説明

流体ポンプ用低利得圧力リリーフバルブ

【課題】自己持続性の変動や「つかえ」が生じないポンプ用低利得圧力リリーフバルブを提供する。
【解決手段】ポンプの吐出流体圧力の調節に用いられる低利得圧力リリーフバルブ10は、通路16、入口ポート12及び出口ポート14を備えた弁ハウジング20を有し、出口ポートの壁18は、通路16の壁と90°未満の角度をなして交差し、通路内に設けられた弁体は、弁体を閉鎖位置に向かって付勢するばね40の付勢力に抗して通路内で動くことができる。弁ハウジング20は、通路壁と出口ポート壁18の交差部に端ぐり部17を有し、端ぐり部は、弁体の長手方向軸線Xに垂直に延びていて、出口ポート壁18に対して角度をなす端ぐり部表面を有する。弁体の頂部は、第1の縮径部分及びこれと弁体頂部との間のテーパ付き部分を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、エンジン内のオイルポンプ吐出圧力を管理する低利得圧力リリーフ(逃がし)バルブを含むオイルポンプ組立体の関する。詳細には、本発明は、車両の内燃エンジン内の潤滑系統のポンプに利用される圧力リリーフバルブに関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2011年3月31日に出願された米国特許出願第61/470,403号(発明の名称:LOW GAIN PRESSURE RELIEF VALVE FOR A FLUID PUMP、発明者:マシュー・ウィリアムソン(Matthew Williamson))の優先権及び権益主張出願であり、この米国特許出願を全ての利点及び目的について参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
一般に、エンジンオイルをエンジンに圧送してエンジンに設けられている種々の潤滑チャネル(一般に、通路とも呼ばれ、ひとまとめにエンジンギャラリとも称される)を通してエンジンコンポーネントを潤滑するオイルポンプ組立体を備えた内燃エンジンを提供することが知られている。エンジンにより駆動されるオイルポンプを設けることが知られており、オイルポンプの速度は、エンジンの速度に応じて変化する。また、オイルポンプ組立体及びエンジン内の圧力を調節するための装置、例えば圧力リリーフバルブを備えたオイルポンプ組立体を提供することが知られている。圧力リリーフバルブは、一般に特定の組立体又は用途内の流体の過剰圧力を管理することが有利である他の用途に使用できるものとしても知られている。車両用エンジンでは、一般に、圧力リリーフバルブを用いてエンジン作動中に吐出圧力を調節し、エンジンのオイル圧力限度を満足させると共にオイルポンプに対するエネルギー管理を提供しようとすることが知られている。
【0004】
オイル(油)のような非圧縮性流体用のポンプは、歯車ポンプであったりジェロータ(gerotor)であったりベーンポンプであったりする場合が多いが、任意公知の又は適当な形式のものであって良い。例えば自動車用エンジン潤滑系統のような環境では、オイルポンプは、オイルポンプがエンジンに連結されエンジン速度と同一速度で稼働しているとき、広い速度範囲にわたって作動する。このような用途では、オイルポンプ速度が変化し、その結果、オイルの出力量及び出力圧力が変化することになる。この変化は、特に正確である。というのは、エンジン潤滑系統は、エンジン潤滑系統が一定サイズオリフィスとしてモデル化でき、ポンプがこれらの作動速度とともに速度を変え、エンジン速度が増大すると、オイルポンプの出力圧力が増大するからである。一般に、エンジンは、エンジン作動速度の増加するにつれて、潤滑油圧力が最小圧力レベルから最大圧力レベルに増大することを必要とするが、必要なすなわち望ましい最高油圧は、一般に、エンジンが最大作動速度に達する前に得られる。典型的には、エンジン作動速度及びオイルポンプ速度が増大していくと(即ち、油圧が増大し続けると)、或る時点で、オイルポンプは、エンジン作動速度範囲のかなりの部分にわたって潤滑油の過剰供給を行なうことになる。油の欠乏はエンジンコンポーネントを損傷させるが、過剰圧力油も望ましくない。例えば、高すぎるは油圧、ペーパーフィルタエレメントを破壊する場合があると共に、エンジンに望ましくない他の影響を及ぼし、また、エネルギを過剰に消費させる場合がある。
【0005】
潤滑系統及びエンジン内における過剰圧力油の発生を阻止し又は抑制するため、一般に、潤滑系統は、圧力リリーフバルブを有することが知られている。この過剰供給を制御し、結果的に、もしそうでなければエンジンコンポーネントを損傷させる場合のある過剰圧力を制御するため、このような環境における定容量形ポンプは、典型的には、圧力リリーフバルブを備え、このような圧力リリーフバルブにより、過剰供給油の過剰部分をオイルサンプ(油受)又はタンクに戻り又はオイルポンプの入口に戻すことができ、その結果、所望の量及び圧力の流体だけがエンジンの潤滑系統に供給されるようにする。圧力リリーフバルブは、油圧があらかじめ設定された限度に達すると、油を抜いてオイルサンプ内に(即ち、オイルポンプの吸い込み側に)戻すようにオイルポンプ及びエンジンに連結されている。公知の一形式の圧力リリーフバルブが米国特許第6,116,272号明細書に開示されており、この場合、圧力リリーフバルブは、オイルポンプに組み込まれている。圧力リリーフバルブは、円筒形通路又はボア内に位置決めされたピストンを有し、ピストンは、ばねにより一方向に(即ち、閉鎖位置に向かって)付勢されている。オイルポンプ出口からの加圧油が、ピストンの一方の側(即ち、ピストンに及ぼされる付勢力又はばね力と反対の側)に供給され、ピストンをばねに押し付ける。エンジンがより速く回転すると、オイルポンプもより速く回転しより強力に稼働し、油圧が増大する。油圧が増大すると、圧力リリーフバルブ中のピストンは、ばねに抗してボア内で動き、ピストンの縁部に設けられたベントからオイルが逃げオイルサンプ又はポンプの入口に戻ることができる箇所まで動く。この種の従来型圧力リリーフバルブでは、油圧リリーフ弁が開き高圧油を内部でバイパスさせオイルポンプの吐出側からオイルポンプの吸い込み側に戻すよう開く時期を決定するために、オイルポンプ出口圧力が用いられる。この種の典型的な油圧リリーフ弁は、特定のエンジン及び特定の用途に適した事前設定圧力レベルで開くよう設定される。
【0006】
このような従来型油圧リリーフ弁は、簡単であり信頼性が高いが、油圧ポンプのエネルギ消費量に悪影響を及ぼし、油圧ポンプのエネルギ消費量を比較的高くする場合があるという公知の制限及び欠点を備えている。オイルポンプによるエネルギ消費量が高いことは、取りも直さず燃料効率が低いことであり、このことは、長年の間、大きな欠点のままである。
【0007】
公知の一用途、例えば、米国特許第6,481,458号明細書に開示された用途では、圧力リリーフバルブ組立体は、エンジンの潤滑系統に用いられる油圧リリーフ弁の形状が徐々に変化している出口穴を有する。別のこのような例は、米国特許第7,775,503号明細書に開示されている。特に、米国特許第6,481,458号明細書は、弁ハウジングの一端部に形成されたリリーフ(逃がし)流入部分及び弁ハウジングの弁経路の中間場所に形成され、互いに流体連通関係をなして形成された小さな孔部分及び大きな孔部分を含むリリーフ吐出部分を開示すると共に教示している。リリーフ吐出部分は、リリーフ流入部分の近くに位置した側に小さな孔部分を備えている。しかしながら、幾つかの状況(例えば、開放位置における弁ばね力が、例えば、多くの作動圧力を有する圧力リリーフバルブ内では、例えば、パイロット圧力が圧力リリーフバルブに供給される場合、比較的低い場合に起こる)では、このような穴の形状には欠点がある。というには、弁の耐汚染性(油中の粒子に起因する)が若干の小さな粒径については損なわれるからである。例えば、このような微粒子は、鋳造用砂及び圧力リリーフバルブのための金属ハウジング又はオイルポンプハウジングの鋳造に起因する油中の他の汚染要因物から起こる場合があり、圧力リリーフバルブが機能しなければならない圧力設定値は、例えば、2005年9月20日に出願された国際公開第2006/032132(A1)号パンフレット(発明の名称:Pump With Selectable Outlet Pressure、発明者:マシュー・ウィリアムソン)に記載されているような選択可能な出力圧力を備えたポンプを含むオイルポンプシステムでは比較的低い。なお、この国際公開を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。圧力が選択可能なオイルポンプ及び潤滑系統では、エネルギ消費量を減少させるために圧力リリーフバルブについて比較的低い動作圧力を設けることが望ましい場合がある。しかしながら、このようなシステムでは、圧力リリーフバルブは、小さなばね力で動作しなければならず、それにより弁は、汚染により「つかえて」動かなくなりやすい。同様な課題が圧力リリーフバルブの閉ループフィードバック制御を用いた、例えば、パイロット制御弁を備えたオイルポンプ組立体及びシステムに見られる。弁利得を減少させ、例えば、次第に開く(スピル)窓形状を縮小する従来の方法は、圧力リリーフバルブにおいて比較的小さなばね力と関連して用いられる場合には汚染に対してのロバストネスが不十分であることが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,116,272号明細書
【特許文献2】米国特許第6,481,458号明細書
【特許文献3】米国特許第7,775,503号明細書
【特許文献4】国際公開第2006/032132(A1)号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
微粒子による汚染の問題に良好に対処すると共に、「つかえ」及び自己持続性の変動を回避する低利得圧力リリーフバルブに対する強い要望がある。したがって、弁が制御可能な低利得圧力リリーフを達成し微粒子による汚染に対する良好なロバストネスを保つよう開いているとき、弁体とハウジングの接触を管理および/または排除することを許容限度内で可能にする解決策に対する強い要望が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
例示の一実施形態では、車両(例えば、自動車)のエンジン内に用いられる加圧流体潤滑剤(潤滑油)を提供するポンプ(オイルポンプ)組立体用の圧力リリーフバルブが開示される。特に、圧力リリーフバルブは、出力圧力が選択可能なオイルポンプ及び圧力リリーフバルブが比較的低い圧力で動作するエンジン用の圧力リリーフバルブを含む、例えばパイロット弁を有する用途に特に利用できる。例示の一実施形態では、本発明は、低利得圧力リリーフバルブとして使用可能な装置に関する。圧力リリーフバルブは、端を有する壁を備えた通路又はボアが設けられている弁ハウジングを有し、圧力リリーフバルブの通路は、圧力リリーフバルブ及び弁ハウジングの長手方向軸線を定めている。弁ハウジングは、入口ポート及び出口ポートを有し、少なくとも出口ポートは、通路の壁と90°未満の角度をなして交差した第1の壁を有する。圧力リリーフバルブは、通路内に設けられた弁体を更に有し、弁体は、通路の壁に係合する少なくとも1つの外周部を有するピストン部分を含み、このピストン部分は、頂部及び底部を更に有し、弁体は、弁体が第1の位置即ち閉鎖位置に配置されると、少なくとも1つの外周部が弁ハウジング入口ポートを閉塞するよう通路内で摺動し又は動き、弁体が閉鎖位置から十分に遠ざけられると、弁ハウジングの入口ポートは、もはやピストン部分によっては閉塞されず、出口ポートと連通状態となり、その結果、圧力リリーフバルブの入口ポートに流入する流体(例えば、油)が通路を通って流れ、そして出口ポートから流出するようになる。
【0011】
圧力リリーフバルブは、弁体を第1の位置即ち閉鎖位置に常時付勢する付勢部材、例えばばねを更に有している。入口ポートは、流体を弁体のピストン部分の頂部に導入して弁体を付勢部材の付勢力に抗して動かし、それにより入口ポートが出口ポートに連結されて流体が通路から追い出されるようになっている。例示の一実施形態では、弁ハウジングは、通路の壁と出口ポートの第1の壁の交差部に設けられたアンダーカット端ぐり部を有する。端ぐり部は、弁体の長手方向軸線に垂直に且つ通路の壁に垂直に整列した平面内で延びる第1の端ぐり部表面を有し、第1の端ぐり部表面の平面は、出口ポートの第1の壁と同一の平面内には位置せず、第1の壁に対して角度をなしている。
【0012】
例示の一実施形態では、弁ハウジングは、金属材料からモールド内で鋳造され、出口ポートの第1の壁は、抜き勾配を有している。具体的に説明すると、出口ポートの第1の壁の抜き勾配は、約5°以下であり、特に、約2°以下である。特定の一実施形態では、出口ポートの第1の壁の抜き勾配は、出口ポートの第1の壁が90°から1.5°引いた角度に等しい長手方向軸線からの角度をなすが、第1の端ぐり部表面が長手方向軸線に実質的に垂直であるように約1.5°である。
【0013】
別の例示の実施形態では、車両(例えば、自動車)のエンジン内に用いられる加圧流体(油)潤滑剤を提供する流体ポンプ(オイルポンプ)組立体用の低利得圧力リリーフバルブが開示される。例示の一実施形態では、本発明は、端部を備えた壁が設けられている通路又はボアを有するハウジングを含む低利得圧力リリーフバルブとして使用可能な装置に関し、圧力リリーフバルブのボアは、弁の長手方向軸線を定める。弁ハウジングは、入口ポート及び出口ポートを有し、少なくとも出口ポートは、通路の壁と90°未満の角度をなして交差した第1の壁を有する。圧力リリーフバルブは、ボア内に設けられた弁体を更に有し、弁体は、ボアの壁に係合する少なくとも1つの外周部を有するピストン部分を含み、このピストン部分は、頂部及び底部を更に有し、弁体は、弁体が第1の位置即ち閉鎖位置に配置されると、少なくとも1つの外周部が弁ハウジング入口ポートを閉塞するよう通路内で摺動し又は動き、弁体が閉鎖位置から十分に遠ざけられると、弁ハウジングの入口ポートは、もはやピストン部分によっては閉塞されず、ボア及び出口ポートと連通状態となり、その結果、低利得圧力リリーフバルブの入口ポートに流入する流体がボアを通って流れ、そして出口ポートから流出するようになる。
【0014】
この一実施形態の低利得圧力リリーフバルブは、弁体を第1の位置即ち閉鎖位置に常時付勢する付勢部材、例えばばねを更に有している。入口ポートは、加圧流体をピストンの頂部に導入して流体の圧力がピストンをばねに抗して動かすのに十分高くなるとピストンをばねの付勢力に抗して動かし、それにより入口ポートが出口ポートに連結されて流体が通路から追い出されるようになっている。例示の一実施形態では、弁ピストンは、その頂端部寄りに、少なくとも1つの外周部からピストンの頂部に向かって延びる第1の縮径部分を有すると共に第1の縮径部分からピストンの頂部に向かって延びるテーパ付き部分を有する。
【0015】
この例示の一実施形態では、圧力リリーフバルブは、ボア内にピストンを有し、ハウジング内のボアは、リリーフ弁の軸線に垂直な開放縁部/表面インターフェイスを作るための端ぐり部を有する。これにより、弁が低利得を達成するよう開いたときに出口穴の近くでの弁とハウジングの接触がほぼ完全になくなり、この場合、徐々にサイズが変化する出口穴形状が用いられず、それにより、微粒子による汚染に対する良好なロバストネスが保たれる。
【0016】
例示の一実施形態では、内燃エンジンの潤滑系統全体にわたって流体(油圧流体、例えば、油)を循環させるオイルポンプを備えた内燃エンジン用の流体潤滑系統に用いられる低利得圧力リリーフバルブ及びシステムが開示される。圧力リリーフバルブ及びシステムは、ピストンが収納されていて、長手方向を定めるボアを備えたハウジングを有する圧力リリーフバルブを含む。圧力リリーフバルブは、ピストンをボア内で第1の方向に付勢する圧力リリーフばねを更に有する。圧力リリーフバルブは、流体を流体潤滑油系統の高圧側からピストンの一方の側(例えば、高圧側)までボア中に導入してピストンを圧力リリーフばねの力に抗して(即ち、これとは逆に)動かすための入口ポート及びピストンがばね力の増大に抗していったん動かされると流体をボアから追い出して入口ポートを出口ポートに連通させるための出口ポートを更に有している。本発明の例示の一実施形態では、低利得圧力リリーフバルブは、ボアの表面と整列及び摺動係合関係をなすことができる外周面を備えたピストンを有する。ピストンの外周面は、一般に、ピストンの頂部からピストンのスカートの端部まで延びている。
【0017】
本発明の変形実施形態では、圧力リリーフシステムは、低利得圧力リリーフバルブに加えて、圧力リリーフシステムを助けるパイロット弁を有する。この実施形態では、圧力リリーフバルブは、流体を圧力リリーフバルブのボア中に導入し、パイロット弁圧力を入口ポートから圧力リリーフバルブへの流体圧力とは逆の方向にピストンに加える圧力入口ポートを更に有する。本発明の一変形実施形態では、圧力リリーフシステムは、低利得圧力リリーフバルブに加えて、圧力リリーフシステムを助けるパイロット弁を有する。変形実施形態では、本発明は、低利得圧力リリーフバルブを含むオイルポンプに関する。変形実施形態では、本発明は、低利得圧力リリーフバルブを含むオイルポンプを備えたエンジンに関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】先行技術のエンジン油圧送装置の圧力リリーフバルブを示す部分断面図である。
【図2】本発明の一実施形態の周りに太線で示された囲いを含むエンジンオイルポンプの圧力リリーフバルブで示す部分断面図であり、圧力リリーフバルブが閉鎖位置にある状態を示す図である。
【図3】ピストンが省かれた状態の図2の実施形態の圧力リリーフバルブを示す部分断面図である。
【図4】図2の実施形態としての圧力リリーフバルブのピストンの平面図である。
【図5】図4のピストンの部分拡大断面図である。
【図6】図2の実施形態の圧力リリーフバルブの部分断面図であり、圧力リリーフバルブが閉鎖位置から動かされて開放位置に向かっている状態を示す図である。
【図7】閉鎖位置(a)から完全開放位置(g)に動いている状態の図2の実施形態及び図1の先行技術の圧力リリーフバルブの変化状態を示す一連の部分断面図から成る図である。
【図8】圧力リリーフバルブにおける弁利得を定める公式を示す図である。
【図9】図1(先行技術)の圧力リリーフバルブ及び図2の実施形態の圧力リリーフバルブ(低利得実施形態)に関する利得比較グラフ図である。
【図10】ピストンとハウジングとの間の隙間を詳細に示す図1(先行技術)の圧力リリーフバルブの部分断面図であり、圧力リリーフバルブが閉鎖位置から開放位置に向かって動かされている状態を示す図である。
【図11】ピストンとハウジングとの間の隙間を詳細に示す図2の実施形態の圧力リリーフバルブの部分断面図であり、圧力リリーフバルブが閉鎖位置から開放位置に向かって動かされている状態を示す図である。
【図12】ピストンとハウジングとの間の隙間を詳細に示す図10(先行技術)の圧力リリーフバルブの部分断面図であり、圧力リリーフバルブが閉鎖位置から開放位置に向かって動かされている状態(記号による流線を含む)を示す図である。
【図13】ピストンとハウジングとの間の隙間を詳細に示す図11の実施形態の圧力リリーフバルブの部分断面図であり、圧力リリーフバルブが閉鎖位置から開放位置に向かって動かされている状態(記号による流線を含む)を示す図である。
【図14】ピストンとハウジングとの間の半径方向隙間を詳細に示す図2の実施形態の圧力リリーフバルブの部分断面図であり、圧力リリーフバルブが閉鎖位置から開放位置に向かって動かされている状態を示す図である。
【図15】アンダーカット端ぐり部に関する別のプロセスを用いて製造された図2の実施形態としての圧力リリーフバルブの部分断面図である。
【図16】多直径形ピストンを備えた変形実施形態としての圧力リリーフバルブの部分断面図である。
【図17】機械加工作業で製造された図2の実施形態としての圧力リリーフバルブの部分断面図であり、ツールが側から入っている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
全図、特に図2を、概略的に参照すると、エンジン(図示せず)、例えば車両(図示せず)、特に乗用車(図示せず)に用いられるエンジン(図示せず)のオイルポンプに用いられるオイルポンプ組立体(図示せず)に特に利用できる低利得圧力リリーフ(逃がし)弁10の新規な設計例が開示されている。図示の圧力リリーフバルブ10は、エンジン用のオイルポンプ組立体に特に利用されるが、本発明の圧力リリーフバルブは、他の公知の又は適当な用途及び環境を含む同様な用途に利用できる。
【0020】
低利得圧力リリーフバルブ10は、弁ハウジング20を有し、この弁ハウジング内には、弁体通路又はボア16が長手方向に延びている。弁ハウジング20は、図2に示されている実施形態の場合のようにオイルポンプ組立体の一体部分として作られるのが良く、或いは、変形例として、弁ハウジング20は、オイルポンプ組立体及びオイルポンプ(図示せず)とは別個に作られても良い。弁ハウジング20は、代表的には、金属材料で作られ、この弁ハウジングは、鋳造金属(例えば、アルミニウム又はマグネシウム)コンポーネントとして作られる。低利得圧力リリーフバルブ10及び通路16は更に、図中、破線で示された長手方向中心軸線“X”を定めている。圧力リリーフバルブ10は、関連技術において理解されるように、入口通路又はポート12及び出口通路又はポート14を有している。一実施形態では、低利得圧力リリーフバルブ10は、圧力リリーフバルブを可変圧力又は多くの値を取る圧力で作動させるためのパイロット弁(図示せず)と結合可能な追加の通路又はポート、例えば、パイロット入口通路又はポート13を有するのが良い。
【0021】
低利得圧力リリーフバルブ10は、図2に示された実施形態では、通路又はボア16内に設けられた弁体又はピストン30(図4及び図5に最も良く示されている)を有すると共に、ハウジング20のボア16内に設けられた第1の又は下方のピストン34、中央ネック又は中間部分35及び第2の又は上方の部分37を有している。弁体又はピストン30は、下方ピストン34の一部として少なくとも1つの外周部31を更に有し、この外周部は、頂部32及び底部33を有し、この少なくとも1つの外周部31は、ハウジング20のボア16内に設けられている。図2、図3及び図6に最も良く示されているように、ボア16は、圧力リリーフバルブ10の長さに沿って種々の直径を有するのが良い。したがって、ボア16の上端部19(図6参照)は、ボア16の中央部分及び下方部分とは異なる直径(減少した直径)を有する。
【0022】
圧力リリーフバルブ10は、弁体30を第1の方向に閉鎖位置に向かってハウジング20の端部50に常時付勢するばね40を更に有し、ハウジング20の端部50では、弁体30及び少なくとも1つの外周部31は、図2、図6及び図15〜図17に示されているように弁ハウジング20の入口12を閉鎖すなわち閉塞する。入口ポート12は、加圧流体(例えば、オイルポンプから出た油)を圧力リリーフバルブ10に導入し、弁体30の第1のピストン34の頂部32に導入して弁体を端部50から遠ざけるようになっている。入口ポート12には、代表的には、エンジンの流体潤滑系統のオイルポンプの高圧側から比較的高い圧力の流体が供給される。エンジン速度が増大すると、入口12内の流体の圧力は、この圧力が弁体30をばね40の付勢力に抗して動かし、図7の一連の部分断面図に示されているように開放位置に向かって動かすのに十分高くなるまで増大し、このような図7の一連の部分断面図では、弁体30は、閉鎖位置(図7の頂部に示されている)から完全開放位置(図7の底部のところの4mm開放)に動く。弁ピストンがハウジング20のボア16内で十分な距離いったん動かされると、ピストン34の外周部31は、中央ボア16の底端部と整列するよう動き、そして入口ポート12に流入する比較的高い圧力の流体を比較的低い圧力状態の出口ポート14に導くことができ、それにより流体を追い出してこれを流体潤滑系統(ポンプ又はウェル)に戻すことができる。
【0023】
圧力リリーフ10のハウジング20は、好ましくは、周知であるように金属材料をダイカストすることによって製作される。圧力リリーフバルブ10のハウジング20は、軸線Xに垂直な平面から図6に示されている一方向に抜き勾配Zを備えたモールド(図示せず)内でのハウジング20の鋳造中に形成される入口12及び出口14を有している。抜き勾配Zは、出口14の少なくとも第1の壁18に対応するが、代表的には、入口12、パイロット入口13及び出口14の各壁に対応している。したがって、出口14の壁18は、圧力リリーフバルブ10の長手方向軸線Xに垂直な方向に対して角度Z(図6参照)をなしている。ボア16がハウジング20の軸線Xに沿ってハウジング20に設けられている。壁18は、軸線X及びボア16の壁に対して90°−Z°に等しい角度をなしている。一実施形態では、抜き勾配Zは、約5°以下又は約5°である。特に、抜き勾配Zは、約2°以下又は約2°であり、一実施形態では、抜き勾配Zは、ほぼ1.5°である。
【0024】
特定の一実施形態では、頂部32の近くに位置したピストン34の上端部(図2、図4及び図5に見える)、及び少なくとも1つの外周部31の上端部は、段付き又は異形部分を有している。詳細には、ピストン34の上端部は、縮径部分44を有し、この直径は、2×D減少しており、この上端部は、外周部31の頂部から又はこの近くから頂部32に向かって延びる軸方向広がりを有している。縮径部分44は、圧力リリーフバルブ10の流体又は油中のデブリ及び他の汚染要因物が、汚染要因物が縮径部分44とハウジング20のボア16の壁との間に入り込んだ状態になることにより、通路又はボア16内にピストン34、及び弁体30の「つかえ」又はくっつきを生じさせることがないほど十分短くされている。さらに、縮径部分44により、加圧流体は、縮径部分44とボア16の壁との間で流れ始めることができ、その後、ピストン34は、完全開放位置に動かされる。縮径部分44は、縮径部分44と頂部32との間に延びるテーパ付き部分45に至る。
【0025】
テーパ付き部分45は、好ましくは、図5に最も良く示されているように縮径部分44から見て角度Yをなしている。角度Yは、変化状態が図7の一連の部分図に最も良く示されているように弁体30が閉鎖位置(図2)から開放位置(図13及び図14)に動くときに圧力リリーフバルブ10中に油の低利得流れをもたらすよう選択される。角度Yは、好ましくは、約5°〜約60°の角度範囲から選択される。特に、角度Yは、好ましくは、約10°〜約45°の角度範囲から選択される。一実施形態では、角度Yは、約10°であるよう選択される。テーパ付き部分45の角度Yは、変化状態が図7の一連の部分図に最も良く示されているように弁体30が閉鎖位置(図2)から開放位置(図13及び図14)に動くときに圧力リリーフバルブ10中に油の低利得流れをもたらすよう選択されている。
【0026】
弁体30が開放位置に向かって動くと、流体の圧力は、僅かに減少することになる。というのは、縮径部分44及びテーパ付き部分45は、ボア16の壁の端を越えて前進し(例えば、図7に示されている)図1の伝統的な圧力リリーフバルブと比較して圧力リリーフバルブ10の低利得性能が得られるからである。また、図10〜図14を参照すると、図10〜図14は、先行技術の装置と本明細書において開示する装置を比較すると共に流れの変化を示している(図12及び図13参照)。差をより明確に示すため、図9を参照すると、図9は、ボア16内の弁体30の位置(弁位置)について圧力リリーフバルブ(図1(先行技術)及び図2(低利得実施形態))の開放面積をプロットしている。「利得」は、図8の公式を用いて計算される。先行技術の設計例は、開始位置後から関係に関する直接直線経路を有している。これ対して、本発明の圧力リリーフバルブ10は、弁体30の位置に比して比較的非常に低い利得を示している。
【0027】
図2、図3、図6、図7、図11及び図13〜図17に最も良く示されているように、図2の「囲い」場所に特に注意を向けると(この場合も又、「囲い」は、単に注意を向けるためのものであるに過ぎず、低利得圧力リリーフバルブ又は本発明の一部をなすものではない)、弁ハウジング20の中央又は中間ボア16は、好ましくは、圧力リリーフバルブ10の出口14の最も近くで位置する中央ボア16の下端寄りに設けられた端ぐり部17を有している。したがって、端ぐり部17は、通路又はボア16の壁と出口14の壁18の交差部に設けられている。
【0028】
特定の一実施形態では、端ぐり部17は、好ましくは、ボア16の表面に垂直な直線状に延びる表面17a(図11参照)を有するよう設計されている。図2に示された実施形態のアンダーカット端ぐり部17は、丸形コーナ部17c及び反対側の側壁17bを更に有している。端ぐり部17は、図に示されると共に上述した形状を有するが、端ぐり部17の他の形状(楕円形、曲線状、直線状、一部及び/又はこれらの組み合わせ)及び他の細部が可能であることが想定される。さらに、図17に示されるように以下に説明するように、端ぐり部17は、ボア16の一方の側にのみ設けられても良いことが想定できる。端ぐり部17の形状とは無関係に、端ぐり部17の表面17aの広がりは、好ましくは、圧力リリーフバルブ10のハウジング20の軸線Xに垂直に且つボア16の表面に垂直に形成される。アンダーカット端ぐり部17は、好ましくは、ハウジング20の制作中に圧力リリーフバルブ10のハウジング20に機械加工、又は形成され、このアンダーカット端ぐり部は、ボア16の表面と出口ポート14の表面18との間に延びる形状を備えている。例えば出口14中に挿入したドリルを用いて又はばね又はプラグが存在していないときにハウジング20の底部から挿入したドリルを用いて端ぐり部穿孔作業を実施し、機械加工によって端ぐり部17をハウジング20に形成することができるが、任意公知の又は適当な機械加工又は二次成形技術又は作業を用いて端ぐり部17をハウジング20に形成しても良い。軸線X及びボア16の壁に垂直である端ぐり部表面17aを設ける任意のこのような別の又は公知の(又は未だ知られていない)技術は、抜き勾配Zをボア16の周りから適宜なくす。例えば、図17に注意を向けると、本発明の圧力リリーフバルブ10は、端ぐり部17を有し、壁18は実質的にこの端ぐり部17内に平坦に(軸線Xに垂直に)機械加工され、その結果、アンダーカット端ぐり部17は、図17の一方の側(即ち、図の左側)でのみ見える。
【0029】
図16に示されている特定の一実施形態では、ボア16の下端部16′は、弁体30の外周部31の主要部分36と比較して拡大された(又は拡径)下端部35を有している。この実施形態では、弁体30の下端部33は、拡径部分35を有している。図2の実施形態と同様、図16の圧力リリーフバルブ10のボア16は、パイロット入口13と入口12の間に、縮径状態のボア上方部分19を有し、その結果、ボア16内で摺動する弁体30の上端部及び下端部は、圧力リリーフバルブ10の作動範囲にわたって安定性を追加するようになっている。アンダーカット端ぐり部17並びにピストン34の縮径部分44、及びテーパ付き部分45を含む図16の圧力リリーフバルブ10の作動は、図2の実施形態の作動とほぼ同一であり、したがって、図7の圧力リリーフバルブ10及び変化状態に戻る。
【0030】
端ぐり部17を軸線X及びボア16の壁に垂直に形成した結果として、弁体30は、圧力リリーフバルブ10内においてバランスの取れた作動を行なう。左側の先行技術の装置と右側の図2の圧力リリーフバルブ10を比較して変化状態を示す図7の一連の部分図に最も良く示されているように、本発明の圧力リリーフバルブ10の改良設計がどのような比較対象になっているかを容易に理解できる。図7の0.6mm位置に特に注意を向けると、先行技術の装置に関し、弁体の頂面の左側は、壁18と整列しているが、弁体の頂面の右側は、壁18を通過しており、開口部又は隙間が一方の側にのみ観察される。これと比較して、図7の右側の圧力リリーフバルブ10(本発明)は、弁体30のピストン34に示された0.6mm位置(それに関しては全ての位置)において、その全体に沿ってぐるりとバランスが取られている。というのは、アンダーカット端ぐり部17が軸線X及びボア16の壁に垂直に形成されているからである。さらに、1mm、2mm及び4mm開放位置のところの図7の低利得実施形態の位置を検討すると、これらの開放位置は、装置を通る流体の流れが図9のグラフ図に示されると共に上述したように緩やかであることを示している。さらに、圧力リリーフバルブ10のバランスが取られているので、この圧力リリーフバルブは、可変圧力オイルポンプ及び/又は比較的低圧で動作するようパイロット弁で制御されるオイルポンプで生じていたような比較的低い圧力での自己持続性の変動を生じることがない。さらに、本明細書において開示すると共に教示した低利得圧力リリーフバルブ10は、油を徐々に放出し、油の急な放出及び関連の脈動を阻止する。最後に、本明細書において開示すると共に教示した低利得圧力リリーフバルブ10は、先行技術の圧力リリーフバルブで生じていたような油中の微粒子(例えば、鋳造製造プロセス又は他の異物源からのハウジング20中に存在している場合のある微粒子)に起因した「つかえ」を生じることがない。
【0031】
本明細書又は図に記載されている数値はどれでも、1単位の増分で下の値から上の値までの値の全てを含むようになっている。ただし、任意の下の値とこれよりも上の値との間に少なくとも2単位の開きがあることを条件とする。一例を挙げると、成分の量又はプロセス変数、例えば、温度、圧力、時間等の値が1から90、好ましくは20から80、より好ましくは30から70であると記載されている場合、例えば15から85、22から68、43から51、30から32等の値は、本明細書では明示的に列挙されているものとする。1未満の値に関し、1単位は、適宜、0.0001、0.001、0.01、又は0.1であると考えられる。これらは、具体的に示される数値の例に過ぎず、列挙された最も小さい値と最も大きい値との間の数値の考えられる全ての組み合わせは、同様に、本明細書において明示的に記載されているものと見なされるべきである。本明細書に「重量部」と表現されている量によって教示される内容は又、重量%という単位で表される同一範囲を想定している。発明を実施する形態という項目において「結果として得られたポリマー配合物の“x”重量部」という値域に関する表現は、「結果として得られたポリマー配合物の“x”重量%」という同一記載量の値域で示された内容を想定している。
【0032】
別段の指定がなければ、全ての範囲は、両方の端の値及びこれら端の値相互間の全ての数を含む。範囲と関連した「約」又は「ほぼ」という用語の使用は、この範囲の両端に当てはまる。「約20〜30」という表現は、少なくとも指定した端に位置する値を含む「約20〜約30」を含むものである。
【0033】
特許出願及び特許出願公開を含む特許文献及び非特許文献の全てを、全ての目的に関して参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。組み合わせを記載するための英文明細書における“consisting essentially of ”(翻訳文では「本質的に〜から成る」と表現される場合が多い)という表現は、特定した要素、成分、コンポーネント又はステップ並びに組み合わせの基本的且つ新規な特徴にそれほど影響を及ぼさないこのような他の要素、成分、コンポーネント又はステップを含むものである。本明細書において要素、成分、コンポーネント又はステップの組み合わせを記載するための英文明細書における“comprising”又は“including ”(翻訳文では、「〜を有する」又は「〜を含む」と表現されている場合が多い)という用語の使用は、本質的にこれら要素、これら成分、これらコンポーネント又はこれらステップから成る実施形態を想定している。英文明細書における“may ”(翻訳文では「〜しても良い」と表現されている場合が多い)という用語の使用により、“may ”が含まれた状態で記載された属性はどれでもオプションであることが意図されている。
【0034】
複数の要素、成分、コンポーネント又はステップは、単一の一体の要素、成分、コンポーネント又はステップによって提供可能である。別法として、単一の一体要素、成分、コンポーネント又はステップは、別々の複数の要素、成分、コンポーネント又はステップに分けられる場合がある。要素、成分、コンポーネント又はステップを形容する英文明細書における“a ”(「少なくとも1つ」を意味する)又は“one ”(「1つ」を意味する)という記載は、追加の要素、成分、コンポーネント又はステップを除外するものではない。
【0035】
上述の説明は、例示であって、本発明を限定するものではないことはいうまでもない。提供されている実施例の他に多くの実施例及び多くの用途は、上述の説明を読むと、当業者には明らかになろう。したがって、本発明の範囲は、上述の説明に関してではなく、特許請求の範囲の記載並びにこのような特許請求の範囲の記載に基づく権利としての均等範囲全体に関して定められるべきである。特許出願及び特許出願公開を含む特許文献及び非特許文献の全てを参照により引用し、これらの開示内容を全目的に関して本明細書の一部とする。本明細書において開示した技術的内容の観点が添付の特許請求の範囲に記載されていないということは、このような技術的内容に関する権利の放棄ではなく、本発明者がこのような技術的内容を開示した本発明の内容の一部であると見なさなかったに過ぎないということに留意すべきである。
【符号の説明】
【0036】
10 低利得圧力リリーフバルブ
12 入口ポート
13 パイロット入口ポート
14 出口ポート
16 中央ボア又は通路
17 アンダーカット端ぐり部
18 出口ポート壁
19 ボア上方部分
20 弁ハウジング
30 弁体又はピストン
31 外周部
32 頂部
33 下端部
40 ばね
44 縮径部分
45 テーパ付き部分
50 通路端部
X 長手方向軸線
Y テーパ付き部分の角度
Z 抜き勾配

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低利得圧力リリーフバルブとして用いられる装置であって、
壁を備えた通路が設けられている弁ハウジングであって、該弁ハウジング及び前記通路は長手方向軸線を定め、入口ポート及び出口ポートを有し、前記出口ポートは第1の壁を有し、前記通路は前記出口ポートの前記第1の壁と交差する端を有し、前記出口ポートの前記第1の壁と前記通路の前記壁は、90°未満の角度をなして交差している弁ハウジングと、
前記通路内に配置された弁体であって、少なくとも1つの外周部、頂部及び底部を備えたピストン部分を有し、前記少なくとも1つの外周部は、前記弁体が第1の位置即ち閉鎖位置に配置されると前記弁ハウジングの前記入口ポートを閉塞し、前記少なくとも1つの外周部は、前記弁体が第2の位置即ち開放位置に配置されると前記弁ハウジングの前記入口ポートを前記出口ポートに連結する弁体と、
前記弁体を前記第1又は閉鎖位置に向かって付勢する付勢部材であって、前記入口ポートは、流体を前記弁体の前記ピストン部分の前記頂部に導入して前記弁体を前記付勢部材の付勢力に抗して動かし、それにより前記入口ポートが前記出口ポートに連結されて前記流体が前記通路から追い出されるようになっている付勢部材と、を備え、
前記弁ハウジングは、前記通路と前記出口ポートの前記第1の壁の交差部に設けられた端ぐり部を有し、前記端ぐり部は、前記弁体の前記長手方向軸線に垂直に且つ前記通路の前記壁に垂直に整列した平面内で延びる第1の端ぐり部表面を有し、前記第1の端ぐり部表面の平面は、前記出口ポートの第1の壁と同一の平面内には位置せず、前記第1の壁に対して角度をなしている、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記弁体の前記ピストン部分は、前記少なくとも1つの外周部から前記ピストンの前記頂部に向かって延びる第1の縮径部分を有する、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記弁体の前記ピストン部分は、前記第1の縮径部分から前記ピストンの頂部まで延びるテーパ付き部分を更に有する、
請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記弁ハウジングは、金属材料で鋳造され、
前記出口ポートの前記第1の壁は、約5°以下の抜き勾配を有する、
請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記出口ポートの前記第1の壁は、約2°以下の抜き勾配を有する、
請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記出口ポートの前記第1の壁は、約1.5°の抜き勾配を有する、
請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記弁ピストンの前記テーパ付き部分は、約10°〜約45°の角度を有する、
請求項3記載の装置。
【請求項8】
前記弁ピストンの前記テーパ付き部分は、約10°の角度を有する、
請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記弁ピストンの前記テーパ付き部分は、約45°の角度を有する、
請求項7記載の装置。
【請求項10】
前記弁体の前記ピストン部分は、テーパ付き部分を更に有し、
前記弁ピストンの前記テーパ付き部分は、約10°〜約45°の角度を有する、
請求項6記載の装置。
【請求項11】
エンジン内で用いられる流体ポンプ用の圧力リリーフバルブであって、前記圧力リリーフバルブは、
ボアを有すると共に長手方向軸線を定めたハウジングであって、入口ポート及び出口ポートを有し、前記出口ポートは第1の壁を有し、前記ボアは前記出口ポートの前記第1の壁と交差する端を有し、前記出口ポートの前記第1の壁と前記ボアの前記壁は90°未満の角度をなして交差している弁ハウジングと、
前記ボア内に設けられた弁ピストンであって、前記弁ピストンの壁を構成する少なくとも1つの外周部を有し、前記少なくとも1つの外周部は前記弁ピストンが第1の位置即ち閉鎖位置に配置されると前記ハウジングの前記ボアの前記壁に係合して前記入口ポートと前記出口ポートを連結解除し、前記少なくとも1つの外周部は前記弁ピストンが第2の位置即ち開放位置に配置されると前記ボアの前記壁から離脱して前記入口ポートと前記出口ポートを連結する弁ピストンと、
前記弁ピストンを前記閉鎖位置に向かって第1の方向に付勢するばねであって、前記入口ポートは、流体を前記エンジンの流体潤滑系統の高圧側から前記弁ピストンの前記頂部に導入して前記弁ピストンを前記ばねの付勢力に抗して動かすようになっているばねと、を備え、
前記弁ピストンは、前記少なくとも1つの外周部から前記ピストンの前記頂部に向かって延びる第1の縮径部分及び前記第1の縮径部分から前記ピストンの前記頂部に向かって延びるテーパ付き部分を有する、
ことを特徴とする圧力リリーフバルブ。
【請求項12】
前記弁ハウジングは、鋳造金属材料であり、前記出口ポートの前記第1の壁は、約5°以下の抜き勾配を有する、
請求項11記載の圧力リリーフバルブ。
【請求項13】
前記出口ポートの前記第1の壁は、約2°以下の抜き勾配を有する、
請求項12記載の圧力リリーフバルブ。
【請求項14】
前記弁ピストンの前記テーパ付き部分は、前記弁ピストンの前記縮径部分から前記頂部まで延び、前記テーパは、前記弁ピストンの前記外周部の前記壁から見て約5°〜約60°の角度を有する、
請求項11記載の圧力リリーフバルブ。
【請求項15】
前記弁ピストンの前記テーパ付き部分は、約10°〜約45°の角度を有する、
請求項14記載の圧力リリーフバルブ。
【請求項16】
前記弁ピストンの前記テーパ付き部分は、約10°の角度を有する、
請求項15記載の圧力リリーフバルブ。
【請求項17】
前記弁ピストンの前記テーパ付き部分は、約45°の角度を有する、
請求項15記載の圧力リリーフバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−215276(P2012−215276A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−117405(P2011−117405)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(509263881)マグナ パワートレイン インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】