説明

流体噴射装置

【課題】水を旋廻させながら噴射することで、キャビテーション現象を解消し、安定した水圧の状態で噴射水を噴射できるうえ、空気を含まないので、所定量の水を短時間で噴射できる流体噴射装置を提供する。
【解決手段】ジェットポンプPを連結した配管Lの先端から噴射ノズル1を介して高圧水等の流体Wを噴射し得るように構成してなる流体噴射装置において、前記噴射ノズル1の内壁面2には、基端3から先端4に向けて螺旋状に形成した螺旋部5を形成し、噴射水W‘が旋廻しながら前記噴射ノズル1先端4の噴射口41から噴射し得るように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、浄水場等の濾過池から取り出した濾過材を洗浄・再生してリサイクルするための流体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の流体噴射装置として、例えば、高圧流体噴射用の噴射ノズルと、噴射ノズルから噴射された流体の噴射方向の下流側に設けられた中間噴射用の直管部分と、該直管部分のノズル寄りに設けられた流体吸引用枝管と、直管部分の下流側に位置する吐出管部分とからなり、直管部分の内径を噴射ノズルの噴口の内径よりも大径で、且つ吐出管部分の内径よりも小径に形成した真空形成用ジェットポンプが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、前記真空形成用ジェットポンプを用いた濾過材のリサイクル装置として、先端に吐出口を有する負圧形成管の管壁に空気導入孔および濾過材導入孔を形成し、ノズル部の噴射口を負圧形成管内に配設するとともに、ノズル部と負圧形成管のそれぞれの中心軸が一致するように構成されるジェットポンプと、ジェットポンプの濾過材吸引口に接続される濾過材吸引ホースと、濾過材を径別に分級する濾過材分級手段と、ジェットポンプの負圧形成管の吐出口から濾過材分級手段に濾過材を搬送する管路とを具備したものも知られていた(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
これら真空形成用ジェットポンプ又は濾過材のリサイクル装置に用いられている噴射ノズル(ノズル部)は、何れもが、前記噴射ノズル(ノズル部)の基端に空気導入管(負圧形成管)を備えた構造のものであり、その特徴は、前記噴射ノズル(ノズル部)から噴射される高圧水流が、前記空気導入管(負圧形成管)から導入した外気を含んだ混気ジェット水流(噴射水)にすることで、前記噴射ノズル(ノズル部)の先端から、いわゆる霧吹きのような混気ジェット水流(噴射水)を噴射することで、ジェットポンプの欠点であったキャビテーション現象を解消し、安定した水圧を噴射できるという効果がある。
【特許文献1】特公昭62−12400号
【特許文献2】特公平5−253420号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これら真空形成用ジェットポンプ又は濾過材のリサイクル装置は、前記空気導入管(負圧形成管)から導入した外気を含んだ混気ジェット水流(噴射水)を必須の要件としているため、単に水だけを噴射する噴射ノズルに比べて、噴射される単位容積当たりの水量が減少する。
【0006】
そのため、前記真空形成用ジェットポンプ又は濾過材のリサイクル装置では、所定量の水量を噴射するために長時間を要し、作業性が悪いという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、水を旋廻させながら噴射することで、キャビテーション現象を解消し、安定した水圧の状態で噴射水を噴射できるうえ、空気を含まないので、所定量の水を短時間で噴射できる流体噴射装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る流体噴射装置においては、ジェットポンプを連結した配管の先端から噴射ノズルを介して高圧水等の流体を噴射し得るように構成してなる流体噴射装置において、前記噴射ノズルの内壁面には、基端から先端に向けて螺旋状に形成した螺旋部を形成し、前記流体が旋廻しながら前記噴射ノズル先端の噴射口から噴射し得るように構成したことを特徴とするものである。
【0009】
すなわち、本発明の流体噴射装置では、ジェットポンプによって配管を送水されてきた高圧水は、噴射ノズルの旋廻部によって、該噴射ノズルの内壁を旋廻しながら先端の噴射口から噴射される。
【0010】
そのため、前記噴射口から噴射された噴射水(以下、「噴射水」と呼ぶ。)は、中心部分の水圧を高めながら渦巻いた状態で噴射されるため、キャビテーション現象を解消し、安定した水圧で噴射できるのである。
【0011】
しかも、旋廻しながら噴射される噴射水は、外気を含まないうえ、噴射ノズルをスムーズに通過するため、所定量の水を短時間で噴射することができ、作業性も高めることができる。
【0012】
本発明に係る流体噴射装置において、螺旋部としては、噴射ノズルの内壁面に、基端から先端に向けて螺旋状の突片を形成するか、又は、噴射ノズルの内壁面に、基端から先端に向けて螺旋状の溝部を形成することが提案される。
【0013】
もっとも、これらは螺旋部の具体的な構造を例示したに過ぎず、要は、前記噴射水が、中心部分の水圧を高めながら渦巻いた状態で噴射される構造であれば採用できる。
【0014】
また、本発明に係る流体噴射装置において、噴射ノズルの内壁面は、基端から先端に向けて徐々に細くなるテーパー状に形成すれば、いわゆるベンチュリー効果によって更に噴射水の水圧を高めることができる結果、より安定した水圧を噴射できるうえ、所定量の水を更に短時間で噴射して作業性を一層高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る流体噴射装置によれば、噴射ノズルの旋廻部によって、噴射口から噴射水が旋廻しながら渦巻いた状態で噴射されるため、噴射水の中心部分の水圧を高めながら噴射され、キャビテーション現象を解消し、一層安定した水圧状態で流体を噴射できるのである。
【0016】
しかも、旋廻しながら噴射される噴射水は、外気を含まないうえ、噴射ノズルをスムーズに通過するため、所定量の水を短時間で噴射することができる結果、作業性も著しく高めることができるのである。
【0017】
また、本発明に係る流体噴射装置によれば、噴射ノズルの内壁面を、基端から先端に向けて徐々に細くなるテーパー状に形成しているので、いわゆるベンチュリー効果によって更に噴射水の水圧を高めることができるので、一層安定した水圧状態で流体を噴射できるうえ、所定量の水を更に短時間で噴射して作業性を著しく高めることができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る流体噴射装置を実施例図面に基づいて詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明に係る流体噴射装置Aの一実施例を示す基本構造図及びその要部を拡大した部分断面図である。
【0020】
この流体噴射装置Aは、ジェットポンプPを連結した配管Lの先端から噴射ノズル1を介して噴射水W’’を噴射し得るように構成してなる。
【0021】
即ち、前記噴射ノズル1の内壁面2には、基端3から先端4に向けて螺旋状に形成した螺旋部5を形成してなり、従って、流体Wが噴射ノズル1内に導入されると、この流体Wが噴射ノズル1内の螺旋部5によって旋廻しながら噴射ノズル1の先端4における噴射口41から噴射水W’を勢いよく噴射し得るように構成している。
【0022】
前記ジェットポンプPは、公知のものであり、配管Lの一端を水道管又は貯水部Xに連結すると共に、ジェットポンプPを介して水Wが配管Lを通じて前方に高圧水を送水できるように構成している。
【0023】
また、この実施例では、配管Lの適所にはバルブVを設け、このバルブVの開閉によって前記高圧水の送水量を調節できるように構成している。
【0024】
このようなジェットポンプPによって、高圧水が送水される配管Lの先端には、噴射ノズル1を連結してなり、この噴射ノズル1は、筒状に形成するとともに、該噴射ノズル1の基端3の内径を、配管Lの内径と同口径に形成して、該配管Lに連通している。
【0025】
また、噴射ノズル1の内壁面2には、基端3から先端4に向けて螺旋状に形成した螺旋部5を設けており、具体的には、この螺旋部5は、噴射ノズル1の内壁面2に、基端3から先端4に向けて螺旋状の突片を形成したり、或いは、基端3から先端4に向けて螺旋状の溝部を形成しても良いのである。
【0026】
この螺旋部5は、噴射ノズル1の内壁面2に、基端3から先端4に向けて螺旋状の抵抗部分を形成することで、噴射ノズル1を内通する水Wが、螺旋部5に誘導されて螺旋状の流れ、すなわち、渦巻きを生じながら噴射口41から噴射される。
【0027】
そのため、前記渦巻きの中心部分の水圧が高められた状態となり、噴射水W’が遠くまで勢い良く噴射する。
【0028】
もっとも、これら螺旋部5の構造は例示に過ぎず、要は、噴射水W’が、中心部分の水圧を高めながら渦巻いた状態で噴射口41から噴射し得るような構造であれば良いのである。
【0029】
また、噴射ノズル1の内壁面2は、単なる直管に形成しても良いが、本実施例で示すように、噴射ノズル1の内壁面2を、基端3から先端4に向けて徐々に細くなるテーパー状に形成すれば、いわゆるベンチュリー効果によって、噴射ノズル1を内通する水Wの水圧が更に高められ、噴射口41から高圧の噴射水W’を更に遠くまで勢い良く噴射できるため望ましい。
【0030】
このように、本発明の流体噴射装置Aによれば、ジェットポンプPによって配管Lを送水されてきた高圧水Wは、噴射ノズル1の螺旋部5によって、該噴射ノズル1の内壁2を旋廻しながら勢いが高められ、この勢いが高められた噴射水W’が先端4の噴射口41から噴射されるように構成されている。
【0031】
そのため、噴射水W’は、外気を含まずにキャビテーション現象を解消しつつ安定した状態で噴射される。
【0032】
しかも、前記噴射水W’は、外気を含まないので、噴射される単位容積当たりの水量が減少しないのであり、その結果、大量の水を短時間で噴射でき、作業性を著しく高めることができるのである。
【実施例2】
【0033】
図2は、図1で示した流体噴射装置Aの他の実施例を示す要部の部分断面図である。
なお、図1と共通する部位には、同一の符号を付して重複する説明を省略し、以下では、本実施例の特徴についてのみ説明する。
【0034】
この流体噴射装置Aは、濾過材Qのリサイクル装置に使用する場合の一例を示したものであり、濾過材Qが流通される管路L2の適所に、図1で示した流体噴射装置Aを連結したものである。
【0035】
本発明の流体噴射装置Aを、このような濾過材Qのリサイクル装置に使用すれば、前述の通り、ジェットポンプPによって配管Lを送水されてきた高圧水Wは、噴射ノズル1の螺旋部5によって、該噴射ノズル1の内壁2を旋廻しながら先端4の噴射口41から噴射される。
【0036】
そして、この旋廻しながら噴射された噴射水W’は、管路L2内を流通する濾過材Qを洗浄するとともに、該濾過材Qが管路L2の内壁に付着するのを防止しながら、前方へ噴射されるのであり、この洗浄された濾過材Q’を採取し、再び新たな濾過材Q’としてリサイクルされて使用されるのである。
【0037】
本発明に係る流体噴射装置Aにおいては、このような濾過材Qのリサイクル装置に使用する場合であっても、噴射水W’が、外気を含まず、キャビテーション現象を解消しつつ安定した水圧の状態で噴射されるのであり、しかも、外気を含まない噴射水W’は、噴射される単位容積当たりの水量が向上するので、所定量の水量を短時間で噴射でき、作業性を著しく高めることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明に係る流体噴射装置の一実施例を示す基本構造図及びその要部を拡大して示す部分断面図である。
【図2】図2は、図1で示した流体噴射装置の他の実施例を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0039】
A 流体噴射装置
P ジェットポンプ
Q、 汚れた状態の濾過材
Q’ 洗浄された状態の濾過材
L 配管
W (水)流体
W’ 噴射水
1 噴射ノズル
2 内壁面
3 基端
4 先端
41 噴射口
5 螺旋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェットポンプを連結した配管の先端から噴射ノズルを介して高圧水等の流体を噴射し得るように構成してなる流体噴射装置において、
前記噴射ノズルの内壁面には、基端から先端に向けて螺旋状に形成した螺旋部を形成し、前記流体が旋廻しながら前記噴射ノズル先端の噴射口から噴射し得るように構成したことを特徴とする流体噴射装置。
【請求項2】
螺旋部は、噴射ノズルの内壁面に、基端から先端に向けて螺旋状の突片を形成してなる請求項1に記載の流体噴射装置。
【請求項3】
螺旋部は、噴射ノズルの内壁面に、基端から先端に向けて螺旋状の溝部を形成してなる請求項1に記載の流体噴射装置。
【請求項4】
噴射ノズルの内壁面は、基端から先端に向けて徐々に細くなるテーパー状に形成している請求項1ないし3のいずれかに記載の流体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−34653(P2009−34653A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203597(P2007−203597)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(504028687)
【Fターム(参考)】