説明

流体ゲート装置

開示されているのは、各々が端部領域をもつ複数のテスト流路を有する流体ゲート装置であって、装置が少なくとも1つの指示液流路から上流に設けられた液だめまたはサンプル適用領域を備え、液だめまたはサンプル適用領域が少なくとも1つの流動障害により1つまたは複数の指示液流路から分離され、関連するテスト毛細管流動路の端部領域での試液の存在が流動障害を軽減または無くすように流動障害がテスト毛細管流動路の端部領域に動作可能に連結され、それによって液体が液だめまたはサンプル適用領域から流れ出て指示液流路に沿って流れることを可能にする流体ゲート装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の流れを選択的に制御するための装置および方法に関し、特にサンプル液体の特徴、例えばサンプル液体内の当該物質の存在および/または数量を検出するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体サンプル内の検体を検出するための簡単な使い捨てアッセイ装置、例えばEP291194で開示されているものがよく知られている。このような装置は、そのようなアッセイの結果が目測または電子検出手段によって解釈されることもあるように設計されることがある。電子的な手段を使用する利点は、ユーザによる結果の解釈を回避することである。反面その不利な点は、装置がバッテリなどの電源および電子部品、例えばLCDの表示手段、光検出器、フォトダイオード、電子回路、プリント回路基板、およびその他を必要とすることである。これら装置の処分が問題になってきており、バッテリまたは電子部品の処分を禁止する国では今や命令が実施されている。環境意識の高まりと共に、特にヨーロッパではこのような命令がより広く行き渡ると見込まれている。したがってそのような部品を使用せずとも、解釈の必要性を伴わない結果をユーザに提供することが可能である簡単な使い捨て式アッセイ装置が必要とされている。このような結果は、妊娠装置の場合は簡単なイエス/ノーの答えにすることができ、または単一の結果かある範囲にある結果にすることができる。
【0003】
装置内での液体(例えば液体テストサンプル)の移動を毛管現象に依存しているアッセイ装置を使用することがよく知られている。毛管現象は、毛細管流動路(一般的に細い断面の導管)を使用することによって、またはその内部で液体が毛細管流動により孔隙から孔隙へ進むことができる多孔質体を使用することによって生成されることができる。
【0004】
例えば、EP0456699は、液体をテストするのに適しており、特に血清型に分類するアッセイに適している赤血球凝集反応を行うことを意図した毛細管流動アッセイ装置を開示している。EP0456699に開示されているアッセイ装置は、複数の流路を備え、その流路の各々がそれぞれの血液グループの抗原に対する抗体を含んでいる。血液サンプルは、血液が複数の流路の各々に沿って同時に流れ始めるように、共通のサンプル適用サイトに適用される。血液が流路に沿って流れると、その血液は1つまたは複数の抗体と反応し、毛細管流動速度を遅くするように、または流路を完全にブロックするようにさえ働くこともある凝集を起こす。
【0005】
複数の流路の各々は同じ路程を有するので、凝集抗体とまったく反応しない血液が、流路の端部に最も早く到達するが、血液細胞が抗体と反応する抗原を担持している場合には流路に沿った血液流は遅らされ(または場合によっては完全に阻止される)、それによって血液は流路の端部に(到着するにしても)到達するのが遅れる。したがって問題の血液サンプルの血液グループを識別するのに使用されることができる一時的な分離が存在する。
【0006】
しかし、このような装置は、例えばアッセイを実施中ユーザは、どの流路の端部にサンプルが最初に到着したのか確実に観察するために装置を常時モニタしなければならないこともあり、そうしないとサンプルが第2の流路の端部に直後に到達することもあり装置が持続監視の下に無かった場合にはアッセイの結果を確定することができないので結果を解釈する際にある程度の技能を要することもある。
【0007】
血清型に分類するのに、またはその他の凝集反応を実施するのに適している他の装置がWO2004/083859に開示されている。そこに開示されている装置は、流路の端部でのサンプル液体の存在を検出するための電子検出手段およびアッセイの結果を表示するための電子ディスプレイ手段を含み、それによって連続監視の必要を回避し、アッセイ結果の解釈における主観性を除去することによって上記の問題を回避している。しかしWO2004/083859で開示されている装置は、いくつかの比較的複雑な構成要素(電子検出手段、信号処理手段、およびディスプレイ手段)および電源を必要とし、装置を環境上友好的でなく、複雑であり、繊細で比較的高価なものにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は好ましい実施形態において、従来技術による装置で遭遇する問題に対して代替解決策を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、本発明は、各々が端部領域をもつ複数のテスト流路を有する流体ゲート装置であって、装置が:
少なくとも1つの指示液流路から上流に設けられた液だめまたはサンプル適用領域を備え、液だめまたはサンプル適用領域が少なくとも1つの流動障害により指示液流路から分離され、関連するテスト毛細管流動路の端部領域での試液の存在が流動障害を軽減または無くすように流動障害がテスト毛細管流動路の端部領域に動作可能に連結され、それによって液体が液だめまたはサンプル適用領域から流れ出て指示液流路に沿って流れることを可能にする流体ゲート装置を提供する。
【0010】
好ましい実施形態では、指示液流路は毛細管の寸法のものである。
【0011】
他の実施形態では、指示液流路は1つまたは複数のさらなる流体装置にその上流で流体的に連結されている。
【0012】
本発明の一般的な原理は、「指示」液流路内に液体(「指示」液と考えられることができる)がもたらされまたは存在するようにされ、その流路は、流動障害(例えば不連続)を、その障害により設けられた流体流に対する抵抗が、試液が障害に到達することで克服されない限り、指示液が障害を越えて流れることができないように備えることである。指示液の流れに対する障害は、したがって試液が、障害に到着しない限りおよび到着するまで克服できず、次いで試液が到着すると障害を克服可能にする。したがって指示液流路内での指示液の存在が、流動障害が克服されていることを「指示」し、それが、試液がテスト毛細管流動路の端部領域に到達していることを指示している。
【0013】
試液の到着は、いくつかの方法のいずれかで障害の減少または消滅を促進することができる。例えば、障害は指示液流路の固体または半固体障害のこともあり、その障害は試液の存在で溶解または液化される。好ましい代替実施形態では、障害は、指示液がその不連続を越えて流れることができないように試液流路内に形成される不連続または「遮断」により生成される。一般的に不連続は試液を障害へ導く流路のボアによって生成される。各テスト毛細管流動路は、それぞれの指示液流路とT字型接合部または同様のユニオンを形成しており都合がよい。試液がテスト毛細管流動路の端部領域に到達すると(つまり指示液流路内の不連続に到着すると)試液の存在が不連続を渡るブリッジとして働き、それによって指示液が不連続を越えて不連続の下流で「表示領域」に流れ込むのを可能にしている。
【0014】
このように表示領域での指示液の存在は、試液がテスト毛細管流動路の端部に到着していることを合図しまたは表示する。
【0015】
ある特定の実施形態では、指示液が、複数の放出口(各放出口はそれぞれの表示領域につながっている)を有するチャンバ内または貯蔵器内にもたらされまたは存在するようにされるが、各放出口は一般的に(ただし必須ではない)チャンバまたは貯蔵器のすぐ下流で障害を備え、各障害はそれ自体がテスト毛細管流動路の端部領域に動作可能に連結されている。それによって試液が最初にテスト毛細管流動路の端部領域に到達する流路は、したがって複数の障害のどれが先ず軽減されるか、または無くされるか決定し、指示液がそれぞれの障害を越えて関連する表示領域に流入することを可能にする。したがって障害は、複数の「ゲート」として考えられることができ、そのゲートは最初は閉じており試液が進行するのを防止しているが、試液の到着により特定の1つのゲートが開かれる。
【0016】
前述の構成は、試液が第2またはさらなるテスト毛細管流動路の端部領域に到着するときチャンバまたは貯蔵器から他の放出口内の異なる「ゲート」を通過して指示液が流れる(つまり異なる障害を越える)ことを必ずしも妨げない。ある状況では、試液が第2またはさらなる放出口または表示領域に流入する可能性が望まれることもある。液体を第2の領域へ流入させる可能性をもたらすことの有利な特徴は、それが、中間結果をもたらす、つまり結果が絶対的なまたはイエス/ノータイプの答えをもたらすのに適切でないような場合には、装置が中間結果をもたらすことを可能にすることである。表示領域は、各領域での液体の量または存在を測定することが可能な手段を備えることもある。例えば表示領域は一連の窓または線形に目盛りを付けられた窓を備えて充填の度合いを視覚表示することもある。中間結果がその中で与えられる数値の範囲を決定するために装置のパラメータを選択することができる。
【0017】
あるいは、指示液が、軽減または無くそうとする第1の障害だけを越えて流れることができるように装置を構成および配置することが望まれることもある。
【0018】
この目的を達成するいくつかの方法が想定されることができる。一実施形態では、第1の障害が取り除かれ次第、実質的に全ての指示液がチャンバまたは貯蔵器から出るように、または、その他の放出口内の障害が試液の関連するテスト流路の端部への到着によって続いて取り除けられても液体がその他の放出口へ流れ込むことができないようにチャンバまたは貯蔵器とその他の放出口の間に遮断が形成されるように、十分な液体が引き出されるように指示液の量および流路の配置その他はなっている。一代替実施形態では指示液が通過して障害の下流の領域に入り込むと発熱反応を発生させ、その熱が、続けて試液が到着しても移動させることができない組織または構造を他方の放出口内の障害に取り込ませる。
【0019】
本装置を使用して、粘度、表面張力または流量などの液体サンプルの特徴を決定または測定することができる。特に、液体を1つまたは複数の試薬(装置の上または内部に配置されていることが好ましいが必須ではない)と反応させることによって、例えば血液サンプルを1つまたは複数の凝固促進または血球凝集促進試薬に反応させて、測定される液体の特徴が、液体に付与されるまたは改変されることができる。
【0020】
本発明による一装置を使用して液体サンプル内の検体の存在および/または数量を決定することができる。例えばテストサンプルを装置に適用してさまざまなテスト毛細管流動路で潜在的に凝集を実施する試薬(例えば抗体またはFab、Fv、単一ドメイン抗体および同等物などの抗体またはその抗原拘束細片)と接触させることができる。当該の物質は、凝集反応に参加することができる任意のもののこともあり、例えば抗体または他の免疫グロブリン、または任意の適切な抗原(例えばたんぱく質またはポリペプチド、核酸、多糖または同等物)のこともある。特に抗原は溶液または懸濁液中で自由であるか、または(原核生物または真核生物細胞と)細胞結合または細胞連結していることもある。
【0021】
装置は、例えば血清型分離装置(例えばEP0456699に説明されているような)または妊娠テスト装置(例えばWO2004/083959に説明されているような)、または確かに、そのような目的に対して凝集反応が有用であることができる任意の状態または条件を診断するのに使用することができる。特に、好ましい実施形態で本発明は、安価で、製作が簡単であり、すぐに使用でき、アッセイ結果を正確に解釈するのに技能または知識を大して必要としないアッセイ装置を提供する。本装置は、したがって特に家庭用および/またはポイントオブケアテストに適しており、一般的に(ただし必須ではない)一度使用した後に廃棄されるものである。好ましい実施形態で本発明は、アッセイ結果を得るためにある期間にわたって監視をする必要が無く、その代わりにアッセイが完了したときに一度調べられるだけでよく、複雑な電気部品および/または電源の必要性を排除したアッセイ装置を提供する。
【0022】
当業者ならば凝集試薬を本装置のテスト流路内にもたらすための適切な材料および方法を熟知している。例えば抗体または抗原拘束細片またはその変形体の固定化はルーチンの問題である。凝集反応を行うために抗体またはその抗原拘束細片が粒子支持体(例えばラテックス粒子)上で固定され、その支持体は、水性スラリーを乾燥させることによって流路に堆積されることができ都合がよい。適切なこのような試液が市販されている。
【0023】
重要なことは、指示液がテスト流路に沿って流れる試液と同じなこともあることである。例えばテスト流路と指示液チャンバまたは貯蔵器は共通の始点を有することもある。あるいは指示液と試液は異なることもある。テスト流路が共通の始点を有し、それによって試液は、ひとたび始点に適用されると各テスト流路に沿って同時に進み始めることが好ましい。
【0024】
指示液が試液と異なる場合、それはユーザによって装置に適用されることもあり、またはそれは製作者によって装置に予め装着されることもある。明確なことは指示液が試液と同じ場合には、両方がユーザによって装置に適用されるのが一般的であることである。
【0025】
装置に適用されるサンプルは、試液および指示液の両方を含み、テスト装置の構成を単純化するのが好ましい。試液と指示液が異なる場合には、好ましいアッセイ装置のフォーマット(その中で、試液がテスト流路の端部に到達すると、その試液が、指示液流路内で不連続または毛細管の遮断を越えて「ブリッジ」を形成する)の導入を可能にするようにそれらは全体的にコンパーチブルであることが好ましい。そのようなブリッジを設けるため両方の液体は大まかに同様な特徴を有しなければならない;例えば両方が親水性/疎水性バランスに関して同様である、同様の表面張力特性を有することが望ましい、その他である。当業者ならば本開示の利点の下に共通する一般的知識および/またはルーチンの試行錯誤に基づいて敏速に適正な試液および指示液のセットを選定することができる。
【0026】
指示液は、表示領域で信号を生成または生じさせることができる任意の液体であることができる。信号は視覚信号であるのが一般的である。表示領域で色が現れるまたは色が形成されると便利な信号になる。したがって、例えば指示液は自然に色づけされていて(例えば血)明白に可視のこともある。あるいは色が指示液に人工的に与えられることもある。これは多くの方法のいずれかで達成されることができる。
【0027】
例えば指示液はもともと無色(例えば水またはその他の無色の液体)であるが色を付与する着色粒子と混合されることもある。他の実施形態では、表示領域は、指示液に接触したときそれ自体が変色する物質(または指示液に変色するようにさせる物質)を含むこともある。例えば、指示液はpH指示薬を含むこともあり、表示領域は、指示液と混合するとpHを変化させる(したがって色を変化させる)物質(例えば酸または塩基)を含むこともある。あるいは表示領域が液体の色を変化させるために染料を組み込むこともある。
【0028】
視覚信号が形成されるようにする他の手段は指示液と、その中に液体が配置される流路またはその他の導管の1つまたは複数の壁部との間の色違いを利用することである。例えば表示領域の前壁は、その上に形成された白色の説明文またはシンボル(例えば彫刻、インクまたは同等物による)を伴い無色かつ透明のこともあり、その説明文は表示領域の白色の後壁に対して不可視である。しかし不透明または着色された指示液が表示領域に流入する場合、白色の後壁は覆い隠され前壁上に設けられた白色の説明文が可視になる。その他のどのような適正な色の組合せもこのような構成で使用されることができることは明白である。
【0029】
本発明による装置は、生物学、産業、または環境起因である適切な液体サンプルをどのようなものでも分析するのに使用されることができる。したがって試液は、例えば全血、血漿、血清、尿、汗、涙、唾液、または当該の検体を含む任意の水性液体のこともあり、そのような液体は指示液としても使用されることもある。
【0030】
テストおよび/または指示液毛細管流動路は、都合よく、固体面を持ったチューブまたは開放チャンネル内に設けられ、あるいは固体面を持ったチューブまたは開放チャンネルによって形成される。チューブまたはチャンネルはガラス、合成プラスチック材料、金属またはその他のどのような適切な材料からも製作されることができる。そのようなチューブまたはチャンネルのボアの幅は一般的に50〜500μmの範囲になる。流路は、液体が毛管現象によってそれに沿って流れることができるように毛細管の寸法のものになるのが好ましい。
【0031】
テスト流路の長さは、流路の端部に到達する前に試液が凝集反応を受けるため十分な時間が経過することを可能にするのに適切であればどのような長さとすることもできる。これはいくつかの特徴、例えば検体の濃度、凝集する抗体または抗原結合部位の濃度、およびその他に依存する。一般的に流路は大体50〜500mmの長さになる。流路は直線のこともあるが、アッセイ装置の長さを縮小するために蛇行するまたは回旋状の進路に従うのがさらに好ましい。
【0032】
装置内のチューブまたはチャンネルの形状および配置は柔軟であり変化に順応する。したがって、例えば流路の数は、一般的には2と5の間が標準であるが2、3、4、5、6、7またはそれ以上のこともある。「テスト流路」という用語は単にそのようなテスト流路を指示液流路から区別しようとするもので、テスト流路は、例えば正または負の制御流路を備えることができる。流路は同じ長さのものまたは異なる長さのものであることもある。
【0033】
制御流路は、制御された流れ時間をもたらすために1つまたは複数の試薬を含むこともあり、その流れ時間に対してテスト流路からの結果が比較されることができる。あるいは、またはそれに加えて、制御流路に沿った流体の制御された流れ時間は、特定の長さの流路を選択することにより、または特定の微小流体要素を組み込むことにより達成されることができる。制御された時間の流れは特定の正確さのレベル(例えば+/−1%)で知られることが好ましい。
【0034】
本発明による装置は、いくつかの指示液および関連するテスト毛細管流動路を備えることができ、それらは直列および/または並列のこともある。並列配置では、例えば2つの異なるサンプルが同じ(または異なる)反応を受けることができ、一方直列配置は、(例えば特定のコンポネントまたは検体がより良く特徴付けられることを可能にするために)1つのサンプルが異なるアッセイを受けることを可能にする。
【0035】
装置は下記のいずれか1つまたは複数を任意の組合せで組み込むことができる:流体要素(例えばフィルタ)、液体培養領域、階段領域、混和領域、渦または流れ制限区域または同等のもの、および液体収集チャンバ。これらの特徴は、制御とテスト流路の間の流量の違いを強調するのに使われるようになることが好ましい。1つまたは複数の試薬がテストおよび/または制御流路内にもたらされることもある。これらは乾燥されるか流路内に堆積され、または同等物のチャンバ内にもたらされることもある。
【0036】
装置および/またはその構成部品は、使用される材料に適した、射出成型、ミリング、スタンピング、押出し、ラミネーションを含む(ただしこれらに制限されるものではない)従来技術により製作されることもある。
【0037】
第2の態様では本発明は、サンプル液体をある特徴、特に検体もしくは当該物質の存在および/または数量について分析するための方法を提供し、その方法は第1の態様による装置にサンプルを適用するステップを備える。
【0038】
疑いを避けるために、本明細書で「好ましい」、「有利である」、「望ましい」、「都合がよい」または同様の表現と説明されている全ての特徴は、本発明では文脈が別途指示しない限り、独立して、あるいは1つまたは複数の他の、そのように記述されている特徴のいずれとも任意に組み合わせて使用されることもあることをここに明確に述べておく。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明は、ここに解説用の例を通して、かつ添付図面を参照してさらに説明される。
【実施例1】
【0040】
指示液流路内に克服可能な障害を形成する好ましい方法は、その中に不連続を、毛管現象によって指示液がその不連続を越えて進むことができないように生成することである。不連続は関連するテスト流路のボアによって形成されており都合がよい。図1a〜dに図示されている一実施形態では、テスト流路が指示液流路とT字型接合部を形成している。
【0041】
本発明による装置は、複数の指示液流路(10と表示されて図1aに示されている)を備えることもあり、各指示液流路は、関連するテスト流路12のボアによって形成される遮断または不連続をその中に有する。
【0042】
指示流路に導入され毛管現象の影響の下に矢印Aで表示される方向に移動する指示液(明るい陰影付けで表示されている)は、(図1bで示されているように)テスト流路12のボアによって形成される毛細管の遮断によって動きを止められる。
【0043】
アッセイが進行すると、試液(暗い陰影付けで表示されている)がテスト流路12に沿って進行し、最終的に(図1cで示されるように)テスト流路12の端部に到達し、そこで動きを止められる。
【0044】
テスト流路12のボアの端部での試液の存在は、障害を効果的に取り除き、指示液がテスト流路12を通過して下流に配置されている表示領域に向かって進行するのを可能にする。
【実施例2】
【0045】
本発明による装置の説明用実施形態が概略的に図2に描写されている。
【0046】
装置はチャンバまたは決められた容積を有する貯蔵器20を備える。チャンバ20は、引入れ口22を有し、その引入れ口を通して分析しようとする液体テストサンプルが導入されることができる。2つのテスト流路24aおよび24bは、チャンバ20に導入された液体が続いて2つのテスト流路24a、bに同時に入り始めるように引入れ口22から等距離にある点でチャンバ20から分岐している。
【0047】
装置には2つの指示液流路が設けられている:1つはチャンバ20から下流の表示領域26aへ、1つはチャンバ20から表示領域26bへのものである。しかしチャンバ20内の液体は、毛管現象により下流の表示領域26a、bのいずれかに進行することをそれぞれの障害28a、bによって妨げられる。本例では、それぞれの指示液流路とT字型接合部を形成するそれぞれのテスト流路24a、bのボアによって形成された遮断により障害が生成される。
【0048】
図示された例では、同じ液体サンプルが試液(テスト毛細管24a、bに沿って流れる)および指示液(最終的にはチャンバ20から表示領域26aまたは26bのうちの1つに流れる)の両方として働く。液体サンプルは例えば血液、尿、またはその他の体液のこともある。テスト流路24a、bのうちの1つまたは両方内に、サンプル内に存在することもある特定の抗原に反応する抗体のような凝集試薬が堆積されることもある、つまりそれぞれのテスト流路内に異なる特異性の抗体がもたらされる。したがってテスト流路24a、bに沿って液体が移動すると関連する抗原が存在する場合その液体は、テスト流路の1つまたは他方に堆積された抗体と反応する。その結果生ずる凝集が流路をブロックする、または少なくとも流れの抵抗を増すことになり、それにより流路に沿った液体の進行が妨げられるまたは少なくとも遅らされる。
【0049】
それに対して関連する抗原がサンプル内に存在しない場合には、凝集は起こらず流路に沿った液体の進行は妨げられない。図2では、テスト流路の1つ(24b)は他方のテスト流路(24a)より長いものとして示されている。
【0050】
チャンバ20内に残存するサンプル液体は指示液として機能する。液体は、実質上チャンバを満たすが、テスト流路24a、bのボアによって構成される毛細管の遮断によって設けられた障害28a、bを越えて進行することができない。上記に説明したように試液は、テスト流路24aの端部に、それがテスト流路24bの端部に到達する前に到達する。試液の流路24aの端部への到着が遮断を無くし、それによって障害28aを効率よく除去し、指示液がチャンバから下流の表示領域26a(表示領域26bから分離され引き離されている)に進行することを可能にする。指示流体が表示領域26aに入ると可視信号を形成させまた出現させる。これは数々の方式、一般的には色の変化を用いて実現されることができる。
【0051】
表示領域26aの容量は、チャンバ20からの液体を実質的に全て受容するのに十分である。
【0052】
液体が表示領域26aに移動を始めるとチャンバ20内の液体は、障害28bとの接触から引き離され、遮断の寸法を効率的に増加させる。
【0053】
したがって試液が最終的にテスト流路24bの端部に到達するとき/する場合、それは何の影響も与えず、チャンバ20内の液体は相変わらず下流の表示領域26bに入り込むことができない。このように、アッセイが完了してから装置が適正な期間(例えば1〜24時間)放置された場合その結果は改変されていないので、その実施形態は、アッセイの結果を正確に解釈することを確実にするために連続してモニタされる必要が無いアッセイ装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1a】本発明の装置で利用されることもある液体流に対する障害、および障害が克服されることができる方式の一例の略図である。
【図1b】本発明の装置で利用されることもある液体流に対する障害、および障害が克服されることができる方式の一例の略図である。
【図1c】本発明の装置で利用されることもある液体流に対する障害、および障害が克服されることができる方式の一例の略図である。
【図1d】本発明の装置で利用されることもある液体流に対する障害、および障害が克服されることができる方式の一例の略図である。
【図2】本発明による装置の一実施形態の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が端部領域をもつ複数のテスト流路を有する流体ゲート装置であって、装置が少なくとも1つの指示液流路から上流に設けられた液だめまたはサンプル適用領域を備え、液だめまたはサンプル適用領域が少なくとも1つの流動障害により1つまたは複数の指示液流路から分離され、関連するテスト毛細管流動路の端部領域での試液の存在が流動障害を軽減または無くすように流動障害がテスト毛細管流動路の端部領域に動作可能に連結され、それによって液体が液だめまたはサンプル適用領域から流れ出て指示液流路に沿って流れることを可能にする、流体ゲート装置。
【請求項2】
流路が毛細管の寸法のものである、請求項1に記載の流体装置。
【請求項3】
1つまたは複数の指示液流路内の障害が不連続または毛細管の遮断によって生成される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
指示液流路内の障害が関連するテスト毛細管流動路のボアによって形成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
指示液流路が、請求項1に記載の1つまたは複数のさらなる流体装置に流体装置の上流で流体的に連結される、請求項1に記載の流体装置。
【請求項6】
各テスト毛細管流動路がそれぞれの指示液流路とT字型接合部を形成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
指示液が、複数の放出口を有するチャンバまたは貯蔵器内にもたらされまたは存在するようにされ、各放出口が各表示領域につながっているが、各放出口が障害を備え、各障害がテスト毛細管流動路の端部領域に動作可能に連結されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
テスト毛細管流動路内を流れる試液が指示液流路内を流れる指示液と異なる、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
テスト毛細管流動路内を流れる試液が指示液流路内を流れる指示液と同じである、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
試液内の検体の存在および/または数量を検出するようになされかつ配置された、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
テスト毛細管流動路および/または指示液流路が1つまたは複数の試薬を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
抗体またはその抗原拘束細片を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
各指示液流路において障害の下流に表示領域を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
表示領域における指示液の存在が信号、好ましくは可視信号を生成する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
信号が色変化である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
1つまたは複数の制御流路を備える、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
液体サンプルをある特徴、特に検体の存在および/または数量について分析する方法であって、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置にンプルを適用するステップを含む、方法。
【請求項18】
添付図面を参照して以下に実質的に説明されている装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−532005(P2008−532005A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556655(P2007−556655)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000619
【国際公開番号】WO2006/090144
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(302044591)インバーネス・メデイカル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)
【Fターム(参考)】