説明

流体混合装置

【課題】2種以上の流体を均一に混合できるマイクロミキサーを提供する。
【解決手段】混合流体を得る混合器(1)と混合器(1)の出口に接続され混合流体を更に混合する混合器(2)とを有する流体混合装置であり、混合器(1)は第一の流体が流通する微小管状流路1と、第二の流体が流通する微小管状流路2と、第一の流体と第二の流体とが混合する混合部を有し、混合器(2)は混合流体が流通する微小管状流路3を有し、微小管状流路3の出口部における混合流体の断面積は、入り口部における混合流体の断面積よりも小さく、混合器(1)の混合部に接し、微小管状流路1内を流通する流体断面積と、微小管状流路2内を流通する流体断面積の断面積との合計面積に対する混合器(2)の出口部に接し、微小管状流路3内を流通する流体断面積の比が1/2〜1/100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高粘度流体どうしを混合する場合や、低粘度流体とその流体よりも粘度が10倍程度高い流体を混合する場合でも均一に混合できる流体混合装置、好ましくは、微小管状流路を有するマイクロミキサーを有する流体混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
晶析等による微粒子製造工程や化学反応工程において、少なくとも二種類以上の流体の混合を目的として各種静止ミキサーが提案されている。なかでも混合する流体をマイクロ流路内に供給するマイクロミキサーが効率的な流体混合装置として注目されている。
【0003】
マイクロミキサーは、少なくとも二種類以上の流体を流路幅が10μmから1000μm程度のマイクロ流路で微小な流れに分割し、しかる後に混合するための機構を有している。マイクロミキサー内に供給された流体は、微小な流れに分割されたことで拡散距離が短くなり、その混合速度が速くなるため、従来の静止ミキサーに比べて短時間で効率的に混合される。
【0004】
マイクロミキサーの構造としては、例えばY字型の流路を有する構造のミキサー(Y字マイクロミキサー)が知られている。Y字型マイクロミキサーは一枚のプレートに第1流体を流す流路と第2流体を流す流路とが鋭角的、即ちY字型に交差し、1本の合流路となる構造を有している。このミキサーに供給された各流体は、流路の交差部において層流状態で合流し、相互拡散により混合される。
【0005】
上記Y字型マイクロミキサーに低粘度流体とその流体よりも粘度が10倍程度高い流体(異粘性流体)を同流量で流通した場合、二種類の流体の圧損が同じになろうとする。すなわち、粘度が低い流体は流速が速くなり、マイクロ流路の使用断面比率が小さくなる。高い粘度流体はその逆になることで圧損が同じになる。粘度差がある程度大きく場合、粘度が低い流体は極端に小さな断面の中を高速の流速で流れることになりになり、間欠送りなど不安定な流れの原因になる。このため安定した流体の流通ができず、流体を均一に混合できない問題がある。このようにマイクロ流路内での液体の相互拡散では低粘度同士の混合では問題はない場合が多いが、異粘性流体や高粘度流体では混合性を低下する問題が多く発生する可能性が高い。
【0006】
前記Y字型マイクロミキサー以外の他のマイクロミキサーとしては、例えば、混合対象である反応物Aが流れる微細チャンネル(微小管状流路)が形成されたプレートと、反応物Bが流れる微細チャンネルが形成されたプレートとが積層された構造を有する積層型マイクロミキサーが知られている(例えば、特許文献1参照)。該積層型マイクロミキサーが有する各微細チャンネルは、プレートの上面からみて鋭角をなす状態で配置され、各流体は各微細チャンネルの出口に設けられた合流室で合流し、混合される。
【0007】
特許文献1に記載された積層された構造と、流体を合流させる合流室とを設けたマイクロミキサー(出口混合型マイクロミキサー)は、上下に積層配置した二枚のプレートの、それぞれのプレートにマイクロ流路を形成し、形成されたそれぞれのマイクロ流路は共通の出口である混合室に向かい交差している構造を有する。また、該流路幅及び深さは250μm以下であり、低粘度で瞬時に混合し易い流体を対象としており、高粘度流体同士や異粘性流体に対応したミキサーではない。その為、特許文献1に記載されたミキサーを用いた流体混合装置に高粘度流体や異粘性流体を流通した場合、圧損や詰まり等が発生し、流通が困難となり、十分に混合できなくなる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表平9−512742号公報(12頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、高粘度流体どうしを混合する場合や、低粘度流体とその流体よりも10倍程度高い流体を混合する場合でも混合効率が良好で、均一に混合できる流体混合装置を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一般的に、マイクロミキサーを連結することで、流体の混合は良くなる。この知見をもとに本発明者らは上記課題を解決する為に鋭意検討した結果、2種類の流体混合器(第一の混合器と第二の混合器)を直列に繋いだ流体混合装置であり、第一の混合器として第一の流体と第二の流体とをそれぞれ別個に流通する微小管状流路と、第一の流体と第二の流体とを混合する混合部を有する混合器を用い、第二の混合器として微小管状流路を有し、該微小管状流路の出口部における混合流体の断面積は、入り口部における混合流体の断面積よりも小さい断面積である混合器を用い、しかも、第一の混合器の混合部に接する微小管状流路を液蜜状に流通する流体断面積の合計面積(A)と第二の混合器の微小管状流路内を液蜜状に流通する流体断面積(B)の比が特定の範囲、具体的には、〔(B)/(A)〕で1/2〜1/100の範囲にある流体混合装置を用いることにより、高粘度流体どうしを混合する場合や、低粘度流体とその流体よりも粘度が10倍以上高い流体を混合する場合でも混合効率が良好で、均一に混合できること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、第一の流体と第二の流体との混合流体を得る混合器(1)と混合器(1)の出口に接続され混合器(1)から排出される混合流体を更に混合する混合器(2)とを有する流体混合装置であり、
混合器(1)は第一の流体が液密状に流通する微小管状流路1と、第二の流体が液密状に流通する微小管状流路2と、微小管状流路1から排出された第一の流体と微小管状流路2から排出された第二の流体とが混合する混合部を有し、
混合器(2)は混合流体が液密状に流通する微小管状流路3を有し、微小管状流路3の出口部における混合流体の断面積は、入り口部における混合流体の断面積よりも小さい断面積であり、
しかも、混合器(1)の混合部に接し、微小管状流路1内を液蜜状に流通する流体断面積と、混合器(1)の混合部に接し、微小管状流路2内を液蜜状に流通する流体断面積の断面積との合計面積(A)に対する混合器(2)の出口部に接し、微小管状流路3内を液蜜状に流通する流体断面積(B)の比〔(B)/(A)〕が1/2〜1/100であることを特徴とする流体混合装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の流体混合装置は2種類の異なる混合器を有し、各々の混合器における流体の出口部部分の流体断面積の比が特定の範囲を有する。第一の混合器では2種類以上の溶液の混合を行い、第一の混合器で混合された溶液は更に、第二混合器により、必要により設けられた第三の混合器にて混合することで混合を行う。本発明において、流体断面積の比をこの範囲にすることにより微小流路を流れる流体は圧力損失の影響を受けず、流体の流速を高めることができ、乱流となり混合効率を向上させることができる。その為、本発明の流体混合装置は高粘度流体どうしを混合する場合や、低粘度流体とその流体よりも粘度が著しく高い流体を混合する場合などに特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態の混合器(1)の概略図。
【図2】混合器(1)が有する積層体の分解斜視図。
【図3】混合器(1)の構成部材である第一のプレートの斜視図。
【図4】混合器(1)の構成部材である別例の第一のプレートの斜視図。
【図5】混合器(1)の構成部材である別例の第一のプレートの斜視図。
【図6】混合器(1)の構成部材である別例の第一のプレートの斜視図。
【図7】混合器(1)の構成部材である第二のプレートの斜視図。
【図8】混合器(1)の構成部材である別例の第二のプレートの斜視図。
【図9】混合器(1)の別例の概略図。
【図10】熱交換媒体が流通する流路を設けたプレートを有する混合器(1)が有する積層体の分解斜視図
【図11】一実施形態の別例の混合器(1)の概略図。
【図12】別例の混合器(1)が有する積層体の分解斜視図。
【図13】別例の混合器(1)の構成部材である混合プレートの斜視図。
【図14】別例の混合器(1)の構成部材である混合プレートの平面図。
【図15】別例の混合器(1)の構成部材である温調プレートの斜視図。
【図16】別例の混合器(1)が有する積層体の斜視図。
【図17】一実施形態の混合器(2)の概略図。
【図18】混合器(2)が有する積層体の分解斜視図。
【図19】熱交換媒体が流通する流路を設けたプレートを有する混合器(1)が有する積層体の分解斜視図
【図20】実施例1及び実施例3で用いた製造装置を模式的に示す概略構想図
【図21】実施例及び比較例で用いたマイクロリアクターが有する積層体の分解斜視図。
【図22】実施例及び皮革例で用いたマイクロリアクターの概略図
【図23】実施例2で用いた製造装置を模式的に示す概略構想図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の流体混合装置は混合器(1)と混合器(2)とを有する。混合器(1)は、は第一の流体が液密状に流通する微小管状流路1と、第二の流体が液密状に流通する微小管状流路2と、微小管状流路1から排出された第一の流体と微小管状流路2から排出された第二の流体とが混合する混合部を有する。
混合器(2)は混合流体が液密状に流通する微小管状流路3を有し、微小管状流路3の出口部における混合流体の断面積は、入り口部における混合流体の断面積よりも小さい断面積である。
そして、混合器(1)の混合部に接し、微小管状流路1内を液蜜状に流通する流体断面積と、混合器(1)の混合部に接し、微小管状流路2内を液蜜状に流通する流体断面積の断面積との合計面積(A)に対する混合器(2)の出口部に接し、微小管状流路3内を液蜜状に流通する流体断面積(B)の比〔(B)/(A)〕は1/2〜1/100である。この範囲にする事により、圧損が大きくならず、スムーズな通液が可能となり、混合効率が良好になる。比〔(B)/(A)〕が1/2より大きいと混合効率の低下をまねくことから好ましくない。比〔(B)/(A)〕は1/4〜1/50がより好ましい。
【0015】
また、混合器(2)が有する微小管状流路3の出口部における混合流体の断面積を、入り口部における混合流体の断面積よりも小さい断面積とすることにより圧力損失を小さくでき、しかも流体の流速を速くすることでより微乱流を発生させ混合効率を大幅に向上することができる。具体的には、微小管状流路3の入り口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.01〜20mm2とし、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.01〜5mm2とし、しかも出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が入り口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積よりも小さくすることが好ましい。
【0016】
尚、本発明の流体混合装置の圧力損失としては、各混合器発生する圧力損失が1MPa以下が好ましく、さらに好ましくは0.5MPa以下が好ましい。さらに好ましくは0.2MPa以下が好ましい。
【0017】
また、前記比〔(B)/(A)〕は、特に第一混合液で流通させる粘度比により該流体の混合後の粘度に反比例した割合で小さくすることが好ましい。粘度比はまた、圧力損失、流体の詰まり、混合容易性等に応じて変更可能である。
【0018】
混合器(1)は上記の通り、2つの微小管状流路と混合部とを有する。このような混合器の好ましい形態として、例えば、第一の流体が流通する流体供給路に通ずる第一の微小管状流路を有する第一のプレートに第二の流体が流通する流体供給路に通ずる第二の流体を流通する第二の微小管状流路を有する第二のプレートが積層した積層部と、第一の微小管状流路の出口と第二の微小管状流路の出口とに通じ、第一の流体と第二の流体とが混合する混合部とを有するマイクロミキサーであり、第一のプレートと第二のプレートの少なくとも一方が、流体供給路に通ずる微小管状流路の入り口部と、混合部に通ずる微小管状流路の出口部とを有し、該入り口部の微小管状流路が1本の流路であり、しかも、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が、入り口部における1本の微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積より小さい断面積を有するプレートであるマイクロミキサー1を例示することができる。
【0019】
以下、マイクロミキサー1の一実施形態を図1〜図7に従って説明する。図1は、マイクロミキサー1の一例を示す概略図である。
【0020】
マイクロミキサー1は、中空状のケースCを有し、このケースCの中には第一の流体(F1)が流通する流体供給路に通ずる第一の微小管状流路を有する第一のプレートに第二の流体(F2)が流通する流体供給路に通ずる第二の流体を流通する第二の微小管状流路を有する第二のプレートが積層した積層部を有する積層体110が固定されている。
【0021】
マイクロミキサー1は、第一のプレートと第二のプレートが積層した積層部に加え、例えば、図1に示すように熱交換媒体を流通させる熱交換媒体流路を有する温調プレートが積層してあるミキサーが好ましい。
【0022】
更に、流体F1と流体F2の熱交換を行う熱媒体H11が流れる熱交換媒体流路を有する温調プレートが積層体110に積層されている事が、流体F1及び流体F2の温度を均一化でき、流体F1と流体F2の温度の差による混合効率の低下を減少できることから好ましい。
【0023】
前記マイクロミキサー1のケースCの左端C1には、第1の流体(F1)をケースC内に供給する第1流体供給部1Aが設けられ、ケースCの下部右端C2には、第2の流体(F2)をケースC内に供給する第2流体供給部2Aが設けられている。以下、これらの各流体供給部1A,2Aを区別しないで説明する場合には、単に流体供給部1として説明する。
【0024】
流体供給部1Aは、ケースCの左端部に形成された開口部1Bと、開口部1Bに連結されたコネクタ1Cとを有している。コネクタ1Cは、第1の流体(F1)が流通する流体供給路に通じており、従って、この流体供給路は第一のプレートの第一の微小管状流路に通じている。そして、この流体供給路は第1の流体(F1)を貯留するタンクや、加圧ポンプ、このポンプに連結された管路等を含む圧送機構と接続されており、第1の流体(F1)はその機構により加圧状態でコネクタ1C側に圧送されるようになっている。開口部1BとケースC内に固定された積層体11の側面11aには空間が設けられ、該空間は上記圧送機構から送出された第1の流体(F1)を一時貯留する貯留部S1として機能する。
【0025】
流体供給部2Aは、ケースCの下部右端に形成された開口部2Bと、開口部2Bに連結されたコネクタ2Cとを有している。コネクタ2Cは、第2の流体(F2)が流通する流体供給路に通じており、従って、この流体供給路は第二のプレートの第二の微小管状流路に通じている。そして、この流体供給路は第2の流体(F2)を貯留するタンクや、加圧ポンプ、このポンプに連結された管路等を含む圧送機構と接続されており、第2の流体(F2)はその機構により加圧状態でコネクタ3B側に圧送されるようになっている。開口部1BとケースC内に固定された積層体11の側面11bには空間が設けられ、該空間は上記圧送機構から送出された第2の流体(F2)を一時貯留する貯留部S2として機能する。
【0026】
また、ケースCの下部左端C3には、熱媒H1をケースC内に供給する熱媒供給部3Aが形成されている。熱媒供給部3Aは、上記流体供給部1A、2Aと同様に開口部3B、コネクタ3Cを有している。熱媒供給部3Aに供給された熱媒H1は、積層体11内に形成された流路を通過し、ケースCの上端C4に形成された熱媒送出部4AからケースC外部へ送出される。熱媒送出部4Aは、上記流体供給部1A、2Aと同様に開口部4B、コネクタ4Cをそれぞれ有している。
【0027】
また、ケースCの右端C4は、ケースCの右端部に形成された開口部5Bと開口部5Bに連結されたコネクタ5Cからなる送出部5Aを有している。開口部5BとケースC内に固定された積層体11の側面11cには空間が設けられ、該空間は、第一の微小管状流路の出口と第二の微小管状流路の出口とに通じ、第一の流体と第二の流体とが混合する混合部S3として機能する。S3の体積としては、発生する圧力損失、高粘度流体及び異粘性流体の安定した通流、混合力、装置的強度を考慮する。各流体の粘性や目的とする混合度合等に応じて変更可能である。特に第一の流体と第二の流体との粘度差が大きい、例えば、10倍以上の場合、安定した流通を行うために混合部S3の断面積を大きくすることが、第一の流体と第二の流体との均一な混合体が得られることから好ましい。加えて、第一の流体と第二の流体との粘度差が大きく、高粘度流体の流量が低粘度流体の流量を比べて大きい場合は、さらに混合部の断面積を大きくする必要がある。
【0028】
前記混合部S3の第一の微小管状流路の出口と第二の微小管状流路の出口とに通じる断面の面積は第一の流体と第二の流体との安定した流通を行うためから1.0mm以上が好ましい。
【0029】
また、前記混合部S3の第一の微小管状流路の出口と第二の微小管状流路の出口とに通じる断面の面積が、第一の微小管状流路の出口の断面積と第二の微小管状流路の出口の断面積の合計に対して2〜200倍であるマイクロミキサーが、流通が安定し、混合部S3部でも滞留がない良好な混合が達成できることから好ましく、4〜100倍がより好ましい。
【0030】
第一の流体(F1)及び第二の流体(F2)は、各流体供給部1A、2AからケースC内部に供給され、積層体11に形成された第1の微小管状流路及び第2の微小管状流路にそれぞれ流通する。そして、第1の微小管状流路の出口に到達した第一の流体(F1)及び第2の微小管状流路の出口に到達した第二の流体(F2)は、これらの出口部に通ずる混合部S3へと排出され、混合される。得られた混合流体(F3)は、送出部5AからケースC外部へ送出される。尚、マイクロミキサー1のケースCや各流体供給部1A、2A、送出部5Aの位置等は上記構成に限定されず、適宜変更可能である。
【0031】
次に、上記積層体11について説明する。図2に示すように、積層体11は、長方形状の各カバープレートP1、P2との間に、流路が形成されたプレート群13を備えている。
【0032】
プレート群13は、2枚の第一のプレート5と2枚の第二のプレート7とが積層されて構成されている。本実施形態では第一のプレートと第二のプレートとが交互に積層された積層体を形成している。
【0033】
カバープレートP1、P2、第一のプレート5及び第二のプレート7は、その外形が同じ長方形状に形成されている。また、カバープレートP1、P2、第一のプレート5及び第二のプレート7の材質は特に限定されず、例えば金属材、樹脂、ガラス、セラミックス等、流路を形成するための加工が容易で、各プレートを液漏れ等が生じ難い密着状態で互いに固定できる材質であればよい。また、各プレートを同じ材質から形成しても良いし、異なる材質で形成してもよい。例えば、各プレートをステンレス鋼から形成し、拡散結合により密着状態で固定してもよい。各プレートの加工方法は、例えば射出成型、溶剤キャスト法、溶融レプリカ法、切削、エッチング、フォトリソグラフィー、レーザーアプレーション等の公知の各種方法のうち、その材質に応じた好適な方法を選択できる。
【0034】
次に、第一のプレート5と第二のプレート7について詳述する。図3に示すように第一のプレート5には矩形且つ板状の第一の微小管状流路形成部6Aを有している。
【0035】
第一の微小管状流路形成部6Aは、その上面6aにおける短手方向(図中Y方向)の中央部に1本以上の第一の微小管状流路6を有している。第一の微小管状流路6は第一の微小管状流路形成部6Aの左側端6bから右側端6cに向かって溝状に形成されており、左側端6b、右側端6c及び上面6aにおいて開口している。左側端6bの開口は第一の微小管状流路6の入口6dであって、右側端5cの開口は第一の微小管状流路6の出口6eとなる。入口6dは、第1の流体F1が供給される上記第1流体供給部1Aに連通している。
【0036】
第一の微小管状流路6は、通流方向に直交する方向における断面が矩形状をなす流路であって、左側端6bから右側端6cまで延びている。第一の微小管状流路6の幅及び深さは、流体の温度分布の均一性や装置的強度を確保するために例えば幅0.1mm以上100mm以下、深さ0.1mm以上5mm以下の範囲にすると好ましく、幅0.1mm以上20mm以下、深さ0.1mm以上2mm以下の範囲がより好ましい。さらに幅0.1mm以上20mm以下、深さ0.1mm以上1mm以下の範囲がより好ましい。すなわち、大径部16の形状としては、圧損が大きくなりすぎず、流路閉塞が生じにくく、流路の加熱・冷却の迅速な制御が可能であって、流体の流速を高めることができ、せん断力が作用し、微乱流を伴う状態での分子拡散となり混合効率を向上させることができる流路形状であれば良い。
【0037】
また、第一の微小管状流路6f内を液密状に流通する流体の断面積としては、0.01〜500mmが好ましく、0.01〜40mmがより好ましい。さらに0.01〜20mmがより好ましい。
【0038】
また、第一の微小管状流路6内を液密状に流通する流体の断面積としては、0.01〜500mmが好ましく、0.01〜40mmがより好ましい。さらに0.01〜20mmがより好ましい。
【0039】
図3において第一の微小管状流路6は5本配置されているが、本数には特に制限はない。複数本配置する場合、各々の微小管状流路6の幅及び深さは同一でも良いし異なっていても良い。また、第一の微小管状流路6の入口と出口の流路幅は同一であっても良いし、異なっていても良い。第一プレートの更なる例示を図4に示す。
【0040】
前記マイクロミキサーの中でも、前記第一のプレート(5)が、流体供給路に通ずる微小管状流路の入り口部と、混合部に通ずる微小管状流路の出口部とを有し、しかも、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が、入り口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積より小さい断面積を有するプレートであり、第二のプレートが、流体供給路に通ずる微小管状流路の入り口部と、混合部に通ずる微小管状流路の出口部とを有し、該入り口部の微小管状流路が1本の流路で、しかも、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が、入り口部における1本の微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積より小さい断面積を有するプレートであるミキサーが、混合効率が良好なことから好ましい。このような第一のプレートとして、例えば、図5に示すプレート等を例示することができる。
【0041】
図5に示す第一のプレート5には矩形且つ板状の第一の微小管状流路形成部6Aを有している。第一の微小管状流路形成部6Aは、その上面6aにおける短手方向(図中Y方向)の中央部に1本以上の第一の微小管状流路6を有している。第一の微小管状流路6は第一の微小管状流路形成部6Aの左側端6bから右側端6cに向かって溝状に形成されており、左側端6b、右側端6c及び上面6aにおいて開口している。左側端6bの開口は第一の微小管状流路6の入口6dであって、右側端6cの開口は第一の微小管状流路6の出口6eとなる。入口6dは、第1の流体F1が供給される上記第1流体供給部1Aに連通している。
【0042】
また、図5において、第一の微小管状流路6は、流路径の大きい大径部6fと流路径の小さい小径部6gと、大径部6fから小径部6gへの径変化を穏やかにするテーパー部6hが設けられている。
【0043】
大径部6fは、通流方向に直交する方向における断面が矩形状をなす流路であって、左側端6bから右側端6cの手前まで延びている。大径部6fの幅及び深さは、流体の温度分布の均一性や装置的強度を確保するために、例えば幅0.1mm以上100mm以下、深さ0.1mm以上5mm以下の範囲にすると好ましく、幅0.1mm以上20mm以下、深さ0.1mm以上2mm以下の範囲がより好ましい。さらに幅0.1mm以上20mm以下、深さ0.1mm以上1mm以下の範囲がより好ましい。すなわち、大径部16の形状としては、圧損が大きくなりすぎず、流路閉塞が生じにくく、流路の加熱・冷却の迅速な制御が可能であって、流体の流速を高めることができ、せん断力が作用し、微乱流を伴う状態での分子拡散となり混合効率を向上させることができる流路形状であれば良い。
【0044】
また、第一の微小管状流路6f内を液密状に流通する流体の断面積としては、0.01〜500mmが好ましく、0.01〜40mmがより好ましい。さらに0.01〜20mmがより好ましい。
【0045】
小径部6gも断面矩形状に形成された流路であって、右側端6fの手前から右側端6cに向かって延びている。小径部6gは、少なくとも大径部16の断面積よりも小さい断面積となればよいが、例えば幅0.1mm以上20mm以下、深さ0.1mm以上5mm以下の範囲、幅0.1mm以上5mm以下、深さ0.1mm以上2mm以下の範囲がより好ましい。さらに幅0.1mm以上5mm以下、深さ0.1mm以上1mm以下の範囲がより好ましい。すなわち、小径部6gの形状としては、圧損が大きくなりすぎず、流路閉塞が生じにくく、流路の加熱・冷却の迅速な制御が可能であって、特に流体の流速を高めることができ、せん断力が作用し、微乱流を伴う状態での分子拡散となり混合効率を向上させることができる流路形状であれば良い。
【0046】
また、図5における第一の微小管状流路6g内を液密状に流通する流体の断面積としては、0.01〜100mmが好ましく、0.01〜10mmがより好ましい。さらに0.01〜5mmがより好ましい。
【0047】
図5における第一の微小管状流路6gを流通する際の流体の速度は流体に作用するせん断力が高まることから0.1m/秒以上が好ましく、0.3m/秒以上がより好ましい。更に好ましくは1.0m/秒以上で3.0m/秒以上が特に好ましい。特に、高粘度同士の流体を混合する場合や粘度の大きく異なる粘度の流体を混合する場合の流速は1.0m/秒以上が好ましい。
【0048】
図5において第一の微小管状流路6は3本配置されているが、本数には特に制限はない。複数本配置する場合、各々の微小管状流路6の幅及び深さは同一でも良いし異なっていても良い。また、第一の微小管状流路6の入口と出口の流路幅は同一であっても良いし、異なっていても良い。第一プレートの更なる例示を図6に示す。
【0049】
第一の微小管状流路に流通させる流体の粘度は2000mPa・s以下が好ましく、1000mPa・s以下がより好ましい。さらに好ましくは500mPa・s以下である。
【0050】
次に、第二のプレート7について詳述する。図7に示すように第二のプレート7には矩形且つ板状の第二の微小管状流路形成部7Aを有している。
【0051】
第二の微小管状流路形成部7Aは、その上面7aに1本の第二の微小管状流路8を有している。第二の微小管状流路8は、第二の微小管状流路形成部7Aの下側端7bから短手方向(7c方向、図中Y方向)に向かって溝状に形成され、更に、Y方向の中央付近で1回右端方向に直角に屈曲しており、下側端7b、右側端7d及び上面7aにおいて開口している。下側端7bの開口は第二の微小管状流路8の入口8aであって、右側端7dの開口は第一の微小管状流路6の出口8bとなる。入口8aは、第2の流体F1が供給される上記第2流体供給部2Aに連通している。
【0052】
本発明で用いる第二のプレートが有する微小管状流路は、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が、入り口部における1本の微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積より小さい断面積である。このような構造を有することにより、第二の流体F2は入り口部において大径部の入口8aを流れ、小径部8bに流入する。小径部に流入した各流体第二の流体F2は、入口に流入したときの流速よりも大きな流速で出口8bに流入し、混合部(図1におけるS3)流入する。その結果、第一の流体F1と第二の流体F2との混合速度を高めることができる。特に、第一の流体F1、第二の流体F2のうち少なくとも一方が、流動性が低く混合しにくい流体である場合、即ち高粘度流体である場合や、互いに粘度が大きく異なる場合等に特に効果を発揮することができる。
【0053】
前記大径部の幅及び深さは、流体の温度分布の均一性や装置的強度を確保するために、例えば幅0.1mm以上100mm以下、深さ0.1mm以上5mm以下の範囲にすると好ましく、幅0.1mm以上20mm以下、深さ0.1mm以上2mm以下の範囲がより好ましい。すなわち、大径部の形状としては、圧損が大きくなりすぎず、流路閉塞が生じにくく、流路の加熱・冷却の迅速な制御が可能であって、混合性能を向上させることができる流路形状であれば良い。
【0054】
また、大径部を液密状に流通する流体の断面積としては、0.01〜500mmが好ましく、0.01〜40mmがより好ましい。
【0055】
前記小径部の断面積は、少なくとも大径部の断面積よりも小さい断面積となればよい。小径部の幅及び深さは例えば幅0.1mm以上20mm以下、深さ0.1mm以上5mm以下の範囲、幅0.1mm以上5mm以下、深さ0.1mm以上2mm以下の範囲がより好ましい。さらに幅0.1mm以上5mm以下、深さ0.1mm以上1mm以下の範囲がより好ましい。すなわち、小径部6gの形状としては、圧損が大きくなりすぎず、流路閉塞が生じにくく、流路の加熱・冷却の迅速な制御が可能であって、特に流体の流速を高めることができ、せん断力が作用し、微乱流を伴う状態での分子拡散となり混合効率を向上させることができる流路形状であれば良い。
【0056】
また、小径部を液密状に流通する流体の断面積としては、0.01〜100mmが好ましく、0.01〜10mmがより好ましい。さらに0.01〜5mmがより好ましい。
【0057】
第二の微小管状流路8bを流通する際の流体の速度は流体に作用するせん断力が高まることから0.1m/秒以上が好ましく、0.3m/秒以上がより好ましい。更に好ましくは1.0m/秒以上で3.0m/秒以上が特に好ましい。特に、高粘度同士の流体を混合する場合や粘度の大きく異なる粘度の流体を混合する場合の流速は1.0m/秒以上が好ましい。
【0058】
第二の微小管状流路に流通させる流体の粘度は2000mPa・s以下が好ましく、1000mPa・s以下がより好ましい。さらに好ましくは500mPa・s以下である。
【0059】
また、第二のプレートは図7に示したように混合部に通ずる出口部が流体の進行方向に平行して設置された複数個の壁で分割され、複数本の流路が形成されているもの以外に、例えば、図8に例示するように1本の流路でもかまわない。ここで、壁の数は、例えば、0〜250個であり、1〜50個がより好ましい。また、第二のプレート上に形成される第二の微小管状流路の数は図5に示すように1本でも良いし、図8に示すように複数本有っても良い。
【0060】
マイクロミキサー1は第二のプレートが有する微小管状流路の入り口部を増やすことが容易な為、多種類の流体の混合流体を得る事も可能である。マイクロミキサー1に多種類の流体を流通させる場合、例えば、少なくとも1枚の第一のプレートと少なくとも2枚の第二のプレートとが積層した積層部で、該積層部が第二のプレートが有する微小管状流路の入り口部が設置された側面と別の側面に第一のプレートが有する微小管状流路の入り口部が設置された積層部を有するマイクロミキサーを好ましく例示できる。このようなマイクロミキサーとしては、例えば、図9に示すマイクロミキサーを例示する事ができる。
【0061】
マイクロミキサー1には熱交換用の媒体を流通させる温調プレートを積層しても良い。温調プレートと第一のプレートと第二のプレートとを積層したマイクロミキサーを例えば、図10に示す。
【0062】
温調プレート12は、図10に示すように、一方の面12aに温調プレート12の長手方向に沿って複数本配列された主流路13aが所定の間隔だけ離れて設けられている。主流路13aの断面積は、反応流路に対して熱を伝えることができれば特に限定されるものではないが概ね0.1〜4.0(mm)の範囲である。更に好ましくは0.3〜1.0(mm)である。主流路13aの本数は、熱交換効率を考慮して適宜の本数を採用することができ、特に限定されるものではないが、プレート当たり、例えば1〜1000本、好ましくは10〜100本である。
【0063】
温調流路12は、図10に示す様に、温調プレート12の長手方向に沿って複数本配列された主流路13aと、主流路13aの上流側及び下流側端部で主流路13aに連通する供給側流路13bおよび排出側流路13cとを備えていてもよい。
【0064】
図10では供給側流路13bと排出側流路13cは2回直角に屈曲して温調プレートの側面12d、12eからそれぞれ外部に開口している。温調流路12の各流路の本数は、温調流路12の主流路13a部分のみが複数本配列され、供給側流路13bおよび排出側流路13cはそれぞれ1本で構成されている。
【0065】
以上のように構成された積層体11において、第1流体供給部1AからケースC内へ加圧状態で供給された第1の流体(F1)は、貯留部S1に一時貯留された後、積層体110に複数設けられた第一の微小管状流路6へ分割される。また、第2流体供給部2AからケースC内へ加圧状態で供給された第2の流体(F2)貯留部S2に一時貯留された後、積層体11に複数設けられてもよい第二の微小管状流路8へ分割される。
【0066】
第一のプレート5の各第一の微小管状流路6に流入した第1の流体(F1)は、第一の微小管状流路6の出口6eへと通じ、混合部S3へと送出される。また、第二のプレート7の各第二の微小管状流路8に流入した第2の流体(F2)は、大径部から小径部にかけて流速を高めながら送出され、出口8bから混合部S3へ送出される。
【0067】
流速を高めながら混合部S3へ送出された第2の流体(F2)は、混合部S3に送出された第2の流体(F2)と混合する。このとき第2の流体(F2)の速度が高まっているため混合部S3における混合効率は向上する。
【0068】
第1の流体(F1)と第2の流体(F2)は、混合部S3において乱流を生じさせながら混じり合い、得られた混合流体(F3)は混合流体の送出部5Aに向かって流れる。そして、送出部5AからケースC外へ向かって送出される。
【0069】
また、好ましく用いることができる第二のマイクロミキサーとして、例えば、第1流体が流れる第1流路が形成された第1流路形成部と、第2流体が流れる第2流路が形成された第2流路形成部とを有する混合プレートを備え、前記第1流路の出口と前記第2流路の出口とが、前記第1流体及び前記第2流体が合流する合流路を介して対向し、前記合流路の中心軸方向における前記第1流路の出口の開口位置は、前記第2流路の前記合流路の中心軸方向における開口位置に含まれるか又は同一であることを特徴とするマイクロミキサー2を挙げることができる。
【0070】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図11〜図16に従って説明する。図11は、マイクロミキサー2の一例を示す概略図である。マイクロミキサー2は、中空状のケースCを有し、このケースCの中には各種微細流路が形成された積層体11が固定されている。この積層体11には、混合対象物又は反応対象物である第1流体F1及び第2流体F2と、これらの各流体F1,F2とそれぞれ熱交換を行う第1熱媒H1(第1媒体)及び第2熱媒H2(第2媒体)とが流れる流路が形成されている。
【0071】
ケースCの左端C1には、第1流体F1をケースC内に供給する第1流体供給部4Aが設けられ、ケースCの右端C2には、第2流体F2をケースC内に供給する第2流体供給部4Bが設けられている。以下、これらの各流体供給部4A,4Bを区別しないで説明する場合には、単に流体供給部4として説明する。
【0072】
流体供給部4は、ケースCの端部に形成された開口部2と、開口部2に連結されたコネクタ3とを有している。コネクタ3は、各流体F1,F2をそれぞれ貯留するタンクや、加圧ポンプ、このポンプに連結された管路等を含む圧送機構と接続されており、各流体F1,F2はその機構により加圧状態でコネクタ3側に圧送されるようになっている。開口部2とケースC内に固定された積層体11の各側面11a,11bとの間には空間が設けられ、該空間は上記圧送機構から送出された各流体F1,F2を一時貯留する貯留部S1,S2として機能する。
【0073】
また、ケースCの上端C3には、各熱媒H1,H2をケースC内に供給する各熱媒供給部7A,7Bがそれぞれ形成されている。熱媒供給部7A,7Bは、上記流体供給部4と同様に開口部5A,5B、コネクタ6A,6Bをそれぞれ有している。各熱媒供給部7A,7Bに供給された熱媒H1,H2は、積層体11に形成された流路を通過し、ケースCの下端C4に形成された各熱媒送出部7C,7DからケースC外部へそれぞれ送出される。各熱媒送出部7C,7Dは、上記流体供給部4と同様に開口部5C,5D、コネクタ6C,6Dをそれぞれ有している。
【0074】
また、ケースCの下端C4には、積層体11内で混合又は反応した各流体F1,F2の混合液F3(又は反応液)をケースC外へ送出する送出部10が設けられている。送出部10は、開口部8と、開口部8に連結されたコネクタ9とを有している。
【0075】
即ち、各流体F1,F2は、各流体供給部4A,4BからケースC内部に供給され、積層体11に形成された微細流路において混合又は反応される。ここで各流体F1,F2は、微細流路で混合されることにより拡散距離が短くなり混合速度が大きくなるとともに、所望とする処理量だけが効率よく混合される。混合液F3(又は反応液)となって送出部10からケースC外部へ送出される。尚、マイクロミキサー1のケースCや各流体供給部4A,4B、送出部10の位置等は上記構成に限定されず、適宜変更可能である。
【0076】
次に、上記積層体11について説明する。図12に示すように、積層体11は、長方形状の各カバープレートP1,P2との間に、流路が形成されたプレート群12を備えている。
【0077】
プレート群12は、3枚の温調プレート13と2枚の混合プレート14とが積層されて構成されている。本実施形態では、温調プレート13が最上層及び最下層となって、混合プレート14がいずれかの温調プレート13に挟まれた状態で積層されている。
【0078】
各カバープレートP1,P2、各温調プレート13及び各混合プレート14は、その外形が同じ長方形状に形成されている。また、各カバープレートP1,P2、温調プレート13及び混合プレートの材質は特に限定されず、例えば金属材、樹脂、ガラス、セラミックス等、流路を形成するための加工が容易で、各プレート13,14,P1,P2を液漏れ等が生じ難い密着状態で互いに固定できる材質であればよい。また、各プレート13,14,P1,P2を同じ材質から形成しても良いし、異なる材質で形成してもよい。例えば、各プレート13,14,P2,P2をステンレス鋼から形成し、拡散結合により密着状態で固定してもよい。各プレート13,14,P2,P2の加工方法は、例えば射出成型、溶剤キャスト法、溶融レプリカ法、切削、エッチング、フォトリソグラフィー、レーザーアプレーション等の公知の各種方法のうち、その材質に応じた好適な方法を選択できる。
【0079】
次に、混合プレート14について図13及び図14に従って詳述する。図13に示すように、本実施形態の混合プレート14は、一対のプレートからなり、矩形且つ板状の第1流路形成部14Aと第2流路形成部14Bとを有している。
【0080】
第1流路形成部14Aは、その上面14aにおける短手方向(図中Y方向)の中央部に3本の第1流路15を有している。各第1流路15は、等間隔で配置され、第1流路形成部14Aの左側端14bから右側端14cに向かって溝状に形成されており、左側端14b、右側端14c及び上面14aにおいて開口している。左側端14bの各開口は第1流路15の入口15aであって、右側端14cの開口は第1流路15の出口15bとなる。入口15aは、第1流体F1が供給される上記第1流体供給部4Aに連通している。
【0081】
また、第1流路15は、流路径の大きい大径部16と流路径の小さい小径部17と、大径部16から小径部17への径変化を緩やかにするためのテーパ部18が設けられている。
【0082】
大径部16は、通流方向に直交する方向における断面が矩形状をなす流路であって、左側端14bから右側端14cの手前まで延びている。大径部16の幅及び深さは、流体の温度分布の均一性や装置的強度を確保するために、例えば幅0.1mm以上100mm以下、深さ5mm以下の範囲にすると好ましく、幅0.1mm以上20mm以下、深さ2mm以下の範囲がより好ましい。すなわち、大径部16の形状としては、圧損が大きくなりすぎず、流路閉塞が生じにくく、流路の加熱・冷却の迅速な制御が可能であって、生産性を向上させることができる流路形状であれば良い。
【0083】
小径部17も断面矩形状に形成された流路であって、右側端14cの手前から右側端14cに向かって延びている。小径部17は、少なくとも大径部16の断面積よりも小さい断面積となればよいが、例えば幅0.1mm以上20mm以下、深さ0.1mm以上5mm以下の範囲、幅0.1mm以上5mm以下、深さ0.1mm以上2mm以下の範囲がより好ましい。さらに幅0.1mm以上5mm以下、深さ0.1mm以上1mm以下の範囲がより好ましい。すなわち、小径部17の形状としては、圧損が大きくなりすぎず、流路閉塞が生じにくく、流路の加熱・冷却の迅速な制御が可能であって、特に流体の流速を高めることができ、せん断力が作用し、微乱流を伴う状態での分子拡散となり混合効率を向上させることができる流路形状であれば良い。
【0084】
また、第1流路形成部14Aと第2流路形成部14Bとの間には、所定幅の空間からなる合流路19が設けられている。図13では底面及び上面が開口するとともに、混合プレート14の前面14g側の開口及び背面14h側の開口を有する。前面14g側の開口部19cは、合流路19の出口であって、上記した送出部10に連通する。また背面14h側の開口部19bは、ケースC又はその他の部材によって閉塞される。この合流路19は、両側の各側面が第1流路形成部14A及び第2流路形成部14Bによって構成された、平面視において長方形をなす長尺状の流路であって、その長手方向が混合プレート14の短手方向と平行になっている。
【0085】
また、第2流路形成部14Bは、第2流体F2が流れる第2流路20を有し、合流路19に対して第1流路形成部14Aと対称的(線対称)に形成されている。即ち、第2流路形成部14Bの上面14dにおける短手方向の中央部に3本の第2流路20が溝状に形成されて、等間隔で配置されている。また、各第2流路20は、左側端14e、右側端14f及び上面14d及び底面において開口している。左側端14eの各開口は、第2流路20の出口20bであって、右側端14fの開口は第2流路20の入口20aを構成する。これらの入口20aは、第2流体F2が供給される上記第2流体供給部4Bに連通している。
【0086】
また、第2流路20は、大径部21及び小径部22と、それらの間に設けられたテーパ部23を有している。大径部21は、第1流路形成部14Aの大径部16と同じ形状及び同じ流路径であって、第2流路形成部14Bの右側端14fから左側端14e手前まで延びている。小径部22も、第1流路形成部14Aの小径部17と同じ形状及び同じ流路径であって、左側端14eの手前から左側端14eに向かって延びている。
【0087】
図14に示すように、このように形成された第1及び第2流路形成部14A,14Bは、第1流路15の出口15bと第2流路20の出口20bとが、合流路19を介して1対1で対向した位置となるように配置される。また、第1流路15の出口15bは、合流路19の中心軸X1の方向における開口位置が、第2流路20の出口20bの上記中心軸X1における開口位置と同一となるように配置される。さらに、それらの出口15b,20bの開口面は平行になっている。また、第1流路15及び第2流路20の出口15b,20bの断面における中心軸は、同一の中心軸X2である。尚、第1流路15は平面視において左側に設けられる必要はなく、右側でもよいし、第2流路20は平面視において右側に設けられる必要はなく、左側でもよい。さらに、合流路19の対向する各側面のうち一方の側面に3つの第1流路15の出口15bが合流路19の長手方向に沿って並んで配置され、他方の側面に3つの第2流路20の出口20bが合流路19の長手方向に沿って並んで配置されている。
【0088】
このため、第1流路15及び第2流路20の入口15a,20aから加圧状態で各流体F1,F2をそれぞれ供給すると、各流体F1,F2は各大径部16,21を流れ、各テーパ部18,23を介して各小径部17,22に流入する。小径部17,22に流入した各流体F1,F2は、入口15a,20aに流入したときの流速よりも大きな流速で出口15b,20bから合流路19に流入する。このとき、上記したように出口15b,20bが中心軸X1方向において同じ開口位置であり、1対1で対向しているため、出口15b,20bから送出された各流体F1,F2の流れは合流路19において正面から衝突した状態となる。このため、各流体F1,F2を層流状態で合流させた場合等に比べ、各流体F1,F2の接触面積を高めて効率よく混合することができる。また、正面から対向する各流体F1,F2の流れを衝突させることにより、各流体F1,F2内の流体要素は、第1流体F1の流れの方向と、この方向と反対方向である第2流体F2の流れの方向とからせん断力をうけるため、混合速度を高めることができる。特に、各流体F1,F2のうち少なくとも一方が流動性が低く混合しにくい流体である場合、即ち高粘度流体である場合や、互いに粘度が大きく異なる場合等に特に効果を発揮することができる。
【0089】
合流路19は、背面側の開口部19bが閉塞されているため、衝突した各流体F1,F2は、上記主液圧送機構の圧力により開口部19cへ向かって流れる。
合流路19において発生する圧力損失、高粘度流体及び異粘度流体の安定した通流、混合力、装置的強度を考慮すると、合流路19の幅、即ち各出口15b,20bの間の距離は、0.1mm以上30mm以下が好ましく、その深さは0.3mm以上が好ましい。この幅は、各流体F1,F2の粘性(流れやすさ)と、目的とする混合度合等に応じて変更可能である。幅を短くすれば、圧力損失が比較的大きくなるが各流体同士の衝突力を増大させ、流体内のせん断力を高めることができる。幅を長くすれば、衝突力は比較的弱くなるが、圧力損失を低減することができる。
【0090】
次に、温調プレート13について図15に従って説明する。温調プレート13は、長方形状且つ板状に形成され、混合プレート14とほぼ同じ大きさとなっている。温調プレート13は、その長手方向の中央であって、混合プレート14が積層された際に合流路19と重なる位置に断熱部30を有している。断熱部30は、温調プレート13の前面13cから奥行方向(図中Y方向)に長尺状に切り欠くことで形成されており、その厚み方向(図中Z方向)に貫通し、前面13c側に開口部30aを有している。この断熱部30の幅は、上記混合プレート14の合流路19の幅とほぼ同一となっている。
【0091】
断熱部30に対して左側及び右側には、略長方形状の凹部24が形成されている。この凹部24には、温調プレート13の上面13aに溝状にそれぞれ形成された流入路26及び流出路27が連通している。
【0092】
また、凹部24の前面側及び背面側には、長尺状の壁部24a,24bが凹部24の底面から突出形成されている。壁部24a,24bは、温調プレート13の長手方向(図中X方向)に延びるように設けられ、その先端と凹部24の内壁面との間には流路の一部を構成するための空間が設けられている。また、凹部24の底面であって、各壁部24a,24bの間には、同じく長尺状の壁部25が4本突出形成されている。壁部25は、凹部24の幅(図中X方向の長さ)よりも短く、その両端と凹部24の内壁面との間には流路の一部を構成するための空間が設けられている。これらの各壁部24a,24b,25により、凹部24内の空間が区画されて熱媒H1,H2が流れる流路が構成され、流入路26及び流出路27を含めて熱媒H1,H2が流れる媒体流路としての熱媒流路31が構成される。熱媒流路31は、背面側の流入路26を入口とし、温調プレート13の中央側から凹部24の左側面24cに向かって延び、左側面24c手前で屈曲して右側面24dに向かって延びる。さらに右側面24d手前で屈曲して再び左側面24cに向かって延びる。このように、熱媒流路31は、凹部24内で複数回屈曲する曲折形状をなし、前面側に設けられた流出路27を出口とする。
【0093】
温調プレート13の左側の凹部24に形成された熱媒流路31Aには熱媒H1が供給され、右側の凹部24に形成された熱媒流路31Bには熱媒H2が供給される。この温調プレート13の上方又は下方に混合プレート14が積層されると、図15に示すように、第1流体F1が流れる第1流路15の上方又は下方に熱媒H1が流れる第1熱媒流路31Aが重なり、第2流体F2が流れる第2流路20の上方又は下方に熱媒H2が流れる第2熱媒流路31Bが重なる。このため、第1熱媒H1と第1流体との間で熱交換が行われ、第2熱媒H2と第2流体との間で熱交換が行われる。
【0094】
これらの熱媒流路31A,31Bは、断熱部30が介在することによって各熱媒流路31A,31B周辺部の間の熱移動が抑制されるので、温度差が大きい熱媒H1,H2を各熱媒流路31A,31Bに供給しても、熱媒H1,H2の温度が所望の温度より著しく低下又は上昇することがない。このため、流路内の各流体F1,F2が温度変化しやすいマイクロミキサー1においても、第1流体及び第2流体F1,F2の精密な温度調整を行うことができる。従って、流体F1,F2が所望の温度より範囲より低下するのを抑制することができるので、各流路15,20や合流路19が析出物によって閉塞されず、晶析等による微粒子製造においても生産性の低下を防止することができる。
【0095】
図16に示すように、3層の温調プレート13及び2層の混合プレート14を交互に積層すると、温調プレート13の断熱部30と混合プレート14の合流路19とが重なって積層体11の積層方向の長さと同じ深さの合流路32が構成される。合流路32の左側面には、6つの第1流路15の出口15bが開口し、右側面には、第1流路15の出口15bのそれぞれに対応した位置に6つの第2流路20の出口20bが開口する。各温調プレート13及び各混合プレート14が密着状態で互いに結合されることにより、混合プレート14の第1流路15及び第2流路20は、温調プレート13の底面によってその上面側の開口を閉塞される。また温調プレート13の各熱媒流路31A,31Bは、混合プレート14の底面か、若しくはカバープレートP1の底面によってその上面側の開口を閉塞される。
【0096】
以上のように構成された積層体11において、第1流体供給部4AからケースC内へ加圧状態で供給された第1流体F1は、貯留部S1に一時貯留された後、積層体11に設けられた6つの第1流路15へ分割される。また、第2流体供給部4BからケースC内へ加圧状態で供給された第2流体F2は、貯留部S2に一時貯留された後、積層体11に設けられた6つの第2流路20に分割される。
【0097】
混合プレート14の各第1流路15にそれぞれ流入した第1流体F1は、大径部16から小径部17にかけて流速を高めながら送出され、出口15bから合流路19へ送出される。また、各第2流路20にそれぞれ流入した第2流体F2は、大径部21から小径部22にかけて流速を高めながら送出され、出口20bから合流路19へ送出される。
【0098】
各第1流路15の出口15bからそれぞれ送出された第1流体F1の微小な流れは、各第2流路20の出口20bからそれぞれ送出された第2流体F2の微小な流れと1対1で正面から衝突する。このため、各流体F1,F2の微小な流れは、その衝突位置付近でそれぞれ混合されるため、全体としての混合速度をより高めることができる。
【0099】
6対の出口15b,20bからそれぞれ送出された各流体F1,F2は、合流路19内で乱流を生じさせながら混じり合い、合流路32の出口32aに向かって流れる。出口から32aから送出された混合液F3は送出部10に送られ、この送出部10からケースC外へ向かって送出される。
【0100】
このマイクロミキサー2において、混合対象の流体F1,F2の処理量を増加させる場合には、合流路32の幅、即ち出口15b,20b間の距離を変えずに、合流路32の長さを延長すればよい。或いは、合流路32の幅を変えずに、合流路19の側面に開口する流路15,20の本数を増加させるか、混合プレート14の積層数を増加させればよい。従って、合流路32における混合効率を低下させずに、処理量を増大することができる。また、流路幅が小さく圧力損失が高まりやすいマイクロミキサーにおいて、上記マイクロミキサー1は合流路32の容積が比較的大きく、圧力損失の増大による流路の閉塞を防ぐことができる。さらに混合対象の流体の粘性等に応じて合流路32の幅も適宜変更できる構成であるため、装置の自由度を向上することができる。
【0101】
混合器(2)は上記の通り、混合器(1)で得られた混合流体が流通する微小管状流路3を有し、微小管状流路3の出口部における混合流体の断面積は、入り口部における混合流体の断面積よりも小さい。このような混合器の好ましい形態として、例えば、微小管状流路3が設けられたプレートを有するマイクロミキサー3を例示することができる。
【0102】
以下、マイクロミキサー3の一実施形態を図17〜図19に従って説明する。図17は、マイクロミキサー3の一例を示す概略図である。
【0103】
マイクロミキサー3は、中空状のケースCを有し、このケースCの中には混合流体(M1)が流通する微小管状流路3を有するプレートが1枚以上積層した積層部を有する積層体110が固定されている。
【0104】
マイクロミキサー3は、微小管状流路3を有するプレートに加え、例えば、図1に示すように熱交換媒体(H1)を流通させる熱交換媒体流路を有する温調プレートが積層した積層体を有するミキサーが混合流体の温度を精密に制御できることから好ましい。
【0105】
前記マイクロミキサー3のケースCの左端C1には、混合流体(M1)をケースC内に供給する混合流体供給部1Aが設けられている
【0106】
混合流体供給部1Aは、ケースCの左端部に形成された開口部1Bと、開口部1Bに連結されたコネクタ1Cとを有している。コネクタ1Cは、混合流体(M1)が流通する流体供給路に通じており、従って、この流体供給路は混合器(1)の混合流体の排出口に通じている。開口部1BとケースC内に固定された積層体110の側面11aには空間が設けられ、該空間は混合器(1)から流入した混合流体(M1)を一時貯留する貯留部S1として機能する。ここで、Mは、各図記載の該混合流体F1、該混合液F3、該A〜Eの混合液をいう。
【0107】
また、ケースCの下部左端C3には、熱媒H1をケースC内に供給する熱媒供給部3Aが形成されている。熱媒供給部3Aは、上記混合流体供給部1Aと同様に開口部3B、コネクタ3Cを有している。熱媒供給部3Aに供給された熱媒H1は、積層体110内に形成された流路を通過し、ケースCの上端C4に形成された熱媒送出部4AからケースC外部へ送出される。熱媒送出部4Aは、上記流体供給部1A、2Aと同様に開口部4B、コネクタ4Cをそれぞれ有している。
【0108】
また、ケースCの右端C5は、ケースCの右端部に形成された開口部5Bと開口部5Bに連結されたコネクタ5Cからなる送出部5Aを有している。開口部5BとケースC内に固定された積層体110の側面11cには空間が設けられ、該空間は、微小管状流路40の出口に通じ、積層体110から排出した混合流体(M1)を一時貯留する貯留部S2として機能する。
【0109】
混合流体(M1)は、混合流体供給部1AからケースC内部に供給され、積層体110に形成された微小管状流路40内を流通する。そして、微小管状流路40の入り口部のおける混合流体の断面積に比べて出口部の混合流体の断面積が狭い為、混合流体が出口部から排出される際に、入り口部への流入時の流体速度に比べて出口部での排出時の排出速度が大きくなる。流出時に速度が大きくなる為に、混合流体の排出時に効率よい混合が成される。そして、混合された混合流体は貯留部S2へと排出され、貯留部S2から混合器(2)の外部へと排出される。尚、マイクロミキサー3のケースCや各流体供給部1A、送出部5Aの位置等は上記構成に限定されず、適宜変更可能である。
【0110】
次に、上記積層体110について説明する。図18に示すように、積層体110は、長方形状の各カバープレートP1、P2との間に、流路が形成されたプレート40を備えている。
【0111】
カバープレートP1、P2、プレート40は、その外形が同じ長方形状に形成されている。また、カバープレートP1、P2、プレート40の材質は特に限定されず、例えば金属材、樹脂、ガラス、セラミックス等、流路を形成するための加工が容易で、各プレートを液漏れ等が生じ難い密着状態で互いに固定できる材質であればよい。また、各プレートを同じ材質から形成しても良いし、異なる材質で形成してもよい。例えば、各プレートをステンレス鋼から形成し、拡散結合により密着状態で固定してもよい。各プレートの加工方法は、例えば射出成型、溶剤キャスト法、溶融レプリカ法、切削、エッチング、フォトリソグラフィー、レーザーアプレーション等の公知の各種方法のうち、その材質に応じた好適な方法を選択できる。
【0112】
次に、プレート40について詳述する。図18に示すようにプレート40は矩形且つ板状の微小管状流路形成部40Aを有している。微小管状流路形成部40Aは、その上面40aにおける短手方向(図中Y方向)の中央部に1本以上の微小管状流路40(混合器(2)が有する微小管状流路40)を有している。微小管状流路40は第一の微小管状流路形成部40Aの左側端40bから右側端40cに向かって溝状に形成されており、左側端40b、右側端40c及び上面40aにおいて開口している。左側端40bの開口は第一の微小管状流路40の入口40dであって、右側端40cの開口はの微小管状流路40の出口40eとなる。入口40dは、混合流体が供給される混合器(1)の出口に連通している。
【0113】
また、図18において、微小管状流路40は、流路径の大きい大径部40fと流路径の小さい小径部40gと、大径部40fから小径部40gへの径変化を穏やかにするテーパー部40hが設けられている。
【0114】
大径部40fは、通流方向に直交する方向における断面が矩形状をなす流路であって、左側端40bから右側端40cの手前まで延びている。大径部40fの幅及び深さは、流体の温度分布の均一性や装置的強度を確保するために、例えば幅0.1mm以上100mm以下、深さ0.1mm以上5mm以下の範囲にすると好ましく、幅0.1mm以上20mm以下、深さ0.1mm以上2mm以下の範囲がより好ましい。さらに幅0.1mm以上20mm以下、深さ0.1mm以上1mm以下の範囲がより好ましい。すなわち、大径部40fの形状としては、圧損が大きくなりすぎず、流路閉塞が生じにくく、流路の加熱・冷却の迅速な制御が可能であって、流体の流速を高めることができ、せん断力が作用し、微乱流を伴う状態での分子拡散となり混合効率を向上させることができる流路形状であれば良い。
【0115】
また、第一の微小管状流路6f内を液密状に流通する流体の断面積としては、0.01〜500mmが好ましく、0.01〜40mmがより好ましい。さらに0.01〜20mmがより好ましい。
【0116】
また、大径部40f内を液密状に流通する流体の断面積としては、0.01〜500mmが好ましく、0.01〜40mmがより好ましい。さらに0.01〜20mmがより好ましい。
【0117】
小径部40gも断面矩形状に形成された流路であって、右側端40fの手前から右側端40cに向かって延びている。小径部40gは、少なくとも大径部40fの断面積よりも小さい断面積となればよいが、例えば幅0.1mm以上10mm以下、深さ0.1mm以上2.5mm以下の範囲、幅0.1mm以上5mm以下、深さ0.1mm以上1mm以下の範囲がより好ましい。さらに幅0.1mm以上2mm以下、深さ0.1mm以上0.5mm以下の範囲がより好ましい。すなわち、小径部40gの形状としては、圧損が大きくなりすぎず、流路閉塞が生じにくく、流路の加熱・冷却の迅速な制御が可能であって、流体の流速を高めることができ、せん断力が作用し、微乱流を伴う状態での分子拡散となり混合効率を向上させることができる流路形状であれば良い。
【0118】
また、図5における第一の微小管状流路6g内を液密状に流通する流体の断面積としては、0.01〜25mmが好ましく、0.01〜5mmがより好ましい。さらに0.01〜1mmがより好ましい。
【0119】
図18における小径部40gを流通する際の流体の速度は流体に作用するせん断力が高まることから0.5m/秒以上が好ましく、1.0m/秒以上がより好ましい。更に好ましくは2.0m/秒以上で5.0m/秒以上が特に好ましい。特に、高粘度同士の流体を混合する場合や粘度の大きく異なる粘度の流体を混合する場合の流速は2.0m/秒以上が好ましい。
【0120】
図18において微小管状流路40は1本配置されているが、本数には特に制限はない。複数本配置する場合、各々の微小管状流路40の幅及び深さは同一でも良いし異なっていても良い。また、微小管状流路40の入口と出口の流路幅は同一であっても良いし、異なっていても良い。
【0121】
前記混合部S2の第一の微小管状流路の出口と第二の微小管状流路の出口とに通じる断面の面積は第一の流体と第二の流体と安定した流通を行うためから1.0mm以上が好ましい。
【0122】
また、前記混合部S2の第一の微小管状流路の出口と第二の微小管状流路の出口とに通じる断面の面積が、第一の微小管状流路の出口の断面積と第二の微小管状流路の出口の断面積の合計に対して2〜200倍であるマイクロミキサーが、流通が安定し、混合部S3部でも滞留がない良好な混合が達成できることから好ましく、4〜100倍がより好ましい。
【0123】
また、マイクロミキサー3には熱交換用の媒体を流通させる温調プレートを積層しても良い。温調プレートと第一のプレートと第二のプレートとを積層したマイクロミキサーを例えば、図19に示す。
【0124】
本発明で用いる混合器(2)は、例えば、図17に示すように、微小管状流路3から排出された混合流体の溜まり部(混合部)を有している構造が、より均一な混合流体をえることができることから好ましい。
【0125】
更に、本発明では、混合溶液の混合度合いに応じて、第三混合器を混合器(2)の下流に直列に繋ぐことが可能である。
【0126】
上記実施形態によれば、本発明の流体混合装置は以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、混合部(1)と混合部(2)とを有し、第一の混合器として第一の流体と第二の流体とをそれぞれ別個に流通する微小管状流路と、第一の流体と第二の流体とを混合する混合部を有する混合器を用い、第二の混合器として微小管状流路を有し、該微小管状流路の出口部における混合流体の断面積は、入り口部における混合流体の断面積よりも小さい断面積である混合器を用い、しかも、第一の混合器の混合部に接する微小管状流路を液蜜状に流通する流体断面積の合計面積(A)と第二の混合器の微小管状流路内を液蜜状に流通する流体断面積(B)の比が特定の範囲を有する。
【実施例】
【0127】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に述べる。例中、%は特に断りがない限り重量基準である。
【0128】
実施例1
図20に示す反応デバイスにてウレタンアクリレートを合成する事により、第一の流体と第二の流体の混合効率を評価した。図20において、第一の流体を入れるタンク61の流出口とプランジャーポンプ63の流入口とが、第一の流体が通る配管を介して接続されており、また、第二の流体を入れるタンク62の流出口とプランジャーポンプ64の流入口とが、第二の流体が通る配管を介して接続されている。プランジャーポンプ63の流出口及びプランジャーポンプ64の流出口からは、それぞれプランジャーポンプ63またはプランジャーポンプ64を通して第一の流体又は第二の流体が通る配管が伸びており、これらの配管は混合器(1)であるマイクロミキサー1の流入口に接続されている。
【0129】
このマイクロミキサー1で第一の流体と第二の流体とが混合され、混合流体が形成される。混合流体はマイクロミキサー1に接続された配管を通して、コネクタを介して接続されている混合器(2)の微小管状流路内を流通し更に混合され、排出される。また、混合器(2)はコネクタ67を介して並列に接続された化学反応用マイクロリアクター65または66に接続されている。マイクロミキサー1の流出口に接続された配管は、コネクタ67を介して化学反応用マイクロリアクター65、66及び受け容器68からなる反応ライン1と、化学反応用マイクロリアクター65、66及び受け容器69からなる反応ライン2に接続されている。マイクロミキサー1及び混合器(2)で混合された混合流体は混合流体ができた時間に応じて化学反応用マイクロリアクター65または66にそれぞれ分配される。分配された混合溶液はマイクロリアクター内で反応し、得られた反応物は流出口に接続された配管を通して受け容器68または69へと排出される。
【0130】
マイクロミキサー1で第一の流体と第二の流体とが混合され、混合流体が形成される。混合流体は混合流体ができた時間に応じて反応ライン1及び反応ライン2にそれぞれ分配される。
【0131】
分配された混合溶液は反応ライン1または反応ライン2を流通中に反応し、冷却される。反応はマイクロリアクター65で行われ、冷却はマイクロリアクター66で行われる。
【0132】
マイクロミキサー1は図1に示すマイクロミキサーで、図10に示す積層部を有する。
【0133】
マイクロミキサー1はドライエッチング加工により第一の微小管状流路が形成された第一のプレート5が1枚と、同じくエッチング加工により第二の微小管状流路が形成された第二のプレート7が1枚と、温調プレート12が2枚とを、プレート5、プレート7、温調プレート12が図7のように交互に積層されており、更にこの積層体を2枚のカバープレートで挟み込んでいる。プレートの材質はSUS304である。板厚はプレート5、プレート7が0.4mmである。温調プレート12が1.0mmである。
【0134】
第一の微小管状流路6は、大径部6fを幅4.0mm×深さ0.2mm×長さ38mmとし、小径部6gを幅0.4mm×深さ0.2mm×長さ2mmとした。第一のプレート5上の微小管状流路本数は10本である。
【0135】
第二のプレート7は微小管状流路の大径部8aの断面寸法は幅4.0mm×深さ0.2mm×長さ20mmである。小管状流路の小径部8bは幅0.4mm×深さ0.2mm×長さ2mmであり、微小管状流路本数は10本である。温調プレート12の流路の断面寸法は幅1.2×深さ0.5×長さ(L1)40mmである。
【0136】
混合器(2)であるマイクロミキサー3はドライエッチング加工により微小管状流路40が形成された第一のプレート40が1枚と、温調プレート12が2枚とを、プレート40、温調プレート12が図19のように交互に積層されており、更にこの積層体を2枚のカバープレートで挟み込んでいる。プレートの材質はSUS304である。板厚はプレート40が0.4mmである。温調プレート12が1.0mmである。
【0137】
微小管状流路40は、大径部40fを幅4.8mm×深さ0.2mm×長さ38mmとし、小径部40gを幅0.4mm×深さ0.2mm×長さ2mmとした。プレート40上の微小管状流路本数は2本である。
【0138】
温調プレート12の流路の断面寸法は幅1.2×深さ0.5×長さ(L1)40mmである。
【0139】
化学反応用マイクロリアクター65または66は図21に示すマイクロリアクターであり、反応を行う積層部は図22に示す構造を有する。図21においてαは第一の流体と第2の流体の混合流体である。βは混合流体の反応物である。γは熱交換用媒体である。
【0140】
第1流体として60℃における粘度を2mPa・sに調整したイソシアネート化合物と第2流体として60℃における粘度を300mPa・sに調整した多官能アクリレートを用いたウレタンアクリレートの合成を行った。調整としては温調プレート12に熱媒を送液し、各流体の温度を60℃とした。
【0141】
プランジャーポンプ63及び64にて上記化合物を流速100g/minにて流通させ、マイクロミキサー1に流通し混合流体を得た。得られた混合流体を初期、後期の2つにわけ、コネクタを操作してマイクロリアクター65及び66にそれぞれ送り込んだ。各マイクロリアクターでは160℃で滞留時間50秒の条件下で反応を進行させた。マイクロリアクター65及び66を用いて得られたウレタンアクリレートをそれぞれウレタンアクリレート(1−1)、ウレタンアクリレート(1−2)と略記する。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析の結果、ウレタンアクリレート(1−1)、ウレタンアクリレート(1−2)中のウレタンアクリレート面積比〔%〕と残量アクリレートの面積比〔%〕はそれぞれ95.6〔%〕、1.2〔%〕と同じ値となった。このことから、本発明の流体混合装置で均一な混合ができているものと考えられる。
【0142】
実施例2
図23に示す反応デバイスにて第一の流体と第二の流体との混合溶液を得る過程を観察することにより本発明の混合装置の性能を評価した。図23おいて、第一の流体を入れるタンク61の流出口とプランジャーポンプ63の流入口とが、第一の流体が通る配管を介して接続されており、また、第二の流体を入れるタンク62の流出口とプランジャーポンプ64の流入口とが、第二の流体が通る配管を介して接続されている。プランジャーポンプ63の流出口及びプランジャーポンプ64の流出口からは、それぞれプランジャーポンプ63またはプランジャーポンプ64を通して第一の流体又は第二の流体が通る配管が伸びており、これらの配管はマイクロミキサー2の流入口に接続されている。
【0143】
このマイクロミキサー1で第一の流体と第二の流体とが混合され、混合流体が形成される。混合流体はマイクロミキサー1に接続された配管を通して、コネクタを介して接続されている混合器(2)の微小管状流路内を流通し更に混合され、排出される。排出された混合流体は受け容器68へ回収される。
【0144】
マイクロミキサー2は図10において温調プレート12を省いた構造を有する。具体的には、ドライエッチング加工により第一の微小管状流路が形成された第一のプレート5が1枚と、同じくエッチング加工により第二の微小管状流路が形成された第二のプレート7が1枚と、更にこの積層体を2枚のカバープレートで挟み込んでいる。プレートの材質はSUS304である。板厚はプレート5、プレート7が0.4mmである。
【0145】
第一のプレート5の第一の微小管状流路6の大径部6fは、幅1.2mm×深さ0.2mm×長さ38mmとし、小径部6gを幅0.4mm×深さ0.2mm×長さ2mmとした。第一のプレート5上の微小管状流路本数は1本である。第二のプレート7は微小管状流路の大径部8aの断面寸法は幅1.2mm×深さ0.2mm×長さ20mmである。小管状流路の小径部8bは幅0.4mm×深さ0.2mm×長さ2mmであり、微小管状流路本数は1本である。
【0146】
第1流体である20℃における粘度が1mPa・sの水と第2流体である20℃における粘度が30mPa・sに調整した水飴との混合流体を得る実験を行った。熱交換器は流通後の水飴の温度が60℃となるように熱媒体の温度を調整した。水と水飴をプランジャーポンプにて流速10g/minの条件でそれぞれ流通させた。その結果、脈動なく混合できることを確認した。
【0147】
実施例3
混合器(1)としてマイクロミキサー1を用いるかわりにマイクロミキサー3を用いた以外は実施例1と同様にして、ウレタンアクリレートを合成する事により、第一の流体と第二の流体の混合効率を評価した。
【0148】
マイクロミキサー3は図11に示すマイクロミキサーで、図12に示す積層部を有する。
【0149】
マイクロミキサー3の第1流路15と第2流路20は、大径部16,21を幅8mm×深さ0.2mm×長さ30mmとし、小径部17,22を幅0.4mm×深さ0.2mm×長さ1mmとした。第1流路15と第2流路20の流路本数はそれぞれ1本形成されている。混合プレート14と温調プレート13は交互に積層されており、各枚数は5枚と6枚である。また、合流路19及び断熱部30を幅2.0mm×深さ11mm×長さ15mmとした。この混合プレート14と温調プレート13との積層体をカバープレートP1,P2で固定し、ケースC内に収容した。
【0150】
実施例1と同様にして第1流体として60℃における粘度が2mPa・sに調整したイソシアネート化合物と第2流体として60℃における粘度が300mPa・sに調整した多官能アクリレートを用いたウレタンアクリレートの合成を行った。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析の結果、ウレタンアクリレート(1−1)、ウレタンアクリレート(1−2)中のウレタンアクリレート面積比〔%〕と残量アクリレートの面積比〔%〕はそれぞれ95.6〔%〕、1.2〔%〕と同じ値となった。このことから、本発明の流体混合装置で均一な混合ができているものと考えられる。
【0151】
実施例4
実施例1と同様の反応デバイスにて、ウレタンアクリレートを合成する事により、第一の流体と第二の流体の混合効率を評価した。
【0152】
本実施例で用いたマイクロミキサー1は図1に示すマイクロミキサーで、図10に示す積層部を有する。
【0153】
マイクロミキサー1はドライエッチング加工により第一の微小管状流路が形成された第一のプレート5が12枚と、同じくエッチング加工により第二の微小管状流路が形成された第二のプレート7が12枚と、温調プレート12が13枚とを、プレート5、プレート7、温調プレート12が図7のように交互に積層されており、更にこの積層体を2枚のカバープレートで挟み込んでいる。プレートの材質はSUS304である。板厚はプレート5、プレート7が1.0mmである。温調プレート12が1.0mmである。
【0154】
第一の微小管状流路6は、大径部6fを幅1.2mm×深さ0.5mm×長さ38mmとし、小径部6gを幅0.6mm×深さ0.5mm×長さ2mmとした。第一のプレート5上の微小管状流路本数は10本である。トータル本数は120本である。
【0155】
第二のプレート7は微小管状流路の大径部8aの断面寸法は幅1.2mm×深さ0.5mm×長さ20mmである。小管状流路の小径部8bは幅0.6mm×深さ0.5mm×長さ2mmであり、微小管状流路本数は10本である。トータル本数は120本である。温調プレート12の流路の断面寸法は幅1.2×深さ0.5×長さ(L1)40mmである。
【0156】
混合器(2)であるマイクロミキサー3はドライエッチング加工により微小管状流路40が形成された第一のプレート40が1枚と、温調プレート12が2枚とを、プレート40、温調プレート12が図19のように交互に積層されており、更にこの積層体を2枚のカバープレートで挟み込んでいる。プレートの材質はSUS304である。板厚はプレート40が1.0mmである。温調プレート12が1.0mmである。
【0157】
微小管状流路40は、大径部40fを幅4.8mm×深さ0.5mm×長さ38mmとし、小径部40gを幅0.6mm×深さ0.5mm×長さ2mmとした。プレート40上の微小管状流路本数は3本である。
【0158】
温調プレート12の流路の断面寸法は幅1.2×深さ0.5×長さ(L1)40mmである。
【0159】
第1流体として60℃における粘度を2mPa・sに調整したイソシアネート化合物と第2流体として60℃における粘度を100に調整した多官能アクリレートを用いたウレタンアクリレートの合成を行った。調整としては温調プレート12に熱媒を送液し、各流体の温度を60℃とした。
【0160】
プランジャーポンプ63及び64にて上記化合物を流速1200g/minにて流通させ、マイクロミキサー1に流通し混合流体を得た。得られた混合流体を初期、後期の2つにわけ、コネクタを操作してマイクロリアクター65及び66にそれぞれ送り込んだ。各マイクロリアクターでは160℃で滞留時間50秒の条件下で反応を進行させた。マイクロリアクター65及び66を用いて得られたウレタンアクリレートをそれぞれウレタンアクリレート(1−1)、ウレタンアクリレート(1−2)と略記する。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析の結果、ウレタンアクリレート(1−1)、ウレタンアクリレート(1−2)中のウレタンアクリレート面積比〔%〕と残量アクリレートの面積比〔%〕はそれぞれ〔%〕95.6〔%〕、1.2〔%〕となり、このことから、本発明の流体混合装置で均一な混合ができているものと考えられる。
【0161】
比較例1
マイクロミキサー2の代わりにY字型マイクロミキサーを用いた以外は実施例2と同様にして異粘性流体の混合実験を行った。該Y字型マイクロミキサーに設けられた第1流体が流れる流路は、幅0.4mm×深さ0.2mm×長さ15mmである。第2流体が流れる流路は同じく幅0.4mm×深さ0.2mm×長さ15mmである。また混合液が流れる流路は幅0.8mm×深さ0.2×長さ15mmである。流路を形成したプレートはマイクロミキサー1と同じ材質であるため、流路壁面の粗さはマイクロミキサー1と同様である。
【0162】
実験の結果、低粘度である水に間欠流通がみられ、安定流通が困難であることが確認できた。即ち、Y字型ミキサーは各流路が交差して各流体が合流する設計であるため、粘度が異なる2種類の流体を各流路に流したとき、低粘度の流体は流速が大きくなり、高粘度の流体は流速が小さくなるため、間欠送りが発生してしまうと推測できる。
【0163】
比較例2
マイクロミキサー1の代わりに特表平9−512742の実施例で用いられているマイクロミキサーを用い、且つ、流通させる際の流量を12.5g/minになるようにプランジャーポンプでそれぞれ流通した以外は実施例1と同様にしてウレタンアクリレート(2´−1)、ウレタンアクリレート(2´−2)を得た。特表平9−512742の実施例で用いられているマイクロミキサーが有する第一・第2のプレートの微小管状流路の断面寸法は幅0.4mm×深さ0.2mm×長さ38mmであり、微小管状流路本数は10本である。積層枚数が各1枚である。
【0164】
得られたウレタンアクリレート(2´−1)、ウレタンアクリレート(2´−2)中のウレタンアクリレート面積比〔%〕はそれぞれ92〔%〕と77〔%〕であり、また、残量アクリレートの面積比〔%〕がそれぞれ2.7〔%〕、18.8〔%〕となり、面積比が異なっていた。この結果から、異なる物性値のウレタンアクリレートが生成されており、均一な混合が行われていなかったと結論付けた。また、100g/minで流通させようとしたが、圧損が10MPa以上となり、流通が困難でウレタンアクリレートが得られなかった。
【符号の説明】
【0165】
以下はマイクロミキサー1に関する符号
C:マイクロミキサー1のケース
C1:ケースCの左端
C2:ケースCの下部右端
C3:ケースCの下部左端
C4:ケースCの上端
F1:第一の流体
F2:第二の流体
F3:第一の流体と第二の流体の混合流体
H1:熱媒
S1:第1の流体(F1)を一時貯留する貯留部
S2:第2の流体(F2)を一時貯留する貯留部
S3:混合部
1A:第1流体供給部
1B:ケースCの左端部に形成された開口部
1C:開口部2Bに連結されたコネクタ
2A:第2流体供給部
2B:ケースCの下部右端に形成された開口部
2C:開口部2Bに連結されたコネクタ
3A:熱媒H1をケースC内に供給する熱媒供給部
3B:ケースCの下部左端に形成された開口部
3C:開口部3Bに連結されたコネクタ
4A:熱媒送出部
4B:ケースCの上部右端に形成された開口部
4C:開口部4Bに連結されたコネクタ
5 :第一のプレート
5A:開口部5Bとコネクタ5Cからなる送出部
5B:ケースCの右端部に形成された開口部
5C:開口部5Bに連結されたコネクタ
6 :第一の微小管状流路
6A:第一の微小管状流路形成部
6a:第一の微小管状流路形成部6Aの上面
6b:第一の微小管状流路形成部6Aの左側端
6c:第一の微小管状流路形成部6Aの右側端
6d:第一の微小管状流路6の入口
6e:第一の微小管状流路6の出口
6f:第一の微小管状流路6の大径部
6g:第一の微小管状流路6の小径部
6h:第一の微小管状流路6のテーパ部
7 :第二のプレート
7A:第二の微小管状流路形成部
7a:第二の微小管状流路形成部7Aの上面
7b:第二の微小管状流路形成部7Aの下側端
7c:第二の微小管状流路形成部7Aの下側端7bから短手方向にある端
7d:第二の微小管状流路形成部7Aの右側端
8 :第二の微小管状流路
8a:第二の微小管状流路8の入口
8b:第一の微小管状流路6の出口
11:流体混合構造体としての積層体、
12:温調プレート
12a:温調プレート12の面
13a:温調プレート12の長手方向に沿って複数本配列された主流路
13b:主流路13aに連通する供給側流路
13c:主流路13aに連通する排出側流路

以下はマイクロミキサー2に関する符号
C:マイクロミキサー1のケース
F1:第一の流体
F2:第二の流体
F3:第一の流体と第二の流体の混合流体
H1:第一熱倍
H2:第二熱倍
C1:ケースCの左端
C2:ケースCの下部右端
C3:ケースCの上端
C4:ケースCの下端
2:ケースCの端部に形成された開口部
3:開口部2に連結されたコネクタ
4:流体供給部
5A:開口部
5B:開口部
5C:開口部
5D:開口部
6A:開口部に連結されたコネクタ
6B:開口部に連結されたコネクタ
6C:開口部に連結されたコネクタ
6D:開口部に連結されたコネクタ
7A:熱媒供給部
7B:熱媒供給部
7C:媒体送出部
7D:媒体送出部
8:開口部
9:コネクタ
10:送出部
11:流体混合構造体としての積層体、
11a:積層体11の各側面
11b:積層体11の各側面
S1:第1の流体(F1)を一時貯留する貯留部
S2:第2の流体(F2)を一時貯留する貯留部
13:温度調節プレートとしての温調プレート、
14:混合プレート、
14A:第1流路形成部、
14B:第2流路形成部、
15:第1流路
16:第2流路、
15b,20b:出口、
19:合流路、
30:断熱部、
31A:第1媒体流路としての第1熱媒流路、
31B:第2媒体流路としての第2熱媒流路、
46:熱媒流路、
F1:第1流体、
F2:第2流体、
H1:第1媒体としての第1熱媒、
H2:第2媒体としての第2熱媒、
X1,X2:中心軸。

以下はマイクロミキサー3に関する符号
1A:混合流体供給部
1B:開口部
1C:コネクタ
3A:熱媒供給部
3B:開口部
3C:コネクタ
4A:熱媒送出部
4B:開口部
4C:コネクタ
5A:混合流体送出部
5B:開口部
5C:コネクタ
11a:積層体110の側面
11c:積層体110の側面
40:微小管状流路が形成されたプレート
40:混合器(2)が有する微小管状流路3
110:積層体
40A:微小管状流路形成部
40a:微小管状流路形成部40Aの上面
40b:第一の微小管状流路形成部40Aの左側端
40c:第一の微小管状流路形成部40Aの右側端
40d:微小管状流路40の入口
40e:微小管状流路40の出口
40f:微小管状流路40の大径部
40g:微小管状流路40の小径部
40h:微小管状流路40のテーパー部
C:中空状のケース
C1:ケースCの左端
C3:ケースCの下部左端
C4:ケースCの上端
C5:ケースCの右端
P1:カバープレート
P2:カバープレート
H1:熱媒体
M1:混合流体
S1:貯留部
S3:貯留部

以下は化学反応用マイクロリアクタに関する符号
α・・・・・混合流体(A)を含有する流体
β・・・・・混合流体(A)を含有する流体
γ・・・・・温調流体
1・・・・・マイクロ熱交換器
1b・・・・マイクロ熱交換器が有する積層体の端面
1c・・・・マイクロ熱交換器が有する積層体の端面
1d・・・・マイクロ熱交換器が有する積層体の側面
1e・・・・マイクロ熱交換器が有する積層体の側面
2・・・・・第1プレート(プロセスプレート)
2a・・・・第1プレートの面
2b・・・・第1プレートの端面
2c・・・・第1プレートの端面
2d・・・・第1プレートの側面
2e・・・・第1プレートの側面
3・・・・・第2プレート(温調プレート)
3a・・・・第2プレートの面
3b・・・・第2プレートの端面
3c・・・・第2プレートの端面
3d・・・・第2プレートの側面
3e・・・・第2プレートの側面
4・・・・・断面凹溝形状の流路
6・・・・・断面凹溝形状の温調流路
6a・・・・断面凹溝形状の主流路
6b・・・・断面凹溝形状の供給側流路
6c・・・・断面凹溝形状の排出側流路
・・・・所定間隔
・・・・・幅
・・・・・深さ
L・・・・・・流路長さ

61:第一の流体を入れるタンク
62:第二の流体を入れるタンク
63:プランジャーポンプ
64:プランジャーポンプ
65:マイクロリアクター
66:マイクロリアクター
67:コネクタ
68:受け容器
69:受け容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の流体と第二の流体との混合流体を得る混合器(1)と混合器(1)の出口に接続され混合器(1)から排出される混合流体を更に混合する混合器(2)とを有する流体混合装置であり、
混合器(1)は第一の流体が液密状に流通する微小管状流路1と、第二の流体が液密状に流通する微小管状流路2と、微小管状流路1から排出された第一の流体と微小管状流路2から排出された第二の流体とが混合する混合部を有し、
混合器(2)は混合流体が液密状に流通する微小管状流路3を有し、微小管状流路3の出口部における混合流体の断面積は、入り口部における混合流体の断面積よりも小さい断面積であり、
しかも、混合器(1)の混合部に接し、微小管状流路1内を液蜜状に流通する流体断面積と、混合器(1)の混合部に接し、微小管状流路2内を液蜜状に流通する流体断面積の断面積との合計面積(A)に対する混合器(2)の出口部に接し、微小管状流路3内を液蜜状に流通する流体断面積(B)の比〔(B)/(A)〕が1/2〜1/100であることを特徴とする流体混合装置。
【請求項2】
前記混合器(1)が有する混合部における第一の微小管状流路の出口と第二の微小管状流路の出口とに通じる断面の面積が、第一の微小管状流路の出口の断面積と第二の微小管状流路の出口の断面積の合計に対して4〜100倍である請求項1項記載の流体混合装置。
【請求項3】
前記混合器(1)が、第一の流体が流通する流体供給路に通ずる第一の微小管状流路を有する第一のプレートに第二の流体が流通する流体供給路に通ずる第二の流体を流通する第二の微小管状流路を有する第二のプレートが積層した積層部と、第一の微小管状流路の出口と第二の微小管状流路の出口とに通じ、第一の流体と第二の流体とが混合する混合部とを有するマイクロミキサーであり、第一のプレートと第二のプレートの少なくとも一方が、流体供給路に通ずる微小管状流路の入り口部と、混合部に通ずる微小管状流路の出口部とを有し、該入り口部の微小管状流路が1本の流路であり、しかも、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が、入り口部における1本の微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積より小さい断面積を有するプレートである請求項1記載の流体混合装置。
【請求項4】
前記第一のプレートが、流体供給路に通ずる微小管状流路の入り口部と、混合部に通ずる微小管状流路の出口部とを有し、しかも、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が、入り口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積より小さい断面積を有するプレートであり、第二のプレートが、流体供給路に通ずる微小管状流路の入り口部と、混合部に通ずる微小管状流路の出口部とを有し、該入り口部の微小管状流路が1本の流路で、しかも、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が、入り口部における1本の微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積より小さい断面積を有するプレートである請求項3記載の流体混合装置。
【請求項5】
前記第一のプレートの入り口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積は0.01〜40mmであり、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.01〜10mmで、前記第二のプレートの入り口部における1本の微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.01〜40mmであり、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.01〜10mmである請求項4記載の流体混合装置。
【請求項6】
前記積層部に、更に、熱交換媒体を流通させる熱交換媒体流路を有する温調プレートが積層されている請求項3〜5のいずれか1項記載の流体混合装置。
【請求項7】
前記混合器(1)が、第1の流体が流通する第1の流路が形成された第1流路形成部と、第2の流体が流通する第2の流路が形成された第2流路形成部とを有する混合プレートを備え、
前記第1の流路の出口と前記第2の流路の出口とが、前記第1の流体及び前記第2の流体が合流する合流路を介して対向し、前記合流路の中心軸方向における前記第1の流路の出口の開口位置は、前記第2の流路の前記合流路の中心軸方向における開口位置に含まれるか又は同一である請求項7記載の流体混合装置。
【請求項8】
前記混合プレートは、前記第1の流路の出口の断面に対する中心軸と前記第2の流路の出口の断面に対する中心軸とが同一である請求項7記載の流体混合装置。
【請求項9】
前記第1の流路の出口の開口面及び前記第2の流路の出口の開口面は平行である請求項7記載の流体混合装置。
【請求項10】
前記第1の流路の出口及び前記第2の流路の出口はそれぞれ複数形成され、前記第1の流路の出口と前記第2の流路の出口とが1対1で対向している請求項7記載の流体混合装置。
【請求項11】
前記合流路は長尺状に形成され、該合流路の対向する各側面のうち、一方の側面に複数の前記第1の流路の出口が前記合流路の長手方向に沿って並んで配置され、他方の側面に複数の前記第2の流路の出口が前記合流路の長手方向に沿って並んで配置されている請求項7記載の流体混合装置。
【請求項12】
前記混合プレートと積層される温度調節プレートを備え、
該温度調節プレートは、第1媒体が流れる第1媒体流路と、第2媒体が流れる第2媒体流路と、前記第1媒体流路及び前記第2媒体流路との間に設けられた断熱部を有し、
前記混合プレート及び前記温度調節プレートは、前記第1流路形成部と前記第1媒体流路とが積層方向において対応するとともに前記第2流路形成部と前記第2媒体流路とが積層方向において対応した位置となるように積層されていることを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項記載の流体混合装置。
【請求項13】
前記混合器(2)が有する微小管状流路3の入り口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.01〜20mm2であり、出口部における微小管状流路内を液密状に流通する流体断面積が0.01〜5mm2である請求項1〜12のいずれか1項記載の流体混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−166172(P2012−166172A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30792(P2011−30792)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】