説明

流体媒体中への吸収及び/又は混合によるH2の貯蔵

流体混合物を有する水素貯蔵の方法、装置及びシステムが提供される。取り囲まれ実質上不変の容積内に、所定の圧力及び/又は温度で、この流体混合物は、高密度の水素分子を貯蔵することができ、車両用燃料として使用するために、あるいはエネルギー貯蔵のために、蒸発損が低減されかつ/又は解消された、特に貯蔵設備の重量、容器コスト、容器形状、安全性、及びエネルギー効率が有益である、所定の相の流体混合物を、この実質上不変の容積から抜き取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲条件下における標準状態が気体である分子を貯蔵する方法に関する。より詳細には、本発明は、水素及びその同位体を、燃料、エネルギーの貯蔵、又は化学的用途のために流体混合物などの流体媒体中への吸収及び/又は混合により貯蔵する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
米国政府は、ローレンスリバモア国立研究所の運営に関する米国エネルギー省とカリフォルニア大学との間の契約W−7405−ENG−48により、本発明において権利を有する。
【0003】
本出願は、20003年6月16日出願の米国特許仮出願第60/479,125号、名称「流体中への吸収による水素の貯蔵(Storage of Hydrogen By Absorption In Fluids)」の特典を主張し、この出願を、この参照により本明細書に組み込む。
【0004】
水素の単位重量当たりのエネルギー密度が高いこと、水の電気分解によって容易に入手できること、及びその使用からは汚染性の副生成物が出ないことから、化石燃料を水素で置き換えることにかなりの関心が持たれている。この水素経済への移行を実現する上で、また既存のシステムに統合できる適切なシステム及び基盤施設を開発する上で、いくつかの技術的な要素が困難な課題を提示している。
【0005】
水素経済においては、様々な場所で、様々な単位容量で、また製造者から消費者に至る供給経路に沿って移動するにつれて変わる操作上の形態で、水素を貯蔵することが目標となる。製造者は、大きな容量の在庫を貯蔵する必要があるかもしれない。製造者から販売業者まで移動する際に、水素は輸送容器に貯蔵されることもある。車両やその他の動力駆動式装置や電子機器用の燃料を届けるステーションなどの販売業者は、しばしば手元に大量に用意しておく必要があるかもしれない。発電所や車両や個人用電子機器には、小型の使用現場用の貯蔵容器が必要となるはずである。これらの水素貯蔵用途はすべて共通に、貯蔵システムの単位容積当たり貯蔵される水素の量を安全に最大にする必要があり、供給経路を通じて燃料が同じ非圧縮性の形態を維持するガソリン流通システムとは根本的に異なる。
【0006】
標準的な水素貯蔵の方法は、高圧下で圧縮した気体、又は極低温に維持した液体の形態である。実際のあるいは感覚的に捉えた安全性が、圧縮ガスとしての高圧水素の貯蔵に対してしばしば持ち上がる批判であるが、歴史的には、このような水素貯蔵方法は、水素ガス固有の圧縮性、及び、かさ高で重くかつ/又は比較的高価な水素貯蔵容器となる圧力容器材料の強度によって制限されてきた。
【0007】
したがって、水素を液体水素(LH2)の形で貯蔵することが、低圧下で軽量かつコンパクトな容器中で水素を大量に貯蔵し輸送する好ましい方法となってきた。しかし、水素は、あらゆる物質の中で2番目に低い沸点(20ケルビン)を有するので、水素の液化は例外的に複雑になり、またエネルギー消費量が多く、水素の燃料エネルギー値の30〜40%に相当する電力を必要とする。またこの低い沸点のために、小型のLH2タンクからのH2の蒸発も厄介な問題になっている。20年間の開発の後でさえ、最良の真空断熱された自動車用LH2タンクでも、外界からの熱の流入が液体水素を温めるにつれて蓄積した圧力を解放するために、わずか数日後には水素蒸気を放出しはじめる。
【0008】
金属との(可逆)化学反応によって金属水素化物を生成することによる、固体形態での水素の貯蔵も使用されてきた。水素化物材料は、通常高い理論的水素貯蔵密度を有するが、水素化物粉末は、水素ガスと反応するときにも水素ガスを吸収するときにも膨張するのでわずかに50%の容積効率しか達成できず、また熱交換装置を必要とすることもある。水素化物はまた、比較的低い圧力で水素の貯蔵を可能にするが、急速な燃料補給には、水素ガスの吸収、及び金属と発熱反応を起こして金属水素化物を形成することから生じる熱にうち勝つために圧力を高める必要がある。典型的な金属水素化物は、比較的重い(たとえば、鉄−チタン及びランタン−ニッケルをベースとする水素化物)か、あるいは大きい分解エネルギーを有するので、水素を放出するためには非常に高い温度を必要とする(たとえば、マグネシウムの水素化物)。
【0009】
水素はまた、液体との可逆化学反応によって貯蔵することもできる。炭素−炭素二重結合を有する芳香族分子は、液体形態で水素を化学的に貯蔵するための主要な候補である。たとえば、メチルヘキサン分子(C78)は、650ケルビン程度の温度まで加熱すると3H2分子を放出してトルエン(C78)となる。このような反応は、約50kgH2/m3の理論可逆水素貯蔵密度及び6重量%H2の貯蔵能力を有する。
【0010】
化学的水素貯蔵(たとえば、固体金属水素化物又は液体)に代わる代替方法は、炭素など軽量で大表面積の固体吸着剤である。最初の、通常は極低温での、大表面積の炭素へのH2吸着の研究は、1960年代に始まり1990年代を通じて続けられた。しかし、この手法の利益は、圧力の増加と共に減少する。吸着剤自体の容積が、ますます密度が高くなる水素ガスが利用できる容積を占拠するからである。約200気圧を上回る圧力では、吸着剤を取り除くと普通は極低温における水素貯蔵密度が増す。最後に、吸着剤表面へのH2分子の物理吸着は、通常発熱的であり、特に極低温条件下での、急速な燃料補給が厄介になる。
【0011】
60及び関連する構造の発見に伴って、原子スケールで設計された(engineered)炭素材料が研究されH2吸着剤として提唱されるようになった。たとえば、グラファイトナノチューブは高度設計された(engineered)炭素材料の1種であり、並外れて高いH2貯蔵密度をもつことが実験に基づいて主張され大いに注目を浴びている。加えて、カーボンナノチューブは、室温近くでもH2を吸着する可能性を多少示しているが、このようなカーボンナノチューブ(あるいは他の高度設計された吸着剤)内におけるH2吸着の理解は現在まだ初期段階である。このような先端的な固体吸着材料のエネルギー的及び経済的な製造コストもまた現在は不明である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、貯蔵システムが、現在高圧水素ガス貯蔵に適用されている圧力よりも低い所定の圧力ならびに液体水素(LH2)貯蔵で現在適用されている温度よりも極端に低い温度で運転が可能な形態で、蒸発による水素の損失が軽減されかつ/又は解消される、軽量な媒体が必要とされている。本発明は、このような必要に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、実質的に不変の所定の容積を含む容器を備えること、この実質的に不変の所定の容積に水素分子を含む流体混合物を入れること、及び前記容器に所定の温度及び/又は所定の圧力を与えて流体混合物の密度を増加させることを含み、流体混合物の所定の相を容器から抜き出して燃料として利用できる、水素を貯蔵する方法を含む。
【0014】
本発明のもう1つの態様は、実質的に不変の所定の容積中に水素分子を含む流体混合物を入れることができる水素貯蔵装置を提供することである。このような流体混合物の密度は増大させることができ、この流体混合物の所定の相を抜き出して燃料として利用することができる。
【0015】
本発明の最後の態様は、水素分子を含む流体混合物を含むことができ実質的に不変の所定の容積を有する1つ又は複数の1次容器を含む水素貯蔵システムを提供することである。このような流体混合物の密度は増大させることができ、流体混合物の所定の相を燃料とする目的で1つ又は複数の2次容器に受けることができる。
【0016】
したがって、本発明は、都市の大気汚染、気候変動、持続可能性などの問題に対処しながら燃料確保を達成するために車両、住宅、燃料ステーション、水素製造施設などで使用される水素貯蔵の方法、装置、及びシステムを提供する。更に、本明細書で開示する発明は、蒸発損を低減かつ/又はなくし、かつH2の高密度貯蔵に必要な圧力を低下させることができ、それによって、容器設計の柔軟性及び容器形状の融通性を改善しながら、安全性が向上し、熱の発生を低減又は排除した燃料補給が可能になる。
【0017】
添付の図面は、本開示に組み込まれその一部をなすものであり、本発明の実施形態を例示し、かつ記述と合わせて本発明の原理を説明するのに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下の詳細な情報及び組み込まれた資料を参照ながら、具体的な実施形態を含む本発明の詳細な記述を提示する。この詳細な記述は、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0019】
別段の指示のない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用する成分、構成要素、反応条件などの量を表すすべての数は、すべての場合に「約」という語で修飾されているものと理解すべきである。したがって、別段の指示のない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、近似値であり、本明細書で提示する主題によって得ようとする所望の特性に応じて変わり得る。いずれにせよ、ただし特許請求の範囲に対する均等の原理の適用を制限しようとするものではないが、各数値パラメータは、少なくとも、記載の有効桁数に照らし、通常の丸め方を適用して解釈すべきである。本明細書で提示する主題の広義の範囲を定める数値範囲及び数値パラメータは近似値であるが、具体例に記載した数値は、できるだけ精確に報告したものである。しかし、どの数値も本質的にそれぞれの試験測定法で見られる標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を含む。
全般的説明
本発明は、水素(H2)、たとえば混合物などの流体媒体でのH2分子の貯蔵を対象とする。有益な流体には、それだけには限定されないが、窒素(N2)、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、軽い不活性ガス(たとえば、アルゴン)、ならびに一酸化炭素(CO)、メタンCH4)、アセチレン(C22)、エタン(C26)、エチレン(C24)、アンモニア(NH3)、プロパン(C38)、水(H2O)が含まれ、このような流体混合物は、その温度範囲をおよそそれぞれの臨界温度(すなわち、しばしば約647ケルビン未満、よりしばしば約50ケルビン〜126ケルビン)未満に調節することによって所定の条件に維持される。
【0020】
このような例として挙げた流体媒体が、本発明において水素の貯蔵に利用できるが、この議論では、本発明の操作を例示する媒体の例として窒素を一般的に使用する。このような流体媒体中で水素を貯蔵すること、及びこのような流体媒体を、本明細書で開示するように移動式(たとえば、コンフォーマブル(適合可能))及び/又は固定式の圧力容器に入れることは、それだけには限定されないが、住宅用、ならびに自動車(たとえば、軽量の)及びトラック、水素製造設備、燃料補給ステーションなどの産業用装置向けの、得られた混合物中での、代替貯蔵システムを提供する有益な方法である。加えて、本明細書で開示するような流体媒体を利用することの利益は、燃料用途については明白であるが、そのようなものだけには限定されない。本発明はまた、それだけには限定されないが、エネルギー貯蔵装置、化学装置、核装置などの用途に水素、水素分子、及び水素の同位体の貯蔵を必要とするどんな使用法にも一般的に使用することができる。
【0021】
他のH2貯蔵方法とは異なり、水素分子を、それだけには限定されないが、液体窒素(この場合は、H2吸収が温度と共に増加し、吸熱過程であることを示す)などの流体媒体中に貯蔵すると、混合時にそのような貯蔵媒体が冷却される。このような性質を活用すると、本発明で利用する貯蔵媒体は、たとえば車両に燃料を補給する際に体積を減らすことができ、その結果、所定の不変の貯蔵容積を有する市販又は特注の貯蔵容器中で、たとえば温度を先に論じた範囲に制御し、かつ/又は圧力をしばしば1050kgf/cm2(15,000psi)未満、よりしばしば350kgf/cm2(5000psi)未満に制御することを含む手段によって、H2容量(すなわち、密度)が、少なくとも25kgH2/m3(すなわち、12.4モル/l)より大きく、よりしばしば約25kg/m3〜約50kgH2/m3(すなわち、24.8モル/l)に増加する。
【0022】
本明細書で開示する有益な貯蔵媒体として利用される窒素は、全体の分子濃度が約33%H2〜約75%H2となるように構成することができ、この分子濃度は、約3.4重量%〜約17.8重量%のH2の重量%に相当する。窒素を貯蔵媒体として使用する本発明は、よりしばしば、分子濃度が約50%H2〜約66%H2となるように構成することができ、これは約6.7重量%H2〜約12.3重量%H2を含むH2重量%に相当する。貯蔵媒体としてN2、CO2、アルゴンなどをこのような分子濃度で使用すると、混合物の近似の有効平均重量(たとえば、補給の合間の平均で約13.5重量%H2〜約22重量%H2を含む)が車両用燃料として利用する用途では大幅に低い、安全な使い捨てのH2貯蔵媒体が得られる。
【0023】
したがって、N2を媒体として利用するH2貯蔵は、室温で約350kgf/cm2(5000psi)〜約1050kgf/cm2(15,000psi)に圧縮した純粋な水素と同程度の貯蔵容積をもたらすが、先に論じたようにより低い圧力で操作することが可能であり、したがって力学的危険を下げ、シリンダー状でない形の容器(たとえば、コンフォーマブルな容器)に対する要件が緩和される。本明細書で開示するこのような貯蔵法、装置、及びシステムは、安全性、燃料補給、設計の柔軟性、容器形状の融通性を改善し、知られている方法と同程度の重量、容量、及び資本コストなどの目標値で、蒸発損が軽減又は解消される。
【0024】
ここで図を参照すると、図1は、全体を参照数字100で表す本発明の有益な貯蔵器の一実施形態の縦断面を示す。このような有益な装置は、圧力容器2を含むことができ、これは、当技術分野の圧力容器設計で典型的な細長いシリンダー形状を有し、固定式(たとえば、燃料補給ステーション)及び/又は本発明の水素貯蔵媒体をそのような例として示した燃料補給ステーションに配送するシステムにおけるような移動式の形態として構成することができる。もう1つの構成として、水素貯蔵器の有益な実施形態100は、軽車両又は大型トラックに燃料を供給するための車載貯蔵容器(たとえば、コンフォーマブルな容器)として構成することもできる。当技術分野で知られている容器技術を、それだけには限定されないが、炭素繊維、アラミド、「ケブラー」の商標で販売されている複合材料のような補強複合材料など軽量の材料と組み合わせて内部圧力壁構造の製作に使用すれば、本明細書に開示されたこのような容器は、腐食、疲労及び破局的破損に耐えることができ、このような容器が、窮屈な非シリンダー形の物理的空間を有する車両中で使用できるようになる。
【0025】
図1に戻ると、圧力容器2は、外殻4と、実質上不変の貯蔵容積10を取り囲む内側の圧力容器6を含む。本明細書で使用する「実質上不変の貯蔵容積及び/又は実質上不変の容積」という用語は、温度及び圧力が変化しても約5%の範囲内で一定に維持され得る容積を含む。そのような容器2はまた、断熱された手段、たとえば内部圧力容器6と外殻4の間の熱伝達を妨げる真空多層断熱を含む。入口14と、内部圧力容器6及び外殻4を貫通して突き出ている1対の出口18、22により、不変の貯蔵容積10への出入りを調節することができる。
【0026】
本発明の方法では、たとえば、それだけには限定されないが、LN2などの有益な媒体は、たとえば、当業者には知られている外部ポンプ手段又は凝縮手段(図示せず)によって入口14を経て導かれ、不変の貯蔵容積10の約99%まで、よりしばしば約95%まで満たす。温度は、たとえば電気加熱手段(図示せず)、機械式及び/又は熱電式冷却器(図示せず)、及び水素分子のスピン状態を操作して混合物を冷却することのできる当業者に知られている何らかの手段などの手段によって、約50ケルビン〜約126ケルビンの温度に維持することができる。1つの有益な構成では、水素ガス分子(H2)を、たとえばコンプレッサによって不変の貯蔵容積10中に送り込んで、圧力を設計レベルまで上げることができる。その後、温度を約50ケルビン〜約126ケルビン(有益な媒体としてLN2を利用する場合)に制御し、圧力を約350kgf/cm2(5000psi)未満に維持することにより、導入された水素ガス分子を、液相への吸収エネルギーが1kJ/モルH2程度であるLN2など選択された媒体中に混入すると、所定の混合物及び所定の温度に対する飽和圧力より高い圧力下にあるときは、液相と蒸気相又は単一流体相を有する混合物を形成することができる。このような混合物を用いると、約25kgH2/m3より高い、よりしばしば約25kgH2/m3〜約50kgH2/m3という高密度で水素分子の貯蔵が可能になる。もう1つの有益な構成として、上記で開示したような1相又は複数相を含む流体混合物を、あらかじめ混合しかつ/又はあらかじめ冷却してから不変の貯蔵容積10に流すことができる。更に、温度及び圧力を本明細書で開示した範囲内に調節することにより、このような混合物は、H2及び/又はH2を含む上部の蒸気相を含む液体混合物26を含むように構成することができ、これはそれぞれの出口22、18から抜き取って、それだけには限定されないが、軽車両やトラックなどの装置用の燃料として使用することができる。
【0027】
図2は、本発明の窒素―水素(N2−H2)有益混合物の圧力−組成流体相平衡等温線図の例である。各プロット、たとえば、34(88.2ケルビン)、36(78.2ケルビン)、40(68.2ケルビン)は閉鎖ループ等温線であり、各曲線上の最大値は臨界点(気相と液相の区別がつかなくなる点)である。加えて、図2は、液相など所定の相(すなわち点A及びBの近傍)中で高密度の水素分子を貯蔵することのできる不変の全体組成の場合に温度の上昇につれて圧力が低下することを示している。たとえば、外挿した等温線40(68.2ケルビン)上の点Aは、約30MPaの圧力で約53%H2である。それに対応して、等温線36(78.2ケルビン)上の点Bは、19MPaと低下した圧力で約45%H2であり、不変の組成の場合に、このような液相状態において、このように調節された温度及び圧力で高密度のH2が存在し得ることを示している。このような線図の完全な考察については、W.Street及びJ.Calado著「Liquid−vapour equilibrium for hydrogen + nitrogen at temperatures from 63 to 110K and pressures to 57Mpa」、J.Chem.Thermodynamics、1978年、頁1089〜1100を参照されたい。
【0028】
特定の操作手順、材料、温度、パラメータ、及び特定の実施形態を記載及び/又は例示してきたが、これらは限定的なものではない。修正形態及び変更形態が当業者には明らかになるはずであり、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態の一例の縦断面図である。
【図2】窒素−水素(N2−H2)混合物の流体相圧力−組成等温平衡図の例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に不変の所定の容積を有する容器を準備し、
前記実質的に不変の所定の容積に水素分子を含む流体混合物を供給し、そして、
前記流体混合物の密度が増加するように、前記容器に、所定の温度及び/又は圧力を与えることを含み、1つ又は複数の所定の相の前記流体混合物を、前記容器から抜き出して燃料として利用することを可能にする、
水素を貯蔵する方法。
【請求項2】
前記流体混合物が、約25kgH2/m3〜50kgH2/m3の高密度の水素分子を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定の温度が、約647ケルビン未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の温度が、約50ケルビン〜126ケルビンの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の圧力が、約1050kgf/cm2(15,000psi)未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の圧力が、約350kgf/cm2(5000psi)未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記水素分子が、水素の同位元素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ又は複数の所定の相が、液相を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ又は複数の所定の相が、蒸気相を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ又は複数の所定の相が、気相を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記流体混合物が、窒素(N2)、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、軽量不活性ガス(たとえば、アルゴン)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)、アセチレン(C22)、エタン(C26)、エチレン(C24)、アンモニア(NH3)、プロパン(C38)、及び水(H2O)からなる群から選択される流体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記流体混合物が、液化不活性ガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記流体混合物が、液体窒素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記流体混合物が、液体酸素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記流体混合物が、液体二酸化炭素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記流体混合物が、約33%H2〜約75%H2の分子濃度を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
車両が、前記燃料を利用可能にするように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
住宅が、前記燃料を利用可能にするように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記容器が適合可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
実質的に不変の所定の容積を有する容器と、
前記実質的に不変の所定の容積内に供給されるべき、水素分子を含む流体混合物と、
前記流体混合物の密度を増加させるように構成された手段とを含み、1つ又は複数の所定の相の前記流体混合物を、前記容器から抜き出して燃料として利用することを可能にする水素貯蔵装置。
【請求項21】
前記流体混合物が、約25kgH2/m3〜約50kgH2/m3の高密度の水素分子を更に含む、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記手段が、約50ケルビン〜約126ケルビンの範囲内の温度を維持することが可能である、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記手段が、約647ケルビン未満の温度範囲を維持することが可能である、請求項20に記載の装置。
【請求項24】
前記手段が、約350kgf/cm2(5000psi)未満の圧力の使用を可能にする、請求項20に記載の装置。
【請求項25】
前記手段が、約1050kgf/cm2(15,000psi)未満の圧力の使用を可能にする、請求項20に記載の装置。
【請求項26】
前記水素分子が、水素の同位体を含む、請求項20に記載の装置。
【請求項27】
前記1つ又は複数の所定の相が、液相を含む、請求項20に記載の装置。
【請求項28】
前記1つ又は複数の所定の相が、蒸気相を含む、請求項20に記載の装置。
【請求項29】
前記1つ又は複数の所定の相が、気相を含む、請求項20に記載の装置。
【請求項30】
前記流体混合物が、窒素(N2)、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、軽量不活性ガス(たとえば、アルゴン)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)、アセチレン(C22)、エタン(C26)、エチレン(C24)、アンモニア(NH3)、プロパン(C38)、及び水(H2O)からなる群から選択される流体を含む、請求項20に記載の装置。
【請求項31】
前記流体混合物が、液化不活性ガスを含む、請求項20に記載の装置。
【請求項32】
前記流体混合物が、液体窒素を含む、請求項20に記載の装置。
【請求項33】
前記流体混合物が、約33%H2〜約75%H2の分子濃度を有する、請求項20に記載の装置。
【請求項34】
前記流体が、液体酸素を含む、請求項20に記載の装置。
【請求項35】
前記流体混合物が、液体二酸化炭素を含む、請求項20に記載の装置。
【請求項36】
車両が、前記燃料を利用可能にするように構成される、請求項20に記載の装置。
【請求項37】
住宅が、前記燃料を利用可能にするように構成される、請求項20に記載の装置。
【請求項38】
前記容器が適合可能である、請求項20に記載の装置。
【請求項39】
各々実質的に不変の所定の容積を有する1つ又は複数の1次容器であって、前記実質的に不変の所定の容積内に供給されるべき、水素分子を含む流体混合物と、前記流体混合物の密度を増加させるように構成された手段であり、1つ又は複数の所定の相の前記流体混合物を、前記1つ又は複数の1次容器から分配できる手段とを含む1次容器、及び、
各々実質的に不変の所定の容積を有し、前記1つ又は複数の1次容器から、1つ又は複数の所定の相の前記流体混合物を受け入れるように構成された1つ又は複数の2次容器
を含む水素貯蔵システム。
【請求項40】
前記流体混合物が、約25kgH2/m3〜約50kgH2/m3の高密度の水素分子を更に含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記手段が、約50ケルビン〜約126ケルビンの範囲内の温度を維持することが可能である、請求項39に記載のシステム。
【請求項42】
前記手段が、約647ケルビン未満の温度範囲を維持することが可能である、請求項39に記載のシステム。
【請求項43】
前記手段が、約350kgf/cm2(5000psi)未満の圧力の使用を可能にする、請求項39に記載のシステム。
【請求項44】
前記手段が、約1050kgf/cm2(15,000psi)未満の圧力の使用を可能にする、請求項39に記載のシステム。
【請求項45】
前記水素分子が、水素の同位体を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項46】
前記1つ又は複数の所定の相が、液相を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項47】
前記1つ又は複数の所定の相が、蒸気相を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項48】
前記1つ又は複数の所定の相が、気相を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項49】
前記流体混合物が、液化不活性ガスを含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項50】
前記流体混合物が、窒素(N2)、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、軽量不活性ガス(たとえば、アルゴン)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)、アセチレン(C22)、エタン(C26)、エチレン(C24)、アンモニア(NH3)、プロパン(C38)、及び水(H2O)からなる群から選択される流体を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項51】
前記流体混合物が、液体窒素を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項52】
前記流体混合物が、液体酸素を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項53】
前記流体混合物が、液体二酸化炭素である、請求項39に記載のシステム。
【請求項54】
前記流体混合物が、約33%H2〜約75%H2の分子濃度を有する、請求項39に記載のシステム。
【請求項55】
前記1つ又は複数の2次容器が、車両を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項56】
前記1つ又は複数の2次容器が、住宅を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項57】
前記1つ又は複数の2次容器が、燃料補給ステーションを含む、請求項39に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−527833(P2006−527833A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517340(P2006−517340)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/019302
【国際公開番号】WO2005/015076
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(504471296)ザ リージェンツ オブ ザ ユニヴァーシティー オブ カリフォルニア (13)
【Fターム(参考)】