列は、前記中空部材の長手方向軸線に関して互いに異なる関係で前記中空部材に配置されることを特徴とする請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記貫通路の前記列は、異なる数の貫通路をそれぞれ有する、及び/又は前記貫通路の間に異なる間隔をそれぞれ有することを特徴とする請求項2ないし5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記貫通路は、円形、長円、楕円又は多角形、特に矩形の開口断面を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記中空部材は、前記分配通路内に回転可能に装着されており、前記中空部材の角度位置のそれぞれにおいて、1つの貫通路、又は前記中空部材の前記長手方向軸線に平行に配置された一列の貫通路が、前記少なくとも1つのノズル開口と位置合わせすることができることを特徴とする請求項2ないし7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのノズル開口は、前記ノズル構造体において凹部の形状、特にフライス加工された凹部の形状で出口通路の出口端部に設けられており、
特に溝穴形状又は丸い断面を有し、前記出口通路は、前記ノズル開口を前記分配通路と流体導通関係で接続するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの出口通路は、連通することができる前記中空部材の前記貫通路の幅に対応する幅の入口を有することを特徴とする請求項2ないし9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの出口通路は、多角形状、特に矩形状又は台形状の長手方向断面を有することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記部材は、所定の角度位置で、強制係止又は確実な係止関係で、特に締め付けねじ又は外れ止め手段によって係止されることができることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記部材の端部に回転不能に接続され、前記ノズル構造体の外部へ延在する回転把持部を備えることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記回転把持部の外周面又は外周面複合体は、粗面加工されていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ノズル構造体は、口金を有し、前記口金は、前記ノズル構造体に接続可能であると共に、前記少なくとも1つの出口通路及び前記少なくとも1つのノズル開口が配置されている前記ノズル構造体の一部と連通することができることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記流体は、前記中空部材の外周面に設けられた外周方向に延在した凹部、特に環状溝によって前記中空部材へ給送され、少なくとも1つの導管が前記凹部から前記中空部材の内部へ延在していることを特徴とする請求項2ないし15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
少なくとも前記貫通路が延在している部分における前記中空部材の外壁は、前記分配通路の壁と実質的に封止接触させられることを特徴とする請求項2ないし16のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−64069(P2010−64069A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−210100(P2009−210100)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】