流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイス
【課題】制限フロー構成要素(15)によって生成される圧力低下に基づいて、フロー速度を測定するための流体フロー測定および制御デバイスを提供すること。
【解決手段】本発明のデバイスは、流体入り口および流体出口を有する比例フローバルブ(10)、ならびにこの比例バルブ(10)を調節するためのアクチュエータ(17)を備える。この制限フロー要素(15)は、この比例フローバルブ(10)と連絡状態にある流体入り口および流体出口を備え、制限フロー構成要素の流体入り口と出口との間での圧力低下を生成する。このデバイスはまた、圧力低下を測定するための手段(24,25)、圧力低下に基づいてフロー速度を計算するための手段(16)、ならびに測定された圧力低下に応じて比例フローバルブ(10)を通じて流体のフローを制御するために圧力低下測定手段(24,25)およびアクチュエータ(17)と連絡する制御手段(示さず)を備える。
【解決手段】本発明のデバイスは、流体入り口および流体出口を有する比例フローバルブ(10)、ならびにこの比例バルブ(10)を調節するためのアクチュエータ(17)を備える。この制限フロー要素(15)は、この比例フローバルブ(10)と連絡状態にある流体入り口および流体出口を備え、制限フロー構成要素の流体入り口と出口との間での圧力低下を生成する。このデバイスはまた、圧力低下を測定するための手段(24,25)、圧力低下に基づいてフロー速度を計算するための手段(16)、ならびに測定された圧力低下に応じて比例フローバルブ(10)を通じて流体のフローを制御するために圧力低下測定手段(24,25)およびアクチュエータ(17)と連絡する制御手段(示さず)を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許第6,348,098号および米国仮特許出願第60/097,053号(2002年7月19日出願、標題「Liquid Flow Controller and Precision Dispense Apparatus and System」)に関連し、米国仮特許出願第60/397,162号(2002年7月19日出願、標題「Fluid Flow Measuring And Proportional Fluid Flow Control Device」、その開示は、本明細書中に参考として援用される)の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
本発明は、フロー測定の分野に関し、詳細には、半導体製造において代表的には使用されるもののような攻撃的な(aggressive)超純粋化合物のフローの感知の分野に関する。本発明は、フロー制限によって引き起こされる圧力差に基づいて、流体フロー速度の決定を可能にする。この圧力シグナルは、DSPベースの電気回路によって処理され、マイクロプロセッサによって定量され、PCベースのグラフィックユーザーインターフェースまたは他のディスプレイを介してエンドユーザーに連絡される。圧力差センサは、フロー制限の寸法および圧力センサ空隙が原因で非常に正確であり、大きな圧力差を生成するために、制限領域における圧力測定を可能にする。この最大化された圧力差は、最終的なフロー速度測定の感度および正確性を増す。また、これらの臨界領域(critical region)の寸法は、その測定、既存の設計に対するさらなる増強および攻撃的な高純度流体を比較的低いフロー速度で測定する場合の実質的な利点に起因して、圧力損失全体を減少させる。
【0003】
半導体の製造の間に、多くの異なる流体が、正確にかつ的確に分配されなければならず、処理される基剤の上に堆積されなければならない(例えば、いくつか挙げると、脱イオン水、フォトレジスト、誘電体、ポリイミド、顕色剤(developer)および化学機械的研磨(CMP)スラリーに対する回転)。例えば、このような適用のための従来の装置において、処理されるべきウェハは、適切なノズルの下に配置され、次いで、これに、所定の量の液体またはスラリーが分配されて、そのウェハをコーティングまたは処理する。この所定の量は、ポンプサイクル、チュービング直径および流体閉じこめ環境の他の特徴に対して前提とされるが(premised)、ウェハ上に堆積された流体の絶対量または質量に対しては前提とされない。代表的には、そのウェハは、次いで、堆積した液体をウェハの表面全体に対して一様に分配するために回転される。分配される液体の分配速度および量は、このプロセスにおいて重要であることが容易に明らかである。
【0004】
流体フローがノズルを介して(例えば、ウェハ処理の間に)停止される場合、その可能性は、ノズルからの流体の液滴が形成され、ノズルの下に配置されたウェハ上に落ちるために存在する。このことは、ウェハ上に形成されているパターンを破壊し得、ウェハが破棄されるかまたは再処理されることを要する。ノズル上の有害な液滴の形成を裂けるために、外部に吸引戻り(suckback)するか、または停止/吸引戻りバルブは、一般的に使用される。後者のこのようなバルブは、代表的には、二重の空気式制御バルブ対であり、一方のバルブは、流体をノズルに流れないように止め、他方は、ノズルの分配端部または出口ポートから液体を戻して引っ込める。このことは、液滴形成およびポートの滴りの防止を補助するだけでなく、液体の露出表面の乾燥(これは、ノズルの詰まりをもたらし得る)を防止し、出口での流体汚染もまた減少させる。
【0005】
より大きなウェハ(例えば、直径300mm以上)のコーティングはまた、乱流の問題が生じるので、問題である。ウェハの回転速度は、コーティング流体を、その流体が適用されるウェハの中心から、半径方向に外側に、ウェハの縁部まで拡げるために、従来から使用されている。しかし、このアプローチは、ウェハの上に乱気流を発生させ、不均一かつ一様でないコーティングを生じ得る。より大きなウェハで回転速度を下げると、ウェハの表面での乱流は減少するが、新たな問題が導入され得る。速度を減少すると、流体は、ウェハにわたってよりゆっくりと動き、従って、流体を作動可能な状態にし始めるか、または乾燥が問題になる前に、流体がウェハ縁部まで拡がる。
【0006】
ポンプは、半導体製造操作において液体を分配するために従来から使用されてきた。しかし、このような適用に適したポンプは高価であり、かつ過剰な摩耗に起因して頻繁な交換を要する。
【0007】
従って、前述の欠点なく、流体の正確な、再現可能な分配を生じるバルブシステムを提供することは望ましい。このようなバルブシステムは、流体温度または上流の流体圧力の影響における変化によって影響を受けるべきではない。さらに、本発明は、任意の流体制御デバイスに対するより広い適用、特に、流体フローの正確な制御が所望されるかまたは必要とされる流体制御デバイスを有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
先行技術の問題は、流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスを提供する本発明によって克服された。このデバイスは、フロー制限構成要素において測定された圧力損失に応じて比例バルブを使用して、流体フローを制御する。圧力は、制限フロー構成要素の入り口またはその付近で、および出口またはその付近で感知され、その間で得られた圧力低下は、制御される流体のフロー速度に変換される。その圧力低下は、間断なくまたは連続的にモニターされ得、1以上のバルブは、所望のフロー速度を得るために調節される。その制御システムは、広い範囲の粘性を有する流体に対する適用可能性を有し、このような流体を、操作者の最小の関与により正確にかつ反復可能に分配することが可能である。この制御システムは、リアルタイムのプロセスの変化に素早く応じて、費用効果的かつ柔軟な様式で、正確かつ反復可能な性能を提供する。好ましい実施形態において、圧力低下構成要素の設計は、制限構成要素に起因する圧力損失の大部分の回復を可能にする。
【0009】
本発明の別の実施形態は、以下を備え得る:流体入り口および流体出口を有する比例フローバルブ;上記比例フローバルブを調節するための、上記比例フローバルブ用のアクチュエータ;制限フロー構成要素流体入り口および上記比例フローバルブの流体入り口と流体連絡状態にある制限フロー構成要素流体出口を有する制限フロー構成要素であって、該制限フロー構成要素は、制限フロー構成要素流体入り口と制限フロー構成要素流体出口との間に圧力低下を生成する、制限フロー構成要素;上流圧力センサ;下流圧力センサ;ならびに上記上流圧力センサおよび上記下流圧力センサと流体連絡状態にあるコントローラ。このコントローラは、1以上のプロセッサ;1以上のコンピューター読み取り可能なメモリ;および上記1以上のコンピューター読み取り可能なメモリ上に保存され、かつ上記1以上のプロセッサによって実行可能なコンピューター読み取り可能な指示のセットをさらに含み得る。上記コンピューター読み取り可能な指示のセットは、上流圧力シグナルを受容し;下流圧力シグナルを受容し;そして上記上流圧力シグナルおよび上記下流圧力シグナルに基づいて、流体フロー速度を計算することを実行可能な指示を含み得る。
【0010】
本発明のなお別の実施形態は、1以上のコンピューター読み取り可能なメモリ上に保存され、かつ上記1以上のプロセッサによって実行可能なコンピューター読み取り可能な指示のセットを含むデバイスを包含し得る。コンピューター読み取り可能な指示の上記セットは、流体フローを計算し、そしてファジー論理に基づいて、バルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な指示を含む。
【0011】
本発明のなお別の実施形態は、1以上の読み取り可能なメモリ上に保存され、かつ上記1以上のプロセッサによって実行可能なコンピューター読み取り可能な指示のセットをさらに含むデバイスを含み得る。このコンピューター読み取り可能な指示のセットは、流体フロー速度を計算し、ファジー論理に基づいてバルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な指示を含む。このバルブ出力における変化全体は、誤差を、メンバーシップ関数の第1のセットに対して比較して、ファジー入力の第1のセットを生成すること;フロー速度における変化を、メンバーシップ関数の第2のセットに対して比較して、ファジー入力の第2のセットを生成し、ここで上記ファジー入力の第1のセットおよび上記ファジー入力の第2のセットからの各ファジー入力は、真の入力程度と関連づけられる、こと;規則のセットを、上記ファジー入力の第1のセットおよび上記ファジー入力の第2のセットに適用して、ファジー出力のセットを生成し、ここで各ファジー出力は、真の出力程度と関連づけられる、こと;各ファジー出力とバルブ出力値における別個の変化とを関連づけること;ならびに上記ファジー出力のうちの1以上の真の出力程度および上記1以上のファジー出力の各々と関連づけられたバルブ出力値における別個の変化に基づいて、バルブ出力の変化全体を計算すること、によって計算され得る。
【0012】
本発明の実施形態は、より大きな安定性を提供し得るので、先行技術のPIDコントローラを超える利点を提供する。
【0013】
本発明の実施形態は、先行技術のPIDコントローラを超える利点を提供する。なぜなら、ファジー論理が操作環境における変化を説明するようにプログラムされ得るので、より優れた操作条件で使用され得るからである。
(項目1)
流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスであって、該デバイスは、以下:
流体入り口および流体出口を有する比例フローバルブ;
該比例フローバルブを調節するための、該比例フローバルブ用のアクチュエータ;
制限フロー構成要素流体入り口および該比例フローバルブの該流体入り口と流体連絡状態にある制限フロー構成要素流体出口を有する制限フロー構成要素であって、該制限フロー構成要素は、該制限フロー構成要素流体入り口と該制限フロー構成要素流体出口との間の圧力低下を生成する、制限フロー構成要素;
該圧力低下を測定するための手段;
該圧力低下に基づいてフロー速度を計算するための手段;および
該圧力低下測定手段と連絡状態にあり、かつ該測定された圧力低下に応じて、該比例フローバルブを通る流体のフローを制御するための該アクチュエータと流体連絡状態にある、コントローラ、
を備える、デバイス。
(項目2)
項目1に記載の流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスであって、該制限フロー構成要素は、無給電圧力低下を生成する、デバイス。
(項目3)
項目1に記載の流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスであって、前記制限フロー構成要素は、ベンチュリを備える、デバイス。
(項目4)
項目1に記載の流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスであって、前記流体の温度を感知するための手段をさらに備え、ここで前記コントローラは、該感知された温度に応じて該計算されたフロー速度を修正する、デバイス。
(項目5)
項目3に記載の流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスであって、前記圧力低下を測定するための手段は、前記ベンチュリの上流の前記流体の圧力を感知するための第1の圧力変換器、および該ベンチュリの最も制限的な部分における該流体の圧力を感知するための第2の圧力変換器を備える、デバイス。
(項目6)
ディスペンサーから使用点への流体の分配を制御する方法であって、該方法は、以下の工程:
流体入り口および流体出口を有する比例流体フローバルブを提供する工程;
該流体入り口と流体連絡状態にある制限フロー構成要素を提供する工程であって、該制限フロー構成要素は、圧力低下を生成する、工程;
該制限フロー構成要素にわたる該圧力低下を感知する工程;および
該感知された圧力低下に応じて、該比例流体フローバルブを調節する工程、
を包含する、方法。
(項目7)
項目6に記載の方法であって、前記比例流体フローバルブを調節するために、アクチュエータが設けられている、方法。
(項目8)
項目6に記載の方法であって、前記アクチュエータを制御するために、前記測定された圧力低下に応答するコントローラを提供する工程をさらに包含する、方法。
(項目9)
項目6に記載の方法であって、前記比例流体フローバルブを調節するためのファジー論理規則をさらに包含する、方法。
(項目10)
項目1に記載の流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスであって、前記アクチュエータバルブ上に位置センサをさらに備える、デバイス。
(項目11)
項目1に記載の流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスであって、前記制限フロー構成要素は、前記測定された圧力低下の少なくとも10%を回復させる、デバイス。
(項目12)
項目1に記載の流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスであって、前記コントローラは、ファジー論理規則を使用する、デバイス。
(項目13)
項目1に記載の流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスであって、前記コントローラは、保存された流体特性データを使用して、流体フローを測定および制御する、デバイス。
(項目14)
単一の標準的較正流体を使用して流体フローデバイスを較正する方法であって、該方法は、以下の工程:
第1の圧力センサおよび第2の圧力センサを有する流量計を提供する工程;
該流量計を通る第1の流体の流体フローを、該第1の圧力センサによって感知される圧力と第2の圧力センサによって感知される圧力との間の第1の圧力差を計算することによって、測定する工程;
該流量計を通る第2の流体の流体フローを、該第1の圧力センサによって感知される圧力と該第2の圧力センサによって感知される圧力との間の第2の圧力差を計算することによって、測定する工程;
該第1のフロー速度と、該流体密度と、該第1の流体と該第2の流体の該計算された圧力差との間の関係に基づいて、較正係数を決定する工程;
該較正係数と該流体の各々の動粘性率との間の関係を決定する工程;および
該関係を保存する工程、
を包含する、方法。
(項目15)
項目14に記載の方法であって、前記保存された関係を、第3の流体の測定された圧力差に対して比較する工程、および該比較に基づいて該第3の流体のフロー速度を決定する工程をさらに包含する、方法。
(項目16)
項目14に記載の方法であって、温度変動について、前記関係を相関させる工程をさらに包含する、方法。
(項目17)
デバイスであって、以下:
流体入り口および流体出口を有する比例フローバルブ;
該比例フローバルブを調節するための該比例フローバルブ用のアクチュエータ;
制限フロー構成要素流体入り口および該比例フローバルブの該流体入り口と流体連絡状態にある制限フロー構成要素流体出口を有する制限フロー構成要素であって、該制限フロー構成要素は、該制限フロー構成要素流体入り口と該制限フロー構成要素流体出口との間の圧力低下を生成する、制限フロー構成要素;
上流圧力センサ;
下流圧力センサ;
該上流圧力センサおよび該下流圧力センサと連絡状態にあるコントローラであって、該コントローラは、さらに以下:
1以上のプロセッサ;
1以上のコンピューター読み取り可能なメモリ、
を備え、
該1以上のコンピューター読み取り可能なメモリ上に保存されたコンピューター読み取り可能で、かつ該1以上のプロセッサによって実行可能な指示のセットであって、該コンピューター読み取り可能な指示のセットは、以下:
上流圧力シグナルを受容し;
下流圧力シグナルを受容し;そして
該上流圧力シグナルおよび該下流圧力シグナルに基づいて、流体フロー速度を計算することを実行可能な指示を含む、指示のセットを含む、
デバイス。
(項目18)
項目17に記載のデバイスであって、前記コントローラは、前記アクチュエータと流体連絡状態にあり、コンピューター読み取り可能な指示の前記セットは、バルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な指示をさらに含む、デバイス。
(項目19)
項目17に記載のデバイスであって、前記コントローラは、前記バルブ出力の変化に基づいて、バルブ制御シグナルを生成することがさらに実行可能である、デバイス。
(項目20)
項目19に記載のデバイスであって、前記コントローラは、前記バルブ制御シグナルに基づいて、バルブ駆動シグナルを生成し、前記バルブ駆動シグナルを前記アクチュエータに連絡するように作動する、バルブドライバをさらに備える、デバイス。
(項目21)
項目18に記載のデバイスであって、バルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な前記指示は、フロー速度と関連づけられた変数を、メンバーシップ関数の第1のセットに対して比較して、ファジー入力の第1のセットを生成し;フロー速度における変化と関連づけられた変数を、メンバーシップ関数の第2のセットに対して比較して、ファジー入力の第2のセットを生成することを実行可能な指示をさらに含み;ここで該ファジー入力の第1のセットおよび該ファジー入力の第2のセットからの各ファジー入力は、真の入力程度と関連づけられる、デバイス。
(項目22)
項目21に記載のデバイスであって、バルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な前記指示は、前記ファジー入力の第1のセットおよび前記ファジー入力の第2のセットに規則のセットを適用して、ファジー出力のセットを生成することを実行可能な指示をさらに含み、ここで各ファジー出力は、真の出力程度と関連づけられる、デバイス。
(項目23)
項目22に記載のデバイスであって、バルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な指示は、各ファジー出力とバルブ出力値における別個の変化とを関連づけ;ファジー出力のうちの1以上の真の出力程度および該1以上のファジー出力の各々と関連づけられたバルブ出力値における別個の変化に基づいて、バルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な指示をさらに含む、デバイス。
(項目24)
1以上のコンピューター読み取り可能なメモリ上に保存され、前記1以上のプロセッサによって実行可能なコンピューター読み取り可能な指示のセットを備えるデバイスであって、コンピューター読み取り可能な指示の該セットは、以下:
流体フロー速度を計算し;そして
ファジー論理に基づいて、バルブ出力における変化全体を計算する、
ことを実行可能な指示を含む、
デバイス。
(項目25)
項目24に記載のデバイスであって、バルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な前記指示は、フロー速度と関連づけられた変数を、メンバーシップ関数の第1のセットに対して比較して、ファジー入力の第1のセットを生成し;フロー速度における変化と関連づけられた変数を、メンバーシップ関数の第2のセットに対して比較して、ファジー入力の第2のセットを生成することを実行可能な指示をさらに含み;ここで該ファジー入力の第1のセットおよび該ファジー入力の第2のセットからの各ファジー入力は、真の入力程度と関連づけられる、デバイス。
(項目26)
項目25に記載のデバイスであって、バルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な前記指示は、規則のセットを、前記ファジー入力の第1のセットおよび前記ファジー入力の第2のセットに適用して、ファジー出力のセットを生成することを実行可能な指示をさらに含み、ここで各ファジー出力は、真の出力程度と関連づけられる、デバイス。
(項目27)
項目25に記載のデバイスであって、バルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な前記指示は、各ファジー出力を、バルブ出力値における別個の変化と関連づけ;ファジー出力のうちの1以上の真の出力程度および該1以上のファジー出力の各々と関連づけられたバルブ出力値における別個の変化に基づいて、バルブ出力の変化全体を計算することを実行可能な指示をさらに含む、デバイス。
(項目28)
1以上のコンピューター読み取り可能なメモリ上に保存され、前記1以上のプロセッサによって実行可能なコンピューター読み取り可能な指示のセットを含むデバイスであって、該コンピューター読み取り可能な指示のセットは、以下:
流体フロー速度を計算し;そして
以下:
誤差を、メンバーシップ関数の第1のセットに対して比較して、ファジー入力の第1のセットを生成すること;
フロー速度における変化を、メンバーシップ関数の第2のセットに対して比較して、ファジー入力の第2のセットを生成し、ここで該ファジー入力の第1のセットおよび該ファジー入力の第2のセットからの各ファジー入力は、真の入力程度と関連づけられる、こと;
規則のセットを、該ファジー入力の第1のセットおよび該ファジー入力の第2のセットに適用して、ファジー出力のセットを生成し、ここで各ファジー出力は、真の出力程度と関連づけられる、こと;
各ファジー出力とバルブ出力値における別個の変化とを関連づけること;ならびに
該ファジー出力のうちの1以上の真の出力程度および該1以上のファジー出力の各々と関連づけられたバルブ出力値における別個の変化に基づいて、バルブ出力の変化全体を計算すること、
によって、ファジー論理に基づいて、バルブ出力における変化全体を計算する、
ことを実行可能な指示を含む、
デバイス。
(項目29)
項目28に記載のデバイスであって、前記コンピューター指示のセットは、真の特定の出力程度と関連づけられたファジー出力を低下させることを実行可能な指示をさらに含む、デバイス。
(項目30)
項目28に記載のデバイスであって、前記コンピューター指示のセットは、前記真の出力程度を、前記真の入力程度に基づかせることを実行可能な指示をさらに含む、デバイス。
(項目31)
項目28に記載のデバイスであって、特定のファジー出力についての真の出力程度は、ファジー入力の特定のセットについての真の最低の入力程度に等しく、該ファジー入力の特定のセットに対して、該特定のファジー出力が基づく、デバイス。
(項目32)
項目28に記載のデバイスであって、前記コンピューター読み取り可能な指示のセットは、前記計算されたバルブ出力における変化全体に基づいて、バルブ制御シグナルを生成するこのを実行可能な指示をさらに含む、デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従う、制限フロー構成要素および比例バルブを備えるハウジングの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に従う、同心円ベンチュリの概略図である。
【図3】図3は、図1の同心円ベンチュリの断面図である。
【図4】図4は、本発明の別の実施形態に従う、偏心平型チャネルベンチュリの概略図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に従う、比例バルブの分解組立図である。
【図6】図6は、図5のバルブの斜視図である。
【図7】図7は、図5のバルブの改変型ポペットの断面図である。
【図7A】図7Aは、図7のポペットの一部の断面拡大図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施形態に従う、改変型ポペットの側面図である。
【図9】図9は、本発明のなお別の実施形態に従う改変ポペットの側面図である。
【図10】図10は、本発明のなお別の実施形態に従う改変型ポペットの側面図である。
【図11】図11は、熱交換チューブの入り口および出口の水温、ならびに実施例7に従って測定されたフロー速度のグラフである。
【図12】図12は、熱交換チューブの入り口および出口の水温ならびに実施例8に従って測定されたフロー速度のグラフである。
【図13】図13は、フロー制限構成要素、比例バルブ、および電子システムを例示する、本発明の実施形態の写真である。
【図14】図14は、実施例10に従う、フロー速度 対 時間のグラフである。
【図15】図15は、実施例11に従う、フロー速度 対 圧力低下のグラフである。
【図16】図16は、実施例11に従う、フロー速度 対 2ΔP/ρのグラフである。
【図17】図17は、実施例11に従う、係数C’ 対 動粘性率のグラフである。
【図18】図18は、実施例11に従う、「K」 対 温度のグラフである。
【図19】図19は、実施例11に従う、フロー速度 対 圧力低下のグラフである。
【図20】図20は、本発明に従う制御システムのフローチャートである。
【図21】図21は、本発明に従う電子システムのシグナル処理セクションおよび制御セクションのブロック図である。
【図22】図22は、ベンチュリにおける流体フローを、圧力低下、断面積、および流体特性に関連させる理論の記載である。
【図23】図23Aおよび23Bは、バルブ出力における変化全体を計算する際に使用され得るメンバーシップ関数の実施形態を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
初めに図1に注意を向けると、本発明の好ましい実施形態に従ってハウジング5中の組み立てられた流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスが示される。流体制御デバイス(例えば、ステッパー電動機で作動される比例バルブ10)は、使用点(例えば、ウェハであり得る基材(示さず))まで流体を最終的に分配するための流体入り口ライン12および流体出口ライン13を有することが示される。制限フロー構成要素15は、流体入り口ライン12と流体連絡状態にある。好ましくは、制限フロー構成要素15は、より詳細に以下に議論されるように、ベンチュリである。第1の圧力センサ24(例えば、圧力変換器)は、第1の圧力を感知するために、制限フロー構成要素15の入り口またはその付近に配置され、第2の圧力センサ25(例えば、圧力変換器)は、第2の圧力を感知するために、制限フロー構成要素15の出口またはその付近に配置される。あるいは、単一の圧力差感知デバイスが使用され得る。流体と接触する圧力センサの一部は、好ましくは、サファイヤのような(この適用において使用される流体に関して)不活性物質から作製される。2つの流体の圧力が、流体流れから測定される;第1は、フローセンサ中で誘導された圧力低下の直前の、ライン中の流体圧力の測定値であり、第2の圧力測定値は、その誘導された圧力低下の点で取られる。好ましい実施形態において、その圧力低下は、流体ラインにおける減少した断面によって誘導される。この急激に減少した断面は、流体速度をこのセクションにおいて増大させ、それによって、流体圧力を低下させる。この減少した断面の入り口および出口は、その誘導された圧力低下の無給電圧力損失を回復するように注意深く設計され、その圧力低下の大部分は、流体ラインが拡張され、流体速度が回復するにつれて、回復される。この設計は、第2の圧力測定値が、デバイスののどにおける狭窄部で直ぐに取られる限り、一般に、ベンチュリ式といわれる。このことは、最大圧力差シグナルを生成することを可能にする。このシステムの他の実施形態は、計量オリフィス、キャピラリ、一連の平行キャピラリ、または多孔性媒体の使用を介して、圧力低下を引き起こし得る。このような制限フロー構成要素は、流体に対して化学的に不活性であるべきであり、Teflon(登録商標)、PFA、MFA、FEP、PVDF、および超高分子量ポリエチレンから作製され得る。本実施形態における圧力センサは、サファイヤダイヤフラム、薄膜ピエゾ抵抗性圧力センサ(Tenzor LLC(Basking Ridge,New Jersey)から入手可能)およびSSTダイヤフラム圧力センサ(半導体チップの製造において使用される流体との化学適合性を確実にするために保護バリアを備える、p/n NPI−19A−701GHとしてLucas Novasensor(Fremont,CA)から入手可能)が挙げられる。他の実施形態は、保護バリアまたは多くの形態の圧力差センサを備える、セラミックまたはケイ素の薄膜フィルムのピエゾ抵抗性圧力センサを使用し得る。比例バルブアクチュエータ17は、バルブ10を作動する。電子基板16は、示されるように、ハウジング5の中に取り付けられる。
【0016】
図2および3は、本発明に従う制限フロー構成要素15の一実施形態を例示する。この構成要素15は、入り口111から間隔を空けて、流体入り口111および流体出口112を有する。この流体入り口111は、実質的に一定の断面の第1の入り口セクション111Aと連絡状態にある。第1の入り口セクション111Aは、示されるように、より小さな断面へとテーパー付けされている第1の先細セクション111Bにて終わる。第1の先細セクション111Bは、なおより小さな断面の第2の先細セクション111Cと流体連絡状態にある。次いで、この第2の先細セクション111Cは、ベンチュリののど114と流体連絡状態にある。第1のさ末広セクション115は、のどセクション114から、流体出口セクション122(これは、実質的に一定の断面であり、出口112と連絡している)に向かって拡大するようにテーパー付けされる。第1の圧力センサ24を収容する第1の圧力センサ空隙117(図3)は、第1の圧力センサタップ119(ベンチュリ狭窄部の上流で第1の入り口セクション111Aと連絡している)と流体連絡状態にある。第2の圧力センサ25を収容する第2の圧力センサ空隙120(図3)は、第2の圧力センサタップ121(狭窄部の下流でのどセクション114と連絡している)と流体連絡状態にある。圧力タップは、0.09〜1インチの範囲であり得る長さを有し、0.01〜0.5インチの範囲の直径を有する。各圧力センサは、保持装置126によってそのそれぞれの空隙に保持され、Oリング127でシールされる。好ましくは、小さい方の断面114の直径は、大きい方の直径111Aの0.7以下である。
【0017】
図4は、制限フロー構成要素15の代替的実施形態を例示し、ここでこの構成要素は、偏心平型チャネルベンチュリである。流体入り口111’は、先細入り口セクション111A’と流体連絡状態にあり、この先細入り口セクション111A’は、テーパー付けされた壁に起因して、先細入り口セクション111B’へと急激に狭くなる。この先細入り口セクション111B’は、ベンチュリのど114’と流体連絡状態にあり、このベンチュリののどは、次いで、末広出口セクション115’において外側に拡がり、最終的には、流体出口112’に達する。第1の圧力センサ(示さず)を収容する第1の圧力センサ空隙117’は、第1の圧力センサタップ119’(ベンチュリ狭窄部の上流で、先細入り口セクション111A’と流体連絡している)と流体連絡している。第2の圧力センサ(示さず)を収容する第2の圧力センサ空隙120’は、第2の圧力センサタップ121’(狭窄部の下流で、のどセクション114’と連絡している)と流体連絡状態にある。各圧力センサは、保持装置によってそのそれぞれの空隙に保持され、Oリングでシールされる。
【0018】
流体は、流体入り口12を通じてデバイスに入る。流体は、流体入り口12からフロー制限構成要素15へと通過し、ここで流体プロフィールを調節する第1のセクションを通って通過する。フロー制限のこのセクションにおける流体の圧力は、第1のセクションを備える圧力タップ119を通して流体連絡状態にある第1の圧力センサ24によって測定される。図2および3の実施形態において、その流体は、第1の先細セクション111Bに入り、次いで、流体速度を増大させ、流体の圧力を低下させる第2の先細セクション111Cに入る。流体は、デバイスののど114に入り、ここで流体の圧力は、第2の圧力タップ121によって、のど114中の流体と流体連絡状態にある第2の圧力センサ25によって測定される。流体は、フロー構成要素ののどセクションを、第1の末広セクション115を通って出る。フロー構成要素セクションの第1の末広セクション115は、流体出口12に接続される。
【0019】
フロー制限構成要素15の出口からの流体は、その入り口で比例バルブに入る。図5を参照すると、適切な比例バルブ10は、入り口300、バルブポペット302、バルブシート、および流体出口305を備える流体フローについての経路を有することが示される。このバルブポペット302は、一端でダイヤフラム304中の凹部と接触しており、ダイヤフラム304Aおよびバネ305は、多端で基部308に据え付けられている。これは、通常閉じたバルブである。ポペット302は、バルブシートを過ぎた流体のフローを制限する。センサ307は、センサスペーサー306上に配置されて、ステッパー電動機311の親ねじ310の「ホーミング」位置を決定する。流体経路中の流体のフロー速度を調節するために、ステッパー電動機311は、回転し、親ねじ310を駆動する。親ねじ310の動きは、ダイヤフラム304および304aを変位させ、ポペット302を、バルブシートのシールされた位置から動かし、流体のフローがバルブシートおよびポペット302を通過することを可能にする。ステッパー電動機が、その回転方向を逆にすると、親ねじは、ダイヤフラムから引っ込んで、戻りバネ308は、ダイヤフラム304および304aを変位させ、ポペットを動かして、流体経路における流体のフローを制限する。この実施形態におけるバルブ作動機構は、ステッパーモーターであるが、リニアモーターまたは他の機械式アクチュエータ、空気式アクチュエータ、ボイスコイル、または他の力によるアクチュエータでもあり得る。作動する機構は、電子機器と連絡状態にあり、この電子機器は、フロー速度設定点および実際のフロー速度に応じてアクチュエータに送られるコマンドを変化させる。バルブの代替的実施形態において、ステッパーは、バルブの閉鎖を確実にし、そのバルブは、通常は、開いており、バネは、ステッパーとは反対に作用する。
【0020】
種々のポペット設計は、望ましい応答、線形性およびシール面積に依存して使用され得る。例えば、図7は、円錐302Aが複数の角度を有する(図7Aに示されるように、7.5°および16°)ように、改変された標準的なParker/Partekポペット302を示す。その複数の角度は、フロー応答を、ポペット位置に関してより線形的にし、従って、より制御しやすくする。
【0021】
図8は、シール領域付近の角で振動を減少させるようにされたシール領域およびチャンバ303において減少した直径(図7のポペット302に対して)を有するポペット302’を示す。図9は、複数の角度を備える改変ポペット302”を示し、低いフロー適用のためのより大きなバレルの直径もまた有する。図10は、(複数の角度がない)一定の円錐角度であるが、より大きなバレル直径を有するポペット302”’を示す。ダイヤフラム/ポペット設計を利用する大部分の既存のオン/オフ高純度バルブは、このようなポペット改変、および最終的な新たなアセンブリを適切なアクチュエータとともに組み込むこと、アクチュエータ/バルブアセンブリをフロー制御システムをフローセンサとともにはめ込むこと、計算および制御論理、ならびにアクチュエータ/バルブアセンブリによって釣り合いが取られる。
【0022】
図1を再び参照すると、アクチュエータ17は、バルブ10に接続される。各圧力センサ24、25(または単一の圧力差感知デバイス)は、コンピュータープロセッサまたはコントローラ(例えば、比例積分微分(PID)フィードバック要素またはファジー論理制御を有するコントローラ)と連絡状態にある。ファジー論理制御は、ファジー化、規則評価、および脱ファジー化(defuzzification)といわれる3つの工程を包含する。ファジー化は、アナログ入力変数(例えば、フロー速度誤差および時間に関するフロー速度の微分)を、論理値の小さなセットが真である角度に量化するというプロセスである。規則評価は、ファジー入力変数を取り出し、規則または条件のセットに基づいて、ファジー出力のセットを生成することを包含する。脱ファジー化は、生のファジー出力を組み合わせて、1つの複合システム出力にするというプロセスである。ファジー論理制御の一システムおよび方法は、以下で図20とともに議論される。このような出力は、バルブまたはヒーターを制御するために使用され得る。各センサ24、25は、そのそれぞれの流体ラインにおいて圧力をサンプリングすると、その各センサは、そのサンプリングされたデータを、コントローラに送る。そのコントローラは値を比較し、以下でより詳細に議論されるように、制限フロー構成要素15にわたる圧力低下を計算する。その圧力低下に基づくコントローラからのシグナルは、アクチュエータ17に送られ、このアクチュエータは、流体制御バルブ10を応じて調節する。温度および動粘性率の修正が行われ得る。
【0023】
コントローラは、2つの別個の圧力シグナルの圧力差および流体の温度に基づいてフロー速度を計算し得、その測定されたフロー速度を先に入力された設定点フロー速度に対して比較し得、比例バルブを調節して、フロー速度設定点を達成し得る。このコントローラはまた、流体フロー制御デバイスを通って、サイクルの始めから流れる総容積を出し得、分配される総容積がエンドユーザーによって入力される容積設定点に等しい場合に、バルブをシールする。別の実施形態において、フロー速度設定点は、(総容積設定点の代わりに)時間値設定点と同様に入力される。ループは、分配の開始が入力された設定点と等しいので、測定される時間まで動かされ得、そのバルブは、サイクルが完了するように完全に閉じられる。
【0024】
液体適合性比例バルブ10は、流体流れのフロー速度調節を提供する。このアセンブリは、2つの主要構成要素からなる:バルブ10およびアクチュエータ17。好ましい実施形態において、バルブ10は、ダイヤフラムおよびポペット式デバイスであり、このデバイスは、バルブにより引き起こされる圧力低下を最小にすると同時に、フロー速度を効率的に制御する。このバルブダイヤフラムは、ポペットの取り付けおよび移動を可能にし、このポペットは、オリフィスにおけるその位置によってフロー速度を調節する。標準的Parker/Partek(Tucson,AZ)PV−10バルブのポペットは、図7〜10を参照して上記で議論されているように、広いフロー範囲を通じてフロー速度の良好な比例を提供するように改変されている。別の実施形態において、さらなるポペット改変がない、標準的なSt.Gobain Performance Plastics(Garden Grove,CA)HPMが使用され得る。アクチュエータは、ダイヤフラム、従ってポペットの機械的移動を提供する。バルブ本体から分離されると、そのアクチュエータは、好ましい実施形態において、EAD(Dover,NH),p/nL1MGE−10X03からのステッパー電動機であり、ダイヤフラム/ポペットアセンブリのより正確な移動を提供するように、初期工程でまたはマイクロステッピングにより操作され得る。他の適切なアクチュエータは、リニアモーター、ボイスコイル、および空気式スタイルを備える。
【0025】
図21は、液体のフロー速度を計算し得るコントローラの一実施形態を例示する。図21の実施形態において、そのコントローラは、中心プロセシングユニット2100およびデジタルシグナルプロセッサ2102を含み得る。中心プロセシングユニット2100およびデジタルシグナルプロセッサ2102の各々は、コンピューター読み取り可能なメモリ(例えば、RAM、ROM、EPROM、Flash、外部磁性保存デバイスまたは当該分野で公知の他のコンピューター読み取り可能メモリ)を含むかまたはこれにアクセスし得る。図21の例において、中心プロセシングユニット2100は、オンボードFLASHメモリ2104にアクセスし得、デジタルシグナルプロセッサ2102は、オンボードFLASH2106にアクセスし得る。Flashメモリ2104およびFlashメモリ2106の各々は、それぞれのプロセッサによって実行可能である、コンピューター読み取り可能な指示2108および2110のセットを保存し得る。デジタルシグナルプロセッサ2102および中心プロセシングユニット2100は、標準的なまたは特注のインターフェースコントロール2111を介して連絡し得る。
【0026】
このコントローラはまた、温度センサからの温度シグナルを受容するための温度センサ入力2112、中心プロセシングユニットの出力に基づいてステッパー電動機ドライブシグナルを生成するためのステッパー電動機ドライバ2113、圧力センサ入力2114および特定の実行のために使用される任意の他の入力または出力(例えば、アナログおよびデジタル出力、診断ポートなど)を備え得る。
【0027】
操作時に、コントローラは、個々の圧力センサからの入力シグナルおよびサーミスタからの温度シグナルを使用して、液体の最終的フロー速度を計算し得る。あるいは、単一の圧力差センサからの出力は、最終的なフローを計算するために使用され得る。各圧力シグナルは、アナログデジタルチップを介して処理され、次いで、そのシグナルは増幅され、得られたシグナルは、デジタルシグナルプロセッサ2102に供給される。このプロセッサは、中心プロセシングユニット2100よりも高い周波数で作動して、圧力シグナルおよび温度シグナルの濾過を可能にし、その制御ループ応答における有意な遅れを負荷しない。シグナルの濾過は、あらゆる外部ノイズ(圧力センサから、システムから、または外部から)を軽減し、より正確な圧力測定を可能にするために必要であり得る。これは、2つの圧力シグナルを比較する場合に有用である。次いで、差示的圧力シグナルが得られる。
【0028】
中心プロセシングユニット2100は、圧力差測定値および流体温度に基づいて、フロー速度を計算するための指示2108を実行する。温度は、圧力読み取り、流体の密度および粘度に影響を及ぼし、これらは、フロー速度の計算に強い影響を及ぼす。差示的圧力シグナルが記され、予備負荷較正曲線を介して、予備的フロー速度に対して相関される。その較正曲線は、流体フロー経路の絶対的寸法、制限領域の寸法および圧力センサの応答に依存する。フロー制御システムあたりのシグナル曲線が存在する。その曲線は、モデル流体について正規化されている。得られた予備的フロー速度は、測定された温度において流体の密度および粘度によってさらに改変される。このような保存されたデータは、密度および粘度の依存性を、測定される流体の温度とを相関させる。好ましい実施形態において、複数の液体についての温度の関数としての密度および粘度は、表形式で、または数学的関数としてのいずれかのデータとして保存される。この好ましい実施形態は、最終的な計算のために、Motorola p/n MC68HC912DG128(Shaumberg,IL)製のマイクロプロセッサを利用する。次いで、この目的の流体についての最終的なフロー速度が記録される。
【0029】
コンピューター読み取り可能な指示が、複数のメモリの間で保存され、複数のプロセッサによって実行される一方で、指示は、1以上のコンピューター読み取り可能なメモリ上に保存され得、1以上のプロセッサによって実行され得ることが注意されるべきである。さらに、当業者により理解されているように、このコンピューター読み取り可能な指示は、ソフトウェア、ファームウェアおよび/またはハードウェアとして実行され得る。
【0030】
図20は、フロー速度計算を例示するフローチャートである。本発明の一実施形態において、図20の方法論は、1以上のプロセッサを用いて、コンピューター読み取り可能なメモリ(例えば、RAM、ROM、FLASH、磁気保存、または当該分野で公知の他のコンピューター読み取り可能なメモリ)上に保存されているコンピューター読み取り可能な指示を実行することによって実施され得る。このコントローラは、工程2002において、温度を(例えば、図21の温度入力2112を介して)読み取り得る。工程2004において、このコントローラは、温度 対 センサ表にアクセスして、温度オフセットを計算し得る。工程2006において、コントローラは、圧力シグナルを(例えば、図21の圧力センサ入力2114を介して)読み取り得、工程2008において、圧力シグナルを温度オフセットに対して補正し得る。次いで、コントローラは、圧力シグナルおよび各圧力センサと関連づけられたアルゴリズムに基づいて、P1、P2および圧力差を計算し得る(工程2010)。
【0031】
工程2012において、このコントローラは、圧力差に基づいて初期フロー速度を計算し得、予備的負荷較正曲線を介して、圧力差に対して予備的フロー速度を相関させ得る。この較正曲線は、流体フロー経路の絶対的寸法、制限領域の寸法、および圧力センサの応答に依存し得る。フロー制御システムあたりの単一の曲線が存在し得る。好ましい実施形態において、その曲線は、モデル流体に対して正規化されている。さらに、工程2012において、コントローラは、粘度および密度に基づいて、初期フロー速度を改変し得る。このコントローラは、工程2014において、フロー速度較正に基づいて、フロー速度を調節して、最終的なフロー速度を計算し得る。工程2016において、コントローラは、設定点に基づいてフロー速度を較正する回数を決定し得る。フロー速度の計算に基づいて、このコントローラは、工程2018において、シグナルを生成して、バルブを調節し得る。
【0032】
バルブを調節する回数の計算は、ファジー論理を含み得る。ファジー論理の適用は、3つの工程(ファジー化、規則評価、および脱ファジー化)を包含する。ファジー化は、入力変数を論理的値の小さなセットが真である程度に量子化するプロセスである。本発明の一局面に従って、フロー速度の関連する変数およびフロー速度の経時的な変化に関連する変数がメンバーシップ関数に対して比較されて、各メンバーシップ関数についての真の程度が決定され得る。
【0033】
例として、このコントローラは、フロー速度誤差および経時的なフローの変化(dF/dt)をメンバーシップ関数に対して比較し得る。このフロー速度誤差およびdF/dtは、当該分野で公知の任意の様式で計算され得る。この誤差は、3つのカテゴリー、負数、ゼロおよび正数に分けられ得る。誤差についてのメンバーシップ関数の一実施形態は、図23Aに示される。図23Aにおいて、ライン2302は、負数の誤差メンバーシップ関数を表し、2304は、中立のゼロ誤差メンバーシップ関数を表し、2306は、正数の誤差メンバーシップ関数を表す。このdF/dtはまた、3つのカテゴリー、漸減、定常および漸増に分けられる。図23Bは、これら3つのカテゴリーについてメンバーシップ関数を例示する。図23Bにおいて、ライン2308は、漸減dF/dtを表し、ライン2310は、定常dF/dtを表し、ライン2312は、漸増dF/dtを表す。図23Aおよび23Bのメンバーシップ関数が、単なる例示によってのみ提供され、これらのメンバーシップ関数が任意の形状をとることが留意されるべきである。本発明の他の実施形態において、さらなるまたはより少ないメンバーシップ関数が、各変数について規定され得る。
【0034】
誤差値およびdF/dtは、メンバーシップ関数に対して比較されて、真の程度が決定され得る。例えば、誤差の値が点2314においてある場合、各誤差のメンバーシップ関数についての真の程度は、以下のとおりである:負数0%、ゼロ90%および正数10%。同様に、dF/dtが、点2316にあった場合、各dF/dtのメンバーシップ関数についての真の程度は、漸減0%、定常80%および漸増20%である。従って、ファジー化プロセスは、状態が、所定の入力変数についてどの程度真であるかを決定する。他の入力は、例えば、温度、温度変化の速度、圧力、圧力変化の速度あるいはフロー速度および/またはフロー速度における変化に変換され得る任意の他の変数が挙げられる。
【0035】
規則評価は、そのファジー入力(例えば、負数0%、ゼロ90%、正数10%、漸減0%、定常80%および漸増20%)を採用すること、およびファジー出力のセットを生成することを包含する。本発明の一実施形態に従って、ファジー出力は、規則のセットを与えると、フローバルブに適用されるべき変化であり得る。規則のセットの一実施形態は、表1に示される。
【0036】
【表1】
【0037】
上記の規則を使用し、先の例で続けると、誤差のファジー入力=負数0%、ゼロ90%、正数10%、ならびにdF/dt=漸減0%、定常80%および漸増20%が、以下のファジー出力および真の程度を導き得る:
変化なし=80%真(規則5から)
小さな減少=20%真(規則6から)
小さな減少=10%真(規則8から)
大きな減少=10%真(規則9から)。
【0038】
この場合、ファジー入力についての最も小さな真の程度を、ファジー出力についての真の程度として使用した。例えば、規則5について、誤差=ゼロが90%であり、dF/dt=定常が80%であったので、80%を選択した。いずれかのファジー入力(例えば、誤差についての規則=負数またはdF/dt=漸減)についての真の程度0%を有した規則は、ファジー出力についての真の程度が0%であるので示されない。真の程度をファジー出力に割り当てることは、本発明の他の実施形態において、選択および最適化の問題であり得る。本発明のなお別の実施形態において、最も低い真の程度を有するファジー出力は、降ろされ得る。ファジー出力は、任意の他の様式(例えば、特定の値を上回る真の程度を有するファジー出力のみを選択すること)において、選択され得る。従って、規則9からの大きな減少は、大きな減少がわずか10%の真の程度を有するので、降ろされる。しかし、規則8の小さな減少のファジー出力は、小さな減少のファジー出力についての最も高い真の程度が20%であるので、降ろされない。
【0039】
表2は、ファジー出力を生成するためのより複雑な規則表の別の例を提供する。表2の場合において、誤差は、5つのメンバーシップ関数:大きな負数、小さな負数、ゼロ、小さな正数および大きな正数に対して比較され得、dF/dtは、5つのメンバーシップ関数:大きな負数、小さな負数、ゼロ、小さな正数および大きな正数に対して比較され得る。ファジー入力の真の程度、dF/dtおよび誤差に基づくと、7つのファジー出力:非常に大きな増加、大きな増加、小さな増加、変化なし、小さな減少、大きな減少、および非常に大きな減少が生成され得る。
【0040】
【表2】
【0041】
表2は、例示によって提供され、どのようにしてファジー入力がさらなるメンバーシップ関数に対して比較されて、さらなるファジー出力が生成され得るのかを例示する。
【0042】
脱ファジー化は、このファジー出力を組み合わせて、システム出力を生成するプロセスである。例示目的で、表1を使用する例からのファジー出力を使用する。各ファジー出力は、このシステムにおける離散変化に関連し得る。例えば、表3は、表1のファジー出力が離散出力(例えば、値の変化%)とどのように関連づけられ得るかを例示する。
【0043】
【表3】
【0044】
表3に示されるように、大きな減少のファジー出力について、バルブ出力における変化%は、−20%であるはずであり、小さな減少については、−10%であるはずなどである。このファジー出力は、表3からの適切な定数が乗算され、いっしょにまとめられる。よって、表1からのファジー出力および10%の真の程度を有する大きな減少のファジー出力を降ろすことについて、フローバルブにおける変化全体は、以下のとおりである:
変化=(0*80%−10*20%−20*10%)/(80%+20%+10%)=−3.6
この値に基づくと、このコントローラは、3.6%までバルブを閉鎖しようとしている。これは、例えば、図20の工程2016において、適切なバルブ制御シグナルの生成によって行われ得る。本発明の一実施形態において、このバルブ制御シグナルは、アナログバルブドライブシグナルを生成して、バルブを開くまたは閉じるように駆動し得る、バルブドライバに送られ得る。
【実施例】
【0045】
(実施例1)
この実施例は、液体フローを測定および制御して、化学的機械的平坦化基材処理のための流体の個別の容量の送達を可能にする、本発明の実施形態の用途を例示する。より具体的には、この実施例は、本発明の実施形態が、液体フローを測定および制御して、研磨流体の個別の容量の基材への送達を可能にするためにどのようにして使用され得るかを例示する。化学的機械的研磨は、光学レンズの製造において有用である。化学的機械的平坦化は、半導体デバイスの製造において有用である。研磨流体は、酸性であっても塩基性であってもよく、シリカまたはアルミナのような研磨剤を含んでいてもよい。二酸化ケイ素を研磨するために有用な流体としては、水酸化カリウム水溶液中のシリカスラリーが挙げられ;銅金属を研磨するために有用な流体としては、酸化剤(例えば、過酸化水素)、抑制剤(例えば、ベンゾトリアゾール)、および有機酸(例えば、酢酸)の水溶液が挙げられる。
【0046】
本発明のデバイスの入り口は、研磨流体を含む加圧容器または重力送り容器に接続される。このフローデバイス出口は、研磨ツール上のノズルに接続される。この研磨ツールは、基材が回転パッドまたはベルトによって研磨されるようにする。この基材は、研磨パッドと接触し、この研磨パッドは、研磨流体の化学作用とともに基材から物質を除去する。研磨流体は、ノズルを通って、ツール上の基材に送達される;研磨流体のノズルへのフローは、フローデバイスおよびその電子機器によって制御される。そのフローデバイスの電子機器は、そのツールが、研磨流体を基材上に分配するタイミングを制御し得るように、ツールのコントローラに接続され得る。そのツールはまた、研磨エンドポイント検出器を備え得る。この研磨エンドポイント検出器はまた、研磨流体の基材への送達のタイミングを制御するために使用され得る。このフローデバイスの電子機器におけるシグナルプロセッサは、研磨流体を含む加圧容器中における圧力変動に起因して、研磨流体の容量および送達速度の変動性を排除する。蠕動ポンプと比較すると、研磨流体の送達は、一定速度で起こる。その結果は、基材への研磨流体の制御された容量および送達速度であり、このことにより、化学廃棄物が最小になり、基材のより均一かつ反復可能な研磨を生じる。
【0047】
(実施例2)
この実施例は、液体前駆物質の離散容量が、蒸発器に送達されて、気体を形成し得るように、液体フローを測定および制御するための本発明の実施形態の用途を例示する。より具体的には、この実施例は、本発明の実施形態が、どのように蒸発器への液体前駆物質のフローを測定および制御するために使用され得るかを例示する。
【0048】
液体前駆物質は、蒸発器中で加熱して、気体を形成する化学物質である。次いで、この気体は、反応チャンバ中の加熱基材に送達され、この反応チャンバ中でさらに分解されるか、または基材の上で反応する。この気体は、金属、半導体、または誘電体のフィルムを基材の上に形成するために使用され得る(化学的蒸着または分子層の化学的蒸着プロセス)。この気体はまた、基材の表面をエッチングするために使用され得るか、または基材を乾燥するために使用され得る。液体前駆物質は、純粋な液体(例えば、水、2−プロパノール、またはオルトケイ酸テトラエチル(TEOS))であり得る。液体前駆物質はまた、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中に溶解された固体(例えば、ストロンチウムジピバロイルメタン(Sr(DPM)2))を含み得る。いくつかの液体前駆物質(例えば、銅(I)ヘキサフルオロペンタンジオネートビニルトリメチルシラン(VTMS)Cu(hfac))は、熱感受性であり、いくつかの液体流量計において使用される熱センサによって分解され得る。液体前駆物質は、代表的には、約0.1g/分〜約50g/分の速度で蒸発器に送達される。薄いフィルムは、光学デバイス(例えば、レンズおよび光ファイバ)のコーティングにおいて重要である。薄いフィルムおよび薄いフィルムのエッチングはまた、平坦なパネル、マイクロプロセッサ、およびメモリデバイスの製造において重要である。
【0049】
本発明のフローデバイスは、その入り口において、液体前駆物質の加圧源に接続される。フローデバイスの出口は、蒸発器に接続される。フローデバイスのためのバルブは、蒸発器の上流または下流にあり得る。蒸発器の出口は、ツールのプロセスチャンバに接続される。このプロセスチャンバは、蒸気によって処理されるべき基材を含む。複数の前駆物質を要するプロセスについては、複数のフローデバイスが使用され得る。このフローデバイスの電子機器は、そのツールのコントローラに接続され得る。このことは、そのプロセスツールが、流量計を通して加熱された蒸発器へと、加圧源からの液体のフローを遠隔で制御することを可能にする。化学的蒸着プロセスに有用な蒸発器の例としては、加熱金属フリット、加熱金属スクリーン、加熱バルブ、および加熱チュービングが挙げられる。
【0050】
液体前駆物質を含む容器中の圧力変動は、蒸発器への液体フローの変化を生じ得る。熱フロー構成要素における液体前駆物質の熱分解は、蒸発器への不正確な液体フローを生じ得る。蒸発器に対する乏しいフロー制御は、蒸発器飽和に起因して、液体の不完全な蒸発を生じ得る。不完全な蒸発は、液滴がプロセスチャンバに入ってしまい、基材に対して欠陥を引き起こす。本発明を実施するにあたっての結果は、上流の圧力変動に関わらず、熱フロー構成要素を排除して、前駆物質フローならびに液体の蒸発器への反復可能かつ制御されたフローを制御することである。
【0051】
(実施例3)
この実施例は、無電解めっきのために液体のフローを測定および制御して、基材への流体の送達を可能にする本発明の実施形態の用途を例示する。より具体的には、この実施例は、本発明の実施形態が、めっきプロセスにおいて、どのように液体フローを測定および制御して、基材上への一連の化学物質の分配を可能にし、金属フィルムを形成するために使用され得るかを例示する。このようなプロセスは、浴めっきプロセスに共通する化学物質からの引きずりを排除する。めっきに有用な金属および合金の溶液としては、銀、銅、白金、パラジウム、金およびスズが挙げられるが、これらに限定されない。触媒は、しばしば、めっき溶液に対して基材を活性化するために必要とされる。これらの触媒としては、コロイドパラジウム、炭素、グラファイト、スズ−パラジウムコロイド、およびポリピロールのような導電性ポリマーが挙げられる。これらの触媒およびめっき溶液のうちのいくつかの貴金属は、高価であり、かつめっきプロセスの間の廃棄物は、めっきプロセスをコスト効果的にするために最小にする必要がある。これらの溶液のうちのいくつかの金属は、毒性であり、かつめっきプロセスの間の廃棄物は、環境への流出ならびに廃棄物処理および廃棄コストを減少するために最小にする必要がある。
【0052】
めっきプロセスにおいて使用される各化学物質について、本発明のデバイスは、その入り口において、加圧され、ポンプ供給され、または重力送りされる化学物質源に接続される。そのデバイスの出口は、その出口において、基材へ各化学物質を送達するためのノズルに接続される。溶液の温度は、基材に送達する前に、熱交換器、深冷器、または抵抗型ヒーター構成要素を使用して低下または上昇され得る。例えば、銅金属は、その基材を、第1のフローデバイスを通して、コロイドパラジウムを含む活性化溶液に接触させ、基材を第2のフローデバイスを使用して水ですすぎ、その触媒された基材を第3のフローデバイスを通じて塩酸活性化溶液と接触させ、その基材を、第4のフローデバイスを通じて、銅イオン、還元剤(例えば、ホルムアルデヒド)、錯化剤(例えば、EDTA)および塩基(例えば、水酸化カリウム)の供給源を含む一定容量の銅溶液と接触させることによる無電解処理によって、基材に被覆され得る。この基材は、第2のフローデバイスからの水で洗浄される。
【0053】
このフローデバイスの電子機器は、めっきツールのコントローラに接続されて、各フローデバイスを通る液体フローのタイミング、持続時間および順番が調整され得る。この結果は、プロセスにおける各工程に関して、測定された容量の各化学物質を基材上に迅速かつ正確に送達することである。化学廃棄物および材料コストは、反応の完了を確実にするためにのみ十分な化学物質を基材に送達することによって最小にされる。化学物質の引きずりに起因する基材の汚染が減少される。このプロセスの全体的なスループットは、サイクル時間を減少するために、フロー構成要素およびバルブの迅速な作用に起因して増大される。
【0054】
(実施例4)
この実施例は、液体フローを測定および制御して、基材への流体の送達を可能にし、等角コーティングを形成するための本発明の実施形態の用途を例示する。より具体的には、この実施例は、本発明のデバイスが、どのように基材への液体フローを測定および制御して、液体材料での基材の正確なコーティングを可能にするために使用され得るかを例示する。誘電体材料、フォトレジスト、反射防止コーティング、ポリイミド、接着促進剤(例えば、ヘキサメチルジシラザン)、強誘電性材料、およびゾル−ゲルが、一般に、スピンコーティングプロセスにおいて基材上に液体またはスラリーとして被覆される。このような材料は、固定ノズルまたは移動可能ノズルによって、静止した基材またはゆっくりと回転している基材に送達される。材料が基材に送達された後、基材は、約100〜5000rpmの範囲の高速で回転されて、その液体材料の薄いフィルムで基材が均一にコーティングされる。これらの材料の多くは、高価であり、コーティングプロセスにおけるそれらの使用および廃棄物を最小にすることが重要である。反復可能なコーティングには、一定容量の材料が基材に送達されることが必要である。
【0055】
本発明のフローデバイスの入り口は、コーティング流体を含む加圧容器または重力送り容器に接続される。フローデバイス出口は、コーティングツール上のノズルに接続される。このコーティングツールは、回転チャックに取り付けられた基材を有する。コーティング流体は、ノズルを通じてそのツール上の基材に送達される。;ノズルへのコーティング流体のフローは、フローデバイスおよびそのバルブにより制御される。フローデバイスの電子機器は、そのツールが基材に対するコーティング流体のタイミングおよび速度を制御することを可能にするために、そのツールのコントローラに接続され得る。フローデバイスとの電気的連絡によって、コーティングツールは、所望されるコーティングを達成するために、ノズル位置および基材回転速度の関数として、基材上への流体フロー速度を変動し得る。フローデバイスのマイクロプロセッサおよび制御論理は、コーティング流体を含む容器中の圧力変動に起因して、コーティング流体容量の変動性および送達速度を排除する。この結果は、制御された容量のコーティング流体の基材への送達である。この結果は、化学廃棄物を最小にし、このような基材のより均質かつ反復可能なコーティングを生じる。
【0056】
(実施例5)
この実施例は、液体フローを測定および制御して、その基材との反応のために、基材に流体を送達することを可能にする本発明の実施形態の用途を例示する。より具体的には、この実施例は、本発明の実施形態が、どのように基材上への反応液体のフローを測定および制御するために使用され得るかを例示する。このような反応性液体の例としては、陽性および陰性のフォトレジスト現像液、フォトレジストストリッパー、酸(例えば、フッ化水素酸)、酸化剤(例えば、オゾン化脱イオン水)または腐蝕液(例えば、過酢酸)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
本発明のフローデバイスの入り口は、反応性流体を含む加圧容器または重力送り容器に接続される。このフローデバイス出口は、ツール上のノズルまたはスプレーノズルに接続される。この反応性流体は、ノズルを介してツール上の基材に送達される;ツール上のノズルへの反応性流体のフローは、フローデバイスおよびそのバルブによって制御される。このフローデバイスの電子機器は、そのツールのコントローラに接続されて、そのツールが、基材に対する反応性流体フローのタイミングおよび速度を制御することを可能にする。フローデバイスの電子機器は、そのツールのコントローラを介して、反応エンドポイント検出器に接続され得る。それにより、反応性流体のフロー速度が低下されるか、または反応エンドポイントが近づくにつれて、または反応エンドポイントに到達しときに停止される。腐蝕液プロセスの例は、過酢酸を使用して、めっきされたウェハの縁部から銅を除去することである。この結果は、本発明の実施形態を使用する、制御された容量の反応性流体の基材への送達およびプロセスエンドポイントの正確な制御である。
【0058】
(実施例6)
この実施例は、液体フローおよび組成を測定および制御するための化学物質センサを連続して用いる本発明の実施形態の用途を例示する。より具体的には、この実施例は、本発明の実施形態が、どのように1以上の化学物質センサと組み合わせて、流体フローおよび流体組成の制御を可能にし得るかを例示する。このような制御が望まれる適用としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:めっき浴、RCA洗浄浴、オゾン化水浴、およびフッ化水素酸浴。このようなセンサと本発明の実施形態とを組み合わせる他の適用としては、化学物質浴の純度の維持が挙げられる。例えば、再循環浴中での汚染物質、例えば、粒子、有機材料、または金属イオンの増加により、その浴が、汚染された流体を周期的に流出させ、等価な容量の汚染されていない流体で置換されることが必要であり得る。あるいは、この浴は、汚染物質が除去され得るまで現在のプロセスおよび生成物を保護するために、一定のフロー速度を維持すると同時に、汚染物質を除去するために分離器(purifier)または粒子フィルタに切り替えられ得る。
【0059】
脱イオン水中に溶解されるオゾンは、種々の基材の表面から有機物質の除去に使用される。オゾン発生器出力気体濃度における変動および水フロー速度は、溶解したオゾン濃度における変動をもたらす。このような溶解したオゾン濃度変化は、オゾン化された水で基材表面を酸化し、一致しないプロセス結果および洗浄時間を引き起こすことが必要とされる時間の変動をもたらす。
【0060】
注水洗浄浴(overflow cleaning bath)における溶解したオゾンの濃度を維持するために、本発明の実施形態は、その入り口で脱イオン水の供給源に接続され、その出口は、気体接触器に接続される。気体接触器は、気体を液体に溶解し得る質量輸送デバイスである。このようなデバイスの例およびこれらの操作の説明は、W.L.Gore,Elkton,MD,およびMykrolis Corporation,Billerica,MAから入手可能である。オゾン発生器からのオゾンガスは、気体接触器のシェル側に送達され、ここでこのオゾンガスは、気体接触器のチューブを通じて流れている脱イオン水に溶解する。水中に溶解したオゾンの濃度は、気体接触器の流体出口に接続される溶存オゾン濃度モニター(IN USA,Needham,MAから市販されている)によって測定される。溶存オゾン濃度モニターからの出力シグナルは、本発明のフローデバイスの電子機器およびマイクロプロセッサへの入力シグナルとして使用される。本発明の電子機器、マイクロプロセッサおよび制御論理は、所定の濃度範囲内に溶存オゾン濃度を維持するために、予め設定した制限内で気体接触器を通る水のフロー速度を変動する。例えば、オゾン発生器からのオゾンガス出力の濃度が減少すると、気体接触器を通る水のフローが、溶存オゾン濃度を維持するために、フローデバイスによって減少され得る。
【0061】
あるいは、オゾン発生器の気体フロー速度、すなわち電力レベルを変化させるために、そのアナログ出力またはRS485出力または他の適切な手段の使用によって、フローデバイスの上流の水圧に関わらず、気体接触器を通る固定水フロー速度を維持しながら、本発明のフローデバイスの電子機器が使用され得る。例えば、水のフローが一定である間に溶存オゾンの濃度が所定の閾値を超えると、その発生器への電力は、溶存オゾンの濃度をその適切なレベルにまで減少させるように、低下され得る。この結果は、本発明の実施形態の使用による、一定組成の化学物質混合物の制御された調製および基材への送達である。
【0062】
(実施例7)
この実施例は、液体フローを反復して加熱および測定および制御して、一定容量の液体を室温から、その後のプロセスのための高温で分配するのを可能にする、熱交換器を備えるベンチュリシステムの使用を例示する。
【0063】
2.25インチ内径×18インチ長のシェルおよびチューブ熱交換器(同時係属中の出願USSN 60/326357(10/01/2001に出願、標題:CLOSED LOOP HEAT EXCHANGE APPARATUS、本明細書中に参考として援用される)に開示される方法によって調製される)を、そのシェル側で1.46リットル/分の速度にて流れる、70℃に熱した水源に接続した。23℃の水源を、その入り口で本発明の実施形態に接続した。本発明の実施形態におけるバルブの出口を、熱交換器のチューブ側の入り口継手に接続した。熱交換器のチューブ側への水入り口の温度およびチューブ側の出口の温度を、J型熱電対により測定し、データをAgilentデータロガーを用いて記録した。熱交換器のチューブへの液体水分配サイクルのフロー速度およびタイミングを、フローデバイス電子機器およびラップトップコンピューターによって制御した。毎分の分配サイクルは、以下のとおりであった:水が約20ml/秒のフロー速度において15秒間にチューブに送達され、水フローは、45秒間停止される。多くの分配サイクルについての熱交換チューブ入り口水温、チューブ出口水温、および測定されるフロー速度のプロットを、図11に示す。結果は、熱交換器を有する本発明の実施形態による、23℃から67+/−0.9℃に加熱された300ml容量の液体の反復可能な送達を示す。このようなシステムは、単一のウェハ洗浄、無電解めっき、現像プロセスまたはレジストストリッピングプロセスにおいて使用される流体の温度を調節するために使用され得る。
【0064】
(実施例8)
この実施例は、正確に制御された温度で固定フロー速度で固定容量の液体を送達することを可能にするベンチュリフローシステムの使用を例示する。
【0065】
2.25インチ内径×8インチ長のシェルおよびチューブ熱交換器(同時係属中の出願USSN 60/326357(10/01/2001出願、標題:CLOSED LOOP HEAT EXCHANGE APPARATUS、本明細書中に参考として援用される)に開示される方法により調製される)を、0.5リットル/分の速度で流れている26.8℃に加熱した水源にシェル側で接続した。23.4℃の水源を、その入り口で本発明の実施形態に接続した。本発明の実施形態におけるバルブの出口を、熱交換器のチューブ側のその入り口継手に接続した。熱交換器のチューブ側への水入り口の温度およびチューブ側の出口の温度を、J型熱電対により測定し、データをAgilentデータロガーを用いて記録した。熱交換器のチューブへの液体水分配サイクルのフロー速度およびタイミングを、フローデバイス電子機器およびラップトップコンピューターによって制御した。毎分の分配サイクルは、以下のとおりであった:水が約20ml/秒のフロー速度において5秒間チューブに送達され、水フローは、10秒間感停止される。多くの分配サイクルについての熱交換チューブ入り口水温、チューブ出口水温、および測定されるフロー速度のプロットを、図12に示す。結果は、熱交換器を有する本発明の実施形態を使用する、26.035+/−0.095℃の温度に維持された100ml容量の液体の反復可能な送達を示す。このような組み合わせは、フォトレジストのように正確に流体の温度を維持するために使用され得る。
【0066】
(実施例9)
この実施例は、液体フローを測定および制御して、有機性液体の低体積流の送達および制御を可能にするキャピラリーシステムの使用を例示する。
【0067】
内径0.058インチおよび約14回転を有する40インチ長のPFAチュービングは、圧力低下構成要素として有用である。入り口流体(例えば、2−プロパノール)の温度は、約23℃であるべきであり、フロー制限構成要素の表面のサーミスタによって測定され得、図21に示されるような電子機器システムの温度センサ入力モジュールへ温度が入力される。2−プロパノールは、窒素またはアルゴンガスで約20ポンド/平方インチゲージで加圧された容器中にある。2−プロパノールフロー速度は、コントローラ設定点によって調節される。設定点は、図21に示されるように、電子システムのRS485または補助アナログ入力モジュールを介して、外部ツールコントローラによってマイクロプロセッサに入力され得る。その結果は、約0.008g/秒(0.16g/分)〜約0.5g/秒(9.6g/分)の範囲のフロー速度で液体を送達し得るフローシステムである。このようなフローシステムは、化学的蒸着プロセスに適したフロー速度で液体を制御し得る。
【0068】
(実施例10)
この実施例は、上流供給圧における変化の間に一定容量の分配を維持するベンチュリシステムでアルゴリズムを使用することを例示する。
【0069】
本発明のフローデバイスの実施形態は、同心ベンチュリ、Teflon(登録商標)、3/8インチFlaretek(登録商標)継手、フロー構成要素、2つのNPI−19シリーズ圧力センサ(Lucas Nova Sensor,Fremont,CAから)、および比例制御バルブEADステッパー電動機(改変親ねじを備えたモデルLIMGE−10X03)、ならびにステッパー電動機およびバルブホーミング位置を決定するためのSager電気式位置決めセンサモデルEE−SX77OPRを使用して組み立てた。このバルブ本体は、改変ポペットを備える、Parker、モデルPV−10製であった。この圧力センサおよびバルブは、電子ハードウェアに接続した。そのフローデバイス電子機器からのフロー速度および圧力出力を、グラフィカルユーザーインターフェースを使用して、IBM互換コンピューターに記録した。
【0070】
このベンチュリフロー構成要素の入り口を、加圧水源に接続した。水は、Micropump,Vancouver,WAのモデル405A液体ポンプおよび圧力スイッチにより圧力が供給されるバラストタンク中に含まれた。バラストタンク中の圧力は、20〜33ポンド/平方インチゲージの間でサイクルするようにした。そのフローデバイスからの液体分配質量は、Mettler Toledo PR8002 バランスで測定し、IBM PC互換コンピューターで記録した。
【0071】
このフローデバイスの分配時間は、約10秒オンおよび約20秒オフであった。合計分配容量100、150、および200mlに対して10、15、および20ml/秒のプログラムされたフロー速度を、バラストタンク中の圧力を、20〜33ポンド/平方インチの間で変化させながら、合計23回反復した。
【0072】
結果の一部を、図14に示す。この結果は、マイクロプロセッサへの温度および圧力センサ入力により制限フロー構成要素を通じて流体のフローを調節するための電子制御システムを示す。このマイクロプロセッサは、多くの流体の動粘性率と温度との間の保存された、表にされたかまたは関数的関係を保存およびこれにアクセスするための能力を有し、温度補正した圧力低下を計算するための能力を有する。この結果は、このフローデバイスおよび電子システムが液体変化の上流圧力として一定容量の液体を送達する能力をさらに例示する。このマイクロプロセッサにおいて、単位時間あたりに分配される流体の総容量は、計算され、加算され、設定点と比較される。分配時間に対する補正は、システムにおける圧力変化を調節し、分配容量およびフロー速度を維持する制御論理によって行われる。23回の分配についてバランスデータから決定されたこの分配容量は、0.4未満の分配%としての標準偏差を伴って、100.97、151.23、および201.50mlであった。
【0073】
(実施例11)
この実施例は、単一の標準的較正流体を使用して、複数の流体中で使用するためにフローデバイスを較正する本発明の実施形態でのアルゴリズムの使用を例示する。ベンチュリ流量計について、ここで展開される式は、任意の液体について容量フロー速度を計算するために使用される。図22は、ベンチュリにおける流体フローを、圧力低下、断面積、および流体粘度に関連させる理論の記載である。図22において「幾何的係数(geometric coefficient)」として、項
【0074】
【数1】
【0075】
が考慮されるのであれば、この項および吐出係数Cが、単一の合わせた較正係数(combined calibration coefficient)C’で置き換えられ得る。得られる等式は、形式Q=C’(2ΔP/ρ)nに帰納され得、ここでべき指数nは、約0.5であり、経験的に決定される。
【0076】
2つの圧力センサを備える流量計を採用し、圧力標準およびフロー標準を有する試験スタンド上に置く。流体フローを、少なくとも2つの流体についての圧力センサの差異の出力の関数として測定する。図15は、3つの流体:水、2−プロパノール、およびグリセリン 18%/2−プロパノール 82% w/wの混合物についてのこのような測定値の結果を示す。プレ指数係数(pre−exponential coefficient)およびべき指数を有するべき関数を使用して設定した各流体データをフィットさせる。
【0077】
C’=Q/(2ΔP/ρ)nであるので、「Q」 対 「2ΔP/ρ」をプロットして、図16に示されるようにC’の値を得、各流体についてのフロー速度と、流体密度と、圧力低下データとの間の数学的関係から較正係数およびべき指数を決定することができる。例えば、べき関数の数学的関係を使用する各流体についてのデータの最適は、プレ指数係数C’およびべき指数nを有する関数を与える。図16において、水のプレ指数因数C’は、4.0001であり、べき指数nは、0.5342である。
【0078】
図16における3つの曲線全ての検出力曲線フィット等式のべき指数nは約0.54であるが、このC’較正係数プレ指数因子は、各流体で異なる。これらの係数は、図17に示されるように各流体の動粘性率νに対してプロットされ、各流体に対する較正係数C’と動粘性率との間の数学的関係が決定される。例えば、最適直線は、図17に示されるように動粘性率の関数としてC’の値を生じる。
【0079】
係数C’の値を決定する能力により、調査されるフローおよび動粘性率範囲内の特定の
ベンチュリメーターを通じて流れる(ただしフローは乱れている)任意の流体のフロー速度を計算することが可能になる。
【0080】
好ましい実施形態において、このフローモデルは、C’係数および変動性の流体特性を組み込む新たな係数K’を規定することによって流体特性(nおよびρ)における温度依存性変化を補償するようにさらに改良され得る。その結果、このフロー等式は、Q=KΔPn(ここでK=C’(2/ρ)n)である。
【0081】
同心ベンチュリフローセンサについて、H2OおよびIPAについての「K」と温度との間の関係は、図18に示される。これらのデータは、数値データの国際定数表において入手可能である。これらのデータから、温度の関数としての各流体に対する較正係数「K」と動粘性率との間の数学的関係が決定される。例えば、このデータに対する本発明に好ましい最適多項式は、IPAおよび水について、図18に示されるように、温度の関数としてKを与える。
【0082】
モデルを確認するために、フロー速度 対 圧力低下データを、計算されたフロー速度に対して比較し得る。これは、K、ならびに水について24.0℃およびIPAについて23.6℃の温度を使用して、水およびIPAについて図19に示される。グリセリン/IPAについての結果は、C’にのみ基づいて計算される(温度補正なし)。
【0083】
特定のベンチュリメーター設計に対する十分な較正データがある場合、すなわち、その設計が十分に特徴付けられている場合、フロー等式「Q=C’(2ΔP/ρ)n」のべき指数nが一定であり、係数等式「C’=b−mν」の傾き「m」もまた一定である場合、既知の温度の単一の流体を使用して、単一のフロー速度を有するその設計の他のベンチュリメーターを較正することは可能であるはずである。一旦流量計が較正されると、そのデバイスは、他の流体において使用され得る。温度の関数としてのこの他の流体の動粘性率および密度は、電子回路のメモリまたはマイクロプロセッサに入力されている。
【0084】
ベンチュリメーター寸法における変化に適応するために、製造公差に起因して、係数等式における単に未知の「b」の値が、関係b=C’+mνから決定され得る;なぜなら、傾き「m」の値は、既知であり、C’=Q/(2ΔP/ρ)n(QおよびΔPは、フロー速度 対 圧力低下データ点からであり、動粘性率νおよび密度ρは、それぞれ、較正流体の動粘性率および密度である)、よってb=Q/(2ΔP/ρ)n+mνであるからである。
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許第6,348,098号および米国仮特許出願第60/097,053号(2002年7月19日出願、標題「Liquid Flow Controller and Precision Dispense Apparatus and System」)に関連し、米国仮特許出願第60/397,162号(2002年7月19日出願、標題「Fluid Flow Measuring And Proportional Fluid Flow Control Device」、その開示は、本明細書中に参考として援用される)の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
本発明は、フロー測定の分野に関し、詳細には、半導体製造において代表的には使用されるもののような攻撃的な(aggressive)超純粋化合物のフローの感知の分野に関する。本発明は、フロー制限によって引き起こされる圧力差に基づいて、流体フロー速度の決定を可能にする。この圧力シグナルは、DSPベースの電気回路によって処理され、マイクロプロセッサによって定量され、PCベースのグラフィックユーザーインターフェースまたは他のディスプレイを介してエンドユーザーに連絡される。圧力差センサは、フロー制限の寸法および圧力センサ空隙が原因で非常に正確であり、大きな圧力差を生成するために、制限領域における圧力測定を可能にする。この最大化された圧力差は、最終的なフロー速度測定の感度および正確性を増す。また、これらの臨界領域(critical region)の寸法は、その測定、既存の設計に対するさらなる増強および攻撃的な高純度流体を比較的低いフロー速度で測定する場合の実質的な利点に起因して、圧力損失全体を減少させる。
【0003】
半導体の製造の間に、多くの異なる流体が、正確にかつ的確に分配されなければならず、処理される基剤の上に堆積されなければならない(例えば、いくつか挙げると、脱イオン水、フォトレジスト、誘電体、ポリイミド、顕色剤(developer)および化学機械的研磨(CMP)スラリーに対する回転)。例えば、このような適用のための従来の装置において、処理されるべきウェハは、適切なノズルの下に配置され、次いで、これに、所定の量の液体またはスラリーが分配されて、そのウェハをコーティングまたは処理する。この所定の量は、ポンプサイクル、チュービング直径および流体閉じこめ環境の他の特徴に対して前提とされるが(premised)、ウェハ上に堆積された流体の絶対量または質量に対しては前提とされない。代表的には、そのウェハは、次いで、堆積した液体をウェハの表面全体に対して一様に分配するために回転される。分配される液体の分配速度および量は、このプロセスにおいて重要であることが容易に明らかである。
【0004】
流体フローがノズルを介して(例えば、ウェハ処理の間に)停止される場合、その可能性は、ノズルからの流体の液滴が形成され、ノズルの下に配置されたウェハ上に落ちるために存在する。このことは、ウェハ上に形成されているパターンを破壊し得、ウェハが破棄されるかまたは再処理されることを要する。ノズル上の有害な液滴の形成を裂けるために、外部に吸引戻り(suckback)するか、または停止/吸引戻りバルブは、一般的に使用される。後者のこのようなバルブは、代表的には、二重の空気式制御バルブ対であり、一方のバルブは、流体をノズルに流れないように止め、他方は、ノズルの分配端部または出口ポートから液体を戻して引っ込める。このことは、液滴形成およびポートの滴りの防止を補助するだけでなく、液体の露出表面の乾燥(これは、ノズルの詰まりをもたらし得る)を防止し、出口での流体汚染もまた減少させる。
【0005】
より大きなウェハ(例えば、直径300mm以上)のコーティングはまた、乱流の問題が生じるので、問題である。ウェハの回転速度は、コーティング流体を、その流体が適用されるウェハの中心から、半径方向に外側に、ウェハの縁部まで拡げるために、従来から使用されている。しかし、このアプローチは、ウェハの上に乱気流を発生させ、不均一かつ一様でないコーティングを生じ得る。より大きなウェハで回転速度を下げると、ウェハの表面での乱流は減少するが、新たな問題が導入され得る。速度を減少すると、流体は、ウェハにわたってよりゆっくりと動き、従って、流体を作動可能な状態にし始めるか、または乾燥が問題になる前に、流体がウェハ縁部まで拡がる。
【0006】
ポンプは、半導体製造操作において液体を分配するために従来から使用されてきた。しかし、このような適用に適したポンプは高価であり、かつ過剰な摩耗に起因して頻繁な交換を要する。
【0007】
従って、前述の欠点なく、流体の正確な、再現可能な分配を生じるバルブシステムを提供することは望ましい。このようなバルブシステムは、流体温度または上流の流体圧力の影響における変化によって影響を受けるべきではない。さらに、本発明は、任意の流体制御デバイスに対するより広い適用、特に、流体フローの正確な制御が所望されるかまたは必要とされる流体制御デバイスを有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
先行技術の問題は、流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスを提供する本発明によって克服された。このデバイスは、フロー制限構成要素において測定された圧力損失に応じて比例バルブを使用して、流体フローを制御する。圧力は、制限フロー構成要素の入り口またはその付近で、および出口またはその付近で感知され、その間で得られた圧力低下は、制御される流体のフロー速度に変換される。その圧力低下は、間断なくまたは連続的にモニターされ得、1以上のバルブは、所望のフロー速度を得るために調節される。その制御システムは、広い範囲の粘性を有する流体に対する適用可能性を有し、このような流体を、操作者の最小の関与により正確にかつ反復可能に分配することが可能である。この制御システムは、リアルタイムのプロセスの変化に素早く応じて、費用効果的かつ柔軟な様式で、正確かつ反復可能な性能を提供する。好ましい実施形態において、圧力低下構成要素の設計は、制限構成要素に起因する圧力損失の大部分の回復を可能にする。
【0009】
本発明の別の実施形態は、以下を備え得る:流体入り口および流体出口を有する比例フローバルブ;上記比例フローバルブを調節するための、上記比例フローバルブ用のアクチュエータ;制限フロー構成要素流体入り口および上記比例フローバルブの流体入り口と流体連絡状態にある制限フロー構成要素流体出口を有する制限フロー構成要素であって、該制限フロー構成要素は、制限フロー構成要素流体入り口と制限フロー構成要素流体出口との間に圧力低下を生成する、制限フロー構成要素;上流圧力センサ;下流圧力センサ;ならびに上記上流圧力センサおよび上記下流圧力センサと流体連絡状態にあるコントローラ。このコントローラは、1以上のプロセッサ;1以上のコンピューター読み取り可能なメモリ;および上記1以上のコンピューター読み取り可能なメモリ上に保存され、かつ上記1以上のプロセッサによって実行可能なコンピューター読み取り可能な指示のセットをさらに含み得る。上記コンピューター読み取り可能な指示のセットは、上流圧力シグナルを受容し;下流圧力シグナルを受容し;そして上記上流圧力シグナルおよび上記下流圧力シグナルに基づいて、流体フロー速度を計算することを実行可能な指示を含み得る。
【0010】
本発明のなお別の実施形態は、1以上のコンピューター読み取り可能なメモリ上に保存され、かつ上記1以上のプロセッサによって実行可能なコンピューター読み取り可能な指示のセットを含むデバイスを包含し得る。コンピューター読み取り可能な指示の上記セットは、流体フローを計算し、そしてファジー論理に基づいて、バルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な指示を含む。
【0011】
本発明のなお別の実施形態は、1以上の読み取り可能なメモリ上に保存され、かつ上記1以上のプロセッサによって実行可能なコンピューター読み取り可能な指示のセットをさらに含むデバイスを含み得る。このコンピューター読み取り可能な指示のセットは、流体フロー速度を計算し、ファジー論理に基づいてバルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な指示を含む。このバルブ出力における変化全体は、誤差を、メンバーシップ関数の第1のセットに対して比較して、ファジー入力の第1のセットを生成すること;フロー速度における変化を、メンバーシップ関数の第2のセットに対して比較して、ファジー入力の第2のセットを生成し、ここで上記ファジー入力の第1のセットおよび上記ファジー入力の第2のセットからの各ファジー入力は、真の入力程度と関連づけられる、こと;規則のセットを、上記ファジー入力の第1のセットおよび上記ファジー入力の第2のセットに適用して、ファジー出力のセットを生成し、ここで各ファジー出力は、真の出力程度と関連づけられる、こと;各ファジー出力とバルブ出力値における別個の変化とを関連づけること;ならびに上記ファジー出力のうちの1以上の真の出力程度および上記1以上のファジー出力の各々と関連づけられたバルブ出力値における別個の変化に基づいて、バルブ出力の変化全体を計算すること、によって計算され得る。
【0012】
本発明の実施形態は、より大きな安定性を提供し得るので、先行技術のPIDコントローラを超える利点を提供する。
【0013】
本発明の実施形態は、先行技術のPIDコントローラを超える利点を提供する。なぜなら、ファジー論理が操作環境における変化を説明するようにプログラムされ得るので、より優れた操作条件で使用され得るからである。
(項目1)
流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスであって、該デバイスは、以下:
流体入り口および流体出口を有する比例フローバルブ;
該比例フローバルブを調節するための、該比例フローバルブ用のアクチュエータ;
制限フロー構成要素流体入り口および該比例フローバルブの該流体入り口と流体連絡状態にある制限フロー構成要素流体出口を有する制限フロー構成要素であって、該制限フロー構成要素は、該制限フロー構成要素流体入り口と該制限フロー構成要素流体出口との間の圧力低下を生成する、制限フロー構成要素;
該圧力低下を測定するための手段;
該圧力低下に基づいてフロー速度を計算するための手段;および
該圧力低下測定手段と連絡状態にあり、かつ該測定された圧力低下に応じて、該比例フローバルブを通る流体のフローを制御するための該アクチュエータと流体連絡状態にある、コントローラ、
を備える、デバイス。
(項目2)
項目1に記載の流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスであって、該制限フロー構成要素は、無給電圧力低下を生成する、デバイス。
(項目3)
項目1に記載の流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスであって、前記制限フロー構成要素は、ベンチュリを備える、デバイス。
(項目4)
項目1に記載の流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスであって、前記流体の温度を感知するための手段をさらに備え、ここで前記コントローラは、該感知された温度に応じて該計算されたフロー速度を修正する、デバイス。
(項目5)
項目3に記載の流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスであって、前記圧力低下を測定するための手段は、前記ベンチュリの上流の前記流体の圧力を感知するための第1の圧力変換器、および該ベンチュリの最も制限的な部分における該流体の圧力を感知するための第2の圧力変換器を備える、デバイス。
(項目6)
ディスペンサーから使用点への流体の分配を制御する方法であって、該方法は、以下の工程:
流体入り口および流体出口を有する比例流体フローバルブを提供する工程;
該流体入り口と流体連絡状態にある制限フロー構成要素を提供する工程であって、該制限フロー構成要素は、圧力低下を生成する、工程;
該制限フロー構成要素にわたる該圧力低下を感知する工程;および
該感知された圧力低下に応じて、該比例流体フローバルブを調節する工程、
を包含する、方法。
(項目7)
項目6に記載の方法であって、前記比例流体フローバルブを調節するために、アクチュエータが設けられている、方法。
(項目8)
項目6に記載の方法であって、前記アクチュエータを制御するために、前記測定された圧力低下に応答するコントローラを提供する工程をさらに包含する、方法。
(項目9)
項目6に記載の方法であって、前記比例流体フローバルブを調節するためのファジー論理規則をさらに包含する、方法。
(項目10)
項目1に記載の流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスであって、前記アクチュエータバルブ上に位置センサをさらに備える、デバイス。
(項目11)
項目1に記載の流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスであって、前記制限フロー構成要素は、前記測定された圧力低下の少なくとも10%を回復させる、デバイス。
(項目12)
項目1に記載の流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスであって、前記コントローラは、ファジー論理規則を使用する、デバイス。
(項目13)
項目1に記載の流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスであって、前記コントローラは、保存された流体特性データを使用して、流体フローを測定および制御する、デバイス。
(項目14)
単一の標準的較正流体を使用して流体フローデバイスを較正する方法であって、該方法は、以下の工程:
第1の圧力センサおよび第2の圧力センサを有する流量計を提供する工程;
該流量計を通る第1の流体の流体フローを、該第1の圧力センサによって感知される圧力と第2の圧力センサによって感知される圧力との間の第1の圧力差を計算することによって、測定する工程;
該流量計を通る第2の流体の流体フローを、該第1の圧力センサによって感知される圧力と該第2の圧力センサによって感知される圧力との間の第2の圧力差を計算することによって、測定する工程;
該第1のフロー速度と、該流体密度と、該第1の流体と該第2の流体の該計算された圧力差との間の関係に基づいて、較正係数を決定する工程;
該較正係数と該流体の各々の動粘性率との間の関係を決定する工程;および
該関係を保存する工程、
を包含する、方法。
(項目15)
項目14に記載の方法であって、前記保存された関係を、第3の流体の測定された圧力差に対して比較する工程、および該比較に基づいて該第3の流体のフロー速度を決定する工程をさらに包含する、方法。
(項目16)
項目14に記載の方法であって、温度変動について、前記関係を相関させる工程をさらに包含する、方法。
(項目17)
デバイスであって、以下:
流体入り口および流体出口を有する比例フローバルブ;
該比例フローバルブを調節するための該比例フローバルブ用のアクチュエータ;
制限フロー構成要素流体入り口および該比例フローバルブの該流体入り口と流体連絡状態にある制限フロー構成要素流体出口を有する制限フロー構成要素であって、該制限フロー構成要素は、該制限フロー構成要素流体入り口と該制限フロー構成要素流体出口との間の圧力低下を生成する、制限フロー構成要素;
上流圧力センサ;
下流圧力センサ;
該上流圧力センサおよび該下流圧力センサと連絡状態にあるコントローラであって、該コントローラは、さらに以下:
1以上のプロセッサ;
1以上のコンピューター読み取り可能なメモリ、
を備え、
該1以上のコンピューター読み取り可能なメモリ上に保存されたコンピューター読み取り可能で、かつ該1以上のプロセッサによって実行可能な指示のセットであって、該コンピューター読み取り可能な指示のセットは、以下:
上流圧力シグナルを受容し;
下流圧力シグナルを受容し;そして
該上流圧力シグナルおよび該下流圧力シグナルに基づいて、流体フロー速度を計算することを実行可能な指示を含む、指示のセットを含む、
デバイス。
(項目18)
項目17に記載のデバイスであって、前記コントローラは、前記アクチュエータと流体連絡状態にあり、コンピューター読み取り可能な指示の前記セットは、バルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な指示をさらに含む、デバイス。
(項目19)
項目17に記載のデバイスであって、前記コントローラは、前記バルブ出力の変化に基づいて、バルブ制御シグナルを生成することがさらに実行可能である、デバイス。
(項目20)
項目19に記載のデバイスであって、前記コントローラは、前記バルブ制御シグナルに基づいて、バルブ駆動シグナルを生成し、前記バルブ駆動シグナルを前記アクチュエータに連絡するように作動する、バルブドライバをさらに備える、デバイス。
(項目21)
項目18に記載のデバイスであって、バルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な前記指示は、フロー速度と関連づけられた変数を、メンバーシップ関数の第1のセットに対して比較して、ファジー入力の第1のセットを生成し;フロー速度における変化と関連づけられた変数を、メンバーシップ関数の第2のセットに対して比較して、ファジー入力の第2のセットを生成することを実行可能な指示をさらに含み;ここで該ファジー入力の第1のセットおよび該ファジー入力の第2のセットからの各ファジー入力は、真の入力程度と関連づけられる、デバイス。
(項目22)
項目21に記載のデバイスであって、バルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な前記指示は、前記ファジー入力の第1のセットおよび前記ファジー入力の第2のセットに規則のセットを適用して、ファジー出力のセットを生成することを実行可能な指示をさらに含み、ここで各ファジー出力は、真の出力程度と関連づけられる、デバイス。
(項目23)
項目22に記載のデバイスであって、バルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な指示は、各ファジー出力とバルブ出力値における別個の変化とを関連づけ;ファジー出力のうちの1以上の真の出力程度および該1以上のファジー出力の各々と関連づけられたバルブ出力値における別個の変化に基づいて、バルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な指示をさらに含む、デバイス。
(項目24)
1以上のコンピューター読み取り可能なメモリ上に保存され、前記1以上のプロセッサによって実行可能なコンピューター読み取り可能な指示のセットを備えるデバイスであって、コンピューター読み取り可能な指示の該セットは、以下:
流体フロー速度を計算し;そして
ファジー論理に基づいて、バルブ出力における変化全体を計算する、
ことを実行可能な指示を含む、
デバイス。
(項目25)
項目24に記載のデバイスであって、バルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な前記指示は、フロー速度と関連づけられた変数を、メンバーシップ関数の第1のセットに対して比較して、ファジー入力の第1のセットを生成し;フロー速度における変化と関連づけられた変数を、メンバーシップ関数の第2のセットに対して比較して、ファジー入力の第2のセットを生成することを実行可能な指示をさらに含み;ここで該ファジー入力の第1のセットおよび該ファジー入力の第2のセットからの各ファジー入力は、真の入力程度と関連づけられる、デバイス。
(項目26)
項目25に記載のデバイスであって、バルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な前記指示は、規則のセットを、前記ファジー入力の第1のセットおよび前記ファジー入力の第2のセットに適用して、ファジー出力のセットを生成することを実行可能な指示をさらに含み、ここで各ファジー出力は、真の出力程度と関連づけられる、デバイス。
(項目27)
項目25に記載のデバイスであって、バルブ出力における変化全体を計算することを実行可能な前記指示は、各ファジー出力を、バルブ出力値における別個の変化と関連づけ;ファジー出力のうちの1以上の真の出力程度および該1以上のファジー出力の各々と関連づけられたバルブ出力値における別個の変化に基づいて、バルブ出力の変化全体を計算することを実行可能な指示をさらに含む、デバイス。
(項目28)
1以上のコンピューター読み取り可能なメモリ上に保存され、前記1以上のプロセッサによって実行可能なコンピューター読み取り可能な指示のセットを含むデバイスであって、該コンピューター読み取り可能な指示のセットは、以下:
流体フロー速度を計算し;そして
以下:
誤差を、メンバーシップ関数の第1のセットに対して比較して、ファジー入力の第1のセットを生成すること;
フロー速度における変化を、メンバーシップ関数の第2のセットに対して比較して、ファジー入力の第2のセットを生成し、ここで該ファジー入力の第1のセットおよび該ファジー入力の第2のセットからの各ファジー入力は、真の入力程度と関連づけられる、こと;
規則のセットを、該ファジー入力の第1のセットおよび該ファジー入力の第2のセットに適用して、ファジー出力のセットを生成し、ここで各ファジー出力は、真の出力程度と関連づけられる、こと;
各ファジー出力とバルブ出力値における別個の変化とを関連づけること;ならびに
該ファジー出力のうちの1以上の真の出力程度および該1以上のファジー出力の各々と関連づけられたバルブ出力値における別個の変化に基づいて、バルブ出力の変化全体を計算すること、
によって、ファジー論理に基づいて、バルブ出力における変化全体を計算する、
ことを実行可能な指示を含む、
デバイス。
(項目29)
項目28に記載のデバイスであって、前記コンピューター指示のセットは、真の特定の出力程度と関連づけられたファジー出力を低下させることを実行可能な指示をさらに含む、デバイス。
(項目30)
項目28に記載のデバイスであって、前記コンピューター指示のセットは、前記真の出力程度を、前記真の入力程度に基づかせることを実行可能な指示をさらに含む、デバイス。
(項目31)
項目28に記載のデバイスであって、特定のファジー出力についての真の出力程度は、ファジー入力の特定のセットについての真の最低の入力程度に等しく、該ファジー入力の特定のセットに対して、該特定のファジー出力が基づく、デバイス。
(項目32)
項目28に記載のデバイスであって、前記コンピューター読み取り可能な指示のセットは、前記計算されたバルブ出力における変化全体に基づいて、バルブ制御シグナルを生成するこのを実行可能な指示をさらに含む、デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従う、制限フロー構成要素および比例バルブを備えるハウジングの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に従う、同心円ベンチュリの概略図である。
【図3】図3は、図1の同心円ベンチュリの断面図である。
【図4】図4は、本発明の別の実施形態に従う、偏心平型チャネルベンチュリの概略図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に従う、比例バルブの分解組立図である。
【図6】図6は、図5のバルブの斜視図である。
【図7】図7は、図5のバルブの改変型ポペットの断面図である。
【図7A】図7Aは、図7のポペットの一部の断面拡大図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施形態に従う、改変型ポペットの側面図である。
【図9】図9は、本発明のなお別の実施形態に従う改変ポペットの側面図である。
【図10】図10は、本発明のなお別の実施形態に従う改変型ポペットの側面図である。
【図11】図11は、熱交換チューブの入り口および出口の水温、ならびに実施例7に従って測定されたフロー速度のグラフである。
【図12】図12は、熱交換チューブの入り口および出口の水温ならびに実施例8に従って測定されたフロー速度のグラフである。
【図13】図13は、フロー制限構成要素、比例バルブ、および電子システムを例示する、本発明の実施形態の写真である。
【図14】図14は、実施例10に従う、フロー速度 対 時間のグラフである。
【図15】図15は、実施例11に従う、フロー速度 対 圧力低下のグラフである。
【図16】図16は、実施例11に従う、フロー速度 対 2ΔP/ρのグラフである。
【図17】図17は、実施例11に従う、係数C’ 対 動粘性率のグラフである。
【図18】図18は、実施例11に従う、「K」 対 温度のグラフである。
【図19】図19は、実施例11に従う、フロー速度 対 圧力低下のグラフである。
【図20】図20は、本発明に従う制御システムのフローチャートである。
【図21】図21は、本発明に従う電子システムのシグナル処理セクションおよび制御セクションのブロック図である。
【図22】図22は、ベンチュリにおける流体フローを、圧力低下、断面積、および流体特性に関連させる理論の記載である。
【図23】図23Aおよび23Bは、バルブ出力における変化全体を計算する際に使用され得るメンバーシップ関数の実施形態を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
初めに図1に注意を向けると、本発明の好ましい実施形態に従ってハウジング5中の組み立てられた流体フロー測定および比例流体フロー制御デバイスが示される。流体制御デバイス(例えば、ステッパー電動機で作動される比例バルブ10)は、使用点(例えば、ウェハであり得る基材(示さず))まで流体を最終的に分配するための流体入り口ライン12および流体出口ライン13を有することが示される。制限フロー構成要素15は、流体入り口ライン12と流体連絡状態にある。好ましくは、制限フロー構成要素15は、より詳細に以下に議論されるように、ベンチュリである。第1の圧力センサ24(例えば、圧力変換器)は、第1の圧力を感知するために、制限フロー構成要素15の入り口またはその付近に配置され、第2の圧力センサ25(例えば、圧力変換器)は、第2の圧力を感知するために、制限フロー構成要素15の出口またはその付近に配置される。あるいは、単一の圧力差感知デバイスが使用され得る。流体と接触する圧力センサの一部は、好ましくは、サファイヤのような(この適用において使用される流体に関して)不活性物質から作製される。2つの流体の圧力が、流体流れから測定される;第1は、フローセンサ中で誘導された圧力低下の直前の、ライン中の流体圧力の測定値であり、第2の圧力測定値は、その誘導された圧力低下の点で取られる。好ましい実施形態において、その圧力低下は、流体ラインにおける減少した断面によって誘導される。この急激に減少した断面は、流体速度をこのセクションにおいて増大させ、それによって、流体圧力を低下させる。この減少した断面の入り口および出口は、その誘導された圧力低下の無給電圧力損失を回復するように注意深く設計され、その圧力低下の大部分は、流体ラインが拡張され、流体速度が回復するにつれて、回復される。この設計は、第2の圧力測定値が、デバイスののどにおける狭窄部で直ぐに取られる限り、一般に、ベンチュリ式といわれる。このことは、最大圧力差シグナルを生成することを可能にする。このシステムの他の実施形態は、計量オリフィス、キャピラリ、一連の平行キャピラリ、または多孔性媒体の使用を介して、圧力低下を引き起こし得る。このような制限フロー構成要素は、流体に対して化学的に不活性であるべきであり、Teflon(登録商標)、PFA、MFA、FEP、PVDF、および超高分子量ポリエチレンから作製され得る。本実施形態における圧力センサは、サファイヤダイヤフラム、薄膜ピエゾ抵抗性圧力センサ(Tenzor LLC(Basking Ridge,New Jersey)から入手可能)およびSSTダイヤフラム圧力センサ(半導体チップの製造において使用される流体との化学適合性を確実にするために保護バリアを備える、p/n NPI−19A−701GHとしてLucas Novasensor(Fremont,CA)から入手可能)が挙げられる。他の実施形態は、保護バリアまたは多くの形態の圧力差センサを備える、セラミックまたはケイ素の薄膜フィルムのピエゾ抵抗性圧力センサを使用し得る。比例バルブアクチュエータ17は、バルブ10を作動する。電子基板16は、示されるように、ハウジング5の中に取り付けられる。
【0016】
図2および3は、本発明に従う制限フロー構成要素15の一実施形態を例示する。この構成要素15は、入り口111から間隔を空けて、流体入り口111および流体出口112を有する。この流体入り口111は、実質的に一定の断面の第1の入り口セクション111Aと連絡状態にある。第1の入り口セクション111Aは、示されるように、より小さな断面へとテーパー付けされている第1の先細セクション111Bにて終わる。第1の先細セクション111Bは、なおより小さな断面の第2の先細セクション111Cと流体連絡状態にある。次いで、この第2の先細セクション111Cは、ベンチュリののど114と流体連絡状態にある。第1のさ末広セクション115は、のどセクション114から、流体出口セクション122(これは、実質的に一定の断面であり、出口112と連絡している)に向かって拡大するようにテーパー付けされる。第1の圧力センサ24を収容する第1の圧力センサ空隙117(図3)は、第1の圧力センサタップ119(ベンチュリ狭窄部の上流で第1の入り口セクション111Aと連絡している)と流体連絡状態にある。第2の圧力センサ25を収容する第2の圧力センサ空隙120(図3)は、第2の圧力センサタップ121(狭窄部の下流でのどセクション114と連絡している)と流体連絡状態にある。圧力タップは、0.09〜1インチの範囲であり得る長さを有し、0.01〜0.5インチの範囲の直径を有する。各圧力センサは、保持装置126によってそのそれぞれの空隙に保持され、Oリング127でシールされる。好ましくは、小さい方の断面114の直径は、大きい方の直径111Aの0.7以下である。
【0017】
図4は、制限フロー構成要素15の代替的実施形態を例示し、ここでこの構成要素は、偏心平型チャネルベンチュリである。流体入り口111’は、先細入り口セクション111A’と流体連絡状態にあり、この先細入り口セクション111A’は、テーパー付けされた壁に起因して、先細入り口セクション111B’へと急激に狭くなる。この先細入り口セクション111B’は、ベンチュリのど114’と流体連絡状態にあり、このベンチュリののどは、次いで、末広出口セクション115’において外側に拡がり、最終的には、流体出口112’に達する。第1の圧力センサ(示さず)を収容する第1の圧力センサ空隙117’は、第1の圧力センサタップ119’(ベンチュリ狭窄部の上流で、先細入り口セクション111A’と流体連絡している)と流体連絡している。第2の圧力センサ(示さず)を収容する第2の圧力センサ空隙120’は、第2の圧力センサタップ121’(狭窄部の下流で、のどセクション114’と連絡している)と流体連絡状態にある。各圧力センサは、保持装置によってそのそれぞれの空隙に保持され、Oリングでシールされる。
【0018】
流体は、流体入り口12を通じてデバイスに入る。流体は、流体入り口12からフロー制限構成要素15へと通過し、ここで流体プロフィールを調節する第1のセクションを通って通過する。フロー制限のこのセクションにおける流体の圧力は、第1のセクションを備える圧力タップ119を通して流体連絡状態にある第1の圧力センサ24によって測定される。図2および3の実施形態において、その流体は、第1の先細セクション111Bに入り、次いで、流体速度を増大させ、流体の圧力を低下させる第2の先細セクション111Cに入る。流体は、デバイスののど114に入り、ここで流体の圧力は、第2の圧力タップ121によって、のど114中の流体と流体連絡状態にある第2の圧力センサ25によって測定される。流体は、フロー構成要素ののどセクションを、第1の末広セクション115を通って出る。フロー構成要素セクションの第1の末広セクション115は、流体出口12に接続される。
【0019】
フロー制限構成要素15の出口からの流体は、その入り口で比例バルブに入る。図5を参照すると、適切な比例バルブ10は、入り口300、バルブポペット302、バルブシート、および流体出口305を備える流体フローについての経路を有することが示される。このバルブポペット302は、一端でダイヤフラム304中の凹部と接触しており、ダイヤフラム304Aおよびバネ305は、多端で基部308に据え付けられている。これは、通常閉じたバルブである。ポペット302は、バルブシートを過ぎた流体のフローを制限する。センサ307は、センサスペーサー306上に配置されて、ステッパー電動機311の親ねじ310の「ホーミング」位置を決定する。流体経路中の流体のフロー速度を調節するために、ステッパー電動機311は、回転し、親ねじ310を駆動する。親ねじ310の動きは、ダイヤフラム304および304aを変位させ、ポペット302を、バルブシートのシールされた位置から動かし、流体のフローがバルブシートおよびポペット302を通過することを可能にする。ステッパー電動機が、その回転方向を逆にすると、親ねじは、ダイヤフラムから引っ込んで、戻りバネ308は、ダイヤフラム304および304aを変位させ、ポペットを動かして、流体経路における流体のフローを制限する。この実施形態におけるバルブ作動機構は、ステッパーモーターであるが、リニアモーターまたは他の機械式アクチュエータ、空気式アクチュエータ、ボイスコイル、または他の力によるアクチュエータでもあり得る。作動する機構は、電子機器と連絡状態にあり、この電子機器は、フロー速度設定点および実際のフロー速度に応じてアクチュエータに送られるコマンドを変化させる。バルブの代替的実施形態において、ステッパーは、バルブの閉鎖を確実にし、そのバルブは、通常は、開いており、バネは、ステッパーとは反対に作用する。
【0020】
種々のポペット設計は、望ましい応答、線形性およびシール面積に依存して使用され得る。例えば、図7は、円錐302Aが複数の角度を有する(図7Aに示されるように、7.5°および16°)ように、改変された標準的なParker/Partekポペット302を示す。その複数の角度は、フロー応答を、ポペット位置に関してより線形的にし、従って、より制御しやすくする。
【0021】
図8は、シール領域付近の角で振動を減少させるようにされたシール領域およびチャンバ303において減少した直径(図7のポペット302に対して)を有するポペット302’を示す。図9は、複数の角度を備える改変ポペット302”を示し、低いフロー適用のためのより大きなバレルの直径もまた有する。図10は、(複数の角度がない)一定の円錐角度であるが、より大きなバレル直径を有するポペット302”’を示す。ダイヤフラム/ポペット設計を利用する大部分の既存のオン/オフ高純度バルブは、このようなポペット改変、および最終的な新たなアセンブリを適切なアクチュエータとともに組み込むこと、アクチュエータ/バルブアセンブリをフロー制御システムをフローセンサとともにはめ込むこと、計算および制御論理、ならびにアクチュエータ/バルブアセンブリによって釣り合いが取られる。
【0022】
図1を再び参照すると、アクチュエータ17は、バルブ10に接続される。各圧力センサ24、25(または単一の圧力差感知デバイス)は、コンピュータープロセッサまたはコントローラ(例えば、比例積分微分(PID)フィードバック要素またはファジー論理制御を有するコントローラ)と連絡状態にある。ファジー論理制御は、ファジー化、規則評価、および脱ファジー化(defuzzification)といわれる3つの工程を包含する。ファジー化は、アナログ入力変数(例えば、フロー速度誤差および時間に関するフロー速度の微分)を、論理値の小さなセットが真である角度に量化するというプロセスである。規則評価は、ファジー入力変数を取り出し、規則または条件のセットに基づいて、ファジー出力のセットを生成することを包含する。脱ファジー化は、生のファジー出力を組み合わせて、1つの複合システム出力にするというプロセスである。ファジー論理制御の一システムおよび方法は、以下で図20とともに議論される。このような出力は、バルブまたはヒーターを制御するために使用され得る。各センサ24、25は、そのそれぞれの流体ラインにおいて圧力をサンプリングすると、その各センサは、そのサンプリングされたデータを、コントローラに送る。そのコントローラは値を比較し、以下でより詳細に議論されるように、制限フロー構成要素15にわたる圧力低下を計算する。その圧力低下に基づくコントローラからのシグナルは、アクチュエータ17に送られ、このアクチュエータは、流体制御バルブ10を応じて調節する。温度および動粘性率の修正が行われ得る。
【0023】
コントローラは、2つの別個の圧力シグナルの圧力差および流体の温度に基づいてフロー速度を計算し得、その測定されたフロー速度を先に入力された設定点フロー速度に対して比較し得、比例バルブを調節して、フロー速度設定点を達成し得る。このコントローラはまた、流体フロー制御デバイスを通って、サイクルの始めから流れる総容積を出し得、分配される総容積がエンドユーザーによって入力される容積設定点に等しい場合に、バルブをシールする。別の実施形態において、フロー速度設定点は、(総容積設定点の代わりに)時間値設定点と同様に入力される。ループは、分配の開始が入力された設定点と等しいので、測定される時間まで動かされ得、そのバルブは、サイクルが完了するように完全に閉じられる。
【0024】
液体適合性比例バルブ10は、流体流れのフロー速度調節を提供する。このアセンブリは、2つの主要構成要素からなる:バルブ10およびアクチュエータ17。好ましい実施形態において、バルブ10は、ダイヤフラムおよびポペット式デバイスであり、このデバイスは、バルブにより引き起こされる圧力低下を最小にすると同時に、フロー速度を効率的に制御する。このバルブダイヤフラムは、ポペットの取り付けおよび移動を可能にし、このポペットは、オリフィスにおけるその位置によってフロー速度を調節する。標準的Parker/Partek(Tucson,AZ)PV−10バルブのポペットは、図7〜10を参照して上記で議論されているように、広いフロー範囲を通じてフロー速度の良好な比例を提供するように改変されている。別の実施形態において、さらなるポペット改変がない、標準的なSt.Gobain Performance Plastics(Garden Grove,CA)HPMが使用され得る。アクチュエータは、ダイヤフラム、従ってポペットの機械的移動を提供する。バルブ本体から分離されると、そのアクチュエータは、好ましい実施形態において、EAD(Dover,NH),p/nL1MGE−10X03からのステッパー電動機であり、ダイヤフラム/ポペットアセンブリのより正確な移動を提供するように、初期工程でまたはマイクロステッピングにより操作され得る。他の適切なアクチュエータは、リニアモーター、ボイスコイル、および空気式スタイルを備える。
【0025】
図21は、液体のフロー速度を計算し得るコントローラの一実施形態を例示する。図21の実施形態において、そのコントローラは、中心プロセシングユニット2100およびデジタルシグナルプロセッサ2102を含み得る。中心プロセシングユニット2100およびデジタルシグナルプロセッサ2102の各々は、コンピューター読み取り可能なメモリ(例えば、RAM、ROM、EPROM、Flash、外部磁性保存デバイスまたは当該分野で公知の他のコンピューター読み取り可能メモリ)を含むかまたはこれにアクセスし得る。図21の例において、中心プロセシングユニット2100は、オンボードFLASHメモリ2104にアクセスし得、デジタルシグナルプロセッサ2102は、オンボードFLASH2106にアクセスし得る。Flashメモリ2104およびFlashメモリ2106の各々は、それぞれのプロセッサによって実行可能である、コンピューター読み取り可能な指示2108および2110のセットを保存し得る。デジタルシグナルプロセッサ2102および中心プロセシングユニット2100は、標準的なまたは特注のインターフェースコントロール2111を介して連絡し得る。
【0026】
このコントローラはまた、温度センサからの温度シグナルを受容するための温度センサ入力2112、中心プロセシングユニットの出力に基づいてステッパー電動機ドライブシグナルを生成するためのステッパー電動機ドライバ2113、圧力センサ入力2114および特定の実行のために使用される任意の他の入力または出力(例えば、アナログおよびデジタル出力、診断ポートなど)を備え得る。
【0027】
操作時に、コントローラは、個々の圧力センサからの入力シグナルおよびサーミスタからの温度シグナルを使用して、液体の最終的フロー速度を計算し得る。あるいは、単一の圧力差センサからの出力は、最終的なフローを計算するために使用され得る。各圧力シグナルは、アナログデジタルチップを介して処理され、次いで、そのシグナルは増幅され、得られたシグナルは、デジタルシグナルプロセッサ2102に供給される。このプロセッサは、中心プロセシングユニット2100よりも高い周波数で作動して、圧力シグナルおよび温度シグナルの濾過を可能にし、その制御ループ応答における有意な遅れを負荷しない。シグナルの濾過は、あらゆる外部ノイズ(圧力センサから、システムから、または外部から)を軽減し、より正確な圧力測定を可能にするために必要であり得る。これは、2つの圧力シグナルを比較する場合に有用である。次いで、差示的圧力シグナルが得られる。
【0028】
中心プロセシングユニット2100は、圧力差測定値および流体温度に基づいて、フロー速度を計算するための指示2108を実行する。温度は、圧力読み取り、流体の密度および粘度に影響を及ぼし、これらは、フロー速度の計算に強い影響を及ぼす。差示的圧力シグナルが記され、予備負荷較正曲線を介して、予備的フロー速度に対して相関される。その較正曲線は、流体フロー経路の絶対的寸法、制限領域の寸法および圧力センサの応答に依存する。フロー制御システムあたりのシグナル曲線が存在する。その曲線は、モデル流体について正規化されている。得られた予備的フロー速度は、測定された温度において流体の密度および粘度によってさらに改変される。このような保存されたデータは、密度および粘度の依存性を、測定される流体の温度とを相関させる。好ましい実施形態において、複数の液体についての温度の関数としての密度および粘度は、表形式で、または数学的関数としてのいずれかのデータとして保存される。この好ましい実施形態は、最終的な計算のために、Motorola p/n MC68HC912DG128(Shaumberg,IL)製のマイクロプロセッサを利用する。次いで、この目的の流体についての最終的なフロー速度が記録される。
【0029】
コンピューター読み取り可能な指示が、複数のメモリの間で保存され、複数のプロセッサによって実行される一方で、指示は、1以上のコンピューター読み取り可能なメモリ上に保存され得、1以上のプロセッサによって実行され得ることが注意されるべきである。さらに、当業者により理解されているように、このコンピューター読み取り可能な指示は、ソフトウェア、ファームウェアおよび/またはハードウェアとして実行され得る。
【0030】
図20は、フロー速度計算を例示するフローチャートである。本発明の一実施形態において、図20の方法論は、1以上のプロセッサを用いて、コンピューター読み取り可能なメモリ(例えば、RAM、ROM、FLASH、磁気保存、または当該分野で公知の他のコンピューター読み取り可能なメモリ)上に保存されているコンピューター読み取り可能な指示を実行することによって実施され得る。このコントローラは、工程2002において、温度を(例えば、図21の温度入力2112を介して)読み取り得る。工程2004において、このコントローラは、温度 対 センサ表にアクセスして、温度オフセットを計算し得る。工程2006において、コントローラは、圧力シグナルを(例えば、図21の圧力センサ入力2114を介して)読み取り得、工程2008において、圧力シグナルを温度オフセットに対して補正し得る。次いで、コントローラは、圧力シグナルおよび各圧力センサと関連づけられたアルゴリズムに基づいて、P1、P2および圧力差を計算し得る(工程2010)。
【0031】
工程2012において、このコントローラは、圧力差に基づいて初期フロー速度を計算し得、予備的負荷較正曲線を介して、圧力差に対して予備的フロー速度を相関させ得る。この較正曲線は、流体フロー経路の絶対的寸法、制限領域の寸法、および圧力センサの応答に依存し得る。フロー制御システムあたりの単一の曲線が存在し得る。好ましい実施形態において、その曲線は、モデル流体に対して正規化されている。さらに、工程2012において、コントローラは、粘度および密度に基づいて、初期フロー速度を改変し得る。このコントローラは、工程2014において、フロー速度較正に基づいて、フロー速度を調節して、最終的なフロー速度を計算し得る。工程2016において、コントローラは、設定点に基づいてフロー速度を較正する回数を決定し得る。フロー速度の計算に基づいて、このコントローラは、工程2018において、シグナルを生成して、バルブを調節し得る。
【0032】
バルブを調節する回数の計算は、ファジー論理を含み得る。ファジー論理の適用は、3つの工程(ファジー化、規則評価、および脱ファジー化)を包含する。ファジー化は、入力変数を論理的値の小さなセットが真である程度に量子化するプロセスである。本発明の一局面に従って、フロー速度の関連する変数およびフロー速度の経時的な変化に関連する変数がメンバーシップ関数に対して比較されて、各メンバーシップ関数についての真の程度が決定され得る。
【0033】
例として、このコントローラは、フロー速度誤差および経時的なフローの変化(dF/dt)をメンバーシップ関数に対して比較し得る。このフロー速度誤差およびdF/dtは、当該分野で公知の任意の様式で計算され得る。この誤差は、3つのカテゴリー、負数、ゼロおよび正数に分けられ得る。誤差についてのメンバーシップ関数の一実施形態は、図23Aに示される。図23Aにおいて、ライン2302は、負数の誤差メンバーシップ関数を表し、2304は、中立のゼロ誤差メンバーシップ関数を表し、2306は、正数の誤差メンバーシップ関数を表す。このdF/dtはまた、3つのカテゴリー、漸減、定常および漸増に分けられる。図23Bは、これら3つのカテゴリーについてメンバーシップ関数を例示する。図23Bにおいて、ライン2308は、漸減dF/dtを表し、ライン2310は、定常dF/dtを表し、ライン2312は、漸増dF/dtを表す。図23Aおよび23Bのメンバーシップ関数が、単なる例示によってのみ提供され、これらのメンバーシップ関数が任意の形状をとることが留意されるべきである。本発明の他の実施形態において、さらなるまたはより少ないメンバーシップ関数が、各変数について規定され得る。
【0034】
誤差値およびdF/dtは、メンバーシップ関数に対して比較されて、真の程度が決定され得る。例えば、誤差の値が点2314においてある場合、各誤差のメンバーシップ関数についての真の程度は、以下のとおりである:負数0%、ゼロ90%および正数10%。同様に、dF/dtが、点2316にあった場合、各dF/dtのメンバーシップ関数についての真の程度は、漸減0%、定常80%および漸増20%である。従って、ファジー化プロセスは、状態が、所定の入力変数についてどの程度真であるかを決定する。他の入力は、例えば、温度、温度変化の速度、圧力、圧力変化の速度あるいはフロー速度および/またはフロー速度における変化に変換され得る任意の他の変数が挙げられる。
【0035】
規則評価は、そのファジー入力(例えば、負数0%、ゼロ90%、正数10%、漸減0%、定常80%および漸増20%)を採用すること、およびファジー出力のセットを生成することを包含する。本発明の一実施形態に従って、ファジー出力は、規則のセットを与えると、フローバルブに適用されるべき変化であり得る。規則のセットの一実施形態は、表1に示される。
【0036】
【表1】
【0037】
上記の規則を使用し、先の例で続けると、誤差のファジー入力=負数0%、ゼロ90%、正数10%、ならびにdF/dt=漸減0%、定常80%および漸増20%が、以下のファジー出力および真の程度を導き得る:
変化なし=80%真(規則5から)
小さな減少=20%真(規則6から)
小さな減少=10%真(規則8から)
大きな減少=10%真(規則9から)。
【0038】
この場合、ファジー入力についての最も小さな真の程度を、ファジー出力についての真の程度として使用した。例えば、規則5について、誤差=ゼロが90%であり、dF/dt=定常が80%であったので、80%を選択した。いずれかのファジー入力(例えば、誤差についての規則=負数またはdF/dt=漸減)についての真の程度0%を有した規則は、ファジー出力についての真の程度が0%であるので示されない。真の程度をファジー出力に割り当てることは、本発明の他の実施形態において、選択および最適化の問題であり得る。本発明のなお別の実施形態において、最も低い真の程度を有するファジー出力は、降ろされ得る。ファジー出力は、任意の他の様式(例えば、特定の値を上回る真の程度を有するファジー出力のみを選択すること)において、選択され得る。従って、規則9からの大きな減少は、大きな減少がわずか10%の真の程度を有するので、降ろされる。しかし、規則8の小さな減少のファジー出力は、小さな減少のファジー出力についての最も高い真の程度が20%であるので、降ろされない。
【0039】
表2は、ファジー出力を生成するためのより複雑な規則表の別の例を提供する。表2の場合において、誤差は、5つのメンバーシップ関数:大きな負数、小さな負数、ゼロ、小さな正数および大きな正数に対して比較され得、dF/dtは、5つのメンバーシップ関数:大きな負数、小さな負数、ゼロ、小さな正数および大きな正数に対して比較され得る。ファジー入力の真の程度、dF/dtおよび誤差に基づくと、7つのファジー出力:非常に大きな増加、大きな増加、小さな増加、変化なし、小さな減少、大きな減少、および非常に大きな減少が生成され得る。
【0040】
【表2】
【0041】
表2は、例示によって提供され、どのようにしてファジー入力がさらなるメンバーシップ関数に対して比較されて、さらなるファジー出力が生成され得るのかを例示する。
【0042】
脱ファジー化は、このファジー出力を組み合わせて、システム出力を生成するプロセスである。例示目的で、表1を使用する例からのファジー出力を使用する。各ファジー出力は、このシステムにおける離散変化に関連し得る。例えば、表3は、表1のファジー出力が離散出力(例えば、値の変化%)とどのように関連づけられ得るかを例示する。
【0043】
【表3】
【0044】
表3に示されるように、大きな減少のファジー出力について、バルブ出力における変化%は、−20%であるはずであり、小さな減少については、−10%であるはずなどである。このファジー出力は、表3からの適切な定数が乗算され、いっしょにまとめられる。よって、表1からのファジー出力および10%の真の程度を有する大きな減少のファジー出力を降ろすことについて、フローバルブにおける変化全体は、以下のとおりである:
変化=(0*80%−10*20%−20*10%)/(80%+20%+10%)=−3.6
この値に基づくと、このコントローラは、3.6%までバルブを閉鎖しようとしている。これは、例えば、図20の工程2016において、適切なバルブ制御シグナルの生成によって行われ得る。本発明の一実施形態において、このバルブ制御シグナルは、アナログバルブドライブシグナルを生成して、バルブを開くまたは閉じるように駆動し得る、バルブドライバに送られ得る。
【実施例】
【0045】
(実施例1)
この実施例は、液体フローを測定および制御して、化学的機械的平坦化基材処理のための流体の個別の容量の送達を可能にする、本発明の実施形態の用途を例示する。より具体的には、この実施例は、本発明の実施形態が、液体フローを測定および制御して、研磨流体の個別の容量の基材への送達を可能にするためにどのようにして使用され得るかを例示する。化学的機械的研磨は、光学レンズの製造において有用である。化学的機械的平坦化は、半導体デバイスの製造において有用である。研磨流体は、酸性であっても塩基性であってもよく、シリカまたはアルミナのような研磨剤を含んでいてもよい。二酸化ケイ素を研磨するために有用な流体としては、水酸化カリウム水溶液中のシリカスラリーが挙げられ;銅金属を研磨するために有用な流体としては、酸化剤(例えば、過酸化水素)、抑制剤(例えば、ベンゾトリアゾール)、および有機酸(例えば、酢酸)の水溶液が挙げられる。
【0046】
本発明のデバイスの入り口は、研磨流体を含む加圧容器または重力送り容器に接続される。このフローデバイス出口は、研磨ツール上のノズルに接続される。この研磨ツールは、基材が回転パッドまたはベルトによって研磨されるようにする。この基材は、研磨パッドと接触し、この研磨パッドは、研磨流体の化学作用とともに基材から物質を除去する。研磨流体は、ノズルを通って、ツール上の基材に送達される;研磨流体のノズルへのフローは、フローデバイスおよびその電子機器によって制御される。そのフローデバイスの電子機器は、そのツールが、研磨流体を基材上に分配するタイミングを制御し得るように、ツールのコントローラに接続され得る。そのツールはまた、研磨エンドポイント検出器を備え得る。この研磨エンドポイント検出器はまた、研磨流体の基材への送達のタイミングを制御するために使用され得る。このフローデバイスの電子機器におけるシグナルプロセッサは、研磨流体を含む加圧容器中における圧力変動に起因して、研磨流体の容量および送達速度の変動性を排除する。蠕動ポンプと比較すると、研磨流体の送達は、一定速度で起こる。その結果は、基材への研磨流体の制御された容量および送達速度であり、このことにより、化学廃棄物が最小になり、基材のより均一かつ反復可能な研磨を生じる。
【0047】
(実施例2)
この実施例は、液体前駆物質の離散容量が、蒸発器に送達されて、気体を形成し得るように、液体フローを測定および制御するための本発明の実施形態の用途を例示する。より具体的には、この実施例は、本発明の実施形態が、どのように蒸発器への液体前駆物質のフローを測定および制御するために使用され得るかを例示する。
【0048】
液体前駆物質は、蒸発器中で加熱して、気体を形成する化学物質である。次いで、この気体は、反応チャンバ中の加熱基材に送達され、この反応チャンバ中でさらに分解されるか、または基材の上で反応する。この気体は、金属、半導体、または誘電体のフィルムを基材の上に形成するために使用され得る(化学的蒸着または分子層の化学的蒸着プロセス)。この気体はまた、基材の表面をエッチングするために使用され得るか、または基材を乾燥するために使用され得る。液体前駆物質は、純粋な液体(例えば、水、2−プロパノール、またはオルトケイ酸テトラエチル(TEOS))であり得る。液体前駆物質はまた、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中に溶解された固体(例えば、ストロンチウムジピバロイルメタン(Sr(DPM)2))を含み得る。いくつかの液体前駆物質(例えば、銅(I)ヘキサフルオロペンタンジオネートビニルトリメチルシラン(VTMS)Cu(hfac))は、熱感受性であり、いくつかの液体流量計において使用される熱センサによって分解され得る。液体前駆物質は、代表的には、約0.1g/分〜約50g/分の速度で蒸発器に送達される。薄いフィルムは、光学デバイス(例えば、レンズおよび光ファイバ)のコーティングにおいて重要である。薄いフィルムおよび薄いフィルムのエッチングはまた、平坦なパネル、マイクロプロセッサ、およびメモリデバイスの製造において重要である。
【0049】
本発明のフローデバイスは、その入り口において、液体前駆物質の加圧源に接続される。フローデバイスの出口は、蒸発器に接続される。フローデバイスのためのバルブは、蒸発器の上流または下流にあり得る。蒸発器の出口は、ツールのプロセスチャンバに接続される。このプロセスチャンバは、蒸気によって処理されるべき基材を含む。複数の前駆物質を要するプロセスについては、複数のフローデバイスが使用され得る。このフローデバイスの電子機器は、そのツールのコントローラに接続され得る。このことは、そのプロセスツールが、流量計を通して加熱された蒸発器へと、加圧源からの液体のフローを遠隔で制御することを可能にする。化学的蒸着プロセスに有用な蒸発器の例としては、加熱金属フリット、加熱金属スクリーン、加熱バルブ、および加熱チュービングが挙げられる。
【0050】
液体前駆物質を含む容器中の圧力変動は、蒸発器への液体フローの変化を生じ得る。熱フロー構成要素における液体前駆物質の熱分解は、蒸発器への不正確な液体フローを生じ得る。蒸発器に対する乏しいフロー制御は、蒸発器飽和に起因して、液体の不完全な蒸発を生じ得る。不完全な蒸発は、液滴がプロセスチャンバに入ってしまい、基材に対して欠陥を引き起こす。本発明を実施するにあたっての結果は、上流の圧力変動に関わらず、熱フロー構成要素を排除して、前駆物質フローならびに液体の蒸発器への反復可能かつ制御されたフローを制御することである。
【0051】
(実施例3)
この実施例は、無電解めっきのために液体のフローを測定および制御して、基材への流体の送達を可能にする本発明の実施形態の用途を例示する。より具体的には、この実施例は、本発明の実施形態が、めっきプロセスにおいて、どのように液体フローを測定および制御して、基材上への一連の化学物質の分配を可能にし、金属フィルムを形成するために使用され得るかを例示する。このようなプロセスは、浴めっきプロセスに共通する化学物質からの引きずりを排除する。めっきに有用な金属および合金の溶液としては、銀、銅、白金、パラジウム、金およびスズが挙げられるが、これらに限定されない。触媒は、しばしば、めっき溶液に対して基材を活性化するために必要とされる。これらの触媒としては、コロイドパラジウム、炭素、グラファイト、スズ−パラジウムコロイド、およびポリピロールのような導電性ポリマーが挙げられる。これらの触媒およびめっき溶液のうちのいくつかの貴金属は、高価であり、かつめっきプロセスの間の廃棄物は、めっきプロセスをコスト効果的にするために最小にする必要がある。これらの溶液のうちのいくつかの金属は、毒性であり、かつめっきプロセスの間の廃棄物は、環境への流出ならびに廃棄物処理および廃棄コストを減少するために最小にする必要がある。
【0052】
めっきプロセスにおいて使用される各化学物質について、本発明のデバイスは、その入り口において、加圧され、ポンプ供給され、または重力送りされる化学物質源に接続される。そのデバイスの出口は、その出口において、基材へ各化学物質を送達するためのノズルに接続される。溶液の温度は、基材に送達する前に、熱交換器、深冷器、または抵抗型ヒーター構成要素を使用して低下または上昇され得る。例えば、銅金属は、その基材を、第1のフローデバイスを通して、コロイドパラジウムを含む活性化溶液に接触させ、基材を第2のフローデバイスを使用して水ですすぎ、その触媒された基材を第3のフローデバイスを通じて塩酸活性化溶液と接触させ、その基材を、第4のフローデバイスを通じて、銅イオン、還元剤(例えば、ホルムアルデヒド)、錯化剤(例えば、EDTA)および塩基(例えば、水酸化カリウム)の供給源を含む一定容量の銅溶液と接触させることによる無電解処理によって、基材に被覆され得る。この基材は、第2のフローデバイスからの水で洗浄される。
【0053】
このフローデバイスの電子機器は、めっきツールのコントローラに接続されて、各フローデバイスを通る液体フローのタイミング、持続時間および順番が調整され得る。この結果は、プロセスにおける各工程に関して、測定された容量の各化学物質を基材上に迅速かつ正確に送達することである。化学廃棄物および材料コストは、反応の完了を確実にするためにのみ十分な化学物質を基材に送達することによって最小にされる。化学物質の引きずりに起因する基材の汚染が減少される。このプロセスの全体的なスループットは、サイクル時間を減少するために、フロー構成要素およびバルブの迅速な作用に起因して増大される。
【0054】
(実施例4)
この実施例は、液体フローを測定および制御して、基材への流体の送達を可能にし、等角コーティングを形成するための本発明の実施形態の用途を例示する。より具体的には、この実施例は、本発明のデバイスが、どのように基材への液体フローを測定および制御して、液体材料での基材の正確なコーティングを可能にするために使用され得るかを例示する。誘電体材料、フォトレジスト、反射防止コーティング、ポリイミド、接着促進剤(例えば、ヘキサメチルジシラザン)、強誘電性材料、およびゾル−ゲルが、一般に、スピンコーティングプロセスにおいて基材上に液体またはスラリーとして被覆される。このような材料は、固定ノズルまたは移動可能ノズルによって、静止した基材またはゆっくりと回転している基材に送達される。材料が基材に送達された後、基材は、約100〜5000rpmの範囲の高速で回転されて、その液体材料の薄いフィルムで基材が均一にコーティングされる。これらの材料の多くは、高価であり、コーティングプロセスにおけるそれらの使用および廃棄物を最小にすることが重要である。反復可能なコーティングには、一定容量の材料が基材に送達されることが必要である。
【0055】
本発明のフローデバイスの入り口は、コーティング流体を含む加圧容器または重力送り容器に接続される。フローデバイス出口は、コーティングツール上のノズルに接続される。このコーティングツールは、回転チャックに取り付けられた基材を有する。コーティング流体は、ノズルを通じてそのツール上の基材に送達される。;ノズルへのコーティング流体のフローは、フローデバイスおよびそのバルブにより制御される。フローデバイスの電子機器は、そのツールが基材に対するコーティング流体のタイミングおよび速度を制御することを可能にするために、そのツールのコントローラに接続され得る。フローデバイスとの電気的連絡によって、コーティングツールは、所望されるコーティングを達成するために、ノズル位置および基材回転速度の関数として、基材上への流体フロー速度を変動し得る。フローデバイスのマイクロプロセッサおよび制御論理は、コーティング流体を含む容器中の圧力変動に起因して、コーティング流体容量の変動性および送達速度を排除する。この結果は、制御された容量のコーティング流体の基材への送達である。この結果は、化学廃棄物を最小にし、このような基材のより均質かつ反復可能なコーティングを生じる。
【0056】
(実施例5)
この実施例は、液体フローを測定および制御して、その基材との反応のために、基材に流体を送達することを可能にする本発明の実施形態の用途を例示する。より具体的には、この実施例は、本発明の実施形態が、どのように基材上への反応液体のフローを測定および制御するために使用され得るかを例示する。このような反応性液体の例としては、陽性および陰性のフォトレジスト現像液、フォトレジストストリッパー、酸(例えば、フッ化水素酸)、酸化剤(例えば、オゾン化脱イオン水)または腐蝕液(例えば、過酢酸)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
本発明のフローデバイスの入り口は、反応性流体を含む加圧容器または重力送り容器に接続される。このフローデバイス出口は、ツール上のノズルまたはスプレーノズルに接続される。この反応性流体は、ノズルを介してツール上の基材に送達される;ツール上のノズルへの反応性流体のフローは、フローデバイスおよびそのバルブによって制御される。このフローデバイスの電子機器は、そのツールのコントローラに接続されて、そのツールが、基材に対する反応性流体フローのタイミングおよび速度を制御することを可能にする。フローデバイスの電子機器は、そのツールのコントローラを介して、反応エンドポイント検出器に接続され得る。それにより、反応性流体のフロー速度が低下されるか、または反応エンドポイントが近づくにつれて、または反応エンドポイントに到達しときに停止される。腐蝕液プロセスの例は、過酢酸を使用して、めっきされたウェハの縁部から銅を除去することである。この結果は、本発明の実施形態を使用する、制御された容量の反応性流体の基材への送達およびプロセスエンドポイントの正確な制御である。
【0058】
(実施例6)
この実施例は、液体フローおよび組成を測定および制御するための化学物質センサを連続して用いる本発明の実施形態の用途を例示する。より具体的には、この実施例は、本発明の実施形態が、どのように1以上の化学物質センサと組み合わせて、流体フローおよび流体組成の制御を可能にし得るかを例示する。このような制御が望まれる適用としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:めっき浴、RCA洗浄浴、オゾン化水浴、およびフッ化水素酸浴。このようなセンサと本発明の実施形態とを組み合わせる他の適用としては、化学物質浴の純度の維持が挙げられる。例えば、再循環浴中での汚染物質、例えば、粒子、有機材料、または金属イオンの増加により、その浴が、汚染された流体を周期的に流出させ、等価な容量の汚染されていない流体で置換されることが必要であり得る。あるいは、この浴は、汚染物質が除去され得るまで現在のプロセスおよび生成物を保護するために、一定のフロー速度を維持すると同時に、汚染物質を除去するために分離器(purifier)または粒子フィルタに切り替えられ得る。
【0059】
脱イオン水中に溶解されるオゾンは、種々の基材の表面から有機物質の除去に使用される。オゾン発生器出力気体濃度における変動および水フロー速度は、溶解したオゾン濃度における変動をもたらす。このような溶解したオゾン濃度変化は、オゾン化された水で基材表面を酸化し、一致しないプロセス結果および洗浄時間を引き起こすことが必要とされる時間の変動をもたらす。
【0060】
注水洗浄浴(overflow cleaning bath)における溶解したオゾンの濃度を維持するために、本発明の実施形態は、その入り口で脱イオン水の供給源に接続され、その出口は、気体接触器に接続される。気体接触器は、気体を液体に溶解し得る質量輸送デバイスである。このようなデバイスの例およびこれらの操作の説明は、W.L.Gore,Elkton,MD,およびMykrolis Corporation,Billerica,MAから入手可能である。オゾン発生器からのオゾンガスは、気体接触器のシェル側に送達され、ここでこのオゾンガスは、気体接触器のチューブを通じて流れている脱イオン水に溶解する。水中に溶解したオゾンの濃度は、気体接触器の流体出口に接続される溶存オゾン濃度モニター(IN USA,Needham,MAから市販されている)によって測定される。溶存オゾン濃度モニターからの出力シグナルは、本発明のフローデバイスの電子機器およびマイクロプロセッサへの入力シグナルとして使用される。本発明の電子機器、マイクロプロセッサおよび制御論理は、所定の濃度範囲内に溶存オゾン濃度を維持するために、予め設定した制限内で気体接触器を通る水のフロー速度を変動する。例えば、オゾン発生器からのオゾンガス出力の濃度が減少すると、気体接触器を通る水のフローが、溶存オゾン濃度を維持するために、フローデバイスによって減少され得る。
【0061】
あるいは、オゾン発生器の気体フロー速度、すなわち電力レベルを変化させるために、そのアナログ出力またはRS485出力または他の適切な手段の使用によって、フローデバイスの上流の水圧に関わらず、気体接触器を通る固定水フロー速度を維持しながら、本発明のフローデバイスの電子機器が使用され得る。例えば、水のフローが一定である間に溶存オゾンの濃度が所定の閾値を超えると、その発生器への電力は、溶存オゾンの濃度をその適切なレベルにまで減少させるように、低下され得る。この結果は、本発明の実施形態の使用による、一定組成の化学物質混合物の制御された調製および基材への送達である。
【0062】
(実施例7)
この実施例は、液体フローを反復して加熱および測定および制御して、一定容量の液体を室温から、その後のプロセスのための高温で分配するのを可能にする、熱交換器を備えるベンチュリシステムの使用を例示する。
【0063】
2.25インチ内径×18インチ長のシェルおよびチューブ熱交換器(同時係属中の出願USSN 60/326357(10/01/2001に出願、標題:CLOSED LOOP HEAT EXCHANGE APPARATUS、本明細書中に参考として援用される)に開示される方法によって調製される)を、そのシェル側で1.46リットル/分の速度にて流れる、70℃に熱した水源に接続した。23℃の水源を、その入り口で本発明の実施形態に接続した。本発明の実施形態におけるバルブの出口を、熱交換器のチューブ側の入り口継手に接続した。熱交換器のチューブ側への水入り口の温度およびチューブ側の出口の温度を、J型熱電対により測定し、データをAgilentデータロガーを用いて記録した。熱交換器のチューブへの液体水分配サイクルのフロー速度およびタイミングを、フローデバイス電子機器およびラップトップコンピューターによって制御した。毎分の分配サイクルは、以下のとおりであった:水が約20ml/秒のフロー速度において15秒間にチューブに送達され、水フローは、45秒間停止される。多くの分配サイクルについての熱交換チューブ入り口水温、チューブ出口水温、および測定されるフロー速度のプロットを、図11に示す。結果は、熱交換器を有する本発明の実施形態による、23℃から67+/−0.9℃に加熱された300ml容量の液体の反復可能な送達を示す。このようなシステムは、単一のウェハ洗浄、無電解めっき、現像プロセスまたはレジストストリッピングプロセスにおいて使用される流体の温度を調節するために使用され得る。
【0064】
(実施例8)
この実施例は、正確に制御された温度で固定フロー速度で固定容量の液体を送達することを可能にするベンチュリフローシステムの使用を例示する。
【0065】
2.25インチ内径×8インチ長のシェルおよびチューブ熱交換器(同時係属中の出願USSN 60/326357(10/01/2001出願、標題:CLOSED LOOP HEAT EXCHANGE APPARATUS、本明細書中に参考として援用される)に開示される方法により調製される)を、0.5リットル/分の速度で流れている26.8℃に加熱した水源にシェル側で接続した。23.4℃の水源を、その入り口で本発明の実施形態に接続した。本発明の実施形態におけるバルブの出口を、熱交換器のチューブ側のその入り口継手に接続した。熱交換器のチューブ側への水入り口の温度およびチューブ側の出口の温度を、J型熱電対により測定し、データをAgilentデータロガーを用いて記録した。熱交換器のチューブへの液体水分配サイクルのフロー速度およびタイミングを、フローデバイス電子機器およびラップトップコンピューターによって制御した。毎分の分配サイクルは、以下のとおりであった:水が約20ml/秒のフロー速度において5秒間チューブに送達され、水フローは、10秒間感停止される。多くの分配サイクルについての熱交換チューブ入り口水温、チューブ出口水温、および測定されるフロー速度のプロットを、図12に示す。結果は、熱交換器を有する本発明の実施形態を使用する、26.035+/−0.095℃の温度に維持された100ml容量の液体の反復可能な送達を示す。このような組み合わせは、フォトレジストのように正確に流体の温度を維持するために使用され得る。
【0066】
(実施例9)
この実施例は、液体フローを測定および制御して、有機性液体の低体積流の送達および制御を可能にするキャピラリーシステムの使用を例示する。
【0067】
内径0.058インチおよび約14回転を有する40インチ長のPFAチュービングは、圧力低下構成要素として有用である。入り口流体(例えば、2−プロパノール)の温度は、約23℃であるべきであり、フロー制限構成要素の表面のサーミスタによって測定され得、図21に示されるような電子機器システムの温度センサ入力モジュールへ温度が入力される。2−プロパノールは、窒素またはアルゴンガスで約20ポンド/平方インチゲージで加圧された容器中にある。2−プロパノールフロー速度は、コントローラ設定点によって調節される。設定点は、図21に示されるように、電子システムのRS485または補助アナログ入力モジュールを介して、外部ツールコントローラによってマイクロプロセッサに入力され得る。その結果は、約0.008g/秒(0.16g/分)〜約0.5g/秒(9.6g/分)の範囲のフロー速度で液体を送達し得るフローシステムである。このようなフローシステムは、化学的蒸着プロセスに適したフロー速度で液体を制御し得る。
【0068】
(実施例10)
この実施例は、上流供給圧における変化の間に一定容量の分配を維持するベンチュリシステムでアルゴリズムを使用することを例示する。
【0069】
本発明のフローデバイスの実施形態は、同心ベンチュリ、Teflon(登録商標)、3/8インチFlaretek(登録商標)継手、フロー構成要素、2つのNPI−19シリーズ圧力センサ(Lucas Nova Sensor,Fremont,CAから)、および比例制御バルブEADステッパー電動機(改変親ねじを備えたモデルLIMGE−10X03)、ならびにステッパー電動機およびバルブホーミング位置を決定するためのSager電気式位置決めセンサモデルEE−SX77OPRを使用して組み立てた。このバルブ本体は、改変ポペットを備える、Parker、モデルPV−10製であった。この圧力センサおよびバルブは、電子ハードウェアに接続した。そのフローデバイス電子機器からのフロー速度および圧力出力を、グラフィカルユーザーインターフェースを使用して、IBM互換コンピューターに記録した。
【0070】
このベンチュリフロー構成要素の入り口を、加圧水源に接続した。水は、Micropump,Vancouver,WAのモデル405A液体ポンプおよび圧力スイッチにより圧力が供給されるバラストタンク中に含まれた。バラストタンク中の圧力は、20〜33ポンド/平方インチゲージの間でサイクルするようにした。そのフローデバイスからの液体分配質量は、Mettler Toledo PR8002 バランスで測定し、IBM PC互換コンピューターで記録した。
【0071】
このフローデバイスの分配時間は、約10秒オンおよび約20秒オフであった。合計分配容量100、150、および200mlに対して10、15、および20ml/秒のプログラムされたフロー速度を、バラストタンク中の圧力を、20〜33ポンド/平方インチの間で変化させながら、合計23回反復した。
【0072】
結果の一部を、図14に示す。この結果は、マイクロプロセッサへの温度および圧力センサ入力により制限フロー構成要素を通じて流体のフローを調節するための電子制御システムを示す。このマイクロプロセッサは、多くの流体の動粘性率と温度との間の保存された、表にされたかまたは関数的関係を保存およびこれにアクセスするための能力を有し、温度補正した圧力低下を計算するための能力を有する。この結果は、このフローデバイスおよび電子システムが液体変化の上流圧力として一定容量の液体を送達する能力をさらに例示する。このマイクロプロセッサにおいて、単位時間あたりに分配される流体の総容量は、計算され、加算され、設定点と比較される。分配時間に対する補正は、システムにおける圧力変化を調節し、分配容量およびフロー速度を維持する制御論理によって行われる。23回の分配についてバランスデータから決定されたこの分配容量は、0.4未満の分配%としての標準偏差を伴って、100.97、151.23、および201.50mlであった。
【0073】
(実施例11)
この実施例は、単一の標準的較正流体を使用して、複数の流体中で使用するためにフローデバイスを較正する本発明の実施形態でのアルゴリズムの使用を例示する。ベンチュリ流量計について、ここで展開される式は、任意の液体について容量フロー速度を計算するために使用される。図22は、ベンチュリにおける流体フローを、圧力低下、断面積、および流体粘度に関連させる理論の記載である。図22において「幾何的係数(geometric coefficient)」として、項
【0074】
【数1】
【0075】
が考慮されるのであれば、この項および吐出係数Cが、単一の合わせた較正係数(combined calibration coefficient)C’で置き換えられ得る。得られる等式は、形式Q=C’(2ΔP/ρ)nに帰納され得、ここでべき指数nは、約0.5であり、経験的に決定される。
【0076】
2つの圧力センサを備える流量計を採用し、圧力標準およびフロー標準を有する試験スタンド上に置く。流体フローを、少なくとも2つの流体についての圧力センサの差異の出力の関数として測定する。図15は、3つの流体:水、2−プロパノール、およびグリセリン 18%/2−プロパノール 82% w/wの混合物についてのこのような測定値の結果を示す。プレ指数係数(pre−exponential coefficient)およびべき指数を有するべき関数を使用して設定した各流体データをフィットさせる。
【0077】
C’=Q/(2ΔP/ρ)nであるので、「Q」 対 「2ΔP/ρ」をプロットして、図16に示されるようにC’の値を得、各流体についてのフロー速度と、流体密度と、圧力低下データとの間の数学的関係から較正係数およびべき指数を決定することができる。例えば、べき関数の数学的関係を使用する各流体についてのデータの最適は、プレ指数係数C’およびべき指数nを有する関数を与える。図16において、水のプレ指数因数C’は、4.0001であり、べき指数nは、0.5342である。
【0078】
図16における3つの曲線全ての検出力曲線フィット等式のべき指数nは約0.54であるが、このC’較正係数プレ指数因子は、各流体で異なる。これらの係数は、図17に示されるように各流体の動粘性率νに対してプロットされ、各流体に対する較正係数C’と動粘性率との間の数学的関係が決定される。例えば、最適直線は、図17に示されるように動粘性率の関数としてC’の値を生じる。
【0079】
係数C’の値を決定する能力により、調査されるフローおよび動粘性率範囲内の特定の
ベンチュリメーターを通じて流れる(ただしフローは乱れている)任意の流体のフロー速度を計算することが可能になる。
【0080】
好ましい実施形態において、このフローモデルは、C’係数および変動性の流体特性を組み込む新たな係数K’を規定することによって流体特性(nおよびρ)における温度依存性変化を補償するようにさらに改良され得る。その結果、このフロー等式は、Q=KΔPn(ここでK=C’(2/ρ)n)である。
【0081】
同心ベンチュリフローセンサについて、H2OおよびIPAについての「K」と温度との間の関係は、図18に示される。これらのデータは、数値データの国際定数表において入手可能である。これらのデータから、温度の関数としての各流体に対する較正係数「K」と動粘性率との間の数学的関係が決定される。例えば、このデータに対する本発明に好ましい最適多項式は、IPAおよび水について、図18に示されるように、温度の関数としてKを与える。
【0082】
モデルを確認するために、フロー速度 対 圧力低下データを、計算されたフロー速度に対して比較し得る。これは、K、ならびに水について24.0℃およびIPAについて23.6℃の温度を使用して、水およびIPAについて図19に示される。グリセリン/IPAについての結果は、C’にのみ基づいて計算される(温度補正なし)。
【0083】
特定のベンチュリメーター設計に対する十分な較正データがある場合、すなわち、その設計が十分に特徴付けられている場合、フロー等式「Q=C’(2ΔP/ρ)n」のべき指数nが一定であり、係数等式「C’=b−mν」の傾き「m」もまた一定である場合、既知の温度の単一の流体を使用して、単一のフロー速度を有するその設計の他のベンチュリメーターを較正することは可能であるはずである。一旦流量計が較正されると、そのデバイスは、他の流体において使用され得る。温度の関数としてのこの他の流体の動粘性率および密度は、電子回路のメモリまたはマイクロプロセッサに入力されている。
【0084】
ベンチュリメーター寸法における変化に適応するために、製造公差に起因して、係数等式における単に未知の「b」の値が、関係b=C’+mνから決定され得る;なぜなら、傾き「m」の値は、既知であり、C’=Q/(2ΔP/ρ)n(QおよびΔPは、フロー速度 対 圧力低下データ点からであり、動粘性率νおよび密度ρは、それぞれ、較正流体の動粘性率および密度である)、よってb=Q/(2ΔP/ρ)n+mνであるからである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の標準的較正流体を使用して流体フローデバイスを較正する方法であって、
該方法は、
第1の圧力センサおよび第2の圧力センサを有する流量計を提供することと、
該第1の圧力センサによって感知される圧力と該第2の圧力センサによって感知される圧力との間の第1の圧力差を計算することによって、該流量計を通る第1の流体の流体フローを測定することと、
該第1の圧力センサによって感知される圧力と該第2の圧力センサによって感知される圧力との間の第2の圧力差を計算することによって、該流量計を通る第2の流体の流体フローを測定することと、
フロー速度と、流体密度と、該第1の流体および該第2の流体の該計算された圧力差との間の関係に基づいて、較正係数を決定することと、
該較正係数と該流体の各々の動粘性率との間の関係を決定することと、
該関係を格納することであって、該関係は、動粘性率に対する該較正係数の傾きを含む、ことと、
該関係を未較正の流量計に格納することと、
該格納された関係および単一の較正流体の使用において該未較正の流量計を較正することと
を包含する、方法。
【請求項2】
前記未較正の流量計を較正することは、
該未較正の流量計を流れる前記較正流体の差圧を測定することと、
該流量計を流れる該較正流体についてのフロー速度を決定することと、
該較正流体の流体特性、前記傾きおよび該測定された差圧を使用して、該未較正の流量計についての定数を計算することと、
該未較正の流量計についての動粘性率と前記較正係数との間の較正された関係を格納することと
をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記傾きは、動粘性率における変化に対する較正係数における変化を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記定数は、C’=b+mνの定数「b」を含み、bは、前記未較正の流量計の形状に依存する定数であり、mは、前記第1の流体および前記第2の流体から決定される動粘性率に対する較正係数の傾きであり、C’は、該較正係数である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記定数は、b=Q/(2ΔP/ρ)n+mνに基づいて計算され、mは、前記第1の流体および前記第2の流体から決定される動粘性率に対する較正係数の傾きであり、ρは、前記較正流体の密度であり、ΔPは、該較正流体の前記測定された差であり、Qは、該較正流体のフロー速度であり、nは、該第1の流体および該第2の流体から決定される指数である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
温度変動について前記関係を修正することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記較正流体は、水か、IPAか、2−プロパノールか、グリセリンと2−プロパノールとの混合物かのいずれか1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
流量計を較正する方法であって、
該方法は、
コンピュータ読み取り可能なメモリ内の動粘性率と較正係数との間の関係と、一般化されたフロー等式Q=C’(2ΔP/ρ)nの指数(n)とを格納するコントローラを有する流量計を提供することであって、該関係は、少なくともC’=b+mνの傾き(m)を含む、ことと、
一フロー速度および温度において該流量計を流れる較正流体について、制限のいずれかのサイドにおいて第1の圧力センサにおいて測定される圧力と第2の圧力センサにおいて測定される圧力との間の圧力差を測定することと、
b=Q/(2ΔP/ρ)n+mνから該流量計についてbを決定することと、
C’=b+mνに従って処理流体のC’を決定することと
を包含する、方法。
【請求項9】
bは、単一のフロー速度において単一の較正流体を使用して前記流量計について決定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記流量計は、ベンチュリ流量計である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の圧力センサと前記第2の圧力センサとの間の差圧は、乱流について測定される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記処理流体についての温度修正された較正係数Kを決定することをさらに包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記較正流体は、水か、IPAか、2−プロパノールか、グリセリンと2−プロパノールとの混合物かのいずれか1つである、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
流体フローデバイスであって、
該流体フローデバイスは、
制限を内部に有する流体フロー通路と、
該制限の上流の第1の圧力センサと、
該制限の下流の第2の圧力センサと、
該第1の圧力センサと該第2の圧力センサとに結合されたコントローラと
を備え、
該コントローラは、コンピュータ読み取り可能なメモリ内の動粘性率と較正係数との間の関係と、一般化されたフロー等式Q=C’(2ΔP/ρ)nの指数(n)とを格納し、該関係は、少なくともC’=b+mνの傾き(m)を含み、
該コントローラは、
該コントローラを通る較正流体の該第1の圧力センサおよび該第2の圧力センサからの圧力測定値を受信することと、
既知のフロー速度および温度において該第1の圧力センサと該第2の圧力センサとの間の圧力差を決定することと、
b=Q/(2ΔP/ρ)n+mνから該流量計についてのbの値を決定することと、
C’=b+mνに従って処理流体のC’を決定することと
を実行するように構成される、流体フローデバイス。
【請求項15】
前記コントローラは、単一の圧力差および前記較正流体のフロー速度からbを計算するように構成される、請求項14に記載の流体フローデバイス。
【請求項16】
前記フローデバイスは、ベンチュリ流量計である、請求項14に記載の流体フローデバイス。
【請求項17】
前記第1の圧力センサと前記第2の圧力センサとの間の差圧は、乱流中に測定される、請求項14に記載の流体フローデバイス。
【請求項18】
前記コントローラは、前記処理流体についての温度修正された較正係数Kを決定するようにさらに構成される、請求項14に記載の流体フローデバイス。
【請求項19】
前記較正流体は、水か、IPAか、2−プロパノールか、グリセリンと2−プロパノールとの混合物かのいずれか1つである、請求項14に記載の流体フローデバイス。
【請求項1】
単一の標準的較正流体を使用して流体フローデバイスを較正する方法であって、
該方法は、
第1の圧力センサおよび第2の圧力センサを有する流量計を提供することと、
該第1の圧力センサによって感知される圧力と該第2の圧力センサによって感知される圧力との間の第1の圧力差を計算することによって、該流量計を通る第1の流体の流体フローを測定することと、
該第1の圧力センサによって感知される圧力と該第2の圧力センサによって感知される圧力との間の第2の圧力差を計算することによって、該流量計を通る第2の流体の流体フローを測定することと、
フロー速度と、流体密度と、該第1の流体および該第2の流体の該計算された圧力差との間の関係に基づいて、較正係数を決定することと、
該較正係数と該流体の各々の動粘性率との間の関係を決定することと、
該関係を格納することであって、該関係は、動粘性率に対する該較正係数の傾きを含む、ことと、
該関係を未較正の流量計に格納することと、
該格納された関係および単一の較正流体の使用において該未較正の流量計を較正することと
を包含する、方法。
【請求項2】
前記未較正の流量計を較正することは、
該未較正の流量計を流れる前記較正流体の差圧を測定することと、
該流量計を流れる該較正流体についてのフロー速度を決定することと、
該較正流体の流体特性、前記傾きおよび該測定された差圧を使用して、該未較正の流量計についての定数を計算することと、
該未較正の流量計についての動粘性率と前記較正係数との間の較正された関係を格納することと
をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記傾きは、動粘性率における変化に対する較正係数における変化を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記定数は、C’=b+mνの定数「b」を含み、bは、前記未較正の流量計の形状に依存する定数であり、mは、前記第1の流体および前記第2の流体から決定される動粘性率に対する較正係数の傾きであり、C’は、該較正係数である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記定数は、b=Q/(2ΔP/ρ)n+mνに基づいて計算され、mは、前記第1の流体および前記第2の流体から決定される動粘性率に対する較正係数の傾きであり、ρは、前記較正流体の密度であり、ΔPは、該較正流体の前記測定された差であり、Qは、該較正流体のフロー速度であり、nは、該第1の流体および該第2の流体から決定される指数である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
温度変動について前記関係を修正することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記較正流体は、水か、IPAか、2−プロパノールか、グリセリンと2−プロパノールとの混合物かのいずれか1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
流量計を較正する方法であって、
該方法は、
コンピュータ読み取り可能なメモリ内の動粘性率と較正係数との間の関係と、一般化されたフロー等式Q=C’(2ΔP/ρ)nの指数(n)とを格納するコントローラを有する流量計を提供することであって、該関係は、少なくともC’=b+mνの傾き(m)を含む、ことと、
一フロー速度および温度において該流量計を流れる較正流体について、制限のいずれかのサイドにおいて第1の圧力センサにおいて測定される圧力と第2の圧力センサにおいて測定される圧力との間の圧力差を測定することと、
b=Q/(2ΔP/ρ)n+mνから該流量計についてbを決定することと、
C’=b+mνに従って処理流体のC’を決定することと
を包含する、方法。
【請求項9】
bは、単一のフロー速度において単一の較正流体を使用して前記流量計について決定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記流量計は、ベンチュリ流量計である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の圧力センサと前記第2の圧力センサとの間の差圧は、乱流について測定される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記処理流体についての温度修正された較正係数Kを決定することをさらに包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記較正流体は、水か、IPAか、2−プロパノールか、グリセリンと2−プロパノールとの混合物かのいずれか1つである、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
流体フローデバイスであって、
該流体フローデバイスは、
制限を内部に有する流体フロー通路と、
該制限の上流の第1の圧力センサと、
該制限の下流の第2の圧力センサと、
該第1の圧力センサと該第2の圧力センサとに結合されたコントローラと
を備え、
該コントローラは、コンピュータ読み取り可能なメモリ内の動粘性率と較正係数との間の関係と、一般化されたフロー等式Q=C’(2ΔP/ρ)nの指数(n)とを格納し、該関係は、少なくともC’=b+mνの傾き(m)を含み、
該コントローラは、
該コントローラを通る較正流体の該第1の圧力センサおよび該第2の圧力センサからの圧力測定値を受信することと、
既知のフロー速度および温度において該第1の圧力センサと該第2の圧力センサとの間の圧力差を決定することと、
b=Q/(2ΔP/ρ)n+mνから該流量計についてのbの値を決定することと、
C’=b+mνに従って処理流体のC’を決定することと
を実行するように構成される、流体フローデバイス。
【請求項15】
前記コントローラは、単一の圧力差および前記較正流体のフロー速度からbを計算するように構成される、請求項14に記載の流体フローデバイス。
【請求項16】
前記フローデバイスは、ベンチュリ流量計である、請求項14に記載の流体フローデバイス。
【請求項17】
前記第1の圧力センサと前記第2の圧力センサとの間の差圧は、乱流中に測定される、請求項14に記載の流体フローデバイス。
【請求項18】
前記コントローラは、前記処理流体についての温度修正された較正係数Kを決定するようにさらに構成される、請求項14に記載の流体フローデバイス。
【請求項19】
前記較正流体は、水か、IPAか、2−プロパノールか、グリセリンと2−プロパノールとの混合物かのいずれか1つである、請求項14に記載の流体フローデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図7A】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図7A】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図13】
【公開番号】特開2010−72008(P2010−72008A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2382(P2010−2382)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【分割の表示】特願2004−523582(P2004−523582)の分割
【原出願日】平成15年7月18日(2003.7.18)
【出願人】(306019845)エンテグリース,インコーポレイテッド (27)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【分割の表示】特願2004−523582(P2004−523582)の分割
【原出願日】平成15年7月18日(2003.7.18)
【出願人】(306019845)エンテグリース,インコーポレイテッド (27)
【Fターム(参考)】
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