説明

流体吐出装置、フラッシング方法、及び、フラッシングプログラム

【課題】記録媒体に形成される画像の記録開始部分における流体の濃度むらを低減させることを課題とする。
【解決手段】記録データDA1に従った記録処理中において、記録媒体SLに形成される画像IM1の記録開始部ST1にヘッド部HE1があるとき、ノズル25からの流体FL1の吐出頻度と吐出数の少なくとも一方を第一の記録時フラッシングの流体吐出条件CD1よりも多くした第二の流体吐出条件CD2でヘッド部HE1のノズル25から流体FL1を吐出して第二の記録時フラッシングを行う。前記画像IM1の記録開始部ST1には、記録媒体SLにおいて画像IM1間に生じる送り方向Yの余白部分AR3の後となる画像IM1の記録開始部ST1が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体の送り方向に複数のノズルを並べたヘッド部に対して記録媒体を送りながらノズルから流体を吐出する装置のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、上記流体吐出装置として、記録媒体を紙送り方向へ送りながら記録データに従ってインクジェット式記録ヘッドからインク滴(流体)を吐出して印刷を行うインクジェット式記録装置が知られている。インクジェット式記録ヘッドは、圧力発生室で加圧したインクをノズル開口から吐出する関係上、ノズル開口からの溶媒の蒸発に起因するインク粘度上昇やインク固化、ノズルへの塵埃付着や気泡混入、等によりノズルに目詰まりが生じる可能性がある。このため、インクジェット式記録装置は、非印刷領域において記録ヘッドのノズル形成面をキャッピング手段で封止し、このキャッピング手段内に吸引ポンプでインクを吸引排出し、記録ヘッドのノズル形成面をワイピング手段で払拭(ワイピング)し清掃している。また、インクジェット式記録装置は、ノズル開口から非印刷領域(フラッシング領域)にインクを吐出するフラッシング(空吐出動作)も行っている。
【0003】
例えば、特許文献1記載のフラッシング装置は、噴射された液体構成成分を本体の開口部を通じて堆積部に一旦堆積させ、本体に対して堆積部を移動する除去部で液体構成成分の堆積物を堆積部から除去して落とし、該落とされた液体構成成分の堆積物を収容部に収容する。また、特許文献2記載の液体噴射装置は、ノズル開口におけるメニスカス近傍の液体に不均一な増粘が生じている状態と判断された場合に圧力発生素子を動作させて圧力発生室内の液体に微少な圧力変動を生じさせてメニスカス近傍の液体を微振動させ、該微振動させた後に圧力発生素子を動作させてフラッシングを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4461811号公報
【特許文献2】特許第4452432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
記録ヘッドに対して紙送り方向に複数のノズルが並べられている場合、記録媒体に形成される画像の記録開始部に記録ヘッドがあると、形成画像の部分にあるノズルはインク吐出に使用される。一方、形成画像から外れた部分にあるノズルは、インク吐出に使用されない。インク吐出に使われなかったノズルは、インク吐出に使われたノズルと比べてインクが増粘すると推察される。従って、インク吐出に用いられなかったノズルは、紙送りにより形成画像の部分となると、増粘した濃いインクを形成画像の記録開始部分に吐出することになる。実際、記録媒体に形成される画像の記録開始部分でインクが濃くなるという濃度むらが生じている。
【0006】
以上を鑑み、本発明の目的の一つは、記録媒体に形成される画像の記録開始部分における流体の濃度むらを低減させることにある。
【課題を解決するための手段及びその作用・効果】
【0007】
上記目的の一つを達成するため、本発明は、記録媒体の送り方向に複数のノズルを並べたヘッド部に対して前記記録媒体を前記送り方向へ送りながら記録データに従って前記ノズルから前記記録媒体に向けて流体を吐出する流体吐出装置であって、
前記記録データに従った記録処理中に第一の流体吐出条件で前記複数のノズルから流体を吐出してフラッシングを行う第一の記録時フラッシング手段と、
前記記録処理中において、前記記録媒体に形成される画像の記録開始部に前記ヘッド部があるとき、前記ノズルからの流体の吐出頻度と吐出数の少なくとも一方を前記第一の流体吐出条件よりも多くした第二の流体吐出条件で前記ヘッド部のノズルから流体を吐出してフラッシングを行う第二の記録時フラッシング手段とを備えることを態様の一つとしている。
【0008】
すなわち、形成画像の記録開始部にヘッド部があるとき、ノズルからの流体の吐出頻度と吐出数の少なくとも一方が多くなった第二の記録時フラッシングが行われる。従って、本態様は、記録媒体に形成される画像の記録開始部分における流体の濃度むらを低減させることができる。
【0009】
ここで、ヘッド部に対して記録媒体を送り方向へ送ることは、ヘッド部と記録媒体の少なくとも一方を移動させることを意味し、不動のヘッド部に対して記録媒体を移動させること、不動の記録媒体に対してヘッド部を移動させること、ヘッド部と記録媒体の両方を移動させること、のいずれも含まれる。
上記流体は、記録媒体に画像を形成することができるものであればよく、液体や粉体等が含まれ、より具体的にはインクやトナー等が含まれる。
上記記録媒体に形成される画像は、流体の吐出によって記録媒体に形成されるものであればよく、記録媒体への流体の付着物、記録媒体に形成された凹凸、等が含まれる。また、上記記録媒体に形成される画像は、ひとまとまりの記録データで一つのみ形成されても複数形成されてもよい。上記記録媒体において画像間に送り方向の余白部分が生じる場合、該余白部分を挟む各画像の記録開始部にヘッド部があるときに第二の記録時フラッシングが行われ得る。
【0010】
上記ノズルから流体を吐出して行われるフラッシングは、ヘッド部をフラッシング位置に移動させて流体を非記録位置へ吐出すること、吐出流体の受け手段をノズルへの対向位置に移動させて流体を受け手段へ吐出すること、記録媒体を退避させて流体を非記録位置へ吐出すること、これらの組合せ、等が含まれる。
上記ノズルからの流体の吐出頻度には、何パス毎にフラッシングを行うかのパス数基準の頻度、何秒毎にフラッシングを行うかの時間基準の頻度、等が含まれる。
第一の記録時フラッシングと第二の記録時フラッシングとは、全てのノズルに対して同時に切り替えられて行われてもよいし、複数のノズルのうち一部のノズルに対して第一の記録時フラッシングが行われて残りのノズルに対して第二の記録時フラッシングが行われてもよい。
上記画像の記録開始部には、前記記録媒体において画像間に生じる前記送り方向の余白部分の後となる画像の記録開始部が含まれる。すなわち、送り方向の余白部分の後となる画像の記録開始部分における流体の濃度むらも低減される。
【0011】
ところで、前記第二の記録時フラッシング手段は、前記複数のノズルのうち前記画像の形成に使用していないノズルを前記第二の流体吐出条件にしてもよい。すると、第二の記録時フラッシングによる流体の消費量を少なくすることができる。
【0012】
前記第二の記録時フラッシング手段は、前記複数のノズルのうち前記記録媒体の送り時に前記送り方向において前記記録開始部の前の位置から形成画像の位置となるノズルに限定してフラッシングを行ってもよい。記録媒体の送り時に未だ記録開始部の前にあるノズルは、流体吐出に使用されない。従って、第二の記録時フラッシングによる流体の消費量を少なくすることができる。
【0013】
本流体吐出装置の温度を検出する温度検出手段が設けられてもよい。
本流体吐出装置は、前記温度検出手段で検出される温度に応じて前記第二の記録時フラッシング手段によるフラッシングを行うか否かを選択してもよい。すると、流体吐出装置の温度に応じたフラッシングを行うことができる。
【0014】
本流体吐出装置は、画像形成に関する複数の画像形成モードで前記記録媒体に画像を形成可能とされてもよい。
本流体吐出装置は、前記第二の記録時フラッシング手段によるフラッシングを行うか否かを前記画像形成モードに応じて選択してもよい。すると、画像形成モードに応じたフラッシングを行うことができる。
【0015】
さらに、前記画像形成モードが前記送り方向に並んだ複数のノズルの単位で前記記録媒体を前記送り方向へ送る設定である場合、本流体吐出装置は、前記第二の記録時フラッシング手段によるフラッシングを行わなくてもよい。このような画像形成モードでは、形成画像の記録開始部にヘッド部があっても、ノズルが記録開始部の前とならないようにヘッド部を配置することが可能である。このため、記録時フラッシングによる流体の消費量を少なくさせる可能性がある。
一方、前記画像形成モードが前記送り方向に並んだ複数のノズルの単位よりも小さい単位で前記記録媒体を前記送り方向へ送る設定である場合、本流体吐出装置は、前記第二の記録時フラッシング手段によるフラッシングを行ってもよい。このような画像形成モードでは、形成画像の記録開始部にヘッド部があると、記録開始部の前にノズルが配置されることがある。このため、第二の記録時フラッシングにより形成画像の記録開始部分における流体の濃度むらが低減する。
【0016】
また、前記第二の記録時フラッシング手段は、前記第二の流体吐出条件を前記画像形成モードに応じた流体吐出条件としてもよい。すると、画像形成モードに応じたフラッシングを行うことができる。
【0017】
上述した態様は、流体吐出制御装置、印刷制御装置、印刷装置、例えば記録開始前フラッシング工程や第一の記録時フラッシング工程や第二の記録時フラッシング工程といった工程を備えるフラッシング方法、さらに記録工程といった工程を備える記録方法、印刷制御方法、印刷方法、例えば記録開始前フラッシング機能や第一の記録時フラッシング機能や第二の記録時フラッシング機能といった機能をコンピューターに実現させるフラッシングプログラム、さらに記録機能といった機能をコンピューターに実現させる記録プログラム、印刷制御プログラム、印刷プログラム、これらのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な媒体、等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】フラッシング方法の概念を模式的に例示する図。
【図2】プリンター(流体吐出装置)11の機能を模式的に例示する図。
【図3】一実施形態に係るプリンター11を一部断面状態で模式的に例示する側面図。
【図4】ヘッド部HE1を設けたキャリッジ21の底面を例示する図。
【図5】プリンター11を一部断面状態で模式的に例示する正面図。
【図6】プリンター11の構成を例示するブロック図。
【図7】(a)〜(e)はフラッシングテーブルの構造を模式的に例示する図。
【図8】(a)〜(d)はフラッシングテーブルの構造を模式的に例示する図。
【図9】第二の流体吐出条件CD2をパス終了毎のフラッシングとするフラッシング制御処理(その1)を例示するフローチャート。
【図10】第二の流体吐出条件CD2を短い間隔のフラッシングとするフラッシング制御処理(その2)を例示するフローチャート。
【図11】(a)は画像IM1の形成に使用していないノズルを第二の流体吐出条件CD2とする様子を模式的に例示する図、(b)は記録媒体の送り時に送り方向Yにおいて記録開始部ST1の前の位置から形成画像IM1の位置となるノズルに限定して第二の流体吐出条件CD2とする様子を模式的に例示する図。
【図12】第二の流体吐出条件CD2でフラッシングを行うか否かを選択する条件分けフラッシング制御処理を例示するフローチャート。
【図13】(a)はバンド送りを例示する図、(b)はインターレース方式の送りを例示する図。
【図14】(a)及び(b)は変形例における処理を示すフローチャート。
【図15】比較例に係るフラッシング方法の概念を模式的に例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(1)フラッシング方法の概略:
まず、図1,2,15等を参照して本発明の一態様に係るフラッシング方法の概略を説明する。
インクジェット式のプリンター11に例示される流体吐出装置は、ヘッド部HE1に対して記録媒体SLを送り方向Yへ送りながら記録データDA1に従ってノズル25から記録媒体SLに向けて流体FL1を吐出する。ヘッド部HE1には、記録媒体SLの送り方向Yに複数のノズル25が並べられている。
【0020】
本流体吐出装置は、第一の記録時フラッシング手段U21及び第二の記録時フラッシング手段U22を備えている。必要に応じて、流体吐出装置に記録開始前フラッシング手段U1が設けられてもよい。ここで、記録開始前フラッシング手段U1は記録開始前フラッシング工程及び記録開始前フラッシング機能に対応し、第一の記録時フラッシング手段U21は第一の記録時フラッシング工程及び第一の記録時フラッシング機能に対応し、第二の記録時フラッシング手段U22は第二の記録時フラッシング工程及び第二の記録時フラッシング機能に対応している。これらの手段U1,U21,U22は、各手段専用のノズルを設けるという意味の手段ではなく、共通のノズルに対して行うフラッシングを実行時期に応じて変えるという意味の手段である。これらの手段U1,U21,U22は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働した具体的手段により構成されてもよいし、基本的にソフトウェアがコンピューターに読み込まれた具体的手段により構成されてもよいし、ASIC(Application Specific IC;特定用途向け集積回路)といった集積回路など基本的にハードウェア資源で構成されてもよい。
記録開始前フラッシング手段U1は、記録データDA1に従った記録処理を開始する前に複数のノズル25から流体FL1を吐出して記録開始前フラッシングを行う。印刷装置の記録開始前フラッシングは、印字前フラッシング等とも呼ばれる。
【0021】
第一の記録時フラッシング手段U21は、記録データDA1に従った記録処理中に第一の流体吐出条件CD1で複数のノズル25から流体FL1を吐出して第一の記録時フラッシングを行う。流体吐出条件は、ノズル25からの流体FL1の吐出頻度と吐出数の少なくとも一方を含む。流体の吐出頻度は単位時間当たりのフラッシングの回数を意味し、吐出頻度を多くするとは単位時間当たりのフラッシング回数を増やすことを意味する。また、流体の吐出数は1回のフラッシングで吐出する流体の滴数を意味し、吐出数を多くするとは1回のフラッシング時の吐出滴数を増やすことを意味する。印刷装置における第一の記録時フラッシングは、印刷処理中に行われるフラッシングのことであり、定期的に行われる場合に定期フラッシング等と呼ばれる。この定期フラッシングは、通常、記録ヘッドの1パス(1回の主走査)の時間よりも長い間隔に設定される。
【0022】
図15は、第二の記録時フラッシング手段の無いインクジェットプリンターで記録媒体SLに画像IM1を形成する比較例を模式的に示している。
ここで、ヘッド部HE1を構成する記録ヘッド23は、主走査方向Xへ主走査してインクのドットを形成し、記録媒体SLの送り方向Yへの送り(副走査)により順次、送り方向Yにずれてインクのドットを形成する。図15に示す記録ヘッド23は、全ノズル25により形成されるドットの送り方向Yのバンド幅の1/4が送り量y1とされている。パス数は、送り方向Yにおける記録媒体SL上の同じ位置で行う主走査の数を1とした主走査数を意味する。パス数0は、画像IM1の記録開始前を意味し、記録開始前フラッシングが行われてもよい。パス数1は、画像IM1の記録開始部ST1に始まる記録開始領域AR1にドットを形成する1回目の主走査を意味し、複数のノズル25のうち送り方向Y上流側の1/4のノズル25dをインク吐出に使用して送り方向Y下流側の3/4のノズル25a〜25cをインク吐出に使用しない。パス数2は、記録媒体SLに対してさらにy1だけ相対的にずれた領域にドットを形成する2回目の主走査を意味し、上流側の1/2のノズル25c,25dをインク吐出に使用して残りのノズル25a,25bをインク吐出に使用しない。パス数3は、上流側の3/4のノズル25b〜25dをインク吐出に使用して残りのノズル25aをインク吐出に使用しない。パス数4以降は、全てのノズル25a〜25dをインク吐出に使用する。
なお、3パス終了までのようにインク吐出に一部のノズルしか使用しない処理を、上端処理とも呼ぶ。
【0023】
図15の「Flushing」は、各パス終了時にフラッシングを行うか否かを示しており、丸印がフラッシングを行うことを意味し、×印がフラッシングを行わないことを意味する。図15の例は、0のパス終了時には印字前フラッシングを行い、7のパス終了時には定期フラッシングを行うことを意味する。「累積時間」は前回のフラッシングを行ってからの経過時間を意味し、「t」は1パスにかかる時間(例えば秒)を意味する。1パスにかかる時間は1秒以下であることが多い一方、定期フラッシングの間隔は数秒であることが多いため、パス終了時にフラッシングが行われないことが多い。
【0024】
1パス目は、ノズル25a〜25cが使われないため、これらのノズル25a〜25cのインクが増粘すると推察される。図15中、吐出に使用されるノズルと比べてインクの増粘が予測されるノズルを黒丸で示している。2パス目は、ノズル25cから記録開始領域AR1に向かって増粘していると考えられるインクが吐出される。3パス目はノズル25bから記録開始領域AR1に向かって増粘していると考えられるインクが吐出され、4パス目はノズル25aから記録開始領域AR1に向かって増粘していると考えられるインクが吐出される。
以上説明したように、印字前フラッシングを行っていても、上端処理においてインク吐出に使われなかったノズルは、インク吐出に使われたノズルと比べてインクが増粘すると推察される。実際、一般領域AR2と比べて記録開始領域AR1でインクが濃くなるという濃度むらが生じる。
【0025】
そこで、図1に示すように、第二の記録時フラッシング手段U22で記録開始直後から所定期間の流体吐出条件を変えてフラッシングを行うことにしている。本第二の記録時フラッシング手段U22は、上記上端処理のように記録媒体SLに形成される画像IM1の記録開始部ST1にヘッド部HE1があるとき、ノズル25からの流体FL1の吐出頻度と吐出数の少なくとも一方を第一の流体吐出条件CD1よりも多くした第二の流体吐出条件CD2でヘッド部HE1のノズル25から流体FL1を吐出してフラッシングを行う。ここで、ヘッド部HE1に対して送り方向Yへ並べられた複数のノズル25のいずれかが形成画像IM1の記録開始部ST1に隣接する位置にあるとき、記録開始部ST1にヘッド部HE1があるといえる。図2に示すように、記録開始部ST1は、最初に形成される画像IM1sの記録開始部ST1sのみならず、記録媒体SLにおいて画像IM1間に生じる送り方向Yの余白部分AR3の後となる画像IM1aの記録開始部ST1aを含む。
【0026】
図1の例は、送り方向Yに複数のノズル25を所定のノズルピッチkで並べたヘッド部HE1が記録開始部ST1にあるとき、パス終了時に第二の記録時フラッシングを行うことを示している。この場合、1パス終了時にノズル25a〜25cのインクの増粘が解消され、記録開始領域AR1のインクの濃さが一般領域AR2のインクの濃さに合わせられるようになる。むろん、2パス終了時にノズル25a,25bのインクの増粘が解消され、3パス終了時にノズル25aのインクの増粘が解消され、記録開始領域AR1のインクの濃さが一般領域AR2のインクの濃さに合わせられるようになる。
以上より、記録媒体SLに形成される画像IM1の記録開始部分における流体FL1の濃度むらが少なくなる。
【0027】
なお、図2に示すような余白部分AR3の後となる画像IM1aの記録開始部分についても、同様のことがいえる。特に、余白部分AR3の送り方向Yの送り量をy3、全ノズル25により形成されるドットの送り方向Yのバンド幅に相当する送り量をy2とするとき、y3≧y2であれば1パス分以上の余白があることになる。この場合、全ノズル25について使用されない期間が生じる可能性があり、各ノズル25からのインクの吐出が最初の画像IM1sの記録開始部分と同様となる。従って、この場合にも第二の記録時フラッシングを行うことにより、余白部分AR3の後の画像IM1aの記録開始部分における流体FL1の濃度むらが少なくなる。
上述した効果は、ノズル25からの流体FL1の吐出頻度と吐出数の少なくとも一方を第一の流体吐出条件CD1よりも多くした第二の流体吐出条件CD2でヘッド部HE1のノズル25から流体FL1を吐出してフラッシングを行えば、得られる。
【0028】
(2)プリンターに具体化した実施形態:
次に、図3〜14を参照して、本技術をインクジェット式プリンターに具体化した実施形態を説明する。
図3に示す本実施形態のプリンター(流体吐出装置)11は、シリアルタイプのインクジェット式の記録装置とされている。プリンター11は、長尺状のシートとされた印刷用紙である記録媒体SLが巻回されたロールRSから記録媒体SLを少しずつ送り出し搬送する搬送装置12を備えている。
【0029】
第1のモーター13により軸部材14が所定方向に回転駆動することで、ロールRSから長尺状の記録媒体SLが搬送経路に沿って送り出される。搬送装置12は、ロールRSからシート状の記録媒体SLを少しずつ送り出すための送出し部15と、この送出し部15の搬送方向下流側に配置される搬送ローラー対16とを備えている。送出し部15は、第2のモーター18が駆動されることによって送出しローラー17aが回転しかつ従動ローラー17bが従動回転することにより、記録媒体SLを搬送方向下流側へ送り出す。
【0030】
搬送ローラー対16は、搬送モーター19の駆動によって搬送ローラー16aが回転しかつ従動ローラー16bが従動回転することにより、記録媒体SLを搬送方向下流側へ搬送する。
【0031】
また、長尺状の記録媒体SLの送り方向Y(「副走査方向」ともいう)における中途位置には、記録媒体SLに対して記録を施す記録ユニット20が設けられている。送り方向Yは、主走査方向Xと直交する副走査方向であり、相対移動方向DR1と交わる方向DR2である。記録ユニット20には、キャリッジ21がガイド軸22に案内されて主走査方向Xに往復移動可能な状態で設けられている。キャリッジ21は記録媒体SLと対向する部分に、複数の記録部の一例として複数の記録ヘッド23を有している。この記録ヘッド23には、プリンター11に着脱自在に装着されたカートリッジ82(図5参照)からインク(流体FL1)が供給される。キャリッジモーター24が正逆転駆動されることによってキャリッジ21は主走査方向Xに往復移動し、この移動途中で記録ヘッド23内の駆動素子PE1が駆動されることで各ノズル25から記録媒体SLの表面(図3では上面)に向けてインク滴が噴射される。ガイド軸22とキャリッジモーター24は、相対移動手段U41を構成する。
【0032】
そして、キャリッジ21と共に記録ヘッド23が主走査方向Xに1回(1パス)移動して行われる1行分の印刷動作と、記録媒体SLを次行の記録位置まで搬送する搬送装置12による搬送動作とが略交互に行われることにより、記録媒体SLの表面に印刷が施される。本実施形態では、記録媒体SLには例えば写真などの印刷画像が印刷される。なお、記録ヘッド23と記録媒体SLを挟んで対向する位置には、記録媒体SLを支持する支持部材26が記録媒体SLの幅方向(主走査方向X)に沿って延びるように設けられている。
【0033】
また、記録ユニット20の搬送方向下流側(図3では左側)の切断位置では、切断用モーター32からの駆動力により切断ユニット30のカッター31が記録媒体SLの幅方向(主走査方向X)へ移動することにより、長尺状の記録媒体SLから記録済み部分が切り離される。また、切断ユニット30の搬送方向下流側には、記録媒体SLから切り離されたカットシートSCを搬送方向最下流へ排出する排出ユニット34が設けられている。
【0034】
排出ユニット34は、送り方向Yに沿って配置される複数の排出ローラー対35,36を備えている。排出用モーター37が駆動されると、記録済みのカットシートSCを搬送方向に沿った二位置で挟持しつつローラー35a,35bとローラー36a,36bとがそれぞれ回転し、カットシートSCは搬送方向下流側へ排出され、排出トレイ38に積層状態に収容される。なお、搬送ローラー対16よりも送り方向Yにおける上流側位置には、記録媒体SLの先端を検出するための検出センサー39が設けられている。この検出センサー39からの検出信号は、プリンター11を制御するコントローラー40に出力され、記録媒体SLの搬送位置制御などに用いられる。
【0035】
図4は、ヘッド部HE1を設けたキャリッジ21の底面を例示している。ヘッド部HE1は、主走査方向となる相対移動方向DR1へ複数の記録ヘッド23に分割されている。各記録ヘッド#H(Hは1〜5の整数)は、主走査方向と直交する副走査方向(DR2)へ複数個(例えば180個)のノズル25が並んだノズル列が主走査方向(DR1)に複数並べられている。記録ヘッド#Hの各ノズル列#HA,#HBは、インク等の流体FL1を噴射(吐出)するためのノズル25が副走査方向(DR2)へ所定のノズルピッチkで配列されている。同じ記録ヘッドの2列のノズル列#HA,#HBは、副走査方向(DR2)へ互いに半ピッチ(k/2)ずれ、各ノズル25がいわゆる千鳥状に配置されている。
【0036】
図4の例における複数のノズル25は、吐出する流体FL1の色毎に分けられている。具体的には、相対移動方向DR1へ並んだノズル列の最も外側にマゼンタ(M)のノズル列#1A,#5B、これらの内側にシアン(C)のノズル列#1B,#5A、これらの内側にライトブラック(Lk)のノズル列#2A,#4B、これらの内側にイエロー(Y)のノズル列#2B,#4A、最も内側にブラック(K)のノズル列#3A,#3Bが配置されている。各ノズル25がヘッド部HE1の中心を基準として点対称に配置されることにより、キャリッジ21の往動時と復動時の双方で印刷を行う双方向印刷(Bi−d印刷)時に吐出される流体FL1の色の順番が同じとなる。
【0037】
キャリッジ21は、図6に例示する相対移動手段U41により主走査方向Xへ往復駆動される。この相対移動手段U41は、複数のノズル25を設けたヘッド部HE1と記録媒体SLとを相対移動させることになる。
プリンター11は、記録データDA1に従って複数のノズル25から流体FL1を吐出する。記録データDA1は、記録媒体SLへのドットDT1の形成状態を画素毎に表すデータである。
【0038】
記録データDA1は、図6に示すように、ホスト装置HCからI/F部41に入力されると、受信バッファー42を経て画像処理部44に入力される。画像処理部44は、記録データDA1に対して所定の画像処理を行う。該画像処理後の記録データDA1は、イメージバッファー46を経てヘッド駆動部49へ送られる。その結果、ヘッド駆動部49は、所定の吐出タイミングに合わせて記録データDA1に従い複数のノズル25からインクを吐出する。記録媒体SLには、記録データDA1に対応した画像IM1が形成される。
【0039】
図5は、フラッシング機能を有するプリンター11の一例を正面から一部断面状態で模式的に示している。キャリッジ21は、フレーム81,81によって水平に支持され長手方向を主走査方向Xに向けたガイド軸22に案内されて往復移動する。キャリッジ21の上部には、インクのカートリッジ82が着脱可能に装填されている。記録ヘッド23の下方には、記録媒体SLの案内部材83が配置されている。案内部材83上に載せられた記録媒体SLは、図6に示す搬送駆動部51によって送り方向Yへ移動する。
非印字領域(ホームポジションHP1)に配置されたキャッピング手段84は、直上まで移動した記録ヘッド23のノズル形成面を封止する。キャッピング手段84の下方に配置された吸引ポンプ85は、キャッピング手段84の内部空間に負圧を与える。このようにして、クリーニングが行われる。キャッピング手段84の近傍に配置されたワイピング部材86は、ゴムといった弾性板等から構成され、キャリッジ21がキャッピング手段84側に移動する際に記録ヘッド23のノズル形成面を払拭する。
【0040】
案内部材83に開口したフラッシング領域87は、非印字領域(フラッシング位置FP1)に形成され、インクの吸収材88を収容したケース89の上方に配置されている。従って、キャリッジ21をフラッシング位置FP1に移動させ、記録ヘッド23のノズルからインクを吐出すると、インク滴がフラッシング領域87からケース89内に落ちて吸収材88に吸収される。このようにして、フラッシングが行われる。
なお、フラッシング位置は、主走査方向Xにおいてホームポジションの反対側となる位置のみならず、ホームポジション側の位置でもよいし、ホームポジション側とその反対側の両方に設けられてもよい。
【0041】
図6は、搬送装置12及びその駆動制御系を省略してプリンター11の内部構成の概略を示している。以下、プリンター11の電気的構成について説明する。
【0042】
プリンター11は、その内部にコントローラー40を備えている。このコントローラー40は、I/F(インターフェイス)部41を介してホスト装置HCのプリンタードライバーPDから印刷データである記録データDA1を受信する。
【0043】
コントローラー40は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリー及びRAM(Random Access Memory)を有している。ROMには、フラッシングプログラムを含む各種制御プログラム及び各種データなどが記憶されている。不揮発性メモリーには、ファームウェアプログラムを始めとする各種プログラム及び印刷処理に必要な各種データなどが記憶されている。RAMは、CPUの演算結果等を一時的に記憶する他、ホスト装置HCから受信した記録データDA1、記録データDA1の処理途中及び処理後のデータなどを格納するバッファーとして用いられる。
【0044】
コントローラー40は、I/F部41の他、受信バッファー42、コマンド解析部43、画像処理部44、制御部45、イメージバッファー46、不揮発性メモリー47、ヘッド駆動部49、キャリッジ駆動部50、搬送駆動部51、等を備えている。また、プリンター11には、ユーザーが入力操作を行うための操作部53が設けられ、操作部53の操作による入力値はI/F部41を介して制御部45に入力される。なお、コマンド解析部43、画像処理部44及び制御部45は、ROMに記憶された制御プログラムを実行するCPU(ソフトウェア)とASIC(ハードウェア)の少なくとも一方により実現されている。もちろん、各部43〜45は、ソフトウェアとハードウェアの協働により構築される以外に、ソフトウェアだけで構成されたり、ハードウェアだけで構成されたりしてもよい。また、受信バッファー42及びイメージバッファー46はRAMにより構成されている。
【0045】
キャリッジ21は、キャリッジモーター24の駆動軸に連結された駆動用のプーリー55と従動用のプーリー56に巻き掛けられたタイミングベルト57の一部と固定されている。キャリッジモーター24が正逆転駆動されることにより、キャリッジ21は、正転・逆転するタイミングベルト57を介して主走査方向Xに往復移動する。キャリッジ21の移動経路の背面側の位置には、キャリッジ21の移動位置(キャリッジ位置)を検出するためのリニアエンコーダー58が設けられている。
【0046】
リニアエンコーダー58は、一定ピッチ(例えば1/180インチ=1/180×2.54cm)毎に多数のスリットが形成されたテープ状の符号板58aと、キャリッジ21に設けられた発光素子と受光素子とを有するセンサー58bとを有している。キャリッジ21が移動するときに発光素子から出射されて符号スリットを透過した光を受光素子が受光することで、センサー58bが検出パルスを出力する。コントローラー40は、リニアエンコーダー58から入力した検出パルス(A相とB相の90度位相のずれた2つのパルス)の例えばパルスエッジを計数するCR位置カウンター(図示せず)を内蔵している。そして、そのCR位置カウンターの計数値をキャリッジが反ホーム位置側へ移動するときにインクリメントし、ホーム位置側へ移動するときにデクリメントすることで、ホーム位置を原点とするキャリッジ21の位置を把握する。
【0047】
プリンタードライバーPDは、モニター表示用の表色系(例えばRGB表色系)の画像データに対し、公知の色変換処理、解像度変換処理、ハーフトーン処理及びラスタライズ処理などを行って記録データDA1を生成する。この記録データDA1には、制御コマンドや印刷画像データが含まれる。ヘッダーに記述された制御コマンドは、印刷条件データ及び上記印刷画像データに基づいて作成されたもので、給紙動作、紙送り動作、排紙動作等の搬送系コマンドや、キャリッジ動作及び記録ヘッド動作(記録動作)等の印字系コマンドなどの各種コマンドからなる。
【0048】
受信バッファー42は、I/F部41を介して受信された記録データDA1が一時格納される記憶領域(格納領域)である。コマンド解析部43は、受信バッファー42から記録データDA1のヘッダーを読み出してその中の制御コマンド等を取得し、プリンター記述言語で記述された制御コマンドを解析する。コマンド解析結果は制御部45のヘッド制御部63、キャリッジ制御部64及び搬送制御部65に送られる。画像処理部44は、記録データDA1を受信バッファー42から一行分(主走査ライン)ずつ読み出し、所定の画像処理を行い、画像処理後のヘッドイメージデータをイメージバッファー46に格納する。
【0049】
制御部45は、フラッシング制御部61、クリーニング制御部62、ヘッド制御部63、キャリッジ制御部64、搬送制御部65、を備えている。
フラッシング制御部61は、キャリッジ21をフラッシング位置FP1へ移動させてノズル25からインクを吐出させるフラッシング制御を行う。クリーニング制御部62は、キャリッジ21をホームポジションHP1へ移動させキャッピング手段84及び吸引ポンプ85を動作させることによるノズル25のクリーニング制御を行う。ヘッド制御部63は、コマンド解析部43からのコマンド解析結果に従ってヘッド駆動部49を制御する。キャリッジ制御部64は、リニアエンコーダー58から入力されるA相・B相の二相のエンコーダーパルス信号ESの位相差に基づきキャリッジ21の移動方向を認識する。キャリッジ制御部64は、エンコーダーパルス信号ESのエッジを検出する度に、キャリッジ用のカウンターを往動時にインクリメント、復動時にデクリメントすることにより、キャリッジ21の原点位置からの移動位置を検出する。このキャリッジ21の主走査方向Xにおける位置は、キャリッジモーター24の速度制御に用いられる。搬送制御部65は、コマンド解析部43からのコマンド解析結果に従って、記録媒体SLを搬送駆動する搬送駆動部51を制御する。
【0050】
不揮発性メモリー47には、フラッシュメモリーといった不揮発性半導体メモリー、ハードディスクといった磁気ディスク、等を用いることができる。
【0051】
ヘッド駆動部49は、内部の駆動信号生成回路により3種類の吐出波形パルスを生成する。ここで、電圧差の最も大きい吐出波形パルスが大ドットのインク滴を吐出するための電圧パルスであり、電圧差の最も小さい吐出波形パルスが小ドットのインク滴を吐出するための電圧パルスであり、中間の電圧差の吐出波形パルスが中ドットのインク滴を吐出するための電圧パルスである。大中小ドット及びドット無しを表す4階調の値として、例えば、階調値「0」、「1」、「2」、「3」をそれぞれ「ドット無し」、「小ドット」、「中ドット」、「大ドット」に対応付けることができる。むろん、ヘッド駆動部には、3種類以外、すなわち、1種類、2種類、又は、4種類以上の吐出波形パルスを生成するものも使用可能である。ヘッド駆動部49は、入力される階調値データに基づいて3種類の吐出波形パルスのうち階調値に応じた所定の少なくとも1つを選択して記録ヘッド23内の各駆動素子PE1に印加する。
【0052】
図4に示すように、記録ヘッド23はノズル25毎に流体吐出用の駆動素子PE1を内蔵している。各駆動素子PE1のうち階調値データで非吐出の値以外の値をとる画素を打つノズルに対応する駆動素子PE1には吐出波形パルス(駆動電圧)が印加され、その駆動素子PE1に対応するノズルからインク滴が噴射される。例えば画素のドット値が「1」のときにヘッド駆動部49から駆動素子PE1に所定駆動波形の電圧が印加されてノズル25からインクが吐出し、画素のドット値が「0」のときに駆動素子PE1に電圧が印加されずノズル25からインクが吐出しない。駆動素子PE1には、ピエゾ素子といった圧電駆動素子、静電駆動素子、インクを加熱して膜沸騰による気泡(バブル)の圧力を利用してノズルから流体を吐出させるヒーター、等を用いることができる。
また、記録ヘッドHE1には、プリンター11の温度を検出するための温度センサー(温度検出手段)23sが設けられている。この温度センサー23sの検出温度は、制御部45に読み込まれる。記録ヘッドHE1に温度センサー23sが設けられることにより、インクの増粘度合を予測してさらに適切にフラッシングを行うことが可能となる。
【0053】
次に、図7(a)〜(e)及び図8(a)〜(d)に例示するフラッシングテーブルTA1〜TA9を参照して、フラッシングのシーケンスを説明する。フラッシングテーブルは、制御部45をフラッシング制御部61として機能させるコンピュータープログラム等に組み込まれる情報であり、ひとまとまりの情報テーブルとして制御部45に記録されている必要は無い。
【0054】
(2−1)第二の流体吐出条件をパス終了毎のフラッシングとする場合:
図7(a)に示すフラッシングテーブルTA1は、記録開始前フラッシングとして、ヘッド部HE1の全ノズル25を対象としてインク滴(例えば大ドット相当)の吐出数がSH0ショット(SH0は正の整数)に設定されている。記録開始前フラッシングは記録開始前に行われるため、ひとまとまりの記録データに対して1回行われる。記録処理中に形成される画像IM1の一般部分(記録開始部分を除く部分)には、第一の流体吐出条件CD1で第一の記録時フラッシングが行われる。この第一の流体吐出条件CD1は、TM1秒毎(TM1>0)に全ノズル25を対象としてインク滴の吐出数がSH1ショット(SH1は正の整数)に設定されている。吐出数SH1は特に限定されないが、SH1<SH0であるとフラッシングによるインク消費量を適切に少なくすることができる。また、形成画像IM1の記録開始部分には、第二の流体吐出条件CD2で第二の記録時フラッシングが行われる。この第二の流体吐出条件CD2は、パス終了毎に全ノズル25を対象としてインク滴の吐出数がSH2ショット(SH2は正の整数)に設定されている。吐出数SH2は特に限定されないが、SH2<SH0であるとフラッシングによるインク消費量を適切に少なくすることができる。
なお、後述するフラッシングテーブルTA2〜TA9の例も、記録開始前フラッシング及び第一の記録開始前フラッシングについては、フラッシングテーブルTA1と同じ条件に設定されている。
【0055】
図9は、フラッシングテーブルTA1に従って第二の流体吐出条件CD2をパス終了毎のフラッシングとするフラッシング制御処理(その1)をフローチャートにより例示している。この処理は、フラッシング制御部61が主体となって行い、ひとまとまりの記録データDA1に従った印刷処理(記録処理)が開始されるときに開始し、マルチタスクにより他の処理と並列して行われる。図10,12に示す処理も、同様である。ここで、ステップS102は記録開始前フラッシング手段U1に対応し、ステップS116〜S128は第一の記録時フラッシング手段U21に対応し、ステップS104〜S114は第二の記録時フラッシング手段U22に対応している。以下、「ステップ」の記載を省略する。
フラッシング制御処理(その1)が開始すると、フラッシング制御部61は、全ノズル25からインクを吐出数SH0だけ吐出して記録開始前フラッシングを行う(S102)。S104では、コントローラー40のRAMに設けたカウンターnを1に設定する。カウンターnの数値は、形成画像IM1の記録開始部ST1からのパス数を表す。
【0056】
S106では、第二の流体吐出条件CD2からインクの吐出頻度を少なくする第一の流体吐出条件CD1に切り替えるための規定のNパスとカウンターnとを比較して、規定のNパスが終了したか否かを判断する。図1の例では、3パス終了時までパス終了毎に第二の記録時フラッシングを行えばよいので、N=4に設定し、n<Nであるか否かを判断すればよい。規定のNパスが終了していなければS108〜S114の処理を行い、規定のNパスが終了すればS116以降の処理を行う。
【0057】
S108では、nパス目の終了を確認する。S110では、全ノズル25からSH2ショットのインク滴を吐出する第二の流体吐出条件CD2で全ノズル25からインクを吐出して第二の記録時フラッシングを行う。図5を参照して説明すると、nパス終了時にキャリッジ21をフラッシング位置FP1に移動させて全ノズル25からSH2ショットのインク滴を吐出することになる。このようにして、Nパスとなる前の記録開始部分のパス終了毎に第二の記録時フラッシングが行われる。図1の例において約0.4秒毎に各パスの画像形成が行われる場合、記録開始部分の3パス終了時まで約0.4秒毎に第二の記録時フラッシングが行われることになる。
S112では、コントローラー40のRAMに設けたタイマー(Timer)のカウントを0秒にリセットする。このタイマーは、定期的に行う第二の記録時フラッシングの実行タイミングを決めるためのものである。その後、フラッシング制御部61は、カウンターnに1を加え(S114)、処理をS106に戻す。
【0058】
一方、規定のNパスが終了したとき、フラッシング制御部61は、タイマーが第一の記録時フラッシングの実行タイミングTM1となったか否かを判断する(S116)。タイマーが実行タイミングTM1となった場合(条件不成立時)、全ノズル25からSH1ショットのインク滴を吐出する第一の流体吐出条件CD1で全ノズル25からインクを吐出して第一の記録時フラッシングを行う(S118)。図5を参照して説明すると、前回の記録時フラッシングからTM1秒経過した時にキャリッジ21をフラッシング位置FP1に移動させて全ノズル25からSH1ショットのインク滴を吐出することになる。
その後、フラッシング制御部61は、タイマーのカウントを0秒にリセットし(S120)、処理をS116に戻す。このようにして、Nパス終了後の実行タイミングTM1毎に第一の記録時フラッシングが行われる。例えば、図1の例においてTM1=7であれば4パス終了後の7秒毎に第一の記録時フラッシングが行われることになる。
【0059】
S116においてタイマーが実行タイミングTM1となっていない場合、フラッシング制御部61は、nパス目の終了を確認する(S122)。S124では、図2に示したような余白部分AR3をスキップしたか否かを判断する。この判断処理は、例えば、形成画像IM1間に送り方向YへのR1ラスター以上(R1は正の整数)の余白部分AR3が生じるか否かを記録データDA1に基づいて判断する処理とすることができる。R1は、求められる画質等に応じて設定すればよく、全ノズル25により形成されるドットの送り方向Yのバンド幅に相当する送り量y2等とすることができる。条件成立時、フラッシング制御部61は、処理をS104に戻す。これにより、カウンターnは、送り方向Yの余白部分AR3の後となる形成画像IM1aの記録開始部ST1aからのパス数を表すこととなる。
【0060】
S124において条件不成立時、フラッシング制御部61は、ひとまとまりの記録データDA1に従った印刷処理を終了するか否かを判断する(S126)。条件不成立時、フラッシング制御部61は、カウンターnに1を加え(S128)、処理をS116に戻す。一方、条件成立時、フラッシング制御部61は、フラッシング制御処理(その1)を終了させる。
【0061】
以上説明したように、上端処理のように形成画像IM1の記録開始部ST1にヘッド部HE1があるとき、ノズル25からの流体FL1の吐出頻度が多くなった第二の記録時フラッシングが行われる。従って、本態様は、記録媒体SLに形成される画像IM1の記録開始部分における流体FL1の濃度むらを低減させることができる。
【0062】
(2−2)第二の流体吐出条件を短いタイマー間隔のフラッシングとする場合:
図7(b)に示すフラッシングテーブルTA2において、形成画像IM1の記録開始部分に行われるフラッシングの第二の流体吐出条件CD2は、第一の流体吐出条件CD1である実行タイミングTM1よりも短い実行タイミングTM2毎(0<TM2<TM1)の記録時フラッシングが設定されている。
【0063】
図10は、フラッシングテーブルTA2に従って第二の流体吐出条件CD2を短い実行タイミングTM2毎の記録時フラッシングとするフラッシング制御処理(その2)をフローチャートにより例示している。本処理は、図9のフラッシング制御処理(その1)と比べ、S202の処理が追加され、S108〜S114の順番が変わっている。これらの他はフラッシング制御処理(その1)と同じであるので、説明を省略する。
【0064】
フラッシング制御部61は、S106において規定のNパスが終了していないと判断すると、タイマーが第二の記録時フラッシングの短い実行タイミングTM2となったか否かを判断する(S202)。条件成立時、全ノズル25からSH2ショットのインク滴を吐出する第二の流体吐出条件CD1で全ノズル25からインクを吐出して第二の記録時フラッシングを行う(S110)。図5を参照して説明すると、前回のフラッシングからTM2秒経過した時にキャリッジ21をフラッシング位置FP1に移動させて全ノズル25からSH2ショットのインク滴を吐出することになる。
その後、フラッシング制御部61は、タイマーのカウントを0秒にリセットし(S112)、処理をS106に戻す。このようにして、記録開始部分のNパス終了前に短い実行タイミングTM2毎に第二の記録時フラッシングが行われる。
【0065】
S202においてタイマーが実行タイミングTM2となっていない場合、フラッシング制御部61は、nパス目の終了を確認する(S108)。その後、フラッシング制御部61は、カウンターnに1を加え(S114)、処理をS106に戻す。
以上より、形成画像IM1の記録開始部ST1にヘッド部HE1があるとき、ノズル25からの流体FL1の吐出頻度が多くなった第二の記録時フラッシングが行われる。従って、本態様も、形成画像の記録開始部分における流体FL1の濃度むらを低減させることができる。
【0066】
(2−3)第二の流体吐出条件をインク吐出数の多いフラッシングとする場合:
図7(c)に示すフラッシングテーブルTA3において、形成画像の記録開始部分に行われるフラッシングの第二の流体吐出条件CD2は、第一の流体吐出条件CD1であるインク吐出数SH1よりも多いインク吐出数SH3(SH3はSH1よりも大きい整数)の記録時フラッシングが設定されている。
フラッシングテーブルTA3に従ったフラッシング制御処理は、図9,10で示したフローチャート等に従って行うことができる。これらのフローチャートにおいて、S110の第二の記録時フラッシングを行う際に、フラッシング制御部61は、第一の流体吐出条件CD1の吐出数SH1よりも多い吐出数SH3だけ全ノズル25からインク滴を吐出させる駆動電圧をヘッド駆動部49から各駆動素子PE1に供給させる。すなわち、各ノズル25からSH3回の吐出動作を各駆動素子PE1にさせ、SH3回インク滴を吐出させる。これにより、形成画像の記録開始部ST1にヘッド部HE1があるとき、ノズル25からの流体FL1の吐出数が多くなった第二の記録時フラッシングが行われる。従って、本態様も、形成画像の記録開始部分における流体FL1の濃度むらを低減させることができる。
【0067】
(2−4)画像の形成に使用していないノズルを第二の流体吐出条件とする場合:
図7(d)に示すフラッシングテーブルTA4において、形成画像の記録開始部分に行われるフラッシングの第二の流体吐出条件CD2は、複数のノズル25のうち画像IM1の形成に使用していないノズルを対象とする設定とされている。
フラッシングテーブルTA4に従ったフラッシング制御処理は、図9,10で示したフローチャート等に従って行うことができる。
【0068】
図11(a)は、記録開始部分においてパス終了毎に記録時フラッシングを行う図9のフラッシング制御処理(その1)の場合に画像IM1の形成に使用していないノズルを第二の流体吐出条件CD2とする様子を模式的に例示している。なお、図11(a),(b)の二重丸のノズルは、パス終了時にフラッシングを行う対象ノズルである。
図11(a)に示すように、1パス終了時には、複数のノズル25のうち送り方向Y上流側の1/4のノズル25dをインク吐出に使用して送り方向Y下流側の3/4のノズル25a〜25cをインク吐出に使用しない。そこで、1パス終了時には、その時まで画像形成に使用していない下流側のノズル25a〜25cに限定してインクを吐出してフラッシングを行う。2パス終了時には、上流側の1/2のノズル25c,25dをインク吐出に使用して残りのノズル25a,25bをインク吐出に使用しない。そこで、2パス終了時には、未使用の下流側のノズル25a,25bに限定してインクを吐出してフラッシングを行う。3パス終了時には、上流側の3/4のノズル25b〜25dをインク吐出に使用して残りのノズル25aをインク吐出に使用しない。そこで、3パス終了時には、未使用の下流側のノズル25aに限定してインクを吐出してフラッシングを行う。
【0069】
以上より、画像IM1の形成に使用していないノズル25について、流体FL1の吐出頻度と吐出数の少なくとも一方が多くなった第二の記録時フラッシングが行われる。従って、本態様は、形成画像の記録開始部分における流体FL1の濃度むらを低減させることができるとともに、第二の記録時フラッシングによる流体FL1の消費量を少なくすることができる。
【0070】
(2−5)記録媒体の送り時に送り方向において記録開始部の前の位置から形成画像の位置となるノズルに限定して第二の流体吐出条件とする場合:
図7(e)に示すフラッシングテーブルTA5において、形成画像の記録開始部分に行われるフラッシングの第二の流体吐出条件CD2は、複数のノズル25のうち記録媒体SLの送り時に送り方向Yにおいて記録開始部ST1の前の位置から形成画像IM1の位置となるノズルを対象とする設定とされている。
フラッシングテーブルTA5に従ったフラッシング制御処理は、図9,10で示したフローチャート等に従って行うことができる。
【0071】
図11(b)は、記録開始部分においてパス終了毎に記録時フラッシングを行う図9のフラッシング制御処理(その1)の場合に記録媒体SLの送り時に送り方向Yにおいて記録開始部ST1の前の位置から形成画像IM1の位置となるノズルを第二の流体吐出条件CD2とする様子を模式的に例示している。
図11(b)に示すように、1パス終了時には、複数のノズル25のうち送り方向Y上流側の1/4のノズル25dをインク吐出に使用して送り方向Y下流側の3/4のノズル25a〜25cをインク吐出に使用しない。本態様の場合、1パス終了時には、次の2パス目で使用されるノズル25cに限定してインクを吐出してフラッシングを行う。ノズル25cは、1パス終了時の記録媒体の送りにおいて記録開始部ST1の前の位置から形成画像IM1の位置となるノズルである。2パス終了時には、上流側の1/2のノズル25c,25dをインク吐出に使用して残りのノズル25a,25bをインク吐出に使用しない。本態様の場合、2パス終了時には、次の3パス目で使用されるノズル25bに限定してインクを吐出してフラッシングを行う。ここで、ノズル25bは、1パス終了時にフラッシングされていない。このため、1パス終了時のノズル25cのフラッシング時におけるインク吐出数よりも多いインク吐出数でノズル25bのフラッシングを行うと、インクの増粘をより適切に解消することができ、記録開始部分のインクの濃度むらをより適切に低減させることができる。3パス終了時には、上流側の3/4のノズル25b〜25dをインク吐出に使用して残りのノズル25aをインク吐出に使用しない。本態様の場合、3パス終了時には、次の4パス目で使用されるノズル25aに限定してインクを吐出してフラッシングを行う。ここで、ノズル25aは、1,2パス終了時にフラッシングされていない。このため、2パス終了時のノズル25bのフラッシング時におけるインク吐出数よりも多いインク吐出数でノズル25aのフラッシングを行うと、インクの増粘をより適切に解消することができ、記録開始部分のインクの濃度むらをより適切に低減させることができる。
【0072】
以上より、画像IM1の形成に使用していないノズル25について、流体FL1の吐出頻度と吐出数の少なくとも一方が多くなった第二の記録時フラッシングが行われる。一方、記録媒体SLの送り時に未だ記録開始部ST1の前の位置にあるノズル25は、流体FL1の吐出に使用されない。従って、本態様は、形成画像の記録開始部分における流体FL1の濃度むらを低減させることができるとともに、第二の記録時フラッシングによる流体FL1の消費量を少なくすることができる。
【0073】
(2−6)流体吐出装置の温度に応じて第二の記録時フラッシング実行を選択する場合:
図8(a)に示すフラッシングテーブルTA6は、所定の温度TE1℃を基準としたプリンター11の温度に応じて第二の記録時フラッシングを行うか否かを変えた設定とされている。形成画像の記録開始部分に行われるフラッシングの流体吐出条件は、温度センサー23sの検出温度がTE1℃以上の場合に第一の流体吐出条件CD1から第二の流体吐出条件CD2に切り替え、温度センサー23sの検出温度がTE1℃未満の場合には第一の流体吐出条件CD1から切り替えない設定とされている。
【0074】
図12は、フラッシングテーブルTA6に従って検出温度に応じて第二の記録時フラッシングを行うか否かを選択する条件分けフラッシング制御処理をフローチャートにより例示している。
条件分けフラッシング制御処理が開始すると、フラッシング制御部61は、温度センサー23sで検出される温度に応じて第二の流体吐出条件CD2を使用するか否かを判断する(S302)。すなわち、S302の処理は、プリンター11の温度に応じて第二の記録時フラッシング手段U22によるフラッシングを行うか否かを選択することになる。検出温度がTE1℃以上である場合、条件成立となり、フラッシング制御部61は、図9,10で示したようなフラッシング制御処理を行って(S304)、条件分けフラッシング制御処理を終了させる。すなわち、記録開始前フラッシングを行った後、形成画像の記録開始部ST1にヘッド部HE1があるときに少なくとも一部のノズル25については第二の流体吐出条件CD2でフラッシングを行い、その他は第一の流体吐出条件CD1でフラッシングを行う。
【0075】
一方、検出温度がTE1℃未満の場合、条件不成立となり、フラッシング制御部61は、第一の流体吐出条件CD1で複数のノズル25からインクを吐出して第一の記録時フラッシングを行って条件分けフラッシング制御処理を終了させる。例えば、フラッシング制御部61は、記録開始前フラッシングを行い(S306)、カウンターnを1に設定し(S308)、タイマーが第一の記録時フラッシングの実行タイミングTM1となったか否かを判断する(S310)。タイマーが実行タイミングTM1となった場合、第一の流体吐出条件CD1で第一の記録時フラッシングを行い(S312)、タイマーのカウントを0秒にリセットし(S314)、処理をS310に戻す。タイマーが実行タイミングTM1となっていない場合、nパス目の終了を確認し(S316)、印刷処理を終了するか否かを判断し(S318)、条件不成立時、カウンターnに1を加え(S320)、処理をS310に戻す。
【0076】
例えば、TE1=35℃である場合、検出温度が35℃以上の場合に形成画像の記録開始部ST1にヘッド部HE1があると少なくとも一部のノズル25について第二の流体吐出条件CD2でフラッシングが行われる。一方、検出温度が35℃未満の場合には第二の流体吐出条件CD2でのフラッシングは行われない。プリンター11の温度が低い場合、インクの増粘が遅くなるため、状況に応じて形成画像IM1の記録開始部分における記録時フラッシングを省略することができる。
以上より、形成画像の記録開始部分における流体FL1の濃度むらを低減させることができるとともに、流体吐出装置(11)の温度に応じたフラッシングを行うことができ、第二の記録時フラッシングによる流体FL1の消費量を適切に少なくすることができる。
【0077】
なお、温度以外にも湿度等の環境に応じて第二の記録時フラッシングを行うか否かを選択してもよい。例えば、記録ヘッド23に湿度センサーを設け、この湿度センサーの検出信号を制御部45で読み込み、検出湿度が所定のHU1℃以下の場合に第二の記録時フラッシングを行い、検出湿度がHU1℃よりも高い場合に第二の記録時フラッシングを行わないようにしてもよい。湿度が高い場合、インクの増粘が遅くなるため、状況に応じて第二の記録時フラッシングを省略することができる。
【0078】
(2−7)第二の流体吐出条件を検出温度に応じた流体吐出条件とする場合:
図8(b)に示すフラッシングテーブルTA7は、第二の流体吐出条件CD2をプリンター11の温度に応じた流体吐出条件とした設定とされている。形成画像の記録開始部分に行われるフラッシングの流体吐出条件は、温度センサー23sの検出温度がTE1℃以上の場合に、第一の流体吐出条件CD1である実行タイミングTM1よりも短い実行タイミングTM2毎(0<TM2<TM1)の記録時フラッシングが設定されている。一方、温度センサー23sの検出温度がTE1℃未満の場合に、TM1>TM3>TM2を満足する実行タイミングTM3毎の記録時フラッシングが設定されている。本例の場合、記録開始部分において、TE1℃未満のインク吐出数SH4は、0<SH4<SH2とされている。プリンター11の温度が低い場合、インクの増粘が遅くなるため、状況に応じて形成画像IM1の記録開始部分における記録時フラッシングの間隔を長くしたりインク吐出数を少なくしたりすることができる。むろん、記録時フラッシングの間隔のみ長くしてもよいし、インク吐出数のみ少なくしてもよい。
【0079】
フラッシングテーブルTA7に従ったフラッシング制御処理は、図10で示したフローチャート等に従って行うことができる。図10のS202の判断処理において、温度センサー23sの検出温度がTE1℃未満の場合、タイマーが第二の記録時フラッシングの実行タイミングTM3となったか否かを判断すればよい。これにより、形成画像の記録開始部分における流体FLの濃度むらを低減させることができるとともに、流体吐出装置(11)の温度に応じたフラッシングを行うことができ、第二の記録時フラッシングによる流体FL1の消費量を適切に少なくすることができる。
【0080】
なお、第二の流体吐出条件を湿度等の環境に応じた流体吐出条件としてもよい。例えば、記録ヘッド23に設けた湿度センサーの検出信号を制御部45で読み込み、検出湿度が所定のHU1℃よりも高い場合に第一の記録時フラッシングよりも短い範囲でHU1℃以下における第二の記録時フラッシングの間隔よりも長い間隔で第二の記録時フラッシングを行ってもよい。湿度が高い場合、インクの増粘が遅くなるため、状況に応じて第二の記録時フラッシングの間隔を長くすることができる。
【0081】
(2−8)画像形成モードに応じて第二の記録時フラッシング実行を選択する場合:
流体吐出装置は、記録媒体の送りの種類、解像度、記録速度、記録パス数、記録画像の種類、記録媒体の種類、等に応じて複数の画像形成モードで記録媒体SLに画像IM1を形成可能とされてもよい。
【0082】
図13(a)は、画像形成に関する画像形成モードがバンド送りモードであるときに行われる記録媒体SLの送りを模式的に例示している。この場合の記録ヘッド23は、全ノズル25により形成されるドットの送り方向Yのバンド幅が送り量y4とされている。すなわち、バンド送りモードは、送り方向Yに並んだ複数のノズル25の単位で記録媒体SLを送り方向Yへ送る設定である。1パス目は、全ノズル25が画像IM1の記録開始領域AR1の形成に使用される。このことは、形成画像IM1の記録開始部分において複数のノズル25にあるインクの増粘度合に偏りが生じにくいことを意味する。
なお、図13(a)の送りは、1ラスターを1回のパスで形成するため、オーバーラップ印刷の送りでもない。
【0083】
図13(b)は、画像形成モードがインターレースモードであるときに行われる記録媒体SLの送りを模式的に例示している。この場合の記録ヘッド23は、全ノズル25により形成されるドットの送り方向Yのバンド幅の1/4が送り量y5とされている。すなわち、インターレースモードは、送り方向Yに並んだ複数のノズル25の単位よりも小さい単位で記録媒体SLを送り方向Yへ送る設定である。1パス目は、複数のノズル25のうち送り方向Y上流側の1/3のノズル(丸5,丸6)をインク吐出に使用して送り方向Y下流側の2/3のノズル(丸1〜丸4)をインク吐出に使用しない。2パス目は、上流側の1/2のノズル(丸4〜丸6)をインク吐出に使用して残りのノズル(丸1〜丸3)をインク吐出に使用しない。3パス目は、上流側の5/6のノズル(丸2〜丸6)をインク吐出に使用して残りのノズル(丸1)をインク吐出に使用しない。パス数4以降は、全てのノズルをインク吐出に使用する。従って、形成画像IM1の記録開始部分において複数のノズル25にあるインクの増粘度合に偏りが生じやすいことになる。
なお、図13(b)の送りは、1ラスターを2回のパスで形成するため、オーバーラップ印刷の送りである。
【0084】
また、解像度のドット形成モードは、高解像度モード(例えば2880×1440dpi)、中解像度モード(例えば1440×720dpi)、低解像度モード(例えば720×360dpi)、等の解像度モードを設けることができる。記録速度のドット形成モードは解像度とトレードオフの関係でもあり、高解像度モード、中解像度モード、低解像度モードをそれぞれ高品質モード、通常モード、高速モードに読み替えてもよい。記録パス数のドット形成モードは、1ラスターのドットを1パスで形成する1パスモード、1ラスターのドットを2パスで形成する2パスモード、等のパス数モードを設けることができる。記録速度は記録パス数にも依存するため、1パスモードを高速モードに読み替え、2パスモードを通常モードに読み替えてもよい。
【0085】
記録画像の画質は、解像度や記録速度や記録パス数等に依存する。そこで、記録画像の種類に応じて解像度や記録速度や記録パス数等を設定し、記録画像の種類に応じたドット形成モードを設けてもよい。例えば、記録画像が写真を主体とする場合、色むらを抑制するため、1ラスターのドットを2パスで形成する設定等とすることが考えられる。記録画像が文字を主体とする場合、ドット形成を高速とするため、1ラスターのドットを1パスで形成する設定等とすることが考えられる。
また、記録媒体に形成される画像の画質は、記録媒体の種類に依存する。そこで、記録媒体の種類に応じて解像度や記録速度や記録パス数等を設定し、記録画像の種類に応じたドット形成モードを設けてもよい。例えば、写真用紙といった光沢紙等の塗被紙を使用する場合、色むらを抑制するため、1ラスターのドットを2パスで形成する設定等とすることが考えられる。普通紙や再生紙等の非塗被紙を使用する場合、ドット形成を高速とするため、1ラスターのドットを1パスで形成する設定等とすることが考えられる。
【0086】
図14(a)は、上記画像形成モードを設定するための流体吐出装置(プリンター11)の処理をフローチャートにより例示している。この処理は、プリンターの制御部45が主体となって行い、例えば操作部53の操作により不図示の画面に表示されるメニューからモード選択項目が選択操作されたときに開始し、マルチタスクにより他の処理と並列して行われる。ドット形成モード設定処理は、ホスト装置HCで行われてもよい。
【0087】
画像形成モード設定処理が開始すると、制御部45は、操作部53にモード選択画面DP1を表示し、複数の画像形成モードの中からいずれかの画像形成モードを選択するための操作入力を受け付ける(S402)。図14(a)に示すように、モード選択画面DP1には、例えば、高画質モード、高速モード、等の画像形成モードの項目が表示される。ここで、高画質モードはオーバーラップ印刷のインターレースモードで画像を形成する設定とし、高速モードはバンド送りモードで画像を形成する設定とする。
その後、制御部45は、受け付けた画像形成モードを表すモード情報を不揮発性メモリー47等に記憶させ(S404)、画像形成モード設定処理を終了させる。
【0088】
図8(c)に示すフラッシングテーブルTA8は、複数の画像形成モードに応じて第二の記録時フラッシングを行うか否かを変えた設定とされている。形成画像の記録開始部分に行われるフラッシングの流体吐出条件は、画像形成モードがインターレースモードである場合に第一の流体吐出条件CD1から第二の流体吐出条件CD2に切り替え、画像形成モードがバンド送りモードである場合には第一の流体吐出条件CD1から切り替えない設定とされている。
【0089】
フラッシングテーブルTA8に従って画像形成モードに応じて第二の記録時フラッシングを行うか否かを選択する条件分けフラッシング制御処理は、図12に例示するフローチャートに従って行うことができる。
条件分けフラッシング制御処理が開始すると、フラッシング制御部61は、設定されている画像形成モードに応じて第二の流体吐出条件CD2を使用するか否かを判断する(S302)。
【0090】
図14(b)は、上記S302の第二の流体吐出条件CD2を使用するか否かを判断する処理を例示している。この処理の前提として、画像形成モードと第二の流体吐出条件CD2を使用するか否かとを対応付けた情報テーブルである使用−不使用テーブルTA11が不揮発性メモリー47等に記憶されているものとする。この処理が開始すると、フラッシング制御部61は、上記モード情報を不揮発性メモリー47等から読み出す(S422)。フラッシング制御部61は、使用−不使用テーブルTA11を参照して前記読み出したモード情報に対応した情報、すなわち、第二の流体吐出条件CD2を使用するか否かの情報を取得し(S424)、第二の流体吐出条件使用判断処理を終了させる。例えば、モード情報が高画質モードである場合、第二の流体吐出条件CD2を使用する情報が取得され、図12のS302で条件成立となる。一方、モード情報が高速モードである場合、第二の流体吐出条件CD2を使用しない情報が取得され、図12のS302で条件不成立となる。
【0091】
フラッシング制御部61は、図12のS302で条件成立時にS304の処理を行って条件分けフラッシング制御処理を終了させ、図12のS302で条件不成立時にS306〜S320の処理を行って条件分けフラッシング制御処理を終了させる。すなわち、S302の処理は、第二の記録時フラッシング手段U22によるフラッシングを行うか否かを画像形成モードに応じて選択することになる。例えば、画像形成モードがインターレースモードである場合、条件成立となり、フラッシング制御部61は、図9,10で示したようなフラッシング制御処理を行って(S304)、条件分けフラッシング制御処理を終了させる。すなわち、記録開始前フラッシングを行った後、形成画像の記録開始部ST1にヘッド部HE1があるときに少なくとも一部のノズル25については第二の流体吐出条件CD2でフラッシングを行い、その他は第一の流体吐出条件CD1でフラッシングを行う。
【0092】
一方、画像形成モードがバンド送りモードである場合、条件不成立となり、フラッシング制御部61は、第一の流体吐出条件CD1で複数のノズル25からインクを吐出して第一の記録時フラッシングを行って条件分けフラッシング制御処理を終了させる。
上述したように、バンド送りモードの場合、形成画像IM1の記録開始部分において複数のノズル25にあるインクの増粘度合に偏りが生じにくいため、状況に応じて形成画像IM1の記録開始部分における記録時フラッシングを省略することができる。従って、形成画像の記録開始部分における流体FL1の濃度むらを低減させることができるとともに、画像形成モードに応じたフラッシングを行うことができ、第二の記録時フラッシングによる流体FL1の消費量を適切に少なくすることができる。
【0093】
(2−9)第二の流体吐出条件を画像形成モードに応じた流体吐出条件とする場合:
図8(d)に示すフラッシングテーブルTA9は、第二の流体吐出条件CD2を画像形成モードに応じた流体吐出条件とした設定とされている。形成画像の記録開始部分に行われるフラッシングの流体吐出条件は、画像形成モードがインターレースモードである場合に、第一の流体吐出条件CD1である実行タイミングTM1よりも短い実行タイミングTM2毎(0<TM2<TM1)の記録時フラッシングが設定されている。一方、画像形成モードがバンド送りモードである場合に、TM1>TM3>TM2を満足する実行タイミングTM3毎の記録時フラッシングが設定されている。本例の場合、記録開始部分において、バンド送りモードのインク吐出数SH4は、0<SH4<SH2とされている。バンド送りモードの場合、形成画像IM1の記録開始部分において複数のノズル25にあるインクの増粘度合に偏りが生じにくいため、状況に応じて形成画像IM1の記録開始部分における記録時フラッシングの間隔を長くしたりインク吐出数を少なくしたりすることができる。むろん、記録時フラッシングの間隔のみ長くしてもよいし、インク吐出数のみ少なくしてもよい。
【0094】
フラッシングテーブルTA9に従ったフラッシング制御処理は、図10で示したフローチャート等に従って行うことができる。図10のS202の判断処理において、画像形成モードがバンド送りモードである場合、タイマーが第二の記録時フラッシングの実行タイミングTM3となったか否かを判断すればよい。これにより、形成画像の記録開始部分における流体FLの濃度むらを低減させることができるとともに、画像形成モードに応じたフラッシングを行うことができ、第二の記録時フラッシングによる流体FL1の消費量を適切に少なくすることができる。
【0095】
(3)変形例:
上述した実施形態は、以下のような形態に変更することもできる。
上述した処理の各ステップの順番は、適宜、変更可能である。例えば、図9,10において、S126の印刷終了の判断処理で条件不成立となった後にS124の余白部分スキップの判断処理を行ってもよい。
Bi−d印刷を行う印刷装置の場合、形成画像の記録開始部分における第二の記録時フラッシングは、往動時と復動時の計2パス毎に行ってもよい。この第二の記録時フラッシングは、フラッシング位置が主走査方向の一方にしか無い場合に好適である。
バンド送りをする印刷装置であっても、1パス目に一部のノズルしかインク吐出に使用しない場合には、第二の記録時フラッシングを行うことにより形成画像の記録開始部分におけるインクの濃度むらを低減させることができる。
【0096】
記録媒体は、紙の他、樹脂シート、金属製フィルム、布、フィルム基板、樹脂基板、半導体ウェハ、光ディスクや磁気ディスクといった記憶媒体、等でもよい。記録媒体の形状は、長尺状の他、単票紙といったカットシート、立体形状、等でもよい。
【0097】
印刷装置は、カラーのインクジェット式プリンターの他、単色機、ドットインパクト式プリンター、レーザープリンター、スキャナーや測色機といった読取手段を備える複合機、等でもよい。
本発明を適用可能な流体吐出装置は、プリンターの他、微小量の液滴を噴射(吐出)する液体吐出ヘッド等を備える液体吐出装置等、インク以外の流体を吐出する装置でもよい。ここでいう液滴は、液体吐出装置から吐出される液体の状態を言い、粒状、涙状、糸状に尾を引くもの等を含まれる。ここでいう液体は、液体吐出装置が吐出させることができるような材料であればよく、例えば、物質が液相であるときの状態のものとして、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体、等が含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子といった固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたもの等が含まれる。インクや液晶等は、液体の代表的な例である。前記インクは、一般的な水性インク及び油性インク、並びに、ジェルインク、ホットメルトインク、等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置には、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造等に用いられる電極材や色材といった材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する装置が含まれる。また、液体吐出装置には、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する装置、捺染装置、マイクロディスペンサ、時計やカメラといった精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)等を形成するために紫外線硬化樹脂といった透明樹脂液を基板上に吐出する装置、基板等をエッチングするために酸やアルカリといったエッチング液を吐出する装置、等が含まれる。
また、流体は、非気体の流体が好ましいものの、トナー等の粉粒体でもよい。粉粒体でも、吐出しない期間が長いとノズルの目詰まりが予測されるためである。
【0098】
なお、画像形成モードや温度に応じた記録時フラッシングとするのは必須ではなく、第二の記録時フラッシングを行うノズルを限定するのも必須ではない。
むろん、従属請求項に係る構成要件を有しておらず独立請求項に係る構成要件のみからなる装置、方法、プログラム、等でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
【0099】
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、記録媒体に形成される画像の記録開始部分における流体の濃度むらを低減させる技術等を提供することができる。
また、上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりして本発明を実施することも可能であり、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりして本発明を実施することも可能である。従って、本発明は、上述した実施形態や変形例に限られず、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0100】
11…プリンター(流体吐出装置)、21…キャリッジ、23…記録ヘッド、23s…温度センサー(温度検出手段)、25,25a〜25d…ノズル、40…コントローラー、45…制御部、61…フラッシング制御部、AR1…記録開始領域、AR2…一般領域、AR3…余白部分、CD1…第一の流体吐出条件、CD2…第二の流体吐出条件、DA1…記録データ、DR1…相対移動方向、DR2…相対移動方向と交わる方向、DP1…モード選択画面、DT1…ドット、FL1…流体、FP1…フラッシング位置、HE1…ヘッド部、HP1…ホームポジション、IM1,IM1s,IM1a…形成画像、SL…記録媒体、ST1,ST1s,ST1a…記録開始部、TA1〜TA9…フラッシングテーブル、TA11…使用−不使用テーブル、U1…記録開始前フラッシング手段、U21…第一の記録時フラッシング手段、U22…第二の記録時フラッシング手段、U41…相対移動手段、X…主走査方向、Y…送り方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の送り方向に複数のノズルを並べたヘッド部に対して前記記録媒体を前記送り方向へ送りながら記録データに従って前記ノズルから前記記録媒体に向けて流体を吐出する流体吐出装置であって、
前記記録データに従った記録処理中に第一の流体吐出条件で前記複数のノズルから流体を吐出してフラッシングを行う第一の記録時フラッシング手段と、
前記記録処理中において、前記記録媒体に形成される画像の記録開始部に前記ヘッド部があるとき、前記ノズルからの流体の吐出頻度と吐出数の少なくとも一方を前記第一の流体吐出条件よりも多くした第二の流体吐出条件で前記ヘッド部のノズルから流体を吐出してフラッシングを行う第二の記録時フラッシング手段とを備える、
流体吐出装置。
【請求項2】
前記画像の記録開始部には、前記記録媒体において画像間に生じる前記送り方向の余白部分の後となる画像の記録開始部が含まれる、請求項1に記載の流体吐出装置。
【請求項3】
前記第二の記録時フラッシング手段は、前記複数のノズルのうち前記画像の形成に使用していないノズルを前記第二の流体吐出条件にする、請求項1又は請求項2に記載の流体吐出装置。
【請求項4】
前記第二の記録時フラッシング手段は、前記複数のノズルのうち前記記録媒体の送り時に前記送り方向において前記記録開始部の前の位置から形成画像の位置となるノズルに限定してフラッシングを行う、請求項3に記載の流体吐出装置。
【請求項5】
本流体吐出装置の温度を検出する温度検出手段が設けられ、該温度検出手段で検出される温度に応じて前記第二の記録時フラッシング手段によるフラッシングを行うか否かを選択する、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の流体吐出装置。
【請求項6】
本流体吐出装置は、画像形成に関する複数の画像形成モードで前記記録媒体に画像を形成可能とされており、前記第二の記録時フラッシング手段によるフラッシングを行うか否かを前記画像形成モードに応じて選択する、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の流体吐出装置。
【請求項7】
記録媒体の送り方向に複数のノズルを並べたヘッド部に対して前記記録媒体を前記送り方向へ送りながら記録データに従って前記ノズルから前記記録媒体に向けて流体を吐出する装置のためのフラッシング方法であって、
前記記録データに従った記録処理中に第一の流体吐出条件で前記複数のノズルから流体を吐出してフラッシングを行う第一の記録時フラッシング工程と、
前記記録処理中において、前記記録媒体に形成される画像の記録開始部に前記ヘッド部があるとき、前記ノズルからの流体の吐出頻度と吐出数の少なくとも一方を前記第一の流体吐出条件よりも多くした第二の流体吐出条件で前記ヘッド部のノズルから流体を吐出してフラッシングを行う第二の記録時フラッシング工程とを備える、
フラッシング方法。
【請求項8】
記録媒体の送り方向に複数のノズルを並べたヘッド部に対して前記記録媒体を前記送り方向へ送りながら記録データに従って前記ノズルから前記記録媒体に向けて流体を吐出する装置のためのフラッシングプログラムであって、
前記記録データに従った記録処理中に第一の流体吐出条件で前記複数のノズルから流体を吐出させてフラッシングを実行させる第一の記録時フラッシング機能と、
前記記録処理中において、前記記録媒体に形成される画像の記録開始部に前記ヘッド部があるとき、前記ノズルからの流体の吐出頻度と吐出数の少なくとも一方を前記第一の流体吐出条件よりも多くした第二の流体吐出条件で前記ヘッド部のノズルから流体を吐出させてフラッシングを実行させる第二の記録時フラッシング機能とをコンピューターに実現させる、
フラッシングプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−183740(P2012−183740A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48707(P2011−48707)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】