説明

流体力学特性を改善した人工弁プロテ−ゼ

拡張可能な静脈弁は、弁構造体(12)に隣接する領域を拡張するよう構成された支持構造部材(11)を有する。逆行性のフローパターンは、弁領域のベースにあるポケットをフラッシング(洗浄)するのを容易にし、体液の滞留(血液の場合には、血栓形成に繋がる)を防ぐ。拡大したポケット領域は、2つの支持フレーム部分の間の不支持領域の弁構造体に隣接して人工静脈(34)を形成することにより作られる。支持フレームは、拡張した直径の中間部分あるいは近位端部分を有し、弁構造体に隣接する人工静脈を形成する。本発明の他の実施例においては、対向する小葉の間の取り付け通路と支持フレームまたは血管壁は、互いに接触して小葉を拡張させる近位端部分と、隣接する血管壁に対し、大きな角度を形成する先端部分を有し、大きなポケットが小葉のベースに作られる。本発明の一実施例においては、取り付け通路は、一対の平行に軸方向に延びた取り付け支柱に沿って先端方向に延び、拡張した小葉接触領域を形成し、小葉の底部を規定する先端取り付け支柱に沿って周囲方向にあるいは先端方向に角度を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置に関し、特に、脈管内弁プロテ−ゼに関する。
【背景技術】
【0002】
静脈系は、血流が心臓に戻るのを補助する機能を有する一連の弁を有する。このような人体に自然に備わっている弁は、人体の下部末端においては特に重要である。弁は、足の下部に鬱血するのを阻止し、静脈内の血の重みにより血液が心臓の方に流れるのを阻止するような状況、例えば立ったり座ったりしているような状況の時に血液を供給している。このような状態は、「慢性静脈不全(chronic venous insufficiency)」として公知であり、これは主に人に見られるものであり、静脈が徐々に拡張したり、血栓が発生したり、あるいは他の状態により弁の小葉が適正に閉じるのを阻止してしまう。
【0003】
このような状態により、戻る血流がリークし、その結果、弁は不完全なものとして認識される。慢性静脈不全は、潜在的に重篤な状態であり、このような状態においては症状が痛みを伴う浮腫、および目に見えないスパイダー、あるいは皮膚の潰瘍になる静脈瘤から進展していく。足を挙げたり圧縮性のストッキングによりこのような症状を改善することができるが、元となる病気を治療することはできない。このような病気を治療しないと、人は仕事をできなくなったり、正常なライフスタイルを維持できなくなるような影響を及ぼす。
【0004】
静脈弁のの血管を治療するためにいくつかの外科手術が用いられ、自然弁を治療したり置換したり、さらにはまた人工弁プロテ−ゼを配置することもある。これらの施術の成功率は限られたものであり、慢性静脈不全の治療方法として広く認められてはいない。より近年の研究により適切な自己拡張型あるいは半径方向に拡張する人工弁を開腹手術を行うことなく低侵襲性技術を用いて置換することが提案されている。今のところ、プロテ−ゼの静脈弁は実験段階に留まっている。
【0005】
自然弁の機能を模擬する試みも行われてはいるが、個々にあるいは全体として利点を有し、あるいは完全な弁の条件を満たすような自然の構造的特徴の組み合わせを含むような静脈内貫通カテーテルを配置するのに適した拡張弁は存在しない。プロテ−ゼ弁の初期の実験結果から明らかとなった1つの共通の問題は、小葉のベースの領域内に鬱血することが少なくとも一部の理由で小葉のベースの近傍に血栓が形成されることである。自然弁においては小葉は通常、静脈の腔あるいは拡大部内に配置されている。ポケットが小葉と腔の壁の間に形成され、血流の渦を引き起こしポケット内を洗浄し、血液が滞留するのを阻止し、且つ弁の小葉の近傍に血栓が形成できるのを阻止するが、これは、弁の機能を損なうものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
血液が滞留することにより酸素が弁の先端をカバーする内皮に届かなくなり、細胞が低酸素症となり、その領域における血栓の増加の原因となる。拡張可能なフレームの弁プロテ−ゼは通常円筒形状をしており、自然の血流のパターンを模擬するのに十分な人工血脈洞あるいはポケットスペースがない。現在必要とされているものは、弁構造体の近傍により効果的な血流のパターンを形成するような脈管内に配置される人工弁であり、これにより血液あるいは体液を循環させ、滞留の可能性および潜在的な医療の問題を減らすことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の問題点の解決および技術的進歩は、本発明の弁プロテ−ゼ、例えば人工静脈弁により達成できる。本発明の弁プロテ−ゼは、弁構造体と自己拡張型または他の拡張可能な支持構造体を有する。この支持構造体は、静脈内に留置された時に、弁構造体の近傍の血管内に十分な大きさの人工血脈洞またはポケットを形成し、自然の血流のパターンあるいは渦を模擬して、底に滞留するかもしれない血液あるいは他の体液の洗浄を容易にする。このような構造を採用することにより、より大きな乱流、血液の速度の向上、より大きな渦および/またはより多数の渦、他のファクター、あるいは滞留低酸素症が弁構造体の近傍に起きるのを阻止するような上記の組み合わせを得ることができる。
【0008】
さらにまた、このように修正された血流は、小葉が閉鎖してシールを形成するのを補助し、弁を流体が戻ってリークするのを阻止する。人工血脈洞または拡大したポケットは、足の先端の深い静脈内の多くの自然弁の部位に存在する自然血脈洞の機能を模擬し、これにより、弁構造体の近傍に形成される血栓の問題がこのような腔領域のないプロテ−ゼ静脈弁の設計における共通の問題であるかの理由を説明する。
【0009】
本発明の一態様によれば、弁プロテ−ゼの収縮可能な支持構造体は留置されると所定の直径まで拡張し、その時の弁プロテ−ゼは、プロテ−ゼが中間のほぼ「開放」部を有し、その結果人工血脈洞が支持構造体により支持されていないダクトあるいは血管の一部により形成される。血管のこの不支持部分は、収縮可能な支持構造体の血管係止部分すなわち「閉鎖」部分の留置直径よりも大きな直径を採る。これにより、血液(または体液)が血管の不支持部分に圧力をかけるために人工血脈洞が形成される。
【0010】
本発明の一実施例においては、この拡張可能な支持構造体は、第1の近位端と第2の遠位端とを有し、これらは1本あるいは複数の細い部材、すなわち支柱により相互接続されている。その結果、支持構造体の第1部分と第2部分、すなわち近位端と遠位端の間の大きな不支持領域が人工血脈洞を形成する(本明細書において、近位とは弁構造体のオリフィスあるいは開口と同一の位置方向を有する通常静脈弁の心臓の方向に向いた方を指す)。弁構造体は、支持構造体の近傍に取り付けられ、その結果人工血脈洞を構成する不支持領域内に大部分が配置される。例えば、弁構造体は相互接続部材に取り付けられる。この相互接続部材は、弁材料の取り付けを容易にするために、取り付けポイントを有する対向して配置された支柱(例えば、縫合あるいは他の適宜の構造体または方法)を含む。ここで、本明細書において弁構造体とは協働する小葉、管状部材、あるいは他のフレキシブルな構造体で、そこにかかる流体圧力差の変化に応答して通路をシールするものである。
【0011】
本発明の他の態様においては、弁プロテ−ゼの拡張可能な支持構造体はフレームワークあるいは他のアンカー領域を有する。これらは、弁構造体の近傍に人工血脈洞を形成するよう構成された拡大直径を有する中間領域を有する。弁構造体は、この中間領域の内側に取り付けられる。本発明の一実施例においては、支持構造体は超弾性材料、例えばニチノール製である。支持構造体は拡張部分、すなわち膨らみ部分を有し、この部分は、マンドレルの近傍のニチノール製の管状フレームあるいは所望の形状を有する構造体を医療分野で公知の技術により熱設定(heat setting)することにより形成される。この中間部分は、プロテ−ゼが分配システムから留置された時に近位端と遠位端よりも大きな直径を有し、これにより弁構造体の近傍により大きなポケットを形成して、より有効な血流パターンを作り出し、鬱血を阻止する。
【0012】
本発明の他の実施例においては、近位端と遠位端と中間部は、分離した相互接続部分であり、例えばジグザグフレームあるいは他の拡張型/自己拡張型の支持フレームあるいは係止フレームである。人工血脈洞を有する中間部は、第1と第2の半径方向に拡張可能な部分、すなわち先端取り付け支柱を有する。そこで、近位端と遠位端にそれぞれ隣接する端部より大きな直径の端部に隣接する。それぞれの中間部の切頭円錐形状は、その部分をある形状に変形する(すなわち管状プロテ−ゼの弾性変形、ニチノールの熱設定、チューブの切頭円錐部分のレーザ切断)かあるいは細いワイヤのような拘束手段を用いてそれぞれの直径を操作することにより達成される。これは、拘束手段を曲げ部の頂部あるいはその中の開口を介して供給し、適宜の引っ張り力をかけて所望の形状を形成することにより行われる。選択的事項として、管状部分あるいはバンド上部分が対向する切頭円錐部分の間に配置されてより長い人工血脈洞を形成することもできる。
【0013】
本発明の他の態様においては、弁構造体が配置される収縮可能な支持構造体の近位端を拡張し(すなわちフレア上に外側に広げる)、その結果、拡張した端部と静脈に隣接する領域の組み合わせが人工血脈洞を形成する。
【0014】
本発明の他の態様においては、近位端と遠位端は、それらの間に開放部分を含むよう構成され、そして静脈弁が遠位端に取り付けられた状態に構成され、その結果静脈弁は人工血脈洞の真下に配置される。選択的事項として、バイオ(生物)材料性(例えば生物再形成可能材料、例えば小腸下粘膜組織(small intestinal submucosa (SIS)、あるいは他のコラーゲン状の細胞外マトリクス)あるいは繊維性のスリーブが近位端と遠位端を介して取り付けられ、その結果、このスリーブがプロテ−ゼと人工血脈洞を含む血管との間でシールを形成する。
【0015】
本発明のさらなる態様においては、支持構造体は次のような構造を有するよう構成される。すなわち、取り付け通路が第1の近位端と遠位端とを有するよう構成される。取り付け通路は、本明細書においては小葉の側面の外側エッジと支柱および/または血管壁の間のインターフェースとして規定され、この血管壁にそれらが取り付けられて留置した時の弁構造体を含むように複数の小葉の形状と構造を確立し、規定する。第1の近位端においては、1つあるいは複数の軸方向取り付け支柱が近位の曲げ部あるいは合わせ目から延びる。この合わせ目は、プロテ−ゼと弁構造体の長手方向軸に対し、大きく軸方向に傾斜した小葉(とオリフィスを広げる)の近位外側端部を具備し、支持する。一方遠位端は、長手軸方向から円周方向(横方向)と遠位端方向に延びて、外側の小葉の底部エッジと先端エッジあるいは外延近傍を規定する。
【0016】
側面から見た場合、支持フレームと取り付けられた小葉は、向かい合う小葉の間に形成された(角度α)が近位の取り付け通路に沿って具備され、これは遠位の取り付け通路と血管壁との間での角度(角度β)以下である。この構成により、小葉は全体表面領域に対し大きな接触(接合)領域を有し、これによりシール(弁材料により収縮の影響を減らすことも含む)を改善し、小葉を包囲するより大きなポケットが腔と同様に、より大きな強い逆流する渦を形成して小葉を閉鎖し、近傍のポケットのサイズが小さいような状態において、滞留する血流あるいは体液を取り除く。本明細書において、用語「逆流」とは、遠位端方向(足の方向)に移動する体液として規定され、これは重力に起因するかプロテ−ゼあるいは脈管壁に接触することにより方向が変えられることによりあるいは他の手段に起因する。
【0017】
本発明のこの態様の第1実施例は、各合わせ目の曲げ部から延びる一対の軸方向取り付け支柱をフレームを有する。支柱は長手軸方向に延び、相対的に、すなわち全部ではないがプロテ−ゼの遠位端の方向にそれる。これは、近位端支柱部分から側面方向且つ円周方向に離れる方向に湾曲する際により鋭角それる前である。その結果、取り付け通路の近位端と遠位端の間の遷移部分は、隣接する支柱部分(近位端はある実施例ではストレートである)のそれよりも明らかに小さな半径を有する。この遠位の取り付け通路は、各小葉の底部の外側エッジを規定するよう袖手する。本発明のこの態様の第2実施例においては、プロテ−ゼの支持フレームは一対のほぼ平行な軸方向取り付け支柱を有し、そこに小葉が取り付けられて取り付け通路の近位端を規定し、遠位取り付け支柱はほぼ平行な支柱から円周方向且つ側面方向に延びて取り付け通路の遠位端を形成する。
【0018】
弁構造体を具備する支持フレームは、同一のパターンであるが方向が交互となるような半径方向部分(例えば二尖弁(bicuspid valve)の1/4部分)を有するのが好ましい。これにより半径方向の安定性とより良好な拡張性特性が得られる。小葉の近位外側エッジを具備しない半径方向部分は、長手方向の安定性を加え、且つ小葉が血管の壁に係合することから保護するのを助ける側面方向支持構造体として機能する。平行な支柱は、曲げと且つ捻り特性、例えばフレームをステントとして使用するときに利点を与える。支持構造体の他の実施例においては、対向する小葉の側面方向外側エッジは1本の軸方向取り付け支柱に取り付けることが可能である。この軸方向取り付け支柱は側面から外側方向且つ遠心方向に延びる一対の先端支柱を有し、小葉の底部の半分部分を具備してその全体形状を規定する。この支柱は隣接する支柱よりも太く、それに沿って開口を具備して、弁構造体の取り付けを容易にしている。
【0019】
本発明の他の態様においては、弁の近位部はその近位端でより広い直径となり、これによりプロテ−ゼを血管に係止する。且つ近位部と中間部との間のインターフェースでは直径が狭くなっている。これは、ポケットの大きさを最大にするような小葉の構造と組み合わせることにより逆流がベンチュリ効果(Venturi effect)を受けることになる。この効果により流速が増加し、弁に近い場所に渦を強力にして滞留した血液あるいは流体のポケットをきれいにする。
【0020】
支持構造体と弁構造体の基本的ユニットの形状は、本発明の理解のために特に筆数のものではない。さまざまな実施例が従来公知であり、本出願人の仮特許出願第60/403,783号(発明の名称:Implantable Vascular Device、出願日:2002年8月15日)に記載されている。
【実施例】
【0021】
図2−9、11−20に示した本発明の一実施例は、収縮可能且つ自己拡張型あるいは他の手段で拡張可能な人工弁プロテ−ゼ10を有する。この人工弁プロテ−ゼ10は、患者の血管20内、例えば血管内に、自己拡張型プロテ−ゼ用の公知のカテーテル挿入技術を用いて、分配し留置される。人工弁プロテ−ゼ10は、第1端である近位端13と第2端である遠位端14とを有し、順行性の血液流体がプロテ−ゼの遠位端から近位端に流れ込む。この近位端は、患者の末端部分に配置された時に、静脈弁内で心臓に近い方であり。
【0022】
人工弁プロテ−ゼ10は、支持構造体11と弁構造体12を有する。弁構造体12は、支持構造体11に取り付けられ、流体の圧力差の変化により、例えば血液の逆行性の流れの存在で閉じることにより、その中を流れる流体を選択的に制限する。本発明は、プロテ−ゼ内の流体の流れの挙動を修正するような構造的特徴を有する。小葉(leaflet)26のベースに近いポケット35内に集まった流体は、連続的に新たに流入してくる流体で、フラシュアウトされる(いきよい良く流し出される)か、あるいは有効に混合される可能性が大きい。
【0023】
支持構造体11の材料は、公知の適宜の金属あるいはポリマー材料のリストから選択できる。これらの材料は、必要とされる特性(自己拡張、半径方向の強い力、収縮性等)に応じて、特定のアプリケーション用に適切なものである。弁構造体12用いられる材料は、合成材料あるいは生物抽出材料で、医療用アプリケーションに適したものである。しかし、調査研究によれば、生物再成形可能な材料(biomodelable material)、例えばコラーゲン細胞外マトリクス(例えば小腸下粘膜組織)、心膜、あるいは成長ファクタ強化材料は、身体(例えば細胞組織)内での優れた抗血栓特性を有し、これらの材料で自然の小葉26材料を置換している。本発明の実施例に用いられる小葉26の数は、2個、3個、4個あるいはいずれの数でもよいが、小葉が2枚の弁が、小葉が3枚の弁の実施例に比較すると、低流速静脈の状況では好ましい。例えば心臓弁として使用される弁は、血栓形成が遙かに少ない高流速の状況で用いられる。
【0024】
図2−8の実施例においては、支持構造体11は、プロテ−ゼ装置が血管20内に留置された時に、例えば足の下方の血管20内に留置された時に、人工血脈洞34が弁構造体12に隣接し且つその近傍に形成され、血液あるいは他の体液が小葉26のベースの近傍に形成されたポケット35内により多く集まり、人工血脈洞34により形成された好ましい形状により、連続的にフラッシュアウトできるように構成される。
【0025】
図1に示した原理により、逆行性血流22が戻ってきて弁を閉じるような自然静脈弁21は、血流が小葉26に接触すると、一連の渦23を形成すると考えられる。自然静脈弁21の近傍の拡大した自然血脈洞37の丸まった形状により、これらの渦の形成が容易となり、これにより自然静脈弁21のベースにあるポケット35内で血液が滞留するのを阻止できる。このような血流の滞留は、血栓形成の原因あるいは他の病気の原因となる。本発明は、支持構造体11の構造故に、人工血脈洞34を形成し、この人工血脈洞34が静脈内の自然血脈洞37の機能を再生する。
【0026】
図2は、本発明の実施例の側面図を示す。同図において、人工弁プロテ−ゼ10は、第1部分である近位部15と第2部分である遠位部17とを有する。近位部15と遠位部17とは、互いに分離され、血管20内に人工血脈洞34を形成する開放(中間)部16を規定する。本明細書において、「開放領域」とは、体腔の比較的大きな不支持部分を規定し、その中に、脈管の不支持部分を横切る少なくとも最小の相互接続構造部分(例えば、小葉26の合わせ目27と整合するフレキシブルな要素)しか存在せず、非常に限られた表面領域を含み、通常弁構造体12の側面に通路の壁に向かって最小の力を加える領域である。近位部15と遠位部17は、半径方向に拡張する一対の自己拡張型のアンカー部分24を有し、相互接続手段36により結合され、例えば一対の接続支柱18、19により結合される。これにより、開放(中間)部16は、さもなければ開いた状態にあり、あるいは足場で支えることなく、その結果、血管20のその部分に沿った静脈壁38は、静脈内を流れる血流により加えられる圧力によって開いた状態となる。
【0027】
本発明の一実施例においては、アンカー部分24はステントとして機能して、脈管を開いた状態に保持する。その主な機能は、プロテ−ゼを脈管に係合することに限られる。支持構造体11とアンカー部分24は、通常の静脈と共に容易に収縮可能なものである。近位部15と遠位部17の直径は、留置後は一定の直径を通常採るために、開放(中間)部16は、ほとんどが構造体により支持されておらずあるいはカバーされており、人工血脈洞34として機能する血管のふくらんだ領域を規定するよう、拡張する。
【0028】
相互接続手段36により、近位部15と遠位部17が互いに一定の距離をおいて一緒に留置されているが、本発明では、人工弁プロテ−ゼ10は、結合されていない領域を有し、互いに有効距離だけ離れて順番に留置されて、それらの間に人工血脈洞34を形成させることも可能である。さらに、相互接続手段36は、縫合材、繊維あるいは他の非剛性材料で形成され、近位部15と遠位部17を結合して、選択的長さである開放(中間)部16を、相互接続手段36の形成とは無関係に、規定することもできる。フレキシブルな相互接続手段36を有する人工弁プロテ−ゼ10を留置するために、近位部15と遠位部17の一方を留置システムで最初に留置し、その後相互接続手段36がピンと張るようになるまでゆっくりと引き抜き、これにより他方をその後留置することもできる。
【0029】
図示した実施例において、弁構造体12は一対の小葉26を有し、一対の小葉26は中間部に配置され、合わせ目27、28で近位部15に取り付けられる。各合わせ目27、28は、接続支柱18、19の近位部に、適宜の取り付け要素30により、例えば縫合接着、ファスナー、加熱または加圧による組織の溶着により、配置される。小葉26は、その遠位端29の近傍で支持構造体11の遠位部17に、近位部15におけるのと同一あるいは別の取り付け要素30により、取り付けられる。弁構造体12は、近位部15と遠位部17を留置する際に、拡張するよう構成される。その結果その外側エッジ39が十分に血管壁に接触する。これにより少なくとも弁構造体12の近傍で体液(例:血液)がリークするのを阻止する。
【0030】
選択的事項として、小葉26の壁に係合する外側エッジを、自然血脈洞37に取り付けたあるいは組み込んだ別のフレーム32で強化して、静脈壁38のシールを改善することも可能である。このようなフレーム32に一例は、図3に示されている。同図において、フレーム32は、支持構造体11の近位部15と遠位部17の間の相互接続手段36として機能する。接続支柱18、19は、同一のチューブからレーザで切断して、支持構造体11の残りの部分を形成する。弁フレーム32は、弁構造体12を強化する支持構造体11の一部であるが、静脈壁38と十分に接触するのに必要な力よりも若干大きな半径方向の力を掛けるように構成するか、あるいはフレーム32が人工弁プロテ−ゼ10の開放(中間)部16に沿って静脈の一部内に人工血脈洞34を形成するのを保持するような十分な半径方向の力を加えるよう構成するもできる。
【0031】
人工血脈洞34を形成する別の方法を図4−5に示す。同図において、支持構造体11は、拡張部分31を有する。拡張部分31は、支持構造体11の他の部分よりも直径が大きく、留置後弁構造体12を包囲する人工血脈洞34を形成する。静脈壁38を延ばすような人工血脈洞34の直径は、その最も広い場所で、完全に留置された時(分配システム内から開放された時)の近位部15と遠位部17の直径よりも10−120%大きく、より好ましい時の差は30−80%で、最も好ましい時の差は、50−70%大きい。しかしこれは、静脈の直径と弁の構造形状とその部分の血圧と他のファクターに依存する。図示した実施例においては、近位部15/遠位部17と開放(中間)部16との間の繊維部分は、曲線状であり、樽形状(図4)、あるいはラッパ状に開いた形状(図5)を有する。
【0032】
図示した実施例においては、支持構造体は、1本の管状のアンカー部分24を含み、これは塑性的にあるいは弾性的にあるいは適宜変形して、拡張部分31を含む第2の形状を採る。例えば、アンカー部分24は、ニチノール製のチューブからレーザで切断され、所望の形状のマンドレルの近傍に配置し、最終所望形状を生成するよう熱処理(heat set)する。図4に示した実施例においては、拡張部分31は、人工弁プロテ−ゼ10の開放(中間)部16を有する。人工血脈洞34が近位部15と遠位部17の間に配置され、弁構造体12がその中に形成される。図5において、拡張部分31は、支持構造体11の近位部15を含み、さらに遠位部17から外側に延びるフレア状構造を有する(別の機能的な開放(中間)部16は存在しない)。弁構造体12は、近位端13の近傍に取り付けられ、一方その近傍のフレア状の拡張部分31が血管20を外側に膨らませて、人工弁プロテ−ゼ10の近位端の近傍に人工血脈洞34を形成する。人工血脈洞34は、図5の実施例では、支持部分と不支持部分との組み合わせを含む。両方の実施例において、弁構造体12は、アンカー部分24の通路内の支持構造体の支柱33に縫いつけられる。別の取り付け方法は、接着、ホッチキスで留める、あるいはファスナーで留める、ワイヤ、フレーム上の係合用ツメで留める、組織の溶着等である。
【0033】
図6−7は、図5と類似の実施例を示すが、次の点が異なる。近位部15、開放(中間)部16、遠位部17は、別個のアンカー部分24(実施例においては、蛇行した構造、あるいは「ジグザグ」構造を有する)を有する。このアンカー部分24が、公知の方法により、例えば図に示した縫合糸42で、あるいは縫合糸を隣接する曲げ部の頂部45を通して、その近傍に固定することにより取り付けている点が異なる。図6に示した実施例においては、開放(中間)部16は、人工血脈洞34を形成するよう結合された、対向した切頭円錐形状のアンカー部分24の第1と第2の中間部分40、41を有する。第1と第2の中間部分40、41は、アンカー部分24をその形状に塑性変形させることにより、あるいは円筒形状の近位部15の先端部と円筒形状の遠位部17の根本部の近傍に縫合糸42でもってフレームを強く締めることにより、切頭円錐形状にすることができる。縫合糸42は、例えば糸、縫合、ワイヤ、バンド、カバーリング等である。その結果近位部15と遠位部17が切頭円錐形状になる。
【0034】
さらなる縫合糸でもある拘束手段42を、図に示すように、近位端13と遠位端14に含ませ、近位部15と遠位部17の円筒形状を維持してもよい。第1、第2の中間部分40、41を接続するインターフェース46にある糸あるいは縫合糸である取り付け要素30(制約手段)は、それぞれの部分で頂部45を引っ張る機能を有してもいなくてもよい。図7の実施例は図6のそれに類似するが以下の点が異なる。開放(中間)部16は、第1、第2の中間部分40、41の間に配置された中間部分43を有し、この中間部分43が人工血脈洞の長さを伸ばす。この第3の中間部分43は、短い円筒状あるいはバンド形状の部分を有し、その幅は人工血脈洞34の所望の形状を形成するよう調整できる。さらなる小部分を必要によって付け加えてもよい。
【0035】
図8において、支持構造体11は、遠位部17に相互接続手段36で取り付けられた近位部15を有する。支持構造体全体は、1本のカニョーレ、例えばステンレススチールあるいはニチノールから切断して形成される。弁構造体12は、複数の小葉26を有するが、遠位部17に取り付けられる。その結果、人工血脈洞34は、近位部15と遠位部17の間で外側に膨らんだ大きく開いた不支持領域内に形成される。これは、血管20が外側広がることにより行われる(図2の実施例と同様である)。人工弁プロテ−ゼ10は、さらに、カバー44、例えばSIS(あるいは他の適宜の生物材料あるいは合成材料)製の外側スリーブを有する。外側スリーブが、支持構造体11の近位部15と遠位部17の両方の取り付けられ、その近傍の逆行性流体がリークするのを阻止するよう、プロテ−ゼをシールする。カバー44は、人工血脈洞34の形成と干渉しないような、組成、構造である。
【0036】
図9、11、13−20は、人工弁プロテ−ゼ10の実施例を含む。同図において、小葉26を具備する支持構造体11は、弁構造体12の近位端近傍の小葉の接触(接合)領域57を増加させるよう構成される。これは材料内の組み込みスラック(built-in slack)に依存することなく行われる。これにより小葉をより近位端に近付け、拡大したシーリング領域を長手方向に広げる。本明細書で規定したように、小葉接触(接合)領域57は、弁構造体12に沿った長手方向部分を有する。長手方向部分では対向した複数の小葉26のフェース表面が互いに近接して接触する。一方乾燥したあるいは静止した自然状態(すなわち、弁オリフィスにかかる差圧がほぼ等しくなり、小葉26には、外部からの力、例えば流体の流れにより小葉が一体となるような力、あるいは離れるような力がかからない状態)では、プロテ−ゼは、拡張した状態すなわち留置した状態にある。支持構造体11は、小葉接触(接合)領域57の大きさを、1つあるいは複数の軸方向取り付け支柱49、50により最大にするよう構成される。この軸方向取り付け支柱49、50は、各小葉26の側面外側エッジ87、88の取り付け通路74の少なくとも近位部75を規定する(用語「外側エッジ39」と「側面外側エッジ87、88」は、シーリング・インターフェースを含む小葉26に沿った領域あるいはゾーンとして定義する)。
【0037】
軸方向取り付け支柱49、50/近位部75は、プロテ−ゼ(と弁構造体12)の縦軸64に対して軸方向を向いている(例えば、プロテ−ゼの縦軸64と平行である)。小葉接触(接合)領域57の遠位端89近傍の点(小葉26の近位端)において、隣接する取り付け通路74(合わせ目近傍の根本部で結合する)の遠位部76は、互いに離れ(一般的にY型形状の通路構造を形成する)、通路の近位部75よりもより円周方向に向いた形を採る。その結果外側の小葉26の側面外側エッジ87、88は、その側面支持アーム84に対して側面の地点で収束して、第1渦55の近位部96すなわち「フロア」を規定する小葉26の近位部96を形成するか、あるいは各小葉26の他の表面に隣接する脈管内スペースを形成する。これは、強くキャップの被ったあるいは湾曲した形状を採り、その結果小葉26は、鋭角に曲がった取り付け通路74故に、折り曲げられた外径を採る。小葉26の近位端は、プロテ−ゼに対しまっすぐな長手方向を有し、プロテ−ゼと血管に対し真っ直ぐな軸方向を有する。近位部96は、血管とプロテ−ゼの長手方向に対し強く曲がっている。合わせ目27、28は、人工弁プロテ−ゼ10の近位端13近傍に配置されるが、その近位端に配置してもよい。その結果付加的な人工弁プロテ−ゼ10が根本部方向に伸びる。例えば図2−8、12の実施例に示すように。
【0038】
小葉接触(接合)領域57を拡張するあるいは最大にすることにより、且つ遠位部分近傍の小葉26(湾曲を増加させるものであるが)の湾曲半径を減少させることにより、各小葉26に隣接するポケット35の基礎部あるいは遠位端を拡大して、血液の逆流の間、そこに形成される渦55、56の形成を容易にし、且つ渦の大きさおよび/または流速を最大にするよう拡大される。診療前の検診の間、これらの広くなったポケット35は、静脈内に留置される二枚の小葉の人工弁にとって特に好ましいものであり、これらの弁は、従来設計に比較すると、血栓の形成が少なくなる効果がある。血栓を形成し、弁機能を損ない、他の合併症に繋がるような血液の滞留のポケット35をクリアにするための流体挙動の改善は、図10、11を比較することにより示されている。
【0039】
弁内に滞留した血流のパターンの実験室レベルでの解析によれば、複数の渦が形成されている。図10の従来の実施例は、反転したV字型の取り付け通路74を有する。第1渦55が、それよりも小さい第2渦56の上に形成され、反対の流れを有し、静脈弁内の小葉60、61のベース周辺に溜まった血液をクリアするのには、不十分である。図11に示した本発明の実施例においては、(反転した)Y字型の取り付け通路74を有し、より大きなポケット(少なくとも基礎部分では)により、より大きく強い第2渦56が逆流により形成される。これにより、そこにできた滞留した血液を除去するするより多くの機会がある。これにより小葉60、61により、大きな下方向の力が提供され、弁の閉鎖を改善する。
【0040】
図9、11は、支持構造体11のフレーム32が次のように構成されている人工静脈弁プロテ−ゼ10を示している。すなわち、それぞれが合わせ目27、28から延びる一対の軸方向取り付け支柱49、50が、先端取り付け支柱51、52の間に形成され、軸方向取り付け支柱49、50(これらは一体となってフレーム32のレグ58を有する)の連続と、静脈壁38の内側63を有するように構成される。合わせ目27、28は、弁構造体(図示せず)の近位取り付けポイントが、第2角(β)48よりも小さな第1角(α)47を形成する。第1角(α)47は、好ましくは−10°から30°(負の角度は合わせ目近傍に十分に大きな半径方向の曲げを有する場合に可能である)であり、より好ましくは0−25°であり、最も好ましくは0−10°である。
【0041】
軸方向取り付け支柱49、50は、それに沿ったさまざまな点で分散したり収束したりする(すなわち内側と外側に曲がる)。そのような場合、第1角(α)47は、近位部75のみに関連し、軸方向取り付け支柱49、50を軸方向に横切る直線を表すベクトル間で測定される。ここに図示した実施例は、選択的事項として、レグ58、59から側面方向に延びる一対の安定化支柱53、54を有し、人工弁プロテ−ゼ10を血管20内の中心に保持している。理想的には、図11のフレーム32の形状で示される角度により、対向する小葉60、61が、例えば図10に示した従来の弁で小葉60、61の近位の半分にわたって、第1角(α)47と第2角(β)48が同一となるようなプロテ−ゼよりも互いに多く整合する(例えば並列)ようになる。その結果、小葉60、61のベースの近傍により大きなポケットが形成され、逆流の血液によるより大きな且つより強い渦が形成される。第2の医学的な利点としては、小葉60、61の間の接触領域が大きくなることであり、これにより、弁オリフィスを通る逆流に対する良好なシールが提供できる。
【0042】
図13−18は、小葉26の間の接触領域を最大するよう構成された一連の別の複数の実施例を表す。同図において、取り付け通路74は、1本あるいは複数本の軸方向取り付け支柱49、50に沿って延びる近位部75を有する。この軸方向取り付け支柱49、50は、プロテ−ゼの縦軸64と整合する。遠位部76は、軸方向取り付け支柱49、50から傾斜して側面方向に延びる先端取り付け支柱51、52に沿って延びる。、先端取り付け支柱51、52は、は図9とは異なり、別の支柱として、軸方向取り付け支柱49、50から側面外側に延びる。図9の実施例と同様に、軸方向取り付け支柱/部分は、小葉60、61が向かい合ったポイントで収束する。そこでそれらは横方向支持構造体でもある安定化支柱53、54に取り付けられる。これによりプロテ−ゼを血管の中心に保持して小葉が血管壁に固着するのを阻止する。図13−17の実施例においては、支持構造体11は、近位支持アーム77、78を有し、それらは合わせ目27、28の近傍で、軸方向取り付け支柱49、50に取り付けられる。そしてそこから延びて横方向支持構造体でもある安定化支柱53、54との相互接続機能を提供する(図15も参照のこと)。
【0043】
図13−14の実施例は、互いに平行な一対の軸方向取り付け支柱49、50を有する。軸方向取り付け支柱49、50は、それに沿ってそれぞれの小葉26を取り付け、プロテ−ゼの全長の半分にまで延びる小葉接触(接合)領域57を形成する。図16に示すように、安定化支柱53、54は、それらが交差する軸方向取り付け支柱49、50の構造を共有する、すなわち鏡面対称である。但し、軸方向取り付け支柱49、50は、そこから90°の位置に配置され、向かい合う。その結果、支持構造体11は、容易に収縮且つ拡張可能な蛇行構造を形成する。
【0044】
ここに示した実施例においては、支持構造体11すなわちフレームは、4つの部分、(すなわち四分の一部分70、71、72、73)に分割され、それらは方向が異なるだけで他は同一である。四分の一部分70、72は、合わせ目27、28と軸方向取り付け支柱49、50で方向付けられる。弁構造体12を具備する軸方向取り付け支柱49、50は、近位端から人工弁プロテ−ゼ10の近位端13の方向に向いている。ここに示した実施例の支持構造体11の繰り返される共通の設計は、共通でなく且つ繰り返さないフレームパターンよりも、より良好な構造的安定性、圧縮/拡張性、全体の完全性を提供できる。
【0045】
安定化支柱53、54の近位支持アーム77、78は、軸方向取り付け支柱49、50に取り付けられる。安定化支柱53、54は、それぞれ、近位放射線不透過マーカ67を具備する支柱68を有し、人工弁プロテ−ゼ10の方向確認を容易にし、さらなる支持構造を与える。同一の端部支柱90と選択的事項としての放射線マーカ91が、軸方向取り付け支柱49、50の遠位端に配置され、さらに先端取り付け支柱51、52に取り付けられて、同様な方向確認性と安定性を与える。一体型フック25が、軸方向取り付け支柱49、50を相互接続する合わせ目27、28の近傍に配置される。平行に延びる軸方向取り付け支柱49、50も、その遠位端で短い相互接続支柱81で相互接続され、細長い閉鎖セル92が形成できる。セル92の幅の決定は本発明に必須ではないが、十分狭くすることが可能である。これにより小葉60、61を軸方向取り付け支柱49、50にピン留めするあるいは係止する。これは、小葉の材料が、再成形プロセスの間、収縮する場合に固定できる点で利点がある。軸方向取り付け支柱49、50の間の好ましい幅は、0−5mmで、より好ましくは0−3mmで、最も好ましくは0−1mmである。スペースが広すぎる場合には、対向する小葉の間にギャップが形成され、これにより弁を通して流れる逆流の血量が許容できない程となることがある。
【0046】
類似のフレーム設計を図17に示す。このフレームは、1本の軸方向取り付け支柱49を有し、これに2つの小葉60、61が縫い込まれる、あるいは取り付けられて、小葉60、61の間の接合領域を増やしている。小葉60、61の取り付けは次のように行われる。小葉60、61のそれぞれが軸方向取り付け支柱49に当接する(そして縫い込まれるあるいは支柱を覆うことなく縫い込まれるあるいは取り付けられる)か、あるいは対向した小葉の第1の側面方向の小葉エッジ(図示せず)が軸方向取り付け支柱49の近傍にラップされ、第2の小葉横方向エッジが第1の側面方向小葉エッジと軸方向取り付け支柱49の重ねて縫い込まれるかして行われる。1本の軸方向取り付け支柱49は、他の支持構造体に対してほぼ均一の幅を有するか、あるいは図19に示すように太いかのいずれかである。さらにこの太い軸方向取り付け支柱49は、開口93あるいはスロットを有する。その開口は如何なる形状あるいは長さを採ることもでき、縫合あるいは他の取り付け要素30、例えばクリップ、リング等を収納でき、小葉の外側エッジをそれに取り付けるあるいは係止する。
【0047】
図20は、アンカー構造体95を具備した一対の軸方向取り付け支柱49、50を有する実施例を示す。例えば図に示したホタテ貝形状のエッジ(上方向に向いてかぎが形成され下方向に細くなっている形状)は、アンカー構造体95に沿って構成され、取り付け要素97と弁構造体そのものが、軸方向取り付け支柱49、50に沿って下側にスライドするのを阻止あるいは制限する、特に、生物再成形可能材料で再収縮が起こる間に、制限する。このアンカー構造体95は、支柱のエッジに沿って肩部あるいは不連続部を提供する突起部あるいは他の構造体を含み、これにより軸方向取り付け支柱49、50に沿った小葉のスライドを制限する。さらに、取り付け要素(縫合材)とカバー材料の移動あるいはずれを制限するのに適した他の実施例は、米国特許出願第10/820,918号(発明の名称、「Intraluminal Support Device with Graft」)に開示されている。
【0048】
図18は、軸方向取り付け支柱49、50が完全には平行ではなく、人工弁プロテ−ゼ10の遠位端14の方向に若干縮まる(互いに図13、14の実施例よりもさらに離間している)ような実施例を示す。合わせ目27、28と端部曲げ部82は、軸方向取り付け支柱を相互接続して、閉鎖セル92を形成する。これは図13−16と同様である。先端取り付け支柱51、52は、対向する閉鎖セル92の間の相互接続と、取り付け通路74の遠位部76の間の相互接続を提供する。それらは、側面アーム93を具備し、さらに軸方向の支持/安定性と小葉の保護を提供する側面支持アーム83、84を有する。図18の実施例は、図13−16の近位支持アーム77、78を具備しない。
【0049】
図9、11、13−18の支持構造体11は、図に示したように、より大きなポケットを形成するために、弁構造体12内に最適の小葉角を達成するために、必須のものではない。例えば、弁構造体12の取り付け通路74は、外側の支持フレームへの取り付け構造を有し、フレーム32を具備した構造体を形成する。しかしこのフレーム32は、小葉60、61の外側エッジ39に沿って必ずしも延びる必要がなく、取り付け通路74と交差する支柱、特に取り付け通路74の遠位部76に沿った支柱に取り付けられる。さらに、外側エッジ39の少なくとも一部は、血管壁に支持構造体11なしで直接(例えば縫合、熱溶着、フックで係止、接着等で)取り付けられか、あるいは、外側エッジ39の限られた部分のみを強化する、あるいは成形する。かくして弁内に血液がないときに、静脈が自然に収縮する(少なくとも部分的に)ことが可能となる。
【0050】
図21に示す実施例においては、支持構造体11は、ヘアピン形状の部分支持部98を有する。この部分支持部98は、合わせ目27、28の近傍に近位端曲げ部を有し、さらにそこから延びる自由端を有する軸方向取り付け支柱49、50を具備し、これにより第1角(α)47を形成する。一方取り付け通路74の遠位部76は、半径方向に拡張可能なフレームによりそれに当たるよう付勢する小葉とはならないような別の取り付け構造を有する。この方法は、外科的な取り付け、組織の溶着、接着、返しあるいは他の公知の方法を含み、これらは同時継続の米国特許出願(発明の名称「Percutaneously Deployed Vascular Valves with Wall-Adherent Adaptations」、2004年4月1日出願、出願番号は追って通知)に記載されている。
【0051】
プロテ−ゼの縦軸64と血管に対する小葉60、61の角度(第1角(α)47の半分すなわちα/2)は、好ましくは−5−15°で、より好ましくは0−10°で、最も好ましくは0−5°である。合わせ目27、28の近傍の軸方向取り付け支柱49、50のこの比較的小さな角度により、小葉60、61に隣接するスペースが広くなり、小葉のベースでポケット35が広くなる。支持構造体の軸方向取り付け支柱49、50は、軸方向取り付け支柱49、50の近位端に沿って互いに平行に形成され、これにより最大のポケットサイズと小葉のより大きな接触面が得られる。例えばポケット35の領域は、第1角(α)47がゼロ(あるいは負の角度)で、第2角(β)48が少なくとも90°の場所で、取り付け通路74内で最大となる。その結果、各小葉26の側面外側エッジ87、88に沿った取り付け通路74は、ほぼL字型形状を採り、取り付け通路74の遠位部76は、図に示したようなドッグレッグの形状を採らず、近位端から鋭角で曲がる。
【0052】
接触可能な領域、すなわち小葉接触(接合)領域57の面積は、別の方法でも表現できる。本発明においては、通常の静脈弁プロテ−ゼの小葉接触(接合)領域57の長さ(あるいは取り付け通路74の近位部75の長さ)は、好ましくは少なくとも2mmで、せいぜい50mmである(これは弁プロテ−ゼの構造に依存する)。より好ましくは5−30mmで、最も好ましくは5−15mmである。25mmの長さを有する平均的な静脈弁においては、小葉接触(接合)領域57の好ましい長さあるいは近位部75の好ましい長さは、プロテ−ゼの全長(2.5mm−20mm)の10−80%であるが、これは弁構造体12が支持構造体11と同じ長さを採っていると仮定した場合である。より好ましい小葉接触(接合)領域57は、上記した一般的なプロテ−ゼの30−60%で、より好ましくは35−55%である。小葉接触(接合)領域57と血管の直径との関係は、人工弁プロテ−ゼ10の機能を最適化する際の1つのファクターである。好ましくは軸方向取り付け支柱49、50の長さおよび/または小葉接触(接合)領域57の長さは、通常の血管の直径の25−250%で、より好ましくは25−150%である。
【0053】
小葉材料のたるみ量は、小葉が、逆流の時にどの程度接触しているか、そして順流の時にどの程度開いているかを決定する。好ましくは、しかし必ずしも必要なことではないが、プロテ−ゼは、完全に開いた状態の小葉と血管の直径との間の距離が血管の直径の0−100%であり、より好ましくは20−80%であり、最も好ましくは50−70%となるよう構成される。軸方向取り付け支柱49、50をプロテ−ゼの縦軸64に対し方向付けることにより、最適の接触あるいは拡張した接触に対して、たるみが少なくて済む。小葉が血管の外壁に通常接触していないことは、生物再成形可能な材料、例えばECMを用いた時には、特に重要である。これは一部があるいは完全に組織が小葉内に成長する時間の間、壁に接触することになり、弁の機能を損なうことになるからである。
【0054】
図12は、ポケット内への逆流パターンを変更して、血液または体液が底に留まるのを阻止するような構造を有する実施例を示す。支持構造体11は、近位部15と遠位部17を有する。それらは人工弁プロテ−ゼ10が血管20内に留置された時に、静脈壁38を拡張し、そこに係合するよう大きさと構造を有する。開放(中間)部16は、弁構造体12を有し、接触する近位部15と遠位部17よりも狭い。生物抽出材料あるいは合成生物適合材料、例えばコラーゲン細胞外マトリクス(collagenous extracellular matrix(ECM))(あるいはSIS)、心膜組織、繊維、例えばDACRON、ePTFE等が支持構造体の上にあるいは内側に取り付けられ、小葉62を閉鎖し、血管でプロテ−ゼのシールを保護する。近位部15、遠位部17は、切頭円錐あるいはボール形状をし、開放(中間)部16の近位端あるいは遠位端とのインターフェース46は、プロテ−ゼの近位端13、遠位端14よりも直径が小さい。
【0055】
近位部15と遠位部17との間の遷移領域で人工弁プロテ−ゼ10の先端取り付け支柱52を狭めることによりベンチュリ効果(Venturi effect)が得られ、その結果逆流が加速され、これにより小葉60、61の近傍のポケット35内のフラッシュ・アクション(例えばより強い渦)の形成が得られる。血液あるいは体液がポケット35の周辺に滞留するのを阻止するための人工弁プロテ−ゼ10の機能は、さらに、図11の実施例に示すような小葉61、62を形成することによりさらに強化される。本発明では、近位部と遠位部は同一の形状にすることは必要ない。近位部15、開放(中間)部16、遠位部17は、図に示すように別個に取り付けられたユニットでもよく、あるいは図4の実施例と類似するように、1個のアンカー部分24の小区分でもよい。
【0056】
各実施例に示した支持構造体と弁構造体はさまざまな変形例が可能であり、これらの他の多くのものは、米国特許出願第10/642,372号(発明の名称「Implantable Vascular Device」、2003年8月15日出願)に開示されている。例えば、弁構造体は図に示した3個以上の小葉を含んでもよく、さらにはまた他の形状、構造の小葉を含んでもよい。弁構造体はさらに、小葉のない弁、例えば1つあるいは複数の管状スリーブあるいは他の形状を有してもよい。それにより血流を制限できる。支持構造体に関しては、ワイヤからあるいはカニョーレの一部から形成してもよく、あるいはポリマー、生物材料、あるいはそれらの合成材料、あるいは組み合わせ材料からモールド成形することもできる。プロテ−ゼの半径方向の拡張端末を与えるよう選択されたアンカー部分のパターン、すなわち支柱とセルの構造は、本発明の理解の為であり、必ずしも限定的なものではない。
【0057】
本明細書で用いられた医学用語は、Stedman’s Medical Dictionary 27版に定義された意味で用いている。
【0058】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】自然弁の中の血流の逆流パターンを表す断面図。
【図2】本発明の一実施例のプロテ−ゼが相互接続した近位部と遠位部を有し、それらの間に開放領域が形成され、血管内に人工血脈洞を形成している状態を表す図。
【図3】本発明の第2実施例を表し、近位部と遠位部がフレームより相互接続され、このフレームがプロテ−ゼの弁構造体内に組み込まれている状態を表す図。
【図4】本発明の一実施例のプロテ−ゼの中間部を表し、その支持構造体が拡張部分を有する状態を表す図。
【図5】本発明の一実施例を表し、近位部が拡張し、弁構造体の近傍に人工血脈洞を形成する状態を表す図。
【図6】本発明の一実施例を表し、人工血脈洞が複数の支持部分を有する状態を表す図。
【図7】本発明の一実施例を表し、人工血脈洞が複数の支持部分を有する状態を表す図。
【図8】外部スリーブを有する本発明の一実施例の部分断面側面図。
【図9】血管内で小葉とポケットの接触領域を増加させるよう構成された本発明の支持構造体の斜視図。
【図10】従来の弁の小葉の構造における血流パターンを表す側面図。
【図11】本発明の弁の小葉の構造における血流パターンを表す側面図。
【図12】図9の弁構造体と狭くなった中間部との組み合わせを有する本発明の一実施例を表す図。
【図13】接触領域を増加するために、小葉が平行な支柱に取り付けられた本発明の一実施例を表す側面図。
【図14】図13の実施例を90°回転させた側面図。
【図15】図13の実施例の上面図。
【図16】図13の実施例の支持フレームを広げた状態を表す図。
【図17】小葉の接触領域を増加するために、本発明の別の実施例の支持フレームを広げた状態を表す図。
【図18】小葉の接触領域を増加するために、本発明の別の実施例の支持フレームを広げた状態を表す図。
【図19】弁構造体を取り付けるために、支持構造体内に適応した状態を表す平面図。
【図20】弁構造体を取り付けるために、支持構造体内に適応した状態を表す平面図。
【図21】支持構造体が小葉の外側エッジ全体には一緒に延びていない実施例の部分断面斜視図。
【符号の説明】
【0060】
10 人工弁プロテ−ゼ
11 支持構造体
12 弁構造体
13 近位端
14 遠位端
15 近位部
16 開放(中間)部
17 遠位部
18,19 接続支柱
20 脈管
21 自然静脈弁
22 逆行性血流
23 渦
24 アンカー部分
25 一体型フック
26 小葉
27,28 合わせ目
29 遠位端
30 取り付け要素
31 拡張部分
32 フレーム
33 支柱
34 人工血脈洞
35 ポケット
36 相互接続手段
37 自然血脈洞
38 静脈壁
39 外側エッジ
40、42 第1、第2中間部分
42 縫合糸
43 中間部分
44 カバー
45 頂
46 インターフェース
47 第1角(α)
48 第2角(β)
49,50 軸方向取り付け支柱
51,52 先端取り付け支柱
53,54 安定化支柱
55 第1渦
56 第2渦
57 小葉接触(接合)領域
58,59 レグ
60,61,62 小葉
63 内側
64 縦軸
67 近位放射線不透過マーカ
68 支柱
70,71,72,73 四分の一部分
74 取り付け通路
75 近位部
76 遠位部
77,78 近位支持アーム
81 相互接続支柱
82 端部曲げ部
83,84 側面支持アーム
87,88 側面外側エッジ
89 遠位端
90 端部支柱
91 放射線マーカ
92 セル
93 開口
95 アンカー構造体
96 近位部
98 部分支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A) その中を流れる流体を制御する弁構造体と、
(B) 前記弁構造体に取り付けられた支持構造体と
を有し、
前記支持構造体の少なくとも一部は、留置後に拡張し、前記支持構造体に隣接する身体腔内に人工血流洞を形成し、
前記人工血流洞は、流体の滞留を阻止するような逆流渦を形成する
ことを特徴とする身体腔内に留置される半径方向に拡張可能な人工弁プロテーゼ。
【請求項2】
前記支持構造体は、留置後所定、直径まで拡張し、
前記弁プロテーゼは、前記人工血流洞が支持構造体により支持されていない身体腔の一部を含むよう構成され、
前記人工血流洞は、隣接する支持構造体の留置状態の直径よりも大きな直径を採る
ことを特徴とする請求項1記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項3】
前記人工血流洞は、近位端と遠位端を有し、
前記支持構造体は、前記人工血流洞の近位端に隣接して配置される第1部分と、前記人工血流洞の遠位端に隣接する、相互接続する第2部分とを有する
ことを特徴とする請求項2記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項4】
前記支持構造体の第1部分と第2部分とは、一対の対向して配置された支柱により相互接続される
ことを特徴とする請求項3記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項5】
前記弁構造体は、少なくとも一部が対向して配置された支柱に結合される
ことを特徴とする請求項4記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項6】
前記支持構造体は、第1端と第2端とを有し、
前記弁構造体は、第1端近傍に配置され、
前記支持構造体の第1端は、拡大した直径を有し、
これにより弁構造体近傍に人工血流洞を形成する
ことを特徴とする請求項1記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項7】
前記拡張可能な支持構造体は、中間部と、近位端と、遠位端とを有し、
前記中間部は、前記遠位端と近位端の直径よりも大きな直径を有し、
前記人工血流洞が、その近傍に形成される
ことを特徴とする請求項1記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項8】
前記中間部と近位端と遠位端は、相互接続セグメントを有する
ことを特徴とする請求項7記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項9】
前記中間部は、第1と第2の半径方向に拡張可能なアンカー部分を有し、
前記各アンカー部分は、第1端と、第2端と、少なくとも1個の拘束機構を有し、
前記拘束機構は、前記第1と第2の半径方向に拡張可能なアンカー部分の第1端と第2端で構成され、それらは異なる直径を有し、
前記第1と第2の半径方向に拡張可能なアンカー部分が、一体となって人工血流洞を形成する
ことを特徴とする請求項8記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項10】
前記中間部は、人工血流洞を有し、
前記人工血流洞が、収縮可能な支持構造体の隣接する部分から外側に延びる拡張部分を形成する
ことを特徴とする請求項7記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項11】
前記支持構造体は、超弾性材料を含む
ことを特徴とする請求項10記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項12】
前記超弾性材料は、ニチノールを含む
ことを特徴とする請求項11記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項13】
(A) その中を流れる流体を制御する複数の小葉を有する弁構造体と、
(B) 前記弁構造体に取り付けられた支持構造体と
を有し、
前記複数の小葉のそれぞれは、身体腔の大部分の長手方向軸と近接する方向を向き、
前記身体腔の先端部は、円周方向且つ先端方向に延びて、前記身体腔の壁と支持構造体の少なくとも一方でシールを形成し、
前記小葉の構造により、小葉と身体腔の壁との間にポケットを形成し、
これにより、その中を流れる流体の滞留を減らす逆流パターンを形成する
ことを特徴とする身体腔内に留置される半径方向に拡張可能な人工弁プロテーゼ。
【請求項14】
(A) その中を流れる流体を制御する小葉を有する弁構造体と、
(B) 前記弁構造体に取り付けられた支持構造体と、
(C) 前記支持構造体を超えて延びるカバーと
を有し、
前記支持構造体は、第1直径の第1セクションと、第1セクションの下に取り付けられ第2直径を有する第2セクションとを有し、
前記第2直径は、第1直径よりも小さく、
流体が支持構造体を通る際に、逆流が渦の形態で増加し、
前記支持構造体は、第2セクション内に配置され、
ポケットが、弁構造体と身体腔の壁との間に形成され、
前記ポケットが、上方から逆流により連続的にフラッシュされるよう構成される
ことを特徴とする身体腔内に留置される半径方向に拡張可能な人工弁プロテーゼ。
【請求項15】
(A) その中を流れる流体を制御する複数の小葉を有する弁構造体と、
(B) 一連の近位曲げ部を有する支持構造体と
を有し、
前記近位曲げ部は、複数の小葉とそれらの間に配置される隣接する先端曲げ部とを取り付ける合わせ目を有し、
前記近位曲げ部は、第1角を規定し、
遠位曲げ部が、第1角よりも大きい第2角を規定し、
前記小葉が、近位曲げ部から延びて外側に湾曲する前は、身体腔とほぼ平行な方向性を維持し、
前記支持構造体と血管壁の少なくとも一方に係合し、
前記小葉の方向により、ポケットがその近位表面に隣接して形成され、
前記ポケットのサイズと形状により、逆流方向に流れる流体がその中の流体の滞留を減らすような流れパターンを形成する
ことを特徴とする身体腔内に留置される半径方向に拡張可能な人工弁プロテーゼ。
【請求項16】
(A) その中を流れる流体を制御する1つまたは複数の小葉を有する弁構造体と、
前記小葉は、内側エッジを有し、
(B) 弁構造体を具備する支持構造体と、
を有し、
前記支持構造体は、それに沿った1個あるいは複数個の軸方向取り付け支柱を有し、
前記軸方向取り付け支柱にそって、少なくとも小葉の一部が取り付けられ、
軸方向取り付け支柱は、プロテーゼの軸方向を向いており、
前記複数の小葉は、プロテーゼが身体腔内に留置された時に、その全長の部分にわたって互いに接触する
ことを特徴とする身体腔内に留置される半径方向に拡張可能な人工弁プロテーゼ。
【請求項17】
前記支持構造体は、第1と第2のほぼ平行な軸方向取り付け支柱と、軸方向取り付け支柱に沿って取り付けられる一対の対向する小葉とを有する
ことを特徴とする請求項16記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項18】
前記弁は、小葉の間に形成されるオリフィスを繋ぐ一対の合わせ目を有し、
前記支持構造体は、第1と第2の軸方向取り付け支柱を有し、
前記軸方向取り付け支柱は、合わせ目から遠位端方向に延び、
前記第1と第2の軸方向取り付け支柱が、それらの間に30°未満の第1角を規定する
ことを特徴とする請求項16記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項19】
前記第1角は、20°未満である
ことを特徴とする請求項16記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項20】
前記第1角は、10°未満である
ことを特徴とする請求項16記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項21】
前記2本の軸方向取り付け支柱は、各合わせ目から、互いに並列に延びる
ことを特徴とする請求項16記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項22】
(A) 少なくとも第1と第2の合わせ目を有する第1端と、その先端に配置される第2端とを有する支持構造体と、
(B) 複数の小葉と
を有し、
前記各小葉は、第1の合わせ目から遠位端方向に延びる第1側面エッジと、第2の合わせ目から遠位端方向に延びる第2側面エッジとを有する外側エッジを有し、
前記第1と第2の側面エッジは、第2端近傍をカバーし、
前記複数の小葉が、血管の壁と共にシールを形成し、互いに協働してその中を流れる流体を制御し、
前記第1と第2の側面エッジはそれぞれ、取り付け通路に沿って支持構造体に取り付けられ、
前記取り付け通路はは、近位端と遠位端とを有し、
前記近位端は、プロテーゼの長手軸に対する軸方向を有するプロテーゼの長さの一部を含み、
前記遠位端は、前記近位端から斜め方向に延び、
前記プロテーゼが身体腔内に留置された時に、前記複数の小葉は、各小葉に隣接して配置された大きなポケットの側を規定する拡張した接触部分と、前記ポケットの底部を規定する基礎部分とを有する
ことを特徴とする身体腔内に留置される半径方向に拡張可能な人工弁プロテーゼ。
【請求項23】
(A) 第1と第2の合わせ目を有する第1端と、その先端に配置された第2端とを有する支持構造体と、
(B) 一対の小葉と
を有し、
前記各小葉は、第1の合わせ目から遠位端方向に延びる第1側面エッジと、第2の合わせ目から遠位端方向に延びる第2側面エッジとを有する外側エッジを有し、
前記第1と第2の側面エッジは、第2端近傍をカバーし、
前記複数の小葉が、血管の壁と共にシールを形成し、互いに協働してその中を流れる流体を制御し、
前記第1と第2の側面方向エッジはそれぞれ、第1と第2の合わせ目からアンカー部分に沿って延びる第1支柱の近傍に取り付けられ、
前記アンカー部分は、前記プロテーゼの長手軸に対し、長手軸方向を有するプロテーゼの長さの部分を含む近位端と、前記近位端から斜め方向に整合する遠位端とを有し、
前記プロテーゼが身体腔内に留置された時に、前記複数の小葉は、各小葉に隣接して配置された大きなポケットの側を規定する拡張した接触部分と、前記ポケットの底部を規定する基礎部分とを有する
ことを特徴とする身体腔内に留置される半径方向に拡張可能な人工弁プロテーゼ。
【請求項24】
(A) その中を流れる流体を制御する複数の小葉を有する弁構造体と、
前記複数の各小葉は、内側の自由端と、側部エッジを形成し、先端部で相互接続する第1と第2の側面方向外側エッジを有する外側エッジを有し、
(B) 複数の小葉の取り付け用に合わせ目を有する一連の近位曲げ部とそこから先端方向に延びる軸方向取り付け支柱とを有する支持構造体と
を有し、
前記支持構造体はさらに、前記軸方向取り付け支柱から先端方向且つ円周方向に延びる一対の遠位取り付け支柱を有し、
前記側面方向外側エッジは、軸方向取り付け支柱に沿って近位端方向に取り付けられて、拡張した小葉接触領域を形成し、
前記先端方向に延びる遠位取り付け支柱は、側面方向で収束し、前記複数の小葉のそれぞれの底部エッジを具備し、
前記プロテーゼは、複数の小葉と身体腔の壁との間にシールを形成し、前記複数の小葉のそれぞれのベースに大きなポケットを形成し、
前記ポケットは、逆流する流体がその中に流体が滞留するのを減少するような流体パターンを形成するような大きさと形状である
ことを特徴とする身体腔内に留置される半径方向に拡張可能な人工弁プロテーゼ。
【請求項25】
前記軸方向取り付け支柱は、前記弁構造体の長さの10−80%を含む小葉接触領域を形成するような大きさである
ことを特徴とする請求項24記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項26】
前記軸方向取り付け支柱は、前記弁構造体の長さの30−60%を含む小葉接触領域を形成するような大きさである
ことを特徴とする請求項26記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項27】
前記軸方向取り付け支柱は、前記弁構造体の長さの35−55%を含む小葉接触領域を形成するような大きさである
ことを特徴とする請求項24記載の人工弁プロテーゼ。
【請求項28】
(A) その中を流れる流体を制御するために互いに協働するよう構成された一対の対向した小葉
を有し、
前記小葉は、近位端と、遠位端と、遠位端内を横切る内側エッジと、第1と第2の側面外側エッジとを有し、
前記対向する小葉の外側エッジは、そこに沿って延びる取り付け通路を有し、
前記取り付け通路は、支持フレームと身体腔の内側壁の少なくとも一方に結合し、
前記取り付け通路は、プロテーゼが身体腔内に留置された時に、複数の小葉の形状と構造を規定し、
前記取り付け通路は、各小葉の第1と第2の側面外側エッジ沿って延び、
前記第1と第2の側面外側エッジのそれぞれは、プロテーゼに対してほぼ長手方向性を有する近位取り付け通路を有し、
大きな小葉接触領域が、対向した小葉間に形成され、
遠位取り付け通路部分は、第1と第2の側面外側エッジの他のエッジで収束し、小葉の底部エッジを形成し、
前記小葉の底部部分は、ほぼ軸方向に整合した近位端から側面方向に角度をもって延び、それにより、近位端と遠位端の接合部近傍に大きなポケットを形成し、シールして、 これにより、液体の滞留を減少するような逆流の流れパターンを形成する
ことを特徴とする身体腔内に留置される半径方向に拡張可能な人工弁プロテーゼ。
【請求項29】
(A) 第1と第2の側面方向外側エッジと、第1の小葉表面とを有する第1小葉と、
(B) 第1と第2の側面方向外側エッジと、第2の小葉表面とを有する第2小葉と、
(C) 前記第1と第2の小葉表面を互いに対向させ、支持構造体の長手軸方向に沿ってその長さの大部分にわたって配置する手段を規定する拡張可能な支持構造体と
を有し、
前記第1と第2の小葉のそれぞれの第1と第2の側面方向外側エッジが、支持フレームに沿って取り付けられている
ことを特徴とする身体腔内に留置される半径方向に拡張可能な人工弁プロテーゼ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2006−524119(P2006−524119A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513221(P2006−513221)
【出願日】平成16年4月21日(2004.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/012430
【国際公開番号】WO2004/096100
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(591048405)クック インコーポレイティド (11)
【氏名又は名称原語表記】COOK INCORPORATED
【Fターム(参考)】