流体中の粒子を誘導するための装置
【課題】流体中に取り込まれた粒子を誘導するための装置を提案する。
【解決手段】流体中に取り込まれた粒子を誘導するための装置は、周波数νを有する音波を生成する手段を含む第1の壁と、音波を反射することが可能な第2の対向壁とを有するチャンバを備え、第1および第2の壁は、流体通過用導管を定め、第2の壁の厚さは、第2の壁における定常波の経路長が、第2の壁中の音波の波長λrのほぼ1/2の倍数になるような厚さである。
【解決手段】流体中に取り込まれた粒子を誘導するための装置は、周波数νを有する音波を生成する手段を含む第1の壁と、音波を反射することが可能な第2の対向壁とを有するチャンバを備え、第1および第2の壁は、流体通過用導管を定め、第2の壁の厚さは、第2の壁における定常波の経路長が、第2の壁中の音波の波長λrのほぼ1/2の倍数になるような厚さである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体中の粒子を誘導するための装置に関する。本発明は、特には、流体中に単一の圧力波節点を有する超音波定常波を利用して、粒子を平面境界に誘導する装置に関するが、それに限定されない。
【背景技術】
【0002】
粒子の懸濁液を含む流体に超音波定常波を形成すると、粒子を圧力波節点または圧力波腹点の方へ誘導するように作用する力が、粒子に加えられることが知られている。特に、水性懸濁液中の細菌は、その質量密度および音の速度が水より大きいため、圧力波節点に誘導されることが知られている。対照的に、水中の油滴または気泡は、その質量密度および音の速度が水より小さいため、圧力波腹点に誘導される。
【0003】
これらの音響放射力の大きさおよび方向については、広範に議論されてきた。例えば、King、L.V.Proc.R.Soc.、1934年、London A147、212〜240ページ、Yosioka、K.and kawasima、Y.、Acustica、1995年、5、167〜173ページ、Gor’kov、L.P.、Sov.Phys.Dokl.、1962年、6、773〜775ページ、Nyborg、W.L.、J.Acoust.Soc.Am.、1967年、42、947〜952ページ、Crum、L.A.、ibid.、1971年、50、157〜163ページ、Gould、R.K.and Coakley、W.T、Proc.1973年 Symp.on Finite−Amplitude Wave Effects in Fluids(Pergamon Press、Guildford、UK 1974年)、252〜257ページ、Whitworth、G.and Coakley、W.T.、J.Acoust.Soc.Am.,1992年、91、79〜85ページ、およびGroschl M.、Fundamentals Acustica−acta acustica、1998年、84、432〜447ページを参照されたい。
【0004】
音響定常波システムにおける圧力波腹点は、一般には、音響インピーダンスが著しく異なる材料間の1つまたは複数の境界に生じることがよく知られている。例えば、圧力波腹点は、水とステンレス鋼またはガラス層との間の境界に生じる。現在までは、境界面に圧力波節点を配置することによって、粒子を境界面に誘導することは可能ではなかった。したがって、米国特許第5225089号、米国特許第5626767号、欧州特許第0633049号、および欧州特許第0380194号には、いずれも、圧力波腹点が境界面に存在する、粒子を誘導するための音響装置が開示されている。
【0005】
超音波定常波システムにおける圧力波節点の位置は、流体層に単一の波節点を有する定常波を生成することが望ましいときには、特に興味深い。そのようなシステムは、流体層の幅または厚さが、流体における定常波の波長λfの半分または4分の1であることを必要とする。
【0006】
ここではλ/2システムと称する、半波長厚みを含むシステムは、当該技術分野で知られており、Hawkes、J.J.他、in J.Acoust.Soc.Am.、2002年、111、1259〜1266ページ、およびSensors and Actuators B、2001年、75、213〜222ページによって広範に議論されている。音響チャンバは、圧電セラミックおよびステンレス鋼の透過層を有する第1の壁と、ガラスの第2の反射壁とを備える。音波の周波数は、システムにおける最大エネルギーを流体層に集中させることを確実にするために、ガラス反射板の厚さが、ガラス中の定常波の4分の1波長になるように選択される。圧電セラミックと鋼層、鋼層と流体層、および流体層とガラス壁の境界に形成された圧力波腹点は、流体層の中心に定常波に対する圧力波節点をもたらす。粒子を流体から濾過するために(Spengler、J.F.他、Bioseparation、2001年、9、329〜341ページ)、またある流体から他の流体に粒子を移動させるために(同時係属出願、英国特許出願第GB0223562.0号を参照されたい)、λ/2システムが使用された。
【0007】
ここではλ/4システムと称し、上述のシステムと類似した4分の1波長厚みを含むシステムは、これまでは実用的価値がないと考えられていた。ガラス反射板の厚さがガラスにおける定常波の4分の1波長になるように、音波の周波数を選択するという明白な要件によって、そのシステムが制約される。特に、圧力波節点は、流体層と、鋼層またはガラス壁のいずれかとの境界でのみ生じることができる。しかし、空気の音響インピーダンスが低いために、圧力波節点は、空気に接触する境界でも生じることになるため、定常波システムに位相変化が発生しうる。この位相変化は、必然的に圧電セラミックで発生するため、圧力波節点は、多くの実用的用途に望まれるように流体とガラス壁との境界ではなく、鋼層と流体との境界に形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この問題のいくつかのアプローチは、反射壁における所謂「圧力リリース」に的を絞ったものであった。特に、ガラス反射板の厚さを最小限に抑えるか、または流体と同様の音響特性を有する材料を代用する試みがなされてきた。しかし、これらのアプローチは、要求される厚さにより、反射板の製造および取扱いが困難になり、反射板が機械的衝撃で破損しやすいという点で、または定常波が生成されないという点で甚だ非実用的なものでありまたは作動しないものである。
【0009】
出願人は、驚いたことに、λ/2システムとλ/4システムの双方における周波数および/または反射板の厚さの選択が、粒子を1つまたは複数の流体境界面に誘導するのに実用的な価値を有することを見いだした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
よって、一態様において、本発明は、流体に取り込まれた粒子を誘導するための装置を提供し、装置はチャンバを備え、チャンバは、周波数νの音波を生成する手段を含む第1の壁と、音波を反射することが可能な第2の対向壁とを有し、第1および第2の壁は、流体が通過するための導管を定め、第2の壁の厚さは、第2の壁における定常波の経路長が、第2の壁中の音波の波長λrのほぼ1/2の倍数になるような厚さである。
【0011】
第2の壁の厚さ(または音波の周波数ν)を、第2の壁における定常波の経路長が約1/2λrになるように選択すると、流体境界面のいずれか一方または両方に圧力波節点が生じることが理解されるであろう。特に、第2の壁は、選択された波長で共振し、その結果として、流体に対する壁の比較的高い音響インピーダンスが、効果的に0に引き下げられることが理解されるであろう。さらに、システムにおけるエネルギーが共振する第2の壁に集中するが、波節点で粒子に作用する力の大きさは、流体における層流の方向を横切って粒子を駆動するのに十分なものである。この点で、選択された厚さまたは動作周波数では、第2の壁の共振によって生成された熱は、局所的な温度をわずかに(5℃から10℃)上昇させるにすぎないことが観察される。
【0012】
本発明は、第2の壁の厚さまたは音波の周波数νを、第2の壁における定常波の経路長が、第2の壁中の音の波長のちょうどλ/2の倍数になるような厚さまたは周波数にすることを必要としない。特に、本明細書で用いられる「ほぼ1/2λrの倍数」という用語は、経路長が、第2の壁における音の波長λrのn(1/2)倍に対する理論値の+/−5%以内である(ただし、nは偶数または1を含む奇数である)ことを意味するものと理解されるであろう。
【0013】
しかし、反射板の厚さまたは音波の周波数を、定常波の経路長が、1/2λrの倍数値になるように選択しても、局所的な温度は、音の速度、そして第2の壁における定常波の波長が、著しく変化するほど上昇してはならない。好ましくは、nの値は1から5の範囲にある。より好ましくは、第2の壁の厚さは約1/2λr(n=1)である。
【0014】
流体層に十分なエネルギーを確保する要件に従えば、第1の壁の厚さは、本発明にとって重要ではないことは理解される。好ましくは、第1の壁の厚さは、第1の壁中の音波の波長λgの1/2、または1/4の奇数倍(nは奇数)。さらにより好ましくは、第1の壁の厚さは、第1の壁中の音波の波長λgの1/2である。
【0015】
本発明の好ましい実施形態において、該装置は、音波を伝送することが可能である、第1の壁に接触する材料をさらに含む。第1の壁の内面に結合層を含めることは、当該技術分野ではよく知られている。結合層の厚さは、エネルギーの要件に従えば、本発明にとって重要ではない。しかし、好ましい厚さは、結合層中の音波の波長λtの1/2の偶数または奇数倍(nは偶数または奇数)、あるいは1/4の奇数倍(nは奇数)である。
【0016】
さらに、導管の幅は、エネルギーの要件に従えば、本発明によって制限されない。しかし、好ましくは、導管の幅は、導管中の音波の波長λfの1/2の偶数または奇数倍(nは偶数または奇数)、あるいは1/4の奇数倍(nは奇数)である。勿論、幅が、流体における音波の波長λfの1/2または1/2の倍数である場合は、複数の圧力波節点が、流体層に存在する。しかし、このシステムでは、圧力波節点は、常に流体層の境界に存在することになる。同様に、導管の幅が、流体における音波の波長λfの1/4の奇数倍である場合にも、複数の圧力波節点が、存在することになる。しかし、このシステムでは、圧力波節点は、常に流体層の第2の壁との境界に存在することになる。
【0017】
しかし、本発明の極めて好ましい実施形態では、導管の幅は、流体における音波の波長λfの1/4である。この実施形態において、単一の圧力波節点は、流体層に存在し、かつ流体層と第2の壁との境界に位置する。この実施形態は、流体における粒子が、専ら流体層と第2の壁との境界面に駆動されるという点において特に有利である。
【0018】
既に述べたように、本発明のシステムにおける定常波のエネルギーは、重要な要素である。したがって、好ましくは、周波数ν、第1および第2の壁の厚さ、ならびに導管の幅は、システムにおける定常波の全経路長(すなわちΣλr、λt、λf、λg)が、λ/2の倍数になるようにする。所望の動作周波数および厚さにおける十分なエネルギーは、第1の壁によって生成された音波の振幅を選択することによって得ることが可能である。
【0019】
本発明の好ましい実施形態において、超音波を生成することが可能な材料は、圧電セラミックを含む。これらの実施形態において、装置は、圧電セラミックに交流電位を加える手段をさらに備える。加えられた交流電位の大きさによって、音波の大きさが制御される。好ましくは、加えられた電位の周波数は、圧電セラミックの基本共振周波数または基本共振周波数の付近にある。しかし、他の周波数を用いることもできる。勿論、レーザおよび静電アクチュエータを含む他の超音波源を使用することもできる。
【0020】
透過層および第2の壁の材料は、当該技術分野に知られているような任意の材料を含むことができる。好ましくは、音波を反射することが可能な材料はガラスを含む。有利には、第2の壁は、ガラスの顕微鏡スライドを含む。透過層は、特に鋼、炭素、またはケイ素を含むことができる。
【0021】
本発明による装置は、導管を通じて流体の流れを供給する手段を備えることもできる。好ましくは、該手段はポンプなどを備える。
【0022】
本発明は、流体境界面のいずれかまたは両方への流体中の粒子の操作を可能にする。したがって、本発明は、例えばこれらの表面のうちの1つまたは複数の表面に集めることによって、粒子を流体から濾過する代替的な可能性を提供する。
【0023】
本発明の好ましい実施形態において、該装置は、チャンバの第1および/または第2の壁またはチャンバの第1および/または第2の壁の付近で粒子を検出する手段をさらに備える。
【0024】
極めて好ましい実施形態において、導管の幅は、その中の定常波の経路長が、流体における音波に波長のλfの1/4になるような幅である(λ/4システム)。この実施形態では、流体と第2の壁との境界に位置する単一の圧力波節点のみが、流体層に存在するため、検出手段は第2の壁に設けられる。
【0025】
本発明は、粒子を検出する何らかの特定の手段に限定されない。装置は、当該技術分野に知られている、粒子を検出する任意の好適な検出手段を備えることができる。しかし、好ましくは、検出手段は、細菌、ウイルス、DNA、およびタンパク質などの粒子を感知することが可能な感知媒体を含むバイオセンサを備える。さらにより好ましくは、検出手段は、光学的バイオセンサを含む。
【0026】
感知媒体は、特に、対象とする粒子に特有の捕獲剤を支持するアガロースまたはデキストランゲル基質を含むことができる。捕獲剤の好ましい形態としては、抗体またはレクチンが挙げられる。勿論、感知媒体は、他の不活性基質を含み、かつ/または様々な粒子に特有の複数の捕獲剤を支持することもできる。
【0027】
一実施形態において、第2の壁は、少なくとも一部に、感知媒体の層が設けられる。特に、第2の壁および感知手段は、表面プラズモン共鳴(SPR)センサチップ、または金属クラッド漏出導波路(MLCW)センサチップなどを備えることができる。当該チップは、チップの下側から感知媒体または流体中のエバネッセント波への入射光の結合角のシフトにより、捕獲粒子の検出を可能にする。例えば、参照により本明細書に組み込まれている同時係属特許出願PCT/GB02/045045号を参照されたい。
【0028】
検出手段は、顕微鏡、CCDビデオカメラ、および/または画像解析システムをさらに備えることができる。あるいは、またはさらに、検出手段は、検知媒体または流体中のエバネッセント波への光の結合角のシフトを検出する手段を備えることができる。検出手段は、特に、チップの上面を画像化するか、またはチップ上の粒子からの散乱または放射される光を画像化することができる。
【0029】
しかし、粒子の検出は、第2の壁またはチップが、装置から取り外せることを必ずしも必要としない。特に、SPRまたはMCLWチップは、検出を直接、かつ音波処理時に実施できることが理解されるであろう。しかし、好ましくは、振動作用を最小限に抑え、かつ/またはチップの感知媒体から散乱または放射される光を監視することによる検出を促進させるように、第2の壁またはチップを装置から取り外すことができる。チップを取り外すことによって、有利には、その交換および/または置換が可能になる。
【0030】
試料流体への粒子が集中は、感知媒体による粒子の捕獲を低下させうる凝集体の形成を促進させることがある。したがって、好ましくは、装置は、流速および圧力勾配とともに、流体における粒子の濃度を最適化する手段を含む。当該手段は、流体を濾過または希釈する手段を備えることができる。
【0031】
勿論、導管の幅の選択を、λ/4システムに限定する必要はない。特に、装置は、圧力波節点が、両流体境界面に発生するλ/2システムを代替的に含むことができる。この実施形態では、検出手段を、圧電セラミックまたは結合層および/または第2の壁に設けることができる。好ましくは、透過層または圧電セラミックに設けられた検出手段は、再生可能な生体感知媒体を備える。感知媒体の再生によって、新たな圧電セラミックまたは結合層を設ける費用を伴わずに、チャンバを複数回使用することが可能になる。
【0032】
検出を目的とした複数の圧力波節点の不利点が受け入れられるとすれば、多重のλ/4およびλ/2システムを備える他の実施形態を用いることもできる。
【0033】
本発明は、第2の態様において、流体中の粒子を検出するための方法を提供し、方法は、i)流体通過用導管をともに定める、周波数νの音波を生成する手段を含む第1の壁、および音波を反射することが可能な第2の対応壁と、第1および/または第2の壁における粒子を検出する検出手段とを備えるチャンバに流体を通す工程と、ii)第2の壁における定常波の経路長が、その中の音波の波長λrのほぼ1/2の倍数になるように周波数νを選択する工程と、iii)粒子を検出する工程とを含む。
【0034】
チャンバは、本発明の第1の態様による装置の実施形態の特徴のいずれかを備えることができる。しかし、好ましくは、チャンバにおける導管の幅は、流体における音波の波長λfの1/4で、検出手段は第2の壁に設けられる。
【0035】
粒子の最適な捕獲は、導管における流体の流速、ならびに流体における圧力勾配に応じる。流速の最適化は、一般的な実施者の技量の範囲内にある。好ましくは、流速は、導管における流れが層流で、導管における滞留時間が、感知媒体上の粒子の捕獲を最大限にすることを可能にするような流速である。しかし、圧力勾配および流速を最適化することで、好ましくは、第2の壁における粒子の捕獲の可能性を低下させうる粒子の凝集体の形成を回避すべきである。
【0036】
試料流体への粒子が集中は、感知媒体による粒子の捕獲を低下させうる凝集体の形成を促進させることがある。したがって、本方法は、流体における粒子の濃度を調整する予備的な工程を含むことができる。
【0037】
任意の好適な技術を用いて検出工程を実施することができる。好ましくは、検出工程は、表面プラズモン共鳴の如きエバネッセント技術、およびその上で粒子が捕獲される生体感知媒体を備える感知手段による。粒子を捕獲した際の媒体の局所的な屈折率の変化は、共鳴に必要な入射光の角度のシフトをもたらす。
【0038】
本発明の方法は、検出工程の前に、第2の壁および感知媒体をチャンバから取り外すさらなる工程を含むことができる。この実施形態では、振動効果を回避することができ、エバネッセント技術は、感知媒体から散乱または放射される光の検出を可能にする。あるいは、またはさらに、検出工程は、顕微鏡、ビデオカメラ、および/または画像化システムによって感知媒体上で捕獲された粒子、または捕獲粒子から発散もしくは放射された光を視覚化することを含むことができる。
【0039】
本発明の装置および方法は、表面センサへの超音波付着を通じての粒子、特に細菌またはウイルスの如き病原体の検出を向上させる。本発明は、直径が1μmのオーダの粒子に作用する超音波力が、遅い拡散速度を克服し、特に粒子を層流の流体の平行流線と交差させることができるという点において、他の装置に比べて感度を向上させる。本発明の特有の利点は、第2の壁、および結合される感知手段が、取外しおよび交換が可能な顕微鏡スライドと感知媒体の安価な構成を備えることが可能な点にある。
【0040】
次に、モデル試験、好ましい実施形態および添付の図面を参照しながら、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による音響チャンバを示す概略図である。
【図2】チャンバにおける音響圧力およびエネルギーの分布を、λ/2システムのいくつかの代替的な構成と関連づけたモデル試験の結果を示す図である。
【図3】チャンバにおける音響圧力およびエネルギーの分布を、λ/4システムのいくつかの代替的な構成と関連づけたモデル試験の結果を示す図である。
【図4】流体層における音響エネルギーの周波数を、図2の構成と関連づけたモデル試験の結果を示す図である。
【図5】流体層における音響エネルギーの周波数を、図3の構成と関連づけたモデル試験の結果を示す図である。
【図6】本発明の好ましい実施形態による装置の分解図である。
【図7a】図6の装置を使用した枯草菌バラニガー(B.globiggi)胞子の集合を示す写真を示す図である。
【図7b】図6の装置を使用した枯草菌バラニガー(B.globiggi)胞子の集合を示す写真を示す図である。
【図7c】図6の装置を使用した枯草菌バラニガー(B.globiggi)胞子の集合を示す写真を示す図である。
【図7d】図6の装置を使用した枯草菌バラニガー(B.globiggi)胞子の集合を示す写真を示す図である。
【図8a】様々な試料濃度および滞留時間におけるB.globiggiの集合を示す写真を示す図である。
【図8b】様々な試料濃度および滞留時間におけるB.globiggiの集合を示す写真を示す図である。
【図8c】様々な試料濃度および滞留時間におけるB.globiggiの集合を示す写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
ここで図1を参照すると、圧電セラミックを含む第1の変換器壁12と、ステンレス鋼を含む透過層13と、やはりステンレス鋼を含む第2の反射壁14とを備える、一般に11で示される音響チャンバが示されている。第1および第2の壁は、水層の通過用導管15を定める。
【0043】
該システムを通じての音響波の伝搬をシミュレートする、Nowotny、H他、in J.Acoust.Soc.Am.、1987年、90、1238〜1245ページに記載されている伝送マトリクスモデルを、音響チャンバのいくつかの構成に対して実行した。モデル化した材料の物理特性を、表1に示す(そのモデルは、最近、Hawkes、J.J.他、ibid.2002年、111、1259ページおよびGrolschl、M.Fundamentals Acustica−acta Acustica、1998年、84、432〜447ページにより実験的に実証された)。
【0044】
チャンバ壁間の所望の圧力波節点の位置を調べた。先の適合品質係数の結果は、水層および圧電セラミックに対してそれぞれ150および350であったが、異なる層に対して基本周波数が3MHzで、音響品質係数が1000のシステムを想定した。ただし、10000を上回る純水、および使用される圧電セラミックに対する値には引用符号が付されている。圧電セラミックは、振幅1Vの電源電圧、および50オームの電源抵抗を有するものと想定された。そのモデルには、透過層を圧電セラミックに固定するのに使用される接着層が考慮されていない。
【0045】
透過層および反射板の厚さを、3MHzでモデル化し、値を、λ/2またはλ/4または0に厳密に対応させる。導管の幅または水層の厚さを、3MHzでモデル化し、値を、1/2λfおよび1/4λfに厳密に対応させた。これらの寸法(mm)も表1に示されている。結果は、これらの層の厚さが1/2λおよび1/4λの倍数に対応するシステムの場合と同様であると想定される。例えば、1/4λ層は、3/4λ、5/4λ層等と同様の挙動を示すものと想定されるのに対して、1/2λは、3/2λ、5/2λ層等の同様の挙動を示すものと想定される。しかし、様々な層における定常波の経路長を大きくすると、周波数スペクトルが変化して、ピークを互いに近接させる(図4および図5を参照のこと)。
【表1】
【0046】
次に図2から図6を参照すると、3MHzにおける各相の定常波の経路長を、その中の音の波長のゼロ(0)、4分の1(Q)および半分(H)で表す用語法に従って、調査した多数の構成を参照する。圧電セラミックの厚さは、すべて半波長でモデル化されたため、図では参照されていない。表現「0HQ」は、透過層が存在しない構成を示し、水層および反射板の厚さは、それぞれ半波長(λf0.25mm)および4分の1波長(λf0.508mm)の経路長に対応することが理解されるであろう。
【0047】
そのモデルは、流体境界面のいずれかまたは両方における水層内の圧力波節点の位置に対して調査したものである。次に図2を参照すると、λ/4システム(0.125mm、横座標に沿ってmmで示される厚さ)の9つのすべての可能な構成についての、音響圧力の空間分布(左側、kPa)およびエネルギー密度(右側、J/m3)に対する結果が示されている。垂直の線は、各システムにおける境界位置を示す。
【0048】
(左側の欄に)見られるように、第2の壁が存在しないことで、想定できるように、このシステムにおける流体層と空気との境界に圧力波節点がもたらされる。第2の壁が存在しないことは、これら3つの構成が、粒子の検出に対して真の実質的価値を有さないことを意味する。1/4λrの経路長を与える厚さの反射板(中央の欄)は、流体層と変換器との境界に圧力波節点をもたらす。しかし、1/2λrの経路長を与える厚さの反射板(右側の欄)は、反射板表面または反射板表面の付近で流体中に圧力波節点をもたらす。
【0049】
次に図3を参照すると、音響圧力の空間分布(左側、kPa)、およびλ/2システム(0.25mm、横座標に沿ってmmで示される厚さ)の9つのすべての可能な構成についてのエネルギー分布(右側、J/m3)に対する結果が示されている。垂直の線は、各システムにおける境界の位置を表す。
【0050】
(左側の欄に)見られるように、第2の壁が存在しないことで、λ/4システムと比較して、変換器と水層の境界にさらなる圧力波節点がもたらされる。1/4λrの経路長を与える厚さの反射板(中央の欄、従来技術)は、水層の中央に波節点をもたらす。しかし、1/2λrの経路長を与える厚さの反射板(右側の欄)は、反射板および変換器またはその付近において流体中に圧力波節点をもたらす。
【0051】
したがって、そのモデルは、反射板が存在しない、または1/2λrの経路長を与える反射板が存在する構成(xy0またはxyH構成)では、水層の外部境界に常に圧力波節点が存在することを示している。さらに、そのモデルは、水層が1/2λfの経路長を与える構成(xH0またはxHH構成)では、水層の下部境界にさらなる圧力波節点が存在することを示している。水層の中央の圧力波節点は、1/2λfの経路長を与える水層と1/4λrの経路長を与える反射板との組合せに対してのみ生じる。
【0052】
図2および図3の圧力スケールからわかるように、得られた音響圧力は、システムの全音響経路長が、λ/2の倍数(0QQ、QQ0、QQH、HQQ、および0H0、0HH、QHQ、HH0、HHH)である場合に特に高くなる。
【0053】
しかし、水層における音響エネルギー密度は、反射板の厚さにも応じる。1/2λrの厚さの反射板では、これらの構成に対して、変位振幅は、水層付近の両層において同じ最大値を有するため、音響エネルギーは、水層よりも反射板の方がはるかに大きくなる。これは、水と反射板との界面で加えられるべき変位に対する連続性の条件に起因する。
【0054】
次に図4および図5を参照すると、それぞれ図2および図3のシステム構成に対する水層における音響エネルギー密度の周波数スペクトルが示されている。ここに見られるように、水層における最大音響エネルギーは、システムにおける全音響経路長が、λ/2の倍数であるすべての構成について、圧電共振周波数が3MHzの場合に得られる。しかし、この点に関して、エネルギー密度は、印加電圧とシステムへの全電気入力との関数でもあるため、それらの図におけるエネルギーは、特定の構成の効率を完全に示すものではないことがわかるであろう。にもかかわらず、最良の構成は、0QQ、QQ0、QQH、HQQ、および0H0、QHQ、HH0であることは明らかである。
【0055】
集約すると、そのモデルの結果は、粒子を反射板に誘導するための最も効率的な構成はQQHであることを示唆している。0QHおよびHQHに対する結果は、それぞれ0QQおよびHQQ(全音響経路長がλ/2の倍数)に対して得られた結果に極めて類似しているが、その類似性は、明らかに、50オーム電源抵抗によって生じる平滑効果によるものである。その効果は、構成0QHについてのゼロ電源抵抗に対するエネルギー密度スペクトルは、例えば二重ピークを有する曲線(図示せず)であることから明らかである。二重ピークは、3MHzにおける全音響経路が、λ/2の倍数にならない構成に特有のものである。
【0056】
経路長基準を満たさない他の構成は、3MHz(0Q0、HQ0、0HQ、またはHHQ)付近に二重ピークを示すか、または3MHz(QQQ、QH0)の遙か下または上にピークを示す。しかし、構成0HHおよびHHHは、3MHzにおいて経路長基準を満たしていても、3MHzにおいて非常に小さいピークを示すとともに、両側に2つのより大きいピークを示す。その効果は、3MHzでは、共鳴器インピーダンスに比べて大きい電源抵抗の平滑効果に起因するようである。
【0057】
モデルは、透過層と、炭素(音の速度:4260m/s、質量密度:1470kg/m3)、またはケイ素(音の速度:8430m/s、質量密度:2340kg/m3)から構成される反射板とでは、圧力波節点位置および周波数スペクトルに対して同様の結果を与える。モデルは、(特に構成0HHおよびHHHにおいて)反射板における音波の経路長が、1/4λrから1/2λrに変化すると、粒子が中央からチャンバの壁に移動しうることを示唆している。さらに、粒子は、1つの壁から他の壁にも移動しうる。モデルは、圧電セラミックの基本共振で動作するのが有利であることをさらに示唆している。しかし、他の動作周波数は、必ずしも除外されるものではなく、何らかの有用なシステムを生むこともある。
【0058】
構成QQHのシステムを使用して、モデルを実験的に変化させた。次に図6を参照すると、ステンレス鋼結合板13(1.5mm、3MHzにおいて3λt/4)が接着された、平面形超音波変換器(PZ26、30平方ミリメートル、3MHz厚の共振、Ferroperm、デンマーク)によって形成された電極12を備えた音響チャンバが示されている。中央の20mm×10mmの変換器領域を与えるように、電極12の背面がエッチングされている。
【0059】
抗体塗布ガラス顕微鏡スライド(1.0mm、B.globiggiに特有の抗体)を備えた対向平面形ガラス音響反射板14が、ねじ18で固定された真鍮シムスペーサ16および真鍮上板17によって所定の位置に保持されている。真鍮シムスペーサ16(0.125μm)は、結合板13とガラス反射板14との間に配置され、窓または視野(14mm×64mm)を与える開口19を備える。窓19の内部に位置するシリコンゴムガスケット(図示せず)は、流体通過用導管(10mm×60mm)を定め、スライド14と結合板13との間に空気および水シールを形成する。チャンバは、ねじ18によってPerspex(登録商標)基板20に固定される。基板20には、試料通過用入口21および出口22と、変換器に電位を加えるためのコネクタ23とが設けられる。B.globiggiの懸濁液をチャネルにポンプで送るために、蠕動ポンプ(図示せず、Gilsonミニパルス3)が配置される。周波数、および変換器に印加される電圧の生成および制御は、Spengler J.F.他、Bioseparation、2001年、9、329〜341ページ、およびHawkes J.J.およびCoakley、W.T.、Sensors and Actuators、2001年、B、75、213〜222ページに従って行われる。
【0060】
予めシラン処理したスライド(SILANE−PREP(商標)、Sigma)を、脱イオン水に溶解させた1%グルタルアルデヒド溶液に、1時間から3時間にわたって浸すことによって、抗体塗布顕微鏡スライドを調製した。そのスライドを、リン酸緩衝シラン(PBS、5回)で洗浄し、窒素流で乾燥した。PBS(200μl)に溶解させた100μg/mlポリクロナルラビットα−BG抗体溶液を、スライドの中央領域(10mm×20mm)に塗布した。3時間靜置した後、0.05%Tween(商標)を含むPBS溶液でスライドを洗浄し、過剰の溶液を排出した。
【0061】
スライドの抗体塗布領域の領域は、変換器のエッチングされた部分より大きい領域を包含し、超音波フィールドの上流側および下流側での付着を調べることも可能にする。ビデオカメラおよび/または顕微鏡を使用して、実験時、またはその後スライドを除去するときに視野を調べた。
(実施例)
【0062】
PBSに溶解した2×1010c.f.u.ml−1の濃縮溶液(pH7.4)を希釈することによって、B.globiggi24の胞子懸濁液を調製した。使用前に、1×108から1×105cfu ml−1の希釈液を、血球計算器のカウントによって確認した。
【0063】
水のポリスチレンラテックスビーズ(2.8μm)懸濁液(10%w/v、ポリマーラボラトリーズ、英国)を、蒸留水で8×106ビーズml−1の濃度まで希釈した。
【実施例1】
【0064】
ラテックスビーズ溶液に対する周波数走査によって、チャネル幅が178μmである装置(A)については、粒子を反射板表面に駆動するための最適な周波数は、2.915MHzであることが示された。チャネル幅が200μmである装置(B)については、最適な周波数は2.882Hzであった。これらのシステムにおける水層中の定常波の経路長は、水の中の音の速度のλ/4とλ/2の間にある。これらの周波数を、次の実験に採用した。
【実施例2】
【0065】
装置A
胞子の懸濁液(1×108cfu ml−1)を、2ml/分の流速で装置に通した。超音波不在下で、懸濁液全体を通じて均一な濃度で、胞子を、視野を横切ってランダムに分散させた。胞子と反射板の接触は認められなかった。しかし、超音波をオンに切り換えると(0.8Vrmsを変換器に印加すると)、1秒間以内に超音波フィールドの領域に胞子凝集体が形成した。胞子は、流れに対して静止状態を保ち、凝集体のサイズは、フィールドにおける滞留時間が長くなるにつれて大きくなった。スライドを装置から除去すると、結合された胞子のみが付着されていることが確認された。
【0066】
超音波処理時の反射板表面への胞子の付着は、領域間の間隔が、水中の音の半波長(2.90MHzで0.26mm)に対応する規則的な付着領域のパターンを示していた。この結果は、スライドの個別的な部分への付着を達成する可能性を示唆するものである。各々の領域において、胞子は、利用可能な表面領域の40%から95%に付着していた。チャンバにおける胞子凝集体の全体位置は、超音波暴露を通じて変化しなかった。これらの領域に的を絞ってさらなる実験を行った。
【0067】
次に図7を参照すると、視野におけるチャンバの特定領域に対する胞子(1×108cfu ml−1)の付着が示されている。胞子が超音波フィールドの領域に達する前は、ほとんどまたは全く付着していなかったのに対して(図7a)、フィールド内では付着が最大であった(図7bの縁および図7cの中央)。そのフィールドを超えた抗体層には、少ない数の胞子が付着していた(図7d)。
【実施例3】
【0068】
圧電セラミックへの印加電圧を変化させた。0.2Vrmsでは、装置Aにおける胞子(1×108cfu ml−1)の付着は、0.5Vrmsでの付着に比べて無視できる程度であった。この装置における実験を、0.8Vrmsで続けた。装置Bについても同様に観察されたため3.5Vrmsを選択した。
【実施例4】
【0069】
装置B
図8を参照すると、濃度および3分および30分に6.6×106cfu ml−1の試料を超音波暴露し(0.4ml/分の流速で3.5Vrms)、スライドを装置から取り外した後に、抗体塗布スライドへの胞子付着を比較した。暴露時は、付着が着実に増加する(図8a:0分、図8b:3分、図8c:30分)。
【実施例5】
【0070】
装置B
超音波後に装置から取り外されたスライド上で顕微鏡により見ることができる胞子の最低濃度は、3.3×105cfu ml−1と判断された。図は、超音波を使用しない検出に比べて、感度が200倍に高められることを示している。
【0071】
実験結果は、境界面への粒子の超音波操作が可能であるというモデルの想定を裏づけるものである。特に、それらは、粒子に作用する音響力は、粒子を層流の方向に対して直角に移動させるのに十分であることを裏づけるものである。それらの結果は、(導管の幅のばらつきが約10%である)両装置によって得られた結果の類似性に鑑みて、最適な移動は、流体層における定常波の経路長に応じないことをも裏づけるものである。
【0072】
より良好な共鳴をもたらす反射板の最適な構成を通じて、(約1×104cfu ml−1の胞子濃度に対して)より高い感度を与える良好な実験結果が想定される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体中の粒子を誘導するための装置に関する。本発明は、特には、流体中に単一の圧力波節点を有する超音波定常波を利用して、粒子を平面境界に誘導する装置に関するが、それに限定されない。
【背景技術】
【0002】
粒子の懸濁液を含む流体に超音波定常波を形成すると、粒子を圧力波節点または圧力波腹点の方へ誘導するように作用する力が、粒子に加えられることが知られている。特に、水性懸濁液中の細菌は、その質量密度および音の速度が水より大きいため、圧力波節点に誘導されることが知られている。対照的に、水中の油滴または気泡は、その質量密度および音の速度が水より小さいため、圧力波腹点に誘導される。
【0003】
これらの音響放射力の大きさおよび方向については、広範に議論されてきた。例えば、King、L.V.Proc.R.Soc.、1934年、London A147、212〜240ページ、Yosioka、K.and kawasima、Y.、Acustica、1995年、5、167〜173ページ、Gor’kov、L.P.、Sov.Phys.Dokl.、1962年、6、773〜775ページ、Nyborg、W.L.、J.Acoust.Soc.Am.、1967年、42、947〜952ページ、Crum、L.A.、ibid.、1971年、50、157〜163ページ、Gould、R.K.and Coakley、W.T、Proc.1973年 Symp.on Finite−Amplitude Wave Effects in Fluids(Pergamon Press、Guildford、UK 1974年)、252〜257ページ、Whitworth、G.and Coakley、W.T.、J.Acoust.Soc.Am.,1992年、91、79〜85ページ、およびGroschl M.、Fundamentals Acustica−acta acustica、1998年、84、432〜447ページを参照されたい。
【0004】
音響定常波システムにおける圧力波腹点は、一般には、音響インピーダンスが著しく異なる材料間の1つまたは複数の境界に生じることがよく知られている。例えば、圧力波腹点は、水とステンレス鋼またはガラス層との間の境界に生じる。現在までは、境界面に圧力波節点を配置することによって、粒子を境界面に誘導することは可能ではなかった。したがって、米国特許第5225089号、米国特許第5626767号、欧州特許第0633049号、および欧州特許第0380194号には、いずれも、圧力波腹点が境界面に存在する、粒子を誘導するための音響装置が開示されている。
【0005】
超音波定常波システムにおける圧力波節点の位置は、流体層に単一の波節点を有する定常波を生成することが望ましいときには、特に興味深い。そのようなシステムは、流体層の幅または厚さが、流体における定常波の波長λfの半分または4分の1であることを必要とする。
【0006】
ここではλ/2システムと称する、半波長厚みを含むシステムは、当該技術分野で知られており、Hawkes、J.J.他、in J.Acoust.Soc.Am.、2002年、111、1259〜1266ページ、およびSensors and Actuators B、2001年、75、213〜222ページによって広範に議論されている。音響チャンバは、圧電セラミックおよびステンレス鋼の透過層を有する第1の壁と、ガラスの第2の反射壁とを備える。音波の周波数は、システムにおける最大エネルギーを流体層に集中させることを確実にするために、ガラス反射板の厚さが、ガラス中の定常波の4分の1波長になるように選択される。圧電セラミックと鋼層、鋼層と流体層、および流体層とガラス壁の境界に形成された圧力波腹点は、流体層の中心に定常波に対する圧力波節点をもたらす。粒子を流体から濾過するために(Spengler、J.F.他、Bioseparation、2001年、9、329〜341ページ)、またある流体から他の流体に粒子を移動させるために(同時係属出願、英国特許出願第GB0223562.0号を参照されたい)、λ/2システムが使用された。
【0007】
ここではλ/4システムと称し、上述のシステムと類似した4分の1波長厚みを含むシステムは、これまでは実用的価値がないと考えられていた。ガラス反射板の厚さがガラスにおける定常波の4分の1波長になるように、音波の周波数を選択するという明白な要件によって、そのシステムが制約される。特に、圧力波節点は、流体層と、鋼層またはガラス壁のいずれかとの境界でのみ生じることができる。しかし、空気の音響インピーダンスが低いために、圧力波節点は、空気に接触する境界でも生じることになるため、定常波システムに位相変化が発生しうる。この位相変化は、必然的に圧電セラミックで発生するため、圧力波節点は、多くの実用的用途に望まれるように流体とガラス壁との境界ではなく、鋼層と流体との境界に形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この問題のいくつかのアプローチは、反射壁における所謂「圧力リリース」に的を絞ったものであった。特に、ガラス反射板の厚さを最小限に抑えるか、または流体と同様の音響特性を有する材料を代用する試みがなされてきた。しかし、これらのアプローチは、要求される厚さにより、反射板の製造および取扱いが困難になり、反射板が機械的衝撃で破損しやすいという点で、または定常波が生成されないという点で甚だ非実用的なものでありまたは作動しないものである。
【0009】
出願人は、驚いたことに、λ/2システムとλ/4システムの双方における周波数および/または反射板の厚さの選択が、粒子を1つまたは複数の流体境界面に誘導するのに実用的な価値を有することを見いだした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
よって、一態様において、本発明は、流体に取り込まれた粒子を誘導するための装置を提供し、装置はチャンバを備え、チャンバは、周波数νの音波を生成する手段を含む第1の壁と、音波を反射することが可能な第2の対向壁とを有し、第1および第2の壁は、流体が通過するための導管を定め、第2の壁の厚さは、第2の壁における定常波の経路長が、第2の壁中の音波の波長λrのほぼ1/2の倍数になるような厚さである。
【0011】
第2の壁の厚さ(または音波の周波数ν)を、第2の壁における定常波の経路長が約1/2λrになるように選択すると、流体境界面のいずれか一方または両方に圧力波節点が生じることが理解されるであろう。特に、第2の壁は、選択された波長で共振し、その結果として、流体に対する壁の比較的高い音響インピーダンスが、効果的に0に引き下げられることが理解されるであろう。さらに、システムにおけるエネルギーが共振する第2の壁に集中するが、波節点で粒子に作用する力の大きさは、流体における層流の方向を横切って粒子を駆動するのに十分なものである。この点で、選択された厚さまたは動作周波数では、第2の壁の共振によって生成された熱は、局所的な温度をわずかに(5℃から10℃)上昇させるにすぎないことが観察される。
【0012】
本発明は、第2の壁の厚さまたは音波の周波数νを、第2の壁における定常波の経路長が、第2の壁中の音の波長のちょうどλ/2の倍数になるような厚さまたは周波数にすることを必要としない。特に、本明細書で用いられる「ほぼ1/2λrの倍数」という用語は、経路長が、第2の壁における音の波長λrのn(1/2)倍に対する理論値の+/−5%以内である(ただし、nは偶数または1を含む奇数である)ことを意味するものと理解されるであろう。
【0013】
しかし、反射板の厚さまたは音波の周波数を、定常波の経路長が、1/2λrの倍数値になるように選択しても、局所的な温度は、音の速度、そして第2の壁における定常波の波長が、著しく変化するほど上昇してはならない。好ましくは、nの値は1から5の範囲にある。より好ましくは、第2の壁の厚さは約1/2λr(n=1)である。
【0014】
流体層に十分なエネルギーを確保する要件に従えば、第1の壁の厚さは、本発明にとって重要ではないことは理解される。好ましくは、第1の壁の厚さは、第1の壁中の音波の波長λgの1/2、または1/4の奇数倍(nは奇数)。さらにより好ましくは、第1の壁の厚さは、第1の壁中の音波の波長λgの1/2である。
【0015】
本発明の好ましい実施形態において、該装置は、音波を伝送することが可能である、第1の壁に接触する材料をさらに含む。第1の壁の内面に結合層を含めることは、当該技術分野ではよく知られている。結合層の厚さは、エネルギーの要件に従えば、本発明にとって重要ではない。しかし、好ましい厚さは、結合層中の音波の波長λtの1/2の偶数または奇数倍(nは偶数または奇数)、あるいは1/4の奇数倍(nは奇数)である。
【0016】
さらに、導管の幅は、エネルギーの要件に従えば、本発明によって制限されない。しかし、好ましくは、導管の幅は、導管中の音波の波長λfの1/2の偶数または奇数倍(nは偶数または奇数)、あるいは1/4の奇数倍(nは奇数)である。勿論、幅が、流体における音波の波長λfの1/2または1/2の倍数である場合は、複数の圧力波節点が、流体層に存在する。しかし、このシステムでは、圧力波節点は、常に流体層の境界に存在することになる。同様に、導管の幅が、流体における音波の波長λfの1/4の奇数倍である場合にも、複数の圧力波節点が、存在することになる。しかし、このシステムでは、圧力波節点は、常に流体層の第2の壁との境界に存在することになる。
【0017】
しかし、本発明の極めて好ましい実施形態では、導管の幅は、流体における音波の波長λfの1/4である。この実施形態において、単一の圧力波節点は、流体層に存在し、かつ流体層と第2の壁との境界に位置する。この実施形態は、流体における粒子が、専ら流体層と第2の壁との境界面に駆動されるという点において特に有利である。
【0018】
既に述べたように、本発明のシステムにおける定常波のエネルギーは、重要な要素である。したがって、好ましくは、周波数ν、第1および第2の壁の厚さ、ならびに導管の幅は、システムにおける定常波の全経路長(すなわちΣλr、λt、λf、λg)が、λ/2の倍数になるようにする。所望の動作周波数および厚さにおける十分なエネルギーは、第1の壁によって生成された音波の振幅を選択することによって得ることが可能である。
【0019】
本発明の好ましい実施形態において、超音波を生成することが可能な材料は、圧電セラミックを含む。これらの実施形態において、装置は、圧電セラミックに交流電位を加える手段をさらに備える。加えられた交流電位の大きさによって、音波の大きさが制御される。好ましくは、加えられた電位の周波数は、圧電セラミックの基本共振周波数または基本共振周波数の付近にある。しかし、他の周波数を用いることもできる。勿論、レーザおよび静電アクチュエータを含む他の超音波源を使用することもできる。
【0020】
透過層および第2の壁の材料は、当該技術分野に知られているような任意の材料を含むことができる。好ましくは、音波を反射することが可能な材料はガラスを含む。有利には、第2の壁は、ガラスの顕微鏡スライドを含む。透過層は、特に鋼、炭素、またはケイ素を含むことができる。
【0021】
本発明による装置は、導管を通じて流体の流れを供給する手段を備えることもできる。好ましくは、該手段はポンプなどを備える。
【0022】
本発明は、流体境界面のいずれかまたは両方への流体中の粒子の操作を可能にする。したがって、本発明は、例えばこれらの表面のうちの1つまたは複数の表面に集めることによって、粒子を流体から濾過する代替的な可能性を提供する。
【0023】
本発明の好ましい実施形態において、該装置は、チャンバの第1および/または第2の壁またはチャンバの第1および/または第2の壁の付近で粒子を検出する手段をさらに備える。
【0024】
極めて好ましい実施形態において、導管の幅は、その中の定常波の経路長が、流体における音波に波長のλfの1/4になるような幅である(λ/4システム)。この実施形態では、流体と第2の壁との境界に位置する単一の圧力波節点のみが、流体層に存在するため、検出手段は第2の壁に設けられる。
【0025】
本発明は、粒子を検出する何らかの特定の手段に限定されない。装置は、当該技術分野に知られている、粒子を検出する任意の好適な検出手段を備えることができる。しかし、好ましくは、検出手段は、細菌、ウイルス、DNA、およびタンパク質などの粒子を感知することが可能な感知媒体を含むバイオセンサを備える。さらにより好ましくは、検出手段は、光学的バイオセンサを含む。
【0026】
感知媒体は、特に、対象とする粒子に特有の捕獲剤を支持するアガロースまたはデキストランゲル基質を含むことができる。捕獲剤の好ましい形態としては、抗体またはレクチンが挙げられる。勿論、感知媒体は、他の不活性基質を含み、かつ/または様々な粒子に特有の複数の捕獲剤を支持することもできる。
【0027】
一実施形態において、第2の壁は、少なくとも一部に、感知媒体の層が設けられる。特に、第2の壁および感知手段は、表面プラズモン共鳴(SPR)センサチップ、または金属クラッド漏出導波路(MLCW)センサチップなどを備えることができる。当該チップは、チップの下側から感知媒体または流体中のエバネッセント波への入射光の結合角のシフトにより、捕獲粒子の検出を可能にする。例えば、参照により本明細書に組み込まれている同時係属特許出願PCT/GB02/045045号を参照されたい。
【0028】
検出手段は、顕微鏡、CCDビデオカメラ、および/または画像解析システムをさらに備えることができる。あるいは、またはさらに、検出手段は、検知媒体または流体中のエバネッセント波への光の結合角のシフトを検出する手段を備えることができる。検出手段は、特に、チップの上面を画像化するか、またはチップ上の粒子からの散乱または放射される光を画像化することができる。
【0029】
しかし、粒子の検出は、第2の壁またはチップが、装置から取り外せることを必ずしも必要としない。特に、SPRまたはMCLWチップは、検出を直接、かつ音波処理時に実施できることが理解されるであろう。しかし、好ましくは、振動作用を最小限に抑え、かつ/またはチップの感知媒体から散乱または放射される光を監視することによる検出を促進させるように、第2の壁またはチップを装置から取り外すことができる。チップを取り外すことによって、有利には、その交換および/または置換が可能になる。
【0030】
試料流体への粒子が集中は、感知媒体による粒子の捕獲を低下させうる凝集体の形成を促進させることがある。したがって、好ましくは、装置は、流速および圧力勾配とともに、流体における粒子の濃度を最適化する手段を含む。当該手段は、流体を濾過または希釈する手段を備えることができる。
【0031】
勿論、導管の幅の選択を、λ/4システムに限定する必要はない。特に、装置は、圧力波節点が、両流体境界面に発生するλ/2システムを代替的に含むことができる。この実施形態では、検出手段を、圧電セラミックまたは結合層および/または第2の壁に設けることができる。好ましくは、透過層または圧電セラミックに設けられた検出手段は、再生可能な生体感知媒体を備える。感知媒体の再生によって、新たな圧電セラミックまたは結合層を設ける費用を伴わずに、チャンバを複数回使用することが可能になる。
【0032】
検出を目的とした複数の圧力波節点の不利点が受け入れられるとすれば、多重のλ/4およびλ/2システムを備える他の実施形態を用いることもできる。
【0033】
本発明は、第2の態様において、流体中の粒子を検出するための方法を提供し、方法は、i)流体通過用導管をともに定める、周波数νの音波を生成する手段を含む第1の壁、および音波を反射することが可能な第2の対応壁と、第1および/または第2の壁における粒子を検出する検出手段とを備えるチャンバに流体を通す工程と、ii)第2の壁における定常波の経路長が、その中の音波の波長λrのほぼ1/2の倍数になるように周波数νを選択する工程と、iii)粒子を検出する工程とを含む。
【0034】
チャンバは、本発明の第1の態様による装置の実施形態の特徴のいずれかを備えることができる。しかし、好ましくは、チャンバにおける導管の幅は、流体における音波の波長λfの1/4で、検出手段は第2の壁に設けられる。
【0035】
粒子の最適な捕獲は、導管における流体の流速、ならびに流体における圧力勾配に応じる。流速の最適化は、一般的な実施者の技量の範囲内にある。好ましくは、流速は、導管における流れが層流で、導管における滞留時間が、感知媒体上の粒子の捕獲を最大限にすることを可能にするような流速である。しかし、圧力勾配および流速を最適化することで、好ましくは、第2の壁における粒子の捕獲の可能性を低下させうる粒子の凝集体の形成を回避すべきである。
【0036】
試料流体への粒子が集中は、感知媒体による粒子の捕獲を低下させうる凝集体の形成を促進させることがある。したがって、本方法は、流体における粒子の濃度を調整する予備的な工程を含むことができる。
【0037】
任意の好適な技術を用いて検出工程を実施することができる。好ましくは、検出工程は、表面プラズモン共鳴の如きエバネッセント技術、およびその上で粒子が捕獲される生体感知媒体を備える感知手段による。粒子を捕獲した際の媒体の局所的な屈折率の変化は、共鳴に必要な入射光の角度のシフトをもたらす。
【0038】
本発明の方法は、検出工程の前に、第2の壁および感知媒体をチャンバから取り外すさらなる工程を含むことができる。この実施形態では、振動効果を回避することができ、エバネッセント技術は、感知媒体から散乱または放射される光の検出を可能にする。あるいは、またはさらに、検出工程は、顕微鏡、ビデオカメラ、および/または画像化システムによって感知媒体上で捕獲された粒子、または捕獲粒子から発散もしくは放射された光を視覚化することを含むことができる。
【0039】
本発明の装置および方法は、表面センサへの超音波付着を通じての粒子、特に細菌またはウイルスの如き病原体の検出を向上させる。本発明は、直径が1μmのオーダの粒子に作用する超音波力が、遅い拡散速度を克服し、特に粒子を層流の流体の平行流線と交差させることができるという点において、他の装置に比べて感度を向上させる。本発明の特有の利点は、第2の壁、および結合される感知手段が、取外しおよび交換が可能な顕微鏡スライドと感知媒体の安価な構成を備えることが可能な点にある。
【0040】
次に、モデル試験、好ましい実施形態および添付の図面を参照しながら、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による音響チャンバを示す概略図である。
【図2】チャンバにおける音響圧力およびエネルギーの分布を、λ/2システムのいくつかの代替的な構成と関連づけたモデル試験の結果を示す図である。
【図3】チャンバにおける音響圧力およびエネルギーの分布を、λ/4システムのいくつかの代替的な構成と関連づけたモデル試験の結果を示す図である。
【図4】流体層における音響エネルギーの周波数を、図2の構成と関連づけたモデル試験の結果を示す図である。
【図5】流体層における音響エネルギーの周波数を、図3の構成と関連づけたモデル試験の結果を示す図である。
【図6】本発明の好ましい実施形態による装置の分解図である。
【図7a】図6の装置を使用した枯草菌バラニガー(B.globiggi)胞子の集合を示す写真を示す図である。
【図7b】図6の装置を使用した枯草菌バラニガー(B.globiggi)胞子の集合を示す写真を示す図である。
【図7c】図6の装置を使用した枯草菌バラニガー(B.globiggi)胞子の集合を示す写真を示す図である。
【図7d】図6の装置を使用した枯草菌バラニガー(B.globiggi)胞子の集合を示す写真を示す図である。
【図8a】様々な試料濃度および滞留時間におけるB.globiggiの集合を示す写真を示す図である。
【図8b】様々な試料濃度および滞留時間におけるB.globiggiの集合を示す写真を示す図である。
【図8c】様々な試料濃度および滞留時間におけるB.globiggiの集合を示す写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
ここで図1を参照すると、圧電セラミックを含む第1の変換器壁12と、ステンレス鋼を含む透過層13と、やはりステンレス鋼を含む第2の反射壁14とを備える、一般に11で示される音響チャンバが示されている。第1および第2の壁は、水層の通過用導管15を定める。
【0043】
該システムを通じての音響波の伝搬をシミュレートする、Nowotny、H他、in J.Acoust.Soc.Am.、1987年、90、1238〜1245ページに記載されている伝送マトリクスモデルを、音響チャンバのいくつかの構成に対して実行した。モデル化した材料の物理特性を、表1に示す(そのモデルは、最近、Hawkes、J.J.他、ibid.2002年、111、1259ページおよびGrolschl、M.Fundamentals Acustica−acta Acustica、1998年、84、432〜447ページにより実験的に実証された)。
【0044】
チャンバ壁間の所望の圧力波節点の位置を調べた。先の適合品質係数の結果は、水層および圧電セラミックに対してそれぞれ150および350であったが、異なる層に対して基本周波数が3MHzで、音響品質係数が1000のシステムを想定した。ただし、10000を上回る純水、および使用される圧電セラミックに対する値には引用符号が付されている。圧電セラミックは、振幅1Vの電源電圧、および50オームの電源抵抗を有するものと想定された。そのモデルには、透過層を圧電セラミックに固定するのに使用される接着層が考慮されていない。
【0045】
透過層および反射板の厚さを、3MHzでモデル化し、値を、λ/2またはλ/4または0に厳密に対応させる。導管の幅または水層の厚さを、3MHzでモデル化し、値を、1/2λfおよび1/4λfに厳密に対応させた。これらの寸法(mm)も表1に示されている。結果は、これらの層の厚さが1/2λおよび1/4λの倍数に対応するシステムの場合と同様であると想定される。例えば、1/4λ層は、3/4λ、5/4λ層等と同様の挙動を示すものと想定されるのに対して、1/2λは、3/2λ、5/2λ層等の同様の挙動を示すものと想定される。しかし、様々な層における定常波の経路長を大きくすると、周波数スペクトルが変化して、ピークを互いに近接させる(図4および図5を参照のこと)。
【表1】
【0046】
次に図2から図6を参照すると、3MHzにおける各相の定常波の経路長を、その中の音の波長のゼロ(0)、4分の1(Q)および半分(H)で表す用語法に従って、調査した多数の構成を参照する。圧電セラミックの厚さは、すべて半波長でモデル化されたため、図では参照されていない。表現「0HQ」は、透過層が存在しない構成を示し、水層および反射板の厚さは、それぞれ半波長(λf0.25mm)および4分の1波長(λf0.508mm)の経路長に対応することが理解されるであろう。
【0047】
そのモデルは、流体境界面のいずれかまたは両方における水層内の圧力波節点の位置に対して調査したものである。次に図2を参照すると、λ/4システム(0.125mm、横座標に沿ってmmで示される厚さ)の9つのすべての可能な構成についての、音響圧力の空間分布(左側、kPa)およびエネルギー密度(右側、J/m3)に対する結果が示されている。垂直の線は、各システムにおける境界位置を示す。
【0048】
(左側の欄に)見られるように、第2の壁が存在しないことで、想定できるように、このシステムにおける流体層と空気との境界に圧力波節点がもたらされる。第2の壁が存在しないことは、これら3つの構成が、粒子の検出に対して真の実質的価値を有さないことを意味する。1/4λrの経路長を与える厚さの反射板(中央の欄)は、流体層と変換器との境界に圧力波節点をもたらす。しかし、1/2λrの経路長を与える厚さの反射板(右側の欄)は、反射板表面または反射板表面の付近で流体中に圧力波節点をもたらす。
【0049】
次に図3を参照すると、音響圧力の空間分布(左側、kPa)、およびλ/2システム(0.25mm、横座標に沿ってmmで示される厚さ)の9つのすべての可能な構成についてのエネルギー分布(右側、J/m3)に対する結果が示されている。垂直の線は、各システムにおける境界の位置を表す。
【0050】
(左側の欄に)見られるように、第2の壁が存在しないことで、λ/4システムと比較して、変換器と水層の境界にさらなる圧力波節点がもたらされる。1/4λrの経路長を与える厚さの反射板(中央の欄、従来技術)は、水層の中央に波節点をもたらす。しかし、1/2λrの経路長を与える厚さの反射板(右側の欄)は、反射板および変換器またはその付近において流体中に圧力波節点をもたらす。
【0051】
したがって、そのモデルは、反射板が存在しない、または1/2λrの経路長を与える反射板が存在する構成(xy0またはxyH構成)では、水層の外部境界に常に圧力波節点が存在することを示している。さらに、そのモデルは、水層が1/2λfの経路長を与える構成(xH0またはxHH構成)では、水層の下部境界にさらなる圧力波節点が存在することを示している。水層の中央の圧力波節点は、1/2λfの経路長を与える水層と1/4λrの経路長を与える反射板との組合せに対してのみ生じる。
【0052】
図2および図3の圧力スケールからわかるように、得られた音響圧力は、システムの全音響経路長が、λ/2の倍数(0QQ、QQ0、QQH、HQQ、および0H0、0HH、QHQ、HH0、HHH)である場合に特に高くなる。
【0053】
しかし、水層における音響エネルギー密度は、反射板の厚さにも応じる。1/2λrの厚さの反射板では、これらの構成に対して、変位振幅は、水層付近の両層において同じ最大値を有するため、音響エネルギーは、水層よりも反射板の方がはるかに大きくなる。これは、水と反射板との界面で加えられるべき変位に対する連続性の条件に起因する。
【0054】
次に図4および図5を参照すると、それぞれ図2および図3のシステム構成に対する水層における音響エネルギー密度の周波数スペクトルが示されている。ここに見られるように、水層における最大音響エネルギーは、システムにおける全音響経路長が、λ/2の倍数であるすべての構成について、圧電共振周波数が3MHzの場合に得られる。しかし、この点に関して、エネルギー密度は、印加電圧とシステムへの全電気入力との関数でもあるため、それらの図におけるエネルギーは、特定の構成の効率を完全に示すものではないことがわかるであろう。にもかかわらず、最良の構成は、0QQ、QQ0、QQH、HQQ、および0H0、QHQ、HH0であることは明らかである。
【0055】
集約すると、そのモデルの結果は、粒子を反射板に誘導するための最も効率的な構成はQQHであることを示唆している。0QHおよびHQHに対する結果は、それぞれ0QQおよびHQQ(全音響経路長がλ/2の倍数)に対して得られた結果に極めて類似しているが、その類似性は、明らかに、50オーム電源抵抗によって生じる平滑効果によるものである。その効果は、構成0QHについてのゼロ電源抵抗に対するエネルギー密度スペクトルは、例えば二重ピークを有する曲線(図示せず)であることから明らかである。二重ピークは、3MHzにおける全音響経路が、λ/2の倍数にならない構成に特有のものである。
【0056】
経路長基準を満たさない他の構成は、3MHz(0Q0、HQ0、0HQ、またはHHQ)付近に二重ピークを示すか、または3MHz(QQQ、QH0)の遙か下または上にピークを示す。しかし、構成0HHおよびHHHは、3MHzにおいて経路長基準を満たしていても、3MHzにおいて非常に小さいピークを示すとともに、両側に2つのより大きいピークを示す。その効果は、3MHzでは、共鳴器インピーダンスに比べて大きい電源抵抗の平滑効果に起因するようである。
【0057】
モデルは、透過層と、炭素(音の速度:4260m/s、質量密度:1470kg/m3)、またはケイ素(音の速度:8430m/s、質量密度:2340kg/m3)から構成される反射板とでは、圧力波節点位置および周波数スペクトルに対して同様の結果を与える。モデルは、(特に構成0HHおよびHHHにおいて)反射板における音波の経路長が、1/4λrから1/2λrに変化すると、粒子が中央からチャンバの壁に移動しうることを示唆している。さらに、粒子は、1つの壁から他の壁にも移動しうる。モデルは、圧電セラミックの基本共振で動作するのが有利であることをさらに示唆している。しかし、他の動作周波数は、必ずしも除外されるものではなく、何らかの有用なシステムを生むこともある。
【0058】
構成QQHのシステムを使用して、モデルを実験的に変化させた。次に図6を参照すると、ステンレス鋼結合板13(1.5mm、3MHzにおいて3λt/4)が接着された、平面形超音波変換器(PZ26、30平方ミリメートル、3MHz厚の共振、Ferroperm、デンマーク)によって形成された電極12を備えた音響チャンバが示されている。中央の20mm×10mmの変換器領域を与えるように、電極12の背面がエッチングされている。
【0059】
抗体塗布ガラス顕微鏡スライド(1.0mm、B.globiggiに特有の抗体)を備えた対向平面形ガラス音響反射板14が、ねじ18で固定された真鍮シムスペーサ16および真鍮上板17によって所定の位置に保持されている。真鍮シムスペーサ16(0.125μm)は、結合板13とガラス反射板14との間に配置され、窓または視野(14mm×64mm)を与える開口19を備える。窓19の内部に位置するシリコンゴムガスケット(図示せず)は、流体通過用導管(10mm×60mm)を定め、スライド14と結合板13との間に空気および水シールを形成する。チャンバは、ねじ18によってPerspex(登録商標)基板20に固定される。基板20には、試料通過用入口21および出口22と、変換器に電位を加えるためのコネクタ23とが設けられる。B.globiggiの懸濁液をチャネルにポンプで送るために、蠕動ポンプ(図示せず、Gilsonミニパルス3)が配置される。周波数、および変換器に印加される電圧の生成および制御は、Spengler J.F.他、Bioseparation、2001年、9、329〜341ページ、およびHawkes J.J.およびCoakley、W.T.、Sensors and Actuators、2001年、B、75、213〜222ページに従って行われる。
【0060】
予めシラン処理したスライド(SILANE−PREP(商標)、Sigma)を、脱イオン水に溶解させた1%グルタルアルデヒド溶液に、1時間から3時間にわたって浸すことによって、抗体塗布顕微鏡スライドを調製した。そのスライドを、リン酸緩衝シラン(PBS、5回)で洗浄し、窒素流で乾燥した。PBS(200μl)に溶解させた100μg/mlポリクロナルラビットα−BG抗体溶液を、スライドの中央領域(10mm×20mm)に塗布した。3時間靜置した後、0.05%Tween(商標)を含むPBS溶液でスライドを洗浄し、過剰の溶液を排出した。
【0061】
スライドの抗体塗布領域の領域は、変換器のエッチングされた部分より大きい領域を包含し、超音波フィールドの上流側および下流側での付着を調べることも可能にする。ビデオカメラおよび/または顕微鏡を使用して、実験時、またはその後スライドを除去するときに視野を調べた。
(実施例)
【0062】
PBSに溶解した2×1010c.f.u.ml−1の濃縮溶液(pH7.4)を希釈することによって、B.globiggi24の胞子懸濁液を調製した。使用前に、1×108から1×105cfu ml−1の希釈液を、血球計算器のカウントによって確認した。
【0063】
水のポリスチレンラテックスビーズ(2.8μm)懸濁液(10%w/v、ポリマーラボラトリーズ、英国)を、蒸留水で8×106ビーズml−1の濃度まで希釈した。
【実施例1】
【0064】
ラテックスビーズ溶液に対する周波数走査によって、チャネル幅が178μmである装置(A)については、粒子を反射板表面に駆動するための最適な周波数は、2.915MHzであることが示された。チャネル幅が200μmである装置(B)については、最適な周波数は2.882Hzであった。これらのシステムにおける水層中の定常波の経路長は、水の中の音の速度のλ/4とλ/2の間にある。これらの周波数を、次の実験に採用した。
【実施例2】
【0065】
装置A
胞子の懸濁液(1×108cfu ml−1)を、2ml/分の流速で装置に通した。超音波不在下で、懸濁液全体を通じて均一な濃度で、胞子を、視野を横切ってランダムに分散させた。胞子と反射板の接触は認められなかった。しかし、超音波をオンに切り換えると(0.8Vrmsを変換器に印加すると)、1秒間以内に超音波フィールドの領域に胞子凝集体が形成した。胞子は、流れに対して静止状態を保ち、凝集体のサイズは、フィールドにおける滞留時間が長くなるにつれて大きくなった。スライドを装置から除去すると、結合された胞子のみが付着されていることが確認された。
【0066】
超音波処理時の反射板表面への胞子の付着は、領域間の間隔が、水中の音の半波長(2.90MHzで0.26mm)に対応する規則的な付着領域のパターンを示していた。この結果は、スライドの個別的な部分への付着を達成する可能性を示唆するものである。各々の領域において、胞子は、利用可能な表面領域の40%から95%に付着していた。チャンバにおける胞子凝集体の全体位置は、超音波暴露を通じて変化しなかった。これらの領域に的を絞ってさらなる実験を行った。
【0067】
次に図7を参照すると、視野におけるチャンバの特定領域に対する胞子(1×108cfu ml−1)の付着が示されている。胞子が超音波フィールドの領域に達する前は、ほとんどまたは全く付着していなかったのに対して(図7a)、フィールド内では付着が最大であった(図7bの縁および図7cの中央)。そのフィールドを超えた抗体層には、少ない数の胞子が付着していた(図7d)。
【実施例3】
【0068】
圧電セラミックへの印加電圧を変化させた。0.2Vrmsでは、装置Aにおける胞子(1×108cfu ml−1)の付着は、0.5Vrmsでの付着に比べて無視できる程度であった。この装置における実験を、0.8Vrmsで続けた。装置Bについても同様に観察されたため3.5Vrmsを選択した。
【実施例4】
【0069】
装置B
図8を参照すると、濃度および3分および30分に6.6×106cfu ml−1の試料を超音波暴露し(0.4ml/分の流速で3.5Vrms)、スライドを装置から取り外した後に、抗体塗布スライドへの胞子付着を比較した。暴露時は、付着が着実に増加する(図8a:0分、図8b:3分、図8c:30分)。
【実施例5】
【0070】
装置B
超音波後に装置から取り外されたスライド上で顕微鏡により見ることができる胞子の最低濃度は、3.3×105cfu ml−1と判断された。図は、超音波を使用しない検出に比べて、感度が200倍に高められることを示している。
【0071】
実験結果は、境界面への粒子の超音波操作が可能であるというモデルの想定を裏づけるものである。特に、それらは、粒子に作用する音響力は、粒子を層流の方向に対して直角に移動させるのに十分であることを裏づけるものである。それらの結果は、(導管の幅のばらつきが約10%である)両装置によって得られた結果の類似性に鑑みて、最適な移動は、流体層における定常波の経路長に応じないことをも裏づけるものである。
【0072】
より良好な共鳴をもたらす反射板の最適な構成を通じて、(約1×104cfu ml−1の胞子濃度に対して)より高い感度を与える良好な実験結果が想定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体中に取り込まれた粒子を誘導するための装置であって、周波数νを有する音波を生成する手段を含む第1の壁と、音波を反射することが可能な第2の対向壁とを有するチャンバを備え、第1および第2の壁は、流体通過用導管を定め、第2の壁の厚さは、第2の壁における定常波の経路長が、第2の壁中の音波の波長λrのほぼ1/2の倍数になるような厚さである装置。
【請求項2】
第1の壁は、結合層をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
導管の幅は、流体における音波の波長λfに対する1/2または1/4の倍数である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
第1の壁における音波を伝達する材料の厚さは、第1の壁中の音波の波長λtの1/2または1/4の倍数である、請求項2に従属する場合の請求項3に記載の装置。
【請求項5】
音波を生成することが可能な材料の厚さは、該材料中の音波の波長λgの1/2の奇数倍である、請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
音波の全音響経路長は、全音響経路長中の音波の波長λの1/2の倍数である、請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
音波を生成することが可能な材料は、圧電セラミックである、請求項1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
音波の周波数νは、圧電セラミック材料の共振周波数または共振周波数の付近である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
第2の壁は、ガラス、鋼、炭素、またはケイ素を含む、請求項1から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
音波を伝達することができる第1の壁における材料は、鋼、炭素、またはケイ素を含む、請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
音波は、超音波である、請求項1から10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
第1および/または第2の壁、または第1および/または第2の壁の付近で、粒子を検出する検出手段をさらに備える、請求項1から11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
検出手段は、生体感知媒体を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
生体感知媒体は、1つまたは複数の抗体またはレクチンを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
第2の壁は着脱可能である、請求項12から14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
第2の壁および生体感知媒体は、表面プラズモン共鳴または金属漏出導波路チップを含む、請求項12から15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
検出手段は、第2の壁に入射する光を供給する手段と、共鳴または光結合に必要な光の角度の変化を検出する手段とをさらに備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
検出手段は、粒子から散乱または放射された光を検出する手段をさらに備える、請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
流体中の粒子を検出するための方法であって、i)流体通過用導管をともに定める、周波数νの音波を生成する手段を含む第1の壁、および音波を反射することが可能な第2の対応壁と、第1および/または第2の壁における粒子を検出する検出手段とを備えるチャンバに流体を通す工程と、ii)第2の壁における定常波の経路長が、第2の壁中の音波の波長λrのほぼ1/2の倍数になるように周波数νを選択する工程と、iii)粒子を検出する工程とを含む方法。
【請求項20】
導管の幅は、流体における音波の波長λfの1/4である、請求項23に記載の方法。
【請求項21】
検出工程の前に、チャンバから第2の壁が取り外される、請求項23に記載の方法。
【請求項1】
流体中に取り込まれた粒子を誘導するための装置であって、周波数νを有する音波を生成する手段を含む第1の壁と、音波を反射することが可能な第2の対向壁とを有するチャンバを備え、第1および第2の壁は、流体通過用導管を定め、第2の壁の厚さは、第2の壁における定常波の経路長が、第2の壁中の音波の波長λrのほぼ1/2の倍数になるような厚さである装置。
【請求項2】
第1の壁は、結合層をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
導管の幅は、流体における音波の波長λfに対する1/2または1/4の倍数である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
第1の壁における音波を伝達する材料の厚さは、第1の壁中の音波の波長λtの1/2または1/4の倍数である、請求項2に従属する場合の請求項3に記載の装置。
【請求項5】
音波を生成することが可能な材料の厚さは、該材料中の音波の波長λgの1/2の奇数倍である、請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
音波の全音響経路長は、全音響経路長中の音波の波長λの1/2の倍数である、請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
音波を生成することが可能な材料は、圧電セラミックである、請求項1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
音波の周波数νは、圧電セラミック材料の共振周波数または共振周波数の付近である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
第2の壁は、ガラス、鋼、炭素、またはケイ素を含む、請求項1から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
音波を伝達することができる第1の壁における材料は、鋼、炭素、またはケイ素を含む、請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
音波は、超音波である、請求項1から10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
第1および/または第2の壁、または第1および/または第2の壁の付近で、粒子を検出する検出手段をさらに備える、請求項1から11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
検出手段は、生体感知媒体を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
生体感知媒体は、1つまたは複数の抗体またはレクチンを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
第2の壁は着脱可能である、請求項12から14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
第2の壁および生体感知媒体は、表面プラズモン共鳴または金属漏出導波路チップを含む、請求項12から15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
検出手段は、第2の壁に入射する光を供給する手段と、共鳴または光結合に必要な光の角度の変化を検出する手段とをさらに備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
検出手段は、粒子から散乱または放射された光を検出する手段をさらに備える、請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
流体中の粒子を検出するための方法であって、i)流体通過用導管をともに定める、周波数νの音波を生成する手段を含む第1の壁、および音波を反射することが可能な第2の対応壁と、第1および/または第2の壁における粒子を検出する検出手段とを備えるチャンバに流体を通す工程と、ii)第2の壁における定常波の経路長が、第2の壁中の音波の波長λrのほぼ1/2の倍数になるように周波数νを選択する工程と、iii)粒子を検出する工程とを含む方法。
【請求項20】
導管の幅は、流体における音波の波長λfの1/4である、請求項23に記載の方法。
【請求項21】
検出工程の前に、チャンバから第2の壁が取り外される、請求項23に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【公開番号】特開2010−32536(P2010−32536A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−249881(P2009−249881)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【分割の表示】特願2004−535620(P2004−535620)の分割
【原出願日】平成15年3月18日(2003.3.18)
【出願人】(390040604)イギリス国 (58)
【氏名又は名称原語表記】THE SECRETARY OF STATE FOR DEFENCE IN HER BRITANNIC MAJESTY’S GOVERNMENT OF THE UNETED KINGDOM OF GREAT BRITAIN AND NORTHERN IRELAND
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249881(P2009−249881)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【分割の表示】特願2004−535620(P2004−535620)の分割
【原出願日】平成15年3月18日(2003.3.18)
【出願人】(390040604)イギリス国 (58)
【氏名又は名称原語表記】THE SECRETARY OF STATE FOR DEFENCE IN HER BRITANNIC MAJESTY’S GOVERNMENT OF THE UNETED KINGDOM OF GREAT BRITAIN AND NORTHERN IRELAND
【Fターム(参考)】
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